令和3年度以前知事記者会見

2011年1月24日(月)


発表事項 1.浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(1) 2.富士見の祭典(1) 3.春の食の都 仕事人ウィークの開催
浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(2)
来年度の事業仕分け、政令市への医療費助成
子ども手当の地方負担
沼津駅付近鉄道高架事業
浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(3)
富士見の祭典(2)
富士山の日の学校休校

発表事項 1.浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(1) 2.富士見の祭典(1) 3.春の食の都 仕事人ウィークの開催

【浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(1)】

    <知事>
     発表項目が、三つございます。
     まず、浜岡原発5号機の運転再開についてでございます。
     先程、中部電力の水野社長に連絡を差し上げまして、再開を容認いたしますという旨をお伝えいたしました。ただし、安全・安心を確保するという観点から、現在国が進めていらっしゃいます耐震バックチェックの審査が、できるだけ早期に完了することが望まれているということです。それから、地下構造の特性調査におきまして、低速度層の解明に、さらに進められるように要請いたしました。そしてその調査結果が、国が行う耐震バックチェック、これは新しい耐震設計審査指針に照らした耐震安全性の再評価のことですけれども、この国が行う耐震バックチェックに、それが的確に評価、反映されること。そして、もし国の審査におきまして、対処が必要となった事項には、直ちに対応していただくように要請いたしました。それから、昨年、法令及び保安規定が違反されるということがございましたので、そうした法令及び保安規定に順守をしっかりされるように求めました。そして、引き続き、発電所に関する情報開示の徹底に努めていただくよう、さらに一般県民に分かりやすい丁寧な説明になるように求めたところでございます。それを約束していただいた訳でございます。
    私どもが、県が5号機の運転再開の条件として求めてきましたのは、想定東海地震に対する安全性の確保です。国の方、いわゆる原子力安全・保安院の方は、専門家によるワーキンググループを1年以上にわたりまして17回開催されて、中部電力の報告を丁寧に検討せられて、そして、安全上支障ないという見解を出されました。私ども県におきましては、国及び中部電力の見解につきまして、県防災・原子力学術会議原子力分科会の専門家の御意見を伺うとともに、再点検をしてきた訳でございます。その結果、想定される東海地震に対する安全性の確認としては、納得できると判断いたしました。先程申しましたごとく、県民のより一層の安心のためには、国の耐震バックチェックの審査ができるだけ早期に完了することが望ましいというふうに考えております。




    【富士見の祭典(1)】

    <知事>
     第二は、「富士見の祭典」についてでございます。
     今年は、「富士山の日」2月23日を中心に、県をはじめ市、町、民間団体等により、昨年の137件を大きく上回る、1月20日時点で260件の協賛事業、行事、施設無料化等の「富士山の日」関連事業が予定されております。多くの県民の皆様の参加をいただいて盛り上げてまいりたいと存じます。
     富士山を最も美しく仰ぎ見ることができるのは、12月末から1月、2月の3ヶ月ぐらいまでですけれども、早春の2月19日から23日までを「富士見の祭典」と位置づけまして、「富士山の日」の理念や世界文化遺産登録実現に向けました機運の一層の醸成を図りたい。そして、ふじのくにづくり、これの取組を広く発信するつもりでおります。
     「富士見の祭典」を機会に、“ふじのくに”の様々な祭りやイベント等を結びつけて、「ふじのくに祝祭年間」が始まります。2月23日をもって、ふじのくにの芸術年間の開始といたします。この度、四季折々の文化芸術の催しをはじめ、地域の祭り、旬の食材等、ふじのくにを彩る魅力を掲載する新情報誌「アトリエふじのくに」。これは「アート」と「ソムリエ」、これを造語した本県の芸術的感覚の優れた人の造語ですが、「アート」「ソムリエ」で「アトリエふじのくに」を1月末に発行いたしまして、県民の皆様に広く紹介してまいる予定でございます。
     この「富士山の日」というのは、富士山憲章に基づきまして、富士山の自然、歴史、文化等について深く学び、そして考えて、その思いを新たにする。これを県民運動にしてまいりたい。それをもって世界文化遺産への機運を盛り上げていきたいと思っております。
     「富士見の祭典」それ自体は、2月19日(土曜日)から23日(水曜日)までですけれども、「富士山の日」当日は、「富士見の式典」といたしまして、参加者の皆様と富士山世界文化遺産登録の早期実現に向けた決意を新たにするとともに、新しい総合計画に基づき、理想郷“ふじのくに”づくりをスタートする日としております。また、この日には、海外の招待者、国内の招待者、県内の招待者とともにお祝いをしたいというふうに思っています。プログラム等につきましては、おって皆様方に御紹介を申し上げます。かなり詳細にわたっております。



    【春の食の都 仕事人ウィークの開催】

    <知事>
     三つ目の発表項目でございますが、「春の食の都 仕事人ウィーク」の開催でございます。
     2月23日の「富士山の日」にちなみまして、2月19日から27日までの9日間、「春の食の都 仕事人ウィーク」を開催いたします。
     この催しの実施主体として御協力いただくのは、静岡県産の食材を積極的に活用して、本県の農林水産業や食文化の振興に貢献してくださっていることから、昨年の11月の末に「ふじのくに食の都づくり仕事人」として表彰された料理人及び菓子職人の方々でございます。この方々に対しまして、この催しへの参加希望を募ったところ、126人の皆様、6割強の皆様が御参加いただけることになりました。これは、冬から春への移り変わりにおいて、得意な旬のものを活用できる方々が6割強ということになります。それぞれ、料理人、菓子職人、季節において力を発揮できるそれぞれの時期がございまして、春夏秋あるいは冬という時には、また他の方々にも御参加いただくということになっております。
     この「春の食の都 仕事人ウィーク」の期間中は、この126人の仕事人のお店では、県産食材を使って、「早春の富士山」をテーマにした料理やお菓子を提供してもらうので、ぜひ御家族、友人の皆様と御一緒に、ふじのくにの旬の食を、仕事人の手で見事に盛り付けられたものを味わっていただきたいと思います。
     本日、お手元にお配りしておりますリーフレットは、参加する仕事人の料理と使用する県産食材等の情報を掲載したものであります。JR東海の各駅や県の総合庁舎等にも配架する予定でございますので、ふるって御利用いただければと存じます。

     以上、私の方から用意しました発表項目三点について申し上げました。




浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(2)

【浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(2)】


<記者>
 浜岡原発の再開了承についてお尋ねしますが、先程、知事は「国のバックチェックが早く終わることを希望する」という発言がありましたが、これまでも地元の説明会とか不安視する方からは、「バックチェックが終わった後で判断してもいいのではないか」という声も随分聞かれたのですが、今回、知事が最終判断をする上で、バックチェックが終わっていないということはどういうふうに判断されたかを教えていただけますか。

<知事>
 低速度層というものをさらに綿密に調べるという、今、調査を、中部電力がなさっておられます。これまで、昨年の8月に、中部電力が独自に低速度層と言うか5号機が特段の大きな揺れを示したと。426ガルという数字を示した原因について、地質を調べる(という)、これをされてきた訳です。これはもう報告書が出て、それに基づいて国の保安院としまして、検査をされてオーケーという結果が出た訳ですけれども、さらに、もっとしっかりと低速度層の位置関係について調べるということを今されている訳ですね。差し当たって、想定される東海地震につきまして、この間、ボーリングをいたしまして、だいたい深度200から400メートルのところに泥岩砂岩というものがあって、それが5号機のほぼ真下から東に向って、凸状になる形であるということが分かっています。そうしたものが、東北方向から来る地震波に対しまして、そこで集約される形になって、上に増幅した形で地震波が伝わって揺れが大きくなったということがほぼ分かっている訳ですね。しかし、この低速度層あるいは国の原子力保安院の方は低速度帯という言い方をしています。同じことですけれども、ここについてさらに広がっている圏域と言いますか、こうしたことをチェックし、そして仮に波が来た場合に、その増幅度が、今のところ2.数倍となっておりますけれども、それが確認されるようにということで、中部電力の言わば再々チェックをされておりますので、それを今度しっかりと報告をして、国がそれをさらに綿密にチェックされるという、これは念押しのバックチェックという体制に入っているということでございますので、昨年暮れと言いますか今年初めに保安院の方から、我々の方に、あるいは中部電力の方に説明がございました、安全上支障ないということで、9割9分方オーケーということでございますので、ここで再開を容認するというふうにした次第です。

<記者>
 そうすると、バックチェックの終了を待たずしても、先程、「想定東海地震への耐震安全性については納得できると判断した」というふうなお言葉がありましたが、バックチェックの終了を待たずしても、現時点で、その他の素材とか材料とか意見から、安全性については知事は判断したので了承したと受け止めてよろしいでしょうか。

<知事>
 そのとおりです。ただ、国がバックチェックをなさって、そこで要請があった場合には、それを速やかに実施する、対処するということを文書で求めておりまして、したがって、「バックチェックが終わった。はい、それで検証ができました」「検証は、はい、お聞きしました」ということではなく、もし、その審査においてさらに要請があれば、速やかに対処されるようにということを求めております。

<記者>
 浜岡原発の関連ですが、中部電力は、法令違反、知事も先程おっしゃいましたが、これがあるということで、いろいろ問題があるかと思うのですけれども、例えば、先日も火災があったりとか、勝手に工事をしていたとか、それから点検漏れとかいろいろ出てきていますけれども、その辺の中部電力の姿勢について、知事はどういうふうにお考えでしょうか。

<知事>
 これはあってはならないということで、先程、口頭で、水野社長にしっかりと申し上げると同時に、さらに文書でも、明文化して書き記しまして、法令順守、コンプライアンスをしっかりやっていただきたいということを言ってございます。これは、所内の規律に関わることでございまして、法令違反とか保安規則の違反というふうなことは、再開に際しまして、改めてしっかりと守っていただけるように、職員所員に徹底していただくように求めました。
 この間の火災、これも大事無きに至りましてほっとしておりますけれども、これもすぐそのまま報告されましたので、こうしたことをこれからも守っていただきたいということです。

<記者>
 逆に、こういう体制が改められたというふうに明確に分かるものがない限りは、再開はできないのではないかという批判をする方もいるのですが、その辺はいかがでしょうか。

<知事>
 そうですね、これは、難しいところですけれども、ずっと一年ないし三年間ぐらい一切違反がないかどうかチェックしてから、それから今回の5号機の再開に対してオーケーをあるいはノーを言うというふうにするのが適切かどうか。
しかし、直接の問題は、5号機の安全性の問題です。想定される東海地震に対して、現在の施設で安全かどうかということですけれども、これにつきましては、地震が起こって、10日後には調査結果が報告される。そして5号機の揺れが大きいことが分かって、それに関する調査を国が命ぜられて、そして時を移さず調査に入って、さらに昨年の夏、この件に関して、さらに中部電力独自で、5号機の揺れの大きい原因について調査をせられて、そしてほぼ保安院の方も了承する形でこの調査結果というものが認められたということですね。そうしたことで、5号機の安全ということに関しましては、これは問題ないと。現時点では問題ないということでございます。そこで、これを認めると。ただし、この法令順守あるいは保安規則の順守というのは、それはそれとして、常に求めなくてはならないものでございますし、それは今回のそういう違反が続きましたので、この点は口頭でも文書でもきつく、厳しく申し上げた次第です。水野社長の方も、この点は自覚をして、安全・安心の基礎としての社員、所員、職員の法令順守を徹底していきたいという決意を述べられておりました。

<記者>
 浜岡原発5号機の関係ですが、知事は前回の会見の時に、保安院が安全とした根拠ですとか、5号機の揺れが大きかった理由等を、一素人として納得できるように自分で検討された上で最終判断をしたいということをおっしゃっていたと思いますが、具体的にどのような検討や分析をされたのか、お聞かせください。

<知事>
 原子力安全・保安院の報告書がございます。これは、「駿河湾の地震を踏まえた浜岡原子力発電所5号機の耐震安全性への影響確認等について」というものでございます。それからもう一つ、中部電力が1月7日に報告、あるいは発表されました「駿河湾の地震を踏まえた浜岡原子力発電所5号機の耐震安全性への影響確認等について」という報告書がございますけれども、これを週末にかけて、今朝までしっかり何度も読み直したということで、その結論に至る論拠とされる実証実験結果というものが、必ずしも専門的な用語が使われているので完全に専門用語も含めて理解したというほど追求はしていませんけれども、専門家の目も経て、この結論に至っているその過程につきましては、事実を上げて検証されているので、問題ないという判断に立ち至ったということでございます。
 それからまた、本県の危機管理部ですね。小林危機管理監を含めた方々と何度も意見交換をいたしまして、そうした中で、中部電力の、先程申しました周辺事態ですね、いわゆる法令順守であるとかということについて、やはりこうしたところも含めて、きっちりと県民の安全・安心を確保するために、言うべきことを言わねばならないということを確認しておりまして、今日、それを口頭でも文書でも改めてしっかりとお伝えした上で、それを了とせられましたので、私としましては、今これをノーというだけの十分な理由はないということで、再開を容認したということでございます。

<記者>
 水野社長には、お電話ですか。

<知事>
 そうです。電話で、向こうから電話をいただく形になりまして、私の空いている時間に電話をしていただきまして、時間を取って、言うべきことを申し上げ、そしてそれをさらに文書で確認するので、しっかりと御覧くださいというふうに申し上げました。
 この会見が終わり次第、文書をお渡しいたします。




来年度の事業仕分け、政令市への医療費助成

【来年度の事業仕分け】


<記者>
 それでは代表質問に移らせていただきます。代表質問は、本日は二件です。
 まず一点目。先日、知事は長野県の事業仕分けを視察されましたが、静岡県の来年度の事業仕分けについて、お考えがあればお聞かせください。
 二点目です。静岡、浜松、両政令市への医療費助成の関係ですが、県の対応をお聞かせください。

<知事>
 まず、長野県における事業仕分けですけれども、先週の土曜日(1月15日)、大雪の中を松本空港に降り立ちまして、雪けぶる中を長野県庁に向いましたが、同席した県職員は、「いつもこうなのですか」と向こうの県職員に言うほど、こちらが晴れ渡っていると、そういうふうな景色でした。向こうの人は向こうの人で、これが冬の景色だと思っていて、こちらはこちらで、晴れ渡っているのが冬の景色だと思っているという、興味深い県職員同士の意見を1時間から2時間近く聞きながら、向こうの事業仕分けを見に行った訳です。ちょっと余計なことを申しましたが、それは、県庁職員同士の、互いの県についての知識があまりにも知らないという、そういう現実を目の当たりにしたということが、まず事業仕分けに入った時に、予備段階として、お互いよく知らないとならないなと思った訳ですね。
 さて、事業仕分け、これは本県の場合は100件ほどの事業をやったのですが、向こうはその4分の1ほどについて、二日間にわたってなさっておられるということでした。しかも、時間が、本県の場合は半時間ですけれども、向こうは50分、若干伸びても1時間弱ということでなさっておられたので、やはりやり方が違うと。本県の場合には、相当時間が厳しくて、十分に意思疎通ができないまま判定されているという批判が、1回目と2回目にございましたけれども、私が見た限り、そうしたものはなくて、相当突っ込んだ質問、行き届いた説明ということがなされていたのが印象的でした。ですから、30分では短い。しかし50分取っていると、時間的には、ある意味で余裕があるとすら思うところがございましたので、少しく本県の場合にも、いきなり50分という訳にはいかないでしょうけれども、若干時間を延ばしてやるのもいいのではないかと思った次第です。
 それから、本県の場合と違って、長野県の場合は、今回はパイロットケースとしてやるということだった訳です。必ずしも、県議会議員の先生方すべてが、この事業仕分けについて全面賛成というものではなくて、とりあえずまずやってみるというところで始まったものでした。それだけに、県知事としては、マニフェストにこの事業仕分けを入れていらしたので、相当力を入れていらしたと。本県もお願いいたしました、構想日本の加藤代表、それから自民党の河野太郎さんも来られていて、また、私どもの事業仕分けに来られているベテランの仕分け人が入られて、相当突っ込んだやりとりがなされているのを目の当たりにしたのですけれども、その中で、多文化共生のものにも参加したのですが、これは、実際には外国語を子どもたちにどのように教えていくかということが軸になっている事業だったのです。この中で、仕分け人が「もっと増やしなさい」ということをなさって、事業仕分けというものが、いわゆる節約ないしカットということだけでなくて、増やすということもあると。名前と実態を合わす形で、さらにこの点はどうするべきだというふうなやりとりも見てまして、私は本県では「不要」ということが、どちらかというと強調されますけれども、実際は、「要改善」が、さらにもっと事業を伸ばすというところにも入っているということが分かりまして、勉強になりました。
来年に関しましては、若干時間を延長するということ。それから、1回目、2回目の本県における事業仕分けを通じて感じたことは、長野県でもそうでしたけれども、判定人は仕分け人と一緒なのですが、やはり聞いていますと、私のように傍聴していても、仕分け人イコール判定人がする判定の中身と、聞いている者が感じる判定の中身が、そう齟齬(そご)はないということが分かりましたので、仕分け人と判定人を分けて、なるべく多くの方々に参加していただくという、そういう方向性も、この間、一応可能性として出しましたけれども、長野県で参加しても、これはできそうだという感触を得ましたので、次回は、なるべく多くの人々にコミットしていただくと。これは、事業仕分けの目的の一つでもあります。オープンにして、なるべく多くの人々に県の事業について知っていただいて、意思表示をしていただくという、そういう方向に今度は乗り出せるかなと。
さらに一言言いますと、先週末の事業仕分けは、実は他の地域でもなされておりました。長野県以外のところでも。そこに、本県が、事業仕分け人として向こう(構想日本)で今、そのノウハウをマスターしていただいている方が、残念ながらその場にいなかったのですよ。別のところの仕分け人として行っていました。しかし、その仕分け人の仲間から聞いたところ、大変に優秀だということで、昨年の秋に構想日本の方に出向していただいて、そのノウハウをマスターしていただき、一線で活躍されて、しかも評価されていることが分かったのも収穫でございました。



【政令市への医療費助成】

<知事>
 医療費助成につきまして、私が知事になりましてから、いわゆるサミットを中心にいたしまして意見交換を行い、今年度はオープンな形、すなわちジャーナリストの方々も聞いていただける形で議論をしてまいりました。これまでのところ、私といたしましては、意見交換を通じて原則論は、変わるべきではないと。原則論を変えるという判断には至っていないということでございます。
 政令市は、県と対等の立場ですし、さらに、本県よりも財政力の指標が良いということでございますので、財政支援として医療費助成を行う意義は見出せないというのが、目下のところの判断でございます。
 ただですね、コミュニケーションということは大事なので、現在の医療費助成につきまして、浜松市と静岡市では、スタートした時点が違います。浜松市の方が二年遅れですから。したがって、現在やっている医療費助成は、浜松市につきましては、向こう二年、このまま続きます。それは、最初の政令市である静岡市に、これまで六年間やってきたのと同じようにするべきだということでする訳ですが、静岡市につきましては、これをよく調べていきますと、県民として同じように税金を払っているということなのですが、政令市ですから、宝くじ収入が22億円あるのです。医療費ですね、子ども医療・母子家庭・重度心身障害、全部入れても6億円くらいです。ですから、財源が他と違ってあるのですね。ですから、本当に医療費に重点を置くということであれば、それを充当することは十分に可能であります。そうした中で、浜松市長とお話しまして、それで、浜松市長の方は、やっぱり政令市というのは、これから特別自治市を目指していく中で、財政的にも政策指針としても、子どもを重点にとっていて、二年後に区切りをつけるというのはもっともなことであるということで了承をいただいております。
 静岡市の方は、そういう了承は無くにしろ、独特の論理でですね、論理だとは思わないのですけれども、おねだりでですね、金を出せというふうに理解しておりますものですから、これはそのまま受け取る訳にはいかない。ただし、これは、うちには政令市出身の県議会の先生がいらっしゃいます。そういう県議会の先生、政令市の市民の皆様方の御意向を代弁されていらっしゃいますので、これから彼らに意見を相当しっかり、今聞いている最中でございまして、最終的には、県議会の声に耳を傾けて、本来私がこの県の税金をどこに使うべきかということについて、県議会の先生方と議論をして判断をするというふうにしてまいりたいと思っています。けじめはつけます。そして、実質上浜松市とはけじめがついております。要請を取り下げられたのではないのですけれども、けじめをつけるべきだという議論に賛同をいただいたということですね。浜松市に関してはそうなるのですけれども、ただ、どういう方向、どういうふうにしてけじめをつけるかについては、これから集中的に県議会の議員の先生方と議論をして、けじめのつけ方を見出したいということでございます。

<記者>
 浜松市長とは、いつ、どのような場で合意をされたのでしょうか。

<知事>
 これはですね、電話で数回。面談で、新年会がございましたので、そこででもお話していますので、ですから確認は、四、五度ということですかね。




子ども手当の地方負担

【子ども手当の地方負担】


<記者>
 子ども手当の地方負担についてですが、川崎市や横浜市が予算計上を見送るというような発言が続いていますが、川勝知事の対応というのは、現在どのようなものでしょうか。

<知事>
 川崎市あるいは神奈川県ですか、その対応とは同じではありません。
 私は、思想は正しいと思っているのですね、子ども手当という。今、高齢社会、少子化の中で、しかも子育てに従事している方々というのは、厳しい経済状況にいます。振り込め詐欺等に典型的なように、お金は、60歳代以上と言いますか、いわゆる高齢者の方に偏しておりまして、ですからそれを回さなくちゃいけない。ただ、財源が不足しているので、どちらが財源を負担するかという話なのですね。だから、迷惑が子どもに掛からないように、多くのお父さんお母さんの声は、ともかく助かるという声が多いのでですね、そうしたことがベースで、どっちが負担するかという中で、どうしても今年もお願いをしたいというように国が言われてきたので、痛み分けということで、私としましては、神奈川県あるいは他の川崎市のような、けんかをするという態度は取らない。ましてや子どものことに関して。




沼津駅付近鉄道高架事業

【沼津駅付近鉄道高架事業】


<記者>
 沼津駅の高架化問題ですが、先週の有識者会議で、知事が「必要ない」と言われた貨物駅について、地域振興の観点からも必要だという意見をまとめられたのですけれども、どのように受け止められていますでしょうか。

<知事>
 まだその綿密な報告は聞いていません。まだ途中でしょう。それで、独自に有識者、今考え得るトップレベルの専門家に議論していただいておりますので、読売新聞の記事だと思いますが、各社の新聞記事を拝読しますと、貨物の方がトラックよりも長距離輸送、また環境に優しい、理想としていいと。そんなことは中学生でも知っていますね。ですからそれはいいんです。問題は、それを沼津にどう落としこむかということですね。一般論として、鉄道輸送の方が、環境に、また重量ベースで見てもたくさん遠いところに運べるということがあります。しかし、ドアツードアではトラックの方がいいという面もありますよね。だから、今、JR貨物の長距離輸送について、そのメリットを言われたというのは、それはもう議論の前提だと思っています。わざわざそれを聞くほどのことではないということであります。それを、賛成に取るのは、まだ早とちりではないかと思っていますね。
 ただ、あそこで、これは他の新聞社の記事かもしれませんけれども、物流というコンセプトですね。これを通常我々がトラック輸送だとか、貨物輸送だとか、あるいは船での輸送だとか、こういう観点ではなくて、いわゆるモノの流れというものをですね、生産地から供給、さらに需要者に至るまで、全体を、物流を考えるという考え方が紹介してられたのですかね。これは新しいと思います。私自身はそういう考えを持っているのです。物流というのは、単にモノを運んでいるというのではなくて、実は生産過程のモノの流れを変えることです。モノの形を、流れを通して、コンベアを通して、変えていくことでございますので、加工を通して変えていくという、これは全部モノの流れとして把握することができます。ですから今は、本県では交通基盤部となっているでしょう。私は、これは、物流部にすると言ったのです。昨年。そうしたら、物流部とすると言えば、これは鈴与さんの会社を応援するというふうに取られかねないと言う人がいまして、それは幹部の大半の意見だったので、それは違うというふうに言っていた訳ですが、そうした中で交通基盤部という名前になったのです。
 しかし、やはり最先端の学者さんが来られると、物流というものが、実は生産から流通、消費に至るまで、そういうことの重要性というものを捉えるという視点を、正面に出されたのではないかと思っていまして、この点は、それはそれとして、一般論としても、これからの時代の経済を捉える観点としても大事な見解であるというふうに見ております。まだ議事録を読んでいませんが、最終報告を聞いてからですね。今の段階でどうこう言うのではなく、むしろ自由に議論をしていただいて、その議論の結果を見てから御判断を申し上げたいと思います。




浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(3)

【浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(3)】


<記者>
 浜岡原発の話に戻りますが、三つ目の要望のところで情報公開、住民に分かりやすくという表現があったと思いますが、知事も今朝方まで報告書を御覧になられたということですが、あれを完全に理解しようと思うとなかなか難しいと思うのです。住民説明会で一番出たのは、とにかく何を言っているのかよく理解できないという意見が多かったのです。つまり、どういうことなんだという説明を、なかなか中部電力がしてくれないので、そういった部分で住民の方がフラストレーションが溜まっている部分もあるのかなと思うのですが、その辺についてはいかがですか。

<知事>
 おっしゃるとおりですね。一つは、最初に原子力防災安全のための学術会議を立ち上げました。その時に、大学の先生と、それから中部電力と、両方から今回の地震に関わる御報告をされた訳ですけれども、やはり大学の先生の方がはるかに分かりやすい。これは、若い青年達を相手にし、時には社会人を相手にして分かりやすく説明をされると。中部電力の方は、言わば業界用語が中心になっての御報告だったので、やはりもう少し分かりやすくという意見が出ました。ですから、分からないような報告をしていれば、結果的に、何のために報告をしたのか分かりませんからね。ですから、分かりやすく説明をするということは、これはもう義務だと思っています。
ただ、この間、有馬朗人先生が、35市町の首長さんと本県の幹部を相手に講演をなさったのです。その講演は、ふじのくにの人材をどう養成していくかというお話だったのですけれども、有馬先生は、今回の県防災・原子力学術会議の顧問でもありますが、そこで言われたことがですね、データを挙げて説明されたので、(ここに)いらした方もお気づきだったと存じますけれども、日本の科学技術に関わる知識は、高校レベルまでは、高いと。他国に比べて。ところが、一般社会人となると、それが驚くべき低さとして表れると。もう高校・大学レベルまで、欧米諸国と比べてまったく遜色ない、いやむしろその上を行く日本人の現在の大人と言うべきなのですけれども、つまり、私のような団塊の世代は、数学なんかにおきましては、高校時代、世界でトップクラスを走っていた訳ですね。その世代が今、大人の中心をなしていると、その世代の科学に対する関心とか、知識とか、基礎能力というのが、もう国際調査によって、下から数えた方が早いということになっているのはどうしてかということについて、非常に厳しい日本の教育のあり方、詰め込み、あるいはモノを考えるという力を付けさせないような仕組みについて言われました。ですから、我々大人もですね、やはり勉強すると。科学技術について勉強すると。原子力について、なぜ止める、冷やす、封じ込めるという段階になっているのですかといったようなことについても、発電所の本当の詳しいことは分からなくても、そのやり方の合理性の根拠にある技術、あるいは科学的なデータについて、関心を持っていただくということが必要なので、中部電力側も、それから地元もですね、こうしたことに関心を持つと。つまり、防災能力を上げるということは、原子力発電についての知識を、やはり正確に持つということが大事で、そうしたことを通して、厳しく批判することもできるでしょうし、また、御説明も正確に分かるということになると思っております。
そうしたことは、両方からの努力によってできると思いますので、今年度は、中部電力の方には、もっと分かりやすい御説明をしていただくと同時に、我々県の防災・原子力学術会議といたしましても、常にこのことを自分たちに言い聞かせて、我々のレベルを、県民全体のレベルを上げていくというような方向に、大きく舵を切りたいと思っております。




富士見の祭典(2)

【富士見の祭典(2)】


<記者>
 話が戻りますが、「富士山の日」のイベントの関係ですが、クルーズの予定が入っていますが、これはどういうものを予定されているのですか。

<知事>
 オーシャンプリンセス号という豪華ヨットが、駿河湾内に走っているのを御存知ですか。この船が、日本にあるのです。これは鈴与さんの持ち物なのですけれども、かつて、カラヤンが乗ったり、ケネディ一家がお乗りになったり。ジャクリーン・ケネディさんは、オナシスさんと再婚されたりしました。
そのヨットがこちらにありまして、そのヨットから見る富士山の景色がすばらしいということが分かりまして、鈴与さんの御厚意で、各国の要人たちが、そこに乗って富士山を見るという、そういう計画でございます。
 何しろ、「富士見の祭典」それ自体が、ホテルアソシアでしょう。2月23日、グランシップを取ろうと思ったら、もう予約一杯で無いのです。それでですね、それでは富士見もできないではないかと、アソシアからだと。困ったなと思っていたのですが、そういう御厚意もございまして、2月22日の夕方と23日の午前中だと、夕焼けの中での富士山、あるいは朝焼けの中、駿河湾から見る富士山を、まだ見たことのない各国の要人、あるいは国内の方々にお見せをするという、そういうものでございます。




富士山の日の学校休校

【富士山の日の学校休校】


<記者>
 「富士山の日」に関連しまして、知事はかつて、「休んでもよし 休まずともよし 富士山の日よ」と言われましたけれども、現状で、いくつの学校が、今年は休まれるのか、いくつの教育委員会が休みにしたのか。併せて、今後は休みを求めていかないという姿勢なのかどうか、この二点を教えてください。

<知事>
 これは、求めた訳ではないですね。教育委員会の方で、休みにするべきだという御判断でですね、働きかけられたということでございます。しかし、位置付けをどうするかということについて、それぞれ教育委員会の方々が試されているのではないかと思います。教育委員会の委員のお一人お一人の誕生日はいつかと言われると、答えられないでしょう。静岡県の誕生日は御存知ですか。

<記者>
 8月21日でしたか。

<知事>
 さすがですね。それはともかくとして、案外、知らないものですよね。ですから、私は、この間、大勲位と言われる方とお目にかかってお話を聞いたのですけれども、静岡高校から四年間、ずっと見ていたと。しかし、群馬で生まれてですね、富士山というのは知らなかった。だけど、誰もが持っている文化的景観としての富士山の姿というのは、それは白雪を被った富士山の姿だという訳です。それはやはり、そのとおりだと思いましたね。つまり、「田子の浦ゆ 打ち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」と。あれは、短歌の前の長歌というのですか、そこに「天地の 別れし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 富士の高嶺を」とありますね。そしてですね、日の影が隠れ、そして雲がかかって、「時じくそ 雪は降りける」と。「言い継ぎ行かむ 富士の高嶺は」と。こうある訳です。そして、田子の浦から出てみれば、真っ白に雪が積もっている富士山だと、こういう訳です。その姿を、最もよく見ることができるのが、冬の富士山だということを、我々は経験的に知っていますけれども、日本中の人が知っている訳ではありません。ですからこれはですね、富士見の冬、冬の富士見ということをしっかりと根付かせることを通して春夏秋冬の季節感を取り戻したいという狙いがあります。その冬から春への転換期というのを、この時期に設定したい。それを多くの国内外の人々に知っていただきたい。
そして、この間、中国の程(てい)大使とその話をしたのですが、その時も、泰山(たいざん)、中国の山東省の名山である泰山と、富士山との交流を通して、日中友好関係をさらに深めたいと、そういう絵が、確か日中友好の時に、日本に贈られたそうですよ。つまり、富士山というのは、人が変わっても、日本の平和のシンボルだと。その富士山が、冬によく見えるということについて、改めて知ったと言われましたね。ですから、そういう意味で、「富士見の祭典」というのは、やはり内外の人にしっかり富士山を見ていただく、そして、学校の子どもたちにもしっかり自覚してもらって、その富士の原風景を実質上の現実の風景として心に宿して、そして春夏秋とがんばってくださいということを言う、そういう節目の日です。
ですから、私は、こういうものを休みにしなさいとか、あるいは勉強しなさいというふうなレベルではなくて、それこそ万葉の時代から受け継がれてきた富士見をする日というものをしっかりと、「富士山の日」として持ちたいということを訴えている訳でございまして、決して、日本中の学校が休みになるだとかということを言った覚えもないし、自ずとそうなるとは思ったのですが、しかしそれは、要求している訳ではありません。

<記者>
 では、静岡県に別に求めている訳ではないということですね。

<知事>
 求めてはいません。

<記者>
 現状の学校の数が分かれば、お願いします。

<知事>
 (県職員に対して)
分かっていますね、今。

<県職員>
 4市5町です。

<知事>
 4市5町ということは、自治体で9。だから35市町のうち9ですね。4分の1くらいですね。