【浜岡原子力発電所5号機の運転再開の容認(2)】
<記者>
浜岡原発の再開了承についてお尋ねしますが、先程、知事は「国のバックチェックが早く終わることを希望する」という発言がありましたが、これまでも地元の説明会とか不安視する方からは、「バックチェックが終わった後で判断してもいいのではないか」という声も随分聞かれたのですが、今回、知事が最終判断をする上で、バックチェックが終わっていないということはどういうふうに判断されたかを教えていただけますか。
<知事>
低速度層というものをさらに綿密に調べるという、今、調査を、中部電力がなさっておられます。これまで、昨年の8月に、中部電力が独自に低速度層と言うか5号機が特段の大きな揺れを示したと。426ガルという数字を示した原因について、地質を調べる(という)、これをされてきた訳です。これはもう報告書が出て、それに基づいて国の保安院としまして、検査をされてオーケーという結果が出た訳ですけれども、さらに、もっとしっかりと低速度層の位置関係について調べるということを今されている訳ですね。差し当たって、想定される東海地震につきまして、この間、ボーリングをいたしまして、だいたい深度200から400メートルのところに泥岩砂岩というものがあって、それが5号機のほぼ真下から東に向って、凸状になる形であるということが分かっています。そうしたものが、東北方向から来る地震波に対しまして、そこで集約される形になって、上に増幅した形で地震波が伝わって揺れが大きくなったということがほぼ分かっている訳ですね。しかし、この低速度層あるいは国の原子力保安院の方は低速度帯という言い方をしています。同じことですけれども、ここについてさらに広がっている圏域と言いますか、こうしたことをチェックし、そして仮に波が来た場合に、その増幅度が、今のところ2.数倍となっておりますけれども、それが確認されるようにということで、中部電力の言わば再々チェックをされておりますので、それを今度しっかりと報告をして、国がそれをさらに綿密にチェックされるという、これは念押しのバックチェックという体制に入っているということでございますので、昨年暮れと言いますか今年初めに保安院の方から、我々の方に、あるいは中部電力の方に説明がございました、安全上支障ないということで、9割9分方オーケーということでございますので、ここで再開を容認するというふうにした次第です。
<記者>
そうすると、バックチェックの終了を待たずしても、先程、「想定東海地震への耐震安全性については納得できると判断した」というふうなお言葉がありましたが、バックチェックの終了を待たずしても、現時点で、その他の素材とか材料とか意見から、安全性については知事は判断したので了承したと受け止めてよろしいでしょうか。
<知事>
そのとおりです。ただ、国がバックチェックをなさって、そこで要請があった場合には、それを速やかに実施する、対処するということを文書で求めておりまして、したがって、「バックチェックが終わった。はい、それで検証ができました」「検証は、はい、お聞きしました」ということではなく、もし、その審査においてさらに要請があれば、速やかに対処されるようにということを求めております。
<記者>
浜岡原発の関連ですが、中部電力は、法令違反、知事も先程おっしゃいましたが、これがあるということで、いろいろ問題があるかと思うのですけれども、例えば、先日も火災があったりとか、勝手に工事をしていたとか、それから点検漏れとかいろいろ出てきていますけれども、その辺の中部電力の姿勢について、知事はどういうふうにお考えでしょうか。
<知事>
これはあってはならないということで、先程、口頭で、水野社長にしっかりと申し上げると同時に、さらに文書でも、明文化して書き記しまして、法令順守、コンプライアンスをしっかりやっていただきたいということを言ってございます。これは、所内の規律に関わることでございまして、法令違反とか保安規則の違反というふうなことは、再開に際しまして、改めてしっかりと守っていただけるように、職員所員に徹底していただくように求めました。
この間の火災、これも大事無きに至りましてほっとしておりますけれども、これもすぐそのまま報告されましたので、こうしたことをこれからも守っていただきたいということです。
<記者>
逆に、こういう体制が改められたというふうに明確に分かるものがない限りは、再開はできないのではないかという批判をする方もいるのですが、その辺はいかがでしょうか。
<知事>
そうですね、これは、難しいところですけれども、ずっと一年ないし三年間ぐらい一切違反がないかどうかチェックしてから、それから今回の5号機の再開に対してオーケーをあるいはノーを言うというふうにするのが適切かどうか。
しかし、直接の問題は、5号機の安全性の問題です。想定される東海地震に対して、現在の施設で安全かどうかということですけれども、これにつきましては、地震が起こって、10日後には調査結果が報告される。そして5号機の揺れが大きいことが分かって、それに関する調査を国が命ぜられて、そして時を移さず調査に入って、さらに昨年の夏、この件に関して、さらに中部電力独自で、5号機の揺れの大きい原因について調査をせられて、そしてほぼ保安院の方も了承する形でこの調査結果というものが認められたということですね。そうしたことで、5号機の安全ということに関しましては、これは問題ないと。現時点では問題ないということでございます。そこで、これを認めると。ただし、この法令順守あるいは保安規則の順守というのは、それはそれとして、常に求めなくてはならないものでございますし、それは今回のそういう違反が続きましたので、この点は口頭でも文書でもきつく、厳しく申し上げた次第です。水野社長の方も、この点は自覚をして、安全・安心の基礎としての社員、所員、職員の法令順守を徹底していきたいという決意を述べられておりました。
<記者>
浜岡原発5号機の関係ですが、知事は前回の会見の時に、保安院が安全とした根拠ですとか、5号機の揺れが大きかった理由等を、一素人として納得できるように自分で検討された上で最終判断をしたいということをおっしゃっていたと思いますが、具体的にどのような検討や分析をされたのか、お聞かせください。
<知事>
原子力安全・保安院の報告書がございます。これは、「駿河湾の地震を踏まえた浜岡原子力発電所5号機の耐震安全性への影響確認等について」というものでございます。それからもう一つ、中部電力が1月7日に報告、あるいは発表されました「駿河湾の地震を踏まえた浜岡原子力発電所5号機の耐震安全性への影響確認等について」という報告書がございますけれども、これを週末にかけて、今朝までしっかり何度も読み直したということで、その結論に至る論拠とされる実証実験結果というものが、必ずしも専門的な用語が使われているので完全に専門用語も含めて理解したというほど追求はしていませんけれども、専門家の目も経て、この結論に至っているその過程につきましては、事実を上げて検証されているので、問題ないという判断に立ち至ったということでございます。
それからまた、本県の危機管理部ですね。小林危機管理監を含めた方々と何度も意見交換をいたしまして、そうした中で、中部電力の、先程申しました周辺事態ですね、いわゆる法令順守であるとかということについて、やはりこうしたところも含めて、きっちりと県民の安全・安心を確保するために、言うべきことを言わねばならないということを確認しておりまして、今日、それを口頭でも文書でも改めてしっかりとお伝えした上で、それを了とせられましたので、私としましては、今これをノーというだけの十分な理由はないということで、再開を容認したということでございます。
<記者>
水野社長には、お電話ですか。
<知事>
そうです。電話で、向こうから電話をいただく形になりまして、私の空いている時間に電話をしていただきまして、時間を取って、言うべきことを申し上げ、そしてそれをさらに文書で確認するので、しっかりと御覧くださいというふうに申し上げました。
この会見が終わり次第、文書をお渡しいたします。
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