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ホーム > 記者提供資料 > 平成30年度静岡県試験研究10大トピックスを公表

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記者提供資料
( 平成31年度 )


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( 資料提供 )

平成30年度静岡県試験研究10大トピックスを公表



1 趣旨
 平成30年度の県試験研究機関の研究のうち、特に顕著な成果のあったものを「静岡県試験研究10大トピックス」として紹介します。

2 平成30年度静岡県試験研究10大トピックス

○AOIプロジェクトにより全国で初めて生食用ケールの機能性表示食品の認可を取得

[背景] 本県は多彩で高品質な農林水産物を生産しているが、これらの持つ機能性に関する情報が不十分で、その優位性が生かされていなかった。
[特徴] AOIプロジェクトの一環として、本県産ケールのGABAの含有量の安定性を確認した結果、生食用ケールでは全国で初めての機能性表示食品として、健康への有用性を表示して販売できることになった。
[今後の予定] 農林技術研究所等が構築した104品目の農林水産物機能性データベースを活用し、新たな機能性表示食品等の開発を支援する。
 (農林技術研究所次世代栽培システム科 
TEL:055-955-9330)

ケールの機能性表示食品の実現
○地球温暖化に適応した温州みかんの新系統の育成

[背景] 近年の地球温暖化による温州みかんの品質不安定(浮き皮果発生、貯蔵中の腐敗増加)が課題となっている。
[特徴] この対策として新系統の育成に取り組み、‘青島温州’に比べて浮き皮果の発生が少なく、貯蔵性が高い新系統「S1200」を育成した。この新系統は収穫時期が約1か月遅いため、収穫作業の分散化も可能となる。
[今後の予定] 今年度中に品種登録申請を行い、早期に県内各産地への普及を図る。
 (農林技術研究所果樹研究センター果樹生産技術科 TEL:054-376-6153)

S1200(上)と
青島温州(下)の果実
○「農芸品」の輸出拡大に向けて低コストな鮮度保持技術を開発

[背景] 本県産農芸品の海外市場における競争力を高めるため、低コストな鮮度保持技術の開発が求められている。
[特徴] 精密冷蔵コンテナと高機能性フィルム包装を組み合わせ、イチゴの鮮度を4週間維持する技術を開発した。この技術を活用し、本県農芸品19品目をシンガポールへ船便で輸出し、航空便と比較したところ、品質・鮮度に遜色はなく、輸送コストは、航空便と比較して1/2〜1/4となった。
[今後の予定] 当技術を活用して、農芸品の輸出に取り組む農業団体、企業等を支援する。
(農林技術研究所農業ロボット・経営戦略科 
TEL:0538-36-1551)

海上輸送と航空輸送の
比較による輸出実証実験
○高精度GPS+自動操舵装置を活用し、飼料用トウモロコシの正確な播種を実現

[背景] 富士山西麓において、自給飼料の生産拡大によるコスト低減と、労働力確保を支援するため、「まっすぐ」「等間隔」に行う必要がある飼料用トウモロコシの播種を、高精度GPSと自動操舵装置を活用し省力的かつ正確に行う技術を開発した。
[特徴] 高精度のRTK-GPS(衛星情報を基地局情報で補正)とトラクタ自動操舵装置を用いることにより、飼料用トウモロコシの播種を「まっすぐ」(±5cm以内)かつ「等間隔」(±4cm以内)に行うことが可能であった。
[今後の予定] 農家ほ場において現地実証試験を実施し、技術の普及を図る。
(畜産技術研究所飼料環境科 TEL:0544-52-0146)

GPSと自動操舵による播種
○シラス漁業におけるスマート漁業のシステム構築に成功

[背景] 漁船に装備されている魚群探知機やGPS等から得られるビッグデータは、各漁業者の操業判断に役立てられているが、データの蓄積や漁業者間の共有などは行われていない。漁業経営において利益を上げるためには、漁獲を増やすだけでなく操業の効率化も必要であることから、これらのビッグデータを共有することによって魚群マップのリアルタイム提供を目指した。
[特徴] GPSの位置情報と魚群探知機の魚群情報を、シラス漁船から陸上のサーバーへ送信し、位置毎の魚群データを収集するシステムを構築した。このデータを活用することで、魚群マップの提供が可能になった。
[今後の予定] 今後、魚群マップを基にした客観的なシラス操業形態の選択基準を作成する。また、サクラエビ漁業への応用も目指す。
(水産技術研究所資源海洋科 TEL:054-627-1817)

シラス漁場情報システム
(魚群マップ)表示例
○海外に焼津の鰹節を届けるため世界一厳しいEUのPAH基準をクリアする技術を開発

[背景] 日本産の鰹節を海外輸出する際には、燻しに使う煙に含まれるPAH※と呼ばれる成分の付着量を、それぞれの国の定める基準値以下にしなければならない。特にEUでは和食と共に新たな食材として“KATSUOBUSHI”が注目されているが、世界で最も厳しいPAH基準がある。
※PAH…有機物の燃焼の際に極微量発生する、有害な化学物質(多環芳香族炭化水素類:Polycyclic Aromatic Hydrocarbonsの略称)
[特徴] EUのPAH基準をクリアするために、PAH発生が少ない低温で木材チップから発煙する技術と、鰹節表面へのPAH付着を低減させるコーティング技術を開発した。これらに加え、カツオを燻す回数を減らし、適切なタイミングで燻しを行うことで、鰹節に付着するPAHを大幅に低減させ、EU基準をクリアすることができた。
[今後の予定] 技術研修会等で協力企業を募り、実際の工場で実証試験を行った上で、生産現場への普及を図る。
(水産技術研究所開発加工科 TEL:054-627-1818)

高温および低温発煙くん煙により
12回焙乾した鰹節のPAH付着量と
コーティングの効果(単位:ng/kg)
○手のひらサイズの超小型パルスレーザーを試用開始

[背景] 加工やレーザー治療に用いられるパルスレーザーの発振器はこれまで大掛りで高価な物がほとんどであり、ユーザーからは国産で安価、小型、高出力で設置場所を選ばない発振器が求められていた。
[特徴] 平成28年度から、内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一つである「ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実現」に参画した。本プログラムで試作および製品化した超小型パワーレーザーを試用できるプラットホーム(実験場)を浜松工業技術支援センター内に構築し、参画機関に開放した。
[今後の予定] 2019年度からはプラットホームを一般にも無料で開放し、企業の製造、医療応用などへの用途開発を支援する。
(工業技術研究所浜松工業技術支援センター光科 TEL:053-428-4157)

マイクロチップレーザー
発振器(試作品)
○新開発の吸音材料を採用したオーディオスピーカーの製品化

[背景] オーディオ業界では、ハイレゾ音源やアナログレコードの音楽を高品質に再生する高級オーディオ機器の開発が盛んである。
[特徴] 高級スピーカーへの採用を目指し、実験とシミュレーションを組み合わせてスピーカー内部の吸音材料が音色に与える影響を明らかにし、県内企業と共同で膜素材と繊維材料を積層した新規吸音材料を開発した。開発した材料を用いることで、従来のスピーカーと比較して低音から高音にかけての音圧レベルが向上し、質の高い音の再現が可能になった。高級スピーカー2機種に採用され、平成30年に製品が販売された。
[今後の予定] 開発した吸音材料は他のスピーカーにも採用され、販売予定である。また、本研究で得られた知見を活用し、EV車等の次世代自動車で要望される車内の音質改善、吸音・遮音材料の製品開発を支援していく。
(工業技術研究所照明音響科 TEL:054-221-3027)

製品化したスピーカー
○新興細菌 Escherichia albertii の検査法の開発と汚染実態調査

[背景] 2003年に新たな食中毒起因菌として報告された新興細菌 Escherichia albertii については不明な点が多く、標準的な検査法が確立されていない。2016年には静岡県においても本菌による集団食中毒が発生したが、その感染源、感染経路は不明であり、感染防止対策を立てるに至っていない。
[特徴] 本菌の標準的な検査法の確立を目的に、当所で分離した菌株の特徴や過去の報告に基づいて遺伝子スクリーニング法を用いた菌分離方法を開発した。次に、本菌の人への感染源や感染経路を明らかにするため、過去に国内外で分離された報告のある食鳥や豚について、今回検討した遺伝子スクリーニング法を用いて保菌調査を行った。その結果、県内で処理された豚の糞便から本菌が分離され、食肉等を介して人に感染する可能性が明らかになった。
[今後の予定] 本研究で開発した菌の分離方法について、国立感染症研究所等との共同研究でさらに検討を加え、より効率的な検査方法を確立する。共同研究により確立された検査法を用いて県内における人への感染源、感染経路の究明を行い、本菌による食中毒の防止に役立てる。
(環境衛生科学研究所微生物部細菌班 
TEL:054-245-0291)

DHL培地上のE.albertii
(白色のコロニー)
○産地判別技術の開発により農産物のふじのくにブランドを守る

[背景] 農産物の地域ブランド化の推進や輸出拡大、食の安心・安全を確保する上で、産地偽装対策は不可欠であり、県産品の効率的な産地判別手法の確立は重要な課題である。
[特徴] 本県の特産品であるワサビについて、地質に多く含まれ、地域によって特徴的な値をもつストロンチウム安定同位体比(Sr同位体比)を用いた産地判別技術の有用性を確認するとともに、水稲や淡水魚などの産地判別にも適用できるような県内水系Sr同位体比データベースを作成した。また、バレイショについても、県内産地によるSr同位体比の違いを確認できたことで、畑作物への展開も期待できる。
[今後の予定] 本研究成果を検査機関と共有し、産地偽装対策に利用するとともに、本産地判別技術情報を広く公開して偽装の未然防止を図ることで、県産農産物に対する安心と信頼を確保し、販路拡大に貢献する。
(環境衛生科学研究所環境科学部環境科学班 
TEL:054-245-0202)

主要産地におけるワサビと
水のSr同位体比の関係


提供日 2019年7月31日
担 当 経済産業部 産業革新局産業イノベーション推進課
連絡先 研究調整班 TEL 054-221-3519

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