小説 | 応募数は19編ですが、読み応えのある作品が多かったです。入賞作品と入選作品の決定、選外でもこれはと迷う作品などあり、審査では紆余曲折がありました。書く対象も多義に渡り、物事の捉え方に色々な視点や趣向が見られ、審査の勉強になりました。そんな中、経験に裏付けられ実感の籠もった作品はやはり好感が持てました。(杉山 禎男) |
戯曲・
シナリオ | 応募数が11と久々に二桁に届き喜ばしい。内訳は戯曲6、シナリオ5と拮抗した。今回の傾向は、作品への思いが、比較的空回りせず、成果に結びつける技術の伴ったものが多かった。レベルの高い激戦の末、静岡に根づいた、安定感のある映像シナリオが一番に、それに続く三作はピチピチ新鮮な戯曲2、シナリオ1作品となった。(松本 俊一) |
児童文学 | 児童文学部門の応募総数は7作品で例年よりも少なかったです。けれど応募総数は少なかったですが読み応えのある作品が多かったです。今回の応募作品を読んで児童文学に希望を持ちました。文学が衰退する時代にあって児童文学の火が掲げられていたからです。来年も子供の心に読み継がれる作品が寄せられることを期待しています。(土屋 智宏) |
評論 | 今年の応募は五編で、内一編は短文形式、一編が三十枚、三編が四十枚の力作でした。四編は、山田方谷、松尾芭蕉、夏目漱石、梅原猛に関するもので、いずれも膨大な文献を読み込んでいることが感じられました。ただ過去に論評が尽くされた人物や作品を対象とした場合、自説がこれまでの説の中でどういう位置にあるのか、明確に表現していく必要があると感じました。(小長谷建夫) |
随筆 | 応募は昨年より減じて20編でしたが、地に足のついた実体験を綴る力作ぞろい。「若き日を振り返る」「身近な人とのふれあい、別れ」や「先の大戦を思う」など貴重な人生物語でありました。令和の幕あけに当たり、次世代へも向け熱い思いを伝える独自性と普遍性に注目した選考です。来年はさらに多くの作品を期待いたします。 (柴田 真利子) |
散文種目
総合審査 | 若者の頃の海外での冒険、西洋の文芸と対照させた芭蕉論、異国で働く父親に対する兄弟の思い、戦中・戦後をしっかりと生きた姉妹、跡取りのない町工場を巡る夫婦の葛藤など、時代を背負った人々の営みを、世界にも目を向けながら描く作品が集まった。希望を失わないで生きることの大切さを感じた。(高名 康文) |
詩 | 一文字だって逃がさずに読んだ。ほとんどの投稿詩人が「詩とはなにか」を知っていることに驚いた。プロット、ロジックをしっかり持っている人。レトリックを使いこなす巧みさを持つ人……。いっぽうで、いままで試みたことがない実験や、詩なんてわかんないけど書きなぐってみた、という荒々しいものもほしいなと思った。 (秋 亜綺羅) |
短歌 | 応募者数は78名。昨年度の85名と比較するとやや減である。五首一組での出詠は全くの初心者にはいささかハードルが高いが、その分粒の揃った、読ませる作品が多い。特に本年度は「職業詠」とも呼ぶべき永年従事なさった作者自身のリアルな生業を一連にまとめた手堅い佳作が複数見受けられた。「牛飼いの歌」は健在だ。 (清水 正人) |
俳句 | 静岡県芸術祭俳句部門は五句一組を一篇として評価します。一句だけの評価とは違ったストーリー性を描き出すことができ、どのように山谷をつくるか。今年の応募者の方々の中には、そうした配慮をされた句が多数あり、地元の行事、旅吟なども、それと判る、場所の想像がつく佳吟があり楽しく拝見させていただきました。 (間島 あきら) |
川柳 | 6月16日行われた全日本川柳浜松大会には事前投句で1,729名、当日には626名の参加があり、県内からも多くの方々が入選した。その余韻を受けてか、今年度の参加者は1.5倍になり、選者は気を引き締めて選に当った。どの句にも作者の思いが込められ、光るものがあった。切磋琢磨して、互いが成長できることを願っている。 (金原 光江) |