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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

宮城 也寸志 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/26/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 説明責任
 (2) 富士山静岡空港西側エリアの将来展望
2 地域外交について
 (1) リオデジャネイロオリンピック視察の成果
 (2) 台湾及びモンゴル訪問の成果
3 グローバル人材の育成について
4 若者に対する消費者教育について
5 地方創生について
 (1) 交付金の活用
 (2) 市町連携の取り組み
 (3) 持続可能な観光誘客
6 大規模地震対策特別措置法に基づく防災対応の見直しについて
7 児童虐待への対応について
8 健康寿命日本一の延伸について
9 農業分野の強化について
 (1) 就農者の確保
 (2) 樹園地における農地集積
 (3) 農業農村整備の推進
 (4) 研究開発の取り組み
10 県警察の運営に対する警察本部長の所信について
  


○出 席 議 員(六十九名)

○欠 席 議 員(な  し)

○議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百八号から第百三十三号まで及び平成二十七年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題といたします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十六番 宮城也寸志君。
       (四十六番 宮城也寸志君登壇 拍手)
○四十六番(宮城也寸志君) 皆さん、おはようございます。前置きは省いて、早速行きたいと思います。
 私は、自民改革会議を代表して当面する県の諸課題に対し知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねいたします。
 まず初めに、知事の政治姿勢のうち、説明責任について伺います。
 知事の二期目の任期も残すところ一年を切りました。知事就任後の七年余りを振り返ってみますと、知事の唐突とも言える言動によりさまざまなことが話題になりました。
 一期目は、沼津駅鉄道高架事業における問題、そして日本航空福岡線の空港搭乗率保証支援金の問題。二期目に入りましても変わらず、県都構想や御幸通り、桜ヶ丘病院の移転先などに関する知事の一連の発言により静岡市長との間に修復しがたい確執を生んでしまいました。また七月に福岡県で開催された南海トラフ地震による超広域災害への備えを強力に進める九県知事会議において、突如航空自衛隊静浜基地を富士山静岡空港へ移転させるべきと発言し、地元の島田市、牧之原市、吉田町から発言について説明を求める申し入れがあり、静浜基地があります焼津市からも地元への配慮を欠いているなどの声がありました。また九月に入りましても静岡県医療健康産業研究開発センターの開所式の挨拶では沼津市内に三万人収容のサッカー場の建設の話をされるなど、知事の発言により波紋を呼んだ事例がこれまで数多く見られます。
 知事が、県民のためさまざまな政策を提言することは大変よいことですが、十分な事前調整を踏まえない唐突な発言やアイデアレベルだけでの発言は関係者の動揺や混乱を招くだけでなく関係者の態度を硬化させ、信頼を揺るがせ、かえって政策の実現が困難になることが懸念されます。
 知事は、過去に我が会派からの質問に対して和を重んじる生き方を精進して誓っている、闊達な議論を通じて常に県民にとって最善の結論を導き出すということを目標にすることが大切であると述べていますが、これまでの知事の言動に端を発するさまざまな衝突やあつれきは信頼関係という意味を含めての和を重んじるとの姿勢に反していないでしょうか。
 また、静岡市長との関係に象徴されるトップ同士の不和は、県民にとっては心配の種であり県民が望む最善の姿とは言えないのではないでしょうか。
 私は、このような事態をたびたび招くことになった要因の一つは知事の説明責任の不足にあるのではないかと考えます。知事の発言はとても重いものです。県民に不安や動揺を与えることに謹んで対応しなければならないと考えます。
 そこで、知事は自分の思い描く政策実現のための県民への説明についてどのように考えているのか伺います。
 次に、富士山静岡空港西側エリアの将来展望について伺います。
 先ほども申しましたが、この夏富士山静岡空港が注目を集めたことといえば知事の航空自衛隊静浜基地の富士山静岡空港への移転発言と言えるのではないでしょうか。これは県議会も地元も寝耳に水の状態でありました。県議会においても議論に議論を重ねて誕生した富士山静岡空港でありますが、何といいましても地元の協力なくして誕生しなかったわけであります。日ごろから現場主義を標榜する知事の発言で地元からあのような反応が出ることは皮肉なことであります。
 また、先日もブラジルの航空技術大学と県内二大学の交流に関する覚書等を県の仲介で交わし、これを契機にターミナル地区西側用地を念頭に航空博物館を整備するとの構想も改めて示されております。このように大規模な施設整備を行う場合、県民のニーズや施設の採算性などを踏まえ、あらかじめ整備の全体像、デザインを描き県民と合意を図るべきであります。
 一方、弾力的であることも必要であり、整備に長期間を要するような場合については環境の変化により当初想定していたものからは多少変化していくこともたびたびあります。
 富士山静岡空港についても中国人観光客を初めとしたインバウンド需要の変化、防災機能の充実の必要性など環境の変化は生じております。今、県議会に提案されている旅客ターミナルビルの増築、改修に関する契約議案も先導的空港経営検討会議の答申を受け県が取り組み方針を示したものであり、理解はできます。ただ現在議論されているターミナル地区周辺については五月雨式にいろいろな話題が浮上しますがその都度聞かされるだけであり、県民と共有することは難しいのではないでしょうか。県民に場当たり的、思いつきと思われないよう空港西側エリアの将来展望を全体の絵姿として示すべきと考えます。
 そこで、知事の考える富士山静岡空港西側エリアの将来の姿、展望とはどのようなものかを伺います。
 次に、地域外交についてのうち、リオデジャネイロオリンピック視察の成果について伺います。
 この夏最大のイベントといえば、間違いなくリオデジャネイロオリンピックが挙げられます。日本選手団は史上最多四十一のメダルを獲得。また本県出身選手の活躍など明るいニュースが届けられました。
 そして、閉会式では次回東京大会をPRするセレモニーとして日本の伝統芸能、伝統文化、海外でも人気の日本のアニメやゲームなどたくさんのパフォーマンスが展開されました。これは私が白黒テレビで見た東京オリンピックが五十六年ぶりに開催されることを実感したときであり、スポーツを通じた感動のドラマが我が国で繰り広げられることを思うと今から楽しみです。
 東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技は、伊豆市のサイクルスポーツセンターで開催されます。開催県としては成功に向け県民一丸となって万全を期さなければならないところであります。またオリンピックの事前キャンプ誘致につきましてもスポーツを通じた交流拡大を図るためしっかりと進めていく必要があると考えております。こうした中、県ではリオデジャネイロに出向きオリンピック会場及びその周辺地域を視察するとともに、事前キャンプ誘致に向けた活動を行ったと聞いております。
 そもそも、リオデジャネイロオリンピックは開幕直前はジカ熱、治安、選手村の不備等さまざまな課題も報道され運営が不安視されていた大会であります。閉幕した今、その不安は結局どうであったのか、ときには模範として、また教訓として本県開催につなげる必要があると考えます。その意味で、この視察はトップである知事がこうした大事な機会にもかかわらず視察を取りやめた点のみが理解できないことでありますが、今後の方針を立てる上で意義ある視察であったのではないでしょうか。
 そこで、職員が持ち帰った視察の成果と、本県でも開催される来る東京オリンピック・パラリンピックに向けてどのように対応していくのか伺います。
 次に、台湾及びモンゴル訪問の成果について伺います。
 知事は、ブラジルには行かなかったもののこの八月四日から九日までの五泊六日の行程でモンゴルに、二十六日から三十日までの四泊五日の行程で台湾に海外出張をしています。それぞれの出張の目的として、モンゴルにつきましては昨年モンゴル国教育・文化・科学・スポーツ省と交わした教育分野等の協力に関する覚書調印の一周年を記念して経済団や高校生交流団などとともに訪問し、台湾につきましては県及び天竜浜名湖鉄道と台湾鉄路管理局との間で進める鉄道交流に関する協定締結や新たな台湾政府関係者との関係構築などのために訪問したとされています。
 このモンゴルと台湾訪問につきましては、知事はその宿泊費が全て条例で規定される金額におさまったとの報告をされています。しかし私は、知事の海外出張につきましてはその出張の宿泊金額が条例の規定金額以内におさまるかとかおさまらないということが重要ではなく、知事自身が出張に行くべき必要があったのかなかったのかが問題であると考えます。そういう意味では今回知事はブラジルに行く必要はなかったがモンゴルと台湾に行く必要があったと判断されたのだと思います。
 そこで、今回モンゴルと台湾への訪問について、知事みずからが訪問されたからこそのメリットや成果についてどのように考えているのか伺います。
 次に、グローバル人材の育成について伺います。
 社会経済のグローバル化が加速する中で、日本の若者の海外志向を見ると大学の留学生の数はアジア諸国に比べて低く就職しても海外勤務を敬遠するなど若者は内向き志向になっています。この状況では教育界としてはグローバルな人材を供給してほしいとの企業の要請に応じていけるのかと心配しています。
 こうした中、ことしの二月に策定されたふじのくに「有徳の人」づくり大綱においては、重点取り組み方針に教職員及び高校生の国際化の推進が掲げられ、静岡県の高校生の海外渡航を促進するとの方針が示されました。そしてことし三月には昨年度九月補正予算で事業化された高校生海外インターンシップ事業が初めて実施され、中国、台湾、シンガポール、タイの海外四コースに実学系の高校の三十七名が参加し県内企業の海外事業所を訪問したとのことです。参加した生徒は大切な経験を積み、他の高校生の刺激にもつながる成果があったと聞いています。
 さらに、こうした動きを加速するために二月県議会ではグローバル人材育成基金が設立され、民間からも資金を集めて海外渡航促進のための支援が始まったところです。他県にはない先進的な取り組みであり、高校生のうちから海外に触れることができれば若者の内向き志向の改善に大きな効果があると考えます。
 そこで、今年度このグローバル人材育成基金を活用した事業についてどのように進めていくか、今後どのように展開していくかを伺います。
 次に、若者に対する消費者教育について伺います。
 平成十九年にスマートフォンが登場しそれまで持ち運びに不便であったパソコンと同等の機能がスマートフォンに搭載され、各種のアプリケーションを活用することで利便性が飛躍的に向上しました。その結果ネットショッピングやオンラインゲーム等の市場も年々拡大しております。こうしたスマートフォンの普及を背景とした消費者トラブルが全国的に増加しています。
 県に寄せられた平成二十七年度の消費生活相談においても、SNSの利用に起因した相談は前年の二倍以上と急激に伸びております。そのうち約六割が二十代、三十代の若者が契約当事者であり、具体的にはSNSからアダルト情報サイトにつながってしまったとかSNSで知り合いになった人からマルチ取引の勧誘を受けたといった内容であったと聞いております。
 パソコンや携帯電話が身近にあるという環境に育った若者は、それらを抵抗なく使ってはいるものの契約などの基本的な知識が乏しく消費者トラブルに巻き込まれることが多いのではないかと思われます。年金機構の個人情報流出など社会的な話題やマイナンバーや電力自由化など新しい制度に便乗した悪質商法は後を絶たず、最近若者の間で爆発的なブームとなっているポケモンGOなども今後消費者トラブルに発展する可能性があると考えられます。
 こうした現状を踏まえると、二十代、三十代の若者に対し消費者として知っておくべき知識を正しく伝えることが必要と考えますが、県の取り組みについて伺います。
 次に、地方創生についてのうち、交付金の活用について伺います。
 地方創生に向けて平成二十六年十二月にまち・ひと・しごと創生法が制定され、国を挙げて取り組んでいることは皆様御存じのとおりであります。本県では、昨年美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョンと総合戦略を策定し本格的な実行段階となる本年度は人口減少の克服に向けたさまざまな取り組みを進めているところではありますが、先日発表された九月一日現在の本県の推計人口は前月比四百四十四人減の三百六十八万八千四百三十四人であり依然として人口減少には歯どめはかかっておりません。
 本県経済は、リーマンショック後持ち直してはいるものの他県と比べるとその回復の足取りはやや重いものとなっております。
 さきの六月県議会において、地域経済の活性化や雇用機会の創出を図るため東京二十三区から県内に本社機能を移転する企業に対する県税の特例制度を導入することとしました。昨年の首都圏への企業の転入が過去最多であったという記事から見ても東京一極集中の是正は非常に難しい道のりであると思われますが、ぜひともこうした制度によって首都圏に本社がある企業の本県への移転を期待しているところであります。
 また、一昨年国は地方創生交付金の制度を創設し地方の先駆的な取り組みや自治体間での連携した取り組みを促しており、本県もこの交付金を活用した事業を実施しているところではありますが、成果が出るのはこれからという面はあることは承知しておりますが、その結果は先ほどの推計人口の推移から見ても全く見えておりません。
 そこで、県では地方創生交付金を活用してこれまでの間どのような取り組みを実施してきているのか、また他県と同じような取り組みに終始し独自性がないなど反省すべき点はなかったのか所見を伺います。
 次に、市町連携の取り組みについて伺います。
 県は、長期人口ビジョンと地方版総合戦略の中で若い世代の子供を二人以上持ちたいとする希望をかなえることや東京圏への一極集中に歯どめをかけること、日本一安全・安心な県土を築き県民の不安を払拭することを目指すべき将来の方向として定め、これらの実現に向けて、安全・安心、仕事、暮らし、子育て、地域づくりの五つの戦略として具体的な取り組みを実施しています。
 また、本年三月までに県内全ての市町が地方版総合戦略を策定しました。地域にまだ元気があるうちに地方創生の取り組みが進むことを期待しているところです。今後各市町でそれぞれの地理的条件、主要産業など地域の実情に応じた具体的な施策を盛り込んだ独自の地方版総合戦略を主体的に実行に移していくものと思いますが、ややもすれば自分のところをよくしたいという意識が強くなり、自己完結型の施策にとどまってしまうのではないかと危惧しております。
 地方創生を着実に推進するためには、基礎的自治体である市町が主体となってみずからの将来を考え施策を実施することが第一であると考えます。一方で市町が広域的な視点を持って連携して人口減少対策に取り組むことも重要であり、県には市町間の連携を促すためにリーダーシップを発揮することを期待しているところです。
 そこで、地方創生の実現に向けて県はどのように市町間の連携を支援していくのか所見を伺います。
 次に、持続可能な観光誘客について伺います。
 我が国の今年七月の延べ宿泊者数速報値では、前年同月比二・二%増となる四千五百七十九万人で七月としては調査開始以来の最高値でありました。うち外国人の延べ宿泊者数は前年同月比一三・二%増となる七百二十六万人でありましたが、日本人宿泊者につきましても前年同月比〇・四%と微増ではありますが堅調に推移しております。
 そして、来年に入りますと本県観光にとって大きな追い風が吹くこととなります。NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の放映が決定しており、過去の放映からその地域への経済効果を見れば国内の誘客を牽引する姿は容易に想像できるわけです。
 井伊直虎の命日に当たる八月二十六日には直虎を演じる女優柴崎コウさんが墓参りし、収録に向けての意気込みを語っていただきました。またゆかりある地域においても直虎が取り上げられたことを契機に各方面で交流人口の拡大を目指した取り組みが始まろうとしており、直虎を活用した周遊ルートの開発、旅行商品の計画を進めることも伺っております。他力本願とはいえ千載一遇のチャンスでもあり、放映直後には本県への誘客が進むよう今から万全の準備を進めこのチャンスを確実に捉えていただきたいものであります。
 しかしながら、直虎だけに頼るのはどうかと思うところもあります。直虎による経済効果は果たしていつまで続くのかという不安も残ります。大事なことは直虎効果で本県を訪れる観光客を県内各地の多彩で豊富な地域資源を知っていただき、リピーターの獲得につなげていくことではないでしょうか。観光客が直虎ゆかりの地を周遊することにとどまらず県内各地隅々まで訪れてもらう工夫が必要であると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、大規模地震対策特別措置法に基づく防災対応の見直しについて伺います。
 国は、昭和五十三年に制定した大規模地震対策特別措置法いわゆる大震法に基づく防災対策の見直しについて検討を行うワーキンググループを設置し、今月九日第一回の会合を開催され、これに本県も参画したとの報道がありました。
 大震法は、地震の予知を前提に地震防災対策強化地域の指定や地震観測体制の強化、警戒宣言を発令する仕組みなどを定めた特別措置法であり、昭和五十年代初頭から東海地震対策を進めてきた本県にとって地震対策の根幹をなす重要な法律の一つであります。今回の大震法に基づく防災対応の見直しの背景は、これまで割れ残りと見られていた東海地震が単独で発生するのではなく東南海、南海を合わせた三つの地震が連動して南海トラフ地震が起きる可能性が高まったとする見方や予知そのものの実現性に関する見方の変化などを受けたものと聞いております。
 今後開催される国のワーキンググループでは、現状で精度の高い地震発生予測の可能性はあるのか、東海地震の影響地域に限定されている地震防災対策強化地域の枠組みを南海トラフ全域に拡大すべきではないのか、地震発生予測の不確実性も考慮してどのような緊急防災対応を実施するのが適切なのかなどが議論の焦点になるのではないかと見られています。
 とりわけ本県は、東海地震が予知されることも前提の一つとして防災対策を積み重ねてきたところでもあり、予知に関する議論の推移によっては国の施策や本県の地震対策へ相当な影響が及ぶことも考えられます。
 初回の会合においては論点の整理や今後の進め方が主題であったようでありますが、今後この大震法の見直しに関し本県としてどのような意見を述べどのような姿を求めていくのか所見を伺います。
 次に、児童虐待への対応についてであります。
 十万三千二百六十件。これは八月四日に公表された平成二十七年度に全国の児童相談所が受けた児童虐待相談対応件数です。平成二十六年度との比較で一万四千三百二十九件、一六・一%増加し過去最多を更新したとのことです。本県においても政令市を含めた七つの児童相談所が過去最多となる二千二百五件の児童虐待相談を受けており、児童虐待は一向におさまる気配を見せておりません。
 このような中、児童虐待の発生予防から虐待を受けた児童の自立支援に至るまでの一連の対策の強化を図るため本年六月三日に児童福祉法等の一部を改正する法律が公布されました。今回の法改正では昭和二十二年の法制定以来初めて法の理念部分が改正されるなど重要で抜本的な改正であります。
 児童虐待問題は、国の近代化に伴う社会構造の急速な変化がもたらした家庭養育の問題であり、そうした子供を取り巻く環境の変化にようやく法律が追いついたものと言えます。これにより児童は適切な養育を受け、生活を保障され、健やかな成長や発達、自立等の福祉をひとしく保障されることが明確化されました。
 しかし、法律が改正されても、その理念を絵に描いた餅で終わらせてしまってはなりません。法改正の理念や各規定の内容が具体的な取り組みにいかに反映されるかが極めて重要になってきています。
 そこで、今回の法改正を踏まえ、県として児童虐待防止策の強化について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、健康寿命日本一の延伸について伺います。
 知事は、総合計画後期アクションプランの中で健康寿命日本一の延伸を重点取り組み事項としておられます。厚生労働省が公表した平成二十二年の都道府県別健康寿命のデータでは、静岡県は男性が二位、女性が一位、総合で一位でありましたが、昨年十二月に発表された平成二十五年のデータでは男性は三位、女性二位、総合では二位となり全国トップクラスを維持しており、本県の取り組みは順調とも言えます。
 一方、健康寿命と密接にかかわる本県の目標の中で必ずしも順調でないものもあります。昨年度の“ふじのくに”づくり白書を見ますとメタボリックシンドローム該当者及び予備群の推定値について、基準値の平成二十四年度四十三万四千五百十一人に対し平成二十九年度までに二五%の減少を目標としてありますが、現状では七%の減少にとどまっています。また第三次ふじのくに健康増進計画を見ますと特定健康診査受診率について当面の目標六〇%に対し現状では約五〇%となっております。
 健康寿命が高い水準にあることはよいことですが、こうした県が掲げる目標に対し実績が十分でない現状を鑑みますと、この先トップクラスを維持し続けられるのか不安が残ります。また市町の取り組みにも温度差があり、健康マイレージ事業を早くから実施するなど熱心に取り組む自治体も見られる一方で、健康づくりに対し必ずしも関心が高くない市町もあるように感じます。
 我々は、現在みんなで取り組む健康長寿条例を議員提案条例として検討を進めているところでありますが、健康で長生きすることは全ての県民が望むところであります。
 そこで、県は現状をどのように捉え、今後どのような施策を進めていくのか所見を伺います。
 次に、農業分野の強化についてのうち、就農者の確保について伺います。
 農林水産省の農業労働力に関する統計を見れば農業就業人口は、平成二十八年の概数値ではありますが初めて二百万人を割り込み百九十二万二千人となってしまいました。およそ四半世紀前である平成二年には四百八十万人を超えていたことを考えますと約四割程度に減少したことになります。
 こうした中で、国はTPPの発効を目指しており、農業分野においては海外から安い農産物が輸入され日本の農業は大きな打撃を受けるという懸念がなされています。またお米の消費の減少が続く中、需要に見合った生産数量とすべく平成三十年度からは生産者や集荷業者が主体となった新たな米の生産調整が実施されることとなっており、米生産農家ではその対応に不安を抱かざるを得ない状況になっております。
 このような生産現場の不安を払拭するかのように国は農業競争力の強化、攻めの農林水産業への転換を掲げ、農業の基盤強化を図るため担い手への農地の集積による大規模化、法人化などの施策を次々に打ち出してきております。
 しかし、これまで日本の農業を支えてきた農家は、その土地の風土、気候を熟知しそれに合った作物を選び地域ごとに産地を形成し農業経営を行ってきた方々であり、国の攻めの農業への転換はそういった篤農家の方々の農業離れを加速していくのではないかと心配の声もあります。
 そこで県は、今後の本県農業の担い手となる就農者の確保に向けどのように取り組んでいくのかを伺います。
 次に、樹園地における農地集積について伺います。
 平成二十六年に担い手への農地の集積・集約化による農業構造改革を目的に農地中間管理事業がスタートしました。農地中間管理事業の実績について全国的に見ますと、水田地帯の県では実績が上がっております一方で樹園地が多い本県では事業の活用が進んでいないのが実情であります。本県も茶やミカンなどの樹園地が耕作面積の四〇%強を占めており、この二年間における茶と果樹の借り受け面積は七十四ヘクタールで全借り受け面積の一五%にとどまっております。
 このような問題がある中で、樹園地での集積・集約化を進めるためには担い手の育成や改植、茶工場の再編などを一体的に推進することが重要であり、そのためには樹園地対策のワンストップ窓口を整備するなど農地中間管理事業の推進体制を強化し、市町やJAも巻き込み関係者一丸となって取り組む必要があるのではないかと考えております。
 そこで、全国に誇る茶とミカンの生産力を維持し次世代に継承していくためには、県は難しいとされている樹園地の集積に向けて農地中間管理事業をどのように活用していくのか伺います。
 次に、農業農村整備の推進について伺います。
 農業競争力を強化していくためには担い手農家への農地利用集積の推進が不可欠であります。本県の担い手への農地集積率は約四割となっているところでありますが、私の住む菊川市の池村地区においては農地集積率が地域の八割を超えるまでに拡大し大規模経営が実現しています。これは水田を一ヘクタールの大区画に改良したことによるものであり、今後ともこのような基盤整備を積極的に推進していくことが必要であると考えます。さらにこの取り組みにあわせて収益力の向上を図る基盤整備も必要と考えます。
 一方では、農地の集積の拡大に伴い少数の担い手と農地の出し手である兼業農家や土地持ち非農家への二極分化が進行しており、農村コミュニティーをもととした共同作業として長年行われてきた地域の草刈りや農業用水施設の維持管理等に支障が生じてくることが懸念されるところであります。
 こうした中、国は先ごろ新たな土地改良長期計画を策定し閣議決定いたしました。この計画では担い手の体質強化等による豊かで競争力ある農業、農村協働力と美しい農村との再生、創造等による美しく活力ある農村の実現を重要な政策課題として位置づけております。このような状況を踏まえ、私は競争力の強化とコミュニティーの維持を両立した農業・農村の実現に取り組んでいくことが重要と考えます。
 こうした取り組みを支援するため、県はどのように農業農村整備を推進していくのか、今後の方針について伺います。
 次に、研究開発の取り組みについて伺います。
 本県は、お茶、ミカンのほかイチゴ、メロン、ワサビなど日本を代表する産地を形成しています。最近ではガーベラ、キウイフルーツなど各地域に適した農産物や農産物加工食品の開発も進んでおり、新品種による生産性の向上や新たな需要拡大は農業の維持発展のためにはとても重要です。また本県の農産物は品質のよさも全国で高い評価を受けており、高品質な作物をつくるために産地は常に努力をしています。
 しかしながら、TPPの合意署名を受け農業も成長産業となるべく大きな変化を求められており、農産物の販売は国内市場にとどまらず海外市場へ新しい販路を開拓していくことが喫緊の課題です。幸い海外でも日本の農産物の品質の高さは認められており、県では富裕層がふえるアジアを主なターゲットとして高品質な県内農産物の輸出を始めたところです。
 また、県の経済産業ビジョンにおいては新品種の開発に重点的に取り組むとしております。農林技術研究所では新たな品種の育成、新技術の開発、農業技術の指導に積極的に取り組んでいることは承知しておりますが、以前に比べ予算や人員が減っているように思われます。本県農業にとっては今が正念場と言われ、他県におくれをとらぬよう県としても海外に向けて新品種の開発や生産性の向上にもこれまで以上に力を注いでいただきたいと思います。本県のオリジナル品種が世界に通じるブランドとして価値を高めていくことができれば、本県農業が成長産業として認められていくことになります。
 農林技術研究所では、海外に通じる新品種の開発や輸出拡大に向けた新たな技術開発にどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 終わりに、県警察の運営に対する警察本部長の所信について伺います。
 筋本部長におかれましては、八月十日付で警視庁総務部長から本県警察の本部長として着任されました。本部長は主に警備部門を歴任され、また大使館等海外における豊富な勤務経験を有するなど危機管理のエキスパートとして、また本部長としては香川県警察の総指揮官として多岐にわたり御活躍されてきたものと聞いており、その手腕に大きく期待しているところであります。
 さて、本県の治安情勢でありますが、刑法犯認知件数はピークであった平成十四年から十三年連続で減少し治安は着実に回復基調を示す一方、高齢者が現金をだまし取られる特殊詐欺事件が本年に入り急増しているほか、殺人等の重要犯罪さらには山口組分裂に伴う抗争事件の発生などが安全・安心への大きな障壁として浮上しています。
 また、交通事故に目を向けますと、昨年は一昨年に比べ発生件数や負傷者数こそ減少しておりますが死者数は残念ながら増加に転じたところであります。これは全死者数の約六割を高齢者が占めるものであり、今後も一層加速をしていくことになる高齢者への対策は喫緊の課題ではないでしょうか。
 また、とりわけ本県では大規模地震等への懸念、さらにはラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック等の国際イベントが控えていることからも大規模災害への対策や国際テロへの対策は極めて重要な課題であると考えます。
 こうした現状を踏まえ、県警察をどのように運営し本県の安全・安心を確保していくのか、警察本部長に所信を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) おはようございます。本日は九月議会の代表質問の初日に当たりますが、傍聴席に初めて高等学校の諸君が詰めかけております。菊川南陵高等学校の三年生の諸君、よくお越しいただきました。総合学習の一環ということで大変立派な御決断を先生がされたと存じます。私学ならではのことではないかと存じますが、これは宮城議員の呼びかけに応じたものということで宮城先生にも御礼を申し上げます。ありがとうございました。こうしたやりとりは前もって宮城先生からの質問全文が県行政部のほうに届けられまして、これを熟読いたしまして、私、また部局長が御答弁を申し上げると、そういう形式でございます。
 さて、宮城議員にお答えいたします。
 まず、私の政治姿勢についてのうち、説明責任についてであります。
 私は、知事就任以来、現場に赴き現場から学び現場に即した政策を立てる現場主義を基本としてまいりました。当初宮城先生から寄せられましたこの質問の中に知事一期目は県民の皆様からは県民の声を聞いてくれる現場主義と評価が高くとありますが、先ほどの御質問ではこれが省かれておりますが、どのような圧力がかかったのか大変関心のあるところでございますが、いずれにいたしましてもこれは単なる標語ではありませんで平成二十一年四月に就任いたしまして以来、平成二十一年度では県下の各地域に、現場に赴くこと百九十六回、その次は三百三十九回、二百九十三回、二百九十四回と、合計四年間で一千百二十二回現場に足を運んでおります。
 この姿勢は二期目も変わっておりませんで、今三年余たちましたけれども既に三年とこの五カ月で九百五十五回現場に足を運んでいるところであります。したがって今年度が終わり、また私の任期が四年目尽きる七月まで恐らく二千回を優に超える、既に二千七十七回、八月までに現場に足を運んでおりますけれどもこれに加えまして知事広聴を過去四十七回、また移動知事室を二十回開いておりまして、これらを通しまして県民の皆様と直接意見交換を行い県政における重要な政策ヒントをいただくとともに、その結果の全てを県庁各部局にフィードバックし全庁を挙げて県民本位の政策を練り上げてきたところであります。
 しかし、それらのうち幾つかが唐突ともとられ、また物議を醸す話題というふうに形容されましたが、一つ一つ申し上げますといわゆるファルマバレーセンターの開所式が九月の初めにありました。宮城先生は御出席されたのでしょうか。その席にサンフロントという東部の発展を図る代表者が祝辞を述べたのを御存じかと存じます。沼津の問題は御案内のようにもう数十年にわたり貨物駅の原町への移転ということがあります。その移転につきましてほぼ関係者の御理解を得られまして、そうしました中でその現行の貨物駅の跡地利用については既に数年間議論をしておりまして、そしてこのサンフロントのトップ、また沼津市長、それから沼津商工会議所の会頭などこの跡地利用につきましてサッカーについて既にサッカー場としての青写真も皆様がお描きになっておられます。ただし沼津市民は二十万人近くいらっしゃいますのでその全員の方が知られてないかもしれませんけれども、その市の代表の方々は既に御存じのことで決して唐突ではありません。
 それから、空港における静浜基地との連携にかかわる、私が全国知事会においてその南海トラフにかかわる九県の知事さんの集まった中での発言がございました。この静浜基地とそれから空港との関係におきましては平成二十三年三月十一日の東日本大震災の後、自衛隊であるとか米軍であるとかさまざまな方が救援にお越しになります。そのような救援を受ける受援基地が必要で、そのために東海地域には基幹的広域防災拠点というものがありませんので、そこを基幹的広域防災拠点にするように国に訴えかけ、最終的には大規模な広域防災拠点になったところであります。したがってそこには自衛隊、米軍等が来ます。そして空からの支援でございますから当然航空の管制というものに従わねばなりません。
 私は、静浜空港の司令にお願いをいたしまして、そこに練習機が二十機ございますがその一つに試乗いたしました。そして一旦空港に着陸し、そこから離陸をして、そして御前崎の浜岡原発の上を通過し、そして基地に戻ったわけでございますが、そのときにすぐに気づくことがあります。実は管制が違うんです。二つの管制が同時に働いております。一つは国交省の管理、もう一つは浜松の空自――航空自衛隊からの管制であります。この二つの管制が狭い地域で分かれているというのはいざというときには大変問題になっておりまして、昨年暮れに急逝されました君塚元幕僚長――この方はうちの補佐官でございましたが――これを何とかしなければならないということでございました。これはまさに静浜とこの飛行場との関係ということでございますのでこの連携を図らねばなりません。しかしながら御案内のようにこの九月の総合防災訓練におきましても静浜からは一機上空を通過しただけに終わっておりまして、まだ十分に連携ができていない。その連携が必要であるという問題提起をしたものでありますが、これも決して唐突に出てきたものではありません。
 あとは静岡市にかかわることを掲げられました。桜ヶ丘病院の移転先についてでありますが、ことし三月の静岡の市議会におきまして、それこそ突然これを清水庁舎に移転をするという発言がございました。これは寝耳に水であったのは恐らく宮城先生にとっても同じだと思います。県の全ての職員にとってもそうでした。そして地元の人にとってもそうであったようであります。その結果桜ヶ丘病院の位置する岡地域の人たちがその物議を醸されまして静岡市長との面談を求められましたけれどもそれが実現しておりません。その結果市長に対する不信感、失望さらにはリコールをするとまで、あるいは裁判を起こすとまで厳しい物議が起こっているのはこれはどういう理由か。さらにまたその岡地区の人たちが静岡市に本来行くべきところをなぜ県知事室にまで来られたのでしょうか。これは現場のことをよく知っているという御認識が関係者の中にあるからだというふうに存じます。
 それから、御幸通りでありますがこれは井川湖御幸線というふうに言います。これは県道井川湖御幸線と言いますので政令市になるまでは県が管理しておりました。しかしながら御案内のように井川地区まで行かれますと、今、井川地区には六百人にも満たない人しかいません。ところがこの井川線に通ずる脇道が寸断されているのは御存じでしょうか。あるいはその大井川鉄道の千頭駅からこの井川の終点に至るまでこの線路が動いていないのを御存じでしょうか。あるいは井川駅から道路に出る橋が流されたまま放置されているのは御存じでしょうか。どのようにして救急車がそこに助けに行くんですか。それが放置されております。
 そのうち、せめて県庁の職員も来るこの御幸通りのこのおよそ八百メートルにも満たないところについては一緒にやりませんかと。特に文化の都市をつくりたいというのであれば、また徳川家康公薨去四百年にかかわる形で徳川時代を連想するようなまちづくりをしたいとおっしゃるので言ったところ、それはやりたいと。しかしながらここは市の管轄ですから口出すなということ。こういう状態が起こっているのが御幸通りについてであります。ですからこれは井川御幸通りをどのように――これは幹線でございますから――整備するかということとのかかわりで出てきた問題で決して唐突ではありません。
 それから、県都構想を言われました。この県都構想は大阪都構想という、もと大阪府知事また大阪市長であった橋下さんが提起せられたもので、これは国民的な議論を巻き起こしたものであります。そうした中で、政令指定都市の中に特別区を設ける。東京二十三区のような特別区を設ける。一方市長さんは浜松市も静岡市長さんも特別自治市を設けると。これは政令指定都市全体の決議事項でもあります。ですからこれについて話をしましょうというのが県都構想についての問題提起でありまして、これも決して突然のものではなく、当然そういうことについては二重行政を解消するために特別自治市の問題を今提起されておられるのであり、私どもはそれを解消するもう一つの方法として県都構想を提起しておりますので、これは法律上も調整会議を開催して市長と私とが膝を突き合わせて話をしなくてはならないことなわけですね。それができないのはどういう理由によるんでしょうか。住民から逃げていて、かつ市長は県知事から逃げているという、そういう御批判を持たざるを得ないとも思っております。
 以上、このように今唐突で物議を醸していると言われたことにつきましてはちゃんと背景がございます。そしてそれを御存じの先生ももちろんここにいらっしゃるのです。県議七十名近くいらっしゃいますけれどもそれぞれの地元については通暁されていると存じますが、それぞれの地元にかかわることを他の県議の方々が必ずしも共有されていない場合があります。そうした場合に知らなかったことを初めて聞いたかのごとき印象を持たれるのもやむを得ないと思いますけれどもちょっと調べていただきますとそのように十分に背景があり、現場主義に立脚したものであるということがおわかりになると思います。
 それから、和をもってとうとしとなすというのはこれは極めて重要なことです。と同時にこれは一足す一は二という、その二つのことを平均するのではありません。和というのは足し算です。一足す二の和は三といいます。あるいは音楽で和声というのがあります。ドミソというのを一緒に鳴らしますと一つの音に聞こえますが、よく耳を澄ませばドの音もミの音もソの音も聞くことができます。すなわちそれぞれを生かしつつ調和させるのが和であって決してなれ合いの平均主義ではないんです。そのような意味におきましてそれぞれの主張をしつついかにしてそれぞれを両立させていくかと、あるいは三者鼎立させていくかということが和をもってとうとしとなすということで、それを図るためには文字どおり万機公論に決すということがなければならないんですね。これはもう五箇条の御誓文の第一で人間宣言をされました天皇陛下が一九四六年一月一日に復唱せられた内容でもあります。これは官武一途庶民に至るまでそれぞれおのおの志を遂げるということが大事で、また盛んに経綸を行うべしと、いろいろと議論をし合うということが大事ですがそれから逃げていては決して和をもってとうとしとなすというそのような和を、大きな和をつくることができないということでございます。私はこうしたものについて常にオープンでありまして物議を醸すればそれを話せばよろしいと、万機公論に決すればよいと、こういう態度でございます。
 今後とも常に県民本位、和をもってとうとしとなすという姿勢を堅持しチームの総力を結集してふじのくにづくりの総仕上げに向けて邁進してまいりますので、県議会議員の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、富士山静岡空港西側エリアの将来展望についてであります。
 富士山静岡空港は今後の県勢発展に不可欠な社会資本です。首都圏空港の一翼を担う我が国のゲートウエーにふさわしいように、人々が集いにぎわう魅力あふれる空港としていかねばなりません。また大規模災害時に広域応援を行う防災拠点として整備を進めていかねばなりません。
 このために、空港の中枢的な役割を担う旅客ターミナルビルの増築、改修に現在取り組んでいるところであります。また空港西側の空間の有効活用を図るため本年三月に区域ごとの土地利用計画について広く情報を発信したところであります。
 さらに、さかのぼれば平成二十一年度におきまして、すなわち今から七年前におきまして空港ターミナルビルから原子力防災センターまでの七ヘクタールの区間を含む全体を空港ティーガーデンシティとして整備するということで県民の皆様、特に地域の人々とはさまざまな場面で意見を交換してまいりました。そのうちの一つが例えば石雲院のあの展望台もそうであります。決して一方的にしたのではなく、こちらが案を出しそれが蹴られ、そして議論を煮詰めて今のような形になったものであります。いろいろな案を出すのは我々の仕事であります。そしてそれを地元の人にもんでいただき、そして最終的な誰もが納得するものにしていくとこういう手法をとっているわけであります。
 さて、この区域に研究教育機能を備えた航空博物館を立地したいという御意向が静岡理工科大学からいただいております。将来的には今後成長が期待される航空関連産業の立地も視野に入れながら土地の利活用を計画的に進めていく必要があるというふうに考えています。
 また、原子力防災センターより西の約十六ヘクタールにつきましては災害時の大規模な広域防災拠点として国から御指定をいただいております。これまでに原子力防災センター――オフサイトセンターと災害時に部隊の活動拠点となる多目的用地の合計三ヘクタールの整備を完了させました。原子力防災センターは去る七月より浜岡原子力発電所のオフサイトセンター――もし事故があったときにはそこが現場指揮の拠点になります――として運用を開始しております。多目的用地は陸上自衛隊の補給拠点開設訓練会場として活用されております。これもひとえに大規模な広域防災拠点として国から指定を受けているからでございます。残りの十三ヘクタールにつきましては災害時に活用する警察、消防、自衛隊等の一時集結地や活動拠点として活用できるように現在具体化に向けた協議を進めているところであります。
 県としましては、引き続き全体計画を広く情報発信するとともに、民間事業者の創意工夫を生かした各種施設の整備を促進し大規模災害時における広域防災拠点としての機能をあわせ持ち、人々が集いにぎわう空間を創出するべくスピード感を持って取り組んでまいります。
 次に、地域外交についてのうち、台湾及びモンゴル訪問の成果についてであります。
 海外との交流におきましては、責任ある立場のトップ同士が直接お互いの顔が見える関係をつくり上げ意思決定ができるそういう権限をいただいておりますから、その者同士が信頼をお互いに持つということが何より重要であります。それこそが相互に実のある交流を生み出すものであると確信しております。
 宮城先生は、今回川勝はブラジルに行く必要はなかったがモンゴルと台湾には行く必要があったと判断したというふうに言われましたが、私は両方とも行く必要があったと思っております。モンゴルと台湾に行くことができたのは、現行の旅費規程により一泊決まっておりますがそれ以下で抑えることができると。しかしながらリオは御案内のように規程は一万七千五百円でございますけれども、最初出てきたのは二十万円でした。次に安く探して八万円だったわけです。十倍以上あるいは五倍近くするところに規程があることを知っていながら行くことができるでしょうか。
 したがって、それに準拠する形で相当に、何といいますか、本来行けば済むことを私のかわりに行っていただくためには相手の方にそのことを理解していただく必要がありますので、手紙を書くなりさまざまな御説明を申し上げてようやく今回の成果を上げたのでありまして、私が行っていればこうした無駄とは言いませんけれども労力は省くことができたということでございます。今回は行くことも大事ですが行くルールもまた大事で、ルールを遵守しないで勝手に行って結果オーライというわけにもまいりません。そういう態度でリオデジャネイロには行くのを控えたということでございます。
 さて、モンゴルにつきましては、昨年モンゴル国教育・文化・科学省――日本の文科省ですが――それと交わしました教育分野等の協力に関する覚書調印一周年記念式典へ参加いたしました。また政権交代直後のモンゴル国及び地方政府の要人との会談――これは恐らく全世界で私どもが最初であったと存じますが、そういう海外の自治体からの訪問団として温かい歓迎を受け、そして実を上げる結果をもって帰国したわけでございます。
 首都のウランバートルにおきましては、エルベグドルジ大統領御自身がお目にかかってくださいました。また御就任されました新首相――エルデネバト首相とも親しく会談し、特に首相とは本県がこれまで関係を構築してきた政府機関の閣僚の皆様との会見も準備していただきましてモンゴル国との人材交流の充実、下水道運営に関する技術協力の継続、通商の促進など確認することができたのであります。
 中でもエルデネバト首相からは、彼御自身がモンゴルの重要な農業地域、モンゴル三百万の半分の人々のその食料を提供するというセレンゲ県の御出身でその知事もお務めになった御経歴をお持ちの方でありますが、そのセレンゲ県との農業分野での関係の強化をしてほしいというじきじきの要請まで受けたところでございます。そしてそれを受けてそのセレンゲ県から農業研修員を受け入れるとともに、新たに農業分野での通商を促進するため現地から通商にかかわる調査員を受け入れることをも検討しているところであります。
 また、人口全体の半分を占める百五十万人を擁するウランバートル市の今度新しく就任されましたバトボルド市長からは、ウランバートル市の行政区全てと本県市町との交流の促進について進めてほしいという御提言を受けたところであります。新たに同市の全区長に本県を御訪問していただきましてまず県内を見ていただく必要がありますので、その機会を創出することを現在検討しておるところであります。
 ドルノゴビ県とは友好協定締結五周年を迎えました。その五周年を期しまして、まさに新しく就任されたばかりの県知事さん――エンフトゥヴシンさん並びに県議会議長――トゥメンバヤル議長とこれまでの友好関係をさらに発展させてほしい、発展させていこうということを相互に確認することができたわけでございます。
 さらに、現地では大統領を初め就任直後の閣僚の皆様などから先ほど申しましたごとく大変温かく迎えられました。ウランバートル市郊外の大統領離宮にお招きいただくなど隅にも置かない手厚いおもてなしを受けたわけでございます。
 今回の訪問を通じまして、ドルノゴビ県から始まった交流はまさにモンゴル国全土に広がっているということを実感いたしました。今回もこの党派を超えた議連の四人の先生がお越しになられましたけれども議連の会長に対してもきちっと御報告を申し上げまして、これは県議会の議員の先生方、県、市、町の全ての人たちが取り組まねばならない課題になったというふうに存じます。
 さて、次に台湾についてであります。
 今回は、本県と台湾の交流人口を拡大するための基盤づくりを目的に訪問いたしました。
 何といっても大事なのは教育です。教育分野では高等学校の校長先生かつ台湾国際教育旅行連盟総会長、要するに修学旅行団体の全体の会長を務めておられます薛光豊先生と教育旅行いわゆる修学旅行の促進に関しまして活発に意見交換を行いました。私はこれまで本県の高校生全員がパスポートを取得してほしいと、そうしないと外国に行けません。そしてそれを強く推し進めていることを提唱してきたこと、また富士山静岡空港からわずか三時間半で到着できることなどの理由から初めての海外旅行先として台湾を強く推進してきたことをお伝えいたしました。時差もほとんどありません。親日的です。安全です。しかし外国です。こうしたことを経験することが、十代のうちに経験することが確実に人生の財産になるというふうに確信をしております。今後本県から台湾への教育旅行の拡充に向けた取り組みを進めるため、本県と台湾の教育関係者同士の情報交換などを一層進めていこうということで意見が一致いたしました。
 また、新たに就任されましたいわゆる日本の外務省に当たる――向こうは国として認められないというつらいお立場にあります――それを亜東関係協会というふうにいいますがその会長、また静岡県に飛行機を飛ばしていただいております中華航空――チャイナエアラインの社長などともトップ会談を行い本県との交流に関する支援と協力を依頼してまいりました。またそれを取りつけました。
 このほか、観光分野での関係強化を図る取り組みとして天竜浜名湖鉄道が台湾で最も人気のある鉄道――集集線と姉妹鉄道協定を締結いたしました。また浜名湖と台湾で最高の人気のあります美しい日月潭という湖との間で双方の魅力を生かした交流を推進するため友好協定が締結され、その協定の立ち会いもしてまいりました。今後双方向での交流が促進されますように努めます。
 今回の訪問を通じまして教育旅行等を含む観光分野での関係構築を図ることができましたが、いずれの訪問先でも日本と台湾間の訪問者数のインバランス――ふつり合いが話題となりました。台湾への訪問者数より台湾からお越しくださる人のほうがはるかに多いというその現実であります。したがってこの溝を埋めてほしいとの要請がございましたので、今後はアウトバウンド――こちらから向こうに行くというその旅行の促進にかかわる取り組みも積極的に進めてまいります。このようなことを通じましてさらなる交流人口の拡大につなげてまいります。
 次に、地方創生についてのうち持続可能な観光誘客についてであります。
 NHKの大河ドラマは、これまでも舞台となった地域に観光客の増加に伴う大きな経済効果がもたらされています。日銀静岡支店さんによりますと「おんな城主直虎」の放映がもたらす本県経済への波及効果は百七十九億円にも上ると試算されております。大河ドラマを活用した誘客は本県の観光振興に大きく寄与することと期待されるところであります。これはまた日本政府の大方針でもあります。
 さて、そのために県では「おんな城主直虎」の放映を県内外からの誘客の促進を図る絶好の機会と捉え、舞台となる浜松、浜名湖エリアを含め県内各地の井伊家ゆかりの事物や周辺の見どころをめぐるツアーをモデルコースとして旅行会社へ提案し商品造成を促しております。またNEXCO中日本と実施する県内一定エリアが乗りおり自由となるドライブプランの展開、JR東海と連携した往復新幹線と県内JR在来線、私鉄、バスが乗り放題となる周遊切符つきの旅行商品など県内周遊の取り組みを首都圏、関西圏、中京圏などで開催される旅行商談会でPRし、企画販売を働きかけているところであります。
 さらに、直虎による誘客効果を一過性のものとせずリピーターの獲得につなげていくために、地域連携DMO――デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションと言われているものでございますがそれとも連携し、観光事業者を初め農林水産業者など関係者とともに本県の豊富な地域資源を活用した魅力ある着地型旅行商品を造成いたします。このことにより来訪者がもう一度訪れたいと感じるような心に残る魅力ある旅の提案を促してまいります。
 ちなみに、「おんな城主直虎」の次の大河ドラマのテーマを御存じでしょうか。西郷隆盛です。これは鹿児島では西郷どん、なまってせごどんと言われるそうでありますが、「西郷どん」というタイトルになる見込みであります。
 西郷さんの功績はたくさんありますけれども、そのうちの一つは何といいましても江戸城の無血開城です。その無血開城に慶喜公の意向を受けて勝海舟そしてまた山岡鉄舟がこの地でその交渉に当たられたということは周知のことでございます。したがいましてこの徳川時代の初めの直虎、それが育てた井伊直政すなわち彦根の最初の城主でありますが、そこからまさに井伊直弼が暗殺され、そして新しい明治維新が開かれるその立て役者の一人西郷隆盛まで、この徳川時代ということについても我々はこの今パクス・トクガワーナとして県立美術館ですばらしい展示会が開かれております。
 私は、観光地域間の競争が激化する中、本県の魅力を「創る」、「誘う」、「もてなす」の三つの戦略を柱に観光交流人口の拡大を図ることが大事だと思いますけれども、そのベースになるのは私どもの地域にあります観光資源についてよく知ることだと思います。直虎についてはほとんど誰も知りませんでした。かといってほかのことについてよく知っているかというとそうでもありません。したがいましてただにこの数を見るだけではなくて、今世界資源の観光資源群が富士山が世界文化遺産になってから三十を優に超すものになっております。こうしたことについてよく知識を持つという、文字どおり学問としての観光学、実践の学問としての観光学、こうしたものが必要で、県立大学でそれが取り組まれつつあります。
 したがいまして、この地域で学ぶ若い高校生諸君も自分たちの地域の持っていることについてよく知り、そしてまたそれをお国自慢にとどめるのではなくて世界の中、日本の中で位置づけるというそうしたその勉強するということが実は観光力、地域力を上げていくことにもなるというふうに存じます。世界遺産富士山など世界水準の観光資源が数多く有する、ある、このふじのくに静岡県にふさわしい持続的な観光地域づくりを御一緒に進めていこうではありませんか。
 次に、健康寿命日本一の延伸についてであります。
 静岡県の健康寿命は男女とも全国トップクラスです。全ての県民の方々にいつまでも健康で長生きしていただくことが県民幸福度の最大化に通じてまいります。県では健康寿命日本一の県にふさわしい高い健康づくりの目標を掲げさまざまな取り組みを行い健康寿命のさらなる延伸をしていこうと思っております。
 健康づくりの取り組みとして平成二十四年度より、すなわち四年前より特定健診データの分析による地域の健康課題の見える化や運動、食生活の改善、社会参加、この三つを取り入れたふじ三三プログラムの普及など健康長寿プロジェクトを推進し、県民の皆様が御自身の健康に関心を持ち全県一体となって取り組む仕組みをつくって御提供を今しているところでございますが、現状ではメタボリックシンドローム該当者の割合が四年連続で全国一少ないものの特定健診受診率につきましては全国十一位、県が掲げる目標には達していないという状況です。
 今後、市町による健康づくりへの取り組みを全県においてさらに向上させ県民がみずからの健康への関心を高め健康管理に取り組むようにするためには、これまでの健康増進の施策をより充実していくとともに、新たな視点に基づく取り組みを進めていく必要があります。
 そのため、今回の九月補正予算案におきまして、働き盛り世代の生活習慣予防対策を重点的に行うため企業に経営戦略として健康づくりに取り組んでいただけますように保険者、経済団体とも連携した健康経営――健康経営という言葉がございます――健康経営の実践体制の構築のための経費を計上したところであります。
 全ての市町がより一層健康づくりに取り組めるよう、特定健診データの分析結果の積極的な活用の働きかけや先進的取り組みの情報共有などにより健康長寿プロジェクトを強力に推進し健康づくりへの関心を高め地域の健康課題に効果的に対応いたします。さらに公衆衛生学を発展させた社会健康医学に着目いたしまして、科学的な視点に基づく健康施策を推進するための研究や人材の育成にも取り組んでまいります。さらにまた静岡県の実人生に対応した、いわゆる人生区分というものもこれをPRしていく必要があります。
 私は、きのう日曜日ですが高校を卒業して五十年をたった同窓会に出席してまいりました。現在高校生の諸君は十七歳か十八歳かと存じます。五十年たちますと六十七歳か六十八歳になるわけです。六十五歳でありますと高齢者と言われます。しかしながら静岡県の健康寿命は女性は四捨五入すれば七十六歳まであるのです。皆元気でした。それが現実の日本の姿であり、特にそれが際立っているのが静岡県なのであの静岡県型の人生区分を提供いたしましたところ、会場からはこれだと、そのとおりだと、今我々はまだ壮年熟期だという共感を得た次第でございます。
 そのように、さまざまな形で静岡県が健康の都であるという、また美と健康の都であると言ってもいいと存じますけれども、それを科学的にまた産業的にも推進していくという、その中心になりたいというふうに思っております。
 静岡県が常に健康寿命日本一の県であり続けるため、社会全体で一層の健康づくりを推進する体制を構築し健康寿命延伸の取り組みにおける日本の中心地となり世界が憧れる健康長寿ふじのくに、いわばジャパニーズドリームの実現を目指してまいろうではありませんか。
 次に、長くなって済みません、これで終わります。
 次に、農業分野の強化についてのうち、研究開発の取り組みについてであります。
 静岡県の農業の優位性を確保し継続的に発展させていくためには、県農林技術研究所が新たな品種や生産技術の開発に取り組むなど社会経済の変化に迅速に対応して農業の構造改革を牽引する研究開発に積極的に取り組むことが重要です。これまで農林技術研究所は県産イチゴの主力品種となっている「紅ほっぺ」や県内の二十五の酒造メーカーが用いる酒米――「誉富士」という商品名がついておりますが――などのすぐれた品種を育成し本県農業の振興に寄与してまいりました。
 また、近年では光沢と香りにすぐれた高級感あふれるイチゴ「きらぴ香」や成長が早く甘味と辛味のバランスがよいワサビ「伊づま」など消費者の嗜好に対応する新しい品種の育成とその普及にも取り組んでおります。
 さらに、生産技術の研究、実践も大切です。いつぞや宮城先生と御一緒に菊川の地下水位制御システムを導入せられておられる大石さんという農業経営士のところを見学いたしました。これは掛川でも森町にも広まっているようでございますけれども大変充実した、いい、また楽しい見学であったと存じますけれども、こうした生産技術にとどまらず流通管理技術の研究開発にも取り組まねばなりません。海外を含め需要の高まっている抹茶につきましては消費者が求める有機栽培のための栽培技術の研究を、ミカンやイチゴなどの生鮮品につきましては輸出の際の船便や空輸においても品質を保持するための技術開発を今進めているところであります。
 農業を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しておりまして、消費者は食に健康と安全・安心を求め、農産物の購入に当たりましてはその品質や健康増進効果いわゆる機能性を重視するようになってきております。このため農・食・健康これを総合的に捉えた先端研究を行う拠点を沼津市の東海大学開発工学部跡地に整備することとしています。農林技術研究所が中核となりまして県内企業それから日本最高の科学技術の拠点理化学研究所、さらに慶応義塾大学と連携いたしましてマーケットインの考え方を踏まえた新たな生産技術の開発に取り組むこととしております。
 さらに、農業の現場では作業の省力化に対するニーズが高いことから、その解決に向けて本県のものづくり力を生かし革新的な農業ロボットを開発するプロジェクトも立ち上げたところであります。
 県としましては、今後ともオープンイノベーションの考え方によりまして国内外の市場ニーズに対応した研究開発に産業と連携して取り組み、本県農業のさらなる強化を図ってまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 地域外交についてのうち、リオデジャネイロオリンピック視察の成果についてお答えいたします。
 県は、リオデジャネイロオリンピック開催中のブラジルに八月十四日から二十日にかけて自転車競技会場等の視察や事前キャンプの誘致活動のため増井地域外交監を初めとする幹部職員を派遣いたしました。
 視察の成果についてでありますが、国際自転車競技連合のブライアン・クックソン会長との面談では会長から自転車競技会場が多くの観客で埋まることを期待しているとの発言があり、大会成功に向けお互い努力していくという共通認識を図ることができました。また本県が事前キャンプ誘致の重点国として位置づけているイタリアのオリンピック委員会国際部の担当者との面談では、来年年明けにも本県を訪れ競技施設を視察したいとの意向が示されるなど手応えを感じる成果が得られました。
 一方、四年後の伊豆開催に向け検討すべき課題としては、リオデジャネイロオリンピックの会場周辺道路で見られた激しい渋滞の発生が挙げられます。東京オリンピックの自転車競技は伊豆半島が観光で最もにぎわう時期に開催されることから、大会の運営はもちろん観光や住民生活にも支障を生じないよう最大限の配慮が必要であることを改めて認識いたしました。
 また、リオデジャネイロでは五万人ものボランティアの活躍、会場に来られない人のための市街地等における競技のライブ中継の実施など市民全体でオリンピックへの関心を高め大会を盛り上げる取り組みが行われておりました。伊豆開催においても伊豆半島・東部地域を初めとして全県が一体となって盛り上がる工夫が必要であることを再確認いたしました。
 今後は、事前キャンプについて各国の関係者から得られた情報を県内市町と共有化して誘致活動をさらに促進するとともに、開催地として現地において肌で感じた課題に万全な対応を図り国家事業である東京オリンピック・パラリンピックの成功を確実なものにし、その成果を大会後にも継続できるよう使命感を持って取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) グローバル人材の育成についてお答えいたします。
 グローバル人材育成基金につきましては、本年四月に基金を創設以来企業や県民の皆様から貴重な御寄附をいただき、この夏休みから基金を活用した取り組みを始めることができました。グローバル人材育成事業は高校生への留学支援、実学分野で次代を担う人材への支援、高等学校のグローバル教育への支援を三つの大きな柱として実施しており、本年度約百人の高校生及び教職員を海外に派遣する予定です。
 具体的には、短期または長期の留学を行う生徒二十八人を支援するとともに、八月には米国カリフォルニア州立大学への留学プログラムを行う県立大学と連携し高校生留学プログラムを設けて選抜された五人の生徒を県立大生とともに留学させました。また実学分野については海外インターンシップ事業に取り組んでおり、八月下旬に中国、台湾、タイの三コースに高校生十五人が参加し海外の工場で就労体験等を行いました。さらに学校単位で総合的なグローバル教育を実践する指定校には県立掛川西高校と日大三島高校を選定し、ジオパークを初め地域の魅力を海外に発信する取り組みを展開してまいります。
 今後は、五年間で九百人規模の海外渡航の実現を図りその成果を御寄附をいただいた企業や県民の皆様に報告するとともに、広く情報発信をしてまいります。また学校での成果発表の機会などを通して参加した生徒が成果や魅力を積極的に発信することによって、さらに多くの高校生が海外渡航への挑戦意欲を高めるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 若者に対する消費者教育についてお答えいたします。
 スマートフォンやタブレット端末などの普及に伴い誰もが簡単にインターネット上で商品を購入したりサービスを利用できるようになり、安易に画面を操作したことによりまして多額の請求を受けたりマルチ商法に巻き込まれるなどの消費者被害が若者の間でも増加しております。
 県では、高校生、大学生を対象に社会に出る前に消費者としての基本的な知識を身につけることを目的として若者が陥りやすいネット上の消費者トラブルなどの事例を紹介する啓発冊子の作成配布や出前講座などに取り組んでいるところであります。
 本年度は、消費生活相談が増加傾向にある二十代や三十代の社会人を対象にインターネットの利用に伴う最近の消費者被害の事例やその対応策を盛り込んだ講座を企業や労働者団体の研修会の場を活用して開催してまいります。
 さらに、行政からの情報だけでなく若者の参画による意見交換会を実施しみずからの消費生活上の実体験などを専用ホームページやSNS、無料情報誌で発信することにより、多くの若者の共感を呼び起こしてまいります。
 県といたしましては、若者が興味や関心を持つ事業を展開することにより契約行為や個人情報など消費者として知っておくべき基本的知識を身につけ、みずから考え行動する自立した若者の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 地方創生についてのうち、交付金の活用についてお答えいたします。
 県では、人口減少を克服し地方創生を実現するため、成長産業の振興や安定した雇用の創出、移住・定住の促進などのさまざまな施策について国の交付金を積極的に活用し推進を図っているところであります。
 国の平成二十七年度補正予算により創設された地方創生加速化交付金を活用して、本県独自の産業成長戦略に基づく県内企業のIoT活用の促進やCNFを利用した製品開発の促進、東海大学旧開発工学部の施設を活用した先端農業の推進拠点の整備など本県経済の成長を加速する取り組みを推進しております。また本県への新しい人の流れの創出に向け伊豆半島地域をモデルとする生涯活躍のまち構想の推進に取り組んでおります。さらに本年度創設された地方創生推進交付金を活用し静岡型航空産業の育成支援やDMOと連携した観光交流人口の拡大、女性の活躍促進やイクボスの養成による働き方改革、農林水産物のマーケティング戦略などを推進しております。いずれも本県の強みや特色を生かした独自性のある取り組みと考えております。
 今後とも、国の交付金を有効に活用し、より効果的な本県独自の施策の立案、実行に努め、地方創生の先導役を担うふじのくにづくりを推進してまいります。
 次に、市町連携の取り組みについてであります。
 地方創生を実現するためには、各市町の創意工夫による取り組みとともに、県内市町が相互に連携した広域的な視点での取り組みが重要であります。県では昨年度立ち上げた美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議、地域会議において地域の特性を踏まえた施策の方向性について意識の共有化を図り市町間連携の促進に努めた結果、伊豆半島地域十三市町による広域観光地域づくり事業、静岡市と志太地域四市町による水産物を活用した産業活性化事業などを先駆的に実施する動きが広がっております。
 本年度は、こうした市町間の連携を一層促進するため、ことし八月地域会議において地域圏ごとの実情や課題を踏まえた広域的な観光交流人口の拡大や地域総ぐるみの子育て支援などの具体的な協議テーマを設定し、地域が一体となって取り組むべき施策について議論を深めたところであります。今後県、市町の企画担当部局で構成する地域政策会議で議論を進め、新たな広域連携の取り組みとして具現化を図ってまいります。
 また、今議会にお諮りしております新たな広域連携促進事業費により人口減少が著しい賀茂地域における地籍調査の共同実施や水道事業の広域化などの促進を図ってまいります。さらに地域経済分析システム――RESASを活用した圏域ごとの産業経済の状況や観光の動向などを提示し市町が地域の実情に即した政策を立案できるよう情報面からも支援するなど、今後とも県がリーダーシップを発揮し市町が連携した効果的な施策の創出を推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 大規模地震対策特別措置法に基づく防災対応の見直しについてお答えいたします。
 今月九日、南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループの第一回会議が開催され、大規模地震の予測可能性やその確度について検討を行うとともに、南海トラフ沿いの地震観測とその評価体制やそれに基づく地震防災対応のあり方について法の枠組みにとらわれず対象地域も含めて多角的な検討を行うこととなりました。
 想定されている論点のうち、南海トラフ沿いの地震観測・評価体制のあり方については、その強化充実により東海地震などの大規模な地震の前兆を捉える可能性が高まり、地震発生から津波到達まで時間的余裕がない地域にお住まいの方など一人でも多くの命を救うことにつながることから、県としては地震の観測、調査、研究体制を確保していく必要があると考えます。
 一方、現在確度の高い地震発生予測は困難とされていることから、警戒宣言が発令された場合の公共交通機関の運行停止などの防災対応や発令期間のあり方については検討が必要と考えます。
 県といたしましては、今後のワーキンググループにおいて現在の法の枠組みについてはその基本を維持しつつ、対象とする地域や防災対応のあり方等については現状を踏まえた実効性の高いものとなるよう求めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 児童虐待への対応についてお答えいたします。
 県では、今回の児童福祉法等の改正を踏まえ各児童相談所の体制強化に努め、児童虐待発生時の迅速かつ的確な対応や児童虐待防止対策の強化を図ることとしております。
 児童相談所の体制強化といたしましては、弁護士の支援を受ける体制を整え困難な事例における家庭裁判所への申し立て等の法的対応力の強化を図るなど、増加している児童虐待通告や複雑な相談に対して的確できめ細かな対応を行い子供の権利を守ってまいります。
 児童虐待の発生予防につきましては、新たに制度化された子育て世代包括支援センターを全ての市町に設置するよう働きかけ、妊産婦に対して妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の充実に取り組むこととしております。
 また、虐待を受けた子供の自立支援につきましては、虐待等により家庭を離れて施設で暮らす子供が自炊や金銭管理訓練などひとり暮らしを体験し退所後の自立に向けた準備を行うための専門の居室を施設内に整備するなど支援の充実に努めてまいります。
 今後とも、市町や警察など関係機関との連携を深め児童虐待防止対策に全県一丸となって取り組み、児童虐待ゼロを目指しまして「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりをしっかりと進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 若原幸雄君登壇)
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 農業分野の強化についてのうち、就農者の確保についてお答えいたします。
 本県は、農家の後継者を含めた人材の育成を図るため農業高校において基礎的な農林業や食品加工を学び、農林大学校では作目ごとの専門的な実技教育や企業的な経営管理、食品加工・販売などに関する教育を行っております。これにより次世代の本県農業を担う就農者を多数育成してきております。
 こうした機関におきます人材育成に加えまして、県では農業を志す非農家出身の就農者でございますとか新たな分野にチャレンジする農家の後継者などを対象といたしまして、新規就農の段階に応じて行う研修でございますとか就農直後の経営安定を支援する青年就農給付金などによりまして平成二十三年以降は三百人以上の就農者を確保してきております。
 具体例を御紹介させていただきますと、菊川市の茶の後継者の中で消費者の嗜好に対応した商品開発いわゆるマーケットインの発想で香り豊かな新商品を開発された方がいらっしゃいますけれども、こうした方々はアグリビジネス実践スクールですとか農業経営戦略講座、このような研修を受講いただいておるところでございます。こうした受講者の中ではその後農業経営の改善にも取り組まれて、後継者同士が切磋琢磨して各地の農業の地位向上にも取り組んでいらっしゃる方々がいらっしゃいます。
 県といたしましては、今後も農家の後継者を初めとした就農者の確保を図っていくため市町、JA、関係機関と連携をしながら就農前から就農後までを一貫して支援させていただきまして、次世代の本県農業を担う就農者を確保・育成してまいります。
 次に、樹園地における農地集積についてであります。
 静岡市清水地域などでは、本県農業の主要作物である茶やミカンなどの樹園地で生産基盤整備事業の実施とあわせて農地中間管理事業に取り組んでおりまして担い手への集積が進んでおります。しかし県全体で見ますと茶園、果樹園の集積はおくれておりまして、例えば牧之原台地の平たんな茶園でございましても貸し出しを希望する茶園というのは数多くございますけれども、担い手が借り受けをして隣接する茶園と一体的に管理をするには茶園の改良が必要な、そういったような状況がよく見られるところでございます。
 このため、県といたしましては担い手が農地中間管理機構から借り受けた茶園で畝方向の統一などを行います茶園集積推進事業を本年度から実施しております。既に実施をした森町でございますとか本年度の事業実施が見込まれる島田市、牧之原市などのほか菊川市、掛川市など多くの市町で来年度の事業実施を目指し本年度中に農地中間管理権を設定する準備を進めていらっしゃいます。
 また、果樹園ではJAみっかび農地銀行などで担い手に果樹園を集積してまいりましたけれども、今後は農地中間管理機構を活用いたしまして、高齢化などにより管理ができなくなったようなそうした果樹園を担い手に集積してまいります。具体的には将来の産地の計画を立てていただきまして、構造改革を行っていらっしゃいます浜松市でございますとか静岡市、沼津市などにございます二十の産地協議会に農地中間管理機構が参画させていただきまして、担い手の規模拡大などの意向を把握しまして貸し出し希望のある農地と担い手のマッチングを行ってまいります。
 県といたしましては、本県農業の主要作物でございますお茶とミカンの生産基盤であります樹園地の集積これを喫緊の課題と捉えておりまして、中間管理機構、市町、JAなどの関係機関と連携いたしまして農地中間管理事業と生産基盤整備事業などの施策を効果的、効率的に組み合わせながら樹園地の集積を進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 農業分野の強化についてのうち、農業農村整備の推進についてお答えいたします。
 農村は、食料を生産する農業が営まれる場であり農業者を含む地域住民の生活の場であることから、農業農村整備の推進に当たっては生産性の高い農業を実現する基盤整備と地域資源の保全に共同で取り組む農村コミュニティーの再生に配慮した施策の展開が必要であります。
 このため県では、生産コストを縮減する農地の大区画化、水田の畑地利用を促進する地下水位制御システム、高品質な果樹生産を可能とする点滴かんがい施設の整備等を重点的に推進することにより地域農業の中心となる担い手への農地集積と収益力の向上を今後とも図ってまいります。
 また、地域住民などの多様な主体の参画によって農業用施設等を適切に保全管理するふじのくに美農里プロジェクト等の取り組みの拡大により、農地集積に伴う農家の減少によって生じる用水路等の維持管理負担の軽減と地域資源の保全活動をさらに強化してまいります。
 県といたしましては、競争力を強化する施策と農村コミュニティーの再生を図る施策を車の両輪として推進し、誰もが生き生き働き心豊かに暮らせる農業・農村の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 県警察の運営に対する警察本部長としての所信についてお答えいたします。
 まず、県警察の最高責任者として県民の皆様の安全・安心を確保するため全力で取り組んでまいります。そのため県民の皆様や社会から求められているものを的確に把握し迅速かつきめ細やかに対応してまいります。
 静岡県の治安情勢については、刑法犯認知件数は減少傾向にありますが個別に見ますと特殊詐欺事件や配偶者からの暴力事案、高齢者が当事者となる交通事故が多発するなどいまだ厳しい状況にあります。このような事案に対して、組織の総合力を発揮した検挙活動を強力に推進していくとともに、関係機関等と連携した効果的な抑止対策を講じてまいります。
 さらに、本県におきましては南海トラフを震源とする大規模地震災害の発生が危惧されているほか二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の一部競技が開催される予定であり、危機管理対策のさらなる強化を図る必要があります。大規模災害発生時の被害を最小限に抑えるとともに、国際テロの未然防止対策等に万全を期すため県民の皆様の協力を得つつテロ関連情報の収集や分析、警戒警備の徹底等の諸対策をより一層推進してまいります。
 最後に、私が目指す組織像について申し上げます。
 それは、強くて優しい県警察の体現ということであります。
 警察は、相手の立場に立ち、とりわけ犯罪被害者などの弱者の味方となり個々の事案に真摯に向き合う優しさと悪に対して毅然と立ち向かう強さという二つの要素を兼ね備えていなければならず、県民の皆様もそのような警察組織であることを求めていると考えております。そのためには職員一人一人が県民の皆様に尽くす気持ちを保持し続けるとともに、新しい技術や知識を取り入れる努力を重ねるなどして執行力をさらに強化していくことが重要であります。
 このような組織運営を推進し、組織一丸となって静岡県の安全・安心の確保に努めてまいる所存であります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 宮城也寸志君。
       (四十六番 宮城也寸志君登壇)
○四十六番(宮城也寸志君) 御答弁ありがとうございました。
 二、三再質問をさせていただきたいと思います。
 私、ちょうど一期目、一年目、二年目はまだ議員ではなかったので想像で物を書いたことがございまして、それで変えさせていただきました。
 それで、まずは知事の政治姿勢について伺います。
 知事が言う言葉は本当に重要でございます。私もエコパでお話を聞いたときにあそこにショッピングモールをつくりたいという話を聞いたときに、近所の方々から宮城さん、ここ、いつできるのという話を聞きました。それほど重要でございます。
 その中で今、桜ヶ丘病院の移転の問題がございます。津波浸水想定区域ということでね、だめだということで県もおっしゃっていると思います。
 しかし、これは最初はまだ民間と市が計画を立てている段階でありますのでそこまで言うのはいかがなものと思います。また県は率先して津波の対策をまず行うことが最初でないかと思います。なぜかと言いますとそこには今実際に住んでいる方がいます。その人たちの不安をとるのも県の仕事ではないかと思います。その点について意見を伺います。
 また、それとあと知事の発言におきまして三十五市町の市長、首長とは一つを除いてうまくやっているよという発言がございますが、そういった発言を知事がするのは県全体の県民のことを考えますといかがなものかということがございます。その点についてもお伺いします。
 そして、地域外交について伺います。
 知事はブラジルには行きませんでした。私としましては知事に身銭を払ってもね、ブラジルに行って成果を上げてもらいたかったと思います。そういうふうに県民は見ておりました。
 そして、まずはモンゴルですけれど、モンゴル行っておりまして県民のために幾ら幸せになっているのか、それが私は見えないところでございます。県民の皆さんがモンゴルと県の地域外交においてどのような利点があるのか、十年先か二十年先かそれがわかりませんけれどそういったものが確実に出てくるのか。また外務省のほうから見ていましても本当この知事が行っていますモンゴルと静岡の地域外交、どういう位置に映っているのか。また静岡県と外務省の関係はうまくできているのか、そういったところも心配な点がございます。モンゴルと静岡の関係がうまくいっていれば逆にそれを国にアピールすることもできると思います。そのアピールがうまくいって外務省とのつき合いがうまくできれば、逆に静岡県がほかの国に行った場合その外務省の筋を使ってうまくいくことができると思います。ブラジルにおいても領事館を使うのではなくて、しっかりした大使を使って交渉すればそのほうが早いのではないでしょうか。エンブラエル社も大使と来るのと領事館と来るのは、やはり話が違いますのでね。そういったことについてどう思っているか、あと伺います。
 また、あと地方創生について交付金の活用でございますが、今まで使ってきて反省点はなかったのか。交付金、人口、毎年五百人ぐらい減っております、静岡県の人口。その中でその反省点はなかったかということについてもう一度お伺いします。
 そして、農業についてでございますが、就農者の確保においてでございます。
 今、新規就農者には手厚い支援がございます。今全国ではなかなか新規就農してもすぐやめてしまう方が多いということで、親元支援ということで支援を行っているところであります。それは農家に入って農家の後継ぎに入りまして、そこにもちゃんと支援をしっかりしていこうじゃないかということでございます。何県かがJAと共同して今行っております。県としてはそのような方法をやっていくことがあるのかお聞きします。
 もう一つあります。先ほどの地域外交においてセレンゲ県における農業指導が行われるということでございました。どのように誰が指導するのか、また指導される側は誰なのかをお聞きしたいと思います。
 それと、ドルノゴビ県の下水道のことがございます。ODAで中国がつくったものだと知っておりますが、それに対して静岡県はどのような役割を果たしているのかお聞きします。以上、お伺いします。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 桜ヶ丘病院に関する再質問にお答えいたします。
 桜ヶ丘病院は、平時には地域医療の重要な拠点となり、また災害時には救護病院として災害医療に力を発揮していただく必要があります。災害時に支援が必要な方々が入院をし通院をする施設、あるいは災害時に負傷者、重傷者等をお救いする施設ということでございます。
 津波対策を講じた場合でも、津波の浸水等に伴い地中に埋設している管路施設の被害が発生すれば上下水道や道路等の復旧に時間を要します。そうしますと診療に必要不可欠な水であるとか衛生の確保が困難になると、こういった問題がございます。
 また、仮に津波警報、注意報が発表されましたらばその間は患者等の搬送等はできないという形になります。そういう意味でそういう地域に移転をしないということが安全第一の観点から求められるとこう考えております。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 桜ヶ丘病院の関係について追加でお答えさせていただきます。
 静岡県の大きな役割としまして、県民、市民の安全・安心を最優先に当たりまして命、財産を扱うという大きな役割があるのはもう御案内のとおりでございます。
 健康福祉部といたしましては、それを実現するためにも安全・安心の健康福祉の実現というのを大きな使命としていただいております。それを達成するためにも災害時における医療体制というものは非常に大事でございます。災害時において全ての県民の方々がしっかり医療等を受けられるということは非常に大事なことでございます。
 そうしたことから、災害医療体制において桜ヶ丘病院は災害拠点病院を支える重要な救護病院となっております。救護病院が常に機能することは災害時における救護体制の中で重要な役割を果たすことは間違いございませんし、また救護病院として救護体制の重要な役割を果たしてもらうことを大いに期待していることでございます。
 そうしたことから、この桜ヶ丘病院は災害時体制における非常に重要な施設として健康福祉部としては十分認識しておりまして、いろんなことで体制等についてもいろんな重要な役目を果たすことを期待している状況でございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 増井地域外交監。
○地域外交監(増井浩二君) 地域外交についてお答えをいたします。
 まず最初に、モンゴルとの交流について県民のためにどのようになっているのかという話でございますけれども、今回も高校生がモンゴルのほうに行きましてドルノゴビ県との間で高校生同士の交流が行われておりまして、高校生の方たちも向こうで現地で私お話を一緒したことがございましたが非常に皆さん目がきらきらと輝いていて、これまでに日本では経験したことのないような経験をしたというようなことが非常に彼らにとって今後非常に大きな財産につながっていくというふうに思っております。こうした交流を通じることによって、現在やっといろんな経済面での交流も始まっておりまして、こうしたものが交流を継続することにより今後とも大きな芽になっていくものということを期待をしているところでございます。
 次に、二点目に外務省との協力の関係についてお答えをいたします。
 外務省との協力関係についてですけれども、現在も外務省とは非常に緊密な連携関係をとっているというふうに考えております。年度の当初に地域外交の基本方針を決める推進本部会議というのを開いておりますけれども、そこには毎回外務省の地方連携推進室長さんがオブザーバーとして参加をしていただいておりまして、いろんなアドバイスなどをいただいているということでございます。
 また、去る九月七日には外務省の総合外交政策局長さんを本県にお招きをいたしまして意見交換を行いました。その中で局長さんからは国家間の関係が非常に厳しい国もあると。例えば中国とか韓国、また公式に外交関係のない台湾などの国や地域がある中で静岡県が地域外交を進めているということについては、国の外交政策を進める上でも非常に後押しになるんだと非常にありがたいんだという話を伺ったところでございます。
 また、今回モンゴルを訪問いたしましたけれども、駐モンゴル国の日本大使からの言葉といたしまして国の外交の推進に当たっては自治体間の交流というのは非常にその後押しになっているというお言葉をいただきました。静岡県がドルノゴビ県を初めといたしましてモンゴルとの交流に非常に熱心に取り組んでいただいているということは大変にありがたいという言葉もいただいたところでございます。
 今後もですね、引き続き外務省からの協力あるいはアドバイスをいただくなど緊密な連携をとっていきたいというふうに考えております。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 農業関係の再質問についてお答えさせていただきます。
 まず、後継者に対する支援でございますけれども先ほどの答弁のほうで御紹介させていただきました研修のほか青年就農給付金におきましても、こちら給付要件に合致すれば新規就農者でございましても後継者の方々でございましてもどちらも給付の対象となっております。たまたま新規就農の方のほうがそもそも施設・設備がない状態から始められるようなそういうような状況が多いことから件数としては給付が多うございますけれども、例えば親御さんとは別の部門を開始されてそこで新たに投資が必要である、そういったような方々には給付をさせていただいておるところでございます。
 また、セレンゲ県との農業の関係でございますけれども、現在二名の方をこちらにお越しいただきまして先ほど御紹介の農大等のところでいろいろと実地研修等をさせていただくということを計画になっております。こちら従来浙江省等と行ってまいりましたそういった覚書等に基づきます一般的なといいますか、他国ともやっておるようなそういった同様の枠組みで行わせていただいておるというようなところでございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
○交通基盤部長(村松 篤君) 地域外交についてのうち、台湾及びモンゴル訪問の成果についての再質問、下水道の関係についてお答えいたします。
 このモンゴルとの関係のものでございますが、下水道の維持管理の運営能力を向上させるためのプロジェクトでございます。ですからどういうふうに今あるものをどう維持していくか、管理していくかという研修をしているということでございまして、今年度は五月にですね、モンゴルの技術者がこちらに来て研修を受け、八月の終わりからでしたか、静岡県の職員がドルノゴビ県のほうに行って研修をするということを今年度は二回繰り返すということで二回ずつ、来年度も同じようにやっていくというものでございます。
 ちなみに、モンゴルでの研修につきましてはドルノゴビ県だけではなく全国からその研修を聞きたいということで集まって開催していくとそういう内容でございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
○政策企画部長(森 貴志君) 交付金の活用について反省点はなかったかということでございます。
 この交付金ですけれども、地方創生先行型交付金が平成二十六年度の二月補正、それから加速化交付金が二十七年度の二月補正から、それから地方創生推進交付金が今年度の当初からということでさまざまなメニューが国のほうから交付金が回ってまいりました。この交付金の活用につきましては県のみならず市町もあわせてですね、人口減少に対応する地方創生のためにさまざまこの利用を使われていくことでございます。その地方創生の内容につきましてはそれぞれの仕事の話でありますとか暮らしの話、それから子育ての話、地域づくりの話、さまざま各市町においての問題点があろうかと思います。同じような人口減少に対応する地方創生という一つの目的で各市町がこの交付金を活用して事業を実行すると、これは非常によろしいというか非常に望ましいことだというふうに思っています。それから県におきましてはこの事業をですね、単独の市町にとどまらず広域的に結びつけるということで我々も進めているところもございます。
 反省点ということでございますけれども、今交付金を活用してさまざまな各市町の活動が行われているんですけれども、より我々県のほうで広域的な――単独の市町よりもより広域的なほうが地方創生に向けての効果が高いということも実感しておりますのでこれからはもっと積極的にこれまで以上に市町のほうに入り込んでいって広域的な取り組みができるように実行したいというふうに考えてございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 白井知事戦略監。
○知事戦略監(白井 滿君) 県と三十五市町との意思疎通についてお答えをいたします。
 規模の大きな市では、さまざまな課題を抱えておりますことから県との関係におきましても調整等さまざまに時間がかかるようなこともございます。県といたしましては県民、市民のための政策、県民本位、市民本位の政策が着実に推進できますように今後とも市町との連携を緊密に図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 宮城也寸志君。
       (四十六番 宮城也寸志君登壇)
○四十六番(宮城也寸志君) 再答弁ありがとうございました。
 それでは、清水区についてお聞きします。
 津波対策は、じゃあそこの場所は行わないということなんですか。まず一点それをお聞きいたします。
 それと、農業指導に二名来ると言っていますがこれは民間の方が来るというお話を聞いております。果たして県がお金を出して民間の方を指導するのはいかがなものかと。また農林技術研究所には現に今静岡県で農業、困っていることがたくさんございます。そういった指導をね、しっかりしてもらいたいと思いますので、その辺について二点お伺いします。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 桜ヶ丘病院に関する再々質問にお答えいたします。
 津波対策はもちろん講じてまいります。ただし津波対策を行ったとしても津波の浸水等に伴いまして地中に埋設している管路施設の被害が発生し上下水道や道路等に支障が生じると。そうすると診療に必要不可欠な水であるとか衛生の確保が困難になるといったリスクがございます。また津波警報、注意報が発表されますと、長時間に及びますと搬送ができないといったようなことも生じ得ます。そういう意味ではあえてそういう地域へ移転するのはいかがなものかということでございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 農業に関する再々質問のほうにお答え申し上げます。
 まず、モンゴルからいらっしゃいます研修生二名、民間の方というのは先生御指摘のとおりでございます。こちらにつきましてはあくまでも私どもと先方モンゴルとの間で先方がこの人を研修させてほしいというふうに先方が選んだ方々がたまたま民間でいらっしゃったということでございまして、こちら政府間の協定上あちらが研修を希望される方をこちらが受け入れるという形でその中で向こうが公務員的な方を選ばれるのか、実際に民間で営農をされている方を選ばれるかはあくまでも先方の判断だということでございます。いずれにいたしましても県といたしましては政府間に基づく先方の政府と私ども県庁の間の責務の範囲内で研修を受け入れさせていただくということでございます。
 あわせまして、そういった海外の方々を研修等々やっている間の県内のほうの対応でございますけれども、当然ながら県民の方々に対する行政サービスの提供が県庁の第一義でございますのでこれまでも私ども各地の農林事務所を通じまして県内さまざまな農業者の方々に対する行政サービスの提供は鋭意頑張ってまいったつもりではございますけれども、そちらにつきましては今後も必ずその現場との連携を今まで以上に強化をいたしまして努めてまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) これで宮城也寸志君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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