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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成21年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山田 誠 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/16/2009

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                      
 (1) 平成二十二年度に向けた財政見通しと当初予算編成の考え方                               
 (2) 六百億円の財源捻出の考え方                   
 (3) 政策実現のための工程表                     
2 駿河湾を震源とする地震を受けての県の対策について         
 (1) 初動態勢の状況及び地震の教訓と今後の対策            
 (2) 公共土木施設等の復旧                      
 (3) 中山間地の孤立化対策                      
 (4) 中学生、 高校生の防災訓練への参加促進              
3 原子力政策について                        
 (1) 浜岡原子力発電所の耐震安全性                  
 (2) 核燃料税の更新                         
4 地方分権について                         
5 道州制の考え方について                      
6 新型インフルエンザ対策について                  
7 雇用対策について                         
8 農業政策について                         
 (1) 自給率向上のための取り組み                   
 (2) 農地の集約化とサラリーマン小作                 
 (3) 農林水産品の競争力の強化                    
9 静岡空港について                        
 (1) 搭乗率保証                           
 (2) 空港部の組織改正                        
 (3) 空港ターミナルビルの機能向上                  
10 公共事業の発注について                      
11 教育行政について                         
 (1) 高校教育における公私格差の是正                 
 (2) 私学教育への認識                        
12 薬物取り締まりの強化について     



    ○議長 (浜井卓男君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百十六号から第百四十三号まで及び平成二十年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 十六番 山田 誠君。
            (十六番 山田 誠君登壇 拍手)
    ○十六番 (山田 誠君)  皆さんおはようございます。 私は自由民主党県議団を代表して当面する県政の諸課題について、 知事並びに関係部局長、 教育長、 警察本部長に質問をいたします。
     質問に先立ち、 八月十一日に発生した駿河湾を震源とする地震において亡くなられた方の御冥福を心よりお祈りいたします。 また多くの被災者の皆様にお見舞い申し上げますとともに、 一日も早く平穏な生活に戻られることをお祈りいたします。 県としてもできる限りの支援をしていただきますようお願い申し上げます。 さらにことしは台風や集中豪雨による被害が相次ぎ、 それらにより亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、 御家族の皆様、 多くの被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
     それでは質問に入りますが、 八月三十日に施行された第四十五回衆議院議員総選挙において、 我が党は議席の大幅な減少という大敗を喫し野に下ったのであります。 反省するべきことは反省し野に下ったという現実をしっかりと直視した上で、 自由民主党を立て直し土重来を図るものであります。 しかしながら我々の目指すべきものは、 政権が変わろうとも県民の生活の安定と発展、 そして我が静岡県の県勢発展に向けた不断の努力を続けていくことであります。
     これらのことを踏まえ、 初めに知事の政治姿勢について伺います。
     まず一点目は、 平成二十二年度に向けた財政見通しと当初予算編成の考え方についてであります。
     平成二十一年度も半ばとなり、 そろそろ平成二十二年度予算の編成に着手をする準備を始める時期となってきました。 昨年秋にとうとう表面化したサブプライム問題は、 世界経済に物すごく大きな影響を及ぼし、 回復基調に向かいつつあった景気が一気に落ち込み現在も景気低迷が続いており、 企業収益は急速に悪化いたしました。
     本年度の県税収入等も、 当初予算額に対して現時点で四百五十億円程度下回るとの見込みがあります。 さらに県財政の中期見通しでは、 平成二十二年度の財源不足額は四百八十三億円と見込まれており、 平成二十三年度以降も五百億円規模の不足が見込まれております。 今もって景気回復の道筋が見えてこない中、 来年度の県税収入等の見通しはさらに厳しいものであると予想され、 県にとって重要な財源である法人二税及びその他の税の落ち込みは、 予算編成に多大な影響を及ぼすことは言うまでもありません。
     また、 軽油引取税などの暫定税率についても廃止される可能性が非常に高いと考えられることから、 より一層財源に不足が生じる可能性があります。 このような状況を踏まえて、 平成二十二年度に向けた財政見通しと当初予算編成について知事の考えをお伺いいたします。
     二点目は、 六百億円の財源捻出の考え方についてであります。
     知事は、 六月議会において我が党の小楠幹事長の代表質問に対して、 事業仕分けなどの効率的な予算執行を客観的に評価する制度の導入や箱物建設計画のゼロベースでの見直しなどを考えていくと答弁をされております。 事業仕分けについては十月三十一日より三日間で実施するとのことでありますので、 見直しや改善への一歩になったことは評価をするものであります。
     しかしながら知事は、 六百億円の財源捻出は決して容易でないことを認識されているようですし、 先ほど述べたように景気の回復が見込めない中、 今年度以上に財源確保が難しいことも予想され、 よほど大胆な取り組みをしなければ、 この財源捻出はできないのではないか。 また知事は、 四年でできないものは八年たってもできないと言われるように相当の決意を持っておられるようですし、 就任後二カ月が経過し、 今後も精力的に県政運営について取り組んでいこうとする知事の六百億円の財源捻出について、 具体的な考え方をお伺いいたします。
     三点目は、 政策実現のための工程表についてであります。
     六月議会における我が党の小楠幹事長の代表質問に対する答弁の中で、 知事は次期総合計画とマニフェストのすり合わせを行い、 政策実現のための工程表を示していくことを明言されたわけですが、 現在のところ工程表の提示がまだされておりません。 次期総合計画の策定についてはまだまだ時間がかかるものと思いますが、 この九月議会が終わればもう  先ほど述べたとおり  来年度予算の編成作業に着手をしなければなりません。 私は知事の考えておられる工程表は予算編成作業をする上で大変重要なウエートを占めてくるものと考えるわけでありますので、 知事はいつ県民に政策実現のための工程表を提示し、 その道筋を明らかにしていくのか、 また現在の進捗状況はどのようになっているのか、 二点についてお伺いをいたします。
     次に、 八月十一日に発生した駿河湾を震源とする地震を受けての県の対策について何点か伺います。
     一点目は、 初動態勢の状況と今回の地震の教訓等についてであります。
     朝五時七分に駿河湾でマグニチュード六・五の地震が発生し、 県内では最高で震度六弱の強い揺れを観測しております。 県内各地で被害が出ましたが地震の規模の割には被害が少なかったと言われております。 揺れ方にもあったかと思いますが、 我が県が長年にわたり地震対策を行ってきたことが被害を抑えることにもつながっているのではないでしょうか。 しかしながら想定される東海地震は、 今回の地震の百倍以上とも言われておりますので、 今後もより一層の地震対策等の施策推進が必要であります。
     また、 県庁では日ごろから大規模地震等への対応訓練をしてきましたので、 今回の地震において日ごろの訓練の成果が十分に発揮されていたのかどうか、 しっかりと検証をされていることと思います。 今回の地震への対応では、 たまたま今回は道路が寸断されているところもほとんどなかったために、 明け方であったにもかかわらず非常参集はしやすかったと思います。 より大きな地震が起きていたらと考えると、 夜間や休日等における職員の参集は今回とは比較もできない状況が想定をされます。
     そこで、 今回の地震への対応として初動態勢はどのような状況だったのか、 また今回の地震の教訓と今後の対策について県はどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
     二点目は、 公共土木施設等の復旧についてであります。
     今回の地震の被害として牧之原市内の東名高速道路の崩落が大きく報道をされておりましたが、 ちょうどお盆休みと重なったため車の交通に大きな影響が出ました。 そのほか県内においては、 道路や港湾、 学校、 住宅、 店舗などに大きな被害も出ております。 特に駿河湾の西側  牧之原市や焼津市など海沿いの市や町の被害があり、 漁港なども被害を受けております。 復旧の済んでいるところもあれば、 仮復旧の状態で本格的な復旧はこれからというところもあります。 安心して生活ができるようにするためにも国庫補助の対象となる災害については、 できるだけ早く採択できるようにした上で完全復旧を進めなければなりません。
     これらについて、 県としてはいつごろをめどに完全復旧を考えておられるのかお伺いをいたします。
     三点目は、 中山間地の孤立化対策であります。
     我が県は中山間地に多数の集落がありますが、 今回の地震で孤立化した集落がなかったことは大変運がよかったと言わざるを得ません。 先ほどから述べているように、 もっと大きな地震があれば山腹の崩壊や道路の崩落などにより、 間違いなく孤立したであろうと考えられる集落が数多くあるのではないでしょうか。
     静岡空港ができたことにより、 いざというときに県内で活動する救援ヘリなどの拠点が確保できたことはすばらしいことであります。 さらに中山間地で孤立した集落へは、 空からの支援活動や救援活動が重要となることからヘリコプターの着陸地点の確保が必要となります。 現在、 県においては、 学校のグラウンドなど着陸可能地点の調査に入っていると聞いておりますが、 中山間地においては山や樹木、 高圧線など障害となるものも多く、 適地の確保は難しいのではないでしょうか。
     そこで、 将来に向けて、 緊急時用のヘリポートの確保について県の考え方をお伺いいたします。
     四点目は、 中学生、 高校生の防災訓練への参加促進についてであります。
     県全域において数年前より、 十二月の第一週の地域防災の日に中学生や高校生の参加を促すようになってきました。 昨年の数字では中学生が五六%、 高校生が五〇%と半分程度でありますので、 私立学校を含めてより一層の参加促進が必要と考えます。
     大規模地震への備えとして、 中学生、 高校生の力というのは大変大きなものがあります。 私は、 昨年も地区の消防団の分団長として地区の防災訓練に参加をしておりますが、 倒壊家屋からの救出訓練や初期消火訓練等においても、 適切な指導があれば彼らは十分に活動ができるわけです。 また阪神・淡路大震災等を見ればわかるように、 倒壊家屋等から救出された方々の多くは地域の人たちに救出をされているわけです。 このようなことからも、 大規模地震の発生時には一人でも多くの人が必要とされていて、 さまざまな活動に参加してもらうためにも防災訓練への参加促進は必要であります。
     また、 あわせてさまざまな活動をするときに、 安全の確保などきちんとした指導ができる防災指導員の資質向上も必要でありますが、 現状ではまだまだ不十分であることから、 この点については強化策が必要であります。 そこで本年度も数カ月先にある地域防災の日に、 県内すべての中学生、 高校生に訓練に参加をするように指導していくべきであると考えますが、 この点についての県の考えをお伺いいたします。
     次に、 浜岡原子力発電所の耐震安全性について伺います。
     エネルギー白書二〇〇九によると、 原子力発電は我が国の総発電電力量の約四分の一を賄っております。 御前崎市に立地する中部電力唯一の原子力発電所である浜岡原子力発電所は、 エリア内への電力供給に大きな役割を果たしております。 去る八月十一日の地震においては震度六弱の震度を観測し、 運転中だった四号機及び五号機は自動停止をいたしました。 中部電力からは当日外部への放射線の影響はないと発表されております。 後日、 県に対して詳細な報告が出されておりますが、 浜岡原子力発電所で実施している保安活動にかかわる品質マネージメントシステムにおいて、 四十件を超える事例が確認をされております。
     私も専門家ではありませんので、 詳しいことは専門家の判断を待つ必要があります。 ただし今回の地震で五号機の建屋の揺れをあらわす加速度が、 他の建屋に対して大きかったことは何に起因しているのか。 数値としては耐震基準からすれば満たしてはおりますが、 一説によると東海地震のエネルギーは今回の地震の百倍以上と言われていることから考えると、 今後きちんとした検証が必要であります。
     知事は今回の地震を踏まえて、 浜岡原子力発電所の耐震安全性についてどのような認識でおられるのかお伺いをいたします。
     次に、 核燃料税の更新についてであります。
     皆様も御存じのとおり、 我が県では原子力発電所の立地に伴う原子力安全対策、 生業安定対策など、 地域に特有な財政需要を賄うために法定外普通税として核燃料税を昭和五十五年四月に創設し、 以来五年ごとの更新を経て、 現在六期目の課税が行われております。 この税金は地域にとって大変重要な財源となっており、 更新の必要性が訴えられております。
     そこで現在課税されている核燃料税の六期目の課税期間が来年三月に満了することにより、 来年四月以降の課税期間の更新について知事の考えをお伺いをいたします。
     次に、 地方分権について伺います。
     以前より地方分権、 地方主権といったことが声高に叫ばれておりますが、 なかなか前進をいたしません。 これからの時代、 国が権限と財源を握るのではなく、 地方にもっと権限と財源を移譲することが必要であります。 そして国においては、 国家の運営にかかわる外交や防衛、 経済対策などの大きな課題に取り組むべきではないか。 そしてその結果、 小さな政府を目指し地方が受け持つものはどんどん地方に移譲するという形が理想ではないでしょうか。 石川前知事も国からもっと権限を移譲してもらい、 さらに県の持つ権限を市町に移し地方分権の確立を進めるために尽力をされましたが、 川勝知事も同じような考えを持っておられると思います。
     今さら言うまでもありませんが、 ここで重要なことは権限と財源をセットで移譲させなければならないということであります。 そして知事は、 さらに人材の受け入れも考えの中にあると伺っておりますが、 この地方分権についてどのような考えをお持ちなのか、 また具体的な考え方があるのかあわせてお伺いいたします。
     次に、 道州制の考え方について伺います。
     平成十八年二月に第二十八次地方制度調査会の答申が出されてから三年半が経過しようとしております。 この答申は道州制のあり方に関するものですが、 この三年半の間、 国民的な議論が幅広く行われてきたとは言いがたいのであります。 川勝知事は、 道州制のあり方について各地で講演もされており、 また全国知事会の席上でも、 この答申にあるような道州の区域の考え方について、 国が決めたもので英国のスコットランドの事例などを挙げながら反論をされたと伺っております。
     私もこの国の決めた区割りについては、 ただ今までの東海地方などといった固定観念に縛られているものではないか、 また今後の都市基盤整備などによる将来性を考えていないではないかと思います。 私は以前質問の中で、 この道州制のことについて取り上げ、 今の考えではなく山梨や長野といった県も視野に入れてはどうかと提案をいたしましたが、 そのころはまだ道州制への移行は現実のものとは言えませんでした。 しかし政権が交代する中で動きが加速することも考えられ、 我が県としてもしっかりとした考えを持って取り組まないと取り残される可能性があります。
     そこで、 川勝知事は道州制についてどのような考え方をお持ちなのか、 お伺いをいたします。
     次は、 新型インフルエンザ対策についてであります。
     新型インフルエンザは、 本年四月にメキシコでの大流行が確認された後、 世界的に流行しており、 六月にはWHOがフェーズ六への引き上げを宣言いたしました。 夏を迎えても沈静化する様子はなく、 より感染が広がっている状況にあり、 これまでの死者は世界じゅうで三千人を超えました。 また政府も八月下旬には流行期に移行したとの見解を示しております。
     日本を初め世界各地の状況から考えると、 今後大流行する可能性は十分に想定をされます。 特に重症化する可能性が高いと言われている高齢者や妊娠中の方、 乳幼児、 また糖尿病などの基礎疾患のある方などに対してはもちろんのこと、 全県民に対して正確な情報の提供と正しい知識の普及、 さらに感染防止対策及び治療体制の充実など早急に対策を図らねばなりません。
     知事としては今後どのような状況を想定し、 そのためにどのような対策を立てているのかお伺いをいたします。
     次に、 雇用対策について伺います。
     我が県では、 昨年度より国の緊急経済対策に呼応して幅広く雇用経済対策に取り組んできましたが、 本年七月の県内有効求人倍率は〇・三八倍と前月より〇・〇一ポイント低下し十六カ月連続のダウンとなり、 雇用面での改善の兆しは見られず雇用状況の改善にはまだまだ時間がかかるとされています。 仕事をしたくても働くところがないということは、 生活の困窮や労働意欲の喪失といった物心両面においてはかり知れない影響が出ています。 特に県西部地区においては有効求人倍率が〇・二九倍と他地区よりも大変厳しい状況にあり、 経済の先行きが見えない中、 雇用対策は待ったなしの状況にあります。
     知事は、 就任後間もなく静岡県緊急経済・雇用対策会議を開催し、 全庁的な対応策の協議や、 経済界等広く民間の意見を聞きながら対策を立てていると六月議会で答弁をされております。 この九月議会には、 民間からの提案型による雇用創出事業の実施のために二十五億円の補正予算案が提出をされておりますし、 そのほかにも雇用経済対策関連の予算が組まれております。 政権交代による影響として三年間で活用をしていく基金の原資  これはさきの六月議会で議決をしておりますが  新しい政権の対応についても不透明なところがあることから、 来年度以降の事業についての執行を含め今後の雇用対策等について懸念する声もあります。
     そこで、 この雇用創出事業について現在までに民間からどのような提案があり、 その効果についてはどのように考えておられるのか知事の考えをお伺いいたします。
     次に、 農業政策について何点か伺います。
     一点目は、 自給率向上のための取り組みについてであります。
     我が県は、 気候、 風土などの自然条件に恵まれた農作物づくりに最適な県の一つであります。 しかしながら一次産業が生業として成り立たなくなってきているという現実もあり、 農業就労者は高齢化が進み減少の一途をたどっております。 以前より叫ばれている食料自給率の向上は、 世界的な人口増加等による将来の食料危機といったことなどから考えても、 我が国にとって大変重要な課題となっております。 しかしながらこれならば上がるといった具体策が見出せていないのが現実であります。 国民の中で農業と農地保全に対するコンセンサスが得られていない我が国では、 自給率向上はなかなか難しいと考えられますが、 知事が考えている生産額ベースの自給率七〇%を達成するための施策はどのようなものなのかお伺いをいたします。
     二点目は、 農地の集約化とサラリーマン小作についてであります。
     農地を大きく分けると中山間地と平地に分かれます。 中山間地域では、 我が党が六月議会で提出した意見書の中山間地域等直接支払い制度を引き続き実施し、 耕作放棄地の発生防止や集落機能を維持していくことが重要だと考えます。 平地では農作物を安定的に供給するために、 やる気のある人を担い手として農地の集約による大型経営体の育成をしていくことが重要課題であります。 現在は県農業振興公社と県内に十八ある総合農協が資格を有する農地保有合理化法人が、 農地の貸借を行っております。 知事は、 遊休農地・畑地を借り上げてサラリーマン小作を進めていく考えをお持ちですが、 農地の集約化とは対極にあると思われます。
     そこで、 経営の安定化を図るための農地の集約化とサラリーマン小作についての知事の考えをお伺いいたします。
     三点目は、 農林水産品の競争力の強化についてであります。
     現在、 県内には生産農家が価格を決めて販売するファーマーズマーケットが数多くあります。 例えば静岡市には、 JA静岡市が運営するじまん市があり、 地産地消はもちろん顔の見える農作物を消費者が求められるようになってきたことから、 年々店舗数及び買い物に訪れる方も増加をしております。
     このようにそれぞれの生産者が自信を持って提供することにより収入増につなげるとともに、 農業を続けることにやりがいと自信を持って取り組むようになることが、 あすの農業を開いていくことにつながるものと思います。 そして農林水産品が商品としての競争力を高め、 生産者が自信を持ってつくった産物を全国の消費者に売るためには、 トップセールスだけではなく継続性を持った販売促進活動が重要であると考えます。
     そこで、 知事は、 県内の特産品の販売促進を進め、 商品としての競争力を高めるためにどのような取り組みを考えておられるのかお伺いをいたします。
     続いて、 静岡空港に関係して何点か伺います。
     まず一点目は、 搭乗率保証制度についてであります。
     知事は就任後、 静岡空港の視察や空港利用促進のためのトップセールスとして就航先を訪問するなど、 積極的に活動をされておられます。 知事選の際のマニフェストには現在の搭乗率保証制度の見直しが掲げられており、 先月末にJALの西松社長と会談をされたわけです。 記者会見の様子からJAL路線開設にかかわる西松社長の御苦労などもよくわかりましたし、 そのような経緯の中でこの制度が出てきたのではないかと推察をされます。 この話し合いの中で出た機材の変更は、 コストの削減や搭乗率の向上にはつながるが、 反面利用者が不便になるといったこともあります。
     また、 JALの経営状況は大変厳しく、 外資への出資交渉や先日発表された人員の大幅削減、 路線の廃止、 減便といった経営改善計画を考えると、 今後大きく状況が変わることが考えられます。 来年三月までの本年度については、 搭乗率保証についての覚書を交わしている以上、 違約金も発生する契約破棄はなかなか難しいことが考えられ、 県としては搭乗率を上げるための利用促進に優先して取り組むべきものと考えます。 またJALにも同様に努力をしてもらうことが必要であります。
     そこで、 知事は、 搭乗率保証制度について今後どのような見直しを進めていくのか、 また来年度以降については継続するのかどうか、 もし継続する場合には、 目標搭乗率の見直しや目標を上回った場合の協力金についてなど、 どのように考えるのかお伺いをいたします。
     二点目は、 空港部の組織改正についてであります。
     知事は、 今議会に空港部の組織改正の議案を提案されており、 記者会見においても完全開港によって空港部の役割は終わり、 残された課題に対応するための組織改正を行うといった趣旨の発言をされております。
     しかしながら、 空港部としての課題はまだ残っているのではないですか。 土地の収用等に絡む問題はもちろんのこと、 騒音問題についても当初の騒音コンターによる対策から、 開港後に現地調査を行った上で実態に合わせた対策を講じる必要が生じていることや、 隣接地域振興事業などの地元対策も未完了であること、 この組織改正について地元等にきちんとした理解を得られているのかなど、 今まで地元との信頼関係を築きながら進めてきたことをどうするのか。 それ以外にもナイトステイを含めた航空機増への対策など、 将来的な課題が山積しているのではないですか。
     また、 知事自身が静岡と就航先の食と文化などのコラボレーションを提案されるなど、 これから静岡空港の利活用促進をさらに進めていこうというこのときに、 この議案についてどのような考えのもとに提案をされているのかお伺いをいたします。
     三点目は、 空港ターミナルビルの機能向上についてであります。
     知事は就任早々静岡空港の視察を行い、 静岡空港ターミナルビル内の機能について利用者の利便性向上を図る考えを示されました。 そもそもこの静岡空港のターミナルビルの設計に当たっては、 金をかけずに必要最低限の機能を持たせるというコンパクトなターミナルビルをコンセプトの一つとしておりました。 したがって空港利用者に対して利便性の向上や機能向上を考えるとなると、 既存の空港ターミナルビルはもちろん周辺の施設配置なども含めた地区全体の再検討も必要と考えますが、 この点も踏まえ空港ターミナルビルの機能向上にどのように取り組むのか、 知事のお考えをお伺いいたします。
     次に、 公共事業の発注について伺います。
     平成二十年度における建設部が発注した工事の入札が年間で二千八百七件ありました。 そのうち千七百八十八件が指名競争入札で、 残りの千十九件が制限付き一般競争入札となっております。 入札の透明化といった観点から一般競争入札をふやす方向に来ておりますが、 反面さまざまな課題が出てきていることは皆さんも御存じだと思います。
     本年五月に国土交通省は、 最低制限価格制度や低入札価格調査制度の活用に当たり、 建設業が地域の雇用を確保し地域産業の中核として持続的に発展できる観点を加えるよう、 都道府県と政令市に要請をいたしました。 昨年の十二月議会において、 我が党の浜井議員が、 この最低制限価格制度について質問をされており、 県としては請負契約制度検討委員会で検討をし、 見直しがされたと聞いております。
     発注者である県としては安く発注できることにこしたことはないわけですが、 低価格の受注によって下請や孫請会社にしわ寄せが行くことなど、 公共事業の発注において適正な競争がされているとは言いがたいのではないでしょうか。 さらにこのことが結果的に地域経済の活力をそいでしまい、 倒産や失業者増などを誘発していく可能性があります。 また適正な品質の確保がされるのかという懸念も生じてまいります。
     これらの観点から、 公共事業の発注については発注者としての責任も考えて、 過度の価格競争をあおることなく、 適正な価格による発注はもちろん性能や機能を重視するようにしていくべきではないか、 知事の考えをお伺いいたします。
     次に、 教育行政について伺います。
     一点目は、 高校教育における公私格差の是正についてであります。
     さきの総選挙において民主党が勝利し新たな政権ができるのでありますが、 公約として掲げられている政策の一つに、 公立高校の授業料を実質無償化し私立高校についてもある程度の補助をするというものがありますが、 実際に実行されるのかどうかはこれからの話であります。
     平成十八年度の文部科学省の子どもの学習費調査によれば、 一年間で公立高校が約五十二万円に対して、 私立高校が約百四万円と公私立の格差はほぼ二倍であり、 家庭の負担は大変厳しいものがあります。 我が県では公立高校に約七万二千人、 私立高校に約三万二千人が通っており、 約三割を私立高校が担っているのであります。
     また、 我が県においては、 経済的理由などで就学困難な家庭に対しては授業料の減免措置をとっておりますが、 新しい政権の考え方では、 担税力のある家庭いわゆる所得の多い家庭にも補助していくということであります。 私は、 ある意味で公平さを考えると、 所得に応じて負担してもらうことも必要なのではないかと思います。 現状でも公私格差がある中で進学を断念するケースもあり、 今後欧米で行われている教育バウチャー制度などを取り入れることも考えの一つではないでしょうか。
     そこで、 経済的な負担面での高校教育における公私格差の是正について、 教育長の考えをお伺いいたします。
     二点目は、 私学教育への認識についてであります。
     六月議会における花井議員の質問への答弁の中で、 知事は、 我が県では高校における公教育が高く、 有名な私学を挙げるのが難しいと述べられましたが、 教育とは勉学だけではかるものではなく、 部活動や社会的な活動などさまざまな観点から総合的に判断するものではないでしょうか。 県内には一生懸命に子供たちの教育に取り組み、 教育レベルを上げようと努力をしている私学関係者が大勢おり、 幼稚園から大学まで私学が担っている役割は決して少なくありません。
     そこで、 我が県の将来にとって大事な子供たちの教育を考える上で、 知事の私学教育への認識についてお伺いをいたします。
     最後に、 薬物取り締まりの強化について伺います。
     最近、 テレビや新聞、 雑誌等を通じて報道されている酒井法子被告を初め芸能界での薬物乱用の問題は、 日本社会に大きな衝撃を与えております。 特に若年層の罪の意識の欠如も問題で、 自宅などで大麻の栽培を行うなどもってのほかであります。 ここ数年全国では薬物事犯で一万五千人前後が検挙されておりますが、 これらは氷山の一角でしょう。 最近は主婦や学生層などを含め、 年齢構成で言うと十代、 二十代、 三十代で全体の六割強を占めております。 また薬物乱用により、 全く関係のない一般市民が巻き添えになる事件も発生をしております。
     このように、 社会のあらゆるところに広がり深刻な社会問題となっている薬物乱用については、 予防のための意識啓発も重要でありますが、 これらの根絶に向けて今まで以上に厳しい取り締まりが必要ではないでしょうか。 警察による取り締まりに当たっては、 現在は認められていないおとり捜査などの捜査手法のあり方も含めて、 国全体でしっかりとした体制をつくることが必要であります。
     そこで、 あらゆる世代に広がっている薬物乱用に対して、 より一層取り締まりの強化をすべきであるが、 警察本部長の考えをお伺いをいたしまして、 ひとまず私の質問を終わります。 (拍手)
    ○議長 (浜井卓男君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  おはようございます。 山田議員にお答えいたします。
     初めに、 私の政治姿勢についてのうち、 平成二十二年度に向けた財政見通しと当初予算編成の考え方についてであります。
     県税収入において四百五十億円の減収が見込まれる本年度に引き続き、 来年度も大幅な減収が懸念される上、 平成二十一年度当初予算時点の中期見通しにおける四百八十三億円の財源不足に対し、 現時点で活用可能な基金残高は七十八億円にとどまるなど、 大変厳しい財政環境下での当初予算編成となることが確実と見込まれます。
     このため、 まずは県内経済の速やかな景気回復と税収の維持、 復元を図るために、 六月補正に引き続き九月補正においても、 雇用確保、 中小企業支援などの緊急的な対策を中心に、 国の補正予算を最大限に活用し積極的な予算計上を行ったところであります。 あわせて今後徹底した事業の見直しや歳入確保にも取り組みます。 また累次の補正予算等で国が地方に対して約束してきた財源については、 新しい政権下での動向を注視いたしまして、 引き続き予定どおり確保されるよう必要に応じて意見を申し上げ、 全国知事会などとともに活動してまいりたいと考えております。
     来年度当初予算編成におきましては、 歳入確保策や徹底した事業の見直しによる財源確保に向けたあらゆる努力を行った上で、 引き続き雇用経済対策に万全を期すとともに、 教育改革や食と農の改革などに重点的に取り組むことにより、 「富国有徳の日本の理想郷―しずおか」 ないし 「ふじのくに」、 これをつくる第一歩を踏み出してまいりたいと考えております。
     次に、 六百億円の財源捻出の考え方についてであります。
     これまでの行政改革効果に加え、 四年間で六百億円の財源を捻出することは容易ではありません。 しかし従来から取り組んできた歳出のスリム化と歳入の確保努力を強化するとともに、 事業仕分けなどの新たな手法を組み合わせて、 その実現を図ってまいりたいと考えております。
     歳出のスリム化に当たりましては、 内部管理経費の見直しはもとより、 補助金など長期間継続している事業の見直し、 投資的経費、 経常的経費にわたる事業の重点化・効率化、 民間委託などの一層の活用など、 可能な見直しを総動員してスクラップ・アンド・ビルドを進めてまいります。 また本年度から取り組む事業仕分けの結果を予算に反映させるとともに、 予算節約効果を評価する制度につきましても今年度から試行的に導入し、 予算を使い切ろうとする意識の改革も進めたいと考えております。
     一方、 歳入の確保といたしましては、 市町と協力した県税収の確保はもちろんのこと、 未利用財産の売却、 特定目的基金のさらなる有効活用、 利用可能な県債の確保などに取り組んでまいります。 加えて来年度からスタートする新しい行財政改革プランの策定の過程におきましても、 将来の経済状況を見通しながら専門家の皆様からの御意見をいただき、 長期的視点に立った財源捻出にも取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、 政策実現のための工程表についてであります。
     新しい総合計画につきまして、 本県を 「日本の理想郷―ふじのくに」 としていくためのグランドデザインとして、 策定に向けた取り組みを進めているところでございます。 あわせて、 来年度予算編成等に向けた戦略テーマを 「富国有徳の日本の理想郷―しずおか」 ないし 「ふじのくに」、 これをつくるとすることを各部局にお示しいたしまして、 私が提言しております政策の具体化を初め自立した地域の形成に必要な施策や取り組み、 そのスケジュール等を検討するように、 ただいま指示したところでございます。 現在庁内で検討を進めているところでございまして、 今後部局からの提案について政策協議を行い、 来年度に重点的に取り組む課題を設定いたしまして、 予算編成や組織改正に反映させてまいります。
     政策実現のための工程表につきましては、 こうした政策形成の取り組みとすり合わせをしながら作業を進めまして、 必要となる予算などを見定めた上で、 できる限り早い時期に全体像をお示ししたいと考えております。
     次に、 駿河湾を震源とする地震を受けての県の対策についてのうち、 初動態勢の状況及び地震の教訓と今後の対策についてであります。
     今回の地震につきましては、 発生直後、 直ちに災害対策本部を設置するよう危機管理監に指示を出しまして、 午前五時三十分に本部を設置いたしました。 私も直ちに登庁いたしまして、 午前六時には本部員会議を開催し、 各部局長にまずは徹底的に情報収集に努めるように指示をいたしました。 その後は危機管理監を本部長代理とした対策会議を中心に、 主に市町からの情報収集に当たらせました。 結果的には発生後の対応として最も重要である初動態勢がほぼ確保されまして、 市町などからの情報収集も円滑に行うことができたものと考えております。
     しかしながら、 想定される東海地震は、 エネルギー量が今回の地震の少なくとも百倍、 場合によっては二百倍近くというような規模と言われておりまして、 発生初期に多数の職員が集まることが困難となることも予想されます。 このため今後も訓練を積み重ねていく中で、 少人数でも迅速かつ的確な初動態勢をとることができるよう、 訓練内容に工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
     今回の地震から受けた教訓につきましては、 被害が軽くてよかったということで終わるのではなく、 東海地震への備えに対する最大の警鐘を与えられた、 あるいは最後のチャンスを与えられたという思いを持って、 県民の皆様にこの教訓についてじっくりと腹に据えていただきたいと願っております。
     特に昭和五十六年以前に建てられました木造住宅にお住まいの方は、 まずは無料の耐震診断をお受けくださいまして、 耐震性に欠ける場合は補助制度などを活用してくださり、 なるべく早く耐震工事を実施していただくように切にお願いを申し上げます。 その上で家具の固定や三日分以上の食料や飲料水の備蓄をあわせてお願い申し上げます。
     県といたしましても、 今議会におきまして市町へのJ―ALERTの整備や 「TOUKAI―0」 の増額など地震対策予算の補正をお願いしておりますが、 今回の地震を東海地震への警鐘ととらえ、 県民の皆様の安全と安心を確保するため、 地震対策アクションプログラム二〇〇六に掲げた施策、 事業を確実に実施してまいります。
     次に、 原子力政策についてのうち、 核燃料税の更新についてであります。
     核燃料税は、 法定外普通税として昭和五十五年四月に創設し、 その財源をもとに発電所周辺における原子力安全対策、 農業や漁業の生業安定対策、 避難路整備などの民生安定対策を推進してまいりました。 現在五年ごとの六期目となる核燃料税の課税期間は今年度末に終了いたしますが、 原子力発電所立地に伴う財政需要は今後とも相当な額が見込まれますことから、 引き続き課税を継続してまいりたいと考えております。
     税率につきましては、 平成二十二年度以降五年間の財政需要の総額や他県の課税状況などをも踏まえまして、 現行の一〇%を適切な水準に引き上げるという方向で具体的な検討を進めているところでございます。
     今後、 納税義務者である中部電力株式会社の御理解をいただいた上で、 十二月県議会に条例案を御提出申し上げたいと考えております。
     次に、 道州制についてのことでございます。
     道州制につきましては、 平成十八年二月の第二十八次地方制度調査会の答申以降、 政府の道州制ビジョン懇談会を初め、 全国知事会や経済団体などにおきましてさまざまな検討が進められております。 私は、 政府と地方自治体の双方を再構築し、 真の分権型日本、 これを実現するため道州制の導入を推進する必要があるという考えを持っております。
     その内容につきましては、 隣接県との関係など区域の問題を含め、 現在のところ議論が十分に尽くされているとは言いがたいと考えております。 道州の区域につきましては、 アジア地域間競争という現実を踏まえ、 自立できる先進国並みの経済力を持つ広域圏を地域単位として考えるというのが望ましいと考えております。 また道州において国と同等の行政運営を行うためには、 議員御指摘のとおり権限、 財源、 また中央に集まっていると見られる人材をもあわせて国から地域に移譲していくという方向、 この方向性が重要であると考えております。
     本年度は、 道州制をめぐる議論がいよいよ本格化するというふうに想定しております。 議論の状況を注視し、 全国知事会の場などを通して私の考え方を主張してまいりたいと考えております。 この地域を 「日本の理想郷―ふじのくに」 というふうに申し上げるのも、 地域づくりを通して新しい国づくりをしていくという、 そういう思いを込めたネーミングでございます。
     次に、 新型インフルエンザ対策についてでございます。
     今春発生いたしました新型インフルエンザは全国的に感染の拡大が進んでおりますが、 八月二十八日に国が公表いたしました仮定の流行シナリオに基づき本県の状況を試算いたしますと、 中位の推計では、 この秋から冬にかけて五人に一人が発症し、 ピーク時には一日当たりの入院患者数が一千三百人余りに上るというふうに想定されております。
     県といたしましても、 これまでも静岡県新型インフルエンザ保健医療対策行動計画に基づき、 各地域における医療体制の確保や、 抗インフルエンザ治療薬タミフル四十四万人分の備蓄などを進めてまいりました。 今後十月にも感染拡大のピークを迎えると想定されておりますので、 今月八日に対策本部員会議を開催いたしまして、 各部局に当面の対応を指示したところでございます。
     具体的には、 治療薬リレンザの新たな備蓄や全医療機関で患者を受け入れるための支援、 予防・蔓延防止のための研修会の開催、 県民に正しい情報を的確に提供をするための重点広報の実施、 さらには事業者への事業継続計画策定、 これを要請しております。
     今後とも全庁を挙げて取り組みを進め、 新型インフルエンザ対策に万全を期してまいりますので、 県民の皆様におきましても何よりもまず感染を避けるため、 ふだんの日常生活においてうがいや手洗い、 これを心がけていただくということとともに、 感染の疑いがあります場合にはほかの方にうつさないようにマスクを着用するなど、 せきエチケットを御励行していただいて感染拡大の防止に御協力、 お願いを申し上げます。
     次に、 静岡空港についてのうち、 まず搭乗率保証についてであります。
     搭乗率保証制度の導入に至った経緯は十分に認識しております。 県議会におかれましても大変な議論をされた上で附帯決議をいただくことになりました。 その経緯も重く受けとめております。 しかしこの制度は、 日本を代表するとはいえ一企業に対して県が赤字を補てんしようとするものでございまして、 県民が反対もしくは見直すべしと、 その反対、 見直すべしという県民の数が、 八月十一日の新聞報道によりますと九割を超えているという事態でございますので、 このまま容認することはできないと考えております。
     そこで、 先月二十七日に日本航空の西松社長に直接お会い申し上げ、 富士山静岡空港への就航に当たっての本県御出身の西松社長の御尽力に感謝申し上げますとともに、 意思決定権を持つ社長ということで、 意思決定権を持つ者同士の信頼関係が構築できれば搭乗率保証の見直しは議論ができるという認識に至りまして、 この制度の廃止を明確に要望いたしました。 お返事は継続ということでございます。
     県といたしましては、 当面福岡県の需要喚起が喫緊の課題でありますことから、 空港の魅力を高める有識者会議や全庁的な利活用戦略本部での取り組み、 また県議会の皆様にも御参加いただいたふじのくに交流団の福岡県あるいは熊本県への派遣など、 私自身も皆様方と御一緒にあらゆる努力をしているというところでございます。
     今後、 日本航空社内でこの問題が諮られると思いますが、 私の熱意といいますか誠意は本県出身の西松社長に確実に通じたものと確信しておりますので、 双方合意の上この制度が抜本的に見直しができますことを確信し引き続き粘り強く交渉を続けてまいります。
     次に、 空港部の組織改正についてでございます。
     空港部は、 平成十七年八月、 臨時議会にお諮りを申し上げ、 当時企画部内にございました空港建設局を知事直属の部に昇格されたものでございます。 その目的は用地の完全取得、 建設工事の完成、 そして空港運営会社の設立支援等の諸課題を迅速かつ着実に遂行し、 平成二十年度中に開港するためのものでございました。 したがいまして、 位置づけといたしましては平成十七年の夏の部設置当初から、 県議会の本会議及び総務委員会において空港建設に向け時限的に設置した組織として御説明申し上げ、 その前提でお認めいただいたものと認識しております。
     立ち木等の支障物件の問題により完成時期は平成二十一年度にずれ込みましたけれども、 去る八月二十七日に二千五百メートル滑走路による完全運用を開始いたしました。 御案内のとおりでございます。 空港部がこれまで担っておりました空港を建設するという一大の役割は、 大きな節目を迎えたということでございます。
     現在は空港の機能を最大限発揮するという新しい段階に既に入っておりまして、 利活用の視点に立った組織に速やかに発展的に改編していく必要がございます。 まず基盤面におきましては、 今後は空港を、 道路、 港湾、 鉄道などの社会交通基盤全般とのネットワークの中で生かしていく、 陸・海・空の全体のネットワークの中で生かしていくために、 空港施設の整備及び維持管理につきましては、 本県の社会資本整備、 運用を一元的に担う建設部において所管するということにいたしまして、 新たに建設部に空港局を設置いたします。 一方、 空港の利活用につきましては、 既に取り組んではおりますものの全力でさらに取り組むことが喫緊の課題でございまして、 空港建設を主眼とした空港部の視点から組織横断的な総合的視点による利活用への発展的な転換を、 今求められていると思います。 そこで既に富士山静岡空港利活用戦略本部の事務局として全庁挙げての利活用策を推進している企画部におきまして、 利用推進を所管するということといたします。
     なお、 大交流時代に対応して魅力ある静岡県づくりを推進するためには、 観光振興、 文化振興、 国際交流といった視点から空港などの基盤の利活用を図っていく必要がございます。 そのため新たな組織につきましては、 平成二十二年度当初に向けて全庁的な組織改編の中で検討してまいりたいというふうに考えております。
     また、 山田議員御指摘のとおり、 土地収用等に関する課題や航空機騒音協定に基づく騒音対策、 地元の市町に対する隣接地域振興事業の実施などにつきまして、 引き続き県として誠意を持って責任のある対応を図っていく必要があることは重々認識しております。 そこで空港局の中に、 地元の皆様に対する窓口の役割をも明確にした空港地域連携室というものを設置してまいりたいと考えております。 空港地域連携室  地域連携強化室というような意味合いを持った連携室を設置してまいりたいと考えております。
     また、 今回の組織改編に当たりまして、 地元関係者の皆様に対しましては、 空港部幹部職員による九月七日から九日の説明会に加えまして、 昨夕私自身、 牧之原市、 島田市及び吉田町の空港対策協議会を初めとする地元関係団体の役員の皆様に対し、 直接出向きまして御説明申し上げ、 また意見交換を行ったところでございます。
     今後とも、 空港周辺地域のこうした課題の解決に当たりましては、 これまでと同様に地元関係団体、 周辺市町及び地域の住民の方と十分に連携を図っていくことが大切であると考えておりまして、 私自身いつでもどなたにでもお目にかかる用意はございます。
     次に、 教育行政についてのうち、 私学教育への認識についてでございます。
     私も私学出身です。 学の独立というのはやっぱり私学で最も強く言えるものではないかと思いますね。 本県の私立学校は、 それぞれ独自の建学の精神に基づき個性豊かな教育活動を積極的に展開しておられて、 私立高校では運動面や芸術においてすばらしい実績を積み重ねるとともに、 進学面でも着実に成果を上げられておられ、 特に私立幼稚園では心の教育に熱心に取り組まれており、 人格形成の基礎を培っておられるということに敬意を表しております。
     こうしたことから、 本県の私立学校には高校生の三二%、 幼稚園児の六五%が在籍しておりまして、 本県の教育において大きな比重を占めているところでございます。 このように私立学校は、 本県の学校教育の質、 量、 この両面において大変重要な役割を果たしているものと認識しており、 今後ともその独自性と自主性を尊重しつつ、 私学教育の振興に努めてまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長 (浜井卓男君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  駿河湾を震源とする地震を受けての県の対策のうち、 公共土木施設等の復旧についてお答えいたします。
     八月十一日に発生いたしました駿河湾を震源とする地震による、 県に報告がございました公共土木施設等の被害は、 市町の管理分を含めまして平成二十一年の九月七日現在、 百七十三件、 約十七億一千三百万円になっております。 地震の発生後、 土木事務所や港湾管理事務所等が速やかに被災状況の調査を行い、 緊急に対応する必要がある箇所につきましては、 道路の土砂の除去や仮設防護さくの設置、 河川堤防の被害拡大防止用のシートの敷設、 港湾・漁港の岸壁の仮舗装による段差の解消等の応急対策を実施したところであります。
     今後の復旧工事につきましては、 九月から十月にかけまして実施が予定されております国の査定を経まして、 災害復旧事業として採択を受けた後、 工事に着手することとなり、 通常の場合、 当年度中に復旧工事費のおおむね八五%が、 また三年以内に全額が予算措置されることとなっております。 災害復旧工事の実施に当たりましては、 緊急性の高い箇所から優先的に着手し、 県民の皆様が安心して生活できるよう一日でも早い復旧に努めてまいります。
     次に、 公共事業の発注についてであります。
     県では、 これまでにも透明性、 公平性、 競争性に配慮した入札契約制度の改善に取り組んでまいりましたが、 平成十七年の四月一日に施行されました公共工事の品質確保の促進に関する法律、 いわゆる品確法でございますが、 この中で公共工事の品質確保に関し、 価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされることを求めており、 受注者としての適格性を有しない建設業者の排除や、 民間事業者の能力の活用などに配慮することとしております。 このため県では、 入札参加者の技術力や入札価格などを総合的に評価して受注者を決定する総合評価方式による入札に取り組んでいるところであります。
     総合評価方式につきましては、 価格とともに企業の技術力や災害協定の締結状況、 地域貢献などを評価することから、 安全・安心を確保した工事の施工や建設産業の健全な発展などに寄与するものと考えておりまして、 平成十九年度は百二十二件、 平成二十年度は百七十五件実施いたしまして、 本年度は二百二十件を目標としているところでございます。
     今後も総合評価方式の拡大により、 価格だけでなく品質を確保した公共事業の発注に努めてまいります。
    ○議長 (浜井卓男君)  小林危機管理監。
            (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監 (小林佐登志君)  駿河湾を震源とする地震を受けての県の対策についてのうち、 中山間地域の孤立化対策についてお答えいたします。
     地震などの災害時に孤立が予想される集落においては、 救出救助や緊急物資の支援を受けるために、 まず市町村との相互通信手段を確保することが重要であります。 このため県では市町村が衛星携帯電話等を整備する場合、 緊急の対策として県の補助率を二分の一に引き上げ市町村に整備を働きかけてまいりましたが、 整備を必要とする百五十八カ所のうち百三十四カ所が依然として未整備となっておりますので、 今回の地震を契機にいま一度市町村に早急に整備するよう強く働きかけてまいります。
     また、 地震発生後七十二時間は人命救助に全力を注ぐこととしておりますが、 特に孤立予想集落においては、 ヘリコプターによる救援救助が極めて有効な手段となります。 県では現在、 富士山静岡空港を拠点としたヘリコプターによる空のネットワークを形成する構想の策定を進めており、 その中で孤立予想集落についてもヘリポートなどを整備することとしております。
     この構想につきましては、 市町村や自衛隊などの協力を得て県内各地域に整備するヘリポートなどの適地調査を進めている段階にありますが、 三百七十一の孤立予想集落のうち二百七十一の集落で、 ヘリコプターの離着陸や空中でホバリングをして負傷者などをつり上げるスペースの確保が可能であることを、 これまでの調査で確認しております。 今後さらに詳細な調査を行い、 すべての孤立予想集落で空からの救援救助が可能となるよう、 さらに取り組みを進めてまいります。
     次に、 原子力政策についてのうち、 浜岡原子力発電所の耐震安全性についてであります。
     八月十一日の駿河湾を震源とする地震の発生に伴い、 運転中の四号機及び五号機は、 地震の加速度を感知して設定どおり制御棒が挿入され、 その後、 重要となる冷やす機能と放射能を閉じ込める機能が確実に働き、 安全に停止したものと認識しております。 また中部電力からは、 去る九月十日、 今回の地震により確認されたふぐあいな事象については想定外のものはなく、 また安全に影響を与えるものもなかったとの報告を公開の場で受けております。
     なお、 五号機で設計時の想定を超える大きな揺れが観測されましたが、 この事象につきましては、 国が中部電力に対し設備への影響評価を行うことや、 大きな揺れとなった要因などについて調査を指示しておりますので、 県といたしましては今後この検証や評価結果について国や事業者からの説明を求め、 県民の安全・安心を確保するよう努めてまいります。
    ○議長 (浜井卓男君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  駿河湾を震源とする地震を受けての県の対策についてのうち、 中学生、 高校生の防災訓練への参加促進についてお答えいたします。
     東海地震の切迫性が指摘され県内各地で高齢化が進む中、 県民の生命・財産を守るため地域の防災力を一層強化することが求められており、 議員御指摘のとおり、 中高生の地震防災訓練への参加を促し防災の担い手として育てていくことは大変重要であると考えております。 八月二十九日に袋井市を中心に実施された県総合防災訓練におきましては、 市内の数多くの中高生が負傷者の搬送訓練等を体験しており、 自主防災の代表者からも、 「災害弱者の救助には地域の中高生ら若者の存在は非常に大きい」 と彼らに期待する感想が聞かれました。
     県教育委員会といたしましても、 地域防災訓練への中高生の参加については、 全生徒が参加することを目指して部活動や模擬試験の日程を調整するなど、 生徒が参加しやすい環境を整備するよう各学校を指導しているところであります。 今後も地域の自主防災組織と関係機関との連携を進めるとともに、 中高生が地域において果たす役割を明確化し、 自分たちが役に立っていることを実感できる訓練となるよう努めることで参加率の一層の向上を図ってまいります。
     次に、 教育行政についてのうち、 高校教育における公私格差の是正についてであります。
     議員御指摘の教育バウチャー制度については、 どのような仕組みを設けるかにもよりますが、 授業料などの公私格差が軽減され、 公立、 私立の区別なく学校を自由に選べるようになるなどのメリットがある一方、 一部人気のある学校だけに予算が集中し、 学校間の格差が拡大するなどのデメリットもあると認識しております。
     私立学校におきましては、 建学の精神に基づいた独自の運営方針や教育内容を有しており、 そこに魅力を感じて多少お金がかかっても入学したいと考える方々もかなりの数に上ることは事実でありますので、 同じ公教育を担うものとして、 公立、 私立がお互いのよさをそれぞれ生かしながら後期中等教育の教育機関として存在することが、 価値観の多様化する今日の社会にあって、 生徒、 保護者の選択肢をふやすという意味でも重要であると考えます。
     子供たちが自分の将来を見据え、 そこから自分に合った学校を自由に選択できるよう、 高校生の子供を持つ家庭の学校教育における経済的負担は、 公立、 私立を問わず少ないほうが望ましいと考えております。
    ○議長 (浜井卓男君)  大村総務部長。
            (総務部長 大村慎一君登壇)
    ○総務部長 (大村慎一君)  地方分権についてお答えをいたします。
     地域の主権型社会を確立するためには、 住民に身近な行政サービスは、 できる限り住民に身近な基礎自治体である市町村において実施することが重要であると考えております。 このため地方自治体の行財政基盤の強化とともに、 地域のことは地域が決めることができるよう、 国から地方へ、 また都道府県から市町村への権限移譲を進め、 さらに市町村におきましてもNPOやボランティアなどにゆだねられることはゆだねる、 自立と共存姿勢が重要であると考えております。
     本県では、 権限移譲を円滑に行うために、 これまで四次にわたる権限移譲の推進計画を策定しまして、 全国で最も多い百二十の法律上の権限の移譲を行ってきたところでございますが、 今後さらに市町の自立性を高めることができるように、 権限、 財源、 人材の三位一体による一層の権限移譲を進めるとともに、 地域からの自発的な市町の合併に対する支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。
     また、 あわせて現在国の第二期地方分権改革において取り組まれております税財政の改革ですとか、 義務づけ、 枠づけの見直しなどこういったものの確実な実施とともに、 国の出先機関改革ですとか、 これに伴う必要な人材の移管などが適切に進められるように全国知事会が設置を要望しております仮称ですが地方行財政会議、 こういった場を活用しまして知事を先頭に意見を申し述べまして、 地方の権限が拡充し事務執行の自由度が高まる方向で地方分権改革が進められるよう、 今後とも取り組んでまいりたいと考えております。 以上です。
    ○議長 (浜井卓男君)  堀川産業部長。
            (産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○産業部長 (堀川知廣君)  雇用対策についてお答えいたします。
     本県の有効求人倍率が過去最低を更新する中で、 本年度後半にかけて失業給付が終了し収入が途切れ、 生活に困窮する失業者が急増する懸念があることから、 県では緊急雇用創出事業臨時特例基金等を活用した雇用創出事業について、 民間からアイデアを募集するなど全庁を挙げて取り組んでいるところであります。
     御質問のNPOや企業など民間団体からの事業提案につきましては、 八月三十一日募集を開始し現在募集中ではありますが、 昨日十五日時点での実績は緊急雇用創出事業が十一件、 雇用創出見込み百十六人、 ふるさと雇用再生特別対策事業が十六件、 雇用創出見込み四十六人となっており、 産業振興、 介護・福祉など幅広い分野から御提案をいただいております。 これらの事業につきましては今後九月末までに採択事業を決定し、 予算案の議決後、 直ちに実施していくこととしております。
     今後とも一人でも多くの失業者が一日でも早く就業機会が得られるよう、 民間提案を今後も随時募集し、 できるものから速やかに事業を実施していくなど積極的、 効果的な雇用創出に取り組んでまいります。
     次に、 農業政策についてのうち、 まず自給率向上のための取り組みについてであります。
     国が算出した生産額ベースの本県の食料自給率には、 本県の主要な農産物であり農業産出額の二割を占めるお茶が含まれておりません。 本県の生産額ベースの自給率については、 お茶を含めますと六割を超えると試算しているところでありますが、 これをさらに七割以上にするためには、 農産物の付加価値の向上と生産量の拡大、 この両者の取り組みが重要であります。
     このため県といたしましては、 農産物の付加価値を高めるため、 新技術や新商品の開発と普及、 消費者ニーズに合った新しい商品の開発への支援、 農芸品とも言える本県農産物のブランド化の推進に取り組んでまいります。 また耕作放棄地を再生して野菜などの生産を拡大したり、 水田を年間利用して活用することなどを進めることにより生産量の拡大を図ってまいります。 農産物の付加価値向上と生産量の拡大に市町や農業団体等と連携して積極的に取り組むことにより、 自給率七〇%を目指してまいります。
     次に、 農地の集約化とサラリーマン小作についてであります。
     本県農業を持続的に発展させていくためには、 ビジネス経営体を核とした農業構造を構築していくことが重要であると考えております。 このため経営規模の拡大を目指す経営体に農地の集積や高性能機械の導入などの支援を行っており、 こうした取り組みにより、 現在ビジネス経営体が三百三十一経営体、 県の農産物の販売額に占める割合が二四%を占めるまでになっています。
     また、 最近新しく農業に取り組もうとする人たちが多くなっていることから、 耕作放棄地の解消を図りながら本格的な農業の体験ができるモデル農園の開設を進めることとしております。 サラリーマンの方など新たに農業を始めようとする方々には、 このモデル農園において農作物の栽培に取り組んでもらうことを考えています。 この中で本格的に農業経営を行いたいと考える方々には、 将来的にはサラリーマン時代に培った経験や能力を生かしていただいて、 ビジネス経営体を目指していただければと考えているところであります。
     今後とも、 市町や関係団体と連携し意欲的な経営体に農地の集積を進めることなどにより、 本県の農業の持続的な発展を図ってまいります。
     次に、 農林水産品の競争力の強化についてであります。
     本県で生産される高品質な農芸品とも言える農林水産物の競争力を強化するには、 ブランド力を高めることが重要であります。 このため、 県では本県の農産物の半数以上を出荷している首都圏の卸売市場においてトップセールスを毎年実施しているほか、 大口需要者が来場する商談会への出展支援、 スーパーマーケットでの本県農林水産物の常設販売コーナーの設置など、 流通業者から消費者に至るすべての方々に高品質な本県農林水産物のPRを実施しております。
     また、 生産段階では、 例えばお茶では流通業者などと連携し、 より付加価値の高いしずおか新銘茶づくりに取り組み、 例えばイチゴでは甘くておいしい 「紅ほっぺ」 の生産技術の改善に取り組んでおります。 さらに消費者の安心・安全志向の高まりにこたえるための認証制度の普及や、 しずおか農商工連携基金事業により新商品、 新サービスの開発支援なども行っているところであります。
     今後も、 本県農林水産物がより多くブランド品として認められ競争力が高まるよう、 関係団体等と連携して積極的に取り組んでまいります。
    ○議長 (浜井卓男君)  岩ア空港部長。
            (空港部長 岩ア富夫君登壇)
    ○空港部長 (岩ア富夫君)  富士山静岡空港についてのうち、 空港ターミナルビルの機能向上についてお答えいたします。
     富士山静岡空港の旅客ターミナルビルは、 県の需要予測に対応できる規模、 機能を備えるとともに、 ユニバーサルデザインや環境等にも配慮しコンパクトながら将来の拡張にも対応できる施設として、 富士山静岡空港株式会社により整備されたものであります。 しかしながら、 実際に開港して利用者の生の声に接してみますと改善すべき課題も多くあることが明らかになり、 できるところから改善に努めてはいるもののまだまだ十分とは言えないと考えております。
     こうしたことから県では、 旅客ターミナルビルがおもてなしの心にあふれた施設となるよう、 空港の魅力を高める有識者会議や知事を本部長とする戦略本部会議で検討されたさまざまな改善案を富士山静岡空港株式会社にお示しするとともに、 同社と連携して利便性の向上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
     さらに、 富士山静岡空港は富士山を正面に美しい茶畑や緑豊かな自然環境に恵まれた場所にありますことから、 こうした地の利を生かし文化や歴史などさまざまな地域の魅力を引き出して、 空港の利活用の促進に資するとともに、 空港周辺地域の振興にもつながるようなグランドデザインを描いてまいりたいと考えております。
    ○議長 (浜井卓男君)  原田警察本部長。
            (警察本部長 原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長 (原田宗宏君)  薬物取り締まりの強化についてお答えいたします。
     まず、 本県における薬物事犯の検挙状況でありますが、 本年八月末現在三百三十人を検挙しており、 全体の約八割が覚せい剤です。 覚せい剤事犯は近年大きな変化は見られませんが、 県西部でコントロールド・デリバリー捜査により、 密売目的で大量のコカインを密輸したペルー人親子を検挙し、 また大麻を大量に栽培していたモーリシャス人を検挙するなど、 供給を遮断する捜査に力を入れているところであります。
     一方、 大麻事犯での検挙人員は増加しており、 従来から十歳代、 二十歳代が多いものの、 インターネットなどで容易に手に入るような状況であることが懸念されます。 大麻事犯についてはオランダでは合法化されているかのような正確でない情報  この点につきましては在オランダ日本人大使館のホームページを見ますと、 「大麻等のソフトドラッグと呼ばれる麻薬についても、 いわゆるコーヒーショップと称される店舗での販売、 所持及び使用は、 訴追されないとはいえ違法であり、 犯罪行為です」 というふうに書かれております  その他大麻は無害であるかのような間違った認識を、 こうした情報を正すための広報啓発活動や検挙がやや後手に回ったと感じております。 社会を挙げて正しい認識を持ち、 厳しく対処していくことが何より重要であることを再確認したところであります。
     薬物の密売組織による犯行手口は広域化、 巧妙化しており、 これに対して取り締まり機関もコントロールド・デリバリーなどの捜査手法を駆使してはいるものの、 例えば通信傍受の実施は、 平成二十年中、 全国で八件、 本県ではゼロ件というような状況であり、 またおとり捜査や司法取引など諸外国で一般的な捜査手法も我が国では認められていないという制約もあって、 組織の実態解明や情報収集には困難を極めております。
     このように厳しい状況ではありますが、 今後も取り締まり体制の強化、 国際協力、 再乱用防止策、 諸啓発活動の推進などを諸機関にお願いしていくとともに、 税関、 海上保安庁などの関係機関と連携した水際対策の推進や暴力団や外国人による組織的な密輸・密売事件の摘発強化、 薬物末端乱用者の徹底した検挙に努め、 薬物乱用事犯の根絶に取り組んでまいる所存であります。
    ○議長 (浜井卓男君)  十六番 山田 誠君。
            (十六番 山田 誠君登壇)
    ○十六番 (山田 誠君)  答弁をいただきました。 その中で何点か伺いたいと思います。
     時間が余りありませんので簡潔にいきたいと思いますが、 知事が六百億円の財源捻出の中で今後予算節約評価、 そういったものも導入していくという形を考えておられるということですが、 これについてどのようなものを考えておられるのか。 またいつまでに  これは年度中にやらないと予算節約の評価ができない可能性もありますので  いつごろまでにそれを、 お考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
     それから防災の関係でありますけど、 地震対策の中で、 今後訓練の内容も若干見直しも必要じゃないかなということを言っておられるわけですが、 私は大きい地震であればあるほど来れる可能性のある人が少ないということから考えると、 これは職能ではなくて県庁から数キロ以内とかいう職員、 ですから若い人から年をいった人まですべて、 その緊急の場合はそういう人たちで運営していくというようなことも一つの考え方ではないかと、 そういったことも考えていただければ、 また訓練の内容の中でいろんなさまざまな条件設定というものが必要じゃないか、 また組織の中だけで動くんではなくて、 そういった横断的なことも考える必要があるんではないかと思います。 これは私の要望としておきます。
     それから空港の関係を聞きますと、 空港部は建設するため、 そして用地確保、 また開港すればそれでよしというような形でおっしゃられたわけですが、 やはり時間の経過とともに当然役割というものも変わってくるわけです。 かなりのいろんな状況が出てきてる中、 例えばきょうの日経新聞  これは具体的な話がまだはっきりしてませんのでわかりませんが  日経新聞にだけは静岡空港についての路線の廃止もJALは考えてるという  三年間の中でですね  そういったこともあるわけです。
     そういった状況の中で、 今現在八月に辞令が出されておりますが、 これについては今の企画部長を中心とした戦略本部事務局の中に、 企画部の企画調整局の参事ということで空港部の就航促進室の参事が入っておりますし、 また兼務発令ということで、 産業部また空港部は利用推進室、 就航促進室、 これは全員がもうこの中に入ってるわけです。 もう八月十四日に異動、 兼務辞令がもう発令されてる。
     そういったことを考えると、 もう十分に機能を始めてるということ。 であるならばこそ、 その後出てきた空港部の組織改正というものはもうここでできないということを言っているのか、 ましてやもう一つの新しい地域の対策のための室をつくると。 逆に言うとやはりこれから非常に厳しいというのは、 人件費の削減というわけだけじゃなくて組織のスリム化も必要なわけです。 そういった中で組織がまた分かれていく。 そしてまたこれはもともと空港部をつくるときにもいろいろな話があったわけですが、 いろんな部に多岐にわたっていくとどこが責任を持つのか、 要はこの場合、 企画部が責任を持つのか建設部が責任を持つのかということもはっきり答弁を、 私聞きたいと思います。 そういったことで本当に課題というものは幾つもあるわけです。
     また、 先ほど地元関係者の説明にきのうも知事自身が出向いたということでありますけど、 きょうの新聞を見ますと知事は、 「いや、 きのうのは説明じゃなくて、 地元の人たちとのまず人間関係をつくることで行ったんだ」 というふうなことで新聞に出てるわけですが、 どちらが本当の思いなのかちょっと聞かせていただきたいと。 私自身非常にその点がちょっと心配だなと思っております。
     それ以外に農業の問題でいけば、 この農業については知事が答弁をされずに産業部長が答弁をされたわけですが、 新しい政府がちょうどきょうできます。 その民主党の公約の中では、 当初はアメリカとのFTA  自由貿易協定を締結するということ、 これが今度は促進というマニフェスト  途中で変わりましたけど  ただそれに向けて、 今度は農作物について特に主要産物である米とかそういった物については外しますと言ってますけど、 これは二〇〇七年ですね、 第二次のアーミテージ報告というのが出てます。 リチャード・アーミテージさん、 これは私が別に説明するまでもないと思います。 この中でアーミテージさん自身は、 自由化については今までリンゴ、 牛肉、 オレンジのような既に自由化が行われた部分に見られるように、 野菜や果物、 米の農家は間違いなく有機栽培のような高品質の特異分野に転換するだろう、 だから自由化は農業においてさえも日米にとってウイン・ウインの提案になり得ると言ってるわけです。
     ということは、 もう向こうはその気でいるのに、 そういったことが出てきてる。 その中で今度は静岡県、 振り返ってみると静岡県の農業というのに、 やはり野菜も果物も若干米も入ってる。 そういう中で、 本当に日本の農業を、 あるいは静岡県の農業をしっかり守っていくのか、 そういったことについて、 知事はこの自由貿易協定というものを、 経済の専門家でありますのでよく御存じだと思いますが、 やはり県農業に与える影響、 それについてどう考えておられるのかお伺いをしたいと思います。
     それから道州制の問題でありますが、 自立できる地域をやはりエリアとして考えていきたいと知事はおっしゃられました。 私もそれであれば一番いいわけです。 自分たちの地域は自分たちで自立してつくっていく、 これが大きな重要な柱だと思いますので、 やはりその中で知事が考える広さというんでしょうか、 おおむねこのくらいかなというものが、 もしお考えが具体的にあればお伺いをしたいと思います。
     それで最後にもう一つ、 私学教育の件でありますが、 私の質問の趣旨が若干わかりにくかったのかもしれませんが、 六月議会における花井議員の質問の答弁の中で、 知事が 「有名な私学を挙げるのが難しい」 と述べられた、 その真意をぜひお聞かせいただきたいと思います。
     やはりこの有名な私学っていうのは……。 私は私学、 一生懸命頑張ってると思ってるもんですから、 私自身も私学の出身者でありますけど、 知事も…… (発言する者あり) 何という学校だっていうもんですから、 この前甲子園に野球で出場させていただきました常葉学園橘高校でありますけど。 やはりそういったところで真意をぜひ聞かせていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。 (拍手)
    ○議長 (浜井卓男君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  まず第一の財源の捻出についてでございますけれども、 事業仕分けというものをしていくということで、 九月の十日にそれをしていただく構想日本の代表の加藤秀樹さんに県の幹部に御説明いただきまして、 かなりの理解を得られたものと思っております。
     そこで、 今まで二十余りの事業仕分けをなさってこられて、 これは県、 市町、 国に及んでるわけですけれども、 五%から一〇%ぐらいの財源を節減できるという実績を上げておられます。 その結果をまず待ちたいと思うんですが、 それとあわせて予算を使い切る単年度主義っていうのを改めて、 各部局において予算の効率的な執行を推進するという目的から、 ひとり一改革の改革成果のうち経費節減効果のある取り組み、 これを評価の対象といたしまして審査いたします。 ひとり一改革の改革成果の部でエントリーのあった取り組みについて、 二月補正における節減額を確認いたしまして、 そして内部審査委員会で取り組み内容を審査すると。 その上でインセンティブを評してまいりたいと。 節減努力を行った部局に対しましては、 二十二年度当初予算編成において、 節減額の一部を枠配分する、 部局長調整費への上乗せを想定しております。 この試行の取り組みを踏まえまして、 来年度以降に本格的に実施していくというようなことも考えております。
     それから空港にかかわることでございますが、 大変重要な御指摘をいただきましてありがとうございます。
     現在、 空港開港後の利活用の状況を見まして、 八月十四日付で空港部就航促進室の参事を企画部に異動いたしました。 それからまた、 産業部観光局長や空港部部長代理以下、 利用推進室それから就航促進室の職員全員を企画部兼務としております。 どうしてかといいますと、 これは今回御提案申し上げている完全運用後の組織改編、 これに向けまして円滑に事務が進むように先に兼務をかけたというものでございまして、 利活用推進を全庁的に挙げてやっていくために待ったなしの課題であるということで、 組織改編を待たずに早急に利活用戦略本部を立ち上げる必要からということでございます。 兼務をかけましたのはむしろ、 今回の組織改編につなげる準備行為であったというふうに御理解いただきたいと存じます。
     昨夕の島田、 それから牧之原、 吉田町の皆様、 これは初めてお目にかかるということで、 じかにお目にかかるということにおきましてはとりあえず双方の信頼関係を持つことが一番大切です。 私どもとしましては、 現在空港部がこのような状況になってるということを、 これまでの経緯を踏まえて、 八月二十七日の全面開港を一つの節目としてこれからは地域連携を深めてまいりますということを申し上げにまいりまして、 そして地域連携を深めるために私に何ができますかということを御質問申し上げたところ、 それぞれ島田、 牧之原、 それから吉田町のほうから、 責任者の方々が時間をはるかに超過して、 いろいろな御要望やあるいは問題、 これを投げかけてくださいました。
     それに対してこれで終わったと全然思っておりません。 その日にも申し上げましたとおり、 これをスタートといたしまして、 これから随時回をなるべく重ねまして地元の理解を深めつつ、 これからの地域連携を深めてまいりたいと。 地域のためにつくるのであります。 そういうことでございます。
     それから、 先ほど日経の記事のことを言われましたでしょうか。 きょう新聞記事に出たということは私も拝読いたしましたけれども、 まず事実関係を確かめたいと思っております。
     ただ、 そもそもJALと覚書を取り交わしましたが、 それは利用促進の方策について合意しているんでありますから、 向こう三年以内に撤退するというのは、 その趣旨に反しているということは間違いないというふうに思っております。 とりあえずこの事実確認をしました上で、 対処してまいりたいというふうに思っております。
     それから、 農産物の自由化につきましてはいろいろと問題があります。 ともかく本県のワサビ、 あるいはミカン、 あるいはイチゴ、 あるいはメロン、 こうしたものは、 食料自給率の中に入っておりますが、 お茶は食料自給率の中には入っておりません。 こうしたものをまず励ますことが大事ですね。
     去る日曜日、 アメリカ中西部  農産物が非常によくできるところでありますが  中西部の知事さん、 経済界の方々の代表者と日本の知事さんとの交流会というのが昔からございまして、 私この間初めて参りましたところ、 ウィスコンシン州というのを御存じでしょうか、 そこの知事ドイルさん  ガバナー・ドイルと大変親しくなりました。 ドイルさんのガバンされているウィスコンシン州というのはキッコーマン醤油で有名です。 一九七二年にキッコーマンが最初の工場をつくった。 だれもしょうゆなんか使う、 そういう食文化を持ってないところにつくられました。 それが今、 五百六十万のウィスコンシン州民はもとより、 今、 和食ブームで健康ブームで、 和食にはキッコーマンというセットはよく知られて、 今、 東部でも大変なキッコーマンばやりでございます。
     キッコーマンには和食がよく似合います。 和食にはお茶が似合うわけです。 それでトップセールスというほどでもありませんがよくお話しますと、 まずその懇親会に行っても近寄ってこられて、 「あなたの言うことはおもしろい。 これまでは型どおりだったけれども」 ということだったんですが、 「お酒を召し上がられないですね、 どうしてですか」 って聞くと、 「自分は緑茶が好きだ」 とおっしゃる。 ところが、 緑茶が何とウィスコンシン州では手に入りにくい。 リーフで飲むという習慣もないので、 自分はそれをしてるけれども、 もしそれがボトルであれば大変ありがたいとおっしゃる。 「ペットボトルないんですか」 と、 「ないんです」 と。 「うちはいやほどある」 と。 いやほどってことはありませんがお茶はたっぷりある。 向こうは御承知のようにラッパ飲みする文化です。 ビールにしてもあるいはコカコーラにしても、 瓶から直接飲むというような、 そういう食文化を持たれているわけですね。
     それで、 そこにキッコーマンの会長の茂木友三郎さんがいらっしゃったので、 彼は英語ができますので三者でですね。 キッコーマンというのはもう既に一九七二年から物すごい販売網を持ってるわけです。 ジャパン・フード・コーポレーションといいましたでしょうか、 その担当者が来ておられる。 海外事業部長も来てる。 私はキッコーマンの販売網を使って、 和食に合う、 キッコーマンに合う、 日本の最も品質の高い味のいい静岡茶を提供できるけれどもどうかと。 すぐにそれをしたいということで、 今、 産業部長の堀川さん以下、 それから世界緑茶協会というのが水の森ビルにございますが、 そこと連携をとり、 さらにまた本県には幾つかボトルでお茶を提供してる会社がございます。 そうしたものを全部取り寄せまして、 それを見本として向こうに送り、 そして向こうのテイストに合ったものを向こうのラベルにわかるような形で取りかえて売っていこうということでございます。
     そういうふうなこともやりまして、 本県の自給率という特定の、 いわば食品に対してのみ注目されるものから、 多種多彩な  どういうように言ったらいいのか  その食材の充足率とでも言うべきそういうものを、 本県の特徴、 あるいは健康とそれから本県の農産物活性化に、 農業活性化に役立つようなものとして、 今それを考えております。 自由化にも十分に耐えられるようにしてまいりたいというふうに思っております。
     先ほど公共事業の評価方法として、 市場価格だけではなくて価格と品質ということが二つの柱になるということが言われました。 これは食材において最もよく当てはまることです。 肉が来た。 しかし向こうの肉はおはしでは切れません。 向こうからミカンが、 オレンジがやってくる。 そのミカンは手でむけません、 グレープフルーツだったですから。 向こうからサクランボがやってきました。 毒々しいですね、 おいしいですけれど。 安いけれども日本の物とは違う。 したがってその価格だけで人は物を買うわけではないのであります。
     ですから、 そういう観点からすると、 ふじのくにの農産物は農芸品だということでしっかりと高くても売れると、 いや、 高いから売れるというようなことができるということで、 決して農産物の自由化でいつも負け腰になってるというわけではないわけでございます。
     それから、 私学と公立の話ですが、 私は公設民営方式の私立大学の静岡文化芸術大学を預かっていたわけです。 それが公立になるっていうんで、 「いや、 そもそも独立行政法人を先取りしたもので、 これは私学へ向けた第一歩だから、 そちらのほうがいいんじゃないか」 というふうに言いましたところ、 県の方々は、 「公立になったほうが、 優秀な学生さんが受けに来る」 と言われるんですね。 とりあえずそれは県風土があるのかと思いましてね、 そうした私の二年余りにおける静岡文化芸術大学における経験が言わしめたものでありますが、 山田議員と同じく私は高校もそれから大学も私立です。 ただ、 公立のほうが親御さんにとってはこれは授業料が安くなりますから、 それは親孝行になるということは言えると思います。
     しかし、 私学には建学の精神というものがあって、 そうしたものがやっぱり私学の特徴ですね。 私は早稲田ですけど大隈精神、 慶応なら福沢さん、 東海大学なら松前さん、 こういうそれぞれすばらしい人格がその学校の発展を支えています。 そうした意味におきまして、 私は私学に対して何の偏見も持っておりません。 以上でございます。
    ○議長 (浜井卓男君)  これで山田誠君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

    ○副議長 (堀江龍一君)  ただいまから会議を再開します。
     知事から発言を求められておりますので、 これを許します。
     川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  山田議員から再質問の際にたくさんの御質問をちょうだいいたしまして、 答弁漏れがございました。 大変失礼いたしました。
     空港部の組織改正についてでございます。
     組織改正後の責任の所在についてでありますが、 今回の空港部の改編では、 現在の利用推進室及び就航促進室が担っている空港の利活用につきましては利活用戦略本部を所管している企画部に移します。 また現在の空港管理室及び整備室が担っている騒音対策、 隣接地域振興事業など地元対策を含め、 空港施設の整備及び維持管理につきましては建設部に空港局を設けて移管します。 その空港局の中に、 地域の地元の皆様に対する窓口の役割も明確にした空港地域連携室を設置してまいりたいと考えております。  
     したがいまして、 両部に移管される業務につきましては、 それぞれの部で責任を持ってしっかりと対応してまいります。 もちろん当たり前のことでございますけれども、 最終的な責任は県知事である私が持つということでございます。
     もう一つの御質問、 私の考える道州の広さはどのくらいのものかということでございます。
     御案内のように地方制度調査会の中間報告等で出てきておりますのは、 道州の区域につきましては、 九から十三の三つの案が出ておりますですね。 本県は東海ないし中部に位置づけられているというわけであります。
     これとは別に、 国土審議会の中で国土形成計画というのがございますけれども、 国土形成計画の中でも北海道と沖縄は別にして八つの地域に分けるというふうな区分けがなされているわけでございますけれども、 こうした区分けはよくごらんになりますと、 国の出先機関の所轄の地域単位になっているんですね。 したがって出先機関に  例えば国交省ですと東北地方整備局に東北ブロックとして国の出先機関をそこで  出先機関に建設部あるいは運輸部を移せばいいという、 それなんですね。 ですから、 真に地域の自立を考えているかというとそうではないということです。
     一方、 日本は東京を中心に国をつくってまいりました。 東京というのは東京だけでほぼカナダに近い経済力を持っております。 つまり先進国並みであるということですね。 その東京に対抗するといいますか、 東京と均衡できるだけの地域単位ということになりますと、 例えば本県では日本海側と太平洋側を結ぶということがとても大事になってまいります。 それでちょうど言ってみれば東京に匹敵するぐらいの大きさができるということです。 いわばカナダ並みあるいはカナダに少しまさる地域力を持っていることになります。 東海北陸自動車道であるとかあるいは中部横断自動車道であるとか、 そうしたことが重要であると言われているのはそうした背景によるものであると思いますですね。
     そういう意味におきまして私は、 先進国並みの地域単位ということをどの地域も持つということが大切だと。 そうしますと日本は大体五百兆円ぐらいですから、 GDPの規模が。 カナダは大体八十兆から九十兆、 もちろんこれは年によってドルベースで換算されますから上下がありますけれども、 大体カナダが六つ分ぐらいということでございます。 六つの地域に分けるというふうになりますと、 大体日本には所得格差が最近高まったとはいえですね、 ほぼ均衡された形でございます。 そうすると北海道・東北でほぼカナダ並み、 東京でカナダ並み、 東京以外の首都圏でカナダ並み。 それから中部  これは北陸・中部ですけれども、 日本の胴体部分で東京並みといいますかカナダ並み。 それから近畿圏がほぼ八十五兆円です。 中国・四国・九州で大体同じぐらいになります。 そうすると、 どの地域にも国の権限、 財源、 人材を移しても、 カナダが先進国を経営するためのノウハウというのはそれが生かせるわけですね。
     そのときに果たして現在の静岡県が今のまま存在しているかというと、 それは難しいと思います。 そういうことを念頭に置いて道州ということを考えねばならないということでございます。
     ただ一方、 したがって最低六つぐらいだというのが私の考えです。 ただし東京というのは首都圏と言われますように、 非常にまとまりやすいのはそれはいわば平野という風土的特性を共有しているからです。 首都圏全体で見ますと、 いわゆる関東平野全体に立ってみれば、 これはもうフランス並みですから。 ですから、 先進国というとアメリカ、 ドイツ、 日本、 イギリス、 フランス、 カナダ、 イタリアとこう並ぶわけですけれども、 そうしますと、 やはりもう一カ所ぐらい中部と近畿が組むとか、 あるいは近畿以西西日本として一つとして組むとかいうふうな、 そういう考え方も出てくるでしょうね。 今のところそういうことを言ってる人は私以外ないようです。 それが私の考えでございます。 ありがとうございました。

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