本会議会議録
議会補足文書
令和元年12月静岡県議会定例会
【 知事提案説明 】 発言日: 12/02/2019 会派名: |
○議長(鈴木利幸君) 議事日程により、知事提出議案第百五十二号から第百八十六号までを一括して議題とし、知事の説明を求めます。
川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について所信並びに諸般の報告を申し述べます。
初めに、去る十月十二日に伊豆半島に上陸した台風十九号につきましては関東甲信越から東北地方にかけて記録的な暴風雨となり、県内におきましてもとうとい人命が失われました。また多くの家屋の損壊や浸水が発生し停電、断水に加え道路、河川、港湾、漁港等の公共土木施設、農作物や農林水産施設などに甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。また被災された皆様に対しまして衷心よりお見舞いを申し上げます。
災害救助等に当たりましては、自衛隊による災害派遣や国土交通省中部地方整備局による排水ポンプ車の派遣など関係機関から御支援を賜りありがたく心より感謝を申し上げます。
県といたしましては、家屋の被害が特に大きい伊豆の国市及び函南町に災害救助法を適用するとともに、市町の災害対策本部の運営や家屋の被害の認定、被災者の健康相談、土木施設の被害調査など多岐にわたる業務を支援するために職員を派遣し応急対策と迅速な復旧に努めてまいりました。また家屋の損壊等の被害に遭われた方々に対しましては被災者生活再建支援法等に基づき一日も早い生活再建を図ってまいります。
被災された農林漁業者、中小企業者の方々に対しましては事業の再開、継続を支援するための融資制度を直ちに発動したほか、ビニールハウス等の農業生産施設の再建等についても支援をいたします。公共土木施設につきましては、既に緊急性の高い箇所の応急対策を実施したところであり国の災害査定後速やかに復旧工事を実施いたします。
また、今回の被災原因を踏まえ河川整備を初め減災対策を強力に推進いたします。引き続き国の激甚災害指定等に伴う各種制度を最大限活用し、被災された方々の生活再建と被災施設の早期復旧に全力を傾注してまいります。
続いて、県政の概要について御報告申し上げます。
初めに、地方創生についてであります。
我が国が直面する人口減少、超高齢化を克服し地方創生を実現するため新たな羅針盤、次期総合戦略の策定に全県を挙げて取り組んでおります。今議会の常任委員会におきまして総合戦略等の素案を御審議いただくとともに、パブリックコメントや美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生県民会議などを通じて県民の皆様から幅広く御意見を伺い計画の実効性を高めてまいります。
令和へと世は改まり新たな時代を迎えた今、本県の英知を結集しオール静岡で取り組みを推進することで新しい日本の未来を拓くSDGsの地方モデルを構築することができるものと確信いたしております。今議会や県民の皆様の御意見を反映した上で改めて二月県議会定例会で御審議を賜り今年度中に成案を得てまいりますので、引き続き県議会の皆様の御支援と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
次に、安全・安心な地域づくりについてであります。
地域防災力の強化につきましては、十一月の地震防災強化月間では、防災力 人の和 知恵の和 地域の和をスローガンとして市町や自主防災組織等が連携し家庭内の生活物資の備蓄、ハザードマップの確認などの自助の取り組み、避難行動要支援者に対する支援や中学生、高校生の訓練への参加などの共助の取り組みを重点的に実施いたしました。
こうした取り組みに加え昨日の地域防災の日には、相次ぐ台風被害の経験や教訓も踏まえ県内全域で地域の特性や災害危険度を考慮して洪水や津波からの避難、住民による避難所運営などさまざまな実践的訓練を実施いたしました。今後もみずからの命はみずから守る自助、みずからの地域は皆で守る共助の体制を強化し公助と連携した地域防災力を充実してまいります。
県民の健康寿命のさらなる延伸を担う人材を育成する、仮称でございますが静岡社会健康医学大学院大学につきましては去る十月二十五日文部科学省に大学設置認可申請書を提出いたしました。現在大学設置・大学法人審議会において全体計画や教員資格などの審査が行われております。
学長につきましては、京都大学名誉教授の宮地良樹氏をお迎えいたします。宮地氏は平成二十八年度から社会健康医学の推進に関する検討委員会の委員として大学院大学の具体化に向けた議論の中心的な役割を担っていただいております。また平成三十年度からは静岡県立総合病院リサーチサポートセンター長として本県の社会健康医学研究を先導していただいており、また本県御出身者でもございまして初代学長として最もふさわしい方であります。
施設の整備につきましては、環境衛生科学研究所に先行して旧静岡県赤十字血液センターを改修することとし必要な経費を補正予算案に盛り込んだところであります。令和三年四月の開学に向けて万全の準備を進めてまいります。
次に、ICT人材の確保・育成についてであります。
本年七月に開催した県内企業と首都圏のICTベンチャーとのマッチングを図る商談会、TECH BEAT Shizuokaの成功を機に現在複数の協業事例が生まれております。またAIやICTの活用が期待される農業分野や医療分野などへの展開も図ってまいります。具体的には来年三月先端農業技術の開発拠点AOI―PARCにおきまして商談会を開催いたします。そのほかICTベンチャーが有する最新鋭の技術を活用したデモンストレーションなども実施いたします。さまざまな分野においてICTベンチャーと県内企業等との協業を促進し本県産業の発展に寄与するICT人材の確保・育成に取り組んでまいります。
次に、茶業の振興についてであります。
本県茶業の再生は官民の総力を結集して取り組まなければならない喫緊の課題であります。このため生産者、茶商、加工業者を初め飲料、機械メーカー、大学、研究機関、マーケティングの専門家、関係団体などからなるこれまでにない静岡茶のブランド価値を生み出すための新たなプラットホーム、チャ・オープン・イノベーション・フォーラムの設立に向けて準備を進めております。
さらに、本県茶業の再生を担う研究拠点としては新しく整備する茶業研究センターはチャ・オープン・イノベーション・プラクティカル・アンド・アプライド・リサーチ・センターの頭文字をとった略称、ChaOI―PARCとして機能を強化いたします。センターが長い歴史の中で培ってまいりました育種、栽培等のデータを基盤とし産学官民によるオープンイノベーションのもとAIやロボット、遺伝子解析技術などを導入いたします。またフォーラムとも連携し出口戦略を見据えた研究開発に取り組み、茶業現場への先端生産技術の実装を促進するなど本県茶業の振興に全力で取り組んでまいります。
次に、CSF 豚コレラ対策についてであります。
本年十月藤枝市でクラシカル・スワイン・フィーバーの頭文字をとった略称CSF、いわゆる豚コレラに感染した野生イノシシが確認されました。そのことから直ちにCSF防疫対策本部を立ち上げ全ての農場に対して緊急消毒用の消石灰を配布し一斉消毒を実施いたしました。先月三日からは飼育豚への予防的ワクチンの接種を開始し、十八日には対象となる全ての飼育豚への接種が完了いたしました。今後は接種からおおむね四週間以上経過した後に抗体検査を実施しまして効果を確認いたします。
また、野生イノシシへの経口ワクチンの散布を浜松市、湖西市、静岡市、島田市、藤枝市、川根本町で実施しているほか、今月からは富士宮市、富士市、御殿場市、小山町においても開始するよう準備を進めております。さらに野生動物の侵入防止柵の設置につきまして農家の負担がないよう支援するなど養豚農場へのウイルス侵入を全力で阻止いたします。今後も関係市町、生産者団体、隣接県や農林水産省と連携をしてCSF対策に万全を期してまいります。
次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。
六月六日に発出いたしました中間意見書に対するJR東海からの回答に関して県中央新幹線環境保全連絡会議の地質構造・水資源及び生物多様性専門部会における対話を踏まえ、いまだ検討が不十分な四十七項目を引き続き対話を要する事項として取りまとめ九月三十日にJR東海に送付いたしました。十月二十四日には今後の対話の促進のため国土交通省の藤田事務次官が県庁にお越しになり国土交通省が交通整理をさせていただきたいとのお話をいただきました。現在国土交通省、県、JR東海の三者において新たな枠組みを検討しているところであります。
リニア中央新幹線トンネル工事により大井川の貴重な水資源とユネスコエコパークとして世界的に認められている豊かな生態系や生物多様性が失われかねず、そして何よりも大井川中流域、下流域における住民の皆様の生活、産業等さまざまな分野に深刻かつ重大な悪影響を及ぼしかねません。このため国土交通省鉄道局だけではなく環境省、農林水産省等々水資源、自然環境に関連する省庁を挙げてこの不測の事態に対処していただくことが必要であります。引き続き県民の皆様の不安が払拭されるよう全力で取り組んでまいります。
次に、ラグビーワールドカップ二〇一九についてであります。
先月二日静岡県民はもとより国民を熱狂と興奮の渦に巻き込んだラグビーワールドカップ二〇一九が大盛況のうちに幕を閉じました。日本代表は予選プール四戦全勝で悲願の決勝トーナメント進出を果たしベストエイトにまで登り詰めるという歴史的快挙をなし遂げました。特に九月二十八日にエコパスタジアムにおきまして日本がアイルランドに勝利した一戦は、シズオカ・ショックとして国内外を驚嘆させシズオカの名が世界中を駆けめぐりました。
また、本県で開催した四試合の観客数は東京、横浜以外の地方開催都市で行われた試合の上位四位を独占しその累計は約十七万六千人となりました。交通輸送、警備、ボランティア等の運営も円滑に進みました。ファンゾーンも連日大盛況となり県民全体がラグビーの世界最高峰の祭典に酔いしれた四十四日間となりました。
今後、ラグビーワールドカップの開催効果を教育、観光、産業などさまざまな分野に波及させるとともに大会の開催により培われた有形、無形のレガシーを後世に継承していくための取り組みを進めてまいります。
次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについてであります。
オリンピック・パラリンピック開催年となる二〇二〇年を間近に控え、テストイベントの検証結果を踏まえた交通輸送対策や暑さ対策、最高のおもてなしを行うためのボランティアの養成、記念イベント、観戦勧奨による機運の醸成など準備が加速しております。今後は聖火リレーを初め都市装飾、ライブサイトといった大会を盛り上げるための各種の催しの準備を本格化するなど大会本番に向けて県内市町や関係団体と一丸となりましてさらにスピード感を持って取り組んでまいります。
次に、文化力の拠点の形成についてであります。
東静岡駅南口県有地に整備する文化力の拠点につきましては、老朽化が進んだ県立中央図書館を全面移転せざるを得ないという従来の想定とは異なる状況となりました。そこで平成二十九年九月に新たな県立中央図書館を中心とした施設を先行整備することになった次第であります。この方針のもと庁内のプロジェクトチームにおきまして導入する機能や事業スキームなどの具体化を進めております。
先行整備といたしまして、まずは県有地の東側エリアにおいて拠点の中核となる県立中央図書館、新しい知的空間、大学コンソーシアムの拠点、AI・ICTの拠点、食・茶・花の都の五つの機能の整備を県が主体となって進めてまいります。この第一期の整備により東静岡ならではの魅力的な空間づくりを進め、多様な人々を引きつける東静岡の顔となるエリアを形成し民間による第二期の整備につなげてまいります。
本県の高い文化力を発信するとともに多様な交流により新たな文化を創造する魅力ある拠点の早期実現に向けて取り組んでまいります。
次に、東京ガールズコレクションTGCしずおか二〇二〇についてであります。
昨年度に引き続き日本最大級のファッションイベント、東京ガールズコレクションTGCしずおか二〇二〇が前回の成功を受けて来月十一日ツインメッセ静岡を会場として開催される運びとなりました。現在主催者である東京ガールズコレクション実行委員会や静岡市と連携し、若者を引きつけ静岡らしい魅力あるイベントとなるように県内の若い世代の御意見を伺いながら準備を進めています。本県の地域産業や観光、食などの多彩なコンテンツを盛り込んだ静岡県ステージやプロモーションビデオなどを通じ県内外の若者が本県を訪れてみたい、住んでみたいと感じられるよう世界クラスの本県の魅力を最大限発信してまいります。
次に、遠州灘海浜公園篠原地区の基本計画策定についてであります。
去る七月中旬から十月中旬にかけて遠州灘海浜公園における整備が望まれる野球場等のスポーツ施設やレクリエーション施設について約三千百人の県民の皆様やスポーツ関係二十四団体、野球、ソフトボール三百五十三チームから大変貴重な御意見をいただきました。スポーツ施設につきましては新球場ではプロ野球やアマチュア野球などの試合を見たい、野球以外も楽しめるボールパークが望ましい、アスレチックやクライミング施設等を整備してほしいなどの御意見やレクリエーション施設につきましては、バーベキューやピクニック施設の整備を望むなどの御意見がございました。今後野球場等のスポーツ施設やレクリエーション施設につきまして複数のプランを作成し県議会、県民の皆様の御意見を伺いながら基本計画案の策定を進めてまいります。
次に、富十山静岡空港についてであります。
富士山静岡空港の十月までの搭乗者は四十八万三千人余りとなりました。七十万人を超えた前年度を上回るペースで好調に推移しております。十月末からの冬ダイヤでは中国東方航空が新たに南昌線を週二往復で運航を開始したほか、本県と友好関係にある浙江省の省都杭州を結ぶ路線を週二往復から週七往復に増便いたしました。こうした新規就航や増便は県民の皆様の御理解、御支援に加え、これまでの航空会社や関係団体等と連携した利用促進の取り組みと本年四月の運営権制度移行による具体的な成果の一つと捉えております。
今後も、中国などからのインバウンド需要を確実に取り込むことができるよう富士山静岡空港株式会社と連携し航空ネットワークの一層の充実に向けて取り組んでまいります。
次に、令和二年度当初予算の編成についてであります。
令和二年度は誰もが活躍できる社会の形成、人口減少や超高齢化に適応した持続可能な社会の形成など新ビジョンの最重点施策を積極的に展開し、SDGsのフロントランナーとして世界のモデル、国際社会のロールモデルとなる安全・安心で美しいふじのくにづくりを加速してまいります。
一方、来年度の収支を見通しますと地方消費税率の引き上げに伴い地方税や地方交付税などの一般財源総額は今年度を上回る水準を確保できるものの、社会保障経費などの義務的経費が増加いたしますため財源不足額の拡大が見込まれ、新ビジョンが目指す収支均衡の財政運営を実現するためには財源不足額の圧縮が不可欠であります。このためエビデンスに基づく事業評価を強化し現場に精通する部局長のマネジメントのもと課題解決に直結する効果的な手法への転換、ビルド・アンド・スクラップ、すなわちシュンペーターのいわゆる創造的破壊による真に必要な事業の選択などに徹底して取り組みまして引き続き健全財政を堅持してまいります。
次に、議案のうち主な案件についてその概要を御説明申し上げます。
第百五十二号議案は、令和元年度一般会計補正予算であります。
台風十五号及び十九号による災害対応や給与改定、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催を契機とした誘客促進等に要する経費など三十億五千四百万円の補正を行うほか、債務負担行為及び繰越明許費の補正を行うものであります。
第百五十三号議案から第百五十九号議案までは、特別会計及び企業会計について給与改定に要する経費や繰越明許費等の補正を行うものであります。
第百六十四号議案は、原子力安全対策等の財政需要に対応するため核燃料税を引き続き五年間賦課徴収するための条例の制定であります。
第百六十六号議案は、静岡県医学修学研修資金の返還債務の免除の条件を改めるための条例の改正であります。
第百六十九号議案から第百七十五号議案までは、土木工事等の契約の締結、変更についてお諮りするものであります。
第百八十五号議案及び第百八十六号議案は、任期満了に伴う収用委員会委員及び土地利用審査会委員等の任命について同意を求めるものであります。
以上で私の説明を終わりますが、適切なる御議決をお願いする次第であります。
○議長(鈴木利幸君) 以上で説明は終わりました。
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