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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田形 誠 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/04/2015

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 平成二十八年度当初予算編成方針                
 (2) 地方創生の実現に向けた市町との連携              
 (3) TPP協定交渉の大筋合意に伴う今後の本県経済産業政策     
2 静岡式三十五人学級編制について                 
3 安全・安心な暮らしの実現について                
 (1) 交通安全対策                         
 (2) サイバー犯罪対策                       
4 ひきこもり支援センターについて                 
5 災害への備えについて                      
 (1) 地域防災力の強化                       
 (2) 風水害対策                          
 (3) 海岸保全施設の維持管理                    
6 地域外交について                        
7 移住・定住の促進について                    
8 憧れを集める魅力の創出について                 
 (1) ラグビーワールドカップ二〇一九                
 (2) 観光地の魅力向上                       
9 食の都づくりの推進について                   
10 働き方の見直しとワーク・ライフ・バランスの推進について     
11 工業用水道事業のあり方について 


○副議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二十二番 田形 誠君。
       (二十二番 田形 誠君登壇 拍手)
○二十二番(田形 誠君) このたび、新会派ふじのくに県民クラブとして新たな歩みを踏み出すこととなりました。会派一同より一層の努力をしてまいりますことをこの場をかりてお誓い申し上げる次第でございます。また前身であるふじのくに県議団が掲げてきた四つの政策理念「命」「豊」「人」「礎」については今後も継承して政策推進に取り組んでまいります。
 それでは、ふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題について、知事、関係部局長、企業局長、教育長、警察本部長に一括方式で質問をいたします。
 初めに、政策テーマ「礎」として、知事の政治姿勢について三点伺います。
 一点目は、平成二十八年度当初予算編成方針についてであります。
 来年度当初予算の財政収支試算では、三百八十五億円の財源不足が見込まれております。これに対し基金を二百五十五億円活用し、残りの百三十億円については部局の事業見直しと予算編成作業によって捻出するという方針が示されております。事業見直しのうち経費のカットについては本年度と比べ十五億円も多く一層大変な状況ではありますけれども、全庁を挙げて難局を乗り越えていただきたいと思います。
 こうした厳しい財政状況ではありますが、川勝知事が平成二十一年の就任以来掲げている日本の理想郷ふじのくにづくりもいよいよ総仕上げの時期が近づいております。知事の二期目の任期は来年で四年目を迎え、マラソンに例えるのであれば三十五キロ地点、まさに正念場の時期だと思います。人口減少社会への挑戦、新成長産業の育成と雇用創造、エネルギーの地産地消など後期アクションプランに掲げている八つの重点項目をより一層加速して、ふじのくにづくりのゴールを目指していく必要があると考えます。
 県民幸福度の最大化を目指すふじのくにづくりの総仕上げに向け、後期アクションプランの取り組みを着実に推進するため平成二十八年度の当初予算編成についてどのような考え方で臨まれるのか伺います。
 二点目といたしまして、地方創生の実現に向けた市町との連携について伺います。
 去る十月二十六日に、県の長期人口ビジョンと総合戦略が策定されました。この総合戦略においては若い世代の子供を二人以上持ちたいとする希望をかなえること、東京圏への一極集中に歯どめをかけること、日本一安全・安心な県土を築き県民の不安を払拭することが目指すべき将来の方向として定められ、これらの実現に向け五年間で集中して取り組む施策について県の方針が示されました。こうした個々の県の施策についてはこれから来年度当初予算編成において具体的に議論されていくものと理解をしております。
 一方で、地方創生を着実に推進していくためには基礎自治体である市町が主体となってみずからの将来を考え、施策を実施していくことが重要となります。
 県内では、十月末時点で二十二の市町が総合戦略を策定し、残りの市町も本年度中の策定に向けて作業を進めていると伺っております。
 これまでも、県、市町それぞれの総合戦略の策定に当たりましては美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生地域会議などを通じて地域づくりの方向性などを県から示し、市町はそれを勘案して策定作業を進めてきたものと思われます。
 今後、県と市町はそれぞれの戦略の実現に向けて取り組んでいくものと思いますけれども、地方創生を着実に進めていくためには県と市町の連携も必要と考えますが、県の所見を伺います。
 三点目は、TPP協定交渉の大筋合意に伴う今後の本県経済産業政策についてであります。
 平成二十二年三月、八カ国で交渉を開始したTPP――環太平洋連携協定は平成二十五年七月に我が国が参加をし、平成二十七年十月五日、参加十二カ国によるTPP交渉閣僚会合で五年七カ月余の歳月を要した交渉が大筋合意に至りました。参加国の経済規模は世界全体の四割を占める三千百兆円、また人口の合計では世界全体の一割を占める約八億人ということであり、TPPはアジア太平洋地域に巨大な経済圏を創造し、関税だけでなくサービスや投資といった広い分野での二十一世紀型、自由で公平なルールを構築する試みであります。これにより我が国の貿易は過去に例のない自由化を迎えるものと考えます。関税の撤廃により特に農業分野では不安の声が多く上がっておりますが政府による万全の対策を期待するとともに、足腰を鍛え競争力を身につけるチャンスと捉えこれを生かしていくことが求められます。一方で我が国の輸出を支える工業製品についてはTPP全体での関税撤廃率が品目数ベースで九九・九%となることから製造業を中心に輸出拡大には追い風となり、プラスの効果が期待されております。政府は去る十一月二十五日、TPPが我が国の経済再生、地方創生に直結するものとするための総合的なTPP関連政策大綱を発表したところであります。
 このTPPは、参加十二カ国全ての批准によって発効するとされております。この間それぞれの政府内での合意署名、議会承認といった手続を経る必要があることから発効にはそれなりの時間を要するものと思われますけれども、県はTPP協定による本県経済への影響をどのように捉え、またその影響に対して今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、政策テーマ「人」に当たるものとして、静岡式三十五人学級編制について伺います。
 子供たちの健やかな成長のため、社会総がかりでの教育体制が今求められております。とりわけ子供たちが多くの時間を過ごす学校においては学習、生活、安全の面から教員の目が一人でも多くの児童生徒に行き渡ることがとても大切です。本県では全国に先駆け義務教育の全学年で三十五人学級が編制されておりますが、少人数学級の実現によるうれしい声が聞こえてまいります。宿題を丁寧に見てもらえてうれしい、勉強でつまずいたときの声かけは非常にありがたいです、子供が先生と話す時間がふえた等々であります。一方で小学三年生以上ということになりますと、一クラス二十五人という下限の設定があるため県内で三十六人以上の学級が多数存在しており、こうしたクラスに在籍する児童からは以前と比べ先生と話す機会が減った、話をしたいけど先生が忙しそうなどの声も上がっているようであります。親の経済格差や考え方の多様化によって学習意欲や学力の低下が懸念されている今だからこそ、先生と子供たちが向き合う時間を確保する必要があると考えます。
 国におきましては、今、教育予算をめぐって財務省と文部科学省との駆け引きがなされているさなかでありますけれども、人口減少社会に突入した今、未来を担う子供たちの資質向上が求められ、そのためには教育環境の確立が大変重要だと私は思います。
 静岡式三十五人学級編制の継続や充実についてどのように考えているのか、教育長の所見を伺います。
 ここからは、政策理念「命」に関する質問となります。
 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、交通安全対策について伺います。
 現代社会において、車両は生活や仕事に欠かすことはできません。その反面常に交通事故という危険な側面もあわせ持っております。ひとたび交通事故が発生すれば被害者としてけがをしたり命を落としたりする一方で、加害者として刑事罰や民事罰などを受け、中には重い十字架を背負わざるを得ない、そうした人たちを生み出していることも事実であります。
 交通事故をなくし安全で安心して暮らせる社会を実現するため、県では昭和四十六年度以降九次にわたって交通安全計画を作成し、長年交通安全対策を強力に実施してきました。その結果、平成二十六年には県内の交通事故による死者数は百四十三人と記録のある昭和二十八年以降最少となりました。しかしことしの事故状況を見てみますと、十月末現在の人身交通事故は前年を約六百件下回ってはいるものの死者数は百二十六人と前年の同時期と比べ十八人も増加をし、第九次交通安全計画に掲げる年間死者数を百二十人以下にするという目標は既に超えてしまいました。
 ことしの死者数百二十六人の主な内訳は、道路を横断中の歩行者がはねられたことによるものが前年より八人多い三十五人、交差点での出会い頭の事故による死者数が前年より二人多い二十三人となっております。こうした事故が起きる根底には自分だけは事故を起こさないといった過信、交通事故は他人ごとといった油断があるものと考えられます。車両が仕事や生活の足として重要な役割を担っている以上、誰もが加害者にもそして被害者にもなる可能性があることは否定できません。事故を未然に防ぐには警察による指導や取り締まりだけではなく交通安全に関する県民全体の意識レベルを底上げし、一人一人が事故を減らすための具体的な取り組みを実践していくような施策を県が主導していく必要があると考えます。
 県では、今後どのような施策に重点的に取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、サイバー犯罪対策についてであります。
 インターネットが国民生活や経済活動に不可欠な基盤として定着しております。サイバー空間が国民の日常生活の一部となる中、サイバー攻撃による日本年金機構の情報流出やインターネットバンキングにかかわる不正送金事案、最近ではマイナンバー制度の施行に伴い個人情報が漏えいしているなどの不審なメールが増加するなどサイバー空間の脅威は日常生活に浸透し、日々深刻化しております。八月末に内閣府から公表されたインターネット上の安全・安心に関する世論調査では、サイバー攻撃に不安があるとの回答が八五%、今後インターネットを利用した犯罪がふえるとの回答が九三%に達しております。さらに警察に対してはインターネット犯罪の監視の充実強化を求める声が最多を占め、また取り締まり要望の高いインターネット上の犯罪としては児童が性的被害に遭う児童買春、オークション詐欺などが挙げられておりました。
 政府は、こうした実情を踏まえサイバーセキュリティ戦略を策定いたしました。これを受けて警察庁では警察におけるサイバーセキュリティ戦略を制定し、十月初旬には警察庁から都道府県警察に対して人材の育成や資機材の整備、全ての部門の連携、民間との連携の推進などが示されたと伺っております。
 県警では、ことし四月サイバー犯罪対策課を新設し取り締まりなどに大きな成果を挙げてきているものとは承知をしておりますけれども、日々深刻化、巧妙化するサイバー犯罪に的確に対応するためにも先制的かつ能動的な取り組みがより求められているのではないかと考えます。
 そこで、本県におけるサイバー犯罪の現状と、県警として今後のサイバー犯罪にどのように取り組んでいくのか、警察本部長の所見を伺います。
 次に、ひきこもり支援センターについて伺います。
 ひきこもりは、それぞれの家庭において非常にデリケートな問題であります。社会参加を回避した状態が長期化し、社会生活への再開が著しく困難となり、当事者や家族が社会的な支援を必要とする状態になって初めて問題として表出することから、実数を把握することが難しいと言われております。
 厚生労働省が作成したひきこもりの評価・支援に関するガイドラインでは、最も信頼性の高い調査の結果として、六カ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態にある方が全国の約二十六万世帯にいるとしております。この結果から推計いたしますと本県にも約七千世帯でひきこもり状態にある方がいるものと思われます。ひきこもりは長期化すると年相応の社会経験を積む機会を失い、回復にも時間がかかると言われております。また相談機関の支援を受け始めても当事者に改善が見られないと途中で諦めてしまう人もいると聞いております。回復に時間がかかるひきこもり支援は、当事者や家族の気持ちに寄り添い丁寧な対応を継続していく必要があります。
 県では、平成二十五年度にひきこもり支援センターを開設いたしました。相談窓口を一元化して支援に取り組んでおりますけれども、開設後二年を経過したことから、ひきこもり支援センターの現状と課題について伺います。
 次に、災害への備えについてのうち、まず地域防災力の強化について伺います。
 県では、平成七年に発生をした阪神・淡路大震災の教訓から静岡県地震対策推進条例を制定しました。この条例では県民はみずからの命はみずから守る、みずからの地域はみんなで守るという地震対策の基本に立ち、家庭や事業所における地震対策、地域における住民の相互協力による防災活動を行う必要があるとしております。県では市町などと連携し自助、共助の向上による地域防災力の強化を図ってまいりました。
 本県では、昭和十九年十二月七日に発生した東南海地震にちなみ毎年十二月の第一日曜日を地域防災の日として定め、自主防災組織などを主体とした地域防災訓練を実施しております。本年度は今月六日に実施をし、今回で三十三回目となります。このような訓練を長期間継続して行ってきたことは県民が地震や津波に対する意識を高める効果があったと思います。そしてこの間には東日本大震災も発生しており、訓練の内容も当初のものからは見直されているものと考えられます。
 東日本大震災の状況を踏まえ、それ以降に実施した地域防災訓練の成果について伺います。
 また、現状では訓練内容のマンネリ化などが懸念をされます。これまでの地域防災訓練では居住地で予想される被害の再確認、家庭内での備えの確認、住民だけでできる初期消火や救出救助の訓練など重点的な項目を県で示しております。とはいえ実際に行う内容については自主防災組織などの現場に委ねられております。地域の自主性を重んじてのことかと思われますけれども、結果として訓練そのものがマンネリ化している地域があるように感じてなりません。
 訓練による目的意識の向上なくして地域防災力の強化を図ることは困難です。地元住民が訓練に対して改めて目的意識を持っていただけるような工夫が必要ではないかと思いますが所見を伺います。
 次に、風水害対策についてであります。
 近年、全国的に大雨やゲリラ豪雨の発生頻度が増加しております。本年の九月には台風十八号に伴う関東・東北豪雨により鬼怒川流域では観測史上最多となる雨量が観測され、堤防が決壊するなど各地で甚大な浸水被害に見舞われました。
 県内では、とりわけ浜松市において台風接近に伴う秋雨前線により南部を中心に強い雨が断続的に降り、二百五十ミリを超える雨量が観測されました。これに伴い至るところで床上浸水被害や道路冠水などが発生したほか、市街地を流れる馬込川を初め芳川、安間川の流域で避難勧告が発令をされました。幸いにして河川の氾濫はありませんでしたけれども、馬込川の支川流域では現在の治水施設規模を上回る降雨であったため内水氾濫が発生をしました。今後も地球温暖化に伴う気候変動により大雨での降水量の増加やゲリラ豪雨の頻発化などが予想され、水害が激甚化するのではないかと危惧するところであります。また国土交通省では先般の関東・東北豪雨災害を踏まえ、全国どこでも豪雨災害は発生し得るとの認識のもと、避難を促す緊急行動としてトップセミナーや堤防の共同点検など首長や地域住民を支援する緊急行動に着手しているところであります。
 これらを踏まえ、県においても県内全域で風水害対策を一層推進していくべきであると考えますが、河川管理者として今後どのように風水害対策を推進していくのか、県の方針を伺います。
 次に、海岸保全施設の維持管理についてであります。
 本県は、沿岸約五百六キロメートルの海岸線を有しており、沿岸部は台風による高波や高潮などの厳しい自然条件にさらされており、南海トラフ地震による津波も想定されております。そのため沿岸部に集中する人口や資産などを守るため、防潮堤や離岸堤などさまざまな対策が進められてきました。あわせて全体的に侵食傾向にある県内の砂浜海岸においては侵食対策も進められており、一定の効果があらわれております。しかし近年の温暖化に伴う海水面の上昇や台風の巨大化などが海岸保全に与える影響が懸念をされており、引き続き施設整備などの取り組みが必要であると考えます。
 こうした課題に対応するため、新たな知見を取り入れた津波高の見直しや海岸保全施設の維持管理の方針を盛り込んだ海岸保全基本計画の変更が年内を目途に進められております。この中で県が取りまとめた海岸保全施設の老朽化の状況によりますと、本県において五十年を経過する施設の全体に占める割合が二〇一〇年時点で三割以下であるのに対し、二〇三〇年には八割以上となることが報告をされました。これは全国の四割から七割への増加と比較しても老朽化の進展が顕著であり、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づく施設整備の推進とともに、老朽化への対応も今後の大きな課題であることが明らかになりました。
 今後は、策定中の海岸保全基本計画に基づき施設の整備と維持管理を進めていくことになりますが、施設の老朽化が進み対策が必要となる施設が増加する中で海岸保全施設の維持管理についてどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 これよりは、政策テーマ「豊」について質問をいたします。
 まずは、地域外交について伺います。
 知事は、就任以来友好的互恵・互助を基本とする地域外交を県政の主要施策の一つに据え、展開をされております。
 この夏、三十三年の長きにわたり交流を続けている中国浙江省で友好交流卓球大会が開催をされました。知事もみずから出席をされ、浙江省の夏宝龍書記、李強省長などと親密な会談ができたと伺っております。またモンゴルではサイハンビレグ総理大臣など五人の大臣と会談をされたほか工業・農牧業省との経済分野での協力に関する覚書を昨年調印したのに続き、ことしは教育・文化・科学省と教育分野などでの協力に関する覚書の調印がなされたように、一つの自治体がモンゴル国という一国との外交をなし遂げるなど、本県の地域外交は日本国内でも先駆的な存在であると私は思います。
 こうした地域外交の成果がますます県民生活に反映されるように、本県の地域外交を進めていく必要があると考えますが、今後どのようにこの地域外交に取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、移住・定住の促進について伺います。
 先ほども述べました美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略では、本県への新しい人の流れをつくるため移住・定住を促進することとしております。
 一方、東京への一極集中の是正という観点では、東京在住者を対象とした調査において東京から移住する予定または移住を検討したいと思っている人が約四割を占めるとの結果からわかるように、明らかに地方移住に向けた流れがあります。本県としては移住を前向きに考える首都圏の人たちをより多く呼び込むため積極的に働きかけていく時期に差しかかっているものと思います。
 ことし四月、東京の有楽町駅前に開設した静岡県移住相談センターは、東京からの移住を考えている人にしてみれば、その窓口として大きな役割を果たしているものと考えます。しかしながら移住・定住の促進はセンターにおける相談への対応ばかりで実現できるものではありません。実際に本県に移り住んでいただくためには移住希望者を本県側から強力に引き込む取り組みが必要であり、市町を初め移住者の受け入れを進める地域団体などと緊密に連携した対応が重要であると考えます。
 県では、市町との連携を図るよう、本年ふじのくにに住みかえる推進本部を立ち上げたところでありますけれども、この成果をどのように捉え、また今後どのように進めようと考えているのかを伺います。
 次に、憧れを集める魅力の創出についてのうち、ラグビーワールドカップ二〇一九について伺います。
 先般のラグビーワールドカップ・イングランド大会では四十五日間、全四十八試合にわたる熱戦が繰り広げられました。大会はニュージーランド代表が史上初となる二連覇を達成し幕を閉じたところです。
 さて、ベストエイトを目標に掲げて世界に挑んだ日本代表でありますけれども、スポーツ史上最大の大番狂わせと世界に衝撃を与えた南アフリカ戦を初め一次リーグで三勝を上げました。残念ながら決勝トーナメントに進出することはかないませんでしたけれども、その活躍は最強の予選敗退国と評され国内外のラグビーファンのみならず今まであまり関心のなかった多くの人々の心をも動かし、ラグビーへの関心を一気に高めたところであります。
 現在、日本では国内最高峰のトップリーグが開幕をしておりますけれども、十一月二十八日エコパスタジアムで行われたヤマハ発動機ジュビロ対NECグリーンロケッツ戦の観客数は一万三千人余と昨シーズンの平均約五千人を大きく上回りました。またイングランド大会でベストフィフティーンに選ばれた五郎丸歩選手への憧れからラグビースクールに入部する子供もふえているなど盛り上がりの様子がさまざまな形であらわれております。成功裏に終わったイングランド大会の後を受け、二〇一九年はいよいよ日本での開催となります。本県を初め全国十二の都市で開催される四年後の大会を成功させるためには盛り上がりの機運をおとしめることなく、ラグビーの魅力を広く普及し、将来にわたって持続させていく必要があると考えます。
 川勝知事は、十月末イギリスを訪れトゥイッケナム・スタジアムで行われた決勝戦などをごらんになり、試合会場の雰囲気や大会運営、ラグビーの本場イングランドでの盛り上がりの様子などを実感されたと伺っております。そこで今回の視察の成果として四年後に控えたラグビーワールドカップの本県開催に向け、どのような点を学びとして生かしていくのか伺います。
 次に、観光地の魅力向上についてであります。
 民間シンクタンクのブランド総合研究所が、本年の自治体魅力度ランキングを発表いたしました。一位は七年連続で北海道、来年サミットが開催される三重県あるいは世界遺産効果に沸く長崎県がその順位を上げている一方、富士山や韮山反射炉が世界遺産に登録された本県は二十位。前年の十四位から順位を下げる結果となりました。
 また、大手旅行会社の行った昨年一年間の国内宿泊旅行調査によれば本県の宿泊旅行者数は東京都、北海道に次ぐ三位と好調であったものの、来訪者の総合満足度については八一%で三十二位。今後も本県を訪れたいかという来訪意向については四・一%で十四位と、憧れを呼ぶふじのくにづくり、誰もを引きつけ、もてなす魅力づくりを総合計画の重点施策に掲げる本県としてはいささか寂しい結果となっています。
 世界遺産や世界ブランドの獲得も大切なことだと思いますけれども、その効果を一時的なものにすることなく、本県にあるさまざまな魅力ある地域資源を磨き来訪客へ継続して情報発信、提供していくことで来訪者の満足度を高め、何度でも訪れていただく地域づくりを目指していくことが大切であります。まさに私ども会派の提案によって成立した観光振興条例の理念そのものであり、その実現に向け観光事業者だけでなく県を挙げて関係者が一丸となって取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、本県の観光地としての魅力をどのように高め、本県へのリピーター増へとつなげていくのか所見を伺います。
 次に、食の都づくりの推進について伺います。
 私は食べることが大好きです。先ほどのお昼休憩でもついつい食べ過ぎてしまいました。おなかのお肉が心配であります。それはさておきまして本県は多彩で高品質な農林水産物が生産をされています。この場の力を生かして川勝知事の就任以来取り組みが始まった食の都づくりはことしで六年目を迎えております。県内各地で県産食材の積極的な活用と農林水産業や食文化の振興に貢献している食の都づくり仕事人はこれまで四百十六人誕生しております。また国内外に誇り得る価値や特徴を備えた農林水産物のしずおか食セレクションは百二十二商品に上り、県産農林水産物の魅力を生かした新しい加工品ふじのくに新商品セレクションは七十八商品となっております。ことし浜松市の仕事人が浜名湖ウナギの刺身を商品化し、ことしの新商品セレクションの金賞を受賞いたしましたが、こうした県の表彰や認定の制度は県内の料理人、生産者や事業者の大きな励みとなり食の都づくりに寄与していると感じております。
 昨年度からは、食の都づくりを支える企業や団体を表彰する制度が創設され、これにより食の都しずおかの魅力を発信する企業・団体の活動の促進が図られることと期待されます。こうした取り組みを通じて食の都づくりは徐々に県民に浸透してきているものと評価をしております。
 一方で、簡易な食事をとりがちな若い世代を初めより一層多くの方々に県産食材のすばらしさを知っていただき消費拡大につなげていくことが必要だと思います。また国内外にも食の都づくりの取り組みを発信していくことが本県の魅力向上につながると考えます。県の今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、働き方の見直しとワーク・ライフ・バランスの推進について伺います。
 二〇〇七年、仕事と生活の調和憲章が策定され、以来我が国では仕事と生活が調和した社会の実現に向け官民一体となってさまざまな取り組みが進められてきました。
 しかし、OECDの調査によりますと二〇一三年の日本人一人当たりの総実労働時間は千七百三十五時間となっており、一九七〇年をピークに減少傾向にはあるものの千三百八十八時間のドイツ、千三百八十時間のオランダなどと比べると依然として長時間労働が続いています。その一方で労働時間一時間当たりの生産性はOECD加盟三十四カ国中では二十二位、主要先進七カ国では最下位となっており、先進諸国と比較すると我が国の働き方の非効率性が浮かび上がってまいります。労働力人口が減少する中でこれまでのような長時間労働を前提とした労働環境のままでは働く人皆が疲弊してしまい、いずれ立ち行かなくなります。
 女性活躍推進法が成立するなど、女性の活躍促進に向けた働きが加速化をしておりますけれども、やはり男性が長時間労働から脱却することができなければ女性が働きやすい社会、活躍できる社会の実現は困難だと思われます。労働の質の高さと労働力人口の維持が求められる中、ゆとりなく働き長時間労働が続くといった従来の働き方ではなく、時間内に仕事を終え、残りの時間を仕事以外に使うことのできる働き方、やりがいや充実感を持ちながら働き、仕事と生活を調和していくことができる働き方が今後は求められていると思います。
 誰もが生き生きと働くことのできる安心社会の実現を目指すためには、今こそ社会全体で働き方を見直しワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む必要があると考えますが、県の取り組みについて伺います。
 最後に、工業用水道事業のあり方について伺います。
 本県における工業用水道は、産業を支えるインフラとして高度経済成長期に整備が進められてきました。現在は七つの工業用水道事業を経営しております。総延長三百七十四キロメートル、現有給水能力は日量百四十七万立方メートルと全国有数の水道網を誇っております。これらの工業用水道は紙・パルプ、電気機械、繊維工業など本県産業を牽引する製造業に低廉な工業用水を供給し、全国有数のものづくり県である本県製造業の活動を支えてまいりました。
 しかし、近年工業用水道のユーザーは厳しい経営環境の中で水のコストをぎりぎりまで削減しており、本県工業用水道においても契約水量に対する実際の使用水量は年々減少し続けています。平成二十六年度の使用率を見ると事業全体で六四・二%にとどまり、今後もこの傾向は続くのではないかと考えられます。またユーザーの撤退や水源転換により契約水量そのものも減少をしております。
 工業用水道事業にかかる経費は、受益者負担の原則のもと受水企業が負担していることから、水量の減少に伴い収益が減少した分については受水企業で負担しているのが実情です。水にかかるコストの増大は企業経営の負担となることから企業の撤退が懸念され、またそうしたことにより本県の活力が失われることにもなりかねません。受水企業、地域産業そして企業局のいずれにとってもいいことは何ひとつないように思えてなりません。
 工業用水道事業に対しては、受益者が営利企業であることから一般会計からの繰り出しも非常に厳しく制限されている現状があります。公営企業の経営原則である独立採算制を否定するものではありませんけれども、工業用水道が企業活動を支える重要なインフラ施設であり企業が地域に雇用、にぎわいをもたらしていることを鑑みると全ての負担をユーザーに負わせてよいものかと疑問を感じざるを得ません。
 さらに、本県の工業用水道においては近い将来施設、管路の全面更新の時期を迎え、そのための費用は莫大なものとなります。ユーザーの料金で全てを運営するという工業用水道事業の仕組みは現状にそぐわないのではないかと考えますけれども、県はどのように認識をし、どのように対応していくのか伺います。以上について答弁を求めます。(拍手)
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 田形議員にお答えいたします。
 このたび、ふじのくに県民クラブ、新しい会派の結成おめでとうございます。そのトップバッターとしての御質問、謹んで拝聴いたしました。ふじのくに県民クラブの「命」「豊」「人」「礎」という四つの柱は、私どもが進めておりますふじのくにづくりの柱と通底するものであります。
 富士山は活火山でございますので、いつ何どき災害と結びつくかわからないということから県民の皆様方の命を大切にする危機管理というのを一番の眼目に置いております。また富士の字というのは立派な人間が富を支えると書きますけれども、富は仕事を通してつくられるものでありますから仕事づくり。そしてその仕事をなす人をつくるという人づくりということでございます。富士山はみずからを礎にしている孤立峰であります。それはまた礎という捉え方もありましょうけれども、私は自立をするというふうに捉えておりまして、これらはふじのくにづくりの基礎でございますけれども、ふじのくに県民クラブと通底するところがあり、御活躍を期待するものであります。
 さて、私の政治姿勢についてのうち、平成二十八年度当初予算編成方針についてであります。
 平成二十八年度は、富国有徳の理想郷ふじのくにの早期実現を目指し、健全財政を堅持しつつ後期アクションプランを着実に推進するということを基本方針としております。具体的には県民の命と財産を守るための地震・津波対策、人口減少社会の克服を目指す静岡型地方創生の取り組み、新成長産業の育成と雇用創造、官民連携によるエネルギーの地産地消、子育て支援、健康寿命の延伸、それとかかわりますけれども静岡発の現代に即した日本人の人生区分の発信等々、社会経済情勢の変化に伴う喫緊の課題に対して重点的に取り組み、後期アクションプランの目標を前倒しで達成できるように総力を挙げてまいります。
 一方、ふじのくにを支える健全財政を維持していくことも必要であります。このため行財政改革大綱を踏まえた歳出のスリム化と歳入の確保に取り組み、持続可能な財政運営を補完するための基金の確保や県債残高の抑制に努めてまいります。
 来年度当初予算の編成に当たりましては、本県の持つ場の力を磨き、高め、魅力の最大化を図るため、新機軸への取り組みをこれまで以上に推進していくとともに、健全財政の確保を図ってまいります。
 次に、地方創生の実現に向けた市町との連携についてであります。
 田形議員御指摘のとおり、地方創生を実現する鍵は基礎自治体である市町が主体的にみずからの将来を考え、効果的な取り組みを迅速果敢に実践していくことでございます。
 県では、広大な静岡県域を大きく五つの地域に分けております。伊豆半島は観光交流圏、富士山を擁する麓の東部はこれは健康交流都市圏。がんセンターもございますので。そしてこの県都がございます中部は県都としての風格をつくるということでございます。そしてまた志太榛原・中東遠というのは空港がございますので空港を活用した国際交流圏。そしてまた西部は浜松のものづくりがございますのでそうしたものづくりの力を活用した躍進都市圏というような五つの地域圏をつくっておりますけれども、こうした個性的な地域圏ごとの地域会議等を通じまして目指す姿や施策の方向性を市町と共有することが大切です。そして市町の疑問にワンストップで答える支援窓口を設置し、市町の人口ビジョン及び総合戦略の策定を支援してまいったところでございます。
 今後は、総合戦略の実行段階に入りますことから、引き続き地域会議や担当課長会議等の場を通じまして市町の取り組み状況を把握するとともに、おくれの見られる取り組みがある場合は問題、課題の解決に向けて市町と連携して取り組んでまいります。
 また、人口減少下におきましても良質な住民サービスを維持しなければなりません。そのためには広域連携等による効率的な行政運営を進める必要がありますことから、特に賀茂地域としてはそのような必要性が高うございますけれども、先ほど申しました五つの地域圏の実情に応じた市町間あるいは県と市町による最適な連携手法についても市町とともに検討を進めてまいります。
 各市町が総合戦略に掲げた取り組みを着実に推進していくことが県の総合戦略の実現にもつながりますので、市町との連携を密にしオール静岡で美しく、強く、しなやかな静岡型地方創生の実現に取り組んでまいります。
 次に、TPP協定交渉の大筋合意に伴う今後の本県経済産業政策についてであります。
 TPP協定の大筋合意は、関税の削減や撤廃などにより自由で公正な経済圏を構築する試みでありますが、プラス面とマイナス面とがございます。本県といたしましては経済のプラス面を最大限に生かし産業成長につなげていくことが重要であると考えています。
 具体的には、農業分野でございますけれども価格の安い外国産の農産物が増加するとの影響も懸念されておりますが、農産物は果たして価格のみで選ばれるのかということがございます。やはり安全で安心できる食材でなければなりません。特に日本のように先進国におきましては家計消費に占める食費の割合いわゆるエンゲル係数というのがございますけれども、日本の所得層を五つに分けまして一番貧しい層におきましても大体四分の一――二五%であります。高所得者におきましても大体二〇%ぐらいで、食費が家計消費に占める割合というのは大体四分の一から五分の一ということでございます。貧しい国はこれは大半が食費になるということでございます。
 そうした中では、やはり安全で安心な食材ということは実は価格のみならず品質というものが大切になります。本県の農産物は農業芸術品――農芸品とも称される特徴を持っております。そのような特徴を生かしましてさらなる高品質化いわばブランド化を目指し、そして生産コストをあわせて低減するように試みると。そして地産地消の推進をいたしまして輸出の促進にも取り組んでまいるということでございます。県の農業部門の組織体制をそのような方向に向けて抜本的に見直す、そういう作業も今着手しておりまして、農業の強化を図るということが基本姿勢となっております。
 商工業分野におきましては、輸入品との競争など県内企業を取り巻く環境は厳しい場面もあると考えられますが、大企業だけでなく特に中堅、中小企業もアジア太平洋地域での貿易や投資を拡大する好機とも捉えることができます。このため産業支援機関などと連携し新しいルールのもとで力の発揮できる産業を育成してまいります。
 私どもといたしましては、農業団体が設置される静岡県TPP農協対策本部や水産団体が設置される静岡県TPP漁協対策協議会に参加いたしますとともに、国が明らかにされた総合的なTPP関連政策大綱に基づく支援策なども積極的に活用させていただきまして、攻めの農林水産業など国際競争力のある産業構造に転換し、そうした産業構造を構築し、本県経済を力強く発展させるリード役をつくり上げていきたいというふうに考えております。
 次に、地域外交についてであります。
 静岡県では、平成二十四年度に地域外交の展開先として中国、韓国、モンゴル、台湾、東南アジア、米国。この六つの重点国・地域を定めるとともに、観光交流、経済交流、教育・文化交流を柱とする基本方針を策定し、積極的に地域間交流を展開してまいりました。
 今年度は、策定から三年を経過いたしましたのでその地域外交の基本方針を見直し経済交流から通商へと一段レベルを上げることといたしまして、相手国、相手地域と相互に実のある取り組みを進めているところであります。
 例えば、交流の深まっている中国では県産食材のプロモーションを行いましたし、また本県への投資説明会を開催いたしました。モンゴルにおきましてはビジネス商談会や物産展の開催をいたしました。東南アジアではビジネスサポートデスクの設置や有名シェフとの連携による県産品のPRなども行いました。こうしたことを通して県内企業の海外展開支援や県産品の販路拡大などの通商の促進を図ってまいろうと考えております。
 さらに、県民の、特に若い人の国際感覚を身につけるという機会を与えることが大切でございます。そこで高校生には全員パスポートを持っていただいて海外に行くと。あるいは行けるというそういう自覚を持っていただくことが大切で、教育委員会の木苗先生とこの点におきましては歩調を一にしてその方向を実現したいと思っておりますけれども、本県が関係を持っております地域、なかんずく安全で親日的で、かつ時差に苦しむことのないという意味では台湾は第一候補ではないかと思いますけれども、そうした台湾への教育旅行の促進を初め韓国やモンゴルとの大学生、高校生などの相互交流、民間団体間の交流を支援する取り組みなどを通じまして青少年の国際感覚を醸成し、県民の多様な価値観や異文化への理解の促進を図ろうと考えております。
 なお、この夏のモンゴル及び中国浙江省の訪問では静岡県のこれまでの取り組みが高く評価されましてさらなる交流分野の拡大が求められたことは先ほど議員の御指摘になったとおりでございます。地域外交が新たなステージに来ていると感じております。
 また、ミラノ万博の日本館の大成功によりましてイタリアとの関係も急速に出てまいりました。今はサイクリングを通じまして本県とほぼ同じ面積を持つフリウリ・ベネチア・ジュリア州との関係は来年一気に深まるのではないかと予想されます。また富士山が世界遺産になりましたことを通じましてスイスアルプスを持っておるスイスからも関係強化のラブコールがございます。そうしたことを通じまして新しいステージというものを実感しているところでございます。
 今後も、さらなる交流人口の拡大や通商の促進、環境や健康長寿、介護などの交流分野の拡大に努め、実は介護福祉といったことに浙江省が大変高い関心を示されているのであります。本県の持っている介護の文化といいますか介護の技術。本県それ自体には問題もございますけれども、しかし対外的な観点から見ると学びに値するものがあるということなのでこうした分野での交流の拡大にも努めまして、県内の外国人宿泊者数や県内企業の海外展開数の増加など、取り組みの成果により県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できるよう、地域外交を積極的に推進してまいります。
 次に、憧れを集める魅力の創出についてのうち、ラグビーワールドカップ二〇一九についてであります。
 私は、本年十月下旬ラグビーワールドカップ・イングランド大会視察のためにイギリスを訪問いたしました。決勝戦、スタジアムを埋め尽くす八万人の大観衆が見守る中、世界一を争うすばらしい熱戦が繰り広げられましたが、その一方で開催都市の随所にはワールドカップの飾りつけがなされており、またいわゆるファンゾーンとされる大規模なイベントスペースではまことに多くの方々が大型スクリーンでの試合観戦や観覧車あるいはコンサートなどを楽しんでおられました。にぎやかな雰囲気の中、対戦国のファン同士が友好的に試合を楽しみ国際的な交流を交わされている様子が随所に見られまして、まことに印象的でございました。まさにラグビーワールドカップは世界トップクラスの平和と友好の祭典であると実感したところでございます。
 このように、ラグビー発祥の地としてラグビー観戦が一つの文化として定着しているイギリスと比べますと、競技人口や観客数の少ない我が国におきましては開催年の二〇一九年までに継続的に機運の盛り上げをしていかなくてはならないと痛感しているところでございます。
 ちなみに、ジャパンパビリオンというのがイギリスの心臓部でありますブリティッシュ・パーラメント――英国議事堂のすぐそばにございまして、そこで世界のラグビー協会の方々と日本の遠藤大臣を初めラグビー関係のトップの方々たちが集まりまして二〇一九年第九回の日本ワールドカップに向けての儀式がございましたけれども、大変な期待が寄せられていると同時に、今までイングランド大会までたった一勝二十一敗二分けというすさまじい成績の中で、日本大会を今回の三勝一敗で勝つということの前にお決めになったときの御苦労を森元総理閣下が実に感動的な演説をなさいました。これは何としてでも成功させんといかんと、私もそこの場にいた一人として感じ入った次第でございます。
 このため、開催地である静岡県といたしましては森さんほか関係者が熱い視線を我々のところに送ってこられています。それはもちろん清宮監督率いるジュビロ、五郎丸君やマレ・サウ選手がいるということもございまして、そうした県であるだけに県のラグビー協会、ヤマハ発動機ジュビロなどの関係の方々の御協力のもと、日本代表のテストマッチや七人制ラグビーの大会誘致、タグラグビーの普及などファン層の一層の開拓や競技の普及等を進めまして、裾野の拡大に取り組みたいと考えております。
 また、大会を成功に導くためには数万人に上る大量の試合観戦客の円滑な輸送計画や万全な警備計画の策定、また観戦をされるお客様が楽しめるファンゾーンの設置、通訳を含むボランティアの育成、本県の文化芸術等の魅力を生かした観光誘客などさまざまな課題がございますが、これらに対しまして全県を挙げて一丸となって準備を進める必要がございます。
 そこで、先月二十五日に県及び市町、ラグビー協会等関係団体とで構成するラグビーワールドカップ二〇一九静岡県開催準備委員会を立ち上げたところでございます。大会開催に向けた準備の進め方について、そこで御議論をいただきました。そして今後は来年三月末を目途に県内の全市町を初め競技、経済、観光、交通、医療等々各界の関係者にも加わっていただいたオール静岡県の推進体制を構築しようという段取りでおります。大会開催に向けまして万全を期してまいります。
 次に、食の都づくりの推進についてであります。
 食は毎日のことでございます。一方生活文化において最も大切なのは食文化ではないかと思います。そして食が食文化として国際的に認定されることが今二十一世紀の潮流になっておりまして、和食がそうした中で世界無形文化遺産にユネスコによって認定されることになりました。文化の花は芸術です。そして静岡県は日本一多彩な四百三十九にも上る食材に恵まれております。その大半を占める農産物はまことに高い品質のもので、まさに芸術品とも言うべきものでございます。こうした農林水産物に着目し、それらをおいしく楽しく美しく、そして安全で安心であるという確信のもとに賢くいただいていただいて、そして健康長寿を伸ばしていただくと。そういう目的を持って食の都づくりに取り組んでいるのでございます。
 これまで、食の都づくりの中核を担う食の都仕事人、これは平成二十二年――六年前には二百人、二万人ぐらいいわゆる料理人、お菓子づくりも含めていらっしゃるわけですが、その一%ということで御任命申し上げたところ、毎年その数がふえまして自薦、他薦でふえてきたわけでございますが、厳格な審査を経て今年度はさらに二十人加わりまして合計今や食の都の仕事人、いわばこれは食の芸術家と言っていいと存じますけれどもその方たちが静岡県下に四百十六名いらっしゃいます。また本年度は五年連続でザ・仕事人オブ・ザ・イヤーとなられた方にふじのくにマエストロシェフの新しい称号も授与いたすことになった次第でございます。仕事人には食文化のクリエーターとして本県食材を活用したメニューや新商品の考案、地元の学校での食育活動など、ふじのくにの食文化、芸術性に高めるという大きな目的を持って、その食文化創造の推進役として幅広く活躍していただいているところでございます。
 また、ミラノの国際博覧会におきましてはジャパンデーレセプションや日本館イベント広場で静岡茶などの県産食材をPRいたしました。ミラノ市街で県産食材を使ったふじのくに弁当なども紹介いたしました。そして本県の食の魅力を海外に向けて発信したところ大変大きな反響と、また好評を博したところでございます。
 こうした食の都づくりにタイアップいたしまして、国内の大手飲料メーカーや量販店、航空会社が県産食材を用いた新商品の開発に乗り出されています。そのほか中国や韓国におきましても静岡県の食が大いに注目されているところでありまして、急速に内外からの静岡県の食に対する関心が高まっておりますので、食の都づくりもいよいよ軌道に乗りつつあると。軌道に乗ったというふうに思います。
 これらの成果を踏まえまして、今後につきましては十月に新たに開設したウエブサイト「静岡おいしいナビ」を活用するなど、国内外の消費者や料理人に向けた情報発信のための仕組みづくりの強化や諸外国との交流を一層進めてまいります。
 ふじのくに食の都づくりは、文化、食育、学術、人材の育成、情報の発信、産業、これら六つの分野にかかわる多くの方々の協力と活動が不可欠です。引き続きこうした方々同士のつながりを強めることで食の都づくりをより一層推進し、それとあわせて食に不可欠なお茶、茶の都、また食に彩りを添える花、その花の都づくりなども推進いたしまして、その中核を占める県産食材の消費拡大と本県の魅力向上に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) それでは、静岡式三十五人学級編制についてお答えいたします。
 本県におきましては、平成二十一年度から全国に先駆け国の加配教員を活用した静岡式三十五人学級編制を実施し、平成二十五年度には義務教育九カ年の全ての学年で少人数学級を実現いたしました。さらに現在国の加配教員を補うものとして教員四十五人を県単独で措置するなど、その充実に努めております。このように導入以来既に六年が経過し、本県の学校現場では少人数学級による指導が確実に定着してきております。
 一方、議員御指摘のとおり財務省からは今後九年間で約三万七千人の教職員数を削減できるという試算が示されました。この数字は機械的に試算されたものでありますが、仮にこれが実施された場合、本県の制度の根幹が大きく揺らぐことになります。このため十一月五日には私も所属する全国都道府県教育長協議会が、さらに十一月十九日には全国知事会が小中学校の加配教員の確保、拡充を求める緊急要望を取りまとめるなど、各方面から強い反発の声が上がっております。
 県教育委員会といたしましては、加配教員の確保と定数改善に向け引き続き国に対し強く要望するとともに、県単独措置の教員や非常勤講師の配置を工夫するなど、今後とも静岡式三十五人学級編制がより充実し、安定的な制度となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、交通安全対策についてお答えいたします。
 県では、夕暮れ時から夜間にかけて死亡事故が多く発生していたことから、平成二十四年度から歩行者には明るい服装と自発光式反射材の着用を、運転者には早目のライトオンを呼びかける「ピカッと作戦!」を展開し一定の成果を上げてまいりました。しかし近年横断歩道を歩行者が渡っていても停止しない、あるいは黄色信号でも無理に交差点を渡ろうとスピードを上げるなどドライバーの身勝手さ、マナーや安全意識の低下が惹起する交差点や横断歩道での事故が増加しております。また高齢ドライバーが加害者となる事故も目立っております。
 今後は、「ピカッと作戦!」の一層の展開や自動車学校における体験型実車指導など高齢ドライバーへの対策を強化するとともに、来年度からの新たな交通安全実施計画の策定に当たっては、歩行者優先の交通安全思想など、いま一度交通安全の原点に立ち返った施策に重点的に取り組んでまいります。
 具体的には、思いやり、譲り合い運転の徹底と、それに対するありがとうの気持ちを示す運動を促進することとし、警察による指導取り締まりの一層の強化、免許更新時等の安全教育の充実、交通安全対策協議会に参加する百三十を超える機関・団体を通じた講習会の開催や統一的な広報を展開するなど、関係者が一丸となって取り組んでまいります。
 次に、移住・定住の促進についてであります。
 ことし四月のふじのくにに住みかえる推進本部の設置を皮切りに、首都圏での移住相談センターの開設、山梨県、長野県との合同相談会等の開催、地域での暮らしを紹介する移住セミナーを七回、また移住体験ツアーを五回実施するなど市町やNPO団体などと一体となり、全県を挙げて取り組んでおります。市町においてもおやまで暮らそう課を新設しきめ細やかな相談体制を構築し実績を上げている小山町を筆頭に、住宅取得などの支援制度の創設や空き家バンクの充実など多くの市町で取り組みを強化しているところです。
 こうした結果、本年度上半期の間に県または市町の相談窓口等を利用した県外からの移住者の数は計五十八人と既に昨年一年間の五十八人に並ぶ人数であり、一定の効果があらわれていると考えます。今後はこうした取り組みを一層充実させるとともに、スマートフォンでの情報発信や移住体験施設の整備などを進めてまいります。
 また、伊豆市の職住一体となった地域開発ドットツリープロジェクト、三島市などで進む豊かな暮らし空間創生事業、長泉町のスマートタウン開発、さらに金融機関が創設した移住者へのローン制度など民間事業者の取り組みとも緊密に連携し、一人でも多くの方がふじのくにに住みかえるように努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西川警察本部長。
       (警察本部長 西川直哉君登壇)
○警察本部長(西川直哉君) 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、サイバー犯罪対策についてお答え申し上げます。
 初めに、サイバー犯罪の現状についてでありますが、平成二十七年十月末の本県におけるサイバー犯罪の検挙件数は百三十二件でありまして、前年と比べ三十件、率にして二九・四%増加いたしたところであります。
 次に、今後のサイバー犯罪対策への取り組みについてであります。
 まず、サイバー空間の脅威に対する対処能力の強化の一環といたしまして、県内の情報通信事業者等から成るNPO法人とサイバー犯罪捜査の協力等に関する協定を締結いたしまして、高度なサイバー犯罪に対する共同対処を推進しているところであります。またサイバー空間の脅威の低減に資する施策としましては、県民意識の向上を目的といたしましたサイバーセキュリティー講話や大学生サイバー防犯ボランティアの育成に取り組むとともに、積極的な他県警察との合同捜査によりまして効率的かつ迅速な捜査の実施と捜査員の捜査能力の向上に努めておるところであります。
 さらに、サイバー空間の脅威への対処に係る組織基盤の強化のため、警察職員を対象としたサイバー犯罪捜査検定によりまして職員の対処能力の向上を図っているほか、高度なサイバー犯罪に対しましては情報処理国家資格を有する者やシステムエンジニア経験者等の採用を行っていることに加えまして、民間における情報セキュリティーに関する研修に捜査員を参加させるなどによりまして高度な捜査能力を有する捜査員の養成に努めております。またあわせて高度なサイバー犯罪に対処できる解析機材の拡充にも努めておるところであります。
 今後も、サイバー空間と社会情勢の変化に応じた警察組織の総合力を発揮した対策を推進してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) ひきこもり支援センターについてお答えいたします。
 県では、ひきこもり支援センターに専属の相談員を配置して、電話や来所による相談だけでなく家庭を訪問して相談を行うアウトリーチ型の支援も行っております。相談や支援の件数は保健所等で相談を受けていた設置前と比べ約二・五倍以上となっております。また若年層の方々の相談が四割以上となり、開設前にはなかった本人を交えた相談も多く行うなど、みずからの意思で利用者がひきこもり状態を早期に改善しようとする意欲を醸成することができるようになったと考えております。センターを利用された方々の状況を見てみますと、ひきこもり状態の期間が短いほど改善に結びつく傾向があることから、早期の段階で相談に来ていただき適切な支援を行うことが本人や家族にとって大切なことと考えております。
 そのため、県ではひきこもりに関する講演会や広報活動などを通じひきこもりの方を抱えた家族が早期に相談していただけるようセンターの周知に取り組むこととしております。特に十代の若者についてはひきこもりとなり始める可能性が高い年代であることから、教育委員会とも連携し在学中から相談や支援等の周知に努め、本人や家族ができる限り早い段階で相談し、支援できる体制をつくることとしております。
 県といたしましては、今後もひきこもり支援をしている市町やNPO法人などの関係団体とも連携し、身近な地域においても早期に本人や家族の気持ちに寄り添った相談を行い、効果的な支援ができるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 災害への備えについてのうち、地域防災力の強化についてお答えいたします。
 県では、東日本大震災を教訓として第四次地震被害想定を策定し、新たな課題である甚大な津波被害と超広域災害への取り組みを加えた地域防災訓練を進めてまいりました。具体的には住んでいる地域の危険性の理解、避難場所、経路の確認、緊急速報メールによる情報伝達、災害時要援護者台帳の整備による安否確認などを訓練メニューに加えたほか、避難所運営ゲームHUGの導入や自宅で避難生活を営めるよう水・食料等の備蓄量の目標を三日分から七日分に変更するなど自助、共助の取り組みの強化を図ってまいりました。
 東日本大震災前後の県民意識調査等の結果を見ますと、地域の危険度を理解している方の割合が四九%から六〇%に、指定避難地の認知率が七三%から八九%、災害時要援護者台帳の整備率が三八%から五六%、地域防災訓練の参加者が六十万人から七十四万人となるなど、これらの取り組みが一定の成果を上げたものと考えております。
 県では、みずからの命を守る行動や地域における協力体制の確認を重点項目として掲げ取り組んでおりますが、リーダーの高齢化等を背景に議員御指摘のとおり訓練がマンネリ化している傾向も見受けられますことから、各自主防災組織等が目的意識を持った訓練を実施できるよう、防災リーダーの育成やふじのくに防災士の派遣、新たな取り組み事例の紹介に努めるなど地域防災力の強化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 災害への備えについてのうち、風水害対策についてお答えいたします。
 県では、台風などの豪雨による浸水被害を軽減させるため、河川の拡幅や遊水地の整備などのハード対策を着実に進めるとともに、主要河川の浸水想定区域の指定やサイポスレーダーによる雨量、水位等の防災情報の提供などのソフト対策を進めております。
 地球温暖化に伴い激しくなると予想される豪雨への対応といたしましては、氾濫危険水位をたびたび超える馬込川のような流下能力が低い河川の整備を加速させるとともに、内水氾濫による浸水被害が頻発し河川整備のみでは被害を軽減できない流域においては下水道整備や公園等を利用した雨水貯留浸透施設の整備などを加えた総合的な治水対策を積極的に推進してまいります。本年九月に浸水被害が発生した浜松市南部の馬込川下流域においても、県と浜松市の関係部局で構成する浜松市南部(馬込川下流域)総合的治水対策推進協議会を先月五日に設立し、浸水被害の原因分析や対策の検討に着手したところであります。
 また、ハード対策には長期の時間を要することから、本年七月に施行された水防法改正に基づく最大規模の洪水を想定した浸水想定区域の指定や災害時を想定した事前防災行動計画いわゆるタイムラインの策定などのソフト対策をあわせて推進してまいります。
 県といたしましては、流域市町と連携しながらハード対策とソフト対策が一体となった総合的な治水対策を推進し、県民の皆様が安全で安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。
 次に、海岸保全施設の維持管理についてであります。
 県は、これまで台風による高波や高潮、地震による津波、砂浜海岸の侵食など厳しい自然災害から県土を保全し県民の皆様の人命や財産を守るため、延長約百四十キロメートルの堤防や護岸、約三百基の水門や陸閘などの海岸保全施設を整備してまいりました。海岸保全施設の老朽化が全国的な課題となっている中で昨年六月には海岸法が改正され、海岸保全基本計画に施設の維持修繕方針などを盛り込むこととされました。このため本年九月に海岸工学の有識者等で構成する海岸保全基本計画検討委員会を開催し、堤防や水門などの種類ごとに巡視や点検の時期や頻度、維持修繕の方法、海岸の環境や利用に関する配慮事項などを定めた計画の変更案を作成し、現在パブリックコメントを実施しており、年内に計画を決定することとしております。
 今後は、この計画に示された維持修繕方針に基づき、予防保全型の維持管理を進めるため、海岸保全施設の点検やデータの蓄積を行った上で平成三十二年度を目途に中長期管理計画を策定し、施設の適切な機能確保と費用の平準化を図ってまいります。
 県といたしましては、海岸保全施設の適切な維持管理や砂浜の侵食対策を着実に推進し、海岸保全に万全を期すことにより、災害に強く安全で安心な県土づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 憧れを集める魅力の創出についてのうち、観光地の魅力向上についてお答えいたします。
 本県は、富士山などの豊かな自然、韮山反射炉などの歴史的建造物、温泉、多彩な食文化など観光地としての魅力にあふれておりますが、来訪者の満足度をさらに高めていくためにはこれらの世界水準の観光資源に彩りやスパイスを加え、深い感動をもたらすことが必要であります。
 このため、県では来訪客に県内各地でその土地でしか味わえないさまざまな魅力を体験し楽しんでいただけるよう、国の交付金を活用し本県独自の体験型旅行商品割引チケットしずおか遊びたい券を販売しているところであり、十一月からは伊豆、浜名湖地域に加え富士・富士宮地域、大井川流域においても販売し、大変好評を得ております。
 また、来訪者の価値観やニーズに対応したきめ細かな対応も満足度向上の重要な要素であることから、宿泊施設や観光案内所などを対象にしたおもてなし研修会を開催するほか、観光ボランティアガイドや通訳案内士などの養成を行い、おもてなし日本一を目指した受け入れ体制整備を図っているところであります。
 さらに、本県の旬な情報をタイムリーに伝えるため、県内外のメディアや交通事業者とタイアップし全国へ向け対象年代層を絞った情報発信を継続的に実施しているほか、今後は観光情報ウエブサイト「ハローナビしずおか」の全面リニューアルを進めるなど、効果的な情報提供を行ってまいります。
 観光地のなお一層の魅力向上を目指し、観光事業者に加え地域の強みを熟知している商工業者、農林水産業者、地域づくり団体など幅広い関係者の連携した取り組みを一層進め、本県を再び訪れたいと思うような人々を引きつける観光地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 働き方の見直しとワーク・ライフ・バランスの推進についてお答えいたします。
 仕事と生活が調和した社会を実現するためには、経営者と労働者が一体となって長時間労働が当たり前という働き方の見直しに積極的に取り組むことが必要であると考えております。このため経営者の意識改革を目的とした先進企業を視察する研修に加えて、今年度は新たにモデル企業を公募してアドバイザーを派遣し、経営者と労働者が協働して仕事の効率化や女性が働きやすい就労環境の整備などに取り組んでいただいております。この結果モデル企業ではバースデー休暇の導入や女性リーダーの登用といった成果が出ていることから、県のホームページや広報紙でこれらの取り組み事例を紹介し、普及拡大を図ってまいります。
 県といたしましては、国、二政令市、経済団体、労働組合とともに、地域における働き方を見直すための連絡協議会を先月二十四日に設立したところであります。
 今後とも、長時間労働の改善や介護離職の防止などの課題解決に向けて関係者の皆様と連携した取り組みを進め、仕事と生活が調和できる社会の実現に努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 増井企業局長。
       (企業局長 増井浩二君登壇)
○企業局長(増井浩二君) 工業用水道事業のあり方についてお答えいたします。
 工業用水道事業の運営は、地方公営企業法に基づき独立採算制のもと原則受水企業からの料金収入により賄われています。近年、産業構造の変化や節水技術の向上などにより受水企業の使用水量は大きく減少をしてきており、工業用水道事業の経営はかつてないほど厳しい状況になっております。これに対し企業局ではこれまで徹底したコスト縮減に取り組み、それでもなお事業別の経営が改善されない場合には受水企業に経営状況を丁寧に説明し同意を得た上で料金改定を行うなど、適正な料金水準による健全経営に努めてまいりました。
 議員御指摘の点につきましては、今後使用水量のさらなる減少が見込まれる一方で、施設の全面的な更新時期を迎えるに当たり料金改定のみで対応することは受水企業の競争力に大きな影響が出ることが懸念されます。企業局が現在開催している工業用水道事業のあり方検討会においても、委員から当面する課題の根本的な解決にはこれまでの概念や制度運用の延長では困難であるとの意見が出されております。これは本県のみならず全国の工業用水道事業が抱える共通の課題であるため、地方公営企業の全国組織である地方公営企業連絡協議会が事業を運営する全国の自治体に呼びかけ、先月意見交換を行いました。今後さらに議論を深め、各自治体が連携して工業用水道事業の実態を地方の声として国に届けていくことといたしました。
 企業局といたしましては、本県経済を支える企業群の競争力を維持し活力ある地域をつくり上げていくためにも、工業用水道事業がよりよい仕組みとなるよう国に対し積極的に政策提言、提案などを行ってまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 田形 誠君。
       (二十二番 田形 誠君登壇)
○二十二番(田形 誠君) 意見を一件、そして再質問を一件いたします。
 まず、意見からです。工業用水道についてですけれども、先ほど企業局長から御答弁がありました。全国いろいろ状況を把握するというようなことで、結構似たような状況のところもあるというふうに伺っております。ぜひ行政からも国に対してしっかりプッシュをし続けていただきたいです。やはり私たち議員の努力も必要だと思いますけれども、議員そして行政両方の立場から国への意見をぜひお願いしたいと思います。
 再質問なんですが、交通安全について先ほど答弁の中でありがとうを示す運動というようなことをいただきましたけれども、済みません、ちょっと私、具体的にちょっとイメージができないものですから、どういったことをされるのかもう少し深掘りして教えていただければというふうに思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 再質問についてお答えいたします。
 先ほど申しましたように、ドライバーのマナーあるいは特に歩行者に対する思いやりという気持ちがかなり欠けているのではないかなということで、まずは思いやり、譲り合いをドライバーに持っていただくと。それに対して歩行者がありがとうという、かつて一度そういうようなこともかなり全面的に展開したこともございましたけれども、改めて原点に帰ってそうしたことをやっていきたいというふうに考えております。以上であります。

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