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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

杉本 好重 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/26/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1)知事の責任
(2)知事の進退
2 来年度以降の法人事業税の超過課税について
3 リニア中央新幹線建設に関するトンネル掘削土の処理に係るJR東海及び静岡市との調整について
4 女性が働きやすい職場環境づくりについて
5 産前からの親準備教育の推進について
6 時流を捉えた観光誘客について
7 介護人材の確保、定着について
8 農業の新たな担い手の確保について
9 スタートアップ支援戦略を踏まえた今後の取組について
10 水災害への対応について
11 大井川鐵道の今後の在り方の検討について
12 学校教育のデジタル化について
(1)小中学校におけるGIGAスクール構想の推進
(2)県立学校におけるDXの推進
13 警察官の不祥事を踏まえた今後の取組について


○議長(中沢公彦君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により十五番 杉本好重君。
       (十五番 杉本好重君登壇 拍手)
○十五番(杉本好重君) 質問に入る前に一言申し上げます。
 一昨日千秋楽を迎えました大相撲秋場所において本県熱海市出身の熱海富士関がすばらしい成績を収めました。初土俵から十八場所で千秋楽まで優勝レースを牽引し優勝決定戦に出場したことは努力以外の何物でもなく、土石流災害を被りいまだ復旧半ばにある地元熱海市民のみならず我々静岡県民や全国の相撲ファンに大きな感動と勇気を与えてくれました。弱冠二十一歳の熱海富士関におかれましては、さらに鍛錬を積まれ活躍されることを祈念いたしまして質問に入りたいと思います。
 私は、自民改革会議を代表し当面する県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長並びに教育長、教育部長、県警本部長に一括質問方式にて伺います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、知事の責任について伺います。
 本定例会に知事の給与を減額する条例が提出されています。これは一昨年の知事の不適切な発言が県民の不信を招いたことに起因しています。知事としてあるまじき暴言、いわゆるコシヒカリ発言に対し知事が自らにペナルティーを科すと言い出したことによるもので、知事の給与のうち令和三年十二月に支給された給料及び期末手当の合計約四百四十六万円を令和五年十一月と十二月の給与から減額するものです。
 しかし、自らの不適切発言にペナルティーを科して給与を返上したとしても知事の暴言により深く傷ついた県民の心を癒やすことは到底できません。逆に金銭によって県民感情を和らげようという知事の意図を感じずにはいられません。ましてや知事がペナルティーを科すと表明してから一年半もの間、給与減額のための条例案提出を行う機会は十分にあったにもかかわらず提出されず、その動きすらなかったことは今年六月定例会総務委員会での当局側の説明により知事から相談なかったことは明白です。
 川勝知事は、給与返上がされていないことが七月上旬に報道されるや、職責を果たすことで償いたいと思ったと発言しました。その後立場が危ういと感じたのか、すぐに発言を変え議会側に理解をしてもらえる状況になかったため条例案を提出しなかったなど、あたかも議会側に問題があると受け止めざるを得ない説明をされました。川勝知事、御記憶におありですね。知事自らが期末手当と給料の返上を言い出したことにもかかわらずその後も県政にさらなる混乱を招き、もはや川勝知事は修復不能と言わざるを得ないほど我々県議からの信頼を失っています。
 本定例会に提案されたこの条例が可決されれば、知事は自ら科したペナルティーを実行することになります。
 そこで伺います。知事は給与返納によりコシヒカリ発言に対する県民への責任を果たしたと考えているのか、またその後の辞職勧告決議案、不信任決議案の提出など自らの不適切な発言や言行不一致が招いた県政の混乱について責任を果たしたと考えるのか、知事の所見を伺います。
 次に、知事の進退について伺います。
 令和三年十一月に県政史上初となる知事辞職勧告決議が出席県議六十六人のうち四十七人の賛同を受けて可決されました。しかしながら県議会からの辞職勧告を受けても知事はその職にとどまり続け県政にさらなる混乱を招いています。
 川勝知事はコシヒカリ発言のみならず、これまでヤクザごろつき発言や女性蔑視発言など数々の不適切な言動を重ねてきており、こうした発言を繰り返す知事に対して県民の生命や財産を守ってくれることなど到底期待できず、この現状を打開するために先般の六月定例会において我が会派は法的拘束力のある不信任決議案を提出しました。
 不信任決議案の可決に必要な出席議員の四分の三に僅か一票届かず不信任決議案は否決されたものの、本年四月の県議会議員選挙で県民の負託を受けた六十八人のうち七割以上の五十人の県議が知事の不信任決議案に賛成したという事実を川勝知事は重く受け止めるべきです。
 また報道によれば、この問題では県にも多くの意見が寄せられ、ほとんどが批判や苦情など否定的な意見であったと聞きます。県民もこれまでの知事の度重なる不適切発言に対して疑問を抱いており、川勝知事はもはや多くの県民から信頼を失っていると考えるのが自然ではないでしょうか。
 知事は、過去の本会議の答弁において最も重視すべきは県民の意向と答弁されています。現状を踏まえれば、川勝知事が多くの県民や直近の選挙で選ばれた県議からの信頼を失っていることは明らかです。今後について知事はどのように身を処していくつもりなのか、所見を伺います。
 次に、来年度以降の法人事業税の超過課税について伺います。
 法人事業税の超過課税は、昭和五十四年度から県民生活の安心・安全の確保のため本県の経済活動を支える社会インフラの整備促進に大きく寄与してきました。現在の超過課税は、令和元年度から地震・津波対策アクションプログラム二〇一三や災害に強い高規格幹線道路の整備に必要な財源の一部に充てていますが、本年度で課税期間が満了します。
 六月定例会の我が会派の勝俣県議の代表質問において知事から、想定犠牲者の最小化には地震・津波対策のさらなる推進が不可欠であり、そのため超過課税の取扱いについて検討を進めるとの答弁がありました。南海トラフ地震は三十年以内に高い確率で起こると言われており、地震・津波対策は本県の最重要課題であることを鑑み引き続き推進していくことが必要であると考えます。
 一方、貴重な財源である超過課税を更新するのであれば、納税者となる企業に引き続き負担を求めることとなり関係者の理解と協力を得ることが不可欠です。
 そこで、法人事業税の超過課税について来年度以降どのように対応していくのか、県の所見を伺います。
 また、現在超過課税の税収については県の新規の道路事業費等に充てているほか、静岡市、浜松市の両政令市に対して県と同様の財政需要に応じた額が県から交付されています。この財政需要について道路の維持管理費などのランニングコストも含めるべきとの意見もあると聞いております。超過課税を更新する場合には、こうした使い道への意見も踏まえ次期交付金の制度を決めるべきと考えますが、県としての考えを伺います。
 次に、リニア中央新幹線建設に関するトンネル掘削土の処理に係るJR東海及び静岡市との調整について伺います。
 県は、リニア中央新幹線静岡工区における課題として工事中の湧水の大井川水系外への流出、トンネル掘削土の処理、希少種を含む生態系への影響と大きく三つを挙げており、JR東海と対話をしていますが議論は進まず、静岡工区の着工の遅れからリニア中央新幹線は令和九年の開業が困難な状況となっています。
 県が課題の一つとして挙げるトンネル掘削土の処理については、十万立米を盛土する計画の藤島を県盛土条例の規定に適合しないとして県はJRの計画を認めていません。また三百六十万立米を盛土する計画のツバクロについて深層崩壊に起因するリスクがあるとしています。
 それに関し、先月県の専門部会でJR東海が、百年に一回程度発生するリスクを想定し盛土の有無による影響はほとんど見られないという結果を説明したところ、知事は後日、千年に一回という規模で考えるべきと合理性に欠く見解を示し解決の糸口が全く見えていません。
 一方、国は本年五月に盛土規制法を施行し都道府県等に対して速やかに基礎調査を行い規制区域を指定するよう求めています。法の施行により静岡市内にあるツバクロ、藤島を規制区域に指定するか否か、また指定した場合の盛土行為の許可等は政令市である静岡市の所管となります。難波静岡市長は六月定例会で、個人としてリニア事業にどのような価値判断を持っていたとしても行政判断はリニア事業に協力すべきと発言したほか、今月の市のリニアに関する協議会ではツバクロについて、災害発生確率の想定は百年に一回を取れば十分、県はJR東海にリスク評価を求めるのであればそのリスクを具体的に示し、それに対する現況の河川の安全度を示すべきなど県と異なる市の見解を示し県の対応に疑問を唱えました。
 そこで伺います。リニア中央新幹線建設促進期成同盟会の会員として本県の責任を果たすためには、トンネル掘削土の処理についてはJR東海の計画を否定するばかりではなく県の専門部会の進め方を見直すとともに、県からも具体的な案を示し県とJR東海の双方にとってメリットがあるように前向きな調整を図るべきではないでしょうか。また現場は静岡市内であることを踏まえ、リニア事業に協力すべき姿勢を示している静岡市と異なる場で議論を行うのではなく県の専門部会へ招いて建設的な議論を進めるべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、女性が働きやすい職場環境づくりについて伺います。
 先般国立社会保障・人口問題研究所から公表されました日本の将来推計人口は二〇七〇年には八千七百万人となり二〇二〇年時点と比較して約三割減少するとされています。人口減少の解決に近道はなく一つ一つできることを積み重ねていくことが大切であり、その重要な取組の一つが女性が働きやすく暮らしやすい社会をつくっていくことだと考えます。
 女性が職場において個性と能力を発揮し活躍すると、異なった視点やアイデアが生まれ商品開発やサービス向上につながり、経済成長の好循環を生むと期待されています。一方で出産を契機に女性が非正規雇用者化する、いわゆるL字カーブの存在に象徴されるように様々なライフイベントに当たり働き方の選択を迫られるのは圧倒的に女性です。その背景には人々の意識が、男性は仕事、女性は家庭という前提のままで、男女ともに仕事と家庭の両立を望んでいても男性のほうが仕事優先を求められることから女性の家事、育児の負担は大きくなります。また育休を取る男性も徐々に増えているものの、いまだ少ないなどの課題が依然として存在しています。
 こうした課題を解決し女性の活躍を促進していくためには、働き方を見直し家事、育児、介護と仕事との両立ができる環境を整備し働きやすい職場環境づくりが大変重要だと思います。県ではこれまでも様々な取組を進められてきましたがさらに一歩前へ進める必要があります。
 県内には、男性中心の業界であっても女性の積極的な採用や管理職への登用の道を開いたり、子育てをしながら働き続けられる職場づくりに経営者自らが積極的に率先して熱心に取り組んでいる企業があり、こうした先進的な企業の取組を広く波及させていくことが重要だと考えます。
 そこで、女性が働きやすいと実感できる職場を増やしていくために県はどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、産前からの親準備教育の推進について伺います。
 この世に生を受け子供が健やかに成長するためには愛情あふれる生育環境が何より大事であることは言うまでもありません。しかし残念なことに近親者からの暴力で傷つき命を落とすこともある児童虐待は増加傾向にあります。児童相談所での児童虐待相談対応件数は年々増加しており、今月七日に発表された令和四年度の全国相談件数は二十二万件に迫る過去最多となりました。本県においても政令市を含めると三千七百件を超えており、県を挙げて児童虐待の予防に積極的に取り組む必要があります。児童虐待の発生には様々な要因があると思いますが、出産後の夫婦仲の悪化が一因とも言われています。
 NHKの番組の中で使われた造語に産後クライシスという言葉がありますが、これは出産後に夫婦仲が悪化する現象のことです。産後二、三年がピークと言われていますが実際に第一子を妊娠した二百五十組の夫婦を七年間追跡したある調査では、出産後に関係が悪化した夫婦は五十一%で産後一年間に集中しており子供の誕生が夫婦関係によからぬ影響を与えているケースが多いという結果が出ています。
 その夫婦仲が悪化する原因の一つとして、男女で親への移行のスピードがずれていることが指摘されています。女性は妊娠し体内に宿った命を慈しみ親になっていく準備が始まりますが、男性は身体の生理的変化がないため女性との間に精神的なずれが生じます。さらに産後、夫から家事、育児の協力を得られないと妻が全部を担当する、いわゆるワンオペ育児の状況に陥り過度なストレスを抱え産後鬱の原因にもなり得ます。
 この男女間のギャップを埋めるためには、産前から夫婦で子育てについて学び親への移行期間をスムーズに乗り越えることが重要です。現在妊娠から出産までの期間には、市町が主体となって母親学級や両親学級が行われています。しかしながら一部の市町では、その内容がおむつの替え方や抱っこの仕方など実務的なことがメインで親になるための精神的な準備に対する支援は十分に行き届いていないのが現状だと感じます。出産がゴールではなくその直後から二十四時間体制で子育てが始まり、親子の愛着の形成にとって非常に重要な時期とされる最初の数か月こそ夫婦が協力して子育てをする必要があります。
 共にする子育て環境を確立するためには産前から産後の夫婦関係の変化、家事、育児の分担、親になる責任などについて学んでおく必要があり、児童虐待を予防するためにも県として積極的に市町の母親学級や両親学級における親準備教育を支援する必要があると考えます。
 そこで、よりよい子育て環境の構築を目指す産前からの親準備教育の推進について、県の所見を伺います。
 次に、時流を捉えた観光誘客について伺います。
 今年はNHK大河ドラマ「どうする家康」が放映され、家康公ゆかりの地である私の地元浜松市は歴史ファンを中心に注目を浴び、大河ドラマ館は八月に来場者が三十万人を超えました。主役を務める松本潤さんが参加した浜松まつり騎馬武者行列には約六十八万人が詰めかけ、大いににぎわいました。
 浜松市は山、川、海、湖がそろう景勝地であり、マリンレジャーを楽しめる浜名湖エリアや竜ヶ岩洞、中田島砂丘などの観光スポットに加え、うなぎや浜松餃子などの食文化や舘山寺温泉など豊富な観光資源に恵まれており、本年は大河ドラマ効果が加わったことで観光客が増加し地元として大変うれしく思っています。
 観光資源というと富士山、温泉、ジオパーク、お茶、ワサビなど普遍的なものや伝統的なものをイメージしがちですが、近年は人気のテレビドラマや漫画、ゲーム、アニメや鉄道、ホビーなど熱烈なファンを持つコンテンツの誘客力がとても強いと感じます。例えばアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台である沼津市には現在多くのファンが聖地巡礼に訪れており、市ではアニメとコラボした誘客に取り組んでいます。県中部を走る大井川鉄道のSLやきかんしゃトーマス号は鉄道ファン、ファミリー層に根強い人気があるほか、静岡市で開催される静岡ホビーショーには毎年多くの模型ファンが訪れます。
 近年、推しという言葉をよく耳にしますが熱烈なファン、いわゆるオタクと言われる愛好者は自身が大好きなもの、人やキャラクターに対し時間もお金も惜しまずSNSなどの発信力も大変強いことから、彼らの存在とその誘客力は普遍的、伝統的な観光資源を大きくしのぐことも珍しくないと感じています。このことから観光誘客への取組は、常にその時々の流行や世間の関心事など時流を確実に捉え最大限に活用し一過性に終わらせることなく継続していくことが重要です。
 直近の一例を挙げれば、TBS人気ドラマ「VIVANT」のロケ地となった島根県はロケ地マップを作成配布し来県者を増やしているほか、島根県と番組がコラボした特設サイトを開設し様々な情報を発信しています。こうした時流に乗り観光地を訪れるターゲット層に対して、しっかりと情報を届けることもとても大切です。
 そこで、時流を捉えた観光誘客について、県の所見を伺います。
 次に、介護人材の確保、定着について伺います。
 超高齢化社会を迎えている今、介護は県民の多くが抱える身近で避けて通ることができない人生の課題だと思っています。私自身家族の介護を長く続けている身であり、現在も母が介護事業所のお世話になる中で介護職の仕事の大切さやありがたさを実感しています。
 県が公表した本年四月一日の六十五歳以上の割合を示す本県の高齢化率は三〇・四%と過去最高を更新しました。高齢化の進展に伴い介護職員に関する県の需給推計では団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年には約六万三千人の介護職員が必要になるのに対し、供給の見通しは約五万七千人にとどまるとの想定で二〇二五年問題が間近に迫る中、安定した介護サービスの維持には介護人材の確保が喫緊の課題であると強く感じています。
 しかしながら、現状を見ますと県内の昨年度の全産業平均の有効求人倍率が一・二九倍であるのに対し介護分野の有効求人倍率は四・三三倍と人手不足が慢性化している状態です。県では中高齢者などの介護未経験者や外国人など多様な人材の活用を進めていると承知していますが、今後はさらに人材確保対策を強化していく必要があると思います。
 また、待遇面などの課題もあります。県内の介護職員の賃金は全産業平均と比較すると月額で六万円低く勤続年数は四年ほど短くなっており、今後介護職に就く人を増やしさらに定着してもらうためには処遇改善や業務負担の軽減など介護現場の職場環境の改善を図る必要があると考えます。
 今後も県民の皆様が必要なときに必要な介護サービスを受けることができるようにするためには、あらゆる手段を使って介護人材を確保し定着を図ることが重要です。
 そこで、今後生産年齢人口のさらなる減少が見込まれる中どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、農業の新たな担い手の確保について伺います。
 ある民間会社の二十代、三十代の若年層を対象とした家庭菜園に関する調査によると、継続中を含めその半数近くが経験者であり庭やベランダなど身近なスペースを利用し家庭菜園に取り組んでいます。コロナ禍で始めた人も多く家計の節約や趣味として、また癒やしを求め始める傾向があるとのことです。
 健康志向、健康維持の観点からも野菜摂取はとても大事なことでレンタル農園、貸し農園の言葉がネット上に見受けられます。しかしながら仕事として農業を携わるとなると天候に左右されることもあり様々な困難があると考えられます。
 農林水産省が五年ごとに調査する農林業センサスによると、二〇二〇年の静岡県の農業経営体数は約二万六千経営体で約四万経営体であった十年前の二〇一〇年と比べると約六五%まで減少しています。また経営者の高齢化も進んでおり、人口減少と相まって本県の農業経営体数は今後一層減少していくことが懸念されています。
 こうした中で着実に本県の農業生産を維持していくためには新たに農業の世界に参入する方々を呼び込んでいくことが必須です。しかしながら現在は働き方や職業に対する意識が多様化していることから、様々なスタイルの就農を受け入れられるよう間口を広げていくことが重要だと考えます。
 まずは第一に、これまで先人たちが作り上げてきた技術を継承し本県の質の高い農産物を後世に引き継ぐような地域に根を下ろし本格的に農業に取り組む方の確保が求められます。農業に専念し地域農業の中核となる人材の確保は絶対に欠かすことができません。
 一方で、農業は気象条件に左右され安定した生産を行うためには技術力も必要とされ、本業として農業を始める場合には機械や施設の購入など大きな投資を伴うことから、まずは小さい規模で農業を始め技術を身につけながら徐々に地域農業の担い手として成長していくといった道筋があってもよいのではないでしょうか。
 そこで、働き方の変化が進む時代において様々な就農スタイルが想定されることを踏まえ、県は農業の新たな担い手確保に向けどのような取組を進めるのか、県の所見を伺います。
 次に、スタートアップ支援戦略を踏まえた今後の取組について伺います。
 スタートアップは社会課題の解決や経済成長の担い手として期待されており、国は令和四年十一月にスタートアップ育成五か年計画を策定して中長期的に総力を挙げて取り組むこととしています。私の地元である浜松市では平成二十八年に浜松バレー構想を提唱しスタートアップへの支援に力を入れてきました。実証実験サポート事業やファンドサポート事業など全国的にも先進的な施策を展開しており、令和二年七月には愛知県、名古屋市と共にスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市として認定を受けています。
 また、浜松磐田信用金庫が浜松市内にシェアオフィスや製品の試作スペースなどの機能を備えたスタートアップ支援施設FUSEを設置し、浜松市とも連携しながらスタートアップの支援に取り組んでいるほか、静岡大学の主催で高校生が先輩起業家と交流するなどを行うしずはまスタートアップキャンプといった次世代を担う人材の育成も進められています。
 県において、スタートアップと県内企業との協業を促すTECH BEAT Shizuokaなどの取組を進めていますが、六月議会における我が会派の勝俣議員のスタートアップ支援に関する質問に対して増田経済産業部長は、今年度新たに策定するスタートアップ支援戦略を基に速やかに効果的な支援策を実施し本県がスタートアップに選ばれる地域となることを目指すと答弁されました。スタートアップ支援戦略の策定はゴールではなく、戦略に基づく施策を効果的にかつ着実に実施していくことこそが重要だと考えます。
 そこで、県はどのような戦略を立て策定した戦略に基づいて今後どのように支援策を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、水災害への対応について伺います。
 近年、全国各地で台風や線状降水帯等の発生によりこれまで経験したことのないような豪雨が頻発しており水災害が激甚化しています。本県においても昨年九月の台風十五号の記録的な豪雨により県中部、西部を中心に甚大な浸水被害や護岸の決壊等の災害が発生し、現在その復旧に取り組んでいることと思います。そのような中、本年六月二日の台風二号による大雨により被害がさらに拡大し新たな災害が発生した箇所もあると伺っています。
 私の地元の浜松市においても、二度の台風に加え昨年九月二日に局所的な豪雨に見舞われるなど浸水被害や土砂崩れなどの被害が度々発生しています。今まさに台風時期を迎えていますが、特にこれまで被害を受けた県民の方は台風発生のニュースを見るたび自分の家は大丈夫だろうかと不安の中で過ごしていることと思います。
 県では、これまでも河川の掘削や護岸の整備、遊水地等の整備を進めていることは承知していますし、そのような中で地元浜松市を流れる馬込川や安間川において浜松市など流域の関係者と連携して水災害対策プランを策定し一体となって効果的な治水対策を進めていくことを大いに期待しております。
 しかしながら、最近は特に浸水被害が頻発していることから近くに河川がある住民は河川そのものが目に見える形で拡幅されるなど効果が分かりやすく即効性のある対策を期待している実情もあります。
 そこで伺います。気候変動に伴う豪雨の激甚化、頻発化など新たなステージに入ったと言わざるを得ない状況において水災害に対するこれまでの取組と対策の効果、また今後どう取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、大井川鉄道の今後の在り方の検討について伺います。
 大井川鉄道本線は、昭和六年に島田市金谷から川根本町千頭まで全線開通した鉄道であり、これまで九十年以上にわたって地域に欠かせない公共交通機関として運行されてきました。この間昭和五十一年にはSLの運行が再開され、平成二十六年からはきかんしゃトーマス号の運行も始まりテレビ番組などマスコミで取り上げられる機会も多くなりました。
 加えて、若い世代の昭和への憧れや探求心から昭和レトロブームが起きている昨今、大井川鉄道のノスタルジックな魅力は多くの誘客を生んでいます。また千頭駅から井川駅までの大井川鉄道井川線にある奥大井湖上駅とレインボーブリッジは、湖面に映えるその美しい景色が多くの観光客を魅了しています。大井川鉄道は列車に乗車する人だけではなく沿線を訪れる人や地域の皆様など子供から大人までの幅広い世代に親しまれ地域振興にも大きく寄与してきたと考えております。
 一方で、新型コロナウイルスが蔓延した以降は利用者が減り経営状況が悪化してきたところに、昨年九月の台風十五号により鉄道施設が甚大な被害を受け全区間が不通となりました。鉄道事業者や県などの尽力で昨年十二月には金谷駅から家山駅までの区間が復旧し来月一日にはさらに川根温泉笹間渡駅までの区間が開通する予定と聞いておりますが、残る半分の約二十キロの区間についてはいまだ復旧のめどが立っておりません。今後の営業再開に不安を感じている沿線住民は全線復旧の早期実現を求め署名活動を行い、今月十一日に大井川鉄道本線全線復旧を支援する会の山口会長より三万五千筆以上の署名が提出されました。
 このような状況の中で、県は鉄道事業者からの要請を受けて関係者による復旧や今後の在り方の検討を行っていると聞いております。大井川鉄道本線の早期復旧は本県の観光誘客にもつながるとても大切なことと考えます。
 そこで、これまでの状況と今後の予定について伺います。
 次に、学校教育のデジタル化についてのうち、小中学校におけるGIGAスクール構想の推進について伺います。
 令和元年に国が提唱し始まったGIGAスクール構想は、ICT教育環境の整備により児童生徒一人一人に最適な学びを提供することを目的としており資質能力の育成につながります。GIGAスクール構想を推進するために、国はこれまで学校における高速大容量の通信ネットワークの環境と小中学校一人一台端末を整備するための財政支援を行ってきました。本県においても国の財政支援を活用し令和四年七月末までに全ての市町立小中学校で一人一台端末が整備、配付されました。
 しかしながら、GIGAスクール構想を進める中で幾つかの課題が見えてきました。その一つが端末更新費用の負担です。端末の整備が早かった市町では更新時期を迎えており市町の更新費用の財政負担が大きな点です。
 先月我が自由民主党静岡県連政務調査会が行った自民市町支部要望においても更新費用に対する財政支援の要望が多く上がりました。同様の要望は全国で上がっており、国は端末の更新費用を国の負担とする方針を固め来年度予算の概算要求に百四十八億円を計上するとのことです。端末の更新費用については一定のめどが立ったわけですが、ほかにも幾つか課題があります。その一つがICT支援員の配置問題です。
 小中学校においてICTを活用した授業が円滑に進められるためには、教師と児童生徒をサポートするICT支援員の役割は大きく不可欠であります。国による支援員配置に対する地方財政措置も行われていますが十分とは言えず増員を求める声を多く聞きます。また授業における効果的なICT機器の活用のためには教える側の教員の知識や技術の向上も欠かせません。これらICT支援員の増員と教員の技術向上も市町支部より多く寄せられた要望です。
 そこで、小中学校におけるGIGAスクール構想の推進について県としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、県立学校におけるDXの推進について伺います。
 県立高校ではGIGAスクール構想の下、昨年度の入学生から一人一台端末体制の整備が始まるなど学校現場におけるICT環境の整備が進んでいます。こうした環境整備の進展に合わせデジタル技術の活用も徐々に進み、ICTを有効活用した授業改善等に取り組んだ学校の割合も昨年度は約九一%まで進捗しています。
 一方で、社会全体で働き方改革が進む中で教員の多忙化が問題視され、教員不足を生む原因であるとも言われています。加えて産休・育休の取得数が増加する中、臨時的任用教員の成り手が減少しており複合的な要因が重なることで教員不足は深刻だと認識しています。業務過多のため長時間勤務の教員が増えている現実を思えばその業務の軽減につながるデジタル技術の一層の活用が推進される必要があると思います。
 また、学校教育のデジタル化が進むことで教育に関する様々な情報もデータ化され、複数で共有したり分析するなどの利活用が可能になります。既に医療の分野ではカルテの電子化が進み、多様な職種の医療従事者が患者の情報を共有しチームとして治療やケアに当たることで医療や患者の療養環境の質の向上や仕事の効率化による医療従事者の負担軽減などにつながっています。教育の分野でも出欠席や学業成績などデータの利活用が進むことで子供たちに対する学習や生活指導の改善とともに効果的な学校経営や教育施策の立案などにも期待されています。
 国も今年三月に教育データの利活用に関わる留意事項を公表するなど利活用の動きが広がってきています。学校現場においてもデータ利活用を進めていくことで教育の手法や手段を変革させ最適な学びと協働的な学びを実現していくことが重要だと思います。
 そこで、県教育委員会として県立学校におけるDXの推進についてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 最後に、警察官の不祥事を踏まえた今後の取組について伺います。
 警察官は私たち県民が安心・安全に暮らしていくためには欠かせない存在です。本年四月に公表された新小学一年生が将来就きたい職業の調査において警察官は男の子では一位、女の子では四位、全体で二位にランキングされ子供たちにとって警察官は憧れの職業と言えます。正義と誇りを胸に犯罪や交通事故から治安を守るエキスパートとして地域住民から信頼される存在であることが警察官の本来あるべき姿であると考えます。
 しかしながら、本年七月に現職の警察官三人が相次いで逮捕される不祥事が発生しました。僅か二週間余りで三人もの現役警察官が逮捕されたことは異常事態であり、加えて先月下旬東京都内で現職の警察官が公務執行妨害で逮捕される報道があったことを含め非常に残念な事案が続きました。特に公務で街頭活動中、白バイの制服で窃盗を行ったことは警察官の制服の信用を損ねるもので県民に大きな衝撃と不安を与えたことは言うまでもなく、警察官に対する信頼を大きく裏切ると同時に真面目に任務を全うする多くの警察官の士気に関わることです。
 県警察としてこの事実を重く受け止め、原因を徹底的に究明して今後の対策を図っていただきたいと思います。その上で職員の意識改革を進め、県民の期待する警察活動を行い一日も早く県民の期待と信頼を回復してもらいたいと思います。
 そのためには、まずは幹部が自ら襟を正し模範となって現場で活動する警察官の指導監督に当たることが大切です。また警察官としてふさわしい能力と適性を有する人材の採用や新たに採用した警察官に対する警察学校における教育訓練での資質向上も重要だと思います。
 本部長は着任時の記者会見において、県民の安全を守るため士気の高い精強な組織をさらに強固なものにしていくと決意を述べられました。
 そこで、静岡県の治安を預かる最高責任者として今回の警察官の不祥事を受けどのように再発防止に取り組み県民から高い信頼を得る警察組織にしていくのか、その確固たる決意を本部長に伺います。以上答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 杉本議員にお答えいたします。
 冒頭、熱海富士関に対する熱い思い、私も同じ気持ちであります。十一勝四敗で迎えた千秋楽、貴景勝と優勝決定戦、もしあのとき貴景勝関が左に身をかわさなかったらどうなったかという思いがあります。前に倒れた熱海富士の悔しい顔が鮮烈に残っておりますが、この悔しさをばねにぜひ賜杯を手に入れてほしいと念じているものであります。
 さて、まず私の政治姿勢についてのうち、私の責任についてであります。
 私の御殿場に関わる不適切発言等に関しましては、県議会をはじめとして県民の皆様に不信の念を抱かせてしまったことを改めておわびいたします。
 本議会にお諮りしております私の給与を減額する条例案につきましては、御殿場に関わる私の不適切発言等に責任を痛感し自らに科すべきと考えたペナルティーであります。しかしながらこの条例案をお認め頂き私自身が設けたペナルティーが実行されたといたしましても、知事の職にある限り県議会から辞職勧告を突きつけられた身であることに変わりはありません。
 私は、令和三年十一月に給与返上を表明いたしましたが最終的にそのための条例案の提出を見送る判断をいたしました。当時熟慮を重ねた結果、辞職を求められている状況下では条例案を御審議頂くことは非常に難しいという思いに至ったためであります。また同時に給与返上のみをもって県民や県政への責任を果たせるものではないと考えております。
 当時から今に至るまで、知事としての責任を果たすべく自らに課した知事の心得五箇条を肝に銘じて実践してまいります。特に常時公人、すなわちいついかなるときも公人であるということを改めて強く意識した上で、公務でない場合も含めて不適切な発言をすることのないように自らを強く戒めております。今後とも知事としての発言の重みを十分に自覚いたしまして県民の皆様のために公人知事としての職責を果たすという思いで県政運営に精励してまいりますので、県議会の皆様の御理解と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、私の進退についてであります。
 私は、令和三年十一月臨時会におきまして辞職勧告決議案が可決されたこと、さらにさきの六月県議会では知事不信任決議案が提出され多くの県議会議員の方々が賛成されましたことを極めて重く真摯に受け止めております。また私の給与返上に関しまして県民の皆様にも不信の念を抱かせてしまったこと、そして厳しい御意見を頂く状況になったことを誠に申し訳なく思っております。有言実行しなかったことに対する御失望の声、あるいは直ちに返上すべきとの厳しい声が県庁にも多数寄せられました。
 私は、辞職勧告決議案が可決されて以降自らに知事の心得五箇条を課しております。強い気持ちでそれを実践してきております。特に公務に限らず不適切な発言をしないよう自らを戒めてまいりました。また本議会におきましては令和三年当時に表明した給与減額条例案をお諮りしているところです。
 私は令和四年二月県議会におきまして、主権在民の下で行われた選挙において県民の意向を最も重視するべきであり県民の皆様から負託された期間全力で職責を全うすることが私の務めであると申し上げました。またこの職責が全うできなくなればいつでも辞める覚悟であることも申し上げました。今もこの考えに全く変わりはありません。引き続き知事の職にある限り県議会から辞職勧告を突きつけられた身であることを肝に銘じまして知事の心得五箇条を自らに課し、力の及ぶ限り県民の皆様のために残り一年九か月余を尽くしてまいりたいと考えております。県議会の皆様の御理解と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、来年度以降の法人事業税の超過課税についてであります。
 令和元年度から令和五年度を期間とする第九期超過課税につきましては、昨年度までに企業の皆様に約三百三十七億円の御負担を頂き地震・津波対策の推進や災害に強い高規格幹線道路網の整備に活用してまいりました。御協力頂きました企業の皆様に改めて感謝申し上げます。
 一方、想定される南海トラフの巨大地震から県民の皆様の生命財産を守るためには、引き続き県内全域で地震・津波対策の着実な推進が不可欠であります。昨年度地震・津波対策アクションプログラム二〇二三を改めて策定したところでございまして、今後五年間で必要となる県事業の負担額は九百億円程度と見込んでおります。この財源の一部として活用するため、法人事業税の超過課税を来年度からさらに五年間継続する方向でお願いしたいと考えております。適用する税率は現在と同様といたしまして、税収は五年間で四百二十億円程度と見込んでおります。
 更新には納税者となる企業等の御理解、御協力が欠かせません。現在出野副知事をはじめ幹部職員が経済団体や企業を訪問し、負担頂いた超過課税が堤防等の津波防御施設や緊急輸送路の整備などに活用されている実績を御説明するとともに、御意見を伺っているところであります。今後も引き続き経済団体や企業、県議会の皆様から御意見を承りながら超過課税の更新の必要性などについて御理解頂いた上で県議会十二月定例会に条例改正案をお諮りできるよう取り組んでまいります。
 次に、政令市に対する交付金についてでありますが議員御指摘のとおり現在の制度におきましては県と両政令市の財政需要に応じて超過課税の税収を配分しております。次期の財政需要を検討する際には超過課税を御負担頂く企業の皆様の納得感が得られることが重要であります。これまでにも、目に見える形で事業をしてほしい、あるいは実施による効果を明確に説明してほしい等々の御意見を頂いているところです。現在来月上旬を期限として両政令市から財政需要に対する意見をお聞きしているところであり、今後両政令市の意見も踏まえて次期交付金の検討を進めてまいります。
 次に、時流を捉えた観光誘客についてであります。
 近年、インターネットやSNSの普及により観光情報の入手や宿泊施設の予約が容易になりましたことから、団体旅行から個人旅行へのシフトが進みまして観光のスタイルやニーズが多様化するとともに、旅行先の選択に旅行者の趣味、嗜好がより反映される傾向にあります。
 こうした動きに対応するため、県ではテーマ性を持った観光誘客に取り組んでおります。具体的にはアニメファンやアウトドア愛好者への誘客策として、昨年本県などを舞台とした人気アニメゆるキャンとのコラボレーションにより浜名湖や堂ヶ島などアニメに登場した県内のモデル地を巡るスタンプラリーを実施いたしましたところ、約一万二千人が御参加頂きまして四億円の経済波及効果を生み出しました。
 また、大河ドラマを活用した歴史ファンの誘客にも取り組んでおり、昨年の「鎌倉殿の十三人」では伊豆の国市の大河ドラマ館に約二十万人が来場しました。今年の「どうする家康」につきましては、静岡市や浜松市など県内市町と連携して家康ゆかりの地を巡る周遊ツアーなどを展開しているほか、家康公が当時土肥金山や新潟県の佐渡金山の開発に注力したことにちなみまして山梨県、長野県を含めた中央日本四県の観光誘客を一体的に進める黄金KAIDOプロジェクトを立ち上げました。葵の御紋入りの御朱印などを収集する四県周遊企画や高速道路の定額乗り放題、駿河湾フェリーの運賃割引などにより広域周遊を促進しております。
 さらに、こうしたイベントを一過性に終わらせることなく継続していくために、一例として十月下旬から本県出身の人気俳優磯村勇斗さんを起用いたしまして歴史・文化スポットを紹介するプロモーションをSNS等で展開し若年層の歴史ファンの取り込みにも注力しております。
 本県を訪れる旅行者への情報発信につきましては、今月十四日からデジタルスタンプラリーを実施している静岡県公式観光アプリTIPSを活用いたします。性別や年代など各旅行者の特性や嗜好に応じた本県の食や観光施設、アクティビティーなど様々な情報を提供し県内周遊と滞在の長期化を促してまいります。
 本県には世界文化遺産の富士山やユネスコ世界ジオパークの伊豆半島、浜名湖など豊かな自然やお茶やワサビ、サクラエビに代表される多彩で高品質な食材など豊富な地域資源がございます。こうした地域資源と熱烈なファンを持つ集客力のあるコンテンツを組み合わせることで多様化する観光需要を取り込み、本県観光産業の持続的な発展につなげてまいります。
 次に、介護人材の確保、定着についてであります。
 介護人材の確保、定着は、安定した介護サービスを維持するため本県にとって喫緊の課題であります。あらゆる方策を講じて積極的に取り組む必要があるものと認識しております。
 まず、専門的な介護知識・技術を持つ人材の確保として離職した有資格者の復職支援、また新たな人材確保として働きながらの介護資格の取得支援や介護福祉士修学資金の貸付けなどを行っております。さらに外国人の介護人材を確保するため、今年九月新たに本県と友好関係にあるモンゴル国におきまして介護の特定技能を持つ社会人や日本への留学を希望する学生と介護事業所等との合同面接会を開催したところであります。今後はこれまで日本での就業実績の少ない国からの人材確保にも積極的に取り組んでまいります。
 また、介護人材の定着を図るには職員の就業環境の改善が重要です。まず職員の給与につきましては昨年度実施した介護職員処遇改善支援事業により引上げを支援してまいりましたが、さらなる処遇改善を図る必要がありますので引き続き国に対して介護報酬の引上げを要望してまいります。
 加えて、介護事業所の職員の業務負担を軽減するためICT機器等の導入費用を助成するほか、コンサルタントを派遣し直接介護を担う職員と食事の配膳など周辺業務を担う介護サポーターとの役割分担を整理するなど業務改善の支援を行っているところです。こうした取組を県内全域に普及するために、働きやすい介護事業所の認証、優良介護事業所の表彰、業務改善に取り組んだモデル事業所の事例報告会等々啓発活動も併せて図ってまいります。
 県といたしましては、市町の介護サービス見込み量に基づき必要となる介護職員数を改めて推計いたしまして、現在改定作業を進めている静岡県長寿社会保健福祉計画において新規就業や職場定着に向けた新たな施策を盛り込み、介護現場を支える人材の確保、定着に全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(中沢公彦君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) リニア中央新幹線建設に関するトンネル掘削土の処理に係るJR東海及び静岡市との調整についてお答えいたします。
 リニア中央新幹線建設に関するトンネル掘削土の処理については、現在環境影響評価制度の手続に基づきJR東海と県地質構造・水資源専門部会で対話を行っているところであります。環境影響評価は制度上事業者が行うこととされており、自らの責任と負担で事業の実施に伴う環境への影響について配慮することとなります。トンネル掘削土の処理についてもJR東海が事業者の責任として地域社会が理解し納得できる環境保全対策を提示すべきであります。
 県専門部会におきましては、科学的・工学的議論を進めるためにツバクロを発生土置場とすることの妥当性や要対策土の処理に関する対応策を事業者の責任として示すことを求めているのであり、JR東海の計画を全て否定しているものではありません。また同時多発的な土石流等の発生などについて具体的に委員からの課題が示されており、課題解決に向け双方の調整が図られるものと認識しております。
 今後とも、専門部会委員の指摘に対するJR東海からの説明を踏まえ対話を前に進めてまいります。
 次に、静岡市を県専門部会に招いて議論を進めるべきとの議員からの御提案についてであります。
 県と静岡市は、南アルプスの自然環境を保全するという共通の目的があり密接に連携してこの問題に取り組んでいくことが重要であります。現在も県市相互に連絡調整を行っているところであり、加えて市のリニア協議会にも県はオブザーバーとして参加しております。現時点では県専門部会への静岡市招聘について具体的な計画はありませんが、御提案の趣旨も踏まえ県市相互の理解に向け一層の連携を図ってまいります。
 引き続き、県民の皆様が抱く不安や懸念が払拭されリニア中央新幹線の整備と大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立が図られるよう全力で取組を進めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) 女性が働きやすい職場環境づくりについてお答えいたします。
 人口減少対策に加え本県産業の持続的な発展には男女がともに生き生きと活躍できる職場環境が不可欠であり、中でも女性が働きやすい環境づくりに向けては企業自らの主体的な取組が重要であります。このため県では経営者向けセミナーを開催して先進事例を紹介するとともに、女性活躍行動計画の策定等に取り組む企業にアドバイザーを派遣するなど企業の積極的な取組を促しております。
 加えて今年度からは企業のセミナー等への参加を待つだけではなく、こうのとりカンパニー等を対象に巡回訪問支援を実施することといたしました。専門家の巡回訪問により多様な働き方導入のメリットについて経営者に気づきを促し、くるみん認定の取得やテレワーク導入の取組を働きかけることとしております。
 また、女性活躍の取組における県内の先進的企業と連携し、県と企業の女性職員同士の意見交換会を開催するなど現場の声を施策に反映するための取組も積極的に行ってまいります。
 県といたしましては、引き続き企業の主体的な取組を後押しするとともに巡回訪問等により取組企業の裾野の拡大を図り、女性が働きやすいと実感できる職場の増加に向けて取り組んでまいります。
 次に、スタートアップ支援戦略を踏まえた今後の取組についてであります。
 県では、スタートアップを戦略的、効果的に支援するため具体的な施策を盛り込んだスタートアップ支援戦略を今月取りまとめました。本戦略では重点取組としてスタートアップと県内企業、自治体とのマッチングなどの結びつける施策と成功事例の創出の二つの取組を掲げております。このうち速やかに実施する必要がある事業を九月補正予算案に盛り込み本議会でお諮りしているところであります。
 具体的には、結びつける施策としてイノベーション拠点SHIPにワンストップ相談窓口を設置しスタートアップの困り事を支援につなげるほか、年間を通して県内企業とのマッチングを実施いたします。あわせて産学官金のスタートアップ支援関係者によるネットワークを形成し伴走支援する仕組みを構築してまいります。
 加えて、県内から成功事例を創出するためビジネスプランコンテストを開催いたします。一位の賞金額は自治体主催では最大規模の一千万円を予定しており、国内外から大きな成長が期待される有望な企業を本県に呼び込んでまいります。
 来年度は、こうした取組に加え本県の様々な地域資源を活用したマッチング施策を本格的に展開するほか、次代を担う若年層を中心にスタートアップ人材の育成にも積極的に取り組むなど本県にチャレンジを許容する社会風土を醸成し国内外のスタートアップに選ばれる地域となるよう全力で支援してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 産前からの親準備教育の推進についてお答えいたします。
 妊娠、出産に伴う女性の心身の変化や男性が主体的に育児へ参加する心構えなどについて、出産前から夫婦が共に学習することは良好な家庭環境において子供が健やかに成長するために大変重要であると認識しております。
 市町におきましては、妊娠、出産、子育てに関する正しい知識の普及啓発を目的に産前からの母親学級や両親学級に取り組んでおりますが、議員の御指摘のとおりその内容については様々であります。
 こうしたことから、県では市町における両親学級などの内容の底上げを図ることを目的として運営の主体となる市町の保健師に対し母性、父性の醸成や出産前後の母親の心身の変化などについて母性看護学の専門家による研修を実施しております。また妊娠初期から幼児期までの父親の関わり方を記載した本県独自の父子手帳を作成し、市町を通じて配布しております。
 今後は、産後に危惧される夫婦関係の悪化の回避、相互に家事、育児を協力することの大切さなどに重点を置いた親準備教育を両親学級で実施している浜松市等の事例について担当者向けの研修会を通じて全市町への横展開を図るとともに、父子手帳の親準備教育での活用についても働きかけてまいります。
 県といたしましては、夫婦が共に手を携えて子育てに向き合い子供が健やかに成長することができる環境づくりに向け、市町において充実した親準備教育が実施できるよう引き続き支援に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 農業の新たな担い手の確保についてお答えいたします。
 若者やシニア世代を中心に就業や働き方の価値観が多様化する中、将来にわたって着実に農業人材を確保するためには様々なスタイルの就農ニーズに応えていけるよう就農の間口を広げていくことが重要と考えております。
 このため、本県の多彩で高品質な農産物を支える中核人材の確保・育成につきましては全国から広く就農希望者を募り経営感覚に優れた篤農家の下での実践研修や就農資金等の支援に取り組んでおります。加えて昨年度からは施設機械等の設備投資への補助を充実するなど対策を強化しているところであります。これまでに二百六十人が研修を経て就農し地域のリーダーとして次の世代を育成するなど人材の好循環が生まれており、引き続きこの輪がさらに拡大するようきめ細かな支援を行ってまいります。
 また、本格的に農業を始める前にまずは小さな規模から就農したいといった方々のニーズを捉え、農業を副業とする半農半Xを目指す人材を育成する研修制度を開始したところであります。研修生は比較的若い方が多く、小規模でも農業以外の知見を生かした経営により地域農業の新たな担い手として活躍できるよう栽培技術の習得や就農準備等の支援を強化してまいります。
 県といたしましては、就業や働き方に関する多様なニーズを的確に把握しながら農業に関心を持った人材を幅広く掘り起こし、本県農業生産を支える新たな担い手の確保に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 水災害への対応についてお答えいたします。
 近年の豪雨の激甚化、頻発化により全国で甚大な自然災害が発生していることから、県では国や市町をはじめ流域のあらゆる関係者が協働して治水対策に取り組む流域治水を進めております。このうち河川改修を加速させ生命財産の被害を防止、最小化することを目的とした国土強靱化計画による国の財政支援を受け、県において集中的に事前防災に取り組んでいるところであります。
 防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算を活用し、これまで馬込川をはじめとする八十九河川百二十七か所の河道拡幅を集中的に進めております。これにより河川改修の整備延長が加速化対策以前に比べ一・二倍に向上し流域自治体からも地域住民の不安払拭につながっていると評価されております。また国も強靱な国づくりをより計画的に進めるため国土強靱化基本法を今年六月に改正し国土強靱化実施中期計画を定めたことで減災対策をさらに強く推し進めることとしました。
 県といたしましては、引き続き治水対策の予算の確保に努め河川改修などを積極的に進めることにより水災害に強い地域づくりに努めてまいります。
 次に、大井川鉄道の今後の在り方の検討についてであります。
 大井川鉄道は地域住民に欠かせない公共交通機関として、また観光面においては県内外からの多くの交流人口を創出するなど地域に果たしてきた役割は非常に大きいものであると認識しております。
 県では、本年一月に鉄道事業者から災害復旧の支援等に関する要望書が提出されたことを受けて、三月に国や沿線市町、鉄道事業者などで構成する大井川鉄道本線沿線における公共交通のあり方検討会を設置し、不通区間の復旧や持続可能な公共交通の確保について検討することといたしました。検討するに当たって鉄道の利用状況等を確認するとともに、被災状況を把握するため鉄道技術に精通した鉄道建設・運輸施設整備支援機構などと連携して現地調査を実施してまいりました。調査の結果被害が三十九か所に及ぶことや一部のトンネルで老朽化が著しいことが判明し、現在鉄道事業者が復旧及び修繕にかかる詳細な費用を算出しているところであります。
 県といたしましては、地元の皆様の声を真摯に受け止め大井川鉄道が持つ観光資源としての重要性も考慮した上で検討会で年度内に取り得る方策をまとめ、関係者間で実現に向けた協議を進めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 学校教育のデジタル化についてのうち、小中学校におけるGIGAスクール構想の推進についてお答えいたします。
 GIGAスクール構想により学校のICT環境は飛躍的に充実しましたが、デジタル技術を活用した個別最適な学びを実現するためには議員御指摘のとおりそれを扱う教員のサポートや資質能力の向上が求められております。教育現場にICTに関する専門的な知識を有する支援員を配置することは、ICTの効果的な活用と併せ機器トラブル時の対応など教員の業務負担軽減の観点からも有益であります。国も支援員の配置について交付税により財政措置をしており現在県内の多くの市町でもそれを活用しておりますが、全市町への配置の拡大を促すとともに体制の充実が継続的に行われるよう市町と連携して国に働きかけてまいります。
 また、ICTを活用した授業を行う教員の指導力の向上のため県内全ての市町が参加する静岡県ICT教育推進協議会を通じて他自治体の優れた活用事例を共有したりICT活用の基礎となる情報リテラシーの向上や便利なアプリケーションの操作方法の研修などを行っております。今後は児童生徒の協働的な学びの実現に向け、魅力的な授業づくりにつながるICTの活用手法の研修や市町教育委員会からの個別の要望に即した出前研修等の充実を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、今後も市町教育委員会と連携して教員に対する支援の充実と個々の教員の指導力向上に努めることでデジタル化によって児童生徒一人一人の力を最大限に引き出す教育を推進してまいります。
 次に、県立学校におけるDXの推進についてであります。
 県立学校におきましては、ICT機器等の環境整備やその活用が進んできてはいるものの依然として教員の多忙化が解消されておらず、業務改善に向けてさらなるデジタル化の推進が必要であります。このため教職員間の情報伝達を迅速化するためのチャットの活用、文書の印刷や回覧などのペーパーレス化、文書の要約作業への生成AIの利用などデジタル技術の積極的な活用により教職員の業務負荷軽減を促進してまいります。
 また、議員御指摘のとおり学校での様々な活動の成果や記録を教育データとして蓄積、活用していくことは有益であります。このため一つの画面に生徒の健康状況や学習情報を集約し、複数の教員で共有できるプラットフォームの構築に向け実証を行っているところであります。このプラットフォームは、教員にとりましては生徒の抱える課題の早期発見や生徒の理解に合わせた授業づくりに、教育委員会にとりましては教育環境の改善などに向けたエビデンスに基づく政策の立案などに活用できると考えております。加えて生徒にとりましても自分の端末でいつでも学びを振り返ることで自らの強み、弱みを客観的に把握できるようになり、主体的な学びの実現に寄与するものと考えております。
 県教育委員会といたしましては、社会の在り方が劇的に変わるSociety5・0時代を見据え学校教育のデジタル化と教育データの積極的な利活用により、教員の経験や勘に頼ることが多かった学校教育にデータという客観的な判断基準を新たに融合させることで全ての生徒の可能性を引き出す学びを実現してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 警察官の不祥事を踏まえた今後の取組についてお答えします。
 初めに、本年七月に本県の警察官三人が相次いで逮捕されたこと、またそれらの再発防止に取り組む中、八月下旬にも別の逮捕事案が発生したことについては県警察の最高責任者として誠に遺憾に感じているところであり、警察への信頼を損ない御心配と御迷惑をおかけすることとなったことについて県議会議員の皆様はもとより県民の皆様におわびを申し上げます。
 県警察といたしましては、七月に逮捕事案が発生した直後緊急通達を発出し綱紀粛正を図ったのに続いて緊急所属長会議を開催して、警察署長をはじめ所属長自らが職員との直接対話を行い身上の丁寧な把握とともに職員の心に直接届くような職務倫理教養の再徹底を図るよう指示し、所属の実情に応じた取組を進めております。また現在警察本部各部長が各所属に出向き、講話を実施しながら各所属の取組を強力に後押ししているところであります。その上で私自身が、真面目に任務に取り組んでいる職員一人一人の心に直接語りかけるべくビデオメッセージを配信して、第一線の士気に影響が及ばないよう引締めを図ったところであります。
 今後は、直接対話により把握した意見、要望を踏まえ不安や悩みを相談しやすく、また職員の非行の兆しについてもしっかりと情報共有されるよう、さらに風通しのよい勤務環境の構築に向けた取組を進めてまいります。具体的には部内相談体制の拡充と活性化を図るため部外講師によるピアサポーターを対象とした研修のほか、幹部職員を対象とした部外講師による研修を進めることとしております。
 いずれにしましても、今回の不祥事が職員の士気や職務執行に影響を及ぼし、その結果県民の安全に支障が生じる事態は断じてあってはならないことであります。引き続き再発防止策を実効ある形で着実に進めながら、従前同様県民から高い信頼を得られるよう士気高い精強な組織づくりに向け、私以下職員一同たゆまぬ努力を続けてまいる所存でございます。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 杉本好重君。
       (十五番 杉本好重君登壇)
○十五番(杉本好重君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 要望を二点、再質問を一点させていただきたいと思います。
 まず要望の一点目でありますが、知事から御答弁頂きました介護人材の確保、定着についてであります。
 離職者を掘り起こすとか、あと外国人を登用してモンゴルのほうで面接会を開かれたということであります。本当にこれは喫緊の課題だと思っておりますので、ぜひ介護人材の確保に強力に努めていただきたいと思っており、国への要望も進めていただきたいと思います。
 意見でありますが、先日静岡県老人福祉協議会の皆様と意見交換をさせていただいた中で、介護人材の不足または福祉業界の全体の意見、様々な課題をお聞きした中で大変ちょっと驚いたんですが、ケアマネジャーの成り手がなくて介護サービスを受けたくても受けることができない方をケアマネ難民と言うそうです。私も介護する身でありますのでケアマネジャーさんがいかに大切で、もう介護の入り口にいる方だと思ってます。例えば各種契約にしたり、またどの施設を使ったらいいのかというのもケアマネさんに全部投げれば、いろいろ手配してくれたり回答が返ってきます。その方がいなければ介護は受けれないんですね。今そういう現実があるということをお聞きして大変驚いたところであります。待遇面とか職務内容とか様々な課題があるようでありますが、現状をしっかりと把握していただいて国への要望につなげていただきたいと思います。
 あともう一つは親準備教育についてでございます。
 部長から浜松市のほうで精神的な部分の母親教育、両親教育を進めている例があるということであります。やはりそこの部分が足らないという質問をさせていただきましたので、浜松の事例を県下に広く浸透していただくようにお願いしたいと思います。
 あと最後に、知事の政治姿勢について再質問をさせていただきたいと思います。
 知事の答弁の中にですね、辞職勧告を突きつけられた身でありながら一年半もの間提出しなかった理由を、辞職勧告を突きつけられた身であるから条例を出すべきではないというふうな御答弁がございました。まず、どうしてそのように判断されたのか伺いたいと思います。
 ですが、今は返納しようというふうに心境が変わられたわけですよね。その心境の変化も御説明頂きたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 私の政治姿勢についての質問二点、ありがとうございました。
 辞職勧告が決議されましたのは令和三年の十一月のことでございました。そしてこれは極めて大きいということで真摯に受け止めまして、この辞職勧告を受けている身では給与の返済あるいはボーナスの返上というようなことについての御審議は極めて厳しいと自らそう思い込んでおりました。したがってこれは強い思い込みであったというふうに思っております。
 それがそうなった理由の一つは、やはりコミュニケーションの不足というのがあるかと思います。今回この条例案を御説明に上がって初めていろいろなアドバイスも頂戴する機会も得まして、やはりコミュニケーションの不足これは極めて反省すべきことであるというふうに思いました。
 二つ目の御質問ですけれども、去る六月のこの県議会におきまして、この減額に関わるその条例が出されていないと、これは言行不一致ではないかという御指摘がありました。この御指摘を私は重く受け止めまして、それに応じて今回この条例案を提出したということでございます。
 まとめて申し上げますと、長く一年半放っておいたのは私が主観的な判断といたしましてこの案を出しても通らないと、通らないような条例案を出してもこれは意味がないというふうに勝手に思っていたということが一つあります。そして今回条例案を出しましたのは、去る六月議会でこれが御審議頂いて、そして私としましては今これを出すことができるという判断をいたしまして出したと、こういうことでございます。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 杉本好重君。
       (十五番 杉本好重君登壇)
○十五番(杉本好重君) 意見でございますが、少しちょっと説明が、知事の説明はちょっと分かりにくいと言いますか、ちょっとよく分かりませんでした。
 川勝知事につきましてはもう四期でありますので十五年目に入られたわけですよね。静岡県の顔で知事がいろいろ発言されることはもう全部静岡のイメージにつながります。本当にそれは様々な御発言を今までやってこられて、もう聞くに堪えられない下品な誠意を欠く発言が多かったかというふうに記憶をしております。静岡県の見られ方というのが今全国的に大変厳しいのではないかなというふうに思っているところであります。
 知事におかれましては、今回は条例を出しさえすれば御自身のペナルティーを実行することになりますので給与返上ということになるわけでありますが、私たちは知事に対して辞職勧告、そしてさきの定例会で不信任案を出した立場から言わせていただくと、自らに辞職というペナルティーを科す御英断を下すことを御提案申し上げて、私からの質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中沢公彦君) これで、杉本好重君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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