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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

竹内 良訓 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/21/2010

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 民主党代表選後の政権運営                   
 (2) 知事に対する県民評価と自己評価                
 (3) 政治家の言葉の重み                      
2 事業仕分けについて                       
3 新しい行財政改革大綱の策定について               
4 県民の防災意識の向上について                  
 (1) 地震防災センターの活用                    
 (2) 防災に関する知事認証制度                   
 (3) 静岡県ふじのくに防災士                    
5 次世代環境車の普及促進について                 
 (1) 普及促進に向けた県の取り組み                 
 (2) 県内部品出荷半減などに対応する中小企業への支援        
6 口蹄疫等の防疫体制の強化について                
7 富士山を包括的に保存管理する組織の設立について         
8 県民にとって利用しやすい空港づくりについて           
 (1) 運航ダイヤ見直しによる魅力向上                
 (2) 格安航空会社誘致による県民サービスの向上           
 (3) 空港周辺のアクセス道路の整備                 
9 森の力再生事業及びもりづくり県民税の今後について        
10 静岡式三十五人学級編制の方向性について             
11 中国浙江省との児童生徒の交流活動推進について          
12 犯罪のグローバル化への対応について



    ○副議長(岩瀬 護君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、六番 竹内良訓君。
           (六番 竹内良訓君登壇 拍手)
    ○六番(竹内良訓君) 私は自民改革会議を代表して県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。
     質問に入ります前に、去る八月の二十一日に御逝去されました故岡本信也県議に謹んで哀悼の意を表しますとともに御冥福をお祈り申し上げます。
     また、今月上旬の台風九号により県下に大きな被害がもたらされました。被災者の皆様方に心からお見舞い申し上げますとともに、被災された地域が一刻も早く復興できますよう、既に私ども自民改革会議として知事に要望書を提出させていただいておりますが、県の万全の対応をお願いいたします。
     それでは質問に入ります。
     最初に、知事の政治姿勢についてのうち、民主党代表選挙後の政権運営についてお伺いします。
     我が国は、世界で最も少子高齢化が進行し、社会構造や産業構造は大きな転換期を迎えています。リーマンショックから二年、日本経済は最悪期から抜け出したとはいうものの、ここへ来て欧米の財政悪化により急激な円高が進行し、それに伴う輸出の伸びの鈍化や株安など、今、国民の不安はますます高まっています。そんな状況の中、政権与党である民主党代表選挙がまさに国民感情を無視したものであるとの国民の声などものともせずに行われ、結果、菅直人代表が再選。引き続き日本国のかじ取りをすることになったのです。
     菅代表の勝因は、一に小沢氏の政治と金、二に総理大臣をころころ変えるのはよくないという世論に後押しされた消極的支持の結果であります。この代表選について知事は、「本県にとって今はインフラ整備が一番大切、本県中心主義に立てば前原国土交通大臣との連携がうまくいっているので菅首相再選のほうが継続的発展が期待できる」との、これまた間接的で消極的支持の発言をされています。残念ながら前原氏は国土交通大臣から外務大臣へ変わりました。
     そこで、代表選挙の結果を経て続投する菅政権に対し、知事はどのような所感を持ちまた今後どのようなことを望んでいくのかを伺います。
     次に、知事に対する県民評価と自己評価について伺います。
     七月で就任一周年を迎えた川勝知事に対する新聞社の世論調査の結果では、この一年の川勝知事の県政運営に対して六四・七%の県民が六十点以上の及第点をつけています。県民の多くが、川勝知事の行動力やスピード感など一定の評価をしているとの結果が出ています。しかし一方ではJALとの確執、アリーナ建設における静岡市との問題、JR貨物との関係など外部との無用なあつれきがあったことも事実です。
     そこで、就任十四カ月を過ぎた今、県政運営に対し御自身はどのように自己評価をしているのか伺います。
     次に、政治家の言葉の重みについてお伺いします。
     昨年の政権交代以降、政治家の発言に対する不信感が日増しに増幅、蔓延しています。これは鳩山前総理の普天間基地移設問題への発言はもとより、昨年の総選挙であれほどまでに国民の前で騒ぎ立て、国民との約束とまで言い切ったマニフェストの説明なき不履行にあると思います。既に国民の多くはマニフェストなどというものは当てにならない、いいかげんなものだと認識しています。私は、政治家は自分が発した言葉に常に責任を持ち、同時にその言動、行動はいかなる場合もぶれない初志貫徹の精神が他の職業以上に必要であると考えています。
     そこで、学者の言葉以上に社会に対して直接的影響力を持つであろう政治家の言葉の重みに関して、知事はどのようなお考えを持っているか伺います。
     次に、事業仕分けについて伺います。
     今月の四日、五日と昨年に引き続き本県で二度目の事業仕分けが行われました。二度の仕分けを通じて、事業仕分けという行政評価手法のメリットと課題がはっきり見えてきたのではないでしょうか。メリットは、何と言っても県民が県政へ参画できる機会が提供されたことであり、まさに行政の透明性の向上につながるものであります。また公開の場で県民に対してわかりやすい事業説明を行う必要があるため、県の職員が県民目線で事業を考えることとなり、それが職員の意識改革にもつながっていると思います。今回の傍聴者からも、県の事業への理解を高めるために有効な手法と評価されています。
     しかし、仕分けの手法については大きな問題があると認識しています。中には事業のごく一部しか議論されないまま事業全体が評価されてしまったというケースがありました。そもそも議論をする時間が少な過ぎるのではないでしょうか。また特に問題なのは、最後に班の結論を多数決で決めるという手法です。これに至っては、議論のプロセスが重要であるという構想日本の話と全く食い違っており、議論の過程を置き去りにして最終評価のみがひとり歩きしています。結果的にこのことで職員は見直しに対する前向きな気持ちをそがれ、士気が低下しているようにも見受けられます。
     知事は来年も事業仕分けを行っていくとしていますが、私は事業仕分けのメリットは生かしながらも、その手法については抜本的に見直し、県の事業への真の理解を高めるために有効な手法を検討していただきたいと考えますが、知事の所見をお伺いします。
     次に、新しい行財政改革大綱の策定について伺います。
     本県の行財政改革は、これまで集中改革プランを中心とした取り組みが進められてきましたが、厳しい財政環境や地域主権に向けた国の動きなどから、さらに改革を進めていかなければならない状況だと考えます。こうした中、県では集中改革プランの次期計画となる新しい行財政改革大綱の策定作業が進められています。
     本年四月には、本県の今後の行政経営のあり方について大所高所から意見や提言をいただくために、ふじのくに行財政革新戦略会議が設置されました。メンバーを見ますと、総理大臣秘書官や通産省事務次官の経験のある座長の福川氏を初め元岩手県知事で総務大臣も経験された増田寛也氏など、そうそうたる方々であり、行財政改革に対する意気込みが伝わってきます。
     この戦略会議でいただいた意見や提言を具体的な行財政改革の取り組みにつなげていくために、会議のもとに大綱策定分科会が設置され、これまでに大綱に盛り込む具体的な検討テーマの選定や新しい大綱の方向性や骨格などについて意見交換が行われました。そして八月二十五日には第二回目の戦略会議が開催され、分科会での議論を整理した新しい大綱の骨子となる中間報告案について審議が行われたところであります。
     知事は、四年間で六百億円の財源確保を挙げ、その達成に向けて昨年度分と本年度当初予算で捻出した額は約百八十七億円としていますが、今後さらに毎年約百五十億円を生み出していく必要があり、一層の行財政改革を進めていかなければなりません。
     そこでまず、この新しい行財政改革大綱の中間報告案に盛り込まれている、当然マニフェストとの整合がとられているであろう今後の行財政改革の基本的な考え方や取り組み方針について伺います。
     また、新しい大綱を来年三月までに策定するとのことですが、今後どのような検討を行っていこうとしているのか、スケジュールもあわせて伺います。
     次に、県民の防災意識の向上について伺います。
     家庭における地震の備えについてのアンケート調査によると、本県の約六〇%の家庭が万一に備え、家具の転倒防止や非常食・飲料水の準備など何らかの対策を講じており、その意識の高さは全国第一位であると公表されました。これは東海地震が想定される本県危機管理部を初め、市町及び関係諸団体の日ごろの活動のたまものと言えます。しかし裏を返せば県下の家庭における約四〇%が、地震に対して何の準備も行っていないということを意味します。この結果を踏まえ、今後さらに県民の防災意識の向上につながる施策を講じていく必要があると考えます。
     そこで、地震防災センターの活用についてまずお伺いします。
     地震についての体験や見学ができる地震防災センターには、中国やアジアなど海外からの来館者が急増し、昨年度の海外からの年間来場者数六百八十三人の約四・二倍に当たる二千八百九十五人が、八月末までに来場しているとのことです。たび重なる世界的な地震発生により、国内はもとよりアジア諸国の防災に対する意識が高まっており、防災先進県である本県の取り組みが注目を集め、その結果、同センターの利用者が急増しているものと認識しています。
     本日、傍聴の皆様方におかれましては、午前中に地震防災センターを見学をしていただきました。ありがとうございました。同センターでは防災関係の展示や各種防災講演会などを、地震防災アドバイザーや防災指導専門監、インストラクターの力をかりて少人数で運営管理しています。住民の防災意識向上の大切さが叫ばれる中、各地域での自主防災活動の現場を見ると自治会関係者の方々や地域自主防災隊の方々が中心で、若い世代の参加者は余り多く見られないのが現状です。県内のどの地域においても、若者世代の防災活動への参加促進は重要な課題の一つとなっています。
     そこで、各種商工団体などと連携をとりながら、地域防災活動に参加することの少ない会社員や若者世代を対象に、例えばナイトミュージアムのように、地震防災センターを十一月の地震防災強化月間など特定の期間だけでも閉館時間十六時を延長して夜間公開をするというのはいかがでしょうか。県庁所在地である静岡駅周辺に勤務する多くの会社員の方々や学生にも利用してもらえるのではないかと思うのです。また東部や西部地域の県民を初め、国内外の来館者の利便性を考慮した運営、例えば場所の移転などについても検討していただけるとありがたいと思っております。
     同センターの役割がますます期待されることから、より一層の有効活用を図るべきだと考えますが、県の所見をお伺いします。
     次に、防災に関する知事認証制度について伺います。
     東海地震の切迫性が指摘される中、少子高齢化が急速に進み地域防災力の低下が懸念されています。このような中、本県ではふじのくに防災に関する知事認証制度を創設し、東海地震など大規模災害発生時にみずからの判断で的確な行動をすることができる知識・知恵及び技術を持った人材や次世代の地域防災の担い手などを育成し、地域防災の充実強化を図っています。七月には県が養成するふじのくに防災マイスター、またふじのくにジュニア防災士などが新設されました。ふじのくに防災士を対象に、防災の専門家として静岡大学が育成するふじのくに防災フェローにも知事認証を付与するとのことです。
     防災に関する知事認証制度の存在は、県民の防災意識を高めるためには必要なのかもしれませんが、先ほど述べたとおり認証の種類が多種多様でなおかつ片仮名名も多く、県民には少しわかりにくいのではないでしょうか。
     そこで、現在ある名称を生かして知事認証の目的や内容をより県民の方々にわかりやすいものにするためには、積極的な啓発や工夫が必要だと思われます。このような取り組みにより地域や企業の防災意識や知事認証の取得意識がより向上するのではと考えますが、制度の普及拡充に向けての県の所見を伺います。
     次に、静岡県ふじのくに防災士について伺います。
     防災の日の今月一日、伊東市で開かれた県総合防災訓練の開会式であいさつに立った川勝知事は、「困っている人はだれが助けますか。その技術はだれが持っていますか。それは私たちです」と防災先進県のトップとしての自負を見せました。ならば自他ともに認める防災先進県である本県として、まずは県職員が率先して防災に関する知事認証を受けるべきではないでしょうか。
     現在、静岡県ふじのくに防災士は全体で九百六十五名が認証を受けています。そのうち知事部局の県職員で取得をしているのは百二十四名とのことです。現役の県の職員は、災害時には公務としての災害対策業務に従事しなければなりませんが、ふじのくに防災士の認証を持った職員が数多くいれば、防災リーダーとして平常時における地域防災への貢献が可能であり、また退職後OBとなった際には地域においての活躍が一層期待されます。
     現在、県職員に対して新規採用職員研修や日ごろの職員研修などで防災に関する訓練や講座を行っていると聞いていますが、このような研修でもふじのくに防災士の認証を付与できるような仕組みを確立し、防災先進県チーム川勝には多くの防災士がいることを国内外に周知するべきだと思いますが、県の考えをお伺いします。
     同時に、市町の職員や教育関係者にも同様の防災士認証者の拡大を図るべきだと考えますが、県の所感をお伺いします。
     次に、次世代環境車の普及促進に向けた県の取り組みについて伺います。
     地球環境やエネルギー資源に対する意識の高まりなどを契機に、次世代自動車、特にEV――電気自動車、PHV――プラグインハイブリッド車の実用化に向けた機運が全国的にも高まっています。EV、PHVの実用化、普及には従来の自動車とは異なる技術や部品、あるいはインフラ整備が必要となることから、新たな産業振興につながることも期待されています。
     そんな中、本年五月に、浜松地域における産学官が一体となってEV、PHVなどの社会実験に取り組むはままつ次世代環境車社会実験協議会が設立されました。企業や大学、団体、地方公共団体などの産学官が一体となってEV、PHVなどの社会実験に取り組んでいくこの協議会は、環境のみならず産業振興への積極的な取り組み姿勢を内外に示すものとして大いに注目を集めています。
     また、去る九月の三日には県と浜松市の共同開催による次世代環境車フォーラムが行われ、私も出席してきました。参加したのは県西部の自動車部品メーカーの担当者を中心とした約三百二十名で、定員を大幅に上回った参加者の数に、EV、PHVの実用化に向けた機運の高まりを改めて感じました。
     そして先般、県はEV、PHVの普及を図る経済産業省のモデル事業である第二期EV・PHVタウン構想に応募する意向を明らかにしました。このタウン構想は、走行時の環境負荷が少ないEVやPHVの需要創出に向け、特定の地域で車両の導入や充電インフラ整備を集中的に行い、普及モデルの確立を図り日本全国への普及を目指す事業です。既にEV・PHVタウンとして青森県、新潟県、福井県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、そして長崎県の八つの自治体が選定をされています。
     また、静岡市内にある県内でも著名な企業が松本市のEVを活用した観光産業創出への取り組みに賛同し、長野県内のレンタカー営業所とガソリンスタンドに合わせて十四カ所の充電設備を設置し、当分の間、無料で提供するとのことです。他県におくれをとることなく、経済発展と両立した低炭素社会の実現に向け、本県においてもEV、PHVの普及を積極的に進めていく必要があると考えますが、EV・PHVタウン構想応募に合わせ、本県としてどのように普及促進を図っていくのか伺います。
     次に、部品出荷半減などに対応する県内中小企業への支援について伺います。
     EVが普及した場合、特にエンジン部品や駆動・伝導・操縦装置部品を製造する企業においては、受注の大幅な減少が懸念され、他県と比べても本県企業が受ける影響は大きいとの報道がありました。これらの中小企業は、次世代環境車の普及をエンジンなどの部品点数が減るというマイナスの要素ではなく、先端技術の開発や新しい部品の製造などを始める新たなビジネスチャンスだととらえ、積極的に取り組むことが大切だと考えます。
     県は、次世代環境車の普及に対応し、果敢にチャレンジする県内中小企業を積極的に支援することにより次世代産業の育成に努め、本県産業のさらなる発展につなげていくことが重要だと考えます。
     そこで、次世代環境車の普及に伴う部品出荷半減などに対応する県内中小企業への支援について、県としての考え方を伺います。
     次に、口蹄疫などの防疫体制の強化について伺います。
     本年四月、宮崎県で発生した口蹄疫は感染が拡大し五市六町の二百九十二農場、二十一万頭を超え、ワクチンを接種されたものを合わせて約二十八万頭もの家畜が殺処分されました。またこの発生は八月二十七日の宮崎県知事の終息宣言まで四カ月以上を要し、その間畜産農家への直接的な被害のほか食肉加工業など畜産経営に関連する産業に大きな被害を及ぼしたほか、観光産業などの地域経済に多大な影響を与えました。宮崎県による被害額の推計では約二千三百五十億円にも上っています。
     グローバル化が進み海外との人や物の交流が盛んになっている今日では、口蹄疫など海外で発生している家畜伝染病が本県へいつ何どき侵入してもおかしくはありません。また一たび発生すれば地域社会や経済に甚大な被害を与える災害になるという教訓を残したものと考えます。
     家畜伝染病の発生予防や蔓延防止を担っている家畜保健衛生所は、家畜保健衛生所法に基づき県が函南町の東部、島田市の中部、磐田市の西部、この三カ所に設置しています。今回の九月補正予算案によれば、県では家畜保健衛生所施設の緊急整備を計画していますが、家畜保健衛生所による口蹄疫などの防疫体制の強化について、県としてどのように取り組んでいくか伺います。
     次に、富士山を包括的に保存管理する組織の設立について伺います。
     本県と山梨県は、富士山の世界文化遺産登録をめぐり、目標としていた文化庁への七月末の推薦書原案の提出を山梨県側の事情で見送りました。これによって残念ながら本登録は二〇一三年度以降にずれ込むことになります。先送りは非常に残念ではありますが、山梨県との信頼関係をここで損ねるわけにはいきません。本登録を実現するためには、両県の一体性をこれまで以上に強め、その上で本県が山梨県を支援することが必要かと思われます。
     今回先送りされた理由として、一、世界文化遺産登録には富士五湖を国の文化財に指定する必要があるが、湖周辺の観光業者らは指定された場合の規制強化などを懸念し、同意が得られない。一、富士山の構成資産などの適切な保存管理を図るための包括的保存計画の策定に必要な関係省庁との調整や、地元関係者の理解を得る作業が終了していない。以上二点があったと聞いています。世界文化遺産登録が実現すれば、世界の宝物そういう評価を受けることになりますが、一方で利害関係者には新しい制約が付加される可能性も認識した上で、ここで改めて本県と山梨県が強固なスクラムで取り組む必要があります。
     また、世界遺産登録に際しては登録範囲全体を適切に保存管理することが求められますが、行政だけで行っていくには限界があるのでは、そう考えています。これまで両県及び関係市町村では、平成十七年十二月に富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議を設置し、登録の推進に向けさまざまな取り組みを進めてきましたが、今後は行政に加えて企業、NPO、専門家など両県官民を挙げた新たな組織を設立し、保存管理体制を万全にしていくことが必要だと思いますが県の考えを伺います。
     次に、県民にとって利用しやすい空港づくりについて三点伺います。
     最初に、運航ダイヤ見直しによる魅力向上について伺います。
     六月に開港一周年を迎えた富士山静岡空港は、当初の需要予測を大きく下回るものの、定期便八路線――国内六路線、国外二路線、それに加えチャーター便も百八十六便――国内九カ所、国外十カ所が就航し、年間約六十三万人余りの方々に富士山静岡空港を利用していただきました。
     しかしそんな中、フライト時間が不便であるという声を多く耳にしております。例えば静岡空港からソウルへ行く場合、十一時四十五分の大韓航空でソウルに十三時五十五分着。または十二時四十五分のアシアナ航空でソウルに十四時五十分着のどちらかとなります。逆にソウルから静岡空港へ向かう帰りの便は、大韓航空八時五十分ソウル発で静岡着十時四十五分。またはアシアナ航空九時五十分発で静岡に十一時四十五分着のどちらかです。県民の皆様が大切な休日を利用して、目いっぱい韓国旅行を楽しみたいと思っても、飛行機の都合で行きは半日つぶれ、帰りに至っては早朝にホテルをチェックアウトして午前中に日本に帰るしかありません。
     発着の時間だけ見ると、韓国に住む方々の利用、いわゆるインバウンドが優先的に考慮されていることになります。ちなみにこの一年間の利用実績を見ると、日本人の利用者は全体の約四〇%であるとのことで、県民の利用はさほど進んでいないのが現状と読み取れます。
     一方、私が住む浜松から空港専用直通バスで約九十分の位置にある中部国際空港を利用してソウルへ行く場合には、午前中だけでも九時三十五分発の大韓航空ほか、十時三十分発、十二時発の三便の中から自分に合った便を選ぶことができます。特に帰りの便は最終日のソウルを存分に楽しんでから帰路につける日本十六時四十五分着、あるいは二十時台が二便あり、同じ期間で韓国旅行を企画した場合、我が富士山静岡空港はどうしても競争力に欠ける結果となるわけです。上海への定期便についても同じようなことが言えます。
     静岡空港の今後一層の利活用を促進するには、魅力ある定期便の路線拡大はもちろん利用しやすい時間帯の就航が急務だと考えます。県としてダイヤの見直しについて各航空会社に要請するほかナイトステイにかかわる支援策を提示するなど、今までも努力を重ねてきているとは思いますが、現状の搭乗者分析を踏まえ、県民が利用しやすい魅力ある運航ダイヤをどのように確保していくつもりか伺います。
     次に、格安航空会社誘致による県民サービスの向上について伺います。
     格安航空会社とは、業務の無駄を省き効率を追求したことによって低い運航費用を実現した航空会社で、ローコストキャリアを略してLCCとも言われています。LCCは全世界の就航便の約四〇%のシェアを持ち、日本の地方空港も大きな関心を寄せています。LCCの最大の特徴は、世界基準の安全性を確保しながらも低価格を実現している点です。例えば使用料が高いボーディングブリッジを使わずにタラップを使用して搭乗を行い、また既存の航空会社が乗り入れる混み合った大空港をできるだけ使用せず、大都市周辺にある地方の中小の空港に乗り入れすることで、多頻度運航、短い折り返し時間と定時性を実現し航空機を有効活用しています。
     また、中小の空港に乗り入れることで空港使用料の割引や補助金を得ています。そのほか座席をすべてエコノミークラスに統一することや、新聞、雑誌を初め機内食や飲み物提供の見直しをするなどサービスの簡素化、有料化を進めています。国内では既に関西国際空港に数社のLCCが就航していますし、佐賀空港や最近開港した茨城空港でもそれに着目し着陸料を大幅に減額するなど、生き残りを図るための誘致に力を入れています。
     格安航空会社LCC誘致は利用者の選択の機会をふやし、結果的に県民サービスの向上につながるものと考えますが、県の所見をお伺いします。
     最後に、富士山静岡空港周辺のアクセス道路の整備について伺います。
     経済のグローバル化が進展する中、新しい経済市場となるインド、中国などアジア地域を中心に国際的な産業連携がますます進んでいくと考えられ、人や物の流れをいかに円滑で太いものにできるかが、地域間競争に勝ち残る条件の一つではないかと考えます。アジアの活力を本県経済に広く取り込み、地域産業の振興と活性化を図るためには、空港の活用が重要であり、何よりも空港から他の交通インフラに直結する高規格アクセス道路の整備が不可欠です。
     また、本年八月三日には御前崎港が、国が直轄事業として今後重点的に整備を進める重点港湾に選定されました。この御前崎港へのアクセス性向上も同様に重要になってきます。これらをかんがみたとき、空港や御前崎港と現東名高速道路や新東名高速道路、並びに国道一号という幹線道路を南北に貫く金谷御前崎連絡道路の完全開通は、ますます重要になってきたと言えます。
     この道路については鋭意整備が進められ、御前崎港から牧之原市西萩間までが順次開通し、平成二十年十二月には東名牧之原インターチェンジから空港入り口までの間も開通しました。しかしながらこの道路は起点となる新東名――仮称――金谷インターチェンジから国道一号、富士山静岡空港、東名相良牧之原インターチェンジ、そして終点となる御前崎港まですべて規格の高い道路として接続されることで、初めて地域高規格道路として価値が十分発揮されるものであることは明らかでございます。
     そこで、現在事業実施中の相良牧之原インターチェンジから西萩間インターチェンジの間、並びに事業未着手の国道一号菊川インターチェンジから倉沢インター間について、現在の状況と今後の見通しを伺います。
     次に、森の力再生事業及びもりづくり県民税の今後について伺います。
     平成十八年度にもりづくり県民税が導入され、この税を財源とした森の力再生事業により、既存の施策では対応できなかった県内各地の荒廃した奥地の森林や里山林が着実に整備されていると聞いており、大変有意義なものと認識しています。
     私の住む浜松市においてもこの四年間で六百ヘクタールを超える森林が整備されており、大変喜ばしい限りです。事業開始から五年が経過していますが、今年度末の時点でまだ全体計画の半分程度の荒廃した森林が未整備のままとなることから、県として森の力再生事業により引き続き荒廃した森林の整備を進めていく必要があると、六月議会で答弁をしています。
     また、九月の十日には県森林審議会が開催され、森の力再生事業の来年度以降の継続実施について議論されたと伺っています。
     そこで、県として平成十八年度から実施してきた森の力再生事業について、どのように評価しているのか。また審議会やタウンミーティング、アンケート、そして市町、商工団体関係者からの意見を踏まえて、今後どのような課題があると認識しているのか伺います。
     一方で、事業の財源となっているもりづくり県民税は、条例により課税期間を五年間と定めています。森の力再生事業を今後とも実施していくためには、もりづくり県民税の継続が必要不可欠であると私は考えていますが、県民の皆様への御理解も含めて今後どのように対応していくかあわせて伺います。
     次に、静岡式三十五人学級編制の方向性について教育長にお伺いします。
     文部科学省は八月の二十七日、平成二十三年度から平成三十年度まで八年かけて一学級の編制基準の上限を四十人から三十五人、小学校一、二年は三十人にする教職員定数改善計画案を発表しました。平成二十三年度には約九十億円を概算要求に盛り込み、六千三百人を純増し、小学校一、二年生での三十人学級に向けた関連法案の改正を目指しています。
     本県においては、本年度静岡式三十五人学級編制として国からの加配や雇用交付金を生かして、小学校六年から中学校三年まで三十五人学級とし、小学校一、二年生には支援員を配置しています。国が計画に従い段階的に三十五人編制、小学校一、二年生については三十人編制を実施した場合、小学校低学年に対し少人数制をとらず支援員を配置してきた静岡式三十五人編制の方向性について、支援員のあり方も含め教育長はどのように考えているのか、所見をお伺いします。
     次に、中国浙江省との児童生徒交流活動推進について伺います。
     私は先月、静岡県議会浙江省友好交流中国事情調査団並びにふじのくに三七七六友好訪中団の一員として、岩瀬副議長とともに浙江省を訪問しました。その際、浙江省の皆さんとの交流を深めてまいりましたが、現在尖閣諸島沖での中国漁船衝突による公務執行妨害事件への中国政府の強硬な姿勢に大変憂慮しております。
     現在中国は、ことしの上海万博や昨年閉幕した北京オリンピックなど相次ぐナショナルイベント開催の舞台となっていることからもわかるように、驚くべきスピードで飛躍的に発展を遂げています。
     本県においては、中国浙江省との友好提携もことしが二十八年目であり、再来年三十周年という大きな節目を迎えます。この間、交流団の相互派遣、研修生の相互受け入れなど公的交流はもとより、民間分野においても経済、文化、スポーツなどさまざまな分野で積極的に交流が進められ、ともに大きな成果を得てきました。そんな中、安倍教育長もふじのくに三七七六友好訪中団の一員として五月に訪中され、国際交流の重要性を改めて感じたとの発言をされています。同時に、中国浙江省との児童生徒の交流活動の推進に関しても発言をされています。
     そこで、教育長は子供たちの世代の友好提携を今後どのような形で推進されるつもりか伺います。
     最後に、犯罪のグローバル化への対応について警察本部長に伺います。
     先ごろ、犯罪のグローバル化と警察の取り組みを特集した二〇一〇年度版警察白書が公表されました。警察庁は、世界規模で活動する犯罪組織が日本を標的にし、日本の犯罪組織と連携、補完をしながら犯罪を行っていると指摘しています。本県では、昨年開港した富士山静岡空港を初め御前崎港、清水港といった空や海の玄関口のほか、浜松市を中心とした外国人コミュニティーなど国際犯罪組織が浸透しやすい基盤が既に存在していると言っても過言ではありません。
     県警は、平成二十二年六月本部長を委員長とした静岡県警察犯罪のグローバル化対策委員会を立ち上げ、警察組織を挙げて国際犯罪組織の実態解明や取り締まりに重点を置いた対策を推進していると聞いています。県警は、外国人による浜松市西区のヤードと呼ばれる高い鉄壁やコンテナで周りを囲んだ解体作業所に関連した、浜名湖への産業廃棄物の不法投棄事件を初め多くの事件を検挙していますが、今後犯罪のグローバル化が進むことにより来日外国人犯罪の増加が懸念されるところであります。
     そこで、来日外国人犯罪の現状と犯罪のグローバル化に対する県警の取り組みについて伺います。
     以上で、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 竹内議員にお答え申し上げます。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、民主党代表選後の政権運営についてでございます。
     第二次菅内閣の政権運営を本県の県政という観点からどのように考えるかということでございますが、第一次菅内閣における国交大臣は前原さんで、六月十二日に本県を御視察くださいまして、御前崎港を最終的に重点港湾というふうに選んでくださり、また今度の概算要求におきましても、御前崎金谷路線について一号線まで通ずるところまで予算化するというようなことで、大変好意的な関係でございました。
     それが、前原大臣が外務大臣になられましたので心配であるという御懸念でございますが、御心配には及びません。前原国交大臣のときの副大臣が馬淵澄夫氏でございました。馬淵氏が今度国交大臣に昇格というか就任されたわけでありますが、馬淵さんがいつだったでしょうか、電話をくださいまして、国交省の最高諮問機関であります国土審議会の委員になってほしいというふうに言われて、信頼関係ができております。これは自民党政権のときにですね、私はずっと一九九六年からしてたんですが、民主党に選ばれたせいか首を切られました。それがまたもとへ戻ったということでございました。
     ともあれ、馬淵国交大臣も前原国交大臣からの仕事の継続ということは十分認識されてのお仕事をしてくださるというふうに思っております。また総務副大臣でありました渡辺周氏のときには、いろいろなことを迅速に本県のために、例えば災害情報システムということについての予算化なども、やはり渡辺周元副大臣のおかげではないかというふうに思っております。
     ただ、この間の防災訓練のときに――伊東で行われたわけですけれども――伊豆半島東海岸のところに本県の防災の情報が、山岳の関係でうまく伝わらないということがその場で私わかりましたので、当時の原口総務大臣に、大島にその防災アンテナを設置すれば、それは滞りなく防災情報が伊豆半島の東海岸のほうにも伝わるということがわかりましたので、その場でその旨申し上げましたところ、即それは検討するということでございました。
     その後、原口氏が退かれてこのたび新しく片山さんにかわられました。それで昨日、渡辺周元副大臣にお目にかかりましてこの点はどうなってるかということを確かめましたところ、きっちりとあの仕事は伝わってると、そして事務局のほうにもきょう確かめましたところ、それは動いてるということで、防災上原口元大臣がなさったことは、新内閣におかれても継承されてるということでございました。
     さらに言えば、前原大臣が小山町を御視察くださったわけでございますが、その日の午前中にモンゴルの大統領顧問が本県にお越しになりました。その際モンゴルの運輸大臣の書簡をお持ちくださいまして、モンゴルの鉄鉱石、あるいは石炭といったものを本県に輸出してもよいと、手続を一緒にやろうじゃないかというようなお手紙だったわけです。今、モンゴルの資源というのは物すごいものです。これは各国が――中国、ロシア、韓国その他列強がそれを何とか得たいと思っているわけですが、運輸大臣のほうがですね、これはこちらに持ってきていいということでございました。
     しかし、うちは石炭要りますか。あるいは鉄鉱石要りますか。したがって仮に本県に要らなくても、すぐには要らなくても、日本全体に必要とあればその媒介をするのが仕事だということで、その日の午後、小山町の災害視察の折、前原大臣と移動のバスの中で隣同士になりましたので、その書状の写しをお渡しいたしました。そのときにこれは資源外交として重要であるということで共通認識を持ったら、その数日後に彼が外務大臣になられましたので、そうしたことで本県とモンゴルとの交流、さらに日本の資源外交に前原新大臣が一歩前に進んでくださるであろうということも期待できますので、本県の立場からいたしますと特段問題はないということでございます。
     しかし、竹内議員御指摘のように尖閣諸島の問題が今、日中間の大きな外交問題にまで発展しつつあります。これは明治以来、日本の領土ということだったわけですけれども、戦後、突然中国側がその領有を宣言いたしました。恐らくそこに海底資源、またもちろん海洋資源というものへの関心が急速に高まったからであります。
     すなわち、この尖閣諸島の問題はきのうきょうに始まったことではなくて、既に三十有余年の歴史を持ってるわけです。したがってたった今の問題がすべて日中関係の歴史を損なうということは、少し冷静になって考えればあってはならないことです。ですから木を見て森を見失うことのないようにしなくちゃならないということで、本県も浙江省との関係、二十八年間の友好関係がございますので、それが評価されて表彰状まで去る九月十日にいただいて、またナンバー4でしょうか、賈慶林氏――日本における参議院のトップでありますけれども――からじきじきにその友好関係をほめていただいたというふうなこともございます。
     そうしたことがありますので、中国側も冷静になればこういう日中のいろいろな面における友好関係を築いていこうという気持ちには変わりないと思います。したがってこの問題が針小棒大にならないように非常に懸念をしておりますが、それを除きますればこの新内閣にかわったことによって、県政の方向性はみじんも動かないということでございます。
     次に、私に対する県民評価と自己評価についてであります。
     自己評価についてですけれども、自己評価というのはどうしても自分が自分をどう思うかということですので主観が入りますので、したがって信頼するに足りないというふうに思っております。過大評価になったり過小評価になったりして客観性に欠けるということで、評価というのは客観性ということを基準に第三者評価というのが通常でございますので、自己評価はいたしません。
     その人が何を考えてるかということを見るとき、特にこのように多くの方々の生命や財産を預かってる者は、何を考えてることにも増して何をしてきたかということではないかと思います。その何をしてきたかっていうことに対する県民の評価、これは非常に重要なものとして真摯に受けとめねばならないということでございますが、そうしますと一年数カ月の間に八・一一の地震がございましたので、この危機管理をきっちりするということ、それからマニフェストを実行するということで、その柱になっておりました行財政改革として事業仕分けを実施する。
     また、教育におきましては国に先駆けて小学校一年から中学校三年生まで三十五人学級を平成二十五年までに完全実施しようということ、それからまた地域自立ということのために富士山の日を定めまして、ふじのくにという自覚と、それからまた世界文化遺産に向けてその思いを県民、一年に一回はしっかり思い出して、富士山を仰ぎ見てそのありがたみを先人がずっと感じ、また記録し残してこられたこともあわせて学び直して、将来の世代にその富士山をつないでいくということのために富士山の日を制定したり、また東京事務所を廃止いたしまして、今はふじのくに大使館となっております。
     都道府県会館に行かれますと東京事務所とは書かれていません。これはふじのくに大使館と書かれております。大使館には大使が要りますので大使を任命してございますが、臨時代理大使として一銭もお金を払っておりませんが、大使でございますがゆえにこの秋のふじのくに交流会――東京における年中行事でございますけれども――そこに中国の大使がお越しくださると。大使同士の対談をするという、東京事務所長として対談を申し込んでもできません、臨時代理大使だから程大使がお越しくださるというふうに思っております。
     こうした地域外交を推進するといったことなど、こうした国が足腰が、図体が重くてなかなかできないことを我々は、割と身軽にできるということでございます。しかし地域外交をするにも人材が必要で、昨年の今ごろは自民党の方々によって空港部を廃止するのはいかがなものかという厳しい御指摘をいただいたことがございました。しかし空港部もその建設から利活用へと大きくかじを切り、利活用の中にはそういう空港を利用した地域外交も含まれるわけですけれども、欧米はもとより近隣のアジア諸地域との関係をするにはその人材が要ります。もしここに人材が今いれば私は地域外交部をここで提案したいと思っておりますが、残念ながら、韓国語、あるいは中国語、英語、これを自由に操って、そしてかつそれなりの識見を持っている人がまだ十分に育っていないというようなこともございまして、この県政にはまだやるべきことが山とございます。いわば富士山に例えれば五合目に立ったぐらいかなという感じでございます。
     県政に対する評価につきましては先ほど来申しましたごとく、第三者、すなわち外部評価が重要でございます。今、総合計画を策定中でございますが、その進捗状況につきまして総合計画審議会で御審議いただきまして、そこでの評価を県政運営に対する評価、また私の県民の方々の評価というように承知して、反省材料にしてまいりたいというふうに思っております。
     次に、政治家の言葉の重みについてであります。学者としての言葉と政治家としての言葉というものは、やはり違うのではないかというような御指摘でございますが、ともに相手にしているのは現実だと思います。学者も架空のことではなくて現実を相手にしている。そして政治家も現実を相手にするわけですけれども、その政治家の場合には現実に生きている方々の生命や財産の安全を確保して、よりよい生活にしていくためにその負託を受けているものだということだと思いますが、学者の場合には必ずしもたった今の現実ではなくて、それこそこの地球が生まれた四十六億年前のことであるとか、あるいは目に見えない素粒子の世界であるとか、そうしたことも含めてその現実がどうなってるのかという、その真理を知るように努めるということであります。
     私は、学者と政治家の違いというのは、現実を知るということにおいては違いはないと。しかし政治家の現実というのは生きた現実であって、それは現実を知ることにとどまらないと、現実が問題をはらんでいる場合には、問題を解決するのが政治家の仕事だというふうに思います。
     したがって、もし現実の理解が間違ってれば、行動した場合に迷惑を及ぼすということになりますので、やはり現実を知るためには現場に立たねばならないと。したがって現場がテキストになると、現場が極めて重要なテキストになるということであって、学者が必ずしも現実の現場というにも増して、何十億年前、あるいは何百年前のそういう現実にまで関心を持つことと違って、生きた現実を相手にしていくというところに違いがあるのではないか。
     言いかえますと、政治家は現場に立脚をし現場の問題をよく理解してその解決に努めると。言いかえますと有言実行でないといけない。言ったこととやることがそごを来すようではいけない。この一年間の国政を見ておりますと、そのような面が国民の不信を招いた面もあるのではないかというふうに思っております。
     次に、新しい行財政改革大綱の策定についてでございます。
     新しい行財政改革大綱は、竹内県議御指摘のようにマニフェストと整合性を持たせております。総合計画それ自体がマニフェストを継承し発展させたものです。マニフェストにつきましては三月の末で九五%実現し終えたということでございますので、軸足をマニフェストから県の英知を結集した総合計画のほうに移すということでございます。
     そうした総合計画を、去る秋に初めて見ましたときには、これは作文であったというふうに思います。そのように委員会でも評価されたようでございます。したがってこの作文をだれが実行するのかということがございましたので、書いてることとそれを実行する主体が一体になるように改めました。したがって総合計画には実施主体と実施目標というものが明確になるようにつくられております。そのような総合計画を実施するに当たって、柱となるのが行財政改革でございます。
     そこで、何と言っても柱になるのは人であります。私は、ふじのくにの自立ということを申し上げておりますけれども、自立は抽象的な国の自立というんではなくて一人一人が自立すると。そのときにシチズンとしての市民ではなく、富士の「士」の「士民」、「士民」の自立ということが大切だというふうに考えております。その方たちの見識が高まるように、そしてまたその方たちの負託を受けている県政といたしましては透明性を徹底すると、効率的能率的に県政運営に当たるということでございまして、ふじのくに行財政革新戦略会議や大綱策定分科会におきまして、そのような観点から取り組み内容について御議論いただきまして、おおむね一月じゅうに取りまとめまして、パブリックコメントをいたしまして県民の皆様から御意見を賜って、今年度中を目途に策定してまいる予定でございます。
     次に、県民の防災意識の向上についてのうち、地震防災センターの活用についてであります。
     地震防災センターは、平成元年に地震防災に関する知識と対策を県民への啓発を目的に、体験学習や家庭内対策などの展示を中心とした施設として開館したところでございます。したがって既に二十年余りを経過してるということでございます。最近では人材育成機能の充実を図るとともに、県内六大学などと結成いたしましたしずおか防災コンソーシアムなどの学術的な防災情報の発信拠点や、防災用品普及促進協議会の活動拠点として、また防災士を初めとする防災関係者の交流拠点ともなるなど、その拠点性は年々高まっております。
     センターの来館者数は年間四万人前後で推移しておりますが、ことしになりまして、議員の御質問にもございましたように、中国を初めアジア諸国の来館者が四月から八月までの間で、昨年度は二百名弱、ことしは三千人弱というように急増いたしまして、国際的にも高い評価を得るようになっておりまして、まさに防災先進県としての面目がこの数字にあらわれているのではないかと存じます。
     こうしたことから、地震防災センターにつきましては、防災先進県である我々の顔としまして国内外に誇れるセンターとするように、施設面や内容面でさらに充実強化を図ってまいりたいと考えております。
     御提案の夜間開放は大変すばらしいものでございまして、本年十一月の地震防災強化月間に重要テーマとして予定してございます木造住宅の耐震化など、家庭内対策を促進する夜間講座の開催などとあわせて試行的に実施いたしまして、開館時間の延長を積極的に検討してまいりたいというふうに思います。
     また、センターの移転につきましては現在の施設そのものが狭隘でございます。駐車場も狭い。場所もわかりにくいといったような御批判もいただいております。今後、県内外、国際的な防災センターになるように施設面、内容面での充実強化に向けて検討を進めてまいります。防災もツーリズムの一つに今なりつつあると。医療ツーリズム、環境ツーリズム、産業ツーリズムだけでなくて防災ツーリズムというのが今現実に進行しております。こうしたことから現在の場所からの移転につきましても選択肢の一つとして検討をしてまいります。
     次に、森の力再生事業及びもりづくり県民税の今後についてでございます。
     森の力再生事業は、社会経済状況の変化などにより森林所有者による管理が行き届かなくなったために、活力のなくなった森林の再整備を行うものです。もりづくり県民税は、その財源として県民の皆様に特別に御負担をいただいているものでございます。今年度は全体計画の約半分の整備を終了する予定でございまして、今までに施行した箇所のモニタリング調査等によれば、下層植生の回復や土砂流出防止効果など森の力が回復していることを確認しているところでございます。
     この事業を契機に二十六の森林組合などで新たに七十五名の雇用が創出されるといった効果もあらわれております。今年度実施いたしましたタウンミーティング、アンケート調査、市町長や商工団体関係者からの御意見によりますと、一部には事業の採択要件が厳しいとの御指摘もございます。おおむね八割程度の方が事業と税の継続に賛成の意向を示されています。事業の必要性、方向性については理解が得られていると考えております。また静岡県森林審議会におきましても、事業の継続が適当であるとの御意見をいただいたところでございます。
     これらのことを総合的に勘案いたしまして、森の力再生事業ともりづくり県民税につきましては、おおむね県民の賛同が得られているものと考えます。今後はさらに使いやすい事業となるよう検討を進めてまいります。税の延長に必要となる条例の改正につきまして、十二月県議会に向けて準備を進めてまいりたいと考えてございます。
     今回、小山町における、あるいは相模湾、伊豆半島の東海岸に流木がございましたが、これもごらんになればわかりますように杉の木が根こそぎ持ってこられております。したがいましてこういう森林は整備をするということだけでなくて、これを活用いたしまして、人家に近いところの杉などにつきましては杉は保水力が弱うございますから、混合林、自然林にかえて保水性の高いそういう森林に変えていくということが重要です。
     したがいまして、これは森林関係の堀川部長にも指示したところでございますけれども、早急に危険なところにある杉、ヒノキを伐採いたしまして、そして混合林に変えると同時に、その利活用の可能性、利活用の方法について幅広く意見をお聞きいたしまして、利活用にも森林を生かしてまいりたいというふうに考えております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 事業仕分けについてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、事業仕分けは県民の皆様に県の事業を知っていただくとともに、県政への参加意識を高める上で効果的な取り組みであるものの、その進め方についてはさまざまな御意見があることは承知しております。傍聴者アンケートにおきましても一方的な質疑で説明者との議論になっていないとの御指摘もあり、事業の見直しをより効果的、能率的に行うためには、外部評価者と県職員との間で十分に意見交換が行われるような論点の整理、またそうした意見に基づいて職員が意欲的に改善を進めることができる仕組みづくりが必要であると考えています。
     また、県民の皆様の事業への理解をより深めるためには、職員の情報発信能力をより一層高めることが重要であるとの御指摘もいただいており、わかりやすい説明資料の作成や説明方法の工夫にも努める必要があると考えております。来年度に向けましてはこのような状況を踏まえ、事業仕分けを含め効果的な事務事業の見直しの手法について、新しい行財政改革大綱の策定を進める中できちんと検討してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 県民の防災意識の向上についてのうち、初めに防災に関する知事認証制度についてお答えいたします。
     本年八月に創設いたしましたふじのくに防災に関する知事認証制度は、昨年度スタートいたしました地域防災力強化人材育成研修を拡充し、さらに幅広い層を対象に防災への関心を高め、防災の担い手となる人材の底辺を拡大し、地域防災力の底上げを図ることを目的とした制度でございます。県ではこの知事認証取得者の本年度の目標数を三百五十人とし、ホームページや県民だよりなどを活用するほか、市町や事業所、防災関係機関などにも呼びかけ認証取得者数の目標を達成してまいりたいと考えております。
     まず、ふじのくにジュニア防災士養成講座につきましては、県教育委員会と連携して受講者を募ったところ、八月に開催いたしました講座を小中高校生百四十二人が受講し、このあと地域で行われます防災訓練に参加しまして、その感想文を県に提出することで認証を取得することとなります。またふじのくに災害ボランティアコーディネーター養成講座につきましては、現在、静岡県ボランティア協会等と連携しまして、県民だれもが受講しやすいように県内各地で開催しているところでございます。
     新設のふじのくに防災マイスター養成講座につきましては、国家資格等を持つ人材が多く所属する事業所や関係団体に対しまして、会報への掲載依頼をするなど講座への参加を呼びかけ、一人でも多くの方に知事認証を取得していただきたいと考えております。またふじのくに防災士、ふじのくに地域防災指導員や静岡大学が養成いたしますふじのくに防災フェローにつきましても、県民の参加を広く募ってまいります。
     今後も、今年度から知事認証制度として始めたふじのくに防災マイスター養成講座などにつきましては、県民の皆様にそのねらいや内容を御理解いただけるようその周知に努めるとともに、講座の実施方法などにつきましては、今年度の状況を見まして改善を図ってまいります。
     次に、静岡県ふじのくに防災士についてでございます。
     平成八年度から実施しております防災士養成講座は、研修期間が九日間と長期にわたり広範で高度な内容となっており、県職員は毎年度十人程度、市町職員も三十人程度が受講していただいております。このほか行政職員対象の研修もございますが、研修期間が一日と短いため防災士養成講座とは質、量とも大きな差異があるのが現状となっております。
     防災先進県として、県や市町の多くの職員が静岡県ふじのくに防災士などの認証資格を取得すれば、議員御指摘のとおり在職中はもちろんのこと、退職後にあっても災害時だけではなく平時からそれぞれの地域で防災の担い手として活躍することが期待できます。このため研修期間が長い防災士資格につきましては、職員を初めすべての受講者が単年度ではなく、数年度で受講が可能となる制度の導入なども検討してまいります。
     また、防災士以外の知事認証でありますふじのくに防災マイスター、それからふじのくに災害ボランティアコーディネーターなどにつきましても、研修所以外で実施する職員研修に準じたものとして位置づけるなど、職員が受講しやすい環境づくりにも努めてまいります。あわせまして市町や教育関係職員につきましても、それぞれの機関と連携をとり合って、一人でも多くの職員が講座に参加できるようその実施方法やカリキュラムの充実などを検討してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 次世代環境車の普及促進についてのうち、普及促進に向けた県の取り組みについてお答えいたします。
     次世代環境車につきましては、温室効果ガスの削減という環境面での効果のみならず、新たなビジネスチャンスとしても注目されています。本県におきましても、議員御指摘の浜松地域での取り組みに加えまして、県東部地域の自動車整備業者を中心とした充電インフラのネットワークの整備やショッピングセンターへの充電器の設置など、県内各地でさまざまな取り組みが始まっています。
     このため、県ではこの十月に国のEV・PHVタウンに応募し、先行する浜松地域の取り組みとも連携しまして、長距離走行や渋滞の発生を想定した観光地及び通勤や業務での使用を想定した市街地において次世代環境車の実証実験を行い、その結果を自動車メーカーやエネルギー供給事業者などに提供してまいります。
     県といたしましては、次世代環境車を安心して運転できる環境を整備することが重要であると考えておりますので、円滑な走行の維持に必要となる充電器の公共施設への率先導入を図るとともに、民間による充電器やメンテナンス体制の整備促進などに取り組み、次世代環境車の普及促進に努めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 次世代環境車の普及促進についてのうち、県内部品出荷半減などに対する中小企業への支援についてお答えいたします。
     本県では、国際的な輸送用機器メーカーと金型や精密加工などで一流の技術を有する中小企業が、世界最高水準の製品を生産しており、これらの企業が有する生産技術は、成長分野として期待される電気自動車などを初めとして、航空宇宙や環境分野などで活用できるものであります。
     このため、県におきましては新たな部品の試作に対する助成制度を本年度から実施するとともに、電気自動車の分野ではモーター、電池、車両の軽量化などに関するセミナーなどのほか、首都圏で開催された次世代自動車産業展への出展支援など、中小企業の新しい分野への進出を積極的に支援しているところであります。また近距離用の新たな小型電気自動車の開発に取り組む全国の中小企業を集めたサミットを開催し、性能や安全性、部品の共同開発に関する情報交換とネットワークづくりを進めることとしております。
     県といたしましては、大学や市町と連携して次世代環境車に必要な部品の開発製造だけでなく、これまでに培った技術が応用できる成長分野への参入を目指す中小企業に対しまして、引き続き積極的な支援に取り組んでまいります。
     次に、口蹄疫等の防疫体制の強化についてであります。
     口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど伝染力が強く病原性が高い家畜伝染病に対しましては、早期発見、早期診断、病原体の拡散防止のための殺処分や畜舎消毒など迅速な防疫措置が重要であります。このため県では口蹄疫などが発生した場合の対処方針を定めた防疫対策指針、それから現場での防疫手順を定めたマニュアルを常に見直しますとともに、万一発生した場合を想定した全庁体制の対処訓練や地域での防疫訓練を実施しているところであります。
     口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど家畜伝染病の診断の拠点である家畜保健衛生所は、これらの病原体のウイルスや細菌を取り扱うため、検査に当たる職員などへの感染防止や病原体を検査施設から外に出さないバイオセキュリティーの確保が必要であります。このため建築後四十年以上経過している東部家畜保健衛生所と西部家畜保健衛生所浜松分室を、高度なバイオセキュリティーを備えた施設に整備するため、九月補正予算案を今議会にお諮りしているところでございます。
     県といたしましては、今後も国内外の家畜伝染病の発生状況の情報収集や県内の畜産農場の監視など、万一の発生に備えた防疫体制の強化に努めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山を包括的に保存管理する組織の設立についてお答えいたします。
     富士山の世界文化遺産登録を実現するためには、富士山の山体や山ろくの神社、展望地点の三保の松原など、多様で広範囲にわたる構成資産全体を包括的に保護するための体制整備が不可欠であります。このため七月の両県合同会議において検討された包括的な保存管理組織として、静岡・山梨両県や関係市町村を初め、富士山の保存や管理に関係する国の機関、学識経験者等で構成する――仮称ではございますが――富士山世界遺産両県協議会の設立に向けて準備をしているところであります。
     あわせて、両県の異なる土地利用の実態を踏まえ適切な保存管理と活用の両立を図るため、この両県協議会のもとに行政機関、観光協会、神社関係者等の官民から成る各県協議会の設置も進めております。また富士山の価値を後世にわたって確実に継承していくためには、より多くの方々の協力が重要でありますことから、企業、NPO、地域住民などの参画についても積極的に検討してまいります。
     次に、県民にとって利用しやすい空港づくりについてのうち、まず運航ダイヤ見直しによる魅力向上についてであります。
     各路線のダイヤにつきましては、所有する機材の効率的な運用や路線ごとの需要に加え、就航先の空港における発着可能な時間帯などを考慮した上で航空会社が設定しております。富士山静岡空港からの国際便につきましては、教育旅行関係者を初め県民の皆様から利便性の高いダイヤの設定となっていないとの御意見もいただいており、これまでも各航空会社に対しダイヤの見直しなどについて要請してまいりました。しかしながら航空会社からは、搭乗率の高さや機材の効率的な運用の面などから、ソウル線、上海線ともに当面は現状のダイヤを継続するとの意向が示されているところであります。
     より利便性の高いダイヤを実現することは、空港の魅力を高め利用者の増大を図る上で大変重要でありますことから、航空会社等の要望も踏まえた富士山静岡空港の利便性の向上を検討するとともに、今後ともあらゆる機会をとらえて航空会社に対しダイヤの見直しや増便を働きかけ、県民の皆様にとって利用しやすい空港となるよう努めてまいります。
     次に、格安航空会社誘致による県民サービスの向上についてであります。
     世界的な景気の後退などにより大手の航空会社の業績が伸び悩む中、近年アジアでも急速に台頭している格安航空会社は、大都市圏から近く着陸料などが安価で離発着の枠に余裕がある地方空港に就航する経営戦略をとる場合が多いとされておりまして、首都圏に近く使い勝手のよい富士山静岡空港は格安航空会社にとって魅力ある空港と考えられます。このような格安航空会社の就航は、低運賃でのサービス提供により新たな客層を積極的に掘り起こすこととなり利用者拡大につながる一方で、低運賃を実現するため空港における諸経費の大幅な軽減など厳しい就航条件を求めてくるケースも見受けられます。
     したがいまして、県といたしましては、さまざまなチャンネルを通じて格安航空会社の富士山静岡空港への関心の度合いや就航条件などについて情報収集に努めますとともに、既に富士山静岡空港に就航している航空会社への支援内容等を考慮しながら、新たな路線の誘致に取り組んでまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 県民にとって利用しやすい空港づくりについてのうち、空港周辺のアクセス道路の整備についてお答えいたします。
     金谷御前崎連絡道路は、新東名高速道路と御前崎港を結ぶ延長約三十キロの道路であり、このうち、菊川市倉沢から牧之原市地頭方までの二十二キロメートルにつきましては、地域高規格道路の整備区間に指定され、これまでに十八キロメートルを供用しております。整備区間のうち現在事業実施中の東名相良牧之原インターチェンジから西萩間までの四キロ区間につきましては、これまで事業の進捗に努めてまいりましたが、年内には開通し富士山静岡空港から御前崎港までが一連でつながることが確実な状況となっております。
     また、事業未着手の国道一号菊川インターチェンジから倉沢インターチェンジまでの約三キロ区間につきましては、先ほどの知事答弁にもございましたように国土交通省の概算要求において新規事業箇所として盛り込まれたところであり、現在、道路設計や地元との調整を進めるとともに、本道路が接続します菊川インターチェンジの形状変更に関する協議を行っているところであります。
     本道路は、全国に先駆け陸・海・空の総合交通ネットワークを形成し、本県の旅客や物流の需要の増大に対応するとともに、志太榛原・中東遠地域の産業集積と振興にも大きく寄与することから、今後とも一日も早い供用に向けて重点的に整備を進めてまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 静岡式三十五人学級編制の方向性についてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、文部科学省は来年度からの六年間で小学校、中学校の全学年で三十五人学級編制を実施し、その後、小学校一、二年生で三十人学級編制を実施する計画を立てております。県教育委員会といたしましては、これまで静岡式三十五人学級編制を国の加配や雇用交付金を活用して進めてまいりましたが、今後、国の計画におきまして定数改善に伴い加配定数等に変更がある場合には、静岡式三十五人学級編制の計画の見直しを含め検討してまいります。
     また、支援員のあり方についてでありますが、昨年十月に実施しました小学校一年生学級支援事業に関する保護者アンケートからは、学習面においても生活面においても複数の目で丁寧に指導を受けることができる本事業の継続、拡充を望む、このような声が多くあり、今年度からは小学校低学年支援事業として二年生においても実施しているところであります。今後、三十五人学級編制が実施された場合には、小学校低学年時における複数の指導者によるきめ細かな支援体制の必要性について検証し、支援員のあり方を検討してまいります。
     次に、中国浙江省との児童生徒の交流活動推進についてであります。
     私も五月にふじのくに三七七六友好訪中団の一員として中国を訪問し、中国の歴史や文化に触れ、またさまざまな交流を通して人と人が出会い、つながっていくことのすばらしさを感じたところであります。
     現在、県内の学校の国際交流につきましては、台湾や中国の小学校と県内の小学校との交流などのほか、県立高校におきましても二十七校が海外への修学旅行を実施するなどの広がりが見られ、また中国浙江省との交流につきましては、平成十三年度より御殿場高校が浙江省の職業学校等との交流活動を含めた修学旅行を行うなど継続的な取り組みが行われております。このような国際交流活動を体験した生徒からは、「学校間交流はとても有意義で、日本文化と中国文化のつながりがわかった」等の声が寄せられており、日中の相互交流を継続していくことの大切さや子供の世代から国際交流活動を実施していく重要性を感じております。
     今後は、中国浙江省との友好提携三十周年の節目に向けて、さらなる相互の理解と友好の促進を図るため、現在、県教育委員会が実施しております事業をより効果的に行う方策を検討するとともに、民間の教育研究団体等の御協力もいただき交流活動を推進してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 来日外国人犯罪の現状と犯罪のグローバル化に向けた取り組みについてお答えいたします。
     まず、来日外国人犯罪の現状についてでありますが、今日の我が国における来日外国人犯罪の状況は、世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透、構成員の多国籍化、犯罪行為の世界的展開といった犯罪のグローバル化が急速に進んでおり、治安に対する重大な脅威となっております。その大きな要素として偽装結婚、偽装認知など外国人犯罪を助長するいわゆる犯罪インフラが構築されているといった実態があり、国際犯罪組織がこうしたものを利用して各種犯罪を敢行しているものと考えております。
     本県におきましても、グローバル化を示す犯罪として中国を犯罪拠点とする振り込め詐欺事件やインターネットを悪用した児童ポルノ事件などを検挙しているほか、中国人やフィリピン人による偽装結婚、偽装認知事件の検挙が昨年と比べ大幅に増加するなど、県内における犯罪インフラの広がりがうかがわれるという非常に憂慮すべき状況にあります。
     次に、県警の取り組みについてであります。
     議員御指摘のとおり、本県では富士山静岡空港や御前崎港などといった海外との玄関口が整備されていることに加え、従来から浜松市を中心に外国人コミュニティーが存在するなど国際犯罪組織が浸透しやすい状況にあります。県警では、国際犯罪組織や犯罪インフラ事犯の摘発、悪質なヤードの壊滅に向け、情報の収集、分析による犯罪組織の実態解明、県内外及び部門間の枠を超えた捜査連携の強化、入国管理局など関係機関との連携強化を中心とした対策を積極的に推進しているところであります。
     今後においても、関係機関・団体との連携を一層強化し、警察の総合力を発揮した諸対策を強力に推進してまいります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 六番。
           (六番 竹内良訓君登壇)
    ○六番(竹内良訓君) 御丁寧な御答弁ありがとうございます。感想と質問と要望をまぜて再質問させてもらいます。
     一番最初に申し上げた民主党代表戦後の政権運営についてですけど、民主党の国会議員の方々の仕事ぶりを御紹介をいただいたようでちょっと戸惑っておりますけれども、川勝知事は学者時代に自由民主党の勉強会に多く参加されておられると思います。ぜひですね、今まで培った人間関係を最大限発揮していただいて、県勢の発展のために御尽力いただきたいと思っております。
     それから三番目の政治家の言葉の重みについて、もう少し深くお聞きしたいと思っています。
     学者も政治家も言葉のもとになるのは現実であり、現場であるというようなお答えだったと思いますけども、要は有言実行でなければならないということは、言ったことはやらにゃいかんよという、簡単に言うとそういうことだと思います。ちょっと前に知事こうやって言ってるんですね。任期四年でできないものは何年やってもできないと発言をされてます。有言実行でなければならない政治家の言葉の重みから考えた場合に、任期四年でできないものは何年やってもできないと、今もそう思ってらっしゃるのかどうなのか改めてお尋ねしたいと思います。
     二点目でございます。文化・観光部長、御答弁ありがとうございます。
     格安LCCの誘致に対する県民サービスの向上について御答弁いただいた途中で、これはLCCと交渉に入ってくれるのかなという期待をしたんですが、よく役所の方々は最後に情報収集に努めるという言葉を使っております。改めてお尋ねしたいと思います。
     今までにLCCと呼ばれる航空会社と交渉したことがあるのかどうなのか。要はですね、羽田が十月二十一日に国際旅客ターミナルが供用開始される第四滑走路があります。今までの羽田、静岡空港の関係とは違う日本の羽田のハブ化によって様相ががらっと変わってきます。よそより早く情報に努めて、よそより早く動かなければならないと思っておりますので、今までにあったのかどうなのか含めて、羽田の国際線ターミナル、第四滑走路の供用に向けて決意をあらわしていただきたいと思います。
     それから、これは要望ですけれども危機管理部長に要望です。
     この間、鈴木洋佑委員長のもと防災拠点強化特別委員会でそなエリア東京というところを視察してまいりました。そなエリア東京というのは、「備えあれば憂いなし」から取ったそなエリアっていうことです。ニンテンドーDSっていうゲーム機を二百台用意して、来た方に全部使ってもらって、何も説明しなくて個人でどんどん英語でも子供でも大人でも使えるようにしているわけです。大きく箱物をつくるだけではなくて、ソフトの充実をすることによって静岡県の価値、来ていただいた来館者の喜び、それから七十二時間どうやって生き残っていくかを、一人一人が考える仕組みをぜひ構築していただきたいと思っています。以上で私の質問を終わります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 言葉の重みにかかわることですが、学者といいますか、大きく分ければ自然科学者、人文科学者、社会科学者というふうになりますけれども、政治にかかわることといいますと社会科学者になると思います。
     社会科学者というのは、現状を分析するということが仕事になります。円高が一九八五年、九五年、現在とどのようになっているかということを正確に分析し、それに対して原因やさまざまな事情を総合的に皆さんの前に提示するというのが仕事です。そこで終わりですね。しかし政治家の場合には、このような現実に対してどう立ち向かうのかという、現状を変革する、よりよい方向に向かって現実を踏まえて変えるというそういう仕事がありますので、そこが大きく違うかなと思います。
     現状分析、これをする仕事が学者だと、現状分析を踏まえて現状変革を課題とするのが、よりよい方向への現状を変えていく、方向に変えていくことに身命を賭すのが政治家であるということだと思います。そことのかかわりで任期のことを言われましたけれども、例えば今回、国交大臣に馬淵さんがなられたと、いつまで続くでしょうか。わからないわけですね。前原大臣も今回のようなことでその大臣の職を辞するということになったのは、これは代表選があったからです。
     そこが知事とは違うところで、知事の場合には規定によって四年の任期を与えていただいているということでございます。四年の任期を与えられているのであって、四年が二回、三回、ほかの人もやっているから、三期十二年のうちにこれだけのことをするとか、二期八年のうちにこれだけのことをするということを言うのは、果たして何ていいますか、正しいか。これを決めるのは選挙によって選ばれるわけですから、それをお決めになるのは民意です。ですから選ばれた者は、与えられた任期の間に全力を尽くすというふうに言うのが筋だということでございまして、それを申し上げた。初めから二期八年をやるというのは、そもそも基本的に民意を無視した考えであると。初めから二期やらせろと言ってるのと一緒ですからね。そんなおかしなことはありません。
     ですから私は与えられた期間、四年の間に目標を立てればそれを前倒しをすると、四年の間にこれだけのことをすると言いましたところ、一年もたたぬうちに九五%実現できたと。ただしでは残りの五%をどうするのかと言われたときに、例えばブロードバンドを一〇〇%にするということが、実際上伊豆半島などではさまざまな障害があって不可能であるということであれば、それに固執することにも増して、全体の計画をマニフェストの精神にのっとってつくり変えて、より県民の生活がよくなるような方向に大きな計画をつくり直しているというのが今の現状でございます。
     そこの中で目標を立てたといたします。そうしますと一応十年計画ということでございますが、しかし十年後の九月二十一日にどうするという話ではありませんで、目標はほぼ十年後と、しかしそれは一年で達成できればそれにこしたことはありません。中間試験や期末試験は決まっておりますけれども、その場合には余り早くしてやり過ぎますと忘れてしまいます。一夜漬けも余り効かない場合がありますけれども。
     しかし、日にちが決まっているのと違いまして、こちらは大事な目標ということであればそれは幾ら前倒ししても構わんということでございますので、私は十年計画をホップ・ステップ・ジャンプで総合計画で打ち立てて、各部局がどこに責任を持ってるかと責任の所在を明らかにし、工程表を明示していただいて数値を明らかにして、その数値に向かって邁進するということでございますが、それが三年後にということだったのが一年半後になれば、これは慶賀にたえないことだということでございまして、そういう意味で時間も生きた時間として考えているということでございますが、しかし民意によって与えられた四年間というものを、これを最も尊重してそこに全力を傾注すると、評価は民意にゆだねるというのが私の姿勢でございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 再質問にお答えいたします。
     まず、今まで県と交渉した会社があるかという御質問でございますけれども、具体的な就航条件等まで至ったことはございません。ただ昨年、中国のLCCでございます春秋航空の董事長とうじちょう社長さんがお見えになって、静岡空港の状況を聞いていったということもございます。
     先ほど申し上げた情報収集ということで、例えば東南アジアのシンガポールの駐在員からは、ジェットスターアジアというのが二〇一一年三月から成田へ、あるいはエアアジアX――これマレーシアの航空会社ですけども――二〇一二年十二月から羽田へ就航予定と。あるいはソウルでもやはり金浦―羽田間、ここで一応今四回の新規路線が想定されている。あるいは中国でございますけども、実は中国と台湾につきましてはいわゆる航空の二国間協議――オープンスカイと呼ばれておりますけども――この協定がまだ整っておりません。ですからいわゆる定期便という形では、中国―台湾は今飛ばせないんですが、先ほど申し上げた中国の春秋航空は茨城空港へチャーター便という形で今回就航するということになっております。
     先ほど御答弁申し上げましたように、非常に格安航空会社というのはこれから新しい需要を起こすためには重要な要素だと思っておりますけれども、やはり就航条件等のそこの条件をまず調査しないと、次のステップへ行けないということもございまして、基本的には格安航空会社の就航についても前向きに進めていきたいというふうに考えております。以上です。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで竹内良訓君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     九月二十二日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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