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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大石 哲司(浜松市東区) 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/01/2013

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 特別自治市の実現について
2 浜松市沿岸域の防潮堤整備における樹種の選定について
3 局地的豪雨に対応した土砂災害対策について
4 富士山のにぎわいの県西部への波及について
5 中山間地域への移住・定住の促進について
6 耕作放棄地の解消について
7 振り込め詐欺の撲滅について


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、一番 大石哲司君。
       (一番 大石哲司君登壇 拍手)
○一番(大石哲司君) 皆さんこんにちは。浜松市東区選出の大石哲司でございます。
 私は当面する県政の諸課題について知事、関係部局長並びに警察本部長に通告に基づきお伺いいたします。
 初めに、特別自治市の実現について伺います。
 御案内のように我が国は人口減少社会を迎え、社会経済や地域社会の状況が大きく変化し始めております。このような情勢の中にあっても持続可能な行政サービスを提供し人々が安心して快適な暮らしを営んでいけるようそれぞれ地方公共団体は行財政能力を高めていく必要があり、とりわけ規模が大きな都市が果たすべき役割は今後ますます増大していくと考えられています。そしてどんな大都市であっても大都市だけで存立できず、他の自治体と相互依存する形態で成り立つものと考えられますので大都市のあり方は周囲の基礎自治体や広域自治体のあり方にも大きく影響を及ぼします。
 半世紀以上前の一九四七年、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の五大市を特別市として独立させる地方自治法が成立いたしましたが、行政区の中心部が管轄外となる府県側との調整が整わず、実現しないまま廃止に至った経緯がございます。かわりにその十年後、一九五六年に創設されたのが現行の指定都市制度です。この制度では府県からの独立こそ認められていませんが都道府県とほぼ同じ権限が与えられました。平成二十四年には指定都市の数が二十市となり、神奈川県や大阪府、本県のように複数以上の指定都市を包含する府県が誕生してきております。しかしながら現行の指定都市制度においては、道府県との役割分担が不透明で指定都市の役割に応じた税財政制度がないなど制度創設から半世紀以上が経過したにもかかわらず、さまざまな課題が山積している状況にあります。日本の人口の約二割が集中し我が国を代表するような大都市が世界的な都市間競争や進展する人口減少社会に対応するため、そのポテンシャルを十分に発揮し日本全体を牽引していくエンジンとなるには不十分な制度です。
 そこで、全国の指定都市の市長で構成される市長会では新たな大都市の制度として特別自治市制度を提案しています。この制度は広域自治体や周辺自治体と多様な連携を行いながら、創意工夫と自己責任に基づく自立的な都市経営が行えるよう現行の二階建ての自治構造を廃止し、地方が行う全ての事務を一元的に担う権限を持ち、かつその権限に見合う自主財源が制度的に保障されたものを考えています。より自立性の高いこの特別自治市に移行した場合、政策展開の自由度が拡大いたしますので、新たに創出される直接効果と間接的な効果を合わせた経済的効果は極めて大きなものがあると言われています。さらにこうした経済効果は、当該特別自治市だけでなく周辺自治体にとっても雇用の創出や経済の活性化として大きなメリットを持つものと考えられています。
 県内では、これまで静岡、浜松の両政令指定都市が県と協働、協調して県全体の発展を牽引していくとの共通認識のもと県・政令指定都市サミット、いわゆるG3を継続的に開催し、しずおか型特別自治市の実現に向けて取り組んできていると聞いています。
 そこで、これまでの取り組みの状況と実現の見通しについてお伺いいたします。
 次に、浜松市沿岸域の防潮堤整備における樹種の選定について伺います。
 政府の地震調査委員会が、今後三十年以内に南海トラフでマグニチュード八を超えるような大地震が六〇%から七〇%の確率で発生するとの発表がございましたが、一般の市民はこれをどう受けとめていいかわからない状況です。このような予想よりも予防、すなわち備えが大切だということを東日本大震災が教訓として教えてくれたと考えるべきです。
 昨年六月に浜松市の一条工務店グループ、県、浜松市との間で三者基本合意が締結され、八月より防潮堤の試験施工が既に始まっています。新たに築造される防潮堤は、予想される大津波から地域の安全・安心を守っていける高さとなっており、地元住民はその早期完成を心待ちにしているところであります。これまでの地元説明会によりますと新防潮堤は、その大部分が既存の海岸防災林の位置と重なるため、一旦海岸防災林を伐採し防潮堤の整備後再び樹木を植栽する計画と聞いております。遠州灘の海岸防災林は海からの風や砂、塩害等から内陸部の住宅や農地、道路等を守るために先人たちが植栽し大切に育てられてきたものであります。
 林野庁が主管する東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会の資料によれば、海岸防災林にふさわしい樹種について海岸側は、砂や塩害に十分耐えるものとして針葉樹の中ではクロマツやアカマツ、広葉樹ではカシワやトベラ等を推奨しており、陸地側は防風効果を高めるものとして針葉樹では同じくクロマツやアカマツ、広葉樹ではカシワやタブノキ、コナラ等を挙げています。東日本大震災では、クロマツやアカマツが植栽された海岸防災林が甚大な津波被害を受けて、その多くが流木となってしまいました。一方同じ被災地でもタブノキ、シラカシなどの土地本来の広葉樹は、津波にも耐え生存しているものもあると聞いています。このような状況を鑑み松くい虫の被害を受けやすい松よりもいっそ海岸防災林には広葉樹を植栽すべきではないかとの意見も多く聞かれています。
 いずれにいたしましても海岸防災林には、津波が到達する時間をおくらせることや漂流物を受けとめるなど、津波被害を軽減する防災的な役割はもとより、平時には市民に憩う場を提供するなど近隣の住民には身近な林となりますので、海岸防災林の植栽に積極的にかかわろうとする機運が市民団体や自治会の間で高まっていると聞いています。
 したがいまして、浜松市沿岸域の防潮堤に植栽していく木の種類――樹種については住民の多様なニーズにも十分配慮して決めていっていただきたいと考えておりますが、県の所見を伺います。
 続きまして、局地的豪雨に対応した土砂災害対策について伺います。
 地球温暖化の影響により日本の気候は亜熱帯化してきていると言われています。雨の降り方も変化し降雨の範囲が狭く降雨時間が短いにもかかわらず単位時間当たりの降雨量が極めて多いもの、つまり狭い地域に短時間で記録的な雨が降る局地的豪雨、いわゆるゲリラ豪雨が各地で頻発しています。このゲリラ豪雨は、都市部においては地域的な水没や地下街、地下鉄、そのほか道路などの都市機能を麻痺させる都市型水害をもたらし、都市部以外においては河川の氾濫や土砂災害の被害をもたらします。全国では毎年千件近くの土砂災害が発生し、とうとい生命やかけがえのない財産が失われています。本年も日本海側を中心に、これまで七百七件の土砂災害が発生し、残念なことに十二名の方がお亡くなりになっています。
 幸いなことに本年は県内で人的被害は発生しておりませんが、七月に西伊豆町で一時間に九十八ミリという大量の雨が降りまして、大規模な土砂災害が発生いたしました。このようにいつどこで発生するかわからないゲリラ豪雨に対し、まさに全県的かつ早急的な対応が求められています。土砂災害から県民の生命と財産を守るためには、土砂災害防止施設の整備が求められますが、県内には地すべりや土石流、崖崩れにより大きな損害を与えるおそれのある土砂災害危険箇所が一万五千カ所以上ありますので、この全てに災害防止施設を整備していくには莫大な時間が必要で簡単には進捗しないことは承知しております。
 本県の場合で説明いたしますと県が土砂災害危険箇所について、土砂災害防止法により土砂災害警戒区域いわゆるイエローゾーンに指定いたしますとそれぞれの市や町が指定された区域を対象に地域防災計画の中で、危険の周知や警戒避難体制を確立していくことになります。このため県が総合計画に掲げている土砂災害による死者数ゼロを達成するためには、自助として住民みずからが避難を行うことが先決であり、その第一歩は住民に自分たちが暮らしている地域の置かれている危険な状況を正確に認識しておいていただくことが重要なことだと考えています。
 県では、住民の避難を啓発する取り組みとして土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定を順次進めていると聞いていますが、これまでの指定状況と今後の取り組みについて見解をお伺いします。
 次に、富士山のにぎわいの県西部への波及について伺います。
 先月、環境省からことしの富士山の登山シーズンの登山者数が前年同期に比べ二・五%減、三十一万七百二十一人だったとの発表がございました。世界文化遺産の登録効果で大幅な増加が見込まれていましたが、渋滞の緩和や環境保全のため実施されたマイカー規制の強化などが影響して、ほぼ前年並みとなったようです。このように登山者数の伸びはありませんでしたが、先ごろ発表された夏シーズンの観光交流の動向によりますと富士山周辺の入り込み状況は、「あさぎりフードパーク」が前年比一五四%、富士山本宮浅間大社が一二〇%とそれぞれ観光客が増加しているように、富士山周辺の観光施設では世界遺産への登録効果が如実にあらわれていることがわかります。
 一方、富士山から離れた県西部地域では新東名高速道路が開通したときのようないっときのにぎわいがなくなり、盛り上がりはいま一つとの声も聞かれます。浜名湖の弁天島周辺では潮干狩りが有名ですが、この潮干狩りが戦後初めて中止になった影響が大きいとは思いますが、世界遺産登録による波及効果を県西部では全く感じることができないと言っても過言ではありません。本県の観光振興を図っていくためには、このたびの世界遺産登録は大きな契機であり、その効果を一過性のものではなく、また富士山周辺の地域だけでなく広く県内に誘客効果を波及させていくことが重要であると考えます。
 県西部地域は、美しい景観の浜名湖県立自然公園があり多彩な食や歴史・文化、産業など豊富で魅力的な観光資源に恵まれており、これまでも多くの観光客を魅了してまいりました。現在西部地域では、カキやフグ等の特産物による食のブランドづくりやサイクリングを活用したツーリズム、袋井の遠州三山や湖北五山の連携など地域にある資源を磨いて誘客に努めておりますが、そこに富士山の世界遺産登録効果が加われば、より一層の誘客が図っていけると思います。
 そこで、富士山の世界遺産登録による効果をどのように県西部に波及させていくのか、県の取り組みについて伺います。
 次に、中山間地域への移住・定住の促進について伺います。
 我が国は、少子高齢化の進展により地域経済の停滞が進むとともに、本格的な人口減少・高齢化社会の到来を迎えています。県内におきましても中山間地域などでこれらの傾向が顕著で、地域の活力が衰退したり伝統文化の継承が困難になるなどコミュニティー機能の低下が懸念される地域が出始めています。一方定年後に田舎暮らしを希望する中高年世代はもとより若い世代、子育て世代においても環境に恵まれた田舎での暮らしに関心が高まっていることも事実です。リーマンショック以降、終身雇用制度が見直される中で大都市での暮らしにこだわらず地方に活路を見出すという価値観の転換や安全・安心で子育て環境のよい生活を求める動きが高まりつつあります。また東日本大震災の際には人と人とのきずなの重要性も再認識されました。このような緊密な人間関係も田舎暮らしを検討するときに大きな魅力になるものと考えられます。これらを背景にして都会から地方への回帰、田舎での生活を希望する方々は着実にふえており、この傾向はますます強まるものと考えています。
 本県では、昨年四月に新東名高速道路が開通し、県内の中山間地域への交通アクセスが飛躍的に向上いたしました。また県が推進している内陸のフロンティアを拓く取り組みにおいても、新しいライフスタイルの実現の場として農山村と都市との交流や移住・定住を促進することとされています。今後中山間地域の活性化を図っていくためには、地域の担い手となる活力ある人たち、とりわけ若い年齢層を呼び込んでいく取り組みが必要になっていくと感じております。
 このような状況を踏まえ、県では中山間地域への移住・定住の促進について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、耕作放棄地の解消についてであります。
 本県は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、お茶やミカン、野菜など多彩な農産物が生産されております。実り豊かな農村は、都市住民に憩いを提供する場になるなど農地は県民共通の財産と言っても過言ではありません。しかしながら農業従事者の高齢化等に伴い有効活用されない農地が発生し始めております。耕作放棄された農地は、病害虫の発生源となったり不法投棄を誘引する原因になるなど周辺農地の営農にも支障を来すことになってしまいます。私もわずかな面積の農地を耕作しておりますが、どうしても耕作できない時期が二年前とことしの春先から六月にかけての期間ございました。自分の畑が耕作放棄地と間違えられるような状況になってしまいまして、周囲の方々に大変御迷惑をかけた前科がございます。このような耕作放棄地を再生し積極的に活用していくことは、農業・農村を振興していく上において重要な課題であり、継続した息の長い取り組みが必要と感じています。
 浜松市の南部地域は、極わせの白タマネギの一大産地として全国的にも有名です。どの産地よりも早く収穫され、生でも食されるブランドタマネギです。このような有力な農産物の産地でさえ生産者の高齢化や担い手の不足により栽培面積が最盛期の五分の一まで減少し、耕作されずに荒れた農地が次第にふえた時期がございました。この対策としてとぴあ浜松農協が設立した農業生産法人が、地域の農地利用調整協議会と連携して耕作放棄地や耕作が困難になった畑を農家から借り入れ、再生作業を施し直接タマネギの栽培を行うほか再生された畑を新規就農者等に貸し出す取り組みを始めております。
 こうした取り組みにより、これまでに六ヘクタールの耕作放棄地が解消され四十ヘクタールを超える農地が集積され、一般的なタマネギ農家の十倍以上の農地を作付する新規就農者が誕生するなど産地は確実に活気づいてきております。このように生まれ変わった耕作放棄地を意欲的な農業者や法人が積極的に利用することは、本県の農業生産力の強化につながるものと確信いたしております。
 県では、平成二十一年度より耕作放棄地の解消に積極的に取り組んできており、昨年末には目標であった二千ヘクタールをほぼ一年前倒しで達成したとのことですが、これまでの成果と今後の取り組みについて所見を伺います。
 最後に、振り込め詐欺の撲滅について伺います。
 先般、全国の上半期における振り込め詐欺などの被害総額が実に二百十一億円を超え、上半期としては過去最悪であるとの報道がございました。県警によりますと振り込め詐欺は、ことしに入ってから八月末までに全国的な傾向と同様県内でも前年同時期に比べて一・五倍の約九十件が発生し、被害総額も二億七千万円余に上っている状況にあるとのことでした。一件当たりの被害額は、単純計算で実に三百万円に及ぶことになります。最近の傾向としては、従来のように金融機関を通じて振り込ませる型に加え、犯人が現金やキャッシュカードを直接とりに来る振り込ませない振り込め詐欺、いわゆる受け取り型の手口が増加しておりまして、今年度上半期のオレオレ詐欺のうち形態別では従来型の振り込み型が約二割、現金受け取り型が約八割という統計が出ております。
 このような状況の中、警視庁は振り込め詐欺という名称では犯罪の実態を的確に表現できていないとして、新しい名称を募集いたしました。そして一万四千通以上の応募作品の中から、振り込め詐欺にかわる新しい名称は母さん助けて詐欺に決定したと発表いたしました。さらにニセ電話詐欺と親心利用詐欺が優秀作品に選ばれたことからわかるように、我が子や孫を思う肉親の心を巧みにもてあそび老後のために蓄えてきた、なけなしの財産をだまし取る極めて卑劣な犯罪と言わざるを得ません。
 このように膨れ上がる振り込め詐欺の被害を食いとめるため、県警には積極的な情報発信をお願いするとともに、官民が協働した防犯活動を継続的に展開していただきたいと考えております。
 そこで、新たな手口の振り込め詐欺対策を含めて振り込め詐欺撲滅に向けて今後どのように取り組んでいくのか、警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) ここで、あらかじめ会議時間を延長します。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 浜松市東区選出の大石哲司議員にお答え申し上げます。よい質問をありがとうございました。
 まず、私のほうから特別自治市の実現についてであります。
 少子高齢化の進行や地方分権改革が進展をしており、また道州制の導入も視野に入ってまいりました。そうした中で基礎自治体の自立を進める必要がございますので、本県におきましては市町村合併や日本一の権限移譲の推進に取り組んでまいったところでございます。一方静岡市、浜松市の両市が政令指定都市になりまして、両市はさらに自立性の高い都市経営を目指す特別自治市を提案されておりまして、私といたしましてもその理念には共感しているところでございますので、その実現に向けまして昨年度から県と静岡、浜松両市の三者で協議を進めているところです。特別自治市につきましては、ことしの六月に内閣総理大臣に提出されました第三十次地方制度調査会の答申におきまして、制度の創設にはさまざまな問題があることから引き続き検討を進めていく必要があるとされた一方、当面の対応としては都道府県から指定都市への事務等の移譲を可能な限り進め、なるべく特別市に近づけることを目指すこととされたわけです。
 こうした中、静岡県における特別自治市協議では、まず現行制度下において県と両市の合意のみで実施可能な権限移譲について移譲対象事務の整理や担当部局間による具体的な協議を実施し、答申を先取りした形で移譲作業を進めています。また答申で先送りされました新たな大都市制度創設につきまして本県におきましては特別自治市の制度創設に向けて、その意義や考え方について県と静岡、浜松両市の三者が共通した認識を持てるよう協議を進めているところです。近く開催される県・政令指定都市サミットにおきまして、両市長と特別自治市について議論を十分に行おうと思っております。
 その実現の可能性でございますけれども一番実現の可能性の高いのは、もともと特別市として一九四七年に地方自治法で制定されました五つの都市でありますね。その中で一番可能性の高いのは大阪だと思っています。今回大阪都構想が堺市における維新の候補者が敗れたために極めて厳しい状況になっておりますけれども、ここで例えば大阪市が大阪府から自立すると、独立すると、二重行政を廃止すると。府庁は大阪市にございますけれども、市内から出ていくということをお決めになるようなことをされれば、それは実質大阪府と大阪市とが二つに分かれることですので、その意味では一元的管理が大阪市についてはできることになります。
 二番目に可能性の高いのは京都であります。京都の場合やはり府庁が京都市内にございます。京都府の未来を考える会におきまして、京都府庁の向後あり得べき場所として二つの場所が提言されました。京都府の未来を考える会、その座長が私でございまして。ですから府庁が出ていけば京都市は特別自治市として、京都府と京都市の二元行政を解消できるということでございます。
 しからば本県においてはどうかということでございますけれども、まだ浜松市も静岡市も県となるべく仲よく協力してやっていこうという御姿勢でありますので、よほど強い御決意を持たれて静岡県から一元的に全て静岡市は静岡市、浜松市は浜松市でやるというようなことをなさるならばですね、これはかなり高いけれども目下のところむしろ可能性としては、大阪、京都、さらに名古屋、横浜が並ぶでしょう。そして神戸はあの震災のときにも県庁を移すという案がなかったわけではありませんけれども、それは水泡に帰しましたので難しいと。本県も同じように難しいということで、現行制度の中で権限移譲ということを進めているのが目下の状況であるということでございます。
 私としましては、そういうその府県制を廃止する形でしか特別市というのは実現できませんのでこの道州制というものをあわせて議論しなくちゃならないので、これは国のあり方全体についての議論をしないでは、実は三者サミットだけでは実現の可能性はそう高くないと見ております。ただし全体の流れというものはとめることができないというふうに考えているわけであります。
 続きまして、耕作放棄地の解消についてであります。
 耕作放棄地が県にどのぐらいあるか、私が知事に就任したときに一万二千ヘクタールございました。これは県全体の耕作地の二割弱に当たっています。日本全体では七、八%ですから、いかに本県におきまして耕作放棄地が多かったかということです。一万二千ヘクタールと言いましたけれども、実際そこで農家が御所有になっているのは六千ヘクタールです。それ以外のところは農家以外の方の所有になって、いわば不在地主で、かつ農業をされる方ではないということでこれはもう再生が不可能だということがわかりました。したがって六千ヘクタールが目的なんです。六千ヘクタールのうち、再生可能な農地をさせていただければ三千五百ヘクタールしかないということがわかりました。残り二千五百ヘクタールというのは、もう森林とか原野だとか急傾斜のところでですね実質これは農地として再生することが不可能なので、ここのところは自然林に返していくというのが望ましいという考え方を持っております。したがって我々のターゲットは三千五百ヘクタール。これはまだ再生可能だと。ほっとけばほっとくほど荒蕪地になっていきます。
 そこで、まず一年目に五十ヘクタールから始めました。そして実際は百二十一ヘクタールの耕作放棄地を可耕地に変えて、そのときいわゆる年間の再生面積の全国順位は十九位という低いところであったわけです。ところが弾みがつきまして平成二十二年度、六百三十八ヘクタールを可耕地に変えました。これで一気に全国三位になりました。北海道、茨城に次いで三位です。茨城とはわずか二ヘクタールの差というほとんど二位ですね。銅メダル、銀メダルというところでありますが。平成二十三年度も六百ヘクタールを超えまして、これでも全国三位です。目下私どもは二千ヘクタールを耕作地に変えようということで、平成二十五年度の末すなわち来年の三月三十一日までということを目標にしておりましたけれども、もう昨年度で一千九百ヘクタールを超えまして実質それを達成したということでございます。なるべく早くこの三千五百ヘクタール全体を耕作地に変えるという動きをしているわけでございます。
 例えば焼津市では、稲作農家が農業機械メーカーの協力のもとで県や市と協働なさいまして、地権者三十名に及ぶ四ヘクタールの耕作放棄地の再生に取り組まれて、酒米である「誉富士」の栽培を始められています。また総菜を製造販売する浜松市の企業が耕作放棄地十ヘクタールを再生利用なさいまして、自社が製造販売する総菜等に使用する野菜を栽培されています。この企業の取り組みが高く評価され、昨年度初めて実施した県耕作放棄地再生活動表彰において最優秀賞を受賞なさいました。
 一方、先ほど申しました残された耕作放棄地につきましては、鋭意これをなるべく早く耕作地に変えるという方向で最善の努力をしてまいりたいと思っているところでございます。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 浜松市沿岸域の防潮堤整備における樹種の選定についてお答えいたします。
 一年を通じて強風を受ける浜松市域の海岸防災林は、長年の経験により乾燥に強く砂地でも大きく育つクロマツで造成され、海からの潮風と砂から内陸側の住宅などを守ってきましたが、クロマツだけで整備された海岸防災林には松くい虫被害を受けやすいなどの課題があります。また国も東日本大震災後の海岸防災林の整備に際しては、自然条件や地域のニーズを踏まえて広葉樹の植栽も考慮することが望ましいとしていることから県では昨年度、浜松市沿岸域に自生する広葉樹を調査し、海岸防災林に適した樹種を検討しました。
 本年度は、有識者、地元自治会及び行政による検討会において長期間にわたり機能を発揮し、生態的にも安定した海岸防災林の造成に向けて、松くい虫被害に強い抵抗性クロマツをトベラなどの低木性広葉樹やクスノキなどの高木性広葉樹と組み合わせて植栽することなどを検討しており、年度内に試験的な植栽を行う予定であります。
 県といたしましては、検討会での意見、試験植栽の結果、地域住民の皆様の御意見などを踏まえ広葉樹を含む現地に適した樹種を植栽し、高い防災機能を発揮するとともに、日常的には市民の憩いの場となるよう海岸防災林の再生を図ってまいります。
 次に、局地的豪雨に対応した土砂災害対策についてであります。
 平成二十二年の台風九号による小山町の災害や本年四月の浜松市の春野町の地すべりでは、早目の避難勧告や住民の自主避難も功を奏したため、幸い人的被害はありませんでした。このように土砂災害に際しては、住民みずからが的確な避難行動をとることが大変重要であります。
 このため本県では、平成二十九年度を目標に一万五千百九十三の危険箇所について土砂災害警戒区域の指定を進めており、平成二十四年度末で、その五四%に当たる約八千三百カ所を指定しました。なおこの指定に当たりましては、説明会を開催し避難時期やとるべき行動など防災知識の普及にも積極的に取り組んでおります。
 このほか、土砂災害の危険性を周知するため危険箇所や警戒区域のインターネットによる公表や現地への表示板の設置を行うとともに、危険が差し迫ったときには気象台と県が共同で土砂災害警戒情報を発表し、防災行動を呼びかけております。
 今後とも土砂災害による死者数ゼロを目指し、市町と連携を図りながら土砂災害防止施設の整備と住民の避難を促すソフト対策による総合的な土砂災害対策を一層推進し、県民の皆様の安全・安心の確保と県土の保全に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山のにぎわいの県西部への波及についてお答えいたします。
 富士山の世界文化遺産登録は、富士山周辺を訪れる方々に美しい自然景観や豊富な温泉、多彩な食、歴史が刻まれた建造物など県内各地の魅力を満喫していただく周遊型、滞在型の観光を定着させる絶好のチャンスであると考えております。
 このため、本県観光の主要マーケットである首都圏、中京圏及び関西圏を対象に県内の宿泊施設や観光施設等の観光関係者が旅行会社に対して売り込みを行いますふじのくに観光大商談会を開催するなど県内全域への誘客に取り組んでいるところであります。
 また、中日本高速道路が企画した東名、新東名及び中央自動車道が乗り放題となるまるごと富士山ドライブプランなどを活用して、県内各地のグルメや歴史、文化などお楽しみスポットが盛りだくさんのドライブコースをPRしているところであります。
 特に県西部への観光誘客につきましては、浜名湖を初め舘山寺温泉、天竜浜名湖鉄道、産業観光、花、フルーツなど多彩な観光資源のほか徳川家康公顕彰四百年、来春開催の浜名湖花博二〇一四などを素材にテレビ、ラジオ、旅行雑誌などのメディアを活用して観光誘客を一層推進してまいります。
 こうした各種の観光プロモーションを積極的に展開することで富士山の世界遺産登録による誘客効果を一過性に終わらせることなく、広く県内全域に波及させるよう取り組んでまいります。
 次に、中山間地域への移住・定住の促進についてであります。
 本県は、緑あふれる美しい自然環境や多彩な特産品を有する魅力ある農山漁村が数多くあり、「いなか暮らしの本」という専門誌の移住したい都道府県ランキングで常に上位に位置するなど移住に関心を持つ方から高い評価を受けております。
 人口減少や高齢化の進む中、本県の優位性を生かし中山間地域に都市部から若い世代や子育て世代を呼び込むことで新たな視点で地域の魅力に光を当て、文化活動や経済活動、コミュニティー機能など地域の活力を高めることが大変重要になっています。
 このため、県庁内にふじのくに移住・定住相談センターを設けたほか、県のホームページによる空き家情報の提供、首都圏での移住相談会の開催など移住希望者の相談にきめ細かく対応する取り組みを進めております。
 また、都市部の若者を中山間地域に派遣し、地域活動や地元の魅力の発信に取り組むふじのくに暮らし推進隊の事業では、昨年度までに浜松市天竜区及び南伊豆町にそれぞれ二名、今年度も島田市川根地区に二名を派遣しており、派遣期間が終了した四名のうち三名の若者が地域に残って活動を継続するなど成果を上げております。
 また、若い世代の移住・定住をさらに進めるためには、安定した収入の確保が何より重要な課題となりますことから、地域の特産品を生かしたビジネスなど新たな雇用の場の創出に市町や地域団体等と連携して取り組むこととしております。
 新東名高速道路の開通など都市と中山間地域を結ぶ交通アクセスが向上し、移住先としての本県の魅力が高まる中、中山間地域への移住・定住を一層促進することで内陸のフロンティアを拓く取り組みを進めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 振り込め詐欺の撲滅についてお答えいたします。
 本年における本県の振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の情勢は、議員御指摘のとおり全国的な傾向と同様昨年を上回る被害が生じるなど深刻な事態となっており、その実態を見ますとオレオレ詐欺や架空請求詐欺の増加、被害者の利殖願望につけ込んだ金融商品等取引名目詐欺の急増、受け取り型や送付型による現金交付形態の増加、被害者の七割が六十五歳以上の高齢者といった特徴があります。他方検挙状況は八月末現在、昨年同期と比べ検挙件数、人員とも上回っているものの、それが必ずしも被害の減少、犯罪の抑止という結果に結びついておりません。
 こうした情勢を踏まえ、本県警察における今後の取り組みといたしまして犯人をおびき寄せる、いわゆるだまされたふり作戦による犯人検挙、犯行グループから押収した名簿搭載者に対する注意喚起、あらゆる機会を通じた広報啓発活動等を反復継続して実施してまいります。
 折から、本日より一カ月の予定で全国一斉の特殊詐欺撲滅強化推進期間がスタートしており、徹底した取り締まり、社会の犯罪に対する抵抗力の強化、そして犯罪に利用される他人名義の預貯金口座や携帯電話等に関する対策の強化、以上三点を重点に諸対策を推進いたします。また先ほど現金送付型の事案がふえていると申し上げましたが、こうした被害を阻止するための新たな施策として宅配事業者から警察への通報制度の運用を開始しておりますが、さらなる取り組みといたしまして金融機関窓口において、例えば高齢者が高額の預貯金を引き出そうとする際、小切手による振り出しを推奨したり、その対応中に不審点がある場合には警察に速報をしていただくといった措置がとれないか検討中であります。
 特殊詐欺をめぐる情勢は極めて深刻であり、予防、検挙両面からの力によりまして高齢者を初めとする被害者をこうした卑劣な犯罪から守るため、総力を挙げてあらゆる対策を推進してまいる所存であります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 大石哲司君。
       (一番 大石哲司君登壇)
○一番(大石哲司君) 一点だけ再質問をお願いいたします。
 一番初めの特別自治市に関してですが、川勝県知事は西高東低という言葉を御存じでしょうか。県西部の住民が使うと県民税の負担は西が高く東が低い。納める額ですね。だけど見返りは今度は東高西低と言っている。何か気圧配置のようですけども。先ほど権限移譲は全国トップクラスということで胸を張っていらっしゃいましたが、財源移譲について知事はどのように評価されているか、教えてください。
○副議長(渥美泰一君) 土屋経営管理部長。
○経営管理部長(土屋優行君) 特別自治市の再質問についてお答えいたします。
 権限移譲に対する財源の移譲ですけれども、権限移譲交付金として権限を移譲したものにつきましては財源の移譲をしているということで対応してございます。以上であります。

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