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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

平賀 高成 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/07/2015

会派名:

日本共産党静岡県議会議員団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
  立憲主義に対する知事の見解                  
2 浜岡原子力発電所について                    
3 リニア中央新幹線について                    
4 医療・福祉行政について                     
 (1) 国民健康保険の制度改革                    
 (2) 介護分野の課題                        
5 特別支援学校について  


○副議長(杉山盛雄君) これで大石哲司君の質問は終わりました。
 次に、一番 平賀高成君。
       (一番 平賀高成君登壇)
○一番(平賀高成君) 日本共産党の平賀高成です。通告に従い一括方式で知事、関係部局長並びに教育長に伺います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてであります。
 国政でも地方政治でも、その根本には憲法を守る立場がなければなりません。しかし安倍首相は昨年七月一日に憲法解釈を勝手に変え集団的自衛権容認の閣議決定を行い、本年九月十九日には絶対多数の学者や歴代法制局長官など識者から憲法違反と指摘された安保法制という名の戦争法を強行採決いたしました。これまで自衛隊の海外派兵はどんな場合でも戦闘地域に行ってはならない、武力の行使は行ってはならないという二つの歯どめがありましたが、これが取り払われてしまいました。その結果、現実の危険性として南スーダンでの治安維持活動に自衛隊員が参加させられ、間違いなく犠牲者が出ることが指摘をされています。戦争をしない国から戦争することができる国への大転換が行われたわけでありますが、こんな大暴走は到底許されるものではありません。少なくともどんな内閣のもとでも憲法を守るという立憲主義の立場は変えてはならないと思いますが、この点での知事の所見を伺うとともに、知事の政治姿勢としても貫かれるべきものと考えますが、あわせて伺います。
 次に、浜岡原子力発電所についてであります。
 浜岡原発は、御承知のように予想される南海トラフ巨大地震の震源域に建っている世界一危険な原発です。二〇一一年三月十一日の東日本大震災後、福島県ではいまだに十二万人の人々が避難生活を強いられ、先の見えないつらい生活の中で命と健康が脅かされております。安倍内閣は原子力規制委員会の規制基準に合格すれば停止中の原発の再稼働にゴーサインを出すとして既に鹿児島県の川内原発は営業運転を再開し、福井県の高浜原発、大飯原発、愛媛県の伊方原発など次々と再稼働を進めていこうとしております。東日本大震災後、浜岡原発は政府の責任で停止されました。浜岡原発を初め全国の原発が全て停止しても何ら国の経済や国民生活には支障は出ておりません。したがって原発は再稼働させずにそのまま廃炉のプロセスに向かうという即時原発ゼロの政治決断を行い、再生可能エネルギーの思い切った普及と低エネルギー社会への転換に力を注ぐことこそ最も現実的で責任ある選択だと考えます。
 知事も指摘しているように、浜岡原発は停止していても安全でないことは明らかです。県民の安全・安心を考えた場合、中部電力に対し万全の安全対策を求めることは当然ですが、同時に県民にとっての安心とは原発事故時に住民が放射線被曝を受けることなしに避難できる避難計画の実効性が担保されていることと、原発事故による被害の現状回復と被災者に対する全面賠償が補償されていることが最低限必要です。県の広域避難計画の策定状況が七月二十一日に公開されましたが三十一キロメートル圏内の市町ごとの県内外の避難先がおおむね示され、スクリーニングポイントも三十一キロメートル圏外の東側、西側に五カ所ずつ、避難単位も三千世帯一万人となるなど住民の避難計画を策定する市町にとっても、とても十分なものとは言えません。県の保険医協会が三十一キロメートル圏内の要援護施設等に行ったアンケートでは、避難計画のひな形が欲しいなど自力で避難計画をつくることができない実態が明らかになりました。
 現実問題として、細かな部分に入って行けば行くほど浜岡原発でも避難計画はできないと思いますが、知事の所見を伺います。
 また、川勝知事は使用済み核燃料の処理のめどが立たない現状では再稼働はあり得ないと繰り返し述べられております。原子炉建屋にある燃料プール内の使用済み核燃料の危険性は福島原発事故で証明されました。乾式貯蔵施設は六年間冷却した燃料しか運び込めず、量も限られています。県民の使用済み核燃料に対する不安を取り除くものではありません。
 停止中の浜岡原発の使用済み核燃料の万全な安全対策と使用済み核燃料の処理のめどについて、知事の所見を伺います。
 さらに、周辺自治体の首長の皆さんも現状での再稼働は困難との声を上げていますが、原発事故を起こしたら現状回復が当たり前で被害の全面賠償は当然との意見も聞かれます。浜岡原発で事故が起きた場合は原因者が全面賠償するのが当然と思いますが、知事の所見を伺います。
 次に、リニア中央新幹線の問題についてであります。
 リニア新幹線の県内への影響としては、三千メートル級の高峰が連なる南アルプス国立公園の地下を最大深度一千四百メートル、十・七キロメートルにわたって通過し、トンネル工事に伴う大井川水系の毎秒二トン、島田市など七市二町六十五万人の水道使用量の一部を担っている大井川広域水道事業団の大井川からの取水量と同量、全流量の一七・五%の水量減少問題、残土捨て場として燕沢へ三百六十万立方メートル、高さ五十メートル、長さ一キロメートルにわたり発生土を積み上げ、工事用ダンプなどによる自然、生活環境破壊問題、南アルプスの中央構造線と幾つかの断層が集中し破砕帯もある地質構造を無視した自然破壊問題などが挙げられます。
 これらの問題をどのように認識し、対処しようとしているのか、知事の所見を伺います。
 また、我が党も各地方議会で問題点を指摘し建設中止を求めてきましたが、静岡市長は流域自治体と強い危機感を共有し環境影響に強い懸念との意見書を県に提出し、静岡市議会も全会一致で南アルプスの保全を決議しました。牧之原市長は命の水を守ると決意し、市議会で残土処理、自然破壊など水量減少以外にも問題あり、県内での工事は急ぐべきではないと表明するなど市民、住民運動や懸念の声が広がっています。
 住民や周辺自治体の理解、了解を得られないままJR東海にやらせるべきではないと思いますが、知事の所見を伺います。
 次に、医療・福祉行政についてのうち、国民健康保険の制度改革についてであります。
 現在国保は、住民の負担能力をはるかに超える保険料が全国各地で大問題となっています。二〇一三年度の所得二百五十万円、自営業四人家族四十歳代の夫婦プラス子供二人の保険料は私の住む浜松市で四十四万円となっております。自営業者四人家族で所得二百五十万円ということは大都市部では生活保護水準を下回る収入ということになります。生活保護基準以下の世帯にまで四十万から五十万円の負担を強いているということになります。滞納が続けば保険証は取り上げ短期保険証、資格証明書ということになり、本年六月一日での県内の資格証明書世帯は六千百四十七世帯となっています。資格証明書になると窓口での十割負担のためほとんど病院にかかれません。二〇一五年度の県内市町医療・介護・生保・福祉の社会保障に関するアンケートによれば浜松市での一般保険証受診率一二八・二%。これは月に一・二八人受診しているのに資格証明書世帯の場合は三・七四%、二十五カ月に一回、二年に一回くらい受診すると、桁違いに少なくなります。これが今の国保の実態です。
 こうした高過ぎる国保料の第一の要因は、国の予算の削減にあります。市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は一九八〇年度の五七・五%が二〇一二年度では二二・八%にまで下がっています。もう一つ高過ぎる保険料を引き起こした大きな要因は加入者の貧困化でした。加入者全体が低所得であればあるほど個々人が負担する保険料の率・額は重くなるのが保険の原理です。
 今回の制度改革では、本当に国保が抱える厳しい実態の改善を図ることができると考えておられるのか、知事の所見を伺います。
 今回の制度改革による新しい仕組みでは、大きく三つのポイントがあります。一つは都道府県は市町村に納付金の納入を求め、市町は納付金を納めるのに必要な保険料率・額を定め、被保険者から保険料を徴収します。二つ目には都道府県は市町村規模別の収納率目標を設定し、市町村ごとに保険料の算定方式や標準保険料率を提示し賦課徴収を指導します。三つ目には保険給付の決定、資格管理、申請、届出などの窓口業務、保険事業は引き続き市町が担うということになります。
 最大の改変は、都道府県が国保財政の責任主体となり市町村の監督役として強力な権限を持つようになることです。国の医療費削減方針のもと、都道府県は保険料の高騰を抑えたければ給付を抑制せよという指導を容易にし、自治体を医療費削減に駆り立てるようなことになるのではないかと危惧されております。今まで県内の各市町は高過ぎる国保料を引き下げるために一般会計からの法定外繰り入れを行い、財政的に大変であっても頑張ってきたわけです。
 この点では、国保の制度改革が行われてもこれまでどおり各市町は一般会計からの法定外繰り入れはできるとのことですが、国保事業の一番の責任は国にあるので、国に責任を果たすことを求めつつも高過ぎる国保料を引き下げるため、今度は県としても一般会計からの法定外繰り入れも含め支援をするベきではないでしょうか。知事の所見を伺います。 
 次に、介護分野の課題についてであります。
 介護保険法の改悪で、要支援一、二の人が介護保険から外され自治体の行う支援事業に丸投げされこれまでのようなサービスを受けることができなくなることや、特別養護老人ホームの入所についても要介護三以上でないと入所できなくされました。万全な介護を約束し介護保険料を徴収しながら、これではまさに国家的な詐欺行為とも言うべき事態です。本年四月に改定された介護報酬はマイナス二・二七%とされ、緊急に行われた静岡県社会保障推進協議会によるアンケートによれば介護報酬の引き下げで六五%の事業所は減収となり、小規模通所介護施設では九一%が減収となりました。そしてどのように対処したのかについては加算を取得したが三五%、次いで賃金、労働条件を見直したところが八%と、収益減を人件費等の引き下げでしのいでいることがわかります。自由に記載する部分では処遇改善によって本当に二万七千円の賃金アップになると思っているのでしょうか、小規模の事業所を淘汰し事業の大規模化を進めようとしているのでしょうかとか、いろいろな規制が多い中、基準に沿っての仕事で体力的、身体的にも負担は大きく賃金も低いため半分はボランティアのような仕事になってしまっているように感じますなど深刻な声がびっしりと書かれているわけです。
 県は、こうした状況をどのように受けとめ対応しようとしているのか、知事の所見を伺います。
 介護職員の確保・養成について、介護職員の確保ができないのは介護報酬は減らされ仕事がきつく賃金は安いことから、将来に対する展望が持てないことから職場を去るのが実態です。県はキャリアパスという制度を全国に先駆けてつくり広げていこうとしていますが、制度として賃金が毎年上がり研修も行い介護技術も引き上げていくという、こうしたことが実際にできるところはいいのですが、職員の人数も少ないところでは賃金などもずっと上がらないままという事業所も多いわけです。そうした事業所に対して県としてどういう支援をしていくおつもりなのか、知事の所見を伺います。
 最後に、特別支援学校についてであります。
 今、静岡県の公立の特別支援学校の児童生徒一人当たりの教育費は全国最下位の四十七位という状況です。県立浜松特別支援学校は浜松市の南端、中田島海岸のそばにあります。一九七八年四月に開校され、ことしで三十七年たちました。本年五月現在、二〇一二年度との比較で全校生徒数は二百八十七人から三百二十九人に一一五%にふえています。小学部は九十七人から百二十九人に一四三%となっています。中学部は五十五人から六十九人に一二五%となっています。高等部は百四十二人から百三十一人に九二%になっています。特に低学年ほど増加の割合が高く、今後も増加の傾向が予測されています。特別教室を教室に充てるなど、現状は受け入れ生徒数の限界に達していると思います。また小学部、中学部はスクールバスが運行されていますが最長は二時間かかります。最短でも一時間十五分かかります。さらに老朽化などでトイレは和式の上に洋式のトイレをかぶせて使用しているため、狭い上に衛生上からも改善が切望されております。そして学校は中田島海岸のすぐそばに位置しているために南海トラフの巨大地震が発生した場合は直ちに避難しなければなりませんが、知的障害などがある児童は緊急の場合はパニックを起こし避難は無理ではないのかと心配する保護者は多数を占めております。そのために学校の移転を望む保護者はPTAが実施したアンケートの回答者のうち八二%に上っております。校舎の老朽化や通学距離が長いなど、県内の特別支援学校は同じような問題を抱えています。
 こうした特別支援学校をどのように捉え、支援をしていこうとしているのか教育長に伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 平賀議員にお答えいたします。 
 私の立憲主義に対する見解についてでございます。
 日本国憲法第九十九条は、天皇陛下、閣僚、政治家、行政官、全て憲法を尊重し遵守するということが義務であるとうたっているわけでございます。私もその政治並びに行政を預かる者としてこれを遵守することは、言われるまでもなく当然の義務であるというふうに考えております。
 お尋ねの向きは、日本国憲法というのは三つの原則を持っているわけです。主権在民、基本的人権の尊重、そして平和主義でございますが、平和主義にかかわるものというのはこれは憲法第九条ということでしょう。国際紛争を解決する手段としては戦争を永久に放棄するということをうたい、また武力の行使、武力による威嚇というものはこれを放棄するというふうにうたっているわけですね。この日本国憲法というのは一九四六年の十一月三日に公布されまして、翌年の五月に発効したわけでございます。
 さて、これは日本における最高の法規でございますけれども、国際社会における最高の法規、これは国際連合の憲章でございます。平賀議員は国連憲章と日本国憲法と、どちらが重要であるというふうにお考えでしょうか。日本共産党はその点をどう考えておられるのでしょうか。日本国憲法は四十六年、その前年すなわち日本が敗戦した一九四五年の二カ月後に国連憲章に基づきまして国際連合が発足したわけでございます。日本は国際連合の中で名誉ある地位を占めようということで国会等で運動し、ようやく一九五六年の暮れになって国連の仲間入りを果たしました。
 国連憲章におきまして、その目的は第一条に書かれておりますが国際社会における平和と安全です。そして第五十一条に御案内の自衛権の規定がございます。そこに個別的自衛権並びに集団的自衛権を固有の権利としてうたっているわけです。御案内のように。
 さて、この国連憲章の第二条は行動の原則を定めておりますけれども、その行動の原則におきまして国際紛争を処理する手段として武力による威嚇、武力の行使をできる限り慎まなければならないというふうにうたっています。その翌年に日本で公布せられた日本国憲法はこの武力による威嚇、武力の行使を永久に放棄すると言っているわけでございます。したがってニュアンスが違うわけであります。そしてもう一つ問題があります。それは日本における対外関係の条約で最も重要なものは日米安全保障条約――安保条約であるというふうに存じますが、その前文をお読みになったことがあるでしょうか。その前文には日本政府、アメリカ政府が調印しているわけでございますけれども、六十年に岸元首相のもとで改定され日本の地位が相対的に上がったわけですが、それが七十年にさらに延長されることになったわけでございますが、その日米安保条約の前文には国連憲章の行動の原則を再確認すると。そして個別的自衛権、集団的自衛権の固有の権利も再確認するというふうにうたっています。そのようにうたっているその安保条約、六十年に改定されました、その改定した張本人である岸首相は集団的自衛権は憲法上日本は持っていないと表明されています。六十年初めのことです。七十年代になりまして田中内閣は集団的自衛権の行使は憲法上許されないとする政府見解を参議院決算委員会に提出されました。八十年代になりまして鈴木内閣が集団的自衛権を行使することは憲法上許されないとする政府答弁書を出されました。それゆえ今回の安倍内閣、九十年代には目立った動きはなく、二十一世紀に入りまして第一次安倍内閣で集団的自衛権の行使を容認する方向での懇談会を設けられ、ことしの七月衆議院でそれが可決、通りそして参議院で可決されて採択されたということになっております。したがってこれまでの経緯から見ますと確かに憲法上大きな解釈変更が行われたということになります。
 私は、ここで国民が非常に不安に思っているというのはもう一度国連憲章に立脚するのかそれとも日本国憲法に立脚するのか、どちらが重要かと。ちなみに対外条約と日本国憲法とどちらが重要かについては実は議論がございます。そして一時期は対外的に結んだ国としての約束として条約のほうが優先するという意見もございましたが、今日の最高裁判所の御見解では日本国憲法すなわち国内の最高法規のほうが優先するというものであります。つまり見解が揺れているわけであります。したがって私は主権在民の立場からするならば、このようないわば日本の国連中心主義とそして国連の平和主義とを担保するための行動の原則あるいは自衛権というものと、それより厳しい第九条というものとについて、さてどちらに立つのが現実的か、あるいはどちらに立つのが日本としての立場かということを明確に論点にして議論するべきであるというふうに思います。
 そういう観点から、今回私は政府は国民的議論を十分にお尽くしになって、憲法改正について明らかに現在の内閣は集団的自衛権を容認するすなわち国連憲章にのっとるというお立場でございますので、そういう立場でこれからやっていくんだと。これは国連憲章よりも厳しい日本国憲法をいわば変えるというのにほかなりません。ですからこれを正々堂々と訴えるべきであると。そして選挙を通じて信を問うのが筋であるというふうに一貫して私は論じてまいりました。それが私の考えでございますが、基本的に立憲主義の原理を忘れてはならないと。国民主権、基本的人権、そして平和主義の原則というのは二十一世紀、我々人類社会を担う者としての立場でなくてはなりません。
 私は二つあると思います。もう一つはつまり国際連合憲章にのっとって日本もこれから国際社会で活躍するということで、これが今のところ安倍内閣の立場だと思いますけれども、もう一つは日本国憲法の理念を通して国連に対してより厳しい、すなわち自衛権あるいは国連憲章の第二条ですね。行動の原則、慎まなければならないというのを永久に放棄するというふうな極めて厳しい法規に変えるというのもこれまた崇高な行動理念ではないかというふうにも思います。実際人類社会は十七世紀以降、いわゆる主権国家体制が確立して以降戦争をする、いわゆる主権行使というのを国に、当時は国王に、現在は国民に委ねているわけでありますが、それをいかにしてしないかと。戦争をいかにしてしないかということで不戦条約や大西洋憲章や国連憲章や日本国憲法がつくられてきたので、私どもはそういう流れに立っております。日本国というのは決して、一見鎖国のようですけれども東洋の文明も西洋の文明も入れ切った立派な国柄でありますので、そういう広い観点から今どういう立場に立つことが人類社会に貢献するのかということを論じるべきときが来ているというふうに思っております。私は差し当たってそうした論点を明確にしないままに今回のような法制化がなされたことを残念に思っております。
 次に、リニア中央新幹線についてであります。
 リニア中央新幹線は、極めて大規模な土地の改変を伴うもので建設工事も十年以上に及ぶなど、県民の貴重な財産である南アルプスの自然のみならず地域の住民、生活環境に大きな影響を及ぼしますことから、万全な環境保全措置はもとより住民や関係自治体に丁寧に説明し理解を得るなど慎重に慎重を重ねて実施するべきものであると認識しております。これまでも静岡県では環境影響評価法や県条例に基づきまして環境アセスメントの各段階で環境への影響を回避、低減するための意見をJR東海に対し述べてまいりました。また事業が認可された後も昨年四月に設置した静岡県中央新幹線環境保全連絡会議を通じ、JR東海が計画する環境保全措置や環境監視体制等について助言等を行っております。去る十一月三十日に開催した連絡会議におきましてはJR東海から導水路トンネルと発生土置き場計画の検討状況について説明がありました。中下流域の河川流量減少の回避策について委員からは河川流量の監視体制の一層の強化をするようにという意見が出されましたが、導水路トンネルを否定するという意見はございませんでした。一方発生土置き場の計画につきましては防災面での影響や貴重な植物の保護などの観点から今後JR東海から示される土砂流出の数値のシミュレーションの結果を踏まえ、確認していくこととしたところでございます。
 県といたしましては、連絡会議に加えことしの六月に設置いたしました静岡県中央新幹線対策本部などを活用しまして、環境面のみならず防災や社会経済的な側面も踏まえた、より広範な視点から事業実施に際しての課題や対策を協議し適切に対応するとともに、JR東海に対しましてはあらゆる機会を活用して懸念の払拭に努め住民や関係自治体に対し理解が得られるよう、強く要請してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(杉山盛雄君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡原子力発電所についてお答えいたします。
 現在、浜岡原子力発電所から三十一キロメートル圏内である原子力災害対策重点区域の十一市町を対象に、今年度中を目途に広域避難計画の策定に取り組んでおります。計画策定においては避難先の確保はもとより避難経路や避難手段の確保、避難退域時検査の実施体制や要配慮者の避難等について関係市町、関係機関と連携し検討を進め避難計画や関係するマニュアルに反映するとともに、原子力防災訓練による検証などを通じ計画の実効性を高めてまいります。
 使用済み燃料の安全対策については、燃料プールの耐震性や冷却機能等が新規制基準適合性審査の中で審査されているところであり、県といたしましては国に厳正な審査を求めるとともに、静岡県防災・原子力学術会議の御意見を伺い独自に検証を行ってまいります。なお使用済み燃料の処理の方法については再処理や高レベル放射性廃棄物の最終処分等の課題があり、現状においては確立されていないと考えております。
 事故が起きた場合の賠償については、一義的には電力会社が原子力発電所の最終責任を負うべきであり、中部電力にはその覚悟を持っていただきたいと考えております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 医療・福祉行政についてのうち、国民健康保険の制度改革についてお答えいたします。
 国民健康保険は、加入者に高齢者や低所得者が多いため財政基盤が弱く、また小さな規模の市町村も保険者であることから財政運営が不安定であると言われております。今回の制度改正では現状の国民健康保険が抱えるこのような構造的な問題を解決することを目的としております。制度改正を進めるに当たりましては国が国民健康保険制度の財政基盤の強化を図ることとしており、今年度から低所得者対策として全国の市町村に対しまして全体で約一千七百億円が投入されます。また平成三十年度からは市町村と財政運営の責任主体となる都道府県に合わせて全体で約三千四百億円が財政支援のために毎年投入される予定となっております。これにより国民健康保険の財政基盤が改善され保険料の値上げが抑制されることが見込まれます。
 次に、制度改正後の県の支援についてでありますが、国民健康保険事業の運営は国庫負担金と保険料等で賄うのが原則であります。今後高齢化の進行による医療費の増大などが見込まれますが、県といたしましては県の一般会計からの法定外繰り入れなどを行わなくても国民健康保険事業の財政運営ができるよう、国に対しまして十分な財政措置がなされることを引き続き働きかけてまいります。
 次に、介護分野の課題についてであります。
 介護保険制度は、施行後三年ごとに見直しをされてきております。本年度の介護報酬の改定では小規模型通所介護事業所においては基本報酬が引き下げられましたが、認知症等の要介護者に対して手厚いサービスを行う場合には新たに報酬が加算されるようになりました。
 県といたしましては、事業者に対しまして質の高い介護サービスを提供する体制を整え報酬の加算を取得できるように指導することによりまして経営の安定化や介護職員の処遇の向上を図ることとしております。また国に対しましても引き続き介護報酬の引き上げについて提案してまいります。
 小規模事業所におけるキャリアパス制度の導入につきましては、小規模事業所における導入の成功事例集を配布し導入を進めております。導入を行う事業所に対しましては社会保険労務士等を派遣して経営や雇用管理についての相談や助言を行い、適切な制度導入を支援することとしております。また介護の知識や技術を学ぶことのできる研修を行い介護職員の資質向上を支援するなど、将来への展望を持ち安心して働き続けることができる職場となるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 特別支援学校についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、特別支援学校における老朽化が進んでおり、トイレ等の改修に随時対応するとともに、静岡県立特別支援学校施設整備計画に基づき西部特別支援学校、東部特別支援学校はそれぞれ平成二十九年度、三十年度の開校を目指し全面的な移転改築を進めております。本年度施設整備計画の中間見直しを進めており、通学の負担軽減と施設の狭隘化の解消が図れるよう、児童生徒数の増加が大きい知的障害者を対象とする学校の整備を検討しております。また喫緊の通学負担軽減の対応としてはスクールバスの運行経路の見直しや増車による改善を図っており、浜松特別支援学校においても本年度増車の対応をいたしました。
 静岡県の第四次地震被害想定においても津波浸水域となっている浜松特別支援学校につきましては、発災時に緊急避難ができるよう屋上への非常階段と避難スペースを設置しております。さらにさまざまな想定での避難訓練を繰り返し実施することで、急な環境の変化への対応が困難な児童生徒のパニック等への対応に今後も努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 平賀高成君。
       (一番 平賀高成君登壇)
○一番(平賀高成君) 何点かにわたって再質問をいたしますが、その前に知事が言われました国連憲章と日本国憲法の立場で一体どちらの立場に立つのかと。このような議論がありました。私は国連憲章はもちろん大事でありますし、それ以上に今の日本国憲法が大切だと思っています。特に今問題になっているのは実際に社会で戦争や紛争があった場合に、これに対して武力で対応するのか、それとも話し合いで解決をするのか。日本の今の憲法でいえばこれはあくまで武力ではなくて話し合い、外交交渉で解決をするべきだと。こういうことを憲法は述べているわけです。ですから国際紛争のあった場合こういうふうな立場で私は対応していくべきであって、ですからそれ以上でもそれ以下でもありません。
 次に、浜岡原発の問題について伺います。
 実際に、この浜岡原発の問題で今、外岡危機管理監はこれは今年度中に避難計画のマニュアルなどもつくって整備をしていくという、こういうふうな答弁でありました。私は避難計画はいくら細かに計画をつくったにしても、いざ実際巨大地震で建物などが倒壊して多くの人たちが亡くなり、しかも原子力発電所から放射能が漏れるというようなこういうふうな事態に直面をした場合、なかなかこれが計画どおりに実際には運行することは難しいんじゃないのかなというふうに思いますが、ただまだ計画が完成しているわけではありませんのでこの点についてあれこれは言いませんが。ただ一つだけ確認をしたいのは、こういう広域避難計画を今後これからいろいろ要援護施設の問題なども含めてつくっていくと思います。このときに少なくとも実効ある計画になり、なおかつ検証を何度もやって十分な検証をやってこれが有効に機能するというこういう確認のもとに実際計画になっていくと思いますが、そういう計画がまだ出る前に例えば浜岡原発で言えば中部電力は来年の九月には再稼働をしていきたいというふうに考えているわけですが、この十分な計画が、そして実証がされた計画ができる前に再稼働があってはならないと思いますが、この点で知事の見解を伺いたいと思います。
 それから、全面賠償の問題について言いますとさまざまな環境汚染の問題でも原因者が全面的に賠償するという原則が現にあるわけです。ですから少なくとも三百七十万の県民の命を預かる県知事として少なくとも原発の再稼働をやるのであるならば、国と中部電力に対して全面賠償や現状回復の覚悟があるのかないのかをやっぱり正面から問いかけるベきだと私は思います。
 それから、リニアの問題について伺いますが、リニアの問題については今さまざまな声が、要望が自治体や住民の皆さんからさまざま出されております。こういうふうな問題はやはり環境や国土は一度破壊されてしまったら元に戻すのは本当に至難のわざだと思うんです。ですからそういうふうな疑問やまた要望に対して見切り発車をするようなことがあってはならないと。このことをやっぱり国やJR東海に対して問うべきだと私は思うんです。この点での知事の答弁を求めたいと思います。
 それから、国民健康保険の問題について伺います。
 これは、新しい制度に移行しようというわけですが、しかし結局これは今の国保が抱えている国からの財政支援がどんどん削られている問題や加入者自身の貧困化の問題があるわけですが、しかしこういうところに正面から応えるような改革ではなくて、やはりもっと保険料を厳しく徴収する。そしてそれでもまだ足りない場合はもっと保険料を上げるべきだと。こういうふうなことになっていくのではないのかと、こういうふうなことを多くの関係者の皆さんからも声が上がっているわけです。ですからこの点についてそういう心配はないというふうなことがあるのかないのか。この点について質問をいたします。
 そして、国民健康保険料引き下げのために一般会計から今県内の各市や町は援助をして、保険料を引き下げるためにいろいろ努力をしているわけですが、今度は県がこの財政的な責任者になるわけですから少なくとも県として国保に財政的な支援をするべきじゃないのかと。このことを私は再度問いたいと思います。私もいろいろ調べましたら厚生労働省の国民健康保険事業年報の最新版――二〇一三年度版ですが――これで調べますと全国では一都一府十七県で国保料引き下げのための県としての財政的な支援を行っております。例えば岩手県では加入者一人当たり一千百六十五円、総額四億三百十四万四千円、秋田県では一人当たり一千五十円、総額二億九千百五十二万二千円、東京都では一人当たり千二百五十三円、総額四十六億六千三百十三万八千円、山梨県では一人当たり五百九十六円、総額一億四千八百八十四万八千円。ですから本当にやる気になればできるんだということを私は示していると思いますので、改めてこの点についての答弁を求めます。以上で、再答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡原子力発電所についての再質問にお答えいたします。
 浜岡原子力発電所は、現在津波対策工事を実施中であること、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が継続中であること、さらに使用済み燃料の処理方法が確立されていないことなどの課題があり、再稼働できる状況にはありません。しかしそこに使用済み燃料があるわけですから再稼働の有無にかかわらず安全性の確保というものが第一でございます。万が一にも事故が起きないような安全対策をしっかり講じていただく。県としてはそれをしっかり検証する。と同時に万万が一に備えて避難計画をしっかりつくる。訓練等を通じてそれを検証していく。実効性のあるものにしていくことが重要だと思っております。そういうことで進めてまいりたいと思っております。
 次に、二点目でございます。補償の関係でございます。
 原子力事故が発生した場合、電力事業者には原子力損害の賠償に関する法律により無過失無限の賠償責任が課されております。中部電力はこのことを当然ながら承知しており、その責任を果たすべきであると考えております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(池谷 廣君) リニアに関しての再質問にお答えをいたします。
 まず、見切り発車をすべきではないというお話でございましたが、これは静岡県内でということだというふうに考えております。といいますのも既にリニアの事業計画につきましては国の認可を得て東京あるいは名古屋では事業が着手あるいは隣県の山梨県等でも工事契約の締結というようなことで、実際にもう既に事業が進んでおります。そうした中で静岡県について環境破壊を、あるいは生活環境への影響を最小限にとどめるべきということで、それについては全くおっしゃるとおりでございます。そうした中で十分に議論をしていかなければいけないと思っております。
 また、今回特に大きな問題となっております水については、水収支解析という形でいろいろ、例えば毎秒二トン減少というようなお話が最初にございましたが、今回は導水路トンネルによってそのかなりの部分が回復できるというような提案もなされております。ただその委員会の席上でも有識者の方がおっしゃっているんですが、あくまでも科学的な知見に基づいた予測とはいっても限界があると。それよりも大事なものは常にきちっと監視をして観測体制をきちっととって、相手がやっぱり川でございますのでいろいろな季節変動もございますので、そうした常時観測システムをとって何かあれば対応するというそうした対応も大事ではないかというような意見もいただいているところでございますが、いずれにいたしましてもこれまでどおり我々としても環境に負荷のないような形でやっていくようにJR等に申し上げて、事業に関して対応していきたいと思っております。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 国民健康保険制度の再質問についてお答えいたします。
 まず一つ目ですが、国民健康保険制度はまず国のほうで財政基盤が弱いということと、もう一つは経営が非常に不安定である、財政運営が不安定であると。その二点を見ましてこれを改正しなければならないということで今回の改革整備につながっております。ですのでその背景といたしまして平賀議員も御指摘のとおり国民健康保険の加入者というのが高齢者、低所得者が多いと。なおかつまた保険者にしてみると、小さな本当に財政的運営が厳しい小規模な市町村が入っている状況。そういった状況を十分に踏まえた上での今回の制度改正でございます。ですのでこの制度改正することによって財政基盤さらには財政運営が改悪しましてさらに保険料等の徴収が払えなくなるような、そういった状態を引き起こさないようにするための制度でございますので、議員が御指摘いたしましたような徴収をもっと厳しくするような、そういった国民健康保険が使いにくくなるような、そういった制度にはならないと思っております。
 二点目でございますが、県の一般会計の法定外繰り入れについてでございますが、これは先ほど申し上げましたとおり国民健康保険の運営というものは国庫負担金等とまた保険料で賄うのが原則でございます。ですので今回の改正によりまして新たに県の一般会計から法定外繰り入れが出るような、そのような財政運営にはならないようになってくると確信しております。国に対しまして、もしそのような場合が生じましたら十分な財政措置をすることをしっかりと働きかけていきます。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 平賀高成君。
       (一番 平賀高成君登壇)
○一番(平賀高成君) 再々質問を行います。
 一つは原発の問題で、これは法的に原子力無過失責任といいますか、何かそういう法律があって機能しているんだということですが、しかし福島では全面賠償にはなっておりません。だからこそ私はそういうことを中部電力にも、国に対しても問うべきじゃないのかということを聞いております。
 そして国保も、これも……
○副議長(杉山盛雄君) 平賀君、時間が参りました。
○一番(平賀高成君) 以上を再質問いたします。
○副議長(杉山盛雄君) 時間が足りませんので今のは質問にはなりません。最初の再々質問だけ一問御答弁お願いします。
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡原子力発電所に関する再々質問にお答えいたします。
 電力事業者には、原子力損害の賠償に関する法律により無過失無限の賠償責任が課されております。中部電力はこのことを当然承知しており、その責任を果たすべきであると考えております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) これで平賀高成君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十二月八日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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