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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渡瀬 典幸 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/18/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                      
 (1) 今後の川勝流政治手法                      
 (2) 県政ビジョン                          
2 命を守る安全・安心な地域づくりについて              
 (1) 津波から命を守る防潮堤整備                   
 (2) 熊本地震の教訓                         
3 中小企業を中心とした経済対策について               
 (1) 今後の経済施策                         
 (2) 県内産業の成長を担う人材確保                  
4 ラグビーワールドカップ二〇一九の成功に向けた取り組みについて           5 観光振興について                         
 (1) 持続可能な魅力ある観光地域の形成                
 (2) 空のネットワークの充実                     
 (3) 海のネットワークの充実                     
6 少子化対策について                        
7 障害者差別の解消に向けた取り組みについて             
8 競争力のある農業の展開について                  
9 「有徳の人」づくりについて                    
10 世界的なスポーツイベントの開催を見据えた県警察の取り組みについて             


○議長(杉山盛雄君) 開議に先立ちまして、新任の県幹部職員を御紹介いたします。
農林水産戦略監 吉田 茂君。(挨拶)

午前十時三十一分 開議   
○議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を開きます。
 報告します。書記に朗読させます。
       (書 記 朗 読)

                                   財政第 40 号
                                   平成29年7月13日
 静岡県議会議長 杉 山 盛 雄 様
                              静岡県知事 川 勝 平 太  
説明のため議会に出席することを委任または
            嘱託を受けている者の異動について
 このことについて、その後の異動は次のとおりであるから通知する。
                   記
 (経済産業部)
農林水産戦略監            吉 田  茂
 (交通基盤部)
交通基盤部理事
(静岡県建設技術監理センター所長)  内 田 光 一
建設支援局技術管理課長        池ヶ谷 規 文

                                   監査第25号−3
                                   平成29年6月30日  
 静岡県議会議長 杉 山 盛 雄 様
                           静岡県監査委員  青 木 清 高  
                           静岡県監査委員  城 塚   浩  
例月出納検査について(報告)
 地方自治法第235条の2第1項の規定に基づき現金の出納を検査したので、同条第3項の規定に
基づき、その結果を次のとおり報告します。
1 検査対象及び検査実施年月日


                                   監査第 42 号
                                   平成29年7月3日
 静岡県議会議長 杉 山 盛 雄 様
                         静岡県代表監査委員  青 木 清 高  
               住民監査請求の要旨について(通知)
 このことについて、平成29年6月29日付けで請求があったので、地方自治法第242条第3項の規定に
より、別紙のとおり通知します。
                                  (別紙 登載省略)  

                                   監査第 44 号
                                   平成29年7月14日  
 静岡県議会議長 杉 山 盛 雄 様
                           静岡県監査委員  青 木 清 高
                           静岡県監査委員  城 塚   浩
                           静岡県監査委員  吉 川 雄 二
                           静岡県監査委員  佐 野 愛 子
                監査の結果に関する報告について
 地方自治法第199条第9項の規定に基づき、平成29年6月28日に実施した監査の結果に関する報告を
次のとおり提出します。
                                     (結果 登載省略)  

○議長(杉山盛雄君) 議事日程により、知事提出議案第八十四号から第九十七号までを一括して議題といたします。
 なお、議案第八十四号及び第八十五号につきましては、人事委員会の意見を求めたところ、お手元に配付したとおり回答を得ておりますので御承知おきを願います。

                                    人委給第 16 号
                                    平成29年7月5日
 静岡県議会議長 杉 山 盛 雄 様
                        静岡県人事委員会委員長 小 川 良 昭  
           地方公務員法第5条第2項に基づく意見について
 平成29年6月27日付け静議議第23号により意見を求められた下記議案について、異議はありません。
                    記
議案名
 第84号議案 静岡県職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 第85号議案 静岡県職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例

○議長(杉山盛雄君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十六番 渡瀬典幸君。
       (四十六番 渡瀬典幸君登壇 拍手)
○四十六番(渡瀬典幸君) おはようございます。私は自民改革会議を代表して、通告に従い当面する県政の諸課題に対し知事、副知事及び関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねいたします。
 質問に入ります前に、このたびの九州北部豪雨により被害に遭われました皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。また今なお避難されている皆様、復旧作業に従事されている皆様の安全と一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
 また、去る六月二十五日に行われました静岡県知事選挙において県民の皆様からの信任を受け、三期目を迎えられました川勝知事におかれましては、今後四年間、三百七十万静岡県民の暮らしに寄り添った県政運営を心がけて邁進していただきたいと思います。
 それでは質問に入ります。
 初めに、知事の政治姿勢のうち、今後の川勝流政治手法についてお伺いいたします。
 知事と我が会派とは、これまで知事の政治手法をめぐってさまざまな議論を繰り返してまいりました。知事は御自身の政治手法について現場主義を旨としつつ、まずはみずからの考えを明確に主張し議論すべきところは正々堂々と議論して、最も県民の利益に資する結論を導くことが基本であるとかねがね主張してこられました。
 一方で、我が会派としては、知事が問題提起を行うことはよいことであるが、そのやり方によっては無用な誤解や混乱を招くこともあるため、考えを主張する際にはさまざまな関係者がいることも配慮して慎重な言動に心がけるべきであることを主張してきました。
 しかし、知事としてはどのような形であれ広く議論を興すのはよいこととの考え方であり、両者の議論はすれ違いに終始することが多かったのが事実であります。のみならずそのことが両者の間に感情的なあつれきを生じさせ、議論の本筋とかけ離れた批判の応酬にまで発展することがあったことはまことに残念なことであります。
 知事は、今回の選挙後の会見等で県議会最大会派との関係を問われ、緊張関係があることはいいことである、その緊張関係が建設的な形で議論されるとさらにいいと述べられました。我が会派はこれまで一貫して推進すべきは推進する、待ったをかけるべきは待ったをかけるとして常に是々非々で対応してまいりました。地方自治体は二元代表制である以上、首長と議会はともに建設的な議論を戦わせる義務を有していると考えており、その意味では知事の緊張関係が建設的な形で議論されるべきとの考えに対して特段の異論はありません。
 また、今定例会開会日における知事の所信表明において、和をもってとうとしとなすとの発言がありました。もとより我が会派としても知事との間で無用なあつれきを生むことは本意ではなく、和の精神の重要性は理解しております。
 ただし、議会は行政のチェック機能であるというその性質上なれ合いにならず一定の緊張関係を保ちながらもお互いの立場や意見の相違は尊重するという、いわば和して同ぜずといった関係を基本とすべきと考えます。
 今回の選挙戦で、知事は仏の川勝になると述べられ、また過ちは改むるにしかずともおっしゃっておられました。このことは三期目を迎えるに当たり川勝流政治手法を変えようと決意されているようにも見受けられますが、知事の考えを伺います。
 次に、県政ビジョンについて伺います。
 県では、総合計画後期アクションプランに基づき富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり、ポスト東京時代の日本の理想郷をつくるを基本理念に掲げ、県民幸福度の最大化に向け大規模地震への万全の備えなど八つの重点取り組みを初めとする政策を推進しております。本年度はこの総合計画の最終年度となることから、県では今後次期総合計画を策定していくこととなります。次期総合計画について知事は本議会の知事提案説明において「私の一期目の任期をホップ、二期目をステップとするならば、三期目のジャンプとなる新しい総合計画を本年度中に策定し、ふじのくにづくりの明確な道筋を示します」と述べておられます。また命を守るや福祉の充実、暮らしを豊かにという三つの政策の柱を掲げるとともに、県と市町との連携協働が重要との認識を示しておられます。
 我が国は、世界的に見ても空前の速度と規模で人口減少や高齢化が進むなど歴史的な転換期を迎えており、本県もその例外ではありません。こうした時代にあっては、県民に対し未来に向けた明るい展望を描き提示することがリーダーである知事の使命であると考えます。このため今後策定する次期総合計画においては、これまでの施策の進捗や新たな環境変化を踏まえ後期アクションプランから何を引き継ぎ発展させていくのか、また何を変えていく必要があると考えているのか明らかにすることが重要であると考えます。と同時に本県が目指す姿や進むべき方向性をビジョンとして明確化し、県民にわかりやすく示すことで県民とそのビジョンを共有していくことが重要であります。
 そこで、県民から静岡県の今後四年間の県政運営を託されました川勝知事に伺います。知事は将来の静岡県についてどのようなビジョンを描き、そしてそのビジョンをどのように実行していくおつもりなのかお伺いをいたします。
 次に、命を守る安全・安心な地域づくりについてのうち、津波から命を守る防潮堤整備についてお伺いいたします。
 川勝知事が重点公約に掲げた命を守るについてでありますが、世界一安全・安心な地域づくりを進めるには地震・津波対策アクションプログラムをしっかりと完遂させる必要があります。県では本プログラムを平成二十五年に策定以来減災のためのさまざまなハード及びソフト対策を進めていますが、今年度は五年目に当たり取り組みも半ばに差しかかったところであります。平成二十九年二月議会においては、平成二十七年度末時点の進捗状況としてレベルツーの地震・津波で想定される約十万五千人の犠牲者が各アクションの進捗状況を踏まえた減災効果の試算では約三万一千人減少することが見込まれ、おおむね順調に推移しているとの答弁がありました。
 しかしその一方で、津波を防ぐアクションの一つであるレベルワン津波に対する防潮堤の整備については平成二十八年度末時点の進捗率が一%となっております。この指標は津波を防ぐ施設整備の主たる指標と考えられますが、平成二十五年度から四年が経過してもなお一%の進捗となると私は不安を感じざるを得ません。
 津波から命を守るためには、地震発生後の迅速な避難行動やそれを可能とする住宅の耐震化などが極めて重要でありますが、本県の沿岸部は津波の到達時間が極めて短いことから避難時間を一分一秒でも稼ぐ効果が見込まれる防潮堤の整備を着実に進めていく必要があります。その一方で美しく変化に富んだ海岸景観や多くの漁港を有する伊豆半島沿岸については主要産業である観光や漁業との調整も必要となり、なかなか防潮堤の整備に着手できないということが現状であります。
 そこで、レベルワン津波に対する防潮堤整備の現状について、伊豆半島沿岸における取り組み状況も含め今後の見通し、津波から命を守る取り組みをどのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、熊本地震の教訓について伺います。
 県では、平成七年の阪神・淡路大震災を踏まえ第三次地震被害想定を、さらに平成二十三年の東日本大震災の発生を踏まえ第四次地震被害想定とその具体的な行動計画となる地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定するなど、震災を契機にその課題や教訓の把握に努め地震・津波対策の充実強化に努められてきたと思います。
 こうした中で、昨年四月熊本地震が発生しました。観測史上初めて震度七の揺れを二度にわたり経験したこの地震では、本震直後に十八万人を超える避難者が発生し車中泊を余儀なくされた方々も数多くおられたほか、防災拠点となるべき公共施設も被災するなど多くの課題が明らかになりました。 特に、私が一番心配をしているのは県民の命を守る拠点となる災害対策本部がいざ発災時に有効に機能するかどうかという点であります。申し上げるまでもなく、災害はいつどのような状況で襲ってくるかわかりません。また災害対応に従事する職員も必ず参集できるとは限りません。昨年の熊本地震においては市町村の初動対応に混乱があったとも聞いております。
 また、昨年の県議会六月定例会において我が会派の議員から熊本地震への対応についてただしたところ、当局側からは熊本地震の対応について検証を進めるとともに、そこで生まれた教訓をもとに市町と連携を図りながら必要な対策を推進していく旨の答弁があったところであります。東日本大震災はもとより昨年の熊本地震の教訓を本県の地震・津波対策に生かしていくことが重要であります。
 そこで、発災時における確実な初動態勢確保という観点も含め、熊本地震による教訓からこれまで県はどのような取り組みを進めてきたのか、そして今後どのように対策の充実強化を図っていくのかをお伺いいたします。
 次に、中小企業を中心とした経済対策についてのうち、今後の経済施策についてお伺いいたします。
 今回の県知事選挙期間中、県民が最も重視する政策課題は雇用・経済対策であるとの報道が数多くされておりました。また知事も選挙公約の一つに豊かな暮らしの実現を掲げ、経済政策に軸足を移すことが大事であるとして本県の産業成長に力を注ぐ姿勢を示されました。
 県内の経済状況を見ますと、日本銀行静岡支店は県内の景気は緩やかな回復を続けているものの、リーマンショック以降の先進国経済の低迷や東日本大震災等の影響による製造業の空洞化と経済活動の後退を指摘しております。特に中小企業、小規模企業においては、経済産業省工業統計調査によりますと県内製造業の事業所数や従業者数の減少が続いており、人口減少、売り上げの低迷、価格競争の激化、人材の確保等の多くの課題を抱えている状況があります。
 これまでも県は、本県の経済回復に向けた動きを確実なものとするため産業成長戦略を推進し、次世代産業の創出、経済変動の影響を受けにくい多極的な産業構造への転換や六次産業化の推進など産業の振興と雇用の創出を図っています。しかしながら産業成長に取り組むことができるのは資本力のある一部の企業に限られており、それらの取り組みを中小企業を含めた全体に波及させ地域経済を下支えしている中小企業の活力を引き出すことが必要ではないでしょうか。
 本県の中小企業は、地元の需要に応え雇用を担うなど地域経済の安定と地域住民の生活の向上、交流の促進に寄与する極めて重要な存在であり、本県経済の発展の鍵となります。
 そこで、知事は今後の本県経済のあるべき姿をどのように描き、本県経済の源でもある中小企業、小規模企業の活力が出るような取り組みをいかに目に見える形で実行していくのかお伺いいたします。
 次に、県内産業の成長を担う人材確保についてお伺いいたします。
 県内の本年五月の有効求人倍率は一・五四倍となり、四月に二十四年十一カ月ぶりに一・五一倍を回復し二カ月連続一・五倍台で推移していますが、雇用情勢が改善していると単純に喜べる状況にはありません。五月の有効求人倍率を職業別に見ますと事務的職業は〇・四倍である一方、保安の職業六・八六倍、建設・採掘の職業四・五一倍、福祉関連の職業三・五九倍となっており特定の職業での人手不足が顕著になっております。
 一般財団法人静岡経済研究所が六月六日に発表した県内企業の人手・人材不足の実態アンケート調査結果によれば、県内では多くの企業が深刻な人手・人材不足に陥っており、実に七割以上の企業で人手不足が経営に悪影響を及ぼしている現状が明らかになっております。また六月二十日には県内の経済五団体とふじのくに地域・大学コンソーシアムとで構成するしずおか産学就職連絡会が、この春の県内企業の大卒新卒者採用実績に関する調査結果を発表しました。これによりますと採用計画人数を充足できなかった企業の割合は調査以来最高値となりました昨年の五六%を若干下回ったものの、半数を超える五二%という高い数値となっております。採用計画人数を充足できなかった理由を見ると「応募がなかった」が三〇・八%、「応募数が少なかった」が二四%で合計五四・八%となっており、学生との接点が持てない実態がうかがえます。
 このように、人材が確保できない状況が今後も続いた場合には回復しつつある本県経済の先行きを危うくするおそれがあり、早急に県内産業の成長を担う人材の確保策を講じるべきと考えますが、県の方針をお伺いいたします。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九の成功に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 ラグビーワールドカップ二〇一九の開催期間まであと二年余りとなりました。先月十七日には袋井市のエコパスタジアムにおいてワールドカップ本大会と同じカード、いわば前哨戦と言える日本代表対アイルランド代表の一戦が開催されました。この試合は本大会において日本代表戦や決勝トーナメントなどの好カードを本県で開催するための試金石となる試合であることから、観客動員や運営の状況など本県のラグビーに対する情熱を組織委員会や日本ラグビー協会、ラグビーワールドカップリミテッドに示すことが重要だとして県は観客数四万人を目標としていたということですが、当日の観客数は二万七千人余りでありました。
 私も、多くの方にエコパスタジアムに来ていただきたいとの思いで地元企業等に観戦のお願いをして回りましたが、ラグビーワールドカップが本県で開催されることや六月十七日に日本代表戦が行われることを知らない方が大変多く愕然といたしました。まだまだラグビーワールドカップに向けた機運の醸成、PRが不足しているように感じられます。
 また、当日は大きな混乱はなかったようですが、シャトルバス乗り場に英語表記がなかったり案内スタッフに英語の対応ができる人が少なかったりと、外国人観戦客への対応については改善の余地があるのではないかと感じたところであります。
 さらに、小笠山総合運動公園エントランス広場では御当地グルメなどのブースが立ち並び盛り上がりを見せていましたが、JR愛野駅からスタジアムまでの約一・五キロの道のりについては盛り上がりに欠ける状態でありました。大会本番では駅からスタジアムまでの空間を活用することでより大きな盛り上がりを見せることができるのではないかと思います。
 そこで、先月十七日に開催された代表戦における観客動員数や当日の運営等について県はどのように評価しているのかお伺いいたします。また今後交通管理計画やファンゾーン計画の策定など大会本番に向けた準備が本格化してまいりますが、代表戦で見えてきた課題を踏まえ、どのように取り組みを進めていくのかお伺いいたします。
 次に、観光振興についてのうち、持続可能な魅力ある観光地域の形成についてお伺いいたします。
 平成二十八年の訪日外国人旅行者数は、過去最高であった平成二十七年をさらに上回り前年比で二一・八%増となる二千四百四万人と急速な拡大を遂げております。また国内においても海外市場ほどではありませんが、平成二十八年に国内宿泊旅行に行った人数は前年比四%増となる三億二千五百六十六万人となっております。
 このような中、静岡県におきましても中国人観光客による爆買いツアーブームは記憶に新しいところであり、現在はNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の放送を機に県西部地域を中心とした観光特需に沸いております。今後二〇一九年にラグビーワールドカップ日本大会が私の地元小笠山総合運動公園エコパスタジアムで、また翌年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技が伊豆で開催されます。世界の視線が我が国に集まるメガスポーツイベントの開催は国内外から多くの観光客を誘致する絶好の機会であります。こうした機会を捉え国内外からの誘客を積極的に促進する必要があることはあえて言うまでもありません。
 しかしながら、人口減少が急速に進展する本県にあってはこうしたイベントを一過性のお祭りで終わらせることではなく、イベント終了後であっても国内外から県内各地に多くの旅行者が訪れたくなる魅力的な県でなくてはなりません。そのためには観光を中心に地域みずからが魅力を高め、観光で稼ぐ力を持つ地域づくりを進めていくことが何より重要であると考えます。
 そこで、県として本県の持続可能な魅力ある観光地域づくりをどのよう進めていくのかお伺いいたします。
 次に、空のネットワークの充実についてお伺いいたします。
 ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック自転車競技など世界的イベントの開催を機に国内外から多数の観光客を誘致するためには、本県が持つ陸・海・空の各交通ネットワークを最大限に活用することが必要であります。
 本県の空のネットワークの拠点である富士山静岡空港の利用者数は、平成二十七年度に過去最高の約六十九万八千人を記録しました。しかし平成二十八年度は過去二番目の利用者数を記録したものの、中国路線が減少したことなどの影響で約六十一万一千人と伸び悩んでおります。富士山静岡空港を安定的に発展させ空のネットワークを充実させるためには、既存路線の増便を図るとともに新規就航を実現させるなど、路線をより多様化する必要があると考えております。特に国際線については中国路線に依存するのではなく新たな路線を開拓していくことが重要であると考えます。
 そこで、路線誘致や空港利用促進等、航空ネットワークの充実に向けた県の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、海のネットワークの充実についてお伺いいたします。
 現在国では、観光を我が国の基幹産業へと成長させ観光先進国の実現を目指すため、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年に四千万人とする目標を掲げております。中でもクルーズ船については増大するアジアのクルーズ需要を踏まえ、訪日クルーズ船旅客数を二〇二〇年に五百万人とすることを目指しているところであります。実際我が国の港湾へのクルーズ船の寄港回数は年々増加しており、日本船と外国船を合わせ二〇一六年は二千十七回で前年の千四百五十四回からおよそ四割増加しております。
 一方、本県の状況に目を移せば清水港では大型客船の誘致活動に対する取り組みは早く、平成二年の「クイーンエリザベス二世号」の寄港を契機として官民連携による清水港客船誘致委員会が設立されました。その後この組織を中心にクルーズ船社への積極的なセールス活動や寄港したクルーズ船に対する温かい歓迎行事などが盛んに行われ、その寄港数も大幅に伸びております。また県は国の新しい施策にも対応し、本年一月には国土交通省から官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾に選定され、連携するクルーズ船社であるゲンティン香港とともに北東アジアにおける国際クルーズ拠点化などを目指していくと聞いております。
 一方、県内の他港においても御前崎市を初め熱海市、下田市、焼津市で官民連携による客船誘致組織が続々と設立されクルーズ船の誘致機運が高まっているところであります。
 クルーズ船の寄港増加は、観光交流人口の拡大に大きく寄与するものであり大きな経済効果も期待されます。世界的規模のイベントの開催が予定されている本県では世界中から多くのお客様を迎え入れるインバウンド拡大の絶好の機会であり、海の玄関口をフルに活用しない手はありません。
 そこで、クルーズ船等を活用した誘客、港湾ネットワークの充実に向けた県の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 知事は公約に福祉の充実も掲げられております。県民もまた新知事に期待することに医療・福祉を挙げており、この公約は県民の意向にも合致するものでもあります。
 開会日の所信表明において、すべての子供を大切にする社会づくりとして少子化対策の推進や障害のある方への支援を挙げられました。少子化対策は人口減少に歯どめがかからない現状において極めて重要な施策であります。
 直近のデータで、平成二十八年の本県の合計特殊出生率は一・五五で前年から〇・〇一ポイント上昇したものの、まだ目標である二には歴然とした差があります。県では今年度から、ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤で分析した課題の解決に積極的に取り組む市町を支援する事業を実施しております。県と市町が一丸となって合計特殊出生率二の実現に取り組むことは非常に大事であると考えますが、現在その事業はどのように進捗し、今後どう展開していくのかまずは伺います。正直なところ少子化対策にウルトラCの施策はなく、さまざまな取り組みを積み重ねていかなければならないことは知事も実感しているところだと思います。さきの記者会見で知事は向こう四年の間に医療費助成の対象を高校生まで広げると発言されていますが、子育てしやすいと若い世代が実感できる環境をどのように具体化し実現していくのか、今後の知事のリーダーシップに大いに期待しているところであります。
 そこで、知事は今後大きな課題である少子化対策にどのように取り組み、四年間でどのような成果を導いていこうとお考えなのかをお伺いいたします。
 次に、障害者差別の解消に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 県では、本年四月から静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例を施行し、この条例に基づいて専門の相談窓口の開設や障害を理由とする差別解消を推進する県民会議を開催するなど差別解消に向けた取り組みが始まりました。昨年の六月定例会において我が会派の相坂議員が当局に対して条例の制定を求めてからちょうど一年になります。この間会派においても当局や関係団体から話を聞くなど、その動向に注視してまいりました。
 こうした中、鹿児島県の空港において先月飛行機を利用しようとした車椅子の男性が車椅子での搭乗を拒否され自力で階段を上らせるという事案が起きました。結果的には航空会社が男性に謝罪しアシストストレッチャーと階段昇降機を導入したとのことであり、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを三年後に控え、障害の有無により分け隔てられることのない共生社会の実現に向けて社会に一石を投じた出来事であったと思います。
 また先日、知的障害のある方やその御家族などの関係者が集う、手をつなぐ育成会の皆様とお話しする機会がありましたが、障害者差別解消法が知られていない、もっと多くの人に知ってほしいとの御意見もいただきました。
 条例が施行され、本県における障害者差別解消に向けた取り組みはようやく緒についたところでありますが、今後このような障害のある方々などからの声に対して、差別のない静岡県の実現に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、競争力のある農業の展開についてお伺いいたします。
 日本と欧州連合との経済連携協定や、米国を外した十一カ国で交渉を進めようと言われている環太平洋パートナーシップ、いわゆるTPPなど農産物をめぐる国際情勢は先行きが見通せない状況が続いております。国においては国際的な動きを踏まえかねてより農業を我が国の成長産業の一つに位置づけておりますが、一層の成長産業化に向けた改革を検討し農林水産業・地域の活力創造プランを改定し、さらなる農業の競争力強化のため農業競争力強化プログラムを策定したところであります。
 このたびの通常国会においては、資材コストや流通コストの引き下げなど農業経営者が自由に経営展開できる環境を整備するための農政改革関連八法案が成立したところであります。このような中、県の肝いり施策の一つとして、AIやIoTといったICTを初めとする科学技術が急速に発展している潮流を捉え農業の生産性革新を促進するアグリ・オープン・イノベーション・プロジェクト、いわゆるAOIプロジェクトに取り組んでおり、この八月にはプロジェクトの拠点となるAOI―PARCが開所いたします。
 そこで、本県の重要な産業の一つである農業の競争力を、農業芸術である県産品、農芸品を本プロジェクトを活用し未来に向けてどのように高めていくのか今後の取り組みについて伺うとともに、本プロジェクトによる成果があらわれるまでどの程度の期間を想定しているのか、その見通しについてもお伺いいたします。
 次に、有徳の人づくりについてお伺いいたします。
 県では、平成二十八年二月に県の教育に関する基本理念となるふじのくに「有徳の人」づくり大綱を策定しました。この大綱においては本県の教育目標を有徳の人づくりとし、社会総がかりで子供たちを育てるという方針のもと、確かな学力の育成、新しい実学の奨励、生きがいや潤いをもたらす文化・スポーツの振興など八つを重点取り組みとしております。重点取り組みの具体化に当たっては各界の有識者から成る地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会の意見も踏まえ、総合教育会議において教職員及び高校生の国際化の推進や地域人材の活用などについて議論がされ事業化につなげていると伺っております。
 本年度は大綱の最終年度となるため、目標を達成するためにはこれまでの評価を踏まえた対応を図っていく必要があります。特に教育に関する施策は将来の静岡県を担う人づくりや地域の発展につながるものであり、重要度の高い施策であると考えます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。これまで進めてきた有徳の人づくりについて、主な成果や課題をどのように捉えているのでしょうか。また県内の人口減少や労働力不足が進む状況において本県の将来を担う人材の育成は喫緊の課題であり、有徳の人づくりは課題を克服するための重要な方策と考えられますが、あわせて所見を伺います。
 最後に、世界的なスポーツイベントの開催を見据えた県警察の取り組みについてお伺いいたします。
 県内の治安情勢でありますが、刑法犯認知件数は平成十四年をピークに減少を続け交通事故については昨年は件数、死者数、負傷者数とも前年を下回りました。本年に入っても、五月末現在ではありますが刑法犯認知件数、交通事故関係ともに前年同時期比で減少しているとのことであります。引き続き安心・安全な暮らしを願う県民のために県警察には御尽力をいただきたいと存じます。
 さて、世界的なスポーツイベントであるラグビーワールドカップの開催まで二年余り、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までは三年余りとなりました。本大会に向けて県内では親善試合、各種イベント、さらには事前合宿の開催も予定されているところであり、また本大会開催期間中には世界中から大変多くの方々が本県を訪れることになります。
 このような状況の中、海外では邦人がテロの犠牲となる事案が発生しております。アルカイダやISILは我が国や邦人をテロの標的とすると繰り返し明言しており、イギリスやロシア、フランスなどで相次いでテロが発生していることなどを踏まえますと、我が国に対するテロの脅威はまさに現実のものとなってきていると言えます。ラグビーワールドカップやオリンピック等の大規模な国際イベントは、このようなテロ行為を敢行する組織にとって存在感を示す極めて意味のある機会であるとされています。
 昨年に開催されました伊勢志摩サミットでは、警察を初めとする関係機関が連携して警備を完遂されましたが、オリンピックなどはサミットのような政治イベントとは異なるスポーツの祭典であり、よりソフトな警備が求められるのではないでしょうか。大会の成功の成否はまさしく治安次第であると言っても過言でありません。
 警備や交通規制の問題等多くの課題が山積していると推察いたしますが、オリンピック等の世界的なスポーツイベントの開催を見据え県警察ではどのように取り組みを進めていかれるのか警察本部長にお伺いいたします。以上、答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 渡瀬議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、今後の私流、いわゆる川勝流の政治手法についてであります。
 私は、知事就任以来主役はオール県民であるという視点に立ちまして、県民幸福度の最大化に向けまして関連の文献や書類を読むことはもちろんのことでございますが、何よりもみずから現場に赴き現場で学ぶフィールドワークをしっかりいたしまして、現場に即した政策を立てる現場主義に徹して県政運営に取り組んでまいったところでございます。
 このたびの選挙におきましては、この県民本位の姿勢や二期八年間の県政運営の成果を評価していただけたものと考えております。三期目におきましても現場主義、県民本位、公平無私、オープンそして前倒しというこれまでの政治手法を貫いてまいります。
 選挙期間中は、県内各地を広く訪れ多くの県民の皆様からさまざまな御意見をじかにお伺いし、お一人お一人の声を政策立案に生かしていくことの大切さを改めて認識いたしました。
 特に、三十五市町の首長さんのうち唯一、静岡市長との関係につきましては無用な誤解や混乱を招いているという心配の声が寄せられました。私はこうした御忠告を謙虚に受けとめることが重要であると考えております。宮沢賢治の詩にございますようにあらゆることを自分を勘定に入れずによく見聞きし、わかり、そして忘れず、決して怒らずという姿勢に徹するとの思いを固めまして仏の川勝になると申し上げたところでございます。
 静岡市とは、県民、市民の実利の向上の視点から調整を要する施策につきまして虚心坦懐に話し合い、県市の一層の連携を進めてまいることを約束いたします。また県民の負託を受けてともに二元代表制を担う県議会の皆様とはオールサイドの姿勢で、緊張関係を保ちつつもお互いの立場また意見の違いを尊重し意を通じ合う努力を重ねながら堂々と政策論を展開し、無用なあつれきを生むことのない建設的な関係を築いてまいりたいと念願しております。
 今後とも、常に和をもってとうとしとなす、いかにも和して同ぜずという精神でございます。県民本位、県民ファーストの県政運営に取り組んでまいりますので県議会の各位の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、県政ビジョンについてであります。
 私は、知事就任以来富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政運営の基本理念に掲げ、徳のある人が物心ともに豊かに幸せに暮らす地域を実現し、本県を美しい富士山の姿のように世界の人々から尊敬され仰ぎ見られる存在とするべく全力で取り組んでまいりました。これまで富士山の世界遺産登録を皮切りに一カ月に一件を超えるハイペースで世界クラスの資源、人材群が顕在化し、まさにふじのくにの立ち姿が世界のひのき舞台にあらわれつつあります。今こそ富国有徳のふじのくにを世界に向けて展開、発信するべく、本県の将来ビジョンを示す時を迎えているという認識を持っています。
 我が国日本は、人口減少の進行、超高齢社会の到来を初めやがて世界各国が直面する大きな課題を共通して抱えております。しかし一方、世界一の健康寿命を誇り高い技術力や人材が蓄積する我が国は、これらの課題を克服し明るい未来を切り開き誰もが夢を実現できる場所となると確信しております。日本に対する楽観でございます。そして日本の国土の象徴である富士山を擁し世界クラスの資源や人材群を誇る本県は、その先導役を担うに最もふさわしい地域であると確信しております。ふじのくにを誰もが希望を持ちみずからの夢を実現して幸せを実現できるドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点としてまいりたいと考えております。
 次期総合計画の策定に当たりましては、こうした富国有徳の理想郷、美しいふじのくにづくりに向けた本県の将来ビジョンをお示しし、県議会や総合計画審議会などを通じまして広く御意見を賜り議論を深めることにより県民の皆様としっかり中身を共有してまいりたいと存じます。あわせてこれまでの政策の総括評価を行い、県民の命を守り福祉を充実させ一人一人が物心ともに幸せを実感できるような政策を企画立案し、オール静岡で推進することによりビジョンを実現してまいる覚悟であります。
 静岡県のさらなる発展のため、オールサイドの立場で全身全霊を尽くして県政運営に取り組んでまいりますので、県議会各位の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、中小企業を中心とした経済対策についてのうち、今後の経済施策についてでございます。
 県民の豊かな暮らしを実現していくためには富をしっかりつくっていくことが不可欠であります。本県企業が活発な活動を続け、経済が持続的に発展をしていくようにすることが極めて重要です。そのため県では本県経済の成長を力強く牽引する次世代産業の創出と豊かさを支える地域産業の振興を図ってきたところであります。
 特に、県内企業の九九・八%を占め地域の産業や雇用を支えている中小企業、小規模企業に対しましては、これまでも経営革新計画の策定、販路開拓、県の制度融資、人材の確保・育成などさまざまな支援に取り組んでまいりました。さらに本県経済の屋台骨であると言うべき中小企業、小規模企業のさらなる発展を図るため、昨年十二月に中小企業・小規模企業振興基本条例を皆様の御理解のもとに制定いたし、特に経営資源が不足する小規模企業に対し必要な施策を講じることといたしました。
 具体的には、小規模企業が経営力向上のために取り組む新商品の開発、販路開拓等々の事業に助成をいたしますとともに、小規模企業が直面する経営課題に対しましてよりきめ細かなアドバイスを行う指導員を新たに県内三カ所の商工会に配置し支援体制の強化を図ってまいります。
 県といたしましては、本県経済の持続的発展を図るためにしかるべき経済対策を講じてまいりますが、私はそれにはしっかりとした経済理論を持つことが大事であると考えております。これまでの日本の経済政策の背景になる経済理論は、大きく分けて四つぐらいしかなかったと存じます。日本が資本主義経済の中に入りまして、一番最初はいわゆるアダム・スミスのレッセフェール、自由主義、古典派経済学というものが中心でありました。しかしながらそれが弱肉強食の競争を生みまして格差をつくり上げるということから、明治時代の末ぐらいからマルクス経済学が台頭してまいりました。これは分配を中心にする経済学であります。決して日本の中心になったことはありませんけれども、しかしながら弱きものを助けるための社会福祉政策にはこれが資してきたというふうに考えております。
 戦後は、日本は自由主義経済とはいえ公共工事が大切であるという観点でケインズの理論を採用したと存じます。これは国民の所得というのは二つから成ります。消費と貯蓄です。その貯蓄分を政府が公共投資をすることによって経済を活性化させるという考え方であります。
 一方、このような考え方とともにやはり民間の経済活力を活性化することが大事だということで古典派の経済学もあわせて採用すると。これは合わせまして新古典派総合と言いますけれども、ケインズ政策といわゆるアダム・スミス以来の古典派経済学を一緒にしたサミュエルソンの経済学でこれまでやってきたと存じます。
 そして今、投資が十分に行われないのでケインズ政策のやり過ぎとも言うべきアベノミクスに象徴せられます財政の飛躍的なこの活用というのがありますが、決して投資がうまくいかないという中で経済格差が深まっております。いわゆるジニ係数というのがありますが、これは国民の所得格差を示す指標でありますが、日本はついに平成期に入りましてこれが〇・五を上回りました。今〇・六近くになっております。日本には貧しい人と豊かな人との二極分解が起こっているわけであります。
 こうした中で今、日本の国内でまた静岡県下もそうですけれども、革新、イノベーション、新機軸、創造的破壊、企業家などという言葉が使われるようになりました。これらの言葉は全て一人の経済学者の経済学体系からとられています。それがジョゼフ・アロイス・シュンペーターという方でございます。私はこのシュンペーターの経済発展の理論に即した形で経済対策をとるということが唯一これからの日本にまた静岡県に課せられた課題であると、こういう考えを持っておりまして、こうしたしっかりとした理論的背景を踏まえた上で次世代産業の創出等により産業構造の転換を推進するとともに、地域経済を支える中小企業、小規模企業の活力向上を支援し地域経済の成長による富の創出につなげ、県民の皆様が物心ともに豊かさを実感できる、世界に誇れる美しいふじのくにの実現を目指してまいります。
 次に、県内産業の成長を担う人材確保についてであります。
 議員御指摘のとおり、現在完全失業率や有効求人倍率など雇用情勢が改善する一方、多くの県内企業が深刻な人手不足に陥っております。中でも保安、建設、福祉などの特定分野において顕著です。このような人手不足の状況は今後も続くと残念ながら見込まれますことから中長期的な視点に立った社会総がかり、県民ぐるみの取り組みが必要ではありますが、まずは直面する人手不足を乗り越えることが肝要です。このため特に人手不足が深刻な建設、運輸、警備、福祉の四分野を対象とした人材確保に取り組んでいるハローワークと県のしずおかジョブステーションが連携いたしまして求職者へのきめ細かな情報提供を行い、求人・求職のマッチング支援を強化しているところであります。
 また、大学新卒者の確保につきましては、東京都内の静岡U・Iターン就職サポートセンターにおける県内企業の紹介をさらに進めてまいります。加えまして本県の出身者の多い十六の大学と締結をしております就職支援協定に基づき、学内企業説明会の開催や保護者の方々への情報提供を拡充してまいります。さらに既に社会人となっている人材の確保につきましては、東京の静岡県移住相談センターでワンストップによる移住・就職相談を行い県内企業への就職に結びつけております。また全国トップクラスの実績を上げているプロフェッショナル人材戦略拠点を活用し、首都圏等に居住する経験豊かで即戦力となるような高度人材と県内中小企業をつなぐ取り組みを進めてまいります。
 こうした取り組みに加え、深刻な人手不足にある現状に鑑み今月中に産業界、労働界、教育界など官民を挙げた産業人材確保・育成対策県民会議を設置いたします。この会議で商工業、建設業、福祉、観光などさまざまな産業の現場の実情と緊急に取り組むべき方策について御意見を伺ってまいります。それを踏まえまして実施できる施策につきましては直ちに着手するとともに、予算が必要な施策は九月の県議会への提案に向けて早急に検討を進めるなどして速やかに実施を図ってまいります。
 県としましては、深刻化する人手不足に的確に対応するため県内産業の成長を担う人材の確保と育成に働くことに関係する全ての人とともに総がかりで取り組み、本県経済の持続的な発展を図ってまいります。
 次に、観光振興についてのうち、持続可能な魅力のある観光地域の形成についてであります。
 かつては、主に観光事業者が観光施設、名所旧跡、宿泊施設などを中心に誘客を図る観光地づくりが進められてきました。これからは住民の皆様方との交流や地域のさまざまな魅力の体験を望む旅行者のニーズの変化に対応しなければなりません。地域ぐるみで地域全体の魅力を高めていく観光地域づくりへの転換を図る必要があると考えております。観光地づくりから観光地域づくり、いわば点から面への転換、観光政策の転換であります。そのためには県の強みでございます変化に富んだ県の自然環境、豊かな食文化、多彩な生活文化など世界に誇れるさまざまな地域資源を活用し地域の魅力を高め、またその魅力を楽しんでいただける受け入れ環境を整え、その情報を旅行者に効果的に発信していくことが重要です。
 こうしたことから、本年一月に静岡ツーリズムビューローを設置いたしました。これは通称TSJと言っております。外国名はツーリズム・シズオカ・ジャパンとしておりますので、その頭文字をとってTSJというふうにしているわけですが、このTSJが本県のインバウンド施策の司令塔でございます。これを司令塔といたしまして海外市場の分析により把握した旅行者ニーズに基づき地域の関係者と連携しながら地域資源を磨き上げ、ターゲットに向けた的確な情報発信を行うなど戦略的な観光政策を進めます。
 さらに県は、県内各地で設立予定の地域の稼ぐ力を高めるDMO――デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションの設立を支援するとともに、県内各地のDMOの連携強化を図ることで観光業のみならず農林水産業、商工業、地域住民などの多様な関係者が連携した地域ぐるみ、社会総がかりの観光地域の形成を進めてまいります。
 また、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京オリンピック・パラリンピックを絶好の機会として活用し静岡のブランド力を高めるとともに、サイクリストの聖地づくりなど地域のレガシーとなる取り組みを進めます。
 このような観光地域づくりを継続的に行うためには人材が鍵です。このため観光地域づくりの中核を担う専門人材を県立大学やTSJと連携を図りながら育成してまいります。県としましてはこうした取り組みを通じまして住民みずからが地域への誇りと愛着を抱き地域についてよく知るということ、いわばふるさと学、地域学というようなものにまで発展させることが重要であると存じます。イスラム圏の人がお越しになった、その観光客に対して金華豚であるとか日本酒の蔵元などというところに御案内してもこれは彼らは決して喜びません。ですから相手に即した形での地域の特性を発揮していくためには相手のことを知らねばならないと。いわばグローバルに考えながらローカルに行動する、そういう地域づくりをすることを通しまして地域の魅力を高めつつ、その魅力の体験に訪れる内外の旅行者の増大を図り、住んでよしの実感ができる魅力ある地域づくり、また訪れてよしの実感ができる魅力ある地域づくりと観光による経済の活性化を両立させる持続可能な観光地域づくり静岡県を進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長等から御答弁を申し上げます。
○議長(杉山盛雄君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 競争力のある農業の展開についてお答えをいたします。
 本県には、食材の宝庫とも言うべき三百三十九に及ぶ多品目、そして高品質な農芸品を生み出す農業生産力とともに全国有数のものづくり県を支える企業の高い技術開発力があります。県はこうした場の力を活用し本県農業に最先端の科学技術を取り入れるとともに、研究成果をビジネスにつなげることが重要です。そしてそのために産学官金、そして農業、食品、健康、この連携によりましてイノベーションを起こすアグリ・オープン・イノベーションプロジェクト――AOIプロジェクトを推進をしております。
 このプロジェクトの拠点となるAOI―PARCでは、県農林技術研究所を初め世界水準の知見を有する慶應義塾大学や理化学研究所等の研究機関相互の組織と組織の連携によりまして、機能性の高い品種開発や最適な栽培条件の探索など農業の生産性革新につながる研究開発に取り組んでまいります。
 さらに、新たに産学官金の協力を得て設立をした一般財団法人アグリオープンイノベーション機構は、法人名のとおりオープンイノベーションを推進するため県内外の多彩な企業や研究機関が参画するプラットホームAOIフォーラムを立ち上げ、研究開発成果の実用化、事業化につなげるビジネスマッチングを進め農業を基軸とした関連産業ビジネスの展開を支援をしてまいります。
 こうした取り組みによりまして、農業の生産性向上等はもとより農・食・健連携型の新たなアグリ関連ビジネス商品を創出し、本県農芸品のブランド力と付加価値をこれまで以上に高めてまいりたいと考えております。
 また、AOIプロジェクトの成果があらわれる期間についてですが、既に取り組んでおります農業情報科学を用いた篤農家の持つ熟練した栽培技術の学習システムや光計測技術を活用した病気苗の早期発見システムについては既に研究成果があらわれ始めております。数年のうちの実用化が可能と考えております。
 県といたしましては、農の現場と産学官金の幅広い連携のもと本プロジェクトを推進することによって農業の生産性の革新と競争力を強化するとともに、農業の従事者が農業をやってよかったと実感できるような農業の姿の実現に貢献をしてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 命を守る安全・安心な地域づくりについてのうち、津波から命を守る防潮堤整備についてお答えいたします。
 レベルワン津波を防ぐ防潮堤整備につきましては、防護すべき海岸延長約二百九十一キロメートルのうちこれまでの整備により既に約六〇%に当たる百六十九キロメートルで必要な高さが確保されているところであります。アクションプログラムは残り百二十二キロメートルに対する平成三十四年度末の整備率を指標としており、昨年度末時点の整備率は目標の六五%に対して約一%となっております。
 このことは、国の最新の知見に基づくレベルワン津波高の見直しが平成二十七年六月に行われ、この公表結果を踏まえて各地域での合意形成に着手したことが主な要因でありますが、これまでに対策が必要な河川や海岸百十二カ所のうち合意形成が図られた五十四カ所において調査設計や工事を進め九カ所で整備を完了したところであります。
 整備が必要な海岸延長の約半分を占める伊豆半島沿岸では、五十の地区で地区協議会を開催し、津波防災と景観、観光、漁業等との調和を図るためハードとソフトの両面から地区の実情に応じた対策のあり方について合意形成に向けた議論を重ねているところであります。現在全体の約四割に相当する二十一地区において避難場所や避難路の整備など避難を主体とした対策とする方向で検討が進んでおり、そのほかの地区を含め合意形成を加速してまいります。
 県といたしましては、引き続き国に対して予算枠の拡大を働きかけ減災効果の大きい箇所から防潮堤の整備を着実に推進するとともに、ソフト対策との最適な組み合わせにより効果の最大化を図り、減災目標の達成に向けてスピード感を持って県民の皆様が安全・安心して暮らせる地震・津波に強い県土づくりに取り組んでまいります。
 次に、観光振興についてのうち、海のネットワークの充実についてであります。
 世界的なクルーズ需要の高まりや、清水港客船誘致委員会の長年にわたる誘致活動等により清水港を中心にクルーズ船の寄港数が大幅に増加しており、本県全体では昨年二十三回の寄港数がことしは熱海港、伊東港、御前崎港を含め現時点で四十五回を予定しております。ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック等の大規模イベントではクルーズ船を活用した訪日客の増大が見込まれ、こうしたイベントを通じ訪れた方々が本県の魅力を知り、リピーターとなって今後の寄港数拡大につながる好機になるものと考えております。
 このため、本県ではこの七月十日に客船誘致委員会が組織されている県内の五港を中心としたふじのくにクルーズ船誘致連絡協議会を設立し、各組織の連携強化や誘致手法の研究、船社等への共同誘致などの活動に取り組むことといたしました。
 県といたしましては、この協議会の活動を通じ本県で開催される世界クラスのイベントとファムトリップや寄港地観光コースの提案等とを一体的に情報発信し、船社等に働きかけポートマーケティングに取り組むなど海の玄関口である県内港湾に数多くのお客様をお迎えできるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 命を守る安全・安心な地域づくりについてのうち、熊本地震の教訓についてお答えいたします。
 熊本地震においては、本県が実施した熊本県嘉島町への支援や国のワーキンググループによる分析等を通じて市町村の防災体制強化、物資輸送の円滑化、避難所運営力の向上などの課題が明らかとなりました。これまで県ではこうした課題に対応するため、市町の防災体制強化として業務継続計画、いわゆるBCPの策定を支援しており、今年度中に全ての市町で策定が完了する見込みとなっております。また災害時において支援物資を受け入れ仕分けを行う県の広域物資輸送拠点を賀茂地域にも追加して県内八カ所とするとともに、新たに代替拠点を九カ所選定し支援物資受け入れ態勢の円滑化を図ったところであります。
 さらに、昨年度行った熊本地震における現地調査を踏まえ有識者や自主防災組織の関係者などで構成する避難所のあり方検討会を設置し、今年度末を目途に車中泊、在宅避難者への対応など避難所の運営力の向上や生活環境の改善を図るため避難所運営マニュアルの見直しを実施してまいります。また本年度から危機管理部に設置した市町支援チームが各市町の防災対策の実情を把握し、災害対策本部運営訓練の支援など防災機能強化に向けた必要な取り組みを行うとともに、国の災害時受援体制に関するガイドラインに基づき被災自治体以外から応援職員を受け入れる態勢の整備に取り組んでまいります。
 県といたしましては、引き続き熊本地震の教訓を生かすとともに、市町と緊密に連携し確実な初動態勢の確保を初めとした防災対策の充実強化を図り安全・安心な地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) ラグビーワールドカップ二〇一九の成功に向けた取り組みについてお答えいたします。
 六月十七日の日本代表対アイルランド代表戦の観客数は、主催者発表によりますと二万七千三百八十一人でありました。目標の四万人には届きませんでしたが、バックスタンドを中心に数多くの人で埋まり日本代表のテストマッチとしては過去三番目に多い観客数となりました。
 テストマッチに当たりましては、より多くの県民の皆様にラグビーの魅力を知っていただくため、小中高校生等を対象とした観戦機会の提供や企業・団体向けの観戦勧奨に取り組みました。当日は一体感のある応援による大きな盛り上がりを感じましたが、地元エコパ開催に関する情報発信やラグビーの魅力を多くの世代に伝える取り組みの強化がまだまだ必要だと実感いたしました。
 今後は、この秋に予定している大会二年前イベントの開催や地元トップリーグチームのヤマハ発動機ジュビロの試合への観戦勧奨、小学生世代へのタグラグビーの普及等による機運醸成などについて各関係者と一体となって積極的に取り組んでまいります。
 また、今回の大会運営においては、議員御指摘のとおり外国人観戦客への適切な案内表示の設置や混雑を招いた掛川駅からのバス輸送の円滑化、JR愛野駅からスタジアムまでのにぎわいづくりに関する一層の工夫などの改善点がありました。二〇一九年のワールドカップ本番では国内外からより多くの方が本県に訪れますので、サインの多言語化や専門ボランティアの配置などの対応、交通事業者等と連携した円滑な輸送体制の見直し、スタジアムにとどまらない幅広いエリアでのおもてなしなど今回の課題を踏まえた実践的な計画を策定してまいります。
 県といたしましては、今回のテストマッチの結果を踏まえ二年後の本大会の成功に向け大会組織委員会と連携して大会の準備、運営に万全を期すとともに、県開催推進委員会を中心により一層の機運醸成や国内外からの観戦客のおもてなしに全県を挙げた体制で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 林静岡県理事。
       (静岡県理事 林 正尚君登壇)
○静岡県理事(林 正尚君) 観光振興についてのうち、空のネットワークの充実についてお答えいたします。
 富士山静岡空港の利用者数は、国内線が引き続き好調であることに加え今月五日にソウル線が週六往復に増便となるなど国際線も回復傾向にあります。航空ネットワークのさらなる拡充のためには新規路線の開拓と既存路線の利用拡大が重要であります。
 このため、今月四日に富士山静岡空港が国の新たな制度である訪日誘客支援空港に認定されたことを追い風として、東アジアや東南アジアとの新規路線の実現に向け訪日需要が高く就航先として有望な香港などの航空会社への路線誘致活動に積極的に取り組んでまいります。また経済団体や県内教育関係者等と連携し、ビジネスや教育旅行などの利用拡大を初め中部横断自動車道の開通を見据えた山梨県での需要開拓などアウトバウンドを強化するとともに、静岡ツーリズムビューローなどと連携した旅行商品の造成支援や訪日需要の喚起にも取り組んでまいります。
 県といたしましては、今後のラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの開催またさらにその先を見据え、富士山静岡空港が首都圏空港の一翼を担う日本の玄関口として県民の皆様はもとより海外の皆様にも選ばれる魅力ある空港となるよう引き続き全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 少子化対策についてお答えいたします。
 県では、少子化の流れに歯どめをかけ合計特殊出生率を着実に上げていくためには、地域の状況や特性を十分に踏まえ市町と連携した実効性のある少子化対策を進めることが大変効果的であります。このため今年度からふじのくに少子化突破戦略の羅針盤を参考にして市町がそれぞれの特徴を生かして取り組む事業を支援し、県、市町の連携により地域の出生率の向上に取り組むこととしております。
 現在、県に対して二十二の市町から、若者を県外から呼び込み家庭を持ち定着する取り組みや地域の人材を活用して子育て家庭を支援する取り組みなど効果的な事業が提出されております。有識者の審査を経て採択された事業は三年間にわたり県も効果を検証し、期待した成果が出るよう市町を支援していきます。また効果があり普遍性のある事業につきましては、他の市町でも取り組んでいただけますよう情報提供することとしております。
 次に、今後の少子化対策への県の取り組みについてであります。
 保育所や認定こども園の定員の増員などによる待機児童ゼロに向けた対策や、こども医療費助成制度を見直し高校生まで対象を拡大する市町への支援についても検討を進めるなど県民が子育てしやすいと実感のできる環境づくりを進めてまいります。またひとり親家庭の自立促進を図るための就業相談支援や子供への学習支援など貧困の連鎖防止にも取り組み、生まれ育った環境などにより子供たちの将来が左右されることのない社会づくりにも取り組んでまいります。
 新たな総合計画におきましても、今まで以上に社会全体で結婚から妊娠、出産、子育てと切れ目なくきめ細かな支援に取り組み全ての子供を大切にする社会づくりを進め、二人から三人の子供を持ちたいという県民の希望がかなえられるふじのくにとなるように目指してまいります。
 次に、障害者差別の解消に向けた取り組みについてであります。
 県では、静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例を本年四月に施行し障害者差別解消法の具体化と周知の徹底を図り、県民の皆様とともに障害を理由とする差別の解消を推進することとしております。
 この条例に基づき障害に対する理解を高めるため開催した県民会議には、福祉団体や企業など二百以上の方々に参画していただくなど差別解消に向けた取り組みについての関心の高さを実感いたしました。会議では障害のある方に対する不当な差別的取り扱いの禁止や周囲の方々がみずから進んで援助や気配りを行い障害のある方の不便さを取り除く合理的な配慮の提供の実践の重要性を確認し、全ての県民が一体となって障害者の差別解消に取り組むことを参加者に呼びかけました。
 先月開設いたしました専門相談窓口には既に二十件程の相談が寄せられております。相談窓口では、日々の生活を営んでいく上での障害のある方や御家族の不安や心配に関しての相談に専門家によるきめ細かな対応を行っております。また障害のある方や専門家などから成る相談事例や解決事例についての検討会を開催いたしまして、障害の特性に応じた具体的な対応方法をまとめてまいります。検討結果につきましては、ホームページでの公表や県民会議の参画団体への情報提供を行うなど県民の皆様に広く周知するだけではなく、障害への一層の理解にも役立てることとしております。
 今後も、障害のある方々からの差別解消に向けての相談や御意見をしっかり受けとめていくとともに、県民会議の拡充や関係者との意見交換会なども充実させ、障害のある方に対する誤解や偏見を払拭し差別のない静岡県の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 有徳の人づくりについてお答えいたします。
 国づくり、地域づくりの基礎は人材であり、人材を育成するための柱は言うまでもなく教育であります。それゆえ私ども県教育委員会が果たす役割、責任は大変大きいと認識しており、将来の静岡県を担う有徳の人の育成のためさまざまな施策に取り組んできております。
 特に、知事と教育委員会が直接協議する総合教育会議が制度化されて以降スピード感を持って施策の事業化が図られております。具体的にはふじのくにグローバル人材育成基金を創設し高校生や教職員の海外留学、インターンシップなどに取り組んでいるほか、しずおかスポーツ人材バンクを設立し部活動等を支援しております。また小中学校においては、きめ細かな指導を実現するため静岡式三十五人学級の段階的な下限撤廃の取り組みを進めております。
 さらに、モデル的な取り組みとして磐田市において地域スポーツクラブを実施しているほか、県内三市において学習がおくれがちな子供たちを対象に大学生や地域人材を活用し学習支援を行う「しずおか寺子屋」創出事業を実施しており、今後はこれらの取り組みの成果を全県に普及してまいります。
 一方で、さまざまな事情を持つ子供たちへのきめ細かな支援や幼児教育の推進、教職員の多忙化対策など教育内容の充実に加え、県立学校の施設の老朽化や狭隘化の改善、技芸を磨く実学に取り組む教育環境のさらなる整備などが課題となっていることから、学校だけでなく家庭や地域、企業等の理解、御協力を得て施策を推進していく必要があると考えております。
 今後も、知事や市町教育委員会、学校関係者、地域の皆様とさらなる意思の疎通を図り、これらの課題解決に向けた施策を着実に実施していくことにより静岡県の未来を担う有徳の人づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 世界的なスポーツイベント開催を見据えた県警察の取り組みについてお答えいたします。
 ラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会はいずれも国際的に最高度の注目を集めるイベントであり、現在各大会組織委員会を中心に具体的な運営方針等を検討中であると承知しております。
 県内に競技開催地を有する県警察としましては、良好な治安の確保と大会の安全かつ円滑な進行の確保、テロ等違法行為の未然防止と万一の場合の的確な対処、観客と大会関係者の安全かつ円滑な輸送の確保等に万全を期し治安責任を果たさなければならないと認識しております。
 そこで県警察としましては、昨年十二月に両イベントの安全で円滑な進行に資する諸対策に万全を期すため私を長とする警備対策委員会を設置しました。具体的対策としてテロ関連情報の収集、分析、入国管理局等関係機関と連携した水際対策、実戦を想定した訓練による事態対処能力の向上、官民連携の強化等を一層推進してまいります。とりわけ競技会場等のいわゆるソフトターゲット対策についてはその万全を期してまいります。
 また、大会関係者等の輸送を安全かつ円滑に行い、かつ一般交通と市民生活に与える影響を抑えるよう交通対策の準備に取り組んでまいります。
 県警察では、今後も引き続き組織委員会等の関係機関と緊密に連携を図りつつ県警察としての責務を果たす所存であります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 渡瀬典幸君。
       (四十六番 渡瀬典幸君登壇)
○四十六番(渡瀬典幸君) 御答弁、それぞれにありがとうございました。
 三点ほど要望をさせていただきます。
 まず最初に、観光振興についてでございますが、その中の空のネットワークまた海のネットワークでございますけれども、それぞれに御答弁ありがとうございました。
 空のネットワークが新たに香港も視野に入れているということでございます。本当に一日も早い就航ができるようにぜひともお願いしたいと思います。また海のネットワーク、クルーズ船でございますけれども、こちらも誘致連絡協議会ですか、こちらを設置して力を入れていくということでございますので、こちらもぜひとも期待をしておりますのでよろしくお願いしたいと思います。
 そういった上で、先ほど来ラグビーワールドカップ、またオリンピックがこの静岡県は控えているわけでございます。そのときの絶好のチャンスを逃さないためにも、やはり今現在、空、空港はやはり文化・観光部、海、港は交通基盤部ということでそれぞれ部局が異なっております。やはりこれはしっかりと連携を組んでいただいて、決して各部局のセクショナリズムに陥ることのないように、しっかりとリンクをした中で陸・海・空それぞれのこのネットワークを使った、この静岡県すばらしいところでございますものですから、しっかりとネットワークをつくっていただいて一体化に捉えていただいて、県外また海外からのお客様を迎えられるような体制をしっかりとつくっていただければなと思います。要望しておきます。
 次に、少子化対策でございますけれども、部長の答弁の中に高校生までの医療費助成のことを検討してまいるということでございましたけれども、川勝知事が記者会見の中で高校生まで拡充した場合影響額が約三・五億円ぐらいということを述べられておりますと思いますけれども、そうなりますと県内の各市町の政令市を含む市町も相当の財政負担が出るのではないのかなと思います。この医療費助成というのはそもそも県民が等しくサービスを受けれるべきじゃないのかなって思っております。現在もう既に市町の中ではもう差がついているところがございます。ぜひとも検討の中では県内一律の制度であってほしいなと思いますので、これから各市財政負担にも十分に配慮をしながら検討を進めていっていただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
 最後ですけれども、県政ビジョンについてでございますが、知事がもう日本の先導役となっていくということでそれはもう本当にすごいことだなと頑張っていただきたいなと思うわけでございますけれども、御答弁の中にもありました総括をしていくということでございますが、まず現計画において、この次期総合計画の策定に当たってはまず現計画の中でできたものできなかったもの、その総括をまずすべきではないのかなと私は思います。そういった中で実現の可能性のないものといいますか、本当にないもの、またあるいは乏しい目標設定でいかざるを得ないようなもの、またそういったものはぜひとも次の計画ではないようにしていただければなと思います。
 要は、目標と政策の整合性といいますか、図られるようにぜひともしていっていただきたいと思います。新しい計画の中でその政策あるいは事業を実行していけばおのずとその目標が達成できるような、そういったような計画をぜひともつくっていただければなと思う次第でございます。
 五年後、十年後の静岡県の将来像、我々議会とぜひともこのイメージ、また県民ともイメージを共有していただきながらすばらしい総合計画をつくっていただくことをお願いしまして、要望とさせていただきまして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(杉山盛雄君) これで渡瀬典幸君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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