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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

宮沢 正美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 新型コロナウイルス感染症の警戒レベルの全国統一基準に
 ついて
2 新たなニーズに呼応した地方創生の推進について
3 高齢者施設の災害対策について
4 観光団体との連携による観光振興について
5 ウイズコロナの中での文化活動について
6 静岡がんセンターにおける看護師の質の向上に向けた取組
 について


○副議長(良知淳行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、五十番 宮沢正美君。
       (五十番 宮沢正美君登壇 拍手)
○五十番(宮沢正美君) お疲れのことと思いますが、いましばらくお付き合いを頂きたいと思います。
 私は、自民改革会議の所属議員として当面する県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長及びがんセンター局長に分割質問方式にてお伺いをいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症の警戒レベルの全国統一基準について伺います。
 本県では、緊急事態宣言が解除された五月から全国に先駆け六段階の警戒レベルとレベルごとの行動制限いわゆるふじのくにシステムを導入いたしました。このふじのくにシステムは県内外の感染状況や医療提供体制の状況に関する指標を用いて警戒レベルを判断するものであります。具体的には、人口十万人当たりの直近一週間の陽性者数、感染経路不明の感染者率、病床利用率、PCR検査等の陽性率などの指標を参考にして感染症専門家から成る県感染症対策専門家会議の意見を伺って県が感染流行期を判断し警戒レベルを決定していると伺っております。
 一方、全国を見ますと東京都の東京アラートや大阪府の大阪モデルなど各自治体によって警戒レベルの呼称や仕組みは統一をされておらずばらばらな状況であります。そうした中、去る八月七日政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が全都道府県で活用可能な基準を発表いたしました。本県がこれまで活用しておりました感染状況の指標に加え直近一週間とその前の週の新規感染者数の増減や人口十万人当たりの療養者数などを加えた六つの指標から成り緊急事態宣言が必要となるステージフォー、休業要請や移動の自粛など要請を行うステージスリーの目安となる数値などを示しました。
 分科会の尾身会長は指標は目安でありステージごとに各都道府県が取るべき対策も例示をしてある、現場を知る知事さんが主体的にやってほしいとの発言をされましたが、国として一定の統一基準を示したことは意義のあるものであると考えております。
 このように指標の運用や対策の内容については都道府県に委ねられたわけでありますが、新たに国としての統一基準が示されたことを踏まえ本県ではこの国の統一基準をどのように活用しているのか、また県民への分かりやすい警戒レベルなど新型ウイルス感染症に関する情報発信にどう取り組んでいくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、新たなニーズに呼応した地方創生の推進について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、生命や健康はもとより経済、医療・福祉、教育など生活のあらゆる面において我々を脅かすだけでなく、防疫体制に関する脆弱性やデジタル対応への遅れさらには生産、消費における中国への一極依存など我が国の社会システムにおける様々な課題を一挙に顕在化させました。その中でも東京をはじめとする大都市圏への過度の人口集中、過密によるリスクは最大の課題の一つであると認識をしております。
 県では、これまで移住・定住やU・Iターンの促進、産業の振興と雇用の創出、子育て支援策の充実など人口減少社会の克服に向けて様々な地方創生の取組を推進してきました。また本年三月には第二期計画となる美しい“ふじのくに!”まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し取組の強化を図っているものと承知をしております。
 しかしながら、総務省が本年八月に公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によれば、国内の日本人は前年から五十万五千四十六人の減と過去最大の減少数となり十一年連続でマイナスとなる一方、人口の約三割が集中する東京圏では六万七千三百一人の増加となるなど人口の偏在はいまだに歯止めがかからずむしろ加速をしているのが現状であります。
 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により過度の人口集中、過密によるリスクが改めて国民に認識された今こそこれまでの東京一極集中の流れを打破すべく、地方回帰の取組を強力に押し進めていく契機としなければならないと思います。
 一方、新型コロナウイルス感染症は我々の生活にも大きな変革をもたらしています。都市部を中心に、いわゆる三密のリスクを回避をする観点からテレワークの導入が急速に進み中には社員のやる気や生産性の向上につなげるため家庭での光熱費や通信費に手当を支給したりテレワークを標準的な制度として恒久的にする企業もあると聞いています。またこうした時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の広がりは通勤時間の削減による余暇時間の増加やワーク・ライフ・バランスの向上など生活様式や価値観にも影響を与えております。
 私は、地方創生の取組をさらに進め地方に人の流れを呼び込むためにはこうした社会の変化をしっかりと受け止め新しい働き方や暮らし方に関するニーズに的確に対応していくことが重要と考えますが、この点について今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、高齢者施設の災害対策について伺います。
 令和二年七月の豪雨では福岡、熊本両県を中心に特別養護老人ホームやグループホームなど高齢者向けの九十九施設が被災し、とりわけ熊本県球磨村の特別養護老人ホーム千寿園において河川の氾濫により入所者十四人が亡くなられましたことは非常に痛ましく心から御冥福をお祈り申し上げます。
 本県におきましては、この豪雨災害による大きな被害はありませんでしたが昨年の台風十九号では県内各地に甚大な被害をもたらし特に小山町の特別養護老人ホームでは施設内に大量の土砂が流入するという被害が生じました。このような被害にもかかわらず入所者全員が無事であったのは施設職員の皆さんが日頃から真摯に取り組んでいる避難訓練の成果だと推察をされます。
 急速な高齢化の進行に呼応して県内各地に高齢者施設が整備されたことに伴い、水害による被害が懸念をされている川沿いや土砂災害の危険性がある山間部、津波のおそれのある地域など災害による危険性が高いところに立地する施設も少なくありません。その上施設には自力歩行が困難な方や認知症の方も多数居住しています。介護業務に従事する職員の方々は入所者の安全・安心を確保するため災害が発生したときの対応を常に念頭に置きながら業務に当たっていますが、災害の規模や時間帯によっては入所者を迅速に避難をさせることが難しい状況も考えられます。
 近年、全国各地で水害が頻発、激甚化する中で平成二十九年には水防法及び土砂災害防止法が改正され、浸水想定区域内や土砂災害警戒区域内に位置し市町村防災計画に定められた要配慮者利用施設は避難確保計画の策定及び避難訓練の実施が義務づけられました。こうしたことから一律的な避難対応だけではなく施設の立地や周囲の環境に応じた個々の災害対策が求められると考えますが、県内の高齢者施設について災害危険度の実態をどのように把握をしているのか、また県として避難確保計画の策定や避難訓練の徹底にどのように取り組んでいるのか伺います。
 あわせて、今後施設整備を行う際災害の危険を避けるため県としてどのように指導をしていくのか、県の所見をお伺いいたします。以上について答弁を求めます。
○副議長(良知淳行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 宮沢議員にお答え申し上げます。
 新たなニーズに呼応した地方創生の推進についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により日本人の価値観が劇的に今変わりつつあるというのを実感しているところであります。明治以来、日本は東京をモデルにして国づくりをしてまいりました。そうした中で、今東京の人口は一千万人を超えるようになりさらに平成期に入りまして東京への一極集中はやまないというところでございましたが、この今年に入りましてコロナウイルスが蔓延していくその感染者数が毎日、新聞で報道されております。そして多いときには全感染者数の二分の一が東京都でした。今は三分の一弱で推移しておりますけれども、東京都が最も多い感染者数また死亡者数であるということから東京都にお住まいの方々が東京から脱出したいというそういう潮流が見え隠れしております。
 そしてまた、東京へ流入していこうと東京に行こうというそうしたものが大きくそがれつつあるというふうに思っております。それは言い換えますと、地方への回帰の動きが強まっているということでございまして人々の価値観が劇的に変わっているこの機会は絶好のチャンスだというふうに捉えまして、帰りなんいざ田園へという帰去来の辞がございますけれどもこれは田園すなわちふるさとということでございまして、帰りなんいざふるさとふじのくにへというのをキャッチコピーに首都圏からの近接性や美しい景観、多彩な食などの本県の強みを生かしまして、ふじのくにライフスタイルを創出し広く発信していくことで首都圏等からの人の流れを呼び込んでいきたいと考えております。
 そうした中、議員の御地元の三島は新幹線が止まりますから東部並びに伊豆の国への玄関口として、そしてまた首都圏の人たちは関東平野、日本で最大の平野であります。そこでランドマークは何でしょうか。そうです。富士山です。ですからこの富士山のあるところに行きたいと、まさにふじのくにというのは言わば二十一世紀の新しい日本の国のまほろばになり得るというふうに私はしてまいりたいというふうに思っているところであります。
 そうしたことでございますが、今年六月に内閣府が公表した調査によりますと家族と過ごす時間が増加傾向にあるということでございます。また仕事よりも生活を重視したいという意識も高まっていると報告されております。そしてテレワーク経験者はワーク・ライフ・バランスや地方移住への関心が一層高まっているという結果も出ております。
 議員御指摘なさいましたように、人々は過密状態にある大都市のリスクを改めて認識されておりテレワークが今急速に普及しております。地方創生の推進に向けましては、この人々の意識の変化を捉えましてふじのくにならではの新しい働き方また暮らし方を提供していくことが大切であります。
 我々は内陸のフロンティアを拓く取組におきまして、内陸のフロンティアを拓く、そしてまた沿岸都市部のリノベーションをする、そして連携軸をつくる、そして新しいライフスタイルを提供するということで平成二十五年以来この運動を進めて内閣府からも高い評価を得ておりますけれどもまさに本番が来たなという感じであります。
 こうした新しい働き方あるいは新しい暮らし方への対応といたしましては、まずはテレワークスペースを確保するための住宅改修を支援いたします。そのほか首都圏企業等のサテライトオフィスの誘致を強化いたします。
 新しい暮らし方への対応といたしましては、旅行者の価値観の変化や新しい生活様式を踏まえまして、ウイズコロナ時代における新しい観光地づくりまた仕事と休暇を組み合わせるワーケーションの県内での定着を進めてまいります。
 さらに、増加する余暇時間を楽しむために新しい生活様式、ニューノーマルに即した文化芸術鑑賞機会の提供、またスポーツの提供、地域づくりや社会貢献の活動に参加したいというニーズを踏まえた関係人口の拡大を推進してまいろうと考えております。以上でございます。
○副議長(良知淳行君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 新型コロナウイルス感染症の警戒レベルの全国統一基準についてお答えいたします。
 ふじのくにシステムは、大都市近郊に近接する本県の特性を踏まえ今後の感染拡大防止を図るため、県内の感染状況や医療提供体制の状況はもとより各都道府県の感染状況について客観的な基準に基づき常に監視、分析し定期的に情報提供や注意喚起を行うものであります。八月に発表された国の分科会の基準では各都道府県の感染状況のステージを判断するため六つの指標が示されております。本県の感染症対策専門家会議では、このうちの四つの指標を既に感染流行期の判断に活用しており、残る二つの指標につきましても判断の参考にするとともに国の分科会が示した感染状況のステージにつきましても毎週決定するようにいたしました。
 県民の皆様への分かりやすい情報発信につきましては、ふじのくにシステムの発表に合わせ国の分科会のステージを公表するとともに、地図やイラスト具体的な事例などを活用した理解しやすい資料を作成し、県や市町のホームページのほか県のSNSや防災アプリなど多様な広報媒体を活用して情報発信を行っております。
 今後も国の動向や専門的な知見を踏まえ、ふじのくにシステムの適時適切な運用を行い感染拡大防止に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 高齢者施設の災害対策についてお答えいたします。
 県内の高齢者施設三千六百六十八か所のうち、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に位置する約四割千五百四十か所が避難確保計画の策定や避難訓練の実施を義務づけられておりますが、令和二年一月時点の計画策定状況は千百四十二か所七四%にとどまっております。このため県では、施設を訪問しての事業運営指導や職員向けの防災研修会などの機会を通じそれぞれの立地に合った避難確保計画の策定をこれまで以上に強く指導いたしますとともに、避難計画点検マニュアルを活用した個別支援を実施し具体的な対応策を示すことで、未策定施設の解消に取り組んでまいります。
 一方、避難確保計画を策定した施設につきましては施設の立地や利用者の要介護度を踏まえた実効性のある計画となるように、上層階への垂直避難など円滑かつ迅速に避難するための訓練の実施や地域の防災訓練への参加を促すなど市町と連携しながら高齢者施設の災害対応を支援しております。
 また、施設の新設や移転の際には安全性の高い場所に整備するよう事業者に促しておりますが、やむを得ず浸水想定区域等に整備せざるを得ない場合におきましては、建物の高層化や発電設備の屋上配置等のハード面の対策に加え消防団や近隣住民の皆様等の協力も得ながら災害発生時の避難体制を構築するなどソフト面の対策も講じるよう指導し、より安全な施設整備を求めてまいります。
 県といたしましては、引き続き市町や関係団体と連携し高齢者施設の防災対策の徹底に努め高齢者が地域で安心して暮らせる災害に強い施設づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 五十番 宮沢正美君。
       (五十番 宮沢正美君登壇)
○五十番(宮沢正美君) 要望を二点、再質問を一点させていただきます。
 新たなニーズに呼応した地方創生の推進について知事から意気込みをお聞きしました。ただそうした思いというのは本当に今全国各地でこのような取組を加速して当たっているところであります。静岡県だけがということではありません。そうした意味で従来のいろいろな地方政策の取組に加えて静岡らしさ、静岡には本当に地の利が私はあると思っておりますので、そうした英知を結集してこうした新しい時代に即応できるような対策を強力に進めていただきたい、要望させていただきます。
 次、二点目として高齢者施設の関係でありますが、今部長から避難確保計画七四%ということでありましてこれは一刻も命に関わることでありますので百%に達成できるような努力を促していただきたい、このようにお願いをさせていただきます。
 あわせて、壇上で申し上げましたように災害というのはいつ来るか分からないしあるいは職員体制の脆弱な夜間に来る場合も想定されます。そうした意味ではこの確保計画どうなっているかという中身の吟味。例えば関係機関、消防とかそういう関係機関との協力体制あるいは地域住民の皆さんの協力あるいは施設のボランティアの皆さんに災害のときには応援に駆けつけていただくとか、この中身の精査というのも極めて大事だと思いますのでその辺の取組をお願いします。
 一点再質問させていただきます。
 統一基準の話をさせていただきました。昨日知事は情報の発信力と受信力という話もしていただきましたが、私は非常に今回コロナウイルスが未知の感染症であるということとあるいは正解がないというような状況の中で情報も非常に混乱をして県民も非常に迷っておったというのが実情だと思っております。
 そうした意味で情報というのはやはり単純明快で誰もが理解しやすい情報であることあるいは科学的根拠と冷静な判断が求められるというようなこと。また私見を排除し客観的な情報提供をする。そうしたことで県民が分かりやすい情報提供に努めていただきたい、このように思っております。
 都道府県の知事にいろんな対策を求められております。そうした中で知事のリーダーシップもちろん大事でありますが、私は併せて全国知事会というそうした皆さんとの連携の中でこうした統一基準の扱い等についてもぜひウェブ会議等をやられているようでありますのでその辺の対策を取っていただきたい、このように思っておりますが何か所見がありましたらお願いいたします。
○副議長(良知淳行君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 新型コロナウイルス感染症の警戒レベルの全国統一基準についての再質問にお答えいたします。
 議員が御指摘ありました情報というのは、単純でかつ分かりやすく客観的にそういう御指摘のとおりで本県のふじのくにシステムもそのような考え方に基づいて行っておりますが、先ほど議員からも御紹介がありました国の分科会が示した感染状況のステージの活用状況についてでございますが、国の基準をそのまま活用しているのは全国で現時点で三県、それから各県の独自基準と併記するなどの方法で参考として活用しているのが本県を含め五道県――五つの道と県になっております。残りの三十九の都府県ではまだ国の基準はちょっと活用されていない状況でございます。と申しますのも、国の示した基準はステージの三と四については具体的な基準がございますが、一と二については具体的な基準が示されていないと。この辺もちょっと課題で各都道府県が採用していない一つの理由ではないかと考えております。
 そのため県といたしましては、議員御指摘のとおり全国知事会とも連携いたしまして、国が示す基準が早期に具体化、明確化になるように働きかけて国民に県民に分かりやすい基準となるように努めてまいりたいと思っております。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 五十番 宮沢正美君。
       (五十番 宮沢正美君登壇)
○五十番(宮沢正美君) 要望させていただきます。
 本当に発信するほうも非常に判断は難しいかと思いますが、例えば知事、再三ウイルス――コロナのですね――ワクチンを開発すべきだということを記者会見等で言っていますが、一方の考え方として本県にゆかりの深い本庶佑先生はそれはちょっと暴論だというふうな話も八月号の文藝春秋の中に書かれています。そうしたことで発信するほうもいろいろいろんな議論をした中でやっぱり冷静に判断をして発言するということが極めて大事だと思いますので、その辺そういうこともしっかり心がけて取組をお願いをしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 観光団体との連携による観光振興について伺います。
 新型コロナウイルスの感染症の影響により海外からの渡航禁止や緊急事態宣言による移動の自粛、また解除後も感染症への不安などから観光客は大きく減少しており、観光庁の宿泊旅行統計調査では本年一月から六月までの宿泊客数は前年比五一・三%本県の観光産業は大きな打撃を受けております。感染症の影響は旅行者の価値観においても大きな変化をもたらし、旅行先を選択する場合にも消毒がなされていることや密集となっていないこと人や物との接触が少ないことなど衛生面や三密の回避などを重視するようになってまいりました。
 これまで県は、国の施策と連携をし観光地域づくり法人いわゆるDMOを中心とした観光地経営の視点に立ち多様な関係者と協働しながら地域経済の活性化などに取り組んできたところでありますが、私の地元三島市を含む伊豆の七市六町では美しい伊豆創造センターが地域連携DMOとして活動するなど県内の他地域においてもDMOが設立されマーケティング手法を用いた観光地づくりが進められてまいりました。
 しかし、旅行形態の個人化や旅行者のデジタル化が進んでいるこれからの観光においては、地域のDMOや市町の観光協会単体の取組だけでは到底対応し得るものではなく、全県の観光振興をリードし続けてきた公益社団法人静岡県観光協会が中心となり県内一丸となって乗り切ることが重要であります。私としましても、本県観光産業の発展に向けて公益社団法人静岡県観光協会が県内各地の観光協会や団体に対するリーダーシップを発揮をし県内各地域の連携を強化するとともに、県と連携して県全体の観光振興を牽引をしていくべきだと考えております。
 特に昨今の観光を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響だけにとどまらず大きく変化をしております。このことから静岡県観光協会の役割はさらに重要度を増しており今後も県と両輪となって本県の観光振興を担っていただくことを期待しております。
 そこで、時代の要請に応じた静岡県観光協会の体制や取組の在り方について、県の所見を伺います。
 次に、ウイズコロナの中での文化活動について伺います。
 音楽や美術などすばらしい芸術作品を鑑賞する機会はもとより、地域の祭りやイベントに自ら参加していた人たちは本番の日に向けて準備や練習も日々の暮らしに溶け込み何げない日常を彩っていたのではないでしょうか。今回のことでこれまで祭りやイベントなどの文化活動からどれほどの力をもらっていたのかを改めて実感されているのではないかと思います。
 静岡県が牽引する文化プログラムが順次実施されていけば、いつ活動を再開しようかと悩んでいた市町や地域の団体も勇気づけられウイズコロナの対策を参考にしながら再開の一歩を踏み出すきっかけになると考えます。いつまでも活動を停止しているのではなく、新しい生活様式への対応を検討し工夫をしながら実施を試みてその結果によりさらに改善していくなど試行錯誤しながらも前に進むことが極めて大切なことだと考えます。オリンピック・パラリンピックは一年延期となりましたが、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎ、生きる喜びをもたらし人生を豊かにする文化の役割はますます大きくなっています。
 しかし、静岡県文化プログラムは地域資源を生かしたユニークなプログラムの展開を支援しており三島のしゃぎりフェスティバルも文化プログラムの一つとして支援を受けてきましたが、現在のプログラムの枠組みはオリンピック・パラリンピックで終了となってしまいます。今後も恒久的に地域住民主体の文化活動を支援し取組を強化させることが人々や社会に力を与えるためにも必要だと考えますが、県の所見を伺います。
 最後に、静岡がんセンターにおける看護師の質の向上に向けた取組について伺います。
 静岡がんセンターは平成十四年に開院しこの九月で十九年目を迎えました。今や診療実績は全国トップ三の一角を占める高度がん専門病院に成長しましたが、開院当初は医療従事者とりわけ多くを占める看護師を一気に集めることができなかったため病床数は現在の約半数である三百十三床でオープンせざるを得ない状況にありました。以来六百十五床の全床開棟となった本年四月まで常に看護師確保に精力的に取り組まれ徐々に看護師を充足させていったと伺っております。
 看護師の確保については、開院当時から積み上げてきた診療実績や患者だけでなくその家族も徹底的に支援する静岡がんセンターの理念が共感を呼び、地元の看護学生はもちろん全国各地の看護養成機関からも高い評価を受けるようになり、年々静岡がんセンターを就職先に希望する学生が増えていったと聞いております。今年度の看護師定数は六百四十二名で静岡がんセンターの全職員の約六割を占めています。当然のことながら看護師がいなければ病院は運営できないことから病院にとって看護師の確保は極めて重要な課題だと認識しております。
 ただ、看護師は離職率の高い職種とも言われ一般的な話としてキャリアアップを求める人はより環境のよい病院へ再就職する例も多いと聞いております。静岡がんセンターの病院機能を維持向上させていくためには、今後看護師が定数割れにならないよう魅力ある職場づくりを行い離職の一つの理由として挙げられておりますキャリアアップへの要望に応えて質の高い看護師を増やしていく必要があると考えます。
 静岡がんセンターは、これまで看護師の教育にも力を注ぎ認定看護師教育課程を開設、より質の高い看護師の育成を行っており、今年度からは従来の認定看護師教育課程をバージョンアップさせるような形で特定行為研修を組み込んだ認定看護師教育課程を開設させ約五十名の受講生を受け入れていると聞いております。
 このような看護師の質の向上につながる前向きな取組は看護師としての専門性を高め職員の意欲向上にもつながり魅力ある職場づくりの一環と言えますが、今後より志の高い看護師を採用し静岡がんセンターにおいて看護師としての質を向上させていくためにはどのような取組を行っていくのかお伺いをいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(良知淳行君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 観光団体との連携による観光振興についてお答えをいたします。
 静岡県観光協会は、昭和二十一年に県内の観光協会や市町村、交通事業者など百十三名の会員により発足して以来観光事業に特化して首都圏における誘客イベントや観光情報の発信事業、商品企画販売支援事業などを行い本県の観光振興を担ってまいりました。昨今の観光振興においては、住民との交流や地域の様々な魅力の体験を望む旅行者ニーズに対応し地域ぐるみで地域全体の魅力を高めていく観光地域づくりが求められるようになってまいりました。
 このため、県の観光施策をこれまでの観光事業者を中心とした観光地づくりから地域ぐるみで地域の魅力を高める観光地域づくりへ政策転換をいたしました。また海外からの旅行者いわゆるインバウンドへの対応を強化する組織体制づくりが必要となりました。
 これに対応して県観光協会の組織体制を強化することとし、平成二十九年一月に県域DMOである静岡ツーリズムビューロー通称TSJを設置しました。公募により海外の観光局で活躍していた専門人材をトップに迎えマーケティング戦略に基づいた海外の誘客拡大を図っております。
 さらに、インバウンドのニーズに応じた商品の企画や付加価値の高い旅行商品づくりに加え質の高い訪問、滞在、体験を求める旅行者ニーズに応えた旅行の手配、提供を自ら行うことも求められるようになってまいりました。このため本年度から県観光協会に旅行企画や手配に精通した二名の専門人材を新たに配置し体制の強化を図りました。これはDMC――デスティネーション・マーケティング・カンパニー――と呼ばれるものです。これらの組織を加えたことで県観光協会は、地域連携DMO等に対しまして専門的知見を生かした助言を行うとともに自らも旅行の手配、提供を行うことで付加価値の高い魅力ある旅行商品づくりや販売の促進が可能となりました。その成果も現れつつあります。
 県といたしましては、議員の御指摘のとおり静岡県観光協会が県域全体の魅力づくりや連携強化のため時代の要請、環境の変化に的確に対応してその体制や取組を変化させ、県は観光協会と共に県内各地で行われている観光地域づくりや地域連携DMOをはじめとした多様な分野の取組、人との連携をさらに進め観光地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) ウイズコロナの中での文化活動についてお答えいたします。
 県が七月から実施しております新しい生活様式に対応した文化活動の再開を支援するプロジェクト「#エールアートプロジェクト」には九月二十五日現在でございますけれども、三百四十件もの多くの相談が寄せられました。アーティストの皆様の文化活動の再開への強い思いを実感したところであります。
 静岡県文化プログラムもこの秋から活動を再開いたします。十月九日には本県ゆかりの作家による工芸品展の開催に合わせリスタートを合い言葉に再開を宣言するセレモニーを実施し機運の高揚を図ってまいります。
 文化プログラムにおきましては地域住民の皆様が主体となって文化芸術の力を地域の活性化につなげる取組を支援しております。この枠組みは、来年一月に設置予定のアーツカウンシルが継承し文化プログラム終了後も引き続き地域の文化活動を積極的に支援してまいります。
 アーツカウンシルでは文化プログラムで培ったノウハウを生かし高い専門性を持ったスタッフが、新型コロナウイルス感染防止対策への支援はもとより先駆的な取組の紹介、研修会の開催、関係者のネットワークづくりを行うなど本県の文化を支える人材の育成にも取り組むこととしております。
 今後も、アーツカウンシルを中心にウイズコロナの中でも文化で地域を元気にする住民主体の活動が県内各地で活発に展開されるよう努めてまいります。以上でございます。
○副議長(良知淳行君) 小櫻がんセンター局長。
○がんセンター局長(小櫻充久君) 静岡がんセンターにおける看護師の質の向上に向けた取組についてお答えいたします。
 静岡がんセンターでは設立当初から日本一のがん看護を目指しております。治療は医師、患者のケアは看護師という役割分担の下その仕組みといたしまして全国初の多職種チーム医療を実践しております。
 その成果といたしまして、看護師のやりがいが向上し看護師の離職率は平成三十年度全国平均一〇・七%に対しまして静岡がんセンターは七%、令和元年度は四・三%とさらに低くなっております。この状況を継続していくため、パートナーシップ・ナーシングシステムの導入による新人看護師の教育サポート体制の整備や二十四時間保育が可能な院内保育所の整備など働きやすい環境づくりにも努めております。
 議員御指摘のとおり、静岡がんセンターでは平成二十一年度から全国初の病院立の認定看護師教育課程を設置しております。また今年度からは、特定行為研修を組み込んだ認定看護師教育課程を開講しておりまして医師の判断を待たず手順書により一定の診療の補助が行える看護師の育成に取り組んでおります。
 また、より質の高い看護を提供する専門看護師の育成にも力を注いでおりましてこれまで大阪大学、慶應義塾大学、さらに昨年度からは東京慈恵会医科大学の各大学院とも連携いたしまして、静岡がんセンターに勤務する志の高い看護師が働きながら連携先の大学院で学び研究能力を持つ高度な実践家の養成並びに専門看護師の取得を支援するシステムを構築しております。
 このような看護師のキャリアアップ支援の成果といたしまして、現在静岡がんセンターには専門看護師が十五名、認定看護師が四十六名在籍しておりましてこれは全国トップクラスの人数となっております。これらの専門、認定看護師が院内で組織横断的に他の看護師に知識と技能を伝授することで職場全体のがん看護のレベルが底上げされるという好循環を生んでおります。
 昨年発刊されました専門雑誌「がん看護」におきまして静岡がんセンターの看護実践の特集が組まれるというところまで進化をしております。
 現在、静岡がんセンターにおきまして専門、認定看護師及び特定行為研修修了者は在籍看護師の九%を占めておりますが、将来これを二五%まで増加させることを目標にしておりまして引き続き日本一のがん看護の維持向上に努めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(良知淳行君) 五十番 宮沢正美君。
       (五十番 宮沢正美君登壇)
○五十番(宮沢正美君) 答弁ありがとうございました。
 要望させていただいて終わりにしたいと思います。
 がんセンターの看護師の質の向上についての取組、「がん看護」という雑誌も読ませていただきまして私も感銘を受けました。ぜひこれからも取組をさらに進めて県民の期待に応えていただけるような病院として頑張っていただきたい、このように思っております。
 それから、観光でありますがイギリスの旅行業界の雑誌で日本で一番魅力的な観光地はというアンケートの中で瀬戸内DMOが第一位ということで挙げられているということであります。私もそのDMOを視察もさせていただきましたが、本当に広域的な取組をしっかりと組織的にやっていると。広域部門と事業部門をしっかり分けて強力にやっているというお話も聞いてまいりました。ぜひ今こそ観光協会の出番だと思っておりますので一層の努力をしていただくことをお願いして私の質問を終わりにします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(良知淳行君) これで宮沢正美君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 九月三十日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

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