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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

塚本 大 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/26/2018

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 県政の運営方針                        
 (2) 法人事業税の超過課税                      
2 地域外交について                        
3 南海トラフ地震に備えた新たな防災対応について          
4 大規模プロジェクトと自然環境の調和について           
 (1) メガソーラーなどの再生可能エネルギーの推進における
   自然環境の保全                         
 (2) リニア中央新幹線の整備に伴う大井川の流量減少対策        
5 大規模スポーツイベントの成功に向けた取り組みについて      
   ラグビーワールドカップ二〇一九及び東京二〇二〇オリ
ンピック・パラリンピック                       
6 本県産業を担う人材の確保・育成について             
7 水産王国静岡の持続的発展に向けた取り組みについて        
  静岡県水産振興条例(仮称)等による施策推進及び静岡
県水産技術研究所                        
8 子育て支援の充実について                    
 (1) 保育サービス・幼児教育の充実                 
 (2) こども医療費助成                        
9 障害のある方との共生社会の実現について             
 (1) 静岡県手話言語条例を踏まえた取り組み             
 (2) 障害のある方とその家族への配慮                 
10 医療人材の確保と地域偏在の解消について             
11 民間活力を生かした港湾・空港の機能強化について         
 (1) 清水港の国際旅客船拠点形成に向けた取り組み          
 (2) 公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港の将来像       
12 二期目を迎えた教育長の決意について               
13 交通事故を抑止するための安全対策について   


平成三十年六月二十六日(火曜日)
午前十時三十分 開議   
○議長(渥美泰一君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第九十一号から第百十三号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十八番 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇 拍手)
○十八番(塚本 大君) 皆さん、おはようございます。
 質問に入る前に、去る六月十八日に発生した大阪府北部を震源とする地震において、とうとい命を落とされた方々に心から御冥福をお祈りいたします。また被災された皆様そして復旧と復興に携わっておられるあらゆる立場の方々に改めてお見舞い申し上げます。このたびの地震については後ほど改めて質問をさせていただきます。
 それでは通告に従い、自民改革会議を代表して当面する県政の諸課題に対し、知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に分割質問方式でお伺いいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち県政の運営方針についてお伺いいたします。
 今年度から新たな総合計画がスタートいたしましたが、本県を取り巻く環境は厳しく依然として多くの課題を抱えています。例えば本年三月に発表された日本の地域別将来推計人口によれば、本県人口は二〇四五年には三百万人を下回ると見込まれています。また産業面を見ると本県経済は全国に比べて回復がおくれており、製造品出荷額などはリーマンショック前の約八割の水準にとどまっております。さらには観光面でも昨年の外国人延べ宿泊者数は全国的な増加傾向の中、本県は前年度に比べて減少しております。
 こうした状況の中、県民が未来に向かって輝かしい夢を描ける社会を実現するためには、いま一度足元を見詰め直し山積する諸課題に真摯に取り組んでいくべきではないでしょうか。
 そこで、これらの課題を克服し目指す姿である県民幸福度の最大化の実現に向け県政運営をどう進めていくのか、知事の考えをお伺いいたします。
 また、県は現在これらの諸課題への対応を求められる中、五月臨時会において副知事三人体制を維持することといたしました。かつて土屋副知事選任の際に伊豆半島地域の振興のため担当副知事を設置するとした説明を踏まえると、副知事三人体制は時限的なものと理解しております。
 そこで、副知事三人体制を含めた現在の執行体制をいつまで続けるのか、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、法人事業税の超過課税についてお伺いいたします。
 法人事業税の超過課税は、地震防災対策や高規格幹線道路の整備など緊急かつ重要な施策の財源とすることを目的に昭和五十四年度から五年ごとに見直しを行いながら継続されております。現在の第八期では平成二十五年度から十年間を計画期間とする地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を推進するための財源としていますが、来年三月末をもって期限切れとなります。アクションプログラムは折り返し点を迎えたところであり、想定される犠牲者を八割減少させる目標の達成はいまだ道半ばにあります。今後も南海トラフ地震などから県民の皆様の生命財産を守るためには地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の着実な実施が不可欠であります。
 これまで三十九年間課税してきた法人事業税の超過課税は、県政を推進する上で大変貴重な財源であります。一方対象企業にとっては大きな負担となるものであり、その実施に当たっては企業を初め経済団体など関係者の理解と協力を得ることが大前提であると考えます。
 そこで、来年度以降の法人事業税の超過課税についてどのように取り扱っていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地域外交についてお伺いいたします。
 地域外交については、国際情勢が激動する中、県民や県内事業者にとってのメリットを最大化するよう本県の進むべき道筋を見きわめ政策を進める必要があります。県は本年四月に地域外交基本方針を改定し、地域外交の目指す姿の実現に向け三つの重点的取り組みを設定いたしました。
 その一つ目の有徳の人・憧れをつくる交流の促進では、重点国、地域との大学間交流促進などに取り組むこととし、外国人留学生数などの数値目標を設定いたしました。
 また、二つ目の通商の促進では、海外派遣人材の育成や海外展開に係るコンサルティング、サポートデスクによる支援などに取り組むこととし、県内本社企業の新規海外展開事業所数などの数値目標を設定いたしました。
 さらに三つ目のスポーツ・観光交流の促進では、テーマ性を持った魅力ある広域観光周遊ルートによる海外からの誘客促進などに取り組むこととし、外国人宿泊者数などの数値目標を設定いたしました。
 こうした新たな方針のもと、地域外交を戦略的に進めるに当たってはまずこれまでの成果を検証する必要があります。
 そこで、新たな重点的取り組み三分野ではこれまでの取り組みによりどのような成果が上がっているのか、また特に富士山静岡空港の就航先との交流により就航路線数や外国人観光客数などに具体的にどのような効果があらわれているのかお伺いいたします。
 また、数値目標達成に向けては国や市町、県内企業、各種団体、各国に所在する県人会などの関係者と連携し総力を挙げて取り組む必要があると考えますが、県の考えをお伺いいたします。
 加えて、インドを重点国・地域に追加することとしましたが、本県にとってどのようなメリットが期待できるかお伺いいたします。
 次に、南海トラフ地震に備えた新たな防災対応についてお伺いいたします。
 昨年、国の南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループが現時点においては確度の高い地震の予測はできないと結論づけました。そのため国は南海トラフ沿いで地震発生の可能性が相対的に高まったと評価された場合は警戒宣言は発令せず、気象庁から南海トラフ地震に関連する情報いわゆる臨時情報を発表することといたしました。
 本県としては、これまで地震は予知が可能であり警戒宣言が発令されるものと信じてきただけに、このたびの国の方針転換は南海トラフ地震に対する防災の認識を変える出来事であると考えております。
 現在、国や県も新たな防災対応を検討しているとのことですが、この臨時情報の発表のみで地震が起こるか起こらないかわからない中、防災対応を判断するのは非常に難しいものであると考えます。つまりこれまでの警戒宣言とは異なる前提での防災対応を地域社会としてどう実行していくかが課題であると考えます。
 そこで、南海トラフ地震に備えた新たな防災対応について県はどのように検討を進め、対応案を取りまとめるつもりかお伺いいたします。
 また、先日の大阪府北部を震源とする地震で起きた事柄は南海トラフ地震の際にも起こり得ることだと考えます。
 そこで、大阪府北部を震源とする地震による教訓とその対応をどのように考えているのかお伺いいたします。
 次に、大規模プロジェクトと自然環境の調和についてのうち、メガソーラーなどの再生可能エネルギーの推進における自然環境の保全についてお伺いいたします。
 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、クリーンかつ永続可能な自然環境を資源とすることから重要な国産エネルギーとして期待されており、これらの導入推進は持続可能な社会の形成のために重要なことであります。
 本県では、ふじのくにエネルギー総合戦略に基づき多様な地域資源を積極的に活用した再生可能エネルギーの導入を促進するなどエネルギーの地産地消を推進しているところであります。しかし一方大規模な太陽光発電設備に関しては、伊東市内のメガソーラー建設事業のように大規模な森林伐採を伴い自然環境への影響が懸念される事例もふえております。なおこの伊東市内の案件については、去る二十三日に森林審議会において建設の前提となる林地開発許可を附帯意見付で適当とする答申がまとまり、今後県がこの答申などを踏まえて判断すると聞いております。
 全ての生物は複雑な食物連鎖の輪の中でバランスをとって暮らしております。本県は富士山を初めすばらしい自然環境が存在し、約一万三千種もの生物が確認されている生物多様性に関して我が国有数の県であると言えます。本県の豊かな自然環境が本来、環境に優しい再生可能エネルギー設備の建設のために破壊されるようなことがあってはならないと考えます。
 そこで、メガソーラーなどの再生可能エネルギーの導入推進に当たり地域における自然環境や住民の生活環境の保全を図るための対策を講じる必要があると考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、リニア中央新幹線の整備に伴う大井川の流量減少対策についてお伺いいたします。
 リニア中央新幹線が地中を通過する大井川は、たびたび渇水に見舞われ決して水資源が豊かとは言えない中で県中部の約六十二万人の上水道、一万二千ヘクタール以上の農地のほか工業用水、発電用水の水源として利用されており、本県の社会経済活動に不可欠な存在となっています。こうした状況の中、大井川の水源部地下で行われるリニア中央新幹線南アルプストンネル建設は大井川の流量減少を引き起こすと予想されており、中下流域の利水者に大きな不安を与えています。
 そのため、県ではJR東海と利水者による基本協定の締結に向けて調整を行っておりますがいまだ締結に至っておりません。
 一方で、JR東海は二〇二七年にリニア中央新幹線を開通させることとし、この利水者との協定が締結されていないにもかかわらず昨年十月に導水路トンネル新設工事、同十一月には南アルプストンネル新設工事の契約を締結しており、着々と工事着工に向け準備が進められているように思われます。
 また、先週六月二十日には静岡市との間で市の要望であった県道のトンネル整備をJR東海の全額負担で実施することなどを内容とする地域振興に関する基本合意を取り交わしました。私の地元焼津市ほか中下流域の利水者の間では、このままでは利水者が要望している協定締結がなされない段階であっても工事着工を強行するのではないかという懸念が日に日に高まっております。
 このような状況の中、県はJR東海に対しどのように対応し利水者の不安を払拭していくのか先日の知事定例記者会見での本件に関するコメント、静岡市とJR東海との基本合意、それに対する県のコメント、これら一連の流れを踏まえ、県の考えをお伺いいたします。
 次に、大規模スポーツイベントの成功に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピック競技大会は、サッカーFIFAワールドカップと並び世界三大スポーツイベントと称されており、本県でこのような世界中から注目される大会が開催されることは大変な喜びであります。開催に当たっては本県のみならず、我が国全体の威信がかかっていることを深く心に刻み開催準備に全力で取り組む必要があると考えます。
 まず、来年に迫ったラグビーワールドカップ二〇一九ですが、現時点でも幾つかの解決すべき課題があると認識しています。
 例えば、昨年六月十七日にエコパスタジアムで開催された日本代表のテストマッチで観客数四万人を目標としながら二万七千人余りにとどまったことは、ラグビーへの関心の拡大、ラグビーファンの増加を図る取り組みを強化する必要性を浮き彫りにいたしました。さらに交通輸送、外国人観戦客への対応、エコパスタジアム周辺のにぎわいづくりなども課題として残っていると認識しています。
 また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技ですが競技会場や会場周辺の整備はもとより選手や関係者、観戦客に対するハード・ソフト両面でのおもてなしなど開催準備を着実に進めていくことが重要です。加えて自転車競技は依然として一般の方々の関心が高いとは言えず、より一層の機運醸成に努めていくことも必要です。さらには大会が夏の観光繁忙期に重なることによる観光や住民生活への影響なども大きな課題であると考えます。このようにこれら二つの大会の成功に向けては早急に課題解決に取り組む必要があると考えます。
 そこで、現在の準備状況及び今後の取り組みについてお伺いいたします。以上について答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 塚本議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、県政の運営方針についてであります。
 新しい総合計画静岡県の新ビジョンは、来るべき時代を見据え人口減少や超高齢社会への対応、力強い経済の再生、新産業の育成、国内外との交流人口の拡大など本県が直面する喫緊の課題への対策を盛り込んだ県政運営の新しい羅針盤でございます。今年度からスタートダッシュで新ビジョンに掲げる八つの政策を一気呵成に展開し、富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりを本格始動いたします。
 まず、県民の皆様の安全の確保これが最優先であります。そのための南海トラフ地震に対する新たな防災対応、それとあわせて最優先課題は安心して暮らせる医療・福祉の充実でございます。そのためには健康寿命のさらなる延伸、医療・介護の連携強化による地域で支え合う長寿社会づくり、全ての子供が大切にされる社会づくりなど人口減少や超高齢社会にあっても県民の皆様が安心して幸せに暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。
 また、持続的に発展可能な本県経済の実現に向けまして最先端の技術を積極的に取り入れた新産業の創出、創造的な産業人材の育成、ICTを活用した生産性の向上等を進めてまいります。さらに外国人旅行者のニーズを的確に捉え、本県の世界クラスの資源を生かした体験型観光の充実など魅力ある観光地域づくりにも積極的に取り組んでまいります。
 こうした政策を確実に実現していくため、現時点におきましては副知事三人体制の継続が必要であると考えております。難波副知事には命を守る安全な地域づくり、また港湾を中心にしたインフラ、
富をつくる産業の展開などを担当していただいており、また吉林副知事には医療、福祉、教育を初め県の組織、財務、企画など県政運営の総括的な役割を担ってもらっております。土屋副知事には伊豆半島地域の振興、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックへの対応などを担っていただいておりましてこの三人体制により新ビジョンを強力に推進してまいります。
 本県の目指す姿である県民幸福度の最大化に向けて常に足元を見詰め直し、日々刻々と変化する社会経済情勢への的確な対応を図りながら居心地がよく誰もが努力をすれば人生の夢を実現し、幸せを実感できる地域社会の実現に真摯に取り組んでまいりますので県議の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願い申し上げます。
 次に、法人事業税の超過課税についてであります。
 法人事業税の超過課税につきましては、昭和五十四年度から昨年度までに三千百九十六億円余りの御負担を企業の皆様にお願いをいたしました。この御負担金は県民の命、財産を守り産業基盤の整備を図るための財源に充当してまいりました。御負担をいただきました皆様の御協力に対しまして改めて感謝を申し上げます。
 現在、第八期目となる超過課税は地震・津波対策として地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進のほか、災害に強い高規格幹線道路網の整備のために活用させていただいております。議員御指摘のとおり想定される犠牲者の八割減少を目標とするアクションプログラムは、策定後五年を経過し折り返し点を迎えたところでございまして、目標の達成に向け引き続き地震・津波対策を着実に推進していくことが不可欠です。そのためには企業の皆様の御協力がぜひとも必要であります。法人事業税の超過課税につきましては今後、企業の皆様や経済団体、県議会の皆様の御意見を伺いながら来年度以降も引き続きお願いする方向で検討を進めてまいります。
 次に、大規模スポーツイベントの成功に向けた取り組みについてであります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九及び東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについてですが、本県において世界的な大規模スポーツイベントが二年連続で開催されますことは、スポーツ、文化観光、産業等の幅広い分野で世界の人々との交流を促進し本県のさらなる発展を図る絶好の機会と考えており、この成功に向け全力で取り組んでいるところであります。
 まず、ラグビーワールドカップ二〇一九につきましてはラグビーへの御関心をより一層高めていただくために、五百日前記念セレモニーの開催による機運の醸成やSNSを活用した効果的な情報発信などさまざまな取り組みを行っております。ラグビーワールドカップ二〇一九の二〇一九にかけまして先日実施いたしました「二千十九人の地元代表!ラグビーパスリレー」では、二千十九の募集予定を二百人近く上回る二千百九十七人もの県民の皆様に御参加いただき私もパスをつなぎました。皆様の熱い思いを感じるとともに関心の高まりを実感したところであります。
 また、観戦客の安全で円滑な輸送を実現するため静岡県交通輸送対策会議におきまして今年度末までに交通輸送実施計画を策定いたします。さらに外国人観戦客への対応を図るためボランティアの養成や案内誘導サインの多言語化などの準備を加速いたします。加えてスタジアム周辺等のにぎわいづくりを進めるために、先月設置いたしましたおもてなし専門委員会により本年十月を目途に本県の食、文化、観光等と魅力を発信するにぎわいエリアを創出するための計画を策定し着実に実施してまいります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技につきましては、四競技のうち三競技が本県で開催されます。そのうちトラック、マウンテンバイク競技の会場となる日本サイクルスポーツセンターにつきましては、アクセス道路の整備を進めています。そのほかに本年四月には選手や観戦客等の輸送ルート案を公表する等、着実に準備を進めているところであります。また国内外から訪れる観戦客の誘導や観光案内を行う都市ボランティアの研修を本年九月から開始いたします。おもてなしの準備を進めるとともに今後は大会二年前イベントを開催するなど県民の皆様が自転車競技に触れる機会を創出し、開催機運の醸成に努めてまいります。
 ロードレースの会場となる富士スピードウェイ周辺につきましては、具体的なコースが決定されて後、組織委員会や関係自治体等と一体となりまして輸送計画の策定、おもてなしの準備に取り組んでまいる所存であります。
 県といたしましては、この二つの大規模スポーツイベントを本県の魅力を世界に発信する絶好の機会と捉えておりまして、大会の成功に向け万全を期すとともにスピード感をもって準備を進めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 増井地域外交監。
       (地域外交監 増井浩二君登壇)
○地域外交監(増井浩二君) 地域外交についてお答えをいたします。
 本年四月に改定をした地域外交基本方針の数値目標のうち主なものを平成二十四年度の基本方針策定時と比較いたしますと、交流の促進分野では外国人留学生が二千二百五十一人から二千八百二十一人に、通商の促進分野では県内本社企業の海外展開事業所が千六十六事業所から千二百八十事業所に、観光交流の分野では外国人宿泊者が四十九万人から百四十七万人となっております。それぞれ五百七十人、二百十四事業所、九十八万人の増となりさまざまな分野における交流が着実に拡大してきていると考えております。
 また、富士山静岡空港の就航路線数は本年五月時点で国際線四社五路線、週二十往復という状況でありますが、県内の外国人観光客数の目安となる国際線搭乗者数は昨年度二十九万人で五年前の十六万人と比べて十三万人増加し、これまでの取り組みの成果があらわれてきていると考えております。
 基本方針に掲げた数値目標を達成するには、関係機関との連携による取り組みが重要であります。外務省とは毎年開催する地域外交推進本部会議に地域連携推進室長にお越しいただき助言をいただいているほか、海外への本県訪問団派遣の際など時宜に応じて積極的に情報共有を図っております。市町とは定期的に連絡会議を開催し、必要に応じて相互に訪問をするなど意見交換や助言を通じて県の地域外交の取り組みに対する理解が深まってきており、東京オリンピック・パラリンピック事前キャンプ誘致では、現時点で全国最多となる十二市で十五件の覚書が交わされております。
 このほか、東南アジアに展開している県内企業を支援するための情報ネットワークの構築や南米県人会からの要望を受けて本県と南米の相互のかけ橋となる研修員の受け入れを行っております。引き続き関係機関との連携を意識した取り組みを進めてまいります。
 基本方針の重点国・地域に新たに加えたインドは、七%前後の高い経済成長率を維持しており県内企業の進出事業所が増加傾向にあります。国民の平均年齢も若く優秀な人材を抱えるIT大国で今後さらなる発展が見込まれており交流先として有望であります。経済分野を中心に投資や貿易の拡大による県内経済への波及効果が期待できるものと考えております。
 県といたしましては、今後とも県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できますよう積極的に地域外交を推進してまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 金嶋危機管理部長。
       (危機管理部長 金嶋千明君登壇)
○危機管理部長(金嶋千明君) 南海トラフ地震に備えた新たな防災対応についてお答えいたします。
 本県は、新たな防災対応を検討するため県の防災会議に専門部会を設置するとともに県内各地でヒアリングを実施するなど調査を進めております。専門部会において新たな防災対応の基本的考え方として原則として平時の生活を継続する、ただし脆弱性への配慮が必要であるとの方向性を示したところ、委員からは津波や山がけ崩れのリスクといった地域の脆弱性の考え方やそれに伴う避難行動のあり方について検討すべきとの御意見をいただいたところであります。今後はこの方向性を検証するため、県民や事業者へのアンケート調査等を通じて議論を深めてまいります。
 また、国のワーキンググループが避難に当たっての社会的な仕組みなどについて年内に一定の取りまとめを行う予定であることから、その内容を踏まえ本県の地域特性も加味した上で来年中を目途に新たな防災対応を定めてまいります。
 県といたしましては、突然発生する地震に対して平時から万全の備えをすることを地震対策の基本としておりますが、南海トラフ地震に関連する臨時情報を活用して事前の対応を適切に行うことでさらなる被害軽減に努めてまいります。
 また、大阪府北部を震源とする地震についてはブロック塀の倒壊や家具の転倒によりとうとい命が失われたことから、住宅やブロック塀の耐震化、家具の固定などの対策が大変重要であると再認識したところです。このため県有施設や学校などにおけるブロック塀等の緊急点検を行うとともに各家庭における地震対策の充実強化について県民の皆様への周知啓発に努めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 大規模プロジェクトと自然環境の調和についてのうち、メガソーラーなどの再生可能エネルギーの推進における自然環境の保全についてお答えします。
 メガソーラーなどの再生可能エネルギー施設の設置は、土地の改変による自然環境などへの影響が懸念されることから規模等に応じて自然環境保全協定や環境影響評価の対象とし、県内の自然環境や生活環境の保全に努めてまいりました。自然環境保全協定につきましては開発地に生息する絶滅危惧種の保護及び生息環境の保全などを目的として五ヘクタール以上の土地の改変が行われる際、県と開発行為者との間で締結しております。
 環境影響評価につきましては、メガソーラーは造成面積五十ヘクタール以上を、また風力、水力発電等は一定の出力以上を対象としております。メガソーラーに関しましては森林伐採を伴う事業が増加し生態系への影響が懸念されること、市町から対象の拡大要請があることなどから新たに森林を伐採する区域という区分を基準に追加することや対象を全国的にも厳しい二十ヘクタール以上とすることなどの改正案を環境影響評価審査会に諮問したところであります。
 県といたしましては、再生可能エネルギーの導入推進に当たり自然環境保全協定や環境影響評価を通じ環境や地域の特性に配慮した事業実施をより一層徹底するなど、本県の豊かな自然環境や潤いのある生活環境の保全に取り組んでまいります。
 次に、リニア中央新幹線の整備に伴う大井川の流量減少対策についてであります。
 リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う大井川の河川流量の減少はあってはならないことであります。工事による河川流量の減少の程度を計測や解析によって特定することは現在の技術力では不可能であるため、その減少に対する最低限必要な回避策はトンネル湧水の全量を大井川水系内に戻すことであるとの基本認識に立つ県に対し、大井川の河川流量の減少分を戻すと主張するJR東海の理解が得られておりません。
 水資源の保全に関する基本協定を締結することにより利水者の不安は払拭されますが、JR東海によるトンネル湧水の全量を恒久的かつ確実に大井川に戻すことの意思表示がない中で基本協定は結べないと考えております。基本協定が未締結のまま工事が着工されるのではないかとの利水者の懸念に対しましては、会議などにおいてJR東海との協議の状況を説明し利水者の意見を伺うなど情報の共有化に努めております。また静岡市とJR東海との基本合意は地域振興に関することではありますが、利水者に速やかに情報提供を行い意見の調整を図ったところであります。
 県といたしましては、利水者が望む基本協定の締結に向け引き続き大井川の水の利用は長い歴史の中で成り立ち、生活や農業を初めとした多様な産業が営まれており渇水時においても利水者の互譲の精神で節水対策を行っている状況などの大井川の水の大切さと、大井川水系の水は大井川水系に戻すという当然の考え方を今後とも静岡県中央新幹線対策本部を中心にJR東海に粘り強く訴えてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇)
○十八番(塚本 大君) 御答弁ありがとうございました。三点再質問させていただきます。
 まず県政の運営方針についてですが、知事のほうから副知事三人体制の現時点で必要だということについてはお話しいただきましたが、私の質問ではいつまで続けるのかということもお話をしましたのでぜひ期限を切って三人体制を進めていただけたらというふうに思いますがいつまでなのか、その点について再質問させていただきます。
 二点目、メガソーラーについてでございますけれども、今お話では環境影響評価を決定する、そういうような御答弁でございましたが私が質問の中で触れさせてもらいました伊東市内の案件に関する林地開発許可これについては森林審議会のほうから答申が出ておりますけれども、それを踏まえて県のほうではいつまでにどのような方向性で判断をされるのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
 そしてもう一つ、リニア中央新幹線の整備に伴う大井川の流量減少対策についてでありますが、県のほうでは今までどおりトンネル工事で発生する湧水全てを川に戻すという姿勢は変わらない、そしてその意思表示がきちんとあるまではだめなんだということで御答弁いただきました。確認ですけれどもそのトンネル工事で発生する湧水全てを川に戻すという意思表示という表現でしたが、それが協定の中にきちんと盛り込まれていることを確認するまではだめなんだと、こういう姿勢でよろしいかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山行由君) 副知事三人体制のいつまで三人体制を維持するかという御質問でございます。
 伊豆半島の振興を担当する副知事につきましては、伊豆地域の振興、地域の市町を引っ張るリーダーとして伊豆半島地域が自立するまでの間の時限的な措置というようなことで設置してございます。
 一方、その副知事三人体制、知事を含む副知事三人のトップのマネジメントにつきましては、静岡県の新ビジョン実現に向けて日々変化する課題に対して随時適切に対応していく必要がございます。それぞれの副知事の任期、再任の時期に当たって県政全体の状況に基づいて適切にその体制について的確に判断をしていくものというふうに理解してございます。以上です。
○議長(渥美泰一君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) メガソーラーなどの再生可能エネルギーの推進における自然環境の保全についてお答えいたします。
 本案件につきましては、六月二十三日に森林審議会林地保全部会で附帯意見をつけた上で答申がなされたところであります。森林法では林地開発の許可は森林審議会及び関係市町の意見を聞かなければならないとされておりますので、伊東市長の意見も踏まえて今後許可の判断がされるというふうに認識しております。
 リニア中央新幹線の整備に関する案件でございますが、JR東海から全量を戻すことの意思表示をしていただいた上で基本協定に盛り込みたいというふうに考えております。以上です。
○議長(渥美泰一君) 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇)
○十八番(塚本 大君) 御答弁ありがとうございました。
 一点だけ再々質問をさせていただきます。
 メガソーラーの関係で伊東市長の意向後ということはわかったんですが、いつごろまでにその判断をされるかという点について今再質問でお答えいただいていないというふうに思いますので、いつごろまでにその判断をされるのかその点について教えていただきたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 森林審議会の答申を踏まえまして県の処分の判断時期についての再質問にお答えいたします。
 県の処分の判断時期につきましては遅滞なく行う必要がございますが、先ほど答弁にもありましたように答申に付されました附帯意見などもありもう少し時間がかかるものと考えております。以上でございます。
○議長(渥美泰一君) 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇)
○十八番(塚本 大君) 次の質問に移らせていただきます。
 本県産業を担う人材の確保・育成についてお伺いいたします。
 本県の有効求人倍率は昨年十一月に一・六倍となりその後も高水準が続いています。雇用情勢の改善が進む一方で人材の確保に苦慮する企業は多く、特に本県の経済を支える中小企業では人材不足の状況はさらに深刻化しています。
 こうした状況を踏まえ、県は本県経済の持続的成長に向け策定した産業成長戦略二〇一八において産業人材の確保・育成を第一の戦略に掲げました。また三月には産業人材確保・育成プランを策定し、県内出身大学生のUターン就職率など数値目標を掲げて取り組んでいます。
 六月になり、企業の採用面接など新規学卒者の選考活動が解禁となりました。民間の調査によれば来春卒業予定の大学生の求人動向は従業員三百人未満の中小企業の求人倍率が九・九一倍となっており、従業員五千人以上の大企業の求人倍率〇・三七倍との差が拡大しております。中小企業の採用はますます厳しくなっており、現場の声を踏まえた効果的な対策が必要です。また新卒者などの人材確保が喫緊の課題であるとともに生産年齢人口の減少が進む中、現場の即戦力となる高度な知識、技術を持つ人材の育成や高齢者や女性といった多様な人材が活躍できる環境づくり、従来の働き方を見直し誰もが意欲とやりがいを持って力を発揮できる企業づくりなど中長期的な視点も重要と考えます。
 そこで、直面する人材不足への対応と将来を見据えた人材確保・育成に向け、具体的にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、水産王国静岡の持続的発展に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 本県の漁業生産量、水産加工品生産量はともに全国有数の規模を誇っております。しかし近年、本県の漁業に関しましては水産資源の減少、魚価の低迷、漁業就業者の減少及び高齢化など多くの課題があります。また水産加工業では生産量や経営体数の減少、人手不足、HACCPによる衛生レベルの高度化などの課題を抱えております。
 こうした状況の中、昨年度県議会に設置された農林水産・観光交流特別委員会では、宮城県など八道県が水産業の振興に関する条例を制定し施策を総合的、計画的に推進していることが明らかになり、本県における条例制定の必要性が提言されました。これと並行し我が会派では議員提案条例として静岡県水産振興条例(仮称)の制定に向けて検討を重ね、今月十四日議長に対し協議等の場の設置を要望したところであります。
 そこで、本県水産業の振興に向け課題をどう認識し今後の方向性をどう考えているのか、県の考えをお伺いいたします。
 また、先月八日に開所した新しい水産技術研究所では効率的な漁獲活動や水産加工業の経営判断などに有益となる調査、技術開発などが行われています。また県民向けの展示室が一新され子供たちが楽しみながら学べるよう工夫が凝らされています。
 そこで、研究機能と展示機能をあわせ持つ水産技術研究所が水産業の振興に向けてどのように研究開発を進めていくのか、また展示室を地域のにぎわいづくりにどのように生かしていくのか、県の考えをお伺いいたします。
 次に、子育て支援の充実についてのうち保育サービス・幼児教育の充実についてお伺いいたします。
 幼児期の教育や保育、地域の子育て支援について量の拡充と質の向上を進める子ども・子育て新制度が平成二十七年度に導入され既に三年がたっております。市町は地域の子育ての状況や支援ニーズを把握し、今後の需要を予測した上で事業計画を策定し取り組みを進めております。ただ共働き世帯がふえる中、国は幼児教育、保育を無償化する方針を示しており今後特に保育所などの利用希望者が増加するものと見込まれます。
 本県の保育所等利用待機児童数は、本年四月時点で前年同時期に比べて減少したものの依然として解消には至っておりません。働き手でもある子育て世代が安心して預けられる体制を整備する必要があります。また幼児教育についても幼稚園における特色を持った教育を望む保護者が数多くいると聞いております。
 さらに、担い手となる保育士や幼稚園教諭の確保、定着を進めることも重要であります。認定こども園などについては法令に基づき保育士などの処遇改善が進められてきております。また私立幼稚園についても国により人材確保に対する助成制度が創設され、多くの道府県で活用もしくは活用に向けた検討がされていると聞いております。本県もこうした制度を活用し円滑な人材確保、定着が図られるよう一層取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、保育サービスや幼児教育の充実に向けて施設整備などのハード面と人材確保などのソフト面について今後どのように対応していくのか、県の考えをお伺いいたします。
 次に、こども医療費助成についてお伺いいたします。
 県では、教育費などの負担が増加する高校在学中の子育てにかかる家庭の経済的負担を軽減するものとして、本年十月からこども医療費の助成対象年齢を十八歳年度末まで拡大することといたしました。これは福島県、鳥取県に次ぎ三番目の取り組みであり全国でもトップレベルの助成水準と言えます。
 本年四月、市長会、町村会の両会長は共同声明を発表しこども医療費助成事業費補助金の交付要件の見直しを要望いたしました。また助成のあり方を検討する場を早急に設けることを県に求めました。これを受け今月十一日第一回の県と市町の協議が行われ、その場では市町から四月発表の共同声明の要望をもとにいろいろな意見が出されたと聞いております。こども医療費助成については子育て支援のための重要な施策であり、県と市町が十分な合意形成に努め県内の支援体制を整えることが重要であると考えます。
 そこで、協議の場で出された市町からの意見や要望に対し県としてどのように対応していくのかお伺いいたします。
 次に、障害のある方との共生社会の実現についてのうち、静岡県手話言語条例を踏まえた取り組みについてお伺いいたします。
 静岡県手話言語条例が、去る二月定例会において議員提案条例として制定されました。これは我が会派が聴覚障害者団体からの要望も踏まえ以前より検討を重ね提案したものであり、条例の制定はまことに喜ばしい限りであります。手話は聾者が大切に守り続け聾者だけではなく聾者以外の者と意思疎通を図る大切な言葉でありますが、手話が言語であるとの社会的認知は残念ながら進んでいないのが現状です。
 このため、本県条例では手話を言語として明確に位置づけ手話の普及に関する施策を総合的に推進することにより、聾者を含む誰もが地域の一員として生活できる社会の実現を目指すこととしております。県内で手話を主な意思疎通手段としている聴覚障害者は約千八百人とのことですが、県民一人一人が相手の立場に立って思いやりのある行動ができる、心のユニバーサルデザインの観点から手話の普及は重要であると考えます。条例制定を踏まえ県は知事部局だけでなく教育委員会、警察本部も含めた全ての職員が条例の基本理念を理解するとともに、県民向け講演会や学校などを通じて広く手話の普及促進に努める必要があると考えます。
 そこで、県のこれまでの対応状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、障害のある方とその家族への配慮についてお伺いいたします。
 障害のある方が住みなれた地域で自分らしく生活するための支援については、障害者総合支援法や障害者雇用促進法などにより着実に充実が図られてきているところであります。しかし障害のある方やその御家族の方々にとっては、これらの制度によらない部分においてあと少しの配慮があればより地域での生活がしやすくなるのではないかと感じることがあります。
 先日、焼津市手をつなぐ育成会の総会に出席し、その中で御家族の体験発表があり障害のある子供とない子供の兄弟を持つ母親から話を聞く機会がありました。その話の中で障害のある子供は特別支援学級のある学校に通うため、兄弟が同じ市内の別々の公立学校に通っているとのことでした。この場合同じ市内の公立学校では運動会などの行事が同じ日に開催されることが多いため、そのたびに二つの学校を行き来しなければならず御家族の負担が大きいということでした。こうした事例は県の取り組みの中でも起こり得ることだと思います。そして我々がこうした事例で障害のある子供を持つ御家族が困っていることに気づき少しでも配慮をすれば、御家族の方々の負担を軽減できることも多いのではないかと感じています。
 つまり、住みなれた地域で生活を続けていくためには法令に基づく支援制度に加え障害のある子供を持つ御家族の日常的な不便さの解消を図っていくことが重要であると思います。さきに申し上げたような事例を少しでも減らすため、県はどのように対応していくのかお伺いいたします。
 次に、医療人材の確保と地域偏在の解消についてお伺いいたします。
 二〇二五年には、団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になるなど今後医療ニーズの増加や医療従事者の不足が想定され、県民が将来にわたり安全で質の高い医療サービスを受けるためには医師や看護師といった医療従事者の確保、育成を図ることが喫緊の課題となっています。
 医師については、平成二十八年十二月末現在において県内の医療施設に従事する人口十万人当たりの医師数が二百一人となっており、全国の二百四十人に比べて低く少ないほうから八番目となっております。またこれを保健医療圏域別で見ても最も多い西部の二百四十五人に対し最も少ない中東遠は百四十六人と約百人の差があり、私の地元志太榛原でも百五十五人と県内における地域偏在は顕著となっております。医師数は増加しているものの地域や診療科の偏在は依然として解消されておらず、医師の確保、定着などに向けた有効な対策が求められているのが現状であります。
 本県は、全国最大規模の貸与枠による医学修学研修資金制度を活用し医師不足地域への勤務など地域医療に貢献する医師の養成を進めています。しかし今年度から新たな専門医制度が始まり、より多くの症例が見られる東京や大阪などへの都市部志向が強まっているとともに、大学病院が中心となる研修プログラムへの研修希望者がふえてきております。本県においても県内公的医療機関などに在籍する医師免許取得後三年目の医師数は昨年度の百六十八人から二十六人減の百四十二人となっております。今後も減少傾向が続けば県内の地域医療に大きな影響が出るおそれがあります。そのため状況をよく分析し課題解決に向けた取り組みを進める必要があると考えます。
 そこで、今後医療人材の確保と地域偏在の解消に向けてどう取り組むのか、県の所見をお伺いいたします。以上について答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) 子育て支援の充実についてのうち、保育サービス・幼児教育の充実についてお答えをいたします。
 県では、これまでも待機児童の解消を目指しまして、市町と連携して保育所や認定こども園の整備などにより受け入れ枠の拡大を進めてまいりました。昨年度は四千五十六人分の定員増を図りまして、今後二年間では約六千人の定員増を予定をしております。また今後見込まれます保護者のニーズの多様化や保育を希望する三歳未満の児童の増加に対応するため、事業所内保育所や三歳未満児を預かる小規模保育所の設置促進など地域特性にあわせました待機児童対策を進めてまいります。さらに延長保育、病児・病後児保育や幼稚園におけます一時預かりといった保育サービスの導入を促進してまいります。
 これらを担います保育人材の確保につきましては、修学資金の貸与等によります保育士を志す学生の支援や保育士・保育所支援センターにおけます潜在保育士の掘り起こしと最就業支援の強化に努めております。
 また、平成二十八年度から進めてまいりました保育士キャリアアップ制度につきましては、経営者セミナーや制度導入セミナーの開催等によりまして、現在民間保育所、認定こども園の約八割が制度を導入しております。今年度からはキャリアアップ研修を開始いたしまして保育士等の処遇改善を図ってまいります。
 私立幼稚園につきましては、教員の資質向上を図るため実践的な指導力を養う研修への派遣や資格取得支援などを行う幼稚園に対して助成を行っております。さらに人材の確保、定着が円滑に図られますよう、国の新たな助成制度を活用した処遇改善への支援につきましても具体的な制度設計について検討を進めているところでございます。
 県といたしましては、今後も地域の実情に応じたさまざまな保育サービスと幼児教育の充実についてさらなる取り組みを進めまして、安心して子供を産み育てられるふじのくにづくりを全力で推進してまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 本県産業を担う人材の確保・育成についてお答えをいたします。
 県では、本年三月に策定いたしました産業人材確保・育成プランに基づきまして、直面する人材不足に対し中小企業の採用活動を支援するため企業と求職者の橋渡しを行うコーディネーターを県内九カ所に配置し、昨年十二月から本年三月までに五十社九十七人の就職につなげております。また業界団体などがみずから立案、実施する人材確保対策への支援を強化し専門のアドバイザーの助言を介して、例えば女性が生き生きと働く姿を伝える動画の配信など現場の声を踏まえた効果的な取り組みを促進しております。
 新卒、既卒者の人材確保のためには、この六月十四日に新たに東洋大学を加えて二十一校となりました大学との就職支援協定に基づく取り組みの一層の充実を図るとともに、「三十歳になったら静岡県!」をキャッチフレーズにSNSや同窓会組織などを効果的に活用した取り組みの推進を図っているところであります。
 さらに、中長期的な視点から日本一の実学の府を目指した職業能力開発短期大学校の設置や女性や高齢者など多様な人材のライフスタイルに合わせた新しい就労モデルづくり、教育委員会と連携いたしました子供たちの生きる道としての職業を学ぶ環境づくりなど、将来を見据えた人材の確保・育成対策にも積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 芦川農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(芦川敏洋君) 水産王国静岡の持続的発展に向けた取り組みについてお答えいたします。
 静岡県水産振興条例(仮称)等による施策推進及び静岡県水産技術研究所についてでありますが、本県水産業が置かれた厳しい状況を克服するため、現在会派において本県水産業界全体を見据えた条例を検討していると伺っております。県といたしましては漁業者のみならず水産加工業や水産流通業など、水産に関係するあらゆる産業の皆様が連携を緊密に図って水産振興を進めていくことが大変重要と認識しております。
 このため、水産資源の適切な管理を推進していくとともに次世代漁業を担う人づくりとして漁業就業者の確保・育成・定着に取り組んでおります。また水産業の所得向上のため水産物の高付加価値化や新たな地場流通ルートの開拓、観光と連携した消費拡大策など、生産・流通・消費の各段階に応じた販売単価向上対策に取り組んでおり本県水産業の振興に努めてまいります。
 また、水産技術研究所では水産資源の的確な把握や漁場予測技術の開発とともに、新たな施設の機能を十分に活用して資源増殖技術や加工技術の開発を強化してまいります。あわせて展示室につきましては五月の一般公開以降多くの来場をいただいており、県民の皆様に親しまれる施設となるよう来月には展示室の愛称を募集するとともに、地元焼津市などからの強い要望を踏まえ休日開館に向けての準備を進めており地域のにぎわいづくりにも貢献してまいります。
 県といたしましては、新たな研究所の技術開発力を十分発揮させながら本県水産業の持続的発展に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 子育て支援の充実についてのうち、こども医療費助成についてお答えいたします。
 こども医療費助成は、子育て家庭の経済的負担の軽減を図り安心して子供を産み育てられる環境を整備するため県と市町が連携して取り組む重要な施策であることから、本年四月二十四日に発表された市長会、町村会の共同声明を踏まえ県と市町の間で協議を行うことといたしました。市町からは制度の役割が福祉施策から少子化対策に変わってきていること、県制度に設けている所得制限を全市町が独自に撤廃しており県制度に該当するか否かを確認するためだけに県民に手続の負担が生じていることなどの御意見をいただいたところであります。
 福祉施策から開始した本制度でありますが、早期受診による重症化予防という保健衛生施策、子育て世代の経済的負担の軽減という少子化対策などの側面をあわせ持つものであることから、実施主体である市町と協議を重ねよりよい制度に向け検討してまいります。
 県といたしましては、県内どこでも安心して出産、子育てができるよう「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、障害のある方との共生社会の実現についてのうち、静岡県手話言語条例を踏まえた取り組みについてであります。
 手話を使用し生活している方にとって、手話は情報の取得やコミュニケーションを確保する大切な言語であります。こうした条例の趣旨を踏まえ、これまで以上に県民の皆様に手話についての正しい理解を広め手話を使いやすい環境の整備を図るなど手話の普及に取り組む必要があります。県ではこれまで手話を使う方が日常生活の中で不便を来すことのないよう手話通訳者の養成を進めるとともに、全国に先駆けて県内全ての市町で手話通訳者の派遣体制を整備したほか市町の受け付け窓口への手話通訳者の配置などを働きかけてまいりました。また三月三日の耳の日にあわせて小学生に対する手話体験教室の実施や講演会の開催など聴覚障害に関する県民の理解を深めてまいりました。
 条例制定を受け、健康福祉部の全職員を対象とした手話入門講座や新規採用職員研修を通じて手話に対する理解を深めており、今後SDOを活用した研修などにより知事部局全ての職員に取り組みを拡大してまいります。また教育委員会では条例の趣旨や内容を掲載したリーフレットを小中学校、高等学校及び特別支援学校に配布するほか、教職員の研修等において手話表現を学ぶ機会を設けるなど手話の理解促進に努めてまいります。警察本部におきましても聾者等の障害のある方に対する対応要領を定めて職員に周知するとともに手話通訳者等の派遣体制を整備しております。
 さらに、本年度新たに設置した聾者や手話通訳者、教育委員会、民間事業者などで構成する静岡県手話言語施策推進協議会で御意見を伺いながら、県民が手話を学べる動画の作成など実効性のある施策を実施することとしております。
 県といたしましては、こうした取り組みにより県民への手話の普及を促進し、聾者を含む誰もが地域の一員として共生できる社会の実現に向け全力で取り組んでまいります。
 次に、障害のある方とその家族への配慮についてであります。
 県では、昨年四月に静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例を施行し、障害のある方の不便さを取り除く合理的な配慮の提供の徹底に取り組み、障害の有無によって分け隔てられることなく障害のある方もない方も全ての人にとって優しく暮らしやすい共生社会の実現を目指しております。
 昨年度、県や市町の障害者差別解消相談窓口におきましては二百件余のさまざまな相談が寄せられております。例えば学習障害の子供を持つ母親から授業中の配慮を求める相談に対し、タブレット端末の使用ができるよう学校と調整した事例など必要に応じて関係機関との調整や連絡などの対応をしております。今後は毎年開催しております障害福祉関係団体等との意見交換の場などにおいて施策に関することだけでなく、少しの配慮により改善できる課題につきましても丁寧に聞き取りを行うとともに、県で対応できない場合は福祉、教育、医療等の関係機関で構成する市町自立支援協議会に情報提供し、課題や対応事例を共有していくことにより障害のある方とその御家族の日常的不便さの解消を図り、誰もが生活しやすい共生社会の実現に努めてまいります。
 次に、医療人材の確保と地域偏在の解消についてであります。
 医師の確保につきましては、これまで累計で千人を超える医学修学研修資金制度の利用者があり県内勤務者が前年から六十二人増の三百六十五人となるなど取り組みの成果が着実にあらわれております。しかしながら地域偏在の解消には至っておらず、今後、新専門医制度に対応し医師不足地域において医師の確保及び定着を図るためには、大学や病院と協力して若手医師にとって魅力ある専門医研修が実施できる体制を整備していく必要があります。
 県ではこれまでも、病院の研修経費や指導医手当の助成、県外大学との協定による指導医の確保を行ってきたほか、県立総合病院に建設した先端医学棟を初めとした高度先端医療の機能強化や研究の充実などにより医師が魅力を感じる環境整備を図ってまいりました。さらに本年度から医師の適正配置を図るため、浜松医科大学と連携して各医療圏別や診療科別の必要人数を明らかにし地域のネットワークを構築することで専門医研修の指導体制の充実を目指してまいります。
 今後も、大学や病院等との協力、連携により各地域で医師を育成する基盤を充実させ医師の地域偏在の解消に取り組んでまいります。また看護職員の確保につきましては、静岡県看護協会等と連携しながら新人看護師を中心とした離職防止や潜在看護師の再就職支援に係る研修の実施などきめ細かな対応を図ってまいります。
 県といたしましては、大学や病院、県医師会を初めとする関係団体等と密接に連携し医療従事者の確保について積極的に取り組み、県内のどこでも必要な医療を受けられ安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇)
○十八番(塚本 大君) 御答弁ありがとうございました。
 一点だけ再質問をさせていただきます。
 水産王国静岡の持続的発展に向けた取り組みについての中で水産技術研究所の展示機能について質問させてもらいました。今、御答弁では開館以来多くの方が訪れているということ、そして今後、休日開館に向けて話を進めているということで御答弁いただきました。
 私のところにもこの先月の八日、水産技術研究所が開館した前後ぐらいから、せっかく展示機能をつくったと聞いたけれども何で土日休みなんだ、土日に普通にぎわいづくりだったら我々家族で子供を連れて行きたいと思うのが普通じゃないかと、そういう苦情にも似た問い合わせがありましてそういった方々から話を聞くと、県のほうにもそういった問い合わせをしているんだ、こういうことでございました。恐らくそうしたところに敏感に反応していただいて検討を進めてきて、恐らく間もなく休日も開館ということになるんだと思います。
 今、表現が休日開館ということだったものですから確認をしたいと思うんですが、土日があけられるという解釈でよろしいですか。これ休日と言ったものですから土曜が含まれるのかどうかなというのがちょっと心配だったものですからその確認と、そうしますとこれどこかほかに平日で休みをとるということになるのか、年中無休ということはないでしょうからその辺の検討の状況を開館して約二カ月ぐらいたつものですから、かなりその辺も細かく詰めてくれているんじゃないかなというふうに思うもんですから、土日が開館になったことによってどこか休みをつくるのかとかその辺の検討状況をもう少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 水産技術研究所の展示室の休日開館についての再質問についてお答えをいたします。
 これは休日開館には土曜日ももちろん含まれます。
 それから詳細な検討状況でございますけれども、現在運営方法や管理形態、それから施設の警備、それから緊急時の避難体制等につきまして具体的な調整を行っているところでございます。
 県といたしましては、こうした調整を速やかに進めましてできるだけ早い時期に休日の開館を実施してまいりたいというふうに考えております。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇)
○十八番(塚本 大君) 次の質問に移らせていただきます。
 民間活力を生かした港湾・空港の機能強化についてのうち、清水港の国際旅客船拠点形成に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 県は、去る三月二十二日にアジア最大のクルーズ船社ゲンティン香港と国際クルーズ拠点の形成に向け清水港クルーズ拠点形成協定書を取り交わしました。この協定でゲンティン香港は日の出埠頭にある上屋をみずからの投資により改修・増築し、税関、入国管理、検疫などの機能を備えた旅客施設を二〇二〇年四月の供用開始を目指して整備することとしております。
 一方、県は二〇二二年一月から二〇三六年十二月までの間、ゲンティン香港が日の出埠頭にある旅客施設前面の岸壁を年間百五日まで優先的に利用することを認めるものとなっております。ゲンティン香港の上級副社長は、富士山を臨む清水港は大きな可能性があり魅力があると清水港の可能性を大変高く評価しております。
 私も税関、入国管理、検疫などの機能を備えた旅客施設を持つ国際クルーズ拠点として、国内外の多くのクルーズ船が寄港する清水港の将来の姿を大いに期待するところです。国際クルーズ拠点形成に向けては寄港する国内外のクルーズ船にとっても、それを受け入れる我々県民にとっても、旅客施設などを中心とした利用しやすく快適で魅力あるクルーズ船の受け入れ環境の充実が重要であると考えられます。また先般県は国土交通省から清水港のクルーズ旅客の利便性確保のための補助事業について内示を受けたとの新聞報道があり、一層期待が高まったところです。
 そこで、県は当事業の活用を含め清水港の国際旅客船拠点形成に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港の将来像についてお伺いいたします。
 富士山静岡空港は、今月四日に開港九年を迎えました。これまでに五百万人を超える多くの方々に利用され、文字どおり本県の空の玄関口として成長を続けてきました。また四月十日には新国内線ターミナルの供用が開始され利用者から好評を得ていると聞いており、秋に予定されている改修工事完了後の姿も楽しみであります。
 こうした中、県では空港の運営について平成三十一年度から公共施設等運営権制度を活用した新たな体制に移行すべく取り組みを進め、三月二十八日には三菱地所・東急電鉄グループを優先交渉権者として選定し、今議会において優先交渉権者が経営の主体となる富士山静岡空港株式会社へ運営権を設定する議案などが提出されているところであります。
 公表された優先交渉権者の提案概要によれば、富士山静岡空港の将来像として地域、県、運営権者の三位一体による先導的空港経営を行い路線数の拡充などを図り、結果として空港利用者数を昨年度の六十七万人から百三十五万人に倍増させるといった積極的な目標が示されております。先行している仙台空港では新規就航も実現し、民営化前の平成二十七年度に三百十一万人だった旅客数が昨年度は三百四十三万人に増加するなど確実に実績が上がってきており、富士山静岡空港においても民間の力で空港活性化が図られ、本県経済に貢献する空港になることが大いに期待されるところであります。
 そこで、県として優先交渉権者の提案をどう受けとめ、運営権者にどのようなことを期待しているのかお伺いいたします。またこうした提案の実現に向けて、県はどのような役割を担っていくのかあわせてお伺いいたします。
 次に、二期目を迎えた教育長の決意についてお伺いいたします。
 木苗教育長は、平成二十七年五月の就任以来県が目標に掲げる有徳の人づくりに向けて教育行政の推進に尽力してこられました。特に新たな取り組みとして、民間の寄附金などによるふじのくにグローバル人材育成基金を創設し、高校生や教職員の海外留学の促進を図るとともに大学生などの地域人材を活用したしずおか寺子屋による学習支援を行うなど、県立大学の元学長ならではの地域ぐるみ、社会総がかりの教育に取り組んでこられたところであります。本年四月からは新たに策定されたふじのくに「有徳の人」づくり大綱や教育振興基本計画に基づく取り組みがスタートしたところです。
 昨今、人口減少や情報化の進展など教育を取り巻く環境は大きく変化しております。IoTやビッグデータ、AIなどを初めとする技術革新により、今後十年から二十年後には日本の労働人口の相当規模がAIやロボットなどにより代替される可能性が指摘されるなど、社会の変化は激しく予測困難な時代になると考えられます。
 このような中、私は子供たちの未来の社会を生きる力を育んでいくことが重要であると考えます。一人一人の可能性を伸ばすとともに、生涯を通じていつでもチャレンジできる環境づくりが求められています。また人口減少や労働力不足が進む中、本県の将来を担う人づくりは喫緊の課題であり、静岡県が魅力ある地域となるよう教育が果たす役割は大変大きいと考えます。
 そこで教育長にお伺いいたします。木苗教育長は二期目を迎え、本県の未来を担う人づくりに向けてどのような決意で教育に取り組んでいくのかお伺いいたします。
 最後に、交通事故を抑止するための安全対策についてお伺いいたします。
 本県における交通事故は、数字上全体的に減少しているものの交通死亡事故の半数以上は高齢者となっています。
 私の地元焼津市では、四月十三日から六月十二日までの二カ月間で六件の死亡事故が発生しており、この数字は昨年一年間の焼津市内の死亡事故件数に相当します。そしてこのうち三件は高齢者の自転車事故だったとのことです。また中高校生の自転車事故は例年五月から七月に多発するとも聞いております。報道によれば二〇一六年における本県高校生の通学中の自転車事故件数は全国ワースト一位で、その他の年も余りよい状況ではないと聞いております。
 自転車に関連する交通事故が後を絶たない状況を踏まえ、我が会派では静岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例(仮称)の制定に向けて検討を重ね、今月十四日議長に対し協議等の場の設置を要望したところであります。交通事故抑止対策に特効薬はないものの、運転免許証を持たない児童生徒や高齢者は交通ルールや法律に関する知識不足、少しの油断が事故につながる可能性についての認識不足により交通事故に巻き込まれているケースが少なくないと考えられます。このため児童生徒や高齢者が重篤な事故の被害者にならないよう、丁寧な指導教育を実施するなどの対策が必要であると考えます。
 そこで、いわゆる交通弱者とされる児童生徒や高齢者に対する交通安全対策としてこれまでどのような活動をしているのか、今後どのような方針で取り組んでいくのか、ソフト・ハード両面について警察本部長にお伺いいたします。以上について答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 民間活力を生かした港湾・空港の機能強化についてのうち、清水港の国際旅客船拠点形成に向けた取り組みについてお答えいたします。
 清水港は、世界で最も美しい湾クラブに加盟する駿河湾に抱かれた日本三大美港の一つであります。また世界遺産である霊峰富士を仰ぎながら寄港できる、まさに日本を代表する海の玄関口であります。
 この類いまれなる場の力を生かし、県はゲンティン香港の母港化と北東アジアクルーズの東日本における拠点化を目指しまして、旅客施設の整備やゲンティン香港の係留施設の優先利用等について定めた清水港国際旅客船拠点形成計画を昨年十二月に策定いたしまして、本年三月にはゲンティン香港とクルーズ拠点形成に関する協定を締結いたしました。この協定ではゲンティン香港が二〇二〇年三月までに清水港日の出地区の六号上屋を税関、入国管理、検疫機能を持つ旅客船ターミナルとして再整備することとなっております。現在施設配置や規模など整備内容の詳細な協議を進めております。
 また県は、国の国際クルーズ旅客受入機能高度化事業を活用いたしましてクルーズ船から旅客船ターミナルを結ぶ屋根つき通路の整備を行うほか、待合機能等の強化に向け四号上屋の改修、五号上屋跡地への緑地整備などを旅客船ターミナルの完成にあわせて行う予定であります。さらに国土交通省は大型クルーズ船が二隻同時に接岸できるよう岸壁等の整備を進めています。
 県としましては、国やアジアクルーズで長年の実績と豊富な知見を有するゲンティン香港との連携によりまして清水港の大きな可能性を最大限に引き出し、クルーズ船会社やお客様に高く評価されより多くの旅客や県民の皆様が集う快適で魅力ある国際旅客船拠点の形成に向けて取り組んでまいります。
 次に、公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港の将来についてであります。
 県では、富士山静岡空港のさらなる発展を目指し、公共施設等運営権制度を活用した民間による一体的かつ機動的な空港運営の実現に向けた取り組みを進めておりまして、本年三月に三菱地所・東急電鉄グループを優先交渉権者として選定したところであります。優先交渉権者から空港利用者を倍増させるという高い目標が提案されたことは、外国人出入国者数が地方管理空港で八年連続一位となる国際線に強い空港であることや本県が世界遺産富士山を初め豊かな観光資源を有することなど、富士山静岡空港のポテンシャルが高く評価されたものと考えております。
 優先交渉権者には、富士山静岡空港株式会社の株式の八割を取得し空港を運営していただくこととなります。優先交渉権者である三菱地所、東急電鉄はそれぞれ高松空港、仙台空港におきまして運営権に基づく空港事業を既に展開しており実績も上がりつつあります。民間の経営力を最大限に発揮するとともにそれぞれの実績を生かし、空港活性化に向けた取り組みを確実に実行していただけるものと確信しております。
 運営権制度の導入によりまして、県は運営権者による空港運営を監督、評価する立場となります。また滑走路等の更新費用は運営権者の負担となりますが、空港の設置者としての安全・安心な運営を確保するために一部施設の更新費用を負担することといたしました。さらに県として交流人口の拡大、本県経済の発展等に向け観光、ビジネス、文化、教育、スポーツなどさまざまな分野における交流や地域づくりを県内経済界、市町、富士山静岡空港利用促進協議会等と協力をして促進し空港の利用拡大とそれを生かした地域の活性化を図ってまいります。
 県としましては、富士山静岡空港が首都圏空港の一翼を担う空の玄関口として、また県内経済の発展や人々の交流の促進に大きく貢献できる社会資本として活力と魅力にあふれる空港となるよう、運営権者と連携をして全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 私が二期目の教育長を拝命いたしましたので、私の決意についてお答えいたします。
 私は、二期目の教育長就任に当たり、ふじのくに静岡で学びたい、成長したいと感じられるような魅力ある教育環境の整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。これまでの三年間で幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校など多くの教育現場に足を運び各学校のニーズを踏まえた施策を展開してまいりました。県議会の皆様を初め関係する方々の御理解を得て、静岡式三十五人学級編制やICTによる教育環境の整備、専門高校等における実学の奨励とともに企業等の御協力を得て高校生の海外インターンシップや留学などの事業化を積極的に行ってまいりました。今後グローバル化や情報化については一層の進展が見込まれますので、子供たちが生きる力を十分に身につけられるよう地域や大学、企業等と連携してさらに魅力ある学校づくりを進めてまいります。
 また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを見据えて、子供たちが地域の歴史、文化、産業について学び、本県の魅力を十分に理解し、誇りを持って国内外に紹介できる取り組みについても力を注いでまいります。さらに全ての子供たちが夢と希望を持ち安心して学校生活を送ることができるよう、いじめ・不登校、貧困に対する支援体制の整備、強化とともに地域人材を活用した学習支援、ニーズが多様化している特別支援教育の充実にも積極的に取り組んでまいります。
 地域づくりの基礎は人であり人づくりの柱は教育であります。県教育長として教育に求められる役割、責任の重さを十分に認識し子供たちが持つ資質を積極的に伸ばせるよう、心血を注いで職責を果たしてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 筋警察本部長。
○警察本部長(筋 伊知朗君) 交通事故を抑止するための安全対策についてお答えいたします。
 初めにいわゆるソフト面の対策ですが、県警察では児童生徒に対しては安全に道路を通行する意識を高めるため通学路の危険箇所を理解させるなどの交通安全教育を行っているほか、自転車の事故防止を図るため基本的なルールや加害者となった場合の責任の重大性を周知させるなどの交通安全教育を行っております。
 一方、高齢者に対しては加齢に伴う身体機能の低下を自覚し交通ルールを遵守した安全な行動をとっていただくよう交通安全教育車や交通安全教育機材を活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を行うとともに、そうした機会が少ない方に対しては御自宅を訪問して御本人と家族に対する指導を行っております。また運転者に対する取り組みとしては、歩行者・自転車事故防止に効果が高い横断歩行者妨害、一時不停止等の指導取り締まりを強化するとともに本年導入した可搬式速度違反自動取締装置を効果的に運用し、生活道路、通学路の走行速度の抑制に努めているところであります。
 次に、いわゆるハード面の対策ですが歩行者、自転車の通行の多い道路における歩車分離式信号機やボタンを押すことにより歩行者灯器の青時間を延長することができる高齢者等感応式信号機の整備、生活道路の速度抑制と通過交通排除に効果があるゾーン30の整備、道路管理者と連携した自転車専用通行帯等の整備を推進しております。
 県警察といたしましては、今後も引き続き関係機関団体と連携した総合的な取り組みを推進し交通弱者の交通事故抑止に努めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 塚本 大君。
       (十八番 塚本 大君登壇)
○十八番(塚本 大君) 御答弁ありがとうございました。
 一点要望と一点再質問させていただきます。
 まず要望ですが、交通事故を抑止するための安全対策についてでありますけれどもハード・ソフトそれぞれ御説明をいただきました。ソフトのほうではさまざまな交通安全教育を行っているよということでございましたので、そうした活動をしていただいて少しでも事故を減らしていただければいいな、そういうふうに思います。またハード面についてもさまざまな関係機関との連携を図りながら取り組んでいただけるということの中で、幾つか信号機も含めてハード面お話をいただきましたけれども、やっぱり一番理想なのは事故が起きるようなところは根本的な道路改良とか交差点改良そういうのができればいいんだろうなと思います。ただいろいろな事情でそういうところができないというところについては、やっぱり交差点のカラー舗装だとかあるいはここは危ない交差点なんだよということを知らせるための看板の設置とか、そういったことも効果があるんじゃないかなと思います。そうした取り組みの費用というのがどうしても道路管理者のほうで負担するもんですから、警察サイドのほうからはそういうのが効果があるよというアドバイスはしにくいのかもしれないですけれども、事故が起きないということが一番大事なもんですから、ぜひそうした作業が効果があると見込まれる場合には積極的に道路管理者のほうに警察のほうから働きかけをしていただきたいというふうに思います。要望させていただきます。
 一点、再質問は富士山静岡空港の将来像についてであります。
 先ほど、私質問で県はどのような役割を担っていくのかということを質問させていただきました。知事のほうからさまざまな御答弁いただきましたけれども、せっかく知事が御答弁してくれたのに一点重要な要素が欠けているんじゃないかなというふうに、私感じた点があります。それが再質問させていただきたい内容なんですけれども、私今までここで富士山静岡空港絡みの質問を何回かやらせていただいております。知事のほうからは東京オリンピック・パラリンピック開催までに新駅設置実現を目指していくという大変力強い御答弁を今までいただいておりますが、きょう将来像について聞いた際にその中に新駅が全く触れられておりませんでした。私としては富士山静岡空港の将来像を語る際に、そこに新駅があるのかないのかは大変重要な要素だというふうに思っております。
 そこで、知事にお聞きをしたいというふうに思いますが、この新たな制度導入後もこの新駅設置実現、これを目指して県の役割として責任を持ってきちんと取り組んでいくという解釈でよろしいのかどうか、せっかく知事に御答弁いただきましたのでこの点については知事から御答弁をいただけたらというふうに思います。以上、答弁を求めます。
○議長(渥美泰一君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 空港新駅についての再質問ありがとうございました。
 平成二十三年の春にリニア中央新幹線のルートが決まりまして、そのときに交通政策審議会中央新幹線小委員会は既存の新幹線の利用の仕方についても触れております。そこには当然ダイヤも変わると。そうした中で新駅の可能性に触れているわけです。具体的には空港新駅のことであるということです。したがって二〇二七年、目下のところでありますが、リニア新幹線が開通したときには駅ができていていいという理解が関係者の間の持たれていると思いますが、どうせつくるならばこの間東京オリンピック・パラリンピックが開催されるとか、御嶽山の噴火があったとかさまざまなことの中で大規模な広域防災拠点にも認定されておりますので、善は急げということで私どもとしましては公益のためにこの新駅の設置を求めていき、かつJR東海ともこの認識を共有することを通してなるべく早く新駅の設置につなげていきたいとこの考えに全く変わりはありませんが、東京オリンピック・パラリンピックまでにこれを建設するというのは時間的には極めて厳しいという状態になっております。以上でございます。
○議長(渥美泰一君) これで塚本大君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により、休憩します。
午後零時 七 分 休憩   

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