本会議会議録


質問文書

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平成29年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/12/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 ビッグデータ・オープンデータによるイノベーションにつ
 いて                               
2 働き方改革と組織強化のイノベーションについて          
3 次期物流ビジョンの策定と県の取り組み姿勢について        
4 総合防災力の向上について                    
5 ボーイスカウト活動の活性化と存在意義の強化について       
6 県立森林公園の歩道整備について                 
7 トレーラーハウスを活用した移動式交番の導入について


○副議長(山田 誠君) これで良知淳行君の質問は終わりました。
 次に、三十三番 阿部卓也君。
       (三十三番 阿部卓也君登壇 拍手)
○三十三番(阿部卓也君) 皆様こんにちは。私はふじのくに県民クラブの、声はかれても情熱は枯れない、枯れることがない阿部卓也です。
 本日の質問は、全問通じてイノベーションを軸にして知恵と工夫と協働を折り込んでみました。きょうはいつものようなハニーボイスではなく、少し声もワイルドにしてハードにまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ビッグデータ、オープンデータによるイノベーションについてお伺いをいたします。
 ビッグデータの活用は、イノベーションの源泉になるということは既に国内外で実証済みであり、取り組み方次第で今後の自治体の存亡、地方の発展の可能性が大きく左右されると考えます。また政府も本腰を入れてEUなどが先行しているデータポータビリティー権などの具現化についても検討に入っており、ビッグデータ、オープンデータをめぐる動きの速さには目をみはります。その状況下において、現在の静岡県ではビッグデータを宝の山と位置づけての体制整備や施策展開は不十分だと感じています。
 そこで、今後の体制整備について以下の三点の提案と質問をいたします。
 一つ、福岡に二〇一三年十二月に発足したビッグデータ&オープンデータ・イニシアティブ九州、略してBODIKという団体がありますが、この団体は福岡市と九州先端科学技術研究所が立ち上げた研究会で人材育成、情報提供、オープンデータ化の推進、人的ネットワークの構築、ウエブサイトの構築の五つをミッションとして活動をしています。このBODIKの存在により福岡のみならず九州全体のビッグデータの活用力が上がり、人材も集まり始めているという成果があります。
 これに倣って、静岡県としても例えば産官金で構成されている産業成長戦略会議のように産官学の専門家など多様な人材で構成されるビッグデータやオープンデータを研究する組織体の構築を早急に検討すべきと考えます。
 二つ目、またオープンデータ化についてはただ単に情報を開示すればいいというのでなく、その情報を開示することによって目指す成果を明示してアイデアの募集を行うなどのセカンドアクションが必要と考えます。例えばデータの開示量こそ多いが余り成果は見られていない府県がある一方で、佐賀県の佐賀県警は詳しい事故状況についてのデータ開示を日本で唯一行い、そのデータについてのアイデアソンを行い原因分析や効果的な交通安全対策の作成に取り組み成果を上げています。このように自治体は情報開示に際してきちんとマイルストーンを置いて必要な成果や戦略目標を定めたり、アイデアソンなどいわゆるイノベーションを起こすような仕掛けが必要と考えます。
 三つ目、一方で情報開示と利用はプライバシーとの微妙な関係にも十分に配慮せねばなりません。データの活用促進とは表裏一体でもあるプライバシーの保護については慎重に、かつより深く議論が必要だと考えます。以上について答弁を求めます。
 次に、働き方改革と組織強化のイノベーションについて伺います。
 現在、日本では少子高齢化が進み女性の社会進出の重要性が叫ばれていますが、民間企業ではその対策として具体的に効果を上げているのが実は働き方改革にあるということを御存じでしょうか。
 そこで、静岡県の重要課題の少子化対策、女性活躍の実現、そして富をつくる産業育成の三点について働き方改革という切り口で県の組織強化のイノベーションを提案いたしたいと思います。
 最初に断っておきますが、「働き方改革」イコール「早く帰れ、以上」ではだめです。そうではない実例を御紹介しますと、大和証券では二〇〇七年からトップが覚悟を決めて十九時退社を徹底したことにより生産性が上がっただけではなく、女性行員が子育てしながら仕事を続けられるようになり出生率もアップしました。またリクルートホールディングスは働く場所改革を行い、テレワーク導入により子育て中や介護、病人の看護をしながらでも仕事ができるようになりました。ほかにも味の素、アクセンチュア、サイボウズ、カルビーなどが働き方改革の実践により企業業績を伸ばし女性活躍を実現し出生率もアップさせています。
 そこで、そんな民間事例を参考にして三点提案です。
 一つ、知事以下幹部職員が人事担当に任せ切りではなく県庁組織の強みと弱みをきちんと把握し、足りない戦力をどう補い人材育成をどのようにするのかまずは把握し目的ある対応をとるべきです。その上で、まず隗より始めよで知事直轄組織に働き方イノベーション局を設置するくらいの本気の取り組みが必要と考えます。
 二つ、次に国の官民交流制度に倣って民間からの受け入れ枠をふやすなど県庁人事ピラミットで不足している中堅層の補■を行うべきと、補充を行うべきと考えます。その際特に紹介した働き方改革の実績のある会社等にお願いするなど、しっかりと目的を持ってノウハウを学べるよう人事交流のターゲティングは必須です。
 三つ、国からの出向ポストについても戦略性が必要と考えます。具体的に一例を挙げると現状本県は経済産業省からの出向が途絶えて久しい状況です。富をつくるのであれば最新技術や情報を持ち、特にIT関連の政策立案や本省、外郭団体ともに研究機関や民間への各種補助金制度などを持つ経済産業省からの出向者を要請すべきと考えます。
 以上の提案と、時間という資源に着目することはイノベーションであり、よいイノベーションが生ずる条件は多様性にありということを申し添えて答弁を求めます。
 次に、次期物流ビジョンの策定と県の取り組み姿勢について伺います。
 今年度をもって終了するふじのくに戦略物流ビジョンにかわる仮称新ふじのくに物流ビジョンの骨子が先月十七日に示されましたが、そもそも現状のトラック業界は人手不足と過重労働が問題視され、一方で近年のネットショッピング等の増大などによって宅配ニーズの増大や配送のスピード化が求められるなど物流現場の過酷さは増しています。
 そこで、本県が物流を基幹産業と位置づけていくために問題点を整理しつつ以下の事項を新ビジョンに盛り込むべく提案をいたしたいと思います。
 一つ、まず最大の問題点がトラック協会に加入している会社と加入していない会社の二重構造。今までの商習慣により荷主優位の構造があること。これらはつまり業務契約環境において、トラック協会が労働環境の改善などを目指して契約料金のべースアップを求めても加入していない会社が仕事を得るために劣悪な条件でも契約をしてしまうという二段底構造を生み出してしまっており、これが結局のところ荷主優位の環境から脱却できない要因にもなってしまっています。この点について国土交通省は、トラック運賃を適正にするために待機時間を対価に反映することなどトラック運送の事業環境の改善を五年ぶりに改正した総合物流施策大綱に盛り込み、トラック運送約款の改正にも乗り出しています。これらの動きを受けて、県としてもトラック業界の構造改善のために業界と一体になって取り組む姿勢を明示すべきと考えます。
 二つ目、次に物流に優しくない道路施設環境という問題点があります。これについては高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに加え基幹道路の道の駅等ではトラックの駐車スペースの不足が周辺への違法駐車や運転手の過重労働が発生する温床となってしまっていて、この点については特に本県が日本で最も重要な物流大動脈であることを鑑み県管理道路は当然ながら国、市町、NEXCOなどの道路管理者との協働が必要です。先日報道されましたが、既にNEXCOは愛知県で事前予約制の大型車駐車場を豊橋市の料金所跡地に設置することを決めました。このように物流業に優しい道路環境づくりについて県が呼びかけ役になっての共同での調査研究、対策づくりが必要と考えます。
 三つ目、もう一つ問題点としてIT化など技術革新への対応のおくれがありますが、これは業界全体の新技術の導入促進援助に県としても積極的に関与することが基幹産業としての物流業を位置づけることとなると考えます。さらには県内物流の最効率化を目指しITなどの新インフラを活用した新しい形の物流拠点、例えば近未来型の自動運転対応ステーションなども視野に入れて構想、構築すべきと考えます。
 四つ目、最後に以上三点を具現化するために担当理事や専門所管課を設置することも必要と考えます。
 以上、四点について提案し新たな物流ビジョンの策定と県の取り組みについて伺います。
 次に、総合防災力の向上について伺います。
 平素より知事も防災は県政の最優先事項とされていますので、あえて厳しめの私見を申し述べ質問とします。
 九月議会において、地震防災センターのリニューアルについての予算を認めたわけでありますが、その際の審議を通して県の防災関連施設の維持管理や配置計画が行き当たりばったりで中長期戦略が欠落していると痛感いたしました。またかねがね静岡県は防災先進県と自負している割には現場での訓練内容が画一的で工夫がなかったり、発災時の人員配置計画が実動的でなくずさんであると感じています。
 そこで、以下六点について提案をしたいと思います。
 一つ、危機管理部の所管施設に限らず発災時使用する県関連施設の目的と機能について再度検討、点検し、今後の設備改修計画などを県の防災力が底上げできるような戦略設定をすべきと考えます。
 二つ目、発災時使用する県関連施設に配置されている人員の発災時の役割を明確化していくことが必要です。
 三つ、消防団、水防団の設備や能力の向上のために既に一部導入が始まっているドローンやオフロードバイク、非常用ボートの導入を一層強化、推進すべきと考えます。
 四つ、先日行われた地域防災の日の取り組みにおいても改善が必要です。課題としては、現状の訓練では地域特性が乏しくもっと実践的な訓練が必要とされているので、防災ボランティア団体等の協力も得てDIGやHUGのさらなる実施推進や発災時の昼間特に戦力になり得る中高生を対象としたメニューの充実を考えるべきです。また中学、高校への参加の徹底が不十分であり、当日部活動の大会や練習を平気で実施している学校や競技団体もあり県として地域防災訓練への参加の呼びかけの徹底が必要と考えます。
 五つ、避難所対策についても最近の阪神・淡路、東日本、熊本地震などの災害対応に照らしてみると静岡県としての準備の中で特に避難所の備蓄及び運営体制は不十分であると感じています。
 まずは、三つの大災害での避難所の実態を鑑みて備蓄量及び備蓄品を地域性に応じた内容に見直しをする必要があると考えます。また避難所の収容力不足やトイレ問題も深刻で、結果、車中泊などが生じエコノミークラス症候群などを発症して災害関連死に結びついています。さらには多く避難所に指定されている学校では体育館の使用を想定していますが、収容力不足から教室の使用をしている例が多く見られます。これは事前に教室の使用も想定してのルールづくりをしておくことが必要だと考えます。このように避難所の体制、運営の見直しは急務であります。
 六つ、東日本、熊本地震の実情を分析してみると顕著であるのはボランティアの不足です。ボランティアの主な戦力は若者でありますが、近年の若者人口の減少と若者の経済状況の悪化によりボランティアに行きたくても行けないという状況にあるという、驚くべき状況があることがわかってきました。今回の熊本地震では、大学がバスを仕立てて学生を送り込むという事例が目立っていることが如実にその状況を物語っています。
 そこで、静岡県として全国の大学に対して平時は静岡県の場の力を生かした各種の便宜提供を図るなど学習の手助けをするかわりに、発災時はボランティアとして学生の募集と送り込みをしていただく内容の協定を結ぶことを提案します。
 以上の提案について答弁を求めます。
 次に、ボーイスカウト活動の活性化と存在意義の強化について伺います。
 ボーイスカウト活動の内容は多彩であり、どれも個人にとっても地域にとっても意義のある活動であることは皆様御承知のとおりであります。私も小学校二年生から高校まで第一線でスカウト活動をしてきましたが、その活動は献血や各種募金活動、福祉施設への慰問活動、各種スポーツ・文化大会への参画など社会貢献活動があり、また野外訓練活動では火おこし、飯ごう炊さんや料理、ロープ結び、テントサイトの設営、飲料水のつくり方や食べられる植物、薬になる植物などを学ぶなど動植物や天候変化、地形学など自然への理解促進をし人間としての生きる力を養い自然保護活動への造詣を深めるなど多彩かつ意義深いものがあると考えます。そんなすばらしいボーイスカウト活動でありますが、近年少子化や青少年活動の多様化によりこの一年でも何と七百六十一人も減ってしまうなどとても厳しい状況に陥っています。
 静岡県は、日本におけるボーイスカウト活動の発祥の地でもありますし知事は連盟長でもあります。この際ボーイスカウトの地域貢献活動をもっと評価し、また生きる力――サバイバル能力の育成とその力を地域の防災力向上に結びつけることが防災先進県をつくる近道だと考えます。
 そこで、以下六点提案します。
 一、一部の公立高校でボランティア活動を単位認定しますが、それにボーイスカウト活動を特出しして単位とすること。またその認定校を公・私学問わず県内高校に広めること。
 二、高等学校で作成するAO入試、推薦入試等の大学入試のための内申書に特記をすること。
 三、高校入試における中学の内申書、内申点にボーイスカウト活動の実績を加点すること。
 四、小中学校における防災教育や地域防災の日などで、ボーイスカウト活動中の児童生徒が先導役を担うチャンスをつくり実施した際には表彰や報奨の対象とすること。
 五、ボーイスカウトの通常活動において県立森林公園など野外施設、県有の会議室やホール等の県の施設の優先、優遇貸し出しをすること。
 六、地域防災力の向上につながるサバイバル能力の訓練でもある野外訓練において県関係者の積極的関与や民間会社、例えばモンベルやスノーピーク社などアウトドアメーカーなどとの協力体制の構築に助力すること。
 以上について提案をし、答弁を求めます。
 次に、県立森林公園の歩道整備について伺います。
 現在の森林公園の整備計画は、平成三十五年度までとなっており、老朽化施設の撤去、トイレの更新、バードピアの展示内容の更新などを行うことになっています。
 一方で、公園利用者から要望が多い歩道整備については事業の進捗がなく、場所によっては整備計画もなく利用者の声に応えていないと遺憾に感じています。
 歩道整備については、大きく二点。
 まず一点目は、歩道を現在の飛び石的なコンクリートブロック配置ではなく完全に歩道が確保される安全な分離型にすること。これは新東名高速道路の開通による森林公園利用者の増大による歩行者の安全確保という面と同時に、縁石がコケむして周辺の景観と一体化してしまっている箇所で自動車が縁石に衝突してパンクを起こすという事故も多発しているので改善が急務です。早急に予算化をして整備をしていくべきと考えます。
 二点目は、公園西側の遊歩道のない県道熊小松天竜川停車場線への歩道の新設。この県道についてはちょうど現在進行形で森林公園より北部に当たる浜松市天竜区青谷に浜松市の処分場の整備が計画されており、この施設へのアクセス道路として同県道が使用される関係で浜松市による道路拡幅整備計画が進行しています。現時点はまだ設計段階であり工事の施工は平成三十一年からと聞いていますので、浜松市と共同して同県道の森林公園側の歩道整備を計画に盛り込んで同時進行での道路拡幅、歩道整備を進めるべきと考えます。
 以上について答弁を求めます。
 最後に、トレーラーハウスを活用した移動式交番の導入についてお聞きします。
 交番の設置基準により、近年の人口急増地域、大型集客がある施設地域への新設のニーズがあってもそれに対応できない現実があると認識しています。例えば私の地元浜北区染地台には約二千三百戸から成る新興住宅街が出現しお隣の内野台と合わせて一万五千人という人口急増地帯であるものの、交番設置基準によって交番の新設は望めない状況にあります。また現状大型イベントや夏の海水浴場、富士山登山対応についてはワンボックスカータイプの移動交番が県警に九台配置され、その移動交番での対応、もしくは警備要請元の自治体等が設置した建物を使用していると聞いていますが、静岡県ではこの先ラグビーワールドカップ、オリンピック、JRデスティネーションキャンペーンなど大規模な集客が見込まれる大イベントを控えており、交番機能のより充実が求められています。
 そこで、この際全国初の試みになりますが移動交番の本格型としてトレーラーハウス型の交番を導入することを提案したいと思います。トレーラーハウスの利点としては、現在の移動交番とは違い交番同様簡易ながらも勤務員の居住スペースが確保できること、また移動交番同様ニーズに対応して移動が可能なこと、また平時はさきに紹介した染地台のような人口急増地域や治安が悪化している地域に仮置きすることによってその地域の交番機能を果たして治安の維持を図れることなどなど利活用の用途は多いと考えます。
 以上の観点から、安心・安全で暮らしやすい静岡県をつくるために全国に先駆けての導入を検討すべきと提案しますが、警察本部長の答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 阿部議員におかれましては、このたびの自治功労者表彰おめでとうございました。
 お風邪を召されてしわがれ声ですがメッセージは明確に伝わりました。一日も早い御回復を祈ります。
 実にたくさんの御提言をいただきました。一つ一つ検討したいと存じますけれども、差し当たり働き方改革と組織強化のイノベーションについてお答えをいたします。
 最適な組織経営や人材の活性化のためには、職員一人一人が個性や能力を発揮できる職場環境づくりなどの働き方改革と幅広い視野、先見性、創造性を備えた人材の確保と育成が重要です。
 働き方改革につきましては、ことしの初めになりますが一月四日――仕事始めの日であります――私と幹部職員によりイクボス宣言を行いました。全ての職員が仕事には働きがいを、生活には生きがいが感じられるようにワーク・ライフ・バランスを推進することを内容とするものです。これを受けて立ち上げたのが吉林副知事をリーダーとするイクボス会議でございます。このイクボス会議による部局横断的な取り組みに加えまして、新しい取り組みといたしまして時間や場所を柔軟に選択できる時差勤務の導入、サテライトオフィスの開設、また事務事業の見直しによる時間外勤務の縮減などに取り組んでまいりました。
 来年度は、働き方改革を推進する専任チームの設置を検討しております。ICTの活用によるテレワークやフレックスタイム制の導入など、多様な働き方の実現に向けた取り組みを全庁を挙げて集中的に進めてまいります。また新たな総合計画に掲げる政策の推進とそれを裏づける財政運営の連携をさらに深め、限られた資源で最大の効果を生み出す組織づくりを進めて美しいふじのくにづくりに向けた施策を迅速かつ効果的に展開してまいる所存であります。
 社会経済環境が大きく変化する中で、行政に対するニーズは一層高度化、多様化しています。こうした情勢に対応するために必要となる人材につきましては、職員を国の機関や民間企業等の最前線へ積極的に派遣しております。県の業務の中では得ることのできない幅広い視野、経営感覚、コスト意識を習得させているところであります。さらに防災、金融、情報等の職務経験者の採用や専門分野の研究を行う任期付職員の採用によりまして危機管理、産業振興などさまざまな分野に配置しているところであります。
 国の職員の受け入れにつきましては、県におきましては本県の行政課題に的確に対応できる高い専門性を有するとともにこの経験を国の施策へとフィードバックできる人材であることが必要です。また国におきましても、現場感覚を肌で感じ施策を地域のフィールドで実践していくため本県への派遣を提案されることがあります。このように互いにウイン・ウインの関係となることが重要であり、必要に応じて対応してまいります。
 議員の言われる、多様性がイノベーションの源泉であるということは賛成です。今後ともさまざまな手法により多様な、そして優秀な人材を確保、育成に努めます。また時間がイノベーションの資源であるというのもそのとおりだと思います。同じ一時間でも、のんべんだらりと過ごすのとモチベーションを持って過ごすのでは全く仕事の効果が違うわけであります。
 働き方改革を強力に推進することで、職員のモチベーションを通して組織全体の生産性を向上させ、日本一働きがいのある働きたい県庁の実現を目指し組織体制の強化を図ってまいる所存であります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 次期物流ビジョンの策定と県の取り組み姿勢についてお答えをいたします。
 本県は、巨大都市圏のほぼ中間に位置し東名、新東名高速道路を初め駿河湾港、富士山静岡空港など陸・海・空の交通ネットワークが充実し物流事業を展開する上で全国有数の優位な環境を有しております。本年度ふじのくに戦略物流ビジョンの最終年度を迎えることから、今後十年を展望した新たな物流ビジョンの策定を進めております。
 現在、技術革新の急速な進展により物流を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。トラックの隊列走行、自動運転、小型無人機、いわゆるドローンによる物資輸送などの実証実験が進んでおりロボット技術の進展やAI、情報通信技術の活用により近い将来物流における自動化や省力化が飛躍的に進むことが想定されます。
 一方、物流業界の現状は厳しさを増しております。宅配便の取扱量や再配達が増加する中で荷受けの制限や配送の遅延など物流サービスの低下が懸念されております。また議員御指摘のとおり業界の構造や商習慣の影響もあり低賃金、長時間労働による労働生産性の低下、人手不足が加速しています。またトラックの駐車スペースの不足がトラックドライバーの労働環境や効率的な配送の悪化につながっている実態もあり、物流の視点から交通インフラや都市環境の改善を図ることも必要であります。
 新ビジョンでは、こうした物流を取り巻く環境の変化や課題を踏まえ十年後の目指す姿として未来型物流システムの構築による豊かな暮らしの実現を掲げ、今後四年間に取り組む具体的な施策を盛り込んでまいります。今後議員から御指摘のあった、あるいは御提案のあったトラック業界の構造改善や物流業に優しい道路環境づくり、新技術導入への支援などにつきましてどう取り組んでいくかを検討し新ビジョンに位置づけてまいります。また新ビジョンの推進にふさわしい組織、体制につきましても、あわせて検討をしてまいります。
 本県にとりましては、物流はものづくりを初めとするさまざまな産業を支える基幹産業の一つであります。物流業界、関係者とも連携しながら本県経済の活性化をリードする物流の実現に向けて新ビジョンの策定と推進に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) ビッグデータ、オープンデータによるイノベーションについてお答えいたします。
 近年の情報通信技術、いわゆるICTの発展は目覚ましく特にIoTなどによるデータ収集能力の飛躍的な高まりによりビッグデータを初めとする多様なデータが蓄積され流通し始めており、今後データの利活用が経済を牽引し主導する本格的なデータ大流通時代の到来が見込まれております。
 このような状況を踏まえ、現在策定を進めております次期高度情報化基本計画――ICT戦略二〇一八・官民データ活用推進計画におきましてはデジタルデータの流通、利活用の促進、民産学官の連携によるオープンイノベーションの促進を基本戦略として位置づけビッグデータやオープンデータの利活用環境の整備を積極的に推進することとしております。
 議員からの御提案も踏まえ、具体的な取り組みといたしましては県がICT事業者や行政機関等とともに本年五月に設立したふじのくにICTフォーラムにおきまして、ビッグデータ等の利活用に係る情報の共有化やビジネスマッチングを推進するなど産学官のさらなる連携強化の取り組みを展開してまいります。またオープンデータにつきましては県民の皆様が利活用しやすいよう県が保有するデータ群を検証した上で一層のオープン化を進めるとともに、県、市町、ICT事業者、学術機関等で構成するしずおかオープンデータ推進協議会とも連携し観光振興や地域防災の強化などをテーマとした住民参加によるアイデアソンを実施するなど地域課題や行政課題の解決につながるデータの利活用を推進してまいります。
 あわせて、データの活用促進に当たりましては個人が特定されないような仕組みづくりについて静岡県個人情報保護審査会において審議をいただくなど、外部の有識者の意見も伺いながら慎重に検討を行いプライバシーの保護にも万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 総合防災力の向上についてお答えいたします。
 地震や風水害などあらゆる危機事案に対して被害の軽減を図るためには、自助、共助、公助による総合的な防災力の向上が重要であると考えております。
 発災時に使用する県関連施設につきましては、施設の耐震化、非常用電源の確保等が求められることから現有施設耐震化計画や地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき計画的な整備を進めております。またこれら施設の改築、改修を検討する際には中長期的な視点から防災力を底上げできるよう全庁的に調整してまいります。
 災害時の人員配置につきましては、迅速かつ的確に対応できるよう訓練等を通じて職員一人一人の役割を確認させるとともに、防災要員の居住地と勤務地が近在となるよう配慮しております。さらに不測の事態に備え他の所属等からの応援体制の充実を図ることとしております。
 消防団におけるドローンやオフロードバイク等の整備につきましては、発災時の被害状況の速やかな把握に大変重要なものであると考えております。そのため来年度からこれらを活用した教育訓練を消防学校で実施するとともに、緊急地震・津波対策等交付金などにより消防団の資機材整備を担っている市町を支援してまいります。
 地域防災訓練への中高生の参加につきましては、市町や県教育委員会等に協力を要請してきたところであり昨年度は中学生で六七%、高校生で四九%の参加がありました。今後もできるだけ多くの中高生に参加していただけるよう努めてまいります。またDIG、HUGを使った中高生の演習の実施は一部に限られておりますので、さらに多くの中高生に体験してもらえるよう一層の普及に努めてまいります。
 避難所の対策につきましては、熊本地震等の教訓を踏まえ現在避難所運営マニュアルの改定を行っているところであります。この中で物資やトイレについて地域の実情に応じて確保することや教室等の使用については学校等の施設管理者と事前に協議することなどを盛り込み、避難所の運営体制の向上を図ってまいります。
 大学とボランティア派遣の協定につきましては、学生ボランティアが共助の担い手として大変重要と考えておりますので、まずは県内の大学と災害時の協定を締結するよう調整を行ってまいります。
 県といたしましては、さまざまな取り組みを通じ県全体の防災力の一層の向上に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) ボーイスカウト活動の活性化と存在意義の強化についてお答えいたします。
 ボーイスカウト活動は、自発的に行動することにより健康増進や社会奉仕ができる能力と人生に役立つ技能を獲得するとともに誠実に勇気を持って人道主義を実践できることを目的としており、本県の教育の基本理念である有徳の人づくりにも通ずるものであると考えております。また国立青少年教育振興機構の調査では自然体験や生活体験が豊富な青少年ほど自己肯定感や正義感、思いやりが見られることから、ボーイスカウト活動は青少年の健全育成に大きな貢献もしているものと認識しております。
 県教育委員会では、これまで指導者の養成やジャンボリー大会などへの指導者派遣について支援しているほか通学合宿等の授業にボーイスカウトの協力をいただくなど、連携して青少年の健全育成を行ってきたところであります。しかしながら、体験活動の推進を先導してきたボーイスカウトを含めた青少年団体へ加入する子供の数が年々減少傾向にあります。
 こうした状況を踏まえ、議員からはボーイスカウト活動に関する御提案をいただきました。個々の提案を実現するためにはいずれも検討の必要はありますが、ボーイスカウト活動を初めとする青少年団体が行うすぐれた活動について学校においても積極的に評価しさらに地域の防災力の向上にも結びつけることなど重要な視点であると考えております。ボーイスカウトを初め青少年団体の活動は青少年の健全育成に大きく資するものであります。それゆえ議員提案の趣旨を踏まえましてさまざまな機会に団体の紹介をするとともに、県教育委員会との共同イベントなどを通してボーイスカウトの存在意義の理解につながるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 県立森林公園の歩道整備についてお答えいたします。
 子供から大人まで年間約八十万人が来園し県内外の人々の憩いの場として親しまれております県立森林公園は、施設の老朽化が進みましたことから平成二十七年度に県立森林公園再整備計画を策定し利用者の安全確保や施設の利便性と魅力の向上などを図るため現在木造の施設、遊具の改修や道路の整備などを進めております。具体的には公園内の車道におきましてはガードレールやカーブミラーを設置し、歩道には転落防止柵を設置いたしました。
 議員御指摘の飛び石的なコンクリートブロックにつきましては、歩行者と通行車両双方の安全確保の面から対応を図ってまいります。また浜松市が拡幅整備を進めております公園西側の県道につきましては、公園利用者の利便性の向上と安全な歩行を確保するため歩道整備の協議を浜松市と進めているところであります。
 県といたしましては、引き続き公園施設の安全性を高め利用者に優しい施設整備を進めるとともに、県西部におけます自然ふれあい拠点として森林公園の魅力を活用し周辺施設と連携しながら交流人口の拡大に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) トレーラーハウスを活用した移動式交番の導入についてお答えします。
 交番は、地域の安全・安心の拠点であり、身近に交番を設置してほしいという要望が多く寄せられています。しかしながら限られた人員の中で多くの交番に勤務員を分散配置するのは交番に勤務員が不在となる、いわゆる空き交番が生じやすく、警察力の発揮という面において必ずしも適切ではないと考えております。
 最近では、むしろ交番・駐在所を統廃合して勤務員を集中的に運用するとともに、できるだけミニパトを配備して機動力を高め効果的なパトロールや駐留警戒を行い地域の安全・安心の確保に努めているところであります。加えて議員御指摘のとおり県警察ではワンボックスタイプの移動交番車を九台保有しており、各種イベント時に警察活動の拠点とする等有効に活用しております。
 移動交番の本格型として、トレーラーハウス型の交番を導入してはどうかという議員の御発案は大変斬新なものと受けとめておりますが、トレーラーハウスは運搬、設置等に相当な煩雑さが見込まれる上セキュリティーなど運用上の課題もあり、また全国的にも導入事例が見られないことから現状においてはその必要性について慎重に検討していくべきものと考えております。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 阿部卓也君。
       (三十三番 阿部卓也君登壇)
○三十三番(阿部卓也君) それぞれ御答弁をありがとうございました。
 それでは、再質問を三問と要望一点。知事に二つ。
 一つ、働き方改革と組織改革について御答弁いただきましたが、この逼迫した財政状況下でやっぱり民間や外の力をしっかりと、より取り入れて協働しないとやっていけない。そのために日本一のオープンイノベーションの組織をつくるか否かお伺いします。
 もう一つ知事に。ボーイスカウトの生かし方としてサバイバル能力とアウトドアの企業とのコラボ、これ防災力を上げる形づくりだと思いますが所見を伺います。
 CIO、ちょっと副知事に伺います。
 十二分に体制ができているのか。また、CIOとして知事ほか幹部職員とデータ社会の展望はできているか。
○副議長(山田 誠君) 阿部卓也君、時間です。
 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 働き方改革と組織強化のイノベーションについての再質問にお答えします。
 オープンイノベーションの組織をつくるかどうかということでございます。
 現在、いろんな各種の事業を進めるに当たっていろんな形でオープンイノベーションを活用してやっております。先ほど私が答弁したデータの活用についてもそうでございますし、農業の振興、それから商工業の振興、AOIプロジェクトであるとかファルマバレープロジェクトであるとか、いろんな形のイノベーションの仕組みを使いながら事業の推進を行っております。
 組織というのも、政策、事業を進めるためのものであると存じますので、そういった形で事業に当たり、また組織に当たり、いろんな形でオープンイノベーションの仕組みを構築する中で県の政策を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 杉保危機管理部長。
○危機管理部長(杉保聡正君) ボーイスカウト活動の活性化と存在意義の強化について、再質問にお答えをいたします。
 防災力の強化という観点で、ボーイスカウトの皆様との連携、非常に大事だというふうに考えております。そういう中で野外活動におけるアウトドアメーカーなどの民間企業との協力体制の構築につきましても具体的にどのような方法が考えられるか、まずは日本ボーイスカウト静岡県連盟の事務局等と意見交換をしていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 阿部卓也君に申し上げます。
 三つ目の質問につきましては、質問の内容が明確でありませんので答弁はございません。
 これで阿部卓也君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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