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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/07/2016

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
   教育改革                           
2 職員のコンプライアンス意識の向上について            
3 今後のユニバーサルデザインの推進について            
4 女性の活躍推進について                     
5 四千万人時代に向けた訪日外国人観光客誘客の取り組みについて
6 オリンピック・パラリンピックのアスリートへの支援について                
7 不育症治療への支援について                   
8 障がいのある人への支援について                 
9 医療電話相談事業の拡充について                 
10 県立静岡がんセンターの今後について               
11 新産業の創出について                      
12 駿河湾の世界で最も美しい湾クラブへの加盟について        
13 「静岡防災」の発刊について                   
14 共生共育を目指した特別支援教育について             
15 交通管制センターのあり方について


○出 席 議 員(六十八名)

○欠 席 議 員(一  名)


○議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三十六号から第百七十一号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、七十番 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇 拍手)
○七十番(蓮池章平君) 私は公明党静岡県議団を代表して県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長、がんセンター局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問をいたします。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてであります。
 人は教育により人間になる。社会は教育とどう向き合っていけばよいのか。教育現場にあるさまざまな課題に真正面から対峙し解決のための方途を探る改革を進めなければなりません。知事は就任以来三十五人学級の継承、推進や文化芸術に触れる機会の創出など教育改革に取り組まれ、一定の成果が見えるものの学校におけるいじめや不登校児童生徒数の増加、学力の低下、教員の多忙化など根本的な課題の解決までには至っておりません。
 公明党は、教育は子供が幸せになるためにあるとの観点から教育のための社会の実現を掲げ、国、地方が連携をとり教育現場や保護者、関係者からの声を聞き、教育に光を当て、さまざまな課題解決のための政策を提言しております。教育のための社会とは、人を育てていく教育は学校現場だけでなく社会全体で担うべき使命であるとともに、子供たちの幸福という原点に立ち社会のあり方とみずからの生き方を問い直す必要があると問題提起をしております。
 教育のための社会を提言されたコロンビア大学宗教学部長のロバート・サーマン博士は、社会において教育はいかなる役割を果たすべきかと問われ、「その設問は誤りであり、むしろ教育における社会の役割と問うべきです。なぜなら教育が人間生命の目的であると私は見ているからです」と鋭く洞察しておられます。
 我が国における学校教育は、これまで国家や企業にとって価値ある人間、組織の中で効率よく効果を発揮する人間の育成に重点が置かれ、教育が手段として使われてきたことを見逃すことはできません。教育が手段ではなく目的として、子供の幸福のための教育を社会全体で大切にしていくべきであります。学問に王道がないように教育にも王道はありません。教育改革といってもいじめや不登校、貧困の連鎖の問題、教師のあり方など教育現場でのさまざまな課題を直視し、地域住民参画のもと地域全体の課題と捉える改革でなければならないと考えます。
 そこで、教育改革にかける知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、職員のコンプライアンス意識の向上について伺います。
 本県では、平成十四年から十六年にかけて事務所運営費いわゆるプール金や簿外郵券の問題が発覚、職員が刑事事件で有罪判決を受けるなど組織的な不祥事が相次ぎ県民の信頼を大きく失いました。平成十七年にコンプライアンスハンドブックを作成し職員の綱紀粛正に取り組んだものの、それ以降も時の経過とともに意識の低下が見られ、平成二十四年には七人の逮捕者を出しております。
 昨年――平成二十七年度も、青少年環境整備条例違反や業務上横領などによる逮捕者に対する免職が三件、暴行、傷害、窃盗未遂による停職が三件、不適切な事務処理による減給二件などが発生をしております。本年度もまた虚偽申請に基づく時間外勤務手当及び旅費の不正受給による免職や未成年に対する不適切行為による停職や不適切な事務処理、暴行による戒告が二件発生しており、職員の不祥事の根絶に至っておりません。
 民間企業におけるコンプライアンス遵守は、グローバル化の進展に伴い企業間の生き残りをかけた競争が激化する中で企業の存続にかかわる問題として捉えられております。つまり組織的な不祥事があれば、三菱自動車のリコール隠しや雪印食品の食肉偽装問題のように売り上げ、利益の減少による企業活動の縮小だけでなく取引先や従業員、家族など多くの人の人生に影響を及ぼすことになります。
 一方、県、市町の自治体は、組織的な不祥事を起こしても決して倒産しない会社に例えられますがそこに大きな気の緩みが出るのではないでしょうか。県職員は県民の信頼を取り戻し富士山のような高い志を持って仕事をすることが求められております。職員の気の緩みを排し、コンプライアンス意識を高め、不祥事をどのようにして根絶していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、ユニバーサルデザインの推進について伺います。
 本年四月より障害者差別解消法が施行され、ようやく障害の有無に関係なくその人らしさが尊重されるソーシャルインクルージョンが実現されると大きな期待が寄せられています。ユニバーサルデザインは利用しやすい施設や道路、交通機関などハード面だけでなく、安心して利用できる製品やサービス、情報の提供、さらに困っている人に自然に手を差し伸べることができる心のバリアフリーの実現などソフト面の充実も求められております。
 二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され国内外から多くのお客様を迎えることになりますが、果たしてユニバーサルデザイン先進県としておもてなしができる状況にあると言えるでしょうか。現状を見ると大変厳しい状況であると危惧をしております。本県はユニバーサルデザイン先進県として副知事を推進本部長としたユニバーサルデザイン推進本部を立ち上げ、その実現に向け全庁を挙げて取り組んできたと承知をしております。しかし調査によるとユニバーサルデザインによる社会づくりが進んでいると思う県民は五六・一%でありました。実際に観光地での多言語表示も英語のみのところも多く、また駅や道路のバリアフリーも十分とは言えません。障害のある人が困っている姿を見てもどう対応したらよいかわからず戸惑っている光景も多く見られるのが現状であります。
 国では、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたユニバーサルデザインの推進に向けユニバーサルデザイン二〇二〇関係府省等連絡会議を立ち上げ、取り組みが始まったと仄聞をしております。ユニバーサルデザイン先進県である本県がその手本となるべく、今再び全庁だけでなく民間、県民総ぐるみで取り組むべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
 次に、女性の活躍推進について伺います。
 急激な少子高齢化、人口減少の進展により労働力不足が顕在化をしています。またグローバル化が進む中で日本の競争力を高めるための方途の一つとして、さまざまな分野に女性が参画しその個性と能力が生かされることが喫緊の課題となっております。国では諸課題を解決するため本年四月に女性活躍推進法が完全施行となったところであります。
 内閣府が十月に発表した男女共同参画社会に関する世論調査の結果を見ると、「子供ができてもずっと職業を続ける方がよい」と回答した人が男女合わせて全体の五四・二%に達しました。この結果は二年前の調査と比べると九・四ポイントも伸びており、女性が働くことに対する社会の意識も大きく変わってきていることのあらわれであると思います。
 しかしながら、世界経済フォーラムが十月に発表した世界各国の男女格差を比較したジェンダーギャップ指数では、日本の順位は全百四十四カ国のうち昨年の百一位から百十一位と過去最低の水準となってしまいました。内容を見ると経済、教育、政治、健康の四分野のうち教育や健康では順位を上げたものの、男女間の所得格差や議員、管理職における男女比率などから経済分野で大きく順位を下げております。
 女性の活躍を積極的に推進するための法律ができたことに加えて社会の意識も大きく変わりつつある中で、男女の格差が依然として縮まらずまだまだ女性が活躍できる環境が整っていないことについて、県の現状認識と女性の活躍推進に向けた今後の取り組みについて伺います。
 次に、四千万人時代に向けた訪日外国人観光客誘客の取り組みについて伺います。
 観光庁は先月、本年十月までに日本を訪れた外国人旅行者が推計で二千十一万三千人だったと発表いたしました。前年同期比二三・三%の増で年間二千万人を初めて超え、過去最高だった昨年の年間一千九百七十四万人を上回り本年の年間訪日客数は二千四百万人前後になる見通しが示されました。ビザの発給要件の緩和や訪日プロモーションが寄与したこと、クルーズ船の寄港や航空路線の就航が増加したことが要因と分析をしております。
 政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年に訪日客を年間四千万人にする目標を掲げており、地方への観光客誘致も視野に宿泊施設の整備など受け入れ環境の改善を進めるとしています。本県の外国人宿泊客数を見ると平成二十七年は平成二十九年目標値百六十万人を上回る百六十三万人と過去最高を記録いたしましたが、本年九月までの外国人宿泊客数は富士山静岡空港における中国路線の運休、欠航が相次いだことなどが原因で全体の三分の二を占める中国が微増にとどまり、アメリカやマレーシア、シンガポールが増加したものの台湾やタイが減少したことから約百二十九万五千人と対前年同期比九六・五%と減少、全国の動向と比べて大きく出おくれをしております。
 先日、テレビの報道で人気観光地である京都の紅葉の名所が人であふれ返り、外国人の観光客から不満の声が出ておりました。四千万人時代にはさらに大勢の観光客が押し寄せ、静かな京都の魅力さえ消えてしまうのではと懸念いたしました。
 一方、本県の世界遺産富士山、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾、海の幸、山の幸の宝の食材、それに加えてすばらしい自然の恵みの温泉などは、その魅力を上手に発信していけば多くの外国人観光客に訪れてもらえるのではないでしょうか。特に温泉には疲労回復やストレス解消、精神疲労回復などの効果を発揮し、旅の疲れを癒やすとともに元気になってもらうことができます。本県は日本一温泉利用の宿泊施設が多くあり、広域での伊豆温泉のブランド化戦略を構築し、ゴールデンルートの中間にある地の利を生かせば外国人観光誘客の可能性が広がっていくと考えます。個人観光客をターゲットとした受け入れ環境を整備することや国際情勢の変化に左右されないような安定した市場の開拓などとあわせてより魅力ある発信が必要と考えます。
 訪日外国人観光客四千万人時代に向け、観光誘客の取り組みについて、県の所見を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックのアスリートへの支援について伺います。
 ことし開催されたブラジルのリオオリンピック・パラリンピックでは、多くの日本人選手の活躍が私たちに勇気と希望を与えてくれました。本県出身ゆかりの選手も大いに活躍し、陸上の飯塚翔太選手や卓球の水谷隼、伊藤美誠選手、パラリンピック陸上の佐藤友祈選手、ボッチャ競技の杉村英孝選手、ウィルチェアーラグビーの若山英史選手など多くのメダリストが誕生いたしました。二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の本県開催や各種競技における本県ゆかりの選手の活躍に期待が大きく膨らみます。県民挙げて全力で応援をしたいと考えています。
 本県のオリンピックトップアスリートに対する支援は、指定強化選手に対して一般、大学生で年間百二十万円、高校生で六十万円を上限として二〇二〇年まで継続して支援していくとしております。特に練習環境が十分でない競技のアスリートは日常の練習会場の確保や練習会場までの交通費など大変な苦労をしております。オリンピックに照準を合わせて国際大会や国内大会への遠征費用、用具の購入などを考えると継続的に支援していく必要があります。
 また、パラリンピック競技選手の練習環境はさらに厳しく、車椅子競技などでは車椅子のタイヤのスリップ跡がつくので体育館で拒否されることがほとんどで練習会場の確保が難しく、練習できる場所までの移動経費や用具の購入などの経費負担も大きい状況と伺いました。パラリンピックのトップアスリートに対して、県は国内大会への出場経費として三万円、海外大会の出場に対して十万円、これを年に一回だけ、この支援にとどまっております。オリンピックのアスリートと比較しても格段の開きがあります。
 県では、スポーツ局を新設してスポーツの振興に取り組んでいるところでありますが、世界的な最高峰の競技会であるオリンピックは文化・観光部が担当し、パラリンピックは健康福祉部が担当するなど所管する部局がばらばらではアスリートを取り巻く状況の変化を把握したり、きめの細かい支援を行うことができないのではと心配になっています。
 多くの人に夢と勇気と希望を与えるオリンピック・パラリンピックアスリートたちへ世界のひのき舞台で思う存分力を発揮していただけるよう、きめ細やかな支援を行うべきと考えますが所見を伺います。
 次に、不育症治療への支援について伺います。
 安心して子供を産み育てられる静岡県にするため県ではさまざまな施策を推進しておりますが、不十分な点も数多くあります。子供が欲しくても産むことが難しく出産を諦めそうになっている方々への支援が必要であり、会派としてこれまで繰り返し不育症治療への支援について取り組みを求めてまいりました。
 不育症は、不妊症と比べて社会的な認知度が低いものの実は多くの女性が苦しんでいるという現状があります。厚生労働省研究班の調査では全国に約百四十万人の不育症の人がいると推計をしております。不育症は妊娠が不可能な不妊症と違って妊娠しても流産や死産を繰り返し子供をなかなか得られない症状で、主な原因はさまざまですが適切な検査や治療を行えば八割以上の患者が出産に結びつくことがわかっております。
 不育症の治療や検査には高額な費用がかかり、経済的な負担が壁となっております。こうした当事者の切実な声を受けとめ公明党の荒木清寛参議院議員が国会の場で初めて不育症を取り上げ支援を求めた結果、二〇一二年一月から治療の一つであるヘパリン注射の保険適用が実現し対策が進んでまいりました。しかし不育症治療のための染色体検査などには保険適用されないものもあり、経済的負担はまだまだ大きいと言えます。
 県は、本年度九月補正予算で不育症総合支援事業の取り組みを開始、社会の理解を深めること、患者や家族の心理的負担軽減のための支援が進むことを期待をしております。総合的な支援には検査や治療にかかる経済的負担軽減のための支援が不可欠であります。市町へのヒアリングから県で制度創設をしてほしいとの要望があり、不育症に悩む多くの方から治療に対する助成を求める声を聞いています。県内において現在十一の市町で助成制度がありますが、県内全市町で地域差なく安心して治療を受けられる環境を整えるために県として不育症治療費の助成制度を早急に創設すべきと考えます。
 県では、制度創設に向け準備を進めていると思いますが、現在の状況、来年度に向けてどう取り組むのか、前向きな答弁を求めます。
 次に、障害のある人への支援について伺います。
 障害者総合支援法の施行や発達障害者支援法の改正などにより、障害のある人に対する支援の充実が図られてきています。毎年県から国に対する障害福祉の分野の要望にはそれぞれのライフステージにおいて個々の障害特性に応じたきめ細やかな支援が必要と記載されており、その点は私も認識を共有しております。障害のある人への支援の現場を見ると改善すべき点が数多くあり、例えば障害手帳がない子供も含めた障害児の支援を目的とした放課後等デイサービスは支援する指導員に資格要件が必要ないなど比較的設立しやすく、ビジネスモデルとして民間企業の参入が相次ぎ県内にも数多くの事業所が誕生いたしました。
 このような乱立状況の中でサービスの質も事業所によってばらつきが出てきております。比較的障害程度の軽い児童から重複障害のある児童まで幅広く支援されており、身体の介助や流動食の提供などこれまでは資格要件が必要とされた支援が資格や経験の少ない事業所で提供されていることを見るにつけ、事故などが起こらないかと心配になります。
 放課後等デイサービスだけでもこのような課題が見られますが、障害のある人全般の支援についても支援決定を行う市町の中には地域生活支援事業のサービスの支給時間を減らして法定サービスへと移行させている状況を見ると、本県における障害のある人への支援はよい方向へ向かっているのか疑問に感じます。
 障害者に対する支援の向上のためには、介護保険のように個々の状況に合ったサービス等利用計画を作成することが重要でありますが、利用計画策定の報酬単価が低いことで計画策定の事業所が不足し全ての障害者の計画が的確に策定されていないことが課題として挙げられています。計画を作成する事業所への支援など国の対応を待っていては現状の課題を解決することができないのではないでしょうか。国に先駆けて障害のある人に寄り添った支援体制を構築することが県に求められていると考えています。
 障害のある人への支援の現状認識と、課題解決のための施策をどのように進めていくのか所見を伺います。
 次に、医療電話相談事業の拡充について伺います。
 本県における医療救急体制は、平成二十六年度の救急搬送のうち軽症者の搬送は五二・三%であり、必要な救急要請に対して不測の事態が起こってもおかしくない状況にあります。
 これまで公明党として医療体制の充実についてさまざまな提案を続け、小児救急電話相談事業は平成十八年七月からスタートいたしました。多くの子育て世代の皆様から夜や休日に急な発熱や嘔吐にどうしたらよいか戸惑っているときに的確なアドバイスが受けられる#八〇〇〇番の存在は心強い子育ての味方となっているとの声を聞いております。また全国で展開が始まっている大人版の電話救急相談の事業についても平成二十六年九月の議会で我が会派の田県議が取り上げましたが、県は全国で実施されているモデル事業の実施体制や実績等の検証を行いながら安心できる救急相談体制のあり方を検討すると答弁をされました。
 本年六月から福岡県は大人版の救急電話相談事業をスタートさせ、十月までの利用状況は既に累計で一万件を超え、月平均二千五百件、一日平均約八十五件と本県の小児救急相談事業と同程度の相談件数となっております。超高齢社会に向け高齢者を中心として救急の要請はふえていくことが予想されます。ワンストップで相談する体制が充実していけば救急病院への集中や救急車の出動が適正化され、救急医の負担軽減や救急車の適正な利用推進につながっていくのではないでしょうか。そのような観点からも救急電話相談の必要性はますます高まってきています。
 そこで、小児救急電話相談については十八時から二十三時までの相談件数が多く現場からはつながらないことがあるとの声が多く聞かれることから相談電話回線の増設を求めるとともに、大人版の救急電話相談の事業展開を進めていくべきと考えますが、医療電話相談事業の拡充について、県の所見を伺います。
 次に、県立静岡がんセンターの今後について伺います。
 本年、県立静岡がんセンターは開院して十五年目に入りました。患者さんの視点の重視を基本理念として「がんを上手に治す」、「患者さんと家族を徹底支援する」、「成長と進化を継続する」を理念として挑戦し続けてきました。その結果さまざまな調査で病院に対する評価として「ダイヤモンドQ」が特集したがんに強い病院ランキング五〇〇では全国二位の評価を受けたほか、「週刊ダイヤモンド」の二〇一六全国一〇〇〇病院の改革ランキングでは全国六十三位、「日経ビジネス」の二〇一五年病院経営ランキングでは全国五十三位と、がん専門病院としての評価や経営面でも高い評価を得ています。またAYA世代という十五歳から二十九歳の思春期から若年成人の年代の患者を同じ病棟に集めた国内初となるAYA世代病棟の設置、ファルマバレーセンターとの協働による医療機器の開発など先進的な取り組みを行っており、病院に対する総合的な評価は高いものとなっております。
 一方で、病院に対する期待も高く、首都圏や中部圏から患者が集中し予約がとりにくく初診まで時間がかかる、病院に行っても受診や検査までの待ち時間が長いなどの声も聞こえ、課題も出てきています。患者・家族の期待に応えるためには医師、看護師、医療スタッフのみならず事務局の職員まで質の高い医療サービスを提供することが求められ、そのための教育、研修など私たちには見えない苦労があると推察をされます。今後さらに質の高い医療を提供し患者・家族から厚い信頼を得ながら病院の運営をしていくことが大いに期待されます。
 がんセンターとして、基本理念を継続しつつ世界に雄たる病院として進んでいくため、現状の課題認識と今後の方向性について伺います。
 次に、新産業の創出について伺います。
 本県の課題は、社会的な人口流出に歯どめがかからないことであります。特に若い世代が東京を初めとする首都圏に進学し、卒業しても就労の場が少なく帰ってくることが困難であることが要因の一つであります。そうした観点から新しい産業を興していくことは本県にとって重要な政策の一つであります。
 先般、ファルマバレーセンターが開所され、研究施設や開発の拠点として大いに期待するところであります。これまでもファルマバレープロジェクトで開発された新製品が売れなければ産業として成長していくことはないと、ファルマバレープロジェクトから誕生した製品の地産地消を提案してまいりました。先日県立総合病院においてファルマバレーで開発された製品の展示会が開かれたと伺いましたが、成果はどうだったのでしょうか。
 また、環境衛生科学研究所が発見した紅茶成分のノロ消毒効果の特許をファルマバレープロジェクト支援機構に譲渡をして消毒薬の開発へとつなげる取り組みが報道され、期待を大きく膨らませたところであります。
 また、本年度県は地域再生計画として無人航空機の分野で防災先進県静岡ならではの無人航空機活用ビジネスモデル事業を検討し、既存のドローン以外の競争力のある次世代無人航空機の製造ビジネス、活用ビジネスの創出を目指すとして先般次世代無人航空機開発・実証業務委託契約が締結されたと承知をしております。本事業は本県の新産業の柱になり得る極めて重要かつ期待の大きい事業であるだけに、しっかりと成果へつなげていくことが強く求められます。さまざまな分野での活用が期待される無人航空機産業分野で先進的な取り組みが成果へとつながれば本県産業の新しい柱となり、雇用の創出、社会的な人口流出に歯どめをかけることが可能となります。
 一方で、次世代無人航空機の活用に取り組むNPO法人ふじのくにSKYイノベーションが組織され、災害対策や農林水産業、土木分野での活用に向け計画はあるものの連携は遅々として進んでいません。県内に航空関連産業を育成していくというのであれば、新たなビジネスモデルの構築、各分野での活用など現状で考えられるありとあらゆることをスピード感を持って進めていくべきと考えます。
 先端医療産業の集積や次世代の航空関連産業の育成事業をどのように成果へとつなげていくのか、現状の課題認識と今後の取り組みを伺います。
 次に、駿河湾の世界で最も美しい湾クラブへの加盟について伺います。
 十一月二日にメキシコ・プエルトバヤルタ市で開催された第十二回世界で最も美しい湾クラブ総会において難波副知事がプレゼンテーションを行い、駿河湾のクラブへの加盟が全会一致で承認をされました。世界で最も美しい湾クラブは世界遺産に登録されているベトナムのハロン湾など二十五カ国、四十一の湾が加盟する組織であり、日本国内においては二〇一三年に松島湾が、二〇一四年に富山湾が選ばれており、今回京都府の宮津湾、伊根湾とともに駿河湾が正式加盟をいたしました。
 今回の加盟により国内外の加盟地域とのネットワーク構築などにより駿河湾の魅力を世界に向けて情報発信し、富士山の世界遺産登録、ジオパーク認定との相乗効果による交流人口の増大や県民による駿河湾の魅力の再認識と保護活動の推進、駿河湾の世界的な知名度向上によるクルーズ船の寄港誘致及び利用促進などさまざまな効果が期待されるところであります。
 今後、効果的な情報発信を検討されるとは思いますが、まずは既にホームページに掲載されている駿河湾早わかりガイドやスペシャルムービーなどをページのトップに持ってくるなど今すぐできる情報発信を行うなどスピード感を持った対応を求めておきたいと思います。
 今回の駿河湾の世界で最も美しい湾クラブへの加盟によりどのような取り組みを行っていくのか、県の所見を伺います。
 次に、「静岡防災」の発刊について伺います。
 東京都は、都民が首都圏直下地震等さまざまな災害に対する備えを万全にするため、「東京防災」を作成し都内の各家庭宛てに平成二十七年九月一日より順次配布を開始いたしました。この冊子の作成目的を世界一安全・安心な都市東京の実現に向け都民の自助、共助の力をさらに向上させるために各家庭での防災に対する理解を深め災害に対する備えを万全とするとしています。我が会派は防災・減災の実効性を高めていくためには自助、共助の取り組みを強化することが重要であると主張してまいりましたが、「東京防災」の内容はその目的達成のためによく考えられた冊子になっていると評価をしています。
 防災先進県静岡県の長期間にわたる防災・減災対策の集約として、県民が自発的に行うことや東日本大震災、熊本地震などで得られた新たな視点による対策を明記し常に確認できる冊子としてまとめ、各家庭に配布して日常的に防災対策が推進されるようにすべきと考えます。多くの人が事前防災に協力することで結果として防災事業費や復旧、復興事業費の削減にもつながると考えます。内容は地震対策に限定せず近年多発する集中豪雨や台風、土砂災害などに対する具体的な備えや対応も記載する必要があり、事前の準備、発生時の対応、発生以降再建までの対応と時系列で掲載することで理解が進むと考えます。
 自助の力をどう高めていくかが重要で、「静岡防災」が完成すればこの本を教材として各学校で防災教育にも活用できます。防災を学んだ子供たちが自分の家の防災点検を初め家具の固定がされているか、自分が寝ている部屋に上から物が落ちてくるものがないかなど、保護者と話し合うことも想定をされます。防災訓練の際にも自主防災組織でこの本を活用してさまざまな訓練も可能となります。
 これまで本県では、自主防災新聞を発行するなど県民の自助、共助の力を高める取り組みを行ってまいりましたが、その集大成として「静岡防災」の発刊は県民の安心・安全の生活につながるものになると考えます。「静岡防災」発刊に対する県の所見を伺います。
 次に、共生共育を目指した特別支援教育について伺います。
 身体に障害があっても知的なおくれがないので普通学校に通わせたい。そう願い学校長に面談した際、この子は普通学級に来る子ではない、そう言われた二十数年前と比べて特別な支援が必要な児童生徒に対する教育環境はやや改善をされてきました。少子化で学校の存続が危ぶまれる時代にあって特別支援教育に求められるニーズはますます高まってきております。
 特別な支援が必要な児童生徒に対する教育環境は、改善されてきているというものの教育を受ける権利という側面や校舎の老朽化、狭隘化、通学に係る負担の大きさ、個々の能力に合った教育指導、どれをとってみても十分とは言えないのが現状です。特別支援学校では持ち物を廊下に置かざるを得ないほど教室も狭く、学ぶ環境としては極めて厳しい学習環境の学校があります。通学の環境についても遠隔地から通学する児童生徒は一時間以上かけて通学しており、往復二時間から三時間に及ぶ通学は児童生徒にとって大きな負担となっております。
 私もこれまで多くの保護者から地域の友達と同じ中学に通わせたいので特別支援学級を設置してほしい、スクールバスを増車してほしい、また特別支援学校の高等部からスクールバスに乗せてもらえなくなるのではないか、そうなれば施設に入れるか親が三年間送迎するしかないと毎日不安を抱え続けて悩んでいるなどさまざまな声を聞かせていただきました。
 学校や教育委員会との話し合いを続け、特別支援学校に通わせる保護者の思いの中には、いまだに通わせてもらえるだけでもありがたいと思っておられる方がいらっしゃると聞いています。遠くの特別支援学校に進学しても卒業後は地域に戻り地域で暮らします。居住する地域で地域の友達とともに学び成長していくことが当たり前のことであり、地域の学校で友達と学べる環境が一日も早く整備されることを願うものであります。
 相模原の障害者施設の人が理由もなく殺された事件は言語道断で心が痛くて仕方ありません。障害がある人とともに生きることこそ共生共育の最高の環境と言えるのではないかと考えます。平成二十七年度に総合教育会議が設置された際、会議のテーマに特別支援教育について全く触れられていないと注文を申し上げました。本年度は会議の中で特別支援学校生徒の就労や施設整備について取り上げられましたが、改めて共生共育をテーマとして障害のある子供が一人一人の特性に応じた教育を受け地域とのつながりを深めていくことが重要ではないかと考えております。
 静岡県の共生共育を目指した特別支援教育に関して現状をどう捉え、今後の方向性をどう考えるのか、教育長の所見を伺います。
 最後に、交通管制センターのあり方について伺います。
 警察署並びに警察関連施設は、地域の治安維持活動の拠点であるとともに、大規模な災害の発生時には地域住民の避難、救助活動を行う防災拠点として重要な役割を担っています。有事の際にその機能が十分に発揮できるよう警察署再編整備計画及び第四次地震被害想定を受け、津波浸水被害のおそれが高い警察署などの移転、建てかえが進められております。
 昨年七月、警察の交通管制センターを視察させていただきました。交通渋滞や騒音、排気ガスなど交通公害等の交通の諸問題の改善を図るため昭和四十九年に独立庁舎として設置され、ここに集約される各種の交通情報をもとに交通の円滑化を図るなど地域の生活や経済にとってもなくてはならない重要な役割を果たしております。しかしながら設置から四十二年が経過しており経年劣化による電気系統のふぐあいが発生しているほか、建物自体の老朽化により大雨の際には雨漏りが発生しているとのことであり、大規模な地震等が起これば建物の一部崩壊等により交通管制機能そのものが機能しなくなるのではと危惧を抱いたところであります。
 全国の警察では、災害発生時にその機能が十分に発揮できるよう県の災害対策本部、一一〇番の通信指令室と交通管制センターを同一庁舎に設置し危機管理の能力向上に取り組んでいます。福島県警察においても東日本大震災を教訓として、独立庁舎としていた交通管制センターを来年度には本部庁舎内に設置する予定であります。一刻を争う災害対応等において交通管制センター機能が不全となれば住民の避難誘導、緊急車両の走行、緊急援助部隊の受け入れに支障を来すことになりかねません。南海トラフの巨大地震の発生が想定されている本県の緊急時における交通管制センターの果たす役割は極めて重要であります。
 そこで、交通管制センターの現状と今後のあり方について警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 教育改革についてでありますが、私は知事に就任して以来富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政の基本理念に掲げ、その礎をなす人材の育成、徳を備えた人を社会総がかりで育てることを目的に教育改革に取り組んでまいりました。
 日本人全体が教育を大事にするようになった時代というのは江戸時代ではないかと思います。これは徳川家康公の姿勢、方針の影響があると思います。朱子学を官学になさった。朱子学の中において一番大事にされているのは大学です。それは韓国でも当時の李氏朝鮮でも中国でも一緒でした。その大学は短いものですけれども、大学は明徳を明らかにするにありとここで始まります。そして徳あれば人あり、人あれば土あり、土あれば財あり、財あれば用ありと言いまして、徳は本なり、財は末なりということを言っております。富士という字も恐らくそうしたことから現在の字になったのだと。富を支えるのは立派な人間ではなくてはいけないと、あるいは富は立派な人間をつくるために使わねばならないと。もしその意味におきましてロバート・サーマン博士が教育のための社会でなければならないと言われたのは卓見であると思いますし、同時にこのサーマン博士を引用されて社会のための教育ではなく教育のための社会でなくてはならないということを言われた池田大作先生も同じく卓見を披露されたと思います。社会のみならず政治も経済も同じです。政治すなわち権力欲を自己目的にする人、あるいは金銭欲を自己目的にする人は人品が卑しくなります。根本は人であるというふうに思うわけであります。
 そういう観点から、私は平成二十四年度には教育行政のあり方検討会を設置いたしまして、その意見書を踏まえ賀茂地区における指導主事の未配置を解消したほか、平成二十五年度の高校と大学の連携・接続のあり方検討委員会の提言をもとに大学教員の出張講座や高校生が大学で指導を受ける高校生アカデミックチャレンジ事業の実施など、まずは高校と大学の連携を進めてまいりました。
 そして、一昨年から社会総がかりの教育の検討を始めまして、昨年度総合教育会議が制度化されたことを受けて本県独自の取り組みとしてさまざまな社会の分野の有識者による地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会を設置し、総合教育会議での協議に首長の恣意を排し幅広い社会の意見を反映させる仕組みを構築したところであります。実践委員会では矢野弘典委員長を初めスポーツ、芸術、農林水産、教育などの分野で豊かな経験と高い見識を有する方々からよりよい教育の実現に向けたさまざまな御意見をいただき、これまでにグローバル人材育成基金の創設や地域スポーツクラブの設立などの事業化につなげております。
 さらに、先月十五日に開催した本年度第四回の実践委員会では、家庭教育の支援のほか貧困やいじめ等の問題を抱える子供たちへの対応など社会総がかりで取り組む教育力の向上について御議論をいただきましたので、それらを踏まえ今月二十日に開催する総合教育会議で具体的な実践に向けて協議することとしております。
 徳のある人材を育成することこそ社会の目標であるべきであります。まさに本県教育の基本理念は、本年二月に策定したふじのくに「有徳の人」づくり大綱に掲げたとおり社会総がかりによる有徳の人づくりであります。
 今後も、教育現場が抱える課題の解決に向けさらなる教育改革を推し進め、地域や世界で活躍、貢献する有徳の人を育成し、人々の夢がかなう理想郷ふじのくにづくり、世界の憧れとなる学んでよしのジャパニーズドリームの実現に邁進してまいります。
 次に、女性の活躍推進についてであります。
 国が昨年十二月に策定なさいました第四次男女共同参画基本計画におきましては、高度経済成長期に形成された固定的な性別役割分担意識により、特に働く場面におきまして長時間労働や転勤が当然とされそれが評価される男性中心型労働慣行が女性の活躍を阻害する最大の要因であると指摘しております。本県においても大きな課題であると認識しております。
 こうした労働慣行を見直し男女の働き方、暮らし方を変革していくことが、ワーク・ライフ・バランスの推進や男性の家事、育児、介護への参画の拡大につながり、女性が家庭生活を営みつつ職業生活においても活躍できる環境が実現できると考えます。県といたしましてはイクボスの普及や男女共同参画社会づくり宣言事業の推進などにより企業の経営者や管理職への意識改革を図っております。静岡県庁におきましても私も含め幹部職員がイクボス宣言を行い庁内外に向けて範を示すことが必要であると考えておりまして、来年年明け早々にもまずこのイクボス宣言をしてから仕事始めにしたいと思っております。
 また、本年三月には女性が働き続けられる環境づくりや企業の経営や競争力強化における女性活躍の推進などを目的として官民一体のネットワーク組織であるふじのくに女性活躍応援会議が発足いたしました。現在この組織が中心となりホームページやシンポジウム等を通じて女性の視点、発想が新規事業を創設した事例や、ワーク・ライフ・バランスの取り組みが離職防止、人材確保につながった事例など具体的なロールモデルの情報を発信しています。
 さらに今年度は、女性活躍推進法に基づく推進計画を策定いたします。その実効性を高めるため、経済団体などの御意見を踏まえ本県における男女間の雇用、給与の状況、女性の管理的職業への参画などの現状を分析いたしまして、女性を雇用する事業主の取り組みに必要な視点、県が取り組むべき具体的な施策等を盛り込むこととしております。
 先日開催された静岡県経営者協会との懇話会――これは平成二十二年度からやっておりまして年に三回やっているわけですが、その中で常に県下の企業の社長さんがお越しになって御説明を直接受けるという会議でありますが――その中で運送業の社長さんでありますが男性中心の職場と思われているこの運送業でも既に三十年も前から女性の積極的な採用を始めていますと。女性管理職の割合は今や政府目標の三〇%に迫る状況となっていますと。女性の視点を取り入れると新しい気づきがあって事故防止など会社の安全管理の向上にもつながったというお話を大体十人ぐらいの経営者と私ども幹部が一緒になってお伺いするわけですけれども、いずれも大変参考にした次第でございます。
 このように、今後とも現場の御意見をお聞きしながらこの計画の実現に向けて官民一体となり、さまざまな分野で女性が活躍でき、男女ともに働いてよしのジャパニーズドリームの実現に取り組んでまいります。
 次に、四千万人時代に向けた訪日外国人観光客誘客の取り組みについてであります。
 近年、訪日外国人旅行者の旅行形態は、観光庁の訪日外国人消費動向調査によれば団体旅行から個人旅行へ、ゴールデンルートから地方へと変化しており、今後の観光誘客に当たりましては変化に対応した適切な情報発信と受け入れ環境の整備に加え新たな旅行ニーズを捉えた商品造成が求められています。このため外国人旅行者の約八割を占める個人観光客の獲得に当たり、情報発信としてSNSの活用や海外メディアを招聘してのファムトリップに加えまして訪日外国人個人客の多くが利用する海外の宿泊予約サイトに本県の特設ページを設置することなどにより認知度の向上と本県訪問への動機づけを図っていくこととしています。
 また、受け入れ環境整備としては、個人観光客が安心して快適に滞在、周遊できるよう主要観光地におけるWiFiの整備や交通事業者等と連携したフリー切符による二次交通の利便性向上に取り組むとともに、ICTを活用したスマートフォン等による情報提供も進めてまいります。さらに多様化する旅行ニーズを捉え、個人客やグループ客も含め目的志向型の商品造成を行うこととし、特に本県の最大市場である中国におきましては大手スポーツイベント会社や旅行社と連携し県内マラソン大会へ参加しやすいツアーや申し込み方法などの仕組みづくり、また中国の春節時期に合わせた魅力ある旅行商品の造成により本県が旅行の目的地として選択されるよう誘客を促進しているところであります。
 来月には県域DMO静岡ツーリズムビューローを県観光協会内に設置いたします。この県域DMOは顧客視点、地域経営の視点、組織運営のプロの視点、目標達成のための継続的改善の視点を持ちましてインバウンド振興策についてマーケティングとマネジメントを行い、世界の観光客から選ばれる観光地域づくりを進めてまいります。
 今後とも、訪れてよしのジャパニーズドリームの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、駿河湾の世界で最も美しい湾クラブへの加盟についてであります。
 このザ・モスト・ビューティフル・ベイズ・イン・ザ・ワールドというクラブの存在を知ったのは、一昨年の地方の知事会においてでありました。早速その実態を調べましたところ、すぐれた自然景観を保全しながら観光振興や地域経済の発展との共存を図るというのが活動理念であるということを知りまして、これはもう本県とぴったりだということでこの理念に賛同し加盟に向けて活動したわけでございます。
 そこで、本年二月にはフィリピンのプエルトガレラ市で総会が開催されることを知りまして、そこへの出席を御許可賜り私みずから出席して加盟表明のプレゼンテーションを行いました。その結果五月に会長、副会長、次期会長がみずからこちらに視察にお見えになりまして、天気がよかったこともございましたが関係者、地元の方々、皆さんのホスピタリティーも満点でございまして全員満足してお帰りになり、フランスの本部における理事会で全会一致で決まったということでございます。そしてこの十一月二日にメキシコのプエルトバヤルタ市で開催された総会におきましては、難波副知事がそこで改めてプレゼンテーションを行いまして駿河湾の加盟が承認されたということでございます。これを受けまして、我々十一月三日文化の日に県庁本館前で多数の県民の皆様に祝福される中、加盟記念看板の除幕式をとり行ったところであります。御同慶の至りであります。
 この湾クラブに加盟する湾は、世界遺産であるフランスのモン・サン・ミッシェル湾など二十五カ国四十一湾ですが、駿河湾もこれらの加盟湾と同様世界クラスの価値がある湾との評価を得たと認識しております。今回の加盟を契機にまずは富士山を初めとする駿河湾沿岸の世界に誇れる多様な資源と世界で最も美しい湾クラブの持つブランド力を生かしまして国内外のクルーズ船社への働きかけを強化し、さらなる県内港湾へのクルーズ船誘致に積極的に取り組みます。
 また、駿河湾の魅力をさらに高めるために――沿岸は十一市町から成ります――この十一市町と県と民間とでこの推進組織を立ち上げます。年度内に立ち上げる予定でございます。まだ名称は決まっておりません。これを軸にいたしまして世界に向けて情報発信するとともに、富士山、ジオパーク、駿河湾のまさに世界クラスの価値を合わせることによる相乗効果の発現や食を初めとするさまざまな分野でこれまでにない新たな魅力、駿河湾ブランドの創造などに取り組んでまいります。
 これは駿河湾それ自体のためでありますが、一方で議員御紹介のとおり松島湾、富山湾、そして京都の湾、そして本県ということでございまして、これらの湾のネットワークを図り日本の湾の魅力をこの湾クラブを通じて世界に発信してまいりたいと存じております。この間も伊勢志摩でサミットが開かれましたので、鈴木知事にお目にかかった折にこの件御紹介申し上げましたらば大変喜ばれておりましたので、伊勢志摩湾も入る見込みがこれからはあるかもしれません。そしていずれはこの会長職は定期的にかわるということでございますので私はいずれは日本人が会長職を担いまして、そして年次総会をできれば駿河湾のこの十一市町のどこかで開催して、そして全体でつくり上げるそのネットワークを通じて世界の皆様方に日本の津々浦々を御訪問いただく、そして日本がいわばガーデンアイランズであるというそのような立ち姿をお見せしたいという夢を持っているところであります。
 県といたしましては、ふじのくにの宝物を県民の皆様が慈しみ、その魅力をますます高め、その姿が世界中から憧れを呼ぶことでふじのくにの魅力を一層高め、多くの人に訪れていただけるようにしてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 障害のある人への支援についてお答えをいたします。
 県では、障害のある方々が身近な地域で必要に応じた障害福祉サービスを利用できますように平成二十七年度から三カ年の第四期障害福祉計画を策定いたしました。市町と連携して相談支援体制の充実を図りますとともに、障害のある方々が地域で生活するに当たり必要となるサービスを十分提供できますようにグループホームや就労を支援する事業所等の整備を進めております。
 放課後等デイサービス事業所におけるサービス格差の解消につきましては、コミュニケーション面や医療的ケアなど障害の特性に応じた適切な支援が提供できますよう、国が策定した障害児支援の基本的事項であります放課後等デイサービスガイドラインの遵守を指導し一定の水準が確保されるように努めております。また障害の特性に応じた専門性の高い支援技術を全ての職員が習得できますように発達障害児者や重症心身障害児者への支援の技術や手法を学ぶ専門研修を賀茂圏域を初め県内各地で実施するなど提供するサービスの質の向上を図り、障害児者支援の充実に努めております。
 障害福祉サービスの利用を希望する方にはサービス等利用計画の作成が義務づけられましたことから、県では利用計画の作成を担当する相談支援専門員の養成を計画的に進めております。全ての方に利用計画が作成できるようにいたしました。また相談支援事業所の経営基盤が安定いたしますように報酬単価の充実を引き続き国に対して積極的に働きかけてまいります。
 さらに、県、市町や教育機関、障害福祉サービス事業所等の関係機関で構成される圏域自立支援協議会を活用いたしまして、地域のみならず広域的な課題等への対応も図ってまいります。
 今後とも、第四期障害福祉計画を着実に推進することによりまして障害のある方に寄り添った支援体制を構築し、誰もが住みなれた地域で豊かに安心して暮らすことができる魅力あるふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 職員のコンプライアンス意識の向上についてお答えいたします。
 全庁を挙げて綱紀の厳正保持に努めている中、職員の逮捕や懲戒処分が続きましたことはまことに遺憾であり、県議会を初め県民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 職員のコンプライアンス意識の向上に当たりましては、風通しのよい職場づくりを進めつつ職員同士で意識を高め合うことが重要と考え、年度当初のリスクマネジメントミーティングや六月のコンプライアンス推進月間などで職場における意見交換会等の取り組みを実施してまいりました。今回の虚偽報告による時間外勤務手当等の不正受給事案を省みますと、当該職員のコンプライアンス意識の欠如はもとより管理監督者が部下の職務や生活の状況を十分に把握せず日々の指導監督に足りない点がありましたことも課題であったと考えております。
 このため、来月には全所属長を対象に管理監督者に求められる役割と行動を再認識させる特別研修を開催いたします。さらに不正行為は必ず発覚し、家族にも重大な影響を及ぼすことから、職員同士のみならず家庭においてもコンプライアンスについて話し合うなど県と職員及び家庭が連携し、「『きずな』で高めるコンプライアンス」をスローガンに一層の取り組みを進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 今後のユニバーサルデザインの推進についてお答えいたします。
 本県では、平成十一年度からユニバーサルデザインの取り組みを始め建物、道路、駅舎などのハード整備や観光案内など公共サインの改善、誰もが使いやすい製品の開発支援などソフトの充実、思いやりの心を育む心のユニバーサルデザインの醸成を図っております。またより一層の施策の推進を図るため、学識経験者などで構成するユニバーサルデザイン推進委員会を設置しており、先日開催された委員会では障害のある人や外国人へのおもてなしの手引の発行、車椅子使用者が移動しやすいルート表示の積極的な取り組みなどについて意見が出されたところであり、今後関係者と連携して対応を進めてまいります。
 一方、国では二〇二〇年開催の東京オリンピック・パラリンピックをユニバーサルデザインによる共生社会の実現に向けた絶好の機会と捉え、年内に国全体で進めるユニバーサルデザインの方針が決定されます。県においては国内外から多くの方が訪れますことから競技会場周辺エリアにおけるバリアフリー化などのハード整備を確実に進めることはもとより、県民がユニバーサルデザインを身近なことと感じられるよう個人や企業、団体が取り組んでいるおもてなしや心遣いの事例を集め情報発信し、その輪を広げることによって実践に向けた機運の醸成を図ってまいります。
 県といたしましては、県民一人一人が相手の立場に立って考え自然に行動できるよう、県民参加型のユニバーサルデザインの推進に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) オリンピック・パラリンピックのアスリートへの支援についてお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックでの本県ゆかりの選手の活躍は、多くの県民に夢と希望、感動を与え、県民のスポーツへの関心を高め、明るく活力に満ちた地域社会の形成に寄与するものであります。
 そこで本県では、二〇二〇年の東京オリンピックに出場が期待される選手を支援するため平成二十六年度から二〇二〇(フレーフレー)東京オリンピック「ふじのくに」スポーツ推進事業を開始し、今年度は二十一の競技の中学生から社会人まで七十人の選手に対して強化合宿や遠征、メディカルチェックなどに要する費用を支援しております。この対象選手には本年夏のリオオリンピックで活躍した陸上の飯塚翔太選手や水泳の藤森太将選手などが含まれております。
 また、障害者アスリートについては、平成二十七年度から国際大会出場のための遠征費用の支援を行っております。リオパラリンピックでの本県関係選手の大活躍は障害者スポーツへの県民の関心を高め共生社会実現に向けての大きな力となっております。障害者アスリートは遠征費以外にも用具等の経済的負担が大きいことから、二〇二〇年の東京パラリンピックに向けて競技活動に安心して取り組み一層の活躍をしていただけるよう、助成制度の拡充を検討しております。
 県といたしましては、より多くの本県ゆかりのアスリートが東京オリンピック・パラリンピックの舞台で活躍できるよう今後きめ細かに支援体制や制度の充実を図ることで、明るく活力にあふれ、共生の意識に満ちた地域社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 不育症治療への支援についてお答えいたします。
 不育症は、社会的認知度や治療に係る正しい理解が低く、若い世代の経済的な負担も大きいことから治療に結びつきにくい現状があります。また流産を経験したことによる精神的な負担も大きく、当事者の気持ちに寄り添い治療に前向きになれる支援が必要でございます。
 県では、不育症治療の支援として不妊・不育専門相談センターにおける当事者へのきめ細かな相談を初め不育症に関する正しい知識の普及やシンポジウムの開催などを行い県民の理解を深めております。また今年度は不育症で悩んでいる方や治療に踏み切れない方を対象に専門家が寄り添いながら当事者が悩みを共有し解決につなげていく支援に取り組んでおります。
 不育症の治療費につきましては、診断のための一般的な検査と必要な治療が医療保険の適用となっており、その対象も拡充されております。治療費の助成制度につきましては今後の医療保険適用の動向や不育症当事者の治療に係る意見なども十分に把握し、既に助成を行っている市町の制度や治療の現状なども分析し治療に結びつけるための必要な支援方策を検討しております。
 県といたしましては、子供を持ちたいと望む人が理想とする数の子供を安心して産み育てられる社会の実現に向けて合計特殊出生率二の達成を目指し、「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、医療電話相談事業の拡充についてであります。
 県では、平成十八年に静岡こども救急電話相談を運用開始し救急医療機関の負担軽減や子供を持つ親の不安解消に取り組んでおります。また子供の急病に速やかに相談できるよう十八時から二十三時までの時間帯の回線数の増加や土曜と休日の相談時間を拡大するなど事業の円滑な実施にも努めております。
 大人版救急電話相談につきましては、既に導入している七都県の状況の検証と救急医療に係る関係者からの意見を取りまとめ、導入について検討しております。導入効果としては救急でない受診や救急車の不適正な利用が抑えられますが、利用状況が当初の想定よりも低調である自治体が多いことや救急患者の受け入れ及び搬送の減少に必ずしもつながらないなどの課題があります。また成人や高齢者の場合、病歴が複雑多岐にわたる場合や複数の基礎疾患を有する例も多く電話相談のみでは適切な判断は難しく、かかりつけ医への相談や受診を勧めるのが適当であるとの意見もございます。
 県といたしましては、先行している自治体の事業の評価や課題について引き続き検証を行い、県医師会を初め医療関係団体等から事業導入の必要性や効果などについて御意見を伺い、県民の皆様が休日や夜間といった診療時間外の急病時でも安心できる救急相談体制の強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 石野がんセンター局長。
       (がんセンター局長 石野眞澄君登壇)
○がんセンター局長(石野眞澄君) 県立静岡がんセンターの今後についてお答えいたします。
 静岡がんセンターでは、開院以来陽子線治療施設や遠隔操作型手術支援ロボットダビンチなど最新の施設、機器を整備し、医師だけでなく看護師や薬剤師等の医療従事者が一丸となって患者さんをサポートする多職種チーム医療体制などにより最新、最先端のがん医療を県民の皆様に提供することに取り組んでまいりました。また患者・家族の支援のため初診段階で患者の悩みや負担についてスクリーニングを実施し、患者・家族が支援を求めている時期や内容に適切に対処し必要なときに必要な支援を実施するためよろず相談や患者家族支援センター、支持療法センターなどの整備に当たってきたところでございます。
 初診予約の患者さんは、泌尿器科や呼吸器外科など一部の診療科を除いておおむね一週間以内に受診していただいておりますが、紹介の内容によっては受診を早めるなどの対応を行っております。増加する患者さんに対しては外来の化学療法センターを順次増床し、さらに効率的な運用を工夫して治療可能な人数の増加を図るなど診療機能の向上にも努めております。
 県民の皆様からの高い評価を維持し、静岡がんセンターの基本理念である患者さんの視点を重視した医療を実現するためには、最新、最善の施設、機器を整備することはもちろんのこと医師、看護師を初めとしたメディカルスタッフの人材確保・育成が欠かせないものと考えております。職員の確保につきましては年間を通じて積極的な採用に努めるとともに、医師レジデント制度、多職種レジデント制度や慶應義塾大学との連携大学院制度、認定看護師の養成などを通じてがん医療に強い人材の育成を図ってまいります。
 さらに、がん診療連携拠点病院や地域の医療機関、医師会など関係機関と協力しながら、入院から在宅までの切れ目のない医療体制を整備することにより地域全体で患者さんを支える体制を構築するとともに、ファルマバレープロジェクトにおける医療に帰する技術開発に積極的に協力し医療城下町の核として医療健康産業の発展にも寄与してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 新産業の創出についてお答えいたします。
 新産業を創出していくためには、地域企業がマーケットインの考え方に基づき製品開発や販路開拓に取り組むことが重要であります。
 御質問の県立総合病院でのファルマバレープロジェクト等の成果説明会につきましては、二十六の製品を紹介し百五名の医師や看護師の皆様から製品の改善点に関する貴重な御意見をいただきました。その中で現在二つの製品について導入に向けての調整を今進めております。一方で例えば医師の術式の違いや新製品導入に伴うコスト増への懸念などから普及の難しさも改めて明らかになっております。今後につきましては新拠点施設ファルマバレーセンターの機能を最大限に活用し、患者や臨床現場のニーズに基づくすぐれた製品開発と戦略的な販路開拓を支援してまいります。
 また、無人航空機分野の振興では、地域社会が求める用途に合わせた機体開発やビジネスモデルの構築が重要と考えております。そのため現在防災先進県として災害時に活用できる飛行距離が長く重量物を運べる次世代の無人航空機の開発を宇宙航空研究開発機構JAXAの協力を得て進めております。今後につきましては防災を初め農林水産業での活用も視野に入れた運用システムやセンサーなどの装備品の開発をスピード感を持って支援してまいります。
 県といたしましては、引き続き国内外の研究機関や大学、企業との連携を深め、開発から販路開拓まで一貫した支援に取り組み、新産業の創出を図り、本県経済の発展に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 「静岡防災」の発刊についてお答えいたします。
 防災においては、地域の災害リスクを理解しそれに応じた対応を図ることが重要であり、本県ではきめ細かな対応ができるよう住民に最も近い市町が地域の特性を踏まえた防災マップや防災啓発冊子を作成し住民等に配布しております。県は緊急地震・津波対策等交付金によりこれらの作成を支援しているところであります。加えて自主防災新聞を発行するとともに、大地震が起きた時どのような行動をとるべきか、事前の備えとして何をすべきか等をまとめた地震防災ガイドブック等を活用して自主防災組織や学校等に対する出前講座を実施しており、昨年度は市町実施分と合わせ約十六万人の方へ防災啓発を行いました。
 「東京防災」は、イラストを効果的に活用して地震や風水害等への対策について啓発する冊子となっております。紙媒体以外にも東京都のホームページに掲載されるとともに電子書籍としても無料配信されており、本県の防災啓発資料を作成する際にも大変参考になるものと考えております。
 県といたしましては、「東京防災」等他のすぐれた事例も参考にしながら、今後とも市町と連携の上より効果的な防災啓発に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 共生共育を目指した特別支援教育についてお答えいたします。
 県教育委員会では、特別な支援を要する児童生徒に適した学びの場の整備と交流及び共同学習を中心に共生共育の取り組みを進めてまいりました。特別支援学校の整備については昨年度施設の狭隘化と児童生徒の通学負担改善のため肢体不自由を併置した知的障害の学校を二校新設いたしました。さらに施設の老朽化に対応するため肢体不自由の学校二校の移転改築を進めているところであります。しかし知的障害のある児童生徒は今後も増加が見込まれることから、特別支援学校の空白地域や通学の利便性を考慮した新たな施設整備計画の策定を進めております。
 交流及び共同学習を通した共生共育については、特別支援学校と近隣の学校との交流活動や小学校や高等学校内に設置した分校での日常的な交流を積極的に進めております。さらに特別支援学校の児童生徒が自分の住む地域とのつながりを深めるために居住地の小中学校に副次的な籍を置き交流を行う仕組みづくりに取り組んでおります。
 総合教育会議につながる地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会では、交流活動がいろいろな形で行われており、よい取り組みであると評価をいただきました。
 今後も、共生共育についてさまざまな立場の方から御意見をいただき、学校施設の充実も含め一層の推進を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 交通管制センターのあり方についてお答えいたします。
 初めに現状についてでありますが、交通管制センターでは静岡県内全域を対象に交通流や道路に関する情報を集約、分析し信号機を効率的に制御するとともに、これらの情報をテレビ、ラジオ、カーナビゲーションにより県民の皆様に提供し交通渋滞の緩和及び交通事故の未然防止を図っているところであります。また災害時には県警察や国土交通省等の約千三百台の交通監視カメラにより被害状況等の把握を初め各種の情報収集を行っております。
 現在、交通管制センターの庁舎は築四十二年が経過し耐震性能に問題はないものの老朽化が進んでおります。そのため機器等にふぐあいが発生した場合にはその都度修繕を行い、交通管制機能に支障が生じることのないよう適切な維持管理に努めているところであります。
 次に、交通管制センターの今後のあり方についてであります。
 議員御指摘にあるとおり、全国的に交通管制センターを災害警備本部や通信指令室と同一庁舎に設置し、危機管理能力の向上に取り組んでいる現状にあります。
 県警察といたしましては、他の老朽化、狭隘化が著しい警察署等の庁舎や浸水域にある庁舎の整備とのバランスを考慮しながら今後の整備の方向性について検討を進めているところであります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇)
○七十番(蓮池章平君) 要望と再質問をさせていただきます。
 まず、要望ですけれども、今警察本部長から交通管制センターについて御答弁いただきました。予算の関係があるのでこれは警察本部だけでなくて財政当局にもお願いをしたいと思うんですが、やっぱり切迫するこの東海地震また南海トラフの地震、こういったものが想定されますが、やはり一日も早く同一庁舎に設置をしていただいて危機管理能力を向上させていただきたいと、このことは強く要望しておきたいと思います。
 それでは再質問になりますけれども、まずオリンピック・パラリンピックのアスリートの支援でありますけれども、組織体制はこのままでいかれますか。今二つに分かれていますよね、オリンピック・パラリンピックが。これはやはりしっかりとこのトップアスリートへの支援という体制をやっぱりつくるべきじゃないかというふうに考えますがどうでしょうか。
 それから、パラリンピックについては、助成の拡充というふうに御説明がありましたがどの程度拡充をしていくのか。オリンピックアスリートと同程度まで考えているのか、その点はどうでしょうか。
 二点目は、不育症の治療への支援でありますけれども、これももう何年もこの党として、会派として求めてきて毎回状況把握とか分析しますって、何年やってればいいのかなという思いですね。具体的にこれやるんですか、やらないんですか。これ本当にこの「生んでよし 育ててよし」というですね、きのうも合計特殊出生率の話がありましたけれども、本当にそういう体制をつくるというんだったらやっぱりきちっとやるという方向で示されたらどうでしょうか。その点を伺いたいと思います。
 それから、障害のある人の支援についてでありますけれども、これは副知事から御答弁いただきました。県でいろいろな圏域の支援協議会等でさまざまな広域の課題等はやっていただいている。これはそうなんですが、県がやっているという認識と実際にそのいろんなサービスを受ける障害のある皆さんの側からの視点というか評価はかなり違いますね。私はですね、県の――先ほど申し上げましたけれども――国への提案の中で現状の認識だとか課題の認識をされています。これはやっぱり市町とこの認識をまず共有化するところ、市町にも本当にその障害のある皆さんを取り巻く状況というのが本当にこれで進んでいるのかということを障害の皆さんの声を聞きながらやっぱり共有をするところがまずなければ、これ幾らやってますやってますと言ってもサービスを受けている皆さんはそう感じていないというこのギャップを埋めなければいけません。そういう意味ではまずこの市町との共通認識についてはしっかりやっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 それから、医療電話相談についても二年前に取り上げてから検証されていると思いますけれどもこの二年間で福岡としては事業をスタートした。静岡としてはこれは検証して余り前向きな答弁ではなかったので基本的にやらないという方針なのかどうか。この二年間の検証というのはどうだったんですか。その二年間の検証をまずお示しいただきたいと思います。
 それから、新産業の創出でありますけれども、先ほど次世代の無人航空機の開発実証事業を今やっておられますけれどもこれは具体的に誰がどのように検証をするんでしょうか。この検証は例えば県民にきちっと示されるのかどうか。その点についてお伺いしたいというふうに思います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) オリンピック・パラリンピックのアスリート支援に関する再質問についてお答えいたします。
 組織体制をこのままにしていくのかということでございますけれども、まず第一点、東京オリンピックとパラリンピックのトラックレース、マウンテンバイクという競技につきましては当然場所がベロドロームで行われますのでその両者の取り扱いにつきましては私ども文化・観光部のほうで当然ながら取り扱ってまいりたいと思っております。これは当然ながら大会組織委員会との関係がございますので統一した指揮命令下のもとで行われるべきだと思っておりますので、私どもで所管していくということでございます。
 さらに、広く障害者スポーツということで考えていきますと障害のある方の健康の維持とかあるいは社会参加とかということに貢献するものと考えておりますけれども、そういうものにつきましては障害者福祉政策の一環であるという理解をしておりますので、障害者スポーツ振興全体については私ども文化・観光部としては健康福祉部で所管されたほうがよろしいのかなと思っております。
 ただ一点、いわゆるパラリンピックのアスリートの部分に限って言えば、オリンピック・パラリンピック一体となって支援するという観点がございますのでここにつきましてはよく関係部局と相談をさせていただきたいと思っております。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) まず最初に、パラリンピックのアスリートへの支援の格差の是正ということについてお答えいたします。
 現在、オリンピックアスリートとパラリンピックアスリートに対する処遇の格差というものは急速に縮まっております。私たちといたしましても今現在二十六都県でパラリンピック等の競技者への助成制度について調査等をしているところでございまして、パラリンピックのアスリートの方々が十分にパラリンピックについての競技等に参加できるよう支援の額につきましては健常者のアスリートに対する額等も参考にしながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、不育症についてお答えいたします。
 不育症助成制度につきましては、現在自治体の状況の分析等について行っておりまして、先行している自治体につきましても対象年齢、所得要件、助成対象の医療、補助率、助成回数等々いろいろかなりばらつきもございます。私たちはこの不育症の支援につきましてはこの不育治療の助成制度も含めまして不育症の方々が最も望む支援についてしっかりと取り組んでいきたいと思います。また制度をつくるに当たりましてはこの制度が非常に有効に、不育症の方々にとっても非常に有効になるような制度にするためにもしっかりこの制度の中身についてもしっかり検討して取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 それから、電話相談についてでございますが、電話相談、他県の状況等を調べてみますと、確かに福岡県等は八十件と非常に子供の電話相談百二十数件と比べましても遜色がないようなところもありますが他県によりましては一日一件というようなところもございまして、その効力につきましてはまだまだ期待している効力がないというのが現状でございます。
 また、先ほど答弁でも申しましたようにこの電話相談というのが果たしてこの救急の相談に来た患者さんに対して適切な相談内容なのかどうかというのも問題でございますので、そうした状況等も十分吟味させていただきましてこの制度導入については検討していきたいと考えております。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) 障害者の支援についてお答えいたします。
 市町との連携あるいは情報共有を強化するようにというお話だったと思います。私も障害者の団体の方々あるいはその障害者の大会等に参加をいたしまして、いろんな場面で直接皆様から要望等あるいは意見もお伺いしております。そうした意見もですね、市や町、事業の実施主体が市や町でございますので身近な市や町とも情報共有するようにですね、今後とも市や町とのコミュニケーションを強化してまいりたいというふうに、健康福祉部とともにやっていきたいというふうに思っております。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 新産業に関する次世代無人航空機の開発に係る事業の検証についてであります。
 新産業の形でですね、新しい取り組みということで、実際にできるかどうか、そういうこと、大きな問題になるというふうに我々も考えております。ただこの事業は県が委託をしてする事業ですので私どもで検証して県議会初めちゃんと報告をしてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇)
○七十番(蓮池章平君) 不育症の要するに助成制度、結局やるのか、やらないのかということを聞いてるんだけど、そこは来年度どうするんですか。知事どうですか。この「生んでよし 育ててよし」というこの静岡をつくるためにはやっぱりしっかりと支援をしていくということが必要ではないかと思いますが、その点を伺いたいと思います。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 不育症に対する支援ですね、これは山口部長が答えたとおりですけれどもそれが形になっていないという関係者の実感があるとすれば問題なので、この問題の解消がなされるように来年度予算に計上いたしまして今度褒めていただけるようにしたいと思います。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) これで蓮池章平君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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