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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成31年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

櫻町 宏毅 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/18/2019

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の考えるふじのくにづくりについて
2 平成三十一年度当初予算編成について
3 命を守り、将来の安心な暮らしの実現について
(1) 風水害に対する県民意識の向上
(2) 静岡がんセンターの果たしてきた役割と今後
(3) 児童生徒の命を守るための学校現場の使命
(4) ビッグイベントのテロ対策
4 満足度日本一の豊かな県について
(1) 公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港
(2) 運航を継続する駿河湾フェリーの利用促進
(3) 創業支援の充実
(4) 外国人労働者の増加への対応
(5) 田子の浦港のにぎわいづくりと防災対策
5 将来の日本を背負える人材の育成について
(1) 移住・定住の促進
(2) 未来の学校「夢」プロジェクトの取り組みと成果
(3) グローバル人材の育成
6 持続可能な静岡県の基盤づくりについて
(1) 財政目標必達に向けた覚悟
7 工業用水道事業の抜本的な経営改善について


○副議長(落合愼悟君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十五番 櫻町宏毅君。
       (三十五番 櫻町宏毅君登壇 拍手)
○三十五番(櫻町宏毅君) 私は、ふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題に対し通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長、警察本部長に一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、知事の考えるふじのくにづくりについて伺います。
 川勝知事は、二〇〇九年七月に初当選以降ふじのくにというフレーズを使用するようになりました。知事が使うことによって静岡県の別称または尊称と捉えられ、ふじのくにが公共だけでなく民間においても使われるようになりました。川勝県政の一期目、二期目では日本の理想郷ふじのくにづくりという言葉が使われ、昨年策定した新ビジョンでは富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりという言葉に変わっています。日本の理想郷であっても美しくあっても、知事はここ静岡県においてふじのくにづくりを進めたいという思いをお持ちであると理解いたします。
 さて、知事が就任されて三期十年目を迎えようとしている現時点において今さら感はありますけれども、知事が目指す静岡県の姿として使用するふじのくにづくりとは一体どのような状況を指すのでしょうか。誰もが憧れる理想郷ということであれば残念ながら本県は転出超過県となっていますし、平成三十年県政世論調査では一概に県政だけの問題ではないと承知しておりますが、県民の七一%が日常生活の中で悩みや不安を抱えていると答えています。
 さらに、静岡県は住みやすい県と思いますかという問いに対し、知事就任前の平成二十年度は九二%の県民が住みやすいまたはどちらかといえば住みやすいと答え、直近の平成三十年度では八八・三%と数値が悪化しています。このような調査から見て、県民はふじのくにという理想郷で暮らしていると感じているのでしょうか。
 なお、美しいという言葉には具体性がなく、県民が静岡県を美しいふじのくにと感じているかどうかは検証のしようがないのでコメントを差し控えます。
 新ビジョンでは、静岡県の目指す姿として県民幸福度の最大化を掲げ、八つの政策と行政経営を進めることで美しいふじのくにづくりを達成しようとしています。行政経営の観点からそれぞれの政策には管理指標が設定されKPI指標で進捗を管理していることは評価いたしますが、日本の理想郷あるいは美しいふじのくにづくりは完成したということになるのでしょうか。これらの数値が達成されれば日本の理想郷あるいは美しいふじのくにづくりが達成したということになるのでしょうか。
 そこで知事に伺いますが、知事の思い描くふじのくにづくりとはどのような状況を指し、現時点ではその姿に対してどの程度達成できているとお考えなのでしょうか。お聞かせ願います。
 次に、平成三十一年度当初予算編成について伺います。
 私たちふじのくに県民クラブは、昨年十二月十九日に知事に対し新年度予算案に反映すべき内容を提言いたしました。具体的には我が会派の政策の四本柱である「命」「豊」「人」「礎」ごとの課題対応について申し入れを行いました。
 「命」の分野では、地震津波対策への取り組み強化、医療の地域偏在の解消、生活困窮者支援やいじめ、虐待の防止のための施策の充実などを提言いたしました。
 「豊」の分野として、新成長産業への継続支援や中小企業支援、地域総がかりで行う観光地域づくり、県民にとって利用しやすい富士山静岡空港の環境整備などを要望いたしました。
 「人」の分野では、多様化する児童生徒が安心して学べる学校環境の整備や特別支援教育充実のための体制強化、教職員の多忙化解消、グローバル人材の育成などを提言しております。
 「礎」の分野では、持続可能な静岡県の基礎づくりとして二〇二一年収支均衡の必達、市町との連携による権限移譲と事務事業統合の推進などについて要望いたしました。
 要望項目は多岐にわたっておりますが、限られた予算の中であっても先送りすることなく県民幸福度を高めるためには確実に前進させなくてはならないものばかりです。
 そこで、我が会派からの平成三十一年度当初予算編成に対する要望についてどのように対応されたのか、御説明をお願いいたします。
 次に、我が会派の次期四年間に取り組む政策集Shinkaに沿って質問をしていきたいと思います。
 まず、Shinkaについて紹介いたします。
 私どもふじのくに県民クラブは、昨年一年間をかけ改選後から四年間の任期中に取り組む政策についてプロジェクトチームを立ち上げて検討してきました。従来からの「命」「豊」「人」「礎」の四本柱での構成には変更はありませんが、メンバー間の活発な議論によりそれぞれのカテゴリーで取り組むべき政策を定めると同時に、議員発議で成立を目指す条例案も策定いたしました。今回の代表質問ではこの次期公約集で取り上げた政策の中から数点取り上げ、当局の見解を伺いたいと思います。
 一つ目の柱、「命」のカテゴリーから命を守り将来の安心な暮らしの実現に関して質問いたします。
 初めに、風水害に対する県民意識の向上について伺います。
 本県での地震・津波対策は、国から南海トラフ地震対応のモデル県として指定されるなど先進的であるとともに、県民の命と財産を守ることを県政の最優先課題として取り組んできた結果、累計金額も二兆円を超えるなどハード対策も進んできております。一方近年では日本に上陸する台風の大型化や線状降水帯に代表されるように一カ所に長時間にわたって大雨が降り続くことによる被害も頻発しており、これに伴って停電被害も起きるなど地震よりも風水害のほうが身近な自然災害になっています。
 本県では毎年九月と十二月の年二回県下一斉の防災訓練を行っており、私も地元の自主防災会の防災訓練に毎年参加をいたしますが、訓練を見る限り毎年同じ内容の繰り返しという印象で最近頻発する大雨による被害を想定した訓練メニューはほとんどありません。しかし過去には本県でも狩野川台風などの風水害により多数の死傷者が発生していることや、先ほど述べたように風水害が県民にとって身近な自然災害になっていることを考えると、訓練内容も工夫する必要があるのではないでしょうか。
 例えば、大雨による避難勧告が出た際の対処の仕方や停電が長期間にわたって続いた場合に留意する点を学ぶとか、土のうをつくったり実際に手積みをするなどの実地訓練をやってみるとか、今までの訓練とは違った内容の体験または学習機会を設ける必要があると考えます。
 そこで、今後ふえるであろう風水害に対し県民意識を高めるための取り組みついて、県の所見を伺います。
 次に、静岡がんセンターの果たしてきた役割と今後について伺います。
 静岡県立静岡がんセンターの建設が検討され始めた昭和六十三年ごろ、県内の死因別死亡率は戦後からずっと一位であった脳血管疾患を抜き悪性新生物、いわゆるがんによる死亡が第一位になった時期であり、がん患者が急増するがんの時代の訪れを見据え県として、一、患者に尽くす世界一のがんセンター病院、二、県のがん対策の拠点、三、地域の健康産業活性化の三点を使命とする静岡県立静岡がんセンター建設の機運が高まりました。
 平成七年十月には静岡県がんセンター基本構想検討委員会が立ち上がり、先ほど述べた三つの使命を達成するためのさまざまな検討が始まり、七年間の歳月をかけた平成十四年九月に静岡がんセンターが開院となりました。翌年の平成十五年四月にはファルマバレーセンター、十七年十一月には静岡がんセンター研究所が開所となり、がん治療の専門病院としての機能だけでなく、がんの早期発見や診断・治療技術を開発するための研究室や産学官金が連携して医療分野の発展のための共同研究を行う拠点としても整備されてきました。特にファルマバレープロジェクトは本県が誇る新産業集積クラスターの一翼を担っており、県内の高い技術を誇る企業が成長著しい医療分野での商品化に向けて新たな挑戦をする機会をサポートするなど、本県の成長産業分野の発展に大いに貢献をしております。
 病院機能についても、全人的医療を目指し患者さんに寄り添った医療を提供し、外来患者の延べ人数は平成十五年度の約十二万五千人から平成二十九年度には約二十九万人に増加、入院延べ患者数も平成十五年度の約十二万八千人が平成二十九年度には約二十万人となるなど、開院から十七年目を迎える今日においても県民がよりどころとするがん医療専門病院として高い評価を受けております。
 段階的な開棟計画は看護師不足によりおくれが生じましたが、関係者の地道な努力が奏功し全国各地から看護師採用により全床開棟まであと一歩のところまできていると聞いております。これからも静岡がんセンターには本県のがん治療や研究の中心機関としての活躍が期待されますが、建設構想が持ち上がった当時に掲げた三つの使命について現時点ではどのような評価をされているのか伺います。また将来に向けてどのような静岡がんセンターとしていくおつもりなのか、あわせて伺います。
 次に、児童生徒の命を守るための学校現場の使命について伺います。
 かけがえのない幼い命が奪われる事件がまた発生いたしました。千葉県野田市の小学校四年生の女の子が親からの虐待によって死亡するという痛ましい事件です。この児童は親からの虐待が疑われると判断され一旦は児童相談所に一時保護となりましたが、その後親元に戻され父親からの執拗な虐待を受け続けておりました。この女の子にとってみれば家での虐待が続く中、学校が一番安全な場所で先生が自分を守ってくれる唯一の大人だったかもしれません。事実学校が行ったアンケートでは、お父さんに暴力を受けています、先生どうにかなりませんかと記入をしていました。それを虐待の当人である父親からの求めに応じてコピーを渡したという事案は、幾ら高圧的な要求があったとしても決して許されるものではありません。このアンケート内容を知った父親は激高し、女の子への虐待はさらにエスカレートしたのではないかと想像されます。
 静岡県の虐待の現状についてですが、児童相談所における児童虐待相談件数が平成十二年には政令市分も含めて四百四十四件であったものが平成二十九年には二千三百六十八件と五・三倍にも及んでいます。県として虐待が疑われる場合は#一八九――いちはやくで通報するよう学校、教育委員会、関係部署からの呼びかけが奏功して相談件数が伸びていると思われますが、通報されない潜在的な虐待も多いと想像できます。家庭内虐待は親が不安定な精神状態に陥った場合弱い立場にある自分の子供をいじめることで自分が満足することが本質であると言われています。親の自己満足のために子供は生きているわけではありません。未来のある子供の将来を親以外の大人も含めて社会全体で見守ってあげることが必要です。
 こうした虐待を受けている可能性のある子供たちの状況をいち早くキャッチできるのは、日々きめ細かな指導を行っている学校現場です。学校で異常を察知し、関係団体との綿密な連携によって虐待から子供を守る取り組みの強化が望まれます。
 そこで、今回の事件を受け本県でも親からの虐待によって幼い命が奪われる事件が起きないよう、県教育委員会は市町教育委員会と学校、児童相談所、警察と連携し今後どのような取り組みを進めていくのか、教育長のお考えを伺います。
 次に、ビッグイベントのテロ対策について伺います。
 いよいよ九月二十八日にエコパスタジアムで開催されるラグビーワールドカップ日本対アイルランド戦まで七カ月となりました。地元袋井市を中心に大変な盛り上がりを見せておりますし、運営に携わる関係者にとっても最終的な調整段階に入ったと思います。関係者の今日までの努力が実を結び大会が大成功に終わることを改めて祈念いたします。
 日本がビッグイベントの会場として選ばれた理由の一つに治安がよいがあります。イギリスのエコノミスト紙によって調査された世界平和度ランキング二〇一五では日本は世界で第八位の安全な国とされており、近代では内紛がなく犯罪や事件が少ないことなどが理由となっています。
 しかし、治安がよいから事件事故が起こらないとは限りません。国際テロリストは大勢の民衆が集まる場所をターゲットに大規模なテロ事件をたくらんでいる可能性もあります。実際に過去の国際的ビッグイベントでテロ事件が発生しています。一九九六年アトランタオリンピックではオリンピックに関連したコンサート会場でパイプ爆弾が爆発、二人が死亡、百人以上が負傷しました。二〇一三年ボストンマラソンでは多数のランナーや群衆が集まるゴール付近で圧力鍋を使用した爆弾が爆発、三人が死亡、二百人以上が負傷。二〇一五年十一月、フランスのオランド大統領も観戦するフランス対ドイツのサッカー会場において三人の自爆テロ犯による爆発事件が発生し市民一人とテロ犯三人が死亡した事件など、大規模イベントはテロリストにとってテロ行為を起こす格好のターゲットになっています。シリアやイランなどアラブ諸国を中心とした反米感情の高まりは依然として続いており、アメリカと同盟国である我が国も卑劣なテロ行為の対象とされていると聞きます。
 そこで、静岡県警察においても大会組織委員会や自治体などの関係機関と連携しテロ対策を推進していることと思いますが、県民や来訪者をテロという脅威から守るためにもビッグイベントを間近に控えた県警察が取り組むテロ対策について、県警本部長から御説明をお願いいたします。
 次に、二つ目の柱、「豊」のカテゴリーから満足度日本一の豊かな県に関して質問をいたします。
 初めに、公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港について伺います。
 富士山静岡空港は平成二十一年に開港し、本年六月には開港十周年を迎えます。多額の建設費や立ち木問題、日本航空の路線撤退など数々の困難を乗り越え、現在では外国人出入国者数が地方管理空港で八年連続一位となるなど名実ともに静岡県発展の社会インフラとなっております。昨年十二月には旅客ターミナルビルがリニューアルオープンし、利用者にとってより一層使いやすい空港となったことは大変喜ばしいことであります。
 富士山静岡空港は来年度から新しいステージを迎えます。公共施設等運営権制度が導入され、県にかわって三菱地所・東急電鉄グループが富士山静岡空港の経営の中心を担うこととなります。新社長である西村等氏は、就任記者会見で「二十年後に利用者倍増で静岡の経済を牽引する空の港を目指す」と抱負を述べられており、大変心強い限りであります。他の地方空港での経営実績を生かし、路線拡大や二次交通の整備、空港を基軸とした地域振興策など大きな期待が膨らみます。
 さて、運営権制度導入後、本県の空港振興局を中心とした県の空港行政はどのような形になるのでしょうか。空港そのものは県有財産であるため県は運営権者の経営に対するチェック機能を果たすことは当然と思われますが、それ以外にも行政ならではの知見を生かして運営権者と連携を密にし、空港のさらなる活性化と交流人口の拡大のための取り組みに尽力してもらいたいと思います。
 そこで、ことし四月からの運営権制度移行後、運営権者と県はどのような役割を担いどのような空港を目指していくつもりなのか、県の所見を伺います。
 次に、運航を継続する駿河湾フェリーの利用促進について伺います。
 駿河湾フェリーが就航する清水港と土肥港を結ぶ県道二百二十三号は、全国で唯一海上を走る県道として県が平成二十五年に認定しました。人や物資の往来が活発になり観光面や経済面での効果が期待されていましたが、現在では国が進める駿河湾環状道路や伊豆縦貫道といった陸路が確実に整備されてきており、フェリー利用者が減少しています。
 昨年五月に駿河湾フェリーが事業撤退を発表して以来、県では難波、土屋両副知事をトップとする庁内プロジェクトチームで継続手法を検討するとともに、環駿河湾観光交流活性化協議会を構成する三市三町やそれぞれの関係団体と連携して駿河湾フェリーの利用促進に取り組んでまいりました。
 また、県は関係する三市三町と共同運営し四月以降も運航を継続する方針を発表しました。民間企業が実施していたフェリー事業を引き継ぐに当たっては、安全運航の確保だけでなく経営の健全化などを踏まえた最適な運営体制を構築していくことが大切です。
 先ほど質問した富士山静岡空港は、民間に運営権を譲渡し民間活力でさらに利用しやすい空港にしようというものですが、一方駿河湾フェリーにおいては民間が撤退するのに伴い路線維持のために行政が運営に関与していくというものです。この相反する二つの事例から、社会インフラに民間が関与する場合優先されるのは将来性であるということが証明されたと考えます。今後駿河湾フェリーの需要がふえなければ県と関係市町は莫大な経費を負担し続けることになり、現状でも厳しい各自治体財政への足かせとなることが容易に想像されます。
 このような背景を踏まえつつ、県は駿河湾フェリーの路線維持のため新たに立ち上げる組織や関係者と連携してどのような利用促進策に取り組んでいくのか伺います。
 次に、創業支援の充実について伺います。
 「三十歳になったら静岡県!」というキャッチフレーズのもと、県では一度県外に転出した若者のUターン、あるいは県外の若者のIJターンを狙ってさまざまな活動を展開しております。この後質問する移住・定住の促進でも触れますが、本県に移住し生活するためには収入を得なくてはなりません。就職先を探すだけでなく志が高い若者は本県で事業を起こす、いわゆる創業して収入を得るという選択肢もあります。
 日本は先進国の中で若者の創業が消極的と言われています。その原因として事業に失敗したときのリスクが大きいと感じていること、創業に必要な事業資金、人脈、ノウハウが不足していること、創業のリスクと比較しても金銭的あるいは社会的な面でのリターンが十分得られないことなどが影響しているとのことです。しかし世界中にはみずからのアイデアを商品化し大成功をおさめた起業家が大勢おります。成功するためのアイデアは無限であり、とりわけ若者は柔軟な発想と社会の潮流を読み取る力が高いため、意欲があり環境が整えば新しいことにチャレンジしようとする者は必ずいるはずです。
 創業意欲の高い若者が進む道の一つが、自分のやりたい分野を学ぶ大学進学です。県内には大学が少なく県内の若者が他県の大学に進学する原因と言われておりますが、実際には県立二大学だけでなく静岡大学や浜松医科大学などの国立大学や私立の大学でもレベルの高い研究が行われると聞きます。さらに県内には世界的に知名度の高い企業も多く存在しており、高度な技術力と研究資金を有しています。
 このように、静岡県はやり方一つで起業家にとって創業しやすい環境を整えることが可能な県であり、大学と企業、そして豊富なアイデアを有する起業家のマッチングを県として積極的に取り組むべきだと考えます。全国あるいは世界中の創業意欲のある若者の間で、静岡に行けば夢がかなうかもしれないという動きが生まれることを期待するものです。これが実現すれば若者の県内定着にもつながります。
 そこで、起業家が集まってくる夢ある静岡県づくりについて県の考えを伺います。
 次に、外国人労働者の増加への対応について伺います。
 一月三十日、静岡新聞朝刊に県内外国人労働者、過去最高更新という記事が掲載されました。記事には、静岡労働局に届け出のあった外国人雇用届け出状況二〇一八年十月末現在によると県内で働く外国人数は前年同期比一〇・七%増の五万七千三百五十三人とあり、六年連続で増加、過去最高を更新とあります。昨年十二月の臨時国会で入管法が改正され四月からは新たな在留資格である特定技能が創設されたことから、今後はさらに多くの外国人労働者が日本にやってきます。今回の入管法改正のスキームを見れば特定技能一号では最長五年間働くことができ、さらに特定技能二号へと進めば在留期間が延長されるだけでなく家族も本国から呼び寄せることも可能になるようです。今後は労働者本人だけでなく日本語が話せないその家族が県内各地で生活することが想定されるのです。
 企業側も慢性化しつつある人材不足を勤勉でまじめな外国人技能実習生で補おうとしておりますが、一部には制度を悪用し賃金未払いや残業の強要、劣悪な環境での生活など当初の契約を無視した就労が問題視されています。このような悲惨な環境に置かれた外国人労働者の相談窓口が必要であり、行政による一日も早い救済を進めるべきであります。
 一方、既に国内で働いている日系人などの外国人県民は非正規雇用も多く雇用契約が不安定な状況にあると聞きます。今後特定技能による外国人労働者が県内で大勢就労した場合、既に働いている非正規の外国人県民は場合によっては解雇される可能性もあります。外国人であっても本県経済を支えてくれている大切な人たちです。国の方針によって既に企業や地域になじんでいる外国人の就労機会まで奪うことは許されません。県内企業及び外国人県民に対する支援は県の責務と考えます。
 そこで、今後主にものづくりの現場で増加が見込まれる外国人労働者への対応、また現在既に県内で生活している外国人県民が抱える課題について、県はどのように対処していくのか伺います。
 次に、田子の浦港のにぎわいづくりと防災対策について伺います。
 平成三十年三月に、富士市は田子の浦港振興ビジョン改訂版を発行しました。平成二十六年九月に策定した旧ビジョンを改訂し、防災面では完全防災から減災にかじを切りソフトとハードを組み合わせた多重防御による総合的な津波対策を実施するとしています。一方にぎわいづくりの面では、平成二十五年六月に富士山が世界文化遺産に登録されたことや県によるふじのくに田子の浦みなと公園の整備を契機に、市内企業や観光関係者の協力も得て田子の浦港を観光交流の拠点として利活用するとしています。
 富士市は従来、田子の浦港は県の港だから県が主体的に整備し活用すべきという考え方でしたが、ここ数年の間に富士市も観光に力を入れるようになり、せっかく富士市に港があるのであれば県と協力して活用していこうという方向になったことは、田子の浦港の利活用を提案してきた地元議員の一人としてうれしい限りです。
 県と協調して進めている今後の取り組みとして、防災対策の面では港口にある第三波除堤の機能を強化し想定される最大クラスの津波による浸水被害を軽減させるとしており、また津波襲来時に自動的に浮上する可動式防波堤についても調査研究を進めていくと聞いています。
 にぎわいづくりとしては、富士市は地元企業や漁協関係者、県、市による部会を立ち上げ田子の浦港周辺の観光資源を掘り起こし、拠点内にたまる、拠点間をつなぐ、地域資源をめぐるをコンセプトにさまざまな取り組みを進めています。一例として日ごろは製紙用パルプ等を扱っている富士埠頭を活用した田子の浦港ポートフェスタの開催や、地元の食堂が店を出して田子の浦みなとマルシェを開催し漁協の協力のもと人気のシラス丼も食べられるといった企画など、かつてのかたい産業港というイメージを大胆に変えて富士市民や市外からお客様が集まるようなイベントを企画実施しています。
 富士市は港のある恵まれた自治体です。この優位性を生かして観光面でも産業面でも港を従来以上に利活用していきたいとのことですが、県として富士市が行う田子の浦港のにぎわいづくりや防災対策をどのように支援していくのか所見を伺います。
 次に、三つ目の柱、「人」のカテゴリーから将来の日本を背負える人材の育成について質問いたします。
 初めに、移住・定住の促進について伺います。
 平成二十七年度から県はふじのくにに住みかえる推進本部を立ち上げ、東京都内に移住相談センターを設置し移住相談を開始しました。平成二十九年度には八千八百四十三件の相談があり、結果としてその年は千七十人が県外から移住するなど県が危機感を持って取り組んだ結果が成果とつながっていることは評価に値します。
 この中には現役世代や若年層も含まれていますが、これらの年齢層の移住・定住における最大の関心事は就労の問題です。静岡県から離れた若者になぜ静岡県に定着しないかと尋ねると、魅力的な就職先がないという答えが返ってきます。ものづくりが盛んな本県ではこの分野に興味がある若者にとっては就職先としての選択肢は多いのですが、例えばITとかデザインとかものづくり以外の仕事に興味ある人は残念ながらこの分野での活躍の場が本県に少ないため、県外に転出してしまうのが現状です。
 一方、勤務地が県外であっても住まいを新幹線で通勤できる静岡県内に構える現役世代もふえています。この場合の重要なポイントは住環境と子育て環境です。平日は家と職場の往復であっても週末は自然に恵まれた静岡県で過ごすという選択はふえてくると思いますし、子供にお金をかける世代ですので医療や子供のための施策が充実している自治体が選ばれる時代となっています。
 そんな中、このたび政府は人口の東京圏への一極集中の是正と地方の担い手不足への対処として地方創生推進交付金事業を立ち上げました。県はこの制度に対応するために三十一年度予算案に関連予算三億四千八百万円を計上しています。簡単に言えば東京圏から本県に移住して登録された企業で働けば一世帯当たり百万円を給付するという制度ですが、現金給付によって東京から人を地方に呼び寄せるという策は決して良策とは言えないと思います。実施期間も六年間と限りがあり人数も国全体で六万人を想定しているとのことですが、果たしてこれで本当に地方創生につながるのでしょうか。やはり県内の各自治体が自分のまちの魅力をPRし、働く場所と住まいと子育て環境を整えて東京で暮らす方々に選んでもらうことが移住定住策の本質であると考えます。国の制度に呼応しなくてはならない事情は理解いたしますが、この制度を生かした本質的で継続性のある移住・定住策に県は取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、未来の学校「夢」プロジェクトの取り組みと成果について伺います。
 教職員が子供に向き合う時間を十分に確保することを目的に、県教育委員会は平成二十八年度から県内の小中学校四校をモデル校に指定し未来の学校「夢」プロジェクト事業を実施してきました。私は平成二十八年九月の一般質問にて、当該年度からスタートしたこのプロジェクトに関する質問をいたしました。当時は既に木苗教育長が就任されていましたが、このプロジェクトでは校務の分類整理と教職員の意識改革によって不断の学校改革を行い、特に校務分類の際には働き方の適正化を推奨する民間企業の視点を取り入れると答弁されました。私も要望として今までの固定観念をなくし民間感覚を取り入れ、学校現場の意識改革とともに校務の見直しを徹底的に行うことを期待していますと申し上げました。
 三年間のプロジェクト期間中、モデル校では民間も含めた外部有識者からの意見も生かし、時間外縮減や教職員の意識改革、地域との協働など一定の成果があったと聞いています。全国に先駆けて教員の多忙化解消を目的としたプロジェクトを立ち上げ取り組んだ県教育委員会の姿勢は評価いたしますが、プロジェクトの結果を受けて学校現場がこれからどのように変わっていくのかが重要であります。すぐに結果は出せないかもしれませんが、学校現場は今回のプロジェクト結果の共有化と結果に伴う県教育委員会の対応に大きな期待を寄せています。
 そこで、まずプロジェクトの成果をどのように各学校現場に伝えていくのか伺います。
 また、今回のプロジェクトでは業務の見直しや意識改革に当たって民間の視点を取り入れましたが、今後も継続されるべき学校改革には民間だけでなく地域の視点、学校外の意見を積極的に取り入れていくことが重要と思います。プロジェクトを振り返って今後外部との連携をどのように進めていくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、グローバル人材の育成について伺います。
 先ほどの質問でも取り上げましたが、今後県内企業では外国人労働者がふえることが予想されます。受け入れる企業においては職場内の外国人との間でコミュニケーションが図れる語学に精通した人材が必要であり、今後は語学力はもとより外国人とのコミュニケーション能力といった国際感覚が豊富という点も重要な採用要件になるかもしれません。
 そんな中、県内の若者がわざわざ海外に行かなくても国際感覚を豊かにできる機会が訪れます。今年のラグビーワールドカップ、来年のオリンピック・パラリンピックです。両国際イベントには多くの外国人がやってくるので、会場での案内ボランティアなどを通じてネイティブな外国語に接することができます。県内高校生がこの案内ボランティアとして積極的に参画し片言であっても外国語で会話をすることが重要で、それが成功体験となり、もっと海外体験をしてみたいということが夢と広がり海外留学につながる可能性もあります。せっかくの国際的なビッグイベントです。高校生の積極的な参加を県教委として後押ししてもらいたいと思います。
 そこで、グローバル人材育成基金の活用や国際イベントへの積極的な参画などを通じ県として今後どのようにグローバルに活躍できる人材を育成していくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、四つ目の柱、「礎」のカテゴリーから持続可能な静岡県の基盤づくりについて質問をいたします。
 財政目標必達に向けた覚悟についてですが、静岡県の新ビジョンでは生産性の高い持続可能な行財政運営の成果指標として、二〇二一年度までに財政調整用の基金による補塡額ゼロ、収支均衡を目標としています。しかしながらここ数年財源不足額は百億円単位で発生し、二十九年度は四百五十六億円、三十年度は二百十八億円不足しており、毎年財政調整用の基金から補塡をしております。
 最近の県財政を取り巻く状況を分析してみますと、活用可能な基金残高は二十九年度から三十年度にかけて法人関連税収が増加したことが奏功し基金の積み増しができたものの、今後消費税増税や国際情勢の変化による県内企業の収益の影響など税収を中心とした歳入面の確保は不透明感を増しています。加えて国からの交付税措置は依然として臨時財政対策債によるものが継続しており、通常債は毎年確実に減少しているものの県債残高は横ばいの状況が続いています。
 一方、歳出面は超高齢化社会に伴う医療や介護に関連する事業費、少子化対策費、人口減少対策費、災害に強い安全な県土づくりのための費用など毎年確実に増加する見込みであります。
 こうした状況の中、果たして三年後の二〇二一年に財政調整用の基金による補塡額ゼロという目標は本当に達成できるのでしょうか。県が掲げた財政目標は各指標ともおおむね健全な状態であると言えます。また財政運営に当たっては統一的な基準による地方公会計制度を活用し、財政状況の把握を進めていることも承知しております。財政当局の不断の努力は認めるところですが、収支均衡は現在の静岡県を取り巻く財政環境を鑑みますとかなり高い目標であると思われます。総合計画に掲げ県民や議会と約束した以上、目標は必ず達成してもらいたいと思います。
 二〇二一年度までに財政調整用の基金による補塡額をゼロにするという財政目標必達に向けた、県の覚悟と意気込みについて伺います。
 最後に、工業用水道事業の抜本的な経営改善について伺います。
 富士市選出の私は、平成十九年の初当選以来工業用水道事業について再三にわたって質問してまいりました。富士市は紙のまちと言われて久しく明治時代から製紙業が盛んで、市内製紙会社の多くが県が整備した東駿河湾と富士川の二つの工業用水と井戸水を使い分け家庭紙や段ボール、洋紙などの生産を行っています。しかしながらペーパーレス化の進展や海外製品との価格競争の激化などにより製紙業を取り巻く環境は厳しくなり、最近十年間の富士市における紙パルプ産業の製造品出荷額は平成二十年の五千二百三十五億円をピークに平成二十六年には三千八百四十八億円まで落ち込んでいます。
 生産が減少すれば当然のことながら使用する水は少なくなるわけで、企業局に対し契約水量の見直しや単価を改定することを求めてきますが、工業用水はユーザーの求めに応じて静岡県が多額の投資をして整備したものであるためこれに応じることは難しく、結果として各企業においては生産コストに占める工業用水道関連費用の割合が高まり業績に影響を与えています。
 一方、工業用水を供給する企業局側にも深刻な課題が山積しています。管路の老朽化が激しく莫大な更新費用がかかるのに国からの十分な助成は期待できないこと、水を大量に使用する事業形態の縮小によりユーザーの撤退が始まっていること、専門性を持つ技術者の確保が難しいこと、会計の独立性を保つために料金を上げざるを得ないがそれによってユーザーの撤退が加速する可能性があるなど、ネガティブな要素ばかりで将来に向けた明るい要素は見当たりません。
 平成二十九年十二月の代表質問で、私は企業局の経営改善努力だけでは工業用水道事業そのものの維持は困難であるため産業政策として知事部局側の理解と支援が必要ではないかとただしましたが、その後具体的な動きはありません。企業局は事あるごとに引き続きコスト削減と新規ユーザーの獲得に向けて全力で取り組みますと発言されますが、果たしてこの姿勢を続けているだけで問題は解決するのでしょうか。今までの固定概念を払拭し抜本的な改革を断行しなければ企業局の将来はないと私は思っています。
 将来にわたって企業局が工業用水道事業を維持し続けるため、従来よりも踏み込んだ経営改善策についてどのように考えているのか、企業局長の見解を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 櫻町宏毅議員におかれましては、今期をもって御勇退されるとのことでございます。その御決意を聞いたときには驚きました。まだ早い、やめるべきではないというのが私の率直な意見でございます。ともあれ私が知事に就任してから十年間、直接、間接に、いわゆる歯に衣着せない率直な辛口のアドバイスにはいつも感謝しておりました。十分な余力を残しての御勇退ということでございます。御健勝と、また御家族の御多幸と、それから富士市並びに県政へのさらなる御尽力をお祈りいたしまして御礼といたします。
 櫻町議員にお答えいたします。
 私の考えるふじのくにづくりについてであります。
 私は、知事就任以来県政運営の基本理念として富国有徳の“ふじのくに”づくりを掲げてまいりました。ふじのくにというのは本県のアイデンティティーであります。ふじのくにづくりが目指すのは、富士山の姿のごとく美しく調和した徳のある、豊かで自立した地域であります。これは誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できる「生まれてよし 老いてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷の実現でございまして、追求し続けるべき永遠の目標であります。
 富国有徳とは富士の字義を体した理念であります。富士の「富」は物産の豊かさを、富士の「士」は徳のある人のことを意味し、人材と物産を豊かに備える美しく品格ある地域を実現しようという理念でございます。霊峰富士を擁する本県は、富士山から導き出される多様な価値に立脚した地域づくりを進めることこそがその地域性に最もかなうものと考えております。
 一見、抽象的に聞こえるかもしれません。しかし私は一九九五年の阪神淡路大震災をきっかけに、その翌年九六年から国土審議会の委員をことしまで二十有余年務めてまいりました。また小渕内閣、森内閣、第一次安倍内閣、福田内閣の首相の諮問機関の委員として国土のこと、また国政について研究をしてまいりました。そうした中でふじのくにという言葉に出会ったわけであります。これは一九八〇年代に静岡県の雑誌、平仮名で「ふじのくに」という雑誌を初見といたします。私が初めて見たものであります。同時にまた就航先に行く団はふじのくに交流団と称され、毎年東京と大阪で行われる県ゆかりの人々との交流会はふじのくに交流会というふうに言われております。それゆえこれは静岡県のアイデンティティーであると、これに私は魂を吹き込もうと思いました。
 そうした中で、知事に就任して一年をかけて旧来の研究をまとめまして二〇一〇年、平成二十二年の夏に「日本の理想ふじのくに」という本をまとめました。私は知事に選ばれてふじのくに、日本の理想の都ふじのくにを建設する運動に目を投じ、一体どういう根拠でふじのくにが日本の理想の都になり得るのか、その根拠について同書で論じました。それはジャパニーズドリーム論であり、学問の観点から言えば和の文明学を立てる試みであります。詳細は同書に譲りますけれども、論点は次のものでございます。
 いまや日本は、欧米に追いつき追い抜くことを目的にした明治以来の中央集権体制が役割を終えており、国内的にも国際的にも地方自治体の役割が増大しております。まさにポスト東京時代の前夜にあるという認識のもとに、新首都を国会等移転審議会の答申で筆頭候補地とされた那須野が原に移す。都道府県を解消し内政を所轄する全省庁の財源、権限、人材を三位一体で一括して地域に移す。その地域単位は環境と景観をベースにして先進国並みの経済力を持つことを基準にしつつ、北海道、東北を森の州、関東を野の州、中部、本県が属する中部は山の州、西日本は海の州とし、四州から成る一国多制度の地域連合国家にする。国土のたたずまいは海に開かれた水と緑のガーデンアイランズ、新首都の候補地那須野が原は森の州と野の州の境にあり、古来日本では森への出口には鳥居を建て社を建立しその背後の森を鎮守の森として大切にしてきたので、新首都は鎮守の森の都と呼びならわされるであろう。新首都は京都、東京に対して北都となり、そこには鉄筋、木造の森の議事棟が建設されるべきである。新首都北都は外交、防衛、安全保障、通貨管理など国家主権にかかわる職掌のみをつかさどる。皇居は那須の御用邸を北の御所と呼び、現皇居は東の御所、京都御苑は西の御所として自在に、あるいは必要に応じて皇室は移り住まわれる。京都は東洋文明の生きた博物館、東京は西洋文明の生きた博物館として洗練の度を高め、日本全体を世界文明の博物館として海外の老若男女の憧れの場とならしめ多文化共生を目指す。これが冒頭に記した日本の理想ふじのくにの梗概でございます。
 現下の状況でございますが、目標とする理想の姿は自然災害による犠牲者の最小化や転入者の増加により持続的に活力が維持される社会の実現などの具体的イメージとして、今回お示しした新ビジョンにお示ししてございます。こうした姿は短期間に到達できるものではありません。しかしできる限り理想の姿に近づくべく、新ビジョンに四年間で取り組む施策と目標指標を盛り込みその達成に向けて取り組んでいるところであります。
 総合計画は、毎年度外部の視点で御評価を賜り継続的に改善をし、実効性の向上に努めているところであります。平成二十二年度に策定した計画は、十年計画を実質七年一カ月で前倒しをして達成いたしました。こうした中、富士山の世界遺産登録を皮切りに八十を超える地域資源、人材群が次々と世界的な評価を得ており、ふじのくにの魅力と存在感が国内外で高まっていることは大きな成果であると考えます。
 また、本年度開始いたしました新ビジョンにつきましても着実にスタートが切れているとの御評価をいただいたところでございます。今後とも社会経済状況の変化にも柔軟に対応しながら直面する課題を克服し、計画に盛り込んだ施策を着実に推進してまいります。
 新しい日本づくりの先導役を担うという強い決意のもとで、霊峰富士の姿にふさわしい富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりに全身全霊をささげて邁進してまいりますので、議員ほか県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、平成三十一年度当初予算編成についてであります。
 平成三十一年度当初予算につきましては、平成が幕を閉じ新しい時代を見据えながら新ビジョンの取り組みをさらに加速するための予算として編成いたしました。ふじのくに県民クラブの皆様から頂戴いたしました「命」「豊」「人」「礎」の四つのテーマから成る御要望に十分にお応えできる予算が編成できたと考えております。
 一つ目の「命」につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標達成に向けて、来年度完成予定である浜松市沿岸域の防潮堤整備などのハード対策と避難所運営、被災者の生活再建支援を担う人材養成などのソフト対策の両面から地震・津波対策の強化に取り組んでまいります。また伊豆地域と東部地域をモデルとして三次元点群データを災害復旧、観光、自動運転などさまざまな分野へ活用し、スマートガーデンカントリーふじのくにの形成を進めます。さらに医療の地域偏在を解消するため、新たに指導医を招聘し専門医研修を実施することにより専門医の確保に取り組む東部地域の病院を支援いたします。
 二つ目の「豊」につきましては、本県の基幹産業でございます自動車産業のEVシフトへの対応など新成長産業への支援に取り組みます。そのほか大阪事務所への企業誘致推進員の配置による誘致体制の強化、企業立地補助金による県内への再投資の促進等々新たな企業の誘致と県内企業の定着の両面から取り組みを進めてまいります。また国内外との交流の拠点となる富士山静岡空港につきましては、本年四月から空港経営を担う運営権者と連携を図りながらさらなる路線の確保、利便性の向上を図ります。
 三つ目の「人」につきましては、静岡式三十五人学級編制の下限を小中学校の全学年で撤廃いたします。そのほか増加している外国人児童生徒が安心して学べる環境を整備するため、日本語指導コーディネーターを増員し支援を充実してまいります。また教職員の多忙化の解消を図り生徒と向き合う時間を確保するため、教員の事務作業を支援するスクール・サポート・スタッフの配置を拡充いたします。さらにグローバル人材の育成を図るため、ふじのくに地域・大学コンソーシアムに学生の海外留学などを支援する留学コーディネーターを新たに配置し、地域や世界に貢献できる人材を育成してまいります。
 四つ目の「礎」につきましては、平成三十一年度当初予算を反映した今後の財政運営の見通しでは地方消費税率の引き上げや歳出の不断の見直しなどによりまして、二〇二一年度に収支均衡を実現できる見通しであります。引き続き全庁を挙げて不断の行財政改革に取り組んでまいります。
 御要望をいただきました四つの政策の柱から成る御提言を十分に踏まえまして、新ビジョンの目指す姿でございます県民幸福度の最大化に向けワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンのラグビーの精神をもって全力で取り組んでまいります。
 次に、満足度日本一の豊かな県についてのうち、公共施設等運営権制度導入後の富士山静岡空港についてであります。
 県では、富士山静岡空港のさらなる活性化、利便性の向上を目指し、本年四月から公共施設等運営権制度を活用した新たな運営体制へ移行することとし、現在業務引き継ぎ等の準備を着実に進めているところであります。運営権制度導入後、運営権者は空港の管理運営業務を一元的に行うことになります。また運営権者の御提案に沿って航空ネットワークの拡充や二次交通の強化、空港施設の更新、修繕に取り組むなど旅客数倍増という目標の達成に向け、みずからの経営判断と創意工夫で空港を経営されていくことになります。
 一方、県のほうは運営権者による空港経営が適切に行われるよう事業の実施状況や経営状況を点検、確認していくことは当然でございますが、それに加え空港周辺の環境保全対策や空港の設置者として安心・安全な空港機能の確保に向けた施設整備など必要な取り組みを引き続き行ってまいります。
 また、航空ネットワークの拡充は県民の利便性向上、交流拡大に不可欠です。観光客等の増加による県内経済への波及効果の増大に大きく貢献するものでもありますから、県といたしましても運営権者や富士山静岡空港利用促進協議会等と一体となって取り組む体制を構築いたします。そして空港間の競争激化や訪日外国人の増加等に的確に対応した施策を実施いたします。
 さらに、空港の利用拡大や地域活性化に向けた新たな施策を積極的に進めていくために運営権制度導入によって生じた運営権対価等を活用することとし、それらを基金に積み立てる補正予算案及び静岡県空港建設基金条例の改正案を本議会にお諮りしているところであります。加えて空港周辺地域では、民間事業者が主体となったさまざまな取り組みが具体化しております。
 こうした状況を踏まえ、県では関連する事業者や地元自治体も参画した情報共有の場として富士山静岡空港周辺地域情報共有会議を設置いたしまして、民間と行政が両輪となった地域づくりにも取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、全国の地方空港のモデルとなる官民協調の新しい体制のもと、地域や民間事業者との連携を深めつつ空港経営を主導する運営権者とも協力し、富士山静岡空港や周辺地域の魅力、競争力を最大限に引き出し将来にわたって本県経済を牽引する空の玄関口となるように積極的に取り組んでまいります。
 次に、創業支援の充実についてであります。
 本県経済が持続的な発展をしていくためには、既存の産業群に加えて新しいビジネスが次々と生まれ続けることが大切です。起業家やベンチャーはこうした役割を果たす重要な担い手でありますことから、その創出に向けた機運の醸成や育成支援の取り組みが必要です。中でも大学発ベンチャーは、大学の研究成果を生かし新たな製品開発に結びつけるイノベーションの担い手として近年注目されております。
 本県は、大学数が少なく結果的に研究開発に携わる研究者や学生が必ずしも多いとは言えない状況にあります。しかしながら平成二十九年度の経済産業省調査によりますと、静岡大学、静岡県立大学、光産業創成大学院大学などから五十件のベンチャーが誕生しておりまして、その数は都道府県順位で全国第十位と健闘しております。特に光産業創成大学院大学におきましては光技術と経営について習得する実践的コースを設定し、光をテーマとして県内外から創業を志す学生を集めております。これは技術をベースに創業や事業化を目指す人材を育成する一つのモデルともいうべき取り組みであります。
 県としましても、こうした取り組みを参考にし、技術の活用による創業や事業化を促進し創業機運を高め創業しやすい環境の整備を進めてまいりたいと考えております。来年度はこのために県内大学や金融機関、産業支援機関などで構成するコンソーシアムを組織いたします。それとともに関心の高い企業やベンチャーキャピタルなどの参画を得ながら継続的な支援体制を構築して、大学発ベンチャーの創出の取り組みを促進いたします。
 また、人口減少、少子高齢化が進展する中、地域課題の解決に取り組む起業家に対しましても国の交付金制度の活用により新たな助成制度を創設して、持続可能で地域経済への波及効果の高い創業が実現するように取り組んでまいります。これらの施策につきましては、来年度当初予算案に盛り込み本議会でお諮りしているところでございます。
 県といたしましては、今後志のある若者の挑戦を応援する創業支援の仕組みづくりを積極的に進めることで全国から多くの起業者を集め、ふじのくにに行けば創業、事業化の夢がかなう、すなわち誰もが努力をすれば人生の夢がかなうドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点づくりを具現化してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(落合愼悟君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 満足度日本一の豊かな県についてのうち、運航を継続する駿河湾フェリーの利用促進についてお答えいたします。
 昨年五月の駿河湾フェリーの事業撤退の発表を受け、環駿河湾観光交流活性化協議会を構成する三市三町を初め静岡県観光協会、美しい伊豆創造センター、さらに静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合など多くの皆様の事業継続への強い要望が寄せられました。
 県といたしましては、地域に大きな経済効果をもたらしている重要な社会インフラであることとともに海からの景観を楽しむ公共空間としての役割を果たしていることとして、昨年九月に駿河湾フェリーの運航を継続することを発表いたしました。それ以降これら事業継続の要望をいただいた皆様方と一緒になって利用促進の取り組みを実施したことなどにより、昨年十月からことし一月のフェリーの輸送人員は前年同期を一四%上回るなど利用状況は好転しております。
 さらに、環駿河湾観光交流活性化協議会の中に旅行業の専門家などが商品企画や営業活動を支援するためのチームを設置し、観光パンフレットの作成配布、あるいはCMの放送などフェリーと環駿河湾地域の魅力を発信する体制を整備することといたしました。来年度にはこれまでの取り組みを強化し、大都市圏からの団体ツアーの貸し切りバス代への支援などフェリーを活用した旅行商品の造成を促進するとともに県内宿泊を条件といたしました運賃割引キャンペーンの展開等々一層の需要喚起に努めることに加え、伊豆半島ジオパークやサイクリングとフェリーを組み合わせるといった新たな魅力を創出してまいります。
 海越しの世界遺産富士山を望むことができるかけがえのない駿河湾フェリーの運航継続に向け、当面の目標を年間輸送二十万人とし地域の関係者が一丸となって利用促進に取り組むとともに、世界的イベントでの観光需要をしっかりとフェリーに取り込みフェリーを活用した周遊ルートを定着させることにより、需要のさらなる拡大を図ってまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 金嶋危機管理部長。
       (危機管理部長 金嶋千明君登壇)
○危機管理部長(金嶋千明君) 命を守り将来の安心な暮らしの実現についてのうち、風水害に対する県民意識の向上についてお答えいたします。
 県では、近年多発する豪雨災害を踏まえ逃げおくれによる犠牲者防止を図るため、有識者等から成る委員会を設置し具体策について検討を進めております。委員会では、みずからの命はみずから守るという意識を向上させ避難行動につなげることが重要であるとの基本的な考え方が示されたところであります。
 これを受け県民意識の醸成を図るため、防災講演会や出前講座を開催するほか狩野川台風など本県を襲った災害の記録を活用した啓発映像の制作、ハザードマップの確認や避難勧告等の緊急情報を迅速に受信することができる防災アプリの開発などに取り組んでおります。また来年度は住民一人一人が風水害時にとるべき対応を時系列で整理した防災行動計画、いわゆるマイ・タイムラインにつきまして、モデル地区においてワークショップを開催するなど普及促進を図ってまいります。さらに出水期前の土砂災害防災訓練に加え、これまで地震災害を中心に実施してきた地域防災訓練等におきまして風水害の要素を取り入れた訓練の実施を促してまいります。
 県といたしましては、これらの取り組みにより今後増加が懸念される風水害への備えを強化し、安全・安心な地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 小櫻がんセンター局長。
       (がんセンター局長 小櫻充久君登壇)
○がんセンター局長(小櫻充久君) 命を守り将来の安心な暮らしの実現についてのうち、静岡がんセンターが果たしてきた役割と今後についてお答えいたします。
 およそ四半世紀前、静岡県にもがんセンターをという機運が高まり多くの議論を経て、平成十四年九月議員御指摘の三点を使命といたしました静岡がんセンターが理想のがん医療を目指して開院をいたしました。県民の皆様や県議会の御理解により、陽子線治療や内視鏡治療、手術支援ロボットダビンチなど最新の施設、機器を先駆けて整備することができ、医師、看護師、薬剤師等の医療従事者が一丸となって患者さんをサポートする多職種チーム医療体制などと相まった最先端のがん医療は、いまや日本のがん専門病院のトップスリーに評価されております。
 また、全国のがん専門病院の相談支援センターのモデルとなり朝日がん大賞を授与されたよろず相談を初め、患者家族支援センター、化学療法センター、支持療法センターの四つのセンターからなる包括的患者家族支援システムは世界トップクラスの患者・家族の支援体制であると認識をしております。
 静岡がんセンターは、平成十六年八月に都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受け静岡県がん対策推進計画の推進に取り組んでまいりました。県がん診療連携協議会の中心としまして、患者・家族への相談支援や支持療法といった静岡がんセンターの先進的な取り組みを県内がん拠点病院などに広め、県内のがん医療の均てん化を着実に進めております。またファルマバレープロジェクトの中核施設として、これまで百を超える医療機器や医薬品、化粧品などの開発に携わってまいりました。さらに平成二十六年から進めております臨床研究プロジェクトHOPEでは、現在五千症例の遺伝子解析を終え世界中で類を見ない規模のアジア人遺伝子データベースを構築し、その成果をがんゲノム医療として県民の皆様に還元する取り組みもスタートしております。
 静岡がんセンターにおきましては、このように建設構想時に設定いたしました使命を着実に果たしてきているものと考えております。土日診療などいまだ実現されていない課題もございますが、今後も患者さんの視点の重視の基本理念に基づき、低侵襲性手術の拡大や効果的な薬物療法、ゲノム医療の推進など最新で最先端のがん医療の提供を行うとともに支持療法、緩和ケアなどの充実と普及に取り組み、全国のがん専門病院のフロントランナーとして理想のがん医療を追求してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 命を守り将来の安心な暮らしの実現についてのうち、児童生徒の命を守るための学校現場の使命についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり学校は虐待をいち早く発見できる場所でありますことから、教職員の意識の向上と市町や児童相談所等関係機関との連携が極めて重要であります。このため毎年養護教諭を初めとする教員を対象に児童相談所等の職員を講師として虐待に関する研修会を開催しているほか、各学校に配置したスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる校内研修を行うなど教員の資質や意識の向上を図っております。
 小中学校では、健康診断や朝と帰りの身支度、体育の授業などであざやけが、服装の乱れなどの虐待のサインを発見する観点からも児童生徒の様子を観察しております。またいじめアンケートや教育相談、家庭訪問により子供の心身の変化だけでなく保護者による養育状況、家庭環境の把握に努めております。虐待が疑われる場合には子供の安全確保を最優先し、学校ではためらうことなく市町の福祉部局や児童相談所へ通告することとしており、福祉、医療、警察等の関係機関との協議を踏まえ民生・児童委員等地域の方と連携しながら学校全体で支援していくこととしております。
 かけがえのない幼い命を虐待から救うのは子供を取り巻く全ての大人たちの使命であります。今回の千葉の事件を踏まえ、県教育委員会では各市町教育委員会や学校に対して児童虐待への迅速かつ適切な対応について改めて徹底するとともに、児童相談所、警察等の関係機関や地域との連携を一層強化し、子供たちの命を守るため全力で取り組んでまいります。
 次に、将来の日本を背負える人材の育成についてのうち、未来の学校「夢」プロジェクトの取り組みと成果についてであります。
 県教育委員会が指定したモデル校では、業務の洗い出しとともに校務支援員の活用、学校行事等の見直し、退勤時刻の上限設定などに取り組んだ結果、児童生徒とかかわる時間がふえたとする教員が八割を超え、また時間外勤務が一人当たり月五時間程度削減されるなどの成果が見られました。この取り組みを県内の学校に広げるため、昨年十二月全ての小中学校長や市町教育委員会を対象に報告会を開催いたしました。そこではモデル校の成果を伝えるとともに民間企業の事例発表などを行ったところであります。これらを踏まえ、各学校では学校経営書に具体的な取り組みを掲げ積極的な業務改善の実践を目指しております。
 このほか、県教育委員会ではモデル校の成果を踏まえ、昨年の九月補正予算で全校に配置したスクール・サポート・スタッフにつきまして来年度従事する時間を拡大するとともに、そのための予算も本議会にお諮りしているところであります。
 また、学校における働き方改革は議員御指摘のとおり民間や地域の視点を取り入れながら取り組むことが重要であります。各学校が業務改善を進める上で、引き続きプロジェクトの有識者や関係する民間企業等からの助言をいただくとともに、教職員の多忙化解消に向け学校運営に地域の意見を積極的に取り入れるコミュニティスクールの設置を促進してまいります。
 学校における働き方改革は喫緊の課題であります。次代を担う人材を育成するため本プロジェクトで得られた貴重な成果を最大限活用し、教職員が生き生きと働くことができる教育環境の整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、グローバル人材の育成についてであります。
 グローバル人材の育成につきましては、英語など外国語能力の向上とあわせて実際に外国の風土や外国人と接する経験を積み重ねることにより国際感覚を磨いていくことが重要であると考えております。このため県教育委員会では海外に出向き現地の高校生との交流を行う海外修学旅行を促進しており、平成二十九年度には県内の公立、私立合わせて四十九校の高校が実施し、実施率は全国で最も高くなっております。
 ふじのくにグローバル人材育成基金を活用した海外留学等につきましては、本年度生徒、教職員合わせて二百四十七名を派遣しております。生徒からは留学により何事にもチャレンジする気持ちが強くなった、友人ができたなどの声が聞かれ、その経験をそれぞれの学校内で報告しております。引き続き短期海外留学を実施する予定であり、五年間で九百人を派遣目標として生徒だけでなく保護者等への周知啓発に取り組んでまいります。
 議員御指摘のラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックにつきましては外国人と触れ合う貴重な機会でありますことから、文化・観光部と連携して高校生に対しボランティア活動への積極的な参加を呼びかけているところで、もう既に締め切りましたので参加を呼びかけたところであります。また外国人とのコミュニケーションに活用できるよう、本県の歴史や産業、文化について日本語、英語二カ国語で表記されたパンフレットを現在作成中であります。このように高校時代に異文化に触れることを経験することは、将来のグローバル人材として活躍する第一歩であります。
 県教育委員会といたしましては、今後とも生徒が海外体験し異文化交流することを積極的にサポートし、世界に羽ばたくグローバル人材の育成に努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 命を守り将来の安心な暮らしの実現についてのうち、ビッグイベントのテロ対策についてお答えいたします。
 ラグビーワードカップ二〇一九及び東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、国際的に大きな注目を集めるビッグイベントであり国内外から選手や大会関係者のほか多くの観客が集まることから、その競技会場や関係施設を初め周辺の公共交通機関、観光地、大規模集客施設等がテロの攻撃対象となる恐れがあります。
 このため、県警察では組織委員会、県、関係自治体等と連携して警備計画の立案を進めるとともにテロに関する情報の収集と分析、入国管理局等と連携した水際対策の推進、大会警備の中核を担う機動隊の対処能力の向上などに取り組んでおります。また車両突入によるテロを阻止するための伸縮式車両阻止柵や観客の利用が想定される駅周辺における防犯カメラなど、必要な資機材の整備を進めております。さらに昨年九月までに全ての警察署に設置した官民連携の枠組みであるテロ対策ネットワークを軸に競技会場、公共交通機関などテロの標的となり得る施設における爆発物処理やNBCテロ対応訓練の実施、看板、電光掲示板、ラジオ等の広報媒体を有効活用したテロを許さない機運の醸成などを施設管理者、重要インフラ事業者等と連携して推進しております。
 県警察といたしましては、今後も引き続き組織委員会を初め県、関係自治体、関係事業者等と緊密に連携して、大会の安全で円滑な進行と安全・安心な県民生活の確保のためテロ対策に万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 満足度日本一の豊かな県についてのうち、外国人労働者の増加への対応についてお答えいたします。
 まず、ものづくり現場で増加が見込まれる外国人労働者への対応についてであります。
 景気が緩やかな回復傾向を示す中、有効求人倍率は一・六倍台の高水準を維持する一方で産業人材の不足が顕在化しております。国は新たに特定技能制度を創設し、今後五年間で約三十四万人の外国人労働者の受け入れを計画しております。
 こうした中、本県が将来にわたり活力を維持し発展していくためには、外国人県民もひとしく県民でありともに暮らす生活者であるという視点に立ち、国籍や文化の違いを超えて誰にとっても働きやすく暮らしやすい多文化共生の地域づくりを進めていくことが重要であると認識しております。
 現在、県では県民生活センターに設置している中小企業労働相談所におきまして外国人労働者からの労働相談に応じているところであります。来年度は新たに行政、生活全般について多言語で情報提供、相談を行う多文化共生総合相談ワンストップセンターを設置し、さらなる相談体制の充実を図り外国人労働者が生き生きと活躍できる就業環境の整備に努めてまいります。
 次に、県内で生活している外国人労働者が抱える課題への対応についてであります。
 議員御指摘のとおり、定住外国人の方々は不安定な派遣や請負で就労している方が六割を超えており、将来にわたり安心して本県で活躍できる環境を整備していくことが重要であります。このため正社員として活躍している定住外国人のロールモデルを作成するとともに、就職を希望する外国人と人材を求める企業の双方に助言を行うアドバイザーを新たに設置いたします。加えて技術専門校の外国人向け職業訓練コーディネーターを一名から三名に増員するほか、機械加工や溶接などの訓練に新たに通訳を配置するなど就労前から正規就労までを一貫して支援をしてまいります。さらに既に企業で働く定住外国人の職場定着を促進するため、スキルアップを図る在職者訓練を新たに実施するほか外国人労働者やその家族が安心して生活できるよう地域における先進的な共生の取り組みを紹介するセミナーを開催するなど、外国人を受け入れる企業に対する支援も拡充してまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みを通じまして、外国人県民の方々が国籍を問わず誰もが努力すれば夢がかなえられ大いに活躍できる地域づくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
       (交通基盤部長 平野忠幸君登壇)
○交通基盤部長(平野忠幸君) 満足度日本一の豊かな県についてのうち、田子の浦港のにぎわいづくりと防災対策についてお答えいたします。
 県は、富士市長を会長とする田子の浦港振興ビジョン推進協議会の一員として住民代表や地元企業、関係行政機関とともに振興ビジョンの策定や改訂に協力し、にぎわいづくりと防災対策を支援してまいりました。
 にぎわいづくりにつきましては、多くの来訪者によりにぎわいの拠点となりましたふじのくに田子の浦みなと公園や今年度完成予定の鈴川緑地を活用するにぎわい創出の取り組みに対しまして、他港における事例を生かしながら積極的に協力してまいります。またクルーズ船の誘致に向け、田子の浦港客船誘致委員会に県も参画し勉強会やファムトリップなどを実施しており、引き続き市と連携しクルーズ船社への働きかけやファムトリップの拡大などに取り組んでまいります。
 防災対策につきましては、第三波除堤の機能強化がビジョンに位置づけられたことを踏まえ県は本年一月に富士市と覚書を締結し、市の負担により県が行う事業として来年度調査設計を実施するための予算を本議会にお諮りしているところであります。
 県といたしましては、田子の浦港を核とした地域のにぎわいづくりの実現を支援するとともに田子の浦港の津波対策を推進することにより、富士市や地域住民の皆様等との協働による安全で安心な魅力ある港づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 将来の日本を背負える人材の育成についてのうち、移住・定住の促進についてお答えいたします。
 移住・定住の促進には、仕事や住まいを初め子育て環境、自然を生かしたライフスタイル等本県の暮らしの魅力を発信し移住を検討されている方に積極的に本県を選んでいただくことが重要であります。このため東京有楽町の静岡県移住相談センターでは、県内各地の市町とともに仕事や住まいをテーマにしたセミナーや静岡まるごと移住フェアを開催するなど暮らしの魅力の発信や相談者一人一人に寄り添ったきめ細かな相談対応を行っております。
 新年度から予定しております移住・就業支援金制度は、本県の多彩な中小企業等の魅力を首都圏でPRし本県への就業を促進するとともに、移住に伴う新たな住まいなどの費用を支援する制度であります。仕事と住まいの両面から移住の後押しになるものと考えております。
 県といたしましては、本制度を最大限に活用しながら移住フェアの拡充や移住相談センターでの就職相談を週二回から週六回に拡大するなど情報発信の充実と相談機能の強化を図り、市町、地域団体等と一体となって本県への移住・定住をさらに促進してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 持続可能な静岡県の基盤づくりについてお答えいたします。
 財政目標必達に向けた覚悟についてでありますが、本年度からスタートした静岡県の新ビジョンでは、二〇二一年度までに財政調整用の基金を除いたその年度の歳入によってその年度の歳出を補う収支が均衡した財政運営を目標としております。これは昨年度総合計画審議会での審議やパブリックコメント、そして県議会での審査を経て設定した目標であり財政運営のあるべき姿でありますことから、確実に達成しなければならないと認識しております。
 平成三十一年度当初予算編成にあわせて試算した今後の収支見通しでは、地方消費税率の引き上げに伴う一般財源総額の増加や歳出の不断の見直しを行うことなどにより二〇二一年度には財政収支が改善し、昨年度の試算結果と同様収支均衡が実現できる見通しとなっております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり今後の財政運営は決して楽観視できるものではありません。このため歳入面では本県の稼ぐ力の向上による税収基盤の強化や未利用財産の売却などの取り組みの強化、歳出面では社会保障関係経費などの義務的経費の増加に見合うその他の経費のスリム化、課題解決に直結する事業への財源の重点配分など質、量の両面からの財政構造改革に取り組んでまいります。
 今後とも、将来にわたってふじのくにを支える持続可能な財政基盤を構築するため、国に対して国、地方を通じた安定的な税財源の枠組みの構築を提言するとともに、収支が均衡した中長期的に安定した財政構造への転換に向けて強い決意を持って取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 梅藤企業局長。
       (企業局長 梅藤久人君登壇)
○企業局長(梅藤久人君) 工業用水道事業の抜本的な経営改善についてお答えいたします。
 工業用水道事業は、用水型産業の縮小などによる収益の減少に加え今後老朽化した施設設備の更新が必要となりますことから、その経営はますます厳しいものになるものと見込んでおります。
 企業局では、受益者負担による独立採算制の原則のもと未利用地の売却、維持管理費の削減などの経営改善に努めるとともに、新規需要開拓のため商工団体や関係自治体などの協力を得て工業用水道の認知度向上に積極的に取り組んでおります。また県の関係部局とは工業用水道事業の現状や将来見通しについて情報共有を図っており、工業用水道事業の役割や事業開始の経緯に鑑み産業政策や環境政策の観点から引き続き連携協力していきたいと考えております。
 今後工業用水の飛躍的な需要拡大は見込みがたいことから、施設更新に当たりましては新たな工法の導入やダウンサイジングなどにより費用を縮減するとともに、受水企業の皆様の御意見を伺いながら地下水や水道の利用可能性なども勘案しつつ、隣接する工業用水道の間での効率的な水運用や管路網の再編なども含め抜本的な経営改善について検討してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 櫻町宏毅君。
       (三十五番 櫻町宏毅君登壇)
○三十五番(櫻町宏毅君) 冒頭、知事から大変過分なるお言葉をいただきましてありがとうございました。
 私だけでなく、家族やまた支援者に対してもそのお言葉をいただいたと思います。皆になりかわりまして御礼申し上げます。ありがとうございました。
 さて、要望三件、質問三点をいたしたいと思います。
 まず、要望でございますが三十一年度の予算編成についてであります。
 私ども会派は四つの柱をもとに今回要望させていただきました。先ほど知事からも力強い答弁をいただいておりますが、我が会派の要望にほぼ即した形で対応いただいていると思います。大変厳しい財政状況かと思いますけれども確実にこの事業を執行していただいて県民幸福度の最大化につなげていただきたいというふうに思います。
 要望の二つ目ですが、がんセンターについてでございますけれども、がんセンター会議を見ますと毎年医療と研究所で県のお金が――県費ですね――六十億円ほど投入されております。病院の性格上これは一定の額はいたし方ないと思うんですけれども、一方でがんセンターさんはこれだけ長い間活動されてきているので知的財産ですね、非常に有望なものがあるというふうに伺っておりますので、それを生かした稼ぐがんセンターをやっていただくことによって県からのお金の繰り入れを少なくするということに取り組んでいただきたいというふうに思います。
 三点目、駿河湾フェリーの件でございますが、この航路はやっぱり清水から出ているというのが一つポイントだと思うんですね。清水は大きな客船を誘致したり、観光に今力を入れております。それから中部横断道がもうすぐできますので背後の長野県や山梨県のお客さんも取り込むということもやっておられますので、ここはぜひそういったお客様を駿河湾フェリーに乗りかえてもらって伊豆のほうにお招きすると、おいしい魚を食べてもらって帰ってもらうというふうなことも一つの策じゃないかなと思いますので、ぜひ御提言をいたしますので御検討いただきたいと思います。
 続いて再質問を三点いたしますが、一点目は児童虐待対策でございます。
 教育長からは市町教育委員会と学校、それから児相、警察、各自治体と連携するというお言葉をいただきました。今回野田市の事案を見ましてもその常識を失った親が子供を返せということで学校なり児相なり駆け込んでくるわけです。そうなると学校の先生方は教えることはプロであっても法律のプロではないので、そこはもうどぎまぎしてしまってやむを得ず出してしまう、今回のコピーもそうですけどね、それもあり得ると思うんですね。ですからここは法律のプロ、つまり弁護士もきちんと配置するということが必要じゃないかと思うんですね。これは児相側も学校現場も必要かと思うんですが、これでまず学校現場の配置についてどのようにお考えなのかお聞きをしたいと思います。
 二つ目、収支均衡に向けた取り組みですけれども、今佐藤部長から力強いお言葉をいただきましたが、要はその年の歳入でその年の歳出を賄うと、収支均衡だということだと思います。これは理想的な姿だと思いますけれども、ただ今まで活用してきた臨時財政運営上の基金の特徴はその歳入も歳出も不確定な要素があるので、その部分をどうやって補うかということで補塡に使っていたということなので、これがかなり高いですね、歳入計画を立てていかなきゃいけないというふうに思います。そうなると政府が活用しております経済成長率を使っておりますが、これがちょっといいかげんなのでちょっと不安になりますけれども、この点いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
 最後、企業局の経営ですが知事にお答えいただきたいと思うのですが、企業局は今大変な状況です。社長である企業局長が二年に一回かわるようでは絶対立ち直りできないと思うんですね。外部から人を招いて五年間とか十年間とか長いスパンでしっかりと経営を改善するという姿勢が必要だと思うんですが、知事は有望な方を招聘できる力をお持ちだと思いますので、この点についていかがかお答えをいただきたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 企業局長の人事にかかわる御質問にお答えいたしますが、静岡県庁にも逸材はおります。まずは外部に頼らないで企業局、御指摘の問題点は重々承知しておりますのでこれを解決できるような逸材を充てると。もうそうしてもできなければ外部の有識者にお願いをするという場合があるかもしれないという考えでおります。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 児童虐待に関する学校の法的な対応について再質問についてお答えをいたします。
 学校では事案の法的な対応につきましては、市町教育委員会もしくは児童相談所等と速やかに連絡をとり必要な場合は弁護士を見つけて協議をし保護者に対して法的に基づく適切な対応ということで体制をとっておりますが、必ずしも学校によっては仕組みとして確保できているという状況ではないというふうに思っております。
 来年度から児童相談所に非常勤の弁護士が配置されるというふうに伺っておりますので、学校、市町教育委員会議で把握した事案につきまして協力を得ながら、より適切な対応につなげるように連携を図りたいというふうに考えております。
 また、今後国におきまして、いじめ防止等対策のためのスクールロイヤーに関する調査研究というものが実施されるというふうに伺っております。私どももこの調査研究を参考にしながら、学校、市町教育委員会の弁護士の配置、確保につきまして検討を進めていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 佐藤政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 財政目標必達に向けた確保についての再質問にお答えいたします。
 統計データの関係で今御質問がありましたけれども、我々も実際どうなっているかということについて全てを正確に把握しているわけではございません。ただ今後のいろんな状況が判明してくる中でその内容を見まして、今まで行っております施策についても見直しをすることも必要であろうというふうに考えております。
 しかしながら、収支均衡という考え方については変えることなく取り組んでいきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) これで、櫻町宏毅君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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