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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

安間 英雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/22/2010

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 円高に対する経済対策と雇用対策について             
2 富国有徳の理想郷“ふじのくに”の将来像について         
 (1) 豊かさを支える産業構造                    
 (2) 県の国際戦略                         
3 交流の促進について                       
 (1) MICEの推進                        
 (2) 富士山静岡空港の利便性の向上                 
4 富士山について                         
 (1) 富士山初登頂の感想                      
 (2) 富士山の日                          
5 過疎対策について                        
6 行財政運営について                       
 (1) 事業仕分けを含めた今後の行財政改革のあり方          
 (2) あるべき地方税制の姿                     
7 安心・安全なまちづくりについて                 
 (1) 次期防犯まちづくり行動計画の策定               
 (2) 自殺総合対策事業の取り組み                  
8 災害に強い県づくりについて                   
 (1) 総合防災訓練                         
 (2) 豪雨災害に対する取り組み                   
 (3) 遠州灘の海岸侵食対策                     
9 道路政策について                        
10 教育改革について                        
 (1) 全国学力・学習状況調査                    
 (2) 幼児期の子供を持つ保護者への家庭教育支援           
 (3) 外国人児童生徒への支援                    
11 未解決の殺人などの重要事件に対する県警の取り組みについて



    ○議長(天野進吾君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百十三号から百二十三号まで及び平成二十一年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、七十一番 安間英雄君。
       (七十一番 安間英雄君登壇 拍手)
    ○七十一番(安間英雄君) おはようございます。
     私は自由民主党県議団を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。 
     質問に入ります前に、去る八月二十一日御逝去されました故岡本信也県議に謹んで哀悼の意を表しますとともに、心より御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。私は同世代、同期ということで大変残念に思っております。
     また、このたびの台風九号の通過に伴う大雨により県下にも大きな被害をもたらしましたが、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早く被災された地域が復興されますよう県の万全の対応をお願いいたします。私ども同僚の込山県議の地元ということで大変苦労をされたようでありますが、私どももしっかり応援をしていきたいというふうに思っております。
    それでは質問に入ります。
     初めに、円高に対する経済対策と雇用対策についてであります。
     我が国経済は、中国など新興国の経済成長の波及効果やこれまで講じてきた各種の政策効果により着実に回復し、本県経済も新興国向けの生産増加等を背景に、ようやく持ち直しの動きが広がってきたところであります。しかしこの経済回復の牽引に大きく貢献していた自動車や電気機械などの輸出型産業が、一ドル八十円台前半という十五年ぶりの円高に直面し、生産の減速はもちろん、経営危機や海外移転などの抜本的な対応を検討しなければならないほど深刻な状況に陥っています。
     政府においても経済対策を閣議決定しておりますが、経済対策に疎い民主党政権で大丈夫かの気持ちが本音であります。円高は輸出依存度が高い本県の産業構造に直接的な打撃を与えており、企業の設備投資の見送りの報道が相次いでいるほか、このままの状態が続けば本県経済の空洞化が進み、雇用や県民所得の減少で県勢が大きくそがれる危機であると感じております。
     そこで、この円高の影響を最小限に食いとめるため、県ではどのような対策を講じていくつもりであるのか伺います。
     また、このような急激な円高は、当然、雇用情勢にも悪影響が及ぶことが懸念されます。七月の本県の有効求人倍率は〇・四九倍と、昨年の八月から十二月にかけて記録した過去最低の〇・三八倍と比べ若干持ち直したとはいえ、依然として厳しい状況が続いております。また有効求職者数が七万六千七十八人に対して有効求人数が三万五千八十七人と、県内には仕事を求めても就職できない方が実に四万人以上もいるのが現状であります。こうした状況下で、今回の円高の影響により企業業績が急速に悪化するようだと、持ち直しつつある雇用情勢が再び落ち込み、失業者が増加することが懸念されます。
     県では、緊急雇用創出事業で二百二十億円、ふるさと雇用再生特別対策事業で四十二億円の基金を財源に雇用創出事業に積極的に取り組み、本定例会にも追加の補正予算案を上程していますが、これまでの事業の具体的な成果及び依然厳しい雇用情勢の中で、今後どのように雇用創出事業を展開していく考えなのか伺います。
     次に、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の将来像についてのうち、豊かさを支える産業構造についてであります。
     本県の豊かさの源泉は、ものづくりを中心とした多様な産業構造にあります。中でも、輸送用機械や電気機械の分野は製造品出荷額の約四割、従業員数の約三割を占め、大手完成品メーカーから中小の部品製造事業者まで裾野の広い産業構造を形成しており、本県産業の屋台骨として本県の経済成長を牽引してまいりました。しかしながら最近の急激な円高の進行など、今後、国内の厳しい経営環境が続くと、中国やインドといった新興国の経済成長を取り込むために、こうした企業の海外移転が進むことが懸念されております。
     こうした中で、本県経済の持続的な発展を維持していくためには、雇用を生み新たな付加価値を創出する次世代産業の創出が重要な政策の一つであり、ひいては今後の厳しい地域間競争を勝ち抜くことになると考えます。磐田市でも、きょうの新聞に出ておりましたが電気自動車への対応ということで市が力を入れるというような記事が出ておりました。
     県では、策定中の新しい総合計画において、静岡新産業集積クラスターの推進や環境、医療・福祉機器といった成長分野への中小企業の参入促進などものづくり産業の支援に加えて、コンテンツ、デザイン、物流――私は特にこれからデザイン、付加価値をよりつけるという、こういう分野が重要だというふうに思っておりますが――全国と比べて本県が弱いとされてきたサービス産業についても振興策を掲げているほか、ふじのくにグリーンニューディールとして六次産業化などを推進し、食と農を軸とした新しい産業の創造などにも取り組むとしていますが、こうした取り組みにより、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の豊かさを支える産業構造をどのようにしていこうと考えているのか、知事の所見を伺います。
     次に、県の国際戦略についてであります。
     静岡県は、本年度富士山静岡空港の開港一周年と上海万博の開催に合わせ、ふじのくに三七七六友好訪中事業を推進し、知事みずからが先頭に立って中国との交流を積極的に展開されているところであります。最近の対中国情勢、大変懸念をされる状況ではありますが、富士山の標高にちなむ三千七百七十六人規模の県民を中国に派遣するという知事のユニークな着想に基づく事業は、浙江省の趙洪祝書記のみならず習近平国家副主席、程永華駐日中国大使など、国家レベルの要人からも大変高い評価を受けていると伺っております。
     このように、友好提携以来二十八年間にわたる本県と浙江省との交流成果が広く認められ、九月十日に上海で開催された中国国際友好都市大会において、対中国友好都市交流提携賞の表彰を受けたことはまことに光栄で喜ばしいことであります。今後、両県省の間では、これまでの交流に加え多様な分野における具体的な交流が求められていくものと考えられます。
     中国以外の交流におきましては、八月に知事がモンゴルを訪問し、富士山静岡空港へのチャーター便の誘致や同国への今後の交流の可能性を明らかにされました。これに先立ち私どももオイスカ議連としてモンゴルを訪問、砂漠に植林、政府要人とも面会し、経済交流、留学生交流等の要請を受けたところであり、大統領の静岡訪問も考えたいとのことでありました。地下資源の豊富なモンゴルとの交流には大いに期待したいものであります。
     知事はまた、九月十七日には韓国で開催された二〇一〇世界大百済典の開会式に出席されましたが、開催地である忠清南道からは本県との交流意向が示されていると伺っております。韓国との新たな地域間交流が期待されるところでもあります。
     新しい総合計画の中では、多文化共生と新たな地域外交の推進の中で、政府間外交によらない自治体や民間による交流を促進するなど地域主権の時代にふさわしい新しい地域外交を推進していくとされていますが、このような知事のアジア各国への訪問を踏まえ、今後、どのような国際戦略のもとに海外との交流を推進していくのか県の取り組みについて伺います。
     次に、交流の促進についてのうち、MICEの推進についてであります。
    今、MICEという聞きなれない言葉が国際的な観光、ビジネスの世界で注目をされています。MICEのMは会議――ミーティング、Iはインセンティブで報奨旅行等と呼ばれます。Cは会議――コンベンションのC、Eはイベント――展示会を意味するとのことであります。これまでの国際会議誘致などのコンベンションより、より広い意味を含むものであります。
     MICEにより来日するビジネス客は、一般の観光客より消費金額も多く経済波及効果が高いことから、オーストラリアやシンガポールではかなり以前から国を挙げその誘致に取り組んでいます。我が国でもことしをMICE元年として積極的に取り組むことを国が宣言し、各種の施策を展開しています。
     本県では、これまで国際会議などのコンベンションの誘致、開催を県内のコンベンションビューロー等と協働で行ってきましたが、国際的な会議施設や交通アクセスに恵まれた大都市圏と比較して必ずしも成功したとは言えません。しかしながら私は、MICEの中でも特にインセンティブ旅行の誘致については、豊かな自然や温泉に恵まれ快適な設備を有する宿泊施設が多く立地する本県の優位性が発揮できる分野であると思います。国内の企業でも成績優秀な社員を報償し会社への忠誠心を醸成する旅行や、主要な取引先を招待しての会議などを観光地等で行うことは一般的で、本県の伊豆や舘山寺のホテル・旅館などでも広く受け入れてきたと聞いております。
     今後は、国の施策とも連動して国際的なMICEを本県に誘致することが本県の観光振興や地域経済にとって重要であります。特に富士山静岡空港の利用促進のためにも、就航先であり経済成長が著しく、かつMICE需要が拡大しつつある韓国や中国の企業のMICE誘致に、積極的に取り組むことが重要であると思いますが県の対応について伺います。
     次に、富士山静岡空港の利便性の向上についてであります。
     富士山静岡空港は、国内六路線、海外二路線が運航し、開港から一年間の搭乗者数はチャーター便を含めて約六十三万人、搭乗率は平均で約六六%と厳しい社会経済状況下の中ではまずまずのスタートを切ったというふうに思っております。一方で日本経済の低迷が長引く中で、航空会社の経営環境はますます厳しさを増しており、全国各地の地方空港では路線の撤退が相次いでおります。また利用率が低い路線の場合はダイヤの利便性が低下し、さらに利用率が低下する連鎖も見られます。
     こうした負のスパイラルに陥ることのないように、利用者にとって使いやすい空港とするためには、多くの路線で国内外の各地と結ばれさまざまな時間の便が就航し空港から鉄道駅等へのアクセスがよいことが条件となりますが、地方空港では限界があることも事実であります。
     そうした中でも、富士山静岡空港はさまざまな路線就航の可能性を有しており、またチャーター便についても世界各地を訪れたい県民は多いと思います。またダイヤが不便な時間帯の路線はどうしても利用が振るわない状況にあります。私もたびたび地元の皆さんに静岡空港使ってやという話をさせていただいているわけでありますが、韓国、中国、やっぱり朝帰ってくるため便が悪いですね。大体がもうセントレアに行かれちゃいましたというのが実態であります。
     こうした状況を踏まえ、今後、県は路線の拡充等による富士山静岡空港の利便性の向上に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
     次に、富士山についてであります。
     富士山の世界文化遺産登録につきましては、平成二十四年を目指して作業を進めてこられましたが、残念ながら富士五湖における権原者の同意取得が完了に至らなかったことなどから、登録推薦書原案の文化庁への提出を一年延期されたと伺っております。世界文化遺産登録はゴールではなく、富士山を守るための新たなスタートであります。来年こそ登録推薦書原案を文化庁に提出できるよう期待いたしておるところでございます。
     一方、ここ数年の登山ブームも、今年は山ガールと呼ばれる女性登山者が牽引役となり、健康志向や山頂踏破の達成感と相まって依然として根強い人気が続いております。特に富士山について、今シーズンは天候にも恵まれ外国人観光客の人気の高さも手伝い、新聞報道によれば登山口来訪者数は過去最高記録を更新したと伺っており、富士山への関心はますます高まっております。
     見てよし登ってよしの富士の山、こうした状況の中で去る八月八日に知事は初の富士登山に挑み見事登頂に成功されたところであります。激務の中まことに感服をいたしました。その効果ですか、いっときより大変スリムになられたようでありますが……。
     そこでまず、これまで知事が熱望されてこられた日本最高峰の富士山に御自身の足で登られたことへの率直な感想と、富士山への思いについて改めて伺います。
     ところで、昨年の県議会十二月定例会で、二月二十三日を静岡県富士山の日と条例で定めたところであります。条例では県の責務として、富士山の日の趣旨にかんがみ富士山を後世に引き継ぐための県民運動の促進に努めるものとすると規定されております。
     そこで、来年の二月二十三日、第二回の富士山の日を迎えるに当たり、どのような県民運動の展開を考えているのかお伺いをいたします。
     次に、過疎対策についてであります。
     本年三月末が失効期限となっていた過疎地域自立促進特別措置法は、議員立法により六年間延長するという改正が国会で全会一致で可決され三月十七日に公布をされました。昭和四十五年に過疎対策に関する法律が制定されてから約四十年間、インフラ整備は飛躍的に進みましたが、その一方で人口減少には歯どめはかからず、高齢化の進展で田畑や山林の放置が進み地域の伝統芸能や山村の原風景も失われつつあります。山村の荒廃で都市水害が起こり、下流域での住民にとってももはや対岸の火事ではなくなったと考えられます。
     現在本県では全域過疎地域が四町、一部過疎地域が四市であり、人口比率は約一・八%ですが、面積は約二二・七%を占めているなど、過疎地域の公益的機能の果たす役割は非常に大きいものであります。これまでの過疎法による過疎対策は箱物が中心で、人間と自然がともに豊かになろうとする視点が欠けていたのではないかと感じているところであり、従来の枠組みにとらわれない対策が必要になっていると考えます。
     今回の改正では、過疎対策事業債を地域医療の確保、住民に身近な生活交通の確保、集落の維持及び活性化などの住民の安全・安心な暮らしの確保を図るためのソフト事業に充当できるようにしたのが特徴であり、これまでに比べてさまざまな対策ができやすくなりました。過疎地域の自立、再生に向けた取り組みを、過疎市町の過疎地域自立促進計画の策定や県計画の策定にどのように生かすかが大きなかぎとなると考えます。
     そこで、県はその果たすべき役割をどのようにとらえ、また関係市町との連携協力をどのように図っていくのか伺います。
     次に、行財政運営についてのうち、事業仕分けを含めた今後の行財政改革のあり方についてであります。
     仕分けにつきましては、昨日も議論がされたところでありますが、私はこのたびの事業仕分けを見て、県民の意見を直接聞くことができる一方で、さまざまな弊害や限界、無理があると感じました。例えば、仕分け区分の「不要」や「民間で実施」は行政の守備範囲の問題で、「国」、「市町村」は行政機関同士の役割分担の問題、県で実施する事業の「民間委託」、「要改善」、「現行どおり」は業務の取り組み方の問題、これらの違う基準を一括して、しかもわずか三十分で議論することは甚だ乱暴だと言わざるを得ません。
     個々の仕分け人の理解度や知識、意識にも差があり、現場を見ていない、知らないといった感じでありました。まさにまず仕分け人をしっかり仕分けする必要があります。そしてこの事業仕分けの事業費を準備段階から積算すると何と約六千万円ということであります。仕分け事業自体を仕分けする必要がありと思うものであります。仕分け人の目の前にテレビカメラが入るのも感心はしません。情報公開は必要でありますが、こんな状況の中では結論が辛口に、またパフォーマンスに走るのは人情であります。正常な議論ができるとは思えません。
     そんな状況の中で、現場に立ち会った職員は、短時間で意を尽くせぬ説明とわずか三十分のほぼ一方的な議論で結論づけられてしまう展開に直面するわけであり、信念を持って取り組んでいる彼らのその仕事への思いや士気がかえって低下してしまうのではないかと、大変危惧をいたすわけであります。チーム川勝の結束力にも影響するのではないかというふうに思います。また議論の内容は大事であることは理解いたしますが、県議会において何日もかけて議論した予算をわずかの時間で仕分け、しかも議論の過程には一切耳をかさず、結論が予算に反映されることだけが善であるかのような強引なファッショ的事業仕分けは大変問題があると感じました。
     行財政改革を進めることは県民の総意であり、それを進めるのは大事なことであります。今後の行財政改革の推進に向けては、職員の士気を高め自立的な改善改革意欲を引き出す取り組みこそが重要であると思いますが、事業仕分けを含めた今後の行財政改革のあり方について県の考えを伺います。
    次に、あるべき地方税制の姿についてであります。
     去る八月、国は平成二十三年度地方財政収支の八月仮試算を公表いたしました。この仮試算によれば来年度の地方税収は三十二兆九千億円で、平成二十二年度と比べて若干増加しておりますが、相変わらず厳しい見通しが示されています。また歳入全体に占める地方税の割合は、過去に三割自治と言われていたころと比べて税源移譲等により改善されてはいるものの、約四割にとどまっており、その他の歳入の多くは地方交付税や国庫補助金など国からの財源に頼っている構造に、残念ながら大きな変化は見られません。
     一方、本県の税収の動向を見てみますと昨年度の税収決算額は四千百七十八億円余で、平成二十年度決算額に比べて千二百三十三億円余の大幅減収となっています。これは世界的な景気後退に加えて法人事業税の一部が国税化されたこと等の影響により、地方税目の法人二税が千百二億円余の大幅減収となったことなどによるものであります。
     また、本県の歳入構造を見ましても、最近の厳しい経済情勢の中で税収は三年連続で減収が見込まれており、歳入全体に占める割合も平成十九年度の四九・六%をピークとして平成二十二年度当初予算では三二・九%まで落ち込んでおり、三割自治に逆戻りしています。今後、地域のことは地域が決める地域主権改革が進展していくと、地方の担う役割はこれまで以上に拡大していくことが想定されますが、私は現在の歳入構造のままではいささか物足りないと感じています。
     国におきましては、増加し続ける社会保障関係費の財源を確保するため、消費税の税率の引き上げや所得税への累進税率の強化等の議論がされていると聞いております。私は住民に身近な行政サービスを安定的に提供していくためには、地方の役割に応じた歳入構造を確立する必要があり、そのためには地方税の充実強化が不可欠であると考えております。
     県では去る六月地方税制度研究会を立ち上げ、将来の地方税制のあり方等について有識者と議論を始めていると聞いておりますが、今後のあるべき地方税制の姿についてどのように考えているのか伺います。
     次に、安心・安全なまちづくりについてのうち、次期防犯まちづくり行動計画の策定についてであります。
     安全に安心して暮らせる社会を実現することは、すべての県民の願いであります。県は犯罪が急増していた平成十四年、それまでの警察のみに頼っていた防犯対策を見直し、県民との協働による防犯まちづくりに取り組もうと検討を行い、平成十五年九月には防犯まちづくり行動計画を策定し、平成十六年四月には静岡県防犯まちづくり条例を施行しました。その後の約七年間は、これらに基づき、人づくり、まちづくり、ネットワークづくりを施策の三本柱として、地域の防犯活動を担う人材の養成や防犯組織づくりなどさまざまな事業を行ってきました。
     私の地元においても、防犯ボランティア団体の方々が、警察の許可を得て自家用車に青色回転灯をつけパトロールを行う姿を頻繁に目にしており、住民の自主的な防犯活動が活発化していることに対し、まことに心強く思っているところであります。しかしそのような取り組みにもかかわらず、昨今の報道を見ましても高齢者をねらった振り込め詐欺などの犯罪は後を絶たず、車上ねらいの頻発など安全な社会の実現にはいまだ道半ばといった感があります。
     この防犯まちづくり行動計画は本年度が最終年度に当たり、今年度中に平成二十五年度を目標年次とする次期行動計画を策定するとのことであります。そこで現行の防犯まちづくり行動計画に基づいて進めてきた施策の進捗状況はどのようなもので、それをどう評価するのか、またその成果をもとにどのような計画を策定しようとしているのか伺います。
     次に、自殺総合対策事業の取り組みについてであります。
     平成二十二年版自殺対策白書の警察庁自殺統計資料によりますと、平成二十一年の国内の年間自殺者数は前年比五百九十六人増の三万二千八百四十五人と、十二年連続して三万人を超える大変憂慮する事態となっております。本県では、平成二十一年の自殺者数が九百三十四人と交通事故の死者数百七十九人の約五・二倍もの方が亡くなっており、特に働き盛りの四十から五十歳代が三百三十二人と全自殺者の三五・五%を占め、非常に深刻な状況となっております。
     国は、本年二月に自殺をめぐる厳しい情勢を踏まえ自殺対策の緊急的な強化を図るため、いのちを守る自殺対策緊急プランを策定し、三月を自殺対策強化月間と定め重点的な広報・啓発キャンペーンの展開、ハローワーク等における心の健康相談など自殺対策の推進を図っております。また先々週の九月十日からの自殺予防週間では、国、県、市町が連携して睡眠キャンペーン等の啓発活動や相談事業が行われました。
     そこで、現在県が行っている自殺対策の状況を踏まえ、今後どのような方針で取り組んでいくか伺います。
     次に、災害に強い県づくりについてのうち、総合防災訓練についてであります。
     この夏の記録的な猛暑は各地に連続猛暑日と熱帯夜をもたらし、局地的な集中豪雨を発生させるなどまさに異常気象でありました。本県でも台風九号による被害が小山町であり、つくづく自然の脅威を実感させられたところであります。一方、地震については幸い大きな被害はありませんでしたが、昨年八月十一日に本県を襲った駿河湾地震の記憶が今もなお残る中、近い将来、東海地震が発生すると予想される本県では県民が常に高い防災意識を持つとともに、災害発生に備えた安全な社会基盤の整備、県づくりが求められています。
     今から三十年以上前に東海地震説が発表されて以来、本県は毎年九月一日に総合防災訓練を実施し県民を挙げて東海地震に備えてきました。防災関係機関はもとより、いかに企業、住民が防災の意識と知識を持ち的確な災害対応行動がとれるかどうかは非常に重要であり、日ごろからの訓練の積み重ねにより東海地震はもとより、風水害等の不測の災害においても被害を最小限に食いとめることが可能になります。以前に比べ訓練内容も年々工夫がされている上、防災資機材のハイテク化が進み災害時には存分に機能を発揮するのではないかと期待をしておりますが、その一方で少子高齢化による地域社会の変化を初め住民の意識の低下、訓練のマンネリ化などが懸念されております。
     こうした中、今年も九月一日の防災の日を中心に中央会場の伊東市を初め県内各地で総合防災訓練が行われ、防災関係機関、自主防災組織等の連携強化や県民の防災意識の高揚などに取り組んだとのことでありますが、今回の訓練はどのような成果や課題があったのか、県の評価を伺います。
     次に、豪雨災害に対する取り組みについてであります。
     全国で記録的な猛暑が続く折、迷走した台風九号は日本海側から福井県に上陸した後東海地方へ進み本県を直撃しました。気象庁によりますと台風の最初の上陸地点が北陸地方となったのは観測史上初めてということで、近年の気候変動を象徴しております。
     この台風九号は、小山町に時間最大雨量が百十九ミリメートル、約九時間降り続いた雨の総雨量は雨量計設置以来最大となる四百九十ミリメートルに達するなど、記録的な豪雨をもたらしたと聞いております。これにより小山町は道路の寸断による集落の孤立や河川のはんらんによる家屋の被災など甚大な災害が発生しております。全国的に相次いで発生している豪雨災害が例外なく本県にも押し寄せたもので、自然災害の脅威と気候変動に対する危機感を感じているところであります。
     本県は、富士山や南アルプスなどの厳しい山岳地帯と太平洋に囲まれた平野部を急流大河川や排水不良河川が流れ、そのはんらん域に多くの人口、資産が集中しております。このため古くより台風や前線の襲来により大きな水害にたびたび見舞われ、その都度、関係者の御努力により河川改修が進められてまいりました。しかしながら河川の整備状況は、時間五十ミリメートルに対しても半分程度しかないと言われるなどまだまだ十分ではない状況にあります。
     そこで、今回の災害を踏まえ、近年の気候変動に伴い頻発するおそれがある豪雨災害に対する本県の取り組みについて伺います。
     次に、遠州灘の海岸侵食対策についてであります。
     山地において侵食された土砂が河川を通じて下流に運ばれ、その土砂が堆積したり漂砂となって移動することにより海岸地形を形成してきました。私たちはこのような土砂運搬作用によってつくられた国土の上で生活を営んでいます。
     近年、山地から海岸に至る間でダム等への堆砂、砂利採取、河道掘削等により土砂の流れが変化しており、その結果、海岸域では砂浜等の減少が見られております。中でも海岸侵食につきましては、砂浜等の持つ自然の防御機能の低下に通じ、国土保全の面からも危機的な状況にあると思われます。
     本県の遠州灘海岸は天竜川から流れ出る豊富な土砂が供給され続けることにより形づくられた海岸であります。近年、天竜川から供給土砂が減少するとともに、突堤などの構造物が土砂の流れを遮ることにより、各所で砂浜の侵食が顕著となっております。
     そこで、侵食が進行している遠州灘海岸全体の保全対策について、県として今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     また、対策の一つである太田川河口で実施されているサンドバイパス事業は全国で初めての試みであり、大いに期待されているところでありますが、事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
     次に、道路政策についてであります。
     政府は、さきの第百七十四回通常国会に、地域主権の推進を図るため地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律を提出をしました。この法案には、都道府県道及び市町村道の構造の技術的基準を、それぞれの道路管理者である地方公共団体の条例で定めることとする道路法の一部改正が含まれております。現在、道路構造の基準は道路構造令という政令で定められており、これまで我が国の道路整備は全国一律でこの政令に従い進められてきました。
     道路構造令は昭和三十三年に公布されて以来、多様化する国民のニーズや社会情勢、技術の進歩等に対応する形で改正が行われてきましたが、全国一律ではなくそれぞれの地域にふさわしい形で効率的な道路整備を行うためには、道路構造の基準は地方公共団体が定めることが適当であるという声が多く、今回の道路法改正につながったものと理解をしております。
     御案内のとおり道路整備を取り巻く状況は、小泉改革以来の公共事業削減の流れに加え、昨年度の政権交代後、今年度の公共事業費を昨年度に比べさらに約二割縮減するなど一層厳しくなっております。しかしながら道路は県民の日々の安全・安心な暮らしを支えるとともに、産業の振興や交流の拡大による地域の活性化を促進し、国民に活力を生み出す極めて根幹的な社会基盤であります。今後も質、量ともに充実が必要であることは明らかであります。
     このような状況の中で、県は平成二十年度に静岡県のみちづくり計画を策定し、選択と集中の方向性の中、現在、道路計画そのものを地域住民と一緒に考えながら、効果的・効率的にみちづくりを進めていると承知しておりますが、地方公共団体自身が道路構造基準を独自に定める形となることは、本県が進めるみちづくりの追い風となるものと考えております。
     そこで、本県の道路構造の条例制定の方針と現在の進捗状況について伺います。
     次に、教育改革についてのうち、全国学力・学習状況調査についてであります。
     今年四月に実施された全国学力・学習状況調査の結果が去る七月三十日に公表されました。昨年度までの三年間は全国の小学校六年生、中学校三年生すべてを対象とした全員調査でしたが、本年度から抽出調査となり、全国の小学校のうち二五・二%、中学校の三二・六%が抽出調査に参加をいたしたということであります。
     本県においては小学校八十七校、五千七百九十一人、中学校は九十校、一万四百五十六人が抽出調査に参加したと聞いています。また今年度は抽出調査なので他県との単純比較は難しいと思いますが、公表された結果を見る限りでは、静岡県の中学校は国語の知識、活用、数学の知識、活用すべてにおいておおむね良好な結果である一方で、小学校については国語の知識、算数の知識、活用について課題があると言えます。
     そこで、本年度の全国学力・学習状況調査における本県の結果についてどのように分析しているのか、また今後の県の学力向上策をどう考えているのか、教育長の所見を伺います。
     次に、幼児期の子供を持つ保護者への家庭教育支援についてであります。
     このところ悲惨な児童虐待のニュースを目にしますが、そのような事件の根絶を進めることはもちろんのことです。しかし事件は突出した事例であり、その陰に犯罪にはならないものの子供の養育に消極的な家庭、または適切な教育が行われていない家庭が多数あることが容易に想像されます。そしてそのような家庭で子供が十分な家庭教育を受けられなかった場合、乳幼児期の時点では子供に大きな問題があらわれないとしても、その後影響があらわれ、小学校、中学校、高校へ通うようになってからの問題行動につながると思われます。あわせて社会全体として核家族化の傾向が進み、子育て経験者である祖父母が身近にいないことや、共稼ぎにより親も忙しく近所の方や子育ての先輩から助言を受ける機会も少ないことから、状況が改善されにくい状況にあります。
     平成二十二年二月議会定例会において、教育長から「小一プロブレムは幼児期の教育そのものに原因があると思われる場合が多く、家庭教育のあり方が問われるところであるが、幼稚園、保育所、小学校の連携を進め、幼児教育の充実に努める」旨の答弁がありました。私は、小一プロブレムを含む小学生の問題行動に対しての幼稚園、保育所での幼児教育だけでなく、子供たちの健全な成長の根本となる家庭教育力の向上に関する対策が必要であり、とりわけ基本的な生活習慣や社会性を身につけ始める時期で、その子供に大きく影響を与える幼児期の家庭教育に対する支援が必要であると考えます。
     そこで、特に幼児期の子供を持つ保護者に対しての家庭教育支援について教育長に所見を伺います。
     次に、外国人児童生徒への支援についてであります。
     本県では、日系南米人を中心とした外国人住民が急増しこの十年間で約一・八倍となっております。大変外国人児童生徒への課題があるわけでありますが、この問題に関連しことしの一月に静岡県生涯学習審議会から生涯学習社会の構築に向けた多文化共生の在り方についてという答申がされました。
     この答申にありますように、これからは日本人、外国人という枠を超え、ともに生き、ともに学ぶ仲間として地域づくりを推進していくことが大切であります。そして外国人にとってよいことは日本人にとってもよいことであるとの考えのもと、互いに認め合い連携していくことが求められている中、学校教育においても系統的な支援体制をとっていくことが必要であると考えます。
     そこで、本県として外国人児童生徒教育の現状と課題をどのように分析しているのか、またプレクラスの開設やカリキュラムの開発にどのように取り組んでいるのか教育長に伺います。
     最後に、未解決の殺人などの重要事件に対する県警の取り組みについて警察本部長に伺います。
     本年四月に改正刑事訴訟法が施行され殺人事件の公訴時効が撤廃されました。一例を言えば、東京都八王子市のスーパーでアルバイトの女子高生ら三人が射殺された事件では、この夏で十五年が経過してこれまでであれば時効が成立していたと聞きました。県内においても現在継続して捜査している未解決の殺人などの重要事件があるものと思います。
     安村本部長は、着任時の記者会見におきまして未解決事件に触れ、可能な限り洗い直し科学捜査力を駆使して検挙に取り組みたいと抱負を述べられておりました。殺人事件について言えば時効は撤廃されたにせよ、時間という壁は厚く犯人にたどり着くには相当の困難があるものと推察いたします。捜査に当たる刑事の皆さんは大変だと思いますが、県民の警察に対する期待はとても大きいものであります。ぜひ未解決の重要凶悪事件などの早期解決に向け、頑張っていただきたいと思います。
     そこで、これらの現状を踏まえまして、未解決の殺人事件などの重要事件に対して県警はどのように取り組んでいるのかお伺いし、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(天野進吾君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 安間議員にお答え申し上げます。
     初めに、円高に対する経済対策と雇用対策についてであります。
     本県産業の約四〇%を輸送機械や電気機械など製造業が占めており、外需依存の高い本県におきまして、八月中旬からの急速な円高は回復基調にある県経済の先行きに影響を与えかねない状況にございます。このため去る八月三十一日に、私が会長を務めております静岡県経済産業政策会議を開催いたしまして、円高の進行に伴う中小企業や県内経済への影響調査の結果を踏まえましてその対策を協議し、九月補正予算として中小企業から御要望の多い販路開拓支援や専門家派遣など必要な追加予算措置を講じ、迅速かつ的確な対応を進めるべく今議会にお諮りしているところでございます。
     また、雇用創出事業の成果につきましては、緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生特別対策事業を合わせ、平成二十一年度には約四十六億円の基金を活用してほぼ五千八百人の雇用の創出ができました。平成二十二年度は八月末現在約百二十億円で八千人余りを雇用することとしております。
     本年度の後半に向けまして、九月補正予算で新たに約七億円の追加をお諮りしているところでございます。民間提案の公募をさらに活用するなど全庁を挙げて雇用創出に取り組むとともに、各市町にも積極的な事業の実施を御依頼申し上げるなど、早期に一人でも多くの失業者に雇用・就業機会を提供してまいりたいと考えております。
     こうした基金を活用しての雇用創出というのは、基金がなくなりますと問題が出てきます。したがって短期的には仕事をつくり出すことが大事ですけれども、中長期的にはその仕事が本県の経済の足腰を強くするという方向に向かわねばなりません。そうした中でいわゆるグリーンニューディール政策と、まあ緑の革命ですね。こうしたことは第一次産業を活性化させようという動きになります。一言で言えば帰農主義と言ってもいいかもしれません。
     しかし、農業は水を基礎にしておりますから、その水を供給する山の問題がございますので森もとても重要です。森がありますと今回の相模湾における伊豆半島の東海岸におきまして立木が流れ着きましたように、漁業にも影響を与えるわけでございます。こうしたことから私は水と緑の革命とでも言いましょうか、そのようなニューディール政策を促進するという方向での雇用の創出ということになるように経済産業部長に指示をしたところでございます。
     これは、単に現在失業されている方、あるいはこれから社会に出られる方のみならず、子供たちに広く、そういう土に親しむ、大地に親しむ、自然に親しむという機会を多く持ってもらうために一校一農村運動というのが進められていますけれども、一村で何するかと。一村というと一品運動というのがございます。これは大分県というところで始まったものですけれども、本県のように食材の多いところでは一村十品ぐらいできるのではないかと。一校一村、一村十品、この運動を小さいころから進めて、大地に帰る方向での産業の創出ということを今進めているところでございます。
     そのほか医療・福祉、環境、技術、そして多くの人がお越しになるということで観光産業というのも、これからの本県の新しいフロンティアを開いていくものであるというふうに理解しておりまして、雇用の創出がそういう方向へのばねになるように努力しているところでございます。
     なお、国の追加経済対策につきましても取り込めるものは最大限に活用することが必要でありますので、内容が判明したものにつきましては補正予算を今議会に追加提案し適時適切な対策を講じてまいります。
     次に、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の将来像についてのうち、県の国際戦略についてであります。
     本県の国際戦略は、富士山静岡空港の就航地でございます中国や韓国及びチャーター便就航先の台湾などを含めた東アジア地域を中心に、これまで交流実績のあるアメリカなどの国や地域も対象として、経済、農業、教育、文化などの交流により、相互にメリットがある地域外交を実現することでございます。
     浙江省との一九八二年以来の友好提携締結を記念して、今、三七七六友好訪中団を派遣しているところでございますけれども、こうしたことはもちろん戦略を持ってやっているわけでございます。中国に行く、韓国に行く、あるいは友好を持つことのできる可能性のあるモンゴルであるとかその他の外国に行くということは、訪問をいたしますと今度はお招きすることができます。ですから訪問をすることでそれを呼び水といいますか、お誘いをできる条件をつくっていくということのためでございます。
     中国におきましては、習近平国家副主席を初め浙江省の趙洪祝書記、あるいは呂祖善省長、そしてまた中国との路線を運航していただいております東方航空の馬社長などと個人的な信頼関係をつくり上げる、大韓航空あるいはアシアナの航空の責任者とも同じであります。またこのたび大百済典に参りましたところ、現在の道知事は安煕正さんでございますけれども、この方が六月に新しく知事になられる前は、それまでは李完九知事さん、大変な実力者でございました。しかし李完九さんと安煕正さんは政党が違うために、今回の大百済典にはなかなか李完九さんにとって出席がやや難しい感じがあったのでございますけれども、お目にかかりに来てくださいまして一室で親しくお話をすることができました。こうした信頼関係が、やがてこちらで国際的な催し物をするときにお招きができる条件になっているのでございます。
     こうしたことから、目下のところは就航先の東アジアを中心に、文化、観光、教育などを通じた交流を推進しているところでございますけれども、それに応じた体制を本県の中にも整えなければならないということで、地域自立のための部局として対外的な事務に携わる人が必要になってきたという認識を持っております。
     これまで、県は国がお決めになったことを県レベルで実行するということでございましたが、次第に市町あるいは都市間の草の根の外交とでも言いましょうか、そうしたものが世界的に広がっており、かつ中国でもそれを国家戦略にされているわけでございます。そうしたことから私のほうも地域外交部というものも視野に入れるべき時期に来ていると、そのための人材を早急に持たねばならない。
     例えば、韓国ではすべての道にアンバサダーがいます。外務省が優秀な外交官を派遣し、各道が地域間外交ができるようにそういうシステムをつくり上げてあるわけです。私のところではまだ臨時代理大使が東京事務所改めふじのくに大使館にいるにとどまっておりますけれども、その仕事ぶりは大変立派なものでございますが、まだまた不十分です。これからモンゴル、中国、韓国、そして台湾ほか東南アジア諸地域というところと地域外交を進めていくためには、それに応じた組織が要るであろうということで、私は現在の文化・観光部の中の一つの国際課だけではその対応が十分にできないという認識を持っているわけでございます。そういうことから国際戦略についてお尋ねいただきましたことは、大変こういう思いを打ち明けることができまして、ありがたく存じている次第でございます。
     次に、交流の促進についてのうち、富士山静岡空港の利便性の向上についてであります。
     国内外との活発な交流を通じて地域がにぎわい、人々の可能性が広がる、いわゆる「訪れてよし 住んでよし」のふじのくにづくりを進めるためには、交流の基盤でございます富士山静岡空港の利便性を高めていくことが極めて重要であります。このため県を初め経済団体や観光関係者などが就航先を訪れ本県のセールスをいたすと同時に、より多くの路線、便数の確保に取り組んでいるところでございます。
     チャーター便につきましては、開港以来二百五十便を超える実績を上げております。さらに台湾路線につきましては、チャーター便運航のさらなる積み重ねによる定期便化を目指してプロモーション活動を展開しているところでございます。
     今後、ふじのくに交流団の沖縄、石川県、北海道への派遣のほか観光キャンペーンの開催などトップセールスの積極的な展開、多様な地域とのチャーター便運航の取り組み強化、さらには着陸料、空港施設使用料など運航コストの軽減につながる就航支援策の検討に入りました。地域間航空ネットワークを拡充いたしまして、富士山静岡空港の利便性の向上に努めてまいります。
     現在、搭乗率は三分の二でございますけれども、その搭乗者数の何と三分の一が韓国、中国、特に韓国からの便によって占められているという事態でございます。しかし御案内のように本県のスポットは一番スポットから五番スポットまでしかありません。そのうち国際便が活用しているのは一番スポットです。そうしますとそこにボーディングブリッジは一つしかございませんので、それをアシアナと大韓航空と東方航空が、あいているときにしか使えないという状況になっているわけですね。
     我々はエプロンを今六、七、八番スポットをつくるために広げようということをしていますけれども、これはどちらかというと国内便を中心にしたものでございましたが、私はゼロ番スポットのほうにもエプロンを拡張することで、またボーディングブリッジも、雨あらしの中に人々がわずか短い時間ではございますけれども風雨にさらされるということがあってはならないので、ボーディングブリッジもあわせて設置することによって、航空各社が利用しやすい、そのような空港にしてまいらねばならないというふうに思っております。
     既に、いわゆるビジネスジェットも相当数に上っておりまして、昨年度はその三分の一くらいを着陸していただいても駐機していただく場所がないということで、お断りしなくちゃならないというような状況でございました。中長期的には新幹線駅も可能でございますので、そうしたことをにらみながら私はハード面でもしっかりしていかなくちゃいけない。需要見込みが百三十八万人ですか、というふうな根拠のない数字を基準にして、そこに達するまでじっと待っているというような形での空港運営会社のあり方も、やはり強い反省をしていただかなければならないと。ものづくりと言いますか空港をつくった後、これをサービスの哲学に変えていかねばならない時期に来ているというふうに考えております。空港の運営についても、サービスを向上する方向に向けて改善の余地があるというふうに考えているわけでございます。
     次に、富士山についてのうち、まず富士山初登頂の感想についてでございます。
     私は、静岡・山梨地区の国際ロータリーが、富士山の世界文化遺産登録推進運動の一環として、富士山頂で実施することになりました八月八日八時八分に、富士山つながりの日で一緒に手をつないで平和を祈ろうという、そのイベントに参加した次第でございます。
     もとより、これはそのようなお誘いがあったので参加したのではございますけれども、登頂の無事を祈願いたしまして浅間大社においてお祈りをさせていただきました。そのときの一つの私の思いといたしまして、富士山が世界文化遺産に無事登録されますように、そしてまた地域主権ということのコンセプトとして、ふじのくにという地域のアイデンティティーを打ち立ててきたわけでございますが、県民の皆様方がもう二十五年余りにわたってそのように自称されてきたわけでございますけれども、これを自覚的にふじのくにづくりにつなげられるようにとの祈念、そしてつながりの日ということでロータリークラブのその理念に共鳴いたしましたものでございますから、現在就航しておりますアジア諸地域の中で中国や韓国、あるいは近隣のアジア諸地域、さらには世界の各国と、そういう平和の輪がより深く広くなりますようにと祈願いたして登ったわけでございますが、七日の日に九合目にへとへとになって着きまして、ほんとによく着けたものだと思うのでございますけれども、翌日は天候に恵まれて御来光を仰ぐことができましたが、そのときにはいろいろな思いもどこかに飛んでしまいまして、無心になってその美しい御来光に手を合わせました。一生の宝というような瞬間でございました。
     そして振り返りますれば、何と眼下には房総半島、伊豆半島、そして御前崎まで一望できておりまして、三保の松原あたりから虹が上がってまいりましてそれがだんだんと濃くなりまして、しかも近づいてきて新東名を越え。薄暗闇の中で白い筋が浮かび上がっていた、それが新東名でございますが、それを越えて何と富士山のふもとにまでだんだん濃くなる形で虹が近づいてまいりまして、それをずっとたどっていきますれば富士山の頂上の奥宮にまで達していると。まことに神々しい光景でございまして、そこに居合わせた人々はその神々しい光景に本当に感嘆の念を強くされた、私もそのうちの一人でございました。
     そして、その日の午前七時には無事登頂することができまして、そのイベントもうまくいきまして、そして下山したわけでございますが、これはもう皆様のおかげという以外にありませんが、その数日前に皇太子殿下から御伝授賜っておりました富士登頂三原則、ゆっくり登ること、水の補給を怠らぬこと、高くなればなるほど空気が薄くなるので深呼吸をたびたびするということという、この三つを厳守いたしましたのでそのおかげで登頂できたものと思っておりまして、富士山頂から皇太子殿下御一家がそのときは須崎で御静養あそばされていましたので、はがきではございましたけれども無事登頂の御報告を、そしてまた皇太子御一家の御多幸をお祈り申し上げる一文をしたためたわけでございますが、おりてきますれば何とその日の午前九時、御静養先のところから侍従を通じて川勝は無事登れたかという御下問があったそうでございます。
     無事登れたというその報告を人を通じてしていただきまして、本当に恐懼きわまることでございましたけれども、この無事登頂はこれはやはり何としてでもこの三つの思い、文化遺産にする、ふじのくにをつくる、そして輪を広げて和の文明をつくり上げていく、その中心地になっていきたいという思う一心が通じたものということで、感謝の気持ちでいっぱいでございました。
     次に、富士山の日についてでございます。
     昨年度に引き続きまして今年度の富士山の日におきましては、富士山を後世に引き継ぐ日として県民がそろってその豊かな恵みに感謝するとともに、貴重な自然や歴史・文化などについて学び、考え、想いを寄せるイベントを展開していくこととしております。
     具体的には、四月から県内各地の小中学校などで開催している世界文化遺産登録にかかわる出前講座や、この秋から県内各地域ごとに開催する富士山県民講座、また年明けからの県内市町や民間事業者の御協力による協賛事業や施設の無料開放などを実施いたしまして、県民の皆様方の意識の高揚を図ってまいります。
     さらに、二月二十三日の富士山の日には、全国から公募した古代から現代までの富士山にちなんで詠まれた短歌を富士山百人一首として御披露申し上げたり、国内各地のふるさと富士の写真を全国募集した秀景ふるさと富士写真展を開催するなど、全国規模の展開を図るとともに、当日の式典には国内外から有識者やふじのくににえにしのある方々も広くお招きして、文化・国際色豊かなものにしてまいるつもりでございます。
     富士山の日は、ふじのくにに暮らす私たちが郷土と日本のシンボルである富士山に思いをはせる日でありますが、一方で今の日本の大きな国の変革の中でこれを行うということでございまして、富士山の日の数日前から地産地消週間というのが行われております。昨年度から始まりまして、二月十九日から二十三日までは地産地消週間でございます。これを富士見の――富士を仰ぎ見る週間と重ね合わせる考えを持っております。
     御承知のように冬が最も富士山を美しく仰ぎ見ることができる季節でございます。そうした中で平成二十年における二月の統計によりますと、九〇%晴れていた、二十八日の九〇%でございますと二十五日ということになります。したがって三日間ぐらいは曇るわけですが、したがって十九日から二十三日あたりを富士を仰ぎ見る富士見の祭典というふうにするつもりでございます。そしてその富士見の祭典が二月二十三日富士山の日として終了するわけですが、このときはいわば富士山を世界文化遺産としふじのくにをつくっていくというそういう日でもありますので、私はこれをふじのくに建国日としての宣言もあわせて行い、同時に富士山のその美しい姿に触発された平和宣言もこの日にとり行いたいというふうに思っております。
     さらに、現在、いわゆる県の芸術祭が八月の末から二月の十三日にかけて行われておりますが、どういう理由で八月三十一日かというのがわかりにくいと思います。したがいまして日本の季節感に倣いまして、二月の下旬ぐらいから春がすみが立ちますのでそこからは春の祭典、夏になりますとサマーフェスティバル、秋は秋祭り、そして冬至になりますころ、クリスマスの前後でございますが、富士山にかけますと十二月二十三日、一年の富士見をする日の始まりとして、十二月二十三日から翌年の二月二十三日までを富士を仰ぎ見る季節――富士見の季節と。富士見の祭典は最後の一週間近くで行うという、そのように考えておりまして、本県の芸術祭も二月二十三日をもって始めていく。そして富士見の季節におきましては富士山それ自体が芸術の源泉であり、また深い信仰の対象でもございますので、富士を仰ぎ見るということを軸にした、そのような季節感を大切にした地域づくりといいますか、国づくりをしてまいりたいと思っております。世界に誇る富士山を擁する本県から、日本のモデルとしての富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを国内外に力強く発信してまいりたいというふうに考えております。
     次に、災害に強い県づくりについてのうち、豪雨災害に対する取り組みについてであります。
     まずはこのたびの豪雨災害によって被害に遭われた方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
     台風九号による記録的豪雨は、陸地では小山町を中心に、また臨海地域では川奈港を中心に大きな被害をもたらしました。県では被災直後より所管施設の早期復旧に取り組みますとともに、中部地方整備局とも連携をいたしまして職員の派遣を初めさまざまな支援を行い、全力を挙げて復興に取り組んでおります。復旧に係る予算につきましても追加提案してまいります。
     近年、全国各地で頻発する豪雨への対策が課題となっておりますことから、河川砂防施設の着実な整備にあわせ、危機管理の観点から住民の的確な避難に重点を置いた対策を進めることが重要だと考えております。
     今回、河川の水位情報や土砂災害警戒情報などに基づきまして、町がまことに適切に避難勧告を発令されまして、住民が迅速に避難行動をとられて死傷者が一人も出なかったということは、まことに特筆すべきことであると思います。このため防災施設の整備に加え防災情報を提供するサイポスレーダーの充実や、豪雨に対して的確な避難誘導を行うための市町による避難判断マニュアルの早期策定を強力に進めまして、住民の適切な避難行動を支援してまいります。
     なお、その他の御質問につきましては関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長(天野進吾君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 富国有徳の理想郷“ふじのくに”の将来像についてのうち、豊かさを支える産業構造についてお答えをいたします。
     本県の産業が将来にわたって自立的かつ継続的に発展していくためには、急速な成長を続けるアジアなどの市場構造や国内外の経済情勢の変化に対応し、内需と外需のバランスがとれた多様な産業構造に転換していくことが重要であると考えております。そのためには先ほど知事からの答弁もありましたように、今後、成長が期待される環境、健康、食と農、観光などの分野など内需を創造する新たな産業を本県が切り開き発展させていくとともに、これらの技術やサービスを生み出す人材の確保育成が必要であります。
     環境分野では、エコカーなど次世代自動車や太陽光などの再生可能エネルギーの利用技術の開発、健康分野では医・工・薬・食連携による世界レベルの研究開発と産業化・製品化、食と農の分野では六次産業化の推進、ふじのくにの豊かな食材を生かした文化の創造などを積極的に推し進めてまいります。さらに企業家精神にあふれる経営者や技術者、研究者などすぐれた人材の育成にも積極的に取り組み、“ふじのくに”の豊かさを支える日本のモデルとなるような産業構造を確立してまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 交流促進についてのうち、MICEの推進についてお答えいたします。
     MICEとは、これまでの国際会議の誘致に報奨旅行やイベントなどを加えた広い概念であり、経済波及効果が高いほか、参加者には各界のオピニオンリーダーも多くその方々の口コミによる情報発信効果も大きいと言われております。
     そこで、世界的にも著名な富士山を初めとする豊かな自然や豊富な温泉、そして国内有数の宿泊施設を有する本県の優位性を生かすため、本年度からMICEの推進を観光施策の重要な柱と位置づけ、県内各地のコンベンションビューローとも連携を図りながら、その誘致に取り組んでいるところであります。
     特に、富士山静岡空港を活用した中国や韓国の企業の会議や報奨旅行の誘致が可能となったことから、国内のコンベンション見本市に加え新たに上海や韓国などの海外のMICE見本市にも出展し、本県のさまざまな魅力を積極的にPRするとともに、旅行社との具体的な商談も実施しております。こうした取り組みによりまして、これまで中国及び韓国の保険会社、化粧品会社等、数十名から数百名規模の報奨旅行の誘致に成功するなど着実に成果が出始めております。
     今後は、国内外の見本市への出展に加えコンベンションビューロー、宿泊施設、会議施設などの実務者を対象としたMICE誘致のためのノウハウ習得や、静岡ならではのおもてなしの事例発表といった実践的研修により人材の育成を行うとともに、県内の四つのビューローが協働した報奨旅行のモデルコースづくりや開催地決定に影響力を持つ韓国、中国のキーパーソンの招聘などにより、MICE誘致の一層の強化を図ってまいります。以上でございます。
    ○議長(天野進吾君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 過疎対策についてお答えいたします。
     過疎対策につきましては、地域の自主的な取り組みが何よりも重要でありますことから市町が主体となって取り組み、県は広域的な観点から地域の取り組みに協力をするものと位置づけられており、こうした役割を適切に分担しつつ一体となって地域の活性化を図っていくことが必要であります。
     本年四月に過疎地域自立促進特別措置法が改正、延長されましたが、新たに過疎対策事業債の対象となったソフト事業を初め各施策を実施するためには、当該市町において個々の事業の必要性や成果、効果等を示した過疎地域自立促進計画を策定する必要がございます。このため県では、市町の計画づくりをサポートすることを目的に五月に説明会を開催するとともに、県と過疎市町で構成する静岡県過疎対策推進研究会におきまして、ソフト事業等に対する相談、助言を行っているところであります。
     今後、県におきましては、過疎地域の市町と密接な連携をとりながら県の過疎地域自立促進計画を策定し、広域的な観点からの産業の振興、交通基盤や生活環境の整備など各施策を展開するとともに、過疎市町が行う地域振興のためのさまざまな取り組みを積極的に支援してまいります。
     次に、行財政運営についてのうち、まず事業仕分けを含めた今後の行財政改革のあり方についてであります。
     行財政改革の目標とするところは、単に職員数や歳出の削減を目指すのではなく、行政需要に的確に対応し最少の経費で最大の効果を上げるよう職員の意識改革を進めながら、仕事のやり方を常に見直していくことであると考えております。このためには事業仕分けでいただいた御意見を実際の見直しにつなげる職員みずからが、積極的に事業の改善に取り組むことができるよう、その士気を高めていくことが重要であります。
     事業仕分けでは、県民視点に基づいた外部からの意見をいただくことができますが、論点の整理や議論の時間、一方的な質疑と結論づけなど問題点も指摘されており、今後、事業仕分けも含めた事務事業の見直しの手法について検討してまいります。なおこうした検討を行う中で、現在、策定を行っております新たな行財政改革大綱には、職員が意欲的に改革を進めていけるような取り組みについても盛り込んでまいりたいと考えております。
     次に、あるべき地方税制の姿についてであります。
     平成十九年度に所得税から住民税への税源移譲が行われましたが、都道府県税においては依然として法人二税の占める割合が高いことから、景気の動向による税収の変動が大きく、財源としての安定性を欠くなどの問題が指摘されております。一方、少子高齢化の進展に伴う社会保障費等の増大や、地域主権改革により地域の担う役割が拡大していく中で、県民が安心して暮らしていける行政サービスを提供するためには、それを支える確かな税財源が不可欠なものであると認識しております。
     このようなことから、今後の望ましい地方税制のあり方といたしましては、税収が安定している地方消費税の充実を図るとともに、地方の役割に応じた国・地方間の税源配分の見直しなどにより、地方税の充実、強化を進めることが重要であると考えております。
     本県では、本年度、有識者による静岡県地方税制度研究会を設置したところでございまして、この研究会での議論を通じ、地方税制のあり方につきまして地方の視点からさらに研究をしてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 安心・安全なまちづくりについてのうち、次期防犯まちづくり行動計画の策定についてお答えいたします。
     本県では、これまで地域の住民の皆様と協働して防犯まちづくりに取り組んでまいりました結果、防犯活動を担う人材として防犯まちづくりアドバイザー百八人や地域の防犯活動のリーダー百三十人が養成され、また県内各地において防犯活動の核となる地区安全会議が二百三十五団体設立されました。さらに青色回転灯を装着した防犯パトロール車両は二千七百十八台、駆け込み一一〇番の家やタクシーは十二万六千九百三十二カ所が登録されるなど、行動計画に定めた施策は着実に進捗しております。これらにより本県の刑法犯認知件数は、平成十四年の六万三千八件から二十一年には四万一千六十九件に減少し、また犯罪遭遇に不安を感じる県民の割合も、平成十六年の七五・五%から本年は五六・七%へと低下しています。
     しかしながら、防犯活動を担う人材の高齢化や後を絶たない子供、女性、高齢者をねらった犯罪、犯罪情報・防犯情報が的確に伝わらない状況等の課題もあり、取り組みの継続や一層の充実が求められております。このため次期行動計画ではこれらの課題を踏まえ、若年層を取り込んだ人材育成、子供や女性・高齢者の安全対策の充実、効果的な情報提供のあり方、防犯に配慮した環境づくり、防犯活動における地域と事業者との協力関係の促進などを中心に、県が取り組むべき施策をまとめてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 安心・安全なまちづくりについてのうち、自殺総合対策事業の取り組みについてであります。
     自殺対策については、国は自殺総合対策大綱に基づき、うつ病の早期発見・早期治療、自殺や精神疾患に対する偏見をなくす取り組み、失業や多重債務などの社会的要因に対する働きかけを中心に進めております。
     県ではこの大綱を踏まえ、多くの自殺者がうつ病などの精神疾患を発症していることから長期の不眠に着目し、富士市をモデルにうつ病の気づきを促す睡眠キャンペーンと、うつ病と疑われる人をかかりつけ医から精神科医に紹介するシステムを柱とする自殺予防対策に取り組んでおります。今後は、この富士モデル事業を県内に普及させるとともに、県薬剤師会に助成し睡眠改善薬等を継続的に購入する人に精神科医等への受診を促す薬剤師を養成するほか、司法書士会が実施する多重債務者相談会と連携し、県内四地域において精神保健福祉士によるメンタルヘルス相談を実施してまいります。
     さらに、各市町の実情を踏まえた自殺対策を促進するため、自殺対策情報交換会を開催し先駆的、効果的な取り組みの共有化を図るなど、市町や関係機関・関係団体と連携しながら総合的な自殺対策の推進・強化に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 災害に強い県づくりについてのうち、総合防災訓練についてお答えいたします。
     本県の総合防災訓練につきましては、平成十七年度の焼津市での訓練を契機に地域住民や関係する防災機関などが幅広く参加し、それぞれの地域の特性に応じた実践的な訓練を実施する多会場分散型で県民総参加型の訓練への転換を図ってまいりました。
     今回で三十二回目となった本年度の総合防災訓練は、防災の日の九月一日を中心に昨年を二万人上回る約七十一万人の参加を得て、県内三十五の全市町で訓練を展開いたしました。特に中央会場となった伊東市におきましては、連携をテーマに五つの訓練エリアを設定し、災害時要援護者への支援や海上自衛隊などと連携した観光客の海上搬送訓練、ヘリコプターによる孤立集落からの救出訓練などを実施いたしました。またキャンプ座間の在日米軍が国際緊急援助隊として初めて参加し、物資輸送訓練を実施いたしました。
     この訓練には伊東市の住民約二万三千人が参加し、そのうち小中高校生が約二千八百人に上り、訓練を視察いたしました菅内閣総理大臣から、若い世代が積極的に参加していることに対して賞賛の言葉をいただきました。一方、ヘリコプターによる孤立住民の救出訓練では住民自身がヘリを誘導する場合もあることが、また会場における訓練では多数の船舶が活動する中での相互の連絡体制の整備が、さらに多数の救援ヘリや報道ヘリが飛来した場合の航空統制の困難さなどが課題として浮き彫りになりました。
     県といたしましては、こうした課題や今回新たに導入をいたしました専門家による外部評価の結果などを今後の訓練に反映させ、総合防災訓練を一層進化したものとしてまいります。以上でございます。
    ○議長(天野進吾君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 災害に強い県づくりについてのうち、遠州灘の海岸侵食対策についてお答えいたします。
     県では、浜松篠原海岸を初め各所で砂浜の侵食が顕著になってきているため、国、県、市及び学識経験者で構成される遠州灘沿岸侵食対策検討委員会の提言に基づきまして、養浜を主体とした緊急的な対策を進めてきており、浜松篠原海岸では砂浜幅が回復するなど一定の効果を上げております。一方、天竜川河口付近の遠州灘では、国土保全と環境保全を両立した海岸管理のため、産学官連携により海岸侵食の研究が行われ、光技術を用いて海岸の砂の移動状況を調査する手法や、河川から流出した土砂が海岸線をどのように変化させるかを予測する手法が確立されつつあります。
     今後の対策におきましては、これらの最新の知見を取り入れ、海岸の状況変化を的確にとらえ侵食が深刻化する前に養浜を行うとともに、天竜川ダム再編事業を実施する国や市とも連携し遠州灘の海岸保全に努めてまいります。また福田漁港の航路の埋没と浅羽海岸の侵食を防止するために実施しているサンドバイパス事業につきましては、現在、本体桟橋の建設を進めており、引き続きポンプ等の設備工事を進め平成二十四年度の完成を目指してまいります。
     次に、道路政策についてであります。
     今回の道路法改正案は、今後、都道府県及び市町村道についてはこれまでの道路構造令を参考とすべき基準と位置づけ、設計車両や橋の設計荷重など一部の規定を除きまして、道路構造の一般的な技術的基準は道路管理者が条例で定めるものと規定する内容になってございます。
     県では昨年から条例制定の準備を進め、今年度は関係部局の担当者から成るワーキンググループを立ち上げ、現在、地域性を考慮した本県独自の基準も取り入れた条例の制定に取り組んでいるところであります。その中で地域の実情に応じた道路整備を進めるため、これまでも取り組んでまいりました車道や歩道の幅員規定の弾力的な運用に加え、住民参加の道づくりや有識者による外部評価の導入など、幅広く検討を進めているところであります。
     県といたしましては、厳しい財政状況の中、限られた予算で県民の満足度が最大限得られる道路整備の推進に向けて条例案の作成に努めるとともに、国の法案成立後、速やかに施行できるよう準備を進めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育改革についてのうち、初めに全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
     本年度、調査対象の中学校三年生は小学校六年生のときに本調査に参加しており、当時の結果と比較しますと生活習慣や道徳心など生活の安定や意識の向上が見られ、それが中学での学力向上につながっているのではないかと分析しております。一方、小中学生ともに活用に関する問題において、読み取ったことを目的や条件に合わせて書きあらわしたり根拠に基づいて説明したりすることに課題があり、さらに小学生の知識に関する問題においては、画数の多い漢字を書くことや割合を求めることなど、一部において基礎的、基本的な知識、技能の確実な習得に課題があると分析しております。
     県教育委員会といたしましては、これらの課題を改善するために、子供たちの理解状況等を丁寧に確認しながら授業を進めることや、子供たちが考えを整理したりまとめたりするために書くという活動を大切にすることなど、授業改善のポイントを示した小冊子を作成しすべての教員に配付することで授業改善を進めてまいります。
     さらに、指導主事による学校訪問等を通して教員の授業指導力の向上を図るとともに、静岡式三十五人学級編制により児童生徒一人一人に対するきめ細かな指導を推進し、学力向上に努めてまいります。
     次に、幼児期の子供を持つ保護者への家庭教育支援についてであります。
     小中学校での問題行動はさまざまな原因が複雑に関係して発生しているものでありますが、子供にとって小さいころから積み重ねられた家庭教育は生活や行動に大きな影響を与えていると考えられ、議員御指摘のとおり、特に幼児期においては親のかかわりが非常に大切であると認識しております。
     県が推進しております有徳の人づくりにおきましても、幼児期を心と体の調和した人間形成の基礎づくりととらえており、これまでに就学前の子供を持つすべての保護者を対象に、親子の触れ合いの大切さを初め親のあり方について学ぶ講座などを実施してまいりました。しかしながら、現在、子育てに関する親の意識不足や過干渉、過保護等、問題は多様化しており、また特に母親が子育てに負担感や孤立感等の悩みを抱え、それが虐待等の原因の一つになっている状況も見受けられます。
     県教育委員会といたしましては、幼児期の家庭教育の重要性の啓発や子育てに悩みを持つ親のネットワークづくり、相談窓口に関する情報提供等を関係部局、市町、NPO等と連携して行うなど、今までの事業を見直す中で家庭教育を支援する環境づくりに取り組んでまいります。
     次に、外国人児童生徒への支援についてであります。
     本県では、本年度、外国人児童生徒が多く在籍する小中学校に対して、外国人児童生徒担当教員を九十三人加配するとともに、相談員等を四十四人任用し日本語指導や適応指導を行う体制を整えております。現在抱えております課題としましては、対応しなければならない言語の種類が多いこと、相談員等が児童生徒への指導よりも保護者からの相談に対応する場面がふえていること、さらに入国後間もなく編入学する児童生徒に対し、初期の日本語指導や適応指導を行う必要があること等が挙げられます。
     このような状況のもと、初期指導を行うプレクラスの開設に向け検討委員会を開催し、専門家からの助言や既に開設している先進地区からの情報提供を受けながら、各市町がそれぞれの実態に応じたプレクラスを開設できるよう、設置方法や指導者等の人材確保の方策などについて検討しております。またカリキュラムにつきましては、プレクラス等において使用できる初期の日本語指導に適した教材を示すとともに、その教材を扱った授業展開や効果的な活用のためのヒント等を示した資料の作成も進めるなど、外国人児童生徒への支援の充実を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 未解決の重要事件に対する取り組みについてお答えいたします。
     警察におきましては、特に捜査を統一的かつ強力に推進する必要がある殺人事件や強盗殺人事件等の重要事件については、捜査本部を設置して組織を挙げた捜査を行っており現在十三事件について設置しております。これら十三事件につきまして私自身も順次検証を行っているところですが、本年四月以降、捜査本部長である刑事部長や捜査主任官である捜査第一課長が、現場の再確認、事件記録や証拠資料の精査等、原点に立ち戻って事件の洗い直しを行い、新たな捜査事項の選定や補充捜査等地道な捜査を行っているところでございます。
     また、昨年、事件発生から四年半が経過した沼津市宮本における女性殺人・死体遺棄事件がDNA型鑑定を活用した捜査で解決したように、日々進歩を遂げている科学技術を効果的に活用した捜査を推進するとともに、事件を風化させることのないよう、節目節目における捜査員への意識づけや市民からの情報提供を呼びかけているところであります。
     議員御指摘のとおり、時間の壁は捜査にとって非常に厚いものでありますが、時効の撤廃は被害者の御遺族等からの強い要請により実現したものであることを肝に銘じ、この壁を打ち破るべく、あらゆる捜査手法を活用して今後も未検挙重要事件の検挙に向けた捜査に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 七十一番 安間英雄君。
           (七十一番 安間英雄君登壇)
    ○七十一番(安間英雄君) 先ほど時間がなくて急いだ関係上、省略をさせていただいたんですが、あと一分あるということですので簡単に。
     空港利用の向上でありますが、よく荷物検査、赤外線検査ですか、ああいうので待たされると、この資機材の充実を求められているんですが、担当としてどのようにこういうものに対応するのか、その点について一つ伺います。
     それから、九月十四日、大阪の大展示場で浙江省輸出商品交易会とそのレセプションが行われまして、縁があって私、招待されて行ってきたんですが、浙江省なら何で静岡じゃないかという、そういう思いなんですが、これ主催は浙江省の人民政府と中国商務部なんですね。当然向こうの責任者が来ていろいろやったわけでありますが、第三回ということであります。こういうものを担当として把握、あるいはそういうものに働きかけといいますか、そういう考えがあるかどうか、その点について改めて伺います。以上です。ありがとうございました。
    ○議長(天野進吾君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 再質問にお答えします。
     二点ございまして、まず一点目の保安検査の施設の充実ということでございますけれども、富士山静岡空港の利便性の向上につきましては日々改善の作業も進めておりまして、保安検査の時間待ちということも課題となっております。こういうものも含めて空港の利便性の向上には積極的に努めてまいりたいというふうに考えております。
     それから二点目の大阪で開かれた浙江省の輸出商品交易会ということでございますけれども、開催そのものは承知しております。ただ浙江省は本県だけではなく県レベルでいきますと栃木県、それから福井県、この三県と友好提携を結んでおります。こういった事情もございまして静岡以外で開催されることもあるわけでございますけれども、浙江省との二十八年の友好提携ということで長い歴史もございますことから、あらゆる機会で浙江省の方々との連携を深めながら、今後の交流も一層深めていきたいというふうに考えているわけでございます。以上でございます。
    ○議長(天野進吾君) これで安間英雄君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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