• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中野 弘道 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/29/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 災害に強い県土づくりについて                  
 (1) 海岸地域における防災対策の考え方               
 (2) 海岸地域の振興策                       
 (3) 災害時の医療の確保                      
 (4) 緊急輸送路の見直し                      
2 “ふじのくに”づくり白書の作成方針について           
3 組織改正について                        
4 漁港施設の維持管理について                   
5 難病対策の推進について



    ○副議長(大石哲司君) これで曳田卓君の質問は終わりました。
     次に、二十番 中野弘道君。
           (二十番 中野弘道君登壇 拍手)
    ○二十番(中野弘道君) 私は自民改革会議所属議員として、県政の諸課題のうち急ぎ対応しなければならない地震・津波対策を中心に、通告に基づき、知事及び関係部局長に対しお伺いいたします。
     まず初めに、災害に強い県土づくりについてのうち、海岸地域の防災対策の考え方についてであります。
     私は、震災発生前の二十一年度より、日本一の水産業の中心、焼津港を津波から守ることが背後地に住む市民の生命財産をも守ることにつながることとして、水門設置提案を中心に焼津港における地震・津波対策推進を一般質問等御意見をさせていただいています。震災後一年余りたった現在でも、地震・津波対策は喫緊の課題であることには変わりはありません。現在県においては第四次地震被害想定の策定に向けた作業を開始しており、秋口には前倒しで対策の方針を示すことによって市町の防災計画の見直しを促進させた上で、来年の六月ごろには新しい地震対策アクションプログラムを策定し実施に移すということを聞いております。海岸地域を抱える市町においては、県が昨年度策定した地震対策アクションプログラムの短期対策編に合わせて対策を始めているところもございます。津波対策、地震対策を考えていく中では、それぞれの地域の特性や地形を踏まえ総合的かつ多重的また複合的な防災対策を練っていくべきと考えています。しかし例えば単一的に津波避難タワーの整備を実施していくというような考えを持っている地域もあるのではないかと懸念もしております。
     また、対策をよりよいものとするためには、県と市町、県の出先機関同士などがよく連携して対策を立案、実施していくことが必要と思います。そして少しでも早く、十年程度の長期的なスパンで偏りのない総合的かつ多重的、複合的な防災対策を示すことにより、海岸地域に住んでいる県民に安心感を与え沈滞しつつある状況に歯どめをかける必要があるのではないでしょうか。
     そこで、知事は第四次地震被害想定に基づく地震対策アクションプログラムの策定や津波対策アクションプログラムの中長期対策編の策定において、海岸地域の防災対策をどのような視点で策定していこうと考えているのかまずお伺いいたします。
     次に、海岸地域の振興策についてであります。
     四月十四日、新東名高速道路の御殿場―三ヶ日間が開通いたしました。企業立地においても県内外の多くの企業が新東名の利便性を評価し、内陸部への進出を検討しているようです。県では本年度の重点施策として内陸のフロンティアを開く取り組みを掲げ、新東名を活用した内陸部の振興策を進めており、この点については、長期的な国土づくりの展望としては一定の評価はしているところでございます。
     しかし、海岸の地域はどうでしょうか。去る三月三十一日に南海トラフの巨大地震による津波高が公表され、我が焼津市を初めとした沿岸部の住民の不安はますます増大をしております。企業の中には内陸部への移転を表明したところもあり、住民、特に若い方が安全な高台地域への移動を開始していることが、人口調査によっても明らかになっております。さらに幼稚園の入園希望者の減少、地価の下落など大変厳しい状況にあります。今後県が内陸のフロンティアを開く取り組みを推進していくことにより、ますます海岸地域が疲弊し厳しい状況に追い込まれるのではないかと大変懸念しているところでもございます。日本は海洋国家としてまた加工貿易の国として栄えた歴史を持ち、海岸線から町が形成された地域も数多く見られます。私は、海岸地域こそ県が早期に振興策を実施していくべきと考えております。
     そこで、県は内陸部と海岸地域の振興についてどのような形をとっていこうと考えているのかお伺い申し上げます。
     次に、災害時の医療の確保についてであります。
     本県の地域の災害医療を支えその中心的な役割を担う医療機関としては、現在県では十九の災害拠点病院を指定しております。私の地元である志太榛原地区においても、島田市民病院が平成八年度に、焼津市立総合病院及び藤枝市立総合病院が平成十一年度にそれぞれ指定されておりますが、県内では平成十八年度に三島社会保険病院を指定して以来数はふえておりません。災害拠点病院は、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、平成八年に国が二十四時間いつでも災害に対する緊急対応ができ、災害発生時に被災地域内の傷病者の受け入れ、搬出を行うことが可能な病院が必要であるなどとしたことが始まりで、平成二十三年度七月現在全国各地で六百十八の病院が指定されております。
     さらに、先般の東日本大震災の教訓により平成二十四年三月に厚生労働省から、新たな指定要件として、救命救急センターもしくは二次救急病院であることや病院内に災害時の救急医療を行うための専門的な訓練を受けた医療チーム、いわゆるDMATを持っていることのほか、通常時の六割程度の発電容量のある自家発電機を保有していること等が追加されるなど災害拠点病院機能の一層の充実が求められております。
     また、県内で指定されている十九病院を見ますと、今後策定される第四次地震被害想定において津波被害の範囲が拡大する可能性もあり、津波等で何らかの被害を受け災害拠点病院としての機能が十分に発揮できなくなるなど懸念がある病院もあると聞いております。
     そこで、災害拠点病院の指定要件が一段と厳しくなっているとはいえ今後の津波被害等の想定を踏まえますと、県としては地域の実情や要望にこたえ、さらに災害拠点病院の指定をふやし災害時における医療提供体制の充実を図るべきと考えますが、県の考えをお伺いいたします。
     次に、緊急輸送路の見直しについてであります。
     東日本大震災では、津波等により沿岸部の地域が甚大な被害を受けましたが、内陸部の高速道路や沿岸部へつながる緊急輸送路は、橋梁の耐震対策により落橋、倒壊等の大きな被災を免れ早期に復旧ができ、救援ルートとして大きな役割を果たしました。
     本県においては、県内の国道、県道等のうち主要な幹線道路が緊急輸送路として指定され、これまで計画的に橋梁の耐震対策が実施されてまいりました。現在の緊急輸送路は平成十三年に公表された第三次地震被害想定を考慮したものと伺っておりますが、本年三月に内閣府が公表した南海トラフの巨大地震による震度分布及び津波高の想定は、これを大きく上回るものであります。特に津波高については、最大となる下田市と南伊豆町においては二十五メートルを超えるなどほとんどの沿岸部で十メートルを超える想定となっており、関係市町に大きな衝撃を与えました。
     この公表を受け、現在県において第四次地震被害想定の策定作業に着手しており、この中で緊急輸送路の見直しも行っていくと伺っておりますが、第四次地震被害想定では第三次地震被害想定と比べものにならないほど大きな被害の発生を心配しており、東日本大震災の教訓を踏まえますとますます緊急輸送路の役割が重要となってきているため、より信頼性の高い緊急輸送路の確保が望まれます。
     そこで、どのような観点を持って緊急輸送路の見直しを図るつもりなのかお伺い申し上げます。
     次に、“ふじのくに”づくり白書の作成方針についてであります。
     総合計画は平成二十三年二月に策定されましたが、その後の三月には未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生いたしました。史上まれに見る大災害に日本じゅうが大きな衝撃を受け、震災前と後では価値観が大きく変化した出来事でした。総合計画は、社会経済情勢の変化を的確にとらえ常に不断の見直しを行うことにより、県政の進むべき方向性を適切に指し示すことができ、結果として効率的な行政運営が実現すると考えますが、震災を経験した今この大震災の教訓をどのように我が県の将来像に投影していくのか、総合計画の進捗管理とあわせて示すことが重要です。
     そこで、総合計画の初めての評価書“ふじのくに”づくり白書について、今後の作成方針に関する所見をお伺い申し上げます。
     次に、組織改正についてであります。
     本県では、平成十九年度に農業水産部と商工労働部を改編して産業全般を支援する産業部を設置し、また土木部、都市住宅部と農業水産部を改編して社会基盤整備を推進する建設部を設置しました。当時この体制に対して農業、林業、水産業などのいわゆる第一次産業の支援については一体的な組織で所管したほうが施策の効率的推進に資するではないかと、具体的には平成二十一年二月には、我が会派の鈴木利幸議員が農業関係における組織改編の進め方について、また同年六月に私が水産部門の再編に伴う課題について、さらに二十三年六月に中谷多加二議員が森林・林業施策を推進するための執行体制のあり方について、それぞれ指摘したところでございます。
     私は、行政課題に対して迅速かつ的確に対応するためには、現状を分析し最適な組織をつくるべきだと考えています。平成二十四年度の組織改正においては、エネルギー政策に対応するためのエネルギー政策課の設置や少子化対策について企画立案から事業実施までを一体的に推進するため、企画広報部で担ってきた企画立案機能を健康福祉部へ移管するという組織体制の整備が行われました。
     一方で、農林水産関連の組織体制については大きな変化はございませんでした。林業振興においては、森づくりから始まって木材の搬出や流通までを支援する必要がありますし、農業振興においても農地の整備から収穫した農産物の流通までの全般を支援する必要があります。また水産業の振興においても漁港における岸壁や防波堤、荷さばき所といったさまざまな施設の整備や漁協との連携強化など、多様な支援策が必要となります。
     このように、農林水産業の振興は幅広い分野にわたることから関係する組織の連携が重要であり、それぞれの産業を丸ごと所管し支援する体制が必要だと考えております。農林水産関連で、ハード・ソフトを統合する組織編成の実現をまずは第一歩として、時の課題に対して迅速かつ柔軟に対応でき、また職員が新しい発想で働ける組織体制を常に模索していく必要があるのではないでしょうか。
     組織のあり方についてどのような考えを持っておられるのか、知事の所見をお伺い申し上げます。
     次に、漁港施設の維持管理についてお伺いいたします。
     私の地元焼津漁港も例外ではありませんが、県下の漁港施設は昭和二十年代後半から本格的に整備が進められ、その後高度経済成長期において集中的に施設の整備が進められてきました。このためこれらの施設は整備から既に約五十年を経過し、近い将来多くの施設が大規模な更新時期を迎えることが以前より懸念されており、それに伴う維持管理費用の増大が大きな課題となっているところであります。
     一方、近年の低経済成長の影響を受け県税収入は減少傾向にあり、この厳しい財政状況のもとではこれら施設を一気に更新することは困難な状況にあると考えます。このため施設の維持管理に当たっては、維持更新費の集中を避けるため更新コストの平準化や縮減が非常に重要だと思われますが、今後の県の施設更新に対する考え方や取り組みについてお伺い申し上げます。
     また、漁港の日常的な維持管理は漁港施設がほかの公共施設と異なり使用者や受益者が限られており、その分受益者負担の考え方が強い施設であることから、その費用は利用者からの占用料等を財源として行われてきております。しかし現在の厳しい漁業の状況の中では、逆に漁港占用料の引き下げの声も大きくなっていることも事実であります。県として漁港施設の日常的な維持管理について今後どのような考えで進めていくのか、あわせてお伺い申し上げます。
     最後に、難病対策の推進についてであります。
     難病は、医学的に明確に定義された病気の名称ではなく、いわゆる不治の病に対して社会通念として用いられてきた言葉です。そのため、難病であるか否かはその時代の医療水準や社会事情によって変化します。難病対策として取り上げるべき疾病の範囲は、国が策定した難病対策要綱において「原因不明、治療方法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病」、また「経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と整理を示しております。
     我が国には約八百疾患の難病が存在をし、希少難病を含めると五千から七千疾患の希少難病が存在するとされています。今日本では、難病等になるとたちまちに高額医療費という困難に直面し、しかもそれを生涯にわたり払い続けなければならないというのが現状です。難病の発症確率は低いものの、だれもがかかる可能性がある面、症例数が少ない面などを踏まえると、受療促進のためにも将来にわたって医療費助成を行っていくことが必要であると考えます。
     しかし現在、医療費助成を行う特定疾患治療研究事業の対象疾患は特定の限られた疾患のみであり、これについて、特定疾患に指定されている疾患と指定されていない疾患との格差など公平性の確保の観点から不公平感を感じざるを得ないが、医療費助成の対象拡大などの見直しについて県としてはどのような考えを持っているかお伺いを申し上げます。
     また、いわゆる疾病の中には、脳脊髄液減少症のように交通事故、スポーツ外傷等により硬膜から脳脊髄液が漏れ、頭蓋骨内の髄液が減少して脳の位置が正常に保てなくなることで脳の機能が低下し、激しい頭痛やめまい、思考力低下などさまざまな症状があらわれる疾病もあります。脳脊髄液減少症は、病気としての認知度はまだまだ低いために、患者の皆さんが学校や職場などで理解されず怠け者などと評価されて不利益をこうむることもあり、さまざまな場面で苦労されていると聞いております。
     平成二十四年二月には、脳脊髄液減少症患者・家族支援協会等から知事に対して、脳脊髄液減少症の治療に効果があるとされているブラッドパッチ療法の実施や先進医療としての取り組み、専門医や患者を招いての勉強会の開催などの要望が出されました。
     脳脊髄液減少症は全国で年間約一万人が新たに発症されるとされていますが、平成二十四年五月十七日には、日本脳神経外科学会など関係学会の画像診断基準を示す症例に対する治療法であるブラッドパッチが先進医療として承認されました。
     このような中、脳脊髄液減少症患者・家族支援協会等からの要望や先進医療の承認を受け、県としての今後の取り組みについてお伺いいたします。以上でございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中野議員にお答えいたします。
     初めに、災害に強い県土づくりについてのうち、海岸地域における防災対策の考え方についてでございます。
     本県は御案内のように五百キロ以上の長い海岸線を有しております。そのために東海地震も想定をいたしまして地震・津波の対策を講じてまいりました。しかし東日本大震災、これが見せた津波の威力というものによりまして、津波対策は根本的な見直しを迫られることになりました。地震・津波対策が喫緊の課題でございます。
     そのために、まず我々は、東日本大震災直後に静岡県津波対策検討会議を立ち上げました。そして第二に静岡県防災・原子力学術会議がございましたけれども、その中に津波対策分科会を設置いたしました。この津波対策の設置にかかわるその委員は日本最高の頭脳をそろえております。そうした御意見を今いただいているところでございます。
     そして、市町とともに直ちに実施するべき津波対策の早期完成を目指して目下鋭意取り組んでいるところでございます。津波対策の基本は地震発生後直ちに避難するということに尽きるのでございます。その避難を助けるために防潮堤、水門、陸閘などの施設を整備しております。しかしながらこれらの施設を津波が乗り越えることが想定されますので、それぞれの地域の実情に応じた津波避難ビルあるいは人工高台などの避難施設の確保に努めているところでございます。また誘導標識や夜間に備えた誘導灯の整備なども進めております。各家庭におかれましても住宅の耐震化や家具等の固定、ブロック塀の耐震化にも取り組んでいただいております。
     こうした取り組みの前提は、大きな揺れや長い揺れを感じた場合には直ちに避難行動を起こしていただくことにございます。そのために近所で声をかけ合う地域ぐるみの避難訓練を日ごろから繰り返して実施していただくことが大切でございます。こうしたことを通じて、防災文化が高まると。したがって、津波避難で釜石の奇跡と言われるようなそうしたことが、我々にとっては常態になると。当たり前の文化になるということが大切でございます。
     中長期的には、やはり津波対策は海岸沿岸部だけではなくて、県土全域で安全対策を講じなければならないというふうに考えております。すなわち内陸のフロンティアも、東日本大震災における津波の教訓から内陸高台に移動しておくことが、あるいは移動しなければ将来にまた同じような悲劇が生まれるということで行っておりますので、実は内陸フロンティアの開発というのはまさに津波対策の一環でもあるということでございます。県土全体を通じて防災力を高めるということが本県の使命であるというふうに考えております。
     県下全体の地域特性を考慮した上で、ハード・ソフトの双方を組み合わせた総合的かつ多重的、複合的な対策としてお示しできるように努めてまいりたいと存じます。
     続きまして、海岸地域の振興策についてでございます。
     静岡県の海岸地域には、ものづくり産業を中心に多くの企業が立地しておりまして、本県経済の発展に大きく寄与してまいりました。これは日本全体にとって言えることでございます。いわばその縮図として、経済発展を沿岸部が支えてきたということは言うまでもありません。しかしながら東日本大震災は、これらの地域が津波災害に対して脆弱であるということを明らかにしたわけでございます。
     どちらが優先されるかと。内陸フロンティアの振興策かあるいは沿岸都市部の振興策かといいますと、これは二つながらともにということでございます。内陸フロンティアの地域を防災的な観点から開発していくということと、そして今例えば地価が下がっているということがありますが、これを奇貨としてとらえて、沿岸地域の刷新もできる状況が今でき上がっているということでございまして、県全体をとらえていただきたいと存じます。
     内陸部のいわゆるイノベーションと沿岸地域のリノベーション――刷新と、その両地域を結ぶ地域連携軸の構築と、これは三位一体で進めなければならないというふうに考えているわけでございます。ですから焼津の場合におきましても、私は例えば消防あるいはごみ処理、あるいは御遺体を焼く火葬場など藤枝と一緒になさっておられます。ですから行政単位としては焼津市であり藤枝市ではございますけれども、広域でそれぞれの利点を生かした形で発展の契機をつかんでいくというそういう視点をぜひお持ちいただきたいというふうに思うわけでございます。
     繰り返しになりますけれども、海岸沿岸部地域の都市部と内陸部とを結ぶ交通基盤や情報ネットワークを整備することで、行政単位の枠を超えてそれぞれの地域の長所を生かして相互に機能を補完しつつともに発展するという、そういう視点に変えるべきときが来たと思います。藤枝の内陸部、そして焼津の持っている漁港としての水産業あるいは観光、食品産業、こうしたものの特性をもう一度生かし直していくという視点が大事です。命あっての物種ですから、したがって人々が内陸に移動されるというのをとどめることはできません。しかしそれをもってその地域が衰退していくというふうに見るのではなくて、決して海外にあるいは県外に出て行かれているわけではありません。地域連携軸さえネットワークがしっかりと形づくってやりさえすればそれは両方の発展に資するはずである、そして多くの人々の人命を中長期的には救うことになるであろうというそういうふうな観点で、沿岸部の発展と内陸部の発展と、これが相互補完的に発展するという姿勢で我々は臨んでいるということでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 災害に強い県土づくりについてのうち、災害時の医療の確保についてお答えをいたします。
     県ではこれまで、災害時における県民の生命、身体を守るため災害拠点病院を中心に広域搬送体制を整備するとともに、施設の耐震化や自家発電設備の整備などその機能の充実に積極的に取り組んでまいりました。
     しかしながら、東日本大震災の状況を踏まえますと、広域災害の場合には発災後他の地域からの支援が受けられるまでの間、災害拠点病院に限らず地域の病院や医師会、行政等の関係機関が連携し、保健所あるいは市町単位等で速やかに医療体制を構築する必要性を強く認識したところであります。こうしたことから引き続き既存の災害拠点病院の機能の充実を図るとともに、今後策定される第四次地震被害想定についても視野に入れつつできる限り多く災害時の医療拠点を確保してまいりたいと考えています。
     新たな災害拠点病院の指定には、DMATの保有や衛星回線インターネットの整備など幾つかの課題がありますので、県といたしましては国に対しDMAT研修や設備整備の支援策の拡大を働きかけ積極的に災害拠点病院の指定をふやすとともに、災害時に地域の関係機関のコーディネートを行う人材の育成や平時から保健所を中心に顔の見える連携体制づくりを進め、災害時における医療提供体制のより一層の充実を図ってまいります。
     次に、難病対策の推進についてであります。
     本県では、難病のうち国指定五十七疾患と県が独自に指定した二疾患を医療費の公費負担の対象としており、平成二十四年度当初予算で計三十七億円余を措置し難病患者の皆様の支援をしているところであります。このような中、政府の社会保障・税一体改革大綱では、難病の医療費助成についてより公平、安定的な支援の仕組みを構築することを目指すこととし、難病の範囲や医療費助成のあり方を検討しているところであります。
     県といたしましても、非常に多くの難病が存在する中で医療費助成の公平性や安定性の確保をするため、国に対し制度の目的や対象疾患の定義を明確にするとともに、都道府県の超過負担を解消し財源の確保に向けた法整備等を働きかけてまいります。
     また、脳脊髄液減少症の患者や家族の皆様方からの要望についてでございますが、患者の皆様が早期に専門の医療機関を受診できるようになること、広く県民の皆様に脳脊髄液減少症に関する知識を持っていただくことが何より肝要であると考えています。このため既に本年四月に、画像診断やブラッドパッチ療法等を実施している十二の医療機関を県のホームページに公開をいたしました。今後は脳脊髄液減少症の知識の普及と医療機関のネットワークづくりに向け、関係機関の医師を初め県民の皆様、教員や警察官、県や市町の職員等を対象とした勉強会を教育委員会と連携しながら、来月から十月にかけて計四回開催することを計画しております。
     これらの取り組みに加えて、国に対しましてはさらなる負担軽減に向けてブラッドパッチ療法自体の保険診療の適用を働きかけていくことにより、患者の皆様が安心して治療を受けることができるよう努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 長島交通基盤部長。
           (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
    ○交通基盤部長(長島郁夫君) 災害に強い県土づくりについてのうち、緊急輸送路の見直しについてお答えいたします。
     県では、東海地震等の大規模地震が発生した場合の緊急輸送を円滑かつ確実に行うために、高規格幹線道路や一般国道等の輸送の骨格をなす道路やこれらの道路と市町の庁舎等の防災拠点を連絡する道路を緊急輸送路として指定しております。これまでに阪神・淡路大震災を教訓として、防災拠点港湾等との連携強化やルートの複数化の観点から緊急輸送路の見直しを図ってきたところであり、本年四月に開通した新東名高速道路も追加指定したところであります。今後新たな被害想定における津波の浸水域が設定された後、現在の緊急輸送路が受ける被害の範囲や規模を考慮し見直しが予定されている防災拠点の配置や応急対策とも整合を図りながら緊急輸送路を検討することとしております。
     来年六月ころには、第四次地震被害想定の公表にあわせ国や政令市等とも連携して緊急輸送路を指定するとともに、計画的に橋梁等の耐震対策を進め災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの確保に努めてまいります。
     次に、漁港施設の維持管理についてであります。
     県営の八漁港は、昭和三十年代から四十年代の高度経済成長期に整備した施設が多く、今後十年間でそれらの多くが更新時期を迎えることとなります。このため最小の費用で施設の長寿命化の効果が最大となる機能保全計画の策定を順次進め、老朽化の進行による緊急性や施設の重要度を勘案し水産基盤整備事業により計画的に更新工事を実施しているところであります。
     漁港施設の日常的な維持管理につきましては、利用者からの占用料等を財源として実施しております。施設を良好な状態に保ち常に安全に使用できるようにしておくことが重要であることから、厳しい収入状況ではありますが、県営八漁港の施設状況を総合的に勘案し相互補完する形で引き続き適切な維持管理に努めてまいります。
     今後とも、国庫補助事業等を有効に活用することにより計画的かつ効果的に漁港施設の更新や維持管理を実施し、水産業の発展と水産物の安定供給を図ってまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 伊藤静岡県理事。
           (静岡県理事 伊藤秀治君登壇)
    ○静岡県理事(伊藤秀治君) 次に、“ふじのくに”づくり白書の作成方針についてであります。
     県政運営の基本方針である総合計画の実行に当たりましては、常に検証を行い、硬直的にとらえることなく日々刻々と変化する状況に対応した柔軟な施策展開を図っていくことが重要であると考えております。
     このため、“ふじのくに”づくり白書は総合計画の基本計画に掲げた施策の進捗評価とそれを踏まえた施策の改善を明らかにするとともに、計画策定後の社会経済情勢の変化も踏まえまして新たに取り組むべき施策についても織り込むこととしております。
     ことしの二月に作成した初めての白書には、計画策定直後に直面した東日本大震災を踏まえた危機管理対策の強化や急激に悪化した雇用情勢への対応策、太陽光発電を初めとする新エネルギーの導入促進などについて盛り込んだところでございます。
     今年度作成する二回目の白書では、来年度が基本計画の最終年度でありますことから、進捗評価を適切に行うことはもとより喫緊の課題への対応であります第四次地震被害想定を踏まえた地震・津波対策などに加えて、計画の総仕上げにつながる取り組みを積極的に盛り込んでまいりたいと考えております。
     また、作成に当たりましては昨年度と同様、専門家や有識者等から成る総合計画審議会での検討や県議会を初め県民の皆様からの御意見を伺いまして、客観性と透明性の高い白書となるよう努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 土屋経営管理部長。
           (経営管理部長 土屋優行君登壇)
    ○経営管理部長(土屋優行君) 組織改正についてお答えいたします。
     富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現のためには、多様な行政課題に柔軟に対応し施策を迅速かつ的確に展開し得る組織づくりが重要であると考え、施策の目的別に組織を大くくり化した部局編成としております。
     例えば経済産業部では、産業全般に対する支援施策を一元的に担い、マーケティング、研究開発、人材の育成など各産業に共通する課題を一体的、総合的に支援する体制を整えております。農林漁業者と中小商工業者が連携した農商工連携事業の実施や林業部門と商工業部門とが連携した商品開発による県産材の利用拡大など、いわゆる六次産業化の推進にも効果が出ているところであります。
     一方で、議員からも御指摘がありましたように複数の部局、例えば産業振興部門と基盤整備部門の連携が必要な施策もございます。林業施策については森林の整備、保全から木材流通まで、いわゆる川上から川下までが一体となった事業の推進、農業振興における耕作放棄地対策、水産業振興における漁港と漁場の一体的な整備の推進などソフトとハードの両面から取り組むべき課題があります。このため森林・林業部門連絡調整会議、農業・農地連携推進会議、水産関係部署連絡調整会議等を設置するなど関係部局の連携を進め共通認識を持った上で施策展開を図っているところであります。さらに平成二十三年度には林業部門における連携強化を図る森林・林業連携担当理事、平成二十四年度には農業・農地両部門の連携を図る農業・農地連携担当理事を設置するなど、組織横断的な一層の執行体制の強化を図っております。
     今後とも、組織運営に当たりましては社会経済状況の変化を踏まえ行政現場の声や関係団体等からの御意見もお聞きしながら、簡素を旨としつつ組織が効率的かつ効果的に運営されているか常に検証を続け、最適な組織体制を目指して見直しを行ってまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 二十番 中野弘道君。
           (二十番 中野弘道君登壇)
    ○二十番(中野弘道君) 御答弁ありがとうございました。
     今回の私の質問の柱は、私の地元の焼津市を含め海岸地域の住民がいかにして津波に対する不安を一掃し、安心感を与える施策を県が早く示し早く実行していただけるのかと、どういうふうにやっていくかということが一番主なことでございます。
     今、住民のほうで大きな心の動きとして、一つは津波が怖いということで幼稚園の今までお兄ちゃん、お姉ちゃんの行っていたところより変えて内陸部に入園させているということ、それが原因である幼稚園は改築したばかりですけれどもこの三年を目途に閉園をすると、そういうところがございます。また工場を新築するといって港の近くに土地を買い工場を建てる計画で、避難地を二階にしっかりつくってやればいいかなということで地元に貢献をしたいという温かい気持ちの方も、結局工場の進出を断念をしました。そして海岸端の小さな水産加工場の若い方も、今二階で今度改築すると。できれば三階にして上を避難地にしたら行政で何かしてくれないかな。支援があれば、この計画ができているので、急遽ここで計画変更がなかなかできなくてそのままだと、ここで改築をせずにもうちょっとほかのところへ移さざるを得ないかなという、地元に対してはしっかり、どこかへ移りたいという方ばかりでなくて地元にしっかりと貢献をしたいという温かい気持ちの方も多くいらっしゃいますが、実際人口の移動を見ますと焼津市は県内で一番多いように思うんですけど、震災後から約一千余人の方が焼津市から移転をしております。
     また近隣でも、震災後この一年、六月までで静岡市においても約二千六百十一人、人口が出ています。沼津市も二千七百十四人出ています。また富士市でも六百九十七人移動をしています。焼津市は今まで約二百二十四人ぐらいずつ減っていたのが、一気にこの一年だけで千人になっています。
     ちなみに、藤枝市がふえているんですよね。七百五十五人ふえているんです。これは津波被害を想定して怖いといって動いた人口の動きとも考えられますので、海岸地域の自治体は人口減少が進んで、今この一年間でもこれだけがんと変わっています。海岸地域の自治体が人口減少が進み、もちろん知事のおっしゃっている県土全体を考えて相互の連携をしてまちづくり、県土づくりをしていくのはわかるんですけど、実際住んでいる人、まだ動かない方もまだまだたくさんいるので、その方たちに安心ができる施策、中長期的な施策をしっかりと明示をしないと安心感がなくて大混乱をしてしまうのではないかというふうに考えています。
     第四次地震被害想定に基づく対策を策定する中で、中長期的な対策についていつまでに何をやるか時期を明確にして具体的に示さなければ、海岸地域の皆さんに安心を与えるものとはならないと考えます。この点について再度お伺いします。
     また、海岸地域の振興、地域づくりでも同じでございます。市町と連携して検討してこれからちゃんと大きな形でやっていくというのはわかるんですが、具体的なスケジュールを現時点でどのように考えているのかお伺いをさせていただきます。よろしくお願いします。
    ○副議長(大石哲司君) 小川危機管理監。
           (危機管理監 小川英雄君登壇)
    ○危機管理監(小川英雄君) 再質問にお答えをいたします。
     津波対策につきまして、明確にいつまでに何をどのくらいを明示すべきであるという御質問でございましたんですけれども、来年六月までに静岡県防災会議での公表を目指しまして、現在県では第四次地震被害想定の策定作業を進めておりますが、これを公表する際に被害想定だけではなくて新たな地震対策、それから津波対策のアクションプログラムとして具体的な対策内容もあわせて発表する予定でございます。
     この中ではですね、今までも策定してきました津波対策の短期対策編というのを昨年策定してまいりましたけれども、それと同様、具体的なハードやソフトの施策内容、それからその整備目標、年次、あるいは数量、割合ですね。つまり何をいつまでどの程度の数量つくるのか、あるいはどの程度の割合でやるのかといった具体的な目標や達成時期などにつきましてもお示しをする予定でございます。それをもちまして海岸地域の住民の皆様方の不安が払拭されるように努めてまいります。以上でございます。
    ○副議長(大石哲司君) 伊藤静岡県理事。
           (静岡県理事 伊藤秀治君登壇)
    ○静岡県理事(伊藤秀治君) 内陸フロンティアによる沿岸部の海岸域の振興策についてお答えいたします。
     スケジュールということでございますが、九月を目途に現在全体構想の策定をしております。焼津市にも職員が出向きまして、具体的に今議員から御指摘があったような事情もお伺いする中で、どういった知恵が絞れるのか、対策が絞れるのか、具体的にいろいろ議論させていただいております。
     そうしたもの、少しでも実現できそうなものは盛り込んでいきたい。そうした中で、地域づくりですので市町そして地域の方々と一緒になって取り組まないといけないわけですけれども、特に先導的なもの、ですから成功事例をですね、早期に顕在化させていってそういった中でそういった活動が広がりを見せていけばいいのかなと思っております。
     あわせて、本県が独自の取り組みですので、そういったことで焼津市の魅力も高まっていけばいいのかなとそんなふうに考えております。以上でございます。
    ○副議長(大石哲司君) 二十番 中野弘道君。
           (二十番 中野弘道君登壇)
    ○二十番(中野弘道君) 御答弁ありがとうございました。
     私の言いたいのは、国がやるのを待っている、国がやるのを待って公表をちゃんとやる、それはわかるんですけどもうその間にどんどん世の中動いていて、今言った人口の減少もそうなんですけれどもぜひ途中経過でも言って、静岡県は大丈夫、海岸はこうやっていく、だから大丈夫だから待っていてというのがないと、もう形が変わってしまうんですよね。もちろんその後でぽんと出て、ああこうだったなというのはわかるんですけど、我々もなるべくここはちゃんと防潮堤はやる、こういう案があって水門をつくる、例えば道路のかさ上げをしていく、こういう予定で今一生懸命やっているということで、ぜひちょっと待ってくれと言ってはいますが、県の言うことが、非常に大きな重い発言が住民の安心感をまた津波に対する不安、払拭を和らげることだと思うので、ぜひそれをお願いしたいと思います。
     なるべく早期にというのは、二十三年、昨年の五月に浜岡の停止のときに時の総理大臣が三十年以内に東海地震が八七%来ると言っているんですよね。ことしは八八%。去年三十年以内ですからことしは二十九年以内というんでしょうけど、もう八八%も来ると言っているんですよね。だからもうその対策なるべく大丈夫だよって早く実際に公表をし、具体的な明示をしていかないと、内陸フロンティアはこうやる、だけども海岸もちゃんとやっていくということの間に、だんだんほかに人口がばらけていて、あれ、ここに集めようと思ったのがもう向こうへ住んじゃっているな、こちらの方たちもおじいさん、おばあさんでどうするのとか、地域のやつががらんとこの一年で変わってきているような感じが非常にするので、ぜひ六月を待つわけではございませんが具体的な安心感のある施策をしっかりと策定していただいて、我々ももちろん県民の安心・安全、この地域は大丈夫だということをしっかりと訴えていきたいと思いますが、何か御所見があればお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)
    ○副議長(大石哲司君) 小川危機管理監。
           (危機管理監 小川英雄君登壇)
    ○危機管理監(小川英雄君) 先ほど第四次地震被害想定並びにアクションプログラム等につきましては、来年六月をめどにということで申し上げておりますけれども、津波対策の基本的な方針、どういう形で防ぐんだ、あるいはそういうものにつきましては、当然いわゆるレベルワンとレベルツーという非常に大きなものと百年単位で来るものと両方ございますので、そういう大きな方針につきましては前倒しでできるだけ早くことしの秋には何らかの方針を示すようにしたいと思います。
     そのほかも、要するに施策のめどがつき次第ですね、できるだけ公表できるものについては努力をしてまいりたいと思います。以上でございます。
    ○副議長(大石哲司君) これで中野弘道君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     七月二日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp