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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

東堂 陽一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/09/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東日本大震災の瓦れき処理の受け入れについて
2 災害時における中山間地域への対応について
3 台風十五号等による海岸漂着流木の処理状況と根本的対策について
4 環境放射線モニタリング体制の強化について
5 健康づくりを踏まえた緑茶コホート研究への支援について
6 茶業振興対策について
 (1) 茶の機能性と効用の視点に立った茶業振興対策
 (2) 来年度産新茶の安全・安心への取り組み
7 障害者の就労支援について
 (1) 障害者働く幸せ創出センター
 (2) 特別支援学校における取り組み
 (3) 障害者の雇用促進



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百二十八号まで及び第百三十四号から第百五十七号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十六番 東堂陽一君。
           (十六番 東堂陽一君登壇 拍手)
    ○十六番(東堂陽一君) おはようございます。自民改革会議の東堂陽一でございます。
     平成二十一年の七月に知事選挙と同時に行われた県議会議員補欠選挙を経験し、その後一年九カ月の浪人生活を経て、今回掛川市から新しく選出いただきました。ようやく質問台に立たせていただいたことに感謝を申し上げます。
     それでは、通告に基づき、知事、関係部局長及び教育長に質問をさせていただきます。
     最初の質問は、東日本大震災の瓦れき処理の受け入れについてであります。
     震災被害地を訪れたときに、私に強烈な印象として残ったものは、おびただしい量の瓦れきの山でした。愛着のある故郷に建てられた我が家が、平和な生活の中で使われていた家財が、変わり果てた姿で山積みにされていました。言葉を失う惨状であり茫然と見詰めるしかありませんでした。しかしすぐさま、この大量の瓦れきをどう処理するのか、果たしてこの状態で復興が進められるのだろうかという疑問が沸き上がりました。震災発生から九カ月が経過した今、依然として解決されていない大きな課題として残っております。何とか援助の手が差し伸べられないものかと考えている最中でした。「できるだけの応援をする」、「一緒に頑張りましょう」、この言葉が口先だけのものにならないようにしたい。そんな思いが募っておりました。そんな中での知事の瓦れき処理受け入れに対する意思表示を私は一定の評価をもってお聞きしたものであります。被災地を応援するために、復興を進めるために前向きに取り組みたいものです。
     しかし一方、慎重に考えなければならないこともあります。受け入れる瓦れきの放射性物質の濃度、量、焼却灰の最終処分場、これにより発生する費用の負担をどうするかということであります。静岡県は独自の焼却施設を持たず、県内の市町に協力を要請するわけでありますからしっかりとした方針を示さなければなりません。特に放射性物質の濃度や扱いに関しては安全性においてさまざまな意見があります。危惧する声が多くあります。ただの瓦れきを処分するのであれば異論もそれほど出ないのかもしれませんが、放射能汚染の心配があればそうではありません。これらの声に対してどのような説明をするのか、合理的な説明ができるかが重要であります。また十一月十日の県内市町への瓦れき処理の説明会において、処理対象は震災において静岡県の支援先になっている岩手県山田町、大槌町の可燃性廃棄物で、受入量は各市町の処理余力の一%程度で始めてみるということでどうかとされたと聞いております。
     瓦れきの処理は、東京都が十一月から受け入れを開始したものの、他の自治体では受け入れが進んでいない状況にある中、知事は一%とはいえ瓦れきの受け入れの意向を表明されましたが、どのような考えに基づいて決断されたのか、知事の所見をお伺いいたします。
     次に、災害時における中山間地域への対応についてであります。
     先般の台風十二号、十五号などの大雨により、山間部を中心に土砂災害等が多発し、各地で落橋や道路の不通が見られました。この結果、迂回路のない集落は孤立を余儀なくされることになりました。特に台風十五号は本県に上陸し、強烈な暴風雨をもたらし大きな被害を与えました。各地での道路の寸断に加え、停電や断水が地区によっては数日間続いたり、あるいは電話の不通などライフラインが停止した地域がありました。また本県のみならず台風十二号では、紀伊半島を中心に百人を超える犠牲者が出るなど記録的な大災害となってしまいました。奈良県十津川村など山間部の土砂災害の惨状は記憶に新しいところであります。最近のこれらの事例にも見られるように中山間地域は高齢者が多い上、脆弱な地理的条件を有することから、孤立を想定した万全の防災対策が必要であります。今回の台風は風水害でしたが、今後予想される東海地震の場合はさらに大規模な被害となることは明らかであり、孤立集落対策は極めて重要な課題であります。災害の年であったことし、中山間地域の住民には不安が高まっており、対策を求める声、特にヘリコプターの有用性が一層認識されております。昨年の県議会でも孤立予想集落対策に関する質問と当局の答弁がありました。それによると、東海地震で想定される孤立集落は県全体で三百七十一地区、そのうち万一孤立した場合にヘリコプターが着陸、またはホイストで物資を輸送できる地区は三百六十一であり、残り十地区は調査中とのことでありました。
     三月十一日の東日本大震災を経験し、ますます地域ごとの防災対策の重要性が認識される中、昨年調査中だった十地区の対策は進んだのでしょうか。また同時に多数の孤立地域が発生した場合の対応は大丈夫なのでしょうか。そして先般の台風による大雨では予想地域以外にも孤立地域が発生したと聞いています。現在県で把握している三百七十一地区は市町からの報告により把握しているものと伺っていますが、予想地域以外でも孤立地域が発生した現状を踏まえ、今後どのように孤立集落対策に取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
     次に、台風十五号等による海岸漂着流木の処理状況と根本的対策についてであります。
     ことしは立て続けに台風が日本に上陸し、道路やライフライン、建物被害やビニールハウスなどの農業施設被害など、本県にも大きな被害をもたらしたことは先ほども申し上げたところであります。特に台風十五号は最大瞬間風速六十メートル、総雨量が五百ミリを超える観測所を二カ所数えるなどの強風と大雨をもたらし、その結果として県内各地に大量の倒木被害をもたらしました。これらの被害については現在災害復旧が進められていますが、倒木、そしてそこから海岸に漂着した流木については、いまだに放置されているものが多く対応がおくれているように見受けれられます。流木については、県内三十六カ所の海岸に体積にして約四万三千立方メートルに及ぶ大量であります。これは景観を著しく阻害するだけでなく不審火災の原因ともなっていることから、近隣住民は不安を感じているところであります。しかしながらこの大量の流木の撤去には膨大な費用がかかり、すぐには撤去できない状況だとお聞きしました。また毎回台風が来襲するたびに漂着流木を処理する現在のやり方は、厳しい県財政にとって負担となるばかりでなく根本的な解決とはなり得ません。そもそもこれらの流木は森林から河川を下って海に流れ出し、最終的に海岸に漂着するのですから、川の上流において森林の管理がおろそかになっていることも原因であります。森林を適切に整備することによって漂着流木を減らすことも可能と考えられます。
     そこで、今回の台風被害により県内の海岸に大量に漂着した流木について、その処理をどのように行っていくのかを伺います。さらに根本的対策として、森林の整備をどのように進めていくのかあわせて伺います。
     次に、環境放射線モニタリング体制の強化についてであります。
     先般、国の原子力安全委員会で、原子力発電所事故に備えた防災対策の重点地域をこれまでの半径約八から十キロメートルを、半径おおむね三十キロメートルに拡大する方針が示されました。これは福島第一原子力発電所の事故により、高い放射線量がおおむね半径三十キロメートル以内の地域で測定されたことを受けてのことですが、実際には高い放射線量が測定された地域は三十キロメートルを超える地域にも及んでいます。反対に三十キロメートル以内でも放射線量が少ない地域があり、避難などの防護対策は同心円状に一律に対応するというわけにはいかないと考えます。放射線による健康被害への懸念がされる中、国民の関心は正確な放射線量の測定と健康への影響をあらわす基準の数値化でありますが、事故後九カ月を経過しても、なおこれらの施策は十分に進められていません。健康への影響をあらわす基準の数値化についてはさまざまな意見があり、国には早く国民が納得できる数値を示すように望むものです。放射線量については県民の関心も高く、特に小さな子供を持つ母親を中心に非常に神経質になっている方もいます。まして福島の事態が浜岡にも当てはまる可能性を考えれば、防災対策の重点地域は、これまで余り原子力安全対策をする必要がないとされた焼津市や藤枝市、袋井市、磐田市などの地域にまで広がり、これらの地域で新たな対策が必要となります。特に環境放射線のモニタリング体制は現状では不十分であり、これを強化し信頼性のある正しい情報を県民にお知らせする必要があると思います。
     そこで、原子力発電所事故に備えた防災対策の重点地域の拡大に伴い、環境放射線のモニタリング体制をどのように強化していくのか、県の考えとその取り組み方針を伺います。
     次に、健康づくりを踏まえた緑茶コホート研究への支援についてであります。
     現在掛川市では、農林水産省の委託により、平成二十一年度から緑茶摂取と生活習慣病予防効果を科学的に立証するための研究が進められています。掛川スタディと呼ばれるこの研究は、@緑茶コホート研究、A緑茶介入試験、B緑茶の形態による影響解析、Cカテキンレセプター発現量の解析の四つの研究から成り、それぞれ東北大学、野菜茶業研究所、九州大学の研究機関と掛川市で進められております。このうちの一つ、緑茶介入試験はNHKの生活情報番組「ためしてガッテン」で放映され、多くの人が緑茶の健康効果を再認識することとなりました。健康づくりに役立つとともに医療費の大幅な削減につながるという試算もあります。また掛川スタディの研究総括者、東北大学の栗山教授による中間報告でも、その成果の一部が報告されたところであります。今後緑茶の効能がどのように明らかにされるものか、大変期待されるところであります。
     さて、掛川スタディにおける緑茶コホート研究は、その栗山教授が担当し、掛川市民約千五百人の協力をいただく中で本年度で終了する予定であります。市民に協力をいただいていることは、アンケート調査により緑茶飲用などの生活習慣を把握し、血液検査やその後の健康状態を追跡調査するという簡単なものです。これらは五から十年をかけて結論を得る研究です。ただし一般的にコホート研究は国際的に認知されるためには数万人から数十万人規模の検査が必要、理想とされるそうです。このような研究成果をぜひとも県民、国民の健康づくりにつなげていきたいと私は考えているところであります。しかしこれは人口十二万人の掛川市だけではとても実施できる規模ではありません。聞くところによると、国レベルでは数万人規模を対象とした緑茶コホート研究の実施検討をしており、静岡県西部地域がその対象地域として選定される動きもあると聞いております。
     この機会をとらえて、静岡県として現在調査研究を進めている掛川市だけにとどめることなく、広域的に推進し関与していく必要があると考えます。このことに関して知事の所見を伺います。
     次に、茶業振興対策についてのうち、お茶の機能性と効用の視点に立った茶業振興対策についてであります。
     緑茶の消費が低迷する中、茶業関係者からは消費拡大、需要創出の切り札として緑茶の機能性に期待する声が多く聞かれます。さきのコホート研究もその一環という見方もできます。静岡県は、県立大を中心に茶の機能性、効用に関するさまざまな研究を行い、富田勲名誉教授による茶の抗がん作用の研究や横越教授によるテアニンのリラクゼーション効果の研究など多くの成果が生まれています。さらに光技術を利用した茶葉の栽培や加工方法の開発、緑茶の飲用と疾病予防との関係についての疫学的調査研究など健康増進効果の検証、二番茶、三番茶を静岡産の高級紅茶、高級ウーロン茶として製品にすることなどを検討していると聞くところです。
     そこで、県は今後、茶の機能性、効用をどのように茶業振興に生かしていくのか、所見を伺います。
     次に、来年度産新茶の安全・安心への取り組みについてであります。
     東京電力福島第一原発事故に伴い、静岡県産の茶の一部からも一時暫定規制値をわずかに超える放射性物質が検出されてしまいました。しかしその後県が実施した主要産地でのモニタリング検査では暫定規制値を超える数字は出ておらず、すべての地区で安全性が確認されており、静岡産の茶については安心して飲んでもらえるレベルにあると認識しているところであります。各方面から安全宣言もされているところでありますが、それにもかかわらず静岡県産茶は大きな風評被害を受けてしまいました。昨年の凍霜被害に続くことしの放射能被害により、茶業界の疲労感は大変なものであります。風評被害を含めた原発事故による損害賠償については、八月に提出された第一回損害賠償請求が十一月末に支払われました。しかしつい最近も茶商と東京電力の話し合いが行われるなど、今もなお損害賠償については交渉が続いており、迅速かつ確実に賠償が行われるよう引き続き支援をお願いするものであります。
     また、内閣府食品安全委員会の答申を受けて、厚生労働省は食品の暫定規制値の見直しを始めていますが、この結果が今後の茶の販売、消費に与える影響は大きく注視をする必要があります。一方県内の茶生産者や茶商は、来年の一番茶の放射性物質のレベルがどうなるか大きな不安を抱えています。消費者により安心して静岡茶を飲んでもらうためには、できる限り放射性物質のレベルを下げることと、安全・安心に関する情報を積極的に発信していくことが重要と考えます。大きく傷ついた静岡茶の威信を取り戻すためにも、来年度の新茶では放射能検出ゼロを目指したいものです。
     県は、放射性物質をできるだけ減らすための対策をどうするのか。来年の新茶シーズンに向けて、どのように安全・安心対策に取り組むのか、知事の所見を伺います。
     最後の質問は、障害者の就労支援についてであります。
     障害のある方がそれぞれの地域社会において自立して生活していくためには、雇用の場を拡大していくことが重要であります。働く場を得ることは、また障害を持つ方たちにとって大きな望みでもあります。しかし障害のある方の雇用は依然として厳しい状況にあります。さらにリーマンショック以降雇用情勢が悪化する中、ハローワークに登録している求職中の障害のある方も年々増加しており、ことし九月の時点では六千百人余りを数えています。また県教育委員会によれば、義務教育で特別支援学校、特別支援学級等に在籍する児童生徒数は平成二十三年度で約八千人、平成十年度からは約二倍にふえています。この数字は今後も増加していくと思われます。障害のある方の就労対策はこれからが本番と言っていいのかもしれません。そんな中、働く障害のある人とかかわるすべての人を応援する目的で、福祉と産業界、地域をつなぐ拠点施設として障害者働く幸せ創出センターが設置されました。障害のある方の就労支援の新戦力として期待されての発足でしたが、この施設の成果はどうなっているでしょうかお伺いをいたします。
     また、特別支援学校において職を求める障害のある方がふえている中、求人開拓員と特別支援学校が連携を密にした体制づくりをするなど、障害のある方の就労支援について具体的な策を講ずる必要があると考えますがいかがでしょうかお伺いをいたします。
     さて、雇用の状況を見てみますと、平成二十三年六月一日時点の県内民間企業の障害者雇用率は一・六一%と前年を〇・〇七ポイント下回り、法定雇用率である一・八%から遠ざかりました。また法定雇用率を達成している企業の割合も四六%で前年より三・一ポイント低下し、対象企業の半分に満たない状況であります。これは今年度の雇用率の算定からはパートタイマーなどの短時間労働者も加えられたことが影響しているとのことですが、企業などにはこれまで以上の努力が求められることになります。
     一方、公的機関においては、県、市町とも法定雇用率を達成していますが、教育委員会は残念ながら未達成の状況でした。また障害のある方がせっかく就職しても、人間関係がうまくいかないなどの理由により退職してしまうケースも多いと聞いております。障害のある方を離職させないための職場定着に向けた取り組みも必要であります。障害のある方の雇用に対しては、県でも各種の対策を講じ施策を実施していますし、特別支援学校なども先生方が子供たちへの職業教育や求人先の開拓などに奔走されておられることは理解しておりますが、現実はまだまだであります。一方企業においても、どんな仕事を任せればよいのかわからない、ニーズに合う人材と出会えないなどの理由により雇用が進まないといった課題もあります。
     このような中、障害のある方の雇用促進のために県はどのように取り組んでいくのかを伺います。以上質問をいたしました。御答弁をよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 東堂議員にお答えいたします。
     初めに、茶業振興対策についてのうち、お茶の機能性と効用の視点に立った茶業振興対策についてでございます。
     昨年、第四回世界お茶まつりが開催されたのですが、その中で国際O―CHA学術会議が開かれまして、そこでお茶が認知症になりにくい、肥満にも効く、がんについては先ほど先生がおっしゃられたとおりでございます、その他、動脈硬化、アレルギー、C型肝炎、インフルエンザ、糖尿病など緑茶が健康を回復する上でいい影響があるという、そうした報告がされるなど、健康志向が高まる中でお茶の機能性や効用が注目されているところでございます。
     そうした中、ことしの一月、いわゆる掛川スタディがテレビ番組で放送されました。「ためしてガッテン」でございますが。これは掛川市立総合病院の鮫島先生、東北大学の栗山先生がお進めになっている緑茶の効用研究でございました。これは視聴者から大変大きな反響がございまして、再放送、再々放送もなされ、それが消費者にも大きな影響を及ぼしまして掛川深蒸し茶の販売が飛躍的に増大いたしまして、静岡県内の他の地域の茶業の方々からやや嫉妬に似たような声が上がるほどでございました。私は、まことにこれは多くの方々がお茶と健康ということにいかに関心があるかということで、大変いい突破口になったというふうに考えると同時に、今後のお茶の消費拡大に結びつくものであるというふうに確信したところでございます。残念ながら三・一一で水を浴びせかけられましたけれども、この事実自体には変わりはありません。
     そこで、県といたしましては、科学的なデータに基づいたお茶の機能性や効用に関する学術情報をさらに集積してまいりたいと考えております。それを、例えば来年掛川市で全国お茶まつりを開催いたしますが、そこでのイベントや専門家によるセミナーの開催を通じ、あるいはホームページへの掲載などを通じて、参加者はもとより消費者の方々にわかりやすく理解が深まるように情報発信していこうと考えております。さらに県の茶業研究センターと県内の大学、民間企業とが連携をいたしまして、魅力ある香りや機能性を高めて、いわゆるお茶の渋みが嫌だという人もいらっしゃいます、あるいは苦いのが嫌だという人もいらっしゃるわけですが、そうしたものを抑えた新世代の茶飲料の開発を進めるとか、あるいは果実やお花の香りを持った新しい機能性を持つ静岡型発酵茶の研究も今地についております。この発酵型お茶につきましては、材料に使うのが二番茶とか三番茶でございますので、この値段が一番茶に比べるとぐっと落ちるわけですが、これの活用方法としても注目されるものでございまして、この静岡型発酵茶の研究をさらに進めて消費の拡大にも結びつけたい。さらに粉末茶が花粉症や血圧の低下などに効用があるということもわかってまいりまして、この開発の支援もするなど、お茶の機能性や効用に着目した新しい商品の開発に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
     世界的に今健康志向が高まっております。そうした中においてお茶への関心が高まっているということで、これを追い風といたしまして、日本一のお茶の産地でございます静岡県から、お茶の持つ機能性や効用を世界お茶まつりなどを通じて国内外に力強く情報発信してまいりたい。加えて機能性が高く現代の嗜好に合う、好みに合うという新しい商品の開発をしなくてはなりません。それを通して販路開拓を行いまして消費拡大につなげ、本県茶業の振興を図ってまいろうと考えております。
     次に、障害者の就労支援についてのうち、障害者働く幸せ創出センターについてでございます。
     いわゆる完全な健常者というのはいるのでしょうか。だれも加齢によって身体にどこか障害が出てまいります。完全な健常者はいない。そうした自覚を持つことが障害者への理解を深めることになろうと思います。障害者と言われている人は県内に十八万人ほどいると、そういう統計がございますが、ということは二十人にお一人が障害をお持ちであるということです。したがって健常者と障害者が一緒に生きていくというのは当然のことだと。それを当然のことと受けとめる、そういう社会をつくらねばならないと考えています。
     そこで、静岡県といたしましては、NPO法人オールしずおかベストコミュニティを立ち上げまして、そこと連携をいたしまして、産業界、地域と障害者の作業所を結ぶことを中心のテーマに据えまして、障害のある人の働くことを総合的に支援する障害者働く幸せ創出センターを昨年五月に開設したのでございます。健康福祉部、経済産業部、教育委員会を中心に、全庁挙げて応援体制を整えております。
     開所から約一年半が経過いたしました。障害のある人や企業等からの来訪者は本年十月末現在で八千四百十三人を数えております。多くの人に利用されているということでございます。福祉と産業界をつなぐことによる授産事業の仲介額はこれまでに八千万円を超えました。また一人当たりの月額工賃についても、働く人が増加する中で前年度よりありがたいことに約五%増になりましたほかに、施設利用者の一般企業への就職者は四十三人ふえて二百三十九人となり、着実に成果が上がっています。
     県といたしましては、今後とも市町と連携をした官公需の拡大――需要の拡大ですね――そして産業界等での需要の拡大や静岡文化芸術大学との連携――彼らはデザインを考えることにおいてすぐれている人たちを持っている大学でございます――また授産製品コンクールなどを通じた製品の品質向上などに努めてまいりたいと存じます。企業への就職支援にも力を注ぎまして、障害者働く幸せ創出センターを拠点として、障害のある人の働くことに関して積極的に応援をしてまいりたいと思っております。
     私はだれにでもできることがあると思います。それは授産所でつくられているような製品を少なくとも日常生活で一つ持つことでございます。使うことが大切だと。私自身は授産所のかばんを愛用しておりまして、そのような何か一つ自分たちの日常生活で使うものを、そうした授産所の製品の中からお買い求めくださることが就労支援にもつながりますし、工賃の上昇にもつながるというふうに考えておりまして、ぜひ県民全員の御協力をお願いしたいと存じます。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 東日本大震災の瓦れき処理の受け入れについてお答えいたします。
     東日本大震災により発生した瓦れきは、岩手県で通常処理の十一年分に達しており、これまでさまざまな支援を続けてきました大槌、山田両町の災害廃棄物は総量で約百三万トン、柱材、角材で広域処理の対象となる量は約十二万トンであります。このため復興に向けての両町への新たな支援として、本年四月の調査で回答のありました県内市町の年間処理余力約六万トンの一%である六百トン程度の災害廃棄物の受け入れを、住民の皆様の御理解を得ながら始めてみることはできないかと提案したものであります。十一月十日には、静岡県市長会、町村会から、環境を整えた上で各市町の実情に合った協力をしていくとの共同声明が出され、また十一月二十二日に安全基準の住民理解の促進と全国の最終処分場における災害廃棄物の受け入れの促進について、知事が細野環境大臣に要望したところ、大臣からは「安全性については国がすべての責任を負って対応する」、「最終処分場については市町の事情に合わせて対応する」との発言がありました。
     大槌、山田両町の災害廃棄物の放射性セシウム濃度は人の健康に対するリスクが無視できるクリアランスレベルである一キログラム当たり百ベクレルを下回っておりまして、焼却灰となっても安全に埋め立て処分することが可能とされる八千ベクレルの三分の一程度であると見込まれておりまして、十分に安全性が確保されるレベルであると認識しております。また受け入れ市町が処理に要した費用につきましては、県を通じて請求し全額国の負担で両町から支払われることになります。
     県といたしましては、今後国や岩手県等と調整、協力しながら、被災地での搬出時、県内への搬入時において放射線量を測定するなど、受け入れに当たっての安全確認体制を明確にし住民の不安の払拭に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 災害時における中山間地域への対応についてお答えをいたします。
     災害時の孤立地域につきましては、集落に通ずる主要道路が寸断されまとまった規模の集落全体が孤立する場合と、生活道路が崩土などで被災し集落のうちの数軒が一時的、局所的に孤立する場合とがございます。このうち県では東海地震などの大規模災害での集落そのものが孤立する場合を想定しまして、ヘリコプターを活用して離着陸やつり上げで支援、救援できるスペースの確保や、相互通信が可能となる衛星携帯の整備などに取り組んでおります。ヘリコプターの利活用スペースにつきましては、市町と連携をいたしまして自衛隊の協力を得ながら確認調査を進め、昨年度までに三百七十一の大規模な孤立予想地域をすべてにおいて確認ができております。それをGIS――データを地図上に表示する地理情報システムを活用しましてデータベース化することで、平時においては訓練などで活用し、発災時には動的情報としてリアルタイムで自衛隊など防災関係機関と共有化することとしております。また大規模災害による多数の孤立地域が発生した場合には孤立の長期化も想定されますので、備蓄食料や避難施設の確保につきましても、市町と連携を図りながらその取り組みを支援しております。
     先般の台風十五号におきましては、小規模で局所的な孤立が発生しました。短期間で復旧が可能なこうした地区につきましては、まずは市町に対処していただきまして、支援の要請があれば防災ヘリによる救出救助や自衛隊への派遣要請など県と市町が力を合わせて対応することといたしております。
     県といたしましては、今後も相互通信手段の未整備箇所の解消やヘリコプターの着陸誘導などを行う人材の育成などを市町と協力しまして推進し、中山間地におけます孤立予想地域の防災対策の充実強化に努めてまいります。
     次に、環境放射線モニタリング体制の強化についてでございます。
     先月、国の原子力安全委員会が了承した原子力防災対策を重点的に充実すべき地域、いわゆるEPZの見直しにおきまして、発電所からおおむね三十キロメートル圏を目安とする緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZが設けられることとなり、この区域における環境放射線モニタリング体制の整備の重要性が指摘されたところでございます。原子力安全委員会では原子力災害に関する防災指針の見直しの一環としまして、今後環境放射線モニタリングの計画、測定、評価などにつきまして考え方を検討することとしております。環境放射線モニタリング体制の強化、拡大が図られるものと受けとめております。
     このため、県といたしましては、原子力安全委員会による検討状況を踏まえながら、現在浜岡原子力発電所周辺の十キロメートル圏で実施をしております環境放射線モニタリングの範囲を順次拡大するよう、国の交付金制度などを活用しながら取り組んでまいります。具体的には静岡県環境放射能測定技術会の専門家の御意見を伺いながら、環境放射線モニタリングの計画を見直し、これに基づきまして、空間線量率を連続測定するモニタリングステーションの増設など、発電所周辺の環境放射線モニタリング体制の拡充を行いまして、今年度整備する県内七カ所のモニタリングポストとあわせて、全県での放射線監視ができるよう体制の整備充実に努めてまいります。以上でございます。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 台風十五号等による海岸漂着流木の処理状況と根本的対策についてお答えいたします。
     県内各地に大きな被害をもたらしました台風十五号等は山間部を中心に非常に激しい雨と強風を観測し、県内の河川、海岸に過去最大級の流木被害を発生させました。県内の海岸に漂着しました流木の処理につきましては、国の補助制度であります災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業の申請を国へ行っているところであり、事業採択されれば来年早々には事業着手し、来年三月までに流木の処理が完了できるよう実施してまいります。また国の補助事業に採択されない小規模の漂着流木につきましては、県としては河川海岸愛護事業費補助金を交付しまして、市町が実施する処理事業を支援してまいります。
     漂着流木の発生原因には河川の侵食などさまざまなものがありますが、森林からの流木につきましては、森の力再生事業などを活用し未整備な人工林の整備を一層促進し、下草が繁茂する災害に強く豊かな土壌をはぐくむ森づくりを推進してまいります。
     県といたしましては、県内各地の海岸に漂着した流木の処理を迅速に進めるとともに、河川上流域の根本的な対策に努め、美しい海岸の復元や保全に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 健康づくりを踏まえた緑茶コホート研究への支援についてお答えをいたします。
     掛川市が東北大学などの協力を得て、農林水産省の委託事業として進めております緑茶と生活習慣病の関連性を研究する共同研究事業に対しましては、県といたしましても、これまでも市町健康指標などの分析データを提供するなど積極的に協力を行ってまいりました。また県が行いました特定健診データ等の調査結果でも、掛川市を含む西部地域は、生活習慣病の要因となります肥満や高血圧症などの該当者が非常に少ない地域でありますので、緑茶との関連性がこのコホート研究によりどのように解明されるのか、大きな期待を寄せているところであります。
     今後は、周辺地域を巻き込んだ広域的なコホート研究が必要と聞いておりますので、県といたしましては、掛川市などと情報交換を行い、調査が実施される場合には調査が円滑に進みますよう関係市町及び関係機関の調整に積極的に努めますとともに、その結果を県民の健康づくり施策に反映できますよう取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 茶業振興対策についてのうち、来年度産新茶の安全・安心への取り組みについてお答えいたします。
     県におきましては、農業団体と連携し六月上旬に剪定等の放射性物質低減のための技術対策資料の県内全茶農家への配布や生産現場での技術指導などを行ったところであります。この結果九月下旬に収穫された茶葉の放射性物質濃度は一番茶に比べますと五分の一程度まで低下しております。さらに市町やJA等を対象に来年度産の一番茶生産対策会議を開催し、秋以降の技術対策指導を徹底してまいりました。今後県茶業研究センターが十二月と来年二月に県内十九産地で行う放射性物質の調査に基づく予測情報を一番茶の技術指導に生かし、放射性物質濃度の一層の低減に努めてまいります。
     今後とも、これらの取り組み結果やそれらに基づきます放射性物質の調査結果などの科学的データに基づいた正確な情報を、新聞、ラジオによる広報や消費地におけるセミナーの開催などによりまして消費者、生産者、流通業者の皆様に迅速に提供し、来年の新茶を安心して飲んでいただけますよう、茶業関係者と一体となって風評被害対策に努め、静岡茶の安心と信頼の回復に全力を挙げて取り組んでまいります。
     次に、障害者の就労支援についてのうち、障害者の雇用促進についてであります。
     障害者の雇用を促進するため、県におきましては、ハローワークなど関係機関と連携し求人の開拓や各種支援策の周知を図りますとともに、県内八カ所の障害者就業・生活支援センターを拠点といたしまして生活相談や就労支援を実施しておりますほか、ジョブコーチの支援対象者を昨年度の百八十七人から二百三人に拡大をいたしまして、就職と職場定着の支援を行っております。
     また、県西部の農業法人におきましては、障害者の特性に合わせた職場づくりを進め、二十人以上の障害者を雇用して高い業績を上げており、障害者が持つ能力を活用するという視点に立ち、より働きやすい職場環境づくりに取り組んでいくことが大切であると考えております。
     このため、県といたしましては、こうした事例が他の企業の模範となりますよう、好事例集の配布や見学会を実施いたしますとともに、企業が障害者の特性を理解し受け入れ意識を高めますよう助言する仕組みの充実を図るなど、法定雇用率の達成に向けた働きかけを強化してまいります。
     今後とも、静岡労働局、特別支援学校など関係機関と連携をいたしまして、一人でも多くの障害のある方が就労して地域社会で自立できますよう障害者の雇用の促進に積極的に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 障害者の就労支援についてのうち、特別支援学校における取り組みについてお答えいたします。
     平成二十二年度の県内特別支援学校高等部卒業生のうち、就職した生徒は全体の二五・九%で、平成十九年度の三二・九%をピークに減少が続いている状況であります。議員から御提案のありました経済産業部が配置しております求人開拓員との連携は非常に有効であり、各特別支援学校と求人開拓員が情報を共有して就職先の開拓に努めているところであります。あわせまして県教育委員会が学校に配置しております職場開拓員が進路担当教員とともに、職場実習や雇用の受け入れ企業を開拓しているところであります。
     今後は、求人開拓員と進路担当教員、そして職場開拓員との連携を一層深めてまいります。また就業促進強化対策事業といたしまして、県内八地区で特別支援学校を事務局にして地区別就業促進協議会を開催し、労働、福祉などの関係機関や企業とのネットワークをつくり、学校見学会、障害者雇用制度等の情報提供、事業主との意見交換など、特別支援学校生徒の雇用への理解啓発を進めているところであります。
     今後とも、労働、福祉などの関係機関との連携をさらに深め、生徒の就労促進のための体制づくりを進め、一人でも多くの生徒が就職に結びつくよう努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 十六番 東堂君。
           (十六番 東堂陽一君登壇)
    ○十六番(東堂陽一君) 三点ほど再質問いたします。
     東日本大震災の瓦れきの処理の受け入れについてであります。
     一昨日の柏木議員も私と同じ趣旨の質問がありましたが、それへの答弁でございましたけど、知事の御回答でありました、瓦れきの処理を「もしできるというところがあれば、やってもらえれば」、「何も私はしろとか、あるいはすべきだと言っているのではありません」という御答弁がございました。市や町は、知事がおっしゃったから安全性が心配だがそれにこたえようという気持ちもあると思います。市や町に「やってくれ、問題があれば国に言っておくよ」というだけではだめだというふうに私は思います。知事のリーダーシップも必要ではないか。私は瓦れきの処理を進めたいという観点で申し上げるわけでありますが、そういう気持ちを持ちます。知事はどういうスタンスで臨まれるのか、知事の決意というんでしょうか、お気持ちをお伺いしたいと思います。
     二つ目。瓦れき処理についてでありますけれども、埋め立ての最終処分の数値八千ベクレルという国の基準がございますけれども、この値は幾ら何でも大き過ぎるじゃないかという御意見もたくさんございます。県としては、独自に数字を検討する考えがあるのかどうかあわせてお伺いをしたいと思います。
     二つ目には、健康づくりを踏まえた緑茶コホート研究への支援についてということでございます。
     協力体制をもってという健康福祉部長の御回答もございましたけれども、健康づくりに役立つということ、お茶の消費拡大にもつながるということ、医療費の大幅な削減につながるということ、一石三鳥であります。試算によれば、これはNHKの放送でも出た数字でありますからそれなりの信用性があると思いますけれども、国全体では三兆円の医療費削減につながるという試算も出ております。私はぜひこういう多方面への貢献という観点から、国での動きがあれば県としては積極的に誘致というんでしょうか、緑茶コホート研究を受け入れてもらいたい。そういう気持ちであります。知事のお気持ちをもう一度この点に関してお伺いできればというふうに思います。
     最後は、障害者の就労支援についてであります。
     先日、知事に対して生涯学習審議会から答申がございました。その中の提言には「就労支援体制の整備」という言葉がございました。新聞報道を読んだわけでありますけれども、そこに答申を受け取った知事のコメントがございました。「行政は、特別な支援の必要な人に対し優先的に施策を講じなければならない」、「県教委と文化・観光部には答申に基づいた関連施策の改善を指示した」という記事がございました。この際、就労支援についての具体的な指示をされたのかどうか、この問題に対する知事の思いも含めてお伺いをいたします。以上、再質問といたします。
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 東堂議員の再質問のうち、まず第一の瓦れき処理についてでございますけれども、御案内のように今回の災害は複合災害です。津波とそして原発事故ということでございますが、そこで多大なる瓦れきが生じたということでございます。そして岩手県だけで年間の処理能力の全部フル稼働しても十一年かかる。宮城県の場合には十九年かかるということで、到底その地域内で処理できるところではない。こうしたことは最も早く環境省が認識したところでございまして、そうしたものを全国各地で受け入れられないかという、そういう御提案があったわけです。しかしそれは東日本全体で出たものですから、そこには放射能に汚染されたものもあるから、それは受け入れることはできないというふうに、ほぼすべての地域がそう答えました。そうした中で私はそれは当然であろうと。本県も全市町が受け入れないという、いわば最初の決断をされたわけですが、我々は岩手県の大槌町と山田町に支援をしてきたということがあるので、そしてそのことは決して人ごととは考えていないはずだということで、大槌、山田町の被害は何か、これは津波でございます。行けばわかる、見ればわかる。報道を少しでもごらんいただければおわかりになっているはずでございます。その津波でやられたものについて、彼らが本当に自分たちで処理できると思っていらっしゃるのかどうか意向を聞きました。実は彼らは、御案内のように自分たちで何かを「してください」とは言いません。こちらが「これが必要ですか」と言えば、初めて「そうでございます」というふうに言われる人たちであって、「何ができますか」と言って答えてくださるというふうな厚かましいところがない、非常に奥ゆかしい、そういう風土性のあるところです。しかし瓦れきについてはやはり必死の思いがあったということがわかりまして、そこで私は、県が最終処分場を持っていないものですから市町の一部の首長先生に、「処分能力を使い切った後まだ余力が残っている、その余力の一%ということで始めるということではどうか」と言ったところ、大変好意的な御反応をいただきまして、それが数名の首長先生とお話しする機会が数日間にあったわけでございますが、それが一挙に表に出まして、知事の突然のそういう表明ということになったのでございます。そこで全市町の方々とお目にかかって、そしてそのとおりのことを申しましたところ、それはもう言われることであれば協力できる可能性があると。
     しかし、御案内のように市町それぞれ事情が違います。遠いところでは山口県に最終処分場を持っていらっしゃる市町もあります。近いところでは自分のところに持っていらっしゃるところもございます。そしてそれぞれみな基準を持っていられたり、あるいは規制を設けられておりまして、一律というわけにはいかない。したがってすべて個別にしなくちゃいけないと。そこでその個別の案件について環境省として対応ができるか直談判をしたわけです、細野大臣と。細野大臣は個別の市町の事情に応じてすべて環境省が、搬出するとき、搬入したとき、そして焼き終わった後の放射線の線量の検査、それから最終処分場が県外の場合には、その県外の受け入れ地についての調整もするということになりまして、そしてそれが今進んでいるということでございます。これはすべて県一律にできるということではありません、それぞれの市町の御事情があるので。我々はそれをよく知っておりますので、どういうふうにすれば、国と被災地とそれから県と市町と、この関係がだれにでもわかりやすい形で援助できるかという今スキームをつくりまして、そのスキームを明日御発表できる手はずになっております。それを市町の関係者の皆様と環境省の立ち会いのもとで、彼らの説明も入れてする予定になっております。
     私としましては、安全基準を明確にする。量的には全体のほんのわずかでございますので、常識的に考えればまず健康に被害はないと。そして東堂議員も言われましたように気持ちは皆同じでございます。しかし安全でないといけないということは言えると。そしてこれは福島の瓦れきではありません。福島の北の宮城、宮城のさらに北にある岩手の、いわばちょうど真ん中にあります釜石の、さらに北にあります大槌町、山田町。原発の事故からは二百二十キロ、二百四十キロ離れているところです。それはちょうど東京のど真ん中と福島原発との距離です。東京のど真ん中に人々が生活されておりますが、そういうところにある大槌、山田町の、その瓦れきのほんの一部を、処理能力の余力の一部を、一%をせめてできないかということで、事情をしっかりとお考えいただいた上で、全部瓦れきが自分のところに来るというふうなことではありません。せめて一%、クリスマスプレゼントのつもりで、この寒い冬の前に何かできないかということでございます。それぐらいの気持ちです。しかし一点をあけることが大事です。どこもそれをしてないんですから、東京都以外は。東京都庁の都知事は何と言いましたか。「黙れ」と言ったんです。受け入れるほうに。東京都民に対して。私はそういうことは口が裂けても言えない。これは市町が本来ごみというのは自分で出して自分で始末をするというのが筋ですから。ですから私としては、最大限のことでその調整機能を含めて御協力をするということでございます。
     コホートについては、あの掛川スタディが出たときに、まだ一月のテレビ放送がある前に、日本の最高、いわば学術的な予算を決める科学技術会議というのがございます、そこにすぐ持っていきました。コホート調査をしてくれと。しかしお茶以外のことで考えるということで、その時点ではけられたのです。このコホート調査というのは実は多くの、十万人以上の人をやらなくちゃいけないということで、実は地域の人の御協力も得なくちゃいけない。だけど私は掛川でできたので、そして掛川自体では十万ちょっとでございますので、やっぱり広い地域でやらなくちゃいけないという議員のお考えに賛成で、いざ予算がおりてくるのは、これは大変お金がかかることですので、本県としては受け入れる用意があると。恐らく県民の方々の御協力を賜れるだろうというふうに期待している次第でございます。
     それから、障害者の就労率が法定就労率を下回っているのはまことに恥ずべきことで、特に教育界が下回っているというのは何たることであるかということで、この点は少なくとも平均あるいは、一応そのときの説明では専門性が高いので障害者を雇えないということでございましたが、本当にそうかということで、この点について精査していただきたいと。さすがに教育長、精査されまして、それで恐らく一年以内の間に必ず成果を出されるものということで、プログラムを今お立ち上げになっておられますので、外のハローワークであるとか等と相談をして、障害のある子供たちの就職に備えるというのではなくて、みずからの教育界における就労はどうなっているのかという、まずみずからの足元からしっかりと固めていただきたいという強い指示をお出し申し上げたということでございます。
     もし残っている質問に対することがございましたらば、関係部局長、あるいは教育長のほうからお答え申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 東日本大震災の瓦れき処理の受け入れに当たっての、八千ベクレルの基準についての再質問についてお答えいたします。
     災害廃棄物に限らず一般廃棄物を焼却するときに、この灰の濃度と受け入れのときのごみの関係について申し上げますと、廃棄物を燃やした場合に主灰と飛灰というものに分かれますけれども、主灰につきましては燃した場合には約十分の一になりますので、放射性の濃度がある場合には灰になったときには十倍になるということでございます。それで飛灰につきましてはこれが三十三分の一になると。飛灰というのは煙突の先にバグフィルターというものをつけておりまして、そこに付着する軽い灰を飛灰というふうに呼んでおりますが、これについては濃度は燃したときに三十三倍になるということがございまして、その最高に上がった飛灰のことについて八千ベクレルというのが最終処分場で処理する場合の基準になっております。
     そこで、今回の大槌、山田両町の災害廃棄物につきましては、山田については七月の調査時点では燃す前の段階でありますが四十六ベクレル、それから大槌につきましては八十ベクレルということでありまして、これを飛灰の場合で三十三倍にしたとしても八千ベクレルの三分の一程度ということで、放射能の濃度はそのように見込まれるところでございます。
     それで、独自に基準を設けるかどうかということにつきましては、この受け入れに当たっての放射能濃度というのが一つの目安になりますので、人の健康に対するリスクが無視できるというクリアランスレベルであります一キログラム当たりの百ベクレルというものがございますので、これを受け入れに当たっての一つの目安として考えております。以上であります。

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