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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

宮沢 正美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/27/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 (1) マニフェストの評価に対する知事の所感  
 (2) ふじのくにの実像  
 (3) 沿岸地域を含めた本県の均衡ある発展に対する知事の考え  
 (4) 教育行政に対する姿勢  
2 平成二十五年度当初予算編成について  
3 地域外交の成果について  
4 被虐待児への対応について  
5 雇用創造アクションプランの推進について  
6 茶業の再生に向けた取り組みについて  
7 新たな産業分野の育成について  
8 第四次地震被害想定への対応について  
 (1) 想定結果の県民への伝え方  
 (2) 津波対策の進め方  
9 強い県土づくりに向けた取り組みについて  
 (1) インフラの老朽化対策  
 (2) 農業農村整備の推進  
10 富士山静岡空港について  
 (1) 空港の運営体制  
 (2) 利活用の促進  
11 教育行政のあり方検討会中間まとめへの対応について  
12 平成二十五年の警察運営の重点について


○議長(小楠和男君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十四番 宮沢正美君。
       (四十四番 宮沢正美君登壇 拍手)
○四十四番(宮沢正美君) おはようございます。
 私は自民改革会議を代表し来年度に向けた県政の諸課題について、知事及び関係部局長、教育長、警察本部長に通告に従い質問をいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、マニフェストの評価に対する知事の所感であります。
 私たち自民改革会議は昨年来、知事が平成二十一年六月に公表した平太がやるという表題のついたマニフェストの実績について検証作業を進めてまいりましたが、このほどその結果を公表いたしました。
 評価作業に当たっては、知事が就任当初から一貫して発言をしてこられた四年かかってもできないものは八年かかってもできないという言葉をまず評価の根幹に置きました。そして知事はマニフェストで県民に約束した全ての政策を任期中に責任を持って実現をさせるべきものであるとの見地から、五段階の評価基準を策定し検証を進めてまいりました。
 知事は、平成二十二年四月、みずからのマニフェストの進捗状況について九五%が提言どおり実施または提言に沿って進行中という評価をしております。しかし今回の私たちの五段階の検証結果ではその平均点は二・〇二点、言いかえれば進捗率四〇・四%であり、とても九五%が提言どおりなどとした知事御自身の評価とはかけ離れたものとなりました。
 私たちは、百二項目にわたり一項目ごと検証作業をいたしましたが、事業進捗が見られないということで最低の評価一、これは未着手及びいまだ計画段階にあるものということでありますが、つけた項目が四十九項目、全体の四八%を占める結果でありました。ふじのくにづくりと銘打ち進められてきた川勝県政の四年の真の実績は、私たちの評価どおりであると認識をしております。政治家には常に結果責任が求められます。知事は、自身が行った評価と今回の私たちの評価を比べどのような所感を持たれているのか、また今マニフェストを評価するならば御自身の評価はどうなのか伺います。
 また、四年でできないことは八年たってもできないという就任直後の御自身の発言は知事も御記憶にあると思います。その発言とこの検証結果から、知事は六月の知事選に向けてどのような態度で臨むか伺います。
 次に、ふじのくにの実像についてであります。
 知事は、就任以来我が静岡県をふじのくにと称し、日本一の富士山をシンボルとしてポスト東京時代の地域自立の新モデルとなる地域づくりに取り組むと述べてこられました。総合計画をふじのくにづくりと称して、さまざまな事業から組織までふじのくにを冠してきたのであります。
 また、新東名高速道路開通後は高規格幹線道路を東・西・南・北・中の食の都大路と呼び、最近ではふじのくにの都づくりと称して食、茶、花、水、太陽、もりの六つの都を提唱され、これからは静岡県を都にすると言われています。静岡県がいにしえより東海道を代表する街道文化により県土が結ばれ発展をしてきたことを踏まえますと、この都大路という言葉はいささかなじみにくいものがあると感じます。こうしたさまざまな美辞麗句が乱発されますと、実際何の目的でどんな政策を実現したいのか県民にはわかりにくいものとなっているのではないでしょうか。
 知事就任後の本県の指標を見ますと、人口は平成二十二年度国勢調査から三万二千人減の三百七十三万二千人、有効求人倍率はリーマンショック以降全国平均を下回るトレンドが続いています。安倍新政権の経済政策により円安、株高が進み強い日本経済再生に向けた政策が始動し一息ついた感はありますが、残念ながら我が県勢の相対的な劣勢基調は解消されていません。
 知事は、夢物語のような言葉を並べ立てるよりも、地に足をつけ経済、雇用、医療・福祉など県民に身近で地道な政策を丁寧に説明し実施をする姿勢が必要ではないでしょうか。知事が称するふじのくにの実像は蜃気楼のようなものではないかと危惧してやみませんが、知事の所見を伺います。
 次に、沿岸地域を含めた本県の均衡ある発展に対する知事の考え方についてであります。
 去る十五日に、国から内陸のフロンティアを拓く取り組みに関する総合特区の指定がありました。しかしながらこの指定に当たっては、沿岸部の空洞化に留意するなどの保留条件がついたと聞いております。本構想では、特に沿岸部における具体的な取り組みについては都市部のリノベーションとして構想に施策を掲げ、防災・減災対策を最優先で進めるとのことであります。
 本県の防災・減災対策はこれまで多くの方々の努力によって積み上げてきたものであり、取り組みを進めることには異論はありません。ただその対策の先に将来どのような地域づくりを目指しているのかを県民や県内企業の方々に丁寧に説明をしていく必要があります。私は、今までもそうであったようにこれからも本県の将来は沿岸地域の活性化にかかっており、沿岸地域を含め本県全体で均衡ある発展をしていかなければならないと考えます。
 そこで県は、都市部のリノベーションという戦略の中で沿岸部にどのような地域づくりを進めていこうと考えているのか伺います。
 また、内陸のフロンティアを拓く取り組みという名称は内陸部における新しい地域づくりのための取り組みであるという印象を与え、沿岸部の地域づくりもあわせて行っていくという方向性が見えにくくなっています。
 そこで、名称については、内陸部のみならず沿岸部も含めた本県全体の均衡ある発展を目指す取り組みであることがわかるようにしたらいかがかと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、教育行政に対する姿勢についてであります。
 知事は、年明け以降、教育委員会事務局にいる指導主事などの教員を学校現場に帰すとたびたび主張しています。学校現場の教員が大切なのと同様に、教育行政にかかわる指導主事もいじめや体罰などの困難な課題の中、大切な役割を担っています。指導主事を減らすことのデメリットもあわせて慎重に検討すべきと考えますが、それもないまま知事がこのような教育行政の重要な方針に口を挟むことに大変違和感を覚えます。
 現行教育委員会制度では、教育の政治的中立性や継続性、安定性の確保のため首長からの独立が担保されています。知事は委員の任命や予算の編成などで関与をするという仕組みであります。この制度を尊重するなら、みずからが設置されたあり方検討会の検討結果を尊重しその具現化は教育委員会に任せ、教育委員会と連携をしながら進めるべきであると思います。
 大阪市の橋下市長は、市立高校での体罰問題に関し予算執行権を盾にとり、教育委員会に対し体育科の募集停止や人事異動を迫りました。知事はこうした手法をどう思われるのか。私は、教育委員会の独立性を尊重しながら教育委員会と連携をして教育改革を進めるべきであると考えますが、知事の教育行政に対する姿勢について伺います。
 次に、平成二十五年度当初予算編成について伺います。
 我が国の経済が、円高・デフレ不況が長引き国内総生産も伸び悩む中、本県経済も海外経済の不透明感も相まって疲弊の度合いが増し、また雇用情勢も厳しく依然景気回復の気配は感じられません。このような中、安倍内閣においては「経済を、取り戻す」をキャッチコピーに経済の立て直しに着手をいたしました。
 その第一弾として、日本経済再生に向けた緊急経済対策として縮小均衡の分配政策から成長による富の創出への転換を図るべく大型の補正予算を編成し、本県においてもそれに呼応してさきの臨時議会において議論をし早期の事業着手を可能にしたところであります。
 また、策定された地方財政計画では、厳しい財政状況下に置かれても地域から経済成長を促しそして地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、一般財源総額は平成二十四年度とほぼ同水準が確保されました。
 我が会派では、昨年十二月川勝知事に対し徹底した歳出のスリム化に取り組み限られた財源を最大限に活用する重要性、そして真に県民が必要とする地に足をつけた政策を行うことの重要性について申し上げ、予算編成に対しては南海トラフ巨大地震への対応や経済産業・雇用対策の強化、充実など七つの重点分野に対応されるようお願いをしたところであります。これらの要望を知事はどのように予算に反映されたのかお伺いをいたします。
 次に、地域外交の成果についてであります。
 知事は、平成二十一年の就任以来地域外交と銘打ち、県政の主要施策の一つとして海外の自治体との交流を積極的に推進をされているところであります。本県の海外との交流としては、中国浙江省との間でこれまで三十年に及ぶ友好関係を通じ信頼関係を深めてまいりました。その後川勝県政となって以降、平成二十三年七月にはモンゴル・ドルノゴビ県と友好協定を締結、同年十月には韓国忠清南道と友好交流協力に関する覚書を交わし、今後の本協定締結に向けて準備を進めていると伺っております。
 こうした友好提携先との交流に加え、昨年八月には米国ハワイ州で行われた日米カウンシル知事会議に参加されるなど諸外国との交流に精力的に取り組まれています。このように知事は中国、韓国、モンゴル、さらにはアメリカなど交流の対象を広げていますが、どのような考えのもとに地域外交施策を推進し具体的にどのような成果があらわれているのかをお伺いいたします。
 現在進めている韓国忠清南道との交流については、包括的な友好協定を結ぶものと聞いており、これはさきの十二月定例会において成立をした静岡県と外国の地方公共団体との友好交流に関する条例に基づく議決事項に当たると思われます。本県と忠清南道は歴史的にも長い縁を有する地域であり、行政間にとどまらず民間分野においてもさまざまな交流の可能性が考えられますが、今後どのような成果を見込んで協定を結ばれるのかお伺いをいたします。
 次に、被虐待児への対応について伺います。
 児童虐待防止法の施行後十年余がたち取り組みも進んでおりますが、相談件数は年々増加している傾向にあり、虐待を受けた子供への支援の必要性はますます大きくなっております。虐待を受けた子供の中にはその影響で心理的な不調を来している子供や発達障害が疑われる子供も多く、支援の難しさがますます問題となっております。
 本県においても、県内唯一の情緒障害児短期治療施設である吉原林間学園だけではなく、児童養護施設にも対応が難しく専門的な支援を必要としている多くの被虐待児等が入所しているのが現状であります。また平成二十年二月に国で行った調査でも、児童養護施設に入所している児童のうち半数以上は虐待を受けている結果となっております。
 虐待を受けた子供は、攻撃的であったり集団行動がうまくとれなかったり自己肯定感が低かったりして、日常生活においてさまざまな支障が生じる場合があると言われております。このように被虐待児など対応が難しい児童の入所が増加している現状では、養育に当たる施設職員の負担は高まっております。
 平成二十三年七月、国の社会保障審議会が取りまとめた「社会的養護の課題と将来像」の中で、児童養護施設の養育に当たる職員の配置基準を、小学生以上では現状五・五人に職員一人の配置を四人に一人の配置に将来引き上げることを示しております。しかしその具体的な時期は明確でなく、このままでは子供たちを支えることが困難となります。
 私は、全ての子供たちが安全に安心して健やかに成長していける社会の実現が何よりも重要であり、子供の権利擁護や最善の利益につながるものと思います。このため最も重大な権利侵害である虐待を受けた子供たちに対しては、今後の安全・安心を保障し傷ついた心をケアする環境を提供していくことが重要であると考えます。
 そこで、今後施設で生活する多くの被虐待児に対してどのように対応していくのか、県の所見をお伺いします。
 次に、雇用創造アクションプランの推進についてであります。
 雇用の確保は、定住・交流人口の増減に直接影響を及ぼすことから県勢の維持発展の根幹にかかわる重要施策であります。リーマンショック以降世界的に景気が低迷し、また政権交代まで続いた超円高により関連産業の裾野が広い輸送用機器などの本県基幹産業が多大な影響を受け、こうした厳しい環境の中、今日までさまざまな業種の工場や店舗が県外へ移転したり閉鎖を余儀なくされています。このような影響もありリーマンショック以降本県の有効求人倍率は全国平均を下回る状況が常態化しており、雇用の創出は喫緊の課題となっております。
 本県では、雇用創造アクションプランを策定し、民間や各種団体を巻き込みながら完全失業率をリーマンショック前の水準まで減らし、雇用の量と質の確保を図る施策を展開していると承知をしております。
 最近の県内の完全失業者数は、昨年七月から九月までの平均で六万五千人となり、プラン策定時の平成二十二年の八万二千人から一万七千人改善していると伺っております。これは県の取り組みか景気回復の影響かわかりませんが、三万人の雇用創造に向けて正念場はここからだと考えます。
 そこで、雇用創造アクションプランにおいて、これまでの県の取り組み実績を踏まえプランの最終年度である平成二十五年度に向けてどのように取り組んでいくか伺います。
 次に、茶業の再生に向けた取り組みについて伺います。
 本県茶業は、平成二十二年の大凍霜害そして一昨年の東日本大震災に伴う風評被害と試練の年を繰り返してきました。この間、生産者は厳しい環境に置かれ、静岡茶の安全・安心を確保するためにさまざまな技術対策や茶商や消費者への説明など、これまで経験したことのない苦労をしています。
 県内の産地に目を向ければ、本県の茶産地の象徴と言うべき多彩な味や香りのお茶を長期にわたって産出してきた中山間地域では、今担い手の高齢化など地域茶業をいかに維持していくかが喫緊の課題となっております。また平野部においても、茶の収穫時期が遅い地域やブランド化への取り組みが弱い産地では価格が安く、茶農家は厳しい経営を強いられています。
 一方、流通や消費の動向を見ると、長引く景気低迷に伴う消費の減退に加え消費者の購入先が専門店からスーパーマーケットやコンビニに移るなど、消費・流通構造の変化が急速に進み静岡茶の重要なマーケットである高級茶の需要は減少傾向にあります。
 このような状況の中、県と関係団体は、ここ数年県内外で静岡茶の消費回復に真摯に取り組んできました。今後の茶業の方向を見据えたとき、これまでのように良質のお茶を生産するだけで高く売れるという状況を期待するのは難しく、また地域の茶業を維持発展をさせていくためには茶園管理や茶生産を個々の農家だけに任せるのには限界があります。
 今一番必要なのは、生産体制の強化をするため県、市町、JAを初めとした関係団体が連携をし、腰を据えて茶農家と向き合い、どのようにしたらこの困難な状況を克服し生き残れるかを議論し、足腰の強い茶業経営の戦略、戦術を再構築することが重要であると考えます。県は来年度静岡の茶業再生のためどのような取り組みを行うのか、所見を伺います。
 次に、新たな産業分野の育成についてであります。
 昨年十二月に発足した安倍内閣は、日本経済の再生を強力に推し進める姿勢を示し、雇用、エネルギー・環境、医療・健康の三つを重点分野と位置づけ、規制改革や技術開発などに積極的に取り組み世界で勝ち抜く成長産業を戦略的に育成する方針を表明したところであります。このような対策を矢継ぎ早に発表したことにより、景気回復への期待を先取りする形で株価が回復し始めるなど長らく停滞をしていた我が国経済に改善の兆しが見え始めております。
 本県におきましても、みずからの経営資源を活用し今後成長が見込まれる産業分野に果敢にチャレンジしようとする地域企業が数多く出てきていると感じております。こうした企業のチャレンジを本県の新たな産業として根づかせ、本県経済のさらなる発展や雇用の拡大につなげていくことが大変重要であります。
 県においては、これまでにもファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトを静岡新産業集積クラスターとして一体的に推進し、新たな成長産業への参入や新事業の創出などを目指す地域企業を支援をしてきました。
 さらに、これに加えて平成二十一年度からは、環境、医療・福祉機器を初めロボット、航空宇宙、光技術などの新たな成長分野への地域企業の参入を支援していると承知をしております。県内経済を活性化させ兆しが見え始めてきた景気回復をさらに確かなものにするには、こうした支援を強化拡充し地域企業の積極的な参入を促すことが重要であります。さらに既に参入を始め成果が出つつある企業に対しては、製品化や販路開拓などの事業化に向けた支援に今まで以上に取り組む必要があると考えます。
 そこで県は、県内産業の将来を見据え、新たな産業分野の育成について今後どのような戦略を持って取り組んでいくのか、また具体的にどのような施策を進めていくのか伺います。
 次に、第四次地震被害想定への対応についてのうち、想定結果の県民への伝え方について伺います。
 昨年八月末、内閣府から南海トラフ巨大地震の震度分布、津波高、浸水域の試算が示され、人的被害として最悪の場合全国で三十四万六千人の死者のうち本県で十一万四千三百人が犠牲になるという試算が公表されました。
 本県の沿岸地域では、三陸沿岸に比べ津波の到達時間がはるかに短い中で、平均四メートルから十五メートルの津波が押し寄せるという恐ろしいものでありました。内閣府の想定では、東日本大震災のような想定外は許されないとの基本的な考えから最新の科学的知見に基づき最大級の地震・津波を想定したものですが、その後の新聞、テレビの論調を見ても内閣府の想定は結果として避難を諦めるしかないと思わせてしまうなど、国民に対して情報がうまく伝わらなかったのではないかと言われております。
 こうした中、本県では昨年から第四次地震被害想定に取り組んでおり、今月十三日に中間報告を公表いたしました。今回の中間報告では津波高、被害・対策シナリオ想定の骨子、地震・津波対策のアクションプログラム二〇一三の骨子のみでありました。津波高につきましては、駿河トラフ・南海トラフ側のレベルワンの津波は安政東海地震の津波痕跡とほぼ一致しているということで、歴史的に見て現実に起こり得る津波高が示され、少し救われたような気がいたしました。
 市町においては、今後浸水域等の想定が出ることにより、みずからの防災計画の見直しや防災・減災対策に本格的に取り組めることとなるため、県の第四次地震被害想定に対する期待は大きなものがあります。
 そこで、六月ころ予定されている最終的な公表時には、これらの想定結果をどのように県民に対して伝えるよう工夫されているのか伺います。
 次に、津波対策の進め方について伺います。
 県では、昭和五十一年の東海地震説の発表以降、県の最重要施策として津波対策を進めてきております。これまでに三十年以上の年月と巨額の費用を投じ、対策が必要な海岸線の約九割、同じく対策が必要な河川の約半分について整備を完了しておりますが、いまだ第三次地震被害想定に対応した津波対策を必要としている地域もあります。また本年六月には第四次地震被害想定の公表とあわせて新たな地震・津波対策アクションプログラムを策定し、本格的な津波対策施設の整備に着手すると聞いておりますが、これらの施設整備には膨大な時間と費用を要すると想定されます。十二月議会において、知事から県内全域を対象に被害想定の状況を勘案し地域の合意形成が整った箇所から順次事業を実施するとの答弁がありました。
 一方、浜松市沿岸地域については、防潮堤整備に係る多額の寄附を財源とした事業の予算化により施設整備に向けて着々と進展をしております。二月十三日には第四次地震被害想定の中間報告として駿河トラフ・南海トラフ側の津波高等が公表され、津波に対する県民の不安がますます大きくなっております。
 そこで、津波に対する県民の心配を少しでも払拭するために県内全域の津波対策を今後どのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 次に、強い県土づくりに向けた取り組みについてのうち、インフラの老朽化対策について伺います。
 社会資本ストックは高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することに対する懸念がここ数年高まっています。昨年十二月には中央高速道路笹子トンネルで九名の方が亡くなられ二名の方が負傷されるという大惨事の事故が発生し、老朽化した公共施設の安全性に大きな不安を抱かせることになりました。
 このような状況の中で、政府は日本経済再生に向けた緊急経済対策でも、事前防災・減災のための国土強靱化の推進のためのインフラ老朽化対策として、社会インフラの総点検を速やかに実施し緊急的な補修など必要な対策を講ずることや今後の老朽化に備えた社会資本の計画的かつ戦略的な維持管理、更新を推進することが盛り込まれました。
 静岡県でも、高度経済成長期に集中整備された社会資本が数多くあり、近い将来に更新時期を迎え施設の維持更新に大きな費用が必要となってくることが予想されます。このため静岡県では、平成十五年度に策定した土木施設長寿命化行動指針に基づき土木施設の長寿命化に取り組んでいると聞いております。
 今回の笹子トンネルの天井崩落事故や緊急経済対策などの動きに対して、道路等のインフラに対する長寿命化の取り組みをさらに推進をしていくことが必要であると考えますが、今後どのように進めていくのか伺います。
 次に、農業農村整備の推進についてであります。
 我が国では、これまで経済性を重視し過度の効率性を追求してきた結果、都市機能の一極集中と国土の脆弱化が助長され、これによって生じた地方の疲弊が日本経済の活力を低下させる要因となっていると認識をしています。また地域経済の成長に大きく貢献することが期待される農村は今、農産物価格の低迷等を背景として高齢化や後継者不足等による離農が進み、地域農業の衰退や農村コミュニティーの疲弊に大変苦しんでいるのが現状であります。
 こうした農村の活性化には地域産業の柱となる農業の再生が不可欠であり、新たな後継者の営農意欲を高め農地が持つ潜在力を最大限に引き出すことができる力強い生産基盤を整備することが何より重要だと考えております。また農村に暮らす人や、そこを訪れる都市住民が安全に安心して過ごすことのできる県土を築くことが大切であり、農村の魅力ある多様な資源を次世代に継承していくためには農村コミュニティーの存在も決して欠くことはできません。
 国では、攻めの農林水産業の展開に向けた第一歩として高付加価値化等を進める現場の前向きな取り組みを推進し、国土強靱化と農業競争力強化の観点から今年度の大規模な補正予算を初め必要となる農業基盤の充実強化に積極的に取り組むとしております。
 そこで、こうした国の動きを踏まえ県としても農業・農村の将来を見据えた基盤づくりに向けて積極果敢な施策を展開していくことが求められますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、富士山静岡空港のうち、空港の運営体制についてであります。
 開港から四年目を迎えた富士山静岡空港の利用状況は、東日本大震災や国際情勢の影響等もあり厳しい状況が続いております。しかし本年三月末からの台北線の増便やANAの機材大型化等明るい話題も出てきており、国内外の航空需要を取り込むことで静岡県の観光や産業などのポテンシャルを最大限生かし本県の発展につなげる取り組みが強く求められるところでもあります。富士山静岡空港が勝ち残っていくためには、確固たる経営体制を築くことが喫緊の課題であると考えるところでもあります。
 こうした状況を踏まえ、県では先導的空港経営検討会議を設置し、平成二十六年度以降の新たな経営体制等を検討していると承知をしています。先月の第四回会議においては、平成二十五年度に県が取り組むべき事項について中間取りまとめが行われ、空港ビルの県有化やそれに伴う空港機能の強化等が提言されたと聞いております。
 そこで、中間取りまとめや答申を踏まえ今後県としてどのように空港運営体制の構築に取り組んでいくのか伺います。
 次に、利活用の促進についてであります。
 去る一月二十九日、チャイナエアライン日本支社長が川勝知事を訪問し、同社が運航する静岡―台北線を一往復増便して週四便とすることについて報告がありました。
 富士山静岡空港は、開港初年度の平成二十一年度に約五十二万八千人、翌二十二年度には約五十五万五千人の利用がありました。平成二十三年の東日本大震災や原発事故、平成二十四年夏以降の領土問題の影響による利用者の減少等に見舞われながらも、エアポートセールスや利用促進のさまざまな取り組みにより新規路線の開設が実現をしております。
 旅客輸送と並ぶ航空貨物については、小型機のベリー部を利用した輸送という制約を受けながらも国内線に加え国際線による輸送が増加をしております。
 一方、県では、現在の総合計画において平成二十五年度の利用者数七十万人を目標としており、この目標に向けてさらなる利用拡大が必要となります。旅客については、ターゲットを定めた需要の拡大やチャーター便の運航促進、航空貨物については戦略的、モデル的な利用促進など静岡空港のさらなる利用拡大に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、教育行政のあり方検討会の中間まとめへの対応について伺います。
 教育行政のあり方検討会は、昨年六月から十二月まで三回の議論を経て先月に中間まとめが公表されたところであります。来月には第四回の検討会が予定され最終的な意見書が提出されると伺っております。
 中間まとめでは、教育委員会の委員が重い職責を果たすために主体的かつ能動的な活動が求められ、事務局は教育委員会の活動に必要な環境を整える必要があるとされています。このほか市町教育委員会の主体的な取り組みへの支援、マネジメント力の向上を目的とした事務局組織体制の見直し、教員の事務局配置のあり方、また県立学校においては学校経営計画をより実効性の高いものとするための見直しなど、やや具体性に欠けるもののさまざまな視点から意見が出されております。
 昨年十二月議会定例会では、教育長から、あり方検討会の最終的な意見書を待つことなく、開催された検討会の意見を踏まえ速やかに対応していくという前向きな姿勢について評価しているところでありますが、今後も静岡県の教育行政がさらに推進をしていくことを期待しているところであります。
 そこで、一月に公表された中間まとめに出された改善案について教育委員会はどのように対応していくのか、教育長の考えをお伺いいたします。
 次に、平成二十五年の警察運営の重点についてであります。
 県内の治安情勢は、刑法犯認知件数が平成十五年から十年連続で減少し、昨年は三万二千三百九十六件と前年比で約三千五百件の大幅な減少となりました。また交通事故でも発生件数、死者数ともに前年を大幅に下回り、特に死者数については四年連続で減少し昭和二十八年以降最少の百五十五人にまで抑え込まれました。これは、県内の治安情勢がまさに危機的水準にあった平成十四年を境に、犯罪の増加傾向に早急に歯どめをかけるため取り組んできた治安再生プログラム等の緊急的な治安対策のほか、平成二十二年から四カ年計画で行いことしが最終年となる安全・安心推進プログラムを県警が一丸となって着実に推進してきた結果であると思います。
 しかし、県内では、ことしに入ってコンビニ店を狙った強盗事件が静岡や浜松、裾野等で相次いで発生をしたほか、高齢者を狙った悪質な振り込め詐欺も後を絶たず多額の現金がおどし取られている状況が続いています。また高齢者が関連する交通事故も依然として多い状況にあります。
 さらに、暴力団対策のほか本県では東海地震や南海トラフを震源とする巨大地震の発生が危惧をされていることから、大規模災害を想定した危機管理体制に万全を期す必要があるなど課題は山積をしております。警察を取り巻く環境は非常に厳しい状況でありますが、繁田本部長にはことしも県内の社会基盤を治安の面から支えるトップリーダーとして県警の陣頭指揮に当たっていただき、安全で安心して暮らせる静岡県の実現に向け尽力していただくことを期待します。
 そこで、県警はことし一年警察運営の重点をどのように定め取り組んでいくのか、本部長の所見をお伺いいたします。以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(小楠和男君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 宮沢議員にお答えいたします。
 初めに、私の政治姿勢についてのうち、マニフェストの評価に対する所感についてであります。
 自民改革会議の皆様におかれましては、私のマニフェストの実績につきまして内部で検証作業をしてくださり、その評価結果を二十二日に御報告いただきました。大変厳しい結果であると真摯に受けとめたところでございます。
 行政評価の目的は、さまざまな視点、特に第三者からいただくことが望ましいと存じます。それは客観性を担保するためであります。こうした評価を受けましてそれを施策に反映しよりよい行政としていくことが行政評価の目的であると考えております。このたび県議会の会派の方々からそれぞれの視点による評価をしていただいておりますことは、今後の県政の執行に大変有意義な意見をいただいたと感謝しているところでございます。
 マニフェストに対する私自身の評価でございますが、私は評価をしたことはありません。プレーヤーが審判になると偏見が生じるということでございまして、知事候補者として私が立てましたマニフェストの進捗状況は、当時総合計画室が独自に調査をして九五%が「実施」、「進行中」という報告をされたものでございます。
 現在のマニフェストというのは、総合計画がそれに当たります。そこに実施中あるいは進行中のものは全て落とし込まれております。この総合計画というのは県内各界各層の有識者から成る総合計画審議会の政策提言、県民の皆様の御意見、そして県議会からの御提言を踏まえて策定されました。それゆえに県民の県民による県民のためのマニフェストであると言うことができます。
 この県民のマニフェストの評価といたしましては、マニフェスト大賞実行委員会におきまして、日本各地のどの自治体の業績にも増して想定よりも早く政策が実現できていることなどが評価されまして最優秀賞を頂戴いたしました。
 また、“ふじのくに”づくり白書、これは二度お出し申し上げましたけれどもこれも評価でございます。第三者評価、言うまでもありませんけれども議会での御審議を経まして先ごろ二度目のものを公表いたしました。この第二度目の“ふじのくに”づくり白書におきましては、基本計画に工程表として掲げられた三百六十七の主な取り組みのうち三百六十の取り組みが順調に推移しているなど、計画全体としておおむね着実に推進が図られているという評価結果となっております。
 評価が高くなりますと、えてしててんぐになりがちです。それは戒めねばなりません。評価が極めて低い場合には落ち込むこともあり得ますが、しかしながら大切なことは、プレーヤーとして真摯にそのプレーに取り組むということであるというふうに考えております。
 六月の知事選についてでございますが、私が県民の皆様から与えられた任期は制度的にも四年でございます。総合計画に掲げられた施策につきましては前倒しで取り組むという気持ちにいささかも変わりはありません。今後につきましては、県民の皆様の御評価、どのような立派な方が県政を担おうとされるのか、県民のために汗をかいてもらえるのか、そうしたことに応じましておのずと決まっていくと考えております。
 残り四カ月でございますが、各会派の皆様から頂戴いたしました評価や御指摘を最大限に県政運営に取り入れまして、県民幸福度の最大化を目指し富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現に力を尽くしてまいります。
 次に、ふじのくにの実像についてであります。
 私は、知事に就任して以来みずから現場に赴き、現場で人々とともに語り、またそこで学び、現場に即した政策を立てるという現場主義を貫いてまいりました。現場に赴いた数は優に千回を超えております。前倒しをモットーにいたしまして、スピード感を重視して県政運営に取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘のとおり、本県には克服しなければならない課題が山積しています。少子化の進展による人口減少、昨年末まで続いた超円高等により大きな影響を受けた本県経済の立て直し、南海トラフの巨大地震の被害想定を踏まえた危機管理体制の強化など、こうした現実につきましては危機感を持って受けとめておりまして対策を強化しているところでございます。
 具体例を挙げますと、安心して子供を産み育てられる環境づくりのために子供の医療費の助成対象を拡大しました。また保育所や認定こども園の整備による保育サービスの量的拡大などをしてまいりました。また新しい産業の創出におきましては、県東部地域を中心に進めておりますいわゆるファルマバレープロジェクトによりまして、医療・健康分野への地域企業の参入が着実に増加しておりまして、医療機器の出荷額もふえ全国トップになっています。さらに東日本大震災の復興モデルを目指した内陸のフロンティアを拓く取り組み、これは先ごろ総合特区に指定されたところでございます。
 本県は、富士山を擁しておりますために他の日本の地域の人々の憧れを集めてまいりました。それのみならず本県の持つ豊かな自然や多様な地域資源には、日本一の食材数があります食材、また生産量、生産額ともにトップのお茶、また日本で一番長い日照時間、そして恐らくトップと思われます花の品目数また品種というものがございます。これらを生かして地域の魅力を高めて国内外に発信していきたいと考えております。それが、これは党派を問わずポスト東京時代を開く地域分権、地域自立ということが今の日本の課題であると存じますけれども、新しい日本のいわばモデルづくりとしてのふじのくにの都ぶりを発揮してまいりたいと考えております。
 今後とも、現場主義を貫き県民の皆様の声に謙虚に耳を傾けて、刻々と変化する社会経済情勢にも目を配りながら、この地に生きるどなたもが安全で安心して豊かな暮らしを送ることができるように全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、沿岸地域を含めた本県の均衡ある発展に対する私の考えについてです。
 本県の沿岸地域では、これまで多彩な産業活動が展開されてまいりました。県内経済のみならず日本の経済成長に大きく寄与してまいったと認識しております。東日本大震災による津波災害を目の当たりにいたしましてこうした沿岸地域に対しましては危機感が募っている中、南海トラフ巨大地震の発生も懸念されるようになり津波災害に対する不安が急速に高まっております。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、こうした状況を踏まえて提示されたものでございまして、これは大きくは三つから成ります。一つは内陸部の活用であります。二つは沿岸部の刷新であります。三つはそれらを結ぶ地域連携軸の形成であります。これらを通じまして地域全体の活性化を図り、県全体で均衡ある県土の発展を目指すというのが内陸のフロンティア構想でございます。
 特に最優先で取り組むのは防災・減災対策であります。沿岸部に対しましては防潮堤の整備、水門の設置、河川・海岸・港湾・漁港における対策、公共建築物や木造住宅等の耐震化、津波避難タワー、命山、避難路等計画的に整備していかねばなりません。こうした方策を前倒しで進めることを通して地震・津波対策を推進しているのが現状でございます。
 その上で、想定される被害を可能な限り軽減する観点で企業や住民等の避難地や移転先となる受け皿の確保を支援してまいりますけれども、受け皿の確保や移転跡地の活用等につきましては、沿岸部の空洞化に留意いたしまして可能な限り域内における企業活動や住民生活の維持発展が図れますように、関係市町や民間企業とともに知恵を出し合って進めてまいります。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みの名称につきましては、ふじのくに防災減災・地域成長モデルという副題がつけ加えられております。沿岸部を含めた県内全域における安全・安心な地域づくりと地域資源を生かした魅力ある地域づくり、これを目指す取り組みとして御理解いただけるようにお願いを申し上げ、そうした形での我々も配慮を十分に尽くしてまいりたいと存じます。
 次に、教育行政に対する姿勢であります。
 政治的中立性の確保を初めとする教育委員会制度の意義や独立の執行機関としての教育委員会の性格は、私も十分に承知しております。教育内容や教育方法に関して政治がいたずらに介入するものではありません。教育行政のあり方検討会におきましても、教育の内容や方法論ではありませんで教育行政にかかわる組織のあり方に絞って御議論をいただいているところです。
 こうした中、先月教育行政のあり方検討会の中間まとめが公表されました。三月中をめどに最終の意見書が御提出いただける予定です。これらに示される改善意見のうち具体化すべきものにつきましては、教育委員会の主体性を尊重した上で連携を深めながら進めることは言うまでもありません。私としましても県行政全体を預かる者として時にはしかし厳しい態度で臨んでまいります。
 改善意見の具体化に当たりましては、県庁内の知恵を総動員して対応することが必要であると考えています。来年度に向けまして教育委員会と知事部局の合同のプロジェクトチームを立ち上げることを検討しております。教育委員会と連携を密にしながら本県教育行政の改善に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、平成二十五年度当初予算編成についてであります。
 平成二十五年度当初予算は、自民改革会議の御意見を真摯に正面から受けとめまして七つの要望事項も踏まえ、総合計画の基本計画の最終年度を迎えておりますのでその総仕上げとなる予算編成を行いました。
 御要望事項の一つ目の南海トラフ巨大地震への対応につきましては、県内全域におきまして堤防や水門の整備のほか水門等への避難用階段の設置を進めてまいります。また市町が行う津波対策を強化するため、大規模地震対策等総合支援事業費の津波関連事業の補助限度額の撤廃を平成二十七年度まで延長いたします。さらに内陸のフロンティアを拓く取り組みを進めまして、東日本大震災の復興モデルとなる災害に強い静岡県地域づくりを進めてまいります。
 二つ目の経済産業・雇用対策の強化、充実につきましては、まず雇用対策としまして新卒者から若者、中高年者、子育て女性までの幅広い求職者に対し、実効性の高い就職支援を行うため、しずおかジョブステーションを県内三カ所に設置いたします。また中小企業の経営改善に向けた取り組みを強化するため、専門家派遣の拡充や経営革新に必要な資金調達の支援を行ってまいります。
 三つ目の医療・介護・福祉の充実につきましては、待機児童の解消に向けまして保育所等の施設整備や保育士の確保支援などを行ってまいります。特に待機児童ゼロを目指しておりまして、現在二十一の市町におきましてゼロでございます。浜松と静岡の政令市を除きまして残り十二の待機児童ゼロを目指すということで、工程表をつくり上げながらこれに取り組んでまいります。また発達障害児・者への相談体制の強化を図るためコーディネーターを増員いたしました。
 四つ目の教育・人づくりの充実につきましては、静岡式三十五人学級編制を小学校三年生に導入しまして、小中学校の全学年で完成が来年度中に見込まれます。このほか特別支援学校の狭隘化を解消するため沼津城北高等学校と焼津水産高等学校内に高等部の分校を四月に開校いたします。
 五つ目の豊かな県民の暮らしの実現につきましては、強靱な県土づくりに向けまして、さきの臨時議会で議決賜りました二月補正予算とあわせ平成二十四年度当初予算額を大きく上回る規模の投資的経費を確保いたしました。この中では、通学路などの安全対策や地域の孤立防止などに向けた交通環境改善緊急対策事業費や、多発する集中豪雨等による被害を未然に防止するための局地豪雨緊急対策事業費を新たに計上いたしております。
 六つ目の分散自立型のエネルギーの構築につきましては、中小企業の新エネルギー設備の導入を支援するため県の制度融資を活用し最大限の利子補給を行ってまいります。また急速充電器の整備に対して支援を行いまして、電気自動車等の普及促進を図ってまいります。
 七つ目の行財政改革の取り組みでは、個人住民税の徴収対策を強化いたしております。また県有施設における自動販売機の設置者の公募化や未利用財産の計画的な売却を図ることを通して、行財政改革大綱に基づく取り組みを推進してまいります。
 これらの取り組みによりまして、将来にわたり、県民が安全・安心で豊かに暮らすことのできるよう真に県民が必要とする施策を着実に推進してまいります。
 次に、新たな産業分野の育成についてであります。
 県におきましては、国内外の経済情勢の変化に対応できる多極的な産業構造の構築を目指しております。本県経済を牽引する輸送機械や電気機械に加えまして、環境、医療・健康など成長の期待される新しい産業分野への地域企業の参入支援に取り組んでいる最中でございます。
 来年度は、こうした取り組みをより一層加速化するために事業規模を倍増させまして当初予算に四億円の新成長産業戦略的育成事業を創設することといたしまして、本議会にお諮りを申し上げております。
 具体的には、競争力を高め将来の成長の種となる技術革新を促すために、新たに次世代自動車分野の担い手養成や航空機部品の品質保証にかかわる認証取得への助成を実施いたします。また産学官連携による新エネルギー研究開発の助成対象を拡大しまして、医療機器分野は言うまでもなく福祉機器分野につきましても試作品開発や事業化に対する助成制度の拡充などをいたしまして、地域企業の要望に十分対応できるよう支援メニューの充実を図ったところでございます。
 販路開拓の面におきましては、国内での展示会への出展支援の拡充や、海外におきましては中国浙江省に加えまして新エネルギー分野に大変高い関心を持たれているアメリカ・ハワイ州への出展支援を実施いたします。また大手自動車メーカー本社で県内企業約六十社が新技術や新製品を提案する展示商談会を新たに開催いたします。そのほか新規参入が特に難しいとされる航空機分野におきましては、重工メーカーOBを活用いたしまして販路開拓に努めるなど今までの研究開発成果を国内外で積極的に売り込んでまいる所存です。
 さらに、県中小企業向け制度融資に成長産業分野支援資金を創設いたしました。それとともに金融機関等との定期的な情報交換会を設置しております。そして産学官金――金融機関の金、産学官金の連携によりまして、民間資金も積極的に活用しながら地域企業が新しい分野での事業化に要する資金を円滑に調達できるよう支援を深めております。
 県としましては、産業支援機関、金融機関などと一体となりまして意欲のある地域企業に対する技術相談から研究・試作品開発、事業化、販路開拓までの一貫した支援に取り組むことで、新しい産業分野の育成を強化してまいります。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、空港の運営体制についてであります。
 富士山静岡空港は重要な社会的資本であります。本県のさらなる発展を支えていく空港としての体制を構築することは、県政の重要な課題であると認識しております。
 このため県では、有識者から成る先導的空港経営検討会議を設置いたしました。そして新しい経営体制のあり方について御議論をいただいております。先月第四回会議が開催されました。そこにおきまして、旅客ターミナルビルの機能向上に向けてまず県がビルの改修・増築にかかわる基本計画の取りまとめを行うこと、第二にビルを県有化すること、第三に富士山静岡空港株式会社のあり方についても検討することなど、このように県の関与を強めることを内容とする中間取りまとめを頂戴いたしました。
 この中間取りまとめや現在の利用状況等を念頭に置きながら、空港の設置管理者である県といたしまして旅客ターミナルビルの今後のあるべき姿につきまして早急に調査をいたしまして具体案を作成します。加えてビルの取得やその後の経営を円滑に進める必要があると考えておりまして、平成二十五年度当初予算におきまして所要の予算を計上したところでございます。
 また、検討会議からの答申が示された折には速やかに県としての取り組み方針を決定いたしますとともに、その実施につきましては県議会にお諮りを申し上げ十分な御議論を賜りながら進めてまいります。
 今後とも、おもてなしの心の行き届いた県民の皆様により親しみを持っていただける使い勝手のよい空港となりますように効率的な投資を行うとともに、全国の地方空港に先駆けた静岡版空港経営体制の構築に向けまして、県民を初め県議会の先生方の御理解をいただきつつ全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(小楠和男君) 出野知事戦略監。
       (知事戦略監 出野 勉君登壇)
○知事戦略監(出野 勉君) 知事の政治姿勢についてのうち、マニフェストの評価に対する所感についてお答えいたします。
 マニフェストに対する県と自民改革会議の評価についてでありますが、県の事務当局では、平成二十二年四月に独自に実施いたしました。この評価では、それぞれの項目の取り組み状況に着眼いたしまして工程表を作成の上、「実施」、「進行中」、「検討中」と評価し、九五%が提言どおり実施または進行中という結果になりました。
 一方、今回自民改革会議からいただきました評価は、マニフェストに記載された項目の実現の度合いを五段階で評価した内容となっております。評価の手法や時点が異なっていることからそれぞれの評価結果につきましては単純に比較はできないものと考えております。
 マニフェストの内容につきましては、知事就任後に発生したさまざまな状況の変化や新たに対処することとした重要な政策課題とあわせ、県民の皆様の御意見や県議会からの御提言などを踏まえて策定いたしました静岡県総合計画であります富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザインに発展的に継承されております。
 次に、雇用創造アクションプランの推進についてであります。
 県では、平成二十三、二十四年度の二年間官民一体となって新たな雇用の創出、雇用のミスマッチ解消などに取り組んだ結果、プラン策定時に比べ完全失業者数や有効求人倍率で改善が見られるなど一定の成果を上げてまいりました。
 しかしながら、一方で輸出型産業の占める割合が高い本県経済は海外経済や円高などの影響を大きく受け、いまだにリーマンショック以前の水準を回復できない厳しい状況が続いております。今後もその動向を注視しつつ、本県産業の特質を踏まえた産業構造の変革も念頭に取り組みを加速させていく必要があると考えております。
 このため、来年度に向けましては雇用の確保を六つの重点施策の一つに位置づけたところであり、雇用の創出では介護・福祉関連施設の整備促進のほか次世代自動車、新エネルギーや医療・健康など、今後の成長が期待される産業の育成に全力で取り組んでまいります。
 また、人材の供給では、介護施設におけるキャリアパス制度の導入を促進し職員の定着率を高め介護職場の魅力向上を図るとともに、現在複数に分かれている就労支援機関を県内三カ所にしずおかジョブステーションとして集約し、雇用のマッチング支援体制の強化も図ってまいります。
 雇用創造アクションプランの最終年度となる来年度も、引き続き三万人の雇用創造の実現に向け産業界、労働界、教育界などあらゆる関係分野との連携協力を深め、全県を挙げた取り組みの一層の推進に努めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 若梅静岡県理事。
       (静岡県理事 若梅真樹君登壇)
○静岡県理事(若梅真樹君) 地域外交の成果についてお答えいたします。
 グローバル化が進展し県民や企業の海外とのかかわりが一段と緊密になる中、海外からの活力の取り込みや国際化に対応できる人材の育成などを通じ、本県が豊かで競争力のある地域として持続的に発展できるよう地域外交施策を展開しているところであります。
 これまでの成果といたしましては、台北路線の新規開設や上海路線の武漢延伸に加え仁川経由によるモンゴル、タイからの観光誘客や浙江省との友好提携三十周年における年間約二千人の往来など、富士山静岡空港を窓口とした交流を拡大してまいりました。
 また、中国、東南アジアへの企業の海外展開支援や「紅ほっぺ」など県産品の販路拡大などにより経済交流が活発化してきているほか、米国ハワイ州との覚書に基づいた同州でのクリーンエネルギー展示会への県内企業の出展調整を進めております。さらに、モンゴル・ドルノゴビ県との高校生交流や技術研修員の受け入れによる両県の将来的な交流を担う人材育成など、観光、経済、教育を初めとするさまざまな分野での交流が進展してきております。
 こうした展開に加えまして、韓国忠清南道につきましては友好協定締結に関する議案を今議会にお諮りしております。ソウル路線を通じた観光誘客や民間団体間のマッチングによる草の根交流の支援、道内大学との意見交換を通じた県内大学との交流促進などにより定期便の利用拡大と民間主体による幅広い交流促進を目指してまいります。
 今後とも、これらの国や地域を中心として、友好的互恵・互助の精神に基づく相互にメリットのある地域外交を展開し、本県の一層の発展に資するよう努めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 被虐待児への対応についてお答えをいたします。
 県では、これまでも児童養護施設等への支援のために一対一で個別に対応する職員や心理療法を担当する職員を配置し、また施設の要望により専門家を派遣するなどの取り組みを行ってまいりました。
 しかしながら、近年被虐待児等の増加に伴い医師や臨床心理士などによる専門的なケアのさらなる充実などよりきめ細やかな養育体制の構築が不可欠となっています。こうしたことから来年度外部の人材や資源を活用して、心理ケアや個別支援、学習指導の充実などを図るための効果的かつ多様な支援方法を研究し今後の被虐待児等への支援に活用するとともに、国に対しましても具体的な政策提案を行いたいと考えております。
 さらに、県立吉原林間学園につきましては、臨床心理や児童精神などの専門家を初め福祉関係団体や教育分野の方々の意見を十分に伺いながら、施設に入所する児童のみならず広く被虐待児への支援を行う中核的な施設としてどのような役割を果たすべきか検討してまいります。
 県といたしましては、今後とも児童養護施設等と一緒になって被虐待児の支援体制の充実強化を図り、子供たちが健やかに成長し将来にわたり自立した社会生活が送れるよう全力を注いでまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 吉林経済産業部長。
      (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 茶業の再生に向けた取り組みについてお答えをいたします。
 昨年、本県で開催された全国茶品評会では、浜松市と掛川市の生産者が煎茶の二部門で農林水産大臣賞を受賞し、また掛川市が八年連続、浜松市が初めて産地賞を受賞するなど日本一の茶産地静岡県のすぐれたものづくり技術が全国に発信されたところであります。
 県では、平成二十五年度当初予算におきまして茶業経営の体質強化を図るための予算を今議会にお諮りをしており、JAや経営コンサルタント等の専門家チームで地域の核となるモデル茶工場を重点的に支援をしてまいります。
 具体的には、茶園の管理や収穫作業などを農家個人から茶工場単位に共同化することによりまして効率化やコスト削減を図りますとともに、レタスなどの野菜を加えた複合化を推進をいたしまして茶業経営の安定を図ってまいります。また茶園の耕作放棄地を未然に防止し担い手農家の規模拡大を図るため、茶園の集積とあわせまして簡易な基盤整備や農業機械のリース導入に取り組む茶農家を支援してまいります。
 さらに、県といたしましては、新茶シーズンに向けまして東京、名古屋、大阪の大消費地の量販店やお茶専門店等々と連携をいたしまして静岡茶キャンペーンを強力に展開するなど消費拡大を推進いたしますとともに、市町や関係団体と一丸となって茶業経営の体質を強化し本県茶業の再生を図ってまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 第四次地震被害想定への対応についてのうち、想定結果の県民への伝え方についてお答えをいたします。
 本年六月には、第四次地震被害想定の想定結果とあわせまして、津波避難施設や防潮堤の計画的な整備など想定されます被害を可能な限り軽減するための対策を地震・津波アクションプログラム二〇一三――仮称でございますが――としてお示しし、さらなる地震・津波対策に取り組んでまいります。
 被害想定の結果は、市町の地域防災計画の見直しや防災・減災のための具体的な対策に欠かせないばかりではなく、県民の皆様にとりましては地域の実情を知りどのような対策が必要となるのかを気づく上でも非常に重要な情報となります。このためテレビや新聞など報道機関を通じまして、想定結果に加え被害を軽減するための防災・減災対策の情報が県民の皆様の目や耳に頻繁に触れるように努めてまいります。
 また、御自分の住所地の揺れの大きさや液状化の危険度、津波の浸水深や到達時間などより詳しいデータにつきましてはインターネットの地図情報システムで確認できるようにしてまいります。
 さらに、市町単位の説明会や出前講座、ふじのくに防災士や地域防災指導員を活用しました防災講座などによるきめ細かな情報提供を進めますとともに、防災訓練ではこの被害想定を活用しお住まいの地域がどのような災害に見舞われるのか具体的なイメージを持って訓練を行うことによって、一人でも多くの県民の皆様がみずからの命や家族の命を守ることができるように努めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 第四次地震被害想定への対応についてのうち、津波対策の進め方についてお答えいたします。
 本県では、昨年末に公表いたしました今後の地震・津波対策の方針に基づき、発生頻度が比較的高く発生すれば大きな被害をもたらすいわゆるレベルワンの津波に対しては、海岸防潮堤等の津波対策施設整備で対応いたします。また発生頻度は極めて低いものの発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスのいわゆるレベルツーの津波に対しましては、ハード・ソフト施策を総合的に組み合わせた多重防御によって対応してまいります。
 これまで、一昨年九月に策定した津波対策アクションプログラム短期対策編に基づき、牧之原市の勝間田川水門や南伊豆町の殿田川水門を本年度末の完成を目指し整備を進めるなどできることから対策を実施しているところであります。
 さらに、第四次地震被害想定を見据えた速やかな対応を行うべく、現在中間報告において公表したレベルワンの津波高をもとに必要な施設高の算定を行っておりますが、現況の防潮堤等の高さがこれを下回ることが見込まれる地区についても、土質調査結果を踏まえ詳細設計を進めてまいります。
 本年六月に策定する仮称の地震・津波対策アクションプログラム二〇一三においては、津波対策施設の整備内容などを明示するとともに、関係する二十一の沿岸市町と工法や施工手順などについて調整を図った上で緊急性の高いところから円滑な整備を進めてまいります。
 県といたしましては、第四次地震被害想定の被害対応シナリオの詳細検討とあわせ津波対策施設の整備を県内全域の海岸において鋭意推進することにより、県民が安心して暮らせる地震・津波被害に強い県土づくりを進めてまいります。
 次に、強い県土づくりに向けた取り組みについてのうち、まずインフラの老朽化対策についてであります。
 県では、インフラの老朽化対策に対応するため、土木施設長寿命化行動方針に基づき限られた予算のもとで最適な維持管理を行う中長期管理計画を策定することとしており、特に県民生活や産業活動に影響の大きい橋梁や舗装については既に計画を策定し対策事業を実施してまいりました。
 また、水門や陸閘、港湾の係留施設、農業水利施設等につきましては現在点検を実施しており、今後新たな国のガイドラインや老朽化の予測手法を取り入れた中長期管理計画を策定するとともに、速やかに事業を実施してまいります。
 県といたしましては、国の緊急経済対策に呼応し緊急性が高く劣化の著しい橋梁や舗装を初めとする社会資本の老朽化対策事業を前倒しして実施するなど県土の強靱化を積極的に進め、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
 次に、農業農村整備の推進についてであります。
 県土の均衡ある発展を図り経済・社会活動等の持続可能性が確保された強い県土づくりを進めるためには、将来にわたって多彩で豊かな食の安定供給と県土保全等の多面的機能を担う農業・農村の強靱化を効果的に推進していく必要があります。
 このためには、生産性の高い農業の実現や震災に強い農業インフラの構築、農村資源を活用した農業・農村の六次産業化等に貢献する基盤整備を選択と集中により実施していくことが重要であります。
 県といたしましては、地域の特性を踏まえた産地としての発展性に配慮しながら大幅なコスト縮減を可能とする水田の大区画化や茶園の農道網整備、農作物の収量・品質を向上させる畑地かんがい施設等の整備を重点的に推進するとともに、被災した場合に影響が大きな水路トンネルや大規模なため池等の耐震化を実施してまいります。
 また、基盤整備の実施に合わせ、地域の共同活動を支援するふじのくに美農里プロジェクト等を通じて地域の主体性、協働力を生かした地域資源の適切な保全と有効活用を促進し、農村コミュニティーの強化と新たな農村ビジネスの展開を図りながら持続可能性が確保された力強い農業・農村づくりを推進してまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山静岡空港についてのうち、利活用の促進についてお答えをいたします。
 富士山静岡空港は、本県の持続的発展を支えるために必要不可欠であり、利活用の促進により空港機能を一層高めていくことが重要であります。そのため旅客につきましては、全体の七割以上を占める観光利用に加え季節変動が少なく継続的な利用が見込まれるビジネス利用や教育旅行、地域間交流を戦略的ターゲットとして位置づけて、利用拡大に取り組んでまいります。
 具体的には、企業や学校を訪問して空港までのアクセス時間やアジアを代表するハブ空港を活用した全世界への乗り継ぎの利便性、利用した場合の支援策などを提示し利用を働きかけるとともに、県の駐在員事務所とも連携し市町や地域団体と就航先との友好交流やスポーツ・文化交流等を支援してまいります。
 また、韓国の釜山や中国の各都市、東南アジアなど将来の定期路線として有望な地域についてチャーター便の運航実績を着実に積み重ねるとともに、ハワイなど人気が高い観光地へのチャーター便誘致にも積極的に取り組むことで、県民の皆様に富士山静岡空港を利用していただく機会をふやしてまいります。
 さらに、航空貨物につきましては、来年度は富士山静岡空港から新たに国際航空貨物を運送するトライアル輸送を拡充し荷主や物流業者に一層の利用を働きかけるとともに、既に利用が広がりつつあるコチョウランや電子部品等を重点品目として貨物量の拡大と顧客の定着に努めてまいります。
 ことし三月末からは、台北線、札幌線及び沖縄線において増便や航空機の大型化等が相次ぎます。県といたしましては、今後とも戦略的に利用促進を図ることで富士山静岡空港の航空ネットワークの一層の充実を図ってまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政のあり方検討会中間まとめへの対応についてお答えいたします。
 先月公表されました中間まとめは、四つの観点から取りまとめられております。具体的には、教育委員会の責任と能動的な活動、市町教育行政との関係、事務局組織マネジメント、そして県立学校の経営に対する関与の見直しであります。県教育委員会では既にいただきました御意見を踏まえ可能なものから順次実施しており、中間まとめを受けてさらに踏み込み、実施に向けて検討をしております。
 例えば、教育委員会がより一層能動的な活動ができるよう教育長への委任や専決事項の見直しを、市町教育行政との関係におきましては学校指導の専門性向上のため実態に応じた支援策の検討を行っております。また学校現場をより重視した教員配置を行うため教員と行政職員の業務及び総合教育センターの業務の精査、事務局の組織改編を、さらには県立学校の経営計画のあり方等を検討しております。
 今後、最終的な意見書を踏まえ可能なものから早期に実施するとともに、平成二十六年度の予算、組織に関するものにつきましてはなるべく早く対応案を取りまとめたいと考えており、これらを通して本県教育行政の一層の改善充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 繁田警察本部長。
       (警察本部長 繁田 誠君登壇)
○警察本部長(繁田 誠君) 平成二十五年の警察運営重点についてお答えいたします。
 平成二十五年の県警察運営指針を「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」とし、県下の治安情勢等に鑑み安全で安心できる犯罪の起きにくい社会づくり以下六項目を重点目標と定め、県公安委員会管理のもと県民と協働して取り組み始めているところであります。その中で特に二点について申し上げたいと思います。
 一点目は交通事故防止対策の推進であります。とりわけ高齢者の交通死亡事故の抑止を図ってまいりたいと思います。昨晩も浜松と清水で高齢歩行者の死亡事故が発生してしまいましたが、夜間・夕暮れ時に交通事故が多発する傾向にあることから、自発光式反射材の普及の促進、また本来安全であるべきはずの横断歩道上での事故、これを阻止するため横断歩道を上から照らす感知式ライトを整備するなど、歩行者及び横断歩道そのものの視認性を高めてまいります。
 加えて、昨年末から行っておりますパトカーが赤色灯を点灯しながら走行するレッドパトロールにつきましては、交通事故の抑止効果のほか防犯面での効果、さらに住民の安心感を醸成するという相乗効果も出ておりますので、今後も夕刻に限らず可能な限り最大限継続して推し進めてまいります。
 二点目は暴力団への対処であります。中でも暴力団排除条例を活用した資金源対策の強化を図ってまいります。今年度で県下の全市町にも暴力団排除条例が整備されます。一方で今後公共事業の増加等につけ込んで暴力団の資金調達活動が活発化することも予想されるところであります。
 先般、静岡市葵区内における風俗案内所にデリバリーヘルスの案内所を設置し、禁止区域内で違法営業を行った風俗案内所を摘発するなど暴力団の資金源となる犯罪の検挙活動を強化したところであります。また今月初旬に榛南地区において山口組系暴力団組織の組行事のために仕出し弁当等を販売した業者に対し暴力団排除条例を適用し、県公安委員会が利益の供与をしないよう勧告を発出いたしました。
 今後も、暴力団対策については暴力団排除活動と検挙活動の両輪で行い、暴力団の排除、根絶を図ってまいります。
 その他、街頭犯罪や振り込め詐欺、震災対処と課題は山積しておりますが、本年も全職員が誇りと使命感を高く持ち、県警察一丸となって全力で県民の皆様の期待と信頼に応えていく所存でありますので、どうかよろしく御支援のほどお願い申し上げます。以上であります。
○議長(小楠和男君) 四十四番 宮沢正美君。
       (四十四番 宮沢正美君登壇)
○四十四番(宮沢正美君) 時間がありませんので、マニフェスト評価に絞って再質問をいたします。
 まず、知事に申し上げたいと思いますが、先ほど答弁の中で、私はプレーヤーだから評価はしないんだというお話ですが、ちょっと認識が違うんじゃないかと私は思います。知事はですね、プレーイングマネジャー、トップマネジャーであります、静岡県の。全てのプレーヤーの責任を持ってマネジメントをしていく役割にあるわけでありますので、そこには常に自己評価をしながらみずからが職員のマネジメントをしていくという姿勢が必要だと私は思いますので、プレーイングマネジャーであるということを御認識をいただきたいと思います。
 そこでですね、先日私たちのマニフェストを公表した折、知事はですね、第三者評価に泥を塗るというようなコメントも出されているようでありますので、第三者評価についてどのように認識をしているかお伺いをいたします。
 まず、評価委員は誰がどのような基準で選考したのか。第二点目に、白書――これは十八ページに載っておりますが――で数値目標の達成状況を三段階で数値化しておりますが、平均点は何点であると承知しているかお伺いをします。三点目に、白書の総括表の中で平成二十三年度と比較して平成二十四年度の評価が下がっているのは百七十二項目中何項目あるか、御認識をお伺いします。四点目、先ほど申し上げましたように違和感を感ずるという発言をされておりますが、我々のマニフェストの結果とこの第三者評価のどの数値をもって違和感を感じていると述べられたのか、その判断の基準についてお伺いします。
 以上四点、お願いいたします。
○議長(小楠和男君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 再質問をいただきましてありがとうございました。
 まず、第三者評価についてでありますけれども、私はいわゆるこの“ふじのくに”づくり白書というのが最も第三者評価としてレベルの高いものだというふうに存じております。これがプレーイングマネジャーとしての全体の評価について、私が客観的な判断をする基準になっているということでございます。この“ふじのくに”づくり白書というのは日本で唯一本県がやっているものでございますが、基本計画に掲げる数値目標、施策等の進捗評価を行い総合計画の確実な推進と最適な手法による具体化を図るためのものです。
 ここにはまず数値目標の達成状況、工程表の進捗等を踏まえた評価を各部局がいたします。続きまして評価部会というものがございまして、これから専門家の名前を御紹介申し上げますけれども、自己評価結果を行政評価の専門家等で組織する評価部会で御審議を賜ります。それを踏まえまして総合計画審議会、ここで評価部会での審議を踏まえた評価案を御審議賜ります。そしてパブリックコメントを出します。昨年の場合ですと平成二十四年の十月十六日から十一月五日まで二十一日間にわたりまして県民の意見を御聴取申し上げるということでございます。それから昨年の場合ですと県議会で十二月定例会各常任委員会において御説明いただき、また御審査を賜りました。これが“ふじのくに”づくり白書の今回第二回目のものでございまして、こういう形で全体をマネージするというふうにしているものでございます。以上でございます。
○議長(小楠和男君) 伊藤静岡県理事。
       (静岡県理事 伊藤秀治君登壇)
○静岡県理事(伊藤秀治君) 総合計画の指標のうち、白書等で今回下がった項目数でございます。昨年の数値、ちょっと手元にございませんで、まず今年度の数値について申し上げます。
 百六十一、全体で項目数がございます。そのうちの百四十七の項目について評価できるような実績数値が出ているということで行っております。全体といたしましては七割弱、A評価が全部で八、またB評価が九十、引き続き一層の取り組みを要するものが四十九というような状況になっております。
 全体といたしましては、超円高の影響を受けたりまた東日本大震災等の影響を受けまして、雇用、経済に関するもの、また観光等、空港の利用者数とか企業立地件数とかそういったもので昨年よりも落ち込んでいるような状況にございます。以上でございます。
○議長(小楠和男君) 出野知事戦略監。
       (知事戦略監 出野 勉君登壇)
○知事戦略監(出野 勉君) 総合計画審議会の評価部会の関係でお答えいたします。
 評価部会の委員につきましてはですね、現在六名の委員でやっております。ふじのくにづくりの戦略体系に基づき施策のくくりごとに進捗状況を評価していただくということで、各部局の自己評価に基づいて具体的な取り組みの実施状況等を報告いたしまして各委員の先生方に評価していただいているということでございまして、今年度につきましては二十四年の八月の二十日から二十二日まで三日間にわたって実施していただいたということでございます。
 委員長は早稲田大学の政治経済学術院教授の谷藤先生以下六名ということで、やっていただいておるところでございます。こういった中で客観的な評価をいただいているということでございます。以上でございます。
○議長(小楠和男君) 四十四番 宮沢正美君。
       (四十四番 宮沢正美君登壇)
○四十四番(宮沢正美君) 私たちは、このマニフェストの公表をするに当たってはまさに命がけで説明責任をしっかり果たそうということでやってまいりました。当然ながら第三者評価“ふじのくに”づくり白書のことについても、我々なりにしっかり精査をいたしました。
 白書では、三段階で数値化をしております。その中で平均点は一・六五であります。百七十二項目を割り返してみると、総合点が二百八十五点、得点が百七十二で一・六五になります。これを一〇〇%の率に置きかえますと五五・三%ということになります。これが白書の中に示されている進捗状況の達成度であります。
 それで、私たちは四〇・〇二%という数字を公表しました。それではそこに差があるではないかという意見もあるかと思いますが、差があって当然であります。私たちの知事マニフェストの検証は、知事の任期中、ことしの六月までをゴールとして評価したものであります。しかし総合計画、白書のゴールは二十五年度末であります。当然そこに多少の差があることは十分考えられる。決してこれをですね、九五%もいったとは私は言えないんじゃないかと思っております。(発言する者あり)こうした指摘を受け改めて知事にお伺いをさせていただきます。
 御自身がつくられたマニフェストについての評価をどのようにされるのかお伺いをいたします。これで質問の時間はありませんから申し上げておきますけど、いずれ各会派のですね、こうした公表結果が出た後で、私は公開でですね、討論会でもやりたいと、そのようなことも折に触れ提案をしてまいりたいと思います。以上で私の質問を終わります。(拍手)
○議長(小楠和男君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 再々質問ありがとうございました。
 知事候補者としてお出ししましたのは、百余りの項目がございました。そこには、例えば当時の知事候補者の出されていたマニフェストの中に入っていないものも入っていたものもありましたので、そうしたものを全て取り組むという姿勢でまいったわけでございます。
 しかし、現実は動いておりますので、例えばレベルツーの南海トラフの地震が起こった場合どうするかといったようなことについては書かれていません。あるいは新総合計画も平成二十三年の二月二十三日にお出ししましたけれども、そのときには東日本大震災は起こっておりません。それゆえ例えば自然エネルギーにつきましては、八年後に三十万キロワットを達成するというようなことをうたっておりました。しかしエネルギーの地産地消は喫緊の課題になるので、それを重点項目として出しました。
 ですから、マニフェストに書かれていないことはやらない、マニフェストに書いてあることだけをやるというのは、やはり何のためにやるのかという大きな目的、すなわち県民の幸福度を上げるという大きな目的に即した場合には、それは二義的になります。したがって現実を優先する。ただしそれは全て透明性を確保してやるということです。
 さて、数値についてでございますが、この“ふじのくに”づくり白書というのは、A、B、C、Dというそうした評価になっております。BにつきましてはBプラス、そして単なるB、Bマイナスと。こうしたものを、このたびの自民改革会議では五段階評価でございますのでこれは学校の成績が五段階評価でなされるということからわかりやすいというふうに思いまして、私はA、B、C、特にBプラスとBマイナスとかといってもBでございますのでこうしたものを五段階評価に直して、そして今御自身たちで、それぞれの総合計画におきましてはどこの部局が何をしているかということが明確になっています。ここがいわゆるマニフェストのときと違うものであります。マニフェストは担当部局を無視して百余りのことを書かれていた。しかし現在の三百以上のですね、どの政策につきましてもどこの部局のどこがどういう工程でやっているかということが検証できるようになっています。検証可能なものとしての白書を出しているわけです。
 それでございますので、それを数値に置きかえてそしてこちらの担当部局のほうからお出しするというように今指示をしているところでございます。そこの中でもしこのたびの議会の会派の方から出されたものと乖離がありますれば、それが違和感ということになるというふうに存じます。以上でございます。(発言する者あり)
○議長(小楠和男君) これで宮沢正美君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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