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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中野 弘道 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東海地震対策について
 (1) 第三次地震被害想定の見直し
 (2) 被災市町に対する県の支援
 (3) 災害発生時における民間との連携体制
2 焼津漁港の津波対策について
 (1) 水門の設置
 (2) 津波避難対策
3 行財政改革大綱の推進について
4 新学習指導要領における学校現場の状況について
5 教科書採択について
6 駿河湾深層水の取水施設の現状と今後の対応について



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第九十号から第百二号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十九番 中野弘道君。
           (十九番 中野弘道君登壇 拍手)
    ○十九番(中野弘道君) おはようございます。私は、自民改革会議所属議員として知事並びに関係部局長、教育長に質問させていただきます。
     質問に入ります前に、東日本大震災で被災された皆様、そして関係の各位に衷心よりお見舞いを申し上げるとともに亡くなられた多くの皆様にお悔やみ申し上げます。そして今現在も避難場所での生活を余儀なくなさっています皆様に早期の復旧・復興が進み従来の生活が早く戻ることを祈念いたします。
     また静岡県も岩手県遠野市に支援本部を置き、県職員が現地での復興のための県を代表しての支援活動に心から敬意を表する次第であります。私も県会議員として引き続き支援策をしっかり議論してまいりたいと考えています。
     それでは初めに、東海地震対策についてのうち、第三次地震被害想定の見直しについてお伺い申し上げます。
     発災から三カ月半が経過した今もなお東日本大震災の痛ましい記憶が脳裏を離れません。東海地震の発生が予想されている本県にとって、今回の震災の状況はまるで自分自身のことのように感じた県民も多くいらっしゃるのではないかと思います。特に太平洋沿岸部の津波被害はすさまじいものでした。十メートルを超える大堤防を越えてまちを破壊した津波の様子は、まるで海が壁となって押し寄せてくるような感じでありました。あの巨大な壁に押しつぶされたら建物も人も太刀打ちできないと感じました。
     私の地元である焼津市は駿河湾に面した我が国有数の漁業基地であり、市民は海や港とともに生活をしています。市街地は港湾に面して広がり全体的に平地ばかりで高地、高台がありません。したがって一たび大津波が来れば、まち全体が大きな被害を受けてしまいます。今回の震災以来、国民は十メートルを超える大津波を現実のものとして認識いたしました。今、焼津市民を含む本県民は極めて高い防災意識を持ち、東海地震で予想される津波の高さに並々ならぬ関心を持っています。県では平成十三年に第三次地震被害想定を策定し公表していますので、インターネットで予想される津波の高さを調べてみました。すると焼津市付近の沿岸部には二メートルから三・九メートルの高さが示されておりました。東日本大震災でのあの光景を映像で見るにつけ、この数値は意外に低いのではないかと感じた次第であります。またこの高さの津波が襲来した場合焼津港や小川港で一メートルから二メートルの浸水、その周辺で一メートル以内の浸水という被害想定になっていました。確かにこれまで三十年以上にわたる東海地震対策により防潮堤や陸閘の整備が進み、想定される浸水域は限られたエリアだけかもしれません。しかし万が一、三陸地方と同じような大津波が押し寄せた場合、焼津の浸水域はもっと広範囲に広がることは確実です。これは焼津に限らず県内の他の沿岸地域に共通の懸念材料だと思います。さらに近年、東海地震の発生とともに東南海・南海の三連動地震の発生が指摘されるようになってきています。もし三連動による巨大地震が起これば、今回の東日本と同じようなマグニチュード九程度の地震になる可能性も否定できません。そうなると現在の被害想定で示された津波高よりもっと高い津波が襲来するかもしれません。この不安は多くの県民が抱いていることであります。
     そこで、三連動地震の発生の可能性を踏まえ現在の被害想定を早急に見直す必要があると考えますが、県の所見をお伺いします。さらに見直す場合はどのようなスケジュールを考えているのでしょうか、あわせてお伺い申し上げます。
     次に、被災市町に対する県の支援についてお伺い申し上げます。
     本県が被災地支援活動を行っている岩手県大槌町は、大津波により町長と多数の幹部職員を失いました。我が国で発生する地震や風水害などの災害において、被災地を所管する市町の庁舎が全壊した上、災害対応を担うはずのトップの責任者が犠牲になるということは前代未聞の出来事であります。震災の報道を聞いた直後は信じられませんでした。しかし今回の津波被害の全容が明らかになるうち、基礎自治体である市町が全機能を失う可能性があることを認識させられました。大槌町だけではなく宮城県の南三陸町においても防災庁舎が鉄骨を残しただけの無残な姿になるなど、災害対応力をなくしてしまいました。千年に一度とされる巨大地震による大津波だったとはいえ、やはり行政の中枢が被災してしまったことは大きな問題であります。これではたくさんの被災者を助けることができません。余りにも悲しい現実であります。
     さて、本県はどうでしょうか。東海地震では津波だけでなく、最初に襲われる大きな地震動により市役所や役場が倒壊してしまうおそれがあります。ほとんどの庁舎が耐震対策を実施してあるとのことですが、まだ幾つかの庁舎建物の耐震性に不安があると聞いております。該当する市町では早急な対策が必要ですが、整備が完了する前に東海地震が起きてしまった場合はどうするか想定しておかなければなりません。さらに本県では絶対にあってはならないことですが、首長を初め職員が犠牲になるなど市町が行政機能を喪失してしまうような最悪のケースも想定しなければなりません。この対策は市町が考えることかもしれませんが、県としても何らかの支援体制が必要だと考えています。
     そこで、東海地震を初め何らかの甚大な危機の発生により県内の特定の市町が壊滅的な被害を受けた場合に県はどのような支援を図るのか、お伺い申し上げます。
     次に、災害発生時における民間との連携体制についてお伺いいたします。
     今回のような大震災では、国や県、市町といった行政だけでは十分な災害対応はできません。一度にこれほど多数の被災者を出した状態では、復旧や復興に係る作業の量も尋常ではありません。今もなお、およそ九万人もの避難者が生活に困窮していることを考えると、避難生活に関するさまざまな物的、人的支援において専門的な技術や経験を有する民間企業や団体の力も活用しなければならないと思います。例えば今回の東日本の場合、最初に必要だったとされる物資は水と毛布でした。被災しなかった全国の自治体などから日ごろ備蓄されていたものが送られましたが、その後は国内の企業が在庫として有していたものが集められました。食料についても同様であります。
     また、負傷者の治療に関しては医療や薬品に関する業者の協力を得なければなりません。避難者の生活支援では心のケアなどにおいて保健・福祉の人的支援が必要です。保健師などの行政職員に加え民間の福祉団体の協力も得なければなりません。物資の輸送についてはトラック業者、ガソリンの給油は石油商業団体など支援物資の輸送一つ見ても、関係する民間企業や団体の協力なくしては迅速な支援ができません。さらに東海地震のような大規模地震では空路に頼る場合も多くなると思われます。民間の航空会社やヘリコプター会社とも平時から取り決めが求められます。恐らく一つの支援物資を被災地に届けるために物品の調達から輸送、配達、燃料の確保まで実に多くの業者がかかわるものと思われます。
     そこで、大規模地震が発生した場合に民間の協力が必要とされる業種や業界は主にどのような分野なのか、また日ごろから民間企業や団体とどのような連携を図り、いざというときの実効性を確保するか、県の取り組みについてお伺い申し上げます。
     次に、焼津漁港の津波対策についてのうち、水門の設置についてお伺いいたします。
     本年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震による大津波は多くの人命を奪うとともに、東北地方を中心とする太平洋沿岸域の漁港、漁村に壊滅的な被害を与え、その復興にはこの先何年かかるかわからない状況となっております。
     一方、特定第三種の焼津漁港は、冷凍カツオ・マグロを中心に水揚げ数量全国一位を誇る水産物の陸揚げ・集荷拠点であり、ここが津波により大きな被害を受けた場合は国内の水産物の安定供給に重大な支障を及ぼすこととなります。本県では早くから東海地震に備え地震・津波対策に取り組んでまいりましたが、焼津漁港におけるこれまでの津波対策は市街地を守るものであって、漁船や漁業施設などは対象とされていませんでした。私も平成二十一年六月の定例会の一般質問、平成二十二年の十二月定例会代表質問において、漁港の津波対策、水門の設置の重要性を訴えてまいりました。今回の大震災により漁港内の漁船や施設が甚大な被害を受けるのみならず、それらが凶器となって背後の市街地の被害を拡大することが改めて認識されました。これらを防ぐ方法としては港口に水門を建設し、港の入り口で津波の浸入を防ぐことが最も有効な手段と考えます。県がこの四月に策定した焼津漁港マスタープランにも、従来の胸壁による津波対策に加え水門の設置の検討が位置づけられました。焼津漁港の安心・安全を確保することが日本の水産業を守り、また市民の生命や財産を守ることにつながると考え、そのためには港口の水門の早期の実現が必要と考えますが、津波対策における水門設置について県の考えを改めてお伺い申し上げます。またこれに関して、焼津漁港では津波が発生した場合の漁港内の労働者や利用者の避難対策として、緊急津波避難施設などの整備を行っており、現在の第三次地震被害想定においては安全が確保されるとのことですが、今回の東北地方を襲った大津波を見ますと本当に大丈夫なのかと、多くの利用者が大きな不安を感じていると聞いております。
     そこで、こうした避難対策について県の現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺い申し上げます。
     次に、行財政改革大綱の推進についてであります。
     県では、ふじのくにづくりに向けた総合計画を下支えする行政経営の指針として、新しい静岡県行財政改革大綱を策定し三月に公表いたしました。この大綱は、昨年一年間、十二回に及ぶ外部有識者会議の審議を経て策定され、有識者からも高い評価をされた内容であるとお伺いしています。その内容は透明性の高い行政運営、効果的で能率的な行政運営、未来を見据えた戦略的な行政運営の三つの戦略のもと、基本的な方針や抽象的な理念を加え四年間で取り組むべき具体的な事項も記載され、いわゆる実行計画の意味合いも持ち合わせていると理解しています。
     具体的には予算書等のホームページの公表など各種行政情報の積極的な公開、県の外郭団体二十八団体におけるそれぞれの見直しの方向性、助成の終了期間を設定するサンセット方式の導入を初めとした補助金の見直しなど三百を超える行財政改革の取り組みが挙げられています。さらに取り組み項目ごとに目標、担当課、実施時期が明記されていて、それらを一覧表で管理するようになっており、改革を進めていく上でより実効性の高いつくりになっているものと思います。しかし厳しい行財政環境の中では今回の大綱に掲げられた取り組みはどれも策定して終わりといったことは許されず、記載されている取り組みをいかに着実に実行していくのか、また修正が必要な場合にあっては迅速にきちんとした方向づけをしていくことが何よりも重要であります。また大綱の策定時に外部の委員からも指摘されておりましたが、取り組み事項の中には「検討する」にとどまっている項目がまだ多く、早期に検討内容を具体化すべきものも多数あります。こうした意味合いからも、ここに掲げたすべての取り組み項目についてまず県の内部でしっかりと達成度合いを確認するとともに、県民に対してもその状況を明らかにし透明性を高めていくことが必要であると考えます。
     こうした中、県は六月二十日に計画期間の初年度に当たる平成二十二年度における取り組み状況について公表いたしました。昨年度は大綱の策定と並行して行財政改革を進めてきたということですが、具体的にはどのような成果があったのかお伺い申し上げます。また大綱を着実に推進していくため本年度以降どのように取り組んでいこうとしているのか、あわせてお伺い申し上げます。
     次に、新学習指導要領実施における学校現場の状況についてお伺いいたします。
     東日本大震災後の状況がメディアを通じて全世界に報道され、非常事態にもかかわらず冷静で秩序を守った日本人の行動がアメリカや中国など各国で称賛されました。これは学校はもとより家庭や地域、社会などすべての教育の成果だと私は考えます。しかし近年、日本の教育力の低下が社会問題にもなりました。このような声にこたえるべく、これからの時代を担う子供たちに生きる力をより一層はぐくむことを目指して学習指導要領が改訂され、今年度から三年で小学校、中学校、高校と順次全面実施されます。この改訂により知識、技能をしっかり習得させるとともにそれらを活用させる活動が重視され、論理的思考力やコミュニケーション能力などの向上が図られます。義務標準法の改正により、小学校一年生で三十五人学級編制が実施された理由の一つも少人数の学級できめ細かな指導を行うことで学習指導要領の円滑な実施を目指していると聞いています。このように教育内容の充実が求められ、その実現のために各教科の授業時数も増加をしております。私はこの学習指導要領の改訂により学校がどのように変容するか、その見届けが必要であると考えています。先日小学校の教員と話す機会がありました。ある教員からは「これまで以上に実験や観察などの子供の体験活動や子供たち同士の話し合いなどを重視した授業を行っている」という話とともに「授業時数がふえるのにもかかわらず教員の数は変わらない。それどころか昨年まで配置されていた非常勤講師が今年度になって配置されなくなった。教員の多忙化が進んでいる」という話もお聞きいたしました。
     小学校で学習指導要領が全面実施されて三カ月が過ぎました。県教育委員会として、現在の小学校の状況をどのように把握しているか。また私に学校の様子を話した教員が言うように課題があるのなら、その解消に向けてどのような取り組みをするか。三十五人学級編制になった小学校一年生の状況を含め教育長の所見をお伺いいたします。
     次に、教科書採択についてお伺いいたします。
     本年度は昨年度の小学校用教科書の採択がえに続いて、中学校用教科書の採択がえ及び特別支援学校・学級で使用される一般図書の選定がえが行われる年度です。教科書は教科書発行法に教科の主たる教材とあるように、児童生徒の教育に極めて重要な役割を果たしております。教科書が各学校で使用されるまでには民間の教科書発行会社による著作・編集、文部科学省による検定、教育委員会などによる採択などさまざまな手続を経ております。教科書採択については、教科書検定制度のもとで教科ごとに数種類発行されている教科書の中から一種類の教科書を決定することであり極めて重要な過程となります。本県において多くの児童生徒が通う市町立の小中学校で使用される教科書については各市町の教育委員会により採択が行われることになりますが、教科書に対する県民の信頼を確保するためには採択の権限を持つ市町教育委員会などが、みずからの責任において公平に採択を行う必要があることは言うまでもありません。なお県教育委員会として採択の権限を持つ市町教育委員会などに採択の適正を図るため適切な指導を行うことは極めて重要なことであります。本年三月末に検定合格とはなりました社会科の教科書を見て「教育基本法、学習指導要領の趣旨からかけ離れた教科書なのでは」という意見も聞かれているところでございます。次代を担う子供たちに健全な教科書を届けるために、教科書の採択が教育基本法、学習指導要領にのっとり、また公平、公正に採択が行われなければなりません。
     そこで、県教育委員会としてどのように教科書採択にかかわっているのか、その役割についてお伺いします。また清水南高等学校中等部及び浜松西高等学校中等部の教科書採択の権限を持つ県として採択地域内における採択の仕組みについて、あわせてお伺いいたします。
     最後に、駿河湾深層水の取水施設の現状と今後の対応についてお伺いいたします。
     駿河湾深層水については、県が平成十三年度から焼津漁港沖の水深三百九十七メートルと六百八十七メートルの二層から取水し、焼津市の深層水関連施設や漁協に加えて民間事業者や一般県民、県の水産技術研究所で利用をしてきております。駿河湾深層水を利用した民間の具体的事業としては干物やシラス、サクラエビの釜揚げなど水産加工品や調味料などが製造され、駿河湾深層水ブランドマークをつけて販売されております。しかし一昨年八月十一日の駿河湾地震により六百八十七メートル深層水の給水が停止され、現在は三百九十七メートル深層水のみの給水となっております。その三百九十七メートル深層水の給水も本年三月十日には群発地震により一時停止をし、三月十五日から再開されたものの取水量はこれまでの五分の一程度に減少しております。
     県はこのような給水のふぐあいについての対応として、これまでに取水管の状況を調査し六百八十七メートル深層水取水管については地震に伴って発生した海底地すべりなどの影響により、途中で破断している可能性が極めて高いことや海底が不安定になっていることが判明したことを公表してきました。また三百九十七メートル深層水取水管については取水管の蛇行や岩、土砂の堆積、取水管外縁部の損傷などが見られることから、昨年二月と十月にそれぞれ復旧が困難であることを公表いたしました。
     また県は去る四月十五日には三月からの取水量の減少の原因は取水管がつぶれたことによると推測されていることとともに、現在給水されている三百九十七メートル深層水について「今後、取水できなくなった場合には給水できなくなることを御理解ください」として給水停止の可能性を公表してきております。このような状況に至った事情は承知しておりますが、一方で利用者においてはそれぞれが行っている事業の継続について大きな不安があるのも確かでございます。
     そこで、駿河湾深層水取水施設の現状と今後の対応についてどのように考えているのか、県の所見をお伺いして、私の一般質問とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中野議員にお答えいたします。
     初めに、東海地震対策についてのうち、第三次地震被害想定の見直しについてでございます。
     今回の東日本大震災におきましては、議員御指摘のとおり津波の被害は想像を絶するものでございました。私自身も、三月二十六日に釜石から大槌、山田、この地域をじかに見まして、津波が襲ってくると土石流と同じで襲われたところはけがをするということではなくて、生きるか死ぬかで死ぬほうでしかないという、それほどにすさまじい破壊力であるということを目の当たりにした次第でございます。これは人ごとではなくてあすは我が身という、そのような危機感を持って受けとめたものでございます。それだけに日ごろからの防災対策の重要性を再認識いたしました。
     東日本大震災を受けまして、国におきましても中央防災会議のもとに東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会が四月二十七日に設置されました。先般、その中間報告が河田先生から出ておりましたけれども、この調査会におきましては最終的には来年の春ごろまでに津波の高さや地震動の想定について発表するとされておりますが、今回の中間報告におきましても、これまで想定されていた最大のものを考慮すると、それは平安時代、九世紀末の貞観地震津波というところまで、すなわち千年に一度という、そういう津波も想定して結論を出すということになっているとのことでございました。
     県といたしましては、国の津波の高さの想定結果あるいは地震動の想定結果を踏まえまして、速やかに第三次地震被害想定を見直してまいります。その前段階として、まず海岸の現在の状況、そして標高、海岸地域の水深など基礎データの更新作業を現在行っているところでございます。
     県の津波対策につきましては四月十五日に静岡県津波対策検討会議を設置いたしました。そしてソフト・ハード両面から短期的対策と中長期的対策を検討しているところでございます。
     短期的対策につきましては静岡県防災・原子力学術会議、この下に津波対策分科会を設置いたしました。津波における日本における最高権威、今村先生をお招きした分科会でございます。今年度内に、ふじのくに津波対策アクションプログラムを策定いたします。そしてこのアクションプログラムに応じまして対策を実施するという段取りになります。中期的対策につきましては、来年春ごろと想定される先ほどの国の専門調査会の津波の高さに係る国の想定の見直しを踏まえまして修正をしていくという段取りになっております。
     次に、行財政改革大綱の推進についてであります。
     行財政改革大綱に掲げる三百十の取り組みのうち、平成二十二年度に着手するのは二百五十五項目。この二百五十五項目すべてに取り組んだ結果、平成二十三年度当初予算におきまして百六十九億円の財源を捻出いたしました。職員数につきましては四年間の削減目標百人に対し、初年度で三十三人削減いたしました。ちなみに平成二十二年度の財源捻出額は百八十七億円でございますので、累計で三百五十六億円の財源を捻出したということでございます。この事業仕分けの規模は削減額は数十億円ですけれども、それが一つのばねになりまして事業全体の見直しをした結果、三百五十六億円の見直しができたということでございます。この事業仕分けにおきましては仕分け人や傍聴者として県民の皆様が県政に参加する機会を広げたわけでございます。判定人に市民の方々から無作為に応募していただきまして、そこから判定人を選ぶ。いわゆる事業仕分けをする方と判定する人とが別になるということを通して、多くの市民の方々にこの事業仕分けに加わっていただくというふうにした次第でございます。
     こうした事業仕分けの成果の一つではございますが組織改編につきましては、危機管理部を設置し、それにより東日本大震災などさまざまな危機事案への迅速な対応が図られているのは御承知のとおりでございます。また今年度は新しく地域外交局というものを設置いたしました。相互にメリットのある地域外交施策に取り組んでおります。
     さらに、大綱で示されました「時代を切り拓く戦略的な行政経営の推進」につきまして、例えばファルマバレープロジェクトにおきまして慶應義塾大学と事業推進連携の協定を締結することができました。これによりまして東工大、東京農大、早稲田大、慶應義塾大学というように病院と大学との連携が深まっております。もちろん産業との連関が深まっているのは御案内のとおりで昨年の十二月の二日の「ネイチャー」誌に十ページにわたって、世界に、しかるべき「ネイチャー」を読む人々に大きな発信ができたということでございます。
     こうした各分野での有識者の協力も得まして本県独自の施策を進めておりまして、さまざまな成果が昨年度の取り組みの中から生まれております。今年度は大綱策定時に有識者から御指摘のございました課題「より多くの県民の参加を目的とした新しい手法による事業仕分けをしなさい」、また「補助金のゼロベースでの見直しをしなさい」、あるいは「指定管理者制度の運用の見直しをしなさい」などの御指摘を受けまして、それに取り組むこととしております。さらに外部有識者による行財政改革推進委員会を設置いたしまして、大綱の進捗状況はもとより外郭団体の見直しを進めます。一層の改革が必要な課題、あるいは時代の変化による新しい課題についても、この行財政改革推進委員会におきまして検討していただきまして、御意見、御提言は速やかに実施する。そのような姿勢で行財政改革に取り組んでまいるものでございます。
     私は、この事業仕分けというのは今度三回目になるわけですけれども、この三回目におきましては恐らく静岡型という、そういう個性が出てくるものになるのではないかと見ております。それは、いわゆる構想日本がなさってこられたものと、一歩、それをベースにして市民に広めたということになると思います。またこの事業仕分けはコストベネフィットという、もっぱら数字にかかわることでございましたけれども先ほど組織につきましても触れましたように、例えば企業局という局がございます。これがどのような仕事をしているのか、必ずしも多くの人に明らかでない。それからまた議員御指摘の教育委員会。今回は教科書の採択について御意見がございましたけれども、教育委員会――本県にも五人の方々が教育委員を務めてくださっておりますけれども――その仕事についてもオープンにするということも必要であろうというふうに思っておりまして、我々の事業仕分けは大きな政策について、すなわち大きな税金が投入される事業について、ほぼ見たということでございます。こうしたものは、さらに見える化、見えるようにしていくという、そのことのために必ずしもコストベネフィットにはなじまなくても、どういう仕事をそもそもこれはしているのかというところにまで広げていくことができるであろうと。そうしたねらいも持ちまして、私はこの行財政改革というものは本気で、すべての面において取り組んでまいりたいというふうに決意をしております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 東海地震対策についてのうち、まず被災市町に対する県の支援についてお答えをいたします。
     東海地震などの大規模災害の発生時には、まずは市町の機能維持が図れることが基本でありますので本県の大半の市町におきましては庁舎の耐震性を確保しておりますが、被災により万が一庁舎の機能を失った場合には消防本部など別の建物で本部機能を代替するなど、市町の機能を維持できるように二重三重の対策をお願いしているところであります。
     また、静岡県におきましては災害に対応するための初動活動をより迅速かつ効果的に行うため、東日本大震災で発生したような市町との情報途絶を防ぎ被災直後の市町からの情報を的確に把握できる体制の強化にも取り組んでおります。具体的には岩手県での経験を踏まえまして情報途絶の防止等に役立つ複数の通信網を確保しまして、映像とGIS――地図情報システムですけれども、GISによる防災情報の見える化を図り既存カメラの映像などによりまして、どこで何が起きているかといった情報や被害状況をいち早くリアルタイムで把握するために、情報基盤の整備を着実に推進してまいります。
     また、発災後の情報収集の結果、市町の対策本部の要員が不足する場合や行政機能の喪失が認められる場合には、災害対策基本法第七十三条の規定に基づきまして市町村警戒区域の設定などの応急対策の実施や、また第六十九条によりまして県が速やかにその事務執行等の補完や代替ができるよう平時から準備を進めてまいります。
     次に、災害発生時における民間との連携体制についてであります。
     東海地震などの大規模災害発生時には負傷者の救護、食料品や毛布などの生活必需品、緊急車両用の燃料の確保などを迅速に行う必要があるため、平成二十三年四月現在で医療関係団体、食料品の卸業者、運送業者、石油業協同組合など九十余の民間事業所と協定を締結しております。またこれとは別に県が事業者と包括協定を締結しまして具体的な運用や条件などの細目につきましては、改めて市町と各事業所とが個別に協定をしている場合もございます。
     県では、これらの協定の実効性を担保するために毎年一回、全協定業者との意見交換会を開催するとともに、この場を利用しまして協定業者相互の連携を図るようお願いをしております。また協力体制を確認するため県が実施する各種訓練への参加もお願いをしているところであります。今回の東日本大震災におきましては、被災地で不足していた野菜や果物を協定を締結しております静岡県経済農業協同組合連合会から御提供をいただきまして被災地へ搬送するといった取り組みも行っております。
     今後とも想定東海地震が発生した場合に、官民が協力して迅速な応急対策を実行できますよう引き続き協定業者との日ごろからの連携を深めるとともに、応急対策に資する新たな協定の開拓にも努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 焼津漁港の津波対策についてのうち、初めに水門の設置についてお答えいたします。
     今回の東日本大震災における大津波により、多くの漁船、漁港は壊滅的な被害を受けました。全国有数の水産拠点である宮城県気仙沼漁港でも登録漁船二百九十九隻のうち八割が被災して、漁船の一部が津波により陸上に打ち上げられ漁業活動や市街地の復旧に支障となっております。
     本年四月に策定しました焼津漁港マスタープランにおける津波対策では、焼津漁港の被災が我が国の水産物の供給に重大な影響を及ぼすことに配慮し、議員御指摘のとおり焼津港口と小川港口における水門計画を盛り込んだところであります。しかしながらこの水門は大型船舶が通行可能な超大型で新型式の施設となるため、現時点では動作の確実性や技術的完成度などが不確定であり、整備に当たりましては新技術の確立が不可欠となります。またこのことに加えまして、今回の大震災を契機に漁港の津波防御に関する方針の抜本的な見直しがあると見込まれることから、今後の技術開発や国の動向を注視しながら、実現可能性を十分見極めつつ慎重に検討を進めてまいります。
     次に、津波避難対策についてであります。
     県の避難対策としましては、津波発生時には津波危険予想地域の外への避難をすることとなっております。しかしながら漁港内の漁業関係者や一般利用者の避難が困難な場合に備えて焼津漁港では、津波避難ビルを七カ所を指定するとともに緊急津波避難施設を四カ所整備しております。今回の震災を受け五月二十一日に津波対策緊急避難訓練を実施し、陸閘の作動状況、避難ルート・避難場所等の総点検を行い、避難誘導施設や陸閘の閉鎖時におけます避難経路の確保等の課題を把握したところであります。今後は、この点検結果をもとに短期的には漁港内の労働者や利用者が安全な場所に円滑に避難できるよう防潮堤への階段や避難誘導看板の設置を行うとともに、避難ルートや避難場所の見直しを進めていくこととしております。また中長期的には静岡県津波対策検討会議や中央防災会議による東海・東南海・南海地震の三連動地震の検討結果を踏まえまして、避難対策や施設整備を進めることにより、焼津漁港の機能維持に最大限努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 新学習指導要領における学校現場の状況についてお答えいたします。
     ことしの四月から新学習指導要領が全面実施されました小学校の状況につきましては、これまで以上に子供たちの主体的な学習活動、特に言語活動を重視した授業に取り組む学校が多くなり、子供たちが互いにかかわり合いながら高め合う姿が見られるようになっております。また小学校一年生に導入されました三十五人学級編制につきましては、学級規模が小さくなり一人一人に目が行き届き、個に応じた指導が可能になったなどの報告があり、新しい制度が順調にスタートできたものと考えております。今後も成果と課題の検証に努めてまいります。
     一方、新たに外国語活動が導入されたことや、議員御指摘のとおり各教科の指導で論理的思考力やコミュニケーション能力などの向上が重視されるなど指導する内容がふえ、これまで以上に授業研究を必要とする中、週当たり一時間または二時間の授業時数がふえたことにより授業の研究や準備、事務処理等の時間の確保が難しくなり教員の負担がふえているとの声も多くあります。
     県教育委員会といたしましては、教職員定数の改善を国に働きかけ加配を活用して実験・観察など専門的な知識・技能を必要とする理科等への専科教員の配置を検討するとともに、業務の精選など職場環境の改善を一層進めることで多忙化の解消に努めてまいります。
     次に、教科書採択についてであります。
     県教育委員会は、教科書無償措置法に基づき教科用図書選定審議会を開き選定審議会の意見を聞いた上で、採択の権限を持っております市町教育委員会に指導助言、援助を行っております。具体的には選定審議会は校長・教員、教育行政職員、学識経験者、保護者を委員とし、採択の基本方針を定めた上で各教科書の特徴を調査研究し答申を行います。県教育委員会では、この答申を報告書にまとめ選定のための資料として市町教育委員会及び県立中学校に配布しております。また全小中学校に教科書見本の回覧を行い、さらに県内二十二カ所で教科書展示会を実施し県民の皆様からいただきました御意見を市町教育委員会に提供しております。
     県立中学校では校内に選択委員会を設け中高一貫校という特性を考慮した上で、使用を希望する教科書を選択し県教育委員会へ内申を行い、県教育委員会におきましてこの内申に基づき採択教科書を決定しております。今後も教科書採択につきましては、適正かつ公正の確保が徹底されるよう市町教育委員会等を指導してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 駿河湾深層水の取水施設の現状と今後の対応についてお答えいたします。
     県におきましては取水管の状況の調査により得られた情報は、これまですべて公表をしてまいりました。また取水管の復旧が困難であることを、さまざまな機会を設けて焼津市を初め事業者の皆様などに丁寧に説明する一方、要望の聞き取りを行ってまいりました。取水管につきましては地震という自然災害によりまして大きなダメージを受けておりますが、二本の深層水取水管のうち三百九十七メートル深層水につきましては取水できる限り供給を続けてまいります。また六百八十七メートル取水管につきましては水深二百メートルから三百メートルのものと推定される海水が取水可能でありますことから残された機能を最大限活用し、この海水を利用することについても検討をしているところでございます。また事業者の皆様の要望を踏まえまして、これまで三百九十七メートル取水管の濁りの対策を検討するための取水管の状況調査を行いますとともに、深層水商品の認知度向上や新たな販路の拡大を図るため深層水商品を県みずからがスーパーに売り込みを行うなど、要望につきましてはきめ細かく対応してまいりました。
     県といたしましては、今後とも事業者の皆様との意見交換などを行いながらできる限りの対応をしてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 中野弘道君。
           (十九番 中野弘道君登壇)
    ○十九番(中野弘道君) 御丁寧な御答弁ありがとうございました。数点、要望と再質問を時間のある限りさせていただきたいと思います。
     まず、私が被災地へ行かせていただいて山田町の危機管理室長にお聞きしたときに、県の初動態勢のことの不備を涙ながらに話していただいたのが印象的でした。今、「GIS等情報基盤の整備をしっかりしていくよ」ということでいただきましたが、最初に山田町が全滅をしているので、そのときに情報機器がないから、それを県もこれから足りないところはやっていくというのはわかるんですけど、山田町の室長が言っているのは「県は待つ姿勢だった」と。結局、連絡がないからどうなってるかわからない。一日目連絡がない。二日目連絡がない。三日目ないということで、何も情報を自分からとろうとしなかったということで、先ほど六十九条の話も出て、県が速やかに代行事務をしていくというのはわかるんですけど、その瞬間的な、一日目、二日目のときに全滅して何も情報機器がない。例えば情報をやる人もいないという場合、これでGISとかいろいろ使って、どういう状態か大きなときはわかると思うので、そのときは県のほうで速やかに水、毛布を持って、例えば三万人の町で全滅だったら二万五千食持って入っていくと。瓦れきを撤去しながら入っていくというような、この一日目、二日目が全くなかったということを山田町の室長は言っていたので……。今部長がおっしゃっているのは、その数日後、一日後ぐらいの感じなんですよね。だからその瞬間のやつを緊急時だということで、すぐにやっていただくと。知事は危機管理部にちゃんとしていただいて、危機管理に非常に重きを置かれる知事なのでそういうことはお考えでしょうけど、係の部のほうで、一日目、そのときのしっかりと対応を、県が積極的に情報を収集する姿勢、そして人を助ける姿勢がまず大事だなということを感じたのでそれをお願いしながら、部長のお考えを少し、どうなっているかを、その辺がまだ答えになっていなかったので、それをお聞きしたいというのが一点でございます。
     そして焼津港の、先ほど地震の対策でありましたが、部長は見ていると思いますけど、津波避難施設というのがありますけど本当に小さいんですよね。これで大丈夫なのかという意見があるので、その辺をしっかりと検証して早期にやぐら等建設していただきたいと思います。
     少し時間がなくなってきましたので、あとは委員会でやらせていただきます。以上よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 被災市町に対する県の支援についての再質問について、お答えをいたします。
     山田町のほうで先生がお聞きしたところ、県は待つ姿勢であったということでありますが、本県の場合は発災した直後に直ちに、今四カ所に地域の危機管理局がございますので、そこに方面本部を立ち上げましてそれぞれ管内の市町の情報をとることに専念することにしております。特に我々、発災初動期七十二時間にどれだけの対応がとれるかということが非常に重要であるということを重視しておりますので、先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、なるべく二重三重でいろいろなところから情報がとれる、そういった仕組みを今ICT事業の中で、その情報を得るための方策――例えば携帯電話で、その中で被災している映像、それから状況をメールで送れるようなシステム、それをできる人を、例えば自衛隊のOB、こういった人たちにも指名していただいて、いろいろな多方面のところから、ただ単に市町からの情報だけではなくて、いろいろ多方面から情報を得る、そういった方法についても今一生懸命開発をしております。ですからそういったものができ上がれば、もちろん一義的には直ちに市町から情報が入ってくることが重要ですので、それを最重点にはしますが、それが万一できない場合にでも周辺のそういった人たちにID番号とそれから暗証番号を与えることによって情報を収集すると。そういった取り組みを進めることによって、少しでも早くどういった事態が起きているかという情報をつかめるように、これからもそういうシステムをなるべく早急に整備するように努めてまいりたいと思います。以上であります。

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