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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤田 寛 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/03/2014

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 行政経営改革について
 (1) 財政状況の認識
 (2) 健全財政の基盤強化
  ア 計画的な取り組み
  イ プライマリーバランスの目標設定
 (3) 組織体制の改革
  ア 基本方針
  イ 内部管理部門の一元化
 (4) 総合計画後期アクションプランの評価
  ア 地域づくりの評価
  イ 分野別計画のメンテナンス


○副議長(伊藤育子君) これで山本貴史君の質問は終わりました。
 次に、七十一番 藤田 寛君。
       (七十一番 藤田 寛君登壇)
○七十一番(藤田 寛君) 行政の生産性の向上、二十年前、県議会に初めて議席を得た私は、この言葉を耳にしたときある種の違和感を覚えました。なぜなら生産性の向上とは、生産現場等で機械化や省力化により仕事や作業の効率化を図るための手段としか理解をしていなかったからであります。今にして思えば不明を恥じるばかりですが、そんな私が現在県政に対し最も関心を寄せるのは行政経営における生産性の向上と多少なりとも成長しましたので、以下そうした視点から意見や提案を添えつつ一括して質問をいたします。
 第一は、現在の財政状況の認識についてでありますが、まずは本県における過去の財政健全化に向けた取り組みとその結果について点検をしてみたいと思います。
 平成十一年秋、翌年度の当初予算編成に当たり県は、財源不足額が約一千百億円にも上り、基金を全額取り崩しても予算編成は困難。このままでは財政運営で国の指導下に入る財政再建団体になりかねないとして財政危機宣言を発したのでありました。そして翌十二年度に財政健全化計画を策定されたわけですが、この時点が本県における財政健全化への本格的なスタートであったと言ってよろしいかと思います。
 そしてその後、行政運営面でも歩調を合わせ、対症療法的な節約型の行革から仕事の手法等をゼロベースで見直すリエンジニアリングの実践へとかじを切り、それは現在の新公共経営――NPM、つまり民間の経営手法を最大限取り入れた行政経営へと結実をしたのでありました。また財政運営面では財政規律を重視するための県独自の健全化目標をよりどころとしつつ、毎年度財政の中期見通し等を公表し、歳入の確保と歳出のスリム化に努めてきております。
 こうした不断の取り組みの成果は、現在さまざまな数値により証明されています。国が法定している判断指標は全て基準を下回り、県独自の目標は経常収支比率を除いて毎年度全て目標値をクリアしています。とりわけ借入金である通常債残高は二十五年度決算では約一兆七千七百億円と二兆円程度とする目標値を大きく下回り、市場では高い格付を維持しており、償還財源である県債管理基金も四千億円ほど確保されています。また財源捻出では毎年度平均で二百億円近い実績を上げており、財源不足に対する充当財源となる活用可能基金は四百億円から五百億円程度確保できているのであります。
 こうして見ると、財政危機宣言を発した十五年ほど前とは文字どおり隔世の感がありますが、結論的にはこの間の財政運営改革の手法に誤りや遺漏はなく健全化への取り組みは着実に推進され、臨時財政対策債に代表される国と地方の税財源の構造改革という課題を除けば、本県の現在の財政状況は健全段階に到達をし健全性は堅持されていると私は判断いたしますが、知事の御認識をお伺いするものであります。
 第二は、こうした財政の健全性を将来にわたり堅持するための基盤の強化についてであります。
 県では、先述したとおり十二年度に財政健全化計画を策定しましたが、十四年度からは現在の財政の中期見通しと健全化への取り組みという資料を公表する方式に変更し、既に十三年間が経過しようとしています。そこでこの資料を改めて拝見すると、その構成は向こう五年間の県独自の財政健全化目標や財源不足額の試算結果、当該年度の予算編成における歳出のスリム化や歳入の確保に関する項目別実績額、そして当面の課題と今後への対応に関する記述、以上のとおりとなっています。
 およそ十五年近くに及んだ県の財政健全化に向けた取り組みを私は評価をするものですが、殊この資料に限って申し上げれば、その努力の足跡を正確に検証できないと言わざるを得ないのであります。それは挙げて、この資料は単なる財政見通しの試算結果と発表年度の財源不足の解消に至った実績報告などにとどまっているからであります。換言するとすれば、PDCAサイクルのPに相当する健全化目標の達成や、財源不足の解消に向けた歳入歳出両面を複数年度にわたりマネジメントする目標や工程や手段等を内容とする中期財政計画とも言うべきプランが作成されていないからであります。
 毎年度歳出のスリム化や歳入の確保について各項目ごとの取り組み実績が報告されていますし、行財政改革大綱でも個人住民税や県有財産の売却等に関する数値目標が設定されていますから、技術的には計画化に伴い特段の困難を強いられるとは思えないのであります。財政運営に求められるのは何よりも堅実性であるがゆえに単年度ごとの対症療法的な対応は回避しなければならず、将来にわたって健全財政の基盤を着実に強化するためには計画的な取り組みが不可欠なのであります。
 もちろん国の地方財政対策や経済状況の影響は避けられないとしても、県みずからの自助努力として現在の財政の中期見通しに関する資料を継承発展させ、例えば総合計画の目標である六百億円の財源捻出に向けた手段や工程を盛り込むなどなど財政運営面でもPDCAサイクルに基づく取り組みを強化すべきと考えますが、御見解を伺うものであります。
 次は、プライマリーバランスにかかわる目標設定についてであります。
 今年度を初年度とする後期アクションプランや行財政改革大綱では、プライマリーバランスの黒字の維持を新規に目標設定しました。プライマリーバランスとは現年度の税収等で政策的経費をどの程度賄っているかを示す指標であります。現在プライマリーバランスを財政健全化の目標として設定しているのは本県を含め十二県ですが、地方交付税の身がわりである臨時財政対策債を一般財源として歳入に含めている本県では二十五年度決算で約一千二百億円、つまり予算現額の約一割に相当する巨額の黒字でありました。また過去四年間全て一千億円台の黒字をキープしています。
 しかし、予算現額に対する適正な黒字額の比率を示す適正率に関する定見がないことや、一方では財源不足の発生が常態化している現実を考え合わせるとプライマリーバランスの巨額の黒字をもって財政健全化の状況を判断できないことは自明の理であります。それよりも重要なのは行財政改革の推進に不可欠な現役世代の県民の理解が得られるかという観点ではないかと思うのであります。
 プライマリーバランスとは、単純化して言えば納付された税金がどれだけその年度内に使われたかを示す指標であることから、税金の負担者であり行政サービスの受益者である県民サイドに立った場合、収支の均衡こそが最も納得の得られやすい姿ではないかと思うのであります。換言すれば、結果としての巨額の黒字と享受する行政サービスの充足度とのバランスに疑念を生ずるようなことは避けなければならないのであります。また行財政改革大綱で力説されているとおり、県全体の行財政基盤の強化という視点からは県だけでなく三十五市町におけるプライマリーバランスに関しても問題意識を共有すべきと思うのであります。
 先ごろ、三十五市町の二十五年度普通会計決算が公表され、実質収支は全ての団体で黒字とのことですが、プライマリーバランスに関する報告はありませんでした。行財政改革大綱で既に目標設定されている地方債の許可団体数や将来負担比率が基準以上の団体数と同様に位置づけをすることも検討されるべきかと考えるものであります。
 以上、県民の理解と市町での目標設定についてプライマリーバランスに関し問題提起をいたしましたが、御見解を伺うものであります。
 第三は、組織体制の改革についてであります。
 限られた行政資源である人材をどの分野にどれぐらい配置して投資対効果の最大化を図るかという組織体制のあり方は、多分官民を問わない永遠のテーマではないかと思います。とりわけ本格的な人口減少社会が到来する中でも持続的な行政サービスの提供を使命とする本県においては、文字どおり不断の見直しが求められているのであります。
 そこで、これまでの組織体制の変遷を概観してみますと、大がかりな改革は平成十一年度のフラット化、そして十九年度の大くくり化の二回でありました。また職員の定員管理では十年度から計画的に実施され、その結果、本年度までの十七年間で一千四百五十八人を削減、平成九年度比で約二割減という実績を残しています。
 こうした足跡を見ると、市町村合併や政令市の誕生といった県内自治構造の変化やそれに連動した権限移譲の推進等によって、簡素で効率的な組織体制の実現という面では一定の成果を示していると思うのであります。したがって今後はこうした成果の上に立って、なお一層県民本位の組織体制の構築に向けたモデルチェンジをしなければならないと思うのであります。その際に留意すべきは新たな行政経営の課題である本格的な人口減少社会への対応、そして行財政改革大綱で示すとおり市町や民間と連携した県全体での行財政運営の最適化、この二点に集約をされると思うのであります。
 組織体制にベストはありません。いつしか制度疲労的な支障が生じ客観的な環境変化への立ちおくれが散見されるのが常と言えます。くしくもフラット化から八年後に大くくり化が行われ、そしてまた八年が経過しようとしていますが、今後の組織体制の改革に向けた基本方針を伺うものであります。
 次は、内部管理部門の一元化についてであります。
 知事部局の組織は、受益者である県民を対象として直接行政サービスの提供を行う事業実施部門と、人事や財政や法務そして全庁的な政策課題の比較や調整を担う内部管理部門の二つに大別が可能かと思います。地方公共団体の組織は、言うまでもなくその組織自体や職員のためではなく県民本位の視点に立って県民の幸福度の向上に貢献できるものでなければなりません。つまり限られた行政資源は最大限事業実施部門に投入されるべきであり、内部管理に費やす比率は極力低減するとともに、効率的な執行体制の構築を図ることが肝要かと思うのであります。
 ところで現在、後段でも述べますが、本県の行政経営の最高位に位置づけされている総合計画の評価が実施されています。その所管は企画広報部であり数値目標の進捗状況を中心とした評価案が示されています。御承知のとおり、総合計画には二十九年度までの歳出試算と主な取り組みに係る年度別の想定事業費が明示されていますが、残念ながら評価案では数値目標の進捗状況と表裏の関係にある事業費の支出実績に関する言及はありません。年度中途で評価を行おうとしていることにも一因があるわけですが、これでは投資対効果を検証することは不可能でありPDCAサイクルが機能しないのであります。県民への説明責任を果たす上でも、あるレベルまで進捗を図ったという報告とともに、そのためにこれだけの税金を使ったという両面での明示が必要なはずだと思うのであります。
 本来、数値目標を管理することにより立証される事業の進捗状況とその推進力である人的、財政的な資源の活用状況は一体的なもののはずなのに、なぜこのように分離してしまうのか。その原因は現状の組織体制にあるのではないかと私には思えてなりません。つまり先述したように数値目標の管理は企画広報部、人事や財政は経営管理部と二つの部に分立しているからなのであります。総合計画の評価は言うなれば内部管理業務であり、関係する企画課、人事課、財政課の三課は同一の部内に置き一元的に総合計画を管理し着実な進捗を図るべきかと考えますが、いかがでしょうか。また知事部局全体レベルでも高知県や奈良県や兵庫県や広島県などで既に先進例が見られますが、いわゆる総務や企画といった内部管理部門の一元化を図るべきと考えますが御見解を伺うものであります。
 最後は、総合計画後期アクションプランの評価についてであります。
 まずは、前期計画にはなかった五つの地域圏における地域づくりの評価であります。
 結論から申し上げれば、各部局の各地域圏での取り組み内容が述べられているだけであり、成果をあらわす数値目標が設定されていないことからPDCAサイクルに基づく進捗評価は不可能と言わざるを得ません。
 ところで、これまでもさまざまな地域活性化策が講じられながらも人口減少に歯どめがかからなかった現実と今後さらに本格化する人口減少社会への対応を考慮すると、旧来型の地域づくり計画の延長線上では心もとなく強い懸念を感じるのであります。各地域圏の特色やポテンシャルに根差した目標像を提示することは是としながらも計画期間はわずか四年間であることを念頭に置くと、未来や将来の目指す姿を描くことよりも、いま少し現実的な足元の課題の改善に向けた具体な取り組みを明確化することに軸足をシフトするべきではないかと思うのであります。
 例えば、伊豆半島地域。日本創成会議が本県において消滅の可能性を指摘した十一市町のうち八市町が集中しています。加えて民間研究機関が指摘された全市区町村を対象として実施した調査に対する八市町の回答を見ると、自然減対策や社会減対策のさまざまな事業の実施率は残念ながら極めて低く、十二の調査項目の全てが未実施という町も見受けられました。このように伊豆半島地域における焦眉の急は人口減少社会への的確な対応なのであります。
 本年度からスタートした新行財政改革大綱で新しく打ち出された、県だけではなく県域全体の行政運営の最適化という方向性、そしてそのもとで設置された行政経営研究会の目的に照らしても、それらと符合した各地域圏での目標設定が求められているのではないでしょうか。当然のことながらそれに連動した評価指標が明確化され数値目標の設定につながるわけですが、地域圏の目標の改善、そして数値目標の設定に関する御見解を伺うものであります。
 次は、総合計画を下支えをする分野別計画のメンテナンスについてであります。
 総合計画の着実な推進のためには、八十三にも上る分野別計画の着実な進捗が不可欠であるとともに、反面ではPDCAサイクルの全庁的な浸透度や実践度を測定する重要なツールにもなり得ると思うのであります。そこで分野別計画を概観してみると、まず計画期間の設定がされていないものが七つありますが、到達年度を設定しない、つまりエンドレスに継続するようなものは計画の名に値しないことをまずは指摘をしておきたいと思います。
 次に、数値目標の設定では一五%が未設定、年度別工程表は七五%が未設定、想定事業費は九〇%が未設定という状況であり、計画策定時の標準装備と言われるこの三項目では課題を残しているようであります。とりわけ文化振興基本計画は本年三月に改定されましたが、前計画では設定されていた数値目標が全廃されるという理解に苦しむ事態が生じています。また計画の評価や見直しの実施は全体の約三分の二が毎年度を予定していますが、県民の関心が高く緊急性も求められる地震・津波対策アクションプログラムでは、三年を目途に達成状況を検証し、対策の手法や目標の見直しを行うとしています。東海地震等の発生の切迫性に鑑みれば当然ながら毎年度とすべきであり、この二つの計画は一部リコール対象と言わざるを得ません。
 このように、分野別計画レベルでは総合計画を下支えするための不断のメンテナンスが実践されているとは言いがたく、計画の策定や評価や見直し等に関する全庁を対象とした統一マニュアルを策定し、全体の底上げを図るべきではないかと思うのであります。分野別計画の今後のメンテナンスのあり方についての御見解を伺うものであります。以上について答弁を求め、私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 藤田議員にお答えいたします。
 行政経営改革のうち、財政状況の認識についてであります。
 まずは、本県の経済財政状況につきまして正確な御認識をお持ちでありますことに敬意を表しますと同時に、また本県が取り組んでおります健全化の計画、実施状況につきましてもそれなりの評価をいただきましてありがとうございます。同時に厳しい御認識の上に立った建設的な意見もいただきまして、それを生かしてまいりたいというふうに思います。
 静岡県では、全国に先駆けて県独自に健全化指標を盛り込んだ財政健全化計画を策定いたしまして、投資的経費の重点化、優先化を進めることで県債残高の抑制に努め財政健全化を着実に進めてまいったところでございます。私が知事に就任いたしました平成二十一年度以降は通常債の残高を約二千億円減少させるとともに、職員数の見直しや未利用財産の売却など徹底した行財政改革に取り組みまして、四年間で六百四十八億円余りの財源を捻出いたしました。
 こうした取り組みにより、財政の健全化をあらわす指標につきましては、おおむね良好な数値を示しております。また民間の債権格付機関は、静岡県債につきまして格付を取得している地方公共団体の中で最上位に位置づけており、本県の財政基盤は高く評価されているところでございます。
 他方、残高が一兆円に迫っている臨時財政対策債に代表されますように現況の国と地方の税財政の枠組みは構造的な問題を抱えていることから、国に対してはこの見直しを強く働きかけてまいらざるを得ません。また財政の健全化が維持されているとはいうものの、財源不足が見込まれる状況には変わりはありません。引き続き県独自で徹底した行財政改革を行い、財政基盤をより強固なものにする取り組みを強い決意を持って進めてまいります。
 続きまして、組織体制改革についてのうち、基本方針に関してであります。
 静岡県では簡素で効率的な組織づくりを目指して、平成十一年度からは課の組織が業務棚卸表と連動するよう目的指向型組織に再編し、平成十九年度からは部局を施策目的別に大くくり化いたしました。その後は少子化対策や緊急経済・雇用対策など複雑化、高度化した行政課題につきまして特定の部局だけでは対応が困難になっておりまして、部局横断的な取り組みを組織運営上の課題として取り組んでおります。そうは言いましても内部管理部門、企画広報部と経営管理部は一つにすべきだということもございました。
 私どもは、この間、戦略監というのを設けまして、当時、最初は企画広報部長と戦略監を兼ねていたんですけれどもどうしても縦割りにとれるので、戦略監をいわば各部長の若干上位に立つ、横串を刺すというものとして、企画広報部は全体の調整をするというような形で、人事その他の内部管理につきましては経営管理部になるべく一元化していくというように努めているところではございます。
 今年度は、県政の最重要課題である人口減少対策、産業成長戦略及び内陸のフロンティアを拓く取り組みの三つのプロジェクトを加速させるため、副知事をトップに関係部局をまたぐ推進組織をそれぞれ設置いたしましたが、今後は三つのプロジェクトが相乗効果を生み出すよう相互の連携について工夫してまいります。
 また、人口減少社会にあって市町や民間と連携して県全体で行財政運営を効率化、最適化するため、県組織と市町組織の情報共有と政策連携に積極的に取り組んでまいります。具体的には、今年度県と市町の総意で行政経営研究会を設置し、ファシリティマネジメントなど五つの部会に県の関係課と市町が参加して共通する課題の解決に向けて具体的な検討を進めており、今後は市町の意見を伺い他の行政分野にも部会を拡大してまいります。
 県議御指摘の県民本位の組織体制に向けたモデルチェンジということは、私も念頭に置いておりますが、やはり成果をもあわせて見なくてはなりません。現在県職員が副市長、副町長として派遣されているところがございます。そこはほぼ例外なく浜松市を筆頭に藤枝市、裾野市、最近では焼津市など、さらに松崎町もそうですが、副市長、副町長が意思決定を持っておりますので、そしてまた人的ネットワークを現役世代の県庁職員と持っておりますので、極めてスムーズにいっています。
 一方、そうでないところ、例えば政令指定都市の場合に明確でございますけれども、その成果の違いが余りにも明瞭であるということから、こうした方向に向けてモデルチェンジをするということを通して県民本位に立って県市、県町一体になった行政サービスを高めることができるのではないかという今認識を持ちつつありまして、これからは市町からの派遣要請があった場合には積極的に職員を派遣し、しかも有能な職員を意思決定ができる場面において使っていただけるようにしてまいりたいというふうに思っております。
 今後とも、重要課題の解決に向けた部局横断的取り組みと、県全体の行政運営の効率化、最適化に向けた市町や民間と連携した取り組みを既存の枠組みにとらわれず積極的に進めていくことを基本方針といたしまして、環境変化に機敏に対応した組織体制の改革に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 下山経営管理部長。
       (経営管理部長 下山晃司君登壇)
○経営管理部長(下山晃司君) 行政経営改革についてのうち、健全財政の基盤強化についてお答えいたします。
 計画的な取り組みについてでありますが、財政の中期見通しは当該年度の予算編成とあわせ将来に向けて持続可能な行政運営を行っていくための資料として作成するとともに、県民の皆様に中期的な財政状況を御理解いただくために公表しております。作成した見通しは国の地方財政対策などを反映させ、翌年度予算の編成方針や歳入歳出の予算規模を決定する際の検討材料として活用しているところであります。
 一方、健全財政の確保に向けた取り組みにつきましては行財政改革大綱に目標と手段を盛り込んでおりますことから、これまでは中期見通しに健全化への具体的な取り組みを記載しておりませんでした。健全な財政運営を持続していくためには計画的な取り組みは欠かせないものであります。今後は個人県民税の収入率の向上や未利用財産の売却などの指標について工夫し、複数年にわたり、かつ六百億円の財源捻出にも資する目標を中期見通しに書き込むとともに、毎年度目標達成度を検証することでPDCAサイクルに基づく取り組みを強化してまいります。
 次に、プライマリーバランスの目標設定についてであります。
 地方財政においては、三位一体の改革以降毎年度の一般財源総額がおおむね同額に固定されている一方、社会保障関係費などの経費が増大しているため今後の財政運営はより一層厳しくなるものと見込まれております。このため単年度の受益と負担の状況を把握することの重要性が増し、本県ではプライマリーバランスを新たな指標として設定いたしました。プライマリーバランスは県債を除いた歳入と県債償還の元金及び利子を除いた歳出との収支を見る指標であります。均衡している場合は利子分だけ後年度の負担が増すことになりますので、少なくとも年間の利子分は黒字であることが望まれます。
 今後も、県民満足度の最大化に向け必要な行政サービスを提供しつつプライマリーバランスが黒字となるよう努め、県民の皆様に御理解いただけるようわかりやすく丁寧な説明に努めてまいります。また市町での目標設定につきましては住民の皆様に財政状況を説明する際の有効なツールとして活用されるよう、市町に対する健全財政堅持の助言とあわせまして情報提供し問題意識を共有してまいります。
 次に、組織体制の改革についてであります。
 内部管理部門の一元化についてでありますが、人事、財政部門は限られた人的、財政的資源の中で着実な行財政運営に取り組む役割を、一方企画部門は新しい施策の企画立案や総合計画の策定と進捗管理の役割を担っております。二つの部門を経営管理部と企画広報部に分けて役割と責任を明確化することで行財政運営の健全性と施策推進の積極性、柔軟性のバランスを図っております。
 両部門は、総合計画の策定では方針の策定段階から協議し財政の中期見通しとの整合を図っており、さらに毎年度の予算編成では、まず事業実施部門でPDCAサイクルを活用した事業の見直しを積極的に進めるとともに、総合計画の前倒し実施を図るための戦略的政策展開を実施し、そこで採択された重要テーマには特別枠を設けるなど両部門が協力して予算案を調整しているところであります。
 企画部門が行っている総合計画の評価には個別の施策ごとの費用対効果の視点が欠けているとの御指摘については、今後事業費や人件費などの投入資源を明示した施策展開表との連動を強化するとともに、財政と連結した評価などを具体的に検討いたします。
 今後も、県組織が県民本位の視点に立って県民幸福度の向上のために最適な組織であり続けるため、総合計画や施策展開表による計画、実施、評価、改善のサイクルを全庁を挙げて着実に繰り返し、限られた行政資源が効果的、効率的に活用されるよう組織体制と組織運営の改革に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 行政経営改革についてのうち、総合計画後期アクションプランの評価についてお答えいたします。
 地域づくりの評価についてでありますが、後期アクションプランの地域づくりの基本方向ではポスト東京時代の日本の理想郷を支える特色ある五つの地域圏を形成するため、各地域圏の目指すべき姿を明示いたしました。その実現に向け、県と市町の企画担当部局で行う地域政策会議や内陸フロンティアを拓く県と市町の企画政策会議等を通じて連携協力して推進していくこととしております。
 総合計画の評価に当たりましては、今年度は各地域圏における課題やその対応策などについて市町と意見交換を行った上で、県担当部局において自己評価を実施したところであります。しかしながら議員御指摘のとおり数値目標が設定されていないことなどから、県民へのわかりやすさという点では十分とは言いがたい面もございます。
 このため、来年度以降は地域政策会議を通じて市町にも評価に参画していただくとともに、地域圏別の目指すべき姿に向けた施策の進捗状況が確認できる数値目標や固有の課題解決に向けた取り組みの工程表を明らかにすることなども検討しながら、地域づくりの評価の精度を高めてまいります。
 次に、分野別計画のメンテナンスについてであります。
 本県では総合計画に数値目標や工程表を可能な限り盛り込み、毎年度外部評価を徹底し施策の改善を図り、その結果をふじのくにづくり白書として県民にわかりやすく公表しております。総合計画の下位計画に位置づける八十三の分野別計画につきましても、七十一の計画が数値目標を掲げているほか六十四の計画が評価、見直しを実施しその結果を公表するなど、平成二十三年度以降、総合計画の進捗管理の手法が分野別計画にも浸透してきております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり計画ごと数値目標の取り扱いや評価の手法が異なるなど統一的な形にはなっていないことから、今後国などの上位計画との関連や個々の計画の状況も考慮した上で、できるだけ改善を図っていく必要があると考えます。総合計画と分野別計画とが連動し、共通の目標である県民満足度の最大化に向けてより効果的な県政運営が図られるよう、今後適切な数値目標の設定や毎年度の外部評価の実施など計画の策定及び進捗管理に当たって標準となる指標を庁内に示し、分野別計画の改善に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) これで藤田寛君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。再開は午後三時といたします。

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