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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

良知 駿一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2023

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 浜名湖花博2024における来場促進の取組について
2 文化財のデジタルアーカイブ化について
3 これからの人とコンピューターが共存する社会に向けた探究学習の推進について
4 避難に資する情報の精度向上について
5 市町情報システムの標準化、共通化に対する県の支援について
6 スタートアップ企業の事業拡大に対する支援について


○副議長(鈴木澄美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二十番 良知駿一君。
       (二十番 良知駿一君登壇 拍手)
○二十番(良知駿一君) 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事及び関係部局長、並びに教育長、教育部長に一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、浜名湖花博二〇二四における来場促進の取組について伺います。
 浜名湖花博二〇二四の開幕まで残すところ四か月を切り、実行委員会事務局の職員も開催準備に多忙な日々を過ごしているかと存じます。今回の花博のテーマは「人・自然・テクノロジーの架け橋〜レイクハマナ デジタル田園都市〜」であり、花緑のすばらしさを実感できる植栽や花緑と先端技術との融合等を体験できる展示アトラクションを見どころにすることを目標にすると聞いています。
 昨年度の私の一般質問で取り上げたように、花とデジタルで焦点がぼやけてしまっておりテーマに全面的に賛同しているわけではありませんが、年明けからは会場となる浜名湖ガーデンパークにおいて本格的な会場設営を行うとのことであり、来場者に満足していただけるようしっかりと準備を行っていただきたいと思う一方、どんなに万全な会場整備や受入準備を行っても実際に多くの方に来場していただけないと花博を開催する意味がありません。
 浜名湖ガーデンパーク会場の目標来場者数五十五万人の達成のためには、様々な機会を利用しながら花博の魅力についてしっかりと情報発信していく必要があります。ゴールデンウイークに続き先月にもプレイベントを開催するなど機運醸成に取り組んでいることは承知しておりますが、現段階では花博開催について県内外で充分な周知がされているとは言えない状況ではないかと感じております。
 そこで、県は今後どのように情報発信を行う予定なのか伺います。
 また今回の花博開催は、現在大河ドラマの放送により脚光を浴びている私の地元浜松市にさらに観光客を呼び込みコロナ禍で落ち込んでいた観光需要を回復させる大変よい機会であり、地元観光関係者も期待をしております。来場者の方々に花博会場だけでなく周辺の観光スポットを訪れていただき浜松市内での滞在時間や消費を増加させるためには、地域の観光関係者との連携が欠かせません。
 そこで、県はどのように地域関係者との連携を行っていくのか伺います。
 次に、文化財のデジタルアーカイブ化について伺います。
 文化財とは歴史、芸術、学術上など価値の高い有形無形の遺産を指します。これらは文化的アイデンティティーや多様性を反映し、その適切な保存、活用は次世代への教育に寄与しまた文化、経済、社会的にも価値あるものです。
 一方、文化財は常に損失や劣化等の危険にさらされています。有形文化財については経年劣化をはじめ自然災害や人災害等により破損する危険性をはらんでおります。実際に熊本城では震災によって、国外のノートルダム大聖堂では火災によって被害を受けました。ですが熊本城は大量の画像データ、ノートルダム大聖堂は高精細な三次元点群データを被災前に取得済みでありほかのデジタルデータと組み合わせることで被災前の姿への復元に大いに貢献しました。
 このように、資料を精緻にデジタル化しインターネット等によって活用できるような体制をデジタルアーカイブと言います。デジタルアーカイブ化された文化財は保全と記録という面だけでなく、より多くの人々に文化財へ接触する機会をもたらします。しかしながら本県の文化財のデジタルアーカイブ化は進んでいるとは言えません。
 本県が取得している三次元点群データは、文化財のデジタルアーカイブ化が直接の目的ではなく精緻なものではありません。さらに静岡県立美術館のホームページにおいて高精細に見られる美術品は限られています。また二〇二〇年の日本博物館協会の日本の博物館総合調査報告書において全国の博物館を対象とした調査では、回答のあった館のうち八〇・六%がICTを利用した新しい展示方法が導入できていないことを、七七・五%がウェブサイト等での資料情報公開が不十分なことを、七三・九%が資料や資料目録のデジタル化ができていないことを課題としていることからも本県のデジタルアーカイブ化の進捗状況が推測できます。
 本県は、自然災害の面では南海トラフ地震のみならず近年の豪雨災害による被害も危惧され、それらから国・県指定の八百八十件の文化財を保護していかなければなりません。文化版BCPとも言える文化財のデジタルアーカイブ化に積極的に取り組むべきと考えますが、現状と今後の取組について伺います。
 次に、これからの人とコンピューターが共存する社会に向けた探究学習の推進について伺います。
 我々の生活の多くの面でコンピューター  日本語では計算機と言いますが  は必要不可欠な存在となっており、その歴史は人類の知の進歩と深く結びついています。世界で最初の計算機はアバカスと呼ばれるそろばんの一種であったところから始まり、それから時は流れ半導体の飛躍的な進歩により現在では手のひらサイズのスマートフォンへと進化しました。
 このコンピューターの進化の過程で特に注目すべきはユーザーインターフェースと言われる人とコンピューターの接し方の歴史です。初期のコンピューターの物理的なスイッチ操作やランプの点灯による出力の確認などから始まり、専門的な知識を持った人間しかコンピューターを扱えなかった時代を乗り越え、現在のスマートフォンでも取り入れられているタッチパネルによる直観的なユーザーインターフェースへと進化しました。そしてチャットGPTのような対話型のAIの普及は人間が自然言語でコミュニケーションを行うという本能的な行為をコンピューターの操作にまで拡張しました。この一見シンプルな進展はコンピューターの歴史における重要な節目であると言っても過言ではないでしょう。
 デジタル技術は飛躍的な速度で革新が進みます。今年小学校に入学した児童が成人する頃には、人間とコンピューター間のコミュニケーションははるかに洗練され対話は滑らかで自然なものとなり質問や要望に対しては精度の高い情報が即座に提供されるようになることが容易に想像できます。したがってこれからの人とコンピューターが共存する社会に向けた教育は、決して先送りする課題ではなく現在進行形の課題と言えます。
 チャットGPTの急速な普及を受けて文部科学省は七月四日、暫定的ではありますが生成AIの利用に関するガイドラインを公表し、県教育委員会においてもこれに基づいて各県立高校に対してその取扱いの注意事項を示しているところであります。チャットGPTが普及し始めて一年といったところですが、AIの技術は今後ますます発達していきコンピューターも進化していきます。
 教育長は探究学習に力を入れて取り組んでいると伺っていますが、社会の中でコンピューターに任せられる役割は何か、人間にしか担えない役割は何かを見極める力を養いコンピューターを活用することによって、これまでの学習指導要領の枠にとらわれない発想が子供たちから生まれてくる可能性も広がるのではないかと思います。静岡県が掲げる探究学習を推進する上で日進月歩で発展するコンピューターをどう活用していくのか伺います。
 次に、避難に資する情報の精度向上について伺います。
 今年度私の地元浜松市においては、六月二日から三日にかけての梅雨前線等の影響による記録的な大雨で一名の貴い命が奪われました。この大雨では磐田市でもお亡くなりになられた方がおり、改めて御冥福をお祈り申し上げます。
 新聞報道によると、浜松市でお亡くなりになられた方は外出から帰宅した後に土砂崩れに遭ったとみられるそうです。帰宅前には御家族から避難指示が出ている旨の連絡を受けていることから避難指示の影響力の弱さを痛感しました。
 避難指示は、生命財産に被害が及ぶ可能性のある地域の住民に対し市区町村長が発令します。この指示は法的拘束力を持つ指揮または命令より強制力はないものの、立ち退き避難しなければならないという義務を課したものです。ただし安全な場所にいる人は立ち退き避難する必要はありません。
 それでは、実際に避難指示によって住民の避難行動が促されるのか。野村総合研究所が二〇一九年の台風十九号被災地域の居住者を対象とした水害への備えと対応に関するアンケートを実施しました。その結果調査対象三千百九十人のうち警戒レベル発令の有無を認識していなかった人が全体の一二・二%、発令されたことは知っていてもそのレベルまでは把握していない人が一六・六%存在することが明らかになりました。さらに警戒レベルを認識していた人の行動を分析すると移動を伴う避難をすべきであったのに移動避難しなかった人が七六・八%、そのうちの五九・一%は移動避難の検討すらしていませんでした。
 移動避難しなかった理由のうち最も多かったのは、自宅にとどまったほうが安全だと判断したであり九〇%以上の回答がありました。私自身も豪雨災害の後避難所への避難人数を確認したことがありますが多くて数人、ゼロ人も珍しくない状況であり、この結果はおおむね妥当であると思えます。
 住民はなぜ避難指示に従い避難行動をしないのか。そこには自分は大丈夫だという根拠のない正常性バイアスが働いており、その原因の一つが避難に資する情報の精度が低いことであると考えています。
 各自治体も避難指示にちゅうちょすることがないよう、空振りを恐れるなを合い言葉に防災業務に当たっているそうです。しかし避難指示が出されても、実際には災害が起こらなかったケースが続くと住民はこの指示は狼少年的なものであると捉え避難行動につながらないのではないでしょうか。
 仮に、この避難に資する情報の精度が一〇〇%、つまり避難指示が出された地区は必ず被災するとなれば指示された住民はほぼ避難するでしょう。一〇〇%という精度は極めて困難であるとしても精度をより高めていくことは住民の避難行動を促すため必須であると考えます。
 そこで、例えば県が気象庁とともに共同発表する土砂災害警戒情報など避難に資する情報の精度向上のための取組について伺います。
 次に、市町情報システムの標準化、共通化に対する県の支援について伺います。
 情報システムの標準化、共通化は、住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化を進めるため、これまで各地方公共団体がそれぞれ構築し運用していた住民記録や税、福祉等の基幹業務に関する情報システムを国が定める標準仕様に統一するものです。この構想が示された当初、全国共通のシステムになればコロナ禍に行われた一人十万円の特別定額給付金のような混乱やトラブルもなくなり、市町ごとにばらつきが生じている電子申請の対応も改善されるなど住民サービスが向上するほか、維持管理の負担軽減やシステムの開発や運用を委託している事業者への過度な依存など内部の課題も解決するだろうと大変期待しておりました。
 しかしながら、システムの調達はこれまでどおり各市町が行い原則不可としている機能の改変や追加も最小限度とはいえ容認されていることから、事業者への依存傾向は変わらないのではないかと心配しています。また移行期限が令和七年度末に設定され市町と事業者は短期間での対応を強いられることから、確実に移行し業務を円滑に継続できるか不安も感じております。
 最近私が問題と感じていたのは、現在運用を委託している事業者が標準仕様に基づくシステムの開発、提供を断念し撤退する事例が出てきていることです。撤退された市町は新たな委託先を探すことになりますが、ほかの事業者は既存の顧客対応で手いっぱいで新たな顧客の対応は難しい状況にあるようです。
 政府は、この問題に対応するため移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムの移行期限を別途設定することを九月に閣議決定しましたが、この条件に当てはまる例はかなり限定されるようです。私の地元である浜松市においても一部の業務で委託事業者から国の仕様確定の遅れにより開発期間が確保できず、このままでは移行期限に間に合わないと言われているそうです。政府が示す条件に当てはまらない可能性が高く、どのように対応していけばよいか分からないと不安を漏らしておりました。
 事業者の選定は市町自ら行うべきものではありますが、県はこうした現場の状況を把握しているのでしょうか。また市町は限られた人員で多くの作業を進めており、この先何か一つでもつまずけば移行期限に間に合わなくなる可能性もあります。
 県はこれまで、市町の情報システムの標準化、共通化を含めた市町のデジタル化に対してきめ細かな支援を行い、一つの市町も取り残すことなく足並みをそろえて進めていくと表明していました。こうした市町の状況を踏まえ県は市町に対してどのように支援していこうとしているのか伺います。
 次に、スタートアップ企業の事業拡大に対する支援について伺います。
 スタートアップ企業とは、ベンチャー企業の中でも新しいビジネスモデルや技術を用いて市場に新たな価値を提供しようとする企業とされています。ベンチャー企業とは異なるという説もありますが明確な定義はないと言えます。
 経済産業省ベンチャー有識者会議とりまとめによると、米国ではベンチャー企業の雇用創出は民間雇用の一一%と大きな位置を占め成長する新規企業の雇用創出力が大きいことが明らかになっており、日本においても創業十年未満の企業が雇用の多くを創出する一方成熟した企業は雇用を削減している傾向が見られ、新規雇用の創出におけるベンチャー企業の重要性が高いとされています。また近年の新しい技術、ビジネスモデルなどのイノベーションの多くはベンチャー企業から創出され社会課題の解決への取組もなされていることから、社会の新陳代謝にも大きな役割を果たしていると言えます。
 さて、東京商工会議所の創業・スタートアップ実態調査によるとスタートアップ企業の創業後・事業拡大期の課題としては、販路拡大や資金調達に次いで人材確保と新製品・新サービスの開発となっています。ベンチャー企業は社員数が少なく中小企業と同様に事業拡大に伴う研究開発に割ける社員が不足します。そして大企業より知名度や福利厚生の面で弱く採用活動も苦戦します。これらはベンチャー企業で勤務した私も感じており、また現にスタートアップ企業の経営者からもそのようなお話があることから事業を継続していく上で大きな課題であると考えられます。
 本年九月、県は静岡県スタートアップ支援戦略を策定しました。同戦略では創業前後の資金確保や他社とのネットワークの構築等に対しては手厚い支援がされておりますが、人材の確保には触れられておりません。スタートアップ企業が創業後さらなる事業拡大により急成長を遂げるためには人材確保が必然です。この人材確保という課題への対応に向けた支援が必要と考えますが県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 良知駿一議員にお答えいたします。
 浜名湖花博二〇二四における来場促進の取組についてであります。
 今回の花博は、都市の活力と田園の持つ豊かさにデジタルを融合させたデジタルガーデンシティ、デジタル田園都市の実現を目指しております。県内外から多くの方に来場頂くとともに、様々な魅力を有する周辺地域への周遊を促進するためには、議員御指摘のとおり効果的な情報発信と地域の観光事業者との連携が重要であると考えております。
 まず、情報発信につきましては、旅行会社を対象とした商談会や企業訪問等により花博の見どころ等を直接PRするとともに、県内外の集客イベントや商業施設でのプロモーション、記念切手の販売、ラッピングバスの運行など花博の知名度を高める取組を行っております。今後はJRや名古屋鉄道などの七十三駅でポスター広告を掲示するほか、花の魅力やイベント等の情報を満載した花博ガイドの配布を行ってまいります。
 あわせて、ウェブやSNSに加えテレビ局等を訪問するメディアキャラバンなどを実施し来場につながる広報を強化してまいります。
 また、地域の観光事業者との連携につきましては、今年度遠州浜名湖エリアの観光団体や企業との協働により花博と周遊観光を一体的に推進する体制を構築いたしました。この中で奥浜名湖地域や天竜浜名湖鉄道沿線の観光施設や体験農園、舟運の起点となる海湖館でのイベント、昭和の小堀遠州と称される中根金作氏が手がけた庭園を巡るツアーなど地域と連携した周遊観光を促進してまいります。
 具体的には、浜松・浜名湖ツーリズムビューローと協力いたしまして地域の観光施設の魅力やイベントの内容、地元飲食店の優待サービスなどをSNSやホームページで一元的に情報発信してまいります。加えて花博会場と地元商店街を巡るスタンプラリーや県外からの旅行ツアーの商品化など来場が周辺観光施設に足を伸ばす仕組みを充実してまいります。
 県といたしましては、効果的な情報発信や地域の観光事業者との連携により目標来場者数五十五万人の達成に向けまして取り組んでまいります。本県の花卉振興や地域経済の活性化にも結びつけたいと思っております。花緑にあふれた豊かな暮らしのすばらしさを発信してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(鈴木澄美君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 市町情報システムの標準化、共通化に対する県の支援についてお答えいたします。
 県は市町が令和七年度末までに取り組む情報システムの標準化、共通化に対して、県民の皆様の利便性向上の観点から取り残される市町がないよう手厚い対応や支援を行っているところであります。
 具体的には、市町が抱える課題や要望などを踏まえ県は国に対して必要な財政支援について繰り返し要望を行っているほか、移行に係る膨大な作業量へのマンパワー不足に対しては支援窓口の設置をはじめ研修会やワークショップの開催、支援ツールの提供などアウトリーチ型のきめ細かな支援を行ってまいりました。こうした中で委託事業者が撤退するなど期限までの移行が難しい事例を複数把握したことから、該当する市町を訪問し担当者と率直な意見交換を行い詳細な情報を確認いたしました。
 その結果、システムの移行に向けて事業者との役割分担が整理できていない事例や担当者が庁内で相談できる職員がおらず大変苦慮している状況等が判明いたしました。そのため県では、市町の求めに応じて事業者との打合せに同席し助言等を行うサポート体制を用意するとともに、同様の悩みを抱える市町の担当同士がチャットで気兼ねなく相談できる場を設けたところであります。
 今後市町は情報システムの本格的な移行作業に臨むことから、業務手順の乖離への対応や移行した情報システムと連携する既存システムの改修など様々な面で新たな課題に直面することが予想されます。
 県といたしましては、特に期限までの移行が難しい事例につきましては適切な期限が設定され確実な財政支援が受けられるよう引き続き国に対して要望するとともに、これまで以上に現場の声に耳を傾け早期に課題等を把握し現場のニーズに即した支援を行うよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 村松スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 文化財のデジタルアーカイブ化についてお答えいたします。
 本県では、八百八十件全ての国、県の指定文化財について写真や解説、地図などの情報を登載したしずおか文化財ナビをインターネット上に公開しております。しかしながら災害復旧の際に必要となる画像等の情報の蓄積については必ずしも十分ではありません。
 一方、災害復旧の際に非常に有益な先端技術を使ったアーカイブの事例としては、熱海市の国指定史跡、江戸城石垣石丁場跡の三次元点群データや県立美術館が所蔵する重要文化財一点の高精細画像などがありますが、費用等の理由からその普及については時間がかかっております。
 このため、まずは厳しい自然環境にさらされる建造物や劣化により保存が懸念される文化財の画像などのデジタル化を優先し、その対応を文化財所有者等に促してまいります。画像データの蓄積の重要性や熊本城の石垣の復旧などで確立している多数のデジタル写真を用いた復旧手法などについても研修会等を通じて市町や文化財所有者に周知してまいります。
 さらに、文化財所有者等による先端技術を用いたデジタルアーカイブ化には多額の費用が必要となることから国に対して支援制度の創設を求めてまいります。
 文化財のデジタルデータを残すことは次世代への継承のセーフティーネットとなります。市町や所有者、関係機関と連携して県内文化財に関するデジタルアーカイブ化の充実や高度化を着実に進め文化財の確実な保存に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) これからの人とコンピューターが共存する社会に向けた探究学習の推進についてお答えいたします。
 生成AIが社会変革の主役として期待され、今後これまで人が得意としてきた領域でもその能力を凌駕していくことが予測されます。議員御指摘の人とコンピューターが共存する社会を見据えれば、その中を生き抜く力として過去の発想にとらわれず新たなアイデアを生み出す創造力や、よりよい未来を様々な人と協力し実現するための関係構築力などが今後ますます重要になるものと考えております。
 私が重視する探究的な学びは、自ら問いを立て協働して答えを導き出す過程を通じてこうした能力を高めることができる優れた手法であり、社会が急速な技術進歩の中にあるからこそ欠かすことのできない学びのプロセスであると認識しております。探究的な学びの中で生成AIなどのICTを解決策そのものの作成に用いてしまうと、それらしい回答が生徒の思考を経ずに示されるだけとなり批判的思考力や創造性、学習意欲などへの影響が懸念されます。しかしながら生徒が基礎知識を持って適切に使いこなすことで、その活動にさらに深みを与え幅を広げることが期待されます。このため探究的な学びを進めるに当たっては、最終的なアウトプットに至るまでの過程において情報の収集または新たな視点の獲得さらには子供たちの認識だけでは立ち上がらない問いへの気づきなどに生成AIを活用するとともに、それらの結果を情報端末で共有するなど主体的かつ協働的な学びを進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、探究的な学びを通じ子供たちがコンピューター得意、不得意とする分野を理解し、創造力、関係構築力などの資質能力についてその重要さを体験的に把握した上で獲得できるよう努め、コンピューターと共存する社会の中で力強く生き抜く力を育成してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 避難に資する情報の精度向上についてお答えいたします。
 市町が発令する避難指示の目安として、県は河川の実測水位による氾濫危険水位情報だけでなく静岡地方気象台による数時間先の降雨量予測を利用し、土砂災害発生の危険度を伝える土砂災害警戒情報や河川水位を予測する洪水予報を市町に提供しております。また住民等に対しては、河川のライブカメラ画像や道路規制情報などの様々な防災情報を広く発信しております。
 土砂災害警戒情報につきましては、平成十九年の運用開始以来予測精度の向上に努めており、今年度は有識者や静岡地方気象台等と検討を重ね予測対象範囲をそれまでの五キロメートルメッシュから一キロメートルメッシュに細分化しました。これにより空振りの改善が見込まれることから令和六年度から運用する予定であります。
 洪水予報につきましては、県下三百二十二か所の観測地点の水位データの蓄積を継続しており水位上昇などの河川ごとの流出特性を分析し水位予測の精度向上につなげてまいります。また現在国が進めている水位予測等の技術開発に注視し県管理河川への導入を検討してまいります。
 県といたしましては、住民等の円滑かつ迅速な避難のために市町に対してより精度の高い防災情報の発信に努めるとともに、市町と連携し分かりやすい情報の提供により住民自らの防災行動を促し地域防災力の向上を図ってまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) スタートアップ企業の事業拡大に対する支援についてお答えいたします。
 スタートアップは短期間で急成長を目指すため成長段階に応じて必要となる人材の採用を拡大していく必要がありますが、人材を育成する時間や資金に余裕がないことなどから多くの場合即戦力となる人材を外部から採用しております。
 一方、起業して間もないスタートアップは大企業等に比べ知名度が劣り給与や福利厚生等の労働条件も一般的に低いこと、またスタートアップに就職しようとする人材がいまだ多いとは言えないことから必要なタイミングで人材を確保することが困難な状況にあります。
 今月中旬、イノベーション拠点SHIPにワンストップ相談窓口を設置しスタートアップの様々な困り事を支援してまいりますが、人材採用の相談には支援関係者によるネットワークを活用し県内の大学や支援組織等につなぐほか、スタートアップに関心のある人材との交流会を開催するなどして人材確保を支援してまいります。
 あわせて、起業やスタートアップへの就職を志す人材が増えるよう次代を担う若者を対象とした人材育成等にも力を入れスタートアップの事業拡大に対する支援に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 良知駿一君。
       (二十番 良知駿一君登壇)
○二十番(良知駿一君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 幾つか意見、要望を申し上げさせていただきます。
 まず、浜名湖花博二〇二四における来場促進の取組についての件でありますけども、質問の中でもですね目標は五十五万人というのは申し上げさせていただきまして答弁のほうでもそこに向けて頑張っていくというようなお話がありましたが、この目標五十五万人というのはそれが達成できたからといってこの事業が成功したと言えるわけではないということでございます。つまりこの成功というのは何かというところをきちんと把握していただくこと、つまり成功はですね事業後のその花卉産業でありますとかその地元観光産業への波及こういったところが成功なのかなというふうに思っておりまして、目標五十五万人というのはその成功に向けたKPIの一つにすぎないというふうなところを思っております。これは地元の観光関係者の方ともお話はさせていただきまして特に行政のやる事業に関しては、そこを目標にしてじゃあそれが達成できたらめでたしめでたしということが結構なりがちだというところもありますので、きちんとですねその事業のやる意味を認識していただいて本当に成功というところに導いてほしいなというふうに思います。
 そしてですね、これからの人とコンピューターが共存する社会に向けた探究学習の推進についてというところ意見を申し上げさせていただきます。
 知事もですね、教育長も大学で教鞭をとられたということで様々な課題を学生に出されたというところもあると思いますのでその辺を振り返っていただければなというふうに思いますけども、ちょっとこれインターネット上で見つけた課題なんですけど、これ京都大学の情報学部のチャットGPTに関連した宿題というのが紹介されておりましてちょっとこれ私も取り組んでみました。
 この宿題というのはですね、そのMSOパラダイムとは何か、MSOパラダイムによる課題解決の例にどのようなものがあるかとこういった課題で、これはもうMSOパラダイムというのは別に置いといてですね、これはチャットGPTなどの生成系AIを用いて以下の問いに対する解答を作成するとこういった課題でございます。その画面をスクリーンショットに貼り付けてレポートするというところで条件がですね、人間が作文することは認めない、うそや間違いを回答として採用してはいけないとこういった課題であります。これは非常に良問であるというふうに私は感じております。
 これはなぜかというとですね、MSOパラダイムという単語自体がインターネット上にそれほど掲載されていないということがありまして、これはなので単純に問いを生成系AIに入力しても間違った回答を返すわけです。これは生成系AIのインターネット上の情報を基にした大規模言語モデルの特徴でもあります。そのためですね適切な回答を生成系AIに返させるためには学生がMSOパラダイムに関して完全に理解して回答を誘導しないといけないということがあります。やっぱ簡単に言えばですね生成系AIに教え込むと、必要があるということでございます。これはよく教える側に回ると理解が進むとこういった話がありますがまさしくそれであります。
 AIを使えば課題の回答は簡単に得られるというような指摘は数多くありますけども、それは従来までの課題の出し方などが教育方法がこれからの社会に対応しきれていないということが逆説的に示されている、そういったことだと思っております。コンピューター、AIを活用した教育とはどうあるべきかこの辺も研究を続けてほしいなというふうに思います。以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(鈴木澄美君) これで、良知駿一君の質問は終わりました。

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