本会議会議録

答弁文書

令和３年２月静岡県議会定例会

山﨑　真之輔議員(ふじのくに県民クラブ)の代表質問に対する答弁

（質問日:02/25/2021番目）

答弁者

：

経済産業部長

○副議長（良知淳行君）　天野経済産業部長。
○経済産業部長（天野朗彦君）　若者施策の充実についてのうち、県内企業への就職促進についてお答えをいたします。
　新型コロナウイルスの感染拡大を受けて地方への移住に関心を持つ二十代から三十代の若者が増加しております。人々の意識や生活のスタイルが大きく変化する中地域の企業への関心も高まっております。こうした若者が地方へ定着するためには若い人にとって魅力的な仕事の存在が重要であり、首都圏等の本県出身の若者などにいかに県内企業の有益な情報を届け具体的な就職に結びつけていくかが肝要であります。
　このため、県では地域経済牽引企業など地域の優良企業の革新的な技術や商品開発等の取組をＳＮＳで動画配信しているほか、本県出身学生が多い就職支援協定締結三十二大学の学内ガイダンスへの県職員の参加などを通じて本県の企業情報を学生に直接届ける工夫をしております。また東京の静岡Ｕ・Ｉターン就職サポートセンターや県移住相談センターではオンラインによる相談体制を充実させ一月末現在で三千四百三十五件、前年同月比約一・二倍の相談が寄せられております。
　一方、コロナ禍で余儀なくされたオンラインによる就職活動は学生にとっても地域企業にとっても地理的なハンディをむしろ減少させました。県内企業でもオンラインを取り入れた企業では参加者が例年より増加しており、県内外に住んでいる学生などとの重要な接点となっております。
　このため、県では労働局や経済団体等と連携してライブとオンデマンドの就職相談会を秋口に二か月間にわたって開催し百九十四社の県内企業と三百二十七人の学生とのマッチング支援に取り組んでまいりました。さらにインターンシップにつきましても企業側にオンライン開催についてのノウハウがない中、県では専門家によるオンラインインターンシップのカリキュラム作成支援を行い大学生の県内企業への就職支援に注力しております。来年度はオンラインインターンシップの導入セミナーの開催回数を増やし企業と学生とのマッチングの一層の促進につなげてまいります。
　県といたしましては、感染症の影響を強く受ける中でのＳＮＳ等を活用した情報発信やオンライン就職相談会などの取組の成果と課題をしっかりと検証し今後の就職支援施策に反映させ若者の県内企業への就職促進を図ってまいります。
　次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてのうち、再生可能エネルギー導入量の拡大についてであります。
　国は、二〇五〇年の温室効果ガス排出量実質ゼロの達成に向けてグリーン成長戦略を昨年十二月に公表いたしました。この中で再生可能エネルギーの普及を重要な柱の一つとして掲げております。
　県では、これまでふじのくにエネルギー総合戦略に基づき再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいりました。特に太陽光発電につきましてはこれまでに原発二基分に相当する二百十万キロワットが導入され目標を二年前倒しして達成したところであります。今後さらに再生可能エネルギーの普及を推進していくためには発電設備の高効率化や蓄電池の性能向上、ＩＣＴ技術で制御された地域自立型エネルギーシステムの構築など基盤技術の開発が不可欠であります。
　このため、県では創エネ・蓄エネ技術開発推進協議会を中心に関連技術の研究者と県内企業とのマッチングを促進し、現在八件の具体的な実証事業を進めております。また来年度は国の産業技術総合研究所と県内企業の共同研究に関する公募テーマに脱炭素化に関する研究を加え県内企業が抱える技術開発上の隘路の克服を図ってまいります。
　さらに、現在県内のエネルギー事業者二社により地域に分散する再生可能エネルギーを蓄電池と遠隔制御で組み合わせ電力の有効活用を図る仮想発電所バーチャルパワープラントの実証事業が行われております。県では県内企業による地域自立型エネルギーシステムの構築を積極的に後押しすることで再生可能エネルギーの導入促進に向けた基盤整備を進めてまいります。
　県では、こうした取組を着実に推進しつつ来年度改定するふじのくにエネルギー総合戦略の中で国のエネルギー政策の動向も踏まえた上で新たな数値目標を設定してまいります。そして本県が有する多様な地域資源と県内企業の高度な技術力を最大限に生かし再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に取り組んでまいります。
　次に、クラウドファンディングを活用した取組についてのうち、中小企業等の資金調達支援についてであります。
　クラウドファンディングはインターネットを通じて不特定多数の人々から資金を募る仕組みであり、資金提供者に対するリターンの形態により寄附型、購入型、融資型及び投資型に大別されます。近年では出資の見返りにプロジェクトに関連する商品、サービスの提供などが行われる購入型を中心に利用が拡大しております。
　クラウドファンディングは新たな資金調達手段としてだけではなく情報収集や広告効果などのマーケティング機能を兼ね備えております。このことから新商品や新技術の開発をはじめまちづくりや農業振興、水産資源の保全など幅広い分野で活用が進んでおります。県内でも熱海銀座通りを中心としたエリアの再生事業に活用されるなど新たな取組事例も出始めております。
　クラウドファンディングは企画力次第では事業趣旨に共感した幅広い出資者から短期間で資金調達が可能となる魅力的な手法であります。しかしながらその反面不十分な事業計画により目標額が達成できない、あるいは出資者が期待したリターンを得られないなどの課題も内在しております。このためまずは県内企業のクラウドファンディングに対する理解を深め有効に活用できるよう支援していく必要があります。
　県では、今後県内で先駆的に取り組んでいる事業者のネットワーク構築を進めクラウドファンディングの利点や課題の共有化を図ってまいります。そしてその成果をセミナー等を通じまして広く関心のある企業へと還元し県内企業への導入の促進を図ってまいります。
　次に、県産品の販路拡大についてであります。
　クラウドファンディングの活用は農林水産分野の六次産業化などの新たな取組についても拡大しております。クラウドファンディングは農林漁業者の思いに共感した消費者と直接コミュニケーションを図ることが可能であり、浜名湖におけるウナギの放流や感染拡大により打撃を受けた温室メロンの購入支援など県内でも取組事例が増加しております。またクラウドファンディングに挑戦する事業者を紹介するサイトも開設されるなど民間での動きも進んでおります。
　こうした中、県では現在新型コロナウイルスの感染防止対策と経済再生の両立を図りつつ新たな経済政策フジノミクスを展開しており、その中で静岡、山梨、長野、新潟の四県から成る新たな広域経済圏山の洲くにの形成を図っております。
　コロナ禍により人々の消費や生活のスタイルが大きく変化し店頭販売が苦境に陥る中、電子商取引やＥＣサイトの売上げが急速に増加しつつあります。高い品質を誇る本県の農林水産物はＥＣサイトを通じた販売実績も高く広域経済圏でのサプライチェーンの確立とともに、今後多くのファンを獲得できる可能性があります。クラウドファンディングの活用によりファンと資金の獲得を先行しブランド力の向上などに注力することでさらに売上げの増加につなげるという好循環も期待できます。
　そこで、県では来年度国の新規事業を活用し新たなビジネスに挑戦する農林漁業者等のコンソーシアムにクラウドファンディングの専門家を派遣できるようにいたします。六次産業化にＤＸを掛け合わせ新しい付加価値を創造する取組にクラウドファンディングの専門家の知見を入れることで新たな資金調達の道を切り開き、県産品の一層の販路拡大を目指してまいります。
　県といたしましては、アフターコロナを見据えクラウドファンディングなどを活用した県産品の販路拡大を積極的に推進し本県の農林水産業の持続的な発展につなげてまいります。以上であります。

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