• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大石 哲司(牧之原市・榛原郡南部) 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2014

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 安倍総理の靖国参拝に伴う国際情勢と地域外交の推進について                               
2 静岡空港隣接地域振興事業費補助金について            
3 新幹線空港新駅の設置について                  
4 脱原発と浜岡原発の再稼動について                
 (1) 都知事選で交わされた脱原発論議                
 (2) 浜岡原発四号機の安全審査申請と県の対応            
 (3) 知事の言う民意を問うことの意味


○副議長(渥美泰一君) これで遠藤行洋君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、五十三番 大石哲司君。
       (五十三番 大石哲司君登壇 拍手)
○五十三番(大石哲司君) 私は自民改革会議所属議員として以下の四点について、一括方式で質問いたします。
 最初は、昨年暮れの安倍総理の靖国神社参拝と地域外交の推進についてであります。
 安倍総理の靖国参拝については、中韓両国が厳しく非難しておりますが、いにしえの昔より祖国に殉じた先人のみたまに時の為政者が崇敬の念を持って参拝することは世界の常識であり、他国がとやかく言うことではありません。靖国神社には、過ぎし大戦のA級戦犯が合祀されていることが彼らの反発理由でありますが、そもそも戦争末期の大都市無差別爆撃や広島、長崎への原爆投下という非人道的戦争犯罪行為を一切不問に付し、戦争責任を敗者に一方的に押しつけたのが東京国際軍事裁判であります。
 この東京軍事裁判の歴史的評価については議論のあるところでありますが、しかし勝者が敗者を裁いたことは事実であります。また戦争責任を問われたA級戦犯の中にも広田弘毅氏のように首相、外相として戦争回避に死力を尽くしながらも事ならず、不作為の戦争責任を問われ刑場の露と消えた文民政治家もいて、中韓両国がA級戦犯はナチス・ドイツと同じファシスト集団と決めつけ故人にむち打っていることには私は強い違和感を覚えます。
 しかし、それはさておき日本はあの戦争で戦闘員二百万人余、民間人百万人余という多大な犠牲を払い、国土を失い、ふるさとを焼かれ、また巨額の賠償金を支払って苦難の戦後処理をしました。そしてサンフランシスコ講和条約により独立以降現在に至るまでの六十有余年、我が日本国民は臥薪嘗胆、切磋琢磨して祖国復興を果たし、今や世界をリードする経済大国となりました。そして国連を中心とした平和と繁栄を願う責任国家として世界各国とりわけアジア地域の経済発展に貢献してまいりました。御存じのように対中ODAは円借款、技術協力、無償援助を軸に行われ、円借款の総額は三兆円を優に超えております。日用品から重工業製品に至るまで近隣諸国の民度向上に我が国は多大な貢献をしました。
 かように過去の戦争責任を認め、世界の発展に貢献してきた我が国の総理大臣が筆舌に尽くしがたい困難を克服した遺族と日本国民の意をおもんぱかり、みたまに参拝し追悼の念を表明することは、我が国固有の問題であります。
 しかるに、反日を民政の基本に置く中韓両国は、尖閣列島や竹島等の領土問題、また従軍慰安婦や歴史認識問題等を持ち出して、過去の経済支援を忘れたかのように既に清算済みの我が国の戦争責任を未来永劫にわたり追及する構えであります。したがって両国は今回の安倍参拝にかかわらず、国内外に向けて今後も意図的な反日キャンペーンを続けていくことでしょう。
 私は、先人尊崇という日本人の世界観に関する問題については、安倍総理に節を曲げない行動を期待するとともに、戦後レジームからの脱却と隣国同士が過去を清算し対等の立場で接する積極的平和外交の推進を心から期待するものであります。
 そこで、この靖国参拝問題と東アジア情勢について川勝知事の所見をお尋ねいたします。
 また、本県の進める地域外交についてでありますが、東郷和彦対外関係補佐官が地元紙のコラムの中で本県のふじのくに外交について、もとより静岡県民も国家の基本関係のただ中にあることを認めつつ、静岡県の地域外交の使命は相手地域との交流、経済、文化の三領域における百年の善隣関係を深く広く主体的に打ち立てることであると語っております。補佐官が例示した中国浙江省との三十有余年の交流の歴史と実績を考えれば私は補佐官の意見に共感を覚えますし、また昨日の地域外交に係る知事答弁も納得しますが、しかし反対意見や多様性を許容しない中国の政治体制や激しさを増す反日キャンペーン、そしてもう一つの大問題、かの国の地域格差そして大気汚染問題等を考慮すると我が静岡県の地域外交にも数々の障害が見え隠れいたします。
 中韓両国との観光交流客数も全国的に急激に落ち込んでいる中で本県の地域外交の推進についてどのようなお考えをお持ちか県知事にお伺いいたします。
 次に、静岡空港隣接地域振興事業費補助金についてお尋ねいたします。
 開港五年目の節目を迎える富士山静岡空港でありますが、現在地に建設地が決定したのが昭和六十二年十二月六日。以来二十七年の歳月が経過し土地を提供した地権者を初め空港建設にかかわった方々の多くが第一線を引かれ、また他界されました。そして地元町長として当問題にかかわりました不肖私も当時は四十六歳の元気あふれる壮年でありましたが、今は後期高齢者目前の老人となりました。
 幾多の困難を克服して開港した静岡空港が当初の利用予測に及ばず路線撤退もあり課題山積でありますが、総体的に言えば知事初め関係者の御努力で静岡県の空の玄関としての機能を果たしており、また未来への夢を育む新幹線新駅構想もあって、その将来は決して暗いものでないと私は確信しております。
 ただし、そういう中で私が危惧することは、時代の変遷とともに忘れられがちな地元地権者との約束の履行であります。当時県と地権者とのあの激しくも真摯なやりとりで交わした覚書、確約書の当事者や証人が減り今後の事業推進は、残された記録と先人からの引き継ぎに依存することとなります。
 そういう中で、空港立地地域の社会基盤整備事業である空港隣接地域振興事業費補助金については、開港後五年という期限が目前に迫ってまいりました。補助対象地域は旧榛原町、島田市、吉田町、旧金谷町ですが、事業執行率にばらつきがあります。町域全域が対象地域である吉田町は配分枠の消化率は一〇〇%ですが、一方坂部地区を主たる対象地域とする旧榛原町では、いまだ四四%と低迷しております。
 事業は、県による補助率が三分の一で残額は地元市町の出捐となりますが覚書を交わした平成初期と現在とでは地元自治体の財政状況が一変し、また町村合併もあり、そして地震防災対策等の喫緊の課題が先行するため、当初もくろんだ事業の期限内消化は不可能となりました。この事業の立ち上げは、当時地権者との交渉が難航する中で空港横断トンネルや大規模茶園造成事業とともに、地権者の空港建設協力の切り札となりました。かような重要事業の執行率にばらつきがあり、また当事者の真摯な努力にかかわらずやむを得ざる事情で事業未消化でありますので私はこの事業は今後も必要であと何年と言わず満額消化まで継続すべきだと思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。
 また、事業の早期執行については、補助率の改定も視野に入れるべきではないかと思いますがいかがでしょうか。また事業執行メニューについても地元との協議を踏まえて大胆な見直しを図る必要があると考えますがいかがでしょうか。
 次に、新幹線空港新駅について質問いたします。
 二〇二〇年の東京オリンピックに合わせ、首都圏大空港の補完空港として静岡空港を位置づければ、空港新駅の必要性は俄然高まるということで川勝知事を先頭に県が新駅構想を進め空港の周辺自治体や経済界等も大きな期待を寄せ、推移を見守っているのが現況かと思います。この空港新駅が現実になれば、東西に展開する本県全域にとってもビジネスや観光の利便性が飛躍的に高まることが大いに期待されます。ただその実現には課題が多くハードルも高いのが実情であります。
 その第一は、新幹線を運行するJR東海が空港新駅構想に全く耳を貸さないことであります。社長いわく、そもそも静岡県には駅を多くつくり過ぎたなどと県民の神経を逆なでするようなことを言い出す始末です。県はJR東海がそのようなかたくなな姿勢ならばと攻め手を変えて、静岡空港を南海トラフ巨大地震の基幹的広域防災拠点として整備し、その防災機能を補完する新駅の設置を目指しております。
 このことについてはぜひ進めてもらいたいと思うところですが、しかし先般内閣府が静岡空港の防災拠点化について、基本計画への記載を見送ったことが判明し一歩後退の感がいたします。しかし、それはそれとして以下質問をいたします。
 まず第一点は、森山副知事が出席されての我が会派の空港新駅勉強会の際に同僚議員からも強い意見が出されましたが、空港の防災拠点化と新駅を関係官庁や政治家に働きかけることも必要であるが、それよりも何よりも新駅構想の鍵を握るJR東海と何としてでも対話の場を持ち新駅の可能性、とりわけ新駅建設の工法あるいは列車運行に係る諸課題等について胸襟を開いて協議すべきではないかと私は考えます。そしてもしその努力を怠るならば空港新駅は構想倒れで終わってしまうと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、知事はまず防災拠点としての臨時駅を主張されますが、私はJRとの折衝が困難をきわめても新駅は普通駅であるべきだと思います。情報機能が集中する新幹線駅への設備投資を考えるといつ使うかわからない臨時駅への投資と維持管理は大きな問題点を含んでおります。JRが言うようにミカン箱を並べただけの駅はあり得ないからであります。私は設備投資を完璧にして一時間に一本まずは「こだま」が停車する普通駅を目指すべきだと思いますがいかがでしょうか。それが実現して初めて周辺地域及び県内のにぎわいが始まりますし、前述した隣接整備事業の目玉にもなり得ると思います。
 また、この新駅構想の推進につきましては、近未来にその恩恵を受ける若い世代の関心とパワーを引き出す必要を感じます。静岡空港建設時に促進キャンペーンを全県的に展開した榛南青年会議所の新年祝賀会の席で私は、君たちが県内各地の仲間や各種団体に呼びかけ新幹線新駅運動を起こしてほしいと呼びかけました。
 未来を担う若者たちが団結し強い意志で官庁やJR東海そして世論に働きかければ、不可能と思えることも可能となる。ミクロなアリの一穴が大きな突破口になるかもしれないと思いますが、知事のお考えをお伺いします。
 最後に、脱原発と浜岡原発の再稼働についてお伺いいたします。
 過般の東京都知事選挙では、専ら脱原発を主張した二人の候補は落選しましたが多くの都民がこれらの候補に一票を投じたことは事実であります。また福島第一原発の事故を目の当たりにし今なおふるさとに戻ることのできない人々の御苦労を思えば、脱原発に耳を傾ける国民は決して少なくありません。
 では、なぜ脱原発候補が敗れ即廃炉が受け入れられなかったかについて、私は改めて検証する必要性を感じ、以下に持論を述べて知事の所見をお伺いいたします。
 先日、地元牧之原市の友人と懇談した際その友人が、「今現在全ての原発が停止しているのに深刻な電力不足が起こっていない。だったらこのまま原発を廃止すべきではないか」と言いました。彼の問いかけに対し、私はなけなしの知識を駆使して幾つかの問題提起をしました。
 まずその第一は、現在の電力充足状況は休眠中だった火力発電所をフル稼働して生み出しているもので、万一火力発電所に事故が発生すればたちまち供給不足に陥ること。また火力発電所の化石燃料の輸入額は年間三兆八千億円にも上り、やがてこれは日本経済に深刻な影響をもたらすこと。当然家庭用の電気料金にもはね返ってくるし、企業の海外流出にもつながる。また今直ちに脱原発を決めても今後長期にわたり廃炉や高レベル廃棄物の保管等に取り組まなくてはならない。原子力に関する研究開発の場がほぼ発電関係に限られている我が国にとって、脱原発は原子力の安全性の追求、あるいは平和利用にかかわる研究者の減少と技術現場の縮小、閉鎖を加速することになり、これはかなりの学問上のリスクとなること。
 また、クリーンエネルギーについても太陽光、風力、波力、地熱、バイオ等による発電で我が国電力の総需要を充足することは不可能であり、たとえ充足できてもせいぜい二〇%である。ゆえに結論として即廃炉の前に原子力、化石燃料に太陽光等の自然エネルギーを加えた我が国の百年、二百年の安定的エネルギー基本計画を立てるべきでその中で原子力をどのように位置づけ、また減少させるべきかという問題であると私は力説いたしました。
 しかし、かの友人はぽつりと一言、「それでもなあ大石さん。浜岡がはぜりゃ、ここらはおじゃんだで、おらは原発は反対だ」――知事、これは榛原弁でございますので標準語で申しますと、浜岡が爆発すれば、ここらは全滅だで、私らは原発に反対しますということであります。
 浜岡のことは後ほどお聞きしますが、原発を否定する大きな理由に高レベル廃棄物の処理問題があります。このことについて科学技術社会学の権威、村上陽一郎教授によれば国際的には廃棄物をガラス固形化した上で地中に処理するとか、中性子を使って放射能の半減期を短縮させるという新しい技術も開発途上にあることで、これらの研究開発が成功すれば廃棄物問題は一挙に解決する可能性があるとのことです。また原子炉本体についても現在普及している方式とはかなり異なる新たな方式が模索されているとのことで、技術的な立場に立てば原発を取り巻く環境は決して悲観的ではないとのことであります。このようなことを考えると原子力は怖いものとしてあらゆる可能性を否定し思考停止に陥ることが、いかに非科学的かと言わざるを得ません。
 チェルノブイリ事故を起こしたロシアでも現在三十基以上の原発が稼働し、また近隣の中韓両国で三十一基が稼働中であります。また一説によれば中国はさらに五十基の増設を目指しているとのことですが、こうした東アジア情勢の中で資源小国の我が国がいち早く脱原発にかじを切ることには大きな課題があることがわかります。もとより福島の事故は二度と起こしてはなりませんし、ゆえに原発の安全性についてはあらゆる観点からの厳しいチェックを重ねる必要がありますが、それらの作業を経て予想される巨大地震等に対する安全性が国により科学的に保障された場合、休止中の原発の再稼働問題が現実となります。
 知事は、記者会見の中で東京都知事選挙を総括され脱原発候補の出馬と主張を評価されていましたが、そこで彼らの訴えた脱原発の主張の是非について、知事の所見をお伺いいたします。
 また、平成二十三年五月当時の菅総理大臣が稼働中の浜岡原発四、五号機をとめて以来、立地地及び周辺地域の住民は浜岡は危ないという呪縛から逃れられない状態が続いております。確かに今思えば地震・津波等に対する当時の安全対策は脆弱でしたが、あの時点での停止には一定の理解をするつもりです。しかし知事も評価するようにその後の中部電力による事故防止対策の実施により、浜岡原発の安全性は飛躍的に向上しているものと思います。そして去る二月十四日中部電力は、四号機について安全基準をクリアしたとして国の原子力規制委員会に対し安全審査の申請をしました。この安全審査の申請が直ちに再稼働に結びつくものではないことは承知していますが、再稼働を前提とした申請であることは間違いないと思います。
 そこで、このような事態を受けて静岡県として今後どのような対応をするのか。知事は使用済み核燃料の処分方法を例示されて、現状での再稼働は無理だとすぐわかると記者会見で述べておりますが、県は原子力規制委員会の求める安全基準に加え何らかの追加的安全基準を設けるか否かについて、知事のお考えをお伺いいたします。
 また、現時点では仮の話になりますが四号機が国、県の安全基準に適合すると確認された場合、再稼働への同意いかんということになりますが周辺各市町長の多くは再稼働の判断については民意を問うと言われております。そして知事も記者会見で浜岡原発の再稼働について、まずおのおのの住民は自分の意思をしっかり表明すべきだと言われています。この住民の意思表示の形はいろいろあるにしても結局は投票という形をとらざるを得ないと私は思います。その場合、私の友人のように福島の事故を踏まえて原子力はおっかないものだと心情的に思考停止している地域住民の一票一票が正しい結論を出すか否かについては、私はいささか疑問を持つものであります。
 したがって、再稼働については初めに民意を問うのではなくて知識も権限も情報も集中する知事や市町長が、規制委員会の判断を踏まえてまず再稼働の是非を決断すべきだと私は思います。そして首長が職を賭してした決断を議会に示し議会は審議し、また住民に徹底的に説明し議論を尽くした後にその手法はともかく、民意に耳を傾けるというのがリーダーのとるべき道であると私は思います。
 この点について、川勝知事のスタンスにいま一つわかりにくい点がありますので、この民意を問う、あるいは民意に委ねるという言葉の詳しい説明をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 大石哲司議員がお二人いらしゃいますが牧之原の重鎮、大石哲司議員の御質問に対してお答えいたします。
 まず、安倍総理の靖国参拝に伴う国際情勢と地域外交の推進についてであります。
 安倍総理の靖国参拝につきましては、今回の参拝に伴いまして日中・日韓関係が一段と厳しさを増し、また日米関係も損ないかねない状況を招いておりますことを憂慮しております。この国際関係の早期の関係改善を望んでいるところであります。
 安倍晋三氏も一個人として信条、信念をお持ちです。大日本帝国憲法でもまたもちろん現行の日本国憲法でも信仰、信条、そして宗教の自由というものを認めているわけでございます。
 もし、牧之原の大石哲司議員が総理であらせられるとすれば、靖国神社に参拝なさいますでしょうか。これはなかなかに難しい問題です。といいますのももともと靖国神社は、幕末に戊辰戦争等で陛下のために命を落とした人たちのために明治天皇が招魂社というのを京都にお設けになりました。そして明治天皇が東京に移られて、そして東京招魂社というのを改めて創建されたわけです。そしてそれが明治十二年に現在の名前の靖国神社になったわけです。そこに祭られている方々は、ひとえに陛下のために亡くなられた方でございます。そして陛下は言うまでもなく必ず御参拝をされておりました。陛下のために国民が犠牲になってその陛下が、犠牲になった日本人に対して鎮魂の礼を尽くされるという、そういう神社であります。ところが昭和五十年昭和天皇が、その年の十一月にお参りになって以降、一度もお参りになりません。また世は平成にかわりましたけれども、今上天皇もお参りになりません。私は最もお参りになるべきであると常に思われてるのが陛下御自身ではないかというふうにそんたくしております。陛下がお参りにならない、そうした陛下の御叡慮をおもんぱかる必要があるのではないか。また現在の状況が陛下の宸襟を悩ませているのではないかというふうに愚考している次第です。
 平成十七年、今上陛下、皇后陛下はサイパンに行かれまして、その年は小泉総理が靖国参拝をされた年でございますけれども両陛下は、サイパンでもちろん日本兵それから同時にアメリカ兵さらにまた現地の戦没者、分け隔てなくそれぞれの場所で深々と慰霊をされまして、その姿は本当に感動的でございました。私は日本のあるいは日本人の鎮魂の仕方というのは、お亡くなりになった方々に対しては敵味方の区別なくお参りするという、それが姿ではないかと存じます。
 このたび安倍総理は、靖国神社の本殿のみならずその向かって左側に鎮霊社というのがございます。これは一九六五年、筑波宮司のときに創建されたものでございます。そこは実は敵味方の区別なく戦没者を全て祭っているところでございます。私は、個人としては母の兄が祭られているので母が上京したときなどは、よく一緒に参拝したものでありますが、あるとき鎮霊社というのがあるのに気づきましてそこに参ろうとしたところ鉄柵で覆い囲まれてまして参拝ができない状況でございました。しかし今はその鉄柵も取り除かれたようで安倍総理はその鎮霊社にもお参りになられたということでございます。私はこの点はもっと強調されてしかるべきではないかというふうに思っております。ともあれ参拝につきましては、やはり靖国神社のその歴史を踏まえますならばやはり陛下のお立場といいますか、よくお考えになることが大切ではないかというふうに思っている次第でございます。
 地域外交の推進にかかわる覚悟と考えについててでございますけれども、国家間の関係が必ずしも良好でないときにおきましても、私どもは友好的互恵・互助の精神、誠意を貫くというそういう覚悟を持ちまして地域間交流の継続と拡大を図っていくことが、お互いが不慮のアクシデントで戦争になるということを防ぐ手だてではないかというふうに考えております。
 例えば議員のほうは中国と韓国を挙げられました。中国は日本の人口の十倍です。我々は日本の人口の三十分の一です。ですから中国の人口の三百分の一でしかない。したがってさすがに中国に対しては静岡県が何らかの影響を与えるといいましても、これは非常に厳しいということでございます。
 一方、韓国は五千万ほどの人口ですので私どもは四百万弱ということでいわば日本と中国の関係が、静岡県と韓国の関係ということでございます。その意味である程度のことができると、そういう感触を持っております。それは例えばモンゴルとも交流を持っておりますけれども、モンゴルはもちろんドルノゴビ県との交流でございます。ドルノゴビ県はわずか六万人です。我々は三百七十万です。国全体を合わせても三百万人に達しないような国ですからある意味で気楽に国との関係も地域同士の信頼関係に基づきながらできるということが、今回向こうのいわゆる日本における経産省、向こうの工業・農牧業省というところとの友好提携のようなものが実際に今課題になっているわけであります。
 そういう事情というのはあると思いますけれども、まずは浙江省との友好関係。これはやっぱり大事にしなくちゃいかんということで皆様方の御協力をいただきながら、三十周年事業を見事にいたしました。そしてことしは友好交流卓球大会も開くということでございます。細々とではありますけれども友好の実を上げていくということです。一方韓国とは、忠清南道との関係を大事にすると同時に釜山市との民間団体間のマッチング支援も今やっておりまして、地域レベルは言うまでもありませんが、ある程度この何ていいますかもう八方塞がりになっている状況を打開するための道を私なりに探っているところであります。
 今後とも、強い信念を持ちまして地域外交を静岡県として主体的に展開いたしまして、国の役に立つことができるかどうか。それを常に念頭に置きながら我々の相手との相互の信頼関係のもとに安定的、継続的な善隣関係の構築に努めてまいろうと考えている次第であります。
 続きまして、脱原発と浜岡原発の再稼働についてのうち、都知事選で交わされた脱原発論議についてであります。
 都知事選で原発論議が争点の一つになったということ自体が重要であると思っております。ただ都知事選では、即脱原発ということをうたう候補とそれについては反対すると。かといって再稼働に即賛成というわけでもない。よくわからない形での争点になりまして、即脱原発というほうは負けました。いずれにしましても私は、この議論の仕方自体が十分にこなれていないという印象を持っています。といいますのも原子力発電への依存度というのが電力会社によって異なるからです。地域性があるからです。例えば東京電力の場合には平成二十一年三二%です。関西電力とか四国電力、九州電力はそれぞれ五四%、五三%、五〇%です。御案内のように中部電力は一割強ということでございますので電力を安定的に確保するための電源構成が、地域の実情に応じて違うということです。
 日本全体のエネルギー政策として、原発依存度を五割にしていこうということが三・一一以前の国家的な約束事であり、それを我々も納得していたわけであります。ところが今度は初めてそれを下げていくということが課題になりまして、下げるときにそう簡単に下げられないところとたやすく下げられるところというのがございますので、そうした地域性というのをやっぱり我々は念頭に置くべきではないかと。私は日本における原発議論というのが、それを全く無視した形で日本の原発をどうするかということだけを論じているという、そこにまだレベルが空中戦をやっているような感じをしておりまして、地についていないという感じを持っております。
 原子力政策における最優先課題は、言うまでもなく供給におけるCO2を出さないという環境負荷が少ないということもございますけれども、何といってももし事故が起これば大変なことですから安全性の確保ということがございます。脱原発や反原発といったスローガンを主張することによって安全性が確保できるわけではないということで、県議が言われるいわゆる素人議論ということでございます。
 今後の原子力政策のいかんにかかわらず原発施設が長期間立地します。使用済み核燃料がある限り安全ではありません。いわゆる崩壊熱を出すからでございます。このために使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理方法など安全性を高める研究とか技術開発がやはり重要であるということが、だんだんコンセンサスになってきたのではないかなと思います。三・一一以前に使用済み核燃料のことを論じる人はほとんどいなかったと存じます。あるいは燃料プールにどれだけ容量があるかということも論じなかったと思います。みんな六ヶ所村に持っていけば、おのずと処理できるものだという楽観論が支配していたからだと思いますが。
 県では、有識者で構成する原子力経済性等検証専門部会を開催しておりまして、原子力発電のコストの検証もいたしました。また将来の発電技術、安全技術、廃棄物処理等これらをテーマにして議論を今重ねているところです。会議は全て公開で行っておりまして我が国トップクラスの研究者による科学的な知見やデータ等に基づくお互いそれぞれの分野では専門ですけれども、別のところでは違うので、ある意味で聞いてみればやっぱり素人でもわかるんですね。そうした議論をすることを通して、原子力発電に関する県民全体のレベルをもちろんこれは均等発展というわけにはいかないでしょうけれども、知識を少なくともできるところから吸収していくということでそういう原子力にかかわる理解を高めていくというふうに考えております。今後とも原子力発電をめぐる最新の技術などをテーマに議論を進めてまいりたいと考えております。
 中部電力におきましては、一昨年の七月に――二年前の七月に浜岡原子力発電所内に原子力安全技術研究所を設置されました。これも研究会の成果の一つです。安全性の向上とか将来の技術に資する研究などを進められています。その中には先ほどおっしゃったいわゆる放射性物質の半減期を早めるといったようなものも入っておりますし、安全ないわゆる原子力発電というものがあり得るかどうかというふうな研究も入っております。
 私は、こうしたことをやっているところはほかの原発どこにもありませんので、浜岡原子力発電所ひいては本県が原発にかかわる安全技術、あるいは安全文化のメッカになり得ると。仮に今三千億円をかけて安全対策を講じられているわけですが、それにおけるその技術にブレークスルーがあるとすればいずれ全ての日本における五十基、フランスにも五十数基ございますが世界中の原発の全てが必ずいずれは寿命が来て廃炉になりますが、そのときに使えるわけです。言いかえると商品になるわけです。私は、ですから電力の供給技術だけではなくて最終的に専門家はバックエンドと言いますが、後始末ですね。この始末の仕方が今までまともに考えられたことがなかったと。今そちらの方向に大きくかじを切りつつありますが、そのトップにいるのが山名先生ですが山名先生は一番最初からうちの研究委員です。そうしたことから我々は日本におけるある意味で原発技術におけるトップのところを走っているというように言っていいのではないかというふうに思っているわけでございます。
 ともあれ、安全を高めることを通して実は先生もおっしゃったような技術を高めて、そしてそれをしっかり本県はもとより日本全体さらには原発を持っている世界の諸国に対して誇れるようなものをつくり上げていければなというふうに考えている次第でございます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 静岡空港隣接地域振興事業費補助金についてお答えいたします。
 空港の建設に伴う生活環境等への影響を考慮し周辺地域の振興と生活の安定を図るため、地元市町が行う道路・河川整備を初め集会所や公園の整備などの幅広い事業に活用されてまいりました隣接地域振興助成制度は平成二十六年度が終了期限となっております。
 一方、県では空港を取り巻く状況の変化等を踏まえた富士山静岡空港の将来像の中で県民のための空港を一つの柱に掲げ、県民の皆様に使い勝手のいいダイヤの実現のため航空機のナイトステイや運用時間の延長に取り組むこととしております。地元の皆様にこれらの取り組みについて御理解をいただくため、空港関係団体と去る二月中旬、意見交換をした際には航空機騒音対策や隣接地域振興助成制度の延長に対する要望もいただいております。
 県といたしましては、今回お示しした取り組みを進める中で今後実施予定の地元説明会での要望や地元市町からの意見を聞きながら、この助成制度のあり方について検討してまいります。
 次に、新幹線空港新駅の設置についてであります。
 県では、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震、富士山噴火等の大規模災害に備える国の防災活動の拠点として富士山静岡空港が重要な役割を果たすと考えております。富士山静岡空港周辺は、陸・海・空の交通ネットワークが充実しており、さらに空港新駅の設置により首都圏等へのアクセスが一層向上し被災時の支援部隊の輸送など防災拠点としてのポテンシャルが高まることとなります。
 このため、先日改めて富士山静岡空港を基幹的な広域防災拠点に位置づけるよう古屋防災担当大臣に対して、川勝知事を初めとする中部五県の代表者や中部経済界、中部地方整備局等の関係者による要請を行ったところであり、今後国の防災に関する計画に位置づけられるものと期待しております。
 これまでJR東海との協議に向け事務レベルで環境づくりに努めており、先般県から説明があれば対応するセクションで議論してもよいというJR東海の社長の発言もありましたことから、県議会や関係する皆様の御理解もいただきながら、まずは新駅設置を含め防災拠点としての富士山静岡空港のあり方を明確にした上で今後JR東海と具体的な議論を進めていくこととしております。一方新駅実現のためには、お茶を初めとする地域資源や防災機能を生かしたにぎわいあるまちづくりを着実に進めていくことが重要であります。
 県といたしましては、新しい発想と行動力のある若い世代の人たちと連携し空港新駅を含む地域の将来を見据えた魅力的なティーガーデンシティにふさわしい地域づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 脱原発と浜岡原発の再稼働についてのうち、浜岡原発四号機の安全審査申請と県の対応についてお答えをいたします。
 浜岡原子力発電所につきましては、稼働の有無にかかわらず安全性の確保は大前提であり国による新たな規制基準に基づく安全性の審査が必要であります。このため県といたしましては国に対して厳正な審査を求めてまいります。
 また、国の審査とは別に県におきましても、静岡県防災・原子力学術会議を中心に公開の場で国と中部電力に審査申請の内容となっている地震・津波対策や事故対策の根拠や有効性等について説明を求め、専門的な観点から安全性について二重、三重のチェックを行ってまいります。
 なお、使用済み燃料の問題を含めまして浜岡原子力発電所の安全性を高めるために必要となる課題につきましては、全て解決すべきものと考えておりますことから国の規制基準にとらわれることなく静岡県防災・原子力学術会議で示された意見等につきましても中部電力に適切な対応を求めてまいります。
 次に、知事の言う民意を問うことの意味についてであります。
 福島第一原子力発電所の事故以来、放射性物質の拡散による長期間の避難生活、火力発電所の稼働に伴う電力会社の電気料金の値上げ、原子力発電所の新たな規制基準の施行などによりまして浜岡原子力発電所に関する県民の皆様の関心は大変高いものとなっており、この機会に県民の皆様が安全性や再稼働について適切に判断できるよう原子力発電や放射能あるいはエネルギー問題等について理解を深めていただくことは、県の責務と考えております。
 このため県といたしましては、浜岡原子力発電所の地震・津波対策や事故対策等について公開の場で国や中部電力に説明を求めるとともに、静岡県防災・原子力学術会議や原子力県民講座等により情報提供に努めてきたところであり、今後も引き続き取り組んでまいります。
 原子力発電所の再稼働に当たりましては、安全性の確保が大前提であり科学的な検証と判断が必要であると考えておりますが、東京都知事選挙の例にもありますように再稼働につきましては、県民の皆様の関心が非常に高い事柄でありますことから地元市町に加えできるだけ多くの県民の皆様の御意見を伺う必要があると考えております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 五十三番 大石哲司君。
       (五十三番 大石哲司君登壇)
○五十三番(大石哲司君) 時間がありませんので知事に直接最後の問題などは答弁してほしかったなと思う項目もございます。さらに議論を深めたい項目もありますが、きょうはここで最終結論を求める場ではありませんので、今後の委員会等の審査に委ねたいというふうに思っています。
 一点だけ要望いたしますが、今回の機構改革で空港管轄部署が一本になりまして文化・観光部の空港振興局として新しく発足いたします。四年前の空港部解体騒動は何だったのかなということで内心じくじたるものがございますが、それはそれとしてあの四年前から空港に関する部署が二つの部に分かれてやったことで、私は一部幹部職員を除くと空港が開港できたことでほっとしたのか、職員の間で静岡県開闢以来の大問題にかかわっているということのあのときの緊張感が薄れてしまっているというふうに事業が停滞しているように思えてなりません。ですから幸い一本化ということになりましたので、どうかこの空港問題に命がけで取り組んだ先輩職員や関係者の流した汗や涙に報いるように気合いを入れてやっていただきたい。心から要望して終わります。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) これで大石哲司君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 三月五日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp