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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

良知 駿一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/01/2021

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 デジタル戦略局が担う役割について
2 中小企業へのテレワークの普及促進について
3 スマート農業技術の現場への定着について
4 消防団活動のICT化に対する支援について
5 スポーツ振興におけるICTの活用について
6 浜名湖における水上レジャーのルールについて


○議長(山田 誠君) 次に、三番 良知駿一君。
       (三番 良知駿一君登壇 拍手)
○三番(良知駿一君) 質問に先立ちましてさきに御質問された先生方と同様に、昨年度から全世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の終息に向けて、医療従事者をはじめ御協力頂いている全ての県民の皆様に対しまして重ねて感謝申し上げます。
 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事及び関係部局長に一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、デジタル戦略局が担う役割について伺います。
 本題に入る前に、コンピューターとデジタルデータについて触れておかなければなりません。コンピューターは日本語で電子計算機と訳される装置、 機械のことであります。現代のコンピューターの理論的基礎は一九三六年に投稿されたアラン・チューリングの論文に登場するチューリングマシンと言われております。チューリングマシンは入力された値とその値に基づいた命令を忠実に実行するという仮想的な機械であり、現代のコンピューターにおいてもその基本的動作は変わりません。
 そして、技術の進歩によって与えられた手順の命令を忠実にという性質はそのままに、その命令を超高速に実行できる現代のコンピューターが形づくられています。ちなみにスーパーコンピューターの富岳は一秒間におよそ四掛ける十の十八乗回の整数演算ができるとされています。
 また、デジタルというのは整数のように離散したとびとびのという意味で、連続したという意味のアナログとは対をなす言葉です。現代のほとんどのコンピューターはゼロもしくは一が続いた値のデジタルデータしか扱うことができません。しかしながらデジタルデータはゼロか一の二つの値であるが故に電圧がかかっていなければゼロ、かかっていれば一というように通信回線も含めたハードウエアにおける対応が容易であり、コピーや時間の経過によるデータの劣化がないという特徴を持ちます。
 ICTはコンピューターとデジタルデータのこれらの特徴を生かす技術と言えます。そして特定の業務においては人間の代替となり得る現代のコンピューターをはじめとしたICTを活用することは商業、工業、農業、福祉医療・教育などありとあらゆる分野において有効でありICTは基盤となるべき技術であります。
 さて、ここから本題に入ります。
 近年、官民問わず業務のデジタル化、さらに進んだ概念としてデジタルトランスフォーメーションが叫ばれています。デジタルトランスフォーメーションは二〇〇四年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授がインフォメーション テクノロジー アンド ザ グッド ライフという論文で提唱した概念であり、総務省のウェブサイトにおいてはICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させることとしています。
 デジタルトランスフォーメーションの民間企業での例はアマゾンが挙げられます。アマゾンは従来の実店舗における取引をインターネット上で完結させるサービスを展開し、EC――電子商取引の先駆けとなりました。行政においてもマイナンバー制度をはじめとしてオンライン手続等が進められてきましたが、進は遅く新型コロナウイルス感染症対策に伴う行政手続において十分にICTを活用できていない状況が顕在化しました。この状況に対しては縦割り行政の弊害が指摘されています。コンピューターはさきに述べたとおり与えられた命令は忠実に実行できる一方、裏を返せば厳密に命令を規定しなければなりません。
 私見ではありますが、自分たちの権限をはっきりとさせ受け持った仕事を完遂するという縦割りの特質においてはそれぞれの組織が自らの思想でシステム設計をしており、国、県、市、また行政、民間などほかの組織、機関、集団との間とのシステム連携、つまりデータのやり取りの厳密な規定、インターフェース設計の意識が薄かったことが一因ではないかと考えています。このようなデジタルトランスフォーメーションが進まない県行政の体制を抜本的に見直すためにもデジタル戦略局の活躍が大いに期待されるところであります。
 そこで、今までの取組から見えてきた課題などを踏まえ新設されるデジタル戦略局が担う役割や今後の取組の方向性について、県の所見を伺います。
 次に、中小企業へのテレワークの普及促進について伺います。
 昨年のちょうど今頃、新型コロナウイルス感染症が拡大する中でテレワークに注目が集まりました。テレワークは時間と場所の制約を受けにくく育児や介護、病気治療などと仕事を両立することができる柔軟な働き方として以前から導入促進がされてきました。しかし出勤を前提とした仕事の進め方の中ではあくまでも一部の人への配慮としての導入にとどまることが多く、なかなか広がってきませんでした。
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が広がる中で、非接触型の勤務をするために企業においては早急なテレワーク導入が必要となっていますが、導入する業務の洗い出しから設備機器の選定、セキュリティー対策、労務管理の見直しなど幅広い対応が必要であり、中小企業はこうした様々な課題を前にどんなことから始めればよいか分からず検討そのものを諦めてしまうことも少なくありません。
 今年度、厚生労働省ではこれからのテレワークでの働き方に関する検討会を設置し十二月に報告書をまとめました。この報告書を見ると先ほど上げた対応のほかにも仕事の進め方に関する上司と部下のコミュニケーションや出社とは異なる働き方であることを考慮した人事評価のルールづくり、機器や通信費などの費用負担、長時間労働につなげない一方で中抜けなどの柔軟な働き方を可能とする労務管理など働く人を守るための視点も示されています。
 テレワーク導入の促進について、県では九月補正予算で研究会を設置し来年度も引き続き導入促進に取り組んでいく方針であると聞いております。今後生活様式の変化とともにデジタル技術、通信技術の進展により一つの職場に集まって働くという形は大きく変わっていきます。静岡県の企業がテレワークを早急に導入し新しい働き方として定着させていくためには中小企業でも取組やすい事例や製造業など現場を抱える企業での取組などの展開が必要であり、働く人の視点に立った情報を企業に提供していくことも重要です。
 そこで、この研究会の活動を通じて中小企業へのテレワークの普及促進にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、スマート農業技術の現場への定着について伺います。
 農林水産省が昨年十一月に公表した二〇二〇年農林業センサスの速報値によると、県内の農業経営体数は二万五千九百四十二経営体であり、二〇一五年の前回の調査の三万三千百十三経営体から七千二百一経営体、二一・七%減少し、さらに基幹的農業従事者に占める六十五歳以上の割合も六六・三%から七〇・八%と四・五ポイント増加するなど農業の担い手の減少や高齢化が進んでいます。
 一方、農産物販売規模別に農業経営体数を見ると販売金額が三千万円から五千万円の経営体の層が一七%、一億円以上の層では二五・三%も増加しており、地域の農地を集積・集約し新たな技術を導入して規模拡大や経営の安定化を目指す意欲ある経営体が増えていることがうかがわれます。
 このような経営規模や販売金額を伸ばしている経営体の中には、ICTやAIを活用したスマート農業技術を導入し経営の効率化や農産物の高付加価値化の実現を目指す農業者も含まれています。
 このような中、私のところには、スマート農業には関心があるものの費用対効果が見えづらいことから導入をちゅうちょするというような声がある一方で、スマート農業導入により効果を実感したとの声も聞いております。
 具体的には、私の地元のバラの生産者からはハウス内の環境を自動で制御する高度環境制御装置を導入したことにより品質が向上し収穫本数も増加した、設備の設定や管理が自動化、省力化され栽培管理に集中できるようになったなどの意見が聞かれました。
 このようにスマート農業技術の利用は少しずつ広がってきており、民間の研究所の事業者の売上高ベースで市場規模を予測する調査によれば国内のスマート農業の市場規模は二〇一九年度の百八十億七百万円から二〇二〇年度は二百三億二千八百万円と一三%拡大し、さらに二〇二六年度までには年率一〇%以上五百一億四百万円まで、七年間で二・七倍に拡大すると予測しております。
 農業の担い手の減少や高齢化が進む中、経営の効率化が実現できるスマート農業技術を着実に現場に定着させることが重要だと考えますが、県の取組を伺います。
 次に、消防団活動のICT化に対する支援について伺います。
 まず、東日本大震災で今年で十年目の節目を迎えるに当たり改めてこの震災で犠牲になられた方々、消防団活動により殉職された多くの団員の御冥福をお祈りいたします。また二月二十一日に発生した足利市の林野火災に対して消火活動を行っている消防関係者の皆様に対しても敬意を表したいと思います。
 さて、日常における火災等の災害や本県において懸念される南海トラフ地震などの大規模災害における地域防災の要になっているのは地元の消防団であることは周知の事実であります。私も現役の浜松市消防団の団員として活動に携わっておりますが、浜松市消防団の団員も年々減少しております。また消防庁の統計によると被雇用者団員、いわゆるサラリーマン団員の割合は昭和四十年の二六・五%から年々増加し令和二年には七三・九%となりました。現在の浜松市消防団においてもサラリーマン団員が大半を占め、平日日中の災害対応には各分団苦慮しているところであります。
 このような状況下で、消防団の災害対応においてもICTを活用することによって活動の改善が見込める部分があるのではないかと考えております。例えばスマートフォンやカーナビゲーションシステム等で利用できるデジタル地図情報の活用です。消防団の火災対応において団員が現着した際には先に現着している団員が活動中であるため連絡が取りづらく、おのおのが目視等で所属分団の消防車両を探し出さなければならないことも多いのですが、各自のスマートフォン等で車両位置を確認できれば円滑に活動に移行できるようになります。
 また、 火災対応における消防団の重要な役割は水利の確保でありますが車両位置と併せて水利の位置も確認できれば迅速な消火活動が可能となります。さらにいかなる場合でも、紙ベースの水利地図を扱っている分団ではディスプレーを背面からバックライトで照らす方式のスマートフォンやカーナビゲーションシステムは夜間の活動においても有用なものになります。
 消防団の活動力の低下が続く中で団員の負担軽減、活動支援は課題であります。県として消防団活動のICT化をどのように支援していくのか、所見を伺います。
 次に、スポーツ振興におけるICTの活用について伺います。
 スポーツの振興は、健康づくりだけにとどまらず県内経済、文化等においても大きな影響を及ぼします。そしてその振興の手段の一つとして今後あらゆる分野の基盤となるICTを活用していくことは必然であると考えております。
 スポーツ界におけるICTの活用として例えば野球に着目します。野球の本場アメリカでは昔から野球のデータ分析が行われてきました。一九七〇年代、データを統計学的に分析することでゲームの戦略や選手に対する評価などを導くセイバーメトリクスという手法が誕生しました。この手法が脚光を浴びたのは二〇〇三年に出版、二〇一一年に映画化された「マネー・ボール」というノンフィクションの書籍です。この書籍の概要は、当時財力に乏しかったオークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMが財力のある球団に勝利するために試合の勝利との相関が高くかつ年俸の安い選手をセイバーメトリクスから導き出し、そのような選手を編成することでアスレチックス黄金時代を築いたというものです。
 また、トラックマンというデンマークのトラックマン社が開発した弾道測定機も日本のプロ野球界で使われ始めています。これは迎撃ミサイルの軍事技術を応用したものでピッチャーが投げたボールの球速、回転数、回転軸など、さらにバッターが打ったボールの速度、角度、飛距離などを計測、可視化できます。メジャーリーグにおいてはトラックマンで取得したデータを活用し、フライボール革命という打撃理論によってホームランが量産されるようになったことは記憶に新しいと思います。
 本県は、新ビジョン富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりにおいてスポーツの聖地づくりを掲げ様々なスポーツ施策に取り組んできました。結果として二〇一九年のラグビーワールドカップにおいては大会前の推計額百二十億円を上回る二百三十四億円の県内経済波及効果を上げ本県開催の成功を収めました。
 また、従来から国体の総合順位を成果指標、目標値八位として競技力向上に取り組んできました。しかし過去三大会において十七位、十九位、十七位と目標には届いていません。県として従来の国体強化をはじめジュニア育成強化、指導者育成に加えてスポーツ医・科学の活用など競技力向上事業に取り組んでおりますが、今後アスリートの競技力向上や県民のスポーツ振興に当たってどのようにICTを活用していくのか、その取組や今後の方向性を伺います。
 最後に、浜名湖における水上レジャーのルールについて伺います。
 コロナ禍でアウトドアレジャーが見直され、また昨年八月には由比ヶ浜海岸の遊泳客付近をクルーザーが航行した衝撃的なニュース等からも水上レジャーのルールへの関心が高まっております。
 水上レジャーの楽しみ方については、水上オートバイなどエンジンを備えたものとウインドサーフィンなどエンジンを備えないものという分け方もできます。一般的にエンジンを備えたものはそうでないものと比較して重量が重く、衝突した際の破壊力が大きいと言えます。そのような条件下で様々なマリンレジャーを共存させていくことが求められると考えます。
 浜名湖においては、 ウインドサーフィンをはじめプレジャーボート、水上オートバイ、ウェイクボード、カッターボートやカヌー、釣りなど様々なマリンレジャーが楽しまれております。このうちプレジャーボートについては県条例における通航制限がありますが、水上オートバイについては漁業者との共存を図るとともにエンジンの騒音等から周辺の住環境を守るために奥浜名湖地域で指定された遊走区域内、遊走時間でなければ遊走してはならないという自主規制を設けているとなっています。
 ここで遊走行為とは蛇行、急発進、回転、船首部の持ち上げ及びウェイクボードなどを牽引する行為であり、水上オートバイの運転技術並びにマナーの向上を目的とし一定のエリア内で的確な管理体制と明確な責任体制の下で指導を行うものは遊走行為ではないとされています。しかし早朝の騒音や沿岸付近等の遊走区域外での遊走行為など水上オートバイの自主規制が守られていないとの報告が沿岸の事業者、施設から寄せられております。
 今後、浜名湖で多くの県民、観光客に安全なマリンレジャーを楽しんでいただくため、また県の浜名湖周辺の観光促進の機運、また浜松市がビーチ・マリンスポーツの聖地としてのブランドの確立と認知度向上を目指す上でも水上オートバイのルールについてどのように考え取り組んでいくのか、県の所見を伺います。 以上について答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 良知議員に先立って、先ほど市川議員のほうから結婚支援についての御質問、御要請がございました。このたび良知議員におかれましてはすばらしい出会いを遂げられて、そしてめでたくゴールインなさいましたとのことで、心よりお祝いを申し上げます。しかも奥様は私がかつて学長を務めておりました文芸大の才媛であるとのことで誠にうれしゅうございます。お幸せをお祈り申し上げます。
 良知議員におきましては、ICTの御専門家として様々な有益な御提言を頂きましたけれども、また御質問も頂きましたが、私はその中からスポーツ振興におけるICTの活用についてお答えを申し上げます。
 現在、西高東低ということで北海道や日本海側は雪でスポーツはなかなか厳しい状況でございますが、静岡県は春夏秋冬スポーツを楽しめるそのような風土性に恵まれているということから、私はこの静岡はスポーツ王国になり得ると確信しているものでございます。その手段としてICTが極めて重要であるという認識を共有しております。
 新型コロナウイルス感染症による外出自粛等の影響を受け、スポーツ界におきましても大会の実施あるいは練習などが満足に実施できない状況が続いております。こうした中でも競技力の向上を目指すアスリートにとってICTの活用が極めて有効な手段であることが今気づかれており、現在プロ、アマを問わずサッカーやラグビーなどの数多くの競技において取り入れられ、その効果が注目されているところであります。
 このため、来年度から県内の各競技団体が実施する強化活動等へのICTの導入に対し新たな支援制度を創設することといたしました。具体的にはリモートシステムを活用した実技指導やミーティングを行うための情報通信環境の整備、サッカーなどの団体競技において試合の映像をプレー別に分類し個々の選手に応じた効果的な練習の導入や戦術の立案に役立つ分析ソフトウエアの導入、試合のデータ分析や指導に当たる専門家であるスポーツアナリストの活用等の事業に対し支援を行うことにいたしました。
 一方、コロナ禍におきましても県民の皆様がスポーツを楽しめるよう昨年六月から本県出身の運動生理学者の谷本道哉氏監修による筋肉ふじのくに体操をSNSなどで配信しているところであります。さらに県レクリエーション協会等と連携しオンラインによるヨガ教室の開催や親子向け運動遊びの映像の配信を行うなど、 今後もICTを活用した県民のスポーツ機会の拡大を図ってまいります。
 スポーツには心身を元気にする力、地域を元気にする力、世界とつながる力があります。県といたしましては県内のスポーツ関係団体や各競技団体、大学などの関係機関とこれまで以上に連携しICTなどの先端技術の活用により競技力の向上とスポーツ参画人口の拡大を目指し、スポーツ王国しずおかの実現に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 中小企業へのテレワークの普及促進についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大により新しい生活様式に対応した働き方が求められています。インターネットを活用して在宅で仕事をするテレワークが大手企業を中心に時間や場所を有効に活用できる働き方として定着しつつあります。
 しかしながら、中小企業などには導入のハードルが高い面があります。県内企業のテレワーク導入率を見ても大企業が五割近いのに対し中小企業は約一割にとどまっています。その理由としては勤務時間の管理や意思疎通の難しさ、通信環境などの設備やデジタル対応ができる人材の不足などが上げられています。
 このため、県では本年一月にテレワーク導入に課題を抱える県内企業が参画するテレワーク等導入研究会を設置しました。この研究会において参画企業が労務管理やセキュリティーなどの課題や解決策を共有するという企業間のネットワークを拡大していくことで県内企業への一層の導入促進を図ってまいります。
 第一回の研究会では製造業、サービス業、IT関連の企業が参加し製造業へのテレワーク導入の困難性や社内コミュニケーション確保の難しさなどの課題が提起されました。このような課題を乗り越えるためには具体的な導入事例を示すことが有効です。参加企業の中から顧客相談業務を切り出しテレワーク化した事例、あるいはオンラインのチームミーティングによる社内コミュニケーション確保や通信費の支給による社員の経済的負担の軽減などの事例が紹介されました。参加企業からは今後の業務に生かすことができるとの評価を頂きました。
 今後、研究会への参加企業を拡大しながらそのネットワークづくりを進め、具体的な課題や対応事例を蓄積します。その上でセミナー等を通じてその情報を広くテレワーク導入に関心のある県内企業に提供してまいります。
 また、県では業務のデジタル化の相談に応じる専門家の企業への派遣やテレワーク導入に必要なIT設備等への助成を行っております。さらに初めて導入を目指す企業に対しましては個別相談会や通信機器等の体験会を開催してまいります。
 加えて、県内中小企業へのアドバイザー派遣などによりテレワークや時差出勤など新しい働き方に対応した就業環境の整備支援にも積極的に取り組んでまいります。
 県といたしましては、コロナ禍による仕事や生活スタイルの大きな変化を働き方を見直す好機と捉え、テレワーク等導入研究会の活動などを牽引役として県内中小企業へのテレワークの普及促進を着実に図ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) デジタル戦略局が担う役割についてお答えをいたします。
 産業、医療、教育など様々な分野で進むデジタル化をさらに充実するためには分野を超えて連携していくことが重要であります。また同一の情報は異なる手続であっても再度の提出を不要とするいわゆるワンスオンリーの行政サービスなど、県民の皆様の利便性を高めるためには自治体間のシステムの共通化やデータの共有を進めていく必要がございます。
 このため、新たに設置するデジタル戦略局は県行政はもとより社会全体のデジタル化を推進する総括的な司令塔として各部局に置かれるデジタル推進官と連携してデジタル関連施策を展開するとともに、新たな課題に対しましては専門家の知見を生かしつつ分野横断的な解決を図ってまいります。また統計データやその他のデータを総合的に提供できる体制を整えて検索の利便性を高めることでデータの共有や利活用を促進するほか、業務システムの標準化や行政手続のオンライン化等に取り組む市町を支援することとしております。
 県といたしましては、県民の皆様の生活がよりよい方向に向かうようCIOの下、デジタル戦略局を核として全庁を挙げてふじのくにのデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(志村信明君) スマート農業技術の現場への定着についてお答えいたします。
 本県では、ICTやロボットなどの先端技術を活用して高付加価値化や省力化などを実現するため、AOIプロジェクトや国の実証事業の活用などによりスマート農業技術の開発普及を進めております。こうしたスマート農業技術を着実に生産現場に定着させるためには現場に適した技術や機器の導入、データに基づく栽培管理の実証、投資に見合う効果の検証などが重要であると考えております。
 このため、イチゴやトマト、バラなどの施設園芸ではハウス内の温度や湿度、炭素ガス濃度等の環境を高度に自動制御するシステムの実証を進めてまいりました。農林事務所の指導の下、産地ごとにモデル農家を中心に十五のグループを立ち上げ実証データに基づく栽培管理を徹底して行ってきた結果、例えばイチゴの収量は導入前の一・五倍に増加するなど高い投資効果を得られることが確認できました。これを受けてこの高度環境制御システム導入のための助成制度を九月補正予算で創設したところ十八戸の生産者が装置を導入するという成果が得られており、引き続き導入に向けた支援を行ってまいります。
 また、ミカン園での遠隔制御除草機やバレイショの農薬散布用ドローンなどの機器の導入につきましては使用頻度に比べて高額で個々の生産者では導入が困難でありますことから、共同利用の取組により投資に見合う効果を検証しております。
 さらに、AOIプロジェクトで開発されたトマトの糖度を高める栽培技術や国のスマート農業実証プロジェクトによるキャベツの自動収穫などの成果を活用しまして、品質向上や人手不足など産地が抱える課題を克服できるよう農林事務所が技術や機器の導入を指導してまいります。
 県といたしましては、JAや生産者と連携し技術実証を通じて導入機器の検証と費用対効果の分析を行いスマート農業技術の現場への定着を着実に進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 消防団活動のICT化に対する支援についてお答えいたします。
 消防団は、火災や地震、風水害などの災害から住民の皆様の命を守るなど地域防災の要として欠くことのできない存在でありますことから、消防団員の活動環境の整備は重要な課題と認識しております。
 県内の多くの消防団におきましては、消防本部の指令システムから火災の発生や場所等の情報が団員の携帯電話などに自動的に通知されております。また一部の消防団では火災の発生場所などの情報をデジタル地図等により共有できるようになっており、これらのシステムは国の補助金等を活用して整備されております。
 また、消防団は日頃から火災や自然災害の発生に備え地域に根差した訓練や現地確認等を熱心に行っており、消防水利などの地域資源を熟知していると伺っております。一方消防団員の確保が課題となる中団員の負担軽減や活動支援は必要と考えておりますので、消防団の御意見も伺いながらICT技術の活用事例等について情報収集に努めてまいります。
 県といたしましては、消防団の設置主体である市町に対しICT技術の活用や財政支援制度等について情報を提供するなど、必要な支援を行うことで地域防災の要である消防団の活動環境の整備を図り地域防災力の充実強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長(長繩知行君) 浜名湖における水上レジャーのルールについてお答えいたします。
 浜名湖における水上レジャーにつきましては、県条例により通航を制限するプレジャーボートに比べ自主規制ルールの遵守を求めてきた水上オートバイに対する騒音や危険運転等の苦情が減少しない実態があり、県や市町などの行政と関係団体で構成する調整会議でも課題を共有し啓発の強化、充実などに力を入れてきたところであります。
 昨年の夏はコロナ禍により海水浴場が設置されない中、水上オートバイが水辺で遊ぶ人に接近するなど事故につながりかねない状況がこれまで以上に発生したことから規制強化を求める声が一層高まりました。このため十二月に開催した調整会議におきまして改めて議論をし、条例に基づく通航制限導入の必要性が総意として確認されたことから、県は通航制限の対象に水上オートバイを追加する静岡県河川管理規則の改正を行い本年四月から施行することといたしました。
 今後は、新たな規制の内容につきましてパンフレットやホームページ等により広く周知を図るとともに、警察や浜名湖総合環境財団等と連携しパトロールの強化など適正利用の促進に努めてまいります。
 県といたしましては、浜松市、湖西市、漁業関係者、民間事業者等と連携して浜名湖の秩序ある水域利用を実現することにより水上レジャー、漁業、観光、文化などの多彩な魅力による地域の活性化を推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 良知駿一君。
       (三番 良知駿一君登壇)
○三番(良知駿一君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 それでは意見、要望を二点させていただいて終わりたいと思います。
 まず、デジタル戦略局に対してであります。
 個人的なものではありますけども、デジタル戦略局が担う役割は恒久的なものとして先ほど御答弁からもあったところではありますが、データの収集、管理、活用、そして高度なデジタル技術に関する情報収集や活用アドバイスだと考えております。反面、職員への情報リテラシー教育は時代がたつにつれて当然スキルも上がってくることから一時的なものだとは思いますが、この一時的に担う役割というのは今後の社会の在り方を左右する重要なものであるかというふうに考えております。県には本腰を入れてDXのほうに取り組んでもらいたいと要望させていただきます。
 また、人材の活用に当たりましては現場が抱えている課題を吸い上げて専門家にアドバイスを求められる、現在でもICTに精通している職員を活用するというところと、また現場が気づかない課題の解決に能動的に当たることができる専門家と、その専門家に対して裁量を与えられる柔軟な組織体制にしていくことが重要かと考えておりますので重ねて要望させていただきます。
 さて、あともう一点の要望でございますが消防団に関してでございます。
 ICTの機器の活用に当たっては対応するデータを活用するということが重要です。公的に設置された消火栓等の水利の位置情報は行政から提供されるということが望ましいと思われます。行政が民間で活用してもらうために行政が使いやすく加工、公開するデータを行政におけるオープンデータと言いますが、消火栓等の情報はオープンデータとして有事の際には消防団のみならず自主防、地域の住民の方々に活用してもらわなければならないと思います。
 しかしながらセキュリティーを理由にオープンデータ化に消極的な市町があるというふうに伺っております。大規模災害は、足利市のものもそうですけれども災害は市町単位で起きるものではありませんので、このような情報は県がオープンデータとするべきものとして市町に公開を推奨していくべきものだと思いますのでぜひとも今後デジタル戦略局と連携してこのような県下で共通化できるようなデータのオープン化を要望させていただきたいなというふうに思います。
 最後に、知事から先ほどありましたように私一月に結婚いたしまして、皆様からお祝いしていただいたことに対しまして感謝申し上げさせていただきまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(山田 誠君) これで良知駿一君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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