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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田口 章 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/28/2023

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1)県・政令指定都市サミットの開催
(2)財政健全化の推進
(3)新型コロナウイルス感染症における医療対策の総括と将来への備え
2 行政の生産性向上について
3 行政サービス提供体制の最適化について
4 企画部門の機能強化について
5 富士山噴火に関する避難対策について
6 リニア中央新幹線整備への国の関与について
7 6月2日からの大雨による被災者への支援について
8 県の観光施策の推進について
9 遠州灘海浜公園(篠原地区)野球場について
10 浜名湖花博2024の開催に向けた取組について
11 サイバーセキュリティ対策について
(1)セキュリティ対策の強化
(2)中小企業のBCP策定支援
12 教員不足への対応について
13 オンラインによる不登校児童生徒への支援について


○副議長(鈴木澄美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により三十三番 田口 章君。
       (三十三番 田口 章君登壇 拍手)
○三十三番(田口 章君) 私は、ふじのくに県民クラブを代表して通告に従い県政の諸課題につきまして知事、副知事、関係部局長、教育長、警察本部長に一括質問方式でお尋ねをいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、県・政令指定都市サミットの開催について伺います。
 四月の統一地方選挙において、静岡・浜松両政令市の市長が交代をいたしました。静岡市の難波市長、浜松市の中野市長は、ともに実務経験が豊富な方でその手腕に期待したいと思います。
 県政運営において、県人口の約四割を占め多くの権限が移譲されている政令市との関係は極めて重要です。国は、平成二十六年に地方自治法を改正し指定都市及び都道府県の事務の処理について必要な協議を行うため、指定都市都道府県調整会議を設けることとしました。本県では、地方自治法が改正される前の平成十八年から既に県・政令指定都市サミットが始まっており、以降二十八年度まで計十一回にわたり開催され、様々な課題に対する県と両政令市の意思疎通や協議の場として大変重要な役割を担ってまいりました。
 その再開について、二月定例会本会議における我が会派の中澤通訓元議員の一般質問に対して知事は開催を両市に呼びかけていくと答弁されました。また先月の定例記者会見では、知事はなるべく早く九月中旬頃の開催を希望しているということを表明されました。
 昨今の社会情勢の変化は非常に大きく、速やかに開催し課題を共有し県政の全体最適化を進めるべきと考えます。二重行政の解消など行政の効率化や産業政策、子育て支援をはじめとする様々な政策において、基礎自治体と広域行政の連携など県と両政令市の間で話し合うべきことは山積をしております。
 県・政令指定都市サミットの開催に当たり両政令市と関係強化に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、財政健全化の推進について伺います。
 本県の財政規模は近年膨張を続けており、令和五年度当初予算は二年連続で過去最大を更新しております。この財政規模の拡大は県税収入が伸びていることもありますが、国の交付金の影響によるところも大きくなっていると受け止めています。もちろん昨年、一昨年のようなコロナ対応や物価高騰対応など県民生活や事業者への支援は必要だったと感じておりますが、赤字国債を財源とした国の交付金や税収増を当てにした財政運営を続けていては、一年間の歳出をその年度の歳入で全て賄ういわゆる収支均衡の達成はおろか、持続可能な財政ひいては県政運営そのものの維持が困難となる、そういった危機的状況になりかねないと感じております。
 この状況を打破するためには、現在行っている事業を再点検し、やめるべきものをやめることを徹底すべきです。我が会派からも来年度予算編成に向けて廃止、見直しをすべき事業について提案をしていきたいと考えておりますが、ぜひ知事にはこの厳しい状況をしっかりと認識をされ、事業の廃止・見直しに覚悟を持って取り組んでいただきたいと強く求めます。
 持続可能な財政運営をするためには中期的な視点が必要です。県では昨年三月に県財政の中期見通しを公表しており、一定の努力をすれば令和七年度に収支均衡が達成する見込みを示していますが、令和五年度当初予算の財源不足額が五百三十八億円にも上ったことを考えるとその見通しも厳しくなっていると考えます。
 国は、今月十六日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針二〇二三、いわゆる骨太の方針の中で中長期の経済財政運営に当たり、「歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないよう取り組む」としております。目標年次は不明確ですけれども、財政健全化の旗を降ろさない方針を示しております。県も財政運営を平時へ戻す努力をより一層高める必要があると思います。
 財政健全化を進めるに当たっては、地方公会計制度の導入に伴って作成した財務諸表の活用もさらに進めるべきです。会計には財務会計と管理会計があります。財務会計は法で公表が義務づけられている指標ですけれども、行政経営を進めるに当たってはこれだけでは十分ではありません。管理会計として新地方公会計の活用が必要です。
 総務省に昨年設置された今後の地方公会計のあり方に関する研究会では、これまでの活用状況や課題を踏まえ今後の活用手法を検討しております。例えば施設ごとの行政コストを分析して無駄を省く、セグメントごとに分析をし資産の老朽化対策や最適化を進める、維持管理コストを削減する、また外部専門人材を活用するなどなど財政健全化に向けてやるべきことは多々あります。
 今後の県財政の見通しに対する認識と収支均衡に向けた取組について県の所見を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症における医療対策の総括と将来への備えについて伺います。
 新型コロナウイルス感染症は、五月八日から感染法上の位置づけが季節性インフルエンザと同等の五類感染症となりましたが、感染者が全国で三千三百万人を超えるいわゆるパンデミックを私たちは経験することとなりました。新型コロナウイルス感染症の流行初期において病毒性に不明な点が多い中、手探りで感染予防策や医療提供体制等の構築を進めてきたわけでありますが、特に入院患者を受け入れる病床の確保、地域の診療所における発熱診療体制の構築などは円滑に進まなかったのではないかと思っております。また医療以外の分野においても、サプライチェーンの海外依存に伴う感染防護資材の不足やデジタル化の遅れ、エッセンシャルワーカーの皆様への対応など様々な分野で社会的な課題があらわになったと考えます。
 今後、この三年間の課題を整理し、将来を見据えた感染症への備えを県、市町など行政だけでなく医師会、病院協会をはじめとする関係団体と共有し、四月に開所したふじのくに感染症管理センターにしっかりと引き継ぐ必要があると考えます。その際、県民の命に関わる医療提供体制や自宅療養者を支援する保健所等の体制、県民への情報発信、関係機関の役割分担など様々な視点で課題を検証することが必要と思います。
 新型コロナウイルス感染症について、県としてどのように医療対策を総括し将来への備えにつなげていくか、所見をお伺いいたします。
 次に、行政の生産性向上について伺います。
 県は、静岡県行財政改革大綱の中で業務効率化の指標として定めていた管理指標を平成二十九年に定員管理から総労働時間管理へと変更しました。このことに関し、私は平成二十八年の一般質問で定員管理の旗をおろすべきではないと述べましたが、まずは総労働時間の削減に取り組みたいとの答弁があり現在の形になったと認識をしております。
 しかし、六年がたった今総労働時間は増え続けております。もちろん新型コロナウイルス感染症対策や大規模自然災害への対応など新たな行政課題が発生し増加要因があったことは否定はいたしません。しかし総務省の自治体戦略二〇四〇構想研究会報告で示されたとおり、人口減少社会に突入し労働人口が激減する中で、十数年後には行政においても職員数を維持できなくなり現在の行政サービスを全て提供することはできなくなると言っても過言ではありません。
 このような状況の中、抜本的な業務効率化を全庁で進め行政の生産性を一層向上させることで行政サービスの維持向上を図っていく必要があります。
 そもそも行政は生産性が低いと言われています。その要因の一つとして行政の業務が煩雑であることが挙げられますが、私は業務遂行上の間接工数が把握されていないことを懸念しています。
 県は、平成九年度から業務棚卸表を導入して全国の自治体に先駆けていち早くNPM  ニュー・パブリック・マネジメントに着手いたしました。その後業務棚卸表は施策展開表に進化し各課の業務戦略に活用されてきましたが、現在施策展開表は廃止されており、以降間接工数についても把握されていないと聞いております。
 私は、これまでもBPR  ビジネス・プロセス・リエンジニアリングやデジタルツールの導入による業務効率化を提案してまいりましたが、行政のデジタル化により業務効率化を図っていく上では今の仕組みをそのままデジタル化するのではなく、まずBPRに取り組み不要な間接工数を減らしてから進める必要があると考えます。
 以上の観点を踏まえ、この間県で行政の生産性の向上のために何をやってきてこれからどのように取り組んでいくお考えか、所見を伺いたいと思います。
 次に、行政サービス提供体制の最適化について伺います。
 先ほども申しましたが、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年頃をターゲットに自治体行政の在り方を検討した総務省の自治体戦略二〇四〇構想研究会では、平成三十年に公表された報告書の中で人口減少と高齢化の進展を見据え、圏域の行政サービス提供体制の効率化に向けた広域連携や県による垂直補完が挙げられていました。また令和二年の第三十二次地方制度調査会の答申においても、都道府県は市町村間の広域連携が困難な場合には自ら補完、支援の役割を果たしていくことも必要であるとされていました。
 職員の確保が困難となっていく中で、小規模な市町が現状の行政サービスの維持や新たな住民ニーズへの対応を単独で行うことは困難になっており、そこを適切にサポートすることが県の役割として必要であります。
 本県は、平成二十六年度他県に先駆け行政経営研究会を設置し、県と市町が連携をして共通の行政課題の解決や業務の最適化を検討するプラットフォームを構築してまいりました。以降様々な連携が進み成果が発現しつつあると感じています。
 最近では、経営環境が厳しさを増している水道事業の広域連携に関する課題検討会が新たに静岡県水道広域連携全体会議として独り立ちをしました。さらに広域化の検討を本格化させるなど本質的な取組が進んできたと評価をしています。このほかにも権限移譲の受入れ態勢の検討や地方公会計の活用など課題検討会の議論を重ねており、県内の全体最適化が進むことを期待しています。
 繰り返しになりますが、二十年、三十年先に県と市町が現在の職員数を維持するのは困難であり、これを見据え行政経営研究会では持続可能な行政サービス提供体制を確保するための研究をさらに強化する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、企画部門の機能強化について伺います。
 近年、横文字ばっかり使って申し訳ないんですが、近年VUCAの時代という言葉を聞くようになりました。V・U・C・A  ブーカとはボラティリティー  変動性・アンサートゥンティー  不確実性・コンプレクシティー  複雑性・アンビギュイティー  曖昧性の頭文字を取った造語で将来予測が難しくなった時代を表しています。事実、リーマンショックや東日本大震災、コロナ禍、エネルギー問題、為替、金融情勢などなど、これまで経験のなかった複雑な出来事が次々と起きており日本社会は今もその対応に苦慮しています。
 地方自治体においても複雑な時代の到来は例外ではなく、SDGsへの対応やダイバーシティー社会の推進など県庁内の特定の部局だけで取り扱えない課題が近年増えていると感じています。
 このような課題に対して県の取組を聞きますと、それは私のところではお答えできないというケースが多くあり、本県は庁内横断的な課題に対しての対応力、企画力が弱いと感じています。企画部門は新たなアイデアや戦略を生み出す役割を果たすべきです。既存の組織の枠組みにとらわれず新たな課題への方向性を探り、県としての方針を示した上で庁内のしかるべき部局へ事業の橋渡しをする機能が求められています。
 本県に限った話ではないと思いますが、あらかじめ策定した計画に沿って施策を進めるだけではVUCAの時代への対応は十分とは言えません。これからも発生し得る新たな課題への柔軟性が不足すると考えます。
 複雑かつ曖昧な政策課題や国際社会の動きに対応して必要とされる政策課題が増えている中、県庁内の各部局で扱うことが難しい新たな課題に対応する企画部門の機能強化が必要と考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、富士山噴火に関する避難対策について伺います。
 本年三月に富士山火山避難基本計画が公表されました。これは令和三年三月に、富士山火山防災対策協議会において富士山ハザードマップが改定されたことを踏まえ検討が進められてきたものであります。
 富士山火山避難基本計画は、富士山噴火に関する基本的な避難方針を記載したもので噴石、火砕流、火山灰など噴火現象ごとの特性に基づく避難エリアの区分や避難手段、避難開始時期、広域避難先などについて基本的な考え方が記載されています。今後はこの富士山火山避難基本計画を踏まえ、富士山の火山災害警戒地域に指定されている十市町で避難計画の改定が行われます。これに伴い県や市町の地域防災計画の改定も行われることとなると思いますが、富士山噴火に関する避難対策については今後も県が大きな役割を担っていくことが重要と考えます。
 富士山噴火から命を守るためには、まずは県民の皆様が富士山火山防災について正しく理解し適切な避難行動を取ることが重要と考えます。特に富士山の火山災害警戒地域に指定されている十市町については、噴火現象や基本的な避難方法などについて住民の皆様に周知啓発をしていくことが大切です。避難を実施する市町に対する県の支援も重ねて必要になります。例えば市町が広域避難体制を整備するためには広域避難が必要となった場合に受け入れてくれる市町との調整が必要となり、市町が単独で対応することは困難との声も聞いています。また地域防災計画などの改定に当たっては、地域の実情に精通した市町と気象庁をはじめとした国や専門家との連携、県の支援も必要となります。
 富士山噴火に関する避難対策について、今後どのように県民への周知啓発を行うのか、また市町の計画改定や火山防災対策をどのように支援していくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、リニア中央新幹線整備への国の関与について伺います。
 リニア中央新幹線静岡工区につきましては、県とJR東海が県の専門部会等においてリニア中央新幹線の整備と水資源、自然環境の保全との両立に向け科学的、工学的な根拠に基づく対話を進めていると承知しております。当面の解決すべき大きな課題として、南アルプストンネル工事に伴い大量に流出をするトンネル湧水の戻し方と大量に発生する残土処理の二つがあると考えます。
 JR東海が提案をした田代ダム取水抑制案は、提案から一年以上がたってやっと東京電力リニューアブルパワーとの協議の場を開始するところまで来ましたけれども、いまだに実現可能性については確認できておりません。また大量に発生する残土処理につきましては、三百六十万立方メートルもの大量の盛土を行うツバクロの周辺は専門家などから深層崩壊のおそれがあると指摘をされており、安全性に懸念があります。
 また、自然由来の重金属を含む要対策土を盛土する藤島では、昨年七月に施行された静岡県盛土等の規制に関する条例により盛土を行うことができませんが、それにもかかわらずJR東海は発生土の処理計画を見直していないと伺っています。
 このように、大きな課題について県とJR東海との対話が思うように進んでいないと感じています。対話を円滑に進め早期に課題解決を図るためには、リニア中央新幹線整備の事業計画を認可しJR東海を事業主体として指名をしている国が積極的に関与しJR東海への指導が必要であると考えますが、県の見解と今後の対応についてお伺いいたします。
 次に、六月二日からの大雨による被災者への支援について伺います。
 今月二日から三日未明にかけての台風二号の接近に伴う大雨では、線状降水帯による豪雨によって、二名の貴い人命が失われました。また県内各地で土砂災害や床上浸水などが発生し甚大な被害をもたらしました。今回の災害により犠牲になられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、住宅などの被害を受けた皆様に対しましてお見舞いを申し上げます。
 今回の災害は、まだ出水期を迎えたばかりであり今後もさらなる大雨や台風による被害が発生するおそれがあります。また昨年九月の台風十五号で被災した箇所で再被災した箇所もありました。このため今回の被災箇所及び台風十五号で被災した箇所の早期復旧は不可欠であり、県には迅速な対応をお願いしたいと考えております。
 加えて、今回の災害に被災された方が早期に生活再建できるよう被災者にしっかり寄り添って支援をしていくことも重要だと考えます。例えば磐田市の敷地川では台風十五号で決壊した箇所が再被災いたしました。決壊箇所の付近では住宅の浸水や農園への土砂流入被害が広がり、落胆した表情で自宅に流れ込んだ土砂のかき出しなどに追われる住民の姿がありました。元の生活を取り戻しつつあった住民が再び気力を振り絞って生活再建に取り組むことは決して容易なことではありません。
 私どもの会派では、六月六日に知事宛てに提出した要望書におきまして被災箇所の迅速な復旧に加え、生活再建支援を検討することなどを盛り込みました。同日に磐田市が提出をした要望書においても県による被災者支援を求める声が盛り込まれており、早期の生活再建に向け県の取組が大変重要だと感じています。
 六月二日からの大雨により被災された方の生活再建に向けた支援についてどのように取り組んでいくか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、県の観光施策の推進について伺います。
 静岡県の観光戦略は、令和四年度からの四か年計画である静岡県観光基本計画に沿って進められています。アフターコロナの中で観光産業は回復に向かいつつありますが、様々な状況がコロナ前とは変わってきており静岡県観光基本計画を再点検する必要があると考えています。
 静岡県観光基本計画には、本県観光の弱みとして平均宿泊日数が短いこと、消費額が低いこと、情報提供の満足度が低いこと、デジタルマーケティングが弱いことの記載があり、これらは私たち会派の認識とも合致をしております。
 平均宿泊日数が短い、消費額が低いとの指摘に対しては、いかに長く滞在してもらうか、どこからどんな人を呼ぶのか、顧客単価をいかに上げるかが重要であり、県内の各地域で今ある資源を生かした魅力的な企画をつくり広域で連携し旅行会社等とつながることが大切です。また情報提供の満足度が低い、デジタルマーケティング力が弱いとの指摘に対しましては、静岡県公式観光アプリTIPSの運用も含めてPRやマーケティングの専門家の意見を取り入れた上で取組の改善を図る必要があると考えます。
 また、インバウンドについて言えば韓国や台湾等今後さらなる拡大が見込まれる国、地域に資源を集中させるべきとも考えます。
 県として、インバウンドを含めた観光施策をどのように進めていくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、遠州灘海浜公園(篠原地区)野球場についてお伺いいたします。
 公園の都市計画決定から六十二年、浜松市が総合水泳場トビオを設置して十四年、浜松市の要望から十二年、そして基本構想の策定から七年が経過をし、昨年度やっと公園のタイプが決まりました。今年度は野球場の基本計画を策定すべく官民連携導入可能性調査を行い、民間事業者の知恵と工夫で公園施設を活性化に資するよう検討することとしています。
 近年、官民連携によるスポーツ施設を活用した地域活性化施策は大きく動いています。スポーツ庁はスポーツの成長産業化を進めるほか、地域でのスポーツオープンイノベーションプラットフォームの設置を進めています。また私、昨年度の建設委員会でも指摘させていただきましたが、スポーツ施設については行政主導の単機能型から民間活力を導入した多機能型への改革を進め、施設整備を目的とするのではなく管理、運営、効果までを想定した計画を検討するよう進めています。内閣府においてもPPP/PFI推進アクションプランに取り組んでいます。PPPとはパブリック・プライベート・パートナーシップという手法、PFIはプライベート・ファイナンス・イニシアティブという手法で、いずれにしても官民連携によって民間の資金を導入してもらって設置をしていこうということですが、これは本県が既に富士山静岡空港で導入しているようなPFIコンセッション方式のスポーツ施設への導入なども見据えた取組を内閣府でも進めております。
 こうした状況の中、まず現在の官民連携導入可能性調査の進状況と今後の進め方についてお尋ねをしたいと思います。
 また、野球場や公園という限定されたエリアだけでなく地域全体を面でとらえ活性化につなげることも地域経営の観点から重要になります。浜松市のほうでも道の駅の構想が聞かれておりますが、JR高塚駅から公園に至るまでのまちづくりも重要なテーマとなります。市との連携によるまちづくりの検討状況についてもお伺いしたいと思います。
 次に、浜名湖花博二〇二四の開催に向けた取組について伺います。
 二〇〇四年の浜名湖花博では、五百四十万人を超える来場者が花と緑そして地域の魅力を楽しみました。私も近隣住民の一人として何度か訪れ季節によって移りゆく花々を楽しませてもらったことを昨日のことのように思い出します。十周年記念事業も目標の八十万人を大きく上回る約百三十万人の来場者が訪れました。花と緑の魅力は普遍的なものであり、二十周年記念事業についても大きな期待をしています。今回はさらにデジタルを活用したアメニティーも用意されており、老若男女それぞれに楽しめるイベントとなることを期待しております。
 今年度当初予算では七億円を超える事業費を計上し実施計画も公表され地元の期待も高まってまいりました。県は浜名湖ガーデンパーク会場の入場者目標を五十万人から五十五万人、浜松フラワーパークと合わせて九十万人から九十五万人の来場者を見込んでいますが、旅行需要の取り込みのほか広報やチケットの販売促進に一層取り組むことが重要と考えます。
 一方、多くの来場者を期待する中では浜名湖ガーデンパークのイベントは常に交通渋滞と背中合わせであり、既に地域住民からも渋滞対策について聞かれることもあります。住民からも歓迎される浜名湖花博二〇二四にするためには地域の皆様との連携も必要と考えます。
 開催まで一年を切り、本年四月には経済産業部内に浜名湖花博二十周年記念事業推進室が設置され、広報宣伝事業や浜名湖ガーデンパークを会場に行われる事業を進めていくための体制が整いました。既にユニバーサルガーデン研修会の開催やフラワーガーデンコンテストの参加者募集など開催に向けた準備も本格的に進められています。九月には前売り入場券の販売が開始されると聞いており、開催に向けた準備において一つの大きな節目を迎えることになります。
 本格的な推進体制が整ったこの三か月を振り返り、どのような開催準備を行ってきたのか伺います。また今後前売り入場券販売までの間花博二〇二四の成功に向けてどのような取組を進めていくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、サイバーセキュリティー対策について伺います。
 私は、本年二月の代表質問で中小企業のデジタル化支援について質問いたしました。経済産業部からはデジタルものづくりを推進するとの力強い答弁をもらい、大いに期待をしているところであります。一方でデジタル化を進めることでリスクも生じます。それがサイバーセキュリティー対策です。以下、二点についてお伺いいたします。
 まず、セキュリティー対策の強化について警察本部長にお伺いいたします。
 インターネットが国民生活に不可欠な社会基盤となり、それに伴いデジタル化推進の動きが加速をしサイバー空間は重要な社会経済活動が営まれる公共空間となっています。一方サイバー空間に対する攻撃は年々増加傾向にあり、社会経済の発展や国民生活の安全・安心に対する深刻な脅威となっています。
 今月八日、富士市の企業がサイバー攻撃を受けサービス停止を余儀なくされたと、既に復旧しているようでありますけれども、全国のお客様に影響が出たという報道を伺いました。また昨年は、大手自動車メーカーの関連企業がランサムウエアに感染し十四の工場で生産が停止をいたしました。ランサムウエアというのはデータを人質に取って身代金を要求するウイルスのことであります。また県東部の医療機関においてもランサムウエアによるサイバー攻撃があり、電子カルテが一部使用できなくなるシステム障害が発生をしております。
 一たび重要なインフラ基幹システムにサイバー攻撃が行われると、機能低下に陥り社会全体に大きな影響を与えることをまざまざと知ることとなりました。サイバー攻撃をする側は費用や人材の確保が難しくセキュリティー対策が進んでいない中小企業を狙い、そこから大企業のシステム内部へ侵入するケースがあります。中小企業の場合サイバー攻撃を受けた後の対応が大変であり、クレーム対応や顧客への連絡、原因究明、復旧対応、再発防止まで全て行わなくてはならず対応に混迷を極めることとなります。
 ランサムウエアによる被害が拡大しサプライチェーンの事業や医療提供体制に影響を及ぼす事例が確認をされている中、まずは被害リスクの高い中小企業や医療機関をサイバー攻撃から守ることが必要です。
 捜査機関である警察は、サイバー空間における脅威はもちろんのこと、被害状況や巧妙化する手口、対策について幅広い知見を有していると思います。これら中小企業や医療機関がサイバー攻撃による被害に遭わないためにどのような対策を講じ、連携強化を進めていくかお尋ねをいたします。
 次に、中小企業のBCP策定支援について伺います。
 サイバー攻撃による被害に遭わないためには今申し上げましたセキュリティー対策を進めることが重要ですが、幾らセキュリティー対策を進めても巧妙なサイバー攻撃による被害は後を絶ちません。
 こうした中で、サプライチェーン全体での事業継続を考えたときに必要となるのが中小企業のBCP  ビジネス・コンティニュイティー・プラン、これ事業継続計画と言いますけれども、これが必要になります。BCPについて従来は地震、風水害などの自然災害や火災、停電などのリスクを主眼にどのような事態になっても事業を継続する、または休止しても早期に再開することを目的に策定されてきました。しかしながら近年では、新型コロナウイルス感染症のような疫病のリスクや、今取り上げておりますサイバー攻撃などの新たなリスクについても経営に大きな影響を及ぼす重大なリスクと認識されるようになってまいりました。企業が様々なリスクに立ち向かうためにはBCPの策定を通じてリスクへの対応力、事業継続力を高めることが極めて重要になっています。
 一方、県の調査では令和三年度のBCP策定率は全体で五〇%弱、特に従業員数四十九人以下の企業では約三五%と策定が進んでいるとは言えない状況にあります。
 サイバー攻撃を受けた後の対応は、先ほど申しましたとおりお客様への連絡、原因究明、復旧対応、再発防止まで非常に幅広く求められます。中小企業におけるサイバーセキュリティー対策を含めたBCPの策定を支援すべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、教員不足への対応について伺います。
 本県が掲げる有徳の人を育成するためには、育成の最前線となる小中学校が子供たちが生き生きと学べる環境でなくてはいけません。とりわけ教職員の人材育成や教員の確保は重要で私どもの会派ではこれまでも本会議で取り上げてまいりました。
 そのような中、教員不足によって首都圏の公立学校で病気で休職となる教員の代わりが確保できず新年度の始業式で学級担任が発表できなかったという報道を聞きました。本県ではそこまでの事態には至っておりませんけれども、それでも新年度が始まった時点で七十六人もの教員が不足をしていたと伺っています。教員不足により中には標準的な週の授業時間数二十八時間のうち二十六時間も授業を受け持つ教員がいると聞いています。これでは次の授業の準備をする時間が十分確保できず働き方改革につながらない上に子供たちの学習環境にも影響が出てしまいます。
 学校現場の長時間労働の勤務実態などが広く伝わり教員を目指す若者が減っていると言います。教員不足が全国的に喫緊の課題となっている状況を踏まえ、国は教員確保に向けて早期化する民間企業の採用に対抗するために、来年度の教員採用試験について一次試験をこれまでより約一か月早く前倒しで実施するよう全国の教育委員会に呼びかけたと聞いています。本県でも来年度の教員採用試験を従来から二か月程度前倒しをして実施すると先日発表されております。若干の期待はいたしますけれども全国の都道府県や政令市も同様の対応をすることになると思いますのでこれだけではやはり課題の解決にはつながらないと考えます。優秀な教員を確保するために本県独自の諸施策を直ちに講じる必要があると考えます。
 このような中で、国は骨太の方針の中で「教職の魅力向上等を通じ、志ある優れた教師の発掘・確保に全力で取り組む」としており、具体的に働き方改革の加速化や給与体系の改善を含む処遇改善、育成支援の推進などを掲げておりました。本県においても優秀な人材を確保するためには骨太方針を上回る本県独自の思い切った施策を打ち出すことが必要と考えます。
 子供たちへの教育は教師の力によるところが多くあります。教員という職業が社会的にも尊敬を集め、誇りとやりがいを感じて教員を目指す若者が増えてほしいと考えます。
 本県の教育の質を高めていくために、優秀な教員の確保に向けてどのように取り組んでいくか、県教育委員会の所見をお伺いいたします。
 最後に、オンラインによる不登校児童生徒への支援について伺います。
 不登校児童生徒は年々増加しておりまして、令和四年十月に文部科学省が公表した令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、小中学校の不登校児童生徒数が二十四万四千九百四十人と過去最多となったと聞いております。コロナ禍の行動制限で登校意欲が低下をしたということも考えられるかもしれませんが、本県においても八千三十人と過去最多となっています。
 また、学校内外の機関などで相談や指導を受けた不登校児童生徒は約六四%ということですが、四年連続でその割合が低下をしていると聞いています。言い換えますとどこにもつながっていない児童生徒が増加をしているということであります。
 こうした状況を改善するためにはオンラインを活用した取組が有効であり、全国的に見ると既にオンライン学習支援をスタートをさせた自治体もあります。デジタル教室を開設し、不登校児童生徒に対して人工知能を使った学習ドリルや既存の学習用の動画を活用し、またメタバースでアバターを使ってホームルームを行うなどオンライン上でコミュニケーションを取っているとのことです。既に県内全ての小中学校の児童生徒にタブレット等が配布されたことにより自宅にいながら学習支援を受けることは可能になっています。しかし、現状では不登校の子供たちへの対応にICTを活用してつながりを持つ取組が決して十分とは言えない学校や地域もあるとのことです。
 不登校である本人、保護者ともに学習の遅れを懸念しています。県として学習、コミュニケーションの両面からオンラインによる不登校児童生徒への支援に取り組む必要があると考えますが、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 田口議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、県・政令指定都市サミットの開催についてであります。
 政令指定都市は都道府県と同等の機能や財源に裏づけられた高次の自治能力を有しておりますので、その自主性、自律性は尊重すべきものであると考えております。一方、県全体の発展を図り安心して暮らせる地域をつくるためには、人口減少や少子高齢化など行政を取り巻く環境が厳しさを増す中県と政令指定都市が将来像を共有しながら協働することが重要であります。
 この四月、本県の二つの政令指定都市、静岡市と浜松市で新たな市長さんが生まれました。両市長ともに県との連携に積極的な意向を示されております。これまでも両市とは担当部局間での政策協議や地域サミットを通じて協力関係は築いておりますけれども、今後はさらに多くの分野で三人での連携を深めてまいりたいと考えております。
 その第一歩として、県・政令指定都市サミットを九月中旬をめどに開催できるよう現在事務的な調整を行っております。議論の内容といたしましては人口減少をはじめ災害時の連携、産業振興、DX、地域の魅力づくり等々多くのテーマが想定されますので、両市長さんの御意向も踏まえながらできる限り幅広く意見交換してまいりたいと考えております。
 特に急速に進む人口減少は両市町ともに記者会見で言及されております。大きな課題でありますが、移住・定住の促進や関係人口の拡大に向けまして地域の魅力を高めにぎわいを取り戻す取組を連携して進めます。それとともに人口減少下においても住民の皆様の満足度低下を招かないようにデジタル技術を活用した行政サービスの高度化や広域的な連携を進めることが重要です。
 また、去る六月二日から三日にかけて豪雨がございまして二名の貴い人命が失われました。県内各地で家屋の損壊や多くの浸水被害も発生しました。静岡市、浜松市ともに大きな面積を持っております。山間部も擁しております。頻発、激甚化する風水害等への対応、安全・安心な地域づくりは県、市の垣根を越えて取り組むべき課題であります。
 行政が対応するべき課題が高度化、複雑化する中で本県の将来発展において中核的役割を担う政令指定都市との連携は大変重要です。県・政令指定都市サミットをはじめ様々な機会を通じ共通の課題解決に向けた建設的な議論を行うことによって政令指定都市との関係強化を進めてまいります。
 次に、財政健全化の推進についてであります。
 新型コロナウイルス感染症や物価高騰への喫緊の対策に加えDXの推進、脱炭素社会の構築など新たな施策に積極的に取り組んだ結果、本県の歳出規模が拡大したというのは事実であります。令和五年度当初予算の財源不足額は前年度より八十一億円増加し五百三十八億円となりました。今後の見通しにつきましても、社会保障経費の増加に加え国の次元の異なる少子化対策が新たに展開されるなど大変厳しい財政状況が続くものと認識しております。
 こうした中でも、直面する様々な課題に対応して将来へ積極的に投資するために健全な財政運営を堅持することがより一層重要となってまいります。このため財政運営の目標である令和七年度の収支均衡の達成に向けまして、全庁を挙げて歳出のスリム化と歳入の確保に取り組んでまいります。
 歳出につきましては、部局長のリーダーシップを発揮していただき事務事業を多角的に検証し、創造的破壊の精神で聖域なく見直しを進めてまいります。また議員御指摘の地方公会計の手法につきましてはこれまでも社会教育施設等をモデルとしてコスト分析を行ってまいりましたが、対象をさらに拡大するほか資産の老朽化率などを活用して維持管理コストの削減や県有施設の最適化につなげてまいります。
 また、AIやRPA  ロボティック・プロセス・オートメーションの略ですがロボットで自動化するテクノロジー、通称このRPA  などのデジタル技術を活用した総労働時間の縮減やグリーンボンドによる有利な資金調達などによりまして、人件費や公債費等の義務的経費についても削減を図ります。
 加えて歳入につきましては、フジノミクスを展開してリーディング産業の育成等により県税収入の増加を図るほか、県有施設へのネーミングライツの導入、ふるさと納税の促進などにより積極的に幅広い財源を確保してまいる所存であります。
 今後とも徹底した歳出歳入両面の見直しに取り組み、将来にわたって持続可能な財政基盤を構築し富国有徳の美しいふじのくにの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症における医療対策の総括と将来への備えについてであります。
 将来発生し得る感染症のパンデミックに備えまして、三年余りに及ぶ新型コロナへの対応とともに生じてまいりました課題を関係機関と共有し、より効果的な医療対策に継承することが大変重要です。
 議員御指摘のとおり病床の確保や発熱患者の診療体制につきましては、当初防護服が不足し院内の感染対策も不十分でした。さらに患者受入れ病院に対する風評被害への危惧もありました。こうしたことから受入れ病院や発熱外来の拡充は円滑に進みませんでした。また流行を重ねるごとに感染者数が増加し、保健所の業務が逼迫を繰り返し感染者への対応や発生届のデータ入力などに遅れが生じました。
 これらのことを踏まえまして、入院体制と発熱外来の整備、医療用物資の確保、保健所の機能向上など保健医療提供体制の確保、これを一つの柱とし、また感染状況の把握、県民の皆様への情報発信などの感染拡大防止対策をもう一つの柱といたしまして、この二つの柱でテーマごとに経過と課題を取りまとめているところであります。
 今後、医療機関や市町、医師会、病院協会などで構成する感染症対策連携協議会を設置いたしまして具体的な対策を議論し、今年度改定する感染症予防計画に盛り込み本県の感染症対策の司令塔機能を担うふじのくに感染症管理センターに引き継いでまいります。
 ふじのくに感染症管理センター、今三島市にこの四月に開所いたしましたが、感染症予防計画に基づき医療機関等と病床確保や発熱外来の実施等に関する協定を締結することなどにより、感染症の流行の初期段階から早急に医療が提供できるよう体制の構築を図ってまいります。またICTを活用することで感染状況や各病院の病床の使用状況等を可視化し保健所業務の効率化を図るとともに、医療関係者や県民の皆様への分かりやすい情報発信に加え感染症に対応できる人材の養成にも努めてまいります。
 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行したこの機会にこれまでの医療対策を総括した上で、その経験を生かして感染症への対応力を強化し防疫先進県を目指してまいります。
 次に、リニア中央新幹線整備への国の関与についてであります。
 国は関与するべき責任があります。リニア中央新幹線の環境影響評価に対しまして環境大臣意見、国交大臣意見、二つが出ております。環境大臣意見は二〇一四年六月五日に出ましたがその一節に、特に山梨県から長野県にまたがる地域の一部は我が国を代表する優れた自然の風景地として南アルプス国立公園に指定されており、またユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命であるとうたわれております。また国交大臣におきましては国交省が二〇一〇年に深層崩壊推定震度の全国マップを設定いたしましてつくりました。そのマップを見ますとトンネル付近、これは四段階に分けておりまして頻度が特に高い、高い、低い、特に低いとこの四つの段階に分けているんでありますが、トンネル付近は特に高いに分類されております。こうしたことを踏まえまして二〇一四年の七月十八日に出ました国交大臣の意見によりますと、南アルプス等長大山岳トンネルで通過する計画であり、このトンネルの掘削に伴う建設発生土量が多いこと、地域住民の生活環境や自然環境への影響があること、事業に伴う水資源に影響があること等々が懸念されており、本事業の実施に当たっては環境保全に十分な配慮が必要であるというふうに意見されております。
 トンネルを掘りますと必ず水と発生土が出ます。したがって、議員御指摘のとおりほかにも問題がありますけれども、水の問題とこの膨大な発生土の問題、これ極めて重要な課題として解決せねばなりません。これまで本県は、国に対しまして有識者会議の中立公正な運営をはじめ山梨県側から県境に向けて実施する高速長尺先進ボーリング計画に関するJR東海への御指導など国の関与を要請してまいりました。また大井川流域八市二町も本年四月国のさらなる関与を求めて要望書を提出されました。
 この間私が持ったのは軽い失望であります。十分に国の関与が引き出せないということでございます。そうした中で最大のこの圧力組織というのがリニア中央新幹線建設促進期成同盟会というもので一九七九年、今から四十四年前につくられたものでございまして、いかにその圧力が強いかというのはこれはルート上にある都府県でございますけれども当初は東京、名古屋、大阪を結ぶということになっていたわけですが、通過する県、ここに中間駅を造れという要望をなさいました。これはなかなか厳しい要望だったわけですがJR東海は認めました。ただし自分たちで造りなさいということでした。それはとてもじゃないけど造れないということで、今度はその駅はJR東海さんが自らサービスを提供する以上自ら造るべきだという要請を出されましてこの要求も通ったわけでございます。
 この期成同盟会の規約を見ますと二つございまして、一つはこのような要請、陳情であります。もう一つが調査研究、広報啓発というものでございまして、この期成同盟会に静岡県は入っていなかったわけです。ルートになかったからでありますが、突然二〇一〇年に国交省に対してJR東海が南アルプストンネルを掘るんだというそういうルートを発表され、小委員会で検討された結果二〇一一年の五月に意見がまとまりまして国交大臣意見は国交省がそのルートを認めたということになったわけでございます。
 ですから、もう本当にこの十年余りで静岡県のことが議論されることになったと同時に我々のことは他の期成同盟会のメンバーは知りません。なぜなら、それまで一緒にやってなかったからです。
 そういうことがございまして昨年ようやくこの期成同盟会に入れていただいたということでございます。その期成同盟会、この先月三十一日に総会が開かれましてそこで決議が七項目出されました。その七項目のうち第一項目の決議が国及びJR東海が水資源、自然環境への影響の回避、軽減とリニア中央新幹線の早期実現を両立する観点から有識者会議の議論を積極的に進める旨の決議がうたわれております。総会終了後も私も期成同盟会会長である大村愛知県知事さんをはじめ他県の知事さんと共に国交省の古川政務官に対し国のさらなる関与を要望したところであります。今まで国と言ってまいりましたけれども、基本的には国交省の鉄道局であります。さらに言えば鉄道局長ということでございますが、鉄道局長のリーダーシップには失望しているところがございます。一方、環境省は現在生態系について議論をしているにもかかわらず傍観者にとどまっておりまして積極的な関与が全く認められないということでございます。
 こうした中、今年の正月に岸田内閣総理大臣閣下が伊勢神宮の御前におきましてこのリニアと静岡に関わる積極的な発言をしてくださいました。そして、この夏に意見をまとめるということでございました。こういうことで、私は大臣のみならず岸田総理の御関心もあるということでございますのでそのリーダーシップにも強い期待を抱くところでございます。
 県といたしましては、国に対しまして課題解決に向けたより一層の支援とJR東海への御指導を要請しつつ、リニア中央新幹線の整備と大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立に向けまして全力で私の一身を投げて取り組んでまいりたいと覚悟しておるところであります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(鈴木澄美君) 出野副知事。
       (副知事 出野 勉君登壇)
○副知事(出野 勉君) 県の観光施策の推進についてお答えいたします。
 本県の観光基本計画では、コロナ禍の令和二年度に四千三百三十六億円まで落ち込んだ県内の旅行消費額を令和七年度に八千億円まで拡大することを目標に掲げており、新しい需要の創出や滞在の長期化を目指して高付加価値でテーマ性の高い魅力ある観光地域づくりを進めておるところでございます。
 具体的には、県内各地の気候風土がもたらす多彩で高品質な食材を生かした食を堪能すると同時にその背景にある自然や歴史文化などの観光資源を楽しみ、生産者、料理人の技を体験するガストロノミーツーリズムの推進にまずは重点的に取り組んでいるところであります。
 また、新潟県、長野県、山梨県、静岡県の中央日本四県が連携して観光誘客を一体的に進める黄金KAIDOプロジェクトを立ち上げ、国内外からのお客様を広域で受け入れる観光エリアに発展させてまいります。
 加えて、多様化する旅行ニーズに的確に対応したサービスの創出に向け、本県の公式観光アプリTIPSに利用者ごとに最適なおすすめスポット情報を提供する機能を追加したほか訪日旅行客を想定して多言語化いたしました。今後はマーケティングの専門家や旅行会社等の御意見を参考にしながらそのときしか体験できないイベントや地元の方しか知らない隠れた名所などのコンテンツの充実さらには旅行者データに基づいた旅行商品の開発にも努めてまいります。
 また、今年度は本県が東アジア文化都市、言わば日本の文化首都に選定され、本県の魅力をアジア地域を中心とした世界に発信する絶好の機会となっております。県の海外駐在員事務所が中心となって現地の旅行会社に本県へのツアー商品の開発を促進するほか、空の玄関口である富士山静岡空港の定期便の復活・増便を航空会社に働きかけるなどまずは韓国、中国、台湾などの東アジア地域からの誘客に注力してまいります。
 あわせて、滞在日数が長く一人当たりの旅行消費額が多い欧州、アメリカ、オーストラリア等の旅行者の獲得を目指し、静岡ツーリズムビューローと連携して現地の旅行会社やメディアに向けて本県の多彩な魅力を発信してまいります。
 コロナ禍によって大きく変容した観光需要に市町や観光関連事業者と一体となって迅速かつ的確に対応し、アフターコロナにおける本県観光産業の一刻も早い復活に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 京極経営管理部長。
       (経営管理部長 京極仁志君登壇)
○経営管理部長(京極仁志君) 行政の生産性向上についてお答えいたします。
 本県では、行政の生産性向上のため令和元年度からBPR  ビジネス・プロセス・リエンジニアリングの視点に立った業務改善活動に取り組んでおります。毎年四所属程度をモデルに外部アドバイザーや行政経営課職員が各所属における業務プロセスの改善を支援することで間接工数も含めた業務フロー全体の見直しを進めております。
 こうした見直しを基にデジタルツール導入などの改善を進めた結果、四年間で約一万五千時間相当の削減効果に結びつきました。一方この活動は、各モデル所属固有の課題を解決することに主眼が置かれていたことから成果を他所属に横展開するには至っておりませんでした。
 そこで、本年度から同様の課題を抱える複数所属による改善チームを設置し、窓口業務や各種届出の処理、立入検査など業務単位の活動とすることで他所属への横展開を迅速かつ効率的に進めてまいります。また所属長自らが事務の簡素化を実践する断捨離宣言など様々な間接工数の削減にも引き続き取り組み、全庁を挙げて業務の効率化を推進してまいります。
 人口減少による人材確保が一層厳しくなる中、限られた人数で適切な県民サービスを提供できるようこれまでの慣行にとらわれず働き方を不断に見直すことで行政の生産性向上に一層努めてまいります。
 次に、行政サービス提供体制の最適化についてであります。
 県では、平成二十六年度に行政経営研究会を設置して以降将来を見据え、県と市町が組織や行政区域の垣根を越えて連携した自治体行政の在り方を国に先んじて議論し具体化してまいりました。人口減少や少子高齢化に伴う地域の課題は多様であることから、研究会ではインフラ、公共施設の老朽化や情報システムの標準化など共通する課題に関する研究部会を設置するとともに、市町の提案を踏まえ随時具体的テーマを設定し議論する課題検討会を開催しております。
 本年度は、近年自然災害が激甚化、頻発化する中各自治体では土木等の技術職員の確保が困難となり持続的なインフラの維持が課題となっていることから、採用時期や採用方法の工夫など慢性的に不足する技術職員の確保策や連携体制を検討することとしております。また公金等の電子納付の推進や金融機関における窓口収納手数料の見直しなど自治体DX等の分野において新たな課題が発生しているため、県、市町が一体となって対応策を検討しているところであります。
 国の研究会の提言に示される安定的、持続的な住民サービス提供が困難となる状況は絶対に避けなければなりません。今後も本研究会を通じて地方自治体が抱える課題を県、市町が共に考え議論していくことにより、互いの信頼関係をさらに強め持続可能な行政サービス提供体制の最適化に向けた取組を着実に進めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 石川政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 石川英寛君登壇)
○政策推進担当部長(石川英寛君) 企画部門の機能強化についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県が直面する課題は複雑化、多様化しており、一つの部局で対応することが困難な課題も数多くあります。
 こうした部局横断的課題のうちDXの推進や防災対策など中心となる部局が明確なものにつきましては、担当部局が全庁的な対策本部等を立ち上げ部局間連携により対応しております。一方で中心となる部局が明確でない課題もありますが、そのうち特に重要性が高く全体を俯瞰しながら戦略的に取り組むべき課題は企画部門がしっかりと対応しております。具体的には私の指示の下に総合政策課において現状と課題を分析した上で方向性を示し関係部局と連携して取組を進めているところであります。
 例えば、本県の最重要課題の一つである人口減少問題については、政策推進担当部長を座長とする人口減少対策タスクフォースを設置し五つの部局と共に部局の枠を超えて政策の調整や立案を行ってまいりました。今後はこうした企画調整機能を強化してまいります。具体的には複数職員のチームで多角的な政策検討をし、県庁外の有識者から積極的に高度な知見や新たなアプローチを取り入れるとともにデジタル技術を活用した新たな手法も十分に検討してまいります。こうした取組を進めることで高度化、複雑化する行政課題にしっかりと対応し本県のさらなる発展に寄与してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 森本危機管理部長。
       (危機管理部長 森本哲生君登壇)
○危機管理部長(森本哲生君) 富士山噴火に関する避難対策についてお答えいたします。
 富士山火山避難基本計画は、命を守るための避難を優先しつつ暮らしを守るための避難に配慮するという考え方を基本に、噴火の規模や状況を踏まえ、まずは自らの市町村内で避難し必要に応じて受入れ市町村へ広域避難するという段階的な避難を行うこととしております。現在県及び富士山の火山災害警戒地域に指定された県内十市町では、地域防災計画や市町避難計画の改定作業を進めております。県では地域特性を考慮した実効性の高い避難体制の構築を目指し、国や専門家の御意見を伺いながら想定される溶岩の流れを分水嶺などの地形により整理し市町ごとに影響がある地域をお示しすることで、具体的な避難計画の策定を支援しているところであります。
 また、噴火の位置と規模によっては市町の区域を越えて広域避難が必要となるケースもあることから、今後県が避難実施市町と受入れ市町村との調整を進め市町の広域避難の体制整備を強力に推進してまいります。
 県民への周知につきましては、令和三年度に改訂版富士山ハザードマップ説明会を全十市町を対象に実施し約千三百名の方に御参加頂きました。今年度は富士山火山避難基本計画の改定を踏まえ十市町と連携した住民説明会を開催し、各市町の避難計画など火山防災対策のさらなる理解促進に努めてまいります。
 県といたしましては、富士山噴火から県民の命を守るため市町と連携し富士山火山防災対策の正しい理解の普及に努めるとともに、県民参加による避難訓練を継続的に実施することにより実効性の向上に努めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 八木健康福祉部長。
       (健康福祉部長 八木敏裕君登壇)
○健康福祉部長(八木敏裕君) 六月二日からの大雨による被災者への支援についてお答えいたします。
 このたびの大雨による災害では磐田市に対し災害救助法を適用いたしました。このため準半壊以上の被害を受けた住宅を応急修理の対象とし、現在、磐田市において被災された皆様に対し修理に向けた御意向を確認しているところであります。
 被災の状況から今回の災害では被災者生活再建支援法は適用されない見込みですが、その場合においても県独自の制度を活用し、被災した全市町において国制度と同様中規模半壊以上の世帯に対し住宅の建設や補修等を支援してまいります。
 また、今回の災害のように短期間で複数回被災された皆様の生活再建は、大変な困難が伴うものと承知しております。このため国に対しましては負担軽減のための新たな支援策を要望してまいります。
 加えて、県及び日本赤十字社静岡県支部、静岡県共同募金会では、今回の災害の被災者に対する義援金を募集しております。寄せられた義援金につきましては、各市町の被害状況に応じて速やかに配分いたします。
 県といたしましては、被災者の皆様の早期の生活再建が図れますよう市町や関係団体とも連携して被災者支援に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 勝又交通基盤部長。
       (交通基盤部長 勝又泰宏君登壇)
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 遠州灘海浜公園篠原地区野球場についてお答えいたします。
 遠州灘海浜公園篠原地区の野球場の構造、規模を適切に評価するためには需要を詳細に把握するとともに民間資金の活用によるコスト縮減等の検討が必要であることから、今年度官民連携導入可能性調査を実施することといたしました。
 本調査につきましては、今月調査業者と業務委託契約を締結したところであり、サウンディング型市場調査や野球関係団体へのヒアリング調査等を進めてまいります。今後これらの結果を整理した上で民間事業者の参入による効果がより高いと考えられるPFIの事業手法について検討するとともに、野球場のタイプを三案程度に絞り込んでまいります。
 また、高塚駅から公園に至るまでのまちづくりにつきましては、今年度から浜松市が道の駅及び周辺地域活性化構想の策定に着手したところであり、市との勉強会を通じて情報共有を図りながら野球場を含めた公園との相乗効果による周辺のにぎわい創出に取り組んでまいります。
 県といたしましては、遠州灘海浜公園篠原地区の公園全体が多くの県民の皆様に愛され、周辺地域にもにぎわいをもたらす施設となるよう検討してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 櫻井農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 櫻井正陽君登壇)
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 浜名湖花博二〇二四の開催に向けた取組についてお答えいたします。
 来春の浜名湖花博の開催に向け、四月から浜松総合庁舎に担当室を設置し十八人体制で広報や花壇等花の修景、イベントなどの準備を本格的に進めております。
 まず広報につきましては、五月に国際庭園でプレイベントを開催したほかポスター、チラシの配布、SNSの活用等により県内外に広く花博のPRを展開しております。主役となる花の修景につきましては、テーマ性を持ったデザイン設計のほか県内生産者と連携し、新たに四十万株を植栽する花や樹木の調達を行っております。
 イベント関連では、自動運転車両の園内周遊や花と緑のデジタルアートなど協力企業と具体的な出展調整を行うとともに、浜名湖の魅力を生かした海上輸送の提供に向けて五月に設置した舟運部会を通じて地元関係者と航路や運営方法等の検討を進めております。今後は九月の前売り入場券の販売開始に向けて入場券販売管理本部を設け、旅行会社や企業・団体への営業活動を強化してまいります。
 また、交通渋滞対策につきましては、八月に警察や交通事業者、行政機関等による交通連絡会議を設置し、ゴールデンウイーク中に実施をした交通量調査等を参考に適切な交通輸送計画を策定してまいります。
 県といたしましては、浜名湖花博の開催に向けて地域住民と来場者の皆様がともに花緑のもたらす豊かさを快適に堪能できるよう万全の準備を進めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 大原警察本部長。
       (警察本部長 大原光博君登壇)
○警察本部長(大原光博君) サイバーセキュリティー対策についてのうち、セキュリティー対策の強化についてお答えいたします。
 中小企業や医療機関にとってランサムウエアやサプライチェーン攻撃などは重大な脅威となっております。
 県警察では、昨年八月知事部局や中小企業支援団体などと静岡県中小企業サイバーセキュリティー支援ネットワークを構築し、本年三月には公益社団法人静岡県病院協会とサイバーセキュリティー対策に関する協定を締結し、サイバーセキュリティー意識の向上と被害防止のための取組を推進しております。
 具体的には、ネットワークまたは協会傘下の企業、医療機関に対し個別の依頼に応じての講話の実施、サイバー空間の脅威をめぐる最新の情勢や啓発資料の提供、事件発生時における速やかな捜査と発生原因のフィードバック、再被害防止や被害拡大防止方法の教示などを行っているところであります。その際企業、医療機関が通報、相談しやすい機運を整えることが重要であると考えており、参加企業、医療機関の拡大に努めながら連携をさらに強化してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 増田経済産業部長。
       (経済産業部長 増田始己君登壇)
○経済産業部長(増田始己君) サイバーセキュリティー対策についてのうち、中小企業のBCP策定支援についてお答えいたします。
 県では、平成十七年度に静岡県事業継続計画モデルプランを策定し、その後の東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の世界的な流行など社会経済情勢の変化を踏まえた改定を重ねながら県内中小企業へのBCPの普及促進に努めてまいりました。
 議員御指摘のとおり、近年デジタル化の進展に伴いサイバー犯罪が事業活動の大きな脅威となっていることから、地震や風水害、感染症への対応に加えサイバー攻撃に関する事前及び事後対策を記載したモデルプランへの見直しを進めており、本年九月を目途に公表する予定であります。今後改定後のモデルプランを活用しセミナーや個別相談会などを通じて中小企業のBCP策定支援に取り組むとともに、県警察本部や次世代自動車センター浜松が進めるサイバーセキュリティー対策とも連携しサプライチェーン全体の事業リスクの軽減を図ってまいります。
 県といたしましては、こうしたきめ細かな取組により県内中小企業のBCP策定率を一層向上させるとともに、既に策定済みの事業者におけるBCPの改定や実効性の向上を継続的に後押ししてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 池上教育長。
       (教育長 池上重弘君登壇)
○教育長(池上重弘君) 教員不足への対応についてお答えいたします。
 教員不足は富国有徳を県政の理念として掲げる本県にとって大きな課題であります。子供たちを有徳の人として育成する上で必要不可欠な教育を担う教員志望者が減少していることに大変危機感を抱き、教職の魅力向上は急務であるとの認識を持っております。
 教員にとって子供に寄り添い成長を見守ることは大きな魅力の一つであり、ゆとりを持ってしっかり子供と向き合うことが教員のモチベーションになります。そのため市町教育委員会と協力しICTを活用した働き方改革を進めており、今後は共通して使用可能な補助教材の拡充や生成AIなどの新たな技術の活用の検討など業務改善を加速してまいります。
 また、学校、教員が担ってきた役割や業務の見直しも進めます。市町の首長部局や地域、保護者と学校の課題を共有し業務の分類整理につながる日常的な幅広い連携協力を進めてまいります。
 採用制度の改革についても積極的に進めており、来年度に行う令和七年度教員採用選考試験の日程を試行的に二か月前倒しして実施するほか、静岡県の教育を受けて育った人材が静岡県の教員として活躍できるよう地域に根差した優秀な人材を確保するための採用基準等の新設について検討してまいります。
 処遇改善につきましては、民間給与の改善が進む中で課題であると認識しております。国の動向を注視しながら人事委員会と課題の共有を図っていきたいと考えております。
 県教育委員会といたしましては、組織の枠を超えた様々な主体と連携協力しながら誇りとやりがいを持てる教員という仕事に魅力を感じる若者を増やせるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、オンラインによる不登校児童生徒への支援についてであります。
 誰一人取り残さない教育を目指し、各市町は不登校児童生徒一人一人に合った支援を進めております。市町によって進は異なりますが、特にICTの活用は有効な手段でありオンラインでの事業実施、オンデマンド教材や宿題の配信、AIドリルの提供などが行われております。
 その一方で、本人や保護者の希望に必ずしも添えていない事例や子供への学習支援について家庭と学校で話合いが十分にできていない事例など、ICTを活用した学習支援が効果的に行われていない状況も把握しております。このため県教育委員会は、児童生徒、保護者の意向に寄り添いながら学びにおけるICTのさらなる活用と学校と生徒保護者とのコミュニケーションの充実の両面から市町の取組を支援してまいります。
 具体的には、学校は保護者から一人一人の状況やニーズを聞き取り綿密な話合いの下で最適な支援等を決定していくことができるよう、今年度児童生徒、保護者との意思疎通を図る目的で県が作成した居心地よい環境チェックリストの活用を市町教育委員会に働きかけてまいります。
 また、フリースクール運営団体や市町教育委員会などが参画する協議会においてICT活用の課題共有やフリースクール等で学ぶ児童生徒への最適な活用の在り方などを検討し成果を普及いたします。
 このほか、対面でのコミュニケーションに抵抗感がある児童生徒であっても匿名性を生かして他者とつながることができる仮想空間を新たな居場所として提供するなど、社会とつながるための新たな仕組みの研究も進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、不登校の児童生徒の思いを尊重し多様な学びや社会とのつながりを持つ様々な機会を提供することで、誰一人取り残さない学びを実現してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 田口 章君。
       (三十三番 田口 章君登壇)
○三十三番(田口 章君) それでは要望を二点、再質問を二点させていただきます。
 まず要望ですけれども、教員不足への対応、今お話を伺いました。やはりいろんなIT機器等を使って業務効率化する、あるいは役割を見直すというようなお話を頂きましたけれども、私も今回の質問に当たって幾つかの学校へ行って先生方とお話をしたんですが、やっぱり働き方改革まだまだしっかり見てほしいと思っています。教員がやるべき仕事とそうでない仕事、そのあたり精査していただいて本当によりよい環境のほうをまずしっかりと努める、この体制を作っていきたいとお願いします。
 それから、企画部門の機能強化について、これは要望したいと思うんですけれども実はこれ今回質問するに当たってですね、実はダイバーシティー社会の推進とか物流二〇二四年問題への対応とか、こういった質問をしようと思ったら受け取れるところがないっていう話だったんですね。やっぱそういうのを受け取れるような県になってほしいなと思ってます。シリコンバレーのデザイン思考というのを聞いたことあると思うんですけど、イエスアンドっていう考え方ですね。イエスバットじゃなくて、そうだねでもできないねじゃなくて、そうですねじゃあこうやったらどうでしょうかっていうような発想でぜひこれから県全体で企画を進めていってもらいたいなとこれ要望にしておきます。
 再質問を二つさせていただきたいんですけれども、財政健全化のところと行政の生産性向上についてお尋ねします。
 事業の廃止、見直しにつきましては、これ知事から決意を伺いました。私これまでも思ってるんですが、財政当局の皆さんとはかなり意識共有できているんですけれども、全庁的にそれができているかというのがいささか不安なところがあります。というのも事業の廃止見直しに当たって、例えばこれまでも枠配分予算を導入してもらって各部局のほうで予算の精査をしてもらうというんでやったんですが、これが必ずしも十分に機能していたと私は思えないんですね。それからするとまだまだその部局の中に課題があるんだろうと思ってるんですけれども、そのあたりの認識について今どういうふうに受け止めていらっしゃるか、改善すべき点があるとしたらお尋ねしたいと思います。
 それから、行政の生産性向上のところなんですけれども、いろいろBPRやってくださってるとかね、一万五千時間ぐらい削減できたという話は伺いました。それはそれで一つの成果ではあるんですけれども、トータルで総労働時間見たときにちょっとデータを頂きましたら令和三年から令和四年では十五万時間、令和二年から令和三年度では二十七万時間、業務、総労働時間は増えてました。いろんな事情はあるんですよ、さっきも言いましたけれども。やっぱりこの総労働時間は増えています。同時に実は職員の数も増えてるんですね。私定員の管理の話をしましたけれども、頂いた資料だと平成二十八年、私が質問したときには五千七百九十二人だった定数です。定員が五千七百九十二だったのが今年度は五千九百三十七ということで百四十五人増えてるんですね。そういう中で私はさっき言ったとおり、二〇四〇年に向けてこれからもっともっと人口は減っていくし行政の在り方を考えなくちゃいけないよっていう中で事業が増えるから人を増やしましょうと、労働時間も増えてますでは、私はこれではですね将来的な解決につながらないと思うんですね。そのあたりについてそのもっと私はドラスティックに今で言うと行政経営革新プログラムっていうのがあるんですけれども、そして見直すようなさらにこの時間管理をしっかりやっていくっていうのを少しフェーズを変えてやる必要があると思うんですけれども、そのあたりについての御所見を伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) 財政健全化の推進についての再質問についてお答えいたします。
 御指摘のその部局間の枠配分を含めて財政的な問題につきましては、今年度改めて私から呼びかけまして全庁的に部局長の会議をさせていただきました。現在の財政状況がどうなっているのか、どこに課題があるのか、私から改めて説明してその認識を共有したものと思っております。
 御指摘があるように、財政の健全化を不断に見直し取組を進めていかなければならないと思っております。御指摘の部局間の枠配分も含めてさらなる財政システムの見直しを検討してまいりたいと思っております。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 京極経営管理部長。
○経営管理部長(京極仁志君) 行政の生産性向上についての再質問にお答えいたします。
 御指摘頂きましたとおり、職員数それから総労働時間、現状としてはですね、確かに若干増えているという状況にあります。
 それから、お話ありましたとおりこれから現在少子高齢化がどんどん進んでまいりますので職員の確保というのは非常に難しくなっていく、そういった中で将来的にですね、少ない限られた人数で行政の満足度を落とさないような形の仕事のやり方を進めていくということが非常に重要だと私どもも認識をしているところでございます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、業務改善等を進めておりますけれども、それ以外にもですね、本年度は特にペーパーレス改革ですとか業務のやり方、ルール、システムを変える仕組み改革ですとか、それからオフィス全体の環境を変えるオフィス改革ですとかいろんな方面からですね業務改善に取り組んでいるところでございます。特にデジタル化というのは非常に大きなツールになるかと思っておりますのでその辺の改善のやり方もですね今後検討してまいりたいと思っております。
 今後ともですね、いろいろ御意見、御提案を頂きながら社会状況の変化に対応した効率的で生産性の高い組織体制の構築に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 田口 章君。
       (三十三番 田口 章君登壇)
○三十三番(田口 章君) 最後に意見、要望を申し上げます。
 まず財政ですけれども、やっぱり大事なことは無駄はなくす、コストは減らす、投資は効果をしっかり見極めた上でやるときにやるということがやっぱり私は必要だと思うんですね。以前知事ともお話をしたことありますがビルド・アンド・スクラップという言い方をしました。やっぱり新しい事業っていうのはこれから出てくると思うんですよ。そのときにはやっぱりやめるものはやめるというのが大事だと思っています。
 その中で先ほど京極部長から御答弁頂いたところも関係してくるんですけれども、私、課単位のこの戦略がちょっと弱くなってると思ってまして評価がですね、実は総合計画の今、評価で一本化されてるんですが、以前で言うと施策展開表、昔で言うと業務棚卸表、これやめちゃったことによってその課ごとのですね、その業務が分析されてないんじゃないかって、ちょっとそういう懸念心配してるんですね。そこらあたりももう一度しっかりと皆さんのほうでチェックしていただいて先ほど言ったような業務の削減・見直しを進めていただきたいと思っています。以上で一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(鈴木澄美君) これで田口章君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 六月二十九日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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