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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小野 達也 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/26/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1) 残り任期の県政運営方針
(2) スポーツ王国静岡の復権
(3) 浜松地区への野球場整備構想
2 平成二十八年度当初予算について
3 世界一美しい伊豆について
(1) 伊豆の創生
(2) 東京オリンピック自転車競技の開催
   ア 開催に向けた取り組み
   イ アクセス道路の整備
4 競争力のある産業の創造について
(1) 新たな農政の展開
(2) 新たなマーケティング・ブランディング戦略
(3) 水産王国静岡の復活
5 富士山静岡空港の利便性向上について
(1) 旅客ターミナルビルの改修・増築
(2) 富士山静岡空港の経営改革
6 医療政策の推進における医科大学との連携について
7 命を守る危機管理について
(1) 地震・津波対策の推進
(2) 耐震改修促進計画の見直し
8 グローバル教育の充実について
9 平成二十八年の警察運営の重点について


○議長(吉川雄二君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十三番 小野達也君。
       (四十三番 小野達也君登壇 拍手)
○四十三番(小野達也君) 皆さん、おはようございます。私は今定例会自民改革会議を代表し知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、残り任期の県政運営方針について伺います。
 知事の二期目の任期も残すところ一年余となりました。総合計画後期アクションプランも残すところ後半の二年となり、今後の実現に向けた取り組みの真価が問われることになります。
 去る二月十五日に発表された“ふじのくに”づくり白書の数値目標の達成状況を見ても、教育や健康福祉など県民生活と密接に関連する分野で進捗におくれが見られます。地震・津波対策を初め人口減少対策、本県産業の再生など克服すべき重要な課題が山積する中にあって、全ての県民が幸福感を感じることのできる社会を実現するためには私は相当の困難が伴うのではないかと危機感を感じております。
 そこで、御自身のこれまでの二期目となる県政運営をどのように自己評価されているのか、またその自己評価を踏まえて、今後残すところ実質一年間となった県政運営にどのように取り組んでいこうとしているのかあわせて伺います。
 次に、スポーツ王国静岡の復権について伺います。
 ラグビーワールドカップ二〇一九や二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、本県においてもエコパがラグビーの会場となり、またオリンピックの自転車競技の会場も伊豆に決定するなど県民のスポーツに対する機運が大いに高まっていくと考えられます。
 しかし、ラグビーのヤマハ発動機ジュビロの活躍などの明るい話題はあったものの、総じて言えば近年国体の順位は下がり小学生のボール投げが全国最下位になるなど、かつてのスポーツ王国の姿は見る影もなく将来に向けても不安が残るものであり、今こそスポーツ王国の威信を取り戻すため再スタートを切るときではないでしょうか。
 知事は、さまざまな場面でことしはスポーツ強化、スポーツで存在感を発揮、二〇一六年岩手国体で一桁台の総合順位獲得などと発言しスポーツ重視の姿勢を示しておりますが、多くの県民は姿勢だけでなく具体的な成果を求めております。スポーツ王国の復権のためには競技力の向上が急務であり、競技団体が取り組む強化対策をさらに拡充していくとともに、優秀な指導者の養成や将来を担う世代の発掘や育成が重要となります。さらにはスポーツによる本県ゆかりの選手の活躍が県民に誇りと喜び、感動を与え県民のスポーツの関心を高め、こうしたことを通じてスポーツの持つ力を地域の活力創出につなげていくことも必要ではないでしょうか。また私は競技力の向上に加え、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックなどの大規模な国際大会を契機にスポーツを通じて県の活力を高めていくことが必要であると考えております。
 そこで、知事はスポーツ王国の復権についてどのように考え、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、遠州灘海浜公園の野球場整備について伺います。
 県はこれまで、静岡市に草薙球場、沼津市に愛鷹球場の二つの県営球場を整備し、それぞれ県中部及び東部地域の拠点として野球関係者に親しまれ、高校野球やプロ野球の熱戦の舞台としても多くの県民に夢と感動を与えてきました。一方で県西部地域には県営野球場がなく、以前から地元の浜松市や浜松商工会議所等が県に野球場をつくってほしいとの声を上げていたことは聞いております。西部地域に県が野球場を建設すること自体は否定いたしませんが、最近の野球場に関する知事の姿勢や発言には幾つかの疑問を感じざるを得ません。そこで三点、知事の考えを改めて伺います。
 一点目は、野球場整備の大前提となる県民の理解であります。新野球場の建設は巨額の事業費がかかるだけに県民の理解が大前提であります。しかしながら肝心の地元である浜松市民の中でも建設を求める機運が盛り上がっているとは言いがたいのではないでしょうか。現時点では余りにも拙速であり、オリンピックの時期に無理に合わせるのではなく幅広く県民や競技団体等の意見を聞き球場建設に対する県民の理解を進め、使いやすく県民誰もが訪れる球場にしていく努力が欠かせないと考えますが、知事の考えを伺います。
 二点目は、完成目標時期についてであります。知事は記者会見等の場でオリンピックが開催される二〇二〇年の完成を目指すと発言しております。報道では野球を初めとするオリンピックの追加種目はこの夏のIOCの総会で正式に決定します。野球の参加国数は六カ国になると言われており開催される試合数は限られるものと想定されています。浜松に新野球場が完成してもオリンピック会場となる可能性は残念ながら不透明と言わざるを得ません。またオリンピックに向けて今後も資材価格や人件費が高騰することも予想され、百五十から百八十億円という事業費もさらに膨らむのではないかと心配されます。県民の負担を軽減する観点からもオリンピック後の整備も検討すべきと考えますが、二〇二〇年を完成目標とする考え方について改めて伺います。
 三点目は、防災機能についてであります。建設予定地となる浜松市篠原地区では現在整備が進んでいる防潮堤の完成後もレベルツーの津波が襲来した場合は越波が想定されることから野球場を発災時の津波緊急避難場所とし、さらには発災後の支援拠点としても使用すると聞いています。しかしレベルツーの津波に対する防災施設を整備するというならば本来は市町の役割ではないでしょうか。県がやるべき津波対策は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に位置づけたレベルワンの津波に対応した県内全ての防潮堤の整備を早急に行うことであります。レベルツーの津波に対応し防災目的で野球場をつくるというならば防災部分については他の地域と同様に地元の浜松市と連携して行うべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 次に、平成二十八年度当初予算編成について伺います。
 本定例会には、予算総額一兆二千四百十億円、対前年比〇・一%増となる一般会計当初予算案が提出されております。今回の当初予算で川勝知事も七回目の当初予算編成になっておりますので、理念や形でなく真に実を結ぶ予算となるか県民も注視している中での編成であったと思います。
 来年の景気は、アベノミクスの政策効果により緩やかな回復傾向にあるものの重い足取りが続くと見られております。また国の予算を見ると安倍政権は過去最大となる総額九十六兆七千二百十八億円の一般会計当初予算案を決定し矢継ぎ早に政策を打ち出しております。一億総活躍社会の実現、戦略の策定段階から実行段階へと移る地方創生の推進などが予算に盛り込まれております。本県としても国の動きに呼応して着実に施策を打たなくてはいけません。
 一方、本県の当初予算の編成方針につきまして十二月定例会で我が会派の深澤議員がただしたところ、川勝知事は後期アクションプランの総仕上げに向けて新機軸への取り組みも加えて善は急げ、前倒しというその基本姿勢のもとにこれまで以上に積極的に事業を展開するとの方針を示されました。また昨年十二月十七日には自民改革会議として川勝知事に対し真に県民が求める施策を立案し県民本位の県政運営を行うことの重要性を申し上げ、予算編成に際しては目に見える地方創生の実現を総括事項とし七つの個別事項を重点的に対応するよう要望したところであります。
 そこで質問します。川勝知事は我が会派の要望を踏まえどのような考え方で当初予算を編成したのか。また今回の当初予算の仕上がりをどのように評価しているのか、答弁をお願いいたします。
 次に、世界一美しい伊豆についてのうち、伊豆の創生について伺います。
 昨年八月一日、特定の地域を担当する本県初の副知事として伊豆半島担当の土屋優行副知事が誕生し既に半年が経過いたしました。この間に伊豆半島地域では賀茂地区の一市五町と県との間で本年四月から消費生活センターの共同設置が決まるなど、人口減少社会に適応する広域連携の取り組みが進んでおります。
 さらに、伊豆半島地域の七市六町等が設立した美しい伊豆創造センターが中心となって世界から賞賛され続ける美しい半島を目指す伊豆半島グランドデザインの実現に向けた取り組みが進められるなど、伊豆創生は確実に動きつつあると感じています。しかしながらほかの地域を上回る急速な人口減少や伊豆半島南部地域を中心として主力産業である観光産業の低迷が長引くなど依然として多くの課題があるのも事実であり、伊豆創生の取り組みをこれまで以上に加速し目に見える形で実行していく必要があると考えています。
 一方で、昨年四月には伊豆縦貫自動車道の天城湯ヶ島から河津間につきまして計画段階評価を進めるための調査着手が公表され全線開通への道筋が見えてきたほか、十二月には東京オリンピックの自転車競技のうちトラックレースとマウンテンバイクについては伊豆市での開催が決定されるなど、伊豆半島地域の再生に向け好機となる明るい話題も見受けられます。
 私は国、県、市町の間を取り持ち伊豆半島全体の振興のかじ取り役となる土屋副知事の手腕に大いに期待しているところでありますが、土屋副知事におかれましてはこういった状況を踏まえ、来年度伊豆の創生にどのように取り組んでいくことをお考えなのか伺います。
 次に、東京オリンピック自転車競技の開催について伺います。
 初めに、開催に向けた取り組みについてであります。
 昨年十二月九日、スイスのローザンヌで開催された国際オリンピック委員会理事会において、自転車競技四種目のうちトラックレースとマウンテンバイク二種目の伊豆での開催が承認されました。これまで伊豆ベロドロームを有する日本サイクルスポーツセンターは開催が有力視されていながら東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と国際自転車競技連合との調整が長引き大変心配しておりましたが、吉報が届き私も胸をなでおろしたところであります。
 夏季オリンピックの競技が五十六年ぶりに日本で開催され、しかも私の郷土伊豆で開催されることは大変名誉でありすばらしいことであります。地元においても期待は日に日に高まっていると肌で感じておりますが、大会を成功に導くにはまだ数多くのハードルを越えなければならず相当の覚悟で取り組む必要があります。四年もあるというのではなく四年しかないというのが私の偽らざる気持ちであります。
 折しも、先月一月二十六日から三十日まで伊豆ベロドロームにおいてアジア自転車競技選手権が開催され成功裏のうちに閉会しました。世界十六カ国・地域から二百六十人余りの選手がトラックレースの熱戦を繰り広げ、連日予想を上回る多くの観戦客が来訪されたことに驚きを覚えるとともに、大変うれしく思いました。思えば私たちの身近なところに自転車競技の世界屈指の施設があるにもかかわらず、自転車競技への関心は低く住民から遠い存在であった感は否めません。私は東京オリンピックの伊豆開催は住民が自転車競技への関心とオリンピックの開催地としての誇りを持ち、地域の力を結集して成功に導く取り組みを通じ、その魅力を世界にPRする絶好の機会であるとも考えています。
 オリンピックの開催に向けて、会場の整備や選手、観客の輸送、警備など数多くの運営面の課題がありますが、大会を成功に導くため万全な準備を進めることが必要だと考えますが、県として今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、アクセス道路の整備について伺います。
 公共交通網が発達している東京と異なり、伊豆地域の交通手段は自動車が中心であり選手や観客等の輸送は主として道路が利用されるものと思われます。伊豆地域では平成二十六年二月に東駿河湾環状道路が開通し東名、新東名から修善寺まで一気に道路でつながり、県内はもとより伊豆を訪れる首都圏や中京圏の方々からも伊豆が大変近くなったとの声を聞いております。
 伊豆縦貫自動車道や幹線道路の整備は順調に進んでおり、今後も伊豆地域の道路網は着実に充実していくものと期待しておりますが、先ほども述べましたとおりオリンピック開催まで残された時間はたった四年余りしかありません。オリンピックを無事に成功させるためには会場までのアクセス道路が安全でスムーズであることはもとより開催期間中に観光地に向かう観光客に対する対応も考慮する必要があります。道路整備には時間を要することから必要な対策には一刻も早く着手し計画的に進めていくべきと考えております。
 そこで、東京オリンピック自転車競技開催に向けて伊豆のアクセス道路の整備についてどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、競争力のある産業の創造についてのうち、新たな農政の展開について伺います。
 去る二月四日に、環太平洋連携協定いわゆるTPPの参加十二カ国が協定文に署名をいたしました。TPPの締結により加盟国の多くの農林水産物の関税が撤廃され人口八億人という巨大市場が創出されます。いわば食のグローバル化が一気に進展することになり国内の農林水産業は歴史的な転換点を迎えております。国では昨年十二月に総合的なTPP関連政策大綱を発表し、その柱の一つとして国内農政が新たなステージを迎えていることを農政新時代とうたい、攻めの農林水産業への転換や経営安定、安定供給のための備えなど努力が報われる農林水産業の実現を目指した施策を打ち出しました。具体的には農林水産分野のTPP関連対策費三千百二十二億円を含む平成二十七年度補正予算を編成し、生産者が可能性と潜在力を発揮できる環境の整備に取り組み始めたところであります。
 一方、本県ではビジネス経営体を核とした農業構造の構築とそれを支える基盤整備の推進に取り組み、平成二十五年度にはビジネス経営体が約四分の一の販売額を占めるようになるなど構造改革は着実に進んでいると認識しております。
 しかしながら、TPPが締結されれば国内外の競争はさらに激化していきます。こうした状況を踏まえ、これまでの農業行政の基本を踏まえつつも農政新時代に即した新たな農業施策とそれを支える生産基盤の充実が必要だと思います。
 そこで、今後の県の新しい農政の展開について、知事の所見を伺います。
 次に、新たなマーケティング・ブランディング戦略について伺います。
 日本一高い富士山や日本一深い駿河湾、さらには日本一美しい伊豆半島を初めとする豊かな自然環境と温暖な気候に恵まれた本県では、これまで多彩で高品質な農林水産物や、それを活用した加工品が数多く生産されております。大消費地の東京や名古屋へ近い本県の立地とすぐれた交通インフラを生かして本県の農林水産業、食品製造業は首都圏を初め県内外の市場を獲得して発展してまいりました。
 こうした中、先ほども述べましたがTPPの締結により国内総生産で世界の四割を占める巨大経済圏が誕生する一方、農林水産物の品目の八一%が最終的に関税撤廃されるため、今後海外から安い農林水産物が輸入されてくると予想されております。私は本県の県産品が世界で選ばれるものになるためには競争力をさらに強化していくべきと考えます。
 このような中で、来年度県産品のマーケティング・ブランディング戦略を策定すると聞いておりますが、戦略策定に向けた県の所見を伺います。
 次に、水産王国静岡の復活について伺います。
 本県は豊かな自然環境に恵まれ、さらにこれまでの先人たちの努力により全国屈指の水産県であります。しかし水産業界は近年厳しい状況に置かれています。例えば魚の消費量については減少が続き、漁具や漁船などにかかる経費が上昇する中にあっても魚の値段は上がらず魚価安が続いています。さらに漁業従事者については高齢化が進み、その数も減少傾向が続いています。TPPの水産物への影響は品目によっては限定的との報道もありますが、関税が撤廃され安価な水産物が輸入されることによる国内価格の下落あるいは安価な輸入畜産物へ消費者の嗜好が移ることによる水産物の消費減退が懸念されています。TPPへの参加に伴ってより深刻化、顕著化するおそれがあるのではないでしょうか。
 浜の活力を向上させるためには、まず漁業の中核を担う漁業協同組合があらゆる場面で指導力を発揮し、漁業者の所得向上のために必要な策を講じていけるよう体質を強化していくことが喫緊の課題であります。また将来にわたり漁業が発展していくためには次の時代の漁業を支える担い手の確保も同様に喫緊の課題であると考えます。
 水産王国静岡の復活を実現するため、県はこれらの課題についてどのように対応していくのか所見を伺います。
 次に、富士山静岡空港の利便性向上についてのうち、旅客ターミナルビルの改修・増築について伺います。
 富士山静岡空港は、平成二十六年度の外国人出入国者数が全国第八位、地方管理空港では第一位と国際空港として大きな存在感を示しております。さらに平成二十七年度の利用状況については一月末時点で五十九万人と昨年度の年間利用者数五十四万九千人を上回り、開港以来最多の利用者数となったところであります。この旺盛な航空需要を一過性でなく今後も着実に取り込んでいくためには利用者の満足度を高め、何回も利用していただけるよう空港の機能強化による利便性と魅力の一層の向上を図ることが重要であります。そしてラグビーワールドカップ二〇一九や東京五輪といった世界的なスポーツイベントの開催を契機にさらに富士山静岡空港の名を高め、その後の利用促進につなげていくことが必要となります。
 県では、空港の利便性の向上に向けた取り組みの一つとして旅客ターミナルビルの改修・増築を進めておりますが、その工事に係る予算案が今議会に提出されております。本体工事費については県が公募型プロポーザルで示した三十三億円よりも三億八千万円高い三十六億八千万円となっており、また建物のデザインについては採用した設計事務所の当初の提案からは大幅に変更されております。
 富士山静岡空港の旅客ターミナルビルの整備のあり方については、さきの九月定例会文化観光委員会において富士山世界遺産センター(仮称)の例を踏まえさまざまな指摘や意見を述べました。また会派として県有施設の整備に当たってはデザイン偏重ではなく機能性等を重視することなどを内容とした申し入れ書を提出したところであります。空港は重要な交通基盤であります。今回の旅客ターミナルビルの改修・増築に当たって最も大事なことは利用者の利便性の向上であり、将来に向けた空港の利活用促進につなげていくことであります。
 県が設計事務所と進めてきた旅客ターミナルビルの改修・増築に係る設計が本年度末に完了し、来年度からは工事に着工するとのことでありますが、当初の公募型プロポーザルのときからこれまでの設計における調整の経緯、考え方、それらを踏まえた旅客ターミナルビルの整備内容について伺います。
 次に、富士山静岡空港の経営改革についてであります。
 富士山静岡空港は、開港前から空港の民活化を掲げ空港基本施設と旅客ターミナルビルを民間が一体的に管理することとし、地方管理空港としては唯一指定管理者制度を活用した運営を行っており、一定の効率化が図られてきたと思います。しかしながら空港の収支の観点では開港から毎年約五億円程度の県税を投入しており、より一層空港運営の効率化を図っていく必要があると考えております。
 県は、行政による管理から民間による経営に転換していくとして、より経営的視点を取り入れることが可能な公共施設等運営権制度を導入し、効率的で利便性の高い空港運営の実現を目指していくとしております。私は富士山静岡空港は単なる交通基盤施設というだけではなく本県経済の活性化の拠点として、また県民のための空港としての価値も高めていく必要があると思います。
 そこで、富士山静岡空港の魅力を高める経営改革の実現に向けて、運営権制度の導入など今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、医療政策の推進における医科大学との連携について伺います。
 昨年末、厚生労働省が公表した本県の健康寿命は男性が七十二・一三歳で全国三位、女性が七十五・六一歳で全国二位であり、県が独自集計した男女計では七十三・九〇歳で全国二位と聞いています。
 一方、同じく昨年末に厚生労働省が発表した本県の人口十万人当たりの勤務医師数は百九十三・九人で全国四十位でした。前回二年前より七・四人増加し順位も一つ上がりましたが依然として全国平均からは大きくかけ離れております。
 全ての県民が安心して健やかに自分らしい生活を実現するためには、さらなる健康寿命の延伸に向けた取り組みが重要です。加齢とともに患う何らかの病を抱えてしまったとしても生き生きと暮らし、また死亡原因上位のがんや心筋梗塞などを克服するためには安心できる医療提供体制の整備は必須であり、とりわけ医師の確保は最も重要であると考えますが、現状を鑑みますと心配な状況であります。全国と同様に医師数や地域間の偏在が課題となっている本県で、さらなる医師確保を果たすためには医科大学と一層の連携強化を図る必要があるのではないかと考えます。
 また、平成二十九年度からは新たな専門医制度が開始すると聞いております。今回の制度では専門医の研修プログラムを円滑に進めていくためには医科大学との連携が必要とも聞きます。一方県は新しい専門医制度の開始に当たり貸付金制度の仕組みについても検討することとしています。
 そこで質問いたします。県内唯一の医科大学である浜松医科大学との連携についてどのような対策を講じているのか、また新たな専門医制度の発足に当たり専門医研修プログラムの作成と医学修学研修資金の制度に関して浜松医科大学とどのように連携していくのか、県の所見を伺います。
 次に、命を守る危機管理についてのうち、地震・津波対策の推進について伺います。
 大規模な地震等から生命財産を守ることは県政の喫緊の課題であり、県民の願いでもあります。本県は長年にわたり東海地震対策に取り組み、全国的に見ても地震対策の先進県であります。さらに東日本大震災を教訓として地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を平成二十五年に作成しハード・ソフト両面から取り組んでいるところであります。このアクションプログラムは昨年度末の時点で約九割のアクションが順調に進んでいるとのことであります。しかし今年度の県政世論調査では日常生活の中で悩みや不安を感じている人のうち、その理由として「東海地震などの災害」を挙げた人が四二・七%と東日本大震災直後から若干減少しているものの、依然として不安を感じている県民の割合は多くなっています。
 昨年十月に県で策定した総合戦略では、最初の項目に命を守り、日本一安全・安心な県土を築くを掲げており、安全・安心の確保はあらゆる政策に優先されるふじのくにづくりの最も大切な基礎であるとしています。人や企業を呼び込み地方創生を実現するためには地震や津波に対する不安を払拭することが欠かせないことから、これまで以上に地震・津波対策を強力に進めなければなりません。
 アクションプログラムも十年計画の四年目を迎え、これまでの成果を踏まえ来年度以降地震・津波対策をどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、耐震改修促進計画の見直しについて伺います。
 本県では、昭和五十六年五月以前の旧耐震基準で建築された住宅が多数倒壊したことにより多くの命が奪われた阪神・淡路大震災を教訓として平成十三年度に旧耐震基準の木造住宅の耐震化を促進するプロジェクト「TOUKAI―0」を立ち上げ、平成十四年度には個人が所有する木造住宅の耐震補強に助成する制度を全国に先駆けて創設しました。
 また、平成十八年度には全国で最も早く耐震改修促進計画を策定し、住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率を平成二十七年度までにそれぞれ九〇%とすることを目標に掲げ市町と協力して耐震化を推進してきました。この耐震改修促進計画は今年度が最終年度となりますが、県ではこれまでの十年間の取り組みについてどのような評価をしているのかまず伺います。
 住宅及び建築物の耐震化は、倒壊から命を守るほかに発災直後の道路の遮断や火災の延焼の防止、復興過程では早期の住宅再建への取り組みや瓦れき処理など行政負担の軽減効果が期待されます。県下には耐震性のない住宅が平成二十五年時点で約二十四万戸と高齢者世帯を中心としてまだ多く残っており、一人でも多くの県民の生命財産を守るためには今以上の取り組みが必要と考えます。
 また、建築物についても東日本大震災を踏まえて平成二十五年に耐震改修促進法が改正され、ホテル・旅館を中心とした大規模な建築物に対して耐震診断が義務づけられました。対象建築物の所有者からは耐震化の必要性は十分理解しているが耐震改修はなかなか大変であるという意見を聞いており、引き続きしっかりと支援をしていく必要があります。
 現在、耐震改修促進計画の見直しを行っていると聞いておりますが、来年度以降の新たな目標や施策の展開方針について、県の所見を伺います。
 次に、グローバル教育の充実について伺います。
 グローバル化が進展する中で、海外への進出や海外とのビジネスに対応できるグローバル人材の育成は急務であり、教育界に対する企業の期待は高まっているところであります。しかしながらアジアの若者の海外志向に比べるとまだまだ日本の若者は海外に出て行くことには消極的だと聞いております。実際OECD等による平成十四年から平成二十四年までの調査結果では各国の海外留学生の数が増加する中、日本だけが減少傾向です。
 一方、高校生に目を向けてみますと文部科学省の高等学校等における国際交流等の状況調査によると、三カ月以上の海外留学をした生徒は平成十六年の四千四百四十一人をピークに減少傾向となり、平成二十年には三千二百八人まで落ち込みました。平成二十五年には三千八百九十七人まで回復しておりますが依然として海外留学する高校生は多くありません。この傾向は県内の公立高等学校にも当てはまります。日本の若者に、とりわけ静岡県の高校生段階の早いうちから海外に興味を持たせグローバルな感覚を植えつけることは日本が、また静岡県が国際競争力を持ち続けるためにも不可欠であり、産学官の社会総がかりで取り組むべき重要な課題だと考えます。
 こうした中で、総合教育会議では高校生の国際化が議題となりグローバル教育の充実の具体的な方策が検討されております。その中で木苗教育長から高校生の海外渡航を促進するため県民がサポーターとなり社会総がかりで取り組む静岡県独自の制度について提言があり、合意されたと聞いております。
 そこで、木苗教育長から提言のあった県独自の制度をどのように創設し、これを活用した高校生のグローバル教育の充実に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、平成二十八年の警察運営の重点について伺います。
 昨年の県内における刑法犯の認知件数は約二万三千五百件であり、前年から八%減少しました。ピークであった平成十四年から実に十三年連続の減少であります。
 また、社会問題化している特殊詐欺に関しては県警と県内金融機関が全国に先駆けて導入した預金小切手を活用した特殊詐欺被害防止対策、通称預手プランの取り組みを促進し二年連続で被害額を減少させています。この静岡発の預手プランはほぼ全ての都道府県が導入し全国の特殊詐欺による被害額減少に大きく寄与しているとのことであります。治安の改善に取り組まれている西川警察本部長を初め県警察、関係者各位に深く感謝を申し上げます。
 しかしながら、交通事故に関しては発生件数、負傷者は引き続き減少したものの死者数は前年から十人増加して百五十三人となり、死者の多数を占める高齢者への対策に課題が生じています。
 また、サイバー犯罪、特殊詐欺、ストーカーや児童虐待、ドメスティック・バイオレンス等の増加、山口組の分裂に伴う抗争事件への警戒さらには伊勢志摩サミットに伴うテロ対策など県警察には多くの課題が山積しています。警察を取り巻く環境は大変厳しいと考えますが、西川警察本部長には静岡県警察の最高指揮官として引き続き強いリーダーシップを発揮され、より安全で安心して暮らすことのできる我が郷土静岡県を実現し、県民の期待と信頼に応えていただきたいと思います。
 治安を担う警察への国民、県民の期待は高く、昨年に引き続いて本県への地方警察官の増員が認められたことはこのあらわれとも言えます。そこでことし一年の静岡県警察の運営重点をどのように定めこれに取り組んでいかれるのか、西川警察本部長の所見を伺います。以上、答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
○議長(吉川雄二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小野議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢、特に残り任期の県政運営方針についてであります。
 私の政治姿勢は、就任当初から一貫して変わりありません。富国有徳の日本の理想郷“ふじのくに”づくりでございます。少しくかみ砕いて言いますればふじのくにというのは狭義には静岡県のことを指します。最近では山梨県も富士の国と自称されるようになりましたが。一方でこれは日本の国の別称でもあるというふうに存じます。日本には北は北海道から南は沖縄に至るまで富士山の名のつく山々が四百近くございますし、山のない関東地域では富士塚といったようなものをつくられて尊崇されているという対象で、これは権力によって決められたものではなくて日本の国民の富士山に寄せる思いというものであると思います。
 私は、静岡県に学長として赴任いたしましたのがもう九年ほど前のことですけれども、そのときに富士山を世界文化遺産にする学術委員会の委員長を仰せつかり、本気でといいますか、真剣に静岡県のことを調べ始めるようになりました。当時静岡県は首都圏の外れあるいは中京圏の外れといったような意識もまま見られたのでございますけれども、よくよく見ますとここは日本の国の中心性を持つ地域であるということを確信するに至りました。
 そしてまた、ふじのくにというのは皆様方の先輩が誰が決めたともなく静岡県のこととして呼ばれるようになっているのは御承知のとおりでございます。もとよりこの名称は富士山から来ていると。この富士というのはもともとは漢字がなかったときには言葉だけ、音だけだったと思いますけれども、一番最初にこれが漢字で当てられたのは常陸の風土記に福、慈しむと書いた「福慈」と書いて漢字を当てられた、これが日本人のこの山に寄せる思いだったと思います。
 それから不老不死の「不死」も当てられました。やはり不老長寿というものをこのすばらしい高みを見ながら人々は理想としたということでしょう。また二つとない存在だということで「不二」という字も当てられました。しかしそれが最終的には「富」という字と武士の「士」という字を当てるようになって落ちついております。ここに日本人の理想が込められているというふうに見られます。
 我々にとってはGDP、あるいはGNPと。グロス・ナショナル・プロダクトとか、グロス・ドメスティック・プロダクトというのは大事です。これは「富」という字にあらわされています。貧困を克服することは大切だと。しかしそれを支えるのは立派な人間でなくてはならないと。徳のある人間でなくてはならないというそういう字を当てているわけですね。立派な人間というのはこれは権力欲だとかあるいは金銭欲だとかそうしたものに溺れがちなところが人にはありますけれども、そうではなくて足るを知ってみずから幸福であるということが言える人でなくてはなりません。そういう意味で経済力とともにこのような県民の幸福度というものが大切だということで、県民の幸福度をしっかりと目指しながら経済をつくっていくということでございます。
 一方で、既に日本には東洋の文明も西洋の文明も私はもう入れ終わったというふうに思っております。こうしたもののいわば調和させる地政学的な位置にあるのが静岡県であるということから、静岡県の中心性は世界の中の中心性として確実に発揮できるということで世界の中の静岡県づくりに励んでまいりました。そしてそれが平成二十五年の六月に世界文化遺産としてユネスコの委員の先生方の満場一致のもとで認定されたわけでございます。これがきっかけになりましてほぼ同じ時期に茶草場が世界農業遺産に、ユネスコエコパークに南アルプスが選ばれるなど、そしてまた議員さんの地元でございます伊豆半島におきましては韮山反射炉が世界文化遺産に認定されました。
 この二年半の間に、こうした国際認定をされたものが何と二十三件にも上っているわけでございます。こうした県はほかのどこにもありません。こうしたことから見ますと世界の中の静岡県ふじのくにと。あるいはふじのくにという日本の国府としての位置づけもできると。それならばここから我々は世界に羽ばたくというそういう姿勢をとることができると。そうしたことで今年度は我々は世界に羽ばたく。まずは議員の御指摘なさいました東京五輪がございます。スポーツです。
 そしてまた、世界の中心ですから東京の顔色をうかがうんではないと。地域外交をすると。そしてまた静岡県は自然な多様性に恵まれていますから第一次産業、農林水産業を大事にするということでこれをTPPも受けまして打って出ると。こうした三つの戦略のもとに我々はことしの行動指針を決めたわけでございます。
 もとより中長期的にはふじのくにづくりということでございますけれども、現在我々が必要なのは八つくらいにまとめられると。一つは何といいましても東海地震。最近では南海トラフ巨大地震ということがございますので危機管理が一番大切です。
 残り七つがございます。その七つのうちの三つは経済にかかわるもので危機管理ともかかわりますが、そのうちの一つは内陸のフロンティアを拓く取り組み。二つ目は新しい次世代の産業を興すこと。三つ目はエネルギーの地産地消であります。残り四つのうち三つは人にかかわることです。今少子化でございますから少子化対策をしっかりすると。それから人々をしっかり教育するということで人材の育成。三つ目はやはり皆様方が健康であってほしいということから具体的には健康寿命を延伸するということです。そして最後の八つ目といいますのは我々にとって、また日本にとっても世界にとっても宝である富士山の美しい存在を後世に継承していくと。これが八つの重点戦略になっているわけでございます。
 そして、この八つの重点施策を取り込んだ後期アクションプランにつきましては今月公表いたしました“ふじのくに”づくり白書にお示しいたしましたとおり、計画に掲げるほとんどの取り組みが順調に推移しております。確かに数値目標の達成度において一層の努力が必要な分野もございますことから、より効果的な施策への改善や重点化を図り来年度当初予算案に反映したところでございます。
 本県は、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック自転車競技の開催という全世界が注目する絶好の機会を与えられました。これを絶好の機会として逃すことなく、世界水準の魅力を生かしてスポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国静岡の復活に向けた取り組み、新しい地域外交の展開など文字どおり世界に羽ばたこうというそのための戦略を強力に推進してまいります。
 今後とも、美しい富士山を仰ぐこの地に世界中の人々の憧れを呼ぶ日本の理想郷を築くべく私どもの政治姿勢であります県庁、今チーム一丸となって前倒しをすると。善は急げということをモットーにより一層のスピード感を持って県政運営に全力で邁進してまいりますので、小野議員を初め県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、スポーツ王国静岡の復権についてであります。
 世界に羽ばたく三つの戦略の第一にスポーツを掲げました。東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプの誘致活動の展開、国体の上位入賞を目指した選手強化等々スポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国静岡の復活に取り組むということであります。
 選手強化につきましては、議員御指摘のとおり競技団体の強化の拡充や優秀な指導者養成が重要です。そのため平成二十八年度――要するにことしでございますが岩手国体の総合成績上位を目指します。国体強化費を大幅に増額いたしました。強化合宿の充実、また県外への遠征試合を拡充するなど県、県体育協会、競技団体が一体となって競技力の向上を図ります。特に岩手というのは平成二十三年の東日本大震災におきまして全国知事会から本県が救援の対象とするということで、現在も二十人近い我々の職員が働いております。彼らにとっても静岡の県民がスポーツにおいても非常にたくましいということを知ることは我々にとってもやりがいのあることであるし、彼らにとってもうれしいことだというふうに存ずる次第であります。
 また、二〇二〇年東京五輪に本県から多くの選手を輩出するために指定した候補選手が海外で大会出場や練習をする費用などの支援を図ります。それとともに指導者の上級資格取得を奨励しまして優秀な指導者を養成いたします。これらを通して第一線で活躍する選手を育成する環境を構築いたします。
 スポーツを通じた交流の拡大にも積極的に取り組むことにいたしております。二〇一九年のラグビーワールドカップ本県開催や二〇二〇年の東京五輪の開催を控えまして本県では各国へ事前キャンプ誘致活動を積極的に進めています。内閣官房がスポーツ交流を支援するホストタウン構想というのを出されました。そこへの申請も加速しておりますので現在第一次登録四十四件のうち本県は全国最多の五件の決定を受けました。多くの県民の方々が世界レベルのアスリートの姿に間近に触れて若い世代が刺激を受けるなど本県のスポーツの裾野が広がるように、スポーツを核とした国内外との交流を大きく盛り上げようと考えております。
 こうした競技力の向上やスポーツ交流の拡大の取り組みを効率的に推進するために、平成二十八年度からこれらを一元的に所轄するスポーツ局を文化・観光部のもとに新設いたします。部活動を含む学校体育を所轄される県教育委員会とも十分に連携を図りながらスポーツ王国静岡の復権に取り組んでまいります。
 次に、浜松地区への野球場整備構想についてであります。
 遠州灘海浜公園につきましては、遠州灘海岸の恵まれた自然や景観を生かし西部地域のスポーツ・レクリエーション需要に対応した広域的な公園として順次整備を進めてまいりました。いまだ篠原地区には未利用の地が多くございます。またそこへの整備に対する要望も強うございます。そこで今年度公園全体の構想を見直すこととし、浜松市とともに基本構想の策定作業を進めているところであります。
 まず、県民の皆様の理解についてであります。これはもちろん一番大切でございます。野球場整備につきましてはかねてより浜松市や地元経済界から積極的な要望をいただいているところでございます。基本構想の策定に当たりましては浜松市が聴取なさいました野球関係者の意見も踏まえまして検討を進めてまいりました。当地における風などについて心配する向きもあるんですが、これももう調査済みでございます。マリンスタジアムとよく比べられますけれども全くそういう強い風が観測されていないという結果が出ております。
 それから、来月には県営公園の基本方針などを審議する場である静岡県都市公園懇話会の意見を伺います。また県民の皆様から広く御意見を求めていくこともすることにいたしました。今後も魅力ある野球場として県民や関係者の皆様の御理解をいただけるように努めてまいります。
 次に、防災機能と完成目標時期についてであります。
 レベル1を超える津波対策につきましては、市町負担の原則がございます。これまで他の地域で進めてまいりましたように基本として市町の役割です。防潮堤に隣接して整備する野球場は平時には――我々は常に防災機能と地域成長というのをあわせて考えるという姿勢で内陸のフロンティアもしておりますけれども――平時には県民のスポーツあるいは憩いの場として、しかし有事には発災直後では津波から避難する施設として、復旧段階では支援活動の拠点として機能することができます。そうしたことで公園基本計画の策定を予定している来年度に浜松市と防災機能の具体的な内容や役割分担について調整いたします。
 また、完成目標時期につきましては二〇二〇年三月に防潮堤の完成が見込まれております。それに合わせて整備して、かつ東京オリンピックでの使用と相なりますれば最良であるというふうに考えています。
 県としましては、遠州灘海浜公園が県西部のスポーツ振興の拠点として親しまれる公園となるように県民の皆様の御理解を賜りながら浜松市と連携し野球場整備に取り組んでまいります。
 次に、平成二十八年度当初予算についてであります。
 平成二十八年度当初予算は、自民改革会議の皆様の御意見を真摯に受けとめました。富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げでございます。喫緊の課題に対応し本県が世界に向けて羽ばたく三つの戦略、スポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国静岡の復活、第二、新しい地域外交の展開、第三、農林水産業の競争力強化に重点的に取り組みますとともに、後期アクションプランを推進するための施策を積極的に盛り込んだところであります。
 さて、自民改革会議の御要望事項の一つ目、経済再生、雇用対策の強化。そのうち特に強い御要望でございましたTPP対策につきましては県産品のブランドの確立、マーケティング強化を図るための戦略を策定いたします。そのほか高付加価値化やコスト縮減により競争力を高め、首都圏やアジアを初めとした海外への通商を促進いたします。あわせましてこれらの施策を推進するための組織改編を行います。国内外への販路拡大を強力に進めるなど攻めの農林水産業を展開する所存であります。
 二つ目の御要望事項、県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化につきましては現行の地震・津波交付金制度に火山対策など新しい補助メニューを追加した上で引き続き三年間継続し、市町の取り組みを支援してまいります。
 また、賀茂地域の防災対策の強化を図るために津波浸水区域外に防災棟を整備し、下田総合庁舎の危機管理機能を敷根公園の道路を挟んだはす向かいのところに移転いたします。
 三つ目の御要望事項、人口減少をストップする子育て支援、医療・福祉の充実につきましては待機児童の解消に向けまして保育所や認定こども園の整備を進めます。また新たに保育士確保のための貸付金制度を創設いたします。
 さらに、本県への移住・定住を着実に進めていくため伊豆半島地域をモデルとして生涯活躍できる町すなわち日本版のいわゆるCCRC構想の検討を進め全県への普及を目指してまいります。
 四つ目の御要望事項、教育・人づくりの充実ではスポーツ王国静岡の復活に向けて国体上位入賞を目指すとともに、東京五輪に本県選手が出場できるよう選手育成を強化しますほか、地域の人材を活用し県民のどなたもがスポーツに親しむことのできる環境を整えてまいります。
 また、西部と東部の特別支援学校を改築いたしまして教育環境の一層の充実を図ってまいります。
 五つ目の御要望事項、豊かな県民の暮らしの実現につきましては地域の皆様からの強い御要望を踏まえまして身近な道路や河川の新設改良などを行う県単独生活環境整備事業等を三百二十億円計上いたしました。それとともに二〇二〇年東京オリンピックの自転車競技会場に決定した伊豆市のベロドロームへのアクセスの整備も進めてまいります。
 先週、国土審議会がございまして半島振興法が改善されることになりましたのでそこでもあえて発言をいたしまして、昨年十二月にベロドロームでの自転車競技が決まったのでこの点についてもよくよく心得ておいてくださるようにということで、国土庁の局長さんからその旨しっかり了承したと返事をいただいております。
 六つ目の御要望であります本県の魅力を生かした観光・交流の促進につきましては、富士山静岡空港の利便性向上のため平成三十年度中の完成を目指し旅客ターミナルビルの改修・増築工事に着手いたします。また外国人旅行者向けワンストップ窓口の設置など訪日外国人の受け入れ体制の強化、クルーズ船の誘致、サイクルスポーツを通じた交流人口の拡大にも取り組みます。
 七つ目の御要望事項、行財政改革の推進では既存事業の廃止を含めた積極的な見直しと歳入の確保に努めまして百五十六億円の財源を捻出いたしました。この三年間で四百億円を優に上回っております。また将来に備えた基金について二十七年度当初予算編成後の三百五十五億円を上回る三百六十億円を確保いたしました。また県債残高につきましても通常債はもとより臨時財政対策債を含めた全体でも縮減するなど健全財政の枠組みを堅持したところでございます。
 平成二十八年度当初予算につきましては、これまでの取り組みが実を結んでまいりまして成果が目に見える形で皆様方の前にあらわれるように組織改編と一体となって編成いたしました。当初予算を着実に実行し文字どおり本県が世界に羽ばたくことができるようにオール静岡で取り組んでいく覚悟でございますので、県議会議員の皆様の御支援、御協力をお願いいたします。
 次に、世界一美しい伊豆についてのうち、東京オリンピック自転車競技の開催についてであります。
 開催に向けた取り組みについてですが、オリンピックはスポーツの頂点に立つ世界のアスリートの全ての憧れの舞台でございます。同時に施設や設備、運営面など全ての点において世界最高水準が求められる大会でもあります。東京五輪自転車競技の伊豆開催が決定いたしましたことは自転車のメッカ、自転車の聖地づくりを進める本県にとりましてまことに喜ばしいことで心から歓迎をいたしております。大会には国内外から選手を初め大会関係者や観戦客など多くの来訪者が見込まれます。二〇二〇年に向けまして観客席の施設の改修、選手・観客の輸送、宿泊の確保、ボランティアの養成、警備や医療救護体制の確立等々多くの課題があることは認識しております。また来訪される方々との交流、おもてなし、県内の美しい景観、食の魅力の発揮等々県内観光の活性化にもつなげてまいります。
 こうしたことから、私どもといたしましては地元の伊豆市及び大会を運営する組織委員会関係者と連携いたしまして万全の準備を進めるとともに、課題の洗い出しをいたしますとともにそれぞれの役割分担や今後の進め方について調整を始めたところであります。さらに大会が夏の観光シーズンに開催されることでございますので、夏季における会場周辺地域の交通量を調査し観戦客を含めた輸送計画案の準備に着手いたします。また地元の皆様方が大会を盛り上げ支えていただくためには県民の自転車競技への関心を高めることもこれまた大切なことでございますので、全体としての機運醸成に努めてまいりたいと考えております。
 東京オリンピック自転車競技の成功には各方面からの協力が必要になりますので、来月には県、地元市、競技団体、観光、経済団体等々で構成する準備組織を立ち上げます。それとともにことしの夏のリオデジャネイロの大会の後、全県を挙げた推進体制を確立いたしまして開催準備に万全を期してまいります。
 日本のシンボルであり世界の宝である富士山のもとで開催される自転車競技の会場が、また本県で初めてオリンピック種目の一つが開催されるということにもなりましたので、この大会中最もすばらしい運営とおもてなしを提供したと後に、あるいはそのときに世界から御評価いただけるように全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、競争力のある産業の創造についてのうち、新しい農政の展開についてであります。
 TPPの合意や就農人口の減少など、経済社会情勢の変化を踏まえまして長期的な戦略のもとで本県の特性を生かした農林水産業の競争力を強化する必要があります。本県は温暖で変化に富んだ自然環境とこれらを生かす生産者の力によりまして、農業芸術品つづめて農芸品とも言える高品質な農林水産物を数多く生み出しています。このような農林水産物の生産力に加えましてものづくり産業や医療、食品など健康長寿産業の集積をも生かしまして最先端の科学技術を取り入れて技術革新を進めて本県の第一次産業とりわけ農業の生産性の向上を図るとともに、市場で評価される、いわゆる商品力の強化に取り組んでまいります。商品力は価格とともに品質力というものから成ります。
 具体的には、理化学研究所や慶応大学を初め県内外の大学や研究機関、企業等の参画のもとで農・食・健――健康の健でありますが、農・食・健の産業連携によりまして農産物や食品の健康増進機能を向上させる生産技術を開発する体制を構築いたします。また農業情報科学を活用して篤農家の熟練技術を誰にも見えるように見える化いたしまして次世代に継承発展させていくことのできるシステムづくりにも取り組んでまいります。
 さらに、世界をリードする県内のものづくり企業の技術を農業分野に活用するため、農工連携のプラットホームを構築し農作業の省力化や作業負荷の軽減を図る農業用機器あるいはロボットの開発に取り組んでまいります。これらと合わせましてマーケットインという考え方に基づく商品力の強化により県内全域で農産物の生産、加工、販売に至る各産業分野の競争力の強化、活性化につなげていく所存であります。加えて次世代の農業を支える新規就農者の育成を進めるとともに、農林大学校や農業高等学校で学ぶ青年諸君あるいは既に就農した人たちが先端的な農業技術や経営を学ぶことができる体制を構築いたします。また担い手への農地集積を促進する生産基盤強化も必要です。このため大型機械の導入を促進する圃場の大区画化あるいは水管理の省力化等々、かんがい施設の整備、水田の高度利用を可能とする暗渠排水の整備を加速度的に進めてまいる所存です。
 県としましては、本県の誇る多彩で高品質な農芸品や食品を県内はもとより世界に提供し、人々の健康長寿と幸せに貢献してまいりたいと考えております。また誰もが生き生きと働き心豊かに暮らせる新たな農業の確立と農村の創造を目指してまいります。
 次に、新たなマーケティング・ブランディング戦略についてであります。
 静岡県が誇る、多彩で高品質で健康寿命日本一に大きく貢献しているのが農林水産物でございます。また加工食品でございます。こうした食品また農芸品の魅力をブランドとして磨き上げ世界を視野に販売していくことが重要です。
 そこで来年度、県産品のブランド力をさらに向上させ、何を誰にどのように売っていくかというマーケティング戦略を専門家の御意見も伺い取りまとめてまいります。あわせてこの戦略を実践していくため県内の産業界を代表する方々をメンバーとする、仮称でございますがマーケティング戦略会議を設置いたします。それとともに経済産業部のマーケティング推進課を初めとした組織の体制を強化いたします。こうして生産者や地域企業が取り組む市場調査や新商品の企画などについても支援をしてまいります。
 海外への販路拡大につきましても、今大きなチャンスがめぐってきたと考えています。浙江省とは三十年来の友好交流を礎に今般寧波の市政府の全面的な御協力を賜りまして富士山静岡空港からニジマスの輸出が実現いたしました。今後浙江省はもとより交流で培いました信頼関係のあるイタリアさらにTPP参加国などとも相手国の市場動向をしっかり把握してビジネスチャンスにつなげていきたいと考えております。
 県としましては、世界で競争力のある高品質な県産品の生産を一層拡大し、新たに策定するマーケティング・ブランディング戦略のもとに食を初めとした県産品の国内外への販路を拡大し本県産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長並びに教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(吉川雄二君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 世界一美しい伊豆についてのうち、伊豆の創生についてお答えいたします。
 昨年八月に伊豆半島担当副知事に就任して以来、「伊豆は一つ」の理念に基づき地域の主体的な取り組みの牽引役となるべく全力で取り組んでまいりました。
 伊豆半島地域におきましては、世界一美しい半島を目指して市町が一体となって設立いたしました美しい伊豆創造センターが主体となってさまざまな官民、民民連携の取り組みが動き始めております。県におきましてもセンターと連携して海岸の一斉清掃や道の駅を活用したリレー方式の食の祭典の開催など進めてまいりました。
 来年度は、韮山反射炉の世界文化遺産登録や二〇二〇年の東京オリンピック自転車競技の開催決定を弾みとして世界レベルの魅力ある観光交流圏づくりを一層スピード感を持って展開していく必要があります。このため伊豆観光局長を新たに配置して伊豆半島ジオパーク推進協議会の活動や美しい伊豆創造センターが核となる伊豆半島DMOの活動を積極的に支援してまいります。また移住・定住の促進に向けて、生涯活躍のまち――CCRC構想に基づく地域活性化の可能性や戦略を地域総ぐるみで検討してまいります。
 比較的小規模な市町によって構成され行政基盤が脆弱な賀茂地域につきましては、来年度から消費生活センターの共同設置と市町村税の滞納事案の共同処理を実施することに加えて災害後の迅速な復興のために重要な地籍調査の共同実施に向けた取り組みも始めることといたしました。今後はこれらの取り組みを検証しつつ教育委員会の共同設置などについて具体化を進め、広域連携による住民サービスの安定化と効率化を図ってまいります。
 今後とも、「伊豆は一つ」の理念に基づく広域的な連携を推進し、世界から称賛され続ける世界一美しい半島伊豆を目指して任に当たってまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 世界一美しい伊豆についてのうち、東京オリンピック自転車競技の開催についてお答えいたします。
 アクセス道路の整備についてでありますが、東京オリンピックの自転車競技が伊豆市で開催されるに当たり選手や大会関係者、観客等を競技会場まで安全かつ快適に輸送することがオリンピックを成功させる上で不可欠であります。
 県では、東名及び新東名高速道路のインターチェンジや最寄りの鉄道駅と会場とを最短経路で結ぶルートである国道百三十六号バイパス、県道熱海大仁線及び県道伊東大仁線の三路線が会場へのアクセス道路になるものと考えております。このため伊豆の国市南江間地内や伊東市宇佐美地内など選手等の輸送上の支障のある三路線五カ所において交差点改良や道路拡幅等を実施することとし、今議会に必要な予算をお諮りしているところであります。
 県といたしましては、オリンピックの開催までにこれらの整備を完了させ世界最大のスポーツイベントを成功させるとともに、国内外から観光地伊豆を訪れる方々をおもてなしするため、これまでにも増して国や関係市町等と連携して伊豆半島の背骨となる伊豆縦貫自動車道やその肋骨となる道路の整備推進に努めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 競争力のある産業の創造についてのうち、水産王国静岡の復活についてお答えいたします。
 TPP合意を受け、これまでにも増して漁業者の収益力の強化や担い手の確保に全力を挙げていくことが必要と考えております。このため県は地域の水産業の活性化を図る浜の活力再生プランの策定を支援しており、これまで十六計画が策定され現在漁協や関係者が一体となってその実現に向けて取り組みが進められております。例えばいとう漁協や焼津漁協による魚市場の整備や南駿河湾漁協による漁船給油施設の整備が進められており、来年度当初予算案にその助成のための経費を計上して今議会にお諮りしております。
 また、担い手の確保につきましては昨年度七十六人の新規就業者が確保されていますが、次世代の漁業を支える人材を育成する漁業高等学園では入学者をふやすため漁業の魅力や実際の授業風景をユーチューブで配信することで来年度の定員二十人を超える三十一人の入学希望者がありました。今後とも担い手確保にできる限りの対応をしてまいります。
 県といたしましては、引き続き地域の漁協の体質強化や水産物の魅力向上のための取り組みを支援し、輸出促進も図り水産王国静岡の復活に向け全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 富士山静岡空港の利便性の向上についてのうち、旅客ターミナルビルの改修・増築についてお答えいたします。
 旅客ターミナルビルの改修・増築において何よりも優先すべきことは、空港の将来を見据えさらなる多路線、多便化を進めることと利用者の利便性と満足度の向上を図ることであると認識しております。
 このため、設計に当たっては国際線は一時間に三便、国内線は三十分に二便を受け入れられるよう保安検査場や搭乗待合室の拡張、手荷物受け取りコンベアの増設など機能強化を図るとともに、飲食・物販店、免税売店の拡大、ラウンジやムスリム対応の礼拝室の新設など楽しみくつろげる場所の確保にも努めたところであります。
 一方、建物のデザインについては茶畑をイメージしたヴォールト屋根はコストの大幅な増加が見込まれた上に既存部分との一体感を持たせることが困難であり、またツイストアーチは海外加工が必要で県産材が使用できないことなどからそれぞれ不採用といたしました。新たなデザインは既存施設との統一感を図るとともに、西側地区を含めた空港全体の景観の調和を図る観点から新築部の屋根をひさしのあるフラットな大屋根とし、屋根を支える構造材に県産材を使用するとともに、天窓を設けて自然光を取り入れるなど日本的な情緒と温かさが感じられるくつろぎの空間を創出することといたしたところであります。
 本体工事費は、このような調整を経た上でさらに公募型プロポーザル実施後の建築資材や労務費の上昇など社会情勢の変動も考慮し三十六億八千万円を今議会にお諮りしております。
 新たな旅客ターミナルビルは、平成三十年十月の供用開始を予定しております。県といたしましては今後のラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの開催さらにその先を見据え、国内外の皆様をお迎えするふじのくにの空の玄関口にふさわしい空港となるよう引き続き機能向上に全力で取り組んでまいります。
 次に、富士山静岡空港の経営改革についてであります。
 県では、平成二十五年四月に公表した新たな空港の運営体制構築に向けた取り組み方針に基づき公共施設等運営権制度を活用した民間主体の空港運営の実現に向け検討を進めております。運営権制度の導入により指定管理者制度では困難であった空港運営に係る業務や収支の一体化が可能となり、業務効率化等による県民負担の軽減はもとより民間のマーケティング力等を生かした路線の充実や利用者サービスの向上等が図られるものと考えております。さらに運営権者が民間のノウハウやネットワークを生かして幅広い事業を展開することにより空港と地域資源を活用した観光や産業の交流が活発化し本県経済のさらなる活性化にもつながることが期待されます。
 制度の導入に当たっては、県が行う地元対策等の業務を除き二十年以上の長期にわたって民間事業者に空港運営業務を一体的に委ねるなど民間の経営力や創意工夫が発揮できる仕組みを検討しております。来年度にはこの仕組みを基本スキーム案として公表し、民間事業者等から意見を伺った上で実施方針として内容を固めるとともに、制度導入に必要な空港設置管理条例の改正をお諮りするなど具体的な手続を進めてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、運営権制度の導入により空港の価値を最大限に高め首都圏空港の一翼を担う日本の空の玄関口として、また県内経済の発展に大きく貢献できる社会資本として県内外の多くの皆様に愛される魅力ある空港となるよう積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 医療政策の推進における医科大学との連携についてお答えいたします。
 本県の医療政策を推進し地域医療の充実を図るためには県内外の医科大学と連携することは非常に重要であり、浜松医科大学とはこれまでも難病対策を初め多くの分野で連携してまいりました。中でも特に需要が高く医師確保が困難と言われている家庭医療や周産期と児童精神の分野におきましては県が寄附講座を設置し本県の実情に即した専門性の高い医師の養成などを行い、県民の皆様が必要とされている医療を提供できるように努めてまいりました。
 また、平成二十九年度から新専門医制度が導入されますが県民の皆様に質の高い医療を提供するためには県内において専門医が養成できる環境の整備が必要であります。新制度では専門医資格取得のための研修プログラムの多くが大学病院を基幹施設としているため、本県においても浜松医科大学との専門医育成のためのさらなる連携が不可欠であると考えております。
 このため、県では浜松医科大学に医学修学研修資金の利用者のための専門医資格取得のための研修プログラムや医師不足地域の病院にも勤務しながら専門医資格が取得できるような研修プログラムの作成を要請しております。また医学修学研修資金制度における返還免除施設に大学病院を加えることにつきましても検討を行い、地域医療に貢献する質の高い医師の確保につながるよう努めております。
 県といたしましては、県内唯一の医科大学である浜松医科大学と緊密に連携し、県民が安心して健やかに自分らしい生活をするためのふじのくにづくりの実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 命を守る危機管理についてのうち、地震・津波対策の推進についてお答えいたします。
 県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき市町と一体となって対策を進めており、命山や津波避難タワーが東日本大震災時の七カ所から百六十カ所に、津波避難ビルの指定が五百八カ所から千三百六十五カ所に今年度末までにふえる見込みとなるなど大きな成果を上げております。今後も想定される犠牲者の八割減という目標の達成に向けて防潮堤や水門などの津波防御施設の整備等を着実かつ迅速に推進してまいります。
 さらに、屋内の安全対策や津波避難施設の整備などを促進するため緊急地震・津波対策等交付金として平成二十八年度から平成三十年度までの三年間で九十億円程度を市町の計画に基づき交付することとし来年度当初予算に三十億円を計上したところであり、引き続き市町の地震・津波対策を強力に支援してまいります。またアクションプログラムの策定からおおむね三年が経過しますことから新たな津波想定に基づく防潮堤の整備高、整備区域の見直しや事業の達成状況を踏まえた目標指標の修正などを行ってまいります。
 県といたしましては、引き続き市町と一体となってスピード感を持って地震・津波対策のさらなる推進を図り、安全・安心なふじのくにの実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 命を守る危機管理についてのうち、耐震改修促進計画の見直しについてお答えをいたします。
 計画の進捗につきましては、多数の者が利用する建築物はおおむね目標の達成が見込まれます。しかしながら住宅につきましては耐震補強は目標の二万戸をおおむね達成しましたが、景気低迷などにより建てかえが想定より大幅に減少したこと、高齢者世帯の改修や建てかえが進みづらいことなどから平成二十五年の推計値で八二・四%と目標の達成は困難であると認識をしております。
 こうした状況を踏まえ、また第四次地震被害想定の犠牲者を八割減少させるためにも新たな計画では耐震化率を住宅・建築物ともに平成三十二年度末までに九五%とし、所有者のニーズに寄り添った施策を進めてまいります。
 具体的には、耐震性が低いと判定された建築物の所有者に対して拡充した補助制度の活用を促して早期の耐震化を働きかけてまいります。一方住宅につきましては耐震補助制度を堅持しながら改修に消極的な高齢者世帯に対し新たに無料で補強計画を策定する専門家や住宅相談員の派遣などを行うとともに、住みかえや耐震シェルター、防災ベッドなどの代替措置もお示しし、人命を守ることを最優先として総合的かつきめ細かに対応してまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) グローバル教育の充実についてお答えいたします。
 高校生の国際化を推進するため、県教育委員会では海外修学旅行や海外の高校生との交流の促進に積極的に取り組んでおりますが、より一層高校生のグローバル教育の充実を図るため新たな制度としてグローバル人材育成基金の創設を今議会にお諮りしているところでございます。この基金は県の出資に加え民間企業や経済団体、県民の皆様の寄附という形でサポートをいただいて創設するもので、平成二十八年度は一億五千万円の規模の積み立てを予定し約二千万円の事業費でさまざまなグローバル教育の取り組みに活用していくこととしております。
 具体的には、公立、私立を問わず県内全ての高校生の長期留学や短期留学について、海外への高い志を持っていながらも経済的に費用負担が難しい生徒を中心に支援してまいります。さらに高校生を指導する教員の海外研修の充実や実学系の高校生の海外インターンシップ事業も実施いたします。これらにより来年度からの五年間で九百人の留学等の海外渡航を実現するとともに、こうした海外体験を他の高校生に伝える報告会などの取り組みを積極的に行い県内高校生全体の国際化を広げてまいります。
 今後は、この基金を継続的に活用し本県の高校生が海外に目を向けて将来国際人材として活躍できるよう、高校生に対する社会総がかりのグローバル教育に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 西川警察本部長。
       (警察本部長 西川直哉君登壇)
○警察本部長(西川直哉君) 平成二十八年の警察運営の重点についてお答え申し上げます。
 平成二十八年の県警察の運営指針は、「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」といたしました。現下の治安情勢を踏まえ安全・安心推進プログラム二〇一四に掲げる三本柱のもと各種の施策を推進してまいります。
 まず、第一の柱は犯罪の起きにくい社会づくりであります。犯罪等に関する効果的な情報発信などにより県民の防犯意識を高めるとともに、地域住民や事業者、行政機関等と連携した防犯活動を推進してまいります。特に昨年被害件数が増加した振り込め詐欺等の特殊詐欺につきましては本年に入ってからも危機的な発生状況にありますことから預手プランをより積極的に推進するとともに、組織を壊滅することを目指した検挙活動を推進してまいります。
 また、ストーカーやDV等の対策につきましては引き続き相談者の生命、身体の安全を最優先にした措置をとってまいります。このほかインターネットを悪用したサイバー犯罪の取り締まりを強化するほか、暴力団等の犯罪組織に対しましては組織の壊滅に向けた諸対策を推進してまいります。さらには緊迫した国際情勢を踏まえましてテロ等の未然防止に向けて警備諸対策を推進してまいります。
 第二の柱は、人に優しい交通安全社会の実現であります。昨年は交通人身事故の件数、負傷者数は減少したものの死者数は増加いたしました。事故死者の半数以上が高齢者である状況にありますことから引き続き高齢者の交通事故防止を最重点といたしまして総合的な交通事故防止対策を関係機関、団体等と連携して推進してまいります。
 第三の柱は、安全・安心のための警察力の強化であります。治安情勢の変化に的確に対応するため組織体制の整備を進めるとともに、警察官二十八人を増員するほか精強な第一線警察官を育成するための訓練や研修をさらに強化するとともに、警察施設の整備や防災機能の強化を図るなど警察活動の基盤強化を推進してまいります。また従来どおりのやり方では対応が困難となってきている事案も発生いたしておりますことから、新たな対策にも積極的に打ち出してまいりたいというように考えております。
 本年も、県民の皆様の期待と信頼に応えられるよう県警察職員一丸となって職務に邁進していく所存であります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 小野達也君。
       (四十三番 小野達也君登壇)
○四十三番(小野達也君) 答弁をいただきましてありがとうございました。
 予算を中心にですね、今議会今年度の補正予算を含め来年度予算一兆二千四百十億円。これを中心に議論を進めていくわけでありますが、総体的に大変すばらしい予算ができているとは思っております。
 例えばですが、私たちが要望した経済対策等にも十分に対応していただいたり、これからTPPによる影響が出るということで攻めの農林水産業という観点。それから組織改編におきましては新しくスポーツ局を創設される。また伊豆観光局などをつくられるということで県民の意に沿っているのではないかというふうに評価をしたいと思います。
 しかし、一点申し述べたいことは篠原地区につくる海浜公園の基本計画に対する予算、これについてであります。一昨日も我が会派の政調会の役員を含めて現地調査に行っていただいていろんな参考意見なるものをいただいてまいりました。浜松には浜松球場というものがありまして確かに県営球場はないわけですから、それを含めて篠原地区に考えていこうということは否定はいたしませんが、篠原地区、当該地元事情で言いますと都市計画決定されたのは昭和三十七年。私がまだ生まれる前であります。それからですね、結局何もすべがないままタマネギをつくっている方もおられるようですが、ほとんどが耕作放棄地の状態であります。またあまり風の影響はないと知事も千葉のマリンスタジアムの例を挙げて申しましたけれども、通常で三、四メートル、強風時には八メートルの風が吹くということを調査団が聞いてまいりました。それから私も関係団体とどのぐらいの意見交換をしたのかをお尋ねしたところ、県としてはしていないと。浜松市が三回にわたり今年度関係者と意見交換をしているということで、内容については示されませんでしたけれども、一昨日に野球関係の著名な方とお話ができた。その中では、やはり風が強くてあまり野球場には向いていないんではないかとこんな意見を聞いてきたところであります。
 強いて言えばですね、私たちこちら側にいる議員はいろんな会派を含めて議長も含めて六十九名、昨年の統一地方選挙で民意を受けて当選をさせていただきました。知事は選挙の洗礼を受けて三年がたっておりまして、やはり民意に近いのは我々議員側ではないかと。これからも最終日まで時間がありますが、やはりいろんな議論を重ねてこのことについてはしっかりと考えをまとめていきたいと。全てを否定するものではありませんし、当該地区から選出された議員の思いもしっかりと考えております。
 いろんな意味で、私たちが議員としてやれるべきことをやった上で、また当局の皆さんの考えもしっかりただしながら対応していきたいと、このことを申し述べまして質問を終わりにします。(拍手)
○議長(吉川雄二君) これで小野達也君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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