本会議会議録

質問文書

平成27年９月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　好浩 議員

質問分類
代表質問

質問日：
09/29/2015

会派名：
公明党静岡県議団

質疑・質問事項：
1　知事の政治姿勢について
　(1)　静岡版地方創生に向けた取り組み
　(2)　今後の地震防災対策の推進
　　ア　地震・津波対策
　　イ　住宅・建築物の耐震化
　(3)　オリンピック文化プログラムの推進
2　エネルギー政策について
　(1)　エネルギーの地産地消
　(2)　県有施設における環境性能向上とライフサイクルコスト削減の取り組み　
3　安全・安心な暮らしの確保について
　(1)　巴川流域総合治水対策
　(2)　自転車の交通安全対策
4　観光地の地震防災対策の構築について
　(1)　ホテル・旅館の耐震化
　(2)　観光客の安全確保
5　命を守る政策の実現について
　(1)　児童虐待防止対策の推進
　(2)　受動喫煙防止対策の推進
6　移住・定住希望者への住まいの支援について
7　産業の活性化について
　(1)　中小企業への金融支援
　(2)　フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進
8　教育行政について
　(1)　十八歳選挙権に対応した主権者教育
　(2)　防災教育

○議長（吉川雄二君）　ただいまから会議を開きます。
　議事日程により、知事提出議案第百十三号から第百三十八号まで及び平成二十六年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
　質疑及び一般質問を行います。
　通告により、二十七番　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十七番　髙田好浩君登壇　拍手）
○二十七番（髙田好浩君）　皆さんこんにちは。
　私は公明党県議団を代表して通告に従い、県政の諸課題について知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に一括方式で質問いたします。
　質問に先立ち、台風十八号の影響により浜松市内で河川の内水氾濫による被害が発生し被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また九月十日、十一日に関東地方、東北地方を襲った豪雨による河川の氾濫などにより栃木、茨城、福島、宮城各県などで甚大な被害が発生しました。この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復興と生活再建を祈りますとともに、この災害を無にしないよう静岡県の確実な防災対策の推進を当局に要望し質問に入ります。
　初めに、知事の政治姿勢についてのうち、静岡版地方創生に向けた取り組みについて伺います。
　我が国は、少子高齢化が急速に進み自然減による人口減少社会に突入し、さらに我が県においては日本で二番目に転出超過人数が多く社会減にも歯どめがかからず、平成十九年十二月の三百七十九万七千人をピークに人口減少が加速しことし九月には三百六十八万一千六百七十八人まで減少し、あわせて出生数は昨年二万八千六百八十四人と過去最少を更新し初めて三万人を割り込むなど深刻な状況になっております。
　我が県は、世界に誇る多くの魅力あふれる自然に囲まれ日本一多彩で質の高い農林水産物が育まれ日本一のものづくりを誇る技術力を持つなどすばらしい魅力を有しています。これらの魅力を最大限に生かし県民の幸福度を最大限にすることが真の静岡版地方創生であると考えます。
　我が会派は、地方版総合戦略の策定にまず若い世代に夢や希望を与えるような画期的で実効性あふれる施策の確立と実施が必要であり、また何より本県の重要政策は命を守り日本一安全・安心な県土を築くことであり、災害に強い安全・安心な地域づくりを進め住民の地震・津波に対する不安を払拭することが必要であり、さらに県が提案する五圏域のそれぞれの方向性の策定に当たっては各市町の意向を十分に尊重し、その実現に向けて最大限の協力を惜しまずに行う必要があると提案をいたしました。
　我が会派は、人が最も大切で人が生きる地方創生を実現すべきだと考えますが、県は地方版総合戦略の策定に当たり我が会派の提案をどのように反映させ、どのように真の地方創生に向け取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
　次に、今後の地震防災対策の推進のうち、地震・津波対策について伺います。
　県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三により取り組みを進めており私は今までの県の取り組みを評価いたしますが、防災・減災対策をさらに強力に進めるためにはアクション達成の加速化と不足アクションの追加の両方が必要と考えます。例えば津波避難ビルについて平成二十三年度に国が行った実態調査では全国に約四千棟あり、その四分の一の約一千棟が静岡県にありました。現在ではさらに指定が進み県内で約一千三百棟が指定されていますが、これら津波避難ビルの津波に対する強さ、すなわち耐浪性の確認は十分に行われているとは言えず、全ての津波避難ビルの調査を行い安全宣言すべきです。また行政のＢＣＰ作成も半数近い市町が未策定です。県が支援事業を立ち上げていつまでに全市町が構築するか決める必要があります。県民の安全・安心を築くためには県民みずからが行う自助の取り組みが必要です。住宅の耐震化、家具の固定、非常持ち出し品や備蓄品の確保については県がさらなる啓発活動を行い、自分の身を自分で守り助ける側に回れるようになってもらえるよう積極的に働きかけていく必要があります。
　そこで、県民の自助に対するさらなる啓発について、今後の県の取り組みを伺います。
　また、地震・津波対策のさらなる推進を図る上では市町のアクションプログラムを着実に推進することが重要であり、県の市町に対する財政支援が不可欠と考えます。公明党静岡県議団は昨年、三十五市町に対して地震・津波対策の実施状況や課題、県や国に対する要望など三十一の大項目、百二十一の小項目のアンケート調査を行いました。三十五市町全てがアクションプログラムの作成を完了し県と市町が一体となって本格的な対策をスタートした時の調査になりました。
　県が平成二十五年度から本年度までの三年間の制度として創設した緊急地震・津波対策交付金は、それまでの大規模地震対策等総合支援事業費補助金の使い勝手をさらに向上させ地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進に大きな役割を果たしたと考えますが、このアンケート調査では多くの市町からさらなる対策推進のため来年度以降も財政支援が必要であり、またさらに使い勝手のいい幅広い事業に使えるような改善を求める意見が多く集まりました。私は津波避難シミュレーションの導入や感震ブレーカーの普及促進、避難所、福祉避難所の感染予防のための電気集塵殺菌機器の導入などへの活用も必要と考えます。
　そこで、地震・津波対策に関する市町への財政支援の来年度以降の対応について、知事の所見を伺います。
　次に、住宅・建築物の耐震化について伺います。
　県は、全国に先駆けて地震発生による犠牲者を減少させるために平成二十七年度までに住宅や多数の者が利用する建築物の耐震化率をそれぞれ九〇％以上にすることを目標とし、実現に向けた具体的な事業として平成十三年度にプロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ―０」総合支援事業を立ち上げました。全国から注目されこれらの先進的な取り組みにより防災先進県と評価された事業ですが、いよいよ今年度「ＴＯＵＫＡＩ―０」総合支援事業の計画期間が終了します。
　総務省が五年ごとに実施する住宅・土地統計調査によると平成二十五年の静岡県の住宅の耐震化率は八二・四％で、平成二十年からの五年間で三・一ポイントの上昇でした。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の第一項目のアクションである住宅の耐震化の推進の目標である今年度九〇％の達成は厳しく、重ねて国が掲げる五年後の平成三十二年の住宅耐震化率九五％の目標達成も今の進捗スピードでは非常に厳しい状況と言わざるを得ません。いまだ二十四万二千戸の未耐震住宅があり、そこで生活する高齢者世帯の割合が毎年上昇しています。県民の安全・安心を築くため、防災先進県の取り組みとして耐震化の推進についてはもう一段ギアを上げる必要があります。
　木造以外の住宅の耐震補強のさらなる推進や面としての地震防災対策を行うための緊急輸送道路沿線などの避難上重要な箇所に建つ建築物の耐震補強のさらなる推進、安価で確実な耐震補強工法の紹介を盛り込むなど、県が先頭に立ち市町とよく連携し住宅・建築物の耐震化を加速させるために来年度からの新たな施策を確実に実施する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
　次に、オリンピック文化プログラムの推進について伺います。
　オリンピック憲章にはオリンピック競技大会組織委員会は複数の文化イベントのプログラムを計画しなければらないと規定され、スポーツ、文化、教育の融合が根本原則としてうたわれています。二〇一二年のロンドンオリンピック・パラリンピックにおいては英国各地で数多くの文化プログラムが展開され文化の祭典としても成功をおさめたと言われています。東京オリンピック・パラリンピックにおける文化プログラムの展開については競技大会組織委員会はまだ方向性を示していませんが、英国における実施内容をモデルとして全国各地における積極的な展開が期待されます。
　川勝知事は、昨年十一月の全国知事会において東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて全国各地で文化プログラムを展開することを提案し、また本年二月には県職員を英国に派遣して調査を行ったと聞いており、全国に先駆けた取り組みを進めることは大変に意義あることであると評価をいたします。
　大小さまざまな規模の文化プログラムが県内各地で実施されることは、地域の豊かな生活文化資源を基盤として常に新たな文化創造の機運があふれる地域社会が形成される契機となるものと期待します。
　また、オリンピック憲章の精神を遺憾なく発揮するためには静岡で展開する文化プログラムにおいてはさまざまな障害のある方々の文化活動を視野に入れた実施内容を盛り込むことが必須になると考えます。これから全国各地で文化プログラムの実施案が提出されると思いますが、我が県はユニバーサルデザイン先進県静岡県の価値観を具現化した多様な文化プログラムを県内各地で実施することが重要と考えます。
　そこで、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムの本県における展開について今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
　次に、エネルギー政策についてのうち、エネルギーの地産地消について伺います。
　自然エネルギー研究センターがオーストリアのギュッシング市のエネルギーの地産地消の先進的な取り組みを次のように紹介しています。ギュッシング市は非常に貧しい地域で、農業は廃れ森林はあっても林業はないというような状況だったが、一九九二年に市長が化石燃料からの脱却を提案し木質バイオマスを中心とした自然エネルギーの利用などにより地域内経済の循環を実現した。地元産のエネルギーを使えば地域外に流出した資金が地域内で循環するようになり、しかも安定した安いエネルギー供給が可能になれば企業誘致や人口増加にもつながるというアイデア。太陽熱温水器や木質チップだきボイラーを利用した地域熱供給を初め、大学研究グループと連携し木質やその他のバイオマスを原料にＢＴＬ製造やガス化利用も行い二〇〇九年には市の再生可能エネルギー比率が九八％に到達。温暖化ガスの排出量は九五％削減するに至っている。またヨーロッパの多くの地域では既にこのような取り組みが積極的に行われているという事例です。
　昨年四月、国のエネルギー基本計画が策定され、そこに示された方針に基づき本年七月には平成三十二年度の電源構成を踏まえたエネルギーの需給構造が示され、原発依存度を大きく低減し再生可能エネルギーの最大限の導入拡大を図る方向性が示されました。現在太陽光発電の導入が急速に進む一方、再生可能エネルギーの拡大に向けてはさまざまな課題が顕在化し、また電力システム改革による電気の小売の全面自由化が来年の四月に迫っています。
　そのような中、県ではふじのくに新エネルギー等導入倍増プランの見直しを行うことになりましたが、再生可能エネルギーを取り巻く状況が大きく変化していることを踏まえれば時宜を得たものと思います。また先進事例もあるように、新たな取り組みは地域内経済の循環や活性化にもつながると考えます。
　そこで、現在のプランの進捗についてどのように評価し今後エネルギーの地産地消をどのように推進していくのか、県の所見を伺います。
　次に、県有施設における環境性能向上とライフサイクルコスト削減の取り組みについて伺います。
　二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災によりそれまでのエネルギー消費のあり方を考え直すことが迫られ、家庭や事業所さらに公共建築物の節電対策の必要性が叫ばれました。住宅・建築分野のエネルギー消費は我が国の最終エネルギー消費の三割以上を占め、ＣＯ２の排出もその消費量に比例して非常に大きな数値を示しています。
　地球環境の保全やライフサイクルコスト削減の観点から建築物の省エネルギー性能や環境性能を向上させることは重要であり、現在民間の関連事業者がさまざまな技術開発やシステムの構築を推進しています。多くのエネルギーを消費する県有施設においては新築施設への最新の省エネ技術の導入とともに、多くの既存施設の省エネ対策を確実に推進し大切な血税を無駄に使うことがない効率のよい環境に優しい施設に更新していくことが必要であります。
　これまでにも、県は施設の更新や改修にあわせて省エネや環境性能の向上に取り組んできました。私が特に評価する事業は平成二十一年度に静岡県立大学が公立大学法人に移行することに伴って実施したＥＳＣＯ事業の導入で、以降毎年光熱水費とＣＯ２発生の削減が推進され昨年度は年間で四千九百万円の光熱水費の削減とＣＯ２排出量の二三％削減が達成されました。
　人口減少が本格化する社会の中で県有施設の保全管理は地方公共団体にとって重要な課題であり、本県はファシリティマネジメントの考えに基づき量の適正化と質の適正化に取り組んでいることは承知しておりますが、こうした取り組みに加え増大する財政負担の軽減や地球環境の保全のためにさらなる省エネ対策や環境性能向上に向けた取り組みが必要と考えます。
　そこで、県有施設が環境型社会に対応しライフサイクルコストの削減を実現するためどのような取り組みを行っていくのか、県の所見を伺います。
　次に、安全・安心な暮らしの確保についてのうち、巴川流域総合治水対策について伺います。
　巴川の流域内人口は約三十五万人で静岡市の人口全体の約五割を占め、流域内の資産も多く治水上重要な流域となっています。巴川は市街地の低い平地部を流れ水はけが悪いことから、一たび災害が発生すると甚大な被害に至る河川です。
　県による巴川の本格的な河川改修は昭和二十年代後半から実施されていますが、昭和四十九年の七夕豪雨による水害では床上・床下浸水が二万六千棟を超えるなど甚大な被害が発生しました。これを契機に巴川の抜本的な治水対策が始まり、昭和五十五年には静岡県、旧静岡市、旧清水市が巴川流域総合治水対策協議会を発足させ、それ以降流域が一体となって総合的な治水対策に取り組んでいます。これまで大谷川放水路や麻機遊水地、流域内での校庭貯留などの整備により年超過確率五分の一規模の降雨による洪水に対応した整備が完了し、現在は年超過確率十分の一規模の降雨による洪水に対応した整備を実施しています。
　しかし、昨年十月の台風十八号では流域平均の二十四時間最大雨量が三百六十二ミリに達し、現在の計画規模である十分の一を大きく上回る降雨をもたらしました。遊水地が満水となり洪水調整機能の限界を超えた後も巴川の水位がさらに上昇した結果、浸水家屋一千棟を超える被害が発生しました。これらの浸水被害を受け巴川流域総合治水対策協議会では早急に浸水被害の状況調査や原因分析に着手し、再び同様な被害を繰り返さない対策を検討しその結果を行動計画として取りまとめ本年七月に策定、公表しました。
　県都静岡市を流れる巴川の安全・安心の向上に向けた総合治水対策を確実に推進させる必要がありますが、この行動計画を今後どのように進めていく方針か、県の所見を伺います。
　次に、自転車の交通安全対策について伺います。
　自転車事故に係る総合対策については一昨年の代表質問において警察本部長に伺いました。現在県警察においては指導取り締まりや高校生などを対象とした交通安全講習を実施し安全対策を推進していると承知しております。こうした取り組みにより自転車関連の事故が減少しているものの、昨年は約四千五百件の事故が発生し二十人の方が亡くなり、本年は八月末までに約二千七百五十件の事故が発生し十二人の方がとうとい命を落としています。この件数、死者数は全国に比べて高いと聞いております。
　このような中、本年六月一日に改正道路交通法が施行され自転車の運転に関し重大事故につながる危険行為を防止する取り組みが始まりました。言うまでもなく自転車は車両でありさまざまな交通法規が定められているにもかかわらず、それ自体が十分に理解されていないなど結果としてルール無視、マナー違反が後を絶たない現状が見受けられます。私は事故を誘発するような危険行為を繰り返す者に対しては徹底した取り締まりを行う必要があると考えますが、それ以上にそもそも自転車の交通法規がどのように決められているのか基本的な交通法規を県民に周知することが重要と考えます。また車を運転する人も自転車の正しい交通法規を理解することで自転車事故の減少につながっていくと考えます。
　そこで、自転車安全講習をあらゆる世代の県民が受ける機会を設置し、受講後に修了証として自転車の交通ルールを記した手帳などを配付し常に確認できるようにすることを提案します。
　また、自転車販売店にも協力していただき来店した方々に交通法規や保険紹介のパンフレットを配布することも必要と考えます。ドライバーに自転車法規の理解を深めてもらうために運転免許証の更新時などを活用して基本的なことを確認する時間の確保ができればとも思います。
　我が県の交通事故による死者の約一五％を占める自転車利用者の事故防止対策が極めて重要であり、今後いかにして自転車に係る交通安全対策を推進していくのか、警察本部長の所見を伺います。
　次に、観光地の地震防災対策の構築についてのうち、ホテル・旅館の耐震化について伺います。
　平成二十五年十一月二十五日に建築物の耐震改修の促進に関する法律が施行され、原則五千平米以上の多数の者が利用する大規模な建築物に対して耐震診断を行いその結果を所管行政庁にことしの十二月三十一日までに報告することが義務づけられ、その後所管行政庁はその結果を公表することになりました。本来耐震診断や耐震補強を国、県、市町が一体となって支え耐震化が完了してからその結果を公表すべきと私は考えますが、公表のタイミングを耐震診断の終了時とする中途半端なやり方に大きな疑問を持ちました。ホテル・旅館の事業者の皆さんからも不安の声が上がり、耐震診断の費用負担の軽減のための県の支援や公表の方法など県に対して要望活動が起こり、私も当時代表質問でこの課題解決のために県の取り組み方針をただしました。
　その後、国と県及び対象建築物が立地する二十九の市町が耐震診断の補助制度を確立し、全額補助が五市、十分の九補助が二市一町、六分の五補助が二十一市町に拡大し費用面における支えが実現しました。現在全ての対象建築物について診断中または診断が完了し次の段階の公表の準備に取りかかっていると聞いております。地域経済を支える重要な基幹産業である観光業が衰退するようなことがないよう、この事業を最後まで確実に推進し事業者とともに耐震補強を国、県、市町が一体となって完了させ多くの観光客に静岡県の安全・安心を発信していくことが重要と考えます。
　そこで、県におけるホテル・旅館の耐震診断の公表方法と耐震補強の支援のあり方について伺います。
　次に、観光客の安全確保について伺います。
　東日本大震災の発生時、被災地に観光や出張で訪れた人の行動が把握できず四日後の三月十五日午後八時時点で約九百人の安否が不明で、また難は逃れたものの帰宅する手段がなく観光地に数日間足どめされた方も多く、地理に不案内で情報入手に困難を来たす旅行者は原則として災害時要援護者として位置づけられます。
　大震災発生以降三重県、沖縄県、青森県などで観光客の安全確保のためのさまざまな取り組みが始まりました。日本全体として外国人旅行者の安全確保と情報提供体制を整備して海外からの旅行者の信頼を得ることが観光立国を実現する必須条件となり、その上で国内外の多くの観光客に静岡県を選んでもらうためには日本で一番安全・安心な防災対策を推進する必要があります。
　本県は、平成二十五年度に観光危機管理のシンクタンクであるＪＴＢ総合研究所に県内観光地の防災対応力の緊急点検を依頼し三十三の市町と十八の観光協会、二百四十八の事業者を調査した結果、マニュアルなどの整備、訓練の実施、避難場所の確保など防災意識の高さが見られる一方で、自治体と民間事業者との連携、情報発信の具体的方策についての取り組みにおくれが目立つことがわかりました。その結果を受け堂ヶ島、修善寺、伊東、下田などで行政、観光協会、事業者等によるワークショップを開催し、それぞれの地域の抱える課題を明確にし観光客の安全確保のために必要な対策を論議したと聞いております。また市町は国による観光・防災Ｗｉ―Ｆｉステーション整備事業を活用し観光拠点、防災拠点での観光客への情報提供に取り組むことになります。
　そこで、緊急点検の結果をさらに生かすとともに、新たなＩＴ技術の導入を含め県内に来訪される観光客の安全確保にどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
　次に、命を守る政策の実現についてのうち、児童虐待防止対策の推進について伺います。
　「すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される」と児童憲章にうたわれ、全ての子供が虐待を受けずに健やかに成長できる社会を目指していますが、核家族化や地域のつながりが希薄になってきたことにより家庭での子育てが孤立しやすくなるという家庭、地域の養育力の低下などが原因で児童虐待が増加し、また児童虐待の認識の広まりによりこれまで気づかなかった児童虐待が児童相談所につながるようになり相談件数も増加しています。
　我が県においても昨年の相談件数は二千百三十二件に上り過去最多を更新しました。被虐待児の年齢はゼロ歳から学齢前の乳幼児が九百八十件と約半数を占め低年齢児に対する虐待が多く、虐待者は実の母が約六割、実の父が約三割。この傾向は例年とほぼ変わらないことがわかりました。課題は三つあり、一つはいかに発生させないか。二つ目に早期発見、早期対応をいかに行うか。三つ目に子供の保護、支援と保護者の支援があると考えます。
　厚生労働省では毎年十一月を児童虐待防止推進月間と位置づけ集中的な広報啓発を実施しています。我が県においても子供の健やかな成長が保証できる取り組みを確実に推進していく必要があります。そこで課題の一つ目の解決のためにはお母さんが妊娠したときから子育てが孤立しないように皆で支えることが必要で、予期せぬ妊娠、望まない妊娠をした女性に対してはさらにきめ細かな支援が必要です。
　愛知県は、国に先駆けて愛知方式と言われる新生児里親事業に取り組んでいます。この事業は母親本人が育てられない理由が明確な場合、出産と同時か出産後の早い段階で乳児院を経ずに新生児を育ての親に託す赤ちゃん縁組を実施する取り組みです。我が県もこのような支援を進めるべきであると考えます。課題の二つ目の解決のためには児童相談所への確実な通報と児童相談所や市町の体制強化が必要です。課題の三つ目の解決のためには里親やファミリーホームなど家庭的な環境で養育する家庭的養護の充実等が必要と考えます。
　そこで、児童虐待を防止するためにどのような対策を実施していくのか、今後の県の取り組みについて伺います。
　次に、受動喫煙防止対策の推進について伺います。
　国際条約――たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約において受動喫煙の健康被害を明確にし、分煙ではなく全面禁煙化が世界で進んでいます。Ｇ８の中で屋内が全面禁煙でないのは日本だけで二〇一三年時点で四十三カ国が全面禁煙になり、この動きは途上国を含む世界各国に広がっており国や州によっては子供が乗っている自家用車内までもが規制の対象になっております。屋内を全面禁煙にすることがグローバルスタンダードになっていますが、国としての規制がない日本に今まさに多くの観光客が訪れ、さらにこの交流人口を増加させる観光立国としての政策を推進しています。
　そして、いよいよ二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが開催される東京に、また日本全域に屋内が全面禁煙になっている国から多くの選手や観光客が来日します。二〇〇八年の北京大会では条例でレストラン等を含む屋内施設を禁煙化し、二〇一〇年には国際オリンピック委員会とＷＨＯがたばこのないオリンピックを目指す合意文書に調印し二〇一二年のロンドン大会、二〇一四年の冬季ソチ大会で室内の禁煙化を実施。そして二〇一六年のリオデジャネイロ大会においては既にブラジル全土が禁煙化されています。
　静岡県は大会の事前合宿の誘致を各地域で推進していますが、国をリードした受動喫煙防止に取り組み海外からのお客様にきれいな空気でおもてなしができるようにしていくべきです。また厚生労働省の研究班は受動喫煙を原因とする肺がんや心筋梗塞で年間約六千八百人が死亡していることを公表しましたが、地方の価値観を生かす地方創生の独自政策として、ふじのくにの健康寿命延伸のためにも受動喫煙防止対策を明確に打ち出す必要があると考えますが、今後の取り組みについて、県の所見を伺います。
　次に、移住・定住希望者への住まいの支援について伺います。
　先日、ことし四月二十二日に有楽町の東京交通会館にオープンした“ふじのくにに住みかえる”静岡県移住相談センターを訪問し、相談員の方に現在の活動状況や相談者の主な相談内容、今後の事業展開などについて伺いました。
　八月末までに二百六人が訪れ、三十代、四十代が全体の約半数で静岡県出身者は一割程度、県外の方が九割を占めること。その中には静岡県の大学に在学しその後故郷に帰ったが静岡のよさが忘れられず移住を希望している人や静岡県で就農したいという人も多い。またほぼ半数が一年以内の移住を希望しているなど静岡県への移住・定住希望者が潜在的に多くいらっしゃるという、うれしい報告を聞くことができました。移住・定住の推進には住まいの課題を克服する必要がありそのための情報提供が大切であるとともに、充実した住居支援を提供することが重要になります。Ｕターン希望者には実家のリフォーム支援を、Ｉターン希望者には空き家の紹介や活用、改修に対する支援を、さらに耐震補強を同時に実施する場合の補助の拡大など他県を大きく上回る住まいの支援を構築しセンターや県のホームページなどで発信していくことが必要と考えます。
　県内では既に多くの市町がＵターン・Ｉターン者に限らず利子補給、固定資産税の減免、工事費の補助、住宅取得補助、賃貸補助などを実施しています。そこで県内に移住・定住を希望する方の願いを実現できるよう市町と連携した住まいに対する支援制度を構築すべきであると考えますが、県の所見を伺います。
　次に、産業の活性化についてのうち、中小企業への金融支援について伺います。
　地方創生実現の根本要因である静岡県の経済活性化のためには、本県経済を本格的な回復軌道に乗せ持続的に発展させていくための新たな戦略の構築が必要です。このため県は昨年度約二百の企業を訪問し経営者の方々などから企業が抱える課題などを直接聞き取りました。その結果、災害リスク等への対応、事業用地等の不足、グローバル化への対応、新事業分野への進出などに対する課題が明らかとなったことから、県はこれらの課題解決のために企業誘致・定着の推進、地域企業の事業活動の活発化など四つの戦略から成る静岡県産業成長戦略を取りまとめ、本年四月には産業戦略推進センターオープンイノベーション静岡を設置し官民が一体となって産業成長戦略を推進するための取り組みを開始しました。この戦略にはさまざまな施策が掲げられていますが一つ一つ確実な結果を出していくことが必要で、中でも県内企業の九割以上を占める中小企業に対する具体的な支援が必要であり、事業のベースとなる金融支援は特に重要と考えます。
　県は、本年度中小企業向け制度融資について成長産業分野における支援資金の融資限度額を十億円に引き上げるとともに、特別政策資金について所定金利方式を導入するなどの制度改正を行い中小企業への資金供給の円滑化に取り組んでいることは承知していますが、この制度改正をより実効性あるものとし中小企業の成長産業分野への参入や設備投資を促進するためには新たな制度の普及定着を十分に図る必要があります。
　そこで、本年度改正された中小企業向け金融支援制度の改正効果と普及定着に向けた取り組みについて、県の所見を伺います。
　次に、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進について伺います。
　本県は、地域の資源と特徴ある産業基盤を生かしファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの三つの産業集積プロジェクトを推進し地域産業の活性化に取り組んでいますが、県中部地域を中心に推進しているフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトは、地域に集積する食品関連企業と食品分野ですぐれた研究実績を持つ大学や研究機関などが産学官金の連携により特色ある食品素材の機能性を研究し付加価値の高い食品開発を推進してきました。
　フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトは本年度から平成三十一年度までを第二次戦略計画期間と位置づけ、食品に関する研究を三百件、製品開発件数を百件、さらに食品・飲料等の製造品出荷額全国一位の維持などを目標に掲げ、本県の経済発展と人々の健康増進の実現を目指し積極的な取り組みを行っていると伺っております。本県には加工食品の製造などの食品関連企業が多くあり、その事業所数は千八百を超え製造業全体の約二割を占め、その多くが中小企業です。このプロジェクトの取り組みが地域の中小企業の活性化につながるよう、その研究成果を具現化し付加価値の高い売れる製品づくりにつなげることが重要と考えます。ことし四月にスタートした機能性表示食品制度を最大限に活用しこれまでのプロジェクトで積み重ねてきた食品の機能性に関する研究成果を余すことなく生かし、食品産業はもとより健康産業関連の中小企業の製品づくりを後押しすることでビジネスチャンスを拡大することができると考えます。
　そこで、機能性表示食品制度を活用した中小企業の製品づくりに対し、現在県としてどのような支援を開始しているのか。またこうした中小企業の動きをより一層加速化させるためこれからどのように支援を展開していくのか伺います。
　次に、教育行政についてのうち、十八歳選挙権に対応した主権者教育について伺います。
　ことし六月十七日、参議院本会議において改正公職選挙法が全会一致で可決され成立しました。この法律は来年夏の参院選から適用され、十八歳、十九歳の約二百四十万人が新たな有権者となりますが、世界のほとんどの国が十八歳を成人年齢としており十八歳選挙権は世界の常識となっていることから公明党は早くから選挙権の引き下げを主張しており、今回の決定を私たちは大いに歓迎いたします。ただ彼らが選挙権を正しく行使するのに必要な知識と判断力を有しているかどうかを憂慮する声もあります。
　過去の衆院選の二十代の投票率を見ると、二〇〇五年四六・二％、二〇〇九年四九・五％、二〇一二年三七・九％と上の世代の投票率には遠く及ばず日本の若者の政治的関心の低さを示しています。有権者が投票権を得た際に投票に行かない場合、その後の人生においても棄権しやすく最初の行動が肝心であるとの研究結果があります。ＮＰＯ法人育て上げネットの調査によると税金について考えたことがないと回答した高校生は七七％に上るとのことですが、高校の教科書には憲法や社会保障制度、財政などについて学ぶ科目はあるもののこれと税金がどのように関連しているのか学ぶ機会がないことが原因になっていると分析をしております。
　教育基本法第十四条では、良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならないとあります。考える有権者、賢い国民がふえていくことが日本の民主主義を鍛えていくことにつながるはずです。若者の政治的関心を高め投票率を向上させるためには改めて教育の場で新たな取り組みが必要ではないかと考えますが、教育長の所見を伺います。
　最後に、防災教育について伺います。
　これからの静岡県における防災対策で重要なことは、ハード整備の確実な推進とともに、各種の災害や防災・減災に対する正しい知識を県民みずからが自分のものにし日常的な備えや発災時における的確な行動がとれるよう平常時から対応していくことと考えます。
　潜在的な力としてさらなる活躍を期待できるのが中学生、高校生などの若い力ですが、各地域で行われる防災訓練では率先して地域の方々とともに日ごろの防災教育の成果を発揮している事例もある一方、訓練の中で役割を見つけることができず遠巻きに見守るだけという地域も少なからずあるのが現状です。中学生、高校生を具体的に地域の大切な人材として育成していくためには、防災について地域や家庭、学校で話し合い主体的に行動できるように育てる側においてもしっかりとした取り組みが必要と考えます。
　例えば、東京都荒川区では全中学校十校に防災部を設置。現在約三百人が入部し可搬ポンプの操作や救命訓練などを月に一、二回程度行い、運動会では消火活動に見立てた防災リレーをＰＴＡとともに行うなど防災意識の向上に取り組んでいます。
　また、徳島県は二〇一一年度から県立高校に防災ボランティアや地域住民と避難訓練を行う防災クラブの設置を進め、現在全校配置が完了し防災士の資格取得を推進しています。高校生防災士はこの防災クラブを活動拠点として学校防災活動の牽引力となり、卒業後も地域や職場で防災活動を担ってもらうとの狙いがあるそうです。また二〇一八年までに高校生防災士を延べ五百人養成することを目指しています。本県もふじのくにジュニア防災士の取得に積極的に取り組んでいる学校があることは承知しておりますが、その中で行われているＤＩＧやＨＵＧ、イメージＴＥＮといった手法は防災を身近な課題として意識づけるために多くの生徒が経験することが有効であると考えます。
　そこで、中学生、高校生の防災意識の高揚を図るために今後の防災教育にどのように取り組んでいくのか教育長の所見を伺い、私の質問を終わり、以上について答弁を求めます。
○議長（吉川雄二君）　川勝知事。
　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）
○知事（川勝平太君）　髙田好浩議員にお答えいたします。
　私の政治姿勢についてのうち、静岡版地方創生に向けた取り組みについてであります。
　本県の総合戦略の基本方針は、ふじのくにのヒト、モノ、大地の場の力を磨き高めて本県の持つ魅力の最大化を図ることでございます。本県には富士山があり、その富士山が皆様方のお力を得て世界の宝になりました。それがきっかけになりまして今や二十以上の国際的に認定された地域資源に恵まれる地域として存在感を高めているわけでございます。世界認定を受けないものも、例えば日本一多彩な農林水産物があるということもそういうものでございますが、こうした国内外に誇る魅力にあふれているということを県民が自覚をいたしまして、我々の地方創生は日本の創生に、世界に輝く日本の創生に資するに違いないと。こういう目標を持って地方創生に取り組んでいるということでございます。
　このたび、公明党静岡県議団の皆様からいただきました三十三項目に及ぶ貴重な御提言をしっかりと反映して原案に取りまとめたところでございます。
　まず、安全・安心の確保があらゆる施策の前提でありますことから、そしてまたそれがふじのくにの基礎であるという認識のもとに、県民の命を守り日本一安全で安心な県土を築くことを第一の戦略として位置づけ御提言をいただきました、女性の視点による防災対策の推進や地域防災を担う人材育成等を施策に反映いたしまして、地震・津波などに対する県民や企業の不安を払拭するさまざまな取り組みを総力を挙げて推進してまいる所存でございます。
　また、女性の就業機会の創出や若い世代の結婚機運の醸成、郷土愛を育む教育の推進などを施策に反映し、誰もが活躍ができる就業環境の整備や若い世代が家庭を築いて安心して子育てができる社会を形成するなど人を大切にし人が生きる地方創生に取り組むとともに、各戦略ごと特に重点的に取り組むべき施策の明確化を図ったところであります。
　人がよく生きるというのはどういうことでございましょうか。みずからが自立をし人を生かすことのできる力を持つことではないかと存じます。しかしながらみずからは万全なものではありませんから人の力を借りねばなりません。人を生かし、また生かされるという関係こそ人がよく生きるということではないかと存じます。みずからだけがよく生きるということが人がよく生きるということではないと。生かし生かされる関係をつくり上げる。みずからも人を生かすだけの力を持つということが大切であると存じます。
　そうした観点を持ちまして、何といいましても地方創生の実効性を確保するには基礎自治体である市町と一体となった取り組みが重要でございます。また基礎自治体がそれぞれ属しております広域の地域圏、大きくは五つに分けられますけれども、それぞれの個性を生かした地域づくりの方向性の策定に当たりましては五つの地域圏ごとの地域会議や県と市の連絡調整会議の場を通じまして意識の共有化に努めてまいります。そして市町の意向を十分に踏まえた地域の特色ある施策を位置づけてまいります。その実現に向け連携協働が大切であると認識しております。
　今後とも、地方創生の実現に向けまして幅広い県民の皆様とともにオール静岡での継続的な取り組みを展開してまいりたいと考えておりますので、引き続き御支援と御協力を賜りますよう改めてお願いを申し上げます。
　次に、今後の地震防災対策の推進についてであります。
　地震・津波対策についてでありますけれども、現在全庁を挙げて地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の着実な推進を図っているところでございます。昨年度末で百六十二のアクションのうち百四十一のアクション、率にすると八七％、ほぼ九割程度のアクションが順調に進捗しております。これらを不断に見直ししながら安全・安心なふじのくにの実現に努めてまいらねばならないと存じております。
　県民の自助に対する啓発につきましては、県や市町の職員が共同で木造住宅所有者等を戸別訪問いたしまして住宅の耐震化を促すとともに、地震防災センターの展示や防災出前講座、県民だよりや自主防災新聞等によりまして家庭内の防災対策について積極的に情報を発信しているところであります。
　今年度は、地震防災センターの家具の固定対策コーナーをリニューアルいたします。そのほか防災用品の展示コーナーを充実いたします。さらに十一月の地震防災強化月間を中心にいたしまして家の中や周辺の危険箇所をチェックするいわゆる家庭内ＤＩＧや、日常使う食材や非常用食料を消費しながら備蓄するいわゆるローリングストック法、この実践を奨励するなど自助の取り組みが県民に浸透するように啓発を一層充実させてまいります。
　地震・津波対策に関する市町への財政支援につきましては、平成二十五年度に本年度までの三年間で必要な金額を一括交付する緊急地震・津波対策交付金制度を創設いたしました。当初の計画を充実しアクションプログラム等に定める地震・津波対策を前倒しして実施する市町に対しましては交付金を追加交付することといたします。今議会でその補正予算をお諮りしているところでございまして、市町の地震・津波対策を一層推進してまいる所存であります。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三は平成三十四年度までの十年間を計画期間としております。引き続き市町の地震・津波対策が着実に推進できるよう、ヒアリング等により市町の意見や要望を把握した上で来年度以降の財政支援策について検討をしてまいります。
　今後とも、レベルツーが参りましても想定される犠牲者の八割は減少させるという、この方向に向けまして市町と一体となって全力で取り組んでまいります。
　次に、オリンピック文化プログラムの推進についてであります。
　二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて開催する文化プログラムにつきましては、昨年の全国知事会で議員御紹介のとおり私のほうからロンドンオリンピックでの成功事例を御紹介申し上げ全国各地で文化プログラムを展開するように提案し多くの賛同を得て決議に盛り込まれ、実際そのプログラムは各地で今検討が行われているというように承知しております。ことし二月には文化プログラムの調査のために本県におきましてはイギリスへ職員を派遣いたしまして、職員からは多様なパートナーシップやネットワークを基盤としてイギリス全土で実施された文化プログラムが大会終了後もさまざまな成果をもたらしているという報告を受けました。
　東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は文化プログラムの枠組み等を現時点では明らかにしておりません。本県では来月に全国に先駆けてオール静岡による準備組織を発足させます。文化プログラム推進の方針や特徴等を具体的に検討することとしておりまして、県内各地域で福祉、産業、観光などさまざまなテーマの文化プログラムが企画されるよう専門家の派遣等の支援を積極的に進めてまいります。今、福祉と申しましたけれども、福祉なども例えば浙江省のトップが大変関心を持たれているということでございます。
　文化プログラムの推進に当たりましては議員御指摘のとおり、私どもは健常者も障害者も同じように明るく元気に生活するということが大切で、なかんずくパラリンピックの精神を受け取りまして障害者の方々に視点を当てねばならないと。例えばねむの木学園で毎秋に運動会が実施されております。知る人ぞ知る立派なこれは障害者の運動会でありまして多くの人がこれを応援しておりますけれども、ことしは十月の二十六日に行われるのでしょうか。こうしたことがもっと盛んに県下全域で行われることが望ましいというふうに思う次第でございます。またその障害のある方々を初めさまざまな方が包み支え合うソーシャルインクルージョン――インクルージョンというのは包み込むという意味でありますね――や本県が先進的に取り組んできたいわゆるユニバーサルデザインと。この考え方を取り入れてまいります。人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進するオリンピック精神にのっとったものとしてまいりたいと考えております。
　文化プログラムは二〇二〇年をゴールとするものではありません。これはきっかけであります。その後に続く成果が問われるものでなければなりません。プログラムの展開によりまして県内に蓄積されている経験、人材。またさらに蓄積されるであろう経験、人材。地域のネットワーク等が本県の目指すいつでもどこでも多彩で魅力的な文化の花が咲き誇ると。そして国内外から憧れられる地域の実現に資するように取り組んでまいります。
　次に、エネルギー政策についてのうち、エネルギーの地産地消についてであります。
　本県では、太陽や水、森林、温泉などの豊かな自然資源を生かした新エネルギーの利用や天然ガスコージェネレーション等のエネルギーの高度利用を平成三十二年度までの十年間で倍増させる。これを目標に新エネルギー等導入倍増プランに取り組んでいる最中です。進捗状況についてですけれども、太陽光発電の設備容量は昨年度末で当初の目標であった三十万キロワットを大きく上回る九十六万キロワットに達しております。これが全体を牽引する形になりまして倍増目標は何と四年前倒しをいたしまして来年度末には達成できる見込みであります。とは申しましても小水力、バイオマス、温泉熱などの利用は設備の設置に時間や多額のコストを要することなどの課題がございまして、今のところ多くの公的支援を前提とした先駆的な事業者の取り組みにとどまっております。このため有識者やエネルギー事業者等の御意見を賜りながら、新エネルギーの種類に応じた普及方法並びに小規模分散型のエネルギー源の確保に向けた政策的導入目標の設定。これらに関しまして導入倍増プランの見直しを行います。多様な新エネルギーのバランスのとれた普及やエネルギーの高度利用の促進に向けた取り組みの強化を図るためでございます。あわせて地域におけるエネルギーの需給を一体的に捉え効果的で効率的な利用に取り組む、仮称ですけれども静岡県エネルギー地産地消推進計画を策定いたします。これをもちまして分散型エネルギーの導入と省エネルギー社会の形成を同時に進めまして、地域経済の活性化にも資する官民連携によるエネルギーの地産地消を推進してまいります。
　ことしは戦後七十年であります。戦争の原因の一つはエネルギー問題でございました。石油の禁輸をアメリカが決定いたしまして我々は南進すなわち東南アジアに進出せざるを得なかったという面がございます。エネルギーの地産地消というのは極めて重要なことでございます。そのために現在はエネルギーを担っている行政部局は企画広報部に属しておりましてエネルギー担当課長のもとでエネルギー政策を実施しておりますけれども、この地産地消をさらに推進するためにこのエネルギー課を独立させることも今検討中でございます。さらに言えば平成二十三年の東日本大震災が起こる前は日本のエネルギー政策の基本は原発政策で、原発を全体の五割に持ってくるということでございました。これは今大きな見直しを迫られているところでありますが、静岡県にも浜岡原発がございます。今それは安全を中心に対策がなされておりますけれども一方であそこは全体で三百六十万キロワットを送電できる送電線があるわけです。ですからこの送電線をどのように活用するかというようなこともあわせて考えねばなりません。
　課題は山積しておりますしまた地産地消を目指すための目標ははっきりしておりますので、エネルギーにつきましてはこれから半年をかけましてどのような行政組織がふさわしいかということをあわせて考えていこうと思っております。
　次に、産業の活性化についてのうち、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進についてであります。
　静岡県は多彩で豊富な食材に恵まれております。日本一です。また医食同源、薬食同源――薬食同源は木苗先生の造語でしょうか。（発言する者あり）ありがとうございました。すばらしい言葉をくださいまして。
　食は健康の維持増進に極めて重要であります。こうした中、本県は食材の持つ機能性を科学的に明らかにし高付加価値の食品開発等に積極的に取り組んでおります。これまで緑茶由来のカテキンやカツオ・マグロ由来のアンセリンなど機能性素材の研究開発を進めまして新しい食品等の開発につなげてまいりました。
　加えて、本年度からは四月に始まりました機能性表示食品制度につきましてフーズ・サイエンスセンターを総合窓口に県内企業に対して相談から消費者庁への届け出までを一貫して支援しております。中でも県立大学と連携して実施いたしておりますシステマチックレビューでは既に中小企業等から論文検証を二件受託しております。今後はヒトへの有効性に関する評価試験を県立大学で行いまして、プロジェクトの成果であるテアフラビンにつきましてメタボリックシンドロームや口の中の環境改善への効果を検証してまいります。
　現在申請中の地方創生交付金を活用した農業、食、健康の「農・食・健」連携型「健康・長寿の産業化・地域ブランド化」推進事業を九月補正予算として本議会にお諮りをしております。これが認められますならばこの事業を推進するための拠点を設けたいと思っております。現在横文字ではありますけれども、アグロ・メディカル・フーズ、いわば農学と医学との連携ですね。これを通しまして第一次産業から流通やまたさまざまな検査機械というのが要りますのでこれは第二次産業ということになります。最終的に消費者に届ける第三次産業というところまで、こうしたものを含めたそのアグロ・メディカル・フーズの拠点を、言ってみればフォトンバレーとフーズ・サイエンスヒルズとそれからファルマバレー。こうしたものを健康を維持するための科学的、技術的な開発をする拠点というようなものを考えるべき時期に来ているという認識を持っております。
　県といたしましては、今後ともプロジェクトの目標であるふじのくに静岡の経済発展と世界の人々の健康増進を図るために大学や研究機関のすぐれた研究成果を活用するとともに、健康長寿に対するマーケットニーズを踏まえた中小企業等の製品開発を全力で支援してまいります。
　その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長（吉川雄二君）　池谷くらし・環境部長。
　　　　　　　（くらし・環境部長　池谷　廣君登壇）
○くらし・環境部長（池谷　廣君）　知事の政治姿勢についてのうち、今後の地震防災対策の推進についてお答えいたします。
　住宅・建築物の耐震化についてでありますが、住宅の耐震化率は少子高齢化の進行や長引く不況の影響により平成二十一年度以降建てかえ戸数が想定よりも大幅に減少したことや、高齢者世帯の多くが耐震化に消極的であることから目標の達成は困難であると認識しております。高齢者世帯に対しましてはこれまでも耐震化に係る費用負担の軽減等を行ってまいりましたが、跡継ぎがいない、余生が短い、津波被害は防げないなどの意見も多くなかなか耐震化に踏み切れない状況がうかがえます。一方多数の者が利用する建築物の耐震化率につきましては目標の達成が見込まれますが、今後は取り組みがおくれているホテル・旅館などやさらに緊急輸送道路を倒壊により閉塞させるおそれのある沿道建築物の耐震化を加速していく必要があります。
　こうしたことから、現在策定中の次期耐震改修促進計画では県民、来訪者の命を守ることを最優先として議員御提案の促進策も踏まえ、住宅については現行の支援制度を維持しながら高齢者世帯の背中を押すような新たな仕組みづくりなどよりきめ細やかな施策を展開するとともに、ホテル・旅館など多数の者が利用する建築物や沿道建築物については市町の協力も得ながら耐震化が進むよう環境の整備に努めてまいります。
　次に、観光地の地震防災対策の構築についてのうち、ホテル・旅館の耐震化についてであります。
　耐震診断結果の公表方法につきましては、法の規定に基づき建物の名称、所在地、耐震診断結果、耐震補強等の予定及びその実施時期等を一覧に取りまとめ県のホームページ等で公表する予定であります。公表の時期につきましては対象となるホテル・旅館の経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、施設利用者の安全を最優先にしながらも経営者や関係団体等の意向を十分に踏まえ他県や県内市町と調整し慎重に対応してまいります。
　耐震補強の支援につきましては、補強計画の策定への支援に加え巨額の投資となる耐震補強工事については未実施のホテル・旅館の多くが中小企業であることから市町が負担しない場合でも県は一一・五％を負担し、国の補助と合わせて最低でも四四・八％の公的支援が受けられるよう今年度制度拡充をしたところであります。
　こうしたことにより具体的な耐震補強あるいは建てかえに関する相談もふえてきております。今後は建物所有者のさらなる負担軽減に向けて現在補助制度を有していない市町あるいは補助率が低い市町に対して制度の創設や補助の拡充を働きかけ、一刻も早い施設の耐震化を進めてまいります。
　次に、移住・定住希望者への住まいの支援についてであります。
　移住を決断するに当たっては経済的な基盤の確立と並んで住まいは最も重要な要因であり、移住相談センターで八月末までに受け付けた相談二百六件のうち主として住まいの情報に関するものは地域情報七十七件や就職六十八件と並び五十四件に達しています。このため県では中山間地等に限定されていた空き家バンクの市街地への拡充など市町や不動産関係団体等と連携した効果的な空き家の供給と情報提供システムの構築、東京圏への通勤が容易な県東部を中心に豊かな住環境を備えた住宅の供給の促進を図っております。全国各地で移住への取り組みが強化される中、住宅情報の提供にとどまらず住宅取得や改修に対する支援もさまざまな形で本県の市町を含め多くの自治体が取り組んでおり、先日東京で開催されたふるさと回帰フェアでは最大二百万円補助と大きなキャッチコピーを掲げる市もありました。移住に関する各種の調査では本県の人気は北海道、長野、沖縄などと並んで依然高いものがあり、住宅関係の支援制度の強化は移住を考えている方にとってインパクトが強いものと考えます。
　県といたしましては、地域間競争が今後ますます激化することから議員御提案の支援策も踏まえ、市町とも十分連携しながら真に移住者のニーズに合った効果的な支援サービスの提供体制の構築に努めてまいります。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　伊藤経営管理部長。
　　　　　　　（経営管理部長　伊藤篤志君登壇）
○経営管理部長（伊藤篤志君）　エネルギー政策についてのうち、県有施設における環境性能向上とライフサイクルコスト削減の取り組みについてお答えいたします。
　建築物の省資源・省エネルギー対策は、環境負荷の低減を図るとともにランニングコストの抑制についても効果が高いことから、県有施設の管理や整備に当たり重要な視点と認識しております。このため県では環境配慮型建築の設計手法等を示すふじのくにエコロジー建築設計指針を策定し環境に優しい県有施設の整備を推進しているところであります。既存県有施設ではエネルギー消費の大きい施設を対象に省エネルギー診断を順次行い、昨年度までに四十三施設において執務環境を保ちつつ契約電力の最適化、空調機器の運転方法見直しなどの運用改善を講じてきたところであります。この結果エネルギー使用量は一施設当たり平均三％程度、光熱費は合計で年間三千二百万円程度の削減が図られております。
　また、新たな施設の整備に当たりましてはさまざまな省エネルギー技術の採用と自然エネルギーを採用したエネルギーの創出により年間のエネルギー収支をゼロとするゼロエネルギービルのモデル的取り組みを進めております。具体的には本年度開設した掛川特別支援学校においてＬＥＤ照明や光センサー制御、高効率空調機、大規模な太陽光発電設備など各種技術を導入したところであり、現在その効果を検証しております。
　今後の県有施設の整備に当たりましては、ふじのくにエコロジー建築設計指針を活用し設計段階から省エネルギー対策、環境性能向上等の環境配慮に努めるとともに、維持管理費最適化の視点から運用改善や設備更新などライフサイクルコストの削減に向けた系統的な取り組みを一層進めてまいります。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　野知交通基盤部長。
　　　　　　　（交通基盤部長　野知泰裕君登壇）
○交通基盤部長（野知泰裕君）　安全・安心な暮らしの確保についてのうち、巴川流域総合治水対策についてお答えいたします。
　巴川流域ではこれまで静岡市と連携して大谷川放水路や麻機遊水地などの整備を柱とする総合的な治水対策に取り組み、近年では浸水被害が大幅に減少するなど効果は着実にあらわれております。しかし昨年の台風十八号では現在進めている対策の計画規模を超える豪雨により大きな浸水被害が発生したことから、県市で構成する巴川流域総合治水対策協議会において同様の被害を繰り返さないための対策を検討し行動計画として取りまとめ本年七月に公表しました。この行動計画に基づき台風十八号と同規模の降雨に対して床上浸水被害の早期解消を目指してまいります。
　県では、短期対策としておおむね五年間で現在整備中の麻機遊水地二の一工区の一部供用開始や巴川本川の局所的に低い堤防のかさ上げを完了させ、その後の中期対策として麻機遊水地二の一工区と大谷川放水路の底張工の完成を目指してまいります。また静岡市では排水路や雨水貯留浸透施設の整備などを推進してまいります。
　県といたしましては、引き続き静岡市と連携しハード対策はもとより洪水ハザードマップを活用した地域防災力の強化などのソフト対策を積極的に進め、巴川流域の総合治水対策を推進することで地域の皆様が安心して暮らせるまちづくりに努めてまいります。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　西川警察本部長。
　　　　　　　（警察本部長　西川直哉君登壇）
○警察本部長（西川直哉君）　安全・安心な暮らしの確保についてのうち、自転車の交通安全対策についてお答え申し上げます。
　県内の自転車事故の発生状況につきましては、八月末現在で前年同期と比べまして件数及び負傷者数は減少いたしているものの死者数が二人増加しております。年齢層別では発生件数の約二割を高校生が占めているほか、死者十二人のうち三分の二となります八人を高齢者が占めている状況でございます。また本年六月一日に施行されました改正道路交通法に基づきまして八月末現在で百五人を交通事故の原因者として危険行為登録しておりますが、このうち中学生及び高校生が五十五人と半数以上を占めている状況でございます。
　次に、自転車対策の推進状況と今後の対策であります。
　自転車は誰もが手軽に利用できる乗り物でございますことからあらゆる機会を通じまして世代に応じたきめ細やかな交通安全教育を行っておるほか、通勤通学時間帯を中心とした街頭指導によりましてルールの周知に努めているところでございます。
　現在警察では、交通安全教育の場におきまして理解を深めるために見やすくかつ効果の高い教育資料の作成に心がけ、イラストを多用するなど自転車に係るルールをわかりやすく解説したリーフレットなどを配布するなどの工夫を行っているところでございますが、議員の提案を踏まえさらに利用しやすい資料の作成に努めてまいります。
　今後も引き続き、自転車販売店等の関係機関・団体の方々と連携しながら交通安全教育を初めとした総合的な対策を行っていくことといたします。以上でございます。
○議長（吉川雄二君）　西田文化・観光部長。
　　　　　　　（文化・観光部長　西田郁夫君登壇）
○文化・観光部長（西田郁夫君）　観光地の地震防災対策の構築についてのうち、観光客の安全確保についてお答えいたします。
　東日本大震災以降、観光客が観光地や宿泊施設を選択する際の判断基準として安全・安心がより重視されてきていることから、南海トラフ巨大地震等の災害が想定される本県においてその対策は急務であります。
　このため県では、一昨年観光地の防災適応力を緊急点検した後、観光客の避難誘導方法を検討するワークショップや観光関係者を対象とした観光危機管理セミナーの開催を通じ観光客の安全確保体制づくりと観光関係者の危機意識向上を図ってまいりました。この結果市町において観光客の避難誘導マップや対応マニュアル等が整備されつつありますが、さらに情報面で観光客の安全・安心対策を推進するため、本年度観光地におけるＷｉＦｉスポット整備を対象とする助成制度を創設し、平時は観光活用、有事には防災活用できる環境整備を促進することといたしました。
　また、外国人観光客が有事の際直ちに最寄りの無料ＷｉＦｉスポットで災害情報を得られるよう、民間企業と連携し今年度中に県内約三千二百カ所のスポットに関するデータを訪日外国人向け観光アプリに掲載する取り組みを進めております。
　さらに、来年度から富士山を訪れる登山者や観光客に対し平時は周辺の観光情報、有事には災害情報をスマートフォンに発信する総合情報システムの本格運用を予定しておりますが、今後このシステムのほかの山や観光地における活用を検討するなど、情報提供手段の多様化を通じ観光客の安全確保を図ってまいります。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　山口健康福祉部長。
　　　　　　　（健康福祉部長　山口重則君登壇）
○健康福祉部長（山口重則君）　命を守る政策の実現についてのうち、児童虐待防止対策の推進についてお答えいたします。
　児童虐待は子供の心身の正常な発達を阻害し時には命まで奪ってしまう深刻な人権侵害であり、発生予防を初め早期発見、早期対策から子供の保護、自立や保護者の支援まで切れ目のない支援を行うことが重要であります。まず虐待の発生防止につきましては、各健康福祉センターで地域の産科医や市町保健師などで構成するネットワーク会議を開催し支援が必要な妊産婦や母子に関する情報の共有及び支援の方法の検討を行い、一人で悩まず地域の関係者が支える体制を構築するなど妊婦が孤立することのないよう妊娠期からの支援の充実を図っております。
　早期発見、早期対策につきましては本年七月から児童相談所全国共通ダイヤル一八九――百八十九と書きましていちはやくと申しますが――一八九に三桁化し、児童相談所を一層身近なものとして手軽にそして確実に通告できるようにいたしました。また市町職員を対象といたしまして県との協力体制や面接と援助方法等についての専門研修を行い相談の質の向上を行うとともに、状況に応じた市町と児童相談所が連携して対処する仕組みをつくるなど支援体制の強化にも努めております。
　また、虐待等の理由により家庭から分離して養育と保護を行う必要のある子供には家庭的な環境で生活し成長することが大切です。このため県では里親やファミリーホームでの養護を積極的に進めており全国的にも高い水準となっております。新生児からの里親委託につきましても本県でも実施している例があることから、関係者や学識経験者の御意見も伺いながらその取り組みの効果を検証してまいります。
　今後とも、市町や関係機関との連携を強め、虐待防止対策に全県一体となって取り組んでまいります。
　次に、受動喫煙防止対策の推進についてであります。
　本県を訪れる全ての方々が本県の澄んだ美しい空気を豊かな自然とともに楽しんでいただくことは地域の魅力を伝える上でとても大切なことと考えております。健康寿命日本一を標榜しております本県では受動喫煙による健康被害の防止も重要な課題と捉え、第三次ふじのくに健康増進計画で喫煙率や受動喫煙の機会の減少を目標に掲げ、市町や医療保険者など関係機関ごとに役割を定めさまざまな防止対策を推進しております。
　本県が全国に先駆けて地域や企業の喫煙習慣を特定健診の結果からマップやグラフに見える化した取り組みにより、市町や職場が行う禁煙や受動喫煙防止対策の支援をしております。また子供から大人への禁煙メッセージによる家庭での対策の普及などたばこによる健康被害の周知にも積極的に取り組み、喫煙率は男女ともに年々減少しております。禁煙や分煙を実施する飲食店も増加するなど受動喫煙防止は着実に進んでおります。
　今後とも、本県を訪れるお客様へのもてなしや県民の皆様の健やかな生活の実現のため、市町を初め企業や医療保険者等の関係機関の御協力を賜り地域の実情に応じたきめ細かな対策を実施するなど受動喫煙防止の取り組みを拡大していきます。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　篠原経済産業部長。
　　　　　　　（経済産業部長　篠原清志君登壇）
○経済産業部長（篠原清志君）　産業の活性化についてのうち、中小企業への金融支援についてお答えいたします。
　県は、本年度県制度融資のうち県の施策に沿った事業活動を支援するための特別政策資金について金融機関と企業が利率を低利に設定することができる所定金利方式を導入するとともに、成長産業分野支援資金の融資限度額を一社当たり八千万円から十億円に引き上げたところであります。これらの新制度の普及定着を図るため県の広報紙やインターネットによる広報に加え、本年度は県職員が金融機関や融資対象である企業に直接出向き新制度を説明するなど積極的なＰＲを行っております。この結果先月八月末現在で本年度の特別政策資金の利用金額は前年度と比べ約二・五倍の四十四億円余となっております。また成長産業分野支援資金の利用件数は前年度の二件から五十四件と大幅に増加しており新制度改正の効果が着実にあらわれております。
　今後は、これまでの取り組みに加え成長産業分野支援資金を活用した優良事例を企業に紹介するなど県制度融資の一層の利用促進を図り、本県産業の活性化に努めてまいります。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　木苗教育長。
　　　　　　　（教育長　木苗直秀君登壇）
○教育長（木苗直秀君）　それではただいまから、まず十八歳選挙権に対応した主権者教育ということでお答えさせていただきます。
　髙田議員御指摘のとおり、今後選挙権を得る十八歳以上の高校生がしっかりと政治への関心を持って初めての投票に臨めるよう主権者教育を充実させることは喫緊の課題であるとこのように認識しております。そこで県教育委員会では今年度中に全ての県立高校において県や市区町の選挙管理委員会と連携して実際の投票ルールを学び投票体験を行う出前講座や模擬投票を実施することにしております。また国がこの秋に選挙の意義や公職選挙法のＱＡなどを内容とする副教材を全ての高校生に配付することからこれを活用した指導方法の検討やあるいは教員の研修を速やかに行い学習内容を充実させてまいります。また中央教育審議会では主権者教育を含めた社会参画に必要な知識を学ぶ公共という新科目が検討されていると聞いております。
　こうした動きに先駆けて、県教育委員会では生徒が主権者として国や地域の政策に関する興味関心を高めるよう社会の現状や新聞記事などを題材とした実際の社会に学ぶ教育を推進しております。今後ともこれからの若者たちが政治的関心を高め有権者としての自覚を持ってみずから進んで投票に行けるような、そのようなことを考えましてさまざまな観点から主権者教育の充実に取り組んでいきたいとこのように考えております。
　次に、防災教育についてであります。
　本県の防災教育は一人一人の防災対応能力の向上を図るとともに、災害発生時に進んで地域の安全確保に貢献できる人づくりを目標としているところであります。実際に昨年の御殿場・小山方面の大雪災害の際には高校生が地域の除雪作業に取り組む姿が見られ、若い世代の活躍が地域の方々を勇気づけたことから中高生が地域防災の担い手として果たすべき役割は大きいと捉えております。現在本県には二千二百三十人の児童生徒がふじのくにジュニア防災士として認証されておりまして、県教育委員会といたしましても毎年八月に県地震防災センターで実施しております実践的防災リーダー育成研修会を初め防災キャンプや防災出前講座等の事業を通じて防災人材の育成を図ってきたところでございます。
　今後は、こうした事業を通じて将来的に地域のリーダーとなる人材の裾野を広げていくと同時に、即戦力として地域の自主防災組織等とともに活動できる人材が期待されていることから新たに第四次地震被害想定において津波浸水域に立地する高等学校等の生徒を対象とした地域別の研修会を検討するなど、計画的なふじのくにジュニア防災士の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　二十七番　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十七番　髙田好浩君登壇）
○二十七番（髙田好浩君）　御答弁ありがとうございました。要望を六点、再質問を二点行います。
　要望の一点目でございますけれども、地震・津波対策、県民の自助に対する御答弁、知事からいただきました。残念ながら数値になかなかあらわれてこないと。家具の転倒防止についてもそうですがこの部分はしっかり、より以上に取り組んでいただいてまず自助からスタートだと思いますのでより強い発信を、また啓発をお願いしたいと思っております。
　二点目でありますけれども、住宅の建築物の耐震化についてであります。やはり目標設定というものをもう少しきめ細やかにやっていって毎年検証するような形で行っていく必要があると思いますので、ここについては目標設定のきめ細かさそして検証をもう少しきめ細かくして何が原因なのか、またどこをリードしていけばいいのかということをしっかり行っていただきたいと思います。
　それから、県有施設における環境性能向上でありますけれども、やはりここもですね、ＣＯ２の削減あるいは費用の削減等、目標の設定も私はきちっとしていくべきじゃないかと思っております。さまざまな工法が今ございますのでそれを生かしていくためにもぜひ目標をまず設定をしていただいて検証をお願いしたいと思います。
　それから、巴川の流域の総合治水対策でありますが、地域住民に対してきめ細やかな説明をぜひお願いしたいと思います。地域住民に対しまして私たち町内にもこの前やっていただきましたけれども、非常に聞けば安心ができる部分もございますのでしっかりした丁寧な説明をお願いをしたいと思います。
　それから、観光地のホテル・旅館の耐震化でありますけれども、いざというときに避難地にもなりますのでここについては今最大四四・八％の補助があるということではございますけれども、ここについてやはり現場の声をしっかり聞いて充実した支援をしていただきたいと思います。
　移住・定住についても二百万円を補助している市町があるということでございます。ベースになるのはやはり県だと思いますので、逆に言えば県の事業としてしっかりここは取り組む。そして予算化をしていただきたい、このように思っております。
　再質問でございますけれども、やはりこの地震・津波対策。これは単年度の予算では非常に使いにくいということが既におわかりになっているとおりでございまして、この交付金制度、基金として各市町が三年間こういう形で使えるような形になって非常に大きな効果をこれは上げております。そしてまた知事からお話がありましたように今回十一の市町に対しまして三億四千六百万円という補正がつくと。こういうことでありますのでまず一点目はこの単年度ではなくて使いやすい、そういう補助制度をまたぜひお願いをしたいと思いますが、その取り組みについて伺いたいと思います。
　二点目は同じく地震・津波対策ですが、今言ったように十一の市町、これは補正予算が欲しいほど一生懸命になって取り組んでいただいております。ほかのところが取り組んでいないとは言いませんけれどもやはり各市町において私たちもアンケート調査をした結果、取り組みに濃淡がございます。その原因というのはさまざまあると思います。お金のことだけじゃないと思います。私はやはり人材というものが非常に今問題になっているんじゃないかなと思いますので、やはりここは各市町に対しまして人を送る、あるいは人と一緒になってそこの市町の防災対策を本当に真剣になって考えていく。それが三十五集まったのが県でございますのでそういうことをしっかりやっていくということで、そういう対策についてしっかりこの地震・津波対策を行っていただきたいと思いますが見解をいただきたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長（吉川雄二君）　外岡危機管理監。
○危機管理監（外岡達朗君）　今後の地震・津波対策についての再質問にお答えをいたします。
　まず、交付金ですね。緊急地震・津波対策交付金。今年度で三年目を迎えます。これは従来の大規模補助金というものを見直しまして市町の地震・津波対策の推進というものに大きな役割を果たしてきたと考えてございます。今回三年目を迎えますので市町の要望、これを一層充実しろというような御意見もあります。
　例えば、昨年八月には広島の土砂災害で七十五名という犠牲者を出し、あるいは九月には御嶽山の噴火で六十三名というような犠牲者が出たと。いろんな災害というものも深刻化の度を増しているとか、あるいは今回国土強靭化地域計画というような形で美しく、強く、しなやかなふじのくにづくりという計画を四月に策定したと。こういったことを踏まえましてこういうことの充実も含めて市町の要望を伺いながら来年度以降の制度設計に取り組んでまいりたいと思っております。
　それから二点目でございますけれども、人材を送るべきだというお話でございます。今いろいろなところで災害が起こっている中で、市町のその災害対応能力、職員の対応能力というのが非常に重要になっています。県には自衛隊のＯＢの方が指導官という形でおりましてその指導官が各市町を回って対策本部の設置運営、そうした訓練というものを一から何日間かをかけて指導あるいは助言をして体制をつくるといったようなことを進めています。
　また、いろんな形での災害対応マニュアルというのも状況の変化を通じて見直しがされていますので、そういったことの研修といったことを通じて市町の防災対応能力の向上というものに努めております。こういったことを引き続きしっかりとやって対応を図ってまいりたいとこう考えております。以上であります。
○議長（吉川雄二君）　これで髙田好浩君の質問は終わりました。
　議事の都合により休憩します。再開は十四時五十分とします。

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〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9番6号電話番号(県庁案内)：054-221-2455

	質問者：	髙田　好浩議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	09/29/2015
	会派名：	公明党静岡県議団
	質疑・質問事項：	1　知事の政治姿勢について　(1)　静岡版地方創生に向けた取り組み　(2)　今後の地震防災対策の推進　　ア　地震・津波対策　　イ　住宅・建築物の耐震化　(3)　オリンピック文化プログラムの推進 2　エネルギー政策について　(1)　エネルギーの地産地消　(2)　県有施設における環境性能向上とライフサイクルコスト削減の取り組み　 3　安全・安心な暮らしの確保について　(1)　巴川流域総合治水対策　(2)　自転車の交通安全対策 4　観光地の地震防災対策の構築について　(1)　ホテル・旅館の耐震化　(2)　観光客の安全確保 5　命を守る政策の実現について　(1)　児童虐待防止対策の推進　(2)　受動喫煙防止対策の推進 6　移住・定住希望者への住まいの支援について 7　産業の活性化について　(1)　中小企業への金融支援　(2)　フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進 8　教育行政について　(1)　十八歳選挙権に対応した主権者教育　(2)　防災教育