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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山本 貴史 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/03/2014

会派名:

富士の会


質疑・質問事項:

1 自治体規模の将来像について
2 木造住宅の耐震化施策の見直しについて
3 生活保護費の不正受給対策について
4 米国との地域外交の推進について
5 実業教育の将来について


○副議長(伊藤育子君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二番 山本貴史君。
       (二番 山本貴史君登壇 拍手)
○二番(山本貴史君) 質問に先立ちまして、先月二十二日に長野県北部を襲いました地震によって被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。
 私は富士の会所属議員として県政の諸課題について、知事、関係部局長並びに教育長に対し通告に基づき一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、自治体規模の将来像について伺います。
 御案内のように平成の大合併から十年が経過しようとしております。合併前に三千二百あった全国の市町村は千七百にまで減少いたしました。この間、順調に住民の一体感を育んできた地域もあれば全国で合併した三百以上の自治体が財政難に陥っているなどの報道もあり、平成の大合併における総括についてはいましばらく時間の経過を待たなくてはならないところだろうと思われます。
 十年前を振り返れば多くの市町村が、合併をしてサービスは高く負担は軽くをスローガンに合併協議会を立ち上げ協議を開始いたしました。限られた期限の中で十分な議論もできないまま急ピッチで進む作業や結論の出ない課題など多くの苦労を重ねながら、やっとの思いで合併にこぎつけたところも少なくなかったのではないでしょうか。合併から間もないころは基本的な合併の枠組みを含め、ああすればよかった、こうしなければよかった、合併はこりごりだなどさまざまな意見を耳にいたしましたが、十年が経過する中では徐々に今の形になれ親しんでいるのではないかと推察いたします。
 しかしながら、現在では人口減少という新たな問題がクローズアップされ、消滅可能性都市という衝撃的な言葉とともに対象となる自治体名が公表され、地域に住む住民にも新たな不安の声が広がりつつあります。またこの十年の間には、リーマンショックを初め東日本大震災や大企業の海外移転など、合併によって明るい未来を描きながら協議を進めてきた当時には想定していなかった現実もあらわれてきております。
 急速に進む人口減少や社会保障費の増大、地域の経済と雇用を支えてきた企業移転などによって厳しい自治体運営を迫られる市町は増加していくことが予想されます。私は安易な合併論に対しては否定的な考えを持っておりますが、これからの十年先、二十年先を考えたとき、やがてそう遠くない将来に自治体の再編を含めあるべき姿を見直す時期が来るのではないかと考えます。
 そこで、県内における自治体はどのような規模や形が最適であるのか、スケールメリットや道州制なども視野に入れた中で自治体の課題や実態に即した合併、また思い切った広域行政や広域連携など常識にとらわれない発想で自治体の理想的な姿を研究していくべきだと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、木造住宅の耐震化施策の見直しについて伺います。
 先日長野県北部を襲った地震を見ましても、倒壊家屋の恐ろしさを改めて感じたところであり、被害者を出さない取り組みを急がなくてはという思いに駆られました。現在耐震化が進まない木造住宅には高齢者世帯やお年寄りの独居世帯がふえ、耐震工事を行うだけのゆとりがない、地震で倒壊したらそれまでだなどの理由で耐震工事を諦めている高齢者が少なくありません。静岡県は長く力を入れてきた「TOUKAI―0」事業により平成二十七年までに耐震化率九〇%を目標としてきましたが、耐震化率は目標に近づいてはいるものの、ここから先には先ほど例に挙げた耐震工事のできない高齢者などをどうしていくのかが課題になってまいります。
 一方で、今後は人口減少による空き家が増加してまいります。私は、住民の生命財産を守るために耐震性のある空き家を活用し転居を勧めていくことがもう一つの方法ではないかと考えます。耐震化されていない木造住宅から住民が安全な住居へ転居すれば耐震化の対象となる木造家屋の数字が分母から減るということであり、耐震化率を引き上げることにもつながります。現在、「TOUKAI―0」により耐震診断や耐震補強等に対する助成制度により耐震化を進めておりますが、耐震性のある住宅への住みかえに助成をして転居を促す誘導政策なども検討し、実態に即した効果的な対策に見直しをしていくことを提案するものでありますが、県の所見を伺います。
 次に、生活保護費の不正受給対策について伺います。
 社会経済環境の変化により格差社会が広がり、生活保護受給者は増加の一途であります。本県の生活保護世帯数は平成二十年度には一万三千六百八十一世帯でありましたが、平成二十五年度には二万二千九百四十七世帯と増加が続いております。特にリーマンショック以降、高齢者、傷病者、障害者、母子のいずれにも属さないその他世帯が急増し、働くことができる受給者の数は無視できないものとなっております。先日三十代の男性と生活保護費について話す機会がありましたが、そういう制度があるのだから使わなければ損だ、制度を利用して何が悪いのかという意味の意見を聞きました。多くの若者たちがそういう考えだとは思いたくはありませんが、増加する生活保護費の不正受給が行われている実態を見れば日本人の意識が少なからず変化してきているのかもしれません。
 不正受給をなくし信頼される制度のもとにセーフティーネットが構築されなければ、真面目に働き生活をしている方々の不公平感が増すばかりであり行政不信、人間不信へつながることを危惧いたします。ことし七月には改正生活保護法が施行され不正受給対策が強化されたと聞いております。県民幸福度の最大化を目指す本県において今後どのように不正受給対策を進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、米国との地域外交の推進について伺います。
 県の地域外交方針では、中国、韓国、モンゴル、台湾、東南アジアといったアジア諸国のほかに米国を地域外交の重点国としております。県内でアメリカと姉妹都市提携を結んでいる市町は十三市町あり、静岡市や浜松市のように複数の都市と姉妹都市提携を行っているところもあるため、現在県内の十三市町に対し二十市の提携先が存在しております。
 一方で、近年はアジアと交流を行う意識が高くなっており相対的に米国との交流が縮小している印象があります。私の住む袋井市の場合、オレゴン州ヒルズボロ市との姉妹都市提携を昭和六十三年に締結し、以来二十年以上にわたって高校生のホームステイ事業などを中心に交流を続けてまいりましたが、近年この事業が受け入れ先の問題などから継続が難しくなってきております。私もこの姉妹都市を訪問し市長や市当局の関係者らと話をさせていただく機会が過日ありましたが、アメリカ人の意識が既に日本よりも中国、韓国などに移りつつあることを実感してまいりました。事実、数年前まで地元の高校に存在していた日本語のクラスは現在では廃止され中国語のクラスに取ってかわられており日本のアニメイベントなども韓国のイベントになってしまった事例などもあり、日本との交流に対する意識そのものが低下していることを肌で感じてまいりました。
 また、私はカリフォルニア州グレンデール市近郊にも足を運び、従軍慰安婦像設置問題に取り組む現地の日本人からも意見を伺ってまいりましたが、近年アメリカ人の日本人に対する意識の変化や日本の影響力が弱まっているため、姉妹都市交流などを通じて民間レベルでアメリカ人との友好関係を深めてほしいとの要望をいただいたところであります。これは、オレゴン州に在住する日本人や姉妹都市交流にかかわってくれていたアメリカ人からも多く出された意見でもありました。
 近年は、日本からアメリカへ留学する学生がピーク時と比べて大きく減少をしております。しかしながら中国や韓国からの米国留学者はふえ続けておりますし、さまざまな形で喧伝される偏った情報によってアメリカ人が抱く我が国と日本人へのイメージが損なわれることを懸念するものであります。
 私が姉妹都市の市関係者と話をしているとき、このような場面がありました。その方は日本との交流に余り積極的ではなかったのですが、東日本大震災における米軍のトモダチ作戦のこと、また静岡県においては県の総合防災訓練に米軍が協力してくれていることなどを伝え感謝の意を申し上げたところ、自分たちの軍がそういうことを行い、また感謝されているとは知らなかった、そういうことを言ってくれると私たちもうれしいし、どこかで機会があればその話をぜひしてほしいということを伺いました。
 そのような中、外務省が二〇一四年十一月七日付けで発表したアメリカ合衆国における対日世論調査の最新結果では、アジア地域で最も重要なパートナーと認識している国は日本であるとの意見を持つ一般人の割合が四六%を占めたとのことであります。次いで中国の二六%、韓国の一五%と続いております。同じ質問による有識者からの回答では日本が五八%、中国が二四%の順となりました。この調査では二〇一一年の結果で中国が一位になったことから、今回の結果に注目がされておりました。しかしながら英国の調査機関が同様の調査を行ったところでは依然中国が日本を引き離して一位になっているとの結果もあり、まさに今が米国との関係を改めて考えるべきタイミングに来ているのではないかと考えます。
 激しく動く世界情勢を初めアメリカ国内や日米関係の変化などさまざまな要素はあるものの、我が国においてはアメリカとの友好関係を維持していくことは重要なことであり、地方都市が国際交流を進めていくことは文字どおり地域外交の果たす役割だと私は考えます。
 そこで、本県として米国との地域外交についてどのように進めていくお考えか、県の所見を伺います。
 次に、実業教育の将来についてを伺います。
 日本の経済環境が少子高齢化、グローバル化、情報化などにより大きく変貌する中、中小企業は後継者人材の確保に苦しんでおります。この状況は本県においても同様で、このままでは地域産業や事業所の衰退を招き雇用の減少などが心配されております。
 一方、近年の商業高校においては、企業会計の基礎は学習するが三年間で経営感覚や専門知識を有するマネジメント人材の養成という地元企業の要望に応えることは大変難しい状況であると感じております。ちなみに県内の某商業高校の平成二十五年度卒業生の進路状況は、大学、専門学校等への進学者が九十四名、就職者百一名であり、そのうちの五十八名、五七・二%が製造現場に就職しており、事務、営業、販売の商業実務を生かした就職者は二十六名で二五・七%となっております。この結果が物語るように、現在の商業教育では生徒たちの進路や就職先にその学問を十分に反映しているとは言いがたい状況があります。
 また、千葉大学の広井良典教授は中央志向を変える好機と題し、人口減少はひたすら拡大、成長を目指してきた日本の社会を変えるチャンスであり教育を変えるチャンスでもある、教育も地域に根差したローカル化や分権化が重要で、これからは地域で活躍するローカル人材の育成に力を注ぐべきであると論じております。さらに安倍政権においては教育再生実行会議の七月三日付第五次提言の中で、今後の学生等のあり方について、高等教育の新たなものとして実践的商業教育機関をつくる、編入学の柔軟化を図ると提言しております。
 このような状況の中、県は実践的な学問としての新しい実学を奨励するため、本県の専門高校等や商業教育、キャリア教育のあり方を検討するため県産業教育審議会を設置し農業や工業、商業などの六分野に専門部会を設け、来年六月をめどに答申をまとめていくとのことであります。安倍教育長も発足に当たり、社会の変化に柔軟に対応し、地域産業の発展と新産業創出に貢献できる人材育成の方策を検討するよう要請したとの発言をされておりますが、私は社会の変化に柔軟に対応しながら地域に貢献しグローバル感覚を持った商業人を育成するためにも、商業教育においてさらなる専門知識を身につけた人材を地域社会に送り出していくことが重要だと考えます。地元で育った人材が地域経済の後継人材として育成され将来の担い手として貢献することが、地域経済の活性化はもとより人口減少対策にもつながると思われます。
 そこで、県教育委員会として実業教育の将来、特に商業教育におけるさらなる専門性の向上についてどのように考えているのか、教育長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 山本議員にお答えいたします。
 自治体規模の将来像についてであります。
 本県では、住民に身近な行政は住民に身近な市町が担うべきであるという基本的考えに立っておりまして、地域の将来を見据えながら市町の行財政基盤の充実強化を目指して合併を推進するとともに、市町への権限移譲を積極的に行うなど市町の自立に向けた取り組みを行ってまいりました。
 しかし、一部の市町では製造業の転出などにより地域経済が悪化するとともに、現役世代の減少が進むなど行政運営を取り巻く社会環境が厳しさを増しています。住民に身近な行政サービスを引き続き安定的かつ自立的に提供するためには行政体制を速やかに充実させていく必要があります。こうした中、合併や広域連合は事前協議や体制整備で時間を要することから、本年五月の地方自治法改正ではこれまでの機関等の共同設置に加え、連携協約制度を創設するなど地域に合った行政体制を選択できる仕組みが整えられております。
 道州制の導入を視野に入れるならば、県の機能は縮小し市町が基礎自治体として地域自立の中心となることが求められてまいります。その際の団体の規模や形の議論には生活圏や経済圏の一体性とともに、地域がみずからの個性に誇りと一体感を共有できるテーマが重要です。
 私と各市町長の皆様とは、県・政令指定都市サミットや地域サミットなどを通じましてこれまでも地域の課題や将来像を話し合い信頼関係を築いてまいりました。こうした信頼関係があるということを前提に申し上げるわけですけれども、私も十年たちまして市町村合併については新たな課題が見えてきているという認識を共有しております。例えば空港の隣接整備地域に対して補助金を出しておりますけれども、空港が開港して五年、それ以前に五年間、十年たっても完全に補助金を使い切ったところと使い切れないところがあると。これは明らかに力のでこぼこを示しているというふうに思います。こうしたところはせっかくの補助金を使えるだけの体力を持つために、さらにその連携の模索が必要であると考えます。これは中東遠、志太榛原地域というふうに言うことができるでしょう。
 もう一つ、やはり交通基盤が不十分だということで一市五町が必ずしも広域連携がうまくいっていないと見られる賀茂地域があります。ここなどもこのたび敷根のほうに県の機関を移しまして、箕作あたりを視野に入れながら、この賀茂地域全体を強力に連携ができるように有力な県の職員を四月の人事異動で考えているわけでございます。これはやはり災害を念頭に置いて、連携をする場合によっては一つになるということも視野に入れてのことであります。
 一方、道州制を視野に入れるということも従来から言われておりましたけれども、さきの参議院議員の選挙におきまして一票の格差が憲法違反であるという判決が出ました。これを解消するために出ている議論の一つに、現在の府県の枠を超えた選挙区を設定するべきではないかといった議論もございます。これもかなり現実味を帯びてきています。そうしますと府県制というものも今そういう観点からも問われているというふうに思うわけであります。
 そうした中で、府県と同じ行政権限を持つのが政令指定都市であります。政令指定都市は大きくは三つぐらいに分けられるのではないかと思います。いわゆる五大都市と言われるのは全て府県庁の所在地にあります。そしてまたこういう県庁所在地でないところの政令指定都市もあります。今全部で二十ありますけれども、そのうち東側から言いますれば川崎、相模原、浜松、堺、北九州と、こういう五つの市は県庁所在地以外のところに存在して自立した行政を行われていると思います。一方、残り十五のうちいわゆる五大都市と言われるものは十分に府県の関与がなくても自立できるところであります。残り十は二重行政のたまり場になっているという認識が今出てきているのではないかと思います。そうしたところは、二重行政を解消する方法といたしましてはそれぞれの県庁の直轄市にするという方向性と、もう一つは五大都市のようにしっかりと自立するという方向とがあると思いますが、本県の場合にはそのうちのどちらに属するでしょうか。そうしたことも含めましてこれから望ましきこのスケールメリットと、そして将来の道州制を見据えながら県の職員の県内における広域的な能力を基礎自治体に生かしていくということを通して、基礎自治体自体は長期的に存続していくものでありますからそうした方向性を探っていきたいと。
 ともあれ、さまざまな取り組みを積み重ねるとともに、差し当たっては市町と県の総意で設置した行政経営研究会などを活用いたしまして、市町間の広域連携のあるべき姿と具体的な方策について研究をしてまいります。
 次に、米国との地域外交の推進についてであります。
 アメリカ合衆国との地域外交につきましては、日米の地域間交流による両国間の友好関係構築を目的に設立された日米カウンシルが主催する知事会議への参加を通じて交流を深めています。この会議は平成二十二年十一月、スタンフォード大学名誉教授のダニエル・オキモト先生のコーディネートにより、当時のルース駐日米国大使と私を初め四県の知事が環境や医療などの先端産業の研究開発や企業連携、技術移転等について意見交換したことが始まりで、その後毎年参加しております。
 本年七月にカリフォルニア州シリコンバレーで開催された第五回知事会議では、私みずから約二百五十名の参加者に対し新産業集積クラスターのPRなどの講演を行いました。米国の政財界で影響力のある日系アメリカ人との意見交換や県内参加企業と現地企業との関係づくりなどを通じ、本県の存在感を高めてまいりました。
 平成二十四年八月の第三回知事会議はハワイ州で開催され、州政府との間でクリーンエネルギーの導入を推進するための覚書を締結いたしました。その結果、アジア太平洋クリーンエネルギーサミット&エキスポへの県内企業の参加や商談を初め、ハワイ州政府による本県でのビジネスセンターの開催など経済、学術、環境分野での相互交流に結びついております。
 そのほか、ロードアイランド州とは、下田市の姉妹都市でありますニューポート市で開催されるブラック・シップ・フェスティバルと下田黒船祭の相互交流に県も参加して、それが縁になりまして県立大学とニューポート市にございますロジャーウイリアムズ大学が交流するなど文化、教育分野での交流が進んでいます。市町が取り組む姉妹都市交流は、市民訪問団や高校生等青少年の相互訪問、留学生の受け入れなどの多様な交流に多くの県民が参加することで国際理解を深めるとともに、静岡県の持つ魅力を発信するよい機会となっています。
 県としましては、アメリカ合衆国との地域外交をさらに推進するため、今後姉妹都市提携を希望する市町に対しましては外務省との連携やスタンフォード大学等への派遣職員を活用いたしまして、提携候補先の都市の情報収集や提供を行ってまいります。こうした取り組みを通じて県全体として米国とのネットワークを強固にすることで、経済、文化、教育など幅広い分野で相互にメリットのある地域外交を展開してまいります。
 一方、県議の言われるように、広く世界の動向というものもあわせて認識していかなくちゃならないと思います。先ごろアメリカに参りました折に、アマコスト駐日大使とダニエル・スナイダー、スタンフォード大学の研究副所長と意見を交換する機会がありました。相手から提供せられたタイトルは「フレンズ・オア・ライバル」と。友達かそれとも敵対関係にあるライバルかというものであったわけでありますが、その議論の中身はほとんど、当たりさわりのないところが、この次のふじのくにの広報誌に載ることになっております。
 しかしながら、やはりスタンフォード大学の研究所であるとかあるいは元大使と言われる方は、アメリカと東アジアとの関係などについてそれなりの見識をお持ちです。私どもはアメリカという国が西洋の最も強い国として、いわゆるキリスト教圏の代表としてイスラム的アジアとの対抗関係に悩まれているということはよく存じ上げております。一方日本は、長い中国あるいは東アジアとの関係がございまして、そことの対抗関係の中から独自の日本という国をつくり上げてきたというところがあります。こうしたイスラム的アジアとキリスト教圏的な西洋と、また中国的アジアと日本というものとの関係は緊張関係が時に生じますが、そうしたときに日本はイスラム的アジアと敵対関係にはありません。またアメリカは中国と長く友好的関係を持つ。少なくとも十九世紀以来そういう関係を持ってきました。
 そうしたときに、日本がアメリカとイスラム的アジアとの関係に対して貢献をできると。あるいはまた日中関係の厳しい折にアメリカに御貢献をいただくというふうなことを通して、日本の平和を世界の平和につなげていくということが大切です。
 一方、そうしたイスラム的アジアと中国的アジアとの間にあるインドというのは国内の共通語が英語です。しかも親日的です。一方英語ということを通じてアメリカとも通じているということがありまして、そうしたインド的アジアとでも言いましょうか、こうしたところとの関係を深めることはさらに大きな日本の存在感を深めることにもなるというふうにも思います。ですから日米間においては地道な交流を市民レベル、県民レベルで進めるということは一番大切です。一方グローバルな認識をあわせて持つという世界的な視野を持って国際的に活躍できる県民が育つことも、あわせて重要であるというふうに考えている次第であります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 木造住宅の耐震化施策の見直しについてお答えいたします。
 高齢者世帯の耐震化を促進するため、これまで耐震診断などの無料化や補強工事への割り増し補助などの費用負担の軽減とともに、高齢者世帯を中心に一万三千戸を超えるお宅を市町と連携して訪問し耐震化の必要性や補助制度の周知に努めてまいりました。
 一方、住宅政策上でも空き家対策は喫緊の課題であり、空き家への住みかえの促進は有効な活用方法の一つではあります。しかしながら国の平成二十年住生活総合調査では住みかえを希望する高齢者世帯は約八%にとどまっており、その多くがサービスつき高齢者向け住宅や有料老人ホームなどの施設を希望していることから住みなれた土地、建物への愛着は非常に強いことがうかがえます。
 耐震化に消極的な高齢者世帯に対する特効薬はなく、引き続き個別に耐震化の必要性を訴える地道な対応が重要と考えております。このため今後は市町のみならずNPO等の民間団体の力もお借りしながら、まずは全県を対象とした住宅の耐震化の実態をつぶさに把握した上で未実施の住宅を一軒一軒訪問するローラー作戦を強化して、早急に耐震化に取り組んでいただけるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 生活保護費の不正受給対策についてお答えいたします。
 平成二十五年度の県内の生活保護費の不正受給額は二億九千九百二十九万円、件数は八百四十件となっており、前年度に比べ不正受給金額と件数はわずかに減少しておりますが、依然として高い水準にあります。
 県では、生活保護法改正により強化された不正受給対策について、去る八月一日に生活保護不正受給対策会議を開催し、県内各福祉事務所における不正受給への取り組み事例の発表や効果的な対策について意見交換を行いました。また福祉事務所の調査権限の拡大や罰則の引き上げなどの法改正に伴う不正受給対策の積極的な活用を図り、悪質な事案に対しては国が示した告発基準等を踏まえた厳正な対応を行うなど不正受給をなくすための取り組みについて確認いたしました。
 今後も県では、稼働能力のある生活保護受給者には市町と連携して就労支援を行い収入を得られるようにするなど自立を助長してまいります。不正受給者には、対策会議での確認事項を踏まえ毅然として対応していくこととし、不正受給の未然防止を図り県民の生活保護制度への信頼を高めるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 実業教育の将来についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、経営感覚を有するマネジメント人材の養成が地域の企業から求められている中で、商業教育には企業会計に関する学習に加えてこうした要望に応えるための新たな学習を展開していくことが必要であると考えております。このため近年では、多くの商業高校において民間企業と協働して食料品などの開発を行う試みや、実際にお客様を相手に販売を行う実習などにより経営感覚を体験させるなど実践的な学習を導入しております。
 さらに、本年度開催をしております静岡県産業教育審議会の商業部会においても、地元の産業やビジネスの現場を意識した学習や学科の改善などについて、さまざまな角度から検討していただいております。また商業高校の卒業生の約半数が進学していることから、地域にある大学等の高等教育機関との連携という視点からも御意見を伺っているところであります。
 今後とも、静岡県の商業高校が地域の経済界のニーズに応え後継人材を養成できるよう、静岡県産業教育審議会の答申も踏まえながら商業教育の充実に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二番 山本貴史君。
       (二番 山本貴史君登壇)
○二番(山本貴史君) それぞれに御答弁ありがとうございました。何点かにわたりまして要望と再質問をさせていただきます。
 まず、米国との地域外交についての要望になりますけれども、知事からも大変丁寧な御答弁がありまして、やはりどちらかというと最近はアジアに目が向いている中で、米国との関係というものが非常にちょっと、どちらかというと忘れ去られているようなところが若干あったのかなという感じがいたしておりますし、私も米国を訪問いたしました折に、この数年で急激にアメリカ国内での日本に対する意識というものが変わっているなということを先ほど申し上げたとおり感じておりました。でありましてやはりそうした部分につきまして、静岡県は現在、市町では姉妹都市交流を行っておりますけれども県としての姉妹都市交流というのは行っておりません。アジアについては防災協定を結んだりとかさまざまな角度で友好交流を深めて、姉妹都市までは至らなくてもそこまでだんだん交流を深めているところがございます。ぜひともアメリカにおいてもそうした防災協定の道であるとか経済交流の道、これをやはり国際交流、民間レベルでの交流を深めることによって何がしかの物語が生まれてくれば、そうしたことにぜひつなげていっていただくことがこの地域外交の本分にかなうのかなという感じを持っておりますので、この点につきまして今後も推し進めていっていただけるよう検討していただきますように要望をさせていただきたいと思います。
 次に、木造住宅の件につきまして、これも要望させていただきますけれども、確かに高齢者の皆さんについては長年住みなれた家を離れたくないという思いというものは持たれていると思います。調査結果では八%ということで、恐らく転居しますかというお話をすれば、できれば離れたくないというお答えが多く返ってくるのかなという感じはいたしますが、やはり迫りくる、いつ起きてもおかしくない震災というものを目の前にしたときに、先日の長野の地震でもあったようにやはり家が倒壊するかもしれないというそういう恐怖であると。あるいは生命財産を守らなければならないという観点からいたしますと、やはりまずそういう制度を設けておいて、高齢者の皆さんに選択の余地を複数与えておくということが重要な取り組みかなというふうに感じますので、これにつきましても引き続き見直しに向けまして検討をお願いしたいなということを感じております。
 次に、実業教育の将来につきまして要望と再質問をさせていただきます。
 今回この質問をさせていただいた背景には幾つか理由がございます。一つには、本年二月に川勝知事のほうから商業高校の五年制化という新たな構想、発想が持ち上がりまして、私自身は現在行われている審議会というものは、これを受けてのものであると認識をいたしております。来年六月の答申に向けて現在審議を行っているということでございますので、この商業高校の五年制化につきましても、十分に審議をしていただくということを強く要望いたしたいと思います。
 もう一点の今回の理由といたしましては、やはりそうした五年制化というものは一つの非常に大きな冒険ではあるかと思いますけれども、実際現在の子供たちの、例えば中学から高校への進路指導においては必ずしも商業とか工業、農業を希望する生徒が最初からいるわけではなくて、それぞれの進路指導において本当は進学校を希望していたけれども希望の点数に足りなかったので商業だとか工業だとか、要はもともとの夢や希望をそこに抱いて入っていくわけではなくて、点数の足りる、足りないからそうした道へ進んでいくという生徒さんが少なからずいるように思っております。実際、私の娘がそうでした。今現在、私の地元の袋井商業高校にお世話になっているわけですけれども、数年を経まして、袋井商業の取り組んでおります袋井商ショップですね。袋商ショップというのがありまして、これはまさに地域の産業界と一体となって、先日も知事の御答弁の中で地域総がかりの教育という言葉が出ましたけれども、まさに今これを具現化しているのがこの袋商ショップではないかなと思います。一年、二年を経まして、その生徒たち、自分の子供も含めましてこの取り組んでいく過程での生徒たちの成長度というものは、地元の住民から見ていても経済界から見ていても非常に期待感を高める成果を出しているということがございます。
 やはり、その目をみはる成長を見ておりますと、三年で商業教育を終えて製造業へ行ったり進学していくのが非常にもったいないなという気をやはり感じるわけですね。玉を磨けば磨いただけ光っていくのに、これがあともう数年、専門的な学問を習得した後では相当な成長があるだろうということを地元の中で見ておりまして、非常に現実感として体感しているところでございます。ですので袋井商業に行ってよかったと。もともとはそういう希望はなかったけれども、やっぱり一年、二年、三年通う中で地元の袋井商業に行ってよかったよという声を大変多く聞いているところも事実です。ですのでこれをさらに発展させる、あるいは充実させていくということは子供たちの将来にとってもそうですし、地域にとってもこれはもう本当に宝物として、地域全体として総がかりでこれを支えていく、育てていくという新しい取り組みになるのかなという感じを持っておりますので、ぜひともその審議会においてそうした柔軟な対応というものをしていただきたいなと思います。
 それとあわせて、これは再質問ということになりますけれども、この近年の静岡県の教育に対するいろいろな課題を見させていただきまして、私自身、大変じくじたる思いがあります。実業教育についてもそうですけれども、やはり静岡県の教育界が何のために教育しているのか、誰のための教育なのかという根本に立ち返っていただいて、静岡県の教育、実業教育のあり方というものをもう一度見直していただきたいというのが私の切なる願いです。やはり教員の皆さん、どういう思いで今教壇に立たれているかわかりませんけれども、今日本の国にある大きな課題であるとか、あるいは社会的な問題というものは教育の部分が気持ちを改めて真剣に取り組めば、この日本の将来を明るくするために解決できる問題というのはたくさんあるような気がしてなりません。そういった点につきまして今回の実業教育の将来ということで質問させていただいているわけですが、今後の実業教育の将来に向けまして教育長の熱意といいますか、情熱というものをお聞かせいただきたいなと思います。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 実業教育についての再質問にお答えしたいと思います。
 非常に広い視点から多様な御質問をいただいた、あるいは問題提起をいただいたかなというふうに思っております。
 まず、前半の御質問で申し上げますと、中学校から高等学校に行く段階でのやはり問題点が一つあろうかなと思います。これはやはり中学校教育の中でキャリア教育を意識した進路指導というものをもっともっと充実していかなければいけないかなというふうに思いますし、また現代の子供たちというのは中学三年の段階で自分の進路を見きわめできにくいというそういう時代に生きているということも言われておりますので、このために設置されたのが、一つの解決方法としては総合学科の設置というのがこれへの対応策かなというふうに思いますので、そういう意味では中学から高校に行くところの進学指導、進路指導のところの充実ということを考えていかなければいけないかなと思っています。
 それから、高等学校における実学ということでありますけれども、特に五年制についての御質問が多かったかなというふうに思いますけれども、全国的に見ますと本県でも水産高校に専攻科を置いているわけでありますけれども、看護とか水産、工業科で設置をしている高校が全国的には多いかなというふうに思います。ただ商業に専攻科を置いている学校は全国的にただ一校あるわけですけれども、なかなか子供たちが集まらないと。専攻科に入学してこないというような状況がございます。現在産業教育審議会の中で、この辺の背景がどこにあるのかということ、さらには答弁でも申し上げましたけれども、高等教育機関である大学あるいは専門学校、そういうところとの関連の中で子供たちにどういう実学をしていったらいいのかということを総合的に考えていかなければいけないのかなというふうに思います。
 最後のほうに山本議員からありましたように、何のための教育か、誰のための教育かというのは、これは実学に限らず私たちが常に問いかけていかなければいけない問題だと思いますので、特に実学に限って申し上げれば、現在の産業教育審議会の中で大所高所からの御意見、御答申をいただければありがたいなというふうに思っているところであります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 二番 山本貴史君。
       (二番 山本貴史君登壇)
○二番(山本貴史君) ありがとうございます。課題は幾つかあると思いますけれども、やはり教育というものは、今若い人たちが子供たちも含めて目的がないとか将来の夢がないという若者が非常に多いということがございます。それはなぜかというと、教育に携わっている方々が夢や理想を語っていない、情熱が伝わっていないというところが一つ原因としてあるのかなという思いを持っておりますので、ぜひとも審議会においても、今教育長からも心強いお言葉をいただきましたので、そうした夢や理想を大いに審議会の中で語っていただいて全国的にも静岡県はすごいことをやったと言っていただけるような教育を実現していただきたいと思います。
 また、知事におかれましては五年制化という発想を出していただきました。ぜひともそうしたものにつきましても今後とも実現に向けまして見守っていただきたいなというふうに思っております。
 最後に、議場にいらっしゃる皆さんに一点要望です。先ほど実例として挙げさせていただきました袋商ショップは今月十二月十三、十四日に開催予定でございまして、選挙の大変な状況の中で行われますけれども、多くの皆さんに御来場いただいて、その成果というものを存分に実見していただきたいなと思っておりますので、ぜひ足を運んでいただきますよう要望をいたしまして私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

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