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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野田 治久 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 観光立県しずおかの復活に向けた新しい施策展開について
2 コンパクト・プラス・ネットワークの推進と静岡県の都市づくりについて
3 修善寺駅周辺の渋滞対策について
4 有害鳥獣対策の推進について
(1)カワウ対策
(2)ニホンジカの捕獲対策
5 宗教法人平和寺本山への対応について


○議長(中沢公彦君) 次に、四十一番 野田治久君。
       (四十一番 野田治久君登壇 拍手)
○四十一番(野田治久君) 私は、自民改革会議所属議員として通告に従い県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長に一括質問方式にて伺います。
 初めに、観光立県しずおかの復活に向けた新しい施策展開について伺います。
 国内外から多くの人々が訪れその地に滞在し宿泊をはじめ飲食、体験、買物、交通利用など様々な消費活動につながる観光は、地域の振興や活性化、雇用の創出が図られることから地域経済に極めて大きな貢献をし得る裾野の広い産業であると言えます。このことは数字にもしっかりと表れています。
 観光庁の統計によれば我が国の令和元年の観光GDPは十一・一兆円と全体の二・〇%であり、輸送用機械産業の二・六%にも見劣りしない規模であります。本県の状況で例えれば令和元年における旅行消費額七千五十七億円を県内製造業の二十四分類別の製造品出荷額と見比べると、上から八番目のプラスチック製品に迫り金属製品や電子部品を上回る規模であることが分かります。
 しかしながら、観光産業の回復と持続可能な観光地域の実現を目指し令和四年三月に策定した県観光基本計画では、五年前の前計画においてメインの施策であった静岡ツーリズムビューロー  TSJ、あるいは高付加価値など観光産業の成長に向けた重要な事業、取組が後退しているようにも思われます。観光は本県経済を強力に牽引する産業であるにもかかわらず、令和七年度までの戦略を示す基本計画は現状と課題に対応しているとは言いがたいものであり、県が観光を産業としてきちんと捉えているのか甚だ疑問を感じております。
 先頃昨年の本県宿泊客数及び観光交流客数がともにコロナ前の八割程度まで回復したとの報道がありましたが、観光産業を取り巻く状況は団体型から個人型へのシフトチェンジや極度の人手不足など一変しており、観光業界全体が縮小している中、現状のままでは十割には戻らないという認識を持つべきであります。
 本県の観光産業は、一昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響から非常に大きな打撃を受け、さらにはコロナ以前から長年トップランナーであったおごりとネームバリューの甘えから積極的に改善策を講じてこなかったことも相まって今や後退局面にあるとさえ感じます。川勝知事が一期目であった平成二十三年とコロナ前の令和元年における本県の観光指数を比較してみると宿泊施設数は約二五%も減少しており、全国平均の二〇%を大幅に上回る減少幅となっています。また宿泊客数は、知事が就任した平成二十一年とコロナ前の令和元年では統計対象の施設の拡大もあり全国は十年間で約二倍となっていますが、本県は約一・七五倍と全国の伸びを下回っていることが分かります。
 こうした厳しい状況の中、本県のリーディング産業として観光の再生、強化を図るためには旅行形態の変化やIT化への対応などに加えて家業的な経営から企業的経営への転換、宿泊サービスの高付加価値化による適正価格の設定、従業員の待遇改善など構造的課題の解決に向けて関係者が一丸となり取り組んでいくことが求められます。その一方で新たな稼ぐ力を生み出すためには、外部から観光資源や資本を誘致するなど新たな需要の創出により新しい人の流れを生み出すことが重要ではないかと考えます。
 昨年十一月に愛知県長久手市にオープンしたジブリパークは、国内はもちろんのこと外国人観光客からも人気が高く経済波及効果は年間で四百八十億円と言われる新たな観光資源となっていますが、この誘致に当たっては愛知県の大村知事自らがジブリの事務所に何度も足を運び熱心に交渉を重ねたと聞いています。その後整備構想で合意が得られ愛知県議会で補正予算を組みジブリパーク構想推進室の設置とともに、ジブリ側や地元自治体の調整を担う実働部隊として職員十名が編成され様々な課題を乗り越えて完成に至っています。
 本県は世界文化遺産である富士山をはじめユネスコ世界ジオパークに認められた伊豆半島、駿河湾、浜名湖など美しい自然や食、歴史・文化、温泉など観光資源に恵まれており、これらの魅力をさらに磨き上げていくことは大変重要でありますが、その土地にない民間活力を利用した全く新しい観光資源の誘致は、一日も早い観光産業の再生、強化に向けた強いエンジンとなるばかりか既存の観光資源との相乗効果が生まれ地域の再活性化がより強力に推進されると考えます。
 そこで、観光立県しずおかの復活に向けて県外から観光資源を積極的に誘致するなどこれまでの概念から脱却した新しい施策の展開が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、コンパクト・プラス・ネットワークの推進と静岡県の都市づくりについて伺います。
 二〇二五年には団塊世代の全てが七十五歳以上に達し後期高齢者が全人口の約一八%を占める超高齢化社会を迎え医療・福祉、商業等の様々な分野で問題が起こるとされており、このいわゆる二〇二五年問題を克服するためには社会構造、経済、環境等の大きな変革が求められます。
 このような中、国においてはデジタル田園都市国家構想を掲げてAIを活用したオンデマンド型地域交通システムやデジタルサイネージシステムの構築などデジタル技術を活用した地域の取組を支援しています。
 私の住む伊豆市では少子高齢化・人口減少社会が進行する中、子供からお年寄りまで誰もが元気で幸せに暮らすことができる環境を整えることが必要なため、修善寺駅からおおむね半径一キロメートルの徒歩圏内である中心市街地に主要な都市機能を集約し周辺部は既存の施設を有効活用した拠点機能の充実を図るとともに、中心市街地と周辺部を多様なネットワークで結ぶコンパクトタウン&ネットワーク構想を推進していくこととしています。この伊豆市が進めていくコンパクトタウン&ネットワーク構想とはまさにコンパクト・プラス・ネットワークというものであり、都市機能の低下、地域経済の衰退、厳しい財政状況といった都市が抱える諸課題の解決を図るまちづくりの考え方であります。
 先日、所属する危機管理くらし環境委員会の視察で私は栃木県宇都宮市を訪問しました。コンパクトで美しく整備された宇都宮駅東口周辺の中心市街地と地域の拠点が次世代型路面電車  LRTで結ばれた快適性が感じられる未来型の都市は、私が知っていた以前の宇都宮市からは激変しており、関係者の御尽力に敬服するとともに将来を見据えたまちづくりの重要性を認識した次第であります。
 本県においては、全国に先駆けて三次元点群データをオープンデータ化し災害状況の把握や富士登山体験などの観光コンテンツの充実などに有効活用されていますが、こうした本県の強みである三次元点群データを活用したスマートシティーの形成に向けた取組は、コンパクト・プラス・ネットワークの実現を加速化させるものと考えます。
 そこで、県は持続可能で活力ある社会の構築に向けてコンパクト・プラス・ネットワークを推進するためどのように市町と連携の上、施策を展開していくのか伺います。
 さらに、二〇二五年問題など社会を取り巻く厳しい諸課題に対応していくためどのような将来ビジョンを持ち都市づくりを進めていくのか、県の決意を伺います。
 次に、修善寺駅周辺の渋滞対策について伺います。
 前の質問で触れましたが、伊豆市ではコンパクトタウン&ネットワーク構想を推進していく方針を示しています。ネットワークの中心となる修善寺駅については鉄道、バスを利用する地域住民や県内外からの観光客が伊豆地域の各所に向かう交通結節点として、また駅から南側約一キロメートルに位置し新しい中学校や防災公園の整備が進められている日向地区については、新たなにぎわい拠点としてそれぞれ機能強化を図る必要があることから、駅への幹線道路となる県道伊東修善寺線の渋滞緩和は喫緊の課題であると考えます。
 修善寺駅周辺では、有料道路である修善寺道路を避けた車両が並行する国道百三十六号に迂回することで国道と接続する県道伊東修善寺線の混雑を助長しており、さらには修善寺道路の料金徴収期間が伊豆中央道とともに本年十月から約三十三年延長されました。
 私は、伊豆縦貫自動車道とともに伊豆地域の基幹道路である伊豆中央道、修善寺道路の高速性、定時性を確保するために引き続き有料道路として料金徴収することはやむを得ないと考えますが、地元では修善寺駅周辺の混雑がこの先も続くのではないかと懸念する声が聞かれています。
 一方で、伊豆市が本年七月に策定した修善寺駅周辺まちづくり基本構想において、駅周辺の渋滞解消や交通環境改善に向け県道伊東修善寺線の改良や県道に接続する市道の対策等が位置づけられました。私は少子高齢化、人口減少が進む伊豆市にとって修善寺駅周辺への都市機能の集積とともに駅を拠点とした地域活性化が極めて重要であると考えており、県と市の取組に大きな期待をしています。
 また、本年二月県議会定例会における修善寺駅周辺の渋滞対策に関する私の質問に対し交通基盤部長から、抜本的な対策となる修善寺橋の改良の検討に着手していくとの力強い答弁を頂き地元の関心は一層高まっています。
 そこで、修善寺駅周辺の渋滞対策について、現在の検討状況と今後の取組について伺います。
 次に、有害鳥獣対策の推進についてのうち、カワウ対策について伺います。
 狩野川水系ではカワウによる鮎などの食害が深刻であり、漁協も人海戦術で追い払いを行うなど対策をしているもののいまだ有効な手だてがない状態です。近年地球温暖化の影響もあり寒さに弱いはずのカワウのひなの生存率が高くなり伊豆半島でも越冬するカワウが多くなってしまい、一年を通してカワウの食害が広がっている状況を大変に危惧しています。
 そのような中で、県では今年度カワウ対策の一環として過疎地域等対策支援員を二名委嘱し、伊豆市内でのドローンを活用した調査、対策を支援しています。これまでの生息調査では伊豆市内では巣は発見されていませんが、漁協等の調査で沼津市大平  函南町道の駅狩野川対岸のところでありますが  などがねぐらになっていることが確認されており、カワウ対策は市町をまたぐ広域的な問題と言えます。
 過去の無計画な対策によりねぐらや巣を分散させてしまい銃器による駆除ができなくなった経緯もあることから、効果的な対策を取るためにはまずは生息地の調査を続けて狩野川水系全体のねぐらや巣を洗い出す必要があります。またカワウは広域的に行動することから県全体へ影響すると考えられるため、狩野川水系でドローンを用いた調査、対策の成果を県全体に広めていくべきであると考えます。
 そこで、県として狩野川流域におけるカワウ対策の今年度の取組状況と今後どのような対策に取り組んでいくのか伺います。
 次に、ニホンジカの捕獲対策について伺います。
 県では、ニホンジカの捕獲対策として農林業被害と生態系への影響軽減を目指し猟友会員などの現場の狩猟者と一丸となって取り組んでいます。これまで高い捕獲圧をかけ続けた結果、生息頭数は令和に入ってから減少傾向が明確となりました。また農林産物被害額がピーク時に比べて五〇%以上減少するなど捕獲の成果が順調に出ています。
 私の地元である伊豆市達磨山では、ニホンジカによる食害に悩まされていた自然植生が回復し以前のように富士山の展望を楽しみながらクマザサが生い茂る稜線を歩くことができるようになりました。しかし地元の狩猟者によれば、これまで幾度となく捕獲の危機をくぐり抜けてきたニホンジカがより捕まりにくい奥山などに逃げ込んでおり、ニホンジカの生息密度の高いエリアが存在していると聞いています。また県内で捕獲活動を積極的に取り組んでもニホンジカは県境を越えて広域的に行動していることから、隣接県と連携した捕獲対策の実施やさらには新たな捕獲の取組などが必要であります。
 一方、急激なガソリン価格高騰や銃器や弾薬、くくりわななど猟具の価格上昇が捕獲活動に影響しており、経費負担が増える中でも現場の狩猟者はこれまでどおり地域の農林業や自然環境を守る捕獲活動に精力的に従事しており、その思いに対し県はしっかりと応えるべきと考えます。
 ニホンジカは繁殖力が強く一旦捕獲圧を緩めれば元に戻るどころかこれまで以上に増加すると予想され、現場の狩猟者の努力やこれまで要した捕獲経費が水泡に帰すると考えられます。生物多様性を確保し人と自然が共生する社会を実現させるためには引き続きニホンジカの生息頭数を適正に調整していくことが必要です。
 そこで、県では今後のニホンジカ捕獲対策についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、宗教法人平和寺本山への対応について伺います。
 伊豆市の宗教法人平和寺本山の敷地内から流出する廃棄物が混入した土砂による支障に関して、県では令和三年九月に廃棄物処理法第十九条の五に基づき敷地外へ流失した廃棄物の全量撤去と敷地内における廃棄物の流出防止対策を命じる措置命令を発出しましたが、履行期限である令和四年三月までには措置が講じられず今後も実施が見込まれないため現在行政代執行に向けた調査が進められています。県は今後行政代執行により廃棄物が混入した土砂を必要量撤去し安全対策を講ずるとしているようですが、必要量の撤去ではなく全量が撤去されなければ現場には一定の土砂が残存することになり、どのような対策を取ったとしてもあの急峻な斜面からは今後も廃棄物混じりの土砂が流出し続けることが予想され地域住民の生活の不安は解消されません。また流出する廃棄物混じりの土砂は県が対策を講じなければ今後も伊豆市が造った流出防止柵に頼るほかありません。
 ところで、この平和寺本山の一連の問題においては事案の発覚後措置命令が発出されるまで一年数か月もの期間を要しました。この間県においては事実関係の整理や行政処分の検討に鋭意努力をしていただいたことは十分承知していますが、ここで忘れてならないことは、県が検討を要した一年数か月の間にも現場においては廃棄物混じりの土砂の流出はずっと続いていたという事実であります。
 現場の最前線に立つ伊豆市では、地域住民の安全・安心を確保するため県の対応いかんにかかわらず速やかに現場対策を講ずる必要があったことから、これまで緊急避難措置として流出防止柵を設置のほか土砂搬出のための作業道の開設や堆積した土砂のしゅんせつ等を行っており、そのための多額の財政支出を強いられている上、これまでにしゅんせつした土砂約四百立方メートルに混じっている廃棄物は産業廃棄物として適切に保管、運搬及び処理する必要があり、その費用は少なくとも五千万円以上かかることが判明しています。
 こうした状況を踏まえると、県は廃棄物行政を所管する責務として原因の根本である宗教法人平和寺本山の敷地内の廃棄物が混入した土砂を行政代執行による全量撤去に加えて、伊豆市がこれまでにしゅんせつし一時保管している四百立方メートルの廃棄物混じりの土砂も撤去すべきであると考えますが、本事案に対する今後の対応について県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 野田議員にお答えいたします。
 観光立県しずおかの復活に向けた新しい施策展開についてであります。
 観光産業は、議員御指摘のとおり宿泊業、旅行業、交通、飲食、物販、伝統工芸、農林水産等々広範な産業への経済波及効果を生む地域経済の重要なセクターであります。県では令和元年度から観光産業を静岡県産業成長戦略に位置づけ国内外からの誘客に取り組んでいるところです。
 静岡県観光基本計画では、令和七年度に県内旅行消費額を八千億円まで拡大するという目標を掲げております。その実現に向けては宿泊業の効率化や生産性の向上など構造改革を図るとともに、旅行の個人化やニーズの多様化を踏まえた需要の創出に戦略的に取り組むことが何より重要です。このため宿泊施設におけるオンライン予約システムやセルフチェックインシステム、キャッシュレス決済の導入など業務の効率化に取り組むことで、宿泊業の経営基盤強化とさらには働く方にとって魅力的な職場となるよう支援してまいります。
 また、アニメや歴史、スポーツなど旅行者の多様な趣味、嗜好に対応した新しい旅行需要の創出にも注力しております。具体的にはアニメの聖地を巡るイベントや中央日本四県による黄金KAIDOプロジェクトなど本県ならではのテーマによる誘客に取り組んでいるところです。
 さらに、インバウンドにおきましては富士山の麓に訪日富裕層をターゲットとしたホテルが開業したほか高級旅館の開業も見込まれており、富士山や本県の魅力的な食、温泉などの地域資源を最大限に生かした高付加価値旅行商品の造成にも取り組んでまいります。
 議員御指摘の新たな観光資源の誘致についてでありますが、本県においても例えば平成二十七年に開業した三島スカイウォークには昨年百万人以上の観光客が訪れ伊豆半島への周遊にもつながるなど地域への大きな経済波及効果を生む重要な視点であると考えております。こうした施設の誘致には景観や交通アクセスなどにも配慮した広大な土地の確保や立地に関する様々な調整が必要となりますことから、まずは市町と連携して戦略を策定することを検討してまいります。
 観光は、来訪者や旅行消費の増加を通じて地域を豊かにするだけでなく地域のにぎわいを創出し住民の愛着、誇りの醸成を促す原動力でもあります。市町、観光関係団体、事業者の皆様と広く連携し観光立県しずおかの復活に向けて全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(中沢公彦君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) コンパクト・プラス・ネットワークの推進と静岡県の都市づくりについてお答えいたします。
 人口減少、超高齢化社会の到来、大規模な自然災害の対応に迫られる中、住民が安心して暮らせる社会を実現するためには地域の活力を高める必要があります。このため点在している住居や医療・福祉、商業等の都市機能を一定区域に集約するコンパクト化と拠点間を公共交通等により結ぶネットワーク化を両輪とするコンパクト・プラス・ネットワークの推進が極めて重要であります。
 現在の都市構造では将来の都市経営が立ち行かなくなるとの危機感から、県では本年三月に静岡県都市計画マスタープランを新たに策定いたしました。その中にまちづくりの将来ビジョンとして、魅力と活力を継承する持続可能な集約連携型都市づくりを掲げてあります。その上で先進技術の進展を視野に入れ、自動運転などの公共交通ネットワークの強化やMaaSなどの次世代型都市づくりなど分野別の方針を示し全県で取り組むことといたしました。
 県では、コンパクト・プラス・ネットワークを推進する手法として国の立地適正化計画制度を最大限活用することとしております。この制度により市町は計画区域への機能の誘導を図るための行政指導、勧告の権限を持つことができ同時に国の個別補助金を得ることができます。
 県では、この計画の策定と事業の実施等を加速させるため平成二十七年に都市計画区域を有する全市町が参画する立地適正化計画広域連絡協議会を設置いたしました。この協議会は情報提供にとどまらず地域ごとの課題に応じたきめ細やかな助言、提案をするなど市町の取組を全面的に支援しております。その結果、計画に基づく駅前広場、公園や体育館などの施設が整備され地域の利便性が高まり住宅や店舗等の拠点内への集約が着実に進みつつある市町の成功事例が出てまいりました。
 県といたしましては、今後も市町と緊密に連携し福祉や医療機能の集約も含めたコンパクト・プラス・ネットワークを強力に推進することにより、高齢化社会が進む中でも県民の皆様が安心して豊かに暮らすことのできる持続可能な都市づくりの実現に向け全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 修善寺駅周辺の渋滞対策についてお答えいたします。
 交通の要衝であり狩野川を渡る修善寺橋が近接する修善寺駅周辺は、通勤通学の時間帯を中心に県道伊東修善寺線において著しい交通渋滞が発生しております。また修善寺駅に近い日向地区では伊豆市が新たな中学校や防災公園の整備を進めていることから早急に措置を講じていくことが必要であると認識しております。
 現在、修善寺橋の改良につきましては橋から駅周辺までを対象区間とし、修善寺駅周辺まちづくり基本構想と整合を図りながら効果的な渋滞対策を検討することとしております。今後河川管理者である国と協議を進めてまいりますが、橋の改良は住宅地域への影響が生じることから市や関係の皆様とも十分に対話しながら慎重に検討作業を進めてまいります。
 また、駅周辺の交通渋滞につきましては、対策の緊急度が高まっていることから連続する三つの信号交差点に駅方面への右折車線の設置ができるよう、地域の皆様との合意形成を進め来年度の事業化を目指してまいります。
 県といたしましては、地域の拠点として重要度が増している修善寺駅周辺の円滑な交通確保に向け引き続き市や地域の皆様と緊密に連携し渋滞対策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 有害鳥獣対策の推進についてのうち、カワウ対策についてお答えいたします。
 鮎などの川魚に被害をもたらすカワウは、近年の銃器による駆除の反動として生息地が広域的に分散するなど新たな問題が顕在化しているため、まずは変化したカワウの生息地を明らかにした上で効果的な対策を講じる必要があります。
 このため、県では今年度伊豆市や狩野川漁協との協働により広くカワウの目撃情報を収集し生息場所を絞り込んだ後にドローンを用いた詳細調査を行った結果、狩野川水系全体で複数のねぐらを確認することができました。今後は河川監視カメラなどの映像からカワウの飛来方向を分析し繁殖地となる巣やねぐらの特定を急ピッチで進めてまいります。また効果的な駆除に向けましてはドローンを最大限に活用し、上流から下流へねぐらを移動させるためのひも張りや卵のふ化を抑制するドライアイスの投入など対策を強化してまいります。
 県といたしましては、市町や漁業協同組合等と連携しドローンを活用した効果的な食害対策を普及拡大することで鮎をはじめとする水産資源の維持、回復に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 有害鳥獣対策の推進についてのうち、ニホンジカの捕獲対策についてお答えいたします。
 ニホンジカの令和四年度の推定生息頭数は、ピーク時の平成二十七年度と比較して伊豆地域は四二%、富士地域は二四%減少するなど捕獲を強化した効果が現れております。
 一方で、捕獲活動を積極的に展開してきたことによりニホンジカの警戒心が高まり、生息場所が奥地に移動し捕獲がこれまでのようには進まなくなっている状況がうかがえます。このため従来より捕獲範囲を広げ高度な狩猟技術を有する認定鳥獣捕獲等事業者による生息密度の高い奥山での捕獲の強化とともに、ドローンやデジタル技術を活用した効果的な捕獲など新たな技術の導入を進めてまいります。
 また、隣接県と連携して県境付近での捕獲に取り組んでまいります。箱根山地域では、今年度神奈川県と共同で策定した広域捕獲計画などに基づき両県で捕獲を強化してまいります。
 厳しい捕獲環境の中、地域のために精力的に活動されている捕獲を担う方々が今後も安全で効果的に捕獲活動を続けていただけるよう負担の軽減にも配慮し、市町や関係団体と連携してニホンジカの適正な管理に取り組んでまいります。
 次に、宗教法人平和寺本山への対応についてであります。
 宗教法人平和寺本山等に対しては令和三年九月に措置命令を発出しましたが、措置の履行が今後も見込まれないところです。現場の状況を踏まえると速やかに崩落防止措置を講じる必要があることから、現在行政代執行に向け準備、調査を行っております。
 調査では、生活環境保全上の支障の除去、具体的には廃棄物混じりの土砂や廃棄物の崩落や流出の防止、撤去などの工事の方法や範囲について専門家の意見も踏まえ検討を進めているところです。
 本事案につきましては、当初から当時土砂の指導監督権限を有していた伊豆市と連携し対応するとともに、住民の皆様に対しても説明会を複数回開催するなど対話を行ってまいりました。行政代執行に向けましても住民の皆様に県の取組を丁寧に御説明し御意見も伺い進めてまいります。伊豆市が一時保管している廃棄物混じりの土砂につきましては、関係法令等に基づき適切に処理できるよう市と対応を協議してまいります。
 県といたしましては、引き続き伊豆市と連携するとともに地元の皆様の不安の払拭に努めながら平和寺本山への対応に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 野田治久君。
       (四十一番 野田治久君登壇)
○四十一番(野田治久君) それぞれ答弁ありがとうございました。
 要望を二つ、再質問を一つさせていただきます。
 まず観光ですが、私は観光は立派な産業だと思っています。私、議員になって九年になりますが何で経済産業部が所管をしないのかいまだに不思議であります。
 それからインバウンドについてでありますが、観光基本計画、これは私前にも指摘をしましたが五年前の観光基本計画よりも今後退しているようにしか思えない。この二点については改めてじっくりとまた質問をさせていただきます。
 観光についてですが、先日高校出前講座というのに行きまして静岡北高校の生徒の意見を聞きました。そのときの先生の課題が、静岡県の課題をどうやって解決するかというもう大上段に構えた物すごい課題だったんですが、生徒たちがいろいろいい答えを出してくれました。
 その中で一人の生徒がテーマパークがないことだと答えたんですね。私はその答えは何だと聞いたら、静岡県にはわくわくするような新しいものは何もない、そう言ったんです。私はこれはちょっと的を射たと言いますか適切な発言だなと思いました。静岡県の若い人たちがこう思ってるのか、それから県外の方が静岡県に対してもこうやって思ってるのか、そこを強く思って印象が非常に深かったのを覚えています。
 企業を誘致するのは大変です。でも観光資源を誘致することは大きな企業を誘致するよりもずっと楽かもしれません。
 質問文でも挙げましたジブリパーク、これは愛地球博の跡地です。それから今沖縄で注目されている、森岡毅さんが監修しているジャングリア、これも今業界で大変注目をされています。これはゴルフ場の跡地です。
 今東部で集客の拠点となっている御殿場のアウトレット、これももともとは遊園地。答弁でもございましたように三島スカイウォークにいたっては山の中です。私は観光施設というのは誘致ができる可能性が高いと思っています。
 そして、誘致ができると既存の観光施設の皆さんと相乗効果が生まれてその地域がもっともっと発展する可能性がある。こういった展開をぜひまた観光のほうで、県のほうで進めていただきたいと思います。
 もう一つの要望は、コンパクト・プラス・ネットワークです。今人口がどんどん減って私のところの伊豆市ももう消滅するかもしれない。そういったところですがこれをどこかでとどめてそしていずれ次の世代がリスタートできるように今しなければいけない。そのためにこの事業は私はとても大切だと思っていますのでしっかりと進めていただきたいと思います。
 再質問ですが、平和寺でございます。代執行をしていただくことは感謝をしております。そして住民の意見を十分に聞いていただく、ここもありがたい話だと思っていますが、流出した部分については伊豆市と協議をするということで非常に分かりにくい。これは県がやるのか市がやるのか、もう一度お答えを頂きたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 宗教法人平和寺本山への対応についての再質問についてお答えいたします。
 敷地外に流出した廃棄物混じりの土砂につきましては、現場における生活環境保全上の支障の状況を改めて調査いたしまして、これまでの行為も踏まえ県が撤去できるか検討してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) これで野田治久君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

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