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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/30/2021

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 次期総合計画における 「誰一人取り残さない静岡県」 の
 実現
2 新型コロナウイルス感染症対策について
3 オリンピック・パラリンピックのレガシーについて
4 県東部の拠点都市づくりについて
 沼津駅周辺総合整備事業
 次期総合計画における県東部地域の目指す姿
5 本県におけるデジタルトランスフォーメーションの推進に
 ついて
6 大規模災害の対応について
7 本県農林水産物のマーケティング戦略について
8 海洋プラスチックごみ対策について
9 住宅確保要配慮者への支援について
10 発達障がい児者支援について
 地域における対応 一六七
 進学期における切れ目ない支援
11 公共交通の支援について
12 建設業が地域の守り手としての使命を果たすための支援に
 ついて
13 黄瀬川大橋の橋脚崩落の対応について
14 医療的ケア児と家族への支援について
15 十八歳への成年年齢引下げに伴う県立高校での消費者教育
 について
16 災害時における警察の対処能力について


○議長 (宮沢正美君)  ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、 知事提出議案第百号から第百二十四号まで及び令和二年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業決算全部を一括して議題とします。
 ここで、 後半グループの議員が退出をするため休憩します。
  
○議長 (宮沢正美君)  ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により七十番 蓮池章平君。
        (七十番 蓮池章平君登壇 拍手)
○七十番 (蓮池章平君)  私は、 公明党静岡県議団を代表して県政の諸課題について知事、 副知事、 関係部局長、 教育長、 教育部長、 警察本部長に一括質問方式で伺います。
 初めに、 知事の政治姿勢について伺います。
 本年六月三十日、 知事は四期目の再任の挨拶で全ての県民の皆様の幸せのため誰一人取り残さない静岡県を築き上げていくため私自身が先頭に立って全力を尽くしてまいりますと、 また本定例会の冒頭にも誰一人取り残さない富国有徳のふじのくにづくりを推進と述べられました。 SDGsの推進を訴えてきた公明党の理念とも共通するその思いには大いに共感するところであります。
 昨年、 公明党はコロナで全ての国民が苦しむ中社会に分断をつくってはならないとの思いから山口代表が強く訴え十万円の特別定額給付金が実現をいたしました。 しかし給付が決定した当初出生届が出されずに戸籍に記載のない無戸籍の方々は給付の対象になっていませんでした。 公明党は誰も置き去りにしてはならないとの思いで国に強く要望し、 その結果日本に在留する外国籍の方々や住民基本台帳に登録されていない無戸籍の方々への給付を実現することができました。 誰一人取り残さない静岡県を実現するためには、 知事自身が強い思いを持ち続けることに加え県庁の職員全員がその思いを共有して事業執行を行うことが重要です。
 一方で、 新型コロナウイルス感染症への対応で県の財政はこれまでにない厳しい状況であり総花的な施策を実施する余裕もないことから、 財源確保はもとより現在策定中の次期総合計画においても施策の優先順位を考慮し策定していくことが重要であります。
 そこで、 知事が掲げる誰一人取り残さない静岡県を実現するために次期総合計画においてどのように施策に反映していくのか、 所見を伺います。
 次に、 新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 新型コロナウイルス変異株の急速な拡大に伴う感染者の急増により、 本県においても八月二十日に緊急事態宣言の対象となり医療提供体制は逼迫、 医療崩壊の直前まで追い詰められました。 今後も新たな変異株の出現や感染拡大の可能性を考えると医療提供体制の充実、 重症病床の増床、 PCR検査体制の充実等を進めていかなければなりません。
 さて、 新型コロナウイルスに感染した際に症状が回復した後も強い倦怠感や味覚・嗅覚障害、 呼吸困難、 抜け毛など様々な症状が見られる場合があり、 こうした後遺症は二十代、 三十代の若い世代でも発症する割合が高く全ての年代で認められています。 多様な症状が長期間続くこともあり体調の悪化から職場を解雇するケースも出てきております。 現状新型コロナウイルスの後遺症に対応した医療機関は少なく、 後遺症を抱える患者は適切な診療を受けることができず取り残されているケースが散見をされます。 先日も感染から回復した患者が息苦しさを訴えかかりつけ医から保健所に相談したものの対応できないと断られ地域の中核病院に連絡しても断られ困難を極めたと伺いました。
 このような中、 新型コロナウイルスの後遺症を扱う専門外来が今年五月に県下で初めて共立蒲原総合病院に開設をされました。 急速な感染の拡大により今後後遺症に悩む患者がさらに増えることが予想されることから、 後遺症も含め新型コロナウイルス感染症の発症から完治まで一連に対応できる医療体制を構築していくことが求められます。
 後遺症専門外来の設置に向けて県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、 オリンピック・パラリンピックのレガシーについて伺います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックはほとんどの会場で無観客の開催となりましたが、 本県の会場である日本サイクルスポーツセンター及び富士スピードウェイではオリンピック自転車競技が有観客で開催され、 無観客で行われたパラリンピックとともに大きな事故もなく無事に終えられたことに運営に当たったスタッフやボランティア、 関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。
 本県にゆかりのある選手の活躍にドキドキしながらたくさんの感動と涙と勇気で満ちあふれました。 オリンピック・パラリンピック出場に向けて血のにじむような努力を重ねられたことは想像に難くありませんが、 競技によっては練習会場の確保や資金的に苦慮しながらそれを乗り越えて力を出し切った選手に改めて絶賛の拍手を送りたいと思います。
 さて、 これまでオリンピック・パラリンピックのレガシーの議論はサイクルスポーツの聖地創造会議で自転車競技開催を契機としてサイクルスポーツを本県に根づかせサイクリストの憧れを呼ぶ聖地づくりが中心でありました。 私は、 サイクルスポーツの聖地づくりに加えて本県から数多くのメダリストが誕生したことに光を当て次の世代にこの流れを継承することも重要ではないかと考えています。
 未来を担う子供たちにオリンピック・パラリンピックのアスリートと直接触れ合う機会を増やすことや、 さらなる競技力向上のための支援、 練習会場の確保などオリンピック・パラリンピックを目指す子供や青年が数多く輩出できる土壌づくり、 スポーツを通じて共生社会を実現することもレガシーではないかと考えています。
 そこで、 オリンピック・パラリンピックのレガシーの創造について、 県の所見を伺います。
 次に、 県東部の拠点都市づくりについてのうち、 沼津駅周辺総合整備事業について伺います。
 静岡県東部地域の発展の核となる沼津駅周辺総合整備事業は、 本年二月十九日新貨物ターミナルの土地の収用が完了したことで鉄道高架本体工事の本格着工へと前進することとなりました。 これまで本事業の推進に御協力を頂いた全ての皆様に改めて御礼を申し上げたいと思います。
 沼津駅周辺総合整備事業は鉄道高架事業、 土地区画整理事業など六つの事業から構成されており駅北拠点開発事業や特定再開発事業などは既に完了しておりますが、 一番遅れている鉄道高架事業の完成について県は二〇三〇年代早期の完成を目指したいとされておりました。 その後新貨物ターミナルの土地の取得に時間を要したため目標年度の完成は困難であるとは承知をしておりますが、 事業に必要な土地の取得をほぼ終えた今沼津市民の関心はいつ完成するのかということであります。
 そこで、 改めて新貨物ターミナルを含む鉄道高架事業、 土地区画整理事業の状況について、 県の所見を伺います。
 次に、 次期総合計画における県東部地域の目指す姿について伺います。
 鉄道高架事業を含む沼津駅周辺総合整備事業は目標ではなくあくまでも県東部地域全体が発展するための手段であります。 これまでも平成二十三年二月に策定した静岡県総合計画基本構想では、 東部地域の目指すべき基本方向の中で高次都市機能の集積としてコンベンション施設の整備を位置づけ 「プラサ ヴェルデ」 を沼津市のキラメッセとともに整備し運営を一体的に行っているわけでありますけれども、 東部地域の中心のまちづくりとしてコンベンションの整備だけで終わってしまうことに少し拍子抜けをしている感があります。 現在沼津市において中心市街地まちづくり戦略を策定し駅周辺のまちづくりや外縁とのネットワークの形成などを進めておりますが、 県は沼津市のまちづくりを含め県東部の市町と連携した広域的な地域づくりに積極的に参画すべきであります。 県庁機能の移転議論がスタートいたしました。 老朽化する県東部総合庁舎の建て替えに併せて本庁機能の一部を県東部に移転させることも考えられます。
 例えば、 スポーツ文化観光部や環境分野の機能移転でスポーツや観光、 環境分野の軸足を東部に移すことも一案ではないかと考えます。 また県全体の施設の総量適正化の面から老朽化し浸水区域にある沼津市役所本庁舎を合同で建設することを沼津市に提案をし、 鉄道高架事業により生み出される土地を活用し未来創造都市の形成を目指すなど県の積極的な関与が必要であります。
 県東部には世界遺産富士山、 韮山反射炉、 駿河湾、 伊豆の温泉、 世界ジオパーク、 オリンピック・パラリンピックのレガシーとしての自転車ロードなどの資源のほか、 トヨタ自動車が裾野に建設するウーブン・シティは世界が注目しており本県発展の可能性に満ちあふれています。 東部地域の今後の発展のためには県が主体となり東部の市町と連携し、 まちづくりプロジェクトを立ち上げるなど、 拠点づくりとともに多様で魅力ある地域資源を最大限に生かし東部地域全体への波及効果を生み出すことが重要であります。
 現在次期総合計画の策定が進められている中で、 県東部地域の目指すべき姿をどのように描き、 県東部の地域づくりにどのように関わっていくのか伺います。
 次に、 本県におけるデジタルトランスフォーメーションの推進について伺います。
 九月一日国ではデジタル庁が発足、 本県においても行政及び県全体のデジタル化を強力に推進するため誰にも優しく、 誰もが便利に、 安全・安心、 そして豊かにを理念とした、 新しいふじのくにDX推進計画を策定するとしています。 出野副知事を本部長としたデジタル戦略推進本部においてデジタル顧問団から助言、 提言を受け計画を策定するとしており、 計画の策定に当たってはコロナ禍によって浮き彫りとなった県庁の政策推進や県民サービスの提供など行政分野のデジタル化の課題解決の道筋を示す必要があります。 新たな計画の理念はデジタル化により県民幸福度の向上を図ることであり、 その目的に沿った計画となるか否かはデジタル化に対する課題の把握が重要であります。
 これまでのように国は国、 県は県というようなばらばらな取組では真のデジタル化の推進を望むことはできません。 県はもとより国や市町、 時には民間団体ともシームレスにかつ円滑、 効率的に事務処理が進み県民サービスに滞りを生じさせない仕組みが必要であります。
 昨年度の特別定額給付金の支給遅れのようなことは二度とあってはなりません。 中でも県民サービス提供の最前線となる市町におけるデジタル化については、 これまで以上に重要性が高まっている一方で専門人材の不足など課題もあることから県も積極的に関わっていく必要があります。
 そこで、 新たな計画の策定に当たって本県のデジタル化に向けた課題認識と市町のデジタル化に向けた支援にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、 大規模災害の対応について伺います。
 本年四月二十二日、 令和三年度当初の初動体制を確認するため全職員を対象とした参集訓練が行われ、 県は三十分以内の参集率は八一%、 初動体制に必要な人員は確保できたとして今回の結果を検証し参集率の向上に努めるとしています。 しかしながら想定されている南海トラフの巨大地震のような広範囲で起こる大規模災害が発生したときに十分な初動体制が取れるのか疑問な点があります。 災害時には職員自身や家族がけがをして救護を求めるケースもあり参集そのものが困難になることが想定をされます。
 昨年度行われた地域防災訓練に関する職員のアンケートを見ますと、 まず総合防災アプリ静岡県防災を半数以上の五二%の職員がダウンロードしていないと回答、 その理由に二二%が知らなかった、 一一%の職員は関心がないと答えています。 また災害時の備えである食料は五九%、 水は六一%の職員が五日以内の備蓄と回答しています。 この状況を見ると真に大規模な災害が発生したときに災害対応の最前線で力を発揮できるのか少し心配になります。
 防災先進県を標榜する本県職員の防災意識の向上を早急に図るべきと考えますが、 所見を伺います。
 また、 災害現場の情報収集の在り方として各市町からまとめられて上がってくる情報だけに頼るのではなく消防本部、 消防団、 自治会防災役員などと日常的に連携し直接情報を入手すべきとこれまでも訴えてきました。 大規模災害発生時に正確で迅速な現場の情報を入手することは県民の命を守るためにも最も重要であり、 大規模災害時に市町の機能が停止した場合などに備えて県が積極的に被害の情報や市町が必要としている人的・物的支援についての情報を収集し市町の要請を待たずに県から積極的に対応する必要があると考えますが、 県の所見を伺います。
 次に、 本県農林水産物のマーケティング戦略について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により本県農林水産物も大きな影響を受けています。 特に首都圏の外食市場に過度に依存してきた高級食材は影響の度合いも大きく、 ネット通販など販路の転換に生き残りをかけています。
 一方、 巣籠もりの需要等を背景に海外への輸出は堅調で清水港からの農林水産物の輸出額は過去最高を記録しています。 コロナ禍で様々な影響は出ているものの世界規模で捉えれば人々の栄養状態に影響を与えるような食料の輸出入が滞るということがなかったことを考えると、 プロダクトアウトからマーケットインへ一層の転換が必要であります。
 本県も平成二十九年にふじのくにマーケティング戦略を取りまとめ毎年度見直し本県の強みのある十一品目に絞り込み海外、 国内、 県内の戦略を推進しています。 昨年度は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いビジネスモデルが大きく変容したことから戦略を見直し改定を行ったと承知をしております。 しかしながらふじのくにマーケティング戦略二〇二一関連予算の総額約七十億円に対して戦略の一番の肝となる売上げ等の目標が明示をされておりません。
 戦略の成果を把握するためにも目標値を明示すべきと考えますが、 県の所見を伺います。
 また、 戦前の日本の外貨獲得の柱の一つが生糸と絹織物であり輸出額の約半分を占めていました。 また日本からアメリカやカナダに輸出した有力なものでミカンやツナの缶詰があり、 それが本県の缶詰工業を発展させてきたことを見ても農産加工を担う工業との結びつきは極めて重要であります。
 そこで、 農林水産物を原料とした加工品の販売戦略についての所見を伺います。
 次に、 海洋プラスチックごみ対策について伺います。
 昨年六月の議会で海洋プラスチックごみ対策について取り上げて以降ボランティア団体の清掃活動への参加や日曜日や祝日の空いた時間を利用して沼津の千本浜海岸や周辺のごみの回収作業に取り組んできましたが、 改めてプラスチックごみの多さに驚いています。 食品のプラスチック容器、 スナック菓子の袋、 発泡スチロールの破片、 マスク、 稲のポット、 時にはめがねやおもちゃ、 運動靴などが流れ着いています。 このなくならないごみはどこから流れてくるのかと不思議に思っていましたが、 先日御前崎市の工場で製造され富士市の企業に納入された製品のシールを見つけ川に流れ込み海流に乗って海岸に漂着したのではと勝手に納得したのですが、 海岸だけではなく河川の漂着ごみ問題にも目を向けなければなりません。
 昨年七月からレジ袋有料化の取組も始まり、 県も6R県民運動に取り組みリカバー  清掃活動に参加しようでは参加目標を五十万人に定め県民が清掃活動に参加することによりポイ捨てをなくす運動としています。 全国で様々な環境団体や自治体によるプラスチックごみに関する調査や研究が行われておりますが、 おおむね七割が流域の河川から海に流れ出ている陸域起源のものであり清掃活動は参加者のごみ問題についての意識向上等の啓発効果と一時的な環境の回復効果は期待されるものの、 ごみの散乱の防止やごみの削減という根本的な解決のためには清掃活動と並行して住民参加による河川流域のごみの実態調査、 カラスによる被害や強風で散乱しないようなごみステーションの設置運営方法の工夫など発生したごみが海岸に流れ出さないような広域的な取組が必要であります。
 県として海洋プラスチックごみのさらなる削減に向けてどのように取り組んでいくのか、 所見を伺います。
 次に、 住宅確保要配慮者への支援について伺います。
 安心して心豊かに暮らしていくためには生活基盤が整っていることが重要であり、 その基盤中の基盤が住むところがあるということは言うまでもありません。 住居の確保が困難な状況に置かれた方々への支援特に高齢者、 低所得者、 障害のある方、 子育て世帯、 外国人など経済的・社会的理由により自力で住宅を確保することが困難で特に配慮を要する方への居住支援の重要度は増しております。
 国では平成二十九年にセーフティネット法を改正し、 住宅確保要配慮者に対する支援制度を立ち上げこのような方々に対する支援を専門で行うための居住支援法人を県で指定できることとし、 現在県内では八つのNPO法人などが県の指定を受けて支援活動を行っています。
 先日、 清水区にあるNPO法人WACしみずさわやかサービスでお話を伺ってまいりました。 住宅確保の支援、 その後の生活支援や見守りなど継続的に支援する活動を展開している様子や、 コロナ禍における生活の変化や経済環境の急激な悪化に伴い住宅確保をはじめ相談件数は増加し相談内容も多様化している現状を伺いました。 居住支援法人に対する支援は現在国からの活動費補助のみであり、 コロナ禍で相談件数が増加、 法人の負担が増している中で一人一人の相談者にきめ細かく対応するための財政支援は不十分であります。 住宅確保要配慮者への的確な支援を行うためには行政と居住支援法人との協力体制の強化が必要不可欠であります。
 県民の誰もが住んでよしを実感できる安心して暮らせる静岡県を目指し、 県内各地において居住支援法人が十分活動でき住宅確保要配慮者が必要な支援を受けられる体制を県としてしっかり整えることが必要と考えます。
 そこで、 コロナ禍により増加する住宅確保要配慮者への支援体制を整備するためどのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、 発達障害児者への支援についてのうち、 地域における対応について伺います。
 本県の発達障害児者に対する支援体制は昨年四月県東部にアスタ、 中西部にCOCOの二か所の発達障害者支援センターが設置され県下の相談体制はこれまでよりも充実が図られましたが、 県下くまなくカバーするにはまだ不十分で市町との一層の連携が求められます。 支援センターの設置はあくまでも通過点であり、 支援センターに寄せられた相談からその地域ごとの課題を明らかにし県が設置している発達障害者支援地域協議会でより充実した議論を重ね課題解決の具体的な方策を進めることが重要であります。
 支援センターには、 幼児期の相談としては子供の発達を健診で指摘されたが専門的な療育機関がない、 学齢期には学習、 行動、 友人関係の問題や不登校、 いじめ、 先生との関係など、 青年期成人期では発達障害かどうか診断できる医療機関が知りたい、 就労、 職場でうまくいかない、 夫婦関係、 子育て、 経済問題など多岐にわたる相談が寄せられています。
 一方で、 相談後の支援体制は十分ではなく、 県として受皿の早急な整備や浮き彫りになった課題解決の方策を積極的に進めていく必要があります。
 そこで、 支援センターに寄せられた相談、 地域の課題に対する県の取組について二点伺います。
 一点目は、 早期療育支援についてであります。
 発達に遅れのある児童に早期の療育支援を行う際には医師による正確な診断、 カウンセリング等を行い一人一人の特性を踏まえて支援の方向性を決めていくことが望ましいとされています。 しかし全国的にもまた本県においても発達障害を診断できる医療機関が不足をしており、 早期に適切な療育支援を行うためには診療機会の確保が必要不可欠であります。
 また、 診断後には障害福祉サービス利用のためサービス等利用計画の作成が必要となりますが、 計画を作成する相談支援事業所の数が十分ではなく保護者自ら計画を作成するいわゆるセルフプランの比率が高い市町が依然として散見をされています。 その後の療育においても地域で十分な発達支援が受けられるよう支援体制の充実が必要であります。
 そこで、 これらの課題を踏まえ発達障害に対する診療の機会確保に向けた取組と地域における支援体制の充実策について伺います。
 二点目の課題は、 青年期の就労における継続的な支援体制についてであります。
 就労し社会に出て初めて大きな壁にぶつかります。 特に職場における人間関係でつまずくことが多く、 本人の特性に合った直接支援はもとより職場における障害への理解をどのように深めていくのか関係各機関が連携して対応することが重要であります。
 そこで、 青年期への対応について、 県の所見を伺います。
 次に、 進学期における切れ目のない支援について伺います。
 発達障害は早期に発見し適正な支援を行うことで社会生活への適応力が向上していくとされており、 学齢期における支援は大変重要であります。 また近年では就学前の幼児期にあっても特別な支援を必要とする子供が増加し幼児教育施設においても個別の支援を必要とする状況があると聞いています。
 こうした現状から、 まず就学前の早期支援を進めるために幼児教育に携わる保育者等の理解と支援を充実させ学齢期へとスムーズにつなげていくことが必要であります。 また小学校から中学校への進学においても特別な支援を必要とする児童の日頃の様子や小学校のときに受けていた支援の内容を中学校にしっかりと引き継いでいくことが重要であり、 そうした切れ目のない支援体制をつくることこそが障害のある子供の明るい将来、 社会的自立につながっていくと考えます。
 しかし、 発達障害のある子供を持つ保護者からは我が子が幼稚園から小学校、 小学校から中学校へと進学期を迎えるたびに学校から障害の状況やこれまで受けてきた支援について詳細に質問されたと伺いました。 本県における発達障害のある子供への支援、 特に進学時における引継ぎ等の状況と切れ目のない支援体制に対する所見を伺います。
 次に、 公共交通の支援について伺います。
 人口減少や首都圏への人口流出等により生活の足である路線バスなど既存の地域公共交通は乗客の減少が進み自治体の補助金に頼る運営が常態化しています。 特にコロナ禍による乗客の減少により地域交通事業者は大幅な収益減となり、 これまでにない厳しい時代を迎えて補助金を含めても収益を確保できない赤字路線については減便や廃止などの見直しが相次いでいます。 高齢者や子供などの交通弱者にとって公共交通機関はなくてはならないものであり、 交通不便地域の増加は地域コミュニティーの衰退に直結することから、 これまでの枠にとらわれない新たな視点での公共交通の在り方の検討が必要になっています。
 こうした中、 先進的な取組として地域の公共交通機関を地元住民の協力によって確保する新たな取組コミタクが本年四月から私の地元沼津市大岡地区で始まりました。 私は勝手に公共交通の大岡モデルと称していますが、 大岡地区連合自治会を実施主体とし地域の高齢者の買物や通院など日常生活の移動手段の確保のため、 地域を循環するデマンドタクシーを社会実験として九月末、 本日まで運行しています。 これまでの実績では稼働率や乗合率などほぼ目標とする数値をクリアしている状況です。
 県内でも各地域でバス路線の廃止に伴うデマンド交通が稼働していますが、 定着するまでには様々なハードルを越える必要があり地域住民の要望が強くても実現に至らないところも数多くあります。 大岡地区についても今回の実証実験の前に平成二十八年には地域の要望により沼津市がコミュニティーバスを走らせる実証実験を行いましたが、 地域住民への周知が不十分で乗車率が悪く定着しなかった経験があります。 今こそ県が市町と連携して需要の高まる地域の交通弱者を支える仕組みづくりに乗り出すべきと考えます。
 実証実験や運行にかかる財政支援はもとより、 成功の鍵は地域住民を巻き込んでその地域に適した交通体系を築いていくことにあります。 そのためには県下各地の成功事例を基にその地域に合った実現への道筋をともに考え継続して支援するアドバイザーの派遣などソフト面の支援も大変に重要です。
 コロナ禍や少子高齢化の進展など地域の公共交通機関の置かれた状況は厳しく早期の回復が見通せない中で地域における公共交通の支援に向けた県の取組を伺います。
 次に、 建設業が地域の守り手としての使命を果たすための支援について伺います。
 七月三日に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害現場では、 地元の建設業者の皆さんが災害応援協定に基づき二次災害の発生リスクが想定する中でも現場に急行し速やかに捜索活動や応急復旧活動を推進するために昼夜を問わず道路啓開等に当たりました。 その後災害復旧のために公共土木施設の被害状況を把握するとともに現在も応急復旧業務に当たられています。
 今回の災害により災害時における建設業の果たす役割の重要性を再認識するとともに、 これらの業務に従事する方々が安心して働ける環境を整備することが県の責務であると改めて感じます。 また建設業は頻発化、 激甚化する災害への対応面で役割が増していますが平時においても本県の社会インフラの整備と維持管理、 老朽化への対応など様々な役割を担っています。
 しかし、 人口減少、 高齢化の影響等により従事者は減り続け、 経済センサスによれば直近のデータの平成二十八年度の建設業従業者数はピーク時の平成八年度と比べ三分の二に減少をしています。 年代別に見ても二十九歳以下は一〇%にすぎず約半数が五十歳以上であるなど高齢化が顕著となっており、 従事者の減少、 高齢化は災害復旧に当たる建設業者の減少を招く懸念があります。 建設業の新たな担い手の確保のためには仕事が天候に左右される一方で契約により工期が決められ不規則となりがちな建設業特有の就業形態を改めることが必要で、 例えば工事現場の週休二日制など発注者側において働きやすい環境を意識した発注を行うことも大変に重要であります。
 このままでは地域の守り手としての建設業者が大幅に減少し災害対応の地域力も縮小することになり、 結果として県民の安全・安心が脅かされる状況となりかねません。
 そこで、 災害応援協定に基づく要請を受けて出動した建設業者の方々が安心して業務に従事できるよう県はどのような取組を行っているのか、 また建設業の担い手確保の取組について伺います。
 次に、 黄瀬川大橋の橋脚崩落の対応について伺います。
 七月三日、 梅雨前線の停滞による大雨で黄瀬川大橋の橋脚が沈下し幸いにも人的な被害はなかったものの県道富士線が通行止めとなりました。 約二か月後の八月三十一日に仮設橋が設置をされ通行止めは解除となりましたが、 自転車、 バイクなどの二輪車と七・五トン以上の大型車は通行することができず周辺の迂回道路は朝夕の通勤、 通学の時間帯は渋滞となり、 周辺地域の住民や通勤通学の利用者からは一刻も早い本復旧が求められております。
 黄瀬川の管理者である国土交通省沼津河川国道事務所と本格復旧に向けて調整していると承知をしていますが、 黄瀬川大橋の本格的な復旧に向けての現状について伺いたいと思います。
 また、 黄瀬川大橋は設置から六十八年が経過していますが、 七年前に橋脚の耐震工事を行い補強しています。 七月三日当日の朝、 私も地域の浸水被害の状況調査を兼ねてたまたま黄瀬川大橋の現地で沈下する前に右岸の橋脚に勢いよく川の流れが当たっていたのを確認しています。 長時間にわたる強い流れにより沈下したとすれば、 今後予想外の長雨や集中豪雨による橋の崩落は黄瀬川以外の河川にも同様のことが起こり得ます。
 そこで、 県下の河川に架かる橋梁の緊急点検を行う必要があると考えますが、 県の見解を伺います。
 次に、 医療的ケア児と家族への支援について伺います。
 医療的ケア児とは医療的なケアが日常的に必要な児童であり、 全国で約二万人が在宅生活を送り過去十年間で倍増したと推計されています。 平成二十八年障害者差別解消法が施行され、 誰もが平等に学ぶ機会を保障するため社会的障壁を取り除くための合理的な配慮を行うことが求められています。 これに伴い医療的ケアが必要な児童生徒が特別支援学校に限らず小中学校に在籍するようになりインクルーシブ教育が進み始めました。 公明党静岡県議団ではこれまでも医療的ケア児の家族から切実な声を伺い議会をはじめ様々な場面で医療的ケア児に対する支援の充実を求めてきました。 その結果看護師を学校に派遣する県単独のレスパイト事業の創設、 小中学校医療的ケア連携協議会の立ち上げ、 医療的ケアの手引の作成と活用等の取組は評価をいたしますが、 看護師の不足、 年度初めの教員、 看護師の研修期間における家族の負担増、 人工呼吸器装着の場合は常時家族の付添いが必要など課題は残されたままであります。
 国では、 医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに家族の離職防止等の負担軽減を図るため本年六月医療的ケア児支援法が成立し九月より施行となりました。 居住地に関係なく等しく適切な支援をすることが国や自治体の責務と明記され、 保育・教育体制の充実、 ケアを行う人材の確保や家族の相談に対応し情報提供や助言を行う医療的ケア児支援センターを都道府県に設置することも求めており、 家族に寄り添うセンターが迅速に設置されることを望みます。
 医療的ケア児支援法施行により医療的ケア児と家族への支援が拡充することを期待する一方で、 特に学校現場における慢性的な看護師不足等の課題を解決するためには相当な覚悟と戦略が必要であります。
 例えば学校看護師の配置や看護師の働き方の見直し、 研修の在り方など新たな体制整備をするなど、 具体的、 効果的な推進が求められます。 大阪豊中市では市立豊中病院へ負担金を払い病院から小中学校に看護師を派遣する協定を結び、 待遇改善やキャリアアップに取り組み学校看護師の安定的な確保に取り組んでいる先進事例もあります。
 そこで、 法施行を踏まえ今後学校現場で医療的ケア児と家族への支援をどのように進めていくのか、 教育長に伺います。
 次に、 十八歳への成年年齢引下げに伴う県立高校での消費者教育について伺います。
 民法改正により来年四月より成年年齢が十八歳に引き下げられます。 成年になれば親の同意なくクレジットカードが作成できるのをはじめ様々な契約が可能となります。 同時に悪徳商法の被害に遭うおそれもあるため高校生への消費者教育が進められてきました。 国も成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンを実施しており、 八月には教員向けのオンラインセミナーを開催をいたしました。 現在は未成年の十八歳、 十九歳が仮に悪徳商法などで高額な商品を契約しても法定代理人である親の同意がなければその契約を取り消すことができる未成年者取消権がありますが、 成人になると取り消すことはできなくなります。
 今年三月に実施された成年年齢引下げ浸透度フォローアップ調査によると、 成人が結んだ契約は原則として取り消すことができないことを知っているかとの問いに十八から十九歳の約半数に当たる四九・三%が知らないと回答しています。 また消費者庁が調査した全国の高校等での消費者教育の教材 「社会への扉」 等を活用した授業の実施率を見ると、 国公立が九五%に対し私立は六五%にとどまっています。 幸い本県は公立は九五%、 私立は九一%で実施率はともに九割を超えております。
 高校生への消費者教育は単にトラブルに関する知識を身につけるだけでなく、 自ら考える力、 断る力、 相談する力、 見抜く力を養います。
 そこで、 来年四月の十八歳成年の施行まであと半年となりいま一度高校生への消費者教育を行い賢明な消費者として社会に雄飛できるよう支援していく必要があると考えますが、 県の所見を伺います。
 最後に、 災害時における警察の対処能力について伺います。
 熱海市伊豆山における大規模な土石流災害において、 本県警察は発生当初二次災害発生のおそれがある中でも救出救助活動に当たるほか、 検視、 身元確認、 相談対応、 警戒、 警ら活動等、 長期間にわたり様々な活動を行ってきたと承知をしております。 私も被災現場に何度か訪れた際に猛暑の中汗だくになり救助活動している警察官の姿に出会いました。 改めて対応に当たられた本県警察の皆様に感謝を申し上げます。
 対応が長期化してからは派遣された自衛隊、 消防、 他県からの応援部隊が引き上げ、 地元の建設関係者と本県警察部隊のみの対応となっていました。 近年多発、 激甚化する大雨等の自然災害や南海トラフの巨大地震などを踏まえれば、 今後は今回のように他県の応援部隊が大量に派遣されるケースばかりではないと思われます。 今回の災害対応の経験を糧に本県警察部隊の災害対処能力を向上させていく必要があると考えます。
 そこで、 今回の災害警備の経験から得られた教訓とそれらを基に県警察の災害に対する対処能力をどのように高めていくのか、 警察本部長に方針を伺います。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (宮沢正美君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  蓮池議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 次期総合計画における誰一人取り残さない静岡県の実現につきましては、 基本理念である富国有徳の美しいふじのくにづくりの柱に新たに静岡県をSDGsのモデル県にを掲げ障害、 性別、 年齢、 国籍など多様性を認め合う包摂力のある社会の実現を目指してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は世界に大きな打撃を与えました。 深刻な危機に直面している今、 SDGsの理念はその重要性を増しております。 コロナ禍の教訓を踏まえた疫病から国民、 県民を守る防疫体制の強化や利他の精神に支えられた力強い経済の再生、 さらに生活困窮に陥った人々などへの支援の充実等に取り組んでいく必要があります。
 とりわけ、 医療・福祉の充実はもとよりですが、 コロナ禍を契機に問題が深刻化してまた顕在化している課題もございます。 そうしたことに対してきめ細かく対応していく必要があります。 非正規雇用の女性就労の不安定さやドメスティックバイオレンス  DVの増加、 ジェンダー不平等に対する問題意識の高まりなどへの対応の充実のほか、 家族の介護や世話をする十八歳未満の子供たちが過度の負担により就学や進学などに影響が及んでいる、 いわゆるヤングケアラーの問題などにも積極的に取り組んでまいります。
 コロナ危機により国も地方も厳しい財政状況に置かれております。 しかしこの未曽有の緊急事態の下でこうした危機を乗り越えるための財政出動は不可欠であります。 最優先すべきは県民の皆様の命を守る安全・安心な地域づくりであることは言うまでもありません。 その上で徹底した歳入、 歳出両面からの改革、 見直しに取り組みまして次期総合計画の脱炭素社会に向けた取組とかデジタル化の推進等々の喫緊の行政課題に対しても的確に対応してまいる所存であります。
 次期総合計画におきましては、 本県の目指す姿として県民幸福度の最大化を掲げております。 そして公務に携わる者は全体の奉仕者としてその職務に強い使命感を有しております。 誰一人取り残さない静岡県を築き上げていくために私は県庁の全ての職員とその思いを共有いたしましてこの大きな課題に全力で取り組んでまいる所存でございますので、 蓮池議員をはじめ皆様の御支援、 御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、 オリンピック・パラリンピックのレガシーについてであります。
 東京二〇二〇大会において、 オリンピックでは本県ゆかりの選手が金メダル五個を含む十二個のメダルを獲得するなど十競技、 二十二人の選手が入賞を果たしました。 パラリンピックでは金メダル六個を含む十三個ものメダルを獲得するなど九競技、 十三人の選手が入賞を果たされました。 この目覚ましい活躍は多くの県民の皆様に夢と感動、 勇気をもたらしました。 改めてスポーツの力を感じたところであります。
 県ではこれまで、 オリンピックでは百十九人、 パラリンピックでは四十人を強化選手に指定し強化合宿、 遠征費用、 競技用具の購入費用、 練習会場の借上費用等々に対し補助するなど選手の強化活動を支援してまいりました。 これらの支援策が多数のメダルを獲得するなどすばらしい成績に結びついたものと考えております。 本県ゆかりのアスリートの活躍を今後につなげていくため、 次期オリンピック・パラリンピックに向けてトップアスリートへの支援を今後も継続してまいります。
 また、 未来のアスリートを目指す子供たちに対して憧れのオリンピアンあるいはパラリンピアンに御協力を頂き、 自らの体験などを語る講演会とか専門的な技術指導を受けることのできる講習会を開催するなど選手と子供たちが直接触れ合う機会を設けてまいります。
 障害者スポーツにつきましては、 障害のある方もない方も共に参加する静岡県パラスポーツ運動会を開催するほか、 競技用義足の普及啓発に向けた取組の実施や指導員を福祉施設や特別支援学校に派遣しスポーツ教室を開催するなど未来のパラアスリートの発掘・育成を図るとともに、 スポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
 今後も県スポーツ協会や県障害者スポーツ協会等と連携していくとともに、 オリンピック・パラリンピックのレガシーを発展的に継承するためその推進役となる組織スポーツコミッションの設置に向けた検討を進め、 スポーツ医科学や観光、 スポーツ産業の育成などスポーツの枠を越えた様々な分野との連携を図ることによりスポーツを核とした地域づくりを推進してまいります。
 次に、 県東部の拠点都市づくりについてのうち、 次期総合計画における県東部地域の目指す姿についてであります。
 東部地域ではこれまで、 商業や文化などの機能を有する個々の市町が言わば群雄割拠しそれぞれの個性を発揮されてこられました。 しかしその一方で地域全体としての求心力に弱さがあるということも指摘されてまいりました。 コロナ禍によって地方への移住意識が高まる中では首都圏からの移住者を確実に呼び込むため個々の市町の個性的、 それぞれの魅力に磨きをかけつつ地域が連携し活力を生み出す高次都市機能を充実させていくことが重要であります。
 東部地域では先人たちが築いてこられた多様な資源に加え 「ウーブン・シティ」 プロジェクトが始動したことにより、 世界からこれに参加する多様な主体産業が集うことが想定されております。 加えまして中部横断自動車道や国道百三十八号バイパスの開通に伴い山梨県や長野県などから日本のシンボルである富士山周辺地域への誘客の拡大が期待されております。 それだけでなく医療機器産業における山梨県との一層の連携も大きく期待されるところであり、 世界に誇る医療健康産業の集積地域としてさらなる躍進が見込まれます。
 今後東部地域におけるこれらの資源を十分に生かしていくためには市町をはじめとする多様な主体との連携は不可欠であります。 県と市町との間で地域サミットなど様々な機会を通じ十分な意見交換を行い地域の目指す姿をしっかりと共有してまいります。
 既に県におきましては、 大河ドラマ鎌倉殿の十三人の放映に向けて東部地域局、 伊豆観光局を中心に市町、 観光商工関係団体と共に協議会を組織し広域周遊促進や誘客促進事業など地域全体の魅力向上に向けた取組を進めております。 また新たな産業、 新たな成長の創出への取組に向けましては、 県が主導してオープンイノベーションを促進することにより研究機関、 大学、 企業、 金融機関などの多様な主体が参加した様々な分野の取組が進められております。
 その上で、 これら政策の推進に必要な行政体制やその機能を発揮させるための拠点となる行政機関等公共施設の集約、 複合化につきましても今後検討が必要となってくるものと考え、 一つには東部地域を励ますため、 もう一つには本県庁舎、 特に東館の老朽化、 耐用年数が視野に入ってきたことも踏まえまして今一極に集中している本県の行政の分庁化が可能かどうかの検討を戦略局に始めてくれるように指示をしたところであります。
 県といたしましては、 今後もこの地域、 東部地域に住まわれる人々の力を結集した取組を進め地域の活力を引き出していくことにより東部地域の魅力を最大限に生かした地域づくりに取り組み、 ポスト東京時代の先駆けとなるふじのくにづくりを全力で実現してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長 (宮沢正美君)  出野副知事。
○副知事 (出野 勉君)  新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症に罹患された方の中には病院等での治療や療養が終わった後も一部の症状が長引く場合があることが分かっております。 現在国において症例を集めている段階であり原因の解明には至っておりません。 このため後遺症に苦しむ方々への支援としては、 後遺症に関する情報の提供とともに相談や治療の体制を整えることが必要であります。
 まず、 後遺症に関する情報の提供につきましては、 正確な情報を県民の皆様にお届けすることが重要でありますので東京都が作成した新型コロナウイルス後遺症リーフレットなどを参考にユーチューブ、 LINEなどのSNS、 県や市町のホームページや広報誌、 マスコミへの資料提供など積極的な広報活動を通じて新型コロナウイルスの治療後に様々な症状の後遺症が残る可能性があることを多くの県民の皆様に知っていただき、 相談や受診につながるよう取り組んでまいります。
 次に、 相談や治療の体制につきましては、 当面の対応といたしまして新型コロナウイルス患者を受け入れている病院での継続的に治療されている場合などについて各病院における実態を調査し後遺症専門外来を標榜していなくても後遺症の相談や治療に対応していただいている医療機関の情報を県民の皆様へ提供してまいります。
 今後、 後遺症の症例が蓄積されるのに応じて原因や治療法についての研究も進むことが期待されますので、 がんやエイズなどのように新型コロナナウイルス感染症などへの相談から後遺症も含めた治療を行う中核的な機能を持つ病院の指定、 ネットワーク化など医療提供体制の構築と財政支援を国に対して求めてまいりますとともに、 県といたしましても新型コロナウイルス感染症に罹患された方々が安心して相談や治療を受けられる体制の在り方について検討し構築を進めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  和田交通基盤部長。
○交通基盤部長 (和田直隆君)  県東部の拠点都市づくりについてのうち、 沼津駅周辺総合整備事業についてお答えいたします。
 沼津駅周辺総合整備事業は、 駅周辺における中心市街地の交通問題の解決や分断された南北市街地の一体化を図るとともに、 鉄道高架により新たに生まれる土地を最大限に活用して駅周辺に人が集まりにぎわいと活力ある都市づくりを進める上で極めて重要な事業であります。
 鉄道高架事業につきましては、 新貨物ターミナルの用地取得が完了したことから沼津市と協力し取得した用地の埋蔵文化財調査を今年度中に完了させてまいります。 また今年度市が新貨物ターミナル用地の造成工事に着手することから、 県では鉄道事業者の協力を得て新貨物ターミナルの詳細設計を来年度末までに完了させ引き続き新貨物ターミナルの工事に着手してまいります。
 土地区画整理事業につきましては、 現在沼津市が二地区において事業を実施しております。 このうち沼津駅南第一地区では、 建物の移転が完了し新たな街並みが形成されつつあり令和六年度の事業完了に向けて着実に工事が進められております。 また車両基地を含む静岡東部拠点第二地区では、 中心市街地まちづくり戦略を踏まえた仮換地原案が策定され権利者のおおむねの了解が得られたことから、 今後仮換地指定を行った上で、 来年度から物件の移転補償に着手していく予定であります。
 県といたしましては、 沼津駅周辺が県東部の拠点都市としてふさわしい魅力あるまちとなるよう引き続き市と連携を図りながら鉄道高架事業を核とする沼津駅周辺総合整備事業の推進に全力で取り組んでまいります。
 次に、 公共交通の支援についてであります。
 バスをはじめとする地域の公共交通は県民の皆様の日常生活を支える重要な社会インフラであり、 少子高齢化や人口減少による利用者の減少が進む中より一層の効率的な運行による路線の維持、 確保が喫緊の課題となっております。
 こうした中、 県内の市町におきましてはバス路線の再編や車両の小型化のほかデマンド方式による運行が行われております。 このうちデマンド方式による運行につきましては予約方法等の利便性向上と運行の効率化が大きな課題となっております。
 これらの課題解決に向けた新たな取組としては、 昨年度下田市内においてAIを活用し予約状況に合わせて運行経路を最適化するデマンド運行の実験が行われております。 これらの取組には地域住民の皆様の御理解、 御協力が不可欠であることから、 県では地域住民や交通事業者などで構成する各市町の公共交通会議において地域の様々な輸送資源の活用事例を紹介するとともに、 学識経験者からのアドバイスを頂くなど地域の実情に応じた交通サービスが提供されるよう関係者と連携して取り組んでおります。
 県といたしましては、 今後も県民の皆様の日常生活の移動手段である公共交通が適切に維持確保されるよう引き続き取組の支援に努めてまいります。
 次に、 建設業が地域の守り手としての使命を果たすための支援についてであります。
 熱海市の土石流災害の現場におきまして九月二十五日に土砂搬出作業に従事されていた男性がお亡くなりになりました。 伊豆山地区の復旧・復興に尽くされていた方が命を落とされたことは誠に残念であります。 このような事故が二度と発生しないよう熱海市と共に災害現場の安全管理に努めてまいります。
 今回の土石流災害で改めて認識されたところでありますが、 建設業はインフラの整備や維持管理、 災害時の対応等、 地域社会の安全・安心を守る重要な担い手でありその役割は年々増しております。
 県では、 応急復旧作業に従事する方々に安心して活動していただけるよう出動要請による作業での損害に対しましては、 災害応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例及び静岡県地震対策推進条例に基づく補償が適用されることを明確にするため、 損害補償等の条項を加えた災害協定を昨年度各地区の建設業協会と締結いたしました。
 また、 担い手の確保につきましてはこれまで出前講座や現場体感見学会、 親子インフラツーリズム等により土木の魅力を伝える取組を進めてまいりました。 今年度は新たに若手社員の離職防止対策として静岡どぼくらぶ若手交流会による会社を越えた社員のネットワーク構築や若手育成教育支援セミナーによる経営者等への社員育成のノウハウ伝授の取組を始めたところであります。 さらに労働環境改善のため昨年度から全ての県発注工事を週休二日推進工事の対象とするとともに、 本年四月からは毎月第二土曜日をふじ丸デーと定め県内公共工事を一斉休工する取組を開始するなど官民挙げて働きやすい環境の整備を進めております。
 県といたしましては、 今後も建設業が地域の守り手として求められる役割を果たし続けていけるよう災害応急対策業務への支援と将来にわたる担い手の確保、 育成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、 黄瀬川大橋の橋脚崩落の対応についてであります。
 黄瀬川大橋につきましては、 国の技術支援を得て応急的な対策として被災した区間の仮設橋工事を実施し八月三十一日に通行を再開いたしました。 本格的な復旧に向けましては本復旧工事期間中の交通を確保するため新たな仮設橋を設置することとし、 今月から測量、 設計に着手したところであります。 また黄瀬川大橋の復旧方針につきましては、 将来交通量や河川改修計画などを踏まえて定めていく必要があることから、 河川管理者である国土交通省や関係者の皆様との協議を進めてまいります。
 橋梁の緊急点検につきましては、 黄瀬川大橋の被災原因が異常出水により河床が洗掘され橋脚が沈下したことによるものと考えられることから、 河川内に橋脚を有する県管理橋梁のうち河床への橋脚基礎の根入れが規定された昭和五十一年の基準よりも前に建設された百十橋につきまして年度内を目途に橋脚周辺の洗掘状況の点検を実施してまいります。
 県といたしましては、 黄瀬川大橋の本格的な復旧に向け関係者の協力を得て復旧方針を早期に策定するとともに、 県管理橋梁の保全対策を着実に進め災害に強く信頼性の高いみちづくりに努めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  山口デジタル戦略担当部長。
○デジタル戦略担当部長 (山口武史君)  本県におけるデジタルトランスフォーメーションの推進についてお答えいたします。
 新型コロナウイルスの感染症の拡大によりデジタル技術の活用が不可欠であることが明らかになった一方でデジタル機器が不得意な方が数多くおり、 このままでは全ての方が等しくデジタル化の恩恵を受けられないことが課題であると認識しております。 また介護や子育て、 住民記録など住民に身近な行政サービスの多くは市町を窓口とする手続であり、 とりわけ市町のデジタル化の推進が重要であることは議員御指摘のとおりであります。
 国は自治体DX推進計画において、 令和四年度末までに市町における行政手続のオンライン化を、 令和七年度末までに十七業務のシステムの標準化・共通化をそれぞれ完了させるものと定めました。
 県では今年度策定するふじのくにDX推進計画において、 市町DXの推進への支援を基本方針の一つに掲げ行政手続のオンライン化に関する検討会やシステム事業者との勉強会などを始めております。
 県といたしましては、 一つの市町も取り残すことなく足踏みをそろえてデジタル化を進めていけるよう現状や課題を把握した上で市町に寄り添ったきめ細やかな支援を引き続き実施してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  太田危機管理部長。
○危機管理部長 (太田博文君)  大規模災害の対応についてお答えいたします。
 県内で震度六弱以上の地震を観測した場合など大規模災害の発生やそのおそれがある場合は、 県職員は直ちに全員参集し災害対策本部体制を取ることになっております。 このため全ての県職員は全体の奉仕者として常に高い防災意識を持ち災害時の招集に備え平時における自身と家庭の備えを徹底しておくことが肝要です。
 毎年十二月の職員アンケートで職員の防災対策の実情の把握に努めておりますが、 住宅の耐震化率は九三%となっている一方、 防災アプリの導入率、 家庭での一週間分の食糧備蓄などがいまだ不十分であることから、 災害時に万全の体制で臨めるよう全職員の平時の防災対策を徹底してまいります。
 次に、 大規模災害時における現場の情報収集や市町への支援についてであります。
 昨年度防災アプリに自主防災組織等からの情報収集機能を追加したほか、 県と市町を結ぶ防災情報システム回線の複線化や県内四方面本部と市町との密接な連携により情報収集体制を確保しております。 また大規模災害時はあらかじめ指名した市町情報収集要員を直ちに市町に派遣し積極的に被害情報や市町が必要としている支援情報の収集を行います。 さらに本県は、 総務省の災害マネジメント総括支援員等の制度に全国最多の六十一名の職員を登録しており、 被災自治体への助言や支援ニーズの把握、 関係機関等との調整を行うなどの支援体制を整えてまいります。
 県といたしましては、 災害時は現場が混乱し支援ニーズも多種多様となりますことから、 国や他の都道府県、 県内市町のほか、 協定を結ぶ民間機関等と日頃から連携することでいざというときに迅速に総力を挙げて支援できる体制づくりに努めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長 (細谷勝彦君)  本県農林水産物のマーケティング戦略についてお答えいたします。
 県では、 平成二十九年二月にふじのくにマーケティング戦略を策定しマーケットインの視点の下、 国内外における県産農林水産物のブランド価値向上と販路拡大を推進してまいりました。 昨年度は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い食に関する消費者の行動様式や流通事業者等のビジネスモデルが大きく変容したことから、 戦略を見直してデジタル技術を活用した新たな供給システムの構築や首都圏に次ぐ新たなマーケットとして山の洲くにの広域経済圏の形成に取り組むこととし、 現在ECサイトを活用した販路拡大や山梨県や長野県などに向けた新たな物流網の構築を進めております。
 戦略の目標値につきましては、 これまで経済産業ビジョンに首都圏での販売や輸出に関する指標を掲げており、 本戦略には明示しておりませんでしたが、 進を見える化することが重要でありますので今年度の戦略の見直しに際しましては目標値の設定について検討してまいります。
 農林水産物を原料とした加工品につきましては、 マーケティング戦略に基づき優れた製造技術を有する県内企業等が開発した加工品をふじのくに新商品セレクションとして表彰しブランド価値の向上に努めております。 セレクション商品を中心に首都圏や海外の量販店とのオンライン商談会の開催などデジタル技術を活用し販路拡大を図ってまいります。
 県といたしましては、 消費者の行動変容や市場の変化を適切にマーケティング戦略に反映させ県産農林水産物や加工品のより一層の販路拡大に取り組んでまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  海洋プラスチックごみ対策についてお答えいたします。
 県では、 プラスチックごみの発生抑制と海洋への流出防止に取り組む独自の6R県民運動を推進しております。 発生抑制につきましてはレジ袋の有料化を契機にコンビニなどと連携してマイバッグ利用の啓発に取り組んでおり、 今後は来年四月に予定されるプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行に合わせて不要な使い捨てプラスチックを断るなどの実践行動を呼びかけてまいります。
 海洋への流出防止につきましては、 昨年度海岸や河川等での清掃活動にコロナ禍の中延べ約十八万人の皆様に参加していただきました。 今年度は五月に浜松市で行われた海岸清掃に天竜川上流の長野県職員にも御参加頂いたほか、 プラスチックごみ等の回収活動への助成事業に二十八団体から応募があるなど実践の輪が着実に広がっております。
 河川流域のごみの実態につきましては、 毎年県内で実施されている統一美化運動での実績が参考になるものと考えておりコロナ蔓延以前の令和元年度のごみの回収量は約六十三トンでした。 またごみが散乱しないような集積所の設置運営方法につきましては、 市町と連携しごみ出しのマナーや優良な管理事例を県民の皆様に周知してまいります。
 県といたしましては、 SNSを活用したキャンペーンなどにより将来を担う子供や若者の一層の参加を促すことで、 6R県民運動を推進し海洋プラスチックごみのさらなる削減に努めてまいります。
 次に、 住宅確保要配慮者への支援についてであります。
 高齢者、 低所得者、 障害のある方などの住宅確保要配慮者が住宅を確保しやすいように住宅セーフティネット法では、 大家が入居を拒まない民間賃貸住宅を県が登録し情報提供する仕組みや居住支援法人が情報提供や相談を受けて入居等を支援する制度があります。 県では入居を拒まない民間賃貸住宅の確保に努め現在約三万戸を登録しております。
 平成二十六年度には県、 市町、 居住支援法人、 不動産関係団体及び福祉関係団体によるネットワークづくりを目的に静岡県居住支援協議会を設立し、 協議会会員間の連携強化や行政の福祉部門等との意見交換、 住宅情報の共有などを進めてまいりました。 コロナ禍を受けて相談件数が増加し居住支援法人のサービスが行いにくくなっていると伺っております。
 こうした中、 支援法人が地域ごとの特性や課題に対しきめ細かく速やかに対応するためには福祉等と連携した市町単位での居住支援協議会の設立が必要であると考えております。
 県といたしましては、 地域の協議会の設立に向けて支援法人のさらなる指定に努めるとともに、 関係機関の合意形成や設立のためのノウハウなど先進事例の研究や有識者を含めた勉強会を開催し住宅確保要配慮者が安定した住まいの確保ができる体制を整備してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  石田健康福祉部長。
○健康福祉部長 (石田 貴君)  発達障害児者支援についてのうち、 地域における対応についてお答
えいたします。
 発達障害の診療機会の確保につきましては、 伊豆医療福祉センターなど専門的な医療機関において新たに診療を開始する病院の医師に対する診療技術の研修を行うほか、 かかりつけ医を対象とした対応力向上研修などにより身近な地域で診察を受けられる環境の整備を進めております。 診察可能な医療機関につきましては県ホームページ等を通じて県民の皆様へ周知しているところであります。
 サービス等利用計画の作成につきましては、 地域の社会資源や制度を熟知する専門家である相談支援専門員を年間約百二十人養成するとともに、 多様な障害に対応するための資質向上研修を毎年開催し作成支援を充実することで、 保護者によるセルフプランの解消に努めております。
 さらに地域の支援体制の充実につきましては、 療育の拠点として重要な市町の児童発達支援センターの設置に向けた助言などを行ってきた結果、 令和二年度末までに二十一市町で設置されました。 令和五年度末までには全ての市町において必要な支援が受けられる体制の構築を目指してまいります。
 次に、 青年期への対応につきましては、 県内八か所にある障害者就業生活支援センターによる就労と生活の両面からの直接支援に加え、 圏域ごとに福祉、 雇用、 教育などの関係機関による就労支援ネットワークを構築し企業や事業所における障害への理解促進を図っております。
 県といたしましては、 今後とも発達障害者支援センターを中心に市町や医療、 福祉、 教育などの関係機関と連携し発達障害のある方のライフステージに応じた支援の充実に取り組んでまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  木苗教育長。
○教育長 (木苗直秀君)  発達障害児者支援についてのうち、 進学期における切れ目ない支援についてお答えいたします。
 発達障害のある子供が安心して学び健やかに成長していくためには、 幼児期から全ての教育課程において一人一人の特性が理解、 共有され切れ目のない支援を受けられることが重要であります。
 就学前には市町において幼児教育施設等への巡回相談を行い保育者の発達障害への理解と支援を充実させるとともに、 学校関係者や医療・福祉の専門家で構成される就学支援委員会において障害の状況に応じた適切な就学先を協議し保護者にお伝えしております。 また近年特別な支援を必要とする子供が増えていることから、 幼児教育施設から高等学校までの各学校間の情報共有の徹底を図るよう昨年度市町教育委員会に依頼いたしました。 あわせて、 毎年度各学校に置かれる特別支援教育コーディネーターや生徒指導担当者に対し子供一人一人の状況に合わせた指導計画等を用いて必要な情報の引継ぎを確実に行うよう指導しております。
 こうした取組により、 進学時の引継ぎの重要性について教員の意識が高まり学校の教員同士が直接話し合って情報共有するなど体制が整備されてきております。 さらに進学の際には円滑に新しい学校生活が始められるよう家庭での様子や保護者の願いを直接伺っており、 その必要性を保護者に十分御理解頂きながら、 学校、 児童生徒、 保護者を含めた関係者間で意思の疎通を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、 発達障害児者の明るい将来と社会的自立に向けて引き続き市町教育委員会、 学校現場、 外部機関と一層連携を進め切れ目のない支援体制の強化に努めてまいります。
 次に医療的ケア児と家族の支援についてであります。
 医療技術の進歩に伴い医療的ケア児が増加する中にあって医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、 家庭の負担を軽減することは大変重要な課題であります。
 現在、 県立特別支援学校においては百九十二人の医療的ケア児が在籍しており、 五十六人の看護師を配置するとともに二百四十七人の教職員が医療的ケアを行っております。 近年医療的ケアの複雑化、 多様化が進み、 また人工呼吸器をはじめとする高度なケアを必要とする児童生徒も増えており、 対応が難しい場合については状況を説明した上で保護者による付き添いをお願いしております。
 医療的ケアは一人一人状況が異なり、 教職員は年度当初に医療機関で児童生徒に応じた研修を受ける必要があり、 その間学校で付き添っていただくことも保護者の負担となっております。 こうしたことに加えて児童生徒の自立を促す観点からも付添いは可能な限り軽減することが望まれます。
 このため、 今月施行された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律を踏まえ、 健康福祉部が中心となり検討している医療的ケア児支援センターの設置を見据えながら学校においてもさらなる体制整備を進めてまいります。
 既に人工呼吸器への対応につきましては、 保護者の付添いを軽減できるよう体制や運用の検討を始めております。 また看護師を必要数確保するためより柔軟な勤務形態の導入や静岡県教職員人材バンクを活用した募集、 看護師協会、 医療機関との情報共有を強化してまいります。 さらには年度当初の教職員研修についてはオンラインによる学校内での実施に切り替え、 研修期間の短縮を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、 今後も関係部局や医療・福祉機関等と連携しながら学校におけるさらなる体制の充実を図り医療的ケア児とその保護者を切れ目なく支援し共生社会の実現を目指してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  長澤教育部長。
○教育部長 (長澤由哉君)  十八歳への成年年齢引下げに伴う県立高校での消費者教育についてお答えいたします。
 令和四年四月一日から成年年齢が十八歳に引き下げられることに伴い、 高校生が契約に関する知識や責任について理解することは消費者被害の防止だけでなく議員御指摘のとおり考える力などを培う上でも極めて重要であります。
 県立高校では、 家庭科や公民科の授業において消費者庁が作成した教材 「社会への扉」 等を使用して契約の知識や留意点等を学習するとともに、 若者に多い消費者トラブルと注意点などをテーマとしたくらし・環境部の出前講座などを活用して消費者教育を実施しております。
 しかしながら、 成年年齢引下げが間近に迫っていることから就職や進学を控える高校生に対して自立した消費者になるためのさらなる意識づけが必要であります。 このためこれまで行ってきた消費者教育に加え、 全ての県立高校において全校集会などの場を利用して成年年齢の引下げを生徒全員が自分のこととして認識できるよう取り組んでまいります。 また契約やクレジットカードの仕組みなどについてスマートフォンから気軽に学べる法務省のウェブサイトの周知も積極的に行ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、 半年後に迫った成年年齢引下げを契機として生徒一人一人が主体的に判断し責任を持って行動する成人となるよう消費者教育の充実に努めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  山本警察本部長。
○警察本部長 (山本和毅君)  災害時における警察の対処能力についてお答えをいたします。
 県警察では、 七月三日の熱海市伊豆山における土石流災害の発生を受けまして、 これまで全国二十九の都道府県警察から広域緊急援助隊など約四千四百人の応援を頂きながら延べ約二万三千人の警察官が自衛隊や消防、 海上保安庁はもとより県や熱海市などと連携し救出救助活動などに当たってまいりました。
 発災当初現場は土砂で埋まり、 降雨による二次災害の危険に備えながら手掘りで作業を進めておりましたが、 その後重機の使用が可能となり現在は熱海市や民間事業者との連携の下堆積した土砂を撤去しつつ捜索活動を継続しているところでございます。
 なおこうした中、 先日行方不明者の一日も早い発見に向け現場で協働して取り組んでいた民間事業者の方が事故によりお亡くなりになったことは誠に残念であり言葉もございません。 心からお悔やみを申し上げます。
 今回の災害警備の経験から得られた教訓としましては、 発災当初の被災状況の把握においてヘリコプターの使用が天候により困難であったことからドローンやオフロードバイクを活用したところであり、 その有効性が確認をされました。 また重機作業を担う民間事業者を含め関係機関との連携の重要性を再認識したところでございます。
 一方体制面では、 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の警備と重なったことから災害警備を専門に行う管区機動隊を順次大会警備に回しますとともに、 各警察署の署員からなる方面機動隊を編成をいたしまして災害対応に当てたところでございます。 こうした二次的な災害対応部隊の平素からの練度向上も重要になってくると考えてございます。
 このため県警察といたしましては、 今後装備資機材の充実や方面機動隊を含めた実践的な救出救助、 捜索訓練の実施によりまして災害対応部隊の体制の確保と練度向上を図りますとともに、 静岡県総合防災訓練をはじめ様々な機会を活用し関係機関との合同訓練に積極的に取り組むなど、 連携を強化することによりまして災害対処能力の向上に努めてまいりたいと考えております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  蓮池章平君。
○七十番 (蓮池章平君)  それでは、 六点ほど再質問させていただきます。
 まず知事から、 誰一人取り残さない静岡県ということについて答弁頂きました。 目標とするこの誰一人取り残さない静岡県を百点としたら、 今の静岡県というのは一体何点ぐらいという評価をされてますでしょうか。 まずその点をお伺いしたいと思います。
 二点目は東部の拠点づくり、 知事から御答弁頂きました。 県庁舎統合化、 集約化について東館の再開、 県東部も含めて御検討ということですが、 私はやはり県東部地域に県が本格的に本気になってここに力を入れていくぞというのが見えれば、 これまたいろんな民間投資も活発になってくる、 そういう意味ではこの具体的なこの姿が見えるのはいつ頃まで、 いろんな検討がありますのですぐというわけにいかないかもしれませんけれども、 おおむねどのぐらいまでの期間で、 これを県東部についてのですね、 この姿、 県庁一部移転も含めた姿を明示できるのか、 その点のスケジュール感がありましたら教えていただきたいと思います。
 三点目は大規模災害の対応についてでありますけれども、 職員のこの意識というかその防災対策でありますけれども、 これいつ頃までやられようとしているんでしょうか。 防災先進県の職員がその防災意識を持っていないということではこれはもう論外のことではないかと思うんですね。 最低限その職員はまずは防災意識を持ってどんなことがあろうと自分も含めて我が家も何かあったらすぐ対応できるような体制を取って、 初めて私は職員、 これは最低ラインだと思うんですがそれがまだできていない。 これは具体的にいつまでにやろうとされているのか伺いたいと思います。
 それから四点目は住宅確保要配慮者についてですが、 これは市町単位の協議会をこれから立ち上げていこうということですが、 これも具体的にいつ頃までにこの協議会を立ち上げ、 それから居住支援法人をやはりこれ増やしていかないといけないと思うんですが、 この具体的な方策が何か考えておられるのかどうか、 それについて伺いたいと思います。
 それから発達障害でありますけれども、 とにかく私は県東部ですけれども県東部は相談件数が多いにもかかわらずこの診断できる医師の数が少ないということで非常に皆さん苦労されている。 この医師の確保、 それから養成について具体的な目標いつ頃までにどのぐらいの人数をこの養成をしていこうという目標を県として持たれているんでしょうか。 具体的なスケジュール感も含めてこの点について、 伺いたいと思います。
 それから最後に医療的ケア児の支援ですが、 これせめて特別支援学校に学校看護師、 常勤の学校看護師というのをきちっと配置するという方針とか方向はそういったお考えはないのかどうか、 その点について伺いたいと思います。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (宮沢正美君)  天野政策推進担当部長。
○政策推進担当部長 (天野朗彦君)  誰も取り残さない社会、 今何点ぐらいなのかという御質問でございましたが、 なかなかこういう分野につきましては常に新しい行政課題が出てまいります。 先ほど知事の御答弁にもありましたようにヤングケアラーの問題だけじゃなくてダブルケアの問題だとかそういったものが常に出てまいりまして、 これに常に丁寧にといいますか、 慎重にといいますか、 それでも積極的にといいますか取り組んでいかなきゃいけません。 つまり分母がどんどん増えていくというようなところもございましてなかなか点数づけすることは難しいんですけれども、 私は基本的には今県政は誰も取り残さない社会の実現に向けての政策展開は合格点はあげられるのじゃないかなというふうに思っております。
 その一つの根拠が今県議会の先生方にも資料をお届けして御審査頂いております。 この四年間の総合計画の評価でございます。 総合計画の評価は成果指標で五五%、 活動指標で六〇%ぐらい、 それから政策全体のですね、 運営の評価では七割を超えております。 トータルで見ましておおむね合格点をつけるラインは超えているのではないかなというふうに思われます。
 誰も取り残さない社会ということになりますとやっぱり政策の総合評価といいますか全体評価が問われることだと思いますので客観的にと言われれば、 その今ですね専門家の先生方に御評価頂き、 県議会の先生方にもこれから御審査頂く、 今の時点での御評価を一つの基準として考えられるかなというふうに考えております。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  杉山経営管理部長。
○経営管理部長 (杉山浩一君)  新しい県庁舎の検討につきましていつ頃までにという御質問でございます。
 この点につきましては例えば東館が現在五十二年、 東部の総合庁舎が築後五十年という状況でございます。 それを見ていくとあと十五年ほどで耐用年数が切れるだろうというところがございますので十年をめどには造っていかなければいけないと思っております。
 ただ、 そう悠長でもございませんので大きな話でございます。 私どもとしましては今内部で検討会をやっておりますが、 毎年度この内容を分かりやすい形で公表して広く皆様に御議論あるいは御意見を頂きたいとそのように考えている次第でございます。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  太田危機管理部長。
○危機管理部長 (太田博文君)  大規模災害の対応についてお答えいたします。
 職員の意識の啓発と日頃家庭の備えの徹底についてでございますが、 今月九月の防災月間に早速ですが職員に対して改めて備蓄等の意識の啓発を図ったところでございます。 最終的には非常に意識の、 早期に徹底してまいりたいと思いますが、 十二月の地域防災訓練に向けて各部局に改めまして通知等出しましてその徹底を図るとともに十二月にまた改めましてアンケート調査を実施したいと思います。 その結果をしっかり部局ごとに検証しながらこういった体制の構築に向けて取り組んでいきたいと思います。 以上でございます。
○議長 (宮沢正美君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  住宅支援法人等の協議会についての再質問にお答えいたします。
 協議会、 市町を単位とするものは今一つもないのが現状でございます。 先ほど御答弁申し上げたやり方で一生懸命設立を働きかけてまいります。 少なくとも来年度中には一つとか二つとかは設立していただくように努めてまいります。
 もう一つは支援法人をどうやって増やしていくのかという御質問ですけれども、 最近ある市で、 社会福祉協議会が指定法人に名乗りを上げていただいたところがありますが、 こういうのをヒントにしてそういうところにほかのところにもですね、 この指定法人に指定するのはどうですかということを働きかけるようにしてまずは増やしてまいりたいなと、 それをヒントにしてまいりたいと思います。 以上でございます。
○議長 (宮沢正美君)  石田健康福祉部長。
○健康福祉部長 (石田 貴君)  発達障害児者の支援についての再質問にお答えいたします。
 発達障害に対応できる医師が少ないと、 将来目標はあるのかというような御質問でございました。
 医師の数については特段数字としての目標は持っておりません。 現時点ではまずは裾野を広げるということでかかりつけ医への研修を行うこと、 病院で診れるということができるように専門的な医療機関での診療技術を学ぶ研修というものをやっております。 またさらに平成二十二年度からになりますけれども、 浜松医科大学に児童青年期の精神医学講座ということで寄附講座を設定しておりまして、 令和三年四月現在で寄附講座を終了した医師のうちの三十八名が県内の病院、 診療所で診療に当たられているという実績も上げております。 できるだけ診療に対応できる医師を増やしていくということを目標に取り組んでまいりたいと思っております。 以上です。
○議長 (宮沢正美君)  長澤教育部長。
○教育部長 (長澤由哉君)  医療的ケアにおける学校への常勤看護師の配置の考えについてお答えをいたします。
 現在、 特別支援学校におきましては週三十時間の非常勤という形で看護師を配置をしておりますけれども、 より安全・安心に医療的ケアを実施するためまずはその看護師の配置数を増やしていくということを考えております。
 常勤の看護師につきましては、 児童生徒が安全に安心して医療的ケアを受けるための研修の時間ですとか、 教員との意思疎通を図る時間が確保できるという面でメリットが大きいというふうに考えております。
 今後本社の皆様の負担軽減のための体制づくりの中で先ほど教育長から御答弁しましたようにより柔軟な勤務体制の導入と併せましてしっかり検討してまいりたいと思います。 以上でございます。
○議長 (宮沢正美君)  これで蓮池章平君の質問は終わりました。 (拍手)
 議事の都合により休憩します。
 再開は十四時五十五分といたします。

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