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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

林 芳久仁 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/03/2012

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 来年度当初予算編成について  
2 内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進について  
3 地域外交の今後の展開について  
4 有度山の将来像について  
5 県内震災避難者への支援について  
6 静岡県公立大学法人の中期目標について  
7 児童虐待対応体制の充実について  
(1) 吉原林間学園の老朽化への対策  
(2) 立入調査のあり方と関係機関との連携  
8 ひきこもり対策について  
9 ふじのくに食の都づくりの推進について  
10 中小企業に対する県信用保証協会の支援について  
11 森林・林業技術の普及について  
12 美しく品格のある邑づくりのあり方について  
13 建設工事における元請・下請関係の適正化について
14 今後の教育行政について
15 犯罪インフラ対策について


○副議長(大石哲司君) 再開に先立ち、御報告いたします。
 本日は、説明者として橋教育委員会委員長が出席しておりますので御承知おき願います。

○副議長(大石哲司君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十九番 林 芳久仁君。
       (三十九番 林 芳久仁君登壇 拍手)
○三十九番(林 芳久仁君) いつも拍手をいただきありがとうございます。
 質問に入る前にですね、昨日朝の八時ごろ中央道におきましてトンネルの天井崩落事故が起こりました。大変な惨事であります。多くの方が亡くなられたということで、改めて亡くなられた方の御冥福をお祈りしたいと思います。また重傷等けがをされた方もおるようですけれども、その方に対してもお見舞いを申し上げます。
 それでは、私は民主党・ふじのくに県議団を代表して当面する県政の課題について、知事並びに関係部局長、教育委員長、警察本部長に伺います。
 まず、来年度当初予算編成についてであります。
 十月に公表した来年度の歳入歳出の見込みによりますと、三百七十億円の財源不足が見込まれており、引き続き厳しい財政環境にあることは明々の事実であります。また県債残高は、通常債において着実に減少しているものの、臨時財政対策債を含めた県債残高は今年度末で二兆六千億円を超える見込みであり、地方交付税で後年度担保されるとはいえ、国の財政が赤字国債で賄われている状況を考慮すれば多額の臨時財政対策債の発行には不安を覚えます。厳しい財政環境の中では、事業の重点化や歳入の確保、歳出のスリム化など今まで以上に取り組む必要があります。引き続き健全財政の枠組みの堅持のためにも通常債の削減も必要であります。
 しかし、景気の停滞が明確化しつつある経済状況の中で県が手をこまねいていては県民の暮らしを守ることはできません。平成二十五年度当初予算は、川勝知事が就任されてから四度目の予算編成であり、任期の仕上げのものであると思います。知事は就任以来、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げ、この三年間走ってこられたと思います。
 その実現の工程表であり、新たな静岡の創造を目指して策定した総合計画の基本計画も最終年度を迎え、計画の達成に向け最終コーナーからラストスパートをかける時期であり、その必要が大いにあります。知事は、自身が掲げる富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現と県民満足度の最大化に向け、どのような方針で予算編成に臨まれようとしているのか、見解をお伺いします。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進についてであります。
 県は、災害に強く魅力ある地域づくりを進めるため、九月に内陸フロンティアを拓く取り組みの全体構想を取りまとめるとともに、構想の早期実現に向けたモデル地域の形成を進めるため同月末に国に総合特区の指定申請を行いました。
 さらに、構想に掲げた取り組みを本格的に進めていくため、本取り組みを来年度の戦略的政策展開の重要テーマとして位置づけ、県の政策の一丁目一番地として限られた財源の中で予算の重点化や推進体制の整備を図っていくと伺っております。
 東日本大震災を踏まえ、県民の間には南海トラフ巨大地震への不安が高まっており、防災対策は緊急課題であります。その一方、円高の進展やデフレの影響により地域経済を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。
 こうした中、防災・減災の視点から災害に強い地域づくりを行うとともに、本県のすぐれた地域資源を活用して地域経済の活性化や雇用創出を図ろうとする本取り組みは、まさに時宜を得たものであり、その実現には大いに期待をしているところであります。
 しかしながら、構想が目指している具体的な地域の姿がわかりづらいといった声も聞かれており、構想を早期にかつ着実に実現していくためにも、具体的な姿を描きながらモデルとなる地域づくりを進めていくことが急務であります。そうした意味から総合特区については、政局に左右されることなく着実に進めていただきたいと思います。
 さらに、特区以外の地域においても県がこれまで以上に強力なリーダーシップを発揮して、市町や産業団体などと一体となって効果的に取り組みを進めていく必要があると考えます。
 そこで、県は今後どのように全体構想の推進を図っていこうとしているのか伺います。あわせて来年一月の特区の指定に向けた県の意気込みと特区推進に対する取り組み方針について、知事の所見をお伺いします。
 次に、地域外交の今後の展開についてであります。
 中国、インドを代表とする新興国が著しい台頭を見せる一方、米国の財政問題やEU圏内におけるギリシャ、スペインの債務問題など先進諸国の経済情勢の悪化に伴い、国際社会における各国の位置づけはかつてない大きな変化をもたらせております。
 日本の状況を見ましても、少子高齢化の進展やリーマンショック以降低迷が続く経済状況などにより世界における地位が相対的に低下する中、海外に向けて広く門戸を開き積極的に諸外国との関係を築き交流を進めていくことが、今後我が国が国際社会の中で存在感を保ち経済力を維持していくために欠くことのできない道であると確信しております。
 こうした中、先月には米国においてオバマ大統領が再選され、中国では習近平氏が党中央委員会総書記に就任いたしました。また今月十九日には韓国大統領選挙が予定されており、主要各国における指導体制の移行に伴い、今後の国際情勢は予断を許さない時期を迎えております。
 一方、我が国におきましては、TPPへの交渉参加の議論や竹島、尖閣諸島問題による韓国、中国との関係悪化などを踏まえ、今後各国との協調体制をどのように築いていくかが当面の課題となっております。
 さきの尖閣諸島問題では、中国国内で発生した反日デモやその後の日本製品の不買運動の影響を受け、本県内の企業につきましても中国リスクの回避から東南アジアへの事業展開シフトが進んでおります。
 本県では、ことし六月に公表された地域外交基本方針において、中国、韓国など六つの国・地域を地域外交の推進に当たり重要な国・地域としておりますが、このような情勢を踏まえた上で今後どのように展開していくのか、知事の所見をお伺いします。
 次に、有度山の将来像について伺います。
 日本平を山頂に持つ有度山は、山頂からの富士山や駿河湾の眺望のすばらしさや周辺の自然環境の豊かさ、麓に立地する舞台芸術公園、県立美術館等の文化施設など、単に静岡市にある景勝地、名所にとどまらず、本県の誇る県民の財産とも言うべきエリアであります。
 さらに去る九月には、風景美術館をコンセプトとした日本平ホテルがリニューアルオープンをいたしました。私も先日ホテルに行ってみましたがそのレベルの高さに目をみはるとともに、日本平、有度山の価値が一層高まったという印象を持ちました。
 このようにすばらしい資源、将来性を秘めた有度山でありますが、県立自然公園条例を初め都市計画法での静岡市の風致地区にもなっており、多くの土地開発規制がありその緩和を求める声がある一方で、遊木の森のように豊かな自然環境を保全していく取り組みを願う声もあり将来の方向性は定まっておりません。
 こうした中で、静岡市では現在山頂エリアで日本平公園の整備を推進しておりますが、このほど日本平・久能山周辺一帯を国際的な文化・観光の交流拠点に磨き上げていく構想を打ち出しました。有度山は、山頂を含め県、市の施設や土地が散在し、両者が連携を強化することで事業効果はさらに高まると考えますが、有度山の将来像について、まず県の考えをお伺いします。
 また、有度山の周辺には、これまでに舞台芸術公園、県立大学、県立美術館、県立図書館等と数々の文化施設が整備されてきました。点在するこれらの施設のネットワーク、連携もこれまで以上に強化する必要があると考えますが、あわせて県の取り組み状況、今後の方針について伺います。
 次に、県内震災避難者への支援についてであります。
 東北地方に未曽有の被害をもたらした東日本大震災から既に一年八カ月が経過をいたしました。このたびの大震災では、地震や津波による住宅の損壊だけでなく原子力発電所の事故による避難指示や広範な放射能への不安により、多くの被災者が県外に避難をしております。
 県の集計によりますと、十一月五日現在で本県には千二百人を超える方々が今なお避難生活を送っているとのことであります。大震災と原子力発電所事故の被害の甚大さと広域さから、復旧・復興にはまだ多くの時間を要し避難生活も長期化することが見込まれております。
 私も、本年十月岩手県と宮城県の被災地の現状を視察してまいりました。被災地の現状を目の当たりにし被害の大きさを痛感するとともに、避難された方々の生活拠点の復旧には相当の時間を要するという厳しい現実を改めて実感した次第であります。
 さて、県では本年六月に本県への避難者を対象としたアンケート調査を実施しております。公表された調査結果によりますと、全体の半数以上の五四・七%の方が「今後とも支援を必要とする」と回答しており、必要とする支援の内容は「住宅」が四八%と最も多かったほか、「復興情報」や「交流事業への参加」を希望する回答も多数あったとのことであります。
 さらに、今後の生活拠点については「未定」との回答が三七・八%と最も多い一方で、「本県に定住をする」と回答した方が三一・三%と全体の三割を超えております。「震災時の居住地に戻る」は一七・三%にとどまっております。
 先般県内のNPO法人が会員に避難者への支援を呼びかけたところ、ある住宅メーカーから被災者の土地取得にぜひ協力したいとの申し出がありました。避難された方々のニーズも避難生活が長引くにつれて変化していくものと思われます。
 そこで、県が今回実施したアンケートの目的とその結果を踏まえて今後避難者支援にどのように取り組んでいくのか、あわせて本県への定住を希望する方々への対応について、県の見解をお伺いします。
 次に、静岡県公立大学法人の中期目標についてであります。
 静岡県立大学は、平成十九年四月に直営の県立大学から県が設立した静岡県公立大学法人が設置運営する大学に移行し、今年度末に第一期の中期目標期間である六年間が終了します。県は、公立大学法人化に当たり地方独立行政法人法に基づき、法人が達成すべき業務運営に関する目標、いわゆる中期目標を示し、法人はその達成のためにみずからが定めた計画に基づき自主性、自律性をもって業務を実施してまいりました。
 その進捗状況は、さきの九月県議会定例会で報告のありましたとおり、第三者評価機関である静岡県公立大学法人評価委員会の年度評価結果において、中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいると評価されております。私も、静岡県立大学が教育体制の見直しや改編に積極的に取り組み、また現下の厳しい雇用情勢の中で学生の高い就職率や国家資格試験合格率を確保していることから高く評価できると考えております。
 さて、現在の我が国の大学の状況を見ますと大学進学率は近年も上昇を続けており、平成二十三年度は短大も含めると五六・七%に達し十八歳人口の過半数が高等教育を受けており、こうした状況は今後も当面続くものと予想されます。またグローバル化や情報化の急速な進展、少子高齢化など社会情勢が大きく変化しており、地域社会や経済分野などの各方面から社会で活躍できる能力を備えた人材の育成が強く求められております。こうした中で大学は、学生や社会からのさまざまなニーズに適切に対応した教育研究活動を展開し、学術の中心として社会の発展に寄与するという機能をより一層発揮していくことが必要であると思います。
 そこで、県はこの第二期中期目標において静岡県立大学にどのような方向性を示し、どのようなことを期待しているのか、県の見解をお伺いします。
 次に、児童虐待対応体制の充実についてのうち、吉原林間学園の老朽化への対策についてであります。
 児童虐待につきましては、ここ数年新聞等で取り上げられる回数がふえるなど社会的な関心が高まっております。児童虐待は子供の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、次の世代に引き継がれるおそれもあり子供に対する最も重大な権利侵害であります。私は、生まれてきた全ての子供たちの権利が擁護され、安心して健全に成長していける社会の実現が何よりも大切であることは周知のとおりであります。
 本県におきましては、平成二十三年度に県内の児童相談所に寄せられた児童虐待相談対応件数は千四百三十五件と過去最多となり、虐待に関する統計をとり始めた平成二年の二十六件と比較しますと、この二十年で約五十五倍にふえております。このような中で虐待を受けた子供は精神的なダメージが非常に大きいため心理療法等の専門的なケアが必要とされておりますが、県内では県立吉原林間学園がその支援機関として非常に重要な役割を果たしていると聞いております。
 一方で、吉原林間学園は、昭和五十七年に現在の施設に改築されたとのことでありますが、改築から既に三十年が経過しているためか雨漏りやひび割れ箇所など老朽化も目立っております。また施設環境につきましても子供たちが大部屋で集団生活を行うなど、改築当時の主な入所児童の傾向である不登校の子供たちの支援に対応した施設環境となっているため、虐待を受けた子供に必要とされる家庭的な生活環境のもとでの支援を行うことはとても困難であると思います。
 そこで、虐待を受けた子供に対する支援機関として、施設環境の改善などを含め早急な対応が必要と考えられますが、県の所見をお伺いします。
 次に、立入調査のあり方と関係機関との連携についてであります。
 本県におきましても、今年度に入り児童虐待による痛ましい事案が相次いで発生しておりますが、児童虐待対応の中核を担っているのは児童相談所であります。児童相談所は一時保護、施設入所や里親委託の措置権限を有し、また立入調査、出頭要求、臨検、捜索といった強力な権限を持ち児童虐待対応において重要な機能を果たす機関として県民からも大いに期待されているところであります。
 子供たちの安全を守るためには、事態が深刻化する前の少しでも早い段階における適切な対応が何よりも重要でありますが、本県における家庭への立入調査の件数は、県の資料によりますと平成二十二年度に一件、平成二十三年度はゼロ件とのことであります。もちろんさまざまな状況の中での対応でありますので、件数の多い少ないで一概に判断すべきものではありませんが、託された権限をまだまだ十分に発揮していないのではないかということも感じられます。
 また児童相談所は、これまで子供が保護者と生活できる可能性の模索を重視する余りに警察への連絡がおくれてしまい、警察が情報を掌握したときには既に事件に発展してしまうケースが多いとも報道されております。私は、児童相談所が子供たちの大切な未来を守るとりでとして警察等関係機関との密接な連携のもとに、立入調査などの持てる権限を積極的に行使し、迅速な対応を図ることが結局は子供たちを守ることだけでなく、保護者自身の支援にもつながるものであると考えております。
 本年十月、県は警察との連携を強め児童虐待の被害を減らそうという目的で、児童相談所が警察に連絡する際の基準を作成したとのことであります。今後この基準をどのように生かし、関係機関、とりわけ警察との連携の強化を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、ひきこもり対策についてであります。
 ひきこもりとは、さまざまな要因の結果として社会的参加を回避し原則的には六カ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態で、統合失調症などの精神障害に基づかないものとされております。厚生労働省が平成二十二年に公表した統計によりますと、ひきこもり状態にある人のいる世帯が全国で約二十六万世帯あると推計されております。
 ひきこもりは、学校での不登校がきっかけとなる場合もありますが、最近では社会に出た後、職場における人間関係等がきっかけでひきこもり状態になる若者もふえているとのことであります。ひきこもりは長期化してしまうと社会生活の再開が著しく困難となり、就労ができないため生活が困難になる場合も多く早期の対応が必要であります。また家族も見通しの立たない事態に大きな不安を抱え、どのように対応したらよいか悩んでおります。ひきこもりに関する情報やひきこもりに対してどのような支援が実施されているかについての情報が、本人や家族に十分行き届いておりません。
 県では、保健所や精神保健福祉センターにより家族教室や相談会などのひきこもり支援が実施されていますが、ひきこもり対策をより効果的に進めるため、医療、福祉、就労支援などの関係機関との連携やひきこもりの本人、家族へのひきこもり支援に関する情報発信など、さらなるひきこもり対策の強化が必要であると考えております。
 現在、全国で三十六カ所のひきこもり地域支援センターが設置をされておりまして、本県でも浜松市が設置をされております。
 そこで、全国の状況を踏まえ、県として今後どのようなひきこもり対策を強化していくのかお伺いします。
 次に、ふじのくに食の都づくりの推進についてであります。
 県は、平成二十二年度から食材の王国という本県の特徴を生かし、県産食材のブランド化であるしずおか食セレクションの認定や県産食材を活用している料理人や菓子職人を「ふじのくに食の都づくり仕事人」として表彰するなど、食の都づくりを進めております。
 私の住んでいる清水では、徳川家康にも献上されたと言われる「折戸なす」があり、地域の生産者や料理店などが一体となって栽培が途絶えていた「折戸なす」を復活しようと、七年前から生産振興を始めました。清水農協が販売に力を入れるとともに、仕事人を初め料理人がレシピ開発や料理を提供するなどし、学校給食のメニューにも取り入れられるようになりました。その努力のかいもあって「折戸なす」は今年度のしずおか食セレクションにも選ばれました。
 また、静岡市農協でも特産「麻機蓮根」を使ったようかんが、今年度のふじのくに新商品セレクションの金賞を受賞し、新たに開発された緑茶ワインとともに、市内の仕事人の店などで発表会やキャンペーンを開催しております。このように身近な地域で生産者と仕事人など料理人が連携し、地域の食材から新たな料理や加工食品が生まれております。
 十一月七日にも食の都づくり事業の一環として、中部農林事務所が主催する地産地消「しずおかの食に出会う」交流会が静岡市内で開催され、農協や生産者が旬の食材や加工食品五十品を展示したり、九人の仕事人がその食材を使った料理などを披露し、その活躍の場を広げております。
 このように県が提唱した食の都づくりは、徐々に県民の間に広がりつつあります。県は今後食の都づくりを地域に広げ定着させるために、どのように進めていこうとするのか伺います。
 次に、中小企業に対する県信用保証協会の支援についてであります。
 平成二十年の世界同時不況、いわゆるリーマンショック以降、国は中小企業対策として平成二十年十月から原材料価格高騰対応等緊急保証制度を創設し、平成二十三年三月までの間、経営安定関連保証五号の認定業種を順次拡大し、原則として全業種について保証協会が全額を保証する一〇〇%保証が受けられる措置を講じたところであります。
 また、平成二十三年四月以降の緊急保証終了後も東日本大震災による被害や影響に苦しむ中小企業の資金繰り対策として、本年十月までの間は経営安定関連保証五号の認定業種を原則全業種としてまいりました。静岡県信用保証協会は、国や県の要請に応えこれらの保証を積極的に活用しており、平成二十三年度末の保証債務残高は全国第三位の一兆八千億円余となっております。
 一方、平成二十一年十二月からは、金融機関に対し苦境にある中小企業や住宅ローンの借り手から貸付条件の変更等を要請された場合、できる限りこれに応じるだけでなく、その実効性を確保するための体制整備や開示の義務を課した「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」、いわゆる金融円滑化法であります。先ほど中谷議員からもお話がございました金融円滑化法の施行から本年三月までの間、県内においては十六万件余の条件変更等の申し込みがなされ九〇%を超える十五万件余が実行されるなど、中小企業の資金繰りの支援として十分な効果を発揮してまいりました。二十四年度は全国で三千件、県では六十件という目標としてありますが、例年の三倍ということで聞いておりますが、この再生計画により達成ができるということで伺っております。
 この金融円滑化法は、その後二回にわたって延長されましたが、いよいよ来年の三月に終了することとなっております。依然として苦境にある中小企業に対する影響が懸念されます。
 そこで、来年四月以降も中小企業が事業を継続するために、県信用保証協会はこれまでと同様以上に積極的に保証承諾を行うことを要望するとともに、本年十月に設置されたしずおか中小企業支援ネットワークを有効に活用することなどにより経営改善の観点から中小企業を支援していくべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、森林・林業技術の普及についてであります。
 私は毎年、県が主催する静岡県森林・林業技術研究発表会が開催されることを楽しみにしております。この発表会は、県の林業技術職員だけでなく、市町や森林組合、企業など森林・林業にかかわる幅広い技術者が新たな技術の開発や日ごろの取り組みなどを発表しており、県内の森林・林業が置かれている状況や最新の技術を知る絶好の機会であります。二日間で延べ五百人を超える参加者は、それぞれの発表に真剣に耳を傾け発表後の質疑も盛んに行われていました。
 さて、ことしは二十二件の発表があり、どれもが大変興味深いものでありました。中でも林内路網の整備と森林施業の集約化に向けた取り組みや、天竜材の供給体制と県内外の加工工場との連携を進めた取り組みなど、ことしから実施しているふじのくに森林・林業再生プロジェクトの現場からの発表でその御苦労がひしひしと伝わってきました。これらの発表の多くは、県職員と森林組合の職員などが同じ土俵で役割分担をして一緒に取り組んだものであります。
 また、市町職員による木材の需要拡大の発表もありました。静岡市の職員からは、中心市街地にアンテナショップ――静岡市産材活用推進情報センター「ききしず」を設けて、消費者への木材や森林のPRを行っている取り組みが報告されました。先月開催された全国育樹祭のおもてなし広場にも出店するなど、その取り組みは今でも続けられております。
 森林土木の分野でも山地災害の減災対策として、治山事業によるハード整備だけでなく防災意識を高めるセミナー実施の効果に関する研究のほか、治山事業で発生する支障木の搬出をして木材として有効利用する研究など、今後の取り組みにつながる提案がありました。
 さらに、竹林整備の省力化に関する発表は、竹を一メートル程度の高さで伐採すると次年度に発生する若竹がわずかになるなど竹林整備のあり方に一石を投じたものでありました。私は竹林対策は竹材の利活用がポイントと考えております。利活用が進まないと発表にあった提案の活用にも結びついていきません。確かに現時点では竹材利用に有効な対策が少ないことも十分認識をしておりますが、例えば多面的に廃棄物リサイクルを研究している福岡大学などでは、遊歩道の舗装材――これもう既に活用をしております。また発電も視野に入れた燃料としての新しい竹の利活用について研究が進んでおります。
 本県でも、このような研究成果を積極的に取り入れて竹材の利活用に向けた取り組みを進めていく必要があると考えます。今後もこの発表会で新たな利活用案が発表されることを期待しております。今回の静岡県森林・林業技術研究発表会での発表は、個々をとってみれば小さな成果であっても県産材生産四十五万立方メートルの達成、そして森林・林業の再生を支える基礎になります。
 私は、こうした成果を積極的に広めることが重要で、このことで地域の取り組みとして根づいていくことが期待されます。
 そこで、県は森林・林業技術の普及にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、美しく品格のある邑づくりのあり方についてであります。
 第五回静岡県景観賞の最優秀賞に、私の地元静岡市清水区の原・新丹谷地区が、新東名とみかんの里として決定されました。区画整理された農地と新東名高速道路と調和した壮大な景観が創出され、土地改良区が中心となった地域づくり活動、農業などさまざまな面で今後に期待が持てると評価されたとのことであります。
 私は、この壮大な景観を見ていると、昔はここが急傾斜のミカン畑で条件不利の中にあって、ミカン王国静岡を築いてこられた先人の努力が今につながっているのだと感慨を覚え、農の営みが綿々と引き継がれていくことが地域の発展にとって大切であり、こうした努力の積み重ねを地域の歴史・文化として次世代に伝えていくことも重要であると感じたところであります。
 このような折、県は農業と農山村の地域資源を県民共有の財産として次世代に継承していくふじのくに美しく品格のある邑づくりを推進しており、去る十月には県内三十五の市町で組織する邑づくり連合が、四十五の地区を美しく品格のある邑として初めて登録したとのことであります。県はこの連合の進める邑づくりに対する支援として、美しく品格のある邑のロゴマーク作成やホームページ開設、またスマートフォンを活用する等広く国内外に情報発信するとともに、シンボルとなる邑を知事が顕彰することを通じてブランド化を図っていくとのことであります。
 しかし、邑づくりの主体である連合は、市町の集まりのため邑に対する支援が偏ったり広域的な連携により人を呼び込む上でも濃淡が生じるなど、邑のさらなる活性化を図ることにも限界があるのではないかと感じております。邑づくりの立ち上がりのこの時期に県は、この取り組みにもっと積極的にかかわっていかないと、せっかく登録された邑の活動も持続せず尻すぼみになってしまうのではないかと危惧をしております。県はどのように考えているのかお伺いします。
 次に、建設工事における元請・下請関係の適正化についてであります。
 静岡県内の建設投資は、バブル崩壊以降の長引く景気低迷の影響を受け、平成三年度の二兆六千六百二十億円をピークに減少し平成二十二年度は一兆四千四百八十六億円と、ピーク時に比べ四割以上減少しております。
 このため、建設工事の受注において元請間の受注競争が激化し過度の低価格での入札の増加が見受けられます。建設業は労働集約型の産業であり、発注者から工事を請け負った建設業者がその一部を別の業者に一次下請に出し、さらにその企業が工事の一部を別の企業に二次下請に出す重層的な下請構造となっております。このような構造から、元請業者と下請業者の力関係から下請業者に支払われる請負代金が低く抑えられ、結果として下請業者側での労働条件の悪化が進んでいると聞いております。
 また、下請企業を中心に法令で義務づけられている健康保険や厚生年金保険等に加入せず、法定福利費を適正に負担していない社会保険未加入の企業も存在しております。社会保険への加入は、従業員の老後の年金のみならず、障害、死亡、病気、けがといったリスクに対して従業員やその家族の生活を守り安定させるものであります。社会保険への未加入は、建設技能労働者の処遇を低下させまた新規就労者の減少を生んでいるという認識のもと国では制度改正を行い、この制度改正に伴い県でも社会保険未加入業者への指導を強化していると聞いております。
 これまで建設業では、社会保険への加入状況を制度的に十分掌握することはされておらず、社会保険未加入である企業に対する指導もなされなかったということからすると、大変な進歩であると評価をしているところであります。
 そこで、県が発注する建設工事において、元請、下請企業で働く建設労働者の労働条件についてもその実態を掌握し適正化を図るべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、今後の教育行政についてであります。
 本日は橋教育委員長にも御出席いただきまして、ありがとうございます。
 昨今、いじめにより児童生徒がみずからその命を絶つという痛ましい事件が相次いで発生していることは非常に悲しいことであります。
 先ごろ、文部科学省がいじめ問題に関する緊急調査を実施したところ、静岡県においては、平成二十三年度いじめの認知件数が二千九百八十九件であったものが、平成二十四年度は四月から八月までの間で四千七百二十一件と大幅に増加しておりますが、これはいじめ問題がクローズアップされたことで学校においても今まで以上に関心が高くなったと考えられます。
 このようないじめの問題や暴力行為などの児童生徒の問題行動については、学校現場において支援、指導のさらなる工夫、改善が求められるのはもちろんでありますが、家庭や地域の果たすべき役割も大変大きいと思います。
 また、昨年来教職員の不祥事が続発しており、教育委員会ではさまざまな対応を打ち出し真摯に取り組まれておりますが、いまだ不祥事の根絶には至らないのも事実であります。また私自身も学校の教員の質が低下したと嘆く声を耳にすることがたびたびあります。学校や教員に対する信頼が失われつつあるとしたら、この現状はゆゆしき事態であります。子供たちのために学校現場で頑張っている多くの教員のためにも学校や教員の信頼回復が待たれます。
 今年度県では、知事の発案による教育行政のあり方検討会が実施され、外部有識者の検討が行われています。第一回においては、教育委員も出席し活発な議論がされたところであります。教育委員は、非常勤の立場でありながら教育行政の方針決定、人事の方針、職員の任免など幅広い重要な職責があり、そのギャップが課題とされております。
 教育委員会制度や教育委員の活動については、今までわかりにくい、顔が見えないなどの意見がありましたが、この検討会を通じ少しでも県民に理解していただいたのではないかと感じます。
 このような中、県教育委員会では、十月十九日に新たな委員長として橋尚子氏を選任されました。橋新委員長におかれましては、地方教育行政法改正で教育委員に保護者を含めるよう規定されてから、本県では初めての保護者委員による教育委員長となられます。現役の保護者の立場から、また長年にわたるPTA活動の経験から教育行政に対し新たな視点で取り組んでいただけるものと、その活躍を期待しているところであります。
 そこで、このような社会情勢の中、これからの県教育行政について教育委員長の見解をお伺いします。
 最後に、犯罪インフラ対策についてであります。
 現在我が国では、社会、経済、文化等のグローバル化に伴う負の側面として、世界的規模で活動する犯罪組織の我が国への浸透、構成員の多国籍化、犯罪行為の世界的展開といった犯罪のグローバル化が進んでおります。また同時に急速な社会の変化に応じて、県内でも組織犯罪、詐欺、窃盗、サイバー犯罪等、あらゆる犯罪の分野で犯罪を助長したり容易にするための基盤となる犯罪インフラが構築されているとのことであり、このような状況は県民の安全な生活を脅かす治安上の重大な脅威となっていると認識しています。
 県警によれば、犯罪インフラは、他人名義の携帯電話や犯罪にかかわるインターネットサイト等のツール型のほか不法滞在者等に就労の機会を提供するなどの生活基盤型、公的な資格や身分を不正に取得するために偽装結婚をするなどの偽装型の三つに大別されるということです。
 例えば、一向に発生がおさまらない振り込め詐欺を初めとする各種犯罪では、本人確認が不徹底なプリペイド携帯電話など使用者が特定されにくい他人名義の携帯電話が使用されているとよく耳にします。またインターネットオークション等は、盗んだ品物の処分や犯行に使用する道具の調達に悪用されたり、いわゆる闇サイト等では、他人名義の預貯金口座や違法薬物の販売までも行われているとのことでありますが、最近では第三者に成り済まし、遠隔操作ウイルスを使ってインターネット上に書き込みをする新たな手法の犯罪が相次いで発覚し、社会に大きな脅威を与えております。
 この事件は、警察の捜査手法に大きな課題を突きつけただけでなく、パソコンや高機能携帯電話――スマートフォンなどのネット空間が飛躍的に広がる中、誰もが犯罪に巻き込まれることを浮き彫りにしました。年々深刻化しつつある犯罪インフラを利用した事件に対し、さらなる取り締まりの強化と犯罪インフラを生まないための環境づくりは、今や急務であると考えるのは私だけではないと思います。
 そこで、県警が取り組んでいる犯罪インフラ対策の現状と今後の取り組み方針について本部長にお伺いし、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 林議員にお答えいたします。
 初めに、来年度当初予算編成についてであります。
 来年度の当初予算は、国が九月に公表しました平成二十五年度地方財政収支の仮試算におきまして、地方税、地方交付税などの一般財源総額が〇・九%の増額と示されています。一方、社会保障関係費などの義務的経費の増加が見込まれ大変厳しい環境での編成となっております。
 財源不足を補うため、県全体で一〇%減の効率化の数値目標を定めました。徹底した歳出のスリム化を図ります。また個人住民税など歳入の確保を図りまして、未納が全国一高いということもございますので、そうしたことを踏まえまして財源不足を解消するべく、今編成作業の真っ最中でございます。
 一方、厳しい財政環境の中にありましても県民の暮らしを守ることは県の責務でございます。来年度は総合計画の基本計画の最終年度に当たっております。目標達成、いや達成の前倒しに向けまして取り組みを強力に推進していく必要があります。
 このため、来年度当初予算編成に当たりましては、健全財政の枠組みを堅持しつつも重点的に取り組む施策というものを設けております。その筆頭が内陸のフロンティアを拓く取り組みであり、これは予防防災と地域成長モデルの両立を目指すものであります。第二にエネルギーの地産地消でございます。第三に雇用創造アクションプランに基づく雇用の創造でございます。こうした現状の社会経済情勢の変化を受けた喫緊の課題に対しては重点的に取り組みまして、県民の皆様が、安心して希望を持って生き生きと暮らすことのできる富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり、そのための予算編成をしてまいるということでございます。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進についてでございます。
 南海トラフの巨大地震の発生が懸念される中、安全・安心で魅力あるふじのくにの実現は待ったなしであります。来年度に向けた戦略展開の最優先のテーマを内陸のフロンティアを拓く取り組みとして位置づけまして、構想の推進に目下全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
 静岡県は五百六キロの海岸線を有しております。大きくは山間部と沿岸部に分けられると。沿岸部には都市が発達しております。臨海都市部におきましては、我が国のモデルとなるハード・ソフトにわたる防災・減災対策を講じなければなりません。それを通して既存産業の活性化や新産業の創出、県民生活の緑豊かな質の向上を図ってまいりたいというふうに思っています。
 一方、内陸高台部というのは中山間地域、過疎的な傾向が進んでまいったところでございます。そこに新東名という新しいインフラができましたので、これを生かして農林業を元気づける、六次産業化を図る、それとともに内需を盛り上げる地域づくりを進めるということでございます。
 一方、内陸高台部と沿岸都市部を結びつけねばなりませんので、これを地域連携軸と称しまして、内陸高台部におきましてはイノベーション、沿岸都市部におきましては再生といいますか、リノベーション、そしてそれを結びつける地域連携のネットワークをつくると。この三つの柱をもって内陸のフロンティアを拓いていくということでございます。両地域を結ぶ連携軸を多層的に整備いたしまして、ふじのくにの均衡ある地域の発展を図ってまいるということでございます。
 特区に指定される予定の地域の事業につきましては、規制の特例措置、また税財政上の国の支援が期待できます。これが認められますと、それに加えまして県独自の総合特区支援策を講ずることにしております。先導的な地域づくりを加速させまして、東日本大震災からの復興モデルを先取りして、予防的な防災あるいは減災の先進地域をこのふじのくにでつくっていくということでございます。
 なお、特区申請案は、内閣府と専門家による一次評価、二次評価が行われまして、十一月二十二日にその結果が公表されました。そして内陸のフロンティア特区構想は認められたわけです。その日に十二月十七日にヒアリングをするという一方的な通知があったわけです。それは、この十二月議会が始まる実に一週間前でございます。
 そうしたことではございますが、このヒアリングに、面接試験に通らなければ、これは県民の生命財産が危ういということで、ほかの誰にもかえることができないので私自身がしっかりと御説明を申し上げて、学識経験者、内閣府の関係者に与えられた時間の中で説得をして帰ってまいりたいというふうに強く使命感を持って決意をしているところでございます。本取り組みが、本県のみならず日本全体のためにも重要であるという国家的な意義を御理解賜りたいというふうに存じます。全力で訴えてまいる所存でございます。
 次に、地域外交の今後の展開についてでございます。
 本県におきましては、これまでも中国の浙江省を初め韓国の忠清南道、モンゴルのドルノゴビ県、米国のハワイ州などと相互の信頼関係を基本とした地域間レベルでの交流を展開しているところでございます。
 特に、友好提携三十周年を迎えました浙江省とは、国家間の関係が良好と言えない時期にありましても、お互いの信頼関係をもとに揺るぎのない交流を進めてまいりました。今月二十四日からは、県議会を初め関係団体の皆様とともに浙江省を訪問して記念式典に出席するなど、友好関係をより強固なものとしてまいります。かつて浙江省の書記をお務めになった習近平氏が共産党の総書記に選ばれました。恐らく国家主席になられる方です。そのパイプを持っている、恐らく唯一に近い県が静岡県であります。これも両国間のトップ同士の不信感があったときでも我々の地域間の信頼関係を着実につくり上げてきた、そうした成果だというふうに存じます。先人のそうした友好関係をおつくりになられた御尽力に対しまして、改めて敬意を表する次第でございます。
 来年度に向けましては、中国、韓国、モンゴル、米国とはこれまでの友好関係を踏まえまして、民間交流の活動支援などにより継続的な交流を推進してまいります。さらに台湾や東南アジアも今視野に入れております。台湾とは将来的な定期便のデーリー化を通じ、交流人口のより一層の拡大を目指してまいります。東南アジアとは、経済、観光、教育・文化等の幅広い分野での交流を目指してまいります。こうして現地での活動体制の充実強化を図って、交流拡大に向けたさらなる取り組みを進めてまいります。
 今後とも、これらの重点国や地域を中心に安定的、友好的な地域間交流の継続と拡大を図るなど、友好的互恵・互助の精神に基づく相互にメリットのある地域外交を展開し、本県の一層の発展に資するよう努めてまいります。
 次に、静岡県公立大学法人の中期目標についてであります。
 社会が急激に変化しております。将来の予測が困難な時代になっております。県立大学は、これまでに取り組んできた教育研究活動をさらに発展させ、これからの社会を牽引する役割を担っていただかなければなりません。
 このため、第二期の中期目標では、県立大学が生命科学と人文社会科学を両方持っている総合大学として質の高い教育研究活動をしていただくと同時に、本県のみならず日本全体、いやアジア、世界の将来を支える有為な人材の育成をお願いしたい。教育研究成果の国内外への積極的な発信に努めていただきたい。社会の発展に寄与する知の拠点として、県民に支持され続ける大地に根差した魅力ある大学であっていただきたいと思っております。社会がグローバル化する中で、活躍できる人材の育成、独創性の豊かな、かつ国際的に通用する学術性の高い研究を推進していただきたい。地域社会との積極的な連携や海外大学との交流の活性化なども進めていただたいと思っております。
 県立大学は、これらの目標を確実に達成できるリーダーを持っています。学長は、薬学部御出身の木苗先生。そして理事長は、日本における医学界の重鎮でございます。この間コッホ賞をめでたく受賞されました。医薬の連携も期待できます。薬学部の実績に基づき、医学界との連携なども理事長と学長の二人三脚によって期待できるのが現在の県立大学でございます。理事長、学長のリーダーシップのもとで教育研究の質の向上に努めることにより、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに一層貢献いただくことを期待しております。そのための教育研究活動に対しましては積極的に支援をしてまいります。
 次に、ひきこもり対策についてであります。
 県内には、ひきこもり状態にある人のいる世帯が何と七千世帯もあると推定されています。ひきこもりは、長期化しますと身体的機能の低下や精神障害の発症、家庭内暴力などの原因になるとともに、特に若者におきましては年齢相応の経験を積む機会を失い、議員御指摘のとおり社会生活が困難になるなど大変深刻な問題であるという認識を持っています。
 県では、県内の小中高等学校にスクールカウンセラーを百三十六人配置いたしました。ひきこもりのきっかけとなる不登校の児童生徒等に対しまして、年間一万件を超える相談に応じるなど、ひきこもりの芽を摘む対策を行っているところです。ひきこもり傾向にある青少年とその御家族に対しましては、青少年交流スペース「アンダンテ」を開設しました。そこできめ細かな相談業務や居場所の提供をしています。
 また、保健所や精神保健福祉センターにおきましても、平成十一年度からひきこもりに対する相談会や家族教室を実施しています。さらに昨年度からは、若者の就労支援機関として東部青少年就労支援センターを運営するなど多岐にわたるひきこもり対策を実施しています。
 先月、家族会の代表の方がお越しになり親しく意見交換をいたしました。どの機関でどのような支援を実施しているのか情報を得るのが難しいとか、あるいは保健所などは意外なことに敷居が高いということでひきこもりの相談や支援にたどり着けない方がいらっしゃるというようなことを知りまして、早急に対応しなければならないという思いを強くいたしました。
 そこで、直ちにひきこもり支援に係る検討会を今月、すなわちこの十二月中に立ち上げます。そして今幾つかのところにひきこもりに係る相談や支援をされているところがありますので、各関係機関との調整をしていただいた上で、ワンストップでの相談窓口ができるようにしたいと。これは目標を定めるというよりも、なるべく早くというふうに言わざるを得ません。各機関との調整というのに、なるべく早くうまくしていただいて、早急にワンストップの相談窓口ができるようにしたいと考えております。
 次に、ふじのくに食の都づくりの推進についてでございます。
 しずおか食セレクションとふじのくに新商品セレクションというのがございます。しずおか食セレクションというのは、農林水産物のうちブランドになり得るようなものでございます。そしてふじのくに新商品セレクションというのは、静岡県下の県産食材をお使いになって新しい商品をつくられるといったもので、こうしたもののセレクションをしていくわけでございます。
 本年度のしずおか食セレクションに、遅まきながら、あるいは当然のものとして「折戸なす」が選ばれたということでございます。京都の京野菜の一つである賀茂ナスの原型ですから当然なったのだというふうに思っております。合計、本年度は二十九品が選定でき累計で七十五品となっております。
 一方、新商品セレクションでも、最高金賞が「静五咲」というお茶でございますが、こうしたものなど十四商品が表彰されまして累計で三十八商品になりました。去る十月三十一日に開催した合同での発表会には、多くの市場関係者やマスコミなどの方々がお集まりくださり大盛況でございました。また十一月二十八日にはふじのくに食の都づくり仕事人を新たに六十四人表彰し、全体で既に三百二十七人になっております。これが多いか少ないか。本県下には飲食店が二万軒ぐらいございます。そのうちの一%が二百人ということで選んだわけですが、収まり切らない。そこで六十三人次年度に選び、ことしは六十四人になりまして三百二十七人ということになったわけでございます。いよいよ食の都づくりを支えていただく方々というものの存在が顕著になってきたと存じます。
 今年度は、このような取り組みに加えまして、新東名を初めとする食の都大路におきまして、農芸品の販売や情報発信を行ってきております。御案内のように半年で二千四百万人もの人たちがSAやPAを訪れられました。先日も新東名の清水パーキングエリアにおきまして、県内各地域から御出店をいただきまして、軽トラ市ないしはクルマルシェを開催いたしまして、一万五千人の県内外の皆様に旬の味覚を堪能していただいたところでございます。
 さらに、明年の二月二十三日、二十四日には、関係団体と一丸となりまして、グランシップにおきまして、本県の多彩な農芸品や魅力的な加工食品を一堂に集めたふじのくに農芸品フェア二〇一三を開催します。県民の皆様に農芸品を手に取っていただき、買っていただき、食べていただくことによりまして、食の都ふじのくに、これを一層身近に感じていただけるように努めてまいります。
 これらの取り組みに加えまして、十一月十二日には県と農業団体が連携し初めて本県に全国の主要な市場二十一社の代表者をお招きしまして、ミカンやイチゴなど産物の品質の高さ、あるいは品質のよさと安全性を直接PRしたところでございまして大変高い評価をいただきました。また、来る十二月十九日には東京都内でふじのくに「食の都」交流会を開催する予定です。食に関する業界を初め流通、観光関係などの方々に対して県内の生産者や仕事人みずからが、静岡ならではの食材やそれを使った料理を披露することとしております。
 こうした仕事人の表彰を受けた方々が、それを励みとして例えば浜松市では家康楽市、あるいは藤枝市ではわさびの会などといったグループが立ち上がっておりまして、生産者と連携した地域づくりの活動が始まっています。今後も多くの県民の方々の参加のもとで生産者、仕事人、地域の方々が主役のふじのくに食の都づくりに積極的に取り組んでまいります。
 これは料理人を励ますためだけのものではありません。旬のものを活用して、こういうおいしいものができるのだということを通して食育を家庭並びに学校に広げるということが目的です。全体として、ふじのくに静岡県の食文化を上げるための試みであるということで、名人選びということは、それをきっかけとして進めているということを御理解賜っておきたいと存じます。
 次に、美しく品格のある邑づくりのあり方についてであります。
 静岡県は、東西約五百六キロの白砂青松の海岸線と大井川や天竜川等の大河川の織りなす台地と平野、そして日本一の霊峰富士山、南アルプス等に連なる山々を有しており、そこには日本の原風景とも言える美しい村々が存在しております。
 今回登録されました四十五の邑は、誇りを持って良好な――この邑というのはコミュニティーという意味でございます――誇りを持って、良好な農山漁村の景観の保全、形成に積極的に取り組まれるなど地域資源を有効に活用し持続的な発展に向けたさまざまな活動を展開している地域であると評価しております。
 しかし、まだこの美しく品格のある邑づくりは、緒についたばかりでございます。連合の基盤もいまだ御指摘のように脆弱でございます。各市町はすぐれた資質を持った邑を有しているものの、個々の力では地域外との交流の拡大に限界がございますので、連合に対する積極的な支援が必要であるという認識を持っています。
 このため、県が美しく品格のある邑づくり連合に参画して組織体制の強化を図っております。それとともに、市町との適切な役割分担のもとで各邑の魅力を高める景観に配慮した基盤整備を推進し、個々の邑の連携による周遊ツアー等の広域的な取り組みを支援するなど戦略的に事業を展開してまいります。
 ふじのくに美しく品格のある邑づくりは、新しいライフスタイルの実現の場の創出につながり内陸のフロンティアを拓く取り組みに深く関係しています。県といたしましては、この活動を企業の参画も得ながら県民運動として展開し、全国との交流拡大を推進することで魅力あるふじのくにの実現に取り組んでまいりたいと思います。
 新丹谷はすばらしい。今度でき上がるトイレもすばらしい。来た人はびっくりされます。そのように新東名、東名、これをつなぐところという立地もすばらしいので、こうしたところを励ますことを通して県土全体で美しい邑づくりをしていきますが、実はこのきっかけは、「日本で最も美しい村」連合というのがございます。ここに選ばれるのは大変です。まずその前に本県の裾野を広げるということがございました。この「日本で最も美しい村」連合というのは、実は二〇一〇年にようやく「世界で最も美しい村」連合会に加盟を許されたものでございます。
 私どもは、まずは本県の中でしっかりと錬磨をした上で、日本で最も美しい村、あるいは世界で最も美しい村と、あたかも駿河なる富士山が今や日本の富士山、世界の富士山になるように、静岡県全体が海と山の風景の画廊とでも言うべきまさに最も美しい地域として、景観のみならず人々の生活も「訪れてよし 住んでよし」というそういうたたずまいにするための運動でございます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育委員長から御答弁を申し上げます。
○副議長(大石哲司君) 出野知事戦略監。
       (知事戦略監 出野 勉君登壇)
○知事戦略監(出野 勉君) 有度山の将来像についてお答えいたします。
 有度山周辺は、県都静岡の近郊にありまして富士山や駿河湾の美しい眺望で有名な名勝日本平を初め豊かな自然に親しむ貴重な里山空間が広がっております。また徳川家康公ゆかりの国宝――久能山東照宮など歴史的な文化財が残されておりますことから、県ではこれまで、こうした地域の特性を生かしまして、大学、美術館、舞台芸術公園など学術や芸術文化施設の立地を進めてまいりました。
 こうした県立施設間で連携を深めることは、個々の施設の事業効果を高めることはもちろん地域全体の魅力の向上につながりますことから、平成二十一年度から大学、美術館、図書館、埋蔵文化財センター、舞台芸術センター、グランシップの六施設でムセイオン静岡を構成し、文化芸術に関する県民講座やふじのくに文化の丘フェスタ二〇一二の開催など、相互に協力して県民に文化、芸術、教育の学ぶ場を提供しております。あわせまして文化の情報発信力の強化を図るとともに、仮称ではございますけれども富士山世界遺産センターの調査研究部門との連携も検討してまいります。
 また九月には、美術館、舞台芸術センターと、風景美術館を呼称いたします日本平ホテルの三者間でフレンドシップ協定を締結し、各施設の催事での連携や広報、情報発信などに相互に協力して取り組んでおるところでございます。
 加えて、この地域の魅力をさらに高めていくため、議員御指摘のとおり県と市の連携が重要でございます。十月に副知事と副市長をトップとする地域政策会議を立ち上げますとともに、この会議のもとに具体的な検討を行う日本平ワーキンググループ会議を設置し、先ごろ開催された第一回目の会議では、県と市が情報を共有し効果的な事業展開に取り組んでいくことを確認したところであります。
 今後とも、この会議を活用して県と市の施設の連携を図るとともに、有度山の美しい自然環境と歴史、文化、学術、芸術にあふれる豊かな資源にさらに磨きをかけ、日本のみならず世界中から人々が訪れ、感動し、学び、そして交流が深化する、まさにふじのくにの交流と発信の拠点となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 県内震災避難者への支援についてお答えいたします。
 県では、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故による避難生活が長期化する中、県内避難者の生活状況を確認するとともに、今後必要とする支援内容を把握するため、昨年九月以来二回目のアンケート調査を本年六月に実施し二百七十八世帯から回答を得ました。
 アンケートの結果、特に要望の多かった住宅の確保につきましては、応急仮設住宅の供与期間を一年間延長し、最大三年間とする旨の国や被災県からの通知を踏まえ、避難者が入居する民間借り上げ住宅及び県営住宅の供与期間を延長することとし入居期間の更新手続を進めております。
 また、参加意向が高かった交流事業につきましては、県社会福祉協議会とともに県内の避難者を対象とした交流会を来る十二月九日に開催いたします。より多くの方々が参加されるよう周知を図るとともに、県弁護士会、県看護協会の協力を得て法律や健康相談の場を設けるなど有意義な交流会にしてまいりたいと考えてございます。
 さらに、本県への定住を希望する方々に対しましては、住居と就労が安定的に確保できるよう県内市町やハローワーク等と連携して地域の生活情報の提供や就労支援を行っていくほか、応急仮設住宅の供与期間終了後における生活拠点の支援のあり方についても対応を検討してまいります。
 今後とも、復興住宅の整備状況など被災地からの情報も的確に提供しつつ、避難者それぞれの意向に沿った生活再建が早期に図られるよう被災県や県内市町等と連携を密にして支援に努めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 児童虐待対応体制の充実についてのうち、初めに吉原林間学園の老朽化への対策についてお答えをします。
 県立吉原林間学園は、不登校や対人関係を苦手とするなど軽度の情緒的な障害を有する子供たちへ専門的な治療を行う県内唯一の施設として、入所児童に対する心理療法や生活指導等を行ってまいりました。
 しかしながら、近年は虐待の影響により大人との愛着形成が不十分な状態の子供や、精神的なダメージを受け医療的なケアを必要とする子供が増加しているなど、学園が求められる機能の変化に伴い、医療分野、教育分野とのさらなる連携も重要となっています。
 このため、現在入所している子供たちの特性を踏まえた家庭的な生活環境や細かな目配りが可能な施設としての整備のみならず、虐待を受けた子供たちに対する心理療法等の専門的なケアを行うための支援機関としての機能を有することも求められているものと認識しています。
 県といたしましては、吉原林間学園が虐待に対する専門的な治療を行うための施設として、また入所児童のみならず広く被虐待児への支援を行う中核的な施設として、将来にわたってどのような役割を果たしていくべきか、臨床心理や児童精神などの専門家を初め福祉関係団体や教育分野の方々の意見を十分に伺いながら、しっかりとしたあり方論を踏まえた整備方針を定めてまいります。
 次に、立入調査のあり方と関係機関との連携についてであります。
 児童虐待の発生要因は複雑で、その防止のためには児童相談所のみでの対応では困難なことも多く、市町はもとより学校、医療機関、警察など関係機関との連携した取り組みが不可欠となっています。
 特に、緊急かつ子供の生命に危険を及ぼすおそれのある事案につきましては、早期の段階からの警察との連携が重要と考えており、本年十月政令市を含めた県内全ての児童相談所の統一した基準となる児童虐待ケースの警察への連絡に関する基準を作成したところでございます。
 この基準におきましては、緊急時の対応だけでなく日常的な情報交換や相談などの連携の強化も示しており、これにより児童相談所と警察とが平素から顔の見える関係を築き、緊急時には緊密な連携のもと、これまで以上に迅速な対応を図ることができるようになるものと考えています。
 さらに、児童相談所による立入調査や臨検、捜索といった強力な権限の行使が警察との連携のもと適切に実行されるよう、警察とのロールプレイング方式による初の合同訓練を実施したところであります。
 県といたしましては、児童相談所と警察を初めとする関係機関がそれぞれの役割への理解を深めながら連携体制の強化を図り、子供の命の安全を第一に考えた児童虐待防止対策に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 吉林経済産業部長。
       (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 中小企業に対する県信用保証協会の支援についてお答えいたします。
 県信用保証協会では、平成二十三年六月に企業支援室を設置し金融機関の企業支援部署との連携を強化いたしますとともに、保証先企業の実態を把握することにより金融支援と経営支援を一体的に行い、それぞれの企業にとって最適なサポートをするよう努めているところであります。
 企業支援室は、中小企業金融円滑化法の終了を見据え、本年十月に発足したしずおか中小企業支援ネットワークの事務局として、金融機関や産業支援機関などの構成員の情報共有を図りますとともに、個別企業に対して返済猶予等の条件変更や新規融資、経営改善などに関する支援を協議するメーン金融機関主導のバンクミーティングにおきましても重要な役割を担っております。
 これらの取り組みに加え、県信用保証協会は国が創設した緊急保証制度等を積極的に取り扱いますとともに、東日本大震災においては県が発動した中小企業災害対策資金に協調して、無担保保証枠を上積みしたほか、新事業展開関連保証制度やエネルギー需給安定対策保証制度などの国や県の施策に沿う独自の保証制度を全国に先駆けて創設するなど、中小企業の資金繰り支援に努めております。
 県といたしましては、今後とも県信用保証協会が新事業や経営革新等に取り組む県内中小企業に対して新規の保証承諾や保証条件の変更等に柔軟に対応できる環境を整えますとともに、企業の経営改善支援にも積極的に取り組みますよう協会の理事会やネットワーク会議の場を通じて意見を述べてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 森林・林業技術の普及についてお答えいたします。
 森林・林業技術の向上と普及は、杉・ヒノキの植栽や丸太の生産、身近な里山・海岸防災林の管理、さらには地球温暖化防止など産業の振興や環境の保全に貢献するもので、静岡県森林・林業技術研究発表会は大変意義のあるものと考えております。
 昭和四十七年に森林土木工事をテーマに第一回を開催し、その後、時代の要請に応じて研究テーマの拡充を図り、今回は森林・林業が現在抱える課題に対応した森林資源の活用に向けた取り組みのほか野生鳥獣被害対策、竹林整備などの研究発表がありました。
 県では、これまで発表された富士地域での高性能林業機械を活用した低コスト生産システムのほか花粉の少ない杉品種や新しい竹林整備手法などの研究成果について、県内各地への導入を進めているところであります。今後はさらに、現場の技術者向けの手引書を作成するほか技術研修会の対象を建設業者やNPOなどの団体にも広げるなど新技術の普及を促進してまいります。
 県といたしましては、これらの取り組みを森林組合などの森林・林業関係団体と連携して実施し、新しい森林・林業技術の一層の普及と定着を進め県産材生産四十五万立方メートルの達成と森林・林業の再生に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に、建設工事における元請・下請関係の適正化についてであります。
 建設産業において、元請としての総合工事業と主に下請として現場施工を担う専門工事業は、役割を適切に分担して社会基盤を整備し災害から地域を守るなど、それぞれが欠かすことのできない存在であります。このため県では、下請業者へのしわ寄せが懸念される過度な低価格入札を抑止するため、最低制限価格及び低入札調査基準価格の引き上げ等の入札制度の改善を行うとともに、建設業者の社会保険未加入問題を重視し経営事項審査や建設業許可申請時における加入状況の確認を通じて指導の強化を図っているところであります。
 また、建設業の実情を把握し、適正な元請・下請関係を保つことを目的として建設業構造改善実態調査を行っているところであります。この実態調査では、県発注工事を請け負った業者のうち契約後に提出された下請負人通知書等を審査して、不適切な事例があった者や落札率が低い者等を抽出し下請代金の支払い状況、労働条件等を面接によって調査し、問題が散見された場合は是正を指導しております。
 県といたしましては、建設労働者の労働条件は当事者間で自主的に決定されることが基本であると認識しておりますが、建設産業が重層的な下請構造にあり雇用関係が複雑であることを踏まえ引き続き過度な低価格入札を抑止するとともに、建設業構造改善実態調査の充実強化を図り、建設産業の健全な発展に努めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 橋教育委員会委員長。
       (教育委員会委員長 橋尚子君登壇)
○教育委員会委員長(橋尚子君) 今後の教育行政についてお答えいたします。
 私は、平成二十年四月教育委員に保護者の代表を含むことが義務化された際に委員を拝命いたしました。当時二人の子供たちは高校生と小学生であり、平成十七年度から十九年度までは静岡県PTA連絡協議会の理事をしておりました。現在は学童保育の指導員や家庭裁判所の家事調停委員も兼務しており、日々保護者、地域住民として子供たちや学校関係者と接している中、このたび委員長に就任いたしました。
 私が大切にしているのは、一県民としての視点であり学校や地域を実際に見て現場の声を教育行政に反映していくことが、私たち教育委員に課せられた責務の一つであると考えております。またこれまでのPTA活動の経験を通じて子供が生まれ育つのに必要な豊かな土壌をつくるためには、家庭、学校、地域社会の教育力の向上と市町教育委員会や関係団体、他部局などとの連携が不可欠であると感じております。またこの連携につきましては、議員御指摘のとおり、いじめ、教職員の不祥事、これらの問題を考え、子供たちに安心・安全、このことを提供するためにもこの連携は重要であると考えております。
 教育を取り巻く環境が極めて厳しい今日、このような思いを持ちながら家庭教育の支援をより大切にし、有徳の人の育成に向けて精いっぱい取り組んでまいりますので、議員の皆様の御理解と力強い御支援を切にお願い申し上げます。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 繁田警察本部長。
       (警察本部長 繁田 誠君登壇)
○警察本部長(繁田 誠君) 犯罪インフラについての御質問であります。
 犯罪インフラにつきましては、グローバル化とともに、科学技術や各種制度、サービスの進歩によりこれまでにないさまざまな形態が出現しております。県警としては、実態解明の推進、検挙の強化、犯罪インフラを生まない環境づくりの三点を基本方針として各種対策を推進しております。
 具体的には、外国人の絡む組織的な偽装結婚や地下銀行のほかフィッシング詐欺で入手したクレジットカード情報を悪用した高額商品の購入事案、振り込め詐欺などに利用される金融口座の売買や携帯電話契約詐欺などを検挙しております。さらに盗難車両の海外不正輸出の拠点となっておりますヤードへの関係機関との合同立ち入りによる実態解明と不法滞在外国人の検挙などの成果が上がっており、解明した犯罪インフラにつきましては、関係機関に実態を連絡し再発防止のための改善要望を行っております。
 また、特に御指摘のあった最近注目されております遠隔操作ウイルスなどのインターネット犯罪については、サイバー犯罪対策室を強化し警察庁と密接な連携の上、他府県での失敗事例も参考にして、担当官の実力を強化しつつ慎重な捜査を推進するとともに、県警ホームページなどで県民の意識を高めるべく広報啓発を行っております。
 今後とも、全国的に増殖しつつある犯罪インフラの重大性に鑑み、これまで以上に強力に他府県とも連携し実態解明と検挙を推し進め、関係業界や機関の積極的協力を得て犯罪インフラの解体を推進してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) これで林芳久仁君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。再開は午後三時二十分とします。

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