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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/07/2011

会派名:

志士の会


質疑・質問事項:

1 旧清水工業高校跡地の利活用について
2 エネルギーの地産地消について
 (1) 火力発電所の誘致
 (2) 新エネルギーの推進
3 新東名高速道路を活用した農村振興について
4 教育行政について
 (1) 教員の不祥事
 (2) 新学習指導要領への対応と部活動
 (3) 教員の採用
 (4) 教育委員の人選



    ○副議長(鈴木洋佑君) 再開に先立ち、御報告いたします。
     本日は、説明者として金子教育委員会委員長が出席しておりますので御承知おき願います。

    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、七十一番 中澤通訓君。
           (七十一番 中澤通訓君登壇 拍手)
    ○七十一番(中澤通訓君) 私は志士の会を代表して通告に従い、知事、関係部局長、教育委員会委員長及び教育長に当面する県政の諸課題について伺います。
     まず最初に、旧清水工業高校跡地の利活用について伺います。
     旧清水工業高校は、高度成長期に入りつつあった昭和三十年代に当時の経済界が中心となって、旧清水市の基幹産業である造船、鉄工業等を支える技術者養成と高校入学希望者の急増対策として県立工業高校誘致の声が盛り上がり、当時の市長がこれにこたえて地権者の同意を取りまとめ、市が土地買収を行い県に寄附することによって、昭和三十六年四月に開校されました。時代の要請にこたえ多くの技術者を養成し、社会へ送り出し産業発展に寄与し続けたものと思われます。しかしながら少子化が進み高等学校の再編成が求められ、平成十九年近隣の旧静岡工業高校との合併によって新たに県立科学技術高校となり、旧清水工業高校は閉校されました。この四十五年間に一万三百八十九人の卒業生が巣立ち多方面で活躍され多くの足跡を残しております。その後、この跡地の一部には清水特別支援学校が設立され活用されていますが、約一万七千平方メートルが未利用地として今日に至っております。東名高速道路の清水インターチェンジ、また静清バイパスにも近く、市の秋葉山公園に隣接しており、跡地利用については関係者の関心も高いところであります。
     県における行政財産としての利用計画はいまだ未定である一方、静岡市は市議会の議論を踏まえて多目的公園として利用したいとの意思表明をしております。秋葉山公園は小高い丘にあり、この土地が公園化されれば平常時は多目的利用され災害時にも大きな利用価値が生まれると思います。東名高速道路を利用した災害物資の集積地や災害対策の前進基地として、また仮設住宅用地にも利用が可能となります。設立時にさかのぼれば静岡市側からは無償譲与か無償貸与と言いたいところでしょうが、普通財産の譲与、無償貸付等に関する基準も定められていることから難しいものと認識しております。
     既に旧清水工業高校跡地については、静岡市において具体的な利用計画が検討されており、これが実現すれば地域の発展や安全・安心の向上に大きく寄与することから、できるだけ早期に静岡市が取得できるよう協議を始めるべきだと考えますが、今後どのように進めようとされるのか伺います。
     次に、エネルギーの地産地消についてのうち、火力発電所の誘致についてであります。
     三月十一日の東日本大震災によって福島第一原発が破損し、日本の電力状況は深刻な状態に陥りました。これまで体験しなかった計画停電も各地で行われ、特に本県では富士川左岸の東電管内は強く規制され、企業においては操業短縮、操業日の変更、家庭においても空調機がとまったり冷凍・冷蔵食品がだめになったりで、これまで自由に使えた電力に対し節電意識を強く持つようになり、教育的な社会実験としては効果があったかもしれませんが、現在は需要がふえる冬の到来で不安を抱える住民も多いと思われます。各電力会社は相互に融通し合っていくとしても安定した電力供給がなければ社会生活にも問題が生じます。震災被災地の企業の一時移転事業の補助金制度も現在のところ富士市の工場を間借りしての進出が一件あっただけで、県内の政令市も同様の制度もありますが、静岡市での一件が見込まれるのみで、移転断念の理由の一つに電力不安定があると言われています。
     本県の主電源は浜岡原発でしたが、現在停止中で津波対策として海抜十八メートルの防波壁設置工事が始まったばかりです。来年十二月には完成予定ですが再稼働に対しては近隣自治体の対応はかなり厳しいものと予想されています。日本全体の原発五十四基のうち現在稼働中は九基のみで、国が必要とする安全評価がいつまでかかるかはっきりせず、再稼働の時期のめども立っていない状況が続いております。浜岡原発の三、四、五号機の総出力は約三百六十万キロワットですが、これらが停止となり中部電力管内の供給は県外の石炭火力等で賄っており、今後他の地域への供給も予想される中で、県内での自給体制を考えなくてはならないと思います。
     私は八月に愛知県知多半島にあるLNG燃料の川越発電所と石炭燃料の碧南発電所を視察しました。発電量は四百八十万キロワット、四百十万キロワットで、投資額はおのおの一兆円、常時雇用者は約千人で安定した運転を行っています。二十年ほど前に視察した火力発電所に比べ、規模、内容は大きく違い、熱効率、環境面においての対策は格段の開きがあり技術革新の進歩を感じました。十五年ほど前に清水区三保において火力発電所の立地計画がありましたが、諸般の理由で中止になって、つい先ごろその場所でのメガソーラーの計画が発表されました。計画では発電量は八千キロワットで予想される雇用者は五人以下と小規模で経済効果は小さいものであります。火力発電所の建設には時間がかかります。地元の同意を得てから環境アセスメントを行い、設計、工事着手となりますが、完成まで早くて十年余の歳月が必要と言われており、特にメガソーラーとして立地表明もありました三保地区で火力発電所の立地を考えられるならば、時間的余裕はなく早期の方針決定が必要と思われます。
     県内には、三保地区を初め火力発電所立地の適地と思われる場所が数カ所あります。私は今こそ本県に火力発電所の誘致が必要と思いますが、知事はどのように考えられるか所見を伺います。
     次に、新エネルギーの推進についてであります。
     現在、新エネルギー、再生可能エネルギーの研究が盛んに行われております。太陽光、風力、バイオマス、小水力、地熱発電などのこうしたエネルギーは電力量としてはまだ小規模ですが、今後強力に推進していく必要があり、将来はベストミックスの観点からも多様化すると思われます。
     そこで、これらの推進に向けて、県の対応の現状と今後の取り組みについて伺います。またこれらの担当課は多岐にわたっておりコントロールするセクションが必要となると思われますが、どのように考えられるのか、あわせて所見を伺います。
     次に、新東名高速道路を活用した農村振興についてであります。
     去る十一月九日幸福度という視点で四十七都道府県の実態と課題を評価分析しランキングする研究成果が発表され、本県は労働・企業部門では四位とものづくりでは高い評価を得たものの、総合では第十九位となっており、県民の幸福度の向上に向けた取り組みの必要性を感じました。本県は、ものづくりのすぐれた資源を有するとともに、世界文化遺産への登録を目指す富士山や二百十九品目を誇る農林水産品など多彩な資源に恵まれており、これらは本県の幸福度を高める上で大きな力になるものと思われます。
     県は、総合計画で県民幸福度の最大化に向けた重点取り組みの一つとして、新たな産業のフロンティアを開拓し、「働いてよし」の理想郷を実現するため、食と農を軸とした新しい産業を興し、食材の王国、農の理想郷を築くとしています。今年の十月、私の地元清水区の農家の皆さんと知事にお目にかかった際、若い農業者から「子供のころ作文で農業をやりたいと書くと、親から大変だからやめておけと言われたが、基盤整備により畑が平たんになり、一緒にやろうと言われて頑張っている」という話があり、希望を持って家族で農業を営むことができるということは、まさに農の理想郷ではないかと感じました。この地域では、若手農家が中心の、JA、市、県を含めたグリーンニューディール検討会が、基盤整備後の農地と新東名を結合させた農村振興のあり方を検討しており、この資源の活用いかんによっては新たな価値を創造し地域経済にはかり知れない効果をもたらすものと期待しているところであります。
     こうした意欲ある地域を支援していくためにも、来年開通する新東名高速道路を活用した農村振興に取り組むべきと考えますが、県の所見を伺います。
     次に、教育行政についてのうち、教員の不祥事についてであります。
     県立高校や小中学校の教員の不祥事が多発しており、関係者のみならず多くの県民から不信感、不安感が寄せられています。県教委が所管する教員の懲戒処分は二十年度が十六件、二十一年度十件、二十二年度が十六件、本年度は既に十件を超えており、とどまる気配がない状況であります。特に最近はセクハラ、盗撮、わいせつの不祥事が目立っています。県教委もそれらに対処し、不祥事を起こした教員の学校名、氏名を公表するように基準を変更しましたが、中には例外規定を理由に公表を避け、身内かばい、組織かばいと見られる例もあり、実効性に疑問を感じております。また十月に逮捕された強制わいせつ容疑の事件は進学指導の名のもとに学校内で起きたものと言われ、卑劣な手段といえます。しかもその数日前には学校内でのセクハラ防止の研修会に出席をしていたとのことで、研修のあり方そのものにも疑問があります。
     県教委は、十五年以上の教職員歴を持ち五年以下の若手教員の指導役として各校へ出向き、模範授業の実施や若手の相談に応じる活動をするアドバイザリーティーチャーを全県で三十一名任命していますが、この立場の教員も逮捕された事実はまさに言語道断であります。またたび重なる不祥事で緊急に開かれた県高校校長会の席で教育長から「万策尽きた」の発言があったと聞いております。トップリーダーが事を処するに当たって決して言ってはならない言葉であります。教育長の猛省を求めます。確かに努力しても努力しても思うようにならないことはあります。それが人生というものかもしれません。そのことを恨んでみても仕方がないことです。ならばこれからどうするかお答えください。県教委はこれら不祥事の反省として教員のゆとりのなさ、職業倫理観、教員同士の信頼関係の欠如を指摘し、コンプライアンス委員会の全校設置と実効性ある運営の徹底を改めて求めたとしています。セクハラ相談員も設置していると聞いておりますが、これらは機能しているのか、また身内ばかりでなく父兄、有識者も関与できるようにすべきではないか、当局の考えを伺います。
     教員側からは、昔に比べて仕事量が多い、ストレスが多いという言葉が繰り返されますが、このことについてはどのように考えるでしょうか。知事は、記者会見で教育長の「万策尽きた」発言に対し、「万策尽きたとは思っていない。不祥事が続くのは構造的な問題がある。不祥事が生じる教育従事者の環境があるのかメスを入れないといけないと思っている」と発言しました。これらのことを受けて教育委員長は具体的に何をどのようにやっていくのかお伺いします。
     長崎県では、県教委からの指示ではなく各校独自で対応策を考える方式で不祥事がなくなった例もあります。また広島県では、まず教員と生徒間の携帯電話、メールの全面禁止から手をつけております。先日、現職の高校教師と話をしました。その人は、「不祥事は個々人の問題に起因している。多忙というのは言いわけに過ぎない。管理職の学校方針が的確であれば教員が戸惑うことはない。あいさつ、服装について生徒に厳しく自分に甘い教師がいる。また同一校に長期間在職するのは弊害が多い」と言っていましたが、これらの意見について当局の考え方をお聞かせください。県高校校長会長である静岡高校の浅羽校長の談話には、最も多い教員の志望動機は、自分の生き方に大きな影響を与えた教師との出会いとありました。教職のみならず親に次いでの教育は教師によっての影響が大きいのですが、その期待にこたえてくれないのでは社会全体が疲弊してしまいます。
     次に、新学習指導要領への対応と部活動についてであります。
     部活動でのよい影響によって教職を志した教員も、いざ教職につくと部活の担当を拒否して担当がいないからと部活動が廃止になってしまい、被害が子供に及んでいる現状に、この対応も以前から指摘していましたが改善された気配がありません。また来年度から指導要綱が変わり武道、ダンスが中学校で必須となりますが、これらの対応は大丈夫でしょうか。特に柔道を取り入れた場合、これまでも学校内での事故が見られましたが、対応については万全なのでしょうか。小学生の英語学習も始まっていますが、発音は大丈夫なのかという疑問の声もあります。これらの対応についてもお答えください。
     次に、教員の採用についてであります。
     全体から見れば不祥事はほんの一部かもしれませんが、現行の採用システムに問題はないのか、採用後も一部のだめ教師が甘んじられるようなシステムということになっていないか、現状の分析と対応をお聞かせください。教育長は教育委員会が決めた人事であります。全国四十七都道府県のうち十七県のみが教育出身者の教育長でその他は行政職です。教育委員会事務局も九つある課のうち財務課と福利課を除く七課長はすべて教員出身者で占められており、このような組織はいびつなのではないでしょうか。
     最後に教育委員の人選について伺います。
     教育委員の人選は知事にゆだねられていますが、知事はどのような観点で選んでいるのかお聞かせください。またこうした現状から、今後どうしていくのかあわせて伺います。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
     初めに、エネルギーの地産地消についてのうち、新エネルギーの推進についてでございます。
     県では、今年の三月にふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを策定したわけでございます。これは太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、中小の水力発電、あるいは温泉・温水などを利用したエネルギーなどでありますけれども、これは平成二十一年度段階で全体の五・一%しか占めませんので、十年後にはこれを一〇%以上に倍増したいという計画でございます。しかし東日本大震災以降、議員御指摘のとおり電力が逼迫いたしておりまして、したがってこれを前倒ししなくちゃいけないという、その取り組みを進めております。
     これまで、住宅用太陽光発電設備の導入に対する助成や県有施設への太陽光発電の率先導入、農業用水路を活用した中小水力発電の導入促進、温泉熱発電の導入可能性の調査、新エネルギー関連の新技術、新製品の研究開発支援など、庁内の各部局が横に連携をいたしまして導入促進に取り組んでいるところでございます。今後は来年七月に再生可能エネルギー固定価格買取制度が始まりますので、民間企業による発電事業への本格的な参入が予想されます。その参入を促進するために、県内のメガソーラーの適地情報を収集しましてそれを広く提供してまいります。また引き続き太陽光発電や中小水力発電などの導入に取り組む中小企業への支援や、新エネルギー導入を促進するための規制緩和の働きかけも行ってまいりたいと思っております。
     また、伊豆地域におきましては地域固有の多様な自然エネルギーに恵まれておりますので、地元市町とともにその活用を進めて観光振興にもつなげてまいろうと考えています。新エネルギーの施策の推進体制につきましては、これまで全部局で構成する静岡県地球温暖化対策推進本部の中に新エネルギー等導入促進部会を設置してまいりました。今後、本格的に新エネルギーの導入やエネルギーの高度利用を加速するために新しい組織を整えてまいります。
     もう一つの火力発電所に関しては部局から答えたいということでそこに任せますが、しかし一言しておきますと、確かに火力発電は天然ガスと並んで一番のエネルギー源としてはこれからも使い得ると存じます。碧南の技術力もございますし、先生はそこをごらんになられたということで、三保には、そこに火力発電所をつくる予定であったということですが、御案内のような経緯がございまして、静岡県の玄関口に火力発電所はいかがなものかということがあったと存じます。そしてメガソーラーに変わったと。しかしメガソーラーは、これは一万キロワットにも満たないという。三百六十万キロワットを失うことになり、わずか八千キロワットしか供給能力がないということは今後どうするかということでございます。しからば元に戻って火力発電所かということになりますが、これはそもそもメガソーラーも、あるいはその時点で考えられていた原発、これはCO2を出さないという地球環境にいいエネルギー源として導入されたものです。明らかに我々は原発に頼っていた。しかしながらメガソーラーもこれも今後育てていかねばならないということがあったわけです。火力発電所になりますとやはりどうしてもCO2の問題が出てまいります。そこでその適地を探すことも大事です。また同時にモンゴルとの交流も深まりますので、そしてモンゴルが一番国の発展の基礎にしたいと思っているのは、さまざまな希少資源、いわゆるレアメタルですね。こうしたものに加えて、埋蔵量が六十数万トンと言われている、しかも良質の石炭であると。これを日本に活用してほしいと。しかも静岡県に非常に大きく頼っていると。いろいろな調整ですね、仲介機能も含めて頼っているということでございますので、その可能性がありますので、こうした事態の中でメガソーラーもさらに技術革新を加えて効率性の高いものにしなくちゃいけない。そしてさまざまな自然エネルギーに大きくシフトしつつも、先生御指摘のように、火力発電所についてもやはり中期的にはこれをあわせて考えておくということが大事だとも思っています。しかし軸足は基本的に新エネルギーのほうに移すということで、こちらのほうをお答え申し上げました。
     次に、新東名高速道路を活用した農村振興についてであります。
     本県におきましては、農業の振興と都市農村交流の促進によって農村の振興を図るために、農業の生産性を高める生産基盤の整備や定住条件を向上させる生活環境の改善とともに、企業と地域が協働して農村の活性化を進める一社一村しずおか運動等に取り組んできたところでございます。これらにより、昨年、全国棚田サミットを松崎町石部で開催いたしました。大変美しいところで、そのときには農水副大臣もお越しになり、「海はるか アルプス望む 松崎の 石部の棚田に 白雲わたる」という歌も詠まれたりいたしまして、大変すばらしい会になったのでございますが、都市との間で農山村と都市とがヒト・モノ・情報を循環させることで活力を取り戻した地域として注目されております。
     一方、県外に目を向けてみますと、地域固有の資源を生かして世界農業遺産に認定された輪島の千枚田のような世界的なブランドとして評価されている地域もございます。こうした中で来年初夏までには、本県の中山間地域を通過する新東名高速道路が開通し、新しい交通軸が形成されます。これを契機に、こうした交通インフラを活用して多彩な食材をはぐくむ個性豊かな地域が連携をして、それぞれが持つ資源や知恵の結合から生まれる新しい価値によって、存在感のある地域として成長していくことが重要であります。
     現在、交通インフラを活用した新しい農村振興に向けまして、互恵の考え方に基づき協働してブランド力を高めるため、県内二十二の市町が美しい邑づくりを推進する連合の設立に着手いたしました。
     静岡県としましては、この活動を支えるために、去る十一月二十四日に美しい邑づくりパートナーシップ全国交流会を開催いたしました。そこで全国に本県の先駆的な取り組みを情報発信したところです。また来年二月二十三日の富士山の日には、その連合の活動を県民運動として発展させるためのシンポジウムの開催も予定しております。今後とも活動の新しい可能性が高まるように、さまざまな視点から農山漁村の地域づくりを支援し、地域みずからが農村のあり方を考え、地域づくりに主体的、意欲的に取り組むふじのくに美しく品格のある邑づくりを推進してまいります。
     そうした中で、先ほどの松崎は伊豆半島でございますが、先般清水と新東名と東名とを結ぶ新丹谷に先生とも御一緒に視察をいたしまして、そこにおける非常に厳しい農業環境の中でのこれまでの農業活動が、土地が整備されたことによって、大変美しい景観の中で栽培もしやすくなったということをじかにお聞きいたしました。あそこのところは東名によっても、あるいは新東名によっても非常に来やすいところであると。したがって従来の農業をされる現地の方々も都会の方に魅力のあるようにつくっていただく必要があります。私は新東名の新しい突破口が、あそこの新丹谷から開かれるのではないかという強い期待を持っております。新東名百六十二キロ、西は引佐から東は御殿場までそれぞれSAやPAがありまして、それぞれの地域に美しい農山村が広がっております。そうしたところにモデルになるようなところがないといけないと。全体の美しい邑づくりのモデルは松崎の石部で、全国棚田サミットとして発信いたしました。新東名における新しい技術を、いわば最先端の技術を持ちながらファッション性のある、そして農ガールと言われる人たちにも、つまり都会の農業おたくの御婦人たち、レディーたちにも十分に耐え得るような、そういう施設としてあそこが来年立ち上がるように大変期待をしておりまして、そのことが私は新東名を活用した農業、農村、あるいは農山村全体の活性化につながるものと強く期待をしているところでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長及び教育委員長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 旧清水工業高校跡地の利活用についてお答えいたします。
     旧清水工業高校跡地につきましては、その一部が秋葉山公園の区域として都市計画決定がなされていることや、地元自治会から静岡市に対し公園として拡張整備の要望が出され、また市としても防災上の観点からの利活用も検討されているものと伺っております。県といたしましても市が取得の上、地元に有益な形での活用がなされることが望ましいものと考えております。
     当該跡地は、県が寄附を受けてから四十八年が経過する中で、工業高校の設置を通じ相応の地域貢献を果たしたものであり、寄附から二十年を経過している場合の取り扱いを定めた普通財産の譲与、無償貸付け等に関する取扱基準から、無償での譲与及び貸し付けは困難であります。一方静岡市内におきましては、平成二十五年度の開校を目途に、現在の静岡市立商業高校敷地内において静岡地区新構想高校――仮称――の整備を進めているところでありますが、この敷地内の市有地について、県が取得する必要が生じております。県といたしましては、この土地との交換を含めた協議を市と始めたところであり、今後も県の新構想高校の整備や市の公園整備計画の進捗状況も踏まえながら、さらに協議を進めてまいります。
     次に、教育行政についてのうち、まず教員の不祥事についてであります。
     私の不用意な発言がマスコミ等で取り上げられ、混乱を招きましたことを深く反省しております。今後も不祥事を初め教育行政が抱えるさまざまな課題の解決に向け、決してあきらめず粘り強く取り組んでいく覚悟でございます。
     セクハラ相談制度につきましては、これまで必ずしも十分に機能していなかったことから制度の周知と相談員の増員を図ってまいります。校内コンプライアンス委員会につきましては、各学校の実情に応じ保護者代表、学校評議員、学校医等の外部委員を加えることとしております。また現在の学校は、これまで家庭や地域が担ってきた役割に加え、教育内容の多様化等への対応が求められるなど、教員の業務量は増加していると認識しており、業務の精選や見直しなどが必要であると考えております。今後は不祥事根絶に向けて、他県の取り組み事例や教職員の声も参考にしながら、実効性のある取り組みを行ってまいります。
     次に、学習指導要領への対応と部活動についてであります。
     部活動につきましては、スポーツエキスパート及び文化の匠派遣事業、大学生等による部活動支援ボランティア事業等を実施し、指導体制の強化を図っているところであります。さらに、しずおか型部活動検討委員会におきまして、外部指導者を効果的に活用するための体制づくりを現在検討しているところであります。
     中学校での武道、ダンスの必修化につきましては、平成二十一年度から保健体育科教員と部活動顧問を対象とした安全に重点を置いた実技研修を実施するとともに、指導事例集やDVDなども配付し、さらに希望がある学校へは指導者を派遣し準備を進めてまいりました。今後も安全に十分配慮した実技指導等の研修会を続けてまいります。
     また、小学校外国語活動につきましては、全面実施となりました本年度からは県内九地区で授業参観等により指導方法を学ぶ研修を実施しており、またALTや音声CD等を活用しネイティブスピーカーの音声に直接触れられるように配慮しております。
     県教育委員会といたしましては、今後も武道や外国語活動について実践的な研修を行い教員の指導力向上に努めてまいります。
     次に、教員の採用についてであります。
     教員採用選考試験では、教員として適正な資質能力を有した人材を確保するため、これまでも一次試験の筆記試験におきまして、教職・一般教養試験及び教科専門試験を実施するとともに、人物重視の観点に立ち受験者全員に個人面接を実施しております。また二次試験におきましても、多様な視点から教員としての資質、適性を把握するために、教職に関する課題作文を課するとともに、民間企業の人事担当者等を面接員に加え再度個人面接及び集団面接を行い、複数の適性検査も実施しているところであります。
     現在、不祥事が起こる要因につきましては、不祥事根絶委員会において分析中でありますので、その結果を踏まえ教員の採用方法の改善に取り組んでまいります。また採用後の教員の育成につきましては、体系的な研修のシステムに基づき、学習指導、生徒指導等の実践に即した研修だけではなく、人権意識の高揚を含め、豊かな人間性や社会性を身につけた頼もしい教職員の育成に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 金子教育委員会委員長。
           (教育委員会委員長 金子容子君登壇)
    ○教育委員会委員長(金子容子君) 教員の不祥事についてお答え申し上げます。
     教職員の不祥事が相次ぎ、とりわけ教員がみずからの立場を利用して生徒にセクハラ行為を働くなど、非常に卑劣な事件も発生しましたことに、県民の皆様方に深く深くおわび申し上げます。
     もはや一刻の猶予もないという強い危機意識を持ち、去る十一月十日に教育委員協議会を開催し、私ども教育委員が示しました方針に基づき、不祥事根絶委員会の設置、校内コミュニケーションの活性化など新たな六つの防止策を決定いたしました。今後その防止策の具体的な実施方法等につきまして迅速に検討、立案することを指示し、その報告を受けて協議、決定してまいります。
     教育委員の職務は、広く教育行政に関する方針を策定するとともに、事務局の事務執行状況を点検、評価することでございます。今後は事務局と学校現場における進捗状況を的確に把握し、その上に立ちまして不祥事根絶委員会にて具体的な指示もし、防止策検討の段階から直接かかわり推進してまいります。
     さらに、私ども教育委員は民間、私学の厳しい経営課題を負う中に常に身を置いております。この公務員にはない観点からも強く提言をしていく所存でございます。不祥事対策は多様な原因に対処していく必要がございます。しかしながら常に常に子供目線に立ち返って考え、根本原因を真に根絶していく方策を出していきたいと考えております。以上でございます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) エネルギーの地産地消についてのうち、火力発電所の誘致についてお答えいたします。
     電力需給が逼迫する状況の中で、近年の技術革新により高効率化、クリーン化が進む火力発電所は、大規模な電力を供給できる有力な電源として再び注目されてきております。火力発電を初め大規模発電所の立地に当たりましては、まずは事業者が立地可能性を客観的に分析し、文化や歴史などの地域の特性、自然環境との調和にも十分配慮した計画を立案いたします。その上で県と地元市町が住民の意向の把握、地域の振興計画や将来像との整合性などについて検討し、立地計画に関しての地域の意見をまとめていくこととなっております。
     本県への火力発電所の立地につきましては、事業者から具体的な要請があれば地元の意向を尊重することを基本姿勢として相談に応じてまいります。また特定の電力事業者に発送電のほとんどを依存する現在の電力供給体制の問題も明らかになりましたことから、議員御指摘のとおり県内での電力需給を考えることも大変重要であります。
     このため、県といたしましては、太陽や風、水、森林、温泉など本県が有する豊かな自然資源を最大限活用し、従来の一極集中依存型から多極分散自立型という方向へのエネルギー体系への転換を目指し、新エネルギー等によるエネルギーの地産地消とライフスタイルの転換による節電に積極的に取り組み、電力の安定確保に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 教育行政についてのうち、教育委員の人選についてお答えいたします。
     教育委員会委員は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条の規定により、人格が高潔で教育、学術及び文化に関し識見を有する者のうちから、知事が議会の同意を得て任命することとされております。任命に当たっては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、保護者である者が含まれるようにしなければならないとされており、これらの法律上の要件に基づいて、教育行政の推進や改革に御尽力いただける方の中から知事がその都度任命しております。なおこの際、教員としての教育現場の経験や教員生活の中で培われた教育に関する識見が教育行政の推進に役立つとの観点から、これまで教員経験者も委員の一人として任命しているものであります。
     今後の委員の選任につきましては、教育を取り巻く状況の変化を踏まえつつ幅広い分野から教育委員として教育現場のさらなる改革に力を発揮していただける方がふさわしいと考えております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 七十一番 中澤通訓君。
           (七十一番 中澤通訓君登壇)
    ○七十一番(中澤通訓君) 発電所につきましては、知事も御承知のように五十四基のうちの九基しか残っていないという現状。それから今月になりますと三つの発電所が停止になります。それ以降はずっと定期点検になります。四月には北海道電力の泊三号機がそれぞれ定期点検になりますと、日本の原子力発電所は現在の体制でいくとすべてがとまります。そうするとそれじゃ火力発電所に依存してどういう形でやっていくのか、ゴーサインが出るのはなかなか難しい今の政治情勢。そうやって考えて確かに新エネルギーとのミックス、それは当然わかります。五%を一〇%に前倒ししたい。当然将来はそういう形に、かなりうまくミックスした形になっていくでしょう。ただこの時期どうしていくのか。当然そうしたベストミックスという形をやっぱりとらざるを得ないと思うんです。今答弁ですと、事業者がまずそういう意思表示をして県は答えるんじゃなくて、県内のエネルギーの供給体制はどうやったらいいか、やっぱりこちら側も考えていかなきゃいけない。事業者だけに私は責任を持っていくことではないと思う。当然野放図な電気使用というのはもう皆さん方も注意しているし、県民も十分わかっていると思うんですが、やはり電気を基本とした社会生活になれてしまった今日では節電では限界があります。そういう中でどうしていくのか。メガソーラーもいいでしょう。しかしメガソーラー発電は、最大効率を出すにはそれぞれの家で太陽光発電をやるのが一番いいわけです。しかしメガソーラーでやった場合、もう送電するときに三割以上はなくなっています。七割弱しか送電されません。確かに地球温暖化のことはありますけれども、今は私も現場を見て、「ああこれほど進んでいるのか」と思ったんですが、例えばLNGでコンバインドサイクル方式という発電方式になりますと、今は六〇%以上の効率で発電がされていると。これはもう昔の、CO2 とか酸化物それぞれがありますが、それも二割以上減になっていますから。私行ってみてびっくりしました、こんなにすばらしくなっているのかと。ゼロにはなりませんけれども、常に技術革新が行われていることに対しては、もう一度やはり皆さん方で考えていただきたいと思います。
     教員のことにつきましてですが、やっぱり部長答えられましたけれども、教育委員の中で互選された教育長が実施をします。しかし今のように九つのうちの七つが――課の中も問題もありますよ――課長職がすべて教育出身者で占められて、いわゆる自分たちの組織の中で物事をまず第一に考えてどうしたらいいかなと。逆じゃないかと私は思うんです。むしろ行政マンが入って、行政レベルからすると県民の意向を考えてこうあったらいいなということを考えて、教育出身者の意見を聞いて一つの方針を出していく。そういうシステムに変えなきゃ私はできないと思っていますので、その点については、教育長答えられないかもしれないが、やっぱり答えていただきたいと思います。
     それから、教員の異動のことでありますけれども、採用のことについてはまだまだ直さなきゃいけない。決局採用したら首にはできないですよね、一生できないです。そうすると児童は、子供は教師を選べません。努力しても努力しても、あなた方のほうでちょっとまずいかなと思っている人はゼロじゃないはずなんです。だけど現実には退場させるわけにいきませんが、採用のときに今のシステムで本当にいいんですか。もう一度私は検討していただきたいと思います。
     それから、高校の教員の人事異動ですが、同一校に七年以上の勤務者の異動を積極的に行うというふうに皆さん方の指導方針に書いてありますけれども、高校教員四千三名のうち、同一校八年以上の勤務者は九百三十名、二三・二三%、十一年以上が四百二十四人、一〇・五九%、二十年以上が四十三人、最高は三十年以上いますよ、いろいろ理由はあるでしょうけれども。これはやっぱり組織的な中での問題点だと私は思いますけれども。しかもあわせて再任用の方もありますね。再任用の六〇%近くの方が同一校にまた勤務します。これで新しい風が入っていくのかどうか。むしろ教育委員会がそういうことをとめているような感じがいたしますので、その点についてお答えください。
     六人で構成される教育委員会ですけれども、教育行政の方針を決定して実務の責任者として教育長が選ばれます。しかしこうした今回不祥事根絶委員会を立ち上げたわけでありますが、メンバーは、教育次長をトップとした各課の課長さんなど七人で構成され、オブザーバーとして校長、セクハラ相談員、養護教員等が入って、アドバイザーとして初めて外部委員のハラスメントコンサルタント、犯罪心理学者、警察関係者を適宜招聘して意見聴取をするとしています。逆じゃないかと思うんです。基本のメンバーは自分たちでつくっておいて、参考人として来てやるっていうのは、本当は逆だと私は思いますよ。むしろ外で考えてもらったのを、教育委員会の人たちがいろんな意見を言って一つの方向を出していく。本末転倒の委員会構成だと思います。これは教育委員長もう一度答えていただきたいと思います。県全体でこの不祥事の根絶対策を考えていることは、私はどだい無理な話だと思います。むしろ現場の責任者である校長が中心となって対処すべきではないかと私は考えますが、どうでしょう。
     あわせて、教育委員長と教育長の権限が二重構造になってはいないかと私は思います。非常勤の教育委員長が常勤の教育長を指導することは事実上私は不可能だと考えております。それについて教育委員長のお考えをください。
     それからあわせて、一連の不祥事がたくさん続いておりますが、これらの責任の所在があいまいであり処分がなされておりませんが、そのことについてお聞かせください。
     そしてまた、今度は学校内の不祥事でありますが、きのう配られた監査委員の報告の中にありましたように、きのうからきょうにかけて県内の西部の高校で万引き、そしてまた窃盗等で七十四人の子供さんたちが、一昨年からのずっと続いた事件となっています。今現場の校長先生が一生懸命努力されているということはわかりますけれども、それはわかります。しかしこの事実は私は昨年まで文教警察委員会にいましたが、報告されていません。多分教育長は知っていたと思います。教育委員長は去年からの留任です。教育委員長にも報告されていない。教育委員会内部での議論にも多分なっていないんじゃないかと思いますけれども、これらについてはどうするんですか。事実は事実としてやるべきじゃないですか。監査委員に改めて指摘されて初めて出てくるということはおかしいと思います。
     知事に伺います。知事は選挙のときにマニフェストで教育改革を強く訴えて、そして「平太が静岡の“宝(人材)”を育てます」という文章の中に、「世界的な視点をもつ教職員の人材育成や教育行政など子どもに対する教育を総合的に見直し、静岡県から将来の日本を背負って立つ力強い青年を輩出します」ということで、六項目の中のうちの一つに、「教育行政改革を進めます」として、「教育委員会の存在意義・あり方を再検討します」と訴えていますけれども、しかしやっぱり知事と違いますよね、教育委員は独自性がありますから入ることができない部分がありますが、これらについて、先ほど来答えられている答えを踏まえて知事がこれらに満足しているのか。そして知事が求める教育行政改革というのはどうなのか、どういうふうにしていきたいのか。そういうことについては、やはり言っていただき、また答えるべきは答えていただきたいと思います。そしてまた今後どうしていくのか。そういうことによって、私は静岡県の子供さんたちが元気になっていくんだと思いますが、まず委員会体制、それから実務の話、そして知事の話もしっかりとお答えいただければと思います。よろしくどうぞお願いします。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) たくさんの再質問をいただきましてありがとうございます。私のほうでひょっとして答弁漏れがありましたら、また後ほど御指摘をいただければと思います。
     第一点目の、教育行政に携わる課長等教育委員会事務局の人事についてでございます。
     先ほど中澤議員からも、「昨年、文教警察委員会で」というお話がありましたけれども、昨年私が就任したときに、たしか委員からは、「君の教育現場での経験は短いのではないか」と、「教育行政ばっかりに携わっていて短いのではないか」という御指摘をいただいて、「不肖私も学校で延べ十四年間勤めさせていただいた」というお話をさせていただきました。そのときに私は感じたのは、これはもちろん教育行政と学校現場の長さというものもあるかもしれませんけれども、やはりそこはバランスということを考えながら、また課長クラスのほとんどは一度若いときに指導主事あるいは管理主事として教育行政に携わっているわけですので、そういう意味では、私は必ずしも行政のプロパー――もともと行政に入った方ではなく、教員出身の方で若いころ教育行政を経験した者が、それなりの年齢になり、それなりの経験を重ねたときには課長につくということについては特に問題はないかなと思っております。ただ議員から御指摘のありましたように、全体のバランスを考えたときにどうかということについては、今後の検討課題というふうにさせていただきたいなと思っています。
     二番目の採用につきましては、御答弁でも申し上げましたように、より適切な採用方法をとるために何が足りないのか、何をしたらいいのかということにつきましては、今不祥事根絶委員会の中で要因等につきましても分析をしておりますので、その分析結果を待ちながら、来年に間に合うかどうかわかりませんけれども、これからの教員採用試験のあり方に反映をしていきたいなというふうに思っております。
     三点目の同一校七年以上の問題でございます。確かに高等学校の場合には七年以上、あるいは八年以上、さらには二けたいるという場合もございます。これについては、私たちも学校の活性化ということからすれば、やはり長期化というのはマイナス面もございますので、新しい学校で勤務をしていただくということは推し進めていかなければいけないかなというふうに思っております。ただ七年以上が百人いたときに、果たして百人すべてが七年以上勤めたので、すべてを異動させるかどうかということについては、やはり学校運営上の問題もありますし、具体的に申し上げれば部活動の指導とか、あるいは教科指導、そういう面でなくてはならないという、この学校にいてもらいたいという、やっぱり名物先生もおりますので、そういう意味では、その辺のバランスも考えながら今後の人事異動を考えていきたいなというふうに思っております。
     それから、きょうの新聞でも報道されました磐田西高校の万引きのことでございますけれども、これについては今回二十二年度が監査対象だというふうに聞いておりまして、この大量の万引きが起きた事案は二十一年の十一月に起きたものでございます。まだ当時どういう報告がなされたか、申しわけありません、私も確認してございませんけれども、学校から報告が上がり、私の記憶では十二月の二十二日。十一月に発覚しまして二カ月間の間でPTA、あるいは保護者の方にもいろいろ相談し、あるいは関係中学校にもおわびを申し上げるということで、学校は誠心誠意これについては対応したというふうに私は認識しておりますけれども、その報告について教育委員会のほうにされたかどうかということについては、ちょっと私も現時点では承知しておりませんので、この段階ではお答えできないということで御了解いただければというふうに思っております。私からの御答弁は以上でございます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 金子教育委員会委員長。
           (教育委員会委員長 金子容子君登壇)
    ○教育委員会委員長(金子容子君) 二点お答え申し上げます。
     根絶委員会が逆ではないかという御指摘でございます。大変参考にさせていただきます。根絶委員会は教育次長、担当部課長、それから必要に応じて外部の方ということになっておりますが、このほかにコンプライアンス委員会という法令遵守、懲戒に関する不祥事根絶に関するコンプライアンス委員会がございまして、これとこのコンプライアンス委員会はそのほとんどが外部の方々でございます。このコンプライアンス委員会と非常に連携をとりましてやっていく所存でございます。
     次に、権限の二重構造ではないかというものでございますけれども、教育委員会は教育長を含む六名の教育委員の合議により職務権限を行使しております。また教育委員会事務局のほうは教育長の指揮監督のもとに、教育委員会が合議で決定した方針に基づきさまざまな施策を展開するものでございます。各教育委員はそれぞれの職場において多様な経験を積んでおります。中でも企業経営、私学経営等、経営的課題を負いまして対処している経験は教職、公務員が、ほとんどの事務局と特に異なるところでございます。子供たちの教育が余りに実社会とかけ離れたものとならないように、子供たちの目線で子供たちが実社会において生き抜く力の育成のため、民間の発想から提言していく必要も強く感じ鋭意それを行っております。
     今後も、移動教育委員会等さまざまな機会をとらえて、県民の声を的確に把握して、ふじのくに有徳の人育成のため、事務局と一丸となって迅速に課題に取り組んでまいります。以上でございます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 今回、教員の不祥事が続いておりまして、ようやく教育界の問題が、子供たちの教育をどうするかということにも増して、つまり子供の問題にも増して先生の問題であるということになって、ようやく県全体の関心が極めて高まってきた。特に危機意識が高まってきたということを追い風にして、私は教育行政に切り込んでまいりたいというふうに思っております。
     現在、四月から十二名の教員の不祥事がございました。そのうち六件は高校です。四件が中学です。残り二件が小学校です。そして不祥事を起こした高校の教員のうち二十代は一人もいません。初めて教壇に立って明らかに使命感に燃えている二十代にはいないのです。三十代の後半から四十代が六人。高校の先生方です。平均は四十一歳です。それから中学の先生四人のうち、お一人は五十代ですけれども、残りは三十九歳、三十九歳、四十一歳です。平均すれば四十歳なんですね。小学校は、お一人は年齢が出ておりません。出ている人は四十歳です。ですから四十前後に起こっているということについて、一言もそのことについての御指摘が教育委員会からないなと思っています。
     人権が問題だと。それから同僚性という言葉を使われるわけですが、つまり同僚の仲間、きずなですね、これをもっと強くすると。もう一つはやる気だと。浅羽高等学校校長会の会長先生、それからうちの教育長もそのように言われて、平仄が合っているわけですが、人格というのは心と体が合っていないとできません。心と体を調和させた形で有徳の人をつくろうと言っているわけですが、心と体は、例えば柔道において心技体――これは武道でも一般に言われますが――これは一体だというふうに言われますね。ですから体と心というのは一体で、人間の体は二十代の体と四十代では違います。したがって心の持ちようも違ってくると。四十ごろにはどういうことになるのかということをやっぱり考えないといけないと。「心身一如」という言葉がありますけれども、四十で不惑になる……。惑いがちになるということと関係していないかどうかと存じます。つまりベテランであることが問題であるんじゃないかということも問われなくちゃならないのじゃないか。
     しからば、これをどのようにチェックするかということで、教育委員会はその任を負われているわけです。教育委員は六人しかいらっしゃらない。教育委員長は金子先生にやっていただいております。残りのうち一人は教育長です。もう一人は保護者でないといけない。そして残り三人は私が任命いたしました。お一人は柔道のオリンピックのメダリストですね。スポーツが大事。これはやる気がないと、根性がないと、そして本当に人間として訓練ができていないとできません。それからもう一人は書店の経営者です。前の教育委員長もそうでございました。本県はすばらしい書店屋がある。浜松における最高の、いわば読書文化を使命感を持って担っている人に入ってもらっています。もう一人は予備校の経営者です。この方は、いわゆる学校とは違って、本当に勉強する気の子を学力とともに魅力ある授業を通して育てなくちゃいけないということで、この六人の方々はどの方をとっても立派な方です。それは間違いありません。
     しからばその方が、教育委員会として教育事務局を、あるいは教育行政に対してどれほどの影響力があるかと。御指摘のように教育長を除いて非常勤ですから、その非常勤の者が常勤の教育長以下、教育行政を全部コントロールできるかというとできないですね。だから問題があると思います。したがって私は、この教育委員会のあり方全体について、県民全体と言うと言葉のあやですけれども、県全体でチェックするときがきたと思っておりまして、事業仕分けというのをこれまでやってきましたが、これも今回はコストについては、かかっている費用は、一回目、二回目は百億円単位だったんですが、今回は十億円単位でございます。四十億円ほどのことでやっている。だんだんと組織それ自体についても洗ってもいいというふうに思っておりまして、どのようにして洗ったらいいのか。先ほど七割の方々が先生経験者だと言われた。先生経験者でない人で全部やっていいのかと。現場を知らない人で教育行政ができるかというとできません。しかし現場の人にだけ任せてしまうと、仲間意識でなあなあ主義になりかねないということでございます。そのあたりのバランスをどうしたらいいのか。さらにまた現場から遠ざかっている人は、本当に現場というものについて真剣に考えているかどうかわかりません。どうして現場に戻るということが、現場というものを、つまり教室ですね。校長先生が教えていないと。教えている先生もいらっしゃるかと存じますけれども、子供たちに接していないで教育行政をやっていることの問題もあるかというふうに思っておりまして、このあたり、どの方も一人ずつ教育論を持っていると思います。教育についてはどの方もお一人ずつの教育哲学をお持ちでございます。したがってこれを軽々に、私がこうしなさいと言ったところで、これは容喙になりますので、県民運動を挙げてやっていかなくちゃいけない。
     ただし子供に関していえば、小学校、中学校、高校、これは他県と比べてよく育っているということは申し上げておかねばならないと思います。勉強も、数学のオリンピックでメダルを取ったりする子もいますし、スポーツですばらしい成績を上げている中学生、高校生もいます。芸術でも活動している青少年がいますので、そこのところと行政、あるいは先生ということとの関係を抜きにして、我々は今度は先生方のあり方、また先生方の教育行政にかかわるそのシステムのあり方、これについて、どのようにすれば緊張感が走って立派な先生方による教育が行われるようになるのか。今我々はようやく踏み切りのところに来たというふうに思っておりまして、これを機会にいたしまして、事業仕分けの中になじむかどうかわかりませんけれども、そうした形で教育問題検討会というようなものを、県全体の英知を集める形で立ち上げるというときが来たと認識しております。

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