本会議会議録

質問文書

平成30年９月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　好浩 議員

質問分類
代表質問

質問日：
09/25/2018

会派名：
公明党静岡県議団

質疑・質問事項：
１　知事の政治姿勢について
　(1)　ＳＤＧｓの推進
　(2)　障がい者雇用の拡大　
２　防災・減災対策の強化について
　(1)　市町に対する財政上の支援
　　ア　緊急地震・津波対策等交付金の活用
イ　プロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ－０」総合支援事業の拡
充
(2) 災害関連死を発生させない対策
(3) 学校におけるＢＣＰ
(4) 総合的な豪雨災害対策の推進
(5) 地震防災センターの今後の整備・運用
(6) 消防防災ヘリコプターの活用と安全対策
(7) 港を地震・津波から守る対策の強化
３　個人住民税の徴収対策について
４　受動喫煙防止条例の制定について
５　障害者差別解消法の推進について
６　サイクルツーリズムの推進とサイクリストへのおもてなし
について
７　これからの文化振興について
８　再生可能エネルギーの導入促進について
９　農産物の国際競争力の強化について
10　民間の力を活用した防犯活動について

○議長（渥美泰一君）　ただいまから会議を開きます。
　議事日程により、知事提出議案第百十四号から第百十八号まで、第百二十号から第百三十三号まで及び平成二十九年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
　質疑及び一般質問を行います。
　通告により、二十八番　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十八番　髙田好浩君登壇　拍手）
○二十八番（髙田好浩君）　皆さんこんにちは。質問に入る前に、七月五日から続いた豪雨により西日本を中心に大規模な災害が発生し、また九月四日に日本を襲った台風二十一号、さらに九月六日午前三時七分に北海道で震度七の大規模地震が発生し、それぞれの災害で多くの方々が命を落とされ多くの方が被災されました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに被災された皆様にお見舞いを申し上げます。防災先進県静岡県としてこれらの災害から多くのことを学ばせていただき、県民の命を守る政策、事業が具体的に推進できるよう全力を挙げていくべきであると冒頭申し上げます。
　それでは、公明党静岡県議団を代表して、通告に従い県政の諸課題について知事並びに副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に一括方式で質問をいたします。
　まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、ＳＤＧｓの推進について伺います。
　国際的な取り組みであるＳＤＧｓの達成は、世界共通の目標となり官民挙げての取り組みが始まりました。経済界はＳＤＧｓの創出する市場及び雇用を取り込みつつ、国内外のＳＤＧｓを同時に達成し日本経済の持続可能な成長につなげていくことを視野に入れ積極的な対応を推進しております。
　本県では、静岡市と浜松市がＳＤＧｓ未来都市に選定されましたが、その一方で一部の地域や企業を除きＳＤＧｓが何であるのか多くの県民に認識されていないと実感します。このまま進めば世界の潮流から取り残されかねない、そんな焦りすら感じます。
　我が会派では、議会の中でＳＤＧｓの取り組みを加速するようただしてきました。副知事を本部長とする推進本部が立ち上がり議論が始まったと伺っておりますが、来年一月の東京ガールズコレクション、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが相次いで開催される本県に世界からさまざまな角度で注目が集まることは間違いありません。
　横浜市では、ＳＤＧｓに取り組む企業・団体などの相談窓口――ＳＤＧｓデザインセンター――を開設し対応に当たるそうですが、県民や企業など多くの意識を高める啓発運動とともにこのような相談窓口の開設など具体的に取り組む必要があります。ＳＤＧｓの実現は川勝知事の目指す富国有徳の美しいふじのくにづくりに相通じるものであり、今年度から始まった総合計画の推進に当たってＳＤＧｓとの関連性を明らかにしていただきました。
　そこで、県はこれから県民のための総合計画と密接に関連するＳＤＧｓを推進するためにどのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、障害者雇用の拡大について伺います。
　障害者の雇用拡大に取り組んでいる我が国において中央省庁による算定の水増し問題が判明し、本県でも八月二十一日に平成三十年度の障害者雇用数百二十二人のうち三十六人が本来算定に必要となる身体障害者手帳の所持を確認していない職員であったことが判明し、二・六一％と報告された障害者雇用率が実際は一・九〇％で達成すべき二・五％を大きく下回っていました。民間では障害者雇用の鉄則は障害者手帳の確認にあり行政全般の認識の甘さが露呈し、さらに職員採用後に障害基準に当てはまる人を本人が知らないまま法定雇用率に算入していることもわかり、さらに県教育委員会及び県警察本部でも同様の対応がされていたことが判明しました。
　障害者団体の関係者の方々から、本来障害者雇用を促進すべき県の意識の低さに驚いている、民間は厳しい罰則規定があり障害者雇用を拡大しているのにと大変厳しい抗議がありました。
　公明党静岡県議団は、今までにも議会を初めさまざまな機会に県が積極的に障害者雇用を推進すべきであると訴えてきました。発表の翌日会派として川勝知事及び木苗教育長に対し緊急要望を行い、法定雇用率の達成、積極的な障害者雇用の取り組みの強化、障害のある職員への適切な配慮を強く求めました。特に採用時の障害者枠を拡大し、県が率先して障害のある方を採用すべきであると強く要望いたしました。
　先ほどのＳＤＧｓの観点からも、この問題を真摯に受けとめ障害のある方の雇用促進をさらに積極的に行う必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
　次に、防災・減災対策の強化について八つの視点から今後の取り組みについて伺います。
　初めに、市町に対する財政上の支援についてのうち、緊急地震・津波対策等交付金の活用についてです。
　県は、平成十三年にそれまで複数の部署で所管していたさまざまな地震対策の助成制度を統合し、総合的に市町の地震対策等を支援する補助金として大規模地震対策等総合支援事業費補助金制度を創設し年間約十七から十八億円規模で執行してきました。その後静岡県第四次地震被害想定の公表に伴い、平成二十五年度から三年間分を一括して市町に対して九十二億円を助成する緊急地震・津波対策交付金を創設しました。
　公明党静岡県議団は、平成二十六年四月から六月にかけ全市町に対し防災対策の進捗状況と課題について調査を行った結果、この交付金についてはその必要性を重視する市町がほとんどで、あわせて補助対象メニューの拡充や補助率の向上を求める要望が多くありました。調査後に会派として、県民の命を守るためにさらに市町が取り組みやすい制度設計を行うよう県に対し強く要望いたしました。
　その後、県は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標達成のために緊急地震・津波対策等交付金を創設し平成二十八年度から今年度まで毎年約三十億円、三年間で九十一億円の事業費を確保しました。この制度において新たなメニューや負担割合の見直しを行ったことは評価できますが、市町のニーズが多いにもかかわらず残念ながら執行残が見られ活用し切れていない状況が続いてきました。市町の地震・津波対策のために需要の高い事業交付金であり県としてさらに使いやすい制度運用を行うべきであります。
　県は、市町の重要な意見や要望をしっかり受けとめ有効な助成が推進され県民の命を確実に守ることができるよう努めていく必要があり、そのためにもこの交付金を継続していくべきと考えます。
　そこで、市町がこの交付金を活用しより一層地震・津波対策を推進できるようにするために県はどのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、プロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ―０」総合支援事業の拡充について伺います。
　静岡県は、平成十三年にプロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ―０」総合支援事業を創設し個人の財産である木造住宅の耐震補強やブロック塀の改善などを推進してきました。さらに平成二十六年には大規模な建築物の天井の改修や既存エレベーターの改修などが事業内容に加わり命を守る政策が充実してきました。この事業の目的は補助金を活用する当事者やその家族を守ることでしたが、地震で自宅が倒壊し隣の家を壊しても基本的には損害賠償義務はなく全て自己負担で再建しなければならないことを考えると、この補助金の活用の意義を近隣を巻き込まない犠牲者にしないために必要な防災対策をみずから行うことが当然であるとの認識を県民に持ってもらうことが重要と考えます。
　これからさらに耐震化を進める必要があると考えますが、長年にわたるＴＯＵＫＡＩ―〇事業の進捗状況をどう評価しどのような課題があると認識しているのか伺います。
　また、来年度以降さらなる事業の推進のためにどのように取り組もうとしているのか伺います。
　大阪北部地震ではブロック塀等の倒壊により大切な命が奪われました。この事業にブロック塀等の撤去や改善事業の補助制度が盛り込まれていますが、県民にさらに積極的に周知する必要があると考えますが今後の対応について伺います。
　また、住宅の補強と同じように高齢者世帯への補助の割増制度を構築すべきと考えますが、県の所見を伺います。
　さらに、ブロック塀等の撤去に公費を投入するのであれば空き家の撤去についても地域の地震対策の一環として捉え他の補助制度と抱き合わせで使える制度を盛り込むべきと考えますが、あわせて県の所見を伺います。
　次に、災害関連死を発生させない対策について伺います。
　現在、全国から大規模災害の被災地へ医療や健康管理を支援する専門家集団を派遣する体制がつくられ直接死や関連死を一人でもなくす活動が行われています。
　例えば、被災直後の災害急性期の救命治療を行うＤＭＡＴ、保健所が担う公衆衛生対策を支援するＤＨＥＡＴ、中長期にわたり心のケアなどを行うＤＰＡＴが構成され東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震、西日本豪雨災害などに派遣され多くの実績を残しています。特に災害関連死は被災直後の避難所生活だけで発生するのではなく自宅に帰ってから、また仮設住宅や復興住宅に移り住んでからも発生し、熊本地震ではＤＭＡＴとＤＰＡＴが派遣されましたが直接死五十人に対しことし三月現在で関連死がその四倍を超える二百十二人になってしまいました。
　災害派遣チームに支援してもらうことは被災地として大変に心強いことであり、全国にさらに多くのチームが構成されることを望みますが、南海トラフ地震では太平洋側の多くの地域が一気に被災し支援チームの速やかな活動が計画どおり行えるか大変に心配です。それぞれの支援チームの目的に沿った県内版の準備が必要不可欠であり、またスピードのある対応が求められる救急時には医療関係者がいるところに被災者が行くのではなく被災者のいるところに駆けつける体制づくりも必要と考えます。
　そこで、今まで県が行ってきた災害関連死を発生させない取り組みを伺うとともに、全国の被災地から学んだ課題とこれからの県の準備について伺います。
　次に、学校におけるＢＣＰについて伺います。
　県教育委員会は、大規模災害が発生したときに備え平成二十八年三月に作成した学校の防災対策マニュアルを国からの地震情報等が変化したことに伴い本年三月に改定いたしました。地震、津波、風水害、原子力、火山のそれぞれに対する災害対策と国民保護対策についての基礎知識や各災害への対応を記載し、さらに学校再開計画についての改定を行いました。
　災害が発生した時、学校は地域住民の一時的な避難所としての役割を担うことになりますが、本来学校は教育のための施設です。改定されたマニュアルでは基本的には学校が教育活動の場であることに留意して学校再開に関する記載を全面的に見直しており、災害対策本部の設置、児童・生徒・保護者対応や施設管理、心のケアなど早期の学校再開のために準備すべきこと行うべきことを明確にし、いわゆる学校におけるＢＣＰの作成を目指すことになりました。具体的には一カ月程度で再開ができることを想定して三日程度までに行うこと、一週間、二週間程度そして一カ月程度までに行うことを決めチェックできるように工夫されています。
　しかし、児童・生徒の心のケアは二カ月、三カ月、さらに長期間の対応が必要となることも想定されているので児童・生徒のストレス障害が発生しないように万全の準備をする必要があります。
　このマニュアルを生かして教育活動の場としての早期の安全・安心な再開を具現化していくためには地域との相互理解が必要であり、さらに学校ごとにより具体的なＢＣＰを作成していく必要があると考えますが、教育委員会として今後どのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、総合的な豪雨災害対策の推進について伺います。
　今後毎年のように襲ってくる可能性がある豪雨の発生確率は地震・津波よりはるかに高く、また近年全国各地で豪雨により被災する規模が地震災害の規模に匹敵あるいはそれ以上になり、犠牲者数も地震災害を大きく上回る豪雨災害が発生しています。地震と違い豪雨は災害発生までの時間の確保ができそのプロセスが想定しやすく、またかなり正確な気象の分析や的確な情報を出すことができるようになり、警報等の指示に従えば減災効果が大きく発揮されることは間違いありません。
　しかし、人間の持つ正常性バイアスが悪さをして自分は大丈夫という安易な気持ちに支配され、大切な情報を聞き流し避難行動をすることなく大切な命を落としてしまう人がいることが残念でなりません。
　豪雨による災害を最小限に抑えるために、地震・津波対策と同じように危機管理部を司令塔とした豪雨対策全体の検討と対策の実施による進捗状況の管理が必要と考えます。各種警報やハザードマップの意味ととるべき行動の周知、タイムライン、マイ・タイムラインの構築状況、豪雨対策教育などソフト対策の推進状況の確認、また河川整備、がけ崩れ防止対策などのハード整備の進捗状況の確認、さらに地震発生時の避難所と違う豪雨時の避難所の周知など地震対策との違いを明確にするなど県民に情報提供すべき豪雨対策事業の進捗状況をわかりやすく列記し一元管理ができる準備をする必要があります。
　県民の命を確実に守るために、例えば以上の内容を盛り込んだ仮称豪雨対策総合プログラムを創設するなど総合的に豪雨災害対策を推進する取り組みが必要であると考えますが、県の所見を伺います。
　次に、地震防災センターの今後の整備・運用について伺います。
　静岡県地震防災センターは、平成元年に開館し県民が地震のメカニズムを理解したり防災の準備を始めることを啓発するとともに人材育成の場として活用されてきましたが、施設本体や展示物の老朽化、展示内容の課題、人材育成のための具体的な活用内容等の検討が必要となりこのたびリニューアルを行うことになり、また近年多発している風水害や土砂災害、発生が想定される火山災害など地震以外の災害についても取り上げ防災先進県にふさわしい防災力をつけることができる施設への変革を目指しています。
　地震防災センターは、従来から防災に関する啓発活動の拠点、自主防災組織の活性化を図るための拠点、防災に関する研修施設の役割を持っており、今回のリニューアルではこれらを踏まえつつ自然の恵みと潜在する脅威への気づきなどを基本方針とした施設整備になります。さまざまなコンセプトはありますが、この施設を見学し帰るときにあすから個人や家族、地域で具体的に防災の準備を行うことができる人を確実にふやすことが一番重要な存在意義であると考えます。
　そのためには、まず来館者目標を設定しより多くの県民の皆様に来場していただくことが必要であり、来館を誘導するためのパンフレットの作成、配布から始まり、来館者へのアンケート調査で常にニーズに合った展示等を行いリピーターをふやし、防災に関する意識の啓発が持続される体制をつくる必要があります。また総合的な展示や講演だけではなく具体的な情報の発信が必要であり、例えば防災関係のアプリの紹介、三十五市町の防災対策に対する補助制度のパンフレットの常設、配布、県の取り組む人材育成の紹介コーナーとその場での申し込みの啓発、避難所運営マニュアルの概要版の大型パネル展示などが必要であり、さらに来館した方がもれなく防災の人材になれるような意識啓発をする来館記念証明書の発行や防災にさらに力を入れようという方々に次のステップを示し本格的な防災の人材になっていただけるような仕掛けが必要と考えます。
　これらは細かいことではありますが、リニューアル後に地震防災センターを効果的に運営するためには主要な展示をしっかり整備することとあわせて必要なことであると考えます。
　この点を踏まえ、県としてこれからどのように地震防災センターを整備・運用しようとしているのか、所見を伺います。
　次に、消防防災ヘリコプターの活用と安全対策について伺います。
　九月六日に発生した平成三十年北海道胆振東部地震において、大規模な土砂崩れがあった厚真町吉野地区の住民およそ十五人を北海道警察のヘリが救助しました。一刻を争う地震発生直後の救助活動において今までの大災害でもヘリの活動が必要不可欠のものでしたが、今回もその機動性を発揮し任務を遂行しました。消防防災ヘリコプターも同様の活動を行うことができ、命をつなぐ大きな力となっています。
　現在、全国の五十五団体において運航されておりその高速性や機動性を活用し救助、救急活動や山林火災における空中消火活動などで大きな成果を上げ県民の安全・安心を守るための重要な存在となっています。
　今回の地震において、吉野地区以外でも多くのヘリが活動しとうとい命を救いましたが、操縦が難しいと言われているヘリを安全に運航しその上で正確な任務を実施するためには日々の厳しい訓練が必要と思います。
　しかし、先月群馬県において消防防災ヘリが墜落するという痛ましい事故が発生してしまいました。昨年三月にも訓練飛行中であった長野県の消防防災ヘリが墜落するという非常に残念な事故が発生し安全の確保が課題になっています。
　静岡県においては、現在より安全でより機動力がある新しい消防防災ヘリの更新を行っているとのことですが、この機体をフルに活用しさらに災害対応を充実強化させていく必要があると考えますが、どのように取り組むのか伺います。
　また、全国で相次ぐ悲惨な事故を踏まえて県として消防防災ヘリの安全対策の充実強化にどのように取り組むのか伺います。
　次に、港を地震・津波から守る対策の強化について伺います。
　大規模災害発生時の備えとして、支援物資の被災地への早急な搬入や経済活動の再開に向けての確実な対応が求められます。陸路、海路、空路の被害を最小限に抑えそれぞれの機能を最大限に発揮することにより確実な復旧・復興を行うことが求められます。
　東日本大震災では、港湾、道路などのインフラ施設が広範囲にわたり甚大な被害を受けたことによりサプライチェーンが寸断され、その機能の回復に日時を要し日本経済は大きな打撃を受けました。また二年前の熊本地震では発災後速やかに港湾の復旧作業を行い発災から数日のうちに支援物資や支援部隊の輸送拠点として機能させることができ、熊本港は被災したガントリークレーンを十日余りで応急復旧して運休に追い込まれた外貿定期コンテナ航路を再開させ、経済活動への打撃軽減を図ることができました。
　さらに、先般の西日本豪雨では高速道路やＪＲなどの陸路が寸断され陸上運送が麻痺する中、内港フェリーやＲＯＲＯ船などによる海上輸送網が確実に機能し災害対応ができたことにより改めて海上輸送の重要性が認識されました。
　災害の規模によりその後の状況には大きな違いが生じますが、静岡県においては海上輸送網の確保は災害対策とその後の経済活動の維持の両面にとって不可欠であり、県内主要港湾等ではハード対策はもちろんのこと港内で働く人々や来訪者などの人命を守るための避難計画や情報発信などを充実させるソフト対策についても事前の対策を確実に実施しておく必要があると考えます。
　そこで、港を地震・津波から守る対策の強化としてハード・ソフトの両面にどのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、個人住民税の徴収対策について伺います。
　六月に政府が閣議決定した骨太の方針においては、人口減少、少子高齢化が財政健全化の面で制約となり続けることを指摘した上で財政運営の一層の効率化を求めており、厳しい地方財政の状況の中、地方分権を推進し住民によりよい行政サービスを提供するためには地方税の安定的な確保が従前にもまして重要になっています。
　本県においては、平成二十一年度から三年連続で個人住民税の収入率の全国順位が最下位と低迷したことから、県と市町が一体となって個人住民税の収入率の向上を図ることを目的として平成二十四年二月個人住民税徴収対策本部会議が設置され収入率向上のための取り組みが県内全ての市町とともに進められてきました。
　賀茂地域においては、土屋副知事のリーダーシップのもと広域連携による市町村税の共同徴収を実施することで実施前の平成二十六年度から収入率が六・八％改善するなど大きな成果を上げていると承知しています。
　しかし、平成二十九年度の収入率の順位は全国第三十六位といまだ下位グループにあります。平成十九年度税制改正による税源移譲に伴い個人住民税が県と市町の基幹税目として重要性が増していることを踏まえると、これまでの取り組みには一定の評価はできるもののさらなる県、市町の取り組みが求められていると考えます。
　本部会議の設置期間を平成三十二年度まで三年間延長し引き続き徴収対策に取り組むとのことですが、これまでの取り組みをどう評価し課題を捉え、その解決策を今後どのように講じていくのか伺います。
　次に、受動喫煙防止条例の制定について伺います。
　国においては、受動喫煙防止対策の強化を目的とした改正健康増進法が七月十八日に成立し二〇二〇年までに全面施行することが決まりました。国内の受動喫煙による推定死亡者数は年間一万五千人に上るという報告があり、国民が総力を挙げて現状を一日も早く克服していく必要があります。
　世界保健機関や国際オリンピック委員会はたばこのない五輪を進めており、近年の開催国では屋内全面禁煙が実現しています。国際水準にはほど遠い法律になっていますが何もしてこなかった日本の第一歩と評価しようと思います。
　しかしながら、日本で取り組む分煙や喫煙室は受動喫煙を完全に防止できず有効でないためＷＨＯは評価していません。ＷＨＯが最優先にしているのは屋内全面禁煙です。新規店舗は規模にかかわらず禁煙規制を適用するとしたので、三割強が五年で入れかわると言われている飲食店は十五年たてばほとんどが禁煙店に入れかわる計算になります。世界標準に追いつくまでに少なくともこれから十五年をかける必要があり、何と悠長な国であろうとあきれるばかりです。
　本県の条例案も基本的には国の法律を踏まえた形となっています。このタイミングで国よりも前倒しで施行しようとする姿勢は評価しますが、条例が制定された場合には次の点についての対策が必要になると考えます。
　まず、この条例を実効ならしめるために分煙、喫煙室の施設整備を行おうとする事業者に対して既にある国の補助制度の活用を周知する必要がありますが、どのように推進していくのか伺います。
　また、条例の基準に該当する施設・店舗の掌握、調査、連携が必要であり、あわせてその後対策の進捗状況を確認する役割を担うために保健所の体制整備などの準備が必要になりますが、どのように対応していくのか伺います。
　また、以前から全面禁煙に自主的に取り組んでいる事業者に対して配布している禁煙プレートを積極的に活用すべきと考えますがいかがでしょうか。
　そして、条例施行以降に飲食店には定期的にアンケート調査を行い来客者・従業員の意見を聞き、また売り上げへの影響などを掌握し次の施策展開につなげていく必要があると考えますがいかがでしょうか。県の所見を伺います。
　次に、障害者差別解消法の推進について伺います。
　国際障害者デーは、障害者問題の理解促進や障害者が人間らしい生活を送る権利とその補助の確保を目的とした記念日で毎年十二月三日が国際デーの一つとして決められ、現在ではさまざまなテーマでＳＤＧｓの推進にも努めています。ＳＤＧｓの十七の目標の中で障害者について目標指針を掲げている項目は目標三の全ての人に保健と福祉を、四の質の高い教育をみんなに、八の働きがいも経済成長も、十の人や国の不平等をなくそう、十一の住み続けられるまちづくりを、十七のパートナーシップで目標を達成しようの六項目です。
　国内においては障害者差別解消法が平成二十八年四月一日に施行され、不当な差別的取り扱いを禁止し合理的配慮の提供を求めています。しかし全国的に障害者の方々に対する差別の禁止や配慮の提供が行われない事例が頻発しています。特に心配なのは防災上受け入れられないという事業者側の認識が多くあることです。
　さまざまな発想のもと努力して課題解決をすることは、高齢者や子供に対しても安全な環境を築くことになり安心して楽しめる場になります。障害者と健常者の共生社会を築くためにスポーツや文化芸術を通じて推進していくチャンスが二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックの開催、また文化プログラムの実施にあります。この機を逃さずに、また国内外から多くの方をお迎えできるようにさらにきめ細かな対応を実現する必要があります。
　そこで、静岡県はもとより市町や事業者においてＳＤＧｓの推進を実現するためにも障害者差別解消法の理解を深め法の目的に沿った対応ができるようにすべきと考えますが、県の所見を伺います。
　次に、サイクルツーリズムの推進とサイクリストへのおもてなしについて伺います。
　先月、オリンピック自転車競技のロードレースのコースが大会組織委員会から公表されました。国内外の多くのサイクリストが本県に注目し、今後本県でのサイクルツーリズムのニーズが高まることが期待されています。またラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでは国内外から多くの観光客が本県を訪れることに期待が高まっています。
　県内には一般の観光客の方々に満足していただけるスポットが多くあり、さらに伊豆や富士山を初め中部・西部地域を含む全域にサイクリングに適した場所が多くあります。体験型観光としてサイクリングの人気は高く、世界的イベントを契機に本県を訪れた方々に県内の豊富な観光資源を訪れ、より深く本県の魅力を知っていただくためにも自転車は有効なツールであると考えます。
　自転車愛好家はもちろん家族連れの観光客に至るまで多くの方々に安全、快適なサイクリングで本県を楽しんでいただき、静岡県はサイクリストへのおもてなしがすばらしい、また来たいと思っていただくためには県内のサイクルに関するさまざまな情報を効果的に多くの方々に届ける情報発信とともに公共交通機関での移動や安全なルートへの誘導、宿泊施設の対応など本県を訪れてサイクリングをする上でのさまざまなニーズに応えていくおもてなしが重要になると考えます。
　県は、現在サイクルスポーツの聖地づくりに取り組んでいると承知していますが、サイクルツーリズムに関して多くの方々に本県を訪れていただくための情報発信とサイクリストに満足していただく受け皿づくりの戦略について、県の方針を伺います。
　次に、これからの文化振興について伺います。
　文化の持つ力を信じ、これまでも公明党静岡県議団は文化振興条例の制定、音楽文化の振興、子供たちの文化教育、オリンピック・パラリンピック文化プログラムの推進など文化の振興について提言を続けてきました。
　県では、平成十八年に静岡県文化振興基本条例を制定、条例に基づき制定される文化振興基本計画については本年三月に第四期計画となるふじのくに文化振興基本計画が公表されたところです。
　一方で、県政世論調査に示されているように文化・芸術を鑑賞した県民の割合は五七・七％と決して高い状況にあるとは言えません。基本計画の政策評価は具体的な手法を検討するとしていますが、県の文化政策によって県民の文化力や感性が高められているのかを評価する必要があると考えます。
　また、二〇二〇年に向けて文化プログラムを全県で展開して静岡県の持つ文化力を世界に向けて発信するとしていますが、とかく外に目が行きがちですが静岡の子供たちを巻き込み文化を継承する主体者として一過性のイベントに終わらせることなく未来にどのようなものを残すか検討する必要があります。策定された基本計画の基本目標として感性豊かな地域の形成、ふじのくに芸術回廊の実現を掲げていますが県民にはその姿を理解することが難しいのではないかと考えます。
　そこで、文化の振興により静岡県がどのような姿になるのかを示すとともに、今回策定された基本計画をどのように進めていくのか伺います。
　次に、再生可能エネルギーの導入促進について伺います。
　東日本大震災を経験した私たちは、原子力発電に対する安全性の神話から目覚め広範囲にわたる地域に大打撃を与える現実を直視せざるを得ない日々を送っています。地域の復興、人間の復興はまだ始まったばかりです。こうした中で福島県は二〇四〇年までに再生可能エネルギーによる自給率一〇〇％を目指して出発し、浪江町では世界初のリチウムイオン電池のリサイクルで再製品化を行う事業がスタートしました。
　Ｎ社の電気自動車の買いかえが今後進み廃車台数も急増することが予想され、一台に積まれた四十八個の電池を新品同様、若干性能が低下しているもの、かなり低下しているものに分け性能の低下の程度に応じてリユース、工場内フォークリフト用、非常用電源用バッテリーなどに再製品化します。
　本来は使い切ってしまう大切な電気を蓄電することで計画的に最大限に活用することができます。エネルギーの安定供給を図るため、また地球温暖化を防止するためにも再生可能エネルギーと言われる太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、水力、温泉熱発電、海洋再生可能エネルギーなどの導入促進が重要であると考えます。
　国は、去る七月三日第五次エネルギー基本計画を閣議決定しました。この中で再生可能エネルギーの主力電源化に向け調整力の確保、系統制約の克服、規制の合理化、発電効率の向上や低コスト化等の研究開発などを着実に進める方針を公表しました。
　県としても、これらの課題を踏まえつつ再生可能エネルギーの導入をさらに促進していく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、農産物の国際競争力の強化について伺います。
　国は、農業分野での輸出拡大などを促進する観点から農産物の安全性を確保する農業生産工程管理いわゆるＧＡＰを重要視し、今年度からＧＡＰ拡大推進加速化事業をスタートさせ自治体に対して事業推進のための交付金を交付しました。
　日本ＧＡＰ協会などが認定している第三者機関の審査により生産や管理などが正しく行われていると認定されると認証を受けることができ、安全・安心で高い信用力を持つということになります。ＧＡＰ実施による経営改善の効果は大きく、国のアンケート調査によると従業員の自主性が向上したとする農場は七〇％を占め、販売先への信頼や資材の不良在庫の削減に効果があったとするところが半数以上を占めました。
　東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにおいて、選手村や競技会場で提供する食材の生産農業者に対してはＪＧＡＰ、アジアＧＡＰ、グローバルＧＡＰまたは国のＧＡＰガイドラインに準拠し第三者確認体制のある県のＧＡＰを取得することを要件にしています。ＴＰＰイレブン及び日ＥＵＥＰＡの両協定が今年度内に発効する見通しであり、これらの協定による関税撤廃などの貿易ルールの変更は海外の有望なマーケットに向け本県農産物の販路拡大の大きなチャンスですが、競争が激しくなればさらに安全・安心が求められ国際水準のＧＡＰの取得を輸出先から求められることになります。
　国は、今年度中に国際水準ＧＡＰの指導員を一千人以上育成し二〇一九年度末までに一万三千五百経営体以上のＧＡＰ認証を目指しています。ＧＡＰ認証取得が世界標準となる中、本県農産物の国際競争力強化に向け今後どのように取り組みを推進していくのか伺います。
　最後に、民間の力を活用した防犯活動について伺います。
　最近、全国的に常軌を逸した凶悪犯罪、特に女性や子供などの弱者を狙った犯罪が多く発生し、二年連続で通学中の女子児童が殺害される痛ましい事件が発生し本県においても藤枝市で通学中の小学生男児が襲われる殺人未遂事件が発生したほか、浜松市では看護師の女性がフィットネスクラブの駐車場から車ごと連れ去られて殺害されるという考えられない事件が発生しました。
　今回の児童被害の事件では発生場所がいずれも通学路であるものの、新潟市の例では殺害された女子が連れ去られたと思われる自宅付近の直近まで見守りの目があったにもかかわらず事件の発生を防ぐことができませんでした。女性看護師殺害事件では施設の駐車場が被害現場であることから、警戒すべき場所を想定して絞り込むことはさらに困難になります。
　このような事件の発生を未然に防止するためには、警察のパトロールに頼ることには限界があり地域住民や学校関係者、各種防犯ボランティアなどの協力を得ることが絶対不可欠であると考えます。既に民間の方々の力の活用はさまざまに行われていると承知していますが、これまで防犯活動に参加する機会がなかった層の方々にも協力をいただき地域の防犯力をさらに充実、活性化させる必要があります。
　こうした中、静岡新聞社主催、県警察本部協力でしずおかランニングパトロールを開始するとの報道がありました。一般の方にランニングをしながら防犯活動に参加してもらう制度で、これまで防犯活動に余り縁のなかった層を取り込むのによい取り組みだと思います。
　そこで、現在県警察が行っている各種防犯ボランティア等民間の力を活用した安全・安心確保策の推進状況と、静岡ランニングパトロールの概要、期待される効果について警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。
○議長（渥美泰一君）　川勝知事。
　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）
○知事（川勝平太君）　髙田議員にお答えいたします。
　私の政治姿勢についてのうち、ＳＤＧｓの推進についてであります。
　ＳＤＧｓなどとアルファベットを並べられますとぎょっとするところがございますが、これはサステーナブル・デベロップメント・ゴールズの頭文字であって、二〇一五年の九月に開催された国連の持続可能サミットにおいて全会一致で採択された持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダに盛り込まれた目標で二〇一六年一月一日に正式に発効し、先進国を含む国際社会全体の開発目標ということになって十七項目あると。で、その十七項目をごらんになりますと第一貧困をなくす、第二飢餓をなくす、第三に健康と福祉を促進する、第四に全ての人に教育を提供する、第五に男女差別をしない、女性のエンパワーメントを行う、第六に安全な水を供給する、第七に全ての人がエネルギーにアクセスできるようにする、第八に全ての人が仕事を持って経済成長をつくると、第九にイノベーションによって産業化を促進する、第十に不平等をなくす、第十一に都市が安全で居住空間として住み心地がよいようにしていくと、第十二につくる者も使う者も責任を持ちなさい、そして第十三に気候変動には対策を講じなさい、第十四には海洋資源を大切にしなさい、第十五には陸上資源を大切にしなさい、そして第十六には平和をつくりましょう、最後にはみんなでやりましょうと、こういうふうに言っているわけですね。どこにも新しいものはありません。言ってみればこれらの十七の目標というのは本年四月にスタートした本県の総合計画、新静岡県の新ビジョンは全てこのＳＤＧｓの理念と全ての目標を包含しているわけであります。
　日本は戦後、国連中心主義でやってまいりました。したがいまして、これをどう受けとめるべきかということでございます。しかしこうした十七の目標を改めて見ますと、例えば今のシリアあるいはソマリアあるいはアフガニスタン等々、そうしたところではもうこれは達成すべき高い目標です。しかし我々にとっては、それとはまた違う地平にいるというそういう自覚が必要ではないかと存じます。
　我々は、静岡県というのを世界という観点から見ようということで、この地域にお暮らしになる、あるいはこちらの地域にお越しになる方たちが努力をすれば誰でも夢を実現して幸せが実感できるような、そういう地域をつくろうということでございます。県を挙げてこの新ビジョンを推進することで、いわば国連の掲げるＳＤＧｓのモデルとなって国際社会に貢献をしていくという観点になるのではないかと。
　同時にですね、このＳＤＧｓは国際社会全ての共通の目標としておりますから、本県が達成しているこの高いレベルをそうでない地域に還元していくといういわば国際的にも役に立つような地域になると、こういう志を立てることがＳＤＧｓに対する本県のコミットの仕方になるのではないかと思います。
　ともあれ、議員御指摘のとおり現状ではこういう頭文字でもございますので、このＳＤＧｓというこの名称の認知度は決して高いとは言えません。
　県としましては、課題解決のパートナーである民間企業、県民の皆様の取り組み促進に向けましてこのＳＤＧｓの普及啓発に積極的に取り組む必要があると考えております。
　このため、新ビジョンでは各政策がＳＤＧｓにどのように関連しているか明確にしました。またＳＤＧｓの理解促進を図るふじのくに消費者教育推進フォーラムを初め県主催の会議や民間主催のセミナーへの参画等を通じ広く県民や民間企業・団体の皆様にこの国連の掲げるＳＤＧｓの理念、県の取り組みとの関連性など情報発信に取り組んでいるところであります。
　今後、ラグビーワールドカップ二〇一九やデスティネーションキャンペーン、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックなど本県の世界クラスの魅力を発信する絶好の機会が次々に到来いたします。その幕あけとなる来年一月開催の東京ガールズコレクションでは若者が中心になりましてＳＤＧｓの情報発信を行う。つまり日本は、私はこのＳＤＧｓの目標という観点から言えばかなり高いレベルにあるというふうに認識しておりますけれども、いかにして自己中心にならないで他国、他地域の役に立てるような人間になっていくかという意味において、そういうその機会になると同時に、またこの開催に合わせまして多様な主体が参画しＳＤＧｓの実践につながるセミナーを開催するなど本県の取り組みを国内外にＰＲしていくと、いわば静岡県の国際化のきっかけにしてまいりたいと考えております。
　ＳＤＧｓの理念と方向性を同じくする富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりに全県を挙げて取り組むということが国連の掲げる目標と合致すると。本県の目指す姿であります県民幸福度の最大化と世界共通の目標であるＳＤＧｓの達成を推進を目指してまいります。
　次に、防災・減災対策の強化についてのうち、総合的な豪雨災害対策の推進についてであります。
　豪雨災害につきましては、地形の状況などにより雨の降り方、洪水による浸水の深さや範囲が変わるなどそれぞれの地域で被害の形態が異なりますことから、河川の流域ごとにハード・ソフトの両面から被害軽減対策を進めていくことが重要であります。
　このため県では、平成二十七年九月の鬼怒川水害を契機に国がおまとめになられました水防災意識社会再構築ビジョンに基づき県内八地域に大規模氾濫減災協議会を設置いたしました。
　この協議会では、河道掘削などのハード対策やハザードマップの作成と周知、タイムラインの導入などのソフト対策を進めることにより逃げおくれによる人的被害をなくすこと及び氾濫発生後に社会の機能が早期に回復できる体制の構築を二〇二一年度までに達成できるよう取り組みを進めているところであります。
　また、平成三十年七月豪雨災害では避難勧告などの緊急情報が住民の避難行動につながりませんでした。その結果多くの方が犠牲になられました。
　このため、情報を正しく理解し避難行動に確実につなげるための方策を検討するため有識者、国、県、市町、自治会の役員などで構成する住民避難実効性向上検討委員会を設置いたしまして、本年度末を目途に検討結果を取りまとめてまいります。
　これらの取り組みの実施に当たりましては、議員御提案のとおり進捗状況や検討状況を県民の皆様にわかりやすく情報発信することが重要でありますので、県のホームページなどで公表しながらそれぞれの地域の特徴を踏まえた総合的な豪雨災害対策を着実に推進し県民の皆様が安心して暮らすことができる安全な地域づくりに努めてまいります。
　次に、サイクルツーリズムの推進とサイクリストへのおもてなしについてであります。
　議員からも御紹介いただきましたように、今後本県を舞台に世界的なスポーツイベントが相次いで開催され、特に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの自転車競技につきましては海外で大変高い人気でございますロードレースのゴールが富士スピードウェイに決定されるなど本県を国内外に発信する絶好の機会が訪れております。
　こうした中、サイクリストの増加に加え世界屈指の自転車メーカーが最大規模の展示場を設置するなど大きな盛り上がりを見せているサイクルツーリズムの推進は美しい自然景観や多彩な食、歴史が刻まれた建造物など県内各地の魅力をより深く知っていただくことのできる重要な取り組みであると認識しております。
　このため、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技の本県開催を一過性のものとすることなくサイクルスポーツの聖地づくりを進めるよう、私を議長とする静岡県サイクルスポーツの聖地創造会議を立ち上げ市町や関係の方々とともに取り組みを進めているところであります。
　具体的には、自転車の走行位置を示す矢羽根型路面表示の整備や休憩やメンテナンスができるバイシクルピット、さらには地域の歴史や文化を考慮したサイクリングコースの開発などに加えまして、自転車をそのまま電車に持ち込めるサイクルトレインやサイクリストに優しい宿など官民協働による受け入れ体制を整えおもてなしの充実を図っているところであります。
　今後も、本県を訪れるサイクリストに向けてウエブサイトのコンテンツやＳＮＳと連携した情報発信など地域の魅力を発信する取り組みを一層充実するとともに、ＩＣＴを利用したレンタルバイクシステムを各地に展開することで観光客の皆様が手ぶらで自転車での周遊を楽しめる仕組みなど官民を挙げたおもてなしの充実に努めてまいります。
　県としましては、こうした官民一体の取り組みを積極的に推進することにより自転車を活用した国内外との交流と県民の自転車利用の拡大の双方を実現するサイクルスポーツの聖地ふじのくにとなるよう努めてまいります。
　その他の御質問に関しましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。以上でございます。
○議長（渥美泰一君）　吉林副知事。
　　　　　　　（副知事　吉林章仁君登壇）
○副知事（吉林章仁君）　知事の政治姿勢についてのうち、障害者雇用の拡大についてお答えをいたします。
　このたび、障害者の雇用促進について範を示す立場にありながら障害者雇用率算定に関する不適切な事務処理により県民の皆様、県議会の議員の皆様の信頼を損ねたことにつきまして深くおわびを申し上げます。
　県では、昭和五十三年度から身体障害者の採用を開始いたしました。平成二十三年度と平成二十六年度には知的障害者を正規職員として採用いたしますとともに、臨時職員や非常勤職員につきましても採用を進めてまいりました。
　身体障害者につきましては、個々の障害の状況に十分な配慮を行った上で障害を持たない職員と同様に本人の意向や適性、所属における評価などを総合的に勘案し適材適所の配置に努めてまいりました。また知的障害者につきましては全庁の資料印刷や発送準備、不要文書の廃棄等の業務を集約して行うワークステーションを設置いたしますとともに、日々の業務を直接的に支援する、いわゆるジョブコーチとして職員を配置するなど職場に円滑に定着できる環境づくりを進めまして就労の場の拡大に努めてまいりました。
　今回の事態を受けて、改めて障害者雇用の促進に向け県が率先して障害者が就労する場の提供を進めていくという原点に立ち返りまして障害者の採用に一層努めてまいります。
　今年度の障害者採用試験におきましては新たに精神障害者を対象に加えたところであります。当初の採用予定数にとらわれず可能な限り積極採用に努めますとともに、非常勤職員や臨時職員につきましても障害者の採用を進めてまいります。
　また、障害に配慮しつつ能力を十二分に発揮できますようワークステーションの拡充など障害者の職域拡大に努めてまいります。さらに障害の特性に応じた備品や執務室の整備のほか、職員の障害への理解を深めるための研修の実施など障害者が働きやすい環境づくりも進めてまいります。
　県民の皆様からの厳しい御意見、御批判があることを真摯に受けとめ、障害の有無によって分け隔てられることなく全ての人にとって優しく暮らしやすい共生社会の実現に向けて障害者の採用拡大に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　金嶋危機管理部長。
　　　　　　　（危機管理部長　金嶋千明君登壇）
○危機管理部長（金嶋千明君）　防災・減災対策の強化についてのうち、市町に対する財政上の支援についてお答えいたします。
　緊急地震・津波対策等交付金の活用についてでありますが、県では南海トラフ地震の犠牲者八割減少という減災目標を達成するため、静岡方式による津波対策などハード・ソフト対策を適切に組み合わせた地震・津波対策を積極的に推進しております。目標達成のためには県と市町が連携して防災・減災対策を一層強化していく必要があります。
　このため、今年度は危機管理監と地域局幹部が全ての市町を訪問し市長や町長に直接、交付金の積極的活用を働きかけるとともに意見交換を行いました。また市町の担当者説明会を開催し制度の詳しい説明を行うとともに、大阪府北部の地震や西日本豪雨の教訓から必要とされた戸別受信機などの防災資機材への活用方法を具体的に提案するなど交付金の積極的活用を働きかけております。
　今後につきましては、多くの市町から地震・津波対策に対する支援継続の要望が寄せられており減災効果達成には市町との連携が不可欠なことから、これらを踏まえ来年度以降の支援のあり方について検討してまいります。
　次に、地震防災センターの今後の整備・運用についてであります。
　地震防災センターは、風水害や土砂災害など近年多様化する自然災害に対応した展示を充実するため、施設・設備の老朽化対策を含めリニューアルに向け設計等の業務を進めております。一階を地震・津波、二階を風水害・火山災害、三階を学習・研修のエリアとし起震装置と映像が連動した地震体験、ＡＲ技術を活用した仮想の避難所体験などを新たに導入します。またＤＩＧ、ＨＵＧの体験展示なども充実し来館者が災害発生のメカニズムや必要な防災対応を学び日ごろの防災行動につながるような展示にしたいと考えております。
　運用につきましては、多くの県民の皆様に来館していただき防災意識を持続してもらえるようリピーターをふやす工夫など議員の御提案も踏まえ効果的な方法を検討してまいります。
　県といたしましては、地震防災センターが本県の自然の恵みを再認識した上でそこに潜在する脅威を正しく理解し、それに備えるための気づきの場として活用され防災先進県にふさわしい防災の啓発・発信拠点となるよう整備を進めてまいります。
　次に、消防防災ヘリコプターの活用と安全対策についてであります。
　来年度運用を開始するヘリコプターは、現行機よりも大型の機種でエンジン出力も大幅に向上するため、富士山八合目など高高度での活動や一度に多くの被災者の救助が可能となります。また巡航速度が上がり航続距離も伸びることから、その機動力を生かし迅速な被災地への到着や重症患者の遠方への搬送等が可能となり大規模災害時での活躍が期待されております。
　安全対策につきましては、先般の群馬県の事故を受け関係者による緊急連絡会を開催するとともに、総務省消防庁が本年三月に取りまとめた報告書に基づき安全体制の再点検を進めております。新たなヘリコプターにはフライトレコーダー、障害物接近警報装置、後方監視モニターなどの安全装置を搭載し、これまで以上に安全対策の充実を図っております。また国の報告書で提言されている二人操縦体制につきましては全国的にも課題となっていることから、導入について検討を進めてまいります。
　県といたしましては、ヘリコプターの機体更新に合わせさらなる消防防災力の向上と安全性の確保に努めてまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　鈴木くらし・環境部長。
　　　　　　　（くらし・環境部長　鈴木　亨君登壇）
○くらし・環境部長（鈴木　亨君）　防災・減災対策の強化についてのうち、市町に対する財政上の支援についてお答えいたします。
　プロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ―０」総合支援事業の拡充についてでありますが、本事業による木造住宅の耐震補強戸数は累計で二万二千戸を超え着実に実績を積んでおります。
　一方で、二〇二〇年度末の住宅の耐震化率目標九五％を達成するためには高齢者世帯住宅の耐震化の促進が急務であると認識しております。さらなる事業の推進のため、引き続き市町、関係団体と連携を図りながら高齢者のお宅や地域のシニアクラブの活動場所に出向き耐震化の重要性を説明するなど高齢者の皆様が住宅の耐震化を進めるよう取り組んでまいります。
　ブロック塀につきましては、さまざまな広報媒体や戸別訪問によりブロック塀の倒壊が近隣住民を巻き込む可能性があることを周知し自主点検や支援制度を活用した撤去、改善を促進してまいります。
　ブロック塀の高齢者割増補助につきましては、事業費が比較的安価であることや住宅の割増補助が避難に時間を要する高齢者の命を守るため行っていること、また空き家撤去の補助制度につきましては撤去費用の問題だけでなく税金や相続の課題などがありますことから、それぞれ必要性を検討してまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　池田健康福祉部長。
　　　　　　　（健康福祉部長　池田和久君登壇）
○健康福祉部長（池田和久君）　防災・減災対策の強化についてのうち、災害関連死を発生させない対策についてお答えいたします。
　県では、これまで被災された方々の肉体的・精神的疲労のケアのため医師や保健師による避難所等への巡回など長期間にわたる支援を実施する体制の確保を進めてまいりました。また市町とともに保健師等を被災地へ派遣し被災時の経験の蓄積と対応能力の向上を図るとともに、そこで得た経験を報告会や研修会を通じて伝達することで人材の育成や体制の充実を図っております。
　さらに、関係団体等と協力しながら医療チーム――ＤＭＡＴやＪＭＡＴ――、災害派遣精神医療チーム――ＤＰＡＴ、災害派遣福祉チーム――ＤＣＡＴ、災害時健康危機管理支援チーム――ＤＨＥＡＴなどによる支援体制の構築を進めており、これらの支援チームの被災地への派遣により災害時にリーダーとなれる人材が着実にふえてきております。
　一方で、他県への派遣経験から、いかにして市町の支援ニーズを速やかに把握し派遣された支援チームを適切に配置できるかなど本県の受援体制上の課題も明確になってきております。
　県といたしましては、災害発生時に円滑に派遣要請を行い支援が必要な場所に適切に配置することができるよう受援体制づくりを進め、災害から救われた命が避難所等で失われることがないよう市町とともに全力で取り組んでまいります。
　次に、受動喫煙防止条例の制定についてであります。
　県は、望まない受動喫煙から県民を守るため健康増進法や条例が実効性を発揮できるようさまざまな対策を実施してまいります。
　飲食店を初めとする事業者に対しましては、健康増進法や条例の周知にあわせて分煙、喫煙室の整備に係る厚生労働省の助成制度を説明するとともに、相談会の開催や建築士等の分煙アドバイザーの派遣を行ってまいります。また全ての飲食店に対し禁煙、分煙、喫煙可のいずれかであることを表示するステッカーを配布し掲示を徹底することとしておりますが、禁煙プレートにつきましても事業所における禁煙をＰＲするものとしてさらなる活用を図り今後も事業者の積極的な取り組みを推進いたします。
　なお、条例を適正に運用するためには保健所等の体制整備が必要でありますことから、今後国の法改正に伴う具体的な取り扱いが明らかになり次第、県において必要となる体制がとれるよう準備を進めているところであります。
　さらに、健康増進法及び条例による飲食店への影響や施策の効果を確認するため条例施行後も継続的に調査を行いより効果の高い施策を検討してまいります。
　県といたしましては、健康増進法や条例による受動喫煙防止対策を適正に実施し事業者や関係団体の協力もいただきながら県民誰もが安心して暮らせる受動喫煙のない社会を目指してまいります。
　次に、障害者差別解消法の推進についてであります。
　昨年四月、静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例を施行し障害を理由とする差別の解消と合理的配慮の提供を推進しておりますが、一部の施設において防犯上あるいは安全上の理由から差別事例が起きたことは大変大きな課題だと考えております。
　県や市町では、障害のある方や御家族、事業者のための相談窓口を設置し昨年度は合わせて二百二件の相談が寄せられました。これらの相談の中にも商業施設等での差別的な応対などの事例があり、事業者や関係機関との調整や連絡など具体的できめ細かな対応をすることにより障害のある方や御家族の不安や心配の軽減に努めております。またホテル旅館生活衛生同業組合や旅行業協会などを含む二百二十七団体が参加する県民会議を開催し、オール静岡で差別解消の取り組みを進めております。今年度からは模範的な差別解消の取り組みを行っている事業者や個人等に対する表彰制度を創設したほか、合理的配慮の提供方法がわからないという相談が非常に多いことから映像により対応方法を紹介するなど障害に対する正しい理解や法律の趣旨の浸透を図っております。
　先日、県民会議で御講演いただいた車椅子ラグビー日本代表の若山選手から、海外遠征の際に行く先々で現地の方から何か手助けしましょうかなどと声をかけていただいたことが非常にありがたかったとのお話をいただきました。
　東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの際には国内外から多くの来客が見込まれます。本県では昨年度から開始した高校生を対象とした視覚障害のある方への声かけサポーターの養成に加え、配慮を必要としていることが外見からはわからない方のためのヘルプマークの普及などを推進し障害のある方を初め何か困っている方を見かけたら積極的に声をかけ心遣い、気遣いのできるおもてなしの心を育んでいるところであります。
　条例に基づくこうした取り組みの着実な推進は、ＳＤＧｓの理念の実現にもつながるものでありますことから、今後も障害の有無によって分け隔てられることなく全ての人にとって優しく暮らしやすい共生社会の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　鈴木教育部長。
　　　　　　　（教育部長　鈴木一吉君登壇）
○教育部長（鈴木一吉君）　防災・減災対策の強化についてのうち、学校におけるＢＣＰについてお答えいたします。
　災害発生後、学校の再開は子供たちの教育の場を回復するとともに地域住民に安心感と復興への希望を与えるものであることから、できる限り早期に学校を再開するための計画いわゆるＢＣＰを備えておくことは大変重要であります。
　このため、県教育委員会では昨年度有識者のアドバイスを得ながら津波浸水区域にある焼津水産高校と浜松特別支援学校においてＢＣＰを検討、作成する事業を実施し、その内容を踏まえ本年三月、学校の防災対策マニュアルを改定したところであります。
　この中では、再開に向けた優先業務を整理し生徒の安否確認方法や備蓄品の管理場所の見直し、地震防災組織として心のケア班の設置などを加えたほか再開までに行う業務を時系列に確認するチェックシートを作成して各学校等にＢＣＰの作成を促しております。これまでに九十校の県立学校が作成し、今年度中には残りの三十七校を含め全ての県立学校において作成される見込みであるほか、各市町教育委員会に対しＢＣＰの重要性を周知し小中学校等において速やかに作成されるよう働きかけております。
　また、学校が避難場所にもなることから、地元自治会等との連絡会議を通し教育の場としての学校のＢＣＰについて十分説明するなど、発災後、被災者や地域住民の御理解のもと早期に学校が再開され児童・生徒が安心して学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　平野交通基盤部長。
　　　　　　　（交通基盤部長　平野忠幸君登壇）
○交通基盤部長（平野忠幸君）　防災・減災対策の強化についてのうち、港を地震・津波から守る対策の強化についてお答えいたします。
　県は、東日本大震災の教訓を踏まえ地震・津波対策アクションプロ二〇一三に基づき港を地震・津波から守る対策を推進しております。
　ハード対策としましては、コンテナ等の取り扱いがあり物流機能等の維持に必要と位置づけた清水、御前崎、焼津の三港の岸壁五バースのうち耐震性能の強化が必要となった焼津漁港の二バースにつきまして今年度末までに耐震補強工事を完了する予定であります。また緊急物資輸送に資する清水港や田子の浦港など十六港二十九バースのうち十四港二十五バースにつきましても、順次耐震補強工事を進めているところであります。
　ソフト対策としましては、県が管理する二十二港の全てにおきまして港湾労働者等が円滑に避難できるよう津波避難誘導計画を策定済みであり、路面表示等により避難先や避難経路等の周知に努めております。また清水、田子の浦、御前崎、焼津の四港では物流活動等の速やかな再開に向けた手順等を示したみなと機能継続計画を策定済みであり、防災訓練等を通じてより実効性の高い計画となるよう継続的に改善してまいります。
　県といたしましては、これらのハード・ソフト対策を着実に進めることにより大規模地震発生後に円滑に緊急物資等を受け入れ速やかに経済活動を再開することができる、安全で安心な港づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　杉山経営管理部長。
　　　　　　　（経営管理部長　杉山行由君登壇）
○経営管理部長（杉山行由君）　個人住民税の徴収対策についてお答えいたします。
　市町と県が一体となって徴収対策を進めるために設置した徴収対策本部会議での議論のもと、特別徴収義務者の指定の促進や捜索や差し押さえ等による滞納処分の強化に取り組んだことで、平成二十九年度の収入未済額は百三十八億円で平成二十三年度から二百二十億円減少し、収入率も九五・八％と六・五％向上しております。しかしながら他県と比べ依然として滞納繰越額の割合が高く、収入率の全国順位はいまだ低い状況にあります。
　市町では、賀茂地域での共同徴収を参考とした動きや税務調査の連携の提案など積極的な対策が見られる一方で、徴収体制が脆弱であったり計画的な滞納整理が不十分な市町もありますことから取り組みの弱い市町の底上げを図ることが特に重要となってきております。
　そこで、先月開催した対策本部会議では徴収対策の確実な進行管理などの滞納繰越額の縮減に向けた四つの重点事項を財務事務所単位の地区部会の設置や県職員の短期派遣などの四つの取り組みによって推進することに合意をし、県、市町が一丸となって今後三年間で収入率全国トップテン入りを目指すこととしたところであります。
　税の確実な徴収は、自治体が将来にわたり安心できる住民サービスを提供するために不可欠な取り組みでありますので、今後も市町との緊密な連携のもと徴収対策を一層強化してまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　渡邉文化・観光部長。
　　　　　　　（文化・観光部長　渡邉眞一郎君登壇）
○文化・観光部長（渡邉眞一郎君）　これからの文化振興についてお答えいたします。
　本年三月に策定した第四期文化振興基本計画は、今年度から二〇二一年度までを計画期間として本県の文化振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るために策定したものであります。
　この計画では、おおむね今後十年間を見据え文化を享受する人、創造する人、こうした活動を支える人を育て県民の皆様が等しく文化活動に参加できるような環境の整備を図ることで地域に住む人々が誇りを持ち、県内のあらゆる地域でその魅力を生かした地域づくりが活発になり、いつでもどこでも多彩で魅力的な文化に出会うことのできる社会の実現を目指しております。そして豊かな感性を育む文化振興、新たな価値を生み出す文化振興、人、社会、世代をつなぐ体制づくりの三つの柱を立て、子供や若者が体験を通じて文化、芸術、技能を身近に感じられる機会の提供や創造活動を実現するための環境整備、地域・社会の課題への文化の活用などに取り組んでまいります。あわせて本計画に関する政策評価につきまして文化政策審議会の御意見をいただきながら検討を進めているところであり、計画期間中に評価を実施してまいります。
　また、二〇二〇年に開催されるオリンピック・パラリンピックは本県の文化力向上を図る絶好の機会であり、オール静岡の体制で県内各地で多彩な文化プログラムを展開することとしております。こうした取り組みが一過性のイベントで終わることのないよう未来を担う子供たちが主体的に参画できるプログラムを取り入れるとともに、文化プログラムを通じて育まれる人材やネットワークを生かし、二〇二〇年以降もこうした事業が継続できる仕組みづくりを進めてまいります。
　県といたしましては、計画を着実に実施し文化が持つ個人の感性や創造性を育む力や産業、医療、福祉など地域や社会に及ぼす力を活用することで心の安らぎや人のつながりなどを実感し、誰もが自由に文化を楽しみ、お互いを尊重できる社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　天野経済産業部長。
　　　　　　　（経済産業部長　天野朗彦君登壇）
○経済産業部長（天野朗彦君）　再生可能エネルギーの導入促進についてお答えいたします。
　東日本大震災後、エネルギーの供給体系は従来の一極集中型から災害に強い小規模分散型への転換が求められており、また地球温暖化防止の観点からも再生可能エネルギーの導入促進は極めて重要な施策目標となっております。
　議員御指摘のとおり、再生可能エネルギーの主力電源化を推進するためには不安定な太陽光発電などの出力をカバーするための調整力の確保や電力を電力系統に流す際の系統制約の克服、発電効率の向上や低コスト化などの課題があります。
　本県では、国や大学、企業などと連携しながらこれらの課題克服に取り組んでおり、具体的な例といたしまして調整力の確保や系統への負荷低減が特に求められる太陽光や風力発電などにつきまして蓄電池と遠隔制御で組み合わせ電力の有効活用を図る仮想発電所――バーチャルパワープラントの構築を進めております。本年度は県内のガス事業者などが電力会社と連携し、電気自動車と電力系統との間で電力を融通する技術の実証事業に着手したところであります。
　また、発電効率の向上や設備費などコスト低減が課題となっているバイオマスや小水力発電等につきましてはさらなる技術開発が求められているため、この七月に百を超える企業や大学、研究機関などの参画を得まして創エネ・蓄エネ技術開発推進協議会を立ち上げ、現在関連技術の研究者と企業間のマッチング等を促進しているところであります。
　県といたしましては、引き続きこれらの産学官が連携したさまざまな課題克服に向けた取り組みを通じまして再生可能エネルギーの導入促進を着実に図ってまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　川農林水産戦略監。
　　　　　　　（農林水産戦略監　川敏洋君登壇）
○農林水産戦略監（川敏洋君）　農産物の国際競争力の強化についてお答えいたします。
　ＧＡＰ認証の取得は、農業経営における生産管理の効率化や経営意識の向上につながりますが、特に国際水準のＧＡＰは県産農芸品の輸出促進や東京オリンピック・パラリンピック関連の食材提供の際の販売競争力として大きなメリットになるものと考えております。
　こうした中、本県では茶業を中心に国内基準のＪＧＡＰ認証の取得が全国トップの九百六十五農場に及んでおりますが、これらを支えているのはＧＡＰ指導者として研修を積んだ各農林事務所の普及指導員の助言であり生産者とをＩＣＴでつなぐＧＡＰ指導支援システムの活用となります。さらに本年度から国の補助制度として新規にＧＡＰ認証を取得する経費に対する助成を開始したところであり、現在県内で八十農場が新規の認証取得に取り組んでおります。
　しかしながら、本制度では既に取得のＪＧＡＰから国際水準ＧＡＰへの切りかえにつきましては補助の対象外となっております。貿易自由化の流れの中で県産農芸品の輸出拡大を図る、または国際的な大手飲料メーカーや流通事業者への取引拡大を促進させていくためには国際水準のＧＡＰ認証取得者数を大きくふやしていくことが喫緊の課題でありますことから、国際水準ＧＡＰへのステップアップを支援する本県独自の助成制度を創設することとし、その経費を九月補正予算案に計上して本議会でお諮りしているところでございます。
　県といたしましては、静岡県ＧＡＰ推進協議会の構成メンバーである各種農業団体とも連携を密に図って国際水準ＧＡＰの認証取得を促進し本県農業の国際競争力強化に努めてまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　小嶋警察本部長。
　　　　　　　（警察本部長　小嶋典明君登壇）
○警察本部長（小嶋典明君）　民間の力を活用した防犯活動についてお答えします。
　初めに、民間の力を活用した安全・安心確保策の推進状況についてでありますが、地域の安全・安心を確保するために県内では平成三十年八月末現在おおむね九百団体、五万人余りの防犯ボランティアに登下校時の子供見守り活動や青色防犯パトロール車を活用した防犯活動を推進していただいているところです。
　そのほか、電気、ガス、水道等ライフライン事業者、新聞販売店、タクシー協会等と協定や覚書を締結し子供、女性、高齢者の見守り活動等を実施していただくなど防犯ボランティアや民間企業等の協力を得て県民の安全・安心の確保に努めております。
　次に、しずおかランニングパトロールの概要と期待される効果についてでありますが、この活動は静岡県に在住、在勤または大学等に在学している方で本年十一月一日現在十八歳以上の方から広くランナーを募集し、その方々にリーダーとなっていただいてグループでランニングをしながらパトロール中ですと県民に声かけをしてもらうことなどにより地域の安全を見守るというものです。この活動により犯罪等の未然防止、通学路の見守り補強、県民の防犯意識の高揚と安心感の醸成が図られるとともに若者や現役世代に防犯ボランティアの担い手の裾野が広がることに大きく期待をしているところであります。
　県警察といたしましては、引き続き防犯ボランティア等さまざまな民間の方々の協力を得て防犯活動を推進するとともに、防犯ボランティアの皆様に対しまして必要な防犯情報を提供することなどによりその活動の支援を積極的に行ってまいります。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十八番　髙田好浩君登壇）
○二十八番（髙田好浩君）　さまざま御丁寧な御答弁、本当にありがとうございました。
　三点の要望、三点の再質問をさせていただきます。
　障害者雇用の拡大につきましては、今副知事のほうから具体的な取り組みについて御紹介がございました。しっかり就労する場の拡大、そしてまた拡大した以上はそこで働きやすい環境をしっかり築いていただいて静岡県がモデルになるような取り組みをぜひこれからお願いをしたいと思います。
　プロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ―０」につきましては、今御答弁いただきましたがやはりまだまだ考えなければならないさまざまな要因があると思います。
　その一つとして先ほど上げましたが、ブロック塀の高齢者に対する割り増しというのをやりました。今ブロック塀のあるのは高齢者の自宅だけです。若者の自宅はほとんど駐車場になっておりまして塀を探すことすらできないと、こういう状況でありますので当然のこととして取り組んでいただければありがたいなと思っておりますが、かなり費用負担が、そうはいっても多いわけでありますのでまた御検討をお願いします。
　空き家のスピードも新築を超えております。しっかりした対策を空き家についてもさまざまな制度と抱き合わせで御検討をさらに加えていただきたいと思います。
　受動喫煙防止についてはやっとできたなと、やっとスタートできるということで半分喜んでおります。県民の声、特に従業員の声が非常に重要であります。もう本当に働いている最中に煙を浴びているわけですので、その従業員の声、県民の声、お客様の声しっかり受けとめて、これで終わりではなくてやっとスタートということでありますので日本一本当に快適な、また確実に健康寿命を延伸できるそういう県になっていただけるようさらなる御努力をお願いをしたいと思います。
　質問でありますが、ＳＤＧｓの推進かなり細かく答えていただきました。ただこの総合計画を御理解している県民も少ないと思いますのでこの総合計画を理解していただくためにも、また県民の意識をさらにＳＤＧｓについてもしっかり持っていただいて、今度は個人としてあるいは地域としても取り組むべきことがあると思いますので県民の意識向上を、そしてまた参画を具体的にどのようにこれから行っていくのかお答えいただければと思います。
　それから、緊急地震・津波対策等交付金でありますけれども、これについてもまだまだ逆に現場での使い勝手がよくわかられていないという部分を感じます。耐震シェルターについては県は幾らでもどうぞと、こういうふうにたしか言っていただいていると思うのですが、かなり各市町においては一棟だけとかあるいは四つだけとか非常にこの取り組みが薄い。これがあれば耐震補強しなくても命だけは守られます。もっともっと県のほうからそういう、逆に発信をしていただいてこれをもっと市町のほうで予算組みをしっかりしてもらいたいと、こういうことも言っていく必要があるのではないかと思いますが、どうお考えになっているか伺いたいと思います。
　最後に、総合的な豪雨災害対策の推進でありますけれども、これについては今回質問するに当たりましてかなり議論をさせていただきました。知事からの明確ないろんな御答弁をいただきましたが、私のイメージはやはり地震防災対策のあのアクションプログラム二〇一三、あれを危機管理部が司令塔となって各部局と呼吸を合わせて行っているということに大変意義があると思います。それと同じような形で今知事からもさまざまなことをやっていると、それはすごくよくわかることでありますが、やはり県民から見てあそこまで知る必要はないと思いますが、総合プログラム的なものをまずは列記をしてこれについてはここまで進捗をしている、これについてもこれからやらなければならない、そういうことを県民に対してしっかり示せる、例えばでありますがそういう総合的なプログラムというものをつくったらどうかという提案でございます。
　現在の段階ではそういうものは要らないんではないか、国のほうでもそういうものはしっかりできているというお話でありますが、防災先進県を言う以上は国をリードする、そういうものがあったらいいなと思わせるような、そういう政策を静岡県がいよいよ打ち立てるそういう時期に来ているんではないかなと私は思っております。
　もう一度、このプログラムがやらないことは決まっておりますけれども、できればしっかりもう一度考えるというぐらいの御答弁をいただけないかなと思っております。ぜひ御答弁をいただきたいと思います。以上で再質問を終わります。
○議長（渥美泰一君）　佐藤政策推進担当部長。
○政策推進担当部長（佐藤典生君）　知事の政治姿勢についてのうち、ＳＤＧｓの推進についての再質問にお答えいたします。
　今、議員からもお話がありましたとおりＳＤＧｓまずは情報発信、認知度を高めるということが第一で一つ大事なことでございます。それとあわせまして具体的に取り組みを進めていくということも二つ目の大事な点でございます。
　このため、県といたしましては先ほど申しましたいろいろなセミナーですとか民間のセミナーも含めましていろんな機会を捉えまして情報発信に努めていきたいというふうに考えております。
　その中で、先ほど知事からも御答弁いたしました東京ガールズコレクションに合わせて一月に開催するＳＤＧｓセミナーでございますが、こちらにつきましてはＳＤＧｓに先進的に取り組みます自治体でありますとか企業の具体的な取り組み事例を紹介をさせていただきたいと思います。そういった中でそのような企業がどのようにＳＤＧｓを具体的に進めてきたか。例えば体制をどうつくったか、また目標、ビジョンをどうつくったかということについて御説明をいただきまして参画していただいた団体の方々、また企業の方々がですね、それを参考にして自分のところでもこういう形の体制をつくっていくんだ、こういう形で進めていくんだという形の参考にしたいと思っております。
　また、そのセミナーの中で、相談するような内容もセミナーの中に盛り込んでより実質的にＳＤＧｓが情報発信で認知度が高まるとともに皆さんにとって普及というか取り組みが進むような形で今進めたいと考えております。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　金嶋危機管理部長。
○危機管理部長（金嶋千明君）　防災・減災対策強化についてのうち、緊急地震・津波対策等交付金の活用についての再質問についてまずお答えいたします。
　この交付金についてなかなか現場での使い勝手の問題、あるいは例えば耐震シェルターについて市町の取り組みが思わしくない、もっと県として市町に取り組みを促すべきではないかという御質問でございますけれども、今年度危機管理監と地域局の幹部が直接市町を回っていく、市長さんそれから町長と直接面談していろいろ話をする中で実は市長、町長から実はこんなメニューが欲しいんだよという話をいただいたときに実はそれはもうメニューに入っている、そういうことも市長、町長さんにお伝えしたところ、ああそうかとそういうお話もいただきました。また現場にそういうこともありまして、先ほども答弁いたしましたけれども市町の担当者会議を集めて詳しい説明、こういったものに交付金を充てられますよ、こうすれば使えますよという詳しい説明をしたところ、例えば今般の大阪北部の地震あるいは西日本豪雨で必要となったものをこういうのも対象になりますと言ったところ多くの市町から追加の交付要望等も出ております。
　議員の御指摘のとおり、なかなか私どももまだ市町のニーズを捉え切れていない部分もありますけれども、市町と地震・津波対策を推進していくために市町と一緒になって取り組みを進めるように今後とも取り組んでまいります。
　それから次に、総合的な豪雨災害対策の推進についての再質問についてお答えいたします。
　豪雨災害につきましては、地形の状況によりまして雨の降り方あるいは浸水、崖崩れなどの発生状況が河川の流域ごとによって発生する状況が異なります。そのためなかなかですね、議員御指摘のような県全体を捉えたようなアクションプログラムを現時点でつくるのはなかなか難しい点がありますので、まずは減災協議会の場を活用して各流域ごとにどのようなハード対策、ソフト対策が必要かというのを検討して推進していくことが重要と考えております。各減災協議会で必要な対策等が固まった段階で議員御提案の県全体の地震・津波対策アクションプログラムのような総合的なプログラム的なものができるかどうかについては検討してまいりたいと思います。
　なお、議員御提案の進捗状況が県民の皆様にわかりやすくもっとすべきではないかという御指摘はもっともでございますので、この豪雨対策の取り組みをもっとわかりやすい形で積極的に情報発信していきたいと考えております。以上であります。
○議長（渥美泰一君）　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十八番　髙田好浩君登壇）
○二十八番（髙田好浩君）　ありがとうございました。
　今お聞きして、その地震・津波対策等交付金の使い勝手がなかなかまだ現場で御理解いただけていないという、現場に行かれてそれがわかったということは大変いいことだと思います。ぜひ執行残が残らないように、また市町のほうから今回のブロック塀もそうですが足りなくなってしまったと、こうやって言っていただけるような使い勝手のよさをしっかりまた御提供いただきたいと思います。
　総合プログラムについては、ぜひ御検討いただいて県民の安全・安心をしっかり守っていただくための事業と捉えていただいて積極的に取り組んでください。以上で質問を終了いたします。ありがとうございました。（拍手）
○議長（渥美泰一君）　これで髙田好浩君の質問は終わりました。
　議事の都合により休憩します。再開は十五時とします。

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〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9番6号電話番号(県庁案内)：054-221-2455

	質問者：	髙田　好浩議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	09/25/2018
	会派名：	公明党静岡県議団
	質疑・質問事項：	１　知事の政治姿勢について　(1)　ＳＤＧｓの推進　(2)　障がい者雇用の拡大　２　防災・減災対策の強化について　(1)　市町に対する財政上の支援　　ア　緊急地震・津波対策等交付金の活用イ　プロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ－０」総合支援事業の拡充 (2) 災害関連死を発生させない対策 (3) 学校におけるＢＣＰ (4) 総合的な豪雨災害対策の推進 (5) 地震防災センターの今後の整備・運用 (6) 消防防災ヘリコプターの活用と安全対策 (7) 港を地震・津波から守る対策の強化３　個人住民税の徴収対策について４　受動喫煙防止条例の制定について５　障害者差別解消法の推進について６　サイクルツーリズムの推進とサイクリストへのおもてなしについて７　これからの文化振興について８　再生可能エネルギーの導入促進について９　農産物の国際競争力の強化について 10　民間の力を活用した防犯活動について