• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/09/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県産材の需要拡大について                    
2 過疎・中山間地域の活性化について                
3 スポーツ王国しずおかの復活に向けた競技力の向上について     
4 本県の観光戦略について                     
5 ポリ塩化ビフェニル対策について                 
6 県防災ヘリコプターについて


○六十四番(中谷多加二君) 私は知事、副知事、関係部局長に一括方式で質問をいたします。
 初めに、県産材の需要拡大について伺います。
 まず、県下の森林・林業の現状と課題について申し上げます。
 県は丸太の増産を目指し、皆伐施業を推し進めています。皆伐後の地ごしらえ、植林を初めとする補助制度もありますが、山林所有者は一向に皆伐をしません。これらの制度では皆伐しても林齢の若い山林にかわるだけというのが本音のようです。つまり現在の相場では当然のことながら所得が少ないと考えています。この状態が続けば、将来一部の材の供給にとどまる危険性があります。また既存の林道は幅員が狭く、トラック輸送で運べる丸太の量も限られ、荒れた林道の補修や整備の予算もほとんどなく、こうしたことから運搬が滞るなど伐採した原木は山にうずたかく積まれた状態が続くことがたびたびあります。林業事業体として早急に作業員や林業機械をふやすことも不可能であり、増産を阻む要因は多岐にわたります。
 一つ提案ですが、県が自信を持って制度の創設をしたのですから率先垂範、ここは実際に県有林で皆伐を実施し山林所得やその後の造林、育林にかかる経費や獣害対策にかかる経費、補助金等の総額などをデータとして山林所有者に示したらいかがでしょうか。知事は現場主義者であり、県有林という山林の所有者でもあります。補助制度の有効性を示せば山林所有者の意識も変わる可能性もあり、一方で新たな問題も浮き彫りになるかもしれません。現場に赴き、林業従事者の生の声を聞くことも大切です。
 また、ノダに対する原木の供給についても、東部、伊豆半島地域にとって確実な販路の確保がなされたことで非常に喜ばしいことです。一方西部地域の天竜流域はノダへの原木の輸送経費が東部地区とは比べ物にならず、山林所有者も赤字になることを恐れて供給をしません。もともと五十万立方メートルを搬出した場合に想定されるノダとの協定数量なので、天竜地域からの供給を満たすことは無理があり、A材の比率が県内他地区より高いことからB材にA材をまぜなくては供給量の達成はできず、協定締結時の約束とは異なります。
 以下のような意見があります。
 大規模な集成材工場が進出したからといって、林業側はこの工場にいかに大量かつ安定的に出荷するかが最大かつ重要な点であるというような主張ばかりとなり、この一辺倒化も甚だしい。集成材向けの原木はあくまでもB材である。しかし五十年生以上となりA材として使えるものまでも現状ではB材として扱われている。バイオマス発電所向けの原木は本来はC、D材である。原木の需要を価格の安いB材以下ばかりにすることが林業と木材産業の再生であるはずがないと警鐘を鳴らす林業関係者もおります。このままB材の供給量をふやすことを目的とした施策では、林家の経営が立ち行かなくなると心配する組合役員もおります。
 このように、県下の林業は先行き不透明に陥っております。私は中山間地域を支えてきた方々の生活を大切にしていきたいと思っています。このような状態は一刻も早く打破しなければと考える一人です。
 知事におかれましては、これらの現状を御理解いただき、施策に反映していただきますようお願いを申し上げ、本題に入ります。
 二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、全世界が注目するイベントであり、日本の伝統文化を発信する絶好の機会であることから、関連施設の建設に当たっては木材を積極的に利用する方針が打ち出されています。国の統計資料によれば居住用でない建物、いわゆる非住宅分野では一、二階建ての低層の建築物であっても平成二十七年度における木造率は約一六%となっておりまだまだ低位にとどまっていますが、平成二十二年の公共建築物等木材利用促進法の施行以来、県内でも金融機関として全国で初めて森林認証のプロジェクト認証を受けた木造の浜松信用金庫於呂支店や伊豆箱根鉄道の修善寺駅など公共のみならず民間の建築物でも木材利用の機運は確実に高まっています。そのような状況はこれまで十分に進んでこなかった都市部の商業施設やオフィスビルなど非住宅分野への木材利用を拡大する契機となり得るものです。
 非住宅分野で施設の構造部分に木材を利用する、いわゆる木造化の取り組みを見てみますと、住宅と同規模程度のものから中、大規模なものへと広がってきています。こうした建築物では天竜高校体育館のように構造材に集成材を用いるのが主流となっていますが、地元で調達できる無垢の角材――原木をのこぎりびきして製材した角材を四本束ねて柱とした浜松市天竜区役所や、同じく無垢の角材を組み上げて壁やはりとした三重県の熊野古道センターなど、住宅用として集成材ではなく一般に流通しているサイズの材を活用して強度を確保しつつコストを抑える事例も出てきています。CLTや集成材はひき板を積層接着することから一般的に製造にかかるコストが割高になり、利点もあれば弱点もあります。
 一方、本県では地域の製材工場のネットワーク化が県内六地域で進んでおり、建設が進む大型施設への納材を目指しこうしたネットワークが主体となって設計事務所やゼネコンに働きかけるなど県産材の供給力が着実に強化されています。無垢材を使った木造化や内装への活用は供給体制づくりが進む今、本県の製材工場が得意とする無垢材の需要拡大につながるものであり、いわゆるA材の販売先が確保され、B材を活用するノダとのバランスにおいて林業・木材産業を初めとした地域経済への波及効果が大いに期待されます。
 今後、県産材の需要拡大に向けては、非住宅分野の建築主や設計者が木のよさや県産材製品の特徴を十分に理解して活用することが重要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、過疎・中山間地域の活性化について伺います。
 このたび公表された平成二十七年十月一日現在の国勢調査確定値によりますと、浜松市天竜区の人口は、市域の六八%余の面積がありながら三万二百九十二人と平成二十二年の三万三千九百五十七人から三千六百六十五人減少してしまいました。住みにくいところですかね。県全体の人口が減少する中においてもやはり深刻な状況にあります。また平成二十八年の県政世論調査において中山間地域に住みたいまたは住み続けたいと思う県民の割合の実績は平成三十二年の目標値が四〇%であるにもかかわらず二〇・二%と前回調査の平成二十四年の三三・八%に比べて大きく落ちていることに懸念を感じざるを得ません。
 中山間地域は、地理的条件に加え生産、経済的条件が不利で住みにくいところと言われますが、水源の涵養、洪水や土砂の流出の防止など県民の安全・安心にかかわる役割だけでなく、伝統芸能の保存、継承やきれいな水、美しい紅葉、澄んだ空気、おいしいアユに生息数の減った天然ウナギなどすばらしい自然に恵まれ、そこに住む人々の人柄のよさも相まって癒しの場としても注目されているところでもあります。全国で地方創生の取り組みが進められる中、中山間地域では農家、古民家レストランなど都市部では体験できない中山間地域の魅力が人々の憧れを呼ぶようになってきています。
 過疎・中山間地域などの条件不利地域の振興は、古くて新しい行政の重要課題であり、過疎対策法は昭和四十五年の施行以来五回の延長を重ねてきていますがそれでも過疎に歯どめがかからないということは過疎・中山間地域の振興がいかに難しい問題であるのかを物語っております。今後地方創生をさらに加速化させるためには、過疎・中山間地域などの条件不利地域の振興が引き続き重要であり、このような地域に住む住民が誇りを持って主体的にみずからの地域の活性化に取り組むことができるよう、県として積極的に支援していく必要があると考えますが所見を伺います。
 次に、スポーツ王国しずおかの復活に向けた競技力の向上について伺います。
 県では、世界に羽ばたく三つの戦略の一つにスポーツを通じた交流の拡大とスポーツ王国しずおかの復活を掲げました。このうちスポーツ王国しずおかの復活については具体的な目標を国民体育大会の総合成績八位以内として、競技力向上のための施策に取り組んでおります。
 先月、岩手県で開催された第七十一回国民体育大会――希望郷いわて国体に私は県体育協会副会長として静岡県選手団に加わり開会式等に参加をいたしましたが、結果としては本県の総合順位は十六位と前年の二十位から上昇したものの目標の実現までには先は長く、ほど遠いのではないかと感じております。県体育協会会長である知事からは一桁順位の獲得をという意気込みが強く感じられ、いわゆるハッパをかけられていますが、スポーツの成績とは少々強化しただけで劇的に順位が上がるほど甘いものではなく、中長期的な視点に立った対策が必要ではないかと考えております。
 八月に開催されたリオデジャネイロオリンピックで活躍した本県出身者のように、国際大会で活躍できるアスリートを数多く輩出していくことが本県スポーツ界の活性化に寄与し国体の順位も相対的に上がるものと期待しております。スポーツ王国しずおかの復活に向けては有能な選手を育成、輩出できる土台づくりが必要ではないかと思いますが、まず岩手国体の総括をお聞かせください。あわせて本県の競技力の向上にどのように取り組んでいくつもりか伺います。
 次に、本県の観光戦略についてであります。
 我が国の観光を取り巻く状況は活況を呈しております。平成二十四年十二月末に安倍政権が発足して以降、訪日外国人旅行者数は飛躍的な伸びを見せており、平成二十五年に約千三十六万人であったものが本年は十月末までの累計で二千十一万人となり初めて二千万人を突破いたしました。三年近くで倍増を遂げているわけであります。また国内旅行も順調に推移しており、本県の状況も国の動向を反映し同様に好調であります。
 観光庁が集計している都道府県別の外国人延べ宿泊者数によれば、本県は平成二十七年、対前年比で伸び率が全国一となる約百七十四万人となっております。本年については最新の数字となる九月までで約百三十万人、好調であった前年の同時期が約百三十四万人でありますので若干陰りがあるものの昨年と同様な推移であると言っても過言ではありません。また総合計画の進捗につきましても今議会の各常任委員会において当局から説明の上審査されることになっておりますが、先月九日に開催された総合計画審議会で示された評価書案によると観光分野の指標につきましては県が独自に集計している県内観光交流客数は目標に向け順調に推移しておりますし、宿泊客数、外国人延べ宿泊者数は既に平成二十九年度の目標に達しております。その他の指標についても総じて順調のようであります。
 国は、今年三月に新たな観光ビジョン――明日の日本を支える観光ビジョンを策定し、三つの視点と十の改革を掲げ、観光先進国を目指すとしております。そのため数値目標につきましても訪日外国人旅行者数、訪日外国人旅行消費額の目標値を上方修正するほか、質の高い観光交流を加速させるため地方での外国人延べ宿泊者数、外国人リピーター数などを新たな目標に掲げたところであります。
 一方、本県におきましては、観光分野の基本計画として総合計画の策定に合わせ平成二十六年度からの四年間を計画期間とするふじのくに観光躍進基本計画を平成二十六年三月に策定し具体的な行動計画を示すとともに、進捗を測定する指標とその目標値を掲げております。そしてこの計画には計画見直しや改定についての記載があり、社会経済状況の変化などによっては必要に応じその時点での具体的目標や施策の見直しを行うなどして計画の着実な推進を図られるようにするとしております。
 今の状況につきまして、我が国の観光を取り巻く環境は国がビジョンを見直すほど大きく変わっておりますし、本県におきましても計画策定後にラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の本県開催が決定をしました。本県をサイクルスポーツの聖地にしていくことを表明したことも計画策定以降の話であります。
 このように状況が大きく変わる中、ふじのくに観光躍進基本計画の見直しをどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、ポリ塩化ビフェニル対策について伺います。
 ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBは、昭和二十九年から国内で生産が始まり、当時の日本の高度成長を支える夢の物質として各種工業における加熱・冷却用の熱媒体、トランスやコンデンサー用の絶縁油として幅広く使用されてきました。しかしながら昭和四十三年のカネミ油症事件によりその毒性が社会問題化し、国内では昭和四十七年以降製造されていません。
 今回質問として取り上げたいのは、濃度が〇・五%を超える高濃度のPCBの処理についてです。なお低濃度PCBについては環境大臣が認定する無害化処理認定施設などで全国的に処理が進められています。私の知る本県関係者も東海地区で初の焼却施設を設置し独占的受注を目指し、この施設は造幣局をもしのぐ金を生む設備であるとほくそ笑んでおります。
 さて、高濃度PCBの処理に向けては、各地で処理施設の設置が試みられたものの住民の合意が得られなかったことなどから全国的に長期の保管が継続する中で、PCB廃棄物の紛失事案が発生するなど環境汚染の進行が懸念されてきたところです。このようなことから平成十三年のPCB特別措置法の制定を契機に全国五カ所の拠点的広域処理施設で処理が行われるようになりました。
 その一方で、世界でも類を見ない大規模な化学的処理は、作業者の安全対策や処理開始以降に明らかとなった課題への対応などにより当初予定していた平成二十八年七月までの処理完了が困難となったことから、処理期限は平成三十九年三月末まで延長されたところであります。これはストックホルム条約で平成四十年までにPCBを処理するよう国際的に定められていることから再延長のできないぎりぎりの期限です。しかしいまだPCB廃棄物の処分を行っていない事業者や現在もなおPCBを含有する製品を使用している事業者が存在し、期限内の処理は容易ではありません。
 このような状況の中、期限内の確実な処理を推進するため、本年八月改正PCB特別措置法が施行されました。この改正法では事業者への報告徴収や立入検査の範囲の拡大、処分の代執行など都道府県知事等の権限強化が盛り込まれました。また処理施設ごとに地元関係者との約束を踏まえた処理期限が設けられており、それによると県内で最も早く処理期限を迎える安定器など汚染物については平成三十二年度末までに処理を完了しなければならないことになっております。
 昨年度に行われた県内で保管されているPCB廃棄物などの調査では、照明用安定器が約二十七万個存在することがわかっています。処理期限までに残された時間は限られており、これは必ず達成しなければならない期限なのであります。低濃度PCBの処理は金もうけの上手なY氏に任せますが、高濃度PCB廃棄物の期限内処理を取り巻く状況は待ったなしであります。
 県は、改正法の施行を踏まえ、どのような方針に基づいて処理を行っていくのか伺います。
 次に、県防災ヘリコプターについて伺います。
 県防災ヘリコプター二号機――オレンジアローにつきましては、平成九年に運用を開始して以降山岳遭難や水難事案での救助活動を初め救急活動、林野火災での消火活動等を迅速かつ的確に遂行しており、県民の安全・安心の確保に大きく貢献しております。
 また、近年の東日本大震災や熊本地震、関東・東北豪雨などの大規模自然災害時においても各県の防災ヘリコプターが被災地にいち早く駆けつけ、浸水等で孤立した住民の救助活動などに尽力し多くの人命を救ったことは記憶に新しいところであります。日常の救助救急活動はもとより大規模災害時においても高速性、機動性などの特性を生かしたヘリコプターの役割は極めて重要であります。
 特に本県は、富士山を初め南アルプスなどの山岳地帯を抱えるとともに五百キロを超える海岸線を有する地勢的特色があることからも、速やかに災害現場へ赴き救助等の活動を行う防災ヘリコプターの活躍に対し大きな期待を寄せているところであります。私も地震等で孤立するおそれのある集落に住んでおり、いざという時の神頼みならず、ヘリ頼みであります。
 一方で、平成二十一年に北アルプスで救助活動中の岐阜県防災ヘリコプターが墜落し三名が死亡する事故が、また平成二十二年には埼玉県秩父市の山中で救助活動中の埼玉県防災ヘリコプターが墜落し五名が死亡するという大変痛ましい事故が発生をしております。危険性を伴う過酷な現場における救助隊員の安全確保が常に最優先されなければならないことは言うまでもありません。
 近年、さまざまな大規模自然災害が発生し防災ヘリコプターに求められる役割やニーズにも変化が生じていると思いますが、県ではこうした状況の変化や課題についてどのように認識しているのかまず伺います。
 また、県防災ヘリコプター二号機は運航開始から二十年目を迎えたとのことですが、本県のように高低差が大きく広範囲での活動が求められる状況も踏まえ、現行の機体で活動時の十分な安全を確保しつつこうした状況の変化に対応していけるのか、県防災ヘリコプターに課せられた使命を全うしていくために今後どのように取り組んでいくのか伺います。以上で私の質問を終わります。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
 県産材の需要拡大についてであります。
 このたび、御質問に先立たれて、合板を生産するノダに対して約束をいたしました材木の供給が間に合わないということにつきまして御事情を説明していただきまして、ありがとうございました。中谷議員の御地元の天竜のようなところは銘木天竜を出しているところでございますから、そうしたところ、A級A材でございますのでそこのところは出すわけにいかんということがよくわかりました。B材、C材、こうしたものがノダのほうに安定的に供給できる体制を整えなければならないということだと理解いたしました。
 さて、県産材の需要拡大の取り組みにつきましては、公共部門と民間部門それぞれにおいて効果的な施策を進めていく必要がございます。公共部門におきましては、県はふじのくに公共建築物等木使い推進プランに基づき県産材を率先して利用しております。その結果、昨年度このはなアリーナが全国の木材利用優良施設を対象にした表彰で初めて農林水産大臣賞を受賞いたしました。また民間部門におきましては住宅分野と非住宅分野とがございます。このうち住宅分野につきましては本県独自の助成制度住んでよししずおか木の家推進事業がございます。この事業により県民の皆様の理解を得て県産材の利用が進んでまいりました。
 一方、非住宅分野につきましては、全国的に店舗や企業の社屋などで利用が広がりつつあります。このことから全国に県産材の品質と供給力をPRするため、県内企業と連携して首都圏展示会への出展などさまざまな取り組みを進めているところであります。また県内における取り組みとして建築主と設計者の非住宅分野における木材利用に向けた意識を醸成するため、本年県産材利用の模範となる優良建築物を表彰するふじのくに木使い建築施設表彰制度を創設いたしました。
 また、ふじのくに木使い推進会議を新設いたしまして、十一月には木材利用に当たってのコスト、利用方法、材料調達に関する課題の解決策につきまして有識者や建築・木材関係団体などを交えて検討したところでございます。このふじのくに木使い推進会議では設計者にとって問題がございます。一つは、一般に流通する木材を活用してコストを抑える工法などの知識が十分でないこと。また二つには、県産材製品の特徴や入手先などの情報を得る機会が十分でないことなどでございます。こうした課題が浮き彫りとなりました。このため、設計者がさまざまな県産材を適材適所で活用する方法を学ぶ研修会の実施や設計者と木材供給者の情報交換の仕組みづくりを検討してまいります。
 なお、無垢材につきましては木使い建築施設表彰におきましてこれを構造材に使用した浜松市天竜区役所、天竜消防署が最優秀賞に選ばれました。御地元でございます。おめでとうございました。また推進会議におきましては、東京大学大学院の稲山教授から公共建築物の長いスパンのはりに無垢材を使用した事例が紹介されました。このように非住宅分野における無垢材活用の有効性が示されましたことから、建築主や設計者に広く情報発信することで無垢材の利用促進を図ってまいります。なお本県の小学校、中学校、高校などの校舎は耐震性は全国トップクラスでありますけれども、一方で老朽化が明確になってまいりました。これを新築する場合あるいは改修する場合におきまして県産材を使って、ただ今までのようないわゆる鉄筋コンクリートではなく、木の使えるところはなるべく多く木を使うというふうな方針を立てることを教育長先生と申し合わせております。
 県としましては、こうした取り組みを重ねていくことで都市における木使いの一層の拡大と林業・木材産業の振興を図り、ふじのくにもりの都しずおかを実現してまいります。
 次に、スポーツ王国しずおかの復活に向けた競技力の向上についてであります。
 今年度より、図らずも県体育協会の会長を拝命いたしました。尊敬する副会長が体は大きいけれども卓球で鳴らした小さな球を追うことの名人であるというふうなことにも励まされまして、大船に乗ったつもりで引き受けたものでございます。
 今年度は、国体での上位入賞を目指し、競技団体が実施する強化合宿や県外への遠征費用の支援を拡充し、競技力の強化に努めたところであります。岩手国体にも副会長の皆様方と私も御一緒に参りました。成績は、総合順立は先ほど御紹介ございましたように前回大会の二十位を上回りましたけれども十六位と目標の八位には及びませんでした。その背景については先ほど御説明ありましたけれども、しかし前々年度は二十六位でございましたから二十六位、二十位、十六位、したがって次回はやはり一桁台を目指すという方針に会長として、また副会長としても変わりはないものと確信しております。
 さて、今回の大会を総括いたしますと、サッカー成年男子のアスルクラロ沼津の優勝を初め多くの団体競技で活躍が見られまして、成年種別の獲得点は過去十年で最高となりました。一方、少年種別の獲得点が最低でございました。今後、国体の総合順位を引き上げていくためにはジュニア世代からの計画的な強化が欠かせないことが浮き彫りとなりました。このため国体に向けた競技団体の選手強化は引き続き支援してまいります。
 先般、リオのオリンピックで金メダルをお取りになった体操選手がエコパにお越しになられまして模範演技を見せていただきました。そこではトランポリン、さらにまた女子の新体操も見せていただいたんですが、びっくりしましたのは前橋工業高等学校の青年たちが男子の新体操を見せてくれたことです。この男子の新体操というのは内村航平選手ほか水鳥日本体操の監督も含めて初めて見たと、物すごいものでございまして、そしてまた十一月二十五日に磐田工業高等学校に参りました。その磐田工業高等学校には男子生徒の新体操クラブがあります。その演技をビデオで選手たちから見せてもらいました。なぜこれを国体から外したんでしょうか。金メダルを取った体操選手からもうらやまれるほどのすばらしい運動神経を持つ青年たちがいるわけです。これを見せるための場がないということを直接学生から訴えられました。これなどは考えなくてはならないことだと存じます。
 そしてまた、これまでのところ成果が見えないジュニア選手の育成を強化することを求めまして競技団体に対する支援予算の重点化をし、ジュニア世代の競技力の底上げを図ってまいろうと決意しております。今年度小学生期から新たな可能性や適性を見出すことを目的に開始いたしましたいわゆるジュニアスポーツ普及事業がございます。そこには水球、飛び込み、なぎなた、アーチェリー、ホッケーなど余り経験することのないものがありますが、やはり選択と集中で本県の少年少女たちが好むものを重点的に支援していくという政策もとらねばならないと思っております。
 さまざまな競技を体験した子供たちの中からすぐれた資質を持つ人材を発掘し、またその資質が将来十分発揮されるようにジュニア世代からトップレベルに至るまでの一貫した育成強化の仕組みづくりが必要でございます。すぐれた現場指導者の御意見というよりも、指導者を人材バンクとして登録をするなどして指導者の現状を正確に把握する、また指導者を本県に呼び込むことが重要であるというふうに考えております。こうしたことも含めて検討しているところであります。
 県としましては、県体育協会や競技団体、クラブスポーツ、企業スポーツの指導者や本県出身のトップアスリートの方々と連携してジュニア世代から継続した競技力の向上に取り組むことにより、目標としている国体総合順位八位以内を少しでも早く達成し、県民に誇りと喜び、夢と感動をもたらすスポーツ王国しずおかの復活が実現するよう努めてまいります。
 あとの件につきましては関係部局長から御答弁申し上げますが、中山間地域は県議も御存じのように決して住みにくくはありません。私もよわい五十年から中山間地域を愛してそこに住んでおります。この仕事が終われば中山間地域に戻ります。大事なことは、やはり交通の便、交通アクセス、インフラがなければならないと。これはもう医療や買い物や学校やさまざまな点において極めて重要であります。本県はそうしたものをもう少し頑張れば何とかできて、中山間地域が沿岸都市部にまさるとも劣らぬような、そういういかにも住みやすい、むしろ豊かさを感じられるところになると私自身は確信している一人でございます。
 その他の御質問につきましては、先ほど申しましたとおり、関係部局長から御答弁を申し上げます。以上です。
○副議長(藪田宏行君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 過疎・中山間地域の活性化についてお答えいたします。
 過疎・中山間地域は、美しい自然景観や地域固有の歴史・文化を有し、森林による地球温暖化や自然災害の防止など公益的機能を担う重要な地域と認識しております。一方、深刻な人口減少や急速な高齢化に直面しておりますことから県と地域が一丸となって問題の解決に当たる必要があると考えております。
 県では、こうした地域を積極的に支援するため、農業の生産基盤や市町村道等の整備、防災機能の強化など生活環境の充実に向けた取り組みを初め農林水産業の担い手確保や六次産業化の促進などソフト・ハードの両面から切れ目のない対策の推進に努めております。特に人口減少社会への対応として、持続可能な地域づくりのため、本年度新たに過疎八市町の皆様と過疎対策推進研究会を立ち上げ複数の集落が連携する集落ネットワークの形成に向けた検討を始めたところであります。
 議員の地元浜松市天竜区では、今年度より県と地域住民との協働により道の駅いっぷく処横川において地元農産品の集荷と買い物支援を両立した物流システムの構築を進めております。また耕作放棄地を活用したそばの里づくりや移住者サポートなどの活動を行うNPO法人がんばらまいか佐久間の取り組みを国に推薦した結果、本年十月全国過疎地域自立促進連盟会長賞を受賞するなど先駆的かつ意欲的な取り組みが見られるところであります。
 県といたしましては、今後とも市町と連携し、地域住民の皆様が誇りを持って地域の活性化に取り組む主体的な活動を積極的に支援し、多くの人が自然豊かな恵みを享受できる中山間地域に住みたい、住み続けたいと感じていただけるような魅力ある地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 本県の観光戦略についてお答えいたします。
 ふじのくに観光躍進基本計画を策定してから二年半余りが経過し、議員御指摘のとおり本県の観光を取り巻く状況は大きく変化していることから、平成三十年度からの次期計画には次の三つの重点となる施策を盛り込んだ見直しが必要と考えております。
 まず、インバウンドについては、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会や東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の本県開催を控える中、団体旅行から個人旅行へのシフトが急速に進むとともに、リピーターの増加に伴いテーマ型・体験型観光の人気が高まっていることから、アジアに加え欧米からの個人旅行者を中心としたインバウンド需要を本県に効果的に取り込むことといたします。またDMOについては地域の稼ぐ力を引き出す存在として期待されることから、県内各地域におけるDMOの形成を促進し自立を支援した上で県域DMO静岡ツーリズムビューローと各地域のDMOが連携しながらそれぞれの役割を発揮し、戦略的な観光地域づくりを推進する体制を整備することといたします。さらに観光人材については、外国人旅行者の増加に対応するための受け入れ体制の強化やDMOを核とした観光地域づくりにおいてマーケティングなどの新たな専門知識が必要となることから、県立大学と県域DMOが両輪となって育成していくことといたします。
 次期計画の策定に当たりましては、有識者による懇話会を初め県内各地域でのタウンミーティングやパブリックコメントを通じて幅広く御意見を伺うとともに、計画に掲げる主要施策についての行動計画をあわせて策定することで観光振興による本県の永続的な発展と真に豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与する計画となるよう努めてまいります。
 なお、先ほどの知事答弁の中で新体操を行っている高校の名前を磐田工業ということで申し上げていましたけれども、島田工業の誤りでございましたので、失礼いたしました。以上でございます。
○副議長(藪田宏行君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) PCB――ポリ塩化ビフェニル対策についてお答えいたします。
 県では、事業者向けの研修会の開催や県ホームページ、市町広報紙等を通じ周知徹底を図るほか、国、市町、電気工事事業者団体と連携を図りPCB廃棄物の期限内の処理完了に向け積極的に取り組んでおります。特に期限内に確実に処理するためには事業所におけるPCBを含み現在も使用されている機器等の保有情報を正確に把握し、事業者の適正な処理を促進していくことが必要不可欠であります。
 このため、これまでに経済産業省に届け出報告のあった県内約一万七千五百の事業者リストをもとに廃棄物処理が予定される機器等の保有状況調査を今年度実施しており、未回答の事業者にも電話による督促や立入検査などにより全数把握を進めております。とりわけ高濃度PCB機器を保有する事業者には平成三十二年度までと処理期限が迫っていることから、改正PCB特別措置法に基づきます報告義務や立入検査、改善命令を積極的に活用し、期限内に確実に処理されるよう強力に事業者への指導を行うことにより、県内における全てのPCB廃棄物の一日も早い処理完了に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 県防災ヘリコプターについてお答えいたします。
 平成九年に運航を開始した県防災ヘリコプター二号機は、年間約七十回に及ぶ救助救急活動や林野火災等に出動し、多くの県民の命や財産を守るための活動を行っております。また東日本大震災や伊豆大島の土砂災害など県外で発生した大規模災害においても緊急消防援助隊として応援活動を行っております。
 防災ヘリコプターは、東日本大震災や関東・東北豪雨において特に顕著であったように、浸水地域からの被災者の救出等に極めて大きな役割を果たしました。こうした人命救助に加え映像や画像の精緻化など技術の進歩を取り入れた高度な情報収集、DMAT等と連携した広域医療搬送、孤立地域への人員や物資等の緊急輸送など防災ヘリコプターの役割はますます多様化し、重要性が増していると認識しております。
 災害時の過酷な活動環境において航空隊員の安全を確保しつつこうした役割を果たすためには、日ごろからの実践的な訓練の積み重ねが重要であります。さらに富士山などの三千メートルを超える山々を有する本県の地理的特性なども考慮すると、ヘリコプター自体の性能として多様な役割を安全にかつ余裕を持って実施できる高性能な機体が必要と考えております。
 県といたしましては、県民の安心・安全を確保するため、市町や関係機関と連携したさまざまな訓練を重ねるとともに、多様化する防災ヘリコプターの役割と機能のあり方について検討してまいります。これらを通じて本県の災害対応力の充実強化に一層努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十二月十二日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp