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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

盛月 寿美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/07/2017

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                    
 (1) 次期総合計画                         
 (2) 平成三十年度当初予算編成                   
 (3) 平和外交の拠点静岡の発信                   
2 南海トラフ地震に関する新しい情報への対応について        
3 移住・定住の促進について                    
4 アニメやドラマなどを活用した観光振興について          
5 健康長寿日本一に向けた取り組みについて             
6 がん対策について                        
7 低出生体重児のための母子手帳の発行、普及について        
8 ヘルプマーク、ヘルプカードの普及について            
9 障がい者雇用について                      
 (1) 企業における障がい者雇用の促進                
 (2) 県職員への積極的な採用                    
10 中小企業に対する支援について                  
 (1) 事業承継への支援策                      
 (2) 知的財産の創造、保護、活用                  
11 竹を活用する産業の創出について                 
12 建設産業の担い手確保・育成について               
13 東京オリンピック・パラリンピック教育の推進について       
14 県警察における女性活躍の促進について


副議長(山田 誠君) 開議に先立ち、御報告いたします。
 本日は、説明者として渡瀬人事委員会事務局長が出席しておりますので御承知おき願います。

午前十時三十分 開議   
○副議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百五十三号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二十五番 盛月寿美君。
       (二十五番 盛月寿美君登壇 拍手)
○二十五番(盛月寿美君) おはようございます。私は公明党静岡県議団を代表して、県政の直面する諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問いたします。
 最初に、知事の政治姿勢についてのうち、初めに次期総合計画について伺います。
 我が国は本格的な人口減少社会に突入し、少子化対策、経済再生、災害対策、エネルギー対策、国際情勢への対応など課題が山積しています。本県においてもこれまでの政策を継続するだけでは将来の展望は望めません。特に若い女性の社会的減少が深刻な事態であり、人口減少は労働力人口の不足につながり経済の衰退も懸念されます。直面する困難を乗り越えるためには、課題を明らかにしその課題の真の要因をつまびらかにした上で施策を大胆に見直し、真の地方創生に向けて積極的な政策を実施することが求められます。
 現在策定中の次期総合計画には、日本及び国際社会をリードできる静岡県として短期的課題の克服にとどまらず中長期的な視点も必要です。
 そこで、公明党静岡県議団として次期総合計画に対する要望事項をまとめ十一月八日川勝知事に提出いたしました。基本構想案については持続可能な開発目標――SDGsの理念の実現を目指すことを入れる必要があることや誰もが活躍する社会の実現に障害者の活躍を入れることなど、また基本計画に示された八つの政策の施策や取り組みについては地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進で第四次地震被害想定の犠牲者数八割減少を実現するのではなく全ての県民の命を守るという決意をあらわすべきであること、県民にわかりやすく総合計画を伝えるこども版総合計画の策定などを要望いたしました。最優先すべきは県民の命を守ることであり、女性や若者、高齢者、障害のある方、あらゆる人々が活躍できる環境整備を進め明るい将来を展望できる静岡県を構築するための計画策定を強く望みます。
 今後、本県が目指す方向性を県民と共有する次期総合計画を知事は静岡県のリーダーとしてどのような決意で策定していくのか伺います。
 次に、平成三十年度当初予算編成について伺います。
 県が十月に公表した来年度当初予算編成に向けた収支試算では、財源不足は五百三十億円とされ引き続き厳しい財政環境の中での予算編成となることが想定されます。今後社会保障経費などの義務的経費等は増加していく状況の中、歳入のさらなる確保と大胆な行財政改革が求められます。特に歳入の確保では我が会派の提案により実現した県有施設への公募による自動販売機の設置や未利用財産の売却に加え、毎年決算特別委員会で指摘のある収入未済額の縮減に努力すべきであると考えます。平成二十三年度から全庁的な観点で税外収入債権管理調整会議を設置し縮減に努めていただいておりますが、昨年度設定した目標と実績に乖離のある科目が見受けられさらなる努力が必要です。
 我が会派では、進学奨学金の返還金など貸与者の滞納に伴うものはその性格上、返済計画の見直しの際生活の再建につながる手厚い相談支援体制を構築すべきと考えています。返済の意思があっても生活が困窮し返済が滞り延滞金が膨らみ、さらに返済が不能となる悪循環を断ち切ることが重要です。社会的に弱者と言われる方々が豊かさを実感できることこそ真の豊かな地域と言えます。
 来年度は、現在策定中の新たな総合計画の初年度です。安全・安心な県土を築くとともに、人づくりや子育て支援、医療・介護の充実、中小企業支援の拡充、全ての人が輝く社会の構築など県民生活に直結した重要施策を確実に推進し経済の成長とともに県民幸福度の最大化を目指すことが重要です。
 県民が豊かな暮らしを実感し魅力ある静岡県づくりに向け、知事はどのような方針で来年度当初予算編成を行っていくのか伺います。
 次に、平和外交の拠点静岡の発信について伺います。
 このたび、朝鮮通信使の関連資料がユネスコの世界の記憶――世界記憶遺産に登録を果たしました。本県は日本と韓国の国交回復の功労者である徳川家康公ゆかりの地であり、記憶遺産の対象となった日本側の資料二百九件のうち最多の四十八件もの資料が保存されている清水区興津の清見寺が存在します。これまで我が会派として議会で取り上げ、朝鮮通信使の世界記憶遺産登録の促進に向けた取り組みを求めてきました。私自身平成二十六年五月に長崎県対馬市を訪れ登録を目指した取り組みを伺い、今回の登録は感慨深いものがあります。
 現在、日本と韓国は政府レベルでは冷え込んだ関係が続いている中、両国の自治体などが共同で申請し登録が実現したことは日韓両国の友情、友好、きずなを確かめるまたとない機会になったと思います。民間や自治体レベルでの善隣交流を進めればお互いの友好を深めることができる。知事の言葉をお借りすれば、地域外交が国の外交を補完するということの象徴的な出来事だと感じています。
 一方、現在の県の地域外交は観光交流の拡大、経済交流、通商の促進、教育・文化交流の促進の三つを重点的取り組みとして推進しておりますが、私は今回の朝鮮通信使の世界記憶遺産登録を契機としてもう一つ国際平和の希求という観点を加えるべきと考えます。テロや国際紛争がいまだ絶えない中、国際平和の希求は世界共通の願いであります。また今回の世界記憶遺産登録は平和外交の拠点としての本県の魅力を発信していける好機ではないでしょうか。
 今年度、次期総合計画の策定に合わせて県地域外交基本方針を見直すと伺っています。
 そこで、朝鮮通信使の世界記憶遺産登録を契機として今後平和外交の拠点としての静岡県を発信する観点からも地域外交の展開を考えていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、南海トラフ地震に関する新しい情報への対応について伺います。
 東日本大震災の発生から七カ月後の二〇一一年十月十五日、静岡市で開催された日本地震学会全国大会において、三・一一を想定できなかったのは地震学の敗北であるとの敗北宣言がありました。また東北大学の松沢教授がマグニチュード九を想定するために何が欠けていたのか、どこで間違えたのか、今後どうすべきかについて講演し地震学会として新たなスタートを切った重要な大会になりました。
 あれから六年が経過し、政府はいよいよこれまでの東海地震の予知情報や警戒宣言を前提とした地震発生直前の防災体制を見直すことを決めました。地震は不意打ちで起こるものですが、現在の科学的知見を防災対応に生かしていくという視点も重要であり、南海トラフで観測される現象を評価しどのような対策を進めるのがよいのか検討することが必要との見解を示したものです。
 この新たな対策を示すために、静岡県と高知県、中部経済界をモデル地区に指定し地方自治体等が防災対策をまとめる際のガイドラインづくりに着手しました。また具体策がまとまるまでの暫定的な措置として、十一月から気象庁が南海トラフ地震に関連する情報を発表することになりました。
 これらの最近の動向に対する県の対応について何点か伺います。
 まず、大震法による政府の警戒宣言発令の流れから南海トラフ地震に関連する情報の発表にかわりましたが、県民に対する周知をどのように行っているのか伺います。
 また、こうした情報の変更に伴い、これまで静岡県の地震対策を財政面から支えてきたいわゆる地震財特法はどのようになるのか伺います。
 今後、警戒宣言を前提に予定していた社会規制などの直前対応を見直しモデル地区として課題を洗い出しながら新しい防災対応を検討していくことが求められますが、知事が手を上げた静岡県としてどのように取り組みモデル地区としての責任を果たされていくのか伺います。
 次に、移住・定住の促進について伺います。
 本県における人口の転出超過数は、平成二十八年は六千三百九十人と全国ワースト四位という状況です。転出超過の解消に向けた施策として県が本格的に移住・定住の促進に取り組み始め二年が経過し、市町における取り組みも活発になり成果も出始めています。平成二十八年度に本県が移住相談窓口等で受け付けた移住相談件数は五千七百五十五件で、前年度の三千四十六件から約二倍近い増加でした。
 本県も移住相談ブース等を出展しているふるさと回帰支援センターが実施した移住希望先ランキングでは、本県は常に上位に位置しています。首都圏や中京圏にも近く気候が温暖で人の温かみがあり、どの市町も全国的に見て暮らしやすい地域という印象を持たれているものと考えます。国民の誰もが知っている世界遺産富士山や伊豆などの名称を有効に活用できること、また海の幸、山の幸の豊富でおいしい食材や豊かな自然に恵まれている魅力を発信できるのは本県の大きな強みです。
 加えて、移住を促進するためには静岡県の地域ごとの魅力や特徴を知ってもらうこと、住まいや仕事の相談、持続可能な暮らしの提案、子育て環境の整備などを行い移住を希望される方に選ばれる県になることが必要です。
 移住・定住促進の取り組みも地域間競争が激しくなる中、本県への移住・定住を一層促進させていくため本県独自の特徴のある施策を今後どのように展開していくのか、県の考えを伺います。
 次に、アニメやドラマなどを活用した観光振興について伺います。
 観光庁では、特定の観光資源を活用したテーマ別観光による地方誘客に取り組んでおり、そのテーマとしてロケツーリズムやアニメの舞台となった地域を聖地と称して聖地をめぐるアニメツーリズムなどは観光誘客に非常に有効な手段です。
 本県でも、大河ドラマ「おんな城主直虎」の舞台となった浜松周辺やNHK連続テレビ小説のロケ地となった島田市などは昨年度の観光客数が大幅に増加しております。私の地元である清水区は「ちびまる子ちゃん」や「ハルチカ」といった漫画やアニメ作品の舞台であり、若者や中国人観光客を中心に多くの観光客が訪れております。沼津市が舞台の「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地巡礼は若者を中心に大変な熱気で、地域の活力を生み出しています。静岡県民の特徴や話題をふんだんに盛り込んだ漫画「ローカル女子の遠吠え」は東京からUターン就職した主人公の日常の生活や仕事の場面を通じて東京と静岡県の違いも描かれていて、私も個人的に大ファンで静岡県の魅力を再発見させてくれる作品です。
 こうした漫画、さらには映画、ドラマ、アニメまで、これまでに本県を舞台にしたりロケ地となった作品は数多くあります。本県の魅力を発信し、観光客数の一層の増加に向けてこうしたロケ地や聖地を広く情報発信するとともに、今後はさらに新たなロケ地や聖地を生み出しロケツーリズムやアニメツーリズムを積極的に促進していくことが重要であると考えます。
 そこで、アニメやドラマなどを活用した観光振興について県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、健康長寿日本一に向けた取り組みについて伺います。
 九月十八日敬老の日を中心に各地区でお祝いの式典が開催され、私もたくさんのお元気な皆様にお会いしパワーをいただくことができました。しかし参加された方は招待者――静岡市では七十九歳以上の方――のうち四分の一という状況でした。厚生労働省が算出した平成二十五年の健康寿命は本県の男性は七十二・一三歳で全国第三位、女性は七十五・六一歳で全国第二位と全国トップクラスでした。しかし平均寿命との差は男性が八歳、女性は十一歳もあり、この差を短縮できればさらに元気で長生きということになります。
 本県では、健康長寿日本一に向けた新たな挑戦として、子供のころから健康的な生活への意識を高めようと公立小学校の協力校四校でふじ三三プログラムの子供版とも言うべき生活習慣病予防のための出前授業を今年度から開始しました。十月二十四日掛川市立桜木小学校を訪問し児童たちとともに出前授業を受けてまいりました。人間の体のことや食事の内容と摂取時間、運動不足や喫煙などの生活習慣が病気を引き起こすことなどを児童たちは真剣に学んでいました。3D映像や血管模型を活用したり、自分で考えた自分なり体操を実践するなど工夫を凝らした楽しい授業でした。子供たちが自分の体や食事、健康への関心を持つこと、それにより家族など大人の意識が変わることも期待でき、若い世代への啓発の重要性を再認識するとともにこうした協力校での取り組みを全県に広げていく必要性を実感しました。
 健康長寿日本一を目指して、県は今後重点的に取り組むべき生活習慣病対策をどのように考えるのか所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 本年十月に国の第三期がん対策推進基本計画が閣議決定され、これに基づき本県も第三次静岡県がん対策推進計画の策定が求められております。
 がん患者は、治療方法の選択や再発への不安、経済的負担、就労継続、がんに対する周囲の理解などさまざまな悩みを抱えておられます。私は全ての人ががんに対する理解を持ち、身近な自分の問題として支援する社会を目指していきたいと考えます。
 私は先日、長く伸ばしていた髪を切り抗がん剤治療で髪に悩みを持つ子供たちの医療用ウイッグに――かつらに使っていただくために寄附いたしました。ヘアドネーションというプロジェクトです。髪を寄附することで子供たちの笑顔をつくる支援ができたことを本当にうれしく思います。この経験を通して、がんにかかわる支援にはいろいろな方法があることを実感しています。
 さて、本県では平成十四年に県立静岡がんセンターを開設しがん治療の拠点として全国に先駆けた取り組みを展開してきました。今回の国の計画に明記されている支持療法の推進では、既に支持療法センターを開設しがんとともに生きる患者支援に取り組んでいます。静岡がんセンターは我が国のがん医療を牽引する医療機関ですが、県内全ての患者が通えるわけではないため地域格差のない医療や相談体制の整備など、いわゆるがん治療の均てん化は喫緊の課題であると言えます。
 また、がんについて患者だけでなく全ての人が正しい理解を持つことが必要ですが県民の理解促進に向けた取り組みはまだ十分ではありません。今後のがん対策はこれまで以上に市町との連携を強め、民間との協働を推進し各種の取り組みの担い手や仕組みづくりも含めて進めていく必要があります。
 そこで、本県の今後のがん対策の羅針盤となる第三次静岡県がん対策推進計画を具体的にどのような視点で策定しがん対策を推進していくのか所見を伺います。
 次に、低出生体重児のための母子手帳の発行、普及について伺います。
 母子健康手帳は、妊娠初期から子供が小学校に入学するまでの母と子の一貫した健康管理を記録する手帳で、医師の記録とともに妊産婦みずから記入するのが特徴です。歴史は昭和十七年に創設された妊産婦手帳までさかのぼり、七十年以上の歴史の中でさまざまな改革をして現在に至っており、今では世界各国に広まり母子健康手帳を通じた母子の健康改善を目指す世界的なネットワークが構築されてきました。
 減少傾向にある出生数の中で低出生体重児の割合は高くなっています。母子健康手帳は十年ごとに改正され、平均身長や体重など成長曲線も変わっています。低体重で生まれた命も医療の発展により救えるようになっているにもかかわらず、体重の最小目盛りは一キログラムのままなのです。これでは低出生体重児の成長の記録を残すことができず、手帳を見るたびに心を痛めるお母さんたちがいます。
 そこで、静岡市の母親団体であるポコアポコが作成したのがリトルベビーハンドブック――小さな赤ちゃんを産んだママのための母子手帳です。利用している母親の、小さく生まれたことによる発達の見通しが書かれ我が子の成長に希望を持てたという言葉が印象的で胸が熱くなりました。
 平成二十八年十一月に東京で開催された第十回母子手帳国際会議のメーンテーマは、「だれひとり取り残さない」でした。低出生体重児を取り残さないための母子手帳の発行が強く望まれます。熊本県では既に平成十八年からリトルエンジェル手帳を作成し配布しております。私は母子手帳は全ての子供や女性、家族、社会の誰もが取り残されない世界の実現につながる大切なものだと考えます。ポコアポコが作成した母子手帳の成果をもとに低出生体重児のための母子手帳を発行する方針を県が示したことは大変心強く思います。
 今後、低出生体重児のための母子手帳の発行と普及のために具体的な取り組みをどのように進めていくのか伺います。
 次に、ヘルプマーク、ヘルプカードの普及について伺います。
 外見ではわかりにくい障害があり、援助や配慮が必要な人のサインとなるヘルプマーク。東京都が平成二十四年に作成し、現在は全国の自治体において導入が進んでいます。東京都はさらに、必要な支援について書かれたカードタイプのヘルプカードについて標準様式を定めたガイドラインを区市町村向けに作成し、この統一様式に基づいてカードを作成する自治体には補助金を交付しています。その結果、都内全域で導入が進んでいます。緊急時や災害時などに見えない障害が認知され、支援の手が差し伸べられるためにヘルプマーク、ヘルプカードは大変意義のあるものと考えます。
 私がヘルプマーク、ヘルプカードの普及について平成二十八年度厚生委員会で取り上げたきっかけは、東京都から静岡市に移ってこられた障害のあるお子さんを持つ母親から、東京にはあるのに静岡ではヘルプマークを見たことがない、静岡県でも普及してほしいと寄せられた声がきっかけでした。
 県は今年度、本格的に取り組みを始め市町を通じてヘルプマークの配布と普及を目指しています。多くの観光客が訪れる二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、広く周知する積極的な取り組みに期待しています。
 ヘルプマークやカードが有効なものであっても、その存在や意味が広く周知されていなければスムーズに支援を求めることはできません。先日県がまとめたアンケートによると、県民の七五%がヘルプマークを知らないという結果でした。
 必要とする全ての人がヘルプマークを持てるよう、ヘルプマークの認知度向上と普及に向けて県は今後具体的にどのように取り組むのか伺います。
 また、ヘルプカードについて県内全域で活用できるようにするため東京都のように統一の標準様式を定め作成する自治体への補助を行うなど県が主体となってヘルプカードの普及と統一化を進めることも一つの方法と考えますが、県の所見を伺います。
 次に、障害者雇用についてのうち、初めに企業における障害者雇用の促進について伺います。
 人が社会の中で生きがいを持って生きていくためには、社会の中に自分の居場所と出番があることが重要です。我が会派としても、誰もが生きがいを持って社会参加できる地域社会づくりを進めていくことを継続して求めてまいりました。
 国も、来年四月から事業所に義務づけている法定雇用率の算定基礎に統合失調症などの精神障害者を含めて、従業員五十名以上の事業所の法定雇用率を平成三十年四月から現在の二・〇%から二・二%に、国、地方公共団体の法定雇用率は現状の二・三%から二・五%へと引き上げることとしております。
 本県の現状は、民間企業が全国平均の一・九二%に対して一・九%と全国三十四位、法定雇用率達成企業の割合は五一・四%で全国三十八位という状況であります。
 障害者雇用に対する理解の広がりや障害者雇用促進法の改正による就労支援の強化を背景に、民間企業で働く障害者は増加しているものの、現場の声を聞くと企業で働きたいと希望している障害者と障害者を雇用したいと考えている事業所の思いには大きな隔たりがあると感じています。特に従業員数が少ない事業所ほど受け入れる職場の環境整備に係る負担が大きく、障害者の受け入れに苦慮しているケースが多く見られます。障害者の雇用を進めるためには相談、準備訓練、就職活動、定着支援、離職・転職時の支援、再チャレンジなどに対する窓口の一本化のほか障害者と企業とのマッチングを行う就労コーディネーターや就労先でのジョブコーチによる継続的な支援など多岐にわたる支援が求められています。
 そこで、企業における障害者の雇用を進めていくための積極的な取り組みについて県はどのように取り組むのか伺います。
 次に、県職員への積極的な採用について伺います。
 東京都では、障害者の安定した雇用と処遇改善に取り組む企業への奨励金を創設したほか都職員の採用について今年度から受験資格を身体障害者に加え知的・精神障害者にも広げ、来年度の正規職員採用で初めて精神障害者の合格を先日発表いたしました。都によると障害者枠の合格者数は三十五名で、その内訳は身体障害者十二名、精神障害者が二十三名で入庁後は資料の収集管理など主に事務作業を担う部署に配属される予定とのことです。
 こうした先進的な事例を参考に、本県においても職員の採用に知的・精神障害者の採用も積極的に行い民間の企業、団体にも広げていく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、中小企業に対する支援についてのうち、初めに事業承継への支援策について伺います。
 本県経済を支える中小企業が抱える課題の中で、特に深刻な問題は事業承継、後継者問題です。会社は黒字であっても後継者がいないことを理由に廃業をやむなくされる企業が急増しており、私も地元企業の経営者の多くの方から事業承継で悩んでいる声を聞かせていただいております。帝国データバンク静岡支店の調査でも本県の多くの企業が事業の継承が進んでいない、後継者が決まっていないと回答しています。
 円滑な事業承継には早い段階からの計画的な取り組みが大前提と言えますが、企業の経営者の意識や具体的な準備はまだまだ進んでいないのが現状です。このまま放置すれば、単に一事業者の問題だけにとどまらず本県全体の経済や雇用、さらにはものづくりや技術の継承などにも深刻な影響を及ぼしかねない重大な事態と捉えなくてはなりません。事業承継は時間のかかるものであるため早期に計画的に行うことが重要であり、企業が円滑に事業承継に取り組めるよう県として支援を充実させることが必要です。
 本県は、平成二十四年に静岡県事業引継ぎ支援センターを全国で四番目の早さで設置。本年六月には国の採択を受け静岡県事業承継ネットワーク事務局を設置し、地域における事業承継支援体制の強化を図っています。さらに平成二十八年度より事業承継支援資金の融資制度を創設し、第三者による事業承継時の課題として挙げられる自社株式や事業用資産の買い取りが困難といった財産の承継に関する課題の解決に対応しています。
 そこで、まずこれまでの取り組みの成果について伺います。また事業者――経営者に事業承継への早期取り組みを開始する重要性の気づきの機会を提供する取り組みが今後も重要と考えます。中小企業、小規模事業者が円滑に事業承継を実現していくために、県はどのような支援に取り組んでいくのか伺います。
 次に、知的財産の創造、保護、活用について伺います。
 将来の成長の源泉である知的財産は企業にとって極めて重要であり、企業における確かな知的財産戦略が今後の成長、ひいては本県の、さらには日本経済の回復への原動力になります。特にベンチャー、中小企業における知的財産の創造、保護、活用に対する支援を強化することが重要と考えます。平成二十八年二月議会でも我が会派の蓮池県議が知的財産の活用への支援の必要性を指摘しております。
 本県は、埼玉、北九州とともに平成二十八年十月より特許庁の委託事業である地方創生のための事業プロデューサー派遣事業のモデル地域となっています。この事業は新規事業創出の専門人材――事業プロデューサーがさまざまなネットワークを活用しながら、地域企業の知的財産や技術力を活用して新規事業創出活動を支援しています。この事業開始から一年、これまでに八件が新たに事業化されるなど大きな成果を生んでいます。ちなみに同期間で埼玉は一件、北九州はゼロ件と静岡は群を抜いて事業化が進んでいます。県内の地域企業にはまだまだ活用し切れていない知的財産が多くあり、眠れる知的財産を実際のビジネスにつなげる新たな事業支援モデルとしてさらなる事業展開に大きな期待を寄せています。
 しかし、この特許庁による事業は来年度までという期限があります。私はこの事業を静岡型の支援モデルとして定着させ継続していく仕組みを整えていくべきと考えます。そのためには企業の課題を解決に導く、目きき力を備えた専門人材が必要不可欠です。多くの中小企業はすぐれた製品や技術を保有していてもそれを事業化するためのノウハウやネットワークを持っていないのが現状です。行政と民間企業をつなぎ県を飛び越えて全国へ、世界へとベンチャー、中小企業の新規事業を総合的に育成支援する役割を担う総合プロデューサーを県に配置することを検討してみてはいかがでしょうか。
 本県が、人口減少を克服し真の地方創生を実現する鍵は産業の育成であり、そのことがきちんと収入を得ることにつながり子育て支援や高齢者福祉の充実、移住の促進や県外転出の防止などにつながると考えます。知的財産の創造、保護、活用の静岡型支援モデルを県の事業として構築しベンチャー、中小企業への支援を充実させる必要があると考えます。
 県は、知的財産の創造、保護、活用について今後どのように施策を展開していくのか伺います。
 次に、竹を活用する産業の創出について伺います。
 成長が早くて強くしなやかな性質を持ち加工しやすい竹は、日用品の材料や建築資材として私たちの生活と密着してきました。成長の早い竹林を適切に整備するためにはさまざまなノウハウが必要です。
 本県では、森の力再生事業で竹林の伐採を行っていると承知していますが、それでも放置竹林全体から見ればごく一部であり、伐採後の竹の処理や活用の視点での取り組みは大きな可能性がありながら不十分と言えます。放置竹林は全国的な問題で竹と人の新しい関係づくりに取り組み始めているところがあります。
 福岡県では、竹資源を活用した竹プラスチックの事業計画が進んでおり、廃校の施設を活用しハウスメーカーがウッドデッキ材として製品化を進めており、著名な建築家が導入を検討しているとお聞きしています。京都府では京都竹カフェを結成し京都府内で放置竹林対策にかかわる民間団体や大学の研究者、企業、行政職員などが集まって情報交換と連携のネットワークづくりに取り組んでいます。
 私は、竹を伐採してごみとして処分するのではなく地域独自の枯渇しない資源として生かすという発想から新たな事業を生み新たな雇用を創出できると考え、伐採から回収、再利用、製品化、販売までを事業として行う新たな産業の創出を県として検討することを提案いたします。
 そこで、今後の竹を活用する産業の創出について新たな事業展開の可能性を含め、県の所見を伺います。
 次に、建設産業の担い手確保・育成について伺います。
 産業界全体としての人材の不足、担い手不足は大きな問題となっていますが、インフラの整備・維持管理、防災・減災、老朽化対策など県民が安全・安心に暮らしていく基盤を守る担い手として建設産業人材の果たすべき役割はますます大きくなっています。
 国土交通省は、建設産業における女性の活躍に注目してこなかったという経緯を踏まえて平成二十六年八月にもっと女性が活躍できる建設業行動計画を策定し、五年以内に建設業界で働く女性技術者、技能者を倍増させる目標を掲げています。建設産業における女性の就業者数は同じ第二次産業の製造業の三〇%と比較して一六%と低い状況で、女性用トイレや更衣室などの労働環境、結婚、出産、育児との両立、長時間労働、職場までの距離が遠いことなどさまざまな理由が挙げられています。
 一方で、女性はコミュニケーション能力が高く周囲の人とうまく調和して仕事を進めるのが得意で段取りや調整にたけていると高く評価されています。重労働のイメージがある建設産業ですが、最新の工具を用いて鉄筋躯体の組み立てや内装業、電気設備、また造園業やリフォーム業などデザインセンスや生活視点から女性の感性が生かせる場面が多い業種もあります。
 国では、公共工事を発注する際に必要に応じて女性用トイレや更衣室の設置について積算上配慮することを検討しているほか国交省の直轄工事で女性の登用を促すモデル事業も試行しています。
 本県も、産学官が連携したコンソーシアムにおいて建設産業への理解促進の取り組みを検討、実施しておりますが先進事例を広く普及するなどの取り組みが必要です。少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により他の産業と担い手をとり合う形となる中でけんせつ小町やドボジョという名称が浸透してきていますが、女性が当たり前に働ける建設産業へと成熟していく必要があります。
 建設産業における女性の技術者確保・育成のための取り組みをどのように進めていくのか、県の考えを伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック教育の推進について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピック開催まであと三年となり、機運の醸成が図られています。オリンピック憲章にはスポーツを通して青少年を教育することにより平和でよりよい世界をつくることに貢献することがうたわれており、IOCは教育プログラムを重要視しています。
 私も、後世に残すオリンピック・パラリンピックのレガシーは競技施設などのハード面だけでなく、人間の尊厳を保ち平和な社会の確立を奨励するために教育を通じて努力のとうとさやフェアプレー精神、思いやりやボランティア精神、多様性を尊重する資質や能力などを児童生徒の心に残すレガシーも重要であると考えます。
 スポーツ庁では、二〇二〇年に向けてオリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業を実施しオリンピック・パラリンピック教育を推進しています。この事業は児童生徒がオリンピアン・パラリンピアンやコーチと直接触れ合うことによりオリンピック・パラリンピックに対する知識や理解を深めるだけでなく、これまでにない体験を通じてベストを目指して努力することのとうとさ、スポーツを通じた友情や尊厳を学ぶことができます。またさまざまな障害のあるアスリートが創意工夫を凝らして限界に挑むパラリンピックは、多様性を認め障害の有無にかかわらず誰もが個性や能力を発揮し活躍できる共生社会の重要性を学ぶことにつながります。
 本年六月に、エコパスタジアムで開催されたラグビー日本代表とアイルランド代表戦と同時開催されたウィルチェアラグビー――障害者の車椅子ラグビーを観戦していた子供たちから、すごいと多くの歓声と感動の輪が広がり私も胸が熱くなりました。
 県教育委員会では、本年度自転車競技の伊豆市開催に合わせて地元の小学校、中学、高校においてオリンピック・パラリンピック教育を展開し児童生徒が数多くのことを学んだと承知しております。
 そこで、これまで実施した成果を伺うとともに、今後静岡県全県の小学校、中学、高校にオリンピック・パラリンピック教育をどのように広げていくのか教育長に伺います。
 最後に、県警察における女性活躍の促進について伺います。
 国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律で女性の職業生活と家庭生活との両立に関し本人の意思が尊重されるべきとしています。
 県警察においても、女性の活躍がますます期待される中、女性警察官の採用と登用の拡大を進め平成三十三年四月までに女性警察官の割合をおおむね一〇%に引き上げることを目標に取り組んでおり、本年四月現在九・一七%に達していると伺っています。
 女性が被害者となる性犯罪や配偶者からの暴力事案、犯罪被害者の支援等女性警察官の能力や特性を生かした分野のほか殺人や強盗等の強行犯捜査、警護等の分野においても活躍するなど女性警察官の職域は多くの分野に拡大していると伺っており、今後においても女性の視点を一層反映させた警察運営を強く期待しております。しかしながら業務や給与に男女の区別はなく昼夜を問わない勤務、急な呼び出しへの対応などその勤務形態は大変不規則であることから、女性警察官にとって仕事と出産や育児との両立は大きな課題となっていると考えられます。
 県警察では、年間八十人前後の女性警察官が育児休業を取得されていると伺っておりますが、その後の職場復帰に大きな不安を抱えている方も多いものと推察いたします。こうした女性警察官が抱えている結婚、出産、育児、育児休業後の職場復帰等に関する不安を払拭させることが将来のキャリアデザインの形成にとって大変重要と考えます。
 そこで、女性警察官のキャリア形成支援について今後どのように取り組んでいくのか警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 盛月議員には、大切な髪をお切りになってがん患者のために寄贈されましたということでございますが、私もそのような生きる姿勢にいたく共感するところがございます。
 お答えいたします。私の政治姿勢についてのうち、次期総合計画についてであります。
 公明党静岡県議団の皆様から、次期総合計画に関して七十三項目に及ぶ貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。総合計画は県づくりの基本方針を示すものであります。私は静岡県を美しい富士山の姿に恥じないように、人々が徳を磨き物心ともに豊かに暮らす、人々が憧れる地域にするためみずから先頭に立つと決意しその実現に取り組んでおります。
 次期総合計画では、富国有徳の美しい“ふじのくに”づくり、静岡県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点にを基本理念として掲げ、誰もが努力をすれば人生の夢を実現し幸せを実感できる地域を目指してまいります。この基本理念を具体化し県民幸福度の最大化を図るため八つの政策を掲げております。
 何よりも優先されるのは県民の命を守ることであります。万全の危機管理のもとで自然災害による犠牲者を最少にするなど、安全な地域づくりを進めます。その上で医療・福祉の充実、未来を担う有徳の人づくり、次世代産業の創出等による本県経済の再生、世界との交流拡大などを進め豊かな暮らしの実現を目指してまいります。
 また、本格化する人口減少を克服し将来に向けて持続可能な社会を構築していくため、人が一人一人異なるように多彩なライフスタイルを実現できる魅力ある地域づくりに加え女性、若者、年を重ねた壮年熟期、六十五歳、七十六歳の方々、障害のある方、外国人等誰もが能力を発揮し生き生きと活躍できる環境づくりを進めてまいります。
 これらの政策の推進は、貧困や飢餓の根絶、全ての人に対する健康福祉や教育の充実、平等の実現等々、国連が提唱されております持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念と合致しており、その実現にもつながるものと確信をしております。さらに県民の皆様に本県の目指す姿や政策をわかりやすく伝え地域づくりの方向性を共有していくことが重要です。全ての世代におきまして計画への御理解が深まるよう、御提案いただきましたこども版総合計画を参考にわかりやすい概要版を作成するなど計画の周知に努めてまいります。
 今後とも、霊峰富士の姿にも似た美しく品格のある地域社会の実現を目指し県議会を初め多くの県民の皆様と目指す姿を共有しともに手を携えて地域づくりを進めてまいりたいと考えておりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、平和外交の拠点静岡の発信についてであります。
 本県では、これまで相互の信頼関係により培われた地域間の揺るぎない交流が国益、また地域益にかなうものであると考え国家間の関係が難しい時期におきましても友好的互恵・互助の精神に基づく善隣外交を推進してまいりました。日本と韓国の政府関係が歴史認識などであるいは竹島問題などで冷え込む中にありましても、両国の民間団体の連携した取り組みにより平和外交の象徴とされる朝鮮通信使の関連資料がこのたびユネスコの世界の記憶に登録されたことは、まことに意義深く喜ばしいことであります。
 今を去る一六〇七年、当時の朝鮮王朝との関係改善を望んだ徳川家康公が駿府城で朝鮮通信使をもてなすなど平和外交にお努めになり、その後両国関係安定の礎が築かれたのであります。朝鮮通信使の宿となった興津の清見寺には使節団一行が書き残した詩文等の資料が数多く残されております。このたびの記憶遺産になりましたものを合計三百三十三点、そのうち三分の二の二百九点が日本のもので、そのうち四十八点が清見寺のみにあるということでございます。全体の七分の一、また日本側だけで見れば四分の一余りということで、対馬に入りましてから江戸まで往復するわけであります。この長い旅程の中で四分の一にもなんなんとする資料が本県にあると、清見寺にあるということでございます。まさに本県は歴史的にも平和を希求する善隣外交ゆかりの地であると言うことができます。
 県では、四年前から家康公が駿府城で朝鮮通信使をお迎えになったとされる朝鮮歴における六月二十日にちなみまして、毎年六月二十日朝鮮通信使とゆかりの深い清見寺におきまして、駐日韓国大使など韓国政府要人と徳川御総家御当主をお迎えし家元じきじきのお手前による茶会を催し互いの友好を確認してまいりました。今回の世界の記憶への登録を機に関係する市町とも連携して、こうした取り組みに一層弾みをつけ清見寺などの文化資源を生かし平和外交の拠点としての本県の魅力を発信してまいります。
 地域外交基本方針につきましては、現在次期総合計画の策定に合わせて見直しを進めております。人をつくり富をつくり平和を築く、地域外交を展開することを重点的取り組みに掲げることや取り組むべき分野や交流を進める国・地域などの検討を進めているところであります。海外の国、地域と実のある交流を進めていくためには平和であること、また平和をつくることが大変大切であります。
 私どもは、県議会の御要請にもよりまして既に六年前にふじのくに平和宣言を採択しております。前文は長いもので五つの段落から成りますが、最終パラグラフだけを改めて御紹介申し上げますれば、鉄砲は十六世紀における最先端の武器であった、核兵器は現代における最先端の武器である、かつて日本は鉄砲の使用を抑制し実質的に鉄砲を放棄した、そして平和な社会を建設した、その歴史的経験に倣うならば我々は核兵器の抑制、縮減、廃絶が可能であると信じる、我々ふじのくにの士民は徳川家康公が主導した平和社会建設の経験を現代において学び直すべき平和実現の模範的事例として広く世界に紹介し、富士山のごとく美しく平和な姿の社会の建設に邁進することをここに宣言すると平成二十三年二月二十三日富士山の日に宣言をしたものであります。
 この精神にのっとり、平和を築くという観点から国際協力や友好提携の推進などにもさらに力を入れてまいります。
 今後とも、友好的互恵・互助の精神に基づく海外との揺るぎない信頼関係の構築により、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できるように積極的に地域外交を推進してまいります。
 次に、移住・定住の促進についてであります。
 本年九月に開催された全国移住促進イベント、ふるさと回帰フェアin東京では、富士市や富士宮市など五市町が共同して富士山をテーマに出展し地域の魅力を発信したところ、多くの来場者の関心を集め相談待ちの人が絶えないということが起こり予想以上の反響がございました。
 本県は、世界遺産富士山を初めとする美しい自然環境や歴史に培われた文化、活力のある産業、ゆとりのある住まい、豊かな食材等々全国有数の多彩な地域資源を有しております。こうした魅力が移住専門誌「田舎暮らしの本」の移住したい都道府県ランキングで五年連続三位以内という人気にもあらわれております。
 このため、これまで以上に効果的な情報発信を行うとともに、住まいや仕事などのきめ細かな相談を展開することで移住者数の増大につなげていくことが重要であります。来年一月二十八日には、東京交通会館におきまして市町、地域団体等と一体となった全県規模の移住相談会、静岡まるごと移住フェアを開催いたします。本県出身で世界の絶景を広く発信している若きプロデューサー詩歩さんによる県内の美しい景観の紹介や、首都圏通勤をしながら週末は自然に親しむライフスタイルの提案等々本県の魅力をさまざまな角度からアピールしてまいります。
 あわせまして、建築士による中古住宅物件の選び方などのセミナー、不動産会社による住まいの相談、農林水産業、製造業、建設業、サービス業など幅広い業種への就業相談を行ってまいります。
 また、来年度から国内最大規模の観光企画、静岡デスティネーションキャンペーンのプレキャンペーンが始まります。本県に関心を持つ方々に移住をPRする好機となりますことから、観光施設やホテル旅館組合等と連携した積極的な情報発信に取り組んでまいります。
 移住の決断はまさに人生の決断であります。仕事、住まい、子育て、医療、教育といった暮らしの全ての魅力の向上を図るため全庁的な取り組みのもと市町、民間企業、団体とも連携を図り誰もが、特に若者が希望を持ち努力すればみずからの夢を実現して物心ともに幸せを実感できるドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点をつくり、人々が憧れる日本一居心地のよい静岡県を目指すことにより一層の移住・定住の促進を図ってまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(山田 誠君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 知事の政治姿勢についてのうち、平成三十年度当初予算編成についてお答えをいたします。
 平成三十年度は、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりに向けた新しい総合計画のスタートの年であります。安全・安心な地域づくり、未来を担う有徳の人づくり、豊かな暮らしの実現、魅力の発信と交流の拡大の四つの基本方向に基づきまして積極的に施策を展開してまいります。
 具体的には、突発型地震に対応した新しい地震防災体制の構築や保育所・認定こども園の整備促進による待機児童の解消、医療・福祉現場で働く人材の確保、障害者の就労支援や差別解消の促進など安全・安心な社会の実現に向けた取り組みのほか、地域経済を支える中小企業の経営力向上や人材確保、事業承継に対する支援など県民生活に直結した多様な課題に対しまして重点的に予算を配分してまいります。
 一方で、将来にわたって安心な財政運営を持続いたしますためには議員御指摘のとおり行財政改革が不可欠であります。このため未利用財産の売却や県税等の収入未済額の縮小など、さらなる歳入確保に努めてまいります。特に税外収入債権につきましては債務者の生活状況の把握に努めまして返済能力に応じた納付計画を策定するなど、きめ細かな対応を通じまして回収率の向上につなげてまいります。また事業の大胆なスクラップや予算計上額の最適化など、徹底した歳出の見直しもあわせて行ってまいります。
 来年度当初予算につきましては、次期総合計画の推進と健全な財政運営を両立し、誰もが努力をすれば人生の夢を実現し幸せを実感して暮らすことができる富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりを目指して総力を挙げて予算編成作業を進めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 南海トラフ地震に関する新しい情報への対応についてお答えをいたします。
 本年十一月一日から、気象庁はこれまでの東海地震に関連する情報にかえて南海トラフ地震に関連する情報を発表することになりました。本県ではまず直ちに行うべきこととして当該情報が発表された場合の参集体制や職員が実施する事項などを見直すとともに、市町や防災関係機関に通知し周知を行ったところであります。
 次に、新たな防災対応の検討が必要です。これにつきましては本県がその検討のモデル地区に国から指定をされました。これは県、市町だけでなく防災関係機関や事業所等も突発型地震対策に加え予知型地震対策に取り組んできた実績が評価されたものと考えております。
 本県がこれまで培ってきた地震・津波対策のさまざまな経験を生かし、全国のモデルとなる防災対応の提言に向け、想定される不確実な地震予測のもとでどのような対応ができるか社会全体で幅広く合意形成を図る必要があります。
 このため、県の防災行政を総合的に審議するための機関である静岡県防災会議にライフライン事業者、学校関係者、学識経験者等の多様な構成員による専門部会を設置し関係者のヒアリングや県民へのアンケート等をもとに御議論をいただくことといたしました。
 また、これまで学校、福祉施設等の耐震化や災害に強い社会基盤整備等本県の地震・津波対策の推進に大きな役割を担ってきた地震財特法につきましては現時点において変更はないと聞いておりますが、今後も引き続き観測体制の充実強化を含め防災関係予算が十分確保されるよう国に対し働きかけてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) アニメやドラマなどを活用した観光振興についてお答えいたします。
 映画やドラマ、アニメなど映像を活用した観光振興は撮影関係者の滞在に伴う消費やロケ地めぐりを目的とした観光客の増加などの直接的な経済効果にとどまらず、観光資源の発掘や住民の地域への誇りと愛着の醸成など観光地域づくりに寄与するものであります。
 静岡市清水区では、議員御紹介の当地を舞台としたアニメ「ハルチカ」について地元の商工会議所が中心となりポスターやパネル展示のほか巡礼マップの作成、さらにはファン同士の交流会の開催が行われるなど大変に盛り上がったと伺っております。
 このため、県は県内へのロケ誘致を目的として千四百件を超えるロケ地情報を一元的に提供するウエブサイト、静岡フィルムコミッションネットを運営するとともに、本年三月には主要なロケ候補地を紹介する冊子ふじのくに静岡ロケ地ガイドを日本語、英語の二カ国語で作成し国内外の映像制作関係者へ配布したところであります。
 また、本年九月には県内フィルムコミッション団体を一堂に集めた研修会を開催しロケ誘致の現状や問題点についての情報を交換したほか、県内での成功事例として二十四時間体制で制作者へのサポートを行う熱海市の取り組みを紹介し新たなロケ地誕生に向け各団体の資質向上や団体間の連携促進を図ったところであります。
 さらに、現在本県を舞台にしたNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」が人気を博していることから、交通事業者と連携した旅行商品の造成やガイドマップの作成などを行いゆかりの地へのドラマファンの来訪を促進しているところであります。
 県といたしましては、今後もロケ地や聖地をめぐる旅行商品の造成など観光誘客に取り組む地域への支援や積極的な情報発信を通じてロケツーリズムやアニメツーリズムの促進による地域の活性化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 健康長寿日本一に向けた取り組みについてお答えいたします。
 県では、生活習慣病対策としてみずからの健康づくりへの関心を高めることや子供世代と働き盛り世代の健康づくりに重点的に取り組み、地域全体で着実に健康寿命を延伸していくことを目指しております。今年度からは子供のころからの疾病予防や健康づくりに取り組む職場環境が大切であるという健康経営の視点を取り入れたしずおかまるごと健康経営プロジェクトを実施し、地域において子供世代と働き盛り世代を主な対象とした生活習慣病を予防する健康づくり施策を推進しております。
 この中で、子供世代に向けましては食生活や運動などの生活習慣の大切さに加え生活習慣病の知識や予防方法などを教える出前授業を協力校四校で行っております。子供のころから望ましい食生活や生活習慣を身につけ実践することや家族全員が正しい生活習慣に取り組むことは、生涯にわたって健康な生活を送るための貴重な体験となります。来年度以降も県教育委員会と連携を図り、多くの学校において取り組むようにしてまいります。
 働き盛り世代へは、各事業所における健診受診率向上の取り組みや健康に配慮した社員食堂の献立の提供支援などを行うことで社員が自然にみずからの健康管理を行い生活習慣病の予防に役立てております。今後は職場での健康づくりを進めている企業を集めたネットワーク会議を各地域において開催するなど、健康で生き生きと働くことのできる職場環境づくりを拡大し県内の全ての事業所が健康経営を実践できるようにしてまいります。
 県といたしましては、今後も県民総ぐるみで生活習慣病対策に取り組む環境を整備し、静岡で暮らす、働く、育つと元気になれるを掲げ家庭、事業所、地域でまるごとの健康経営を推進し健康寿命のさらなる延伸と健康長寿日本一を目指してまいります。
 次に、がん対策についてであります。
 県では、静岡県がん対策推進条例に基づきがん患者及びその家族を含めた全ての県民が生涯にわたって健やかに安心して暮らせる社会の実現を目指し、がんの予防やがんに罹患した方々のさまざまな状況に応じた総合的ながん対策に取り組んでおります。現在策定を進めている第三次静岡県がん対策推進計画におきましてはがんの予防と早期発見、患者一人一人に合わせたがん医療の実現、がん患者とその家族の安心できる暮らしの支援、次世代へのがん対策、この四つを重点取り組みと定めて計画を策定し県のがん対策を進めていくこととしております。
 この計画の推進に当たりましては、市町と協働してがん検診の受診啓発を行いがんの予防と早期発見を促進することとしております。また静岡がんセンターや医療機関が行う先進的な医療やそれを支える支持療法などを推進し県内医療機関の質の向上に努め、多様ながん医療に対応でき県内どこでも患者の状況に応じた専門的な治療を受けられる環境を整備してまいります。
 患者やその家族への支援といたしましては、民間企業や県内二十二カ所のがん診療連携拠点病院等に設置いたしましたがん相談支援センターと協力して治療を受けながら就労などの日常生活を継続できる支援体制を充実してまいります。また患者団体や教育機関などと連携して普及啓発やがん教育を行い、県民の方々へがんについての治療や予防等への理解を促進し患者やその家族を支援する担い手も育成するなど、次世代へのがん対策も進めてまいります。
 県といたしましては、今後も静岡がんセンターや市町を初めさまざまな関係機関との連携や協力を強化し第三次がん対策推進計画の着実な執行に努め、がん患者及びその家族を含めた全ての県民が安心してがんの克服を目指す体制を構築しがんにかかっても安心して暮らすことのできる県づくりを進めてまいります。
 次に、低出生体重児のための母子手帳の発行、普及についてであります。
 市町が交付している母子健康手帳は、妊娠期から子育て期まで長期にわたって健診や成長の記録として活用されております。母親と子供の健康の保持と健やかな成長を見守るために大変役立っているところでございます。
 一方、早産などによる低出生体重児の場合などは発達や発育の個人差や親の育児不安への配慮が必要であるため現行の手帳では活用しにくいと言われております。一人一人の子供に合った成長を家族や支援者がともに見守ることが大切であることから、県では今年度当事者や医療機関等と協働して作成する低出生体重児向けの母子手帳の検討を行い作成し、該当する方々に配布することといたしました。低出生体重児向け母子手帳の普及に当たりましては、市町や総合周産期母子医療センターなどの医療機関とも連携し手帳を必要とする母子に確実に配布し入院時や健診時での活用を促すなど、適切なサービスが行き届くようにすることとしております。
 今後も、母子と行政や医療機関との結びつきを強めることにより全ての子供や母親、そして家族が大切にされ安心して子供を産み育てられる「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、ヘルプマーク、ヘルプカードの普及についてであります。
 本県では、周囲の方々がみずから進んで援助や気配りを行い障害のある方の不便さを取り除く合理的な配慮の提供の徹底を図り、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を目指しております。そのため今年度より、援助が必要な方への思いやりの行動を促すヘルプマークを必要とする方々全てに配布することとしております。
 ヘルプマークにつきましては十分に知られていないことから、障害を理由とする差別解消推進県民会議の参画団体等の協力を得てポスターやステッカー等による周知や街頭キャンペーンなどを行いヘルプマークの導入を県民の皆様へ積極的に情報発信し、ヘルプマークの認知度を高め広く普及してまいります。また支援に必要な個人情報を記載いたしましたヘルプカードにつきましては障害の種別により必要となる情報が異なることから、当事者の皆様の御意見を十分に伺いながら県としての標準様式を示すなど、障害のある方が利用しやすいカードの作成の支援と普及に取り組むこととしております。
 県といたしましては、県民会議参画団体を初め市町や県民の皆様が一丸となってヘルプマークとヘルプカードの認知度の向上に努め、県民誰もが障害のある方に進んで声をかけ求められている支援を行うことにより障害のある方もない方も地域で支え合うことのできる共生社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 天野経済産業部長事務代理者。
       (経済産業部長事務代理者 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長事務代理者(天野朗彦君) 障害者雇用についてのうち、企業における障害者雇用の促進についてお答えいたします。
 障害者雇用を進めていくためには、障害のある人の特性に応じたきめ細かな支援が必要であり、県は県内八カ所の障害者就業・生活支援センターを拠点としハローワークなど関係機関と連携し障害のある人に対する生活や就労に関する相談から就労後のフォローまで総合的な支援を行っております。また特に中小企業の中には障害の特性に応じた業務の選定や職場環境づくりに苦慮している企業が多いことから、企業と障害のある人とのマッチングを支援するコーディネーターを配置し十月末までに二百六十七人の就職に結びつけるとともに、ジョブコーチを企業に派遣し百六十四人の定着支援を行っております。
 さらに、来年四月から法定雇用率の算定基礎に精神障害のある人が含まれることとなり現行の二・〇%から二・二%に法定雇用率が引き上げられます。このため今月から新たに精神保健福祉士資格を有するアドバイザーを配置し、企業に対し精神障害のある人を雇用する場合の配慮や支援方法を助言しております。また今月十四日からは企業経営者向けセミナーを県東部、中部、西部の各地域で実施するほか人事担当者向けのセミナーも県下全域で計七回開催することとしております。こうした取り組みにより企業への法改正の内容の周知徹底と障害者雇用に対する一層の理解促進を図ってまいります。
 県といたしましては、今後とも法定雇用率の達成に向け静岡労働局など関係機関と連携し一人でも多くの障害のある人が就労できるようスピード感を持って企業への支援に積極的に取り組んでまいります。
 次に、中小企業に対する支援についてのうち、事業承継への支援策についてであります。
 中小企業のすぐれた技術やサービスが次世代に引き継がれずに失われることは、本県経済に大きな損失をもたらすおそれがあることから、円滑な事業承継の促進は極めて重要な課題であると認識しております。このため今年度から国の委託事業を活用して、静岡商工会議所が事務局となり事業承継ネットワークを立ち上げました。県と商工団体、金融機関等が連携して支援体制の強化を図るとともに経営者に早期の準備を促す事業承継診断を実施し、十月末までに全国でもトップクラスとなる三千八百七件の実績を上げたところであります。また第三者への事業承継をサポートする静岡県事業引継ぎ支援センターは平成二十三年度の開設当初から常に前年度を上回る実績を上げ、今年十月末時点で全国トップレベルの百十一件の成約実績を達成しております。
 さらに、県では昨年度中小企業向け制度融資に新たに事業承継資金を創設いたしました。これまでに十六件、約六億円の融資を行い資金面から中小企業の円滑な事業承継を支援しているところであります。
 今後の取り組みにつきましては、国の委託事業が終了いたします来年二月以降県下全域により一層その効果を波及させるため、県が主体となってネットワーク事業の事務局を静岡県産業振興財団に移し切れ目なく事業の継続を図ってまいりたいと考えております。このため必要となる経費を十二月補正予算案に盛り込み、本議会にお諮りしているところであります。
 県といたしましては、今後とも経営者に事業承継の早期準備等を促すため連携体制の強化や支援機関のレベルアップに取り組み、中小企業、小規模企業の円滑な事業承継を推進して地域経済の持続的な発展を図ってまいります。
 次に、知的財産の創造、保護、活用についてであります。
 知的財産は、今後本県産業が世界経済の中で成長していくために重要な役割を有していると認識しております。このため平成二十三年三月に策定いたしました静岡県知的財産創造・保護・活用指針に基づき、静岡県発明協会や静岡県産業振興財団と連携し中小企業の知的財産の創造、保護、活用を積極的に支援しております。
 議員御指摘のとおり、地方創生のための事業プロデューサー派遣事業につきましては特許庁が新規事業創出の専門人材である事業プロデューサーを産業支援機関に派遣するもので、平成二十八年度の公募により県産業振興財団が全国三カ所のうちの一つに採択され、これまで八件の成果を上げております。
 県では、事業プロデューサー派遣事業の採択を契機に県産業振興財団と共同して静岡県知的財産活用研究会を設立いたしました。現在県内中小企業百二十三社と産業支援機関や金融機関など二十一機関が参画しており、事業プロデューサーのノウハウを活用することで知財担当者のスキルアップを図り知的財産を活用した事業化を促進しております。
 県といたしましては、引き続き研究会のネットワークの拡充と活動の一層の活発化を促進するとともに、事業プロデューサー派遣事業の成果などを生かしながら専門人材の積極的な活用を図り、県内の中小企業が数多くの新製品を創出できるよう研究会を中核とした知的財産活用のプラットホームの機能強化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 渡瀬人事委員会事務局長。
       (人事委員会事務局長 渡瀬 浩君登壇)
○人事委員会事務局長(渡瀬 浩君) 障害者雇用についてのうち、県職員への積極的な採用についてお答えいたします。
 働く意欲のある障害者が、その適性に応じて能力を十分に発揮し地域で自立した生活を送れる社会を実現するためには地方公共団体が率先して障害者雇用に取り組むことが重要でありますことから、県ではこれまでも身体障害や知的障害のある方を対象とした採用試験等を実施してまいりました。
 障害者雇用促進法の改正により平成三十年度から精神障害者が法定雇用率の対象となることなどを踏まえ、人事委員会では東京都など先行する他の自治体や民間企業の採用事例の調査分析を行うなど精神障害者の採用について具体的な検討を進めております。精神障害者の採用に当たっては障害の特性を踏まえた採用試験を実施するほか、採用後も能力や適性に応じて働き続けることができるよう当該職員に適した職域の開発や職場での支援体制等を整備する必要があります。
 人事委員会といたしましては、任命権者と連携して現行の身体障害者を対象とした採用試験に精神障害者を加えることについてさらに検討を進め、障害者雇用の推進に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 吉田農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 吉田 茂君登壇)
○農林水産戦略監(吉田 茂君) 竹を活用する産業の創出についてお答えいたします。
 本県の竹林は、約五千三百ヘクタールあり、この三十年間で約一・四倍に増加しております。これはプラスチックなどの代替材の普及に加え、外国産のタケノコの輸入増加などにより竹林の活用に採算性を見出せなくなったことから竹林が放置されたことに起因しております。
 県では、放置され荒廃した竹林をもりづくり県民税を財源とした森の力再生事業により平成二十八年度までの十一年間で約二百七十ヘクタール整備いたしました。これにより伐採した竹を民間が有効に活用するモデル的な取り組みも始まっております。
 例えば、浜松市では竹をチップやパウダーに加工し野菜の肥料や家畜の飼料としたほか乳酸菌発酵した食品などがレストランで提供されております。また本年度は中東遠地域の海岸で進めているふじのくに森の防潮堤づくりにおいて、苗木を保護する防風垣の材料として約一万八千本の竹を活用しているところであります。
 放置竹林の解消をより一層進めるためには、議員御指摘のとおり竹を活用した産業の創出が有効であると考えますが、課題はニーズに応じた竹を低コストで安定的に供給することであります。
 このため、県といたしましては新たな技術開発による需要の創造とこれに応じた供給体制づくりにより、産業化に取り組んでいる全国の事例などを調査いたしまして竹の有効活用について検討をしてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 建設産業の担い手確保・育成についてお答えいたします。
 建設産業の将来にわたる担い手確保・育成は喫緊の課題であり、その対策の一つとして女性が働きやすい環境をつくることなどにより女性の入職促進を図ることは重要であると考えております。
 このため、建設団体や教育関係者などで構成するコンソーシアムにおいて産学官が協力して建設産業の理解促進や処遇改善を進めており、その取り組みの一つとして県立高校において女性技術者による現場体感見学会や出前講座を実施し女性が活躍している職場であることを直接高校生に伝えております。また女性技術者同士が気軽に相談できるネットワークとしてけんせつ小町を組織し情報共有などの取り組みを進めております。
 さらに、建設産業のイメージアップを目的とした静岡どぼくらぶの活動の中で女性技術者にスポットを当てた動画の新シリーズを作成することとしており、ICT化等により生き生きと活躍する女性技術者の姿を広く周知してまいります。
 これらに加え、県の工事発注に際しけんせつ小町の意見も踏まえ建設現場に水洗機能や鏡つき洗面台等を備えた快適トイレの導入を試行し、女性が働きやすい環境づくりを推進しております。
 県といたしましては、こうした取り組みを通じて引き続き県民に対してものづくりのだいご味に加え建設産業が誇りややりがいを持って働くことができる業界であること、また労働環境の改善も進んでいること等を強くアピールし女性はもとより多くの人から選ばれる建設産業を目指してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 東京オリンピック・パラリンピック教育の推進についてお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックの教育については、大会そのものへの機運醸成だけでなくスポーツを見ることやすることなどその価値への理解を深めること、さらに規範意識の涵養、異文化や共生社会への理解など児童生徒の心に無形のレガシーとなることから大変重要であると考えております。
 県教育委員会では、オリンピック・パラリンピック教育静岡県推進委員会を設置し効果的な教育実践等について協議しながら取り組んでおり、本年度は伊豆市、伊豆の国市、伊東市の小中学校及び高等学校の計八校を推進校に指定して進めているところであります。
 具体的には、リオオリンピック水泳金メダリストの金藤理絵選手、リオパラリンピック自転車競技の川本翔太選手、車椅子バスケットの藤本怜央選手などを招いた講演会や交流活動を実施したほか、オリンピック・パラリンピックに関する図書、情報コーナーの設置やパラスポーツ競技会の開催など各校が創意工夫した取り組みを実施しております。実践した学校からは、子供たちがスポーツを楽しむことやスポーツの価値を理解するだけでなく努力すること、自信を持つこと、夢を持つことなどを学び大変有意義だったという報告が寄せられております。
 今後は、県内の市町教育委員会や県立学校等に報告会を通して本年度の取り組みを周知するとともに県推進委員会においてより効果的な実践方法等について検討し、来年度は推進校の指定を県内全域に拡大して取り組む予定であります。
 本県では、世界最高峰の大会が開催されトップアスリートの技を目の当たりにしじかに触れ合う絶好の機会を得たことから、県教育委員会といたしましてはオリンピック・パラリンピック教育の一層の推進に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 県警察における女性活躍の促進についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、県警察において女性警察官の活躍を促進させるために結婚、出産、育児、育児休業後の職場復帰等に関する不安を払拭させることは極めて重要な課題であります。このため県警察では家庭生活と職業生活を両立することができる働きやすい職場環境の整備に向け、昨年四月次世代育成支援法及び女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画として静岡県警察みらい創造計画を策定してさまざまな取り組みを進めております。
 具体的には、育児休業から復職する職員に対し事前準備として研修を行い復職時に活用できる制度について説明するとともに、育児経験のある先輩女性警察官と意見交換する場を設けて不安の解消を図っております。なおこれらの研修を開催するに当たっては地域ごとに開催して参加しやすいものにするとともに、託児を可能にし研修に専念できるように配慮しております。
 また、若手の女性警察官に対して五年先十年先の自分を思い描き今後のキャリアアップを具体的に考えさせる教養を行っているほか、先輩からアドバイスを受けることができるメンター制度を導入するなどきめ細やかなキャリア形成支援を行っているところであります。これらに加え女性警察官を登用すべきポストの拡大や女性に優しい施設・装備の開発、整備についても引き続き進めてまいります。
 こうした取り組みを着実に進めることにより、女性警察官が仕事と家庭生活を両立しつつ持てる能力を遺憾なく発揮できる環境を整備し女性の視点を一層反映した警察運営を進めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 盛月寿美君。
       (二十五番 盛月寿美君登壇)
○二十五番(盛月寿美君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を二点と再質問を二点させていただきます。
 知事のほうから、今回の朝鮮通信使の世界記憶遺産登録を契機として平和の拠点としての静岡の魅力を発信していくという御答弁をいただきました。国際平和をリードする静岡県としての取り組みをしっかりと進めていただきたいと思います。
 そして、この朝鮮通信使の世界記憶遺産登録は今後観光誘客のさらなる取り組みという面でも大変有効だと思っておりますので、しっかり観光面においてもさらなる取り組みをお願いをしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それから要望の二点目ですが、知的財産の活用について御答弁いただきました。ありがとうございました。
 現在、先ほども申し上げましたが、この特許庁の支援事業で八つが新規で事業化をされておりましてまだまだこのほかにも支援を待っている企業がたくさんございます。そうした企業の皆さんは今回の特許庁のこの支援事業の継続を強く望んでおられますので、今の、このいい成果が出ている支援体制をしっかりと継続して構築していけるように専門人材の活用、登用を含めてしっかり準備をして、このモデル事業が来年度までという期限が決まっておりますので、しっかりと進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それから再質問二点ですが、一点目はヘルプマーク、ヘルプカードの活用について再質問させていただきます。
 先ほど、ヘルプマークを広く周知をしてそして必要とする全ての人にヘルプマークがいくようにということで進めていくという御答弁がございましたが、現状のところ具体的に何個ぐらいを想定していらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
 それから、ヘルプカードについては標準様式を示してそれに基づいて作成ができるように支援していくということでございましたが、その様式を定めていくということで、広めていくということでございましたけれども、県下全域でこのヘルプカードが作成されて普及していくということを目指していってほしいなと思います。
 ヘルプマークは目標があると思うんですけれども、ヘルプカードについては県として目標を定めておりませんので、全県域に普及していくような取り組みをしてそれに対しての支援をしていくということが必要だと思います。それで先ほど事例に挙げました東京都が標準様式でつくるところには補助金を出すという取り組みをしておりますので、そういうことも含めて再度、全域に広げていくための取り組みと支援についてもう一度具体的な御答弁をいただきたいと思います。
 それから、竹の活用による新たな産業の創出について御答弁ありがとうございました。
 竹を活用した産業というのは、本県を代表する産業になる可能性は私は大いにあると思っておりまして、それは同じ共通の認識で前向きな御答弁だったと信じておりますけれども、実際に取り組みがされているということもございますがまだまだ可能性が大きいと思います。放置竹林が一体本当にどれだけあるのかというところが完全には把握し切れていないという状況をお聞きしましたので、まずは生えているからといって勝手に切るわけにもいかないという課題もございますので、全体でどれぐらいあるかというのをしっかりと調査をしていくことがまずは必要だと思いますので、そういうところを来年度しっかり予算をとって、できれば予算をとっていただいて調査をしていただきたいと思います。そこから取り組みをまず始めていただきたいと思いますし、あとそういったことに対して他県では条例をつくっているところもございますので、そういうところも、先進事例も参考にして取り組んでいただきたいと思いますがその点についての御所見をお願いいたします。以上について答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) ヘルプマーク、ヘルプカードについての再質問についてお答えします。
 まずヘルプマークですが、現在いろいろな諸団体から聞いたところによりますとヘルプマークの全体の必要数は三万件程度と聞いております。そのうち本年度九月補正予算でとらさせていただきましたが、約一万件をまずは配布していこうと考えております。
 またヘルプカードにつきましては、このヘルプカードはヘルプマークを補完する非常に重要な機能を持っておりますので、県といたしましてもこのヘルプカードは全県下に普及するように対応していきたいと考えております。
 現在、ヘルプカードの普及としましては各団体からそのヘルプカードの様式、必要事項等を聞きましてそれぞれの団体に対してヘルプカードの必要性を示すとともに、ヘルプカードの作成について標準様式を示すなど指導しているところでございます。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 吉田農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(吉田 茂君) 竹を活用した産業創出についての再質問にお答えさせていただきます。
 放置竹林の調査についてであります。
 これにつきましては、私、先ほど面積を少し述べさせていただきました。これ実は人工衛星で見た画像を、その反射等で竹が生えているところを見ているということでございますので、厳密な意味では議員御指摘のとおり放置竹林だけじゃなくて竹の栽培しているようなところも入っているんだろうということでございます。
 もう一方で、森林簿ということで森の中にどれだけ竹が植わっているかというのを調べて、新たに整備したところがあればそこを抜くというような作業をしながら面積を把握しているものもございます。来年度につきましてはどんな方法があるのか少し検討させていただいて、議員御指摘のとおり実態をちゃんと把握するのが大事だと、それはまさにそのとおりだと思いますので把握の方法について少し検討させていただきたいというふうに思っております。
 それともう一点、条例等も設けている県もあるんだと、他県の先進事例をちゃんと調査したらいかがかという御指摘だと思います。先ほど産業創出について先進事例を調査いたしますというふうに御答弁させていただきましたが、あわせましてそういった取り組みについても、条例等の取り組みにつきましても調査をさせていただきたいと思っています。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 盛月寿美君。
       (二十五番 盛月寿美君登壇)
○二十五番(盛月寿美君) 御答弁ありがとうございました。
 竹の活用による新たな産業の創出について、先進事例をしっかり踏まえてということでございましたので、実際に取り組みがどんどん進んでいるところがありますね。福岡県とか京都府とか進んでいます。竹プラスチック事業の計画がどんどん進んでいる福岡県八女市ですが、ぜひこちらを見に行っていただいて今後の竹の活用による新たな産業、静岡県を代表する産業になることを目指して取り組んでいただきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○副議長(山田 誠君) これで盛月寿美君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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