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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/21/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 森林・林業分野のイノベーションの推進について
2 海外情勢の変化に対応する外国産材から県産材への転換促進について
3 新県立中央図書館への県産木材の活用について
4 県民に未来の静岡県を示す地域政策について
5 財政運営の基本的なスタンスについて
6 天竜区の医療体制の確保について
7 過疎地域の生活の維持確保について


○議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十一番 中谷多加二君。
       (六十一番 中谷多加二君登壇 拍手)
○六十一番(中谷多加二君) さて、六月定例会もいよいよ私で最後の質問になります。明瞭爽やか簡潔爽快な答弁をお願いして質問を始めたいと思います。
 知事、副知事、関係部局長並びに教育長及び教育部長に一括質問方式で伺います。
 まず、最初はライフワークであります林業関係を三問です。
 初めに、森林・林業分野のイノベーションの推進について伺います。
 令和二年六月定例会で本県林業のコストの縮減、労力軽減、安全確保などの課題解決に向けICT等を活用し効率化していく必要があることから県の取組について質問をしました。知事からは林業分野への先端技術の早期普及と新たな技術開発による林業イノベーションを推進していくとの答弁がありました。
 県は林業の成長産業化に向け主伐、再造林などへの先端技術の導入による林業イノベーションを進めているところですが、ウッドショックなど県産材需要拡大の好機を着実に捉えるためにはICT等を活用した林業の効率化は急務です。
 一方、脱炭素社会実現の流れの中で整備された森林による二酸化炭素吸収源としての機能や降雨の様態の変化に伴い山地災害の被害が激甚化している中で山地災害を防ぐ機能への期待が高まっています。このため県土の六割を占める広大な森林の持つ公益的機能を高め持続的にその機能を発揮させていくことが必要であり、そのためには森林の間伐等の施業履歴などの把握が不可欠です。また熱海の土石流災害を契機に森林の適正な保全が一層求められていることから森林の開発状況などを関係者で共有することも必要です。しかしこれらの情報は林業経営体や市町、県等のおのおのが持っていて集約化されていないため十分に生かされていません。
 本県の一次産業に関連する分野では農業分野のAOIプロジェクトや海洋分野のMaOIプロジェクトなどの取組が進められ少しずつ成果が出ています。知事の答弁から二年、森林・林業分野においても○○プロジェクトなどと冠をかぶせ施策を加速させてもらいたいものです。
 林業の成長産業化に加え森林資源の活用による新たな産業の創出や森林の適切な管理、整備のためにも、これまでのイノベーションの取組を強化し進化させていくべきと考えますが、県の取組を伺います。
 次に、海外情勢の変化に対応する外国産材から県産材への転換促進について伺います。
 依然としてウッドショックの影響が続いている中、ロシアによるウクライナ侵攻に対する経済制裁として我が国における合板に使用されるロシア産単板等の輸入禁止措置が取られました。また欧州におけるロシア産木材の輸入規制に伴い発生する木材不足は我が国への欧州産材製品の供給に影響すると考えられ、ウッドショックが助長され住宅部材に使われる外国産材製品の供給不足に対する懸念が高まっています。木材は国際的な商品であることや我が国の木材消費活動がいかに海外の資源に頼っているのか、また現地価格や海上輸送費の変動、急激に進む円安の影響による外国産材製品の供給不安が国産材製品の価格や需給動向にこれほどまでに影響するものなのかと改めて痛感しました。
 昨年九月の定例会でウッドショックへの対応を質問したところ、丸太の生産体制と在庫機能の強化の両面で取り組んでいるとの答弁がありました。このうち丸太の生産体制強化のための大型トラックで丸太を効率的に運搬する路網と架線集材施設の先行整備は、森林組合や林業事業体等から、非常に効果的な取組で県が進める年間五十万立方メートルを生産するという目標を達成するためには今後も制度を継続してほしいという声が多く寄せられています。
 また、丸太の在庫機能の強化に向けて静岡県森林組合連合会では国、県、伊豆市の支援を受け今年四月から伊豆市大平において丸太の在庫調整機能を兼ね備えた集積場である中間土場の整備を進め、去る六月五日関係者の御出席を頂き無事に地鎮祭を催すことができました。
 外国産材製品の供給リスクへの対策は今後一層必要になると考えられ、為替変動や海外情勢等の影響を受けにくい県産材製品の需要はますます高まっていくでしょう。
 そこで、県は現下の海外情勢の変化を踏まえた外国産材製品から県産材製品への転換に向けた取組をどのように進めていくのか伺います。
 供給体制の強化に続いては、その活用策に関係して伺います。
 新県立中央図書館への県産木材の活用についてであります。
 文化力の拠点整備として始まった東静岡駅周辺の整備は、様々な経緯をたどり実質新県立中央図書館の整備となったところです。静岡市谷田にある現在の県立中央図書館は、平成二十九年に床にひびが入り図書の重さに耐えられないほど老朽化していることが判明をしました。その後重さに耐えるための修繕はしたものの様々な設備の老朽化、アメニティー機能の不足なども顕著であり、新しい図書館の整備は待ったなしの状況になっています。教育委員会において昨年度には設計者決定のためのプロポーザルを行い今年度はいよいよ設計業務が本格化します。
 ところで、私は四月の終わりに岡山県庁を訪問し旧知の岡山県議会議長神宝謙一氏と再会しました。訪問前からの約束で議長自ら岡山県立図書館視察の段取りを取ってくれていました。館長の中本正行氏からは図書館の沿革や入館者数、二階からの景色はすばらしく改装中ではありますが岡山城を望むことのできる立地条件など丁寧な説明を受けました。特筆すべきは入館者数の多さです。一階の資料カウンターは主題別に六部門に分かれており、それぞれ専門性の高い司書を配置するなどして入館者の目的にいち早く応えるシステムを導入するなどの対応で全国でも有数の入館者数を数えるまでになっています。本県の新しい図書館もこのようなものになることを願って岡山の地を離れました。
 さて、話は戻りますが設計に当たっては本県らしい施設として整備してもらいたいと思っています。本県らしさと私が述べれば、それはやはり県産材を十分に活用した施設ということになります。しかし残念ながら私の耳に届いている話では、プロポーザルの段階では県産材を豊富に使用した提案もあったようですが、多くの提案は県産材活用の意識が低く審査員の評価を得られなかったとのことです。コストの制約などはあるにせよカーボンニュートラルが叫ばれる中にあり、県産材を大量に活用し地域循環型のモデルとなるような提案がなされなかったことは残念でなりません。より踏み込んだ提案を求めなかった教育委員会にも責任の一端はあると思っております。
 県は、ふじのくに公共建築物等木使い推進プランを策定し公共建築物への県産材の活用を進めています。当然県自らも建築物の整備や公共工事等において率先して活用することを進めていくことになっていたはずであり、これまでのこのはなアリーナをはじめ数々の県有施設整備において活用が進められてきました。中でも皆様御存じのとおりこのはなアリーナは、その屋根などの構造材に天竜材を多用し九百四十立方メートル、約七千本の材木に相当する量を活用し国内最大級の大型木造建築として名をはせています。
 今回の新県立中央図書館は、延べ床面積が二万平方メートルほどであり中層程度の建物になると想定します。そうなると柱やはりなどの構造材に木材を使用することは耐震や耐火性能の確保、建物の強度など法令上の観点から使用は限られてくると思いますが使えないわけではありません。そうした中このはなアリーナをさらに進化させるよう構造材へ活用できる部分は活用するとともに、内装や外装に多用するなど適材適所に県産材を活用しいかにも静岡県らしいという空気を醸し出し入館者に県産材の温かみ、美しさを見てもらいたいと思います。
 女性が美しく着飾っている姿を見て美しいと思わない人はいないと思います。負けず劣らず県産材の奥深い美しさを県内外に示すことができれば図書館建設の意義もより一層深まります。当然県産材の多用は大きな建設コストの増加になることは私としても重々承知しているところでありますが、伐採期を迎えている本県の森林の有効活用のためにも県産材を積極的に取り入れた設計に見直しをするよう前向きに考えてもらいたいと思います。
 なお、県森林組合連合会では県産材の利用を促進するべく、天竜事業所を建て替えるに当たり静岡文化芸術大学副学長寒竹伸一氏に設計段階から様々なアイデアの提案や施工技術の指導を依頼し一〇〇%県産材を活用し、いわゆるオール木造で去る四月十五日に無事竣工を迎えることができました。天竜事業所を訪れる多くの木材関係者からも天竜らしいすばらしい建物だとの評価を頂いています。
 しかし、着工当初の予定では昨年の十月に竣工式を行う予定でした。ウッドショックをまともに受け丸太をコロナ前より高値で販売したいという売る側と、一方では高値で品薄の製材品を購入、使用しなければならないという使う側の両面を経験し気持ちがよく分かりました。
 こうした状況の中、新県立中央図書館における県産材の活用について、教育委員会としてどのような方針で設計を進めていくのか伺います。
 続いて、政策と財政運営について二問伺います。
 まずは、県民に未来の静岡県を示す地域政策について伺います。
 昨年十月岸田総理が就任し、その政策として新しい資本主義とともにデジタル田園都市国家構想が示されました。県も令和四年度当初予算の発表資料にはデジタル田園都市の実現と副題がつき、また全国知事会の場でも知事は首都機能移転を唱えながらデジタル田園都市国家構想の実現を求めているようです。
 一方で足元を見ると、川勝県政四期目の羅針盤である新しくできた総合計画静岡県の新ビジョン後期アクションプランにはデジタル田園都市の言葉はどこにも出てきていないのではないでしょうか。そういう意味ではあの予算の記者発表と現実の計画に乖離を感じさせています。
 また、そもそも川勝知事は昨年六月の選挙期間中よりレイクハマナ未来都市構想を唱え始めましたが、聞くところによると結局はふじのくにのフロンティアを拓く取組の基本戦略に基づく取組の一つというかなりトーンダウンした取扱いになってしまったとのことです。
 そのレイクハマナ未来都市構想の対象区域の中心をなす浜松市においては、デジタルスマートシティー浜松を目指し構想を策定するとともにデジタル田園都市国家構想の交付金に採択されているところです。県政の土台である総合計画、地方創生のための総合戦略、そして東日本大震災を踏まえて策定したふじのくにのフロンティアを拓く取組、私はこれが県の三大構想と考えていますが、今ここにデジタル田園都市国家構想などが加わりつつあり、かつ浜松市のように独自に構想を打ち出している市町もあります。はっきり申し上げて地域政策が乱立して整理されているとはとても思えない状況なのです。雨後の竹の子のようであるとしか申し上げられません。これで本当に本県の将来の絵姿を見通せているのか不安です。
 今国においても地方自治体への様々な計画策定の義務づけの是非について議論されているところですが、本県の場合はまず自らが整理、統合しなければならないと思います。県民にとっても非常に分かりにくくなっており、そのことが将来への不安や悲観に結びつかないとも限りません。いま一度総合計画を土台としつつ様々な地域政策をもっと整理し県民に未来の静岡県の姿を明確に示すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 次に、財政運営の基本的なスタンスについてであります。
 この四月から就任された石川政策推進担当部長は久々に総務省から迎える予算担当部長です。なぜこんなに久しぶりなのかは問いませんが、やはり国とのパイプを考えたときに地方自治を担当する総務省とのつながりは欠かせないものと思います。石川部長は平成二十一年から二十五年まで本県に在職され最後の年には財務局長も務められていました。帰任されたのち埼玉県にも出向され大野知事の下御活躍されていたと聞いています。久々に戻ってきた静岡県をどのように肌で感じていることでしょうか。
 石川部長は先ほどの質問の政策も行いつつ財政運営も束ねることとなります。平成三十年に策定した財政運営の方針においては令和三年度における収支均衡を目標としていました。しかしコロナ対策や景気の減速などにより収支均衡は実現ができず終わる見込みです。また一兆六千億円程度を上限としていた通常債の残高はこれを超える水準となっています。
 このように財政状況はやや悪化している中で、新しい総合計画に合わせて定められた今後の財政運営方針では引き続き収支均衡が示されています。着任されて三か月、既に二度の補正予算編成も終え本県の財政状況の把握はされたのではないかと思います。今の地方財政の抱える課題などを踏まえ本県の今後の財政運営についてどのようなスタンスで望むのか伺います。
 ここからは、地元天竜区や天竜区と同じような状況に置かれている地域の課題を挙げていきます。
 まずは、天竜区の医療体制の確保について伺います。
 昨年の九月定例会の一般質問において、天竜区の医療体制特に国民健康保険佐久間病院の置かれた厳しい状況について質問をしました。県としてもその状況を踏まえてくれたのか、その後の県医療審議会における議論を通じて医師確保計画において天竜区全体を医師少数スポットとして認めてもらいました。
 天竜区がある西部医療圏は浜松市と湖西市で構成されており医師多数地域になっていました。このため幾ら天竜区の窮状を訴えても医師が多い地域には支援できないという仕組みでした。天竜区における医療提供体制は深刻な状況になりつつあります。
 基幹病院である佐久間病院は昨年度から稼働病床数を二十床減らし四十床の体制となり、また開業医の高齢化と後継者不在の状況も顕著になりつつあります。このような状況が進めば国道百五十二号、国道四百七十三号などの主要幹線沿いの地区はまだしも、そこから外れた地区や集落においては医療機関へのアクセスが徐々に厳しくなっていきます。既に超高齢社会であり交通アクセスの手段も限られています。現在無医地区は十地区あり今後さらに増加していくのではないかと心配をしています。
 このような状況において医師確保計画における医師少数スポットの設定は一つの光明であることは間違いありません。しかし設定したからといって自然に今の状況が改善されるわけではありません。やはり県が旗を振り様々な施策を展開してもらう必要があります。天竜区の医療体制の確保に向けて県としてどのような施策を展開しようとしているのか伺います。
 最後に、過疎地域の生活の維持確保についてであります。
 医師少数スポットの質問にも共通する話題ではありますが、こちらはもっと身近な生活の維持確保について伺います。
 一言に過疎地域といってもその地域の中心部はまだ人々が集住しているわけですが、今回は散在している集落における課題を取り上げたいと思います。当然このような集落は戸数も少なく超高齢世帯が多いのが実態です。公共交通はなく高齢ゆえに免許の返納をしている人や狭隘な道路の運転を諦めた人も多いのです。だからといって商店は身近にあるわけでなくおのずと買物の回数は限られてきます。
 天竜区の小売業の店舗数を調べてみました。平成三年には八百七十五店舗あったものが平成二十八年には二百九十七店舗と六割以上の減少となっており買物の不便さは増しています。水道は飲料水供給施設や簡易水道であり、その水源維持のための掃除当番なども高齢な住民には大きな負担です。金融機関は頼みの綱の農協が支所の縮小ととともに金融は取り扱わなくなり郵便局が唯一のものとなりますが、やはり散在している集落からは遠い存在です。先ほど述べたとおり病気になったときに医療機関にかかるのも一苦労になっています。
 私も何度か訴えてきましたが浜松市が重い腰を上げやっと光ファイバーが天竜区全体に広がりインターネットの環境は整いましたが、ネットスーパーや通販を使う高齢者がどのくらいいるのか疑問です。いっとき限界集落という言葉がはやった時期がありましたが、まさにその状態が一部の集落では起こりつつあります。
 一方で、買物や金融については移動販売や移動出張所などが民間企業の努力により行われ始めています。先月のある土曜日私が自宅でぼーっとたそがれていると耳障りな音楽が聞こえてきました。外に出てみると食料品などの移動販売車でした。軽トラックの荷台を改造し半分が冷蔵庫、残りを野菜や菓子などを効率よく並べ食料品も数多く並べられていました。近づいて販売員に話を聞くと、やはり民間企業においては採算が重要であり事業として成り立つかが継続性の鍵になりますとのこと。並べられた商品を品定めする近くに住む独り暮らしのお年寄りを見ながら明日は我が身かと不安を覚えました。もっとも私も既に年寄りですが。
 このような民間企業の取組を一つの公共インフラとして捉え維持継続のための支援も必要です。衣食住の維持に不安を抱えつつ暮らす人々の思いを描いていただきたいと思います。誰一人取り残さない社会をつくっていくことを一つの政策課題に据えた知事は過疎地域の生活の維持確保にどのような考えをお持ちなのか伺い、私の質問を終わります。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
 森林・林業分野のイノベーションの推進についてであります。
 森林は、土砂災害防止や水源の涵養、二酸化炭素の吸収など公益的機能を有しており県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るとともに、森林資源の循環利用により林業や木材産業を創出し地域経済の活性化に大きく寄与しております。
 近年世界レベルでのSDGsへの取組や二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現が求められる中、将来にわたって森林の有する公益的機能を維持しつつ新たな産業の創出などにより林業、木材産業の成長産業化を図るためには最先端のデジタル技術などを活用し森林・林業のイノベーションを強力に進めていく必要があります。
 このため県は、令和二年度にふじのくに林業イノベーションフォーラムを設立し林業関係者と技術企業、研究機関などが様々な先端技術を情報共有し、ICTを活用した鹿の侵入を遠隔で監視するシステムやタブレット端末による丸太の自動計測など省力化技術の現場実装に取り組んでおります。また林業関係者と組織した地域協議会では、三次元点群データを解析した高精度森林情報を活用し広大な森林から生産適地を団地化し中長期的な丸太の生産や効率的な路網の計画を策定する取組を進めております。
 今年度はこうしたイノベーションの取組を一層発展させ現場実装を加速するため、推進主体となるフォーラムに外部人材による先端技術コーディネーターを新たに配置いたします。そして多様な専門技術を有する異分野企業の参入を促進してまいります。
 加えて、林業経営体や参加企業などが連携、協力して質の高い研究開発に取り組む情報解析、実証実験、共同研究の三つのプラットフォームを構築してまいります。情報解析につきましては、高精度森林情報のオープンデータ化により森林の未利用資源の発掘や森林空間の新たな価値を創出するとともに、荒廃森林や森林の開発状況などを見える化し森林の適正な保全を図ってまいります。また実証実験におきましては、企業などと連携して三次元点群データを活用した森林の炭素吸収量の算定手法やIoTを搭載した伐採機械などの先端技術を実証し現場実装を推進してまいります。共同研究では、企業等の知見やアイデアで現場の課題を解決する新たな技術やサービスを創出してまいります。
 県といたしましては、こうしたイノベーションをフォレストリー・アクション・オープンイノベーションプロジェクト、フォレストリーのF、アクションのA、オープンのO、イノベーションのI、この単語の頭文字をF、A、O、I取りましてFAOIプロジェクトと。AOIプロジェクト、MaOIプロジェクト等々ございますが、それとの連動でFAOIプロジェクトとして全力で推進し持続可能な森林・林業を実現してまいります。
 次に、天竜区の医療体制の確保についてであります。
 天竜美林をはじめとする豊かな自然に恵まれた地域である天竜区の持続可能なコミュニティー形成に向けましては、地域医療の確保が重要な課題であるという認識を持っております。このため県では、医師確保計画の中間見直しを行い本年四月天竜区を県内初の医師少数スポットとして設定いたしました。これにより医師少数区域で一定期間勤務が義務づけられた医学修学研修資金を利用する地域枠医師の配置が今後可能となります。このことから中長期的に天竜区における必要な医師の確保に大きく貢献するものと考えております。
 また、天竜区の医療体制の確保のためには地元浜松市と市内の医療関係者との連携が不可欠でありますことから、浜松市に中山間地域医療検討会議の開催を県から提案いたしますとともに会議に参画し佐久間病院や診療所の体制について必要な助言をしてまいりました。
 こうした取組の結果、佐久間病院につきましては浜松市が市内の医療機関の協力を得て医師一名を増員したところであり、県といたしましても四月から新たに医学修学研修資金利用医師一名を配置するとともに自治医科大学卒業医師を継続して派遣しているところであります。
 県といたしましては、引き続き浜松市との連携を深めるとともに医学修学研修資金利用医師の配置に向けた調整や自治医科大学卒業医師の派遣を行うことにより、天竜区の皆様が安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができるように医療体制の確保に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(藪田宏行君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 海外情勢の変化に対応する外国産材から県産材への転換促進についてお答えいたします。
 ウッドショック等による外国産材の供給不足や世界的な脱炭素化の潮流を好機として捉え県産材への転換を加速するためには、丸太や製材品の安定的な供給体制の強化と森林認証材等の県産材の利用促進を図ることが重要であります。
 このため供給体制の強化につきましては、三次元点群データを活用した森林情報により丸太の生産適地を選定し路網などの生産基盤を先行整備することで需要に応じていつでも森林認証材等を供給できる生産拠点づくりを県内三十二地区で進めております。加えて製材工場に対しては効率的かつ迅速な木材加工が可能となるよう高機能な施設機械の導入を支援しております。また意欲のある経営体に森林を集積する森林経営管理制度を活用して実効性の高い木材生産のモデル計画を県内七地域で作成し県産材丸太の生産体制を強化してまいります。
 県産材の利用促進につきましては、人にも環境にも優しい木材の価値について県民の皆様に深く理解していただくためSNSやセミナーの開催などにより分かりやすく情報発信してまいります。また本年度県産材を使用した民間住宅等について県独自の助成制度の支援対象を拡大するとともに、県産材の価値や特性を提案できる建築設計者を養成するための研修会等を開催し県民の皆様が県産材を利用する機会の選択肢を広げてまいります。
 県といたしましては、こうした取組により外国産材から県産材への転換を促進し海外情勢に左右されない安定的な木材需給体制を構築してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 新県立中央図書館への県産木材の活用についてお答えいたします。
 新県立中央図書館の建設につきましては、昨年度設計者を選考するプロポーザルを実施し令和八年度の完成、翌令和九年度の開館を予定し設計を進めているところであります。プロポーザルの実施に当たりましては県産木材の活用に言及しておりましたが、より積極的に活用した提案を参加者から引き出すための具体的な条件提示を行っていなかったことにつきまして深く反省しております。
 県産木材の活用は、産業振興やカーボンニュートラルなど環境負荷の低減といった県の政策推進上重要な視点であり図書館にとりましても居心地のよい落ち着いた空間づくりに不可欠であります。
 静岡県森林組合連合会及び静岡県木材協同組合連合会から頂きました、このはなアリーナを進化させられるようにとの御要望に応えられるよう、内装、外装に美しい県産木材を活用することに加え耐力壁など構造材にも積極的に活用するなど最大限努力してまいります。県産木材の活用には事業費の相当の増額が見込まれますが事業費全体を縮減する工夫も含めより効果的な活用となるよう設計に取り組むとともに、その政策的効果や予算額などについて県民、県議会の皆様に丁寧に説明し御理解を得ながら新図書館への活用を進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、県産木材の活用をはじめ新図書館をよりよいものとするための全庁的な連携体制の下で新しい時代のモデルとなる図書館を整備してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) 県民に未来の静岡県を示す地域政策についてお答えいたします。
 県では計画的かつ総合的な県政運営を図るため、その基本となる総合計画を策定しております。静岡県の新ビジョン後期アクションプランでは、県政運営における基本理念や目指す姿を掲げこれを具体化するための政策の基本方向を明示しております。その上で総合計画の方向に沿って政策分野ごとに具体的な計画を策定しております。
 まち・ひと・しごと創生総合戦略は、人口減少の克服を目的にまち・ひと・しごと創生法に基づき子供を育むための環境整備や多様な交流の拡大など地方創生に向けた重点的取組を定めたものであります。
 また、ふじのくにのフロンティアを拓く取組は、東日本大震災を契機とした防災・減災と地域成長の両立に加え脱炭素、SDGsの実現を目指し沿岸・都市部のリノベーションや地域循環共生圏の形成などに市町と連携し取り組むものであります。全体としては総合計画と分野別計画をこうした関係に整理し政策の推進を図っております。
 さらに、デジタル田園都市国家構想はデジタル技術の活用に重点を置き地方活性化の加速を図るものでありますが、地方創生のこれまでの成果を最大限に活用するため国は年末をめどにまち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改定しデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定することとしております。県といたしましても今後地域の実情や特色に応じた取組方針を検討してまいります。
 議員御指摘のとおり、これらの計画の関係性やそれぞれの計画の目的、施策を県民の皆様にしっかりと説明し理解していただくことが重要であります。こうした地域政策について様々な機会を通じて県民の皆様や市町などのステークホルダーに丁寧に説明し連携協働により着実に推進してまいります。
 次に、財政運営の基本的なスタンスについてお答えいたします。
 令和三年度の決算見込みでは財源不足額は四十億円となり前年度から三十億円改善いたしました。また今後の財政運営に活用可能な基金もコロナ前とほぼ同水準となる三百九十九億円に回復するなど本県の財政状況はコロナ禍における一時の危機的状況を脱しつつあります。
 一方地方の一般財源総額が同程度に据え置かれる中、社会保障経費の増加や激甚化する自然災害への対策、アフターコロナを見据えた取組など財政需要の増加が見込まれ危機を脱したとしても厳しい財政状況に変わりはないと認識しております。
 こうした中、将来にわたって安定的に行政サービスを提供するためには健全財政の枠組みの堅持が不可欠であり、当該年度の歳出をその年度の歳入で賄う収支均衡をはじめ後期アクションプランに掲げた四つの財政運営上の目標を達成することが重要であります。このため歳出・歳入の両面から徹底した見直しに取り組みます。
 歳出面では政策評価に基づく事業のビルド・アンド・スクラップを徹底するとともに、歳入面では消費と生産の拡大による県税収入の増加や未利用財産の売却、外部資金の確保などに積極的に取り組んでまいります。加えて本県が直面する課題に的確に対応するため財源を重点的に投入することも重要であります。命を守る危機管理をはじめコロナ禍で加速したデジタル化への対応、脱炭素など環境と経済が両立する社会の構築など選択と集中を徹底してまいります。
 私は九年ぶりに本県で勤務しております。議員御地元の天竜区をはじめといたしまして静岡県が有する多彩な魅力や地域資源、ポテンシャルを実感しているところであります。これらの力を本県のさらなる発展につなげるため県全体の政策と予算配分の最適化を追求するとともに、将来にわたって安心な財政運営が確保できるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 土村経営管理部長。
○経営管理部長(土村暁文君) 過疎地域の生活の維持確保についてお答えいたします。
 人口減少や高齢化の進展に伴い過疎地域における集落の小規模化が進んだ結果、集落機能の維持が困難な集落数は県全体の約六割を占め、こうした集落では住民の日常生活が脅かされ中でも買物、病院、金融機関等への移動手段の確保が急務となっております。
 県は、これまで過疎地域を含む移動手段の確保が困難な地域において市町、NPO、福祉団体等が実施する住民主体の移動支援サービスの立ち上げの支援を行い県内各地で移動支援サービスが創出されてきておりますが、コロナ禍での住民の相互扶助機能が低下する中その継続、拡大に向けてさらに取組を強化していく必要があります。このため県では、近年移動販売等のサービスを行っているドラッグストア、スーパーマーケット等の民間事業者との連携を深めるとともに、民間企業の専門人材を過疎地域に派遣して地域の課題を解決する過疎地域等政策支援員制度を活用しながら官民連携により生活支援サービスを拡充してまいります。
 県といたしましては、今後自動運転やドローン等の革新的技術の活用により移動手段や担い手不足等の過疎地域の課題解決を図るなど過疎地域に住む方々が安心して生活できる環境を維持し誰一人取り残さない社会を築いてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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