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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/26/2014

会派名:

富士の会


質疑・質問事項:

1 学童保育について                        
2 世界文化遺産富士山に関する諸課題について            
 (1) 三保松原の海岸景観の改善                   
 (2) 静岡市が実施する保全事業に対する県の関与           
 (3) 富士山における協力金                     
 (4) 富士登山者の安全対策                     
3 清水港における大型客船入港の安全対策について
4 教育行政について                        
 (1) 高校入学裁量枠                        
 (2) 通学区域                           
 (3) 中高一貫教育、小中一貫教育                  
 (4) 学習塾の活用                         
 (5) 全国学力・学習状況調査


○副議長(伊藤育子君) 再開に先立ち御報告いたします。
 本日は、説明者として教育委員会委員長職務代理者溝口教育委員会委員が出席しておりますので御承知おき願います。
  
○副議長(伊藤育子君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇 拍手)
○七十番(中澤通訓君) 私は富士の会所属議員として通告に従い、知事、関係部局長、教育委員会委員長及び教育長に当面する県政の諸課題について伺います。
 初めに、学童保育について伺います。
 共働き家族やひとり親家庭の小学生を放課後に校内や児童館などで預かる放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の受け皿を来年度から五年間で約三十万人分拡充するとの政府方針を固め、改定成長戦略として過日閣議決定されたところであります。
 学童保育は、女性の社会進出とともに、小学校低学年の留守家庭児童の対策として事実上昭和五十一年度から始まった制度で三十年以上の歴史があります。経済成長とともに社会的要請が大きくなり昨年五月で全国で二万一千カ所以上、登録児童数も八十八万人を超え過去最高となっております。待機児童数も八千人余りとかなりの数とのことで、各市町村が学校の余裕教室などを活用し対応しているところであります。スタート時はいわゆる鍵っ子対策のみに重点が置かれていましたが、近年は宿題を済ませることは当然で料理教室、アート工作、農業体験等、多彩なプログラムを提供するところも見受けられます。放課後児童クラブはこれまで低学年が対象とされてきましたが、来年度から施行予定の子ども・子育て支援新制度では全学年が対象となります。
 県では保育所の待機児童ゼロを目指すためにここ数年定員の大幅な増員を進めておりますが、放課後児童クラブの対象児童の増加への対応も待ったなしと思われます。子供たちが伸び伸びと過ごせる環境があることが当たり前にならなければ、安心して産み育てられる社会にはならないだろうと思います。
 県として新制度における学童保育についてどのように取り組むのか、障害児への対応も含め伺います。
 次に、世界文化遺産富士山に関する諸課題についてのうち三保松原の海岸景観の改善について伺います。
 昨年は富士山が世界文化遺産として登録され、富士登山を初め構成資産の各地にも多くの注目が集まった一年でありました。私の住む清水には三保松原があり、イコモスの事前勧告では登録から外れるのではとの予想がされたことから大きな話題となり、登録前後から県内はもちろん周辺近県を含めて多くの観光客が訪れ地元の人もその渋滞に巻き込まれることも多くあります。
 清水海岸の三保地区に設置された消波堤は、昨年四月イコモスから、美しさの観点からは望ましくないとの指摘を受けております。登録に大きな力を発揮された近藤誠一前文化庁長官を座長とする三保松原白砂青松保全技術会議からは、この指摘への対応として、問題となった消波堤を高さを低くすることにより景観への影響を最小限に抑えることが可能なL型突堤に置きかえることが妥当であるとの提言を受けております。今年度はこの提言に基づき詳細な検討がなされると聞いておりますが、このL型突堤の整備について今後どのような進め方をする予定であるか伺います。
 次に、静岡市が実施する保全事業に対する県の関与について伺います。
 松林については保安林や県立自然公園の指定もあり、その所有は国、県、市、民間と混在し正確な本数の把握もなされていない状況でしたが、ことしの富士山の日、二月二十三日に、ボーイスカウト清水地区創立六十周年記念事業として近隣自治会、高校生の協力による調査が行われ、これまで約五万本と言われていましたが当日の集計では三万六百九十九本と報告されました。
 静岡市では、松の保護育成事業や除草、枯れた松葉の除去には多くのボランティアに恒常的に協力をいただく人海作戦を計画。また近年は行われていなかった薬剤の空中散布もラジコン・ヘリコプターにより実施しました。
 また、県道三保駒越線、通称三保街道にはかなりの部分が富士山に向かって走ることもあり、その眺望改善のため、県道を横断する電線などの架空線を撤去する方針を市長が表明しております。電話ケーブル線を初め電柱を支えるワイヤ線など本格的な地中化は約百億円以上の工事となり、用地買収ともなれば時間もかかるため速効的な対策として架線の撤去を行うとのことです。
 これらの取り組みは政令市の事業でありますが、県の関与はどの程度となるのかお伺いします。
 次に、富士山における協力金について伺います。
 昨年は世界遺産登録の決定から富士山の山開きまで日もなく、協力金もいわば試行的な対応としてスタートしました。ことしは静岡・山梨両県で話し合いをしながら共通事項を決めているようですが、山開きの日の統一は成りませんでした。基本としては統一が望ましいことで、トイレが使用できない状況での山開きは決して好ましいことではありません。今後も御努力を願うところです。
 さて、協力金につきましては、ことしはより多くの登山者から協力をいただけるよう、各登山口での徴収のほかインターネットによる振り込みも可能とするとのことですが、協力金の使い道について登山者に理解していただくことも必要と考えます。
 そこで、協力金の使途と協力者への周知の方法についてお伺いします。
 次に、富士登山者の安全対策について伺います。
 過日、大須賀副知事と山梨県知事は観光庁長官等に弾丸登山の自粛について要望したとの報道がありました。弾丸登山については、心筋梗塞に陥るおそれや血圧の上昇や脱水症、低体温症から突然の心停止につながるリスクがあると山岳医からの警告もありますが、依然として登山者全体の約一割が弾丸登山者であるとの推計もあり弾丸登山が絶えない状況にあります。
 また、富士山においては夏の開山期間以外においても遭難事故が発生しており、残念ながら死者も出ております。ベテランであっても急変する山においては事故が発生します。先ごろ県山岳遭難防止対策協議会富士宮支部においては冬季の富士登山禁止の要望を決議したとのことです。ことしの遭難者の中には登山計画書未提出者があって、連絡などに支障があったと聞いております。冬山登山をする人に初心者は少ないと思いますが、基本的なことが守られていないことも事実です。そのため遭難時での対応がおくれ重大事故にもつながることのないよう、登山計画書の提出を条例により義務づけることについても検討の必要があるのではないかと思います。
 このたび南アルプスエコパークの登録がなされました。登山者は昨年以上にふえることが予想されます。中高年の登山ブームが山の遭難者の増加にもあらわれております。昨年一年間での遭難は過去最高の二千百七十二件、二千七百十三人で死者・行方不明者は三百二十人であります。発生場所は長野県の三百件に次いで静岡県は百三十九件でワースト二位です。前年は九十七件、四位でした。事故のうち登山計画書の未提出は一千八百一件。実に八〇%は未提出であります。世界遺産登録を契機として登山者の増加が予想されるとともに、登山者の安全対策を一層進めていくことが求められます。
 そこで、県は富士山における開山期間以外も含めた登山者の安全対策をどのように進めていくのかお伺いします。
 次に、清水港における大型客船入港の安全対策について伺います。
 近年、にぎわいのある港がこれからの港の目指す姿であると、機能だけの港づくりからの脱却が求められています。
 平成二年二月二十三日、くしくも今日富士山の日となったその日に、当時世界一の豪華客船と言われた「クイーンエリザベス二世号」が清水港の日の出埠頭に接岸をいたしました。あいにく小雨降る中での入港でありましたが、市内外から九万人の人出があり、初めて見る大型客船の姿に驚いたものでした。この「クイーンエリザベス二世号」の来港を契機に、港を身近に感じてもらうには客船誘致がベストのイベントであると、有志による清水港客船誘致委員会が立ち上がりました。以後、同委員会の活動もあり年に何隻かの客船の寄港が実現し、時には国の練習帆船「日本丸」と「海王丸」の同時入港もあり清水港への寄港はすっかり定着したと言えます。
 こうした活動の積み重ねと富士山世界文化遺産登録の効果もあって、本年度は十五隻もの客船等が寄港することになっております。秋には総トン数九万九百六十三トン、長さ二百九十四メートル、乗客定員二千三十四名のこれまでで最大となる客船「セレブリティ・ミレニアム号」が初寄港を予定しております。この長さ二百九十四メートルは大体東京駅の駅舎の長さに匹敵する長さであります。県営港である清水港の行政のトップである知事みずからのポートセールスや寄港時の歓迎セレモニーへの出席を関係者は期待をしております。
 現在は、旅行の方法も自動車、鉄道、飛行機、そして客船と多様化してきました。また日本のクルーズ市場は有望とのことから、日本の船会社だけでなく外国の船会社による船旅も多く企画、運航され始めました。一度の寄港で大体七、八時間の滞在ですが、大量の人が下船しオプショナルツアーを楽しんだり街の散策をし、かなりの経済効果があるとも言われております。
 このようなことから、継続的な誘致運動に取り組んだ結果、来年五月には過去最大で総トン数十一万五千八百七十五トン、長さ二百九十メートル、乗客定員二千六百七十名の「ダイヤモンド・プリンセス号」の寄港が船会社から発表され、今後もより大型の客船の寄港の可能性があります。来訪される方々に楽しんでいただき富士山を仰ぐ清水港に再び来たいと思っていただくためにも、安全な船旅ができる環境を整えるのは港湾管理者である県の責務であると考えられます。
 そこで、今後想定される清水港における大型客船入港の安全対策について、県の考えを伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
 世界文化遺産富士山に関する諸課題についてのうち、静岡市が実施する保全事業、なかんずく三保松原にかかわる保全事業に対する県の関与についてであります。
 世界文化遺産富士山を世界に誇るべき日本国民の財産として確実に後世に引き継いでいくためには、構成資産を有する関係市町、三保松原の場合ですと静岡市でございますけれども、そこと一体となって適切に保存管理していかねばならないというように考えております。
 三保松原は残念ながらイコモスの当初の勧告においては、これは除外するべしという勧告でありました。なぜ除外するべしであるかということについては、勧告書を読めば明快でございますけれども、二十世紀前半までは白砂青松であったと。しかしながら今や海岸の侵食が進み、なかんずく安倍川のしゅんせつのために白砂ではなくて黒砂になっていると書かれています。そしてまた、波消しブロックについては波の上の丘であると書かれております。これが富士山と一体になっているというように思ってきたのは、プリント――版画の影響によると書かれています。したがいまして現状においては、ここは構成資産としては明確にその基準からして妥当しないということで除外すべしということになったわけですね。
 ただ静岡県では、あるいは多くの方たちは富士山と三保松原が四十五キロ離れているというその一文だけをとって、遠いけれども心の中では一つだと。そういうことだからそれを主張しているかのごとくですが、それは版画に書かれている世界であって現状はもう一度それを確認して来られるならば確実にそれは落ちます。
 そこで、これは静岡市の管轄とはいえ県の一部であり、かつ日本国の一部であり、世界遺産構成資産としての一部として登録されているわけでございますから、その勧告にあるマイナスの条件は除去しなければならないということです。それでL字型の突堤をつくるというのは、今、難波副知事を中心にして近藤さんにまとめていただきました。
 そして電柱につきましては、これは県が無電柱化を推進する検討委員会を立ち上げまして、静岡市は重い腰を上げて電線を撤去するという英断をなさったのです。松林についてはイコモスの勧告書には五万本と明確に書かれています。それが三万六百九十九本しかないということになりますと一体何をしていたかということになりまして、言いわけに大変苦労するかと存じます。したがいまして、これは松林を枯れぬように防止する対策を講じ、それが正確に書き込まれた状況報告書を再来年の二月までにまとめなければならぬという状況でございます。
 こうしたことから私ども県としましては、田辺市長と私との個人的な信頼関係をベースにして市当局、実際に仕事をするのは市の当局者ですから、その当局者の方々にハッパをかけるという形で、いわば県からいたしますれば相当厳しい市当局者に対する批判をお持ちです。ですから、今は市当局者がみずから政令指定都市を預かっているのだという、そういう覚悟を持ってこの仕事をしていただかなければ、静岡市、なかんずく清水三保の方々、そして静岡県民、多くの三保を愛されてこられた方々に対して申しわけないし、また三保松原はあのプリントに描かれたような美しいところだと信じて、皆それをベースにして三保松原を入れるべしと言われた全てのイコモスの、ユネスコの委員会に対して申し開きが立たないのです。ですから私は今心を鬼にして田辺君が働きやすい環境ができるように、田辺市長先生が働きやすい環境ができるように粉骨砕身しているということでございます。基本的に政令市の主体性を重んじつつも、今はその主体性が発揮できるような環境づくりをするという形での関与を強めているということとして御理解賜りたく存じます。
 次に、富士登山者の安全対策についてであります。
 富士山は、基本的に信仰の対象として仰ぎ見られてきたということです。富士講に代表される山頂への信仰登山、登拝という、そういう登山を通じて独特の富士山信仰を育んでまいりましたが、この百年余り、ヨーロッパからもたらされたいわゆるアルピニズム、スポーツとしての登山ということによって登山者の裾野自体は広がっておりますが、その結果山が荒れるという形になっているのはまことにざんきにたえないところでございます。
 富士山の登山者数は、近年三十万人もの方々が登られてその前後で推移しておりますが、昨年の遭難事故件数が過去最多を記録したというのは議員御指摘のとおりです。その原因としましては弾丸登山がございます。弾丸登山は、これは廃止しなくちゃならんということで横内知事と二人三脚でこれをとめるように働きかけているところでございます。基本的に知識、装備などが不十分なまま無謀な登山をされているのが事故を多くしている原因であります。このため夏山期間に向けましては富士山の気象や登山に必要な装備、高山病の危険性などをPRするとともに、弾丸登山を自粛されるように呼びかけまして、安全に登山していただくための必要な基本情報をホームページや旅行業者等に対するガイダンスなどを通じて周知しているところであります。また登山期間中には、各登山口において富士山ナビゲーターが直接登山者に対して安全登山にかかわるアドバイスを行うというふうにしてまいります。
 さらに、夏山期間以外におきましては富士山の気象条件が一層厳しくなりますことから、昨年、国、静岡・山梨両県、地元市町村、観光事業者などで登山者に向けてガイドラインを作成しました。三つのルールがございます。第一に万全な準備をしない登山者は登山を禁止するべきである。第二に迅速な遭難救助ができるために登山計画書を提出するべきである。第三に携帯トイレを持参するべきである。こうした三つのルールを徹底するため、国、山梨県と連携いたしましてさまざまな機会を通じて注意喚起を図ってまいりたく存じます。
 安全な登山のためには、何よりも登山者みずからがルールやマナーを守ることが重要です。万一遭難事故が発生した場合には迅速な救助が必要であることから、登山計画書提出の義務化につきましても関係者や登山の専門家などの御意見を承りながら検討してまいろうと存じます。
 富士登山をされる多くの皆様が、富士山がなぜ世界文化遺産になったのかと。信仰の対象と芸術の源泉として世界遺産になったのだということで登山の対象としてではないと。その登山も信仰の、富士講の六根清浄をするための登拝であったという、その伝統が世界の方々に評価されたのだということに思いをいたしていただきまして、過去百年間、一気にそういうふうに変えることはできませんけれども、徐々にそういう形で富士山の世界遺産としての価値に相応した、富士山と日本人登山者との適切な関係がつくられるようにしてまいりたいと。そして富士山を良好な状態で保全して後世の方々に引き継いでまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 学童保育についてお答えいたします。
 新しい子ども・子育て支援制度による利用対象年齢の拡大や働く女性への支援の充実により、放課後児童クラブの利用希望の増加が見込まれるなど児童の放課後対策は極めて重要となっております。各市町では現在策定している子ども・子育て支援事業計画に、新制度に対応した放課後児童クラブについて潜在的な利用の把握も含め地域の実情を踏まえた利用児童数や受け入れ体制などを盛り込むこととしております。
 このため、県といたしましては放課後に安心して生活できる場を児童に提供できるよう全ての市町に対して個別のヒアリングをして指導助言を行っております。
 また、障害のある児童につきましては二百四十カ所の放課後児童クラブが受け入れており、日常生活の指導や自立訓練を行う放課後等デイサービスを百二十二カ所の事業所で実施するなど放課後の受け入れ体制の拡充を進めております。
 今後も、子育てはとうとい仕事の理念のもと児童の放課後対策の充実を図り、全ての子育て家庭の支援に努め「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 世界文化遺産富士山に関する諸課題についてのうち、三保松原の海岸景観の改善についてお答えいたします。
 三保松原の景観改善につきましては、ことし三月に三保松原白砂青松保全技術会議から、安倍川からの土砂供給による砂浜の改善が進んでいるため、将来的には構造物に頼らない海岸を目指すとともに、三保松原付近の砂浜が回復するまでの対策として、消波堤をL型突堤に置きかえることが適切であるとの提言が出されたところです。
 現在はこの提言に基づきL型突堤の詳細検討を進めておりますが、海底地形が国内屈指の急勾配で海岸に打ち寄せる波の力も極めて大きく砂浜も侵食傾向にあることから、海岸防護と景観を両立するためには技術的に高度な検討が求められます。このため引き続きより精度の高い海浜変形シミュレーションやフォトモンタージュを実施するとともに最新の技術の導入を検討し、砂浜の保全、景観との調和、施工性、経済性などの観点から最適なL型突堤の構造等を決定した上で来年度の工事着手を目指してまいります。
 県といたしましては、L型突堤の整備を着実に推進し世界文化遺産の構成資産としてふさわしい景観改善に取り組み、新たな海岸づくりのモデルとして国内外への情報発信にも努めてまいります。
 次に、清水港における大型客船入港の安全対策についてであります。
 大型客船の清水港への入港に当たっては、港湾管理者である県が港内における船舶航行や岸壁への接岸時の安全性などを清水海上保安部に示し許可を得る必要があります。来年五月に入港予定の「ダイヤモンド・プリンセス号」については、これまでに清水港に入港した最大の客船である「クイーンエリザベス二世号」とほぼ同等の規模であるため、過去の実績を踏まえ海上保安部との協議を進めております。今後さらに大型化する客船の誘致に当たり、入港要請に迅速かつ的確に対応するためにはあらかじめ清水港に入港できる客船の航行安全基準を定めておく必要があります。このため年内にも港湾関係者や有識者による船舶航行に係る安全対策委員会を立ち上げ、今後清水港へ誘致する客船の航行シミュレーションや接岸時に岸壁に及ぼす影響等の検証を行った上で必要な対策を図ってまいります。
 県といたしましては、大型客船の誘致を推進するため入港に係る安全対策を図り、世界文化遺産富士山の玄関口である清水港の魅力を国内外に積極的にアピールしてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 伊藤文化・観光部長。
       (文化・観光部長 伊藤秀治君登壇)
○文化・観光部長(伊藤秀治君) 世界文化遺産富士山に関する諸課題についてのうち、富士山における協力金についてお答えいたします。
 富士山保全協力金につきましては、七月十日からの本格実施に向け準備を進めております。その使途につきましては、本年一月に開催した富士山世界文化遺産協議会での決定に基づき富士山の環境保全や登山者の安全対策、普遍的価値の情報提供に係る五合目以上の新規事業、既存事業の拡充及び協力金の実施経費に充てることと決定をしております。また協力金を原資に行う具体的な事業につきましては学識経験者、地元関係者、行政関係者で構成する富士山保全協力金事業選定委員会で選定してまいります。協力者への周知につきましては、協力金を使って行った事業やその成果などを毎年度ホームページで公表することとしており、現地での徴収の際にもお配りするチラシなどにその旨を記載し説明することで関係者の御理解をいただいてまいります。
 県といたしましては、より多くの登山者の協力のもと富士山保全協力金を活用させていただきまして、富士山の環境保全や登山者の安全対策などの推進を図ってまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇)
○七十番(中澤通訓君) それぞれ御答弁いただきましたけれども一言言わせていただければ、一つ質問は登山者の安全対策ですが、知事は条例を含めて検討したいということでありますので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。やはり事故がないほうがいいんですが、やはり登山者も心構えとして計画書をしっかり出していく。そして装備をしっかりやっていく。それぞれ基本的なことですのでぜひしていただきたいと思いますが、既に条例化については群馬県それから富山県は制定済みです。そして本年岐阜県が条例化の準備をして今年度中に多分できるでしょう。それぞれが罰則つきの条例化です。やはりお互いのことかもしれませんが、しっかり約束は守ってくださいということまで踏み込んでやっていくことも私は必要だと思いますので、ぜひそのことも含めて御検討いただければと思っていますのでよろしくお願いいたします。
 それから、三保松原につきましては、もともとですね、何ゆえ消波堤ブロックをつくらざるを得なかったのか。何ゆえ削られて、それから白砂じゃなくて黒砂になっちゃったということなんですが、もともとは五十年前の東京オリンピックなんですよ。東京オリンピックを契機に安倍川の砂利を大量に東京に運んで、その結果土砂が出なくなって久能海岸からずっと清水海岸まで削られてきた結果が消波堤ブロックになって今回の勧告に。しかも松原については県立公園もありますし、それから風致地区も絡んでいて、もともとは県もかなり関与せざるを得なくやってきて今日の結果。ですからどちらがどちらじゃなくて、お互いに今政令市になりましたけれども、やるべきことはそれぞれの分担でやらざるを得ませんけれども、やっぱり知事のコメントは愛情表現かもしれません。しかし時によってはちょっときついのかなと。市長がやりやすいようにやっているということもうなずけないことはないけれども、やはり誤解されないようにきちっとした形でやっぱり言っていただくことも私は大切なことだと思っております。そしてお互い両者でやるべきことをきちっとやって、そのことがイコモスに対する対応、今始まったばかりですから、これからの対応をしっかりやっていくことが必要だと思いますのでそのことだけは伝えさせていただきたいと思います。知事、別に無理して答えなくてもいいですけれども、そんなこと、もしコメントがあればしていただきたいと思います。
 客船についてはですね、知事がちょうど一九九九年――平成十一年に、清水港開港百周年のときに、当時まだ早稲田大学の教授だったと思いますけれども、そのときに知事はメインゲストで来られて私もそこで傍聴させていただきました。知事はそのときに初めて、これから二十一世紀は大交流時代が始まると。大きな時代の変遷ですよと。変わりますよと。清水港は、そういう面では、これから将来大きく開けるんじゃないかということも聞かせていただきました。そういう意味では客船がどんどんと入ってくることはまさにそうだと思います。一つの海の入り口ですから。
 これはやっぱり対応として安全管理をしっかりしていただくことが必要ですし、どれくらいの大きさの船が来るかわかりませんけれども、ただ対応だけは準備をしていただいていくことが大切だと思います。そのことによって経済的にもどんどん伸びていきますので、そのことだけは十分御承知おきをいただいて次の質問に入らせていただきます。
 次に、教育行政についてのうち、高校入学裁量枠について伺います。
 昭和二十三年、新制高等学校が発足。その後、通学区域や入試方法について何回かの改定が行われ現在の形になっています。現在の通学区域は県内全域とされ、入学者選抜制度は学校裁量枠を導入した一般選抜と帰国子女等を対象とした特別選抜が行われています。
 学校裁量枠についてでありますが、五〇%までの範囲で決められることになっており教科の特異性で範囲を決めるのは理解できますが、近年スポーツ枠が目につきます。野球やサッカーは多くの学校で採用し、中には一校で十競技以上も指定、定員の三〇%以上のスポーツ枠を裁量枠としている学校もあります。学校が求める生徒像は、部活の振興によって学校の共同体意識の高まりを期待するというもので、裁量枠は学校が希望申請し県教委が決定するとされています。その結果でありましょうか、選手が各地区へ分散し、全国大会に出場しても残念ながら上位進出はほとんど期待が持てないのが現状であります。裁量枠であっても合格者の最低点数の九〇%以内のみが合格するという独自校もあると聞いておりますが、それは珍しい例で、選抜方法の概要には学力検査の結果に著しく問題のある者を除くと記されていますが有名無実と言う方もおります。
 教育長は、この実態に対してどのような認識であるかお伺いをいたします。
 次に、通学区域について伺います。
 本県は、全県を一くくりにした通学区域であり、地元の高校でない地区への通学者は郷土意識が根づくものだろうかという疑問があります。高校三年間地域とのつながりを絶ち、そのまま他県にある大学へ進み郷里へ帰らずに就職してしまえば郷土意識の育つ間もないものとなります。少子化であり長男長女の時代ともなれば地元はますます過疎化することでしょうし、人口減少もあって近い将来自治体の三分の一はなくなるとの予想も真実味があります。
 県では通学区域を昭和二十八年から全日制普通科十学区、職業学科は県内全域としました。その後、昭和五十九年に文部省初等中等教育局長通達で高校受験の機会が制限されることのないように特色ある学科は可能な限り広い範囲から受験できるようにすることが望ましいとされ、次いで平成十三年には規制緩和推進の観点から法律改正により通学区域を定める条項が削除され、県教委はその方向で検討会を立ち上げ平成二十年より現在のようになったのであります。教育関係者のみでの検討会の積み重ねであり、そもそも規制緩和推進の観点からこうした通学区域の撤廃を論ずるという乱暴な方法だったと言えると思います。
 結果として将来の地域文化の担い手をそれらに関与する機会から遠ざけてしまっていることの現実に対して、教育長はどのように考えるかお伺いをいたします。
 次に、中高一貫教育、小中一貫教育について伺います。
 平成十四年より本県の中高一貫教育が始まりました。県立では清水南高校と浜松西高校、そして沼津市立高校の三校で行われています。高校受験でカリキュラムが中断されることなくスムーズに学業が行える利点があるとして進められましたが、最近はむしろ小中一貫教育校を文科省は推進したい意向のようであります。
 既に県内でも三校の小中一貫教育校が開校しておりますが、中高一貫教育校の総括はなされていません。一度しっかり総括して、そして小中一貫教育校はどのようにしていくのか考えていくことが大切であると思われます。教育委員会の考え方についてお伺いをいたします。
 次に、学習塾の活用についてお伺いします。
 この質問は教育委員長がかつて学習塾を経営していたという立場からお答えをいただきたかったんですが、教育委員長が所用で欠席ということで、きょうは職務代理者の溝口委員でありますけれども答えられる範囲で答えていただければと思っております。
 教育現場において学習塾を無視することは今日ではないように思われます。かつては学校での授業をしっかりやっていれば、落ちこぼれなどなく大丈夫だと強く言っていた時代もありましたが、今ではむしろ共存共栄路線をとっているところもあるようです。学校で塾での教え方のノウハウを取り入れているところもあるとのことです。昨年三月に、国立教育政策研究所の発表によれば公立中学校の校長の過半数が「学校と塾は協同できる面があると思う」と回答しているとありました。既に福井県教育委員会においては二十五年度、四谷大塚で職員の研修を行っています。指導主事が週二から三回予備校の講義を見学し現場へ伝えていく方法をとっているとのことです。受験生のやる気の引き出し方、長時間授業での集中力の維持、保護者への対応などにプラスになったとのことです。早稲田アカデミーでは指導方法を外部に伝える講座を開設しております。東京都港区では土曜日の特別講座に塾講師を招いており、他にも同様の方法を取り入れているところも多くあると聞いております。
 塾との連携のあり方についてどのように考えているか。そしてまた教育委員会としてはどのように考えるか。これについてお答えをいただければと思っております。
 最後に、全国学力・学習状況調査についてお伺いをいたします。
 昨年行われた全国学力・学習状況調査で小学六年国語Aの結果が全国最下位ということに端を発し、知事発言、教育委員会の対応がマスコミを通じて全国的な話題となりましたが、最終的には平均点以上の学校八十六校の校長名の知事による発表となりました。その後、県教委は学力向上のために対策を立てております。
 まず、担当者や推進校校長が調査結果が上位の秋田県を視察、学力向上集会で調査問題や結果の活用を全公立小中学校長に要請。県教育委員会と市町教育委員会の指導主事の合同研修会等、次回の調査の対応策が次々と行われました。加藤教育委員長は、全国最下位ということは、企業で言えば倒産であると表現されたと聞いております。こうしたことが二度とないようにという思いで一丸となっての対策があったと思われますが、こうした中、四月に本年度の学力調査が実施されました。委員長も教育長も、今回は全国平均以上になるということに自信を持っているとマスコミを通じて話されております。文科省は、本年の調査結果については市町教委の同意がなければ県教委は公表できないと通知しております。
 知事は昨年に引き続き公表は義務と話され、教育長は不同意と言っており、昨年と同様のことが起きております。不同意の理由は昨年同様に学校の序列化なんでしょうか。市町教育委員会の反応は公表、非公表とばらばらです。
 六月もこの時期になって、早期対応策によって県教委は結果を大まか把握しているのではないかと思いますが、どのように対応していくのかお答えをいただきたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、高校入学裁量枠についてお答えいたします。
 学校裁量枠は、受検者の多様な能力・適性、意欲、努力の成果や活動経験等を共通枠とは異なる観点で評価するものであります。平成二十六年度の入学選抜におきましては、全日制高校のうち約九割に当たる八十五校が設定し、文化的・体育的活動や学科への適性等を重視した独自の選抜を行っております。
 議員御指摘の体育的活動を重視した選抜につきましては、体育的活動が生徒の心身の育成や学校の特色づくりに大きく資することから、多くの高校が団体競技、個人競技を問わずさまざまな種目を対象に選抜を実施し、昨年度の全国大会でもトップレベルの成績をおさめるなど多くの優秀な選手の育成にも効果を上げてまいりました。学校裁量枠の選抜に当たりましては、各学校が選抜方法を公表し調査書、学力検査、面接を選抜の資料として必ず用い、各学校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定し合格者を決定しているところであります。
 今後とも各学校が特色ある学校づくりを進め、文武芸に秀でた多様な人材の育成をこれまで以上に実現できるよう適切な学校裁量枠の運用に努めてまいります。
 次に、通学区域についてであります。
 県立高校の通学区域につきましては、中学生が可能な限り自分の希望に沿った高校を選択できるようにするために平成二十年度の入学者選抜から通学区域を撤廃し全県一学区としておりますが、その後もほとんどの生徒が従来の通学区域または隣接する区域の高校に進学をしております。
 議員御指摘の地域とのつながりにつきましては、特に専門高校や総合学科を設置する高等学校におきましては、地域の産業や地元企業が求める人材育成の観点から学科の改善や系列の設置を進めるとともに、企業での職業体験やインターンシップを積極的に行うなど地域と連携した学校運営を推進しているところであります。また普通科を設置する高校におきましても、地元の企業について生徒に紹介したり地域で活躍する同窓生による職業講話を行ったりするなどキャリア教育に努めております。
 今後とも、各高校が地域に支えられた学校としての魅力を積極的に発信するとともに、地域の伝統文化や産業のすばらしさに触れる教育を行うなど将来の地域の担い手育成に寄与できる学校づくりに取り組んでまいります。
 次に、中高一貫教育、小中一貫教育についてであります。
 本県の中高一貫教育につきましては、議員から御紹介のありましたように、三校の併設型中高一貫教育校では六年間を見通したカリキュラムに基づき高校入試を意識せずにじっくり学習に取り組むことで、将来のリーダーや各分野のスペシャリストの育成に成果を上げてまいりました。また佐久間、川根、松崎の連携型中高一貫教育校では、地域との密着性を生かした学校行事や異年齢の交流を通して人間性の伸長に努めております。
 小中一貫教育につきましては、県内三校で小学校と中学校の施設を一体化した教育活動が行われており、それぞれ地域の特性や児童生徒の発達段階に応じた特色ある取り組みが展開されております。これまでの中高及び小中一貫教育校の取り組みは、地域の理解、協力を得る一方で児童生徒間の人間関係の固定化や学級数が少ないことにより活力が低下するなどの課題も指摘されております。また教員が所有している免許の制約から校種を超えて指導ができないなど、現行制度上の課題もあります。
 小中一貫教育につきましては、設置者であります市町教育委員会の判断により今後検討が進められていくものと思いますが、今申し上げました課題や教員免許制度など国における議論の動向も踏まえ、今後市町教育委員会と連携しながら一貫教育校のあり方を検討してまいります。
 次に、全国学力・学習状況調査についてであります。
 本調査は、子供たちの学びの状況を把握、分析するとともに、学校や教育委員会の取り組みの成果と課題を検証し改善を図るものであります。これまでも調査結果は参加した子供一人一人に返却され、その後の指導に生かされてきました。県教育委員会といたしましては、県民への説明責任を果たすとともに、子供たちの学力と学習の状況を保護者、地域と共有するため調査結果を公表していくことが重要であると考えております。調査結果の公表に関しましては科目ごとの平均正答率だけが焦点化され、その数値に注目して報じられておりますが、例えば設問別の正答率を用いたり分野別に全国平均との比較を定性的にあらわしたりするなど、調査結果の公表にはさまざまな方法が考えられます。全ての市町教育委員会が何らかの方法で公表を検討しているものと認識しております。
 今回の調査結果の公表は、各地域の実情に応じ小中学校を設置管理する市町教育委員会の権限と責任において判断していただくこととなりますが、今後県教育委員会が市町教育委員会に対し公表モデルを示すなど対応策とあわせて調査結果を公表するよう促すことにより、子供たちの学力の現状と課題が学校と保護者、地域で共有され、学力向上に取り組む環境が充実していくものと期待をしております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 教育委員会委員長職務代理者 溝口教育委員会委員。
○教育委員会委員長職務代理者(溝口紀子君) 教育行政についてのうち、学習塾の活用についてお答えいたします。
 いわゆる学習塾におきまして、義務教育の公立小中学校と異なり理解度や習熟度が同じような子供たちを集団化して指導していること、内容には道徳教育や体育、健康に関することなどが含まれず一部の教科のみを対象にしていることなどと、一概に学校と塾とを同列に論じることはできないと考えます。とはいえ指導法の活用という点では、議員御指摘のとおりほかの教育委員会において塾と連携している事例もあると承知しております。本県においても西伊豆町では東部の学習塾と連携した授業力・学力向上の研究を実施したり、健康福祉部との連携によるセミナーでは医学部志望の高校生に予備校講師による講習を実施したりするなどの取り組みが行われております。民間のすぐれた指導法の活用は有効であると考えます。
 学校をめぐる問題は年々複雑多様化しており、単に塾のノウハウを導入すればそうした問題が解決するというものではありません。教育現場の問題を学校だけで解決しようとするのではなく、保護者や地域住民も学校と一緒になって地域ぐるみ、社会総がかりという姿勢で子供たちの教育に取り組んでいくことが重要です。そして、そのことが学校を中心とした地域の活性化にも結びつくものでもあり、こうした意識こそが教育現場に求められていると考えております。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) 七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇)
○七十番(中澤通訓君) 時間がありませんので、端的に質問します。
 教育委員会の公表モデルというのは、市町村別結果、学校別結果も開示をして自分の得点によって自分は平均と比べてどうかということまではっきりわかるようにしていくということで理解してよろしいでしょうか。
 それから、何ゆえこの時期になって初めて各市町の教育委員会に促したのか。大分県はもう最初からことしは公表しますよと。その方向で考えてくださいということで、最初からやっています。そういうことに対して何でこの時期にならないと県はオープンにしないのかなと。それについては随分疑問を感じます。
 それから溝口先生にお伺いしますけれども、裁量枠と当然絡んでくるんですが、溝口先生もスポーツをずっと通してやってこられた。ただスポーツ至上主義になって勝利至上主義になって、それが体罰にいく。一番足りないのは文武両道に対してのカリキュラムをどうしてつくっていくかということを何かコラムで書かれていたような記憶がありますけれども、それについてどういうふうな解決策があるか。その辺を教えていただきたいと思います。
 最後に知事に伺います。
 制度が変わります。教育委員会制度が変わって新しくなります。そしてこの学力調査結果、こういうことも含めて新しい教育長、そういう体制によって知事の関与ができる範囲が多くなりますけれども、どういう教育委員会、教育行政であったらいいかについてのコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 二つ私に再質問があったかなというふうに思います。
 一点目の公表のあり方でありますけれども、子供たちはみずからの成績については正答率という形で受け取るわけです。あと、平均正答率につきましては全国平均、それから県の平均は文部科学省で出ますので、それとの比較はできるかなというふうに思っています。
 私たちが今考えております公表のパターンは、これは最終的には各学校、そして市町教育委員会が判断することであります。ただ文部科学省の実施要領によれば数値を公表することは決して否定はしておりませんけれども、数値のみで公表はしないと。必ずそれに伴う分析あるいは対応策もあわせて公表をということになっておりますので、ここは市町教育委員会の公表のあり方がいろいろあろうかと思いますけれども、一概にはそこで比較をできない子供たちもあろうかなと思います。と申しますのは、市あるいは学校によっては全国平均あるいは県の平均よりもおおむねできているとか、あるいは若干足りないとか、かなり足りないとかというそういうようなある程度範囲を示したような形の公表の仕方もあると思いますので、その中で正確に比較ということができない場合もあろうかと思いますけれども、そこは日々の学校での授業の中で子供たちの一人一人の学習状況がどういう位置にあるのかということは、担任との教育活動のやりとりの中で進められていくものかなというふうに思います。
 二点目のなぜこの時期に市町教育委員会に促すのかということでありますけれども、これは私たち特に今この時期にということで意識しているわけではありませんけれども、八月の下旬から九月にかけて、昨年並みで言えば文部科学省からの公表が行われるわけですけれども、それに向かって教育委員会としては、七月の上旬に早期対応によって自己採点をした結果を踏まえて、県としての対応策あるいは分析というものもしようかなというふうに思っております。それを踏まえまして、こんな形の公表の仕方があるのではないかということを、県の分析を一つの公表のモデルにしていただきながら、学校あるいは教育委員会にあっては、このような公表の仕方があるのではないかなということをお示しをしていきたいというふうに考えているところであります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 教育委員会委員長職務代理者 溝口教育委員会委員。
○教育委員会委員長職務代理者(溝口紀子君) スポーツ裁量枠についてお答えいたします。
 とりわけ裁量枠の実施が体罰の温床ではないかという御指摘につきましては、裁量枠で入学した場合、部活動をやめることは学校をやめなければいけないと思う生徒や保護者がいたり、もしくは部活動の顧問の権限で入学したと思っている場合にハラスメント関係が生じやすく体罰が起きやすい現状もあるかもございません。とはいえ裁量枠は体育的活動だけではなく文化的な素養や学科の学習に対する意欲なども選抜の対象としており、体育的活動だけで評価をされるものではございません。
 裁量枠のあり方につきましては、今後も生徒や保護者、学校側の意向も十分に把握しながら検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) コメントを求められましたので、一言いたしたく存じます。
 来年度から総合教育会議というものが発足するということでございます。
 今、教育委員会のほうからるる御答弁がございましたけれども、その中に社会総がかり、地域総ぐるみという言葉があります。これを実践することができる場が総合教育会議というものではないかと考えております。これは当然社会各層の方々の御参加を賜わらねばなりません。現在の教育委員会のトップは教育委員長であります。しかし、ここでは教育長が御答弁されていますけれども教育委員会は六人からしか成りません。しかし総合教育会議というのはもっと多くの人数の方々から成ると思います。スポーツ界、PTA、さらに芸術、さまざまな地域の農業経営者だとか漁業経営者だとか林家の方々だとか、そうしたたくみのわざを持っていらっしゃる方々。そうしたことを含めて理想的な子供たち、理想的な大人というのがどういうものであるかという、そういう議論がなされて、文字どおり社会総ががりで子供たちを育てていくという会議になるものと期待しているところであります。
 先ほど、例えば学力が全国最下位になったと。しかもこれは突然なったのではなくて毎年落ちていったわけですね。そしてもうそれは、落としていった方は会社であれば経営者ですから、倒産ということであれば当然社長は辞任しなくちゃなりません。また重役も辞任しなくちゃなりません。それをしなくて済むような状況になっているわけですね。これはやはりいびつであると思っております。
 過去六十年以上、日本の教育の理想を追求しながら教育委員会制度が来ましたけれども、私は、もうこれは形骸化していると。あるいは制度疲労を起こしていると。これは全国津々浦々に脈打っている現状に対する危機意識、これが今の教育改革への熱意になってあらわれているんだというふうに思っておりまして、これからは教育長と教育委員長がここで並ぶことはありません。本来教育委員長が来るべきです。単なる事務局にしか過ぎませんから、教育長は。しかし、それが全部牛耳っているかのごとくに立ち回れるというこのおかしさ。誰も教育委員長と教育長の区別について例外なく知っているというわけではないというわけですね。
 そしてまた、会派を問わず全ての方々が子供の教育、青少年の教育に対して非常に高い関心をお持ちでございます。先ほどの、このいわゆる裁量枠などにつきましても、もっとスポーツ界の方たちを糾合して子供たちがさまざまなスポーツを自由に選べるようなシステムがつくれるはずです。ですから学校まかせの時代ではなくなったと。
 今回の全国学力テストにおいて慌てふためいたのは誰ですか、秋田に見に行ったのはどなたですか。学校の先生なんです。そしていろいろな授業の改良について勉強会をしたのは誰ですか。学校の先生なんです。子供たちではないんですよ。学力調査が試されたのは学力について責任を持っている学校の先生だったんですね。それがはっきりしました。責任者は学校の先生なので、学校の先生が責任を負えないような状況になっていると。公表もできない。公表もしないような形で、いろいろな操作を経て何となくどこに責任があるかわからないような形での公表をするという。しかし公表しろというふうに文科省が言ったので、その方向性だけは盲従するということになっている。非常にいびつで、ごらんになっているとおりであります。
 これから皆様と御一緒に総合教育会議ということを通して地域ぐるみ、社会総がかりで静岡県の教育を立て直してまいりたいと、そういう感想を持った次第でございます。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) 七十番 中澤通訓君。
       (七十番 中澤通訓君登壇)
○七十番(中澤通訓君) 新しい制度になりますので、それに合わせてしっかりとした静岡県の教育体制をつくっていただきたい。その要望だけ述べさせていただいて質問を終わります。

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