本会議会議録

質問文書

令和３年２月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　好浩 議員

質問分類
代表質問

質問日：
02/26/2021

会派名：
公明党静岡県議団

質疑・質問事項：
１　知事の政治姿勢について
　(1)　令和三年度当初予算編成
２　今後の新型コロナウイルス感染症対策について
　(1)　自宅療養者の安全確保策
　(2)　ワクチン接種の県の対応
３　今後の防災対策について
　(1)　未治療死の克服
　(2)　津波対策の推進
　(3)　避難所運営マニュアルの更新
　(4)　防災教育の推進
　(5)　県警察における災害派遣への対応
４　健康長寿・自立支援プロジェクトの推進について
５　農業の担い手育成について
６　アフターコロナを見据えた観光戦略について
７　今後のデジタル化戦略について
８　ゼロカーボンの実現に向けた取組について
９　ヘルプマークの理解促進について
10　新たな教育環境の活用と教員の活用力の向上について

○議長（山田　誠君）　ただいまから会議を開きます。
　議事日程により、知事提出議案第一号から第四十一号まで、第四十三号から第五十二号まで、第五十四号から第五十九号まで及び第六十一号から第七十八号までを一括して議題とします。
　ここで後半グループの議員が退出するため休憩いたします。
　　　
○議長（山田　誠君）　ただいまから会議を再開します。
　質疑及び一般質問を行います。
　通告により、六十八番　髙田好浩君。
　　　　　　　（六十八番　髙田好浩君登壇　拍手）
○六十八番（髙田好浩君）　皆さんおはようございます。
　私は、公明党静岡県議団を代表して通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に一括質問方式で伺います。
　新型コロナウイルス感染症の拡大により、本県では五千名を超える方が罹患され多くの方が亡くなりました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意をささげますとともに入院や療養をされている方々の一日も早い全快をお祈り申し上げます。また新型コロナウイルス感染症との闘いに、医療・介護・福祉・教育などの現場で日夜にわたり奮闘してくださっている皆様に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
　罹患された方や、その方を支えてくださっている方々への誹謗中傷、差別は絶対に許されません。県民が団結して、この国難に向かっていくことを強く誓い合いたいと思います。県当局の皆様にも引き続き緊張感とスピード感を持って的確に対応していただくことを求め質問に入ります。
　初めに、知事の政治姿勢について、令和三年度当初予算編成について伺います。
　新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの県土静岡県にもあらゆる分野において多大な影響が噴出し、今年度はまさにこのウイルスとの闘いに全力を集中し、今議会を含めて七度にわたる補正予算を編成し県民の生活を守るために様々な支援策を講じてきました。我が会派も多くの皆様や各種団体などから様々な御要望を頂き、その都度要点をまとめ知事に対し計七回の緊急要望を行い補正予算の編成に生かしていただけたと受け止めております。
　来年度の当初予算を編成するに当たり、引き続き新型コロナウイルス感染症に対する感染防止対策、医療体制の拡充、福祉・介護の安全・安心、教育の確保、経済、観光、文化芸術などの復興のための予算措置が必要であるとともに、さらなる防災・減災対策の推進による県民の命と財産を守るための事業の実施や次代を担う人材の育成、誰一人として取り残さないＳＤＧｓの実現など取り組むべき事業は多岐にわたります。しかしコロナ禍における厳しい社会経済状況の中、税収不足は顕著で予算要求後の段階で三百八十二億円の財源不足が見込まれる厳しい財政状況の中での新年度の予算編成になりました。
　昨年十二月に、公明党静岡県議団として五十二項目のさらなる新型コロナウイルス感染症対策並びに六つの柱の下に二百六項目にわたる予算要望を行いましたが、令和三年度の当初予算にどのように反映されたのか、県の方針を知事に伺います。
　次に、今後の新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、自宅療養者の安全確保策について伺います。
　新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、宿泊施設や自宅で療養せざるを得ない方が多くいらっしゃいます。国は新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る自宅療養の実施に当たり、無症状者や軽症者は家庭内での感染の拡大防止や症状急変時の適時適切な対応が必要となるため宿泊療養を基本とするが、子育て等の家庭の事情により本人が自宅での療養を選択することができるとし、またその後独り暮らしで自立生活ができる、同居者に喫煙者がいない、同居者に重症化リスクがある高齢者などや医療・介護従事者がいるが生活空間を完全に分けられるといった点を総合的に判断して、保健所長が認めた方は自宅療養を可能といたしました。
　しかし、残念なことに軽症者等が療養中に容体が急変し死亡する事例が全国で確認されていることから、自宅療養者に対して健康管理が必須であると考えます。健康観察を行う保健所の業務負担軽減、また適切なフォローアップに医学的知見が必要になることから地域の医師会や医療機関等への協力を求めることも必要と考えますが、現在の対応と今後の方向性を伺います。
　昨年四月三十日、国は補正予算の中に緊急包括支援交付金を創設し健康管理や生活支援などが対象となりました。自宅療養者に対する活用としてはオンライン診療の無償化、パルスオキシメーターの貸与、食糧支援などが含まれています。岡山大学病院では医師がパルスオキシメーターをオンラインのカメラを通じ確認しています。その数値が九十一となり医師の手配により緊急搬送され一命を取り留めたということがあり、医師とつながることやパルスオキシメーターの的確な活用の必要性が確認されました。
　また、独り暮らしの高齢者などには一日四千五百円までの食事支援も可能であり、併せて生活必需品の支援も必要です。県として緊急包括支援交付金を活用してどのような事業に取り組み自宅療養者を支援しているのか。
　そこで、自宅療養中に確実に命と心と生活を守りコロナウイルス感染症を乗り越えていくために、緊急包括支援交付金のさらなる活用を含めて今後の取組を伺います。
　次に、ワクチン接種の県の対応について伺います。
　公明党は一月二十日に党本部に、二十七日に静岡県本部に新型コロナウイルスワクチン接種対策本部を新たに設置し、全国並びに県内の接種が円滑に進むよう国会議員、地方議員が連携しながら政府、自治体の取組を支える態勢を整えました。現在、国がワクチンを確保し市町が接種を担当するものとして県はその調整役となり様々な準備が進められています。
　二月十四日には、国内において最初のワクチンの承認がされいよいよ接種に向けた準備が本格化しています。対策本部に市町から寄せられる情報から共通の課題や地域に特有な課題に直面していることが分かり、県には市町が円滑に接種を推進するための支援が求められます。
　ワクチンの接種については、先行している海外において様々な副反応の問題が発生しているとニュース等でも取り上げられ、またワクチンの開発から承認までが短時間で行われていることから試験が万全に行われていないのではないか、十分な効果があるのかなど疑問を呈する方もおり多くの方々が接種すべきか判断がついていないように感じています。
　ワクチンは、接種した本人の感染リスクを下げることはもちろんですが接種していない方においても周囲に接種した方が多く存在することで感染のリスクが下がる、いわゆる集団免疫の効果が期待できるとも言われています。県内でも早期に集団免疫の効果が発揮されれば自粛により苦境に立たされている飲食業をはじめとするサービス業やコンサート、スポーツ観戦等の興行においても状況が改善していくことが期待されます。
　御本人の安全確保はもとより、この集団免疫を獲得するためにもできるだけ多くの方にワクチンを接種していただく必要があると考えますが、どのように接種を進めていくのか、県の所見を伺います。
　次に、今後の防災対策について伺います。
　二〇一一年三月十一日十四時四十六分、東北地方太平洋沖地震が発生し東日本大震災を引き起こしました。マグニチュード九・〇の巨大地震は宮城県栗原市で震度七を観測し想像を絶する巨大津波が東日本の海岸全域を襲い、最大遡上高は宮古市で四〇・五メートルに達しました。現地から目を疑うようなすさまじい映像や情報が、これが現実なのかと悲しみや怒りなど様々な感情が一気に噴き出したことが今でも忘れられません。
　福島第一原子力発電所のメルトダウンによる被災では、今までの安全神話を一気に覆し多くの方々に想像を絶する苦痛を今でも与えています。東北地方を中心に十を超える都道県が被災し二万二千人を超える尊い命が奪われました。十三日後にあの日から十年を迎えるに当たり、改めてお亡くなりになられた皆様に御冥福をお祈り申し上げます。
　二〇一九年十二月九日時点の東日本大震災による避難者数は四万八千六百三十三人で、県内にも五百九十一人が避難されています。まだ傷痕が大きく残っている今、風化と風評を絶対に起こしてはなりません。静岡県における巨大地震への備えをさらに確実に推進し県民の命と財産、生活を確実に守る必要があります。今後の県の防災・減災対策について何点か伺います。
　初めに、未治療死の克服について伺います。
　阪神淡路大震災においては、医療機関の職員が自らも被災し駆けつけられない、医療を継続するライフラインが中断する、医療資源の枯渇などの結果病院に搬送されても何も手当てすることができずに命をつなげなかった方、また元々の入院患者もそれらが原因となり必要な治療が受けられず亡くなる方などが多くいらっしゃいました。こうした治療前や未治療のまま死亡に至る事例は未治療死という言葉を使ってドキュメンタリー番組で取り上げられました。
　その対応として、二〇〇五年に災害派遣医療チームＤＭＡＴが発足し重症者への高度な医療を迅速に提供するとともに被災地の負担を軽減する体制がスタートしました。また二〇一三年にはＡＭＡＴ――全日本病院医療支援班が設立され、現在全国で約一千人の隊員の規模になり民間病院同士のネットワークを生かし情報を集め国や行政の指示を待つことなく支援を開始する仕組みで、ＤＭＡＴとも連携し救命活動を行うほか入院患者や避難者への医療支援を担う体制ができ二〇一九年の台風被害で生かされました。
　さらに高知県では、地域災害支援ナースが発足しました。この方々はふだんは自宅から遠方の診療所に勤務している看護師が災害時は自宅の最寄りの別の医療機関に駆けつけることを事前に取り決めておき、持てる能力と力を確実に発揮して命をつなぐための活動を行います。現在登録している人は五百五十人を超えているとのことです。
　国や自治体が様々な手法を駆使して未治療死を克服しようと試みていますが、最悪の場合南海トラフ地震の発生時に全国で約八万人の未治療死が発生し、コロナ患者への医療分配が増えるほどその人数が増加し、コロナ対応がない場合より最大一万人の未治療死が増加するとさきに挙げたドキュメンタリー番組で紹介していました。
　静岡県として、こうした未治療死を防止するためにこれまでにどのように取り組み今後どのように取り組んで克服していくのか伺います。
　次に、津波対策の推進について伺います。
　静岡県の東海地震発生による第三次地震被害想定では、津波による死者を二百二十七人と想定していましたが、三・一一直後に見直された第四次想定では約九万六千人が死亡すると見直され県、市町には地震の揺れに対する建物やインフラの耐震補強とともに津波に対する万全な対策が求められました。
　県では、東日本大震災における甚大な被害を機に地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定しハード・ソフトの対策を可能な限り組み合わせた地震・津波対策を県内全域で進めています。このプログラムでは津波を防ぐ、津波から逃げる、津波に備えるの三つを第四次地震被害想定への対策の柱とし、津波を防ぐ対策である防潮堤等の津波防御施設の整備については計画期間の十年間で地域の合意に基づく施設整備を目指すとしています。
　津波の到達時間が早いことが課題である本県の津波対策では、迅速な避難を可能とする避難施設の整備や確保が重要です。また避難時間を少しでも長く確保する効果や津波浸水域や浸水深を減少させる効果が見込まれる防潮堤等津波防御施設の整備も重要です。このため減災目標の達成には地域の合意に基づく施設整備をより一層推進していく必要があると考えます。
　そこで、地域の特性を踏まえたハード対策とソフト対策の最適な組み合わせによる静岡方式で取り組んでいる本県の津波対策のうち、防潮堤等津波防御施設の整備の進状況を伺います。また防潮堤等津波防御施設の整備等のハード対策を進める上で伊豆半島沿岸、駿河湾沿岸、遠州灘沿岸のそれぞれの地域における課題をどのように捉え、今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
　次に、避難所運営マニュアルの更新について伺います。
　昨年七月に、県は地域の災害リスクを踏まえた避難についての意識啓発や避難所における感染リスクを下げるための対応策や留意事項等を新型コロナウイルス感染症を踏まえた避難所運営ガイドラインとして公表しました。今後各市町にはこのガイドラインを参考に地域の実情等を考慮して避難所の開設、運営を行うことになります。このガイドラインは新型コロナウイルス感染症が終息したときには必要なくなるのか、それとも今までの避難所運営マニュアルに永続的に加えて二頭立てで行くのか、発災時はもとより訓練においてもガイドラインと運営マニュアルを突き合わせて確認することはあまりにも現実的ではないと考えます。
　そこで、防災アプリで多くの人が確認できる運営マニュアルと紙ベースでの確認を続けるガイドラインのままにしておいていいのか、県の所見を伺います。
　また、ガイドラインでは避難所の占有スペースは個人や家族単位で二メーター程度の間隔を保つことを目安に三密を回避すべきとしていますが、今までの運営マニュアルと大きく変化しました。その結果避難所の収容予定人数が減少し地域における分散避難や車中避難の必要性が発生してきました。さらに常備すべき防災用品も追加されウイルスの特性を知った上での運営も必要になりました。
　現在、新型コロナ感染症の終息に向けワクチン接種が始まったところですが、感染症に限らず様々な観点から修正が必要な箇所はないのか、またガイドラインに記載した対応策や留意事項等を反映させ、運営マニュアルを全体的に更新した上で誰もが容易に活用できる防災アプリに掲載すべきと考えますが、県の所見を伺います。
　次に、防災教育の推進について伺います。
　人が安全・安心に生きていくためには万般にわたって自助、共助、公助の力が必要であり、特に防災・減災を実現するためには一人一人の意識啓発と具体的な行動を自らが実践できるように日頃から力をつけるための備えが必要です。高齢化の社会にあって再確認すべきは若い世代の的確な判断力や行動力を培うための防災教育です。
　三・一一から学び続けるために、被災地では震災遺構や伝承施設の整備が進んでいます。例えば岩手県釜石市には釜石の奇跡と言われた釜石東中学校と鵜住居小学校の児童生徒の避難行動を詳しく紹介している「いのちをつなぐ未来館」が開館し、宮城県気仙沼市には気仙沼向洋高校旧校舎を被災当時の状態のまま保存した展示施設を併設する「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」が開館しています。また職員の防災意識の欠如により悲劇を起こした宮城県石巻市の旧大川小学校も震災遺構としての整備が進められ、遺族が語り部として伝承を続けています。
　県教育委員会では、県内高校生が東日本大震災の被災地を訪問し現地視察や現地の方々との交流を通して自らの地域の防災上の課題を考える研修事業を実施していますが、本年度はコロナ禍で中止を余儀なくされてしまいました。私もあの日から今日に至るまでの十年間に延べ約二か月にわたり現地に赴きボランティア活動や仮設住宅のアンケート調査、行政からの聞き取りと現地の調査、被災地で行われる防災関連の講座への出席などを通して学び続けていますが、昨年からはオンラインで参加しております。現地に行けなくても工夫して学びを継続することが大切です。本年度はＩＣＴを活用してこれらの伝承館等とオンラインでつなぎ学習することも効果的と考えます。
　そこで、これまでの防災教育の取組の内容と成果、そしてオンラインの活用などを含め来年度の防災教育の取組を伺います。
　次に、県警察における災害派遣への対応について伺います。
　近年、全国的に自然災害が多発しており一昨年十月に県内に甚大な被害を及ぼした東日本台風は記憶に新しいところです。警察白書によれば令和元年中、全国では地震、台風等により死者・行方不明者百四十一人、負傷者千三百五十四人などの被害が発生し本県においても南海トラフ地震、津波、山間部における土砂災害など大規模自然災害の発生が懸念され平時からの備えが重要であると考えます。
　警察の災害対応については、平成二十四年五月三十一日、警察庁から警察災害派遣隊設置要綱の制定に関する通達が発出されています。この通達には東日本大震災における反省、教訓を踏まえ災害に係る危機管理体制を見直し、大規模災害の発生時における広域的な部隊派遣体制を拡充し被災地等において活動する警察災害派遣隊を設置することが指示されています。この警察災害派遣隊は大規模災害発生時に直ちに被災地に派遣され、原則として派遣先の都道府県警察などから宿泊所の手配、物資の調達等の支援を受けることなく活動する即応部隊と大規模災害発生時から一定期間が経過した後に長期間にわたり派遣される一般部隊により構成されるとされています。
　県警察では、他県被災地へ部隊派遣されていると承知しておりますが即応部隊と一般部隊の具体的な任務はどのようなものか、また県警察の派遣体制及び派遣実績、さらに現場で得られた反省や教訓をどのように生かしているのか警察本部長に伺います。
　次に、健康長寿・自立支援プロジェクトの推進について伺います。
　県は、静岡がんセンターを中心にファルマバレープロジェクトを推進し、現在今年度で最終年度を迎える第三次戦略計画に基づき事業を展開し、その結果医療健康産業の集積が進み、その他数多くの成果を上げていると承知しています。
　昨年十月に静岡がん会議に参加し、静岡がんセンターにおけるがんの全人的医療の実現に向けた取組やファルマバレーセンターによる医療健康産業の振興に向けた取組について伺いました。山口建総長からさらに新たな挑戦として超高齢社会に向けての健康長寿・自立支援プロジェクトの方向性が示されました。その中で近代建築界の巨匠ル・コルビュジエが設計したカップ・マルタンの休暇小屋やレマン湖畔の小さな家に取り入れられた高齢者の生活に配慮した工夫が紹介され、その設計思想を生かしたファルマが提案する自立を支援する部屋の構想に共感し必要性を強く感じました。
　現在、世界に先駆けて超高齢社会に入った我が国では国民誰もがより長く元気に暮らすことができるよう健康寿命の延伸が重要課題であることから、ファルマバレープロジェクトが取り組む健康長寿・自立支援プロジェクトは大変意義のあるアプローチとして期待しています。
　現在、県が策定を進めている第四次戦略計画では静岡がんセンターのゲノム医療など先端的な研究や、これまで蓄積した医療や介護分野での知見や経験を生かした健康長寿・自立支援プロジェクトなどに重点的に取り組んでいくと聞いています。これまでのファルマバレープロジェクトの成果を十分に生かして地域企業による高齢者の自立に向けた製品の開発を支援することで新たなビジネスチャンスの拡大につながると考えます。
　そこで、県は健康長寿・自立支援プロジェクトについて具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、農業の担い手育成について伺います。
　静岡県は温暖な気候に恵まれ、お茶やミカン、メロン、イチゴ等の栽培が盛んでその品質のよさは高く評価される一方取り巻く環境は厳しく、特に高齢化が進む中での事業承継や担い手育成は喫緊の課題です。多様な人材を確保するとともに認定農業者や企業的な経営感覚を持ったビジネス経営体を育成し農業構造を確立することが重要です。
　静岡県では、昨年四月県立農林大学校を県立農林環境専門職大学として移行し人材育成の一層の充実に取り組んでいます。またがんばる新農業人支援事業等を展開し農業以外の分野から新たに農業を志す人材を確保するとともに、経営力強化に向けた兼業農家出身者を対象にした後継者育成に取り組んでいると承知しています。
　先日、この事業で研修を受けイチゴ農家として活躍されている栗本さんから農業も普通の仕事と捉え、年間就業時間二千時間以下、週休一日以上、所得の安定、プライベートな時間を充実するなどこれまでの農業の固定観念を覆し新たな人材育成にも挑戦されている姿に頼もしさとこれからの農業の在り方を教えられ、また農業も一つの仕事と捉えると全くの素人が一年程度の研修で就農計画を作成して独立するとなると様々な支援は不可欠、研修は教育でありこの間に何をどう教えていくのかが重要、独立後もいつでも相談できる体制が必要との提言を頂きました。
　新たに農業に取り組む多くの人は、夢や希望を抱く一方で厳しい現実に直面しても揺るがない覚悟が求められます。相談段階から丁寧な対応や研修終了後のフォローが重要で離職者を出さないためにもきめ細かな支援策が求められます。同時に新規農業者を支えていくためには県や農協などの関係団体、農家が連携し技術や経営能力の習得など農業の担い手として育成していくことが重要と考えます。
　そこで、これからの農業の担い手をどのように育成していくのか、県の取組を伺います。
　次に、アフターコロナを見据えた観光戦略について伺います。
　新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、県内観光産業に大きな影響を与えています。私自身県内の幾つかの観光地を回り地元の観光協会やタクシー、バス関係者などの声を聞き大変厳しい現状を確認しました。大きく沈み込んだ観光産業を回復させるため、県では宿泊費助成による観光誘客や県内周遊の促進に取り組んできたところですが、今後も現場の声を聞きながらしっかりと支えていく必要があります。
　一方で、本県観光の再生に向けては将来に向けてこうした需要喚起に頼らない足腰の強さを備えていく必要があります。コロナ禍でこの五か月間連続して東京都の転出人口が転入人口を上回りました。コロナ禍において人生の価値観が大きく変化し都会では味わえない、ゆっくりとした家庭生活を大事にする人が増加している現れという分析があります。特に新幹線沿線の静岡県は地方移住や二地域居住に絶好の地域であり、今後さらなるテレワークなどの普及により地方移住や二地域居住が拡大していくと考えられます。
　こうした点から言えば、国が推進するワーケーションはウイズコロナ、アフターコロナにおける観光地の活性化といった課題解決にもつながる提唱であり、豊かな自然を有しながら首都圏に近いという強みを有する本県においても大いに期待される取組の一つであると考えます。
　また、ゴー・トゥー・トラベルにおいてはそれぞれの都道府県にどこから観光客が来たのかを分析した結果、約三十の地域で第一位が県内からのお客様でその他の地域もほとんどが隣とか近隣からだったとの報告がされ、結果としてマイクロツーリズムで地元の観光資源を再発見することが重視されました。
　本県の観光の再生に向けては、テレワークや地元を再発見する機運など新しい生活様式の中で見えてきた動きを観光に結びつけるなど観光もこれまでの考えから脱却する必要があります。本県の観光を牽引する県としてアフターコロナを見据えた新しい観光戦略に基づく取組が求められていると考えますが、県の所見を伺います。
　次に、今後のデジタル化戦略について伺います。
　新型コロナウイルス感染症への対応では、行政の情報システムがばらばらで国や自治体間でのデータ活用が十分にできていないことや国民が安心して簡単に利用できる視点で構築されていなかったことなど明らかになりました。こうした行政の情報システムの課題を解決するだけではなく社会経済活動全般のデジタル化を推進することは日本が抱えている多くの課題解決や今後の経済成長に資するものと考えます。
　国では、デジタル社会の形成による経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現等を目的とするデジタル社会形成基本法案やデジタル化政策の司令塔設置を目的とするデジタル庁設置法案などのデジタル関連法案について今通常国会での成立を目指しています。またデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針をはじめデジタル・ガバメント実行計画や自治体ＤＸ推進計画などの方針や計画を公表し、社会全体のデジタル化を戦略的に推進しようとしています。
　本県においても、デジタル化の戦略として静岡県高度情報化基本計画を平成三十年三月に策定しＩＣＴやデータの利活用の推進に取り組んできたと伺っております。この計画の期間が令和三年度までとなっていることから、現計画を振り返った上で今回のコロナ禍で浮き彫りとなった課題等を踏まえ新たなデジタル化戦略を立案していく必要があると考えます。その際には情報通信機器に不慣れな高齢者など全ての人が必要な技術を最低限使える環境を保障するデジタルミニマムの考え方を取り入れ、誰一人取り残さないデジタル社会の実現を図っていくことが極めて重要であると考えます。
　そこで、現計画の評価と今後の戦略となる新計画策定についての県の見解を伺います。
　次に、ゼロカーボンの実現に向けた取組について伺います。
　世界規模で気温の上昇が続く中、現在の地球温暖化対策を続けた場合日本では二十世紀末から二十一世紀末までに平均気温が四・五度上昇すると予測されています。これは単に気温が上昇するだけではなく大気中の水蒸気が増加し集中豪雨など激甚な自然災害がさらに増えることも意味しています。国連環境計画のレポートによると既に百二十六か国が温室効果ガス排出量正味ゼロの目標を立て、あるいは検討中でありアメリカのバイデン新大統領も二〇五〇年脱炭素を公約にいたしました。
　昨年十月に、菅総理大臣が二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し地球温暖化への対応を成長の機会と捉え、政府では経済と環境の好循環をつくっていく産業政策として十二月には二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を公表し、現在使用している電力を再生可能エネルギーなどによる電源に全て転換するとともにガソリンなどの化石燃料についても可能な限り再生可能エネルギーなどによる電力や燃料に転換するとしました。
　そのため、二〇五〇年の電力需要は産業、運輸、家庭部門の電化が進むことによって現状より三〇から五〇％増加すると試算しています。再生可能エネルギーの導入を拡大するためには多くの電力を使用する施設における需要を増やすことで再生可能エネルギーを供給する事業者の競争を促し低コストで大規模な供給体制を構築することが重要と考えます。
　経済産業省では、来年度庁舎内で使う電力は再生可能エネルギーなど温室効果ガスを排出しないゼロエミッション電源に切り替えるとしており、環境省においても二〇三〇年度までに使用電力を全て再生可能エネルギーに切り替える方針を打ち出しています。
　そこで、ゼロカーボンの実現に向けて県有施設において率先して再生可能エネルギーの使用に取り組むべきと考えますが、県の考えを伺います。
　次に、ヘルプマークの理解促進について伺います。
　ヘルプマークは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々などが身につけて日常生活や災害時などで困ったときに、周囲に配慮が必要なことを知らせることで支援や理解を求め援助を得やすくするように作成されたマークです。
　本県では配布をスタートしてから三年がたち、ヘルプマークをつけている方を見かけることが増え認知度は徐々に向上していますが、社会全体で理解を深めるための取組を今後もさらに積極的に進めていくべきと考えます。特に将来、社会の担い手となる若い世代への周知や啓発が必要と考えます。
　昨年、ヘルプマークを知ってもらうために漫画を制作、配布している学生と出会い、漫画を通してその目的の理解を推進することが大切であると県に提案しました。また令和元年九月定例会の会派代表質問では手助けしますよとの意思表示のための逆ヘルプマークの導入について提案をいたしました。優しさを形にする逆ヘルプマークにより助けを求める方と手助けしたいと思っている方の意思疎通がしっかりと図られることで、温かい心の通う社会づくりを進めることができると考えます。
　国のユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画には、障害のある人、高齢者等へのサポートを行いたい人々等が統一のマークを着用し、そのマインドを見える化することで心のバリアフリーに向けて賛同する人々の連帯を促進し誰もが暮らしやすい社会づくりを進めるための仕組みを創設するとあります。
　そこで、今までの提案を受けてヘルプマークの理解促進のためにどのような取組を行っているのか伺うとともに、県として心のバリアフリーを実現するための統一マークの導入についてどのように考えるのか伺います。
　最後に、新たな教育環境の活用と教員の活用力の向上について伺います。
　二〇一九年十二月に萩生田文部科学大臣が、教育ＩＣＴ環境の実現に向けてと題し学校が時代に取り残され世界からも遅れたままではいられない、これまでの実践とＩＣＴとのベストミックスを図っていくことによりこれからの学校教育は劇的に変わる、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広がる、しかしＩＣＴ環境の整備は手段であり目的ではないと発信しました。
　東北大学大学院の堀田龍也教授は、昨年約三か月間の休校期間にオンライン指導ができた小学校は八％、中学校は一〇％、高等学校を含めても一五％であり、世界的に見れば開発途上国並みの割合、学力は先生の教え方がうまいので受け身の授業を受けていれば高いがＩＣＴを使っていないので自分でいろいろな情報に当たって学ぶことができない、他の国はＩＣＴを使って勉強しているので学校を卒業してから自分で学び続けることがしやすくなると述べられ、さらに今まで学校にパソコンを入れるという考え方と決定的に違い、今の時代クラウドが前提となりパソコンの考え方が決定的に変わったというのがＧＩＧＡスクール構想である、ＩＣＴが子供を指導してくれるわけではない、ちょっと伸び悩んでいる子供に声をかけるのは教師の仕事だ、子供は二か月あれば別人のようにＩＣＴが使えるようになると言及されています。
　新たな教育環境がいよいよ整ってきました。スタートに当たりいま一度教員はＧＩＧＡスクール構想の実現がなぜ必要なのか正しく理解し、その環境を最大限に活用する力をつけなければ教員の意識や活用力による教育格差が発生してしまうおそれがあります。ＩＣＴの技術をフルに活用し誰一人として取り残さない教育を確実に推進する必要があります。
　そのために、県として新たな教育環境の活用と教員の活用力の向上についてどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長（山田　誠君）川勝知事。
○知事（川勝平太君）髙田議員にお答えいたします。
　私の政治姿勢についてであります。
　令和三年度当初予算編成につきましては、公明党県議団の皆様から頂きました御要望をしっかりと受け止め新型コロナウイルス感染症対策をはじめ県政の喫緊の課題に対応する予算を編成いたしました。
　新型コロナウイルス感染症対策につきましては、五十二項目から成る御要望を踏まえ最前線である病院内の感染防止対策の強化、受入病床の確保、医療体制確保のための医療機関への支援金制度の創設等々、二月補正予算も含めて速やかに対応いたしております。感染症の影響を受け厳しい状況にある事業者の皆様には制度融資による資金繰りや業態転換、デジタル化などのチャレンジに対する支援を切れ目なく実施いたします。また県産品や県産材の需要喚起、販路拡大により落ち込んだ経済の再生、拡大を図ってまいります。
　ウイズコロナ、アフターコロナ時代を見据えた取組では、ワーケーションの受入環境の整備、感染対策を行う避難所に対する支援の拡充、オンライン授業の担い手となる教職員のスキルアップ、感染防止対策下での文化プログラムの実施など御要望のございました観光、防災、教育、文化芸術面においても幅広く取り組んでまいります。
　また、安全・安心社会の実現あるいは夢あふれる社会の実現などの六つの柱から成る二百六項目にわたる御要望につきましては、住民の皆様の早期避難に結びつく避難計画づくりへの支援、結婚を支援するサポートセンターの設置、夜間中学の設置に向けた具体的な検討、不妊治療に対する助成制度の拡充、メディアを活用した特殊詐欺対策等々、生活者の目線で一歩も二歩も踏み込んだ取組についても予算を計上いたしました。
　ウイズコロナ、アフターコロナの時代は、まさにポスト東京の時代、分散型国土づくりの本格的な幕開けとなります。ＳＤＧｓのフロントランナーとして静岡県が新しい時代の先導役を担うのであるという強い気概を持ち、コロナ禍においてもどなたも取り残さない、誰一人取り残さない社会の実現に全力で取り組んでまいります。
　次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち自宅療養者の安全確保策についてであります。
　新型コロナウイルス感染者のうち、軽症の方や無症状の方につきましては県が作成した血中酸素飽和度の値や基礎疾患の有無などの基準を参考に、医師の御判断により宿泊施設や自宅での療養を行っていただいております。自宅療養者はまれに症状が急変することがございますので定期的な健康状態の観察が欠かせません。そのことから保健所が毎日体調の変化を確認し必要に応じて入院等の対応を行っております。
　健康観察に当たりましては、感染者の増加に伴う保健所の業務負担が増えますのでそれを軽減するために県看護協会と協力して実施しているところであります。今後は県医師会と連携し自宅療養者に対する医学的な支援の充実について検討してまいります。
　なお、自宅療養者への支援につきましては国の緊急包括支援交付金を活用することによりパルスオキシメーターを一千台確保しておりまして、自宅療養されている方にお貸し出し申し上げて測定値を毎日確認することで症状の変化を早期に把握しているところであります。
　パルスオキシメーターについてはエピソードがございます。これは検査の一つでございますけれどもこの検査というのは、いつでもどこでも何度でもということが重要であります。しかしながらＰＣＲ検査というのは時間もかかり、お金もかかり、施設も限られており検査する方の自由も限られているところであります。そうした中で一番簡単なのは全ての人ができると、これは体温計であります。これは三十七・五度以上になると危ないと。あとは嗅覚が、あるいは味覚がおかしいと、息苦しいといったようなことになりますがその中で最も重要なのは息苦しいということになります。なぜかというとウイルスは肺の機能を冒す、急速に冒すからであります。
　静岡県におきまして、一月十八日にイギリス由来の変異株が見つかったと、これを厚労省が発表なさいまして、その二日後西村大臣から私に電話がございまして関係ある検体を全て送るようにということがございました。その折十五分ばかりこちらがお話を申し上げたんですがこの検査をするのについてどなたでもできるものがあると、それはパルスオキシメーターであると。そしてかつもう一つはワクチン、治療薬の国産化に向けて乗り出してほしいと申し上げたわけです。そうするとその二日後参議院の代表質問がございました。そしてその中で公明党の山口那津男代表がこの自宅やホテルで療養する際の環境整備を御要請なさいまして、それを受けて首相が症状の急変を把握できる医療機器――パルスオキシメーターの購入費を支援し活用を促すというふうに言われました。そしてその六日後に厚労省は全ての都道府県、保健所設置市、特別区に対しまして自宅療養における健康観察の際のパルスオキシメーターの活用を促す通知を出されたということでございます。山口代表のこの代表質問がきっかけになりまして多くの人がパルスオキシメーターで自分のこの血中酸素濃度、これが九十五以下になりますと危険であるということですのですぐに対処しなくちゃならないということになります。
　こうしたことについて、それからまたその日、同じ日にワクチンのこの製造と、国内製造というのは国家の危機管理の観点からも重要であるということを西村さんに申し上げたんですが、それは日本維新の会の片山虎之助さんがそのことを首相に言われまして、首相のほうは国家の危機管理の観点から国内製造を始めるというふうに言われたという、こういう経緯があります。
　我々は小さな県ではありますけれども、静岡県のためのみならず感染者あるいはその全ての国民のためにですね、何らかの貢献をするということの一つのエピソードの中にパルスオキシメーターというのもございました。
　今後も、先ほど述べました国の緊急包括支援交付金というのもございますのでこれを活用いたしまして自宅療養者に対し食料品や衛生用品等を支給することにより療養中の生活を支援してまいりますほか、他県の事例も参考にしながら自宅療養者への支援を充実してまいります。
　県といたしましては、引き続き関係団体と連携をいたしまして自宅療養者が安心して療養できる環境を整えてまいります。
　次に、アフターコロナを見据えた観光戦略についてであります。
　新型コロナウイルス感染症の影響によりましてテレワークが浸透し、仕事と私的な時間の、あるいは空間の境界が曖昧になるなどライフスタイルに変化が生じております。また旅行者はますます個人、少人数による行動に移り変わっております。加えまして効率的な非接触、非対面サービスと高い付加価値を有する接触、対面サービスの個人ごとの好みに応じた適度なバランスを重視する傾向が進んでおり、これは今後定着することが見込まれます。
　こうした中、アフターコロナにおける観光産業の本格的回復を実現するためには旅行者のライフスタイルや行動の変容に対応したビジネスモデルを構築し、またサービスの在り方などを見直すことが必要となっております。また個人、少人数への対応は時期、場所、個々のニーズに応じた特別感のあるサービスが必要となりますことから、デジタル技術を活用した新たなサービスの創出にこれをつなげるということをして観光分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進が重要であると考えております。
　このため、旅行者のライフスタイルや行動の変容に対応したビジネスモデルの見直しといたしましては議員から御提案いただきましたワーケーションの本県観光地域への受入れを促進いたします。県では今年度実施いたしました企業等へのアンケート調査の結果により明らかとなりました宿泊施設内のワークスペースの確保、またＷｉ―Ｆｉ環境等の課題に対応するための支援制度を創設いたします。それとともに企業と受入地域とのマッチングも進めてまいります。
　また、観光分野におけるデジタルトランスフォーメーションを推進するために現在構築を進めております観光デジタル情報プラットフォームを活用いたしまして、旅行者に対して滞在地でしか味わうことのできない食、豊かな自然を生かした体験プログラムの情報をダイレクトに届け旅の魅力の向上につなげてまいります。さらにデジタルプラットフォームに集積した旅行者データ等を分析し、その結果をＤＭＯや観光事業者等に御提供いたしまして多様な旅行者ニーズに合わせたコンテンツの企画力の向上や経営改善につなげるなど、デジタルマーケティングの展開を促進することで観光サービスのさらなる向上を実現してまいろうと考えております。
　県といたしましては、本県観光産業がコロナ禍を乗り越えより一層の発展が遂げられるように地域の皆様と一丸となってアフターコロナ時代に即した新しい観光サービスの提供を実現することで、心の豊かさと物の豊かさ、経済的な豊かさというものを実感できる観光地域づくりを進めてまいります。
　その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。ありがとうございました。
○議長（山田　誠君）　難波副知事。
○副知事（難波喬司君）　今後の防災対策についてのうち、津波対策の推進についてお答えをいたします。
　ハード対策につきましては、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三において地域の合意に基づく津波対策施設を整備することとし、合意形成の結果や減災効果等を勘案して順次整備しております。
　静岡県の海岸線延長は五〇六キロです。レベル一津波に対して防護が必要な海岸線延長は二百九十一キロメートルあります。今年度末時点においての進状況は、このうち百七十八キロメートルで施設整備が完了し三十キロメートルで地域との合意により施設整備を行わないことが決定しました。よって今年度末時点で二百九十一キロメートルの七一％に当たる二百八キロメートルにおきまして地域と合意された高さの防潮堤が確保される予定です。
　また、レベル一への津波対策の防潮堤の背後にレベル一を超える津波に対する防護を市町が行う静岡モデル防潮堤の整備につきましては、計画延長六十九キロメートルのうち五一％に当たる三十五キロメートルの整備が今年度末に完了する予定となっております。
　各地域の課題を踏まえた今後の取組についてですが、伊豆半島沿岸では津波防災と景観、観光、漁業等が調和した津波対策が求められます。このため津波対策の方針について協議を行う地区協議会を五十設置しています。この五十の地区協議会において二百四十二回の協議を行いました。五十のうち七地区で防潮堤を整備する方針が決定し二十五地区では整備しない方針が決定しました。方針が決定していない残りの十八地区につきましては関係市町と連携し合意形成を加速をいたします。防潮堤を整備する方針が決定した七地区につきましては早期の整備に向けて必要な予算の確保を努めてまいります。
　駿河湾沿岸では、レベル一津波に対する整備が必要な防潮堤の延長は百五十キロメートルと長いのが特徴です。そしてまだ五十六キロメートルの整備が残っております。また清水港のように市街地に隣接して整備が必要なところにおいては景観や利用への配慮が必要になります。このため多大な事業費の確保が最大の課題です。継続的に国に働きかけるなど必要な予算の確保に努めてまいります。
　遠州灘沿岸ではレベル一津波に対する施設整備が必要な延長が六十八キロメートルですが、この九二％に当たる六十三キロメートルの区間で必要な高さを確保しております。しかし既存の海岸防災林を活用してレベル一を超える津波に対する盛土を行う市町が多いことから必要な土砂の確保が課題となっております。このため公共工事等で発生する土砂の情報を収集し活用できるよう調整することにより市町が必要とする土砂の確保を支援してまいります。
　県といたしましては、減災目標の達成に向けて防潮堤の整備に必要な予算の確保に努めてまいります。また関係市町と連携して地域の実情に応じた施設整備を引き続き強力に推進し安全で安心して暮らせる地震・津波に強い県土づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長（藤原　学君）　今後の新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、ワクチン接種の県の対応についてお答えいたします。
　新型コロナウイルスのワクチンは、非常に短い準備期間の中これまでにない規模の対象者に接種する体制を整備することが必要であります。
　県では、現在三月中旬から行われる医療従事者の優先接種が滞りなく実施できるよう市町及び医療機関等と連携し対象者の名簿作成や接種場所の調整等の準備を進めているところであります。四月以降に予定されている高齢者の優先接種、その後の一般の方への接種に向けましてはワクチンの供給状況等国の動きを注視しつつ、県が行う医療従事者への優先接種の状況を市町や関係者と共有し円滑な接種体制を整えてまいります。また県民の皆様の不安を解消しできるだけ多くの方に接種していただくためにはワクチンに関する情報を正しくお伝えしていくことが重要でありますので、市町と連携し迅速かつ積極的に情報発信を行ってまいります。
　ワクチンに対する疑問につきましては、県及び市町がコールセンターを開設し住民の皆様からの相談に丁寧に対応することとしており、市町では接種の予約や接種券等の問合せに、県では副反応などのワクチン接種に関する専門的な相談に対応いたします。
　県といたしましては、市町や関係団体等と連携してより多くの県民の皆様が安心して接種を受けられるよう努めてまいります。
　次に、今後の防災対策についてのうち未治療死の克服についてであります。
　予想される南海トラフ巨大地震等の大規模災害時に必要な治療を受けられずに亡くなる方を一人でも減らしていくことは、行政として重要な使命であると認識しております。そのため県では、県医療救護計画や広域受援計画等に基づき国、市町、医療機関や関係団体との連携により傷病者の症状に応じた医療救護体制の構築に努めております。その中核となる災害拠点病院では電気や水道などのライフラインが被害を受けた場合でも医療を継続することができるよう非常用発電機等を備えるとともに、患者を迅速に搬送するためのヘリポートを確保しております。あわせて災害発生により人員や医療資器材が不足する中でも途切れることなく医療を提供できるよう事業継続計画を策定し、運用面におきましても必要な体制を整えております。
　また、県内の医療機関で対応し切れない患者につきましては東部、中部、西部それぞれに設けた航空搬送拠点から県外の医療機関へ搬送し適切な治療を行うこととしているほか、令和元年度には愛知県や長野県を含めた中部八県と大規模災害時におけるドクターヘリ広域連携に関する基本協定を締結し搬送体制を強化したところであります。
　さらに、医療従事者の確保につきましては全国各地の災害派遣医療チームＤＭＡＴの支援を受け入れる体制を整えるとともに、本県におきましても県医師会等と災害時の医療救護活動に関する協定を締結し独自に医療救護に必要な人員の確保を図っております。
　今後も、災害時に治療を受けられずに亡くなる方を一人でも減らせるよう災害の発生を想定した実践的な訓練を行うなど関係団体等とのさらなる連携強化を図り、県民の皆様が住み慣れた地域で安心して生活できるふじのくにづくりを目指してまいります。
　次に、ヘルプマークの理解促進についてであります。
　県では、これまで援助や配慮が必要な方に対する周囲の方々の思いやりの行動を促すためヘルプマークに関するフォーラムの開催や公共交通機関でのポスター、ステッカーの掲示などによる周知を進めてまいりました。今年度実施いたしました県政インターネットモニターアンケートでは、ヘルプマークを見たこともあり意味も知っていると回答した方が四七・二％と、三年前と比較し約三十四ポイント増加しており、着実に理解は進んでおります。
　一方で、五八・三％の方が差別を感じたり嫌な気持ちになったことがあると回答し、その場面として多くの方が電車やバスなどの公共交通機関や学校、教育現場を挙げております。
　そこで、今年度デザイン専門学校の協力を得て啓発のための漫画を作成し公共交通機関を利用した通学が増える高校の新一年生を対象に配布する予定であります。今後も世代を問わず多くの方にヘルプマークについて御理解頂けるよう周知に努めてまいります。
　心のバリアフリーを実現するための統一マークにつきましては、国において検討することとしておりますので、今後その動向を注視し障害者団体や学識経験者などで構成する障害者施策推進協議会等の御意見も伺いながら統一マークの導入や活用方法について検討してまいります。
　県といたしましては、今後とも市町や関係団体だけでなく企業や県民の皆様と一丸となって、障害の有無にかかわらず全ての人が住み慣れた地域で安心して暮らせる共生社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　金嶋危機管理監。
○危機管理監（金嶋千明君）　今後の防災対策についてのうち、避難所運営マニュアルの更新についてお答えいたします。
　現在の避難所運営マニュアルは、熊本地震の教訓などを踏まえ改定したもので避難所を運営する際の基本的な手順やルールづくり、班編制や役割分担等についてイラストを活用し分かりやすく解説しております。
　一方、新型コロナウイルス感染症を踏まえた避難所運営ガイドラインは感染防止の観点から避難所での受付、居住スペースの分離、健康状態の確認など具体的手順や留意事項等を取りまとめ作成いたしましたが、防災アプリには掲載されておりませんので県民の皆様の利便性の向上を図るため掲載に向けて準備を進めてまいります。
　避難所運営マニュアルを改定した平成三十年以降、西日本豪雨など多くの災害が発生し要配慮者の視点を踏まえた避難所運営が求められております。また南海トラフ地震臨時情報の制度化に伴い事前避難や新たな避難先の確保が必要とされ、さらに感染症への対応などについても検討を行う必要があると考えております。
　県といたしましては、これらを踏まえマニュアルの見直しと防災アプリの掲載について検討を進め避難所運営体制を強化してまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　木苗教育長。
○教育長（木苗直秀君）　今後の防災対策についてのうち、防災教育の推進についてお答えいたします。
　子供たちが生涯にわたり災害に関する知識や技能を身につけ、地域の安全な社会づくりに参画できる人材となるためには発災当時の様子や避難行動について学び、また地域の防災訓練に参加するなど防災への備えの大切さや共助の必要性を理解することが重要であります。
　県教育委員会では、これまで中学校や高校など各校種ごとに学校防災推進協力校を指定して地域や学校の防災課題を踏まえた実践研究や高校生を被災地へ派遣する訪問研修などを行ってまいりました。子供たちは実践研究の成果を地域住民へ発信する発表会を開催したり訪問研修で学んだことを校内で共有し被災状況を想定した防災訓練を企画するなど防災に主体性を持って取り組むようになってきております。
　来年度は、引き続き学校防災推進協力校による実践研究や防災出前講座、防災教育担当者研修を実施するほか、高校生の被災地訪問研修につきましては現地に派遣できない場合のオンライン学習の活用も含め準備を進めてまいります。
　県教育委員会といたしましては、東日本大震災での教訓を次世代に継承し災害を自分ごととして捉える防災教育をさらに推進することにより、学校安全教育目標である自他の命を守るための適切な判断と行動ができる人の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　山本警察本部長。
○警察本部長（山本和毅君）　今後の防災対策についてのうち、県警察における災害派遣への対応についてお答えをいたします。
　県警察では、被災地等において都道府県警察相互の広域的かつ迅速な援助により災害警察活動を効果的に行うため災害派遣隊を編成をしております。このうち即応部隊は大規模災害発生時直ちに被災地等に派遣され救出救助、緊急交通路の確保、検視などの活動を行う広域緊急援助隊の警備部隊、交通部隊、刑事部隊のほか警察航空機で情報収集や救出活動を行う広域警察航空隊や緊急災害警備隊から構成をされております。
　また、一般部隊は大規模災害の発生から一定期間が経過した後に被災地警察などの機能の補完、復旧を図るため行方不明者の捜索、治安維持の警戒警ら、避難所等での防犯指導、交通整理などの活動を長期間にわたり実施する特別警備部隊、特別自動車警ら部隊、特別生活安全部隊、特別交通部隊などから構成をされております。これらの部隊につきましては東日本大震災以降即応部隊は十二回、延べ約千六百人、一般部隊は四回、延べ約百十人が平成二十八年の熊本地震をはじめ全国各地の被災地に派遣をされております。
　また、そこで得られた反省、教訓を踏まえ衛星携帯電話などの災害装備資機材の整備、現場を想定したより実践的な訓練の実施、現場で共に活動する他県部隊や関係機関との緊密な連携の確保などに努めているところでございます。
　県警察としましては、今後とも県外への災害派遣に積極的に対応するとともに県内で発生が予想される南海トラフ地震など、大規模災害に備え県民の生命財産を守るための各種対策に万全を期してまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　天野経済産業部長。
○経済産業部長（天野朗彦君）　健康長寿・自立支援プロジェクトの推進についてお答えいたします。
　健康長寿・自立支援プロジェクトは、超高齢社会の課題解決に資する新たな挑戦として平成三十年度にスタートいたしました。静岡がんセンターのプロジェクトＨＯＰＥの遺伝子解析データを活用して老化現象の進行予測や予防に取り組んでいるほか、老化に関連した疾患や機能低下に対応する補助器具の開発を支援しております。また現在高齢者が可能な限り自立して暮らすことのできる理想の住環境の提案としてモデルルーム自立のための三歩の住まいをファルマバレーセンター内に整備をしております。
　このモデルルームの特徴は、ベッドからトイレ、シャワーまで三歩で行ける高齢者の移動の負担を軽減した空間設計を採用している点であります。床や壁に抗ウイルス、抗菌、消臭、抗アレルギーの四つの機能を施した新素材を活用しているほか、立ち上がりを支援する高機能ベッドの設置や遠隔地の家族や社会とつながるネットワーク機能も備えております。
　このモデルルームを二十年後における高齢者の居室を開発するための共同研究室として位置づけ、新たな製品開発のアイデアを生み出す場として活用し幅広い産業分野の企業群の参入を促してまいります。
　県といたしましては、第四次戦略計画の重点項目である健康長寿・自立支援プロジェクトを通じて介護・福祉分野を含めた医療健康産業の一層の集積に努め、ファルマバレープロジェクトを新たなステージへと飛躍させてまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長（志村信明君）　農業の担い手育成についてお答えいたします。
　本県農業を担う人材の育成確保のためには県内で農業を志す人を増やし確実に就農につなげることが必要であります。しかしながら農業の経験がない方が独立自営の農業経営を目指す場合、栽培技術の習得や農地、資金、販売先の確保、さらには地域の理解など厳しい現実に直面することとなり、相当な期間試行錯誤を繰り返さなければ経営の安定を図ることは極めて困難であります。
　このため、県が行う実践研修がんばる新農業人支援事業では地域農業の担い手を地域全体で支援するとの考えから、経営士等の受入農家、農協、市町、農林事務所等で構成する受入連絡会が本人の就農への意欲やビジョンの実現性を慎重に審査し、選考した年間二十人程度の研修生を対象に研修から就農まで一貫した支援を行っております。この研修事業を開始した平成十六年度以降、百三十三名の研修生が新規就農しこのうち百三十名が現在も営農を継続しておりますが、就農後五年以内の経営体では所得三百万円未満が多数を占めるなど経営の安定化は容易ではありません。農業は経験の積み重ねであり、就農後もその経験に対しきめ細かくフォローすることが早期の経営安定、ひいては離農の回避につながると考えております。
　このため昨年度から、新規就農者が多い中遠地域で県の実践研修を受けた新規就農者のうち特に収益が伸び悩んでいる方などを対象に経営・技術講座を開始し濃密な指導を行っております。具体的には自らも農業を営む農業経営アドバイザーと農協、農林事務所の指導員を中心に個別面談で経営課題を聞き取りセミナーで栽培指針や利益の上げ方等について指導します。さらには個別指導で圃場に出向き栽培状況に応じた改善指導を行うものであります。受講者からは今まで見落としていた収益向上や労働時間の短縮などにつながったという声を頂いております。
　県といたしましては、研修事業で育成した新規就農者が経営を発展させ将来の指導者になっていけるよう就農後の手厚い支援の取組を県内各地域へ展開し本県農業を牽引する担い手を育成してまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　杉山経営管理部長。
○経営管理部長（杉山浩一君）　今後のデジタル化戦略についてお答えいたします。
　県では、平成三十年に策定した静岡県高度情報化基本計画に基づきＩＣＴの利活用推進、オンライン申請の拡大、光ファイバー網の整備などに取り組んでまいりました。来年度末までには光ファイバー網の世帯カバー率が九九・九％となる見込みであるなど計画はおおむね順調に推移しております。
　しかしながら、現下のコロナ禍において社会情勢は大きく変化し改めて行政のデジタル化の遅れが指摘されておりますことから、スピード感を持ったさらなるデジタル化を利用者目線に立ちつつ推進していく必要があります。
　このため、令和三年中に策定する次期計画ではＩＣＴ導入やデータ活用を一段と加速することはもちろんでありますが、その際人に優しいデジタル化の視点を取り入れていくことが重要であると考えております。現在庁内のプロジェクトチームにおきましてユニバーサルデザインを意識したシステム設計など、いつでもどこでも誰もが手軽にデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現を目指した計画の骨子案を取りまとめているところであります。
　県といたしましては、行政はもとより社会全体のデジタル化をより一層進め安全・安心、豊かで便利な静岡県の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長（市川敏之君）　ゼロカーボンの実現に向けた取組についてお答えいたします。
　県では、二〇一八年三月にしずおかスマートオフィス実践プランを策定し県の事業活動に伴い排出される温室効果ガスの削減に取り組んでおります。これまで施設の省エネ化や職員の率先した省エネ行動などに取り組むとともに、静岡県電力の調達に係る環境配慮方針に基づき再生可能エネルギーの供給実績などを踏まえた事業者選定を行い環境に配慮した電力調達を行ってきたところであります。その結果二〇三〇年度までに二〇一三年度と比べ温室効果ガス排出量を四〇％削減するという目標に対し、昨年度の実績は二五・八％削減となっており現在までのところ着実に進しております。
　温室効果ガス排出量の実質ゼロを実現するためには、省エネルギー対策を徹底した上で水力や太陽光発電等の再生可能エネルギーの利用を拡大していくことが重要であります。電力自由化の中で再生可能エネルギー由来の電力を販売する事業者が近年増加し調達コストを上げることなく供給を受けられる環境も整いつつあります。
　このため、来年度から富士山世界遺産センター、ふじのくに地球環境史ミュージアム及びふじのくに茶の都ミュージアムの三つの施設におきまして、県有施設としては初めて使用する電力の全てを再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることとしております。
　県といたしましては、今後も率先して県有施設での再生可能エネルギーの利用拡大を図るとともに、使用する電力を全て再エネ比率一〇〇％の電力で賄うことを目指すアールイー一〇〇セミナーにより民間の取組を促進することで脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　長澤教育部長。
○教育部長（長澤由哉君）　新たな教育環境の活用と教員の活用力の向上についてお答えいたします。
　ソサエティー五・〇の新たな未来社会を生き抜くためには、教育におきましてもＩＣＴの活用は欠かすことのできない手段でありその学びを支える教員は極めて重要な役割を担っております。
　県教育委員会では、昨年八月にＩＣＴ教育戦略室を設置しハード整備と人材育成を一体的に推進しております。これまでに端末や校内ＬＡＮなどの機器や設備の整備、ＧＩＧＡスクールサポーターなど支援人材の派遣に加え授業動画や電子教材の収集と共有、民間事業者と連携した研修など教員スキルの向上に向けた取組を進めてまいりました。来年度はこれまでの取組や外部有識者の御意見を踏まえ、仮称でありますがふじのくに学校教育情報化推進計画を策定することとしております。
　ハード・ソフトの整備、人材育成、人権教育など様々な視点から取り組むべき事項とスケジュールを整理し学校教育におけるＩＣＴの活用を計画的に推進してまいります。またＩＣＴの活用を含めた教員の育成につきましては教育政策課に新たに人権・教員育成班を設置し総合的に施策を進めることとしております。
　具体的には、小中学校向けのＧＩＧＡスクールサポート研修など新たな研修を実施するほか、ＩＣＴ活用の理念やモラルの向上などの視点を研修の中に取り込んでまいります。
　県教育委員会といたしましては、ＩＣＴ教育環境のさらなる充実を図り全ての子供たちが自ら判断して行動し希望に満ちた社会をつくっていくことができるよう児童生徒の資質能力を育んでまいります。以上であります。
○議長（山田　誠君）　髙田好浩君。
　　　　　　　（六十八番　髙田好浩君登壇）
○六十八番（髙田好浩君）　様々にわたりまして、御丁寧な御答弁、ありがとうございました。
　要望を二点、それから再質問を六点させていただきたいと思います。
　要望につきましての第一点目は津波対策の推進でありますけども、様々な沿岸によって様々課題も違うということ、よく分かります。合意形成が必要になったりあるいは予算の確保、そしてまた具体的には土砂の確保等様々な要因があると思いますけれども津波、地震、これはいつまでも待ってはいただけないわけで、第四次被害想定への対策を十年程度で地域の合意に基づいて施設整備を目指すと、このようにされているわけでございます。時間がかかっているということはよく分かりますけれどもやはり地域との合意形成をしっかりつくった上でできるだけ速やかな地震防災対策、津波対策をまたさらに強力に推し進めていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
　要望の二点目でありますけれども、防災教育の推進であります。十年という時間がたってまいりましたけども私も向こう――被災地のほうに赴きますと町の様子が全く変わっております。それから向こうで生まれた子供たちももう既にその現実を知らないということもありまして、やはり先ほど言いましたようにやはり風化、またあるいは風評ということもありますが、これが一番怖いわけであります。学べば学ぶほど静岡県の防災対策のために当然なるわけですので、ぜひ今教育長がおっしゃっていただきましたけれどもオンラインの活用も含めてやはり一番は現場の声を聞くということがまず大事だと思います。机上の空論ではなくてやはりそこでしっかり皆さんの声を受け止めてそこから学ぶということ、コロナ禍、これが終われば行けるのか分かりませんが、せっかくオンラインということができましたのでこれをしっかり活用できる体制もしっかりつくっていただければなと思いますのでよろしくお願いします。
　再質問でありますけど一点目、自宅療養者の安全確保策、パルス、いろいろな対応をしていただいているところですが、その中で具体的にこれから食料支援、食料が当然外に出れない方にとってはこれは非常に困った話でありまして、あるいは生活必需品、マスク等を買いに行くについても非常に自宅療養者については非常に困難であるということにもなります。具体的にこれから食料支援、あるいは生活必需品の支援、これを具体的にどのように行っていくのかをもう一度お聞かせをいただきたいと思います。
　それから二つ目は、ワクチン接種の県の対応です。
　細かな対応については、あるいは相談窓口等についてはよく分かりましたけれども、山梨県の長崎幸太郎知事は先日私はワクチンの接種率七〇％を目指したいと、こういう御発言をされておりました。やはり目標を決めてそれが達成できるかどうか、様々な要因はありますけれどもやはりリーダーが目標を決めて、そのためにでは何が必要なのかということを考えていく、これも知事としての大きな役割ではないかなとこのように思います。そして目標を決めればそこからどう工夫をするのか、あるいは市、町、困っていることに対してどのようなことに取り組まなければならないのかということをやはり明確にしていく必要も出てくる。あるいはまたこれからマスコミ等を通じて何県の達成率は何％ですと、こんなような発表もされていく可能性もあるのかなと思います。別に競うわけではありませんが一人一人の健康管理、しっかりしたワクチンで対策をしていただきたいので県としての目標を決めるべきではないかと思いますが、そこの部分についてお答えください。
　それから、目標を決める以上その手法を決めなきゃなりませんが山梨県では多くの方に関心を持っていただいて、そのワクチン接種が進むように企業の力も活用してポイントを付与するということも検討をされているようであります。いいか悪いかは別にしてもとにかく多くの県民に打っていただきたいということでそういうことも検討をしているということであります。
　また、海外においてもマクドナルドのアメリカの直営店をはじめとして多くの企業でそこの時間帯についてはしっかり給与の特別給与、その特別支給をするあるいはタクシー代も出すよということで、もうみんなとにかくワクチンやってくださいとこういう体制ができております。県としてそういうこの工夫、これについては今検討していることがあるのかどうかお聞かせ頂きたいと思います。
　三点目、未治療死の克服については先ほど高知県の例を通して発表をいたしましたけれども、そういうことについても一つ一つ具体的にどうしていったら少なくなるのかもう一度お考えを伺いたいと思います。
　それから、避難所運営マニュアルの更新をしていただくということですが、これはアプリとのセットでマニュアルの更新もう一回やっていただく、いろいろ様々やる必要があると思います。準備を進めるというお話でしたけれども、いつ頃をめどにですね、当面めどとしてはどんな予定でいらっしゃるのかをお聞かせ頂きたいと思います。
　それから五点目でありますが、ゼロカーボンでありますけれども、これは再生可能エネルギー以外の電力の利用に切り替えると今発表がございました。それに対してほかにも様々多くの県有施設、ここの県庁もそうですけども県立美術館とか地震防災センターも様々あります。そこに次々に展開していくのかどうかお聞かせ頂きたい。展開していくんであればそこにそういうエネルギーを使っているというシールのようなものをして、そして県民、企業に訴えていくということもぜひしていただきたいと思いますがこういう考え方についてはいかがでしょうか。
　それから最後に、新たな教育環境の活用と教員の活用力の向上について。多分子供さんたちのほうがしっかりこれは取組ができるんじゃないかなと思います。後れを取っていくのは教師かなと思います。悩むのも教師かなと思います。そういうことでいろんな形でフォローアップしていただくと思うんですけれども、そういうフォローアップを確実に行っていただく、あるいはお悩み相談、こういうものが隠さずにしっかりできるようなそういう窓口の設定、こういうものもしていただければと思いますけれどもその考えについてはいかがか、以上お聞きをいたします。答弁を求めます。よろしくお願いいたします。
○議長（山田　誠君）　藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長（藤原　学君）　再質問にお答えいたします。
　一つ目、自宅療養者の支援に対してのことでございます。
　現在考えておりますのは、食料、それからマスク等の必需品についてパックにしましてそれを搬送業者さんなどの力をお借りしまして届けることができないかということを今考えているところでございます。
　それからワクチンの関係でございます。一つ、接種率の目標について県のほうではということでございました。実を申しますと国あるいはＷＨＯでも接種率について今正確には出ていません。接種率を出すにはコロナウイルスそのものの自然状態での再生産数ですね、一人かかったらそれが何人にうつすのか、それがどれくらいなのか。あるいはワクチンの有効性はどの程度なのかということがございます。そういったものが今正確には出てない中で、でも行政実務としては何らかの目標を決めておっしゃるとおりやっていかなければなりません。
　という中で、新聞報道などによりますとワクチンについてはファイザーなどについて九五％、モデルナ製については八五％などというような数字もあります。さらには一部の施設ではございますけれども大体住民の七〇％ぐらい、これが集団免疫がつくんではないかというような報道もございました。
　ということから、私どものほうで現在、今七〇％というのを一つの目安ではないかと考えて市町のワクチン担当者のほうと、県のほうとでいろんな話をしながら、相談に乗りながらそれを達成するためにはどうしたらいいのかなということを知恵を出し合っているところでございます。実務的には一旦そのあたりの数字で今目安として動いております。ただこの数字はこれから治験が高まれば高くなる、あるいは低くなることがあろうかと思っています。
　それから、どういう工夫があるかということでございますけれどもワクチンについてはまず接種希望者に確実にまずは接種できるということが大事だと思っておりますので、市町の関係者と体制整備に今努めております。その上で今度多くの県民の方が接種したいなと思っていただくようにホームページ、県民だよりはもちろんのことですけれどもいろいろなメディアを活用しまして、ワクチンの有効性あるいはその副反応について正確に丁寧に情報提供していきます。
　さらに工夫といたしまして、若い世代の方々に接種していただくことが非常に重要かなと思っております。若い世代の方々は活動範囲も広いですので、この方々も大事かなと思っております。そういったことで学校に大学等、高校等、協力をお願いしまして高校生や大学生に対する情報発信、これを強化していきたいと思っております。
　未治療死の関係がございました。
　先ほど申し上げましたが、体制としましては組める体制は組んでおるつもりでございます。医療救護体制については平時の新型コロナウイルス感染症患者用として現在四百余床の病床を確保していますが、これらは全て災害拠点病院、救護病院、災害拠点精神科病院の病床で確保しております。大規模地震等により感染患者が被災した場合であっても適切な医療の提供は可能とは考えておりますが、実際それが有効に働くかどうかが大事でございますのでその辺のあたりについて確認してまいります。以上でございます。
○議長（山田　誠君）　金嶋危機管理監。
○危機管理監（金嶋千明君）　避難所運営マニュアルの更新についての再質問にお答えいたします。
　避難所運営マニュアルの更新についてですが、いつ頃を目途に行うのかという御質問でございます。
　マニュアルの見直しに当たりましては、最近の災害時に実際の避難所で課題となっていること等を幅広に検討する必要が非常に重要だと考えております。具体的に申し上げますと要配慮者へのどのようなことに配慮すべきか、あるいは避難所の生活環境、あるいは居住環境をどうしたら向上できるのかとか、それから南海トラフ地震の臨時情報の発表ということが制度化されたんですが、それに伴って事前避難をどこにどのようにするのかとか、あるいは最近課題となっております車中避難の扱い、それら多様な避難への対応をどうするのか。それから議員も御質問された新型コロナを含めた感染症についての対応なども検討が必要であります。
　実際に検討するに当たっては難所運営を担っている市町あるいは自主防災組織の皆様の意見、それから専門家の御意見も伺うことが非常に重要でありますので、これらの検討に一定の時間がどうしてもかかってしまうと考えております。そういうことから現時点ではいつ更新ができるのかということを明言するのはなかなか難しいところでありますが、新型コロナウイルス感染症の終息状況などにも留意しながらできるだけ早期に検討は今これから進めてまいりますが、できるだけ早期に見直しを行いたいと考えております。以上であります。
○議長（山田　誠君）　市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長（市川敏之君）　ゼロカーボンに向けました県有施設等での再生可能エネルギーの導入の方向性についてお答えいたします。
　本県では、庁舎や施設それぞれごとに管理する所属が電力の調達先を選定しております。このためなかなか一括で一気に切り替えるということは難しいのと、あるいは新しい施設なんかですと一年程度実績を見ないとその手続が進められないとか理由、事情もございますのに加えやはり調達コストの問題もあります。調達に関するこうした多くの調整と時間が必要でございますが、昨日知事からゼロカーボンを目指すという表明をしていたとおりこれからは今までに加えて庁内に強力に働きかけを行いまして、実際先ほど来年度からやるというふうにお答えいたしましたが再来年度予定しているところもございますのでどんどん広げていけるように努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長（山田　誠君）　長澤教育部長。
○教育部長（長澤由哉君）　新たな教育環境の活用と教員の活力の向上について、教員の悩み相談を対応するような窓口の設置についてという御質問でございます。
　先ほど御答弁申し上げましたように、昨年八月にＩＣＴ教育戦略室を設置いたしましてそこの中の事業として市町も含めた教員のＩＣＴ活用を支援するサイトを立ち上げております。この中では事業の優れたＩＣＴの活用事例ですとか各学校が作成した授業動画、こういったものも共有して各先生方に参考としていただくようにしております。
　またあわせて、県と全ての市町で構成してます静岡県ＩＣＴ教育推進協議会というのがございます。この中ではいろいろな悩みも含めたＩＣＴの活用についての意見交換というのも行っておりますのでそこを機能的に対応できるように努めていきたいと考えております。以上であります。
○議長（山田　誠君）　髙田好浩君。
　　　　　　　（六十八番　髙田好浩君登壇）
○六十八番（髙田好浩君）　シールの件だけちょっと答弁がなかったもんですから、シールを作ったらどうかという提案です。県有施設、すいません。
○議長（山田　誠君）　市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長（市川敏之君）　取組やっているところですね、非常に多くの方に認知していただくために有効であると考えておりますのでシールがいいかどうかも含めて前向きに検討させていただきたいと考えております。
○議長（山田　誠君）　これで髙田好浩君の質問は終わりました。（拍手）
　議事の都合により休憩します。

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〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9番6号電話番号(県庁案内)：054-221-2455

	質問者：	髙田　好浩議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	02/26/2021
	会派名：	公明党静岡県議団
	質疑・質問事項：	１　知事の政治姿勢について　(1)　令和三年度当初予算編成２　今後の新型コロナウイルス感染症対策について　(1)　自宅療養者の安全確保策　(2)　ワクチン接種の県の対応３　今後の防災対策について　(1)　未治療死の克服　(2)　津波対策の推進　(3)　避難所運営マニュアルの更新　(4)　防災教育の推進　(5)　県警察における災害派遣への対応４　健康長寿・自立支援プロジェクトの推進について５　農業の担い手育成について６　アフターコロナを見据えた観光戦略について７　今後のデジタル化戦略について８　ゼロカーボンの実現に向けた取組について９　ヘルプマークの理解促進について 10　新たな教育環境の活用と教員の活用力の向上について