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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/21/2022

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 地域コミュニティー醸成のためのお祭り振興について
2 南アルプスの環境保全について
3 地域公共交通計画の策定と交通税の導入について
4 杉花粉飛散防止研究の促進について
5 学童保育の環境整備促進について
(1)学童保育への支援
(2)学童保育に関する教育長の認識
6 県立高校の施設の魅力化について
7 警察官の使命と体制づくりについて


○副議長(和田篤夫君) 次に、六十七番 阿部卓也君。
       (六十七番 阿部卓也君登壇 拍手)
○六十七番(阿部卓也君) ふじのくに県民クラブの阿部卓也です。通告に従い一括質問方式で質問及び提言をいたします。
 最初に、地域コミュニティー醸成のためのお祭り振興について伺います。
 現在は多様性の時代と言われています。多様な個性がそれぞれを補完し合い相乗効果を引き出すように協働すれば、それは大きな力となり魅力や可能性を生み強い地域力を持った社会をつくり出せます。一方でそれぞれが自分勝手に好きなことをやっていたのではそれは多様性ではなく雑多なだけであり、無秩序な社会を形成するだけだという危機感を覚えています。
 では、この多様性をまちづくり――コミュニティーづくりに生かせるツールは何かないかと考えたときに、私はお祭りがコミュニティーづくりの最良のツールではないかと考えます。お祭りのときはいつも話さない人たちでもわいわい騒ぎながら連携し、共同作業をしながら自然にコミュニティーをつくり出します。やはりお祭りこそが地域社会の形成、地域力の醸成に大きな役割を果たしてきたのだと私は確信しています。
 そのお祭りがコロナ禍で存亡の危機にあります。政教分離の観点から行政がお祭りに関わることを忌避するお考えがあることは承知していますが、お祭りは宗教行事の部分とコミュニティー醸成に寄与する部分の分離は可能だと考えます。そこでお祭り振興イコールコミュニティー醸成、地域力の醸成と考え県としての振興策、活性化策を考えるべきと提言いたします。
 この件については議会でも条例化を検討したことがありますが、時間切れで成案にすることはできませんでした。しかしコロナ禍を経て社会環境の大きな変化の中でお祭りの継続、お祭り文化の伝承の危機に陥っている今日だけに検討する必要性は高いと考えます。
 文化への御造詣が深く、またまちづくりも包含する社会経済学も専門とされる知事の御所見を多角的に伺います。
 次に、南アルプスの環境保全について伺います。
 南アルプスが世界に誇る日本の宝であることはもはや説明の必要はありません。静岡県内の南アルプスの山々は南アルプス最深部とも呼ばれ登山者の憧れの対象であり、深田久弥の名著「日本百名山」の中でも特筆されていると感じています。
 赤石岳に至っては深田は文中でこう語ります。私の記憶にあるあらゆる山頂の中でもっとも立派であるで始まり、山頂に一時間居てなお去りがたく、最後には下山中の小赤石から振り返った赤石岳頂上の白雲を吹き付ける風のなかに立った毅然とした姿は今もって忘れられないと結んでいます。まさに絶賛です。
 私も県議会議員にしていただいて初めて南アルプスに登る機会を得ました。今は亡き遠藤栄先生率いる林活議連で山小屋と花畑の食害状況を視察するために登るのだということでした。若手は強制だと、当時四十歳の私は当然のように登山隊に組み込まれました。以来都合三度の登山機会に恵まれ南アルプスのすばらしさを心底実感していますが、悪沢岳までは登頂しているものの赤石岳にはいまだ至っていません。天国で遠藤先生が深田久弥先生と並んで酒を飲み交わしながら赤石岳の絶景を眺めているさまが目に浮かびます。早く私も赤石岳に登らなければならないと思っています。
 余談はさておき、静岡県は昨年南アルプスを未来につなぐ会を設立しました。設立した以上はかけがえのない山河の保全活動を幅広く展開し、南アルプスの魅力を日本のみならず世界に発信してゆかねばなりません。そこで何点か具体的な提案をしたいと思います。
 まず、環境省の南アルプス自然保護官事務所は山梨県の南アルプス市にありますが分室である静岡事務室に常駐者はなくデスクが一台あるのみです。そこでこの際静岡事務室を南アルプスの環境保全の推進のために拡充して椹島に設置してもらうよう環境省に働きかけるべきと考えます。そこで環境省を中心に、県とこの地域の地権者である十山株式会社とも協働して環境保全とよりよい登山環境づくりに努めることこそが南アルプスを未来につなぐ会を設立した意義ではなかろうかと考えます。
 また、御存じない方も多いとは思いますが登山道というのは実は誰が設置し誰が管理するのか曖昧な決まりしか存在していません。自然公園法では国立公園は環境省、国定公園は国と都道府県が整備することになっていますがそれすらも明確化されているのは一部にすぎません。県内の南アルプスも同様で、実際は一部の登山道を除き山小屋管理者などのボランティアに頼っているのが実情です。この際しっかりと責任の明確化をしていくことが必要です。
 また、近年山梨県などで導入されている生態系に悪影響が少ない上に地形に合わせた工法で傷みが少なくしかも歩きやすいという近自然工法を用いた登山道整備を推進すべきと考えます。
 以上の提言について、御所見を伺います。
 次に、地域公共交通計画の策定と交通税の導入について伺います。
 昨年九月議会本会議において静岡県の地域公共交通の在り方について提言し、難波副知事から静岡県全体の地域公共交通の目指す姿を描きその実現方法を示す地域公共交通計画を定めることとし、そのための協議会を設置するとの答弁を頂きました。今回はそのことについて再度確認するとともに、具体的な新たな提言を添えて質問をいたします。
 昨年の質問では、フランスの交通権の概念、ドイツの生存配慮の概念による地域公共交通サービス提供の意義について説きオーストリアの運輸連合という公共交通の連合体方式も紹介しました。また鉄道が民間事業者であっても安全を担保するインフラ維持に公的関与を行ういわゆる上下分離方式の導入の必要性も提言しましたが、これらを反映させながら地域公共交通計画策定に向けた協議は行われるのか再度伺います。
 さらに、今回はこれに加え現在滋賀県が導入を検討している鉄道やバスなどの公共交通を維持する財源としての交通税についても伺います。
 滋賀県は、静岡県のもりづくり県民税と同様の超過課税方式で使途は公共交通の維持に限るとしております。これは補助金制度よりも財源が安定することと県全体の地域公共交通の在り方を具体的に描いていく上で必要な基幹交通網の安定化にもつながる手段でもあります。また本県のもりづくり県民税同様、徴税の意義について県民の皆様への周知に努めていくことで地域公共交通を考えていただく機会が増え利活用推進のためのPRにもなると考えます。
 そこで、交通税の導入について今後本県でも検討していくべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、杉花粉飛散防止研究の促進について伺います。
 今や国民の四割が花粉症だという時代であります。特に静岡県の花粉症発症率は令和三年実施の民間気象予報会社の調査によると全国二位の五八・六%、また環境省の平成二十八年における都道府県別花粉飛散量の例年値では静岡県は全国三位、花粉症はまさに県民病の様相を呈しています。
 これに対して、本県はこれまでの品種と比較して成長量が一・五倍以上で強度に優れ花粉飛散量の少ない杉――エリートツリーの研究や苗木の生産支援を長年続けてきているのは御承知のとおりであります。しかしながらこれは杉の植え替えが進めばという三十年から五十年スパンでのお話で、毎年花粉の飛散を続けている現在の杉林の対策にはなっていません。
 そこに朗報として、東京農業大学の小塩海平教授を中心とした研究により植物油由来の花粉飛散防止剤が開発され、その薬剤を杉の雄花に散布すると杉の本体には何の影響もなく雄花のみが枯れるという研究に成功しています。この成果は今年度の林野庁花粉発生源対策推進事業の目玉として三千四百万円の予算がつき、杉だけでなくヒノキの花粉飛散防止対策の開発やより効果的で低コストの空中散布技術の確立などを目指しています。
 実は、この小塩教授は浜松市浜北区の出身、私の中学校の同級生でもあったので、どうせ実証研究をするならば故郷でと三年前から県の農林技術研究所森林・林業研究センターに協力していただいています。林野庁の目玉事業に位置づけられた今、静岡県としてもより一層共同研究体制を強化すべきと考えます。
 具体的には、県有林はもとより県内森林組合などの関係機関の協力も仰ぎ空中散布試験林の提供や林業技術者や関連技術を持つ企業や研究所等による研究援助体制の構築、天竜高校の森林科学科の生徒による調査協力などオール静岡での支援体制を構築し一日も早く全県、ひいては全国の花粉の飛散を減少させることが花粉症対策となることは明白でありますので、県としての御所見を伺います。
 次に、学童保育の環境整備の促進についてのうち、まずは学童保育への支援について伺います。
 御承知のように、学童保育――放課後児童クラブとは保護者が小学校の授業終了後家庭にいない児童に対して適切な遊びと生活の場を提供しそのコミュニティーの中での学びと心身の健全育成を図る場です。近年の社会情勢変化により専業主婦比率は激減し祖父母も定年延長などで就業しており放課後帰宅する孫の面倒を見られる家庭環境ではなくなってきているのが実情です。また現在進行中の物価は上がるが賃金は上がらないというスタグフレーション状況の中で一般家庭の経済状況はますます逼迫してきており、家族の合計労働時間は増加傾向にあります。
 これらを裏づけるように県内各地の学童保育入所希望者は年々増加しており、各地の学童保育施設では待機児童が発生している状況にあります。現在の社会構造上今後も学童保育の利用率の増加が予測され、子供の一日のライフサイクルの中には学童保育が重要な意味を持つようになってきたと私は痛感しています。
 具体的には、家族不在の放課後の居場所という意味だけではなく少子化による一人っ子の割合も増加している中で学童保育での他学年との交流が兄弟間での学び同様の意味を持っていると感じています。子供たちにとって学童保育がコミュニティー形成の実地研修でもあり、コミュニケーション能力の育成にも大いに寄与していると感じています。
 さらには、おもちゃを自作したり創意工夫して新しい遊び方を考えたりと、指示待ちではない自ら考える自主性と創造力を育成する場にもなっています。
 平成二十七年度から、子ども・子育て支援新制度を施行して市町主体で学童保育事業を行っていますが、社会情勢の変化に伴い県としてもさらなる学童保育への支援を行うべきと考えます。そこで以下について質問と提言をいたします。
 まずは、令和三年五月現在県内の小学校区四百九十校区に対する学童保育の実施校数は四百四十四、設置率は九〇・六%ですが残る一割弱の設置準備状況はどうでしょうか。また待機児童がいる市町が十市町以上ありますが待機児童解消に向けての対応策はどうでしょうか。
 また、コロナ禍での感染症マニュアルが示され施設や指導員に求められるハードルがより高くなっている実情に鑑み、放課後児童支援員育成などの人的ケアに対する支援策及び感染症防止のための洗濯機や換気設備の設置といった施設整備支援などが必要と考えますが、御所見を伺います。
 次に、学童保育に関する教育長の認識について伺います。
 国は、平成三十年に新・放課後子ども総合プランにより放課後児童クラブと放課後子ども教室の一体化または連携した実施を計画的に進めるよう示しました。これを受けて横浜市などは一体整備を進め、結果学童保育における待機児童の解消に成功しています。
 本県においても、県及び市町教育委員会と福祉部門の具体的な連携ないしは一本化をもっと強力に促進すべきです。近年は理解が進み学校敷地内への学童保育の設置や学校施設の利用も進んできたと感じていますが、さらに明確に県教育委員会として具体的な取組指針を示すべきではないでしょうか。多様性と多文化共生の発展について御尽力をされてきた池上教育長ゆえに縦割りの弊害はよく御承知のはずです。
 教育長の学童保育全体に関しての御認識と今後どのように市町教育委員会との取組をしていくのか併せて伺います。
 次に、県立高校の施設の魅力化について伺います。
 県立高校が二年連続で千人を超す定員割れをした事実は深刻な事態として捉えねばなりません。その原因が何かは多岐にわたると感じています。それら全てに言及すると話が広がりすぎるので県立高校が選ばれない大きな原因の一つ、校舎が古い、トイレが汚い、和式という部分に絞って提言します。
 現在の教育委員会の老朽化対応は恐らく原状復帰ベースだと思われますが、どうせ対策を講じるなら時代のニーズに合った学校づくりを志向したリノベーションにしたらどうでしょうか。デザインの力の活用です。同じ値段で同じような建材を使ってもデザイン性がある教室には魅力が生じてきますし、生徒の自主性を重んじるためにフリースタイルでの学びや議論ができる空間をつくるとか今までデッドゾーンだった場所の利活用を探るとか古いモノであってもおしゃれに仕立て直して使うなど民間のリノベーション思想を取り入れて、それぞれの学校の状況に合った改装ができれば施設面での魅力化ができると考えます。さらには、生徒もリノベーションに巻き込むことによってそれぞれの学校の個性化がより図れると思いますがいかがでしょうか。
 そしてトイレです。便器の洋式化、床の乾式化は当然としても、ここにデザインの力を生かすことや様々な知恵による創意工夫はできると思います。皆様は学校のトイレ研究会というトイレ関連企業による研究活動組織を御存じでしょうか。この研究会が昨年の二十五周年に当たってこれまでの活動を紹介していますが、その内容は創意工夫と現場感覚にあふれており驚嘆します。
 例えば、和式便器の基礎部分を生かして洋式化する工期も予算も縮減した新しい工法を紹介していたり、トイレにコンセプトを持たせてトイレはこどもたちの心を育む場と言い切り円をモチーフにした曲線や明るい色使いによるユニークなトイレ空間をまさにデザイン力で作り出したり、トイレの改装計画に生徒の参画を求めわたしたちのトイレをつくり上げた事例など限られた予算でも参考になる事例は実際存在することが分かりました。
 トイレには神様がいるといいます。トイレを清める心、トイレを愛でる心を育めるよう画一的ではないもっと学校の個性を創造するトイレをつくる静岡県であるべきと考えます。トイレにイノベーションを起こそうではありませんか。以上について、教育委員会の御所見を伺います。
 最後に、警察官の使命と体制づくりについて伺います。
 今年度、県警初の県単予算により五名の法定定数外警察官の児童相談所への配置が実現しました。昨年この本会議場で提案した者として県民のための政策提言の具現化に爽快な思いでおります。
 しかしながら大切なのはここからであります。多様化、複雑化する事件事故や犯罪、気候変動による自然災害の激甚化、感染症や戦争など激動化する時代の変遷の中で今後どのようなスキルを持った警察官を育成すべきか、また新たに専門部署を新設するべき分野はあるのか、そのためにはさらなる法定定数外警察官の増員が必要なのか否かなどなど静岡県警の形づくりはここからが本番です。これらを鑑みた上で新時代の警察官の使命とスキル、静岡県警としての体制づくりの中長期ビジョンについて、警察本部長の御所見を伺います。以上七項目、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 阿部議員にお答えいたします。
 地域コミュニティー醸成のためのお祭り振興についてであります。
 日本の祭りは、古代においては神に対して五穀豊穣を祈りまた平和を願う儀式でありました。しかし時代とともに宗教性は薄れ日本の祭りに対する認識や意味合いは変化してまいりました。そうした中でも、祭りは今も昔も人と人との絆を深め地域の伝統、文化的な価値を継承する貴重な行事であることに変わりはありません。現代では地域コミュニティーの活性化にとどまらず観光振興、にぎわい創出などにつながることからその振興は大変重要であります。
 議員御指摘のとおり、私も祭りがコミュニティーの核であるということを認識する経験がございます。東日本大震災が起こりまして全国知事会から静岡県は岩手県を担当するように言われ岩手県の遠野市に私ども本拠を定めまして、遠野市長から釜石の北、大槌町、山田町には手が回らないのでそこを集中的にということで私どもは山田町、大槌町を中心に支援をしたのでございますけれども、山田町におきましては祭りの備品一式が全部津波にのみ込まれたということでございました。祭りができないということを静岡のほうにお伝えいたしましたところ、死者を弔うことを核にしたお祭りが遠州にあるということでそのお祭りを山田町でやってみることができるということでございましたのでそれをお伝えしたところ大変に喜ばれまして、そしてその静岡のお祭りを山田町でやりましたところ山田町の人たちは心から喜ばれまして、私もその現場におりそれを実感したということでございます。
 しかし、今や祭りは担い手や財源不足等の課題を抱えておりまして、新型コロナウイルス感染症の影響により祭りの中止や延期が相次いだ上、地域における声がけや見回り活動などの相互扶助の機能も低下し地域コミュニティーの活力が失われることが懸念されております。
 県では、これまで地域の伝統芸能活動等を牽引するリーダーを育成するとともに祭りに必要な山車、太鼓、法被などの備品や祭りの稽古の拠点ともなるコミュニティー施設の整備に対し助成するなどソフト・ハードの両面から市町の取組を支援してまいりました。また国、県の無形民俗文化財に指定されている祭礼や伝統芸能に対しましては行事の継承に向けた専門的見地から助言等も行っております。
 今後は、これまでの取組に加え地域活動を支援している県コミュニティづくり推進協議会との連携強化や地域おこし協力隊、集落支援員などの人材の活用などにより祭りの振興をより一層支援するとともに、祭りの振興に関する全国の条例化の事例につきましても背景や内容、条例に基づく取組などを研究してまいります。
 いま一度祭りに光を当てまして、お祭りの振興を通じてコロナ禍で希薄となった地域のつながりを取り戻して地域コミュニティーの活性化を図ってまいる所存であります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(和田篤夫君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 南アルプスの環境保全についてお答えいたします。
 南アルプスは、ユネスコエコパークに登録され稜線部を中心とした核心地域には氷河期からの遺存種などの希少な動植物が残されており、その生態系は環境の変化の影響を受けやすく非常に脆弱なため適切な保全と利活用が大変重要であります。
 最初に環境省自然保護官事務所の椹島への設置についての御提案でありますが、現在国による国立公園区域の拡張を検討する動きがある中で県では南アルプス国立公園区域の拡張やビジターセンターの整備について国に要望しているところであります。これにあわせて自然保護官が南アルプスの保全活動により積極的に関わっていただけるよう活動拠点の設置についても国に要望してまいります。
 次に登山道の整備や管理についてですが、より多くの登山者の皆様に安全かつ快適に登山していただくためには登山道が適切に整備、管理されている必要があります。このため国、県、関係する市町、事業者から成る南アルプスユネスコエコパーク静岡連携協議会などの場において登山道の現状を共有するとともに整備、管理の役割分担について検討してまいります。
 近自然工法による登山道の整備につきましては、南アルプスの脆弱な自然環境への負荷が抑えられ登山者の増加にも対応できるものと期待されます。今後は山梨県北杜市で行われておりますボランティア参加型の近自然工法による整備事例などを参考にしながら自然環境にも登山者にも優しい工法による登山道整備を国や関係する市町、事業者と連携して取り組んでまいります。
 県民の皆様の南アルプスへの関心を高め、南アルプスを愛する方々との協働により保全と利活用との好循環を図り世界の宝である南アルプスの魅力を国内外に発信してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 地域公共交通計画の策定と交通税の導入についてお答えいたします。
 地域公共交通は、地域の暮らしと産業を支え豊かで暮らしやすい地域づくりや個性、活力ある地域の振興を図る上で大きな役割を果たしております。しかしながら近年の急激な人口減少、運転手不足の深刻化、さらにはコロナ禍による新しい生活様式の浸透などにより民間の交通事業者が収益を確保できる形で公共交通を担うという従来の構造を維持することが厳しくなってきております。
 このため、県では地域公共交通活性化再生法に基づき昨年度末に更新したインフラビジョンなどを踏まえながら、持続可能で利便性の高い公共交通サービスが提供できるようこれまでの計画にない考え方も取り入れた地域公共交通計画を策定することといたしました。来月交通事業者や学識経験者などで構成する静岡県地域公共交通活性化協議会を立ち上げ検討を進めてまいります。
 具体的には、協議会におきまして議員から御紹介、御提案がありました海外の事例や上下分離方式の取組などについて紹介し共有した上で、従来の公共交通サービスに加えスクールバスや福祉輸送といった多様な輸送資源についても最大限活用し脱炭素化やMaaS、自動運転なども考慮した地域にとって望ましい旅客運送サービスの姿について議論を進めてまいります。
 また、交通税につきましては導入を検討している滋賀県におきまして慎重かつ丁寧に議論しているところであると伺っております。全国で初めての試みであることから本県としても引き続きその動向を注視してまいります。
 県といたしましては、地域にとって望ましい持続可能な旅客運送サービスのマスタープランとしての役割を果たす地域公共交通計画の策定に向けて関係者と共に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 杉花粉飛散防止研究の促進についてお答えいたします。
 県は、中長期的な花粉発生源対策として花粉の少ない杉林への転換を促進しておりますが、東京農業大学が研究する花粉の飛散防止技術は短期的な対策の一つとして効果が高いものと考えております。
 県森林・林業研究センターでは、令和元年度から施設内の杉林を実証フィールドとして東京農業大学が行う薬剤散布試験への研究協力を行っております。今後は低コストで広範囲に散布できる有人ヘリコプターによる薬剤散布試験が計画されておりますが、植物などの周辺環境の安全性と広い実証フィールドの確保が必要となります。
 このため、県は薬剤の空中散布が農薬登録として適用拡大されるよう引き続き薬剤の効果等のデータ収集を支援するとともに、広範囲な実証試験に適した杉林の候補地選定に協力をしてまいります。また県内の林業関係者や技術企業等が参画するふじのくに林業イノベーションフォーラムを通じて本研究への支援体制を強化するとともに、次代を担う天竜高校の生徒が先進的な研究に触れることができるよう活動への参加を働きかけてまいります。
 県といたしましては、こうした取組により東京農業大学や企業、林業関係者等が一丸となって花粉発生源対策を促進してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 学童保育の環境整備促進についてのうち、学童保育への支援についてお答えいたします。
 保護者不在の放課後を児童が安全・安心に過ごせる場である放課後児童クラブ、いわゆる学童保育へのニーズは年々高まっており、その環境の整備は喫緊の課題であると認識をしております。
 放課後児童クラブが設置されていない四十四の小学校区につきましては、多くが中山間地に位置し児童数が少ない状況にあります。そのうち送迎を行い隣接する小学校区と合同でクラブを運営している地区が十五か所、スポーツや文化活動などを行う放課後子供教室により対応している地区が十か所、家族の就労状況から家庭等で過ごすことができるため利用ニーズがない地区が十九か所となっており、現在これらの地区で新たな設置は予定をされておりません。
 一方、待機児童解消に向けた取組といたしましては、県では静岡県子ども・子育て支援事業支援計画ふじさんっこ応援プランに基づき市町が行う放課後児童クラブの整備に対し積極的な財政支援を行い、本年度におきましても待機児童数が最も多い浜松市をはじめとする七市において六百七十四名分の整備を予定しております。また各市町の要望を踏まえて放課後児童支援員の認定資格研修と資質向上の研修を行い運営に必要な人材の確保と質の向上を図っております。
 新型コロナウイルス感染症予防対策のうち人的ケアに対する支援といたしましては、支援員がコロナ禍においても安全な運営ができるよう市町に対して感染症対策マニュアルの周知や効果的な取組の紹介などの助言をしております。感染防止のための洗濯機や換気設備等につきましては、購入や設置にかかる費用の助成を国と共に行っております。本年度は手洗い場の非接触型蛇口の設置など感染症対策のための設備改修が助成対象に追加されたことから引き続き市町の状況を丁寧に確認し適切な支援を行ってまいります。
 県といたしましては、今後も市町と共に社会全体で子育てを支援する体制の充実を図り「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを目指してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 学童保育の環境整備促進についてのうち、学童保育に関する私の認識についてお答えいたします。
 放課後児童クラブは異なる学年の子供たちが放課後の時間を共に学び遊び交流する場であり、子供の自主性や社会性をより一層向上させることができその役割は非常に重要であります。
 かつて私自身放課後児童クラブの現場に足を運んだことがあります。そこでは近年増加している外国籍の子供たちが外国人としてではなく地域の子供として一緒になって遊び活動している姿が非常に印象的であり、その場に地域のコミュニティーができていると感じました。
 県内の小学校では、放課後児童クラブによる学校施設の利用が進むとともに学校行事や学校内での様子など様々な情報の共有や生徒指導に関する協力など相互の連携が進んでいるところですが、今後ますます充実させていく必要があると考えます。
 県教育委員会では誰一人取り残さない教育の実現を標榜しており、そのためにも子供のことを第一に考え社会総がかり、中でも福祉部門と連携を強化し一体的に取り組んでいくことが必須と考えております。国の新・放課後子ども総合プランを受けて、地域の子供は地域で育むを理念に地域の教育力を活用して多彩な学習や体験などが可能となる放課後子供教室の拡大を進めており、放課後児童クラブと連携するとともに学校施設を徹底的に活用し学校内で一体的に実施することによって放課後における子供たちの充実した活動につながることを目指しております。
 このため、県教育委員会が主催して学校職員や地域住民、行政職員が参加する学校・家庭・地域の連携推進研修会などの場で相互理解の促進や連携協働意識の醸成を図ることにより市町教育委員会と共に同プランの効果的かつ円滑な実施に向けて取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、子供たちが放課後を安全・安心に過ごすとともに多様な体験交流活動ができるよう市町教育委員会と協働して学校施設を活用した放課後児童クラブの整備が進むよう働きかけてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 県立高校の施設の魅力化についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、中学生が高校を選ぶ視点として施設面を重視する傾向は強く、定員を下回る高校が数多く存在する中での施設の老朽化対策は大きな課題であります。
 現在、老朽化対策は毎年四棟程度の新たな建て替え等や計画的な外壁塗装等の改修、十校程度のトイレ改修等を行っております。昨年度完了した小山高校の外壁塗装においては白と茶色のツートンカラーのモダンな外観へ変更するなどデザインに配慮した改修を行っているところでございますが、今後はさらに進展させ静岡文化芸術大学などのデザイン関係学科を有する大学と協働したりデザインを専門とするアドバイザーを活用するなどしてランドスケープの視点に立った色彩計画や県産材を活用したSDGsに配慮した内外装などデザイン性に優れたリノベーションを実施してまいります。
 また、学校の不人気の大きな要因であるトイレの改修につきましてはより早期の改修に努めるとともに、議員から御提案頂いた大手の便器製造メーカーなどが参画する学校のトイレ研究会など民間の優れた知見を取り入れたトイレ改修をモデル校を指定して実施しその成果を他校へ展開してまいります。さらに県産材を採用した温かみのある木造屋外トイレを試行的に整備いたします。
 加えて、建て替え及び大規模改修時においては外観デザインを重視するほかICTを活用した新たな学びの実施に適した空間・環境設計やカーボンニュートラルを目指した校舎のZEB化など未来志向の学校づくりを進めるとともに、生徒が設計の企画段階に参画し生徒の自主的、自律的な活動を誘発する仕掛けを取り入れるなど県立高校の魅力を高める施設整備を積極的に推進してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 警察官の使命と体制づくりについてお答えをいたします。
 本県でも人口減少や高齢化の進展、科学技術の発展に伴って社会情勢は変化をしております。加えて昨今の新型コロナの感染拡大や国際情勢の変化に伴い生活様式の変化やサイバー空間の利用拡大が見られるところであります。
 県警察では、このような社会の変化に伴って新たに生じる治安課題に対処するため警察運営の在り方を不断に見直し、警察機能を最大限に発揮できる高い規律と士気を有する組織を確立する必要があると考えているところであります。そしてそのためには県民の声に耳を傾け警察行政に対するニーズの変化を的確に把握した上で警察力の配分の重点化やデジタル技術の活用を図り柔軟な組織運営に努めること、関係機関との連携や共同対処を推進することが重要になるものと考えております。
 こうした観点から、児童虐待事案への対応に関し県単独予算によりまして児童相談所と併任する形で警察官の増員措置がなされましたことは県警察の運営にとりまして極めて有意義なことであると考えております。
 一方、例えばデジタル技術の活用につきましては今春捜査支援分析課や警務課企画・DX推進室を新設したところでありますが、サイバー分野における高度な専門知識、技能を有する人材の確保・育成に努める必要があります。また自然災害への対応も喫緊の課題であります。装備資機材の充実を図るとともに、これを使いこなす技量を含め職員一人一人の災害対処能力の向上を図る必要があります。
 いずれにしましても、こうした治安課題一つ一つを確実に解決していくことが警察官に課せられた使命であります。必要な人材育成や体制整備を進めることによりまして県民の皆様の期待と信頼に応えてまいりたいと思います。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 六十七番 阿部卓也君。
       (六十七番 阿部卓也君登壇)
○六十七番(阿部卓也君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
 要望を二点と再質問を二点お願いをします。
 まず要望で、学童について特に教育長に要望ですが、一体化をさらに強化していくということが非常に重要だと思います。それが待機児童をなくす成功事例になっていますのでまずは待機児童の解消を市町と具体的にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから県立高校のリノベーションについても要望します。これ答弁だけに終わって具現化を急がないと、それすなわち県立高校のさらなる落ち込みに直結します。緊迫感を持って行動していただきたいと要望します。
 再質問二点させていただきます。
 まずお祭りでございます。知事から御答弁を頂きました。
 山田町に伺わさせていただいたのは浜松市の遠州大念仏だと思います。しっかりと御認識を頂いて御礼を申し上げます。
 その大念仏のように技術の口伝をしてきている、こういう伝承というのはとても大切です。一度失われるともう戻ってこないということがあります。ですので先ほど条例化を研究すると、他県のを参考にしてということでしたが、条例化をまずしていただいて具体的な施策として補助、援助というところができなくても、そこまでいかなくても理念としてお祭りは大切なんだということを静岡県として発信すること、これがまず今とても大切なのかなと。地域にお祭りに取り組んでおられる方々の励みになられるだろうと思いますのでぜひそういう意味でも検討していただきたいと思いますが、再度認識を伺います。
 それから知事にわざわざ社会経済学者であられるということを言ったのは、お祭りの経済波及効果というのは非常に大きいものと思っています。この点からもぜひ検討をしていく、多角的なお祭りの見方ということができると思うんですが、それについての御見識も再度伺います。
 もう一点は地域公共交通計画ですが、これ特に高齢の方、それから子育て中の方々の交通手段を確保するというのは暮らしやすい県にするために非常に重要なことです。具体的に上下分離方式を群馬県などは既に三路線で導入していますし、また滋賀県の交通税もこれはこの思想として非常に重要なものです。
 公共交通をいわゆる民間だけに任せておくのではなくて、公共――この県が支えていくのだという方向づけを打ち出すこと、これが非常に重要だと思いますが、これも知事に御答弁を求めます。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 土村経営管理部長。
○経営管理部長(土村暁文君) お祭りの振興に関する再質問についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおりですね、本県に開催されているお祭り等につきまして情報発信していくことは有意義なことだと思います。関係部局と連携して取り組んでまいりたいと思います。
 また条例制定の件についても御質問を頂きましたが、これにつきましても今自治体の、他県の、全国の条例制定状況やその内容のものについて調査検討しながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。
○副議長(和田篤夫君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 地域公共交通計画の再質問についてお答えいたします。
 議員から御紹介がありました海外の事例でありますとかいろんな制度につきましては、今から我々が策定する公共交通計画で地域にとって望ましい旅客サービスの姿、それを描いた上でそれを達成する方法として公的の関与の在り方であるとかその財政的な支援をどのようにしていくかというようなその方法論として御提案頂いていると認識しております。いろいろ他県の事例等も調査しながら、こういったその実行に、達成するための手法論として協議会の中でも幅広く意見を聞きながら議論を進めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 六十七番 阿部卓也君。
       (六十七番 阿部卓也君登壇)
○六十七番(阿部卓也君) 土村部長から答弁を頂きましたが、要望しておきますが他県を参考にするのではなくて条例化するならオリジナリティーをしっかり出して静岡県でなきゃできないものをつくっていただきたい。以上、要望とします。
○副議長(和田篤夫君) これで阿部卓也君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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