• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田口 章 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2011

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 行財政改革への取り組みについて
 (1) 目的意識を持った業務執行
 (2) 行政評価システムの改善
 (3) 県債管理の考え方
 (4) 退職手当債の発行中止と歳入確保
 (5) ファシリティマネジメントの推進
2 市町の行財政改革支援について
 (1) 行政機関等の共同設置
 (2) ICTを活用した効率化の推進
3 多文化共生施策の推進について
 (1) 公立学校における外国人の子供に対する支援
 (2) 外国人学校に通う子供のキャリア育成



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、二十三番 田口 章君。
           (二十三番 田口 章君登壇 拍手)
    ○二十三番(田口 章君) 皆さんこんにちは。民主党・ふじのくに県議団の田口章でございます。県議会では初めての登壇となりますけれども、これまでの民間企業や浜松市議会での経験を生かしまして、県勢発展にぜひ寄与していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
     それでは、通告に従いまして、以下の諸点につきまして、知事及び関係部局長、教育長にお伺いをいたします。
     一点目は、行財政改革への取り組みについてであります。
     本県の行政経営は、NPM手法をいち早く導入し、ひとり一改革運動を展開するなど、民間的な改善意識がかなり根づいていると思っております。また本年三月には、行財政改革大綱を策定をするなど、その推進には大いに期待をしているところでございます。しかしまだまだ民間の取り組みから見れば決して十分とはいえません。カイゼンにゴールはない。まずそのことを指摘をさせていただきたいと思います。
     私は、行財政改革には行政改革と財政改革という二面の要素があると思っております。行政改革とは仕組みを変えることでありまして、財政改革はやはり財政健全化を進めることだと思っております。この両面から、以下、経営の三要素でありますヒト・モノ・カネの切り口から、五点質問をさせていただきます。
     まず、組織で一番大切なヒトについて質問をいたします。
     行政経営の要諦は、やはりマンパワーを最大限に発揮することだと思います。そのために民間企業では目的意識を持った業務執行の手法として、目標管理という制度が広く導入されております。これは会社の全社目標を事業部、課、そして個人単位にまでブレークダウンをして目標を設定して仕事を進めていこうという考え方でありまして、この目標の達成度によって従業員は評価処遇をされております。
     本県の行政経営の根幹は総合計画だと思います。そして基本計画の中に目指す姿を実現するための施策をまとめ、具体的な目標を設定しております。また各課は基本計画に基づいて業務棚卸表を作成し、課単位の業務にブレークダウンをされておりました。しかし職員個人には明確な目標の設定はないように見受けられました。せっかく基本計画で掲げた目標を課単位にまでブレークダウンしているわけですから、もう一工夫して個人の目標に落とし込んだほうが私はよいのではないかと思いました。
     そこで最初の質問ですけれども、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現に向けまして、基本計画の目標を着実に達成するために、職員一人一人が今の自分の業務が総合計画においてどういう位置づけにあり、目標達成に向け、いつまでに何をしなければいけないのか、こうした意識を常に持って業務執行していくことが必要と考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。
     次に、モノについて伺います。
     行政におけるモノとは、私は提供される行政サービスだろうと思います。行政サービスは施策や事業で具体化をされていきますので、この施策や事業の品質をいかに高めていくかが大切であります。そのために行うのが行政評価ですけれども二点目は、このシステムの改善について伺います。
     本県では平成九年度から業務棚卸表を導入し、業務の見える化を進めてまいりました。この業務棚卸表では、県の施策が体系的に整理をされ大まかな施策評価が示されておりまして、これに基づいて施策の重点化や見直しを県では行っております。しかし業務棚卸表には施策全体の方向性は示されておりますけれども、個別事業の評価は明確にはされておりません。私はやはり事業の選択や集中、そして品質改善のためには個別事業の見える化も必要ではないかと思います。
     先日、事業仕分けが行われましたけれども、これに使われた事業シートは既に多くの自治体で事業評価のツールとして活用されております。また来年度の予算要求にもこの書式を取り入れていくと伺いましたけれども、そこで施策全体を見渡している業務棚卸表と事業評価を行う事業シートをうまく組み合わせることによって、より効果的な施策と事業の見える化を行い、行政評価の静岡モデルのさらなる改善により、行政サービスの品質向上につなげてはどうかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
     次に、ヒト・モノ・カネのカネ――財政について伺います。まず県債管理についてであります。
     新公会計の分析指標の一つに将来世代負担比率というものがございます。この指標は形成された資産の財源を見るものでありまして、比率が高いということは将来世代の負担、すなわち子供へのツケが多いということを示しております。この数値、本県は五〇・八%という数字でありました。大阪府の五三・〇%よりは低いんですけれども、実は同規模団体の平均が三九・六%となっておりますので、一〇ポイント以上高いということになります。ちなみに浜松市では、この数値は一二・九%となっておりまして、政策的にこれは将来世代の負担軽減に努めていると思っています。今申しましたが、実は正確に申しますと、他県比較では総務省の基準モデルと改訂モデルという違いもございますし、県と政令市を直接比較するというのも適当ではないかもしれませんが、いずれにしても私はこういう指標を使って県の財政状況を分析をして、財政健全化、とりわけ子供にツケを回さない財政運営を進めるべきと考えております。
     さて本県は、財政健全化指標として、経常収支比率、そして実質公債費比率、将来負担比率、そして通常債残高の四指標を取り上げております。これらの指標上、本県の財政状況は健全という範囲ではありますけれども、とりわけ県債、借金につきましては、これは必ず子供へのツケとして次世代へ回ってまいりますので、しっかりと管理をすべきではないかと思います。
     私はそもそも、通常債二兆円という指標そのものが適切ではなく、私は企業会計や特別会計も含めた総会計で管理すべきだと思っております。またとりわけその中でも、特に臨時財政対策債については、後年度交付税措置されるというものの借金に変わりはありません。今の地方財政対策が続く限り、今後もこの発行が減ることはなく、国家財政の現状を考えたときに、この償還がいずれ県の財政を圧迫することは必定であると危惧しております。自立したふじのくにとして自治体経営をする上で、みずからコントロールできない県債という位置づけとなっておりますが、執行部も議会もこれを含めて責任を持って私は監視していくべきだと思っています。本県の平成二十二年度末の総県債残高は二兆六千六百三十一億円。一般会計だけ見ても二兆四千六百八十五億円と年々ふえ続けております。確かに通常債は一兆九千百一億円ではありますけれども、非常に高い水準だと思います。つけ加えますと、この借金があるがゆえに、何の県民サービスも資産形成も生み出さない利息の支払いだけで、年間で三百八十三億円もの一般財源が投入されております。確かに通常債は二兆円以下で、県の定める健全化の基準の範囲内ではありますが、こうした実態を正しく認識をして財政健全化に取り組む必要があると考えますけれども、今後の県債管理の考え方についての御所見をお伺いしたいと思います。
     次に、退職手当債の発行中止と歳入確保について伺います。
     私が県議会議員になりまして一番驚いたのが、この退職手当債でありました。もちろん浜松にはございません。県債には投資的経費としてやむを得ないものは間違いなくあります。しかしやはり避けるべきものもあると思います。その一つがこの退職手当債だろうと思っています。本県では平成十九年度から四年間で三百八十億円を既に発行しております。さらに今年度は百億円を予算化をしております。これまでも、議会の中で先輩議員が厳しく指摘をしているのを議事録で拝見をしておりますが、県は定員適正化により償還財源を確保するという考え方のようでありますけれども、私はそうした考え方が本当に県民目線といえるかどうか疑問を持っております。今、日本じゅうの自治体で、歯を食いしばって行財政改革を進め、定員適正化などの財源を捻出をしております。その原資を償還財源に使うというのが本当に県民の理解を得られているでしょうか。退職手当債は三十年債ということでありますので、ことし発行したものの償還は、これから生まれてくる赤ちゃんも背負うことになります。まず、今後も退職手当債を発行するつもりかどうか伺いたいと思います。
     私は退職手当債を発行する前に、やらなければならないことがたくさんあると思っています。本県は確かにこれまでも行財政改革を進めております。しかしさらに徹底した財源確保が必要なのではないでしょうか。無駄をなくすことはもちろん必要でありますけれども、とりわけ私は、今歳入確保に徹底的に取り組む必要があると思っております。
     本県は、個人県民税の収入率が不名誉なことに全国四十七都道府県中、二年連続ワーストワンとなっております。また二十二年度の決算を拝見いたしますと、個人県民税を含め、収入未済額が約二百五億円ございました。まずはこうした削減を公平性の観点からも速やかに進めることが必要ではないでしょうか。加えて、新たな歳入確保策として、広告収入の拡充やネーミングライツの導入、資産の売却や有効活用などありとあらゆる税外収入を確保する必要があると考えております。
     そこで、県税や税外収入も含めて多額の未済額があることに対する県の見解と削減に対する取り組みを伺うとともに、新たな歳入確保に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。
     行財政改革の最後の質問は、ファシリティマネジメントの推進についてであります。
     今、高度成長期に建設をいたしました道路や橋梁、学校、庁舎など、こうした施設の老朽化が日本じゅうで大変深刻な課題となり、今後の財政上の大きなリスクになっております。人口減少、少子高齢化、そして税収が減る中で、これまでつくってきた公共資産をこれからも同じように維持管理していくということは、私はもはや困難であると思っております。これらの資産を二十年、三十年先にどうしていくのか、今将来像をしっかり描いておかないと、子供にツケを回すことになってしまうと思います。このような中、資産の効率的な保有、活用、運用を目指す取り組みとして、ファシリティマネジメントの導入がいろんなところで進んでおります。
     本県の取り組みについて調査をいたしました。確かに県有財産の売却や利活用の計画、また職員住宅の管理計画、そして建築物の保全支援システムの構築など幾つかの取り組みを進めていることがわかりました。しかしこれらの取り組みは管財部門や建築部門がばらばらに取り組んでおりまして、縦横の連携や総合的な方針、そして何より肝心な財政的な見地が欠けているように見受けられます。厳しい財政事情の中、県が持つ資産を効率的、効果的に活用し、将来リスクを回避するとともに、財源を捻出するという視点で取り組みを加速すべきと考えます。
     県は、ファシリティマネジメントに対してどのような見解を持っているのか、またこれを総括的に進めるために庁内の推進体制を整備すべきではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
     大きな質問の二つ目は、市町の行財政改革支援についてであります。
     県と市町の関係や役割分担については、さきの大阪の選挙でも大いに注目をされております。きょうはその点には触れませんが、今後やはり、大都市制度を初めさまざまな分権議論が起きてくるであろうというふうに考えております。その中で県の広域行政としての特性を考えたときに、市町が単独ではできないことをサポートする。こうした考え方は私は県全体の生産性向上を進める上で必要な役割ではないかなと思っております。
     今回は、そうした点で二点お伺いをしたいと思います。
     まず、行政機関等の共同設置に対する支援であります。
     本年四月、地域主権改革推進一括法が成立をいたしまして、やっと第二次の分権改革がスタートいたしました。今後、義務づけ・枠づけの見直しに伴う条例制定が進んでいくなど、それぞれの自治体が、霞が関目線でなく住民目線でサービス提供できるようになることに対しては、私は大いに期待をしたいと思っております。同時に、今後は今まで以上に権限移譲が推進をされます。もちろん本県はこれまでも全国一の権限移譲を行っており、その姿勢は分権時代にふさわしい広域自治体の姿と私も高く評価をしたいと思いますが、平成の大合併が一段落をした今、事務事業の受け入れがなかなか困難な市町があるのも事実だと思います。そこで有効な手段が今回の一括法と同時に成立をいたしました地方自治法の一部改正による行政機関等の共同設置ではないかと思います。これまでも、ごみ処理や消防、公平委員会など、幾つかの事務事業で一部事務組合や広域連合などの活用により共同処理が行われてまいりました。しかし今回の法改正では、さらに進み、内部組織の共同設置、すなわち課の単位での共同設置が可能になったわけであります。例えば県と市で保健所を共同設置をすることですとか、先ほど収入未済の話をいたしましたけれども、市町が共同で収納対策課を設置すること、こうしたことも可能になりました。
     こうした法改正を踏まえて、県として市町の行政機関等の共同設置を推進したらどうかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
     次に、ICTを活用した効率化の推進についてであります。
     九月議会の代表質問で我が会派の大池議員からCIO補佐官の設置について質問をいたしましたところ、知事から非常に前向きな答弁をいただいております。CIO補佐官を活用して県のシステムを最適化することは、これは非常に重要でありますけれども、せっかくそういう人材を登用するのであれば、広域行政として市町のICTシステム支援を行ってはどうかと考えます。市町では平成十七年度ころからそれぞれの自治体ごとに集中改革プランを策定をし、定員適正化や歳出のスリム化を進めてきましたけれども、それらは一段落しつつあり、新たな手法を見出すのは少し困難な状況になっているのではないでしょうか。このような中、総務省が推進をしている自治体クラウドの取り組みや内閣府のIT戦略本部の取り組みは、将来の電子自治体を見据えた取り組みであると同時に行財政改革につながる有効なツールでもあります。
     そこで、広域的機能を持つ県として、市町における自治体クラウドの推進等によりシステムを共通化する、あるいはルーチン業務の効率化を図る、そうした視点で生産性向上やコスト削減につなげ、厳しい財政状況の市町を支援したらどうかと思います。県の調整機能を発揮して推進していただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
     質問の大きな三項目目は、多文化共生施策の推進についてであります。
     私はここまで、行財政改革について、るる述べてまいりました。行財政改革はただけちをするだけではありません。やはり無駄をなくして新たなニーズに資源を投入するのが本質だと思っております。きょうはそんな新たなニーズの中から、将来この地域を支えていただくことになるであろう外国人の子供たちへの教育支援について質問をしたいと思います。
     静岡県内の外国人登録者数はピーク時には十万人を超えておりましたけれども、一年前の段階で八万六千人程度にまで減少をしております。その一方で滞在者の長期化が進んでおりまして、現在住んでいらっしゃる方は、その多くが今後も住み続けるのではないかなと考えられます。就学年齢の外国人の子供は県内に約八千人ほどいるんじゃないかと推定をされていますけれども、実態はなかなかつかめておりません。また外国人の子供には、現行制度上就学の義務が課されておりません。日本人の子供が、義務教育によって将来にわたって生きる力を身につけているのに対し、果たしてそういう場が与えられていなくてよいのだろうかと私は思います。やはり公立学校や外国人学校に通っている子供に対しての教育支援は、少なくとも県として積極的に関与すべきではないかと思います。日本人の子供も外国人の子供も、将来的には自立した大人、静岡県民になってもらわなくてはいけません。そのためには日本語であれ母国語であれ、確かな学力を身につけてもらう必要があります。
     そこで、まず公立学校における外国人の子供に対する支援について伺います。
     本県では、これまでも支援員や相談員の配置を行ってまいりましたけれども、残念ながらバイリンガルならぬダブルリミテッドと言われる母国語も日本語も十分に使えない子供が多いのも事実であります。とりわけ中学校になると勉強についていけないという子供がたくさんいるわけですが、やはり日本語でハンデのある外国人の子供が学習言語として日本語を理解し、安心して学べる支援体制をつくることがまず重要ではないでしょうか。また日本語では理解できなくても、もしかすると母国語でなら学習できる子供もいるかもしれません。そうした子供への対応も必要だと思います。さらには高校卒業後、希望者が高校に進学できるような受け皿の充実、さらに高校においても卒業後の進学や就職を支援することも必要です。教育委員会におけるこれらの現状と課題、そして今後の支援策について伺いたいと思います。
     次に、外国人学校に通う子供のキャリア育成について伺います。
     南米系の外国人学校は県内に十四校あり、約千二百人が在籍をしております。しかしながら日本語や日本の文化、社会制度を学ぶ機会は決して十分ではありません。そうしたとき子供たちは外国人学校を卒業しても、日本の中学卒業資格を得ることもできず、不安定な生活環境に置かれることになります。子供はだれでも将来に対して夢を抱きます。外国人の子供も日本人の子供と同じように高校や大学に進学をしたり、資格や技術を身につけたりするなど、将来の夢を描ける環境を整えることが必要ではないでしょうか。
     本県で育った外国人の子供たちが、自分の夢を実現して社会人となってさまざまな分野で活躍できるよう、キャリア形成をサポートする仕組みをつくることが大切だと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。以上、一回目の質問とさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手) 
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 田口議員にお答えいたします。
     初めに、行財政改革への取り組みについてのうち、目的意識を持った業務執行についてであります。
     議員御指摘のとおり、本年二月に総合計画を策定いたしましたが、その実現に向けて年度当初におきまして、本庁各課がそれぞれの施策目的や数値目標などについて、業務棚卸表を作成し公表しています。各部局におきましては、業務棚卸表に掲げる重要施策について、取り組みの基本的方向や考え方、具体化する事業を取りまとめた対処方針を策定することとしています。また各課におきましては、関係する事業について、だれがいつまでに何をするかを明らかにした工程表を作成し、職員に明示することとしています。これにより、職員一人一人がみずからの役割や担当する業務の成果目標、スケジュールを踏まえた業務執行がなされるよう努めているところです。
     また、目標の管理につきましては、職務行動などを評価要素とする幹部職員の人事評価制度に加えまして、一般職員についても昨年度から評価制度を導入しています。業務の目標実現に向けた職員の職務行動等を上司が評価し、勤勉手当などに反映するほか、面談等を通じて指導助言を行う仕組みを取り入れているわけでございます。
     管理職といたしましては、そういう業績評価に加えて、能力、資質、適性を適切に評価して、人事配置、昇任、給与上の処遇に反映するという人事評価本来の目的から考えますと、目標管理による業績評価のみを視点とすることに対しては、やや慎重にならざるを得ませんけれども、国やほかの地方公共団体の評価手法も研究しながら、より目的意識の高い行政運営の実現を目指したいと思っております。
     職員研修におきましては、若手中堅職員を対象に限られた時間の中で計画的な仕事の進め方を学ぶタイムマネジメント研修を行っています。また採用や昇任時に目的指向型の行政運営と業務執行の考え方を身につけさせる階層別研修も行っております。総合計画という大きな計画は、どこの部局が何をいつまでにするということを明示いたしまして、その達成度をホームページや東館の二階で公表しておりますが、それが各部局の中におりてきまして業務棚卸表になると。そしてそれは、さらに各課の一人一人のお仕事に還元されていくわけでありますが、文字どおり、最終的にはそれが全体の総合計画の実現達成度――それはもちろん目標意識を持っていないとできませんので――に、客観的にはあらわれてくるということになっております。ともあれ、すべてのお仕事は一人一人によって担われておりますので、特に私が力を入れておりますのはひとり一改革運動でございまして、これは一カ月に最低一回行われる、いわゆる幹部職員会議というのがございますけれども、そこでよいものを紹介し、またそれに対して論評を加えるという形にいたしまして、目的意識を持って行政運営に当たっていただくように、それを励みの材料としているわけであります。ともあれ今後とも、カイゼンにはゴールなしという議員のお言葉を胸にしっかりととどめまして、こうした取り組みを着実に推進して、人事評価制度や職員研修の適切な運用を図り、より目的意識の高い行政運営がなされるように努めてまいります。
     次に、ファシリティマネジメントの推進についてであります。
     このファシリティマネジメントというのは、我々の持っております土地、建物、設備、いわゆるファシリティというものを、コストを最小化する。またその施設利用の最大化を図るという経営管理活動のことを指すと承知しております。組織活動のために、施設とその環境を、総合的に企画、管理、活用する経営活動。これが言うところのファシリティマネジメントであると承知しておりますが、経営的な視点に基づきまして、総合的、長期的な観点から資産の管理コストと便益の最適化を図るこのファシリティマネジメントの考え方は行財政改革を進める上で大変重要なものであると、改めて今認識しているところでございます。現在調べましたところ、北海道、京都府ほか八県で合計十道府県でなされているということで、その導入時期も平成十年代に入ってからということで、これは新しい取り組みであるということで注目しているところでございます。
     今後、土地や建物などの県有財産の維持管理費、修繕費等は増大していくことが懸念されております。厳しい財政状況でございますので、これら膨大な量の財産を効率的に管理しなければなりません。また効果的に利活用することがこれからの大きな課題でございます。
     こうしたことから、新しい行財政改革大綱におきまして、県有施設の再編やあり方の見直し、管理経費の一層の節減を図ることにしています。財産の利用状況、維持管理費、修繕費にかかわる情報の一元管理による予算の効率的な配分等ができるように現在検討を進めているところでございます。
     今後も、総合的なファシリティマネジメントの実現に向けまして、この考え方を積極的に導入することにいたしまして具体化してまいりたいと考えております。また効果的に推進をするためのCIOなどの活用も入れて、庁内体制についても整備する検討を今進めているところでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 行財政改革への取り組みについてのうち、初めに行政評価システムの改善について、お答えいたします。
     業務棚卸表は、総合計画の目標達成に向け、当該年度に行える行政活動を体系的に示したものであり、あわせて施策単位での活動の実績や課題、改善方法も盛り込むなど、評価の状況も明らかにしているところであります。一方、個別の事業につきましては予算編成の過程で内部評価を行っておりますが、加えて一昨年度から、いわゆる政策的経費につきましては事業仕分けという外部評価を実施してまいりました。
     議員御指摘の事業シートは、事業ごとに成果指標や費用対効果、自己評価などを明らかにしたもので、十月に実施した事業仕分けで試みた上で今回の予算編成において導入したところであります。業務棚卸表を活用した行政評価により施策全体を継続的に見直しを行い、個別の事業につきましては事業シートを活用しながら評価することにより、両方のPDCAサイクルを着実に積み重ね、きめ細かな評価とともに行政サービスの質の向上につなげてまいります。
     次に、県債管理の考え方についてであります。
     県債残高につきましては、平成十二年度当初予算時に二兆円程度を上限とする目標を設定し、県債発行を抑制する財政運営に努めてまいりました。平成十三年度以降、地方交付税交付の身がわり措置として制度化されました臨時財政対策債の発行が今日まで継続しており、結果として臨時財政対策債を含めた県債残高の総額を増加させる要因となっております。しかしながら臨時財政対策債はいわば地方交付税の一部であり、社会保障を初めとする県民生活に必須の行政サービスを安定的に提供していくために不可欠な財源であります。発行規模につきましても国の地方財政計画で決定され、各団体への配分額も国で決められるなど、県の努力だけではコントロールが困難であります。残高の目標につきましては、県みずからがコントロールできる通常債を対象にしておりますが、臨時財政対策債を含めた県債全体の残高についてもあわせて示しており、常に県債全体を目配りしております。
     一方、県民が安心して暮らせるために必要なサービスを提供することは地方自治体の責務でもありますので、それに必要な一般財源総額の確保や、地方消費税等の税財源の充実を含む税配分の見直しについては、引き続き国に提言してまいります。加えて通常債につきましては、投資的経費の水準や、それに値する県債の発行と償還のバランスに配慮しつつ、引き続き残高を削減するよう努めてまいります。
     なお、将来世代負担比率五〇・八%ですが、本県が採用している基準モデルは、他の多くの団体が行っている算定方法と異なり、道路、河川等の国有財産は県で整備を行っても県の資産として計上しないため資産に対する負債の比率が高くなっております。ちなみに他団体と同じ算定方法である総務省方式改訂モデルで行った平成二十年度決算時は三八・五%と、同規模団体とほぼ同水準であります。
     次に、退職手当債の発行と新たな歳入確保について、お答えいたします。
     本県では、平成十九年度以降、生徒急増期に採用した教員等が退職時期を迎え、退職手当が高い水準で推移することが見込まれたことから計画的に職員数の削減等を進め、その範囲内で償還財源を確保しながら退職手当債を発行しております。退職手当債の発行につきましては厳しい財政状況の中、財政負担の平準化を図る観点からやむを得ないと考えております。一方で県債残高抑制の観点からも退職手当債を発行しない財政運営が理想であり、昨年度は景気回復等により税収増が見込まれたため、退職手当債の発行額を二月補正予算において二十億円減額したところであります。今後も歳出のスリム化や歳入確保に取り組むなど、一層の行財政改革を進めてまいります。
     個人県民税等の滞納額や県税以外の未収金の増加は、公平性の確保や歳入の確保という観点から、緊急に取り組むべき課題と認識しております。このため市長、町長が行う特別徴収義務者の指定の促進など、徴収を行っている市町と連携した個人県民税の収入率の向上や全庁挙げての目標設定などによる税以外の未収金の徴収対策強化など収入未済額の縮減を図ってまいります。このほか県有施設や県主催のイベントのネーミングライツの導入や売却困難となった未利用地の貸し付け、庁舎内エレベーターなどへの民間広告物の掲出など新たな視点による歳入確保にも取り組んでまいります。
     次に、市町の行財政改革支援についてのうち、まず行政機関等の共同設置についてであります。
     厳しい財政状況や地域経済の状況等を背景に地方の行財政改革が進められてきたところであり、職員数の減少の一方で、求められる行政サービスの多様化により、行政の質を維持しつつ、時代に即した業務効率の向上が求められております。議員御指摘のとおり、地方自治法の改正により自治体間において共同で設置できる機関等の範囲が拡大され、市町間での事務の共同処理に関する広域連携の仕組みも、より活用しやすいものとなりました。このことから基礎自治体の行政基盤の強化には、行政機関等の共同設置を初めとした事務の共同処理は今まで以上に有効な手段になると期待しております。この制度の導入に当たりましては、まずは各市町が主体的に事務を再点検し、各市町及び周辺市町での事務の執行形態等を考慮し、連携して制度の活用を検討していくことが必要と考えております。
     県といたしましては、事務の共同処理による周辺市町との自主的な広域連携が進展し、行政運営の効率化が図られるよう先進的な取り組み事例を紹介するなど情報提供に努めるとともに、法定の手続等を解説した手引書を作成するなどさまざまな機会を通じて助言してまいります。
     次に、ICTを活用した効率化の推進についてであります。
     クラウドコンピューティングなどの急速に進展する情報通信技術を行政の事務処理に活用することは、業務システムの構築や運用に投入している人的、財政的負担をさらに軽減し、生み出された資源を地域の実情に応じた住民サービスに投入することが可能になるという利点があるなど、行財政改革に寄与するものと考えております。
     そこで、本年六月に県庁内関係課を構成員として発足した自治体クラウド検討会による勉強会に市町へも参加を呼びかけ、市町職員にも参加をいただき、自治体クラウド利活用への共通認識の醸成に取り組んでいるところであります。
     県といたしましては、ICTの活用を初めとした市町における自主的な行財政改革の取り組みが進展するよう引き続き助言や情報提供に努めるとともに、行財政改革やICTシステムに詳しい職員等をアドバイザーとして市町に派遣するなど積極的に支援してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 多文化共生施策の推進についてのうち、公立学校における外国人の子供に対する支援についてお答えいたします。
     日本語が十分に使えない外国人児童生徒に対しましては、小中学校の段階から母国語を理解できる相談員等が教材の翻訳や授業中の支援など、当該児童生徒の状況に応じて支援を行う外国人トータルサポート事業を実施しており、また必要に応じて放課後の補習等も行っております。
     高等学校への進学を希望する外国人生徒に対しましては、入国後三年未満の生徒を対象に、入学者選抜の中に外国人生徒選抜を設け、学力検査にかえて基礎的な日本語能力を見る検査を実施しております。また進学や就職に対する支援につきましては、キャリア教育の観点から各学校において授業や学校行事を通して、望ましい勤労観、職業観、日本社会で生活していくために必要な能力、例えば実社会で役に立つ日本語能力、人間関係の築き方や課題に対応する能力等を身につけさせるよう取り組んでいるところであります。
     県教育委員会といたしましては、今後もキャリア教育を推進していくとともに、NPOなど関係団体との連携を強め、外国人児童生徒の日本語学習への支援をより一層充実させてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 多文化共生施策の推進についてのうち、外国人学校に通う子供のキャリア育成について、お答えいたします。
     県内の南米系外国人学校では母国に帰ることを前提とした教育を行っておりますことから、日本社会で生活していくための進路や進学の指導等は総じて行われておりません。一方、県が平成二十一年度に実施した外国人に対する多文化共生アンケート調査によりますと、ブラジル人、ペルー人の平均滞在年数は十三年で、約七割の方ができるだけ日本に滞在したいとの希望を持っており、滞在は長期化、定住化の傾向にあります。こうしたことから、外国人学校に通う子供にも、将来にわたり日本社会で生活していくことを見据えた適切な進路指導等を行う必要があると考えております。
     県ではこれまで、外国人学校に対し日本語指導ボランティアの派遣や県に在籍するブラジル人国際交流員が日本文化を紹介する出前教室を開催したほか、ポルトガル語による県政情報の提供なども行ってまいりました。今後はこれに加えて、子供が将来の自分の姿を具体的にイメージできるよう身近な成功事例を紹介していきますほか、本人の希望や適性に沿うよう高校や技能訓練校等への進路相談に応じるなど、外国人学校に通う子供が日本社会に十分適応できますように、キャリア育成の支援を強化してまいりたいと考えております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 田口 章君。
           (二十三番 田口 章君登壇)
    ○二十三番(田口 章君) 数点再質問をさせていただきます。
     まず再質問の前に、人材に対する知事の思い、大変伝わってまいりました。やっぱり経営の要諦でございますし、知事はもう御承知のとおりだと思いますけれども、人材活性化に向け、県政運営をぜひ進めていただきたい。まずこれをお願いしておきたいと思います。
     再質問でありますけれども、まず県債管理のところであります。
     静岡県の行政経営システムというのは、私も拝見をいたしまして、確かに他の自治体にない非常にすぐれた仕組みがたくさんございました。一方、財政面についてはまだまだ改善の余地があるのかなというふうに思っています。同じ事象や同じ数字を見ても、やっぱり行政と民間ではとらえ方が違うということがありますが、やはり同じ数字を見ても危機意識が違うのではないかなと感じざるを得ません。とりわけ臨時財政対策債につきましては、財政融資資金の貸し手でもある財務省からも、後年度交付税措置されても地方債には変わりはないというふうに、厳しい見方をされておりますので、ぜひですね、そういった一般会計で二兆五千億円近い県債があるというのを、危機意識を持つべきではないかなと思っております。そういった中で、やはり意識改革をする必要があるんだろうと思っております。
     先ほど答弁の中にありましたが、通常債二兆円という指標は平成十二年度につくったというふうに伺いました。この数字はもう既に十年以上前のものでありますし、社会経済環境も随分変わってまいりました。加えて中期財政見通しを拝見いたしますと、この通常債残高というのは年々減っていくように、もう見通しは立っているんですね。その一方で臨財債を入れるとふえていくというふうになっているわけでありまして、この通常債二兆円という指標はですね、どうも私は改善目標にはなっていないんではないかなと思わざるを得ません。
     そこで、今この四指標はともかくといたしまして、やはり新たなチャレンジ目標というのを設定し直して財政健全化を進めるべきではないかと思いますけれども、そうした意味での県債管理について伺いたいと思います。 
     それから、退職手当債についてでありますけれども、今のお話を聞いておりますと必要だということでありますが、ちょっとがっくりいたしました。退職手当債の発行団体をちょっと調べました。平成二十二年度の当初予算では四十一の道府県で予算化をしておりましたけれども、実際に発行したのは二十三団体にとどまっております。平成二十三年度――本年度ですけれども、当初予算で予算化しているのは三十三道府県に減っております。また県内の市町につきましては、これまで五つの市町で発行実績がありましたけれども、平成二十二年度はもう実績はゼロということでありまして、やはりみんな発行しなくてもいいように行革の努力をしているんだと思います。県内の市町の皆さんも他の都道府県も努力をしている中でありますので、私は平成二十四年度の当初予算では、この行革の覚悟を示すためにも発行中止すべきではないかと思いますが、再度伺いたいと思います。
     次に、個人県民税のところなんですけれども、特別徴収をすると。それは伺いました。これまでも聞いております。ただやっぱりワーストワン、二年連続でありますので、やはりもっと具体的に工程表を示してワーストワン脱却に向けた姿勢を示してもらいたいなと私は思ったわけであります。うちの近所に佐鳴湖という湖があるんですけれども、見事にこれはワーストワンを脱却をしたわけでありますけれども、やっぱり具体的な工程表をワーストワン脱却に向けて私は示すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
     それから、一点教育長に再質問をいたします。
     私、先ほどの質問の中で、一部公立学校で日本語ではついていけなくても母国語でなら学習できるような子供もいるんじゃないかという質問をいたしました。そういう環境を、ぜひ教育委員会の中だけでなくて、外国人学校なども含めて連携をとって補完的な機能を位置づけるような仕組みができないものか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。以上、よろしくお願いします。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 田口議員の再質問にお答えいたします。
     まず一点目は、県債管理の目標というものでございます。
     県債残高につきましては、先ほど申しましたけれども、将来の公債としての義務的な財政負担になること、またデフレ経済の中で県の負債である県債残高は一定の歯どめをかけておく必要があるとの考えから、県債残高二兆円程度を上限とする目標を定めたところでございます。この指標の妥当性につきましては、これまでもさまざま検討をしてきたところでありますけれども、通常債はそのときどきの社会経済情勢によっては発行高が増加することも考えられ、県債残高はある程度の幅をもって管理せざるを得ないため、今これにかわる適正な数値を見出すことは容易でないと考えております。
     一方、昨年三月に策定いたしました行財政改革大綱におきまして、国の財政状況や税収の動向に伴う特別な起債を除いた建設事業債の残高を計画期間内に着実に削減するという形で、現状の建設事業債よりも削減するという、こうした方針も新たに示したところでございます。また公債につきましては、県債残高二兆円のほかに例えば実質公債比率ですとか将来負担比率、経常収支比率等々の、ほかの公債費に係る指標も総合的に勘案しながらしているところでございますので、直ちにこの県債残高二兆円上限ということは変える必要はないと考えておりますが、今後も一層の通常債の削減に努めながら、財政の健全化に努めてまいりたいと考えております。
     次に、退職手当債についてであります。
     この退職手当債につきましては、退職手当でございますが、これは先ほど申しましたように、県の事情といたしましては、教員の分がございまして、ここは県内市町とは違ったところでございます。県内の生徒がふえている急増期に大量に採用した教員が退職期を迎えているということでございまして、実際、退職手当に占める教育委員会所管部分というのが七割近くを占めている。そこが急にふえているということでございますので、その辺は市町とはやはり財政構造が違うというところは御理解いただきたいと思います。
     この退職手当でございますが、先ほど申しましたように、これは一時的に増加すると。それでピークを過ぎれば減ってくるというものでございますので、民間と異なりまして、地方財政制度上、普通会計ではこれまで引当金制度もなかったということで、いわゆる積んでこなかったと。そこで一時期にふえたものをどうするかという中で、これは国の地方財政計画の中でも位置づけられておる起債でございまして、県でも先ほど申しましたように計画的な職員削減等の努力をしながら償還財源を確保し、財政の健全化にも努めながら負担の平準化を図ると。一方で、現下の社会経済状況を見れば本県においても喫緊に取り組まなければならない課題というのはたくさんございますので、そうしたところの財源として退職手当債を活用させていただきたいという、こうした財政運営でやっているものでございます。退職手当につきましては来年度以降も今年度よりも増加する見込みでございまして、平成十七年度実績と比べますと、例えば百億前後これから当面ふえていくという見込みでございますので、現下のやはり県民サービスの提供ですとか、喫緊の課題に対応するですとか、そうしたものの財源としましては、財政の健全化にも行革努力をしながら償還財源を捻出するという、この健全化にも配慮しながら、一方で現下の課題に対応するという意味で資金手当として退職債を発行する、運用すると、こうしたことでせざるを得ないじゃないかなということでございまして、現在の状況の中で今後も発行しないということを言うのは困難であるというふうに思ってございます。
     ただ一方で、先ほど申しましたように、退職手当債を発行しないで済むのが理想ということはこれは私どももそう思っておりますので、今後も歳出のスリム化ですとか歳入確保に懸命に取り組みまして、可能な限り発行額の抑制に努めてまいりたいと考えております。
     最後の、個人住民税の工程表を具体的にということでございまして、これにつきましては、私も昨年財務局長でございましたし、ことしは経営管理部長ということで、なぜ静岡県の行政がこんなに順位が低いのかといった疑問も持ったわけでございますけれども、まずは取れるところを確実に取るという形で事業者の方から納めていただいている特別徴収と、一般の方がそれぞれ金融機関等で納める普通納付ですね、この、やはり徴収率と収入率は大分違うものですから、そこの特別徴収のところを、個別の市町村だけではなくて全市町挙げて全県的に取り組まなければいけないという形で進めてきております。今年度は、まず先行的に下田の地区でこの全事業所指定というのをやっていまして、来年度に向けましては、県内全市町でこれは一丸となってやるという姿勢でやっていまして、こうした県全体での取り組みというのもやっていきたいと思っています。
     それから、現在もやっておりますけれども、市町との税務の職員の交流という形で、県のほうからも市町のほうに行って、やはり県のノウハウを伝える。また市町のほうからも、財務事務所等の税の担当のところに来ていただいて、県のノウハウとかを学んでいただいて持って帰ると。こうした人事交流の活動というのもしておりますし、それから滞納整理機構というところで、徴収困難なものについては、そこの滞納整理機構に送る形にしまして、そこで徴収をする。あるいは滞納といった中で、もう徴収困難だといったものもございますので、そうした仕分けをするといったこともやっていただいております。そうした取り組みも現在やっております。
     来年度につきましても、現在強化策も考えておりまして、県が直接徴収を行う地方税法の四十八条、そうしたものの積極的な活用ですとか、また短期的に県の職員を派遣して市町の職員としての身分を併任しながら一緒になって徴収するといった、そうした取り組みなんかも現在考えておりまして、これは実際に県でもちろん考えて我々も支援するわけでございますが、市町村のほうが実際の徴収主体でございまして、政令市含めて、市町のほうにも、やはりもうちょっと危機意識を持ってやっていただかなきゃいけないという形で、そうした取り組みの強化に来年度以降もつなげてまいりたいというふうに考えてございます。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 公立学校において母国語での指導というのはどうだろうかという再質問だったかなというふうに思います。
     最初の御質問の中にもございましたように、母国語であれば理解をできる子供たちも当然多くいると思いますので、そういう意味では、先ほどの答弁で御紹介しました、いわゆる母国語を理解できる外国人児童生徒相談員というものを配置しておりますので、こういう相談員を活用するとともに、またNPO等でも同様な活動をしている方たちもおられますので、そういう方たちの連携も必要かなというふうに思っております。ただこれは、議員からも御指摘ありましたように、将来的にはやはり静岡県の納税者というふうになっていただくためには、やはり日本語を積極的に勉強してもらわなければいけないというのがありますので、当初の導入の部分は母国語で学習をするにしても、やはり積極的に日本語を理解していただくような、そういうような体制をとっていく必要はあるかなというふうに思っておりますので、一人一人の子供たちの日本語能力に応じた、きめ細かな対応をとっていきたいというふうに思っております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 田口 章君。
           (二十三番 田口 章君登壇)
    ○二十三番(田口 章君) あと三十秒しかありませんので一問だけ再質問します。
     須藤部長、退職手当債ですけれども、市町との違いはわかりました。ただ他の県はやっぱり同じように頑張っているんですよ。そうしたものもありますし、とりわけ先ほど来お話ししているとおり、財政健全化には意識改革が必要で、まずはターゲットとなる目標が必要だと思います。その目標の一つとして、ぜひ私はとらえてもらいたいと思いますが、再度退職手当債あるいはそれ以外のものに対しての目標を設けてもらいたいという点で質問したいと思います。よろしくお願いします。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 県債管理についてでございまして、これは通常債につきましては、議員からのお話もありましたように着実に減少してきておりまして、それは退職手当債の発行も含めた上で、通常債として減少しているという状況でございます。
     退職手当債についてでございますが、先ほど言いましたように、財政の健全化という行革の努力をしながら、一方で発行しているというのもございますし、現下の財政状況は大変厳しくて、現在でも、今予算編成しておりますけれども、四百十億円の財源不足がある。この四百十億円は退職手当債百億円の発行を前提としているものでございまして、相当厳しい財政状況でございます。そうした中で考えますと、直ちに発行中止というのは困難であると考えておりますけれども、御指摘の趣旨は十分理解しておりますので、額の抑制については努めてまいりたいというように考えてございます。以上であります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp