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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山本 隆久 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2021

会派名:

無所属


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 o リニア中央新幹線整備への対応
2 教育行政について
(1)道徳教育の取組
(2)教育委員会における性犯罪根絶に向けた取組
3 現役世代の介護者の負担軽減について
4 富士山静岡空港の利用促進について
5 馬込川河口部における津波対策の推進について


○議長(宮沢正美君) 次に、四番 山本隆久君。
(四番 山本隆久君登壇 拍手)
○四番(山本隆久君) 無所属の山本隆久です。
 質問に先立ちまして、十二月十日から十六日は北朝鮮人権侵害問題啓発週間であり、本十二月議会において川勝知事、難波副知事、出野副知事三名が胸元にブルーリボンバッジをつけていただいておることは大変うれしく思うとともに、政府も全閣僚にブルーリボンバッジをつけることを指示したということがありまして、関係部局長にも来年の十二月議会からは期間中はブルーリボンバッジをつけていただき、国、県を挙げて一日も早く拉致被害解決を強く訴えてまいりたいと思います。
 それでは、通告に従い県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 リニア新幹線構想は、昭和三十七年から超高速鉄道の研究が始まり昭和四十六年に超電導リニアの開発が本格的となり、平成二十三年にはリニア方式とする整備計画が決定され当初の構想から五十九年の時を経てようやく実現化をしようとしています。しかしこの半世紀の時の流れは日本も世界も生活様式は大きく変化しパソコン、インターネット、携帯電話が普及し今や空飛ぶ自家用車も実用化に向けた研究開発が進んでいる時代でございます。
 さらに、新型コロナによりテレワークによる在宅勤務や遠方各地をつなぐウェブ会議と仕事の在り方も大きく変化しました。私個人的にはリニア中央新幹線は今の日本でニーズがあるのか、新幹線のように世界に売り込むことが現実的なのか疑問も感じておるところでございます。
 知事はこれまで、私はリニア推進論者である、しかしながら大井川の水問題、南アルプスの貴重な動植物への影響の問題を解決しない限りは県内を通るトンネルの本工事を認めるわけにはいかないとおっしゃってきました。大井川の水量は地域に住む人々の生活の源でありますし南アルプスの希少な動植物も守っていかなければならない問題でございますので、知事の姿勢には一定の理解をしておりました。
 ところが、六月議会の知事答弁において知事は、ウイズコロナ時代においてビジネス需要は先行きが見通せない状況であるという見解も強まっている、総工事費の見通しが難工事への対応等により当初の約五・五兆円から、それを一・五兆円三割上回る約七兆円に増加する見込みであるということが公表された、一旦立ち止まってしっかり考える時期ではないかと思っているとリニア中央新幹線そのものに疑問または否定的な答弁をされました。この答弁は私の考えと同様のもので個人的には共感をいたしますが、知事はリニア推進論者からリニア疑問もしくは反対論者に変わったのか改めてお伺いいたします。
 また、知事は選挙後のインタビューで任期中にリニア問題解決への道筋をつけるとおっしゃっていましたが、一般的に見てこの問題の解決と申しますのは、一リニア工事そのものの中止、二南アルプスを迂回したルートで続行、三水資源問題や自然環境保全などの問題をクリアしたなら原案どおり工事を認める、この三択になろうかと思いますが、知事の問題解決とは何を指すのかお伺いいたします。
 また、その道筋をつけるための期間は残り三年半でございますが、どのようなスケジュール感でどのように道筋をつけていくのか、お考えをお伺いいたします。
 次に、教育行政についてのうち一つ目、道徳教育の取組について伺います。
 昨今オレオレ詐欺や給付金の不正受給などの様々な詐欺事件が多発し、お年寄りが孫を思う愛情につけ込んだ犯罪やうそをついてでも自分の利益を優先してしまう事件、犯罪に心を痛めておりますとともに、日本の安全・安心な生活に対して大きな懸念を抱いています。
 こういった詐欺事件で検挙された犯人や犯行グループを見ると、大学生や主婦など本来犯罪とは無関係の人々が犯罪に手を染めてしまっているケースが目立ちます。これは国民の意識の中で詐欺とか不正という犯罪の垣根が低くなってしまい、人をだますことに犯罪の意識が薄れてしまっているのかのように感じます。
 詐欺に遭わない対策としては警察や行政が防止策や啓発活動を様々なメディアを使って展開されておりますが、基礎基本はだまされないことよりだまさないことであり、うそをつかない真面目で正直な人、これをしっかり育てることが重要と考えます。
 現在静岡県が掲げる有徳の人づくり大綱では、有徳の人を個人として自立し人との関わり合いを大切にしながらよりよい社会づくりに参画し行動する人と定め静岡県の目指す人づくりの骨格としていますが、その背景は真面目で人に迷惑をかけない正直な人の育成にあるのではないでしょうか。
 また、平成三十年度から小学校、中学校と段階的に道徳が教科化され道徳教育の充実が図られておりますが、道徳科の授業のみにとらわれず各教科の学習、清掃や給食の時間、休み時間などにおける子供との触れ合いを通じて真面目で正直な心を育てることも大切と考えます。
 そこで、教育委員会ではこの有徳の人づくり、特に基礎基本である真面目で正直な人づくりのために道徳科の授業や学校生活を通じどのような取組をしているのかお伺いをいたします。
 二つ目として、教育委員会における性犯罪根絶に向けた取組について伺います。
 教員の不祥事は全国でも問題になっています。全国紙で報道されることはまれですが、令和元年度に不祥事によって懲戒処分を受けた教員の数は全国で八百三十一人となっています。全教員に対する割合は全都道府県、政令指定都市全体で〇・〇九%、一万人に対して九人となります。残念なことに本県はこの割合が〇・一一%と全国平均より高い状況となっています。なお全国八百三十一人の被処分者のうち性犯罪、性暴力等で懲戒処分を受けた教員は二百二十八人ですが免職処分となったのは約七割の百五十三人。残りの七十五人は停職や減給の処分で処分後も教壇に立つ教師がいることを想像すると怒りが込み上げます。
 学校は子供にとって最も安全な生活環境であって、その安全な環境の下で学び、触れ合い、育っていく場所です。その最も安全な学校で、児童生徒等を守り育てる立場にある教員が児童生徒への性犯罪等の加害者になるということは断じてあってはならない深刻な問題でございます。
 県教育委員会では、児童生徒にわいせつ行為を行った教員は免職としており、性犯罪の根絶のため様々な対策を行っていることとは承知しておりますが、本県の性犯罪などによる処分件数は今年度は減っているものの昨年度までは横ばいの状況となっています。
 そこで、県教育委員会として教員の性犯罪根絶に向けてこれまでどのような取組をされてきたのかお伺いいたします。
 また、性犯罪はほかの不祥事と性質が大きく異なり原因が心の闇の部分によるものであることから、なかなか普通の方がその心を想像して対策を検討することは容易ではないと推測します。海のことは船頭に問え山のことは木こりに問えと申しますように性犯罪や心理学の専門家から意見やアドバイスを得て防止対策を研究、構築する必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、教育委員会の所見をお伺いいたします。
 次に、現役世代の介護者の負担軽減についてお伺いいたします。
 社会構造は日々変化を続けており、行政が進める施策もこれに応じて変化していくことが求められています。
 令和三年度の男女共同参画白書によれば、共働き世帯数は年々増加し平成二十四年度以降は急速に拡大し既に共働きは一般化しています。こうした社会の変化を踏まえ行政は長らく待機児童ゼロに向けて取り組んでまいりました。近年では少子化の状況もあってか一定の成果が出ており、その結果親は子供を安心して預けることができ社会経済活動を行うことにつながり、ひいては日本の生産力の維持向上につながっていると考えております。
 一方で介護の世界に目を向けますと、高齢者が長く住み慣れたところで暮らしたいという希望があるため、これをかなえるために在宅介護を推進してまいりました。このためそういったサービス提供事業者が増え介護と医療の連携なども進みつつあることも承知をしております。
 また、県の調査によれば特別養護老人ホームの入居希望者のうち原則入所の対象となる要介護三以上の方は令和三年四月一日現在で五千四百八十六人で減少傾向にあるということも聞いておりますが、私の身の回りでは家族の介護が始まる世代、つまり働き盛りの四十代、五十代の方たちから仕事を辞めて介護に専念することにしたという声を耳にします。そのほとんどは、世帯の状況や個人の将来計画など様々な理由から仕事を続けるために特別養護老人ホーム等への入所を希望したが順番待ちで入所ができなかったとのことでございます。お住まいや地域の要介護施設の量にもよると思いますが実際に起きている出来事でございます。
 介護を行う方の切実なお話をお聞きするたび、こうした状況が社会経済活動を妨げることになっていないかという疑問を強く持っております。こうした問題を解消し働き盛りの人たちが確実に社会経済活動を続けられるよう待機児童ゼロの取組と同様に高齢者が特別養護老人ホームなどに待機することなく入居できるよう取り組むべきと考えております。今後さらに高齢者の増加が見込まれる中、高齢者を介護する働き盛りの人たちなどへの支援を真剣に検討する時期が来ていると思います。
 そこで、介護離職ゼロに向けて特別養護老人ホームをはじめとする施設サービスや在宅サービスのさらなる充実など高齢者を介護する家族の負担を軽減する取組をどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、富士山静岡空港の利用促進について伺います。
 富士山静岡空港は開港以来順調に利用客数を伸ばし、令和元年度には国際線二十七万五千六百四十三人と国内線四十六万二千二百九十七人を合わせて七十三万七千九百四十人の利用となりました。しかし令和二年度明けに早々の新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により令和二年三月十一日からは国際線が全便欠航となり国内線も欠航、運休が相次ぎました。このため令和二年度の利用者数は十一万七千二百四十人と過去最低となり、本年度においても苦戦を強いられていますが、緊急事態やまん延防止等重点措置も解除され各都道府県では県内旅行の推進を行い年末年始にかけては国内線を利用した県外への旅行や帰省も期待されます。
 新型コロナの第六波への警戒と備えは十分に行っていくことはもちろんでございますが、感染防止対策を併用した普段の生活に戻っていくことも想定しながら富士山静岡空港の利用拡大に向けての仕掛けづくりを早急に行う必要があると考えます。
 国際線については中国、韓国など相手国の事情もあるのでこれまでのような過度な期待はせず、しっかりと足元である国内線の利用拡大に向けた施策を行うことが重要です。静岡から北海道、九州、出雲への利用促進も大切でございますが、就航先から静岡県へ来ていただくことはさらに重要であると考えます。そのためには就航先の皆様に静岡の具体的な魅力を発信していくことが有効だと考えます。
 例えば、北海道の方には温かな静岡県で温泉を楽しみ浴衣でお散歩のようなキャッチをつけ富士山静岡空港から伊豆の旅行ルートの案内を、福岡の皆さんには福岡の焼酎対静岡の日本酒と題して県内の酒蔵や銘酒と宿泊を絡めたパッケージ商品などテーマを絞った個別のPRを展開し来県者数を増加させる企画を考えることはできないでしょうか。特に年明け以降に再開予定の国のゴー・トゥー・トラベル事業や、さらには来年のゴールデンウイークを見据えて今から静岡空港の利用促進のための戦略的なPRを考える必要があると思います。県が県内の旅行代理店や観光組合と協力して県お勧め旅行プランをつくり、積極的に全国にアピールしていく必要があると考えます。
 そこで、県は富士山静岡空港の利用促進について国内線就航先へのPRなど今後どのように取り組んでいくか伺います。
 最後に、馬込川河口部における津波対策の推進について伺います。
 平成二十三年三月に発生した東日本大震災における津波被害は想定をはるかに上回るものであり、これまでの津波に対する認識を根底から揺るがす大災害となりました。この大震災を契機としてその後平成二十五年六月に発表された切迫する南海トラフ巨大地震に対する県の第四次地震被害想定では、浜松市において一万六千名を超える津波による犠牲者が生じることが想定され、特に沿岸部の住民の皆様に地震による大津波に対して大きな不安を感じさせることになりました。
 このような状況の中、浜松市沿岸域を津波から守る防潮堤を建設するため多額の寄附が寄せられ、天竜川河口から浜名湖今切口までの約十七・五キロメートル区間においてレベル一を超える津波に対する浜松市沿岸域防潮堤、通称一条堤の本体工事が令和二年三月末に完成しました。この防潮堤の完成は浜松市沿岸に住む方々にとって大変喜ばしいことであり、大きな安心感を与えてくださりました。
 浜松市沿岸域における津波対策としては馬込川河口部が残されていましたが、県では当初の計画であった堤防のかさ上げ追加から浜松市の協力も得て水門建設に変更し令和二年度には準備工事に着手しており、さらには本年九月の県議会において、水門本体工事について上程され、その後工事の本契約が締結されたと伺っております。津波の減災にはこれらのハード対策だけでなく避難行動などのソフト対策を併せて実施することが重要となりますが、 ハード対策は不可欠であるためこれまで以上に計画的に事業を進め全区間の津波対策が早期に完成することを期待しております。
 一方、馬込川河口部は大きな川幅の中に干潟、ヨシ原などが広がり豊かな自然環境が残されている上、砂丘や松林から成る雄大な景色も形成している箇所でもあります。地域においても河口部に生息するシラスウナギなどの生物をはじめとした自然環境への影響や周辺景観への調和についても、津波対策事業の進と並んで地域の皆様から高い関心が寄せられております。
 そこで、馬込川河口部における水門建設をはじめとした津波対策事業の現在の進状況に加えて周辺の自然環境や景観にどのように配慮しながら今後工事を進めていくのか、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 山本議員の冒頭発言に同感でございます。その上で山本議員の、私の政治姿勢についての御質問にお答えをいたします。
 リニア中央新幹線整備への対応についてであります。
 私は、これまでも申し上げてまいりましたとおりリニア中央新幹線整備の意義は十分に承知しておりまして、現在もリニア推進論者という立場に変わりはございません。それゆえ議員が三つの選択肢を挙げられましたその第一のもの、リニア工事そのものを中止というのは念頭にありません。これまでリニアに関係する人々が培ってきた技術、その潜在力と可能性に強い信頼を持っているからであります。もとより技術への過信というのは戒めではありません。
 その上で六月議会における私の答弁は、リニアをめぐる社会経済環境がコロナ禍に起因するビジネススタイルの変化など整備計画が決定された当時とは大きく変化しておりますことから、一旦立ち止まってしっかり計画を再評価する時期にあるという考えを述べたものであります。リニア中央新幹線整備事業そのものに反対するものではありません。
 また、私が考える問題解決とはリニア中央新幹線の整備と南アルプスの自然環境及び大井川の水資源の保全と両立を図ることであります。そのため事業者であるJR東海が、社会的責任を持ってトンネル工事に伴い南アルプスの自然環境と大井川の水資源へ悪影響を及ぼさない具体的方策を明確な根拠とデータに基づいて県民が理解できるように説明していただきまして、流域住民をはじめ県民の皆様の不安を払拭することが必要であるという考えでおります。
 しかし現状におきましては、県が求めるトンネル湧水の大井川表流水への全量戻しだけを見ましてもJR東海の社長さんも副社長さんも全量戻しは工事中は含まないと認識していたと発言されるなど、毎年のように取水制限を余儀なくされている大井川のさらなる流量減少に不安を抱かれている流域住民の皆様が強く望まれている全量戻しの重要性を認識されていないのではないかと危惧しております。環境に悪影響を及ぼす可能性のある事業者としての社会的責任を十分に自覚していただきまして、環境への影響をまず回避、低減しつつ県民が納得できる全量戻しの具体的方策を示すなど流域住民の皆様の不安を解消できるような説明が不可欠であります。
 スケジュール感につきましては、事業者はJR東海でありJR東海が意思決定をしやすい環境をつくり上げるということが重要であります。
 国の有識者会議におきましては、流量問題また全量戻しの方法などについてだけでも既に一年八か月を要しております。またこれに関わる、大井川水問題に関するいわゆる中間報告もまとまっていない状況であります。にもかかわらず強引に工事を進めるというのは極めて厳しいという、そういう判断はJR東海は持たざるを得ない状況になっているのではないかと。こういう事態それ自体が、現在行っている有識者会議や専門部会これ自体がJR東海が事業者としての意思決定をしやすい環境となっているという認識を持っているものであります。
 それゆえ、我々が第三者委員会として設置しております専門部会に対しましてJR東海から環境影響評価についての資料の提出があり次第できる限り速やかに意見を提出するなど、環境影響評価の円滑な実施に対して全面的に協力をしてまいりました。これからもこうした県の専門部会におきましても徹底的に対話を行い問題解決に向けた道筋をつけてまいりながら、問題がどこにあるかということを認識する事業者JR東海がこの問題に対してどういう決断をするのがふさわしいかという、これは私自身があるいは山本議員がJR東海の責任者になればどのような決断を下すのがふさわしいかというのと同じでありますけれども、相手の立場に立ちながらこの現状認識を共有して彼らが、つまり意思決定者が意思決定をしやすい環境をつくり上げていくというそういう考えでおります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 出野副知事。
○副知事(出野勉君) 現役世代の介護者の負担軽減についてお答えいたします。
 令和二年国勢調査によりますと、本県の高齢者人口は平成二十七年に比べ約六万三千人増加し高齢化率は過去最高の三〇・二%となりました。今後高齢化が一層進行し介護を必要とする方はますます増加すると見込まれておりますことから、介護サービスのさらなる充実が求められております。
 県では、市町による将来的な介護サービス見込み量を踏まえて静岡県長寿社会保健福祉計画を三年ごとに策定し必要な施設やサービスの提供体制を整備することとしております。特別養護老人ホームをはじめとする施設につきましては在宅での介護が困難となった方の生活の場を確保するため、本年三月に策定いたしました計画におきまして今後三年間の目標を定め計画的に整備を進めてまいります。
 あわせて、住み慣れた地域でできる限り生活が続けられるよう訪問、通所、短期入所のサービスを一体的に提供する小規模多機能型居宅介護事業所や定期巡回及び随時の訪問に二十四時間対応する訪問介護看護事業所など、御本人の状況や御家族の希望に合わせて柔軟に利用できる在宅サービスにつきましても計画的な整備を進め介護する御家族などの負担軽減を図ってまいります。
 県といたしましては、市町と連携しながら必要な施設整備を着実に進めるとともにサービスの提供に不可欠な人材の確保にも積極的に取り組むことで介護サービスの提供体制を充実し、御家族が離職することなく介護できるように努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 教育行政についてのうち、道徳教育の取組についてお答えいたします。
 多様化、複雑化する社会において人が互いに尊重し協働していくためには共通に求められるルールやマナーを学び規範意識を育むことが大切であり、本県が目指す有徳の人の育成において道徳教育が果たす役割は極めて重要であります。
 学校における道徳科の授業では、児童生徒が自らの判断で時と場合に応じた望ましい行動を取れるよう教材を用いた学習に加えて話合いや体験的な活動等により互いの感じ方や考え方を伝え合うなど自己の生き方についての考えを深める学習を行っております。また義務教育の九年間を通じて正直、誠実や親切、思いやりなどの道徳的価値について発達段階に応じて繰り返し学べるよう取り組んでおります。
 さらに、他の教科や学校行事、学校内の日常生活全般においても体育科の授業でフェアプレーの大切さについて考える場面を設定したり係や当番の仕事に対して手を抜かず誠実に精いっぱい取り組む姿を賞賛することにより正直、誠実について学ぶなど児童生徒の道徳性が養われるよう働きかけております。こうした取組を一層推進するため道徳教育の中核となる人材の育成に向けた研修会を開催するとともに、地区の花壇整備に小学生が参加する取組など幅広い年代の方と接することにより、相手を思いやる気持ちをより育むことが可能な事例を学校間で共有しているところであります。
 県教育委員会といたしましては、今後も市町教育委員会等と連携して道徳教育をさらに充実させ、児童生徒の自立と他者と共によりよく生きるための基盤を養い明るい未来への礎としての有徳の人づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 教育行政についてのうち、教育委員会における性犯罪根絶に向けた取組についてお答えいたします。
 児童生徒に対する性犯罪は被害者である児童生徒の尊厳を踏みにじり将来にわたって心身に深刻な影響を及ぼすものであり、断じて許されるものではありません。
 県教育委員会では、児童生徒や保護者等からの通報窓口の設置や児童生徒に対するセクシュアルハラスメント調査の実施等性犯罪に発展し得る事案の早期発見体制を整備してまいりました。また私的なSNSのやり取りを禁止し児童生徒との連絡を学校全体で共有する仕組みを導入するなど情報や行動を見える化する環境づくりを進めております。さらに過去に発生した事例を児童生徒との関係性に着目して四つの類型に分類しそれぞれの類型に対応した実践的な校内研修を行うなど、学校の危機管理の強化を図っているところであります。
 議員御指摘のとおり性犯罪の多くは心の闇や個人の性的な嗜好によるものであり、性犯罪が児童生徒に与える影響の深刻さを改めて自覚させるとともに加害者の心理や行動を把握、分析した対策がより重要と考えております。
 これまで教員に対して心理学に基づく自己点検表を活用した性行動に関する意識のチェックを促してまいりましたが、今後は性犯罪の専門家による研修等を実施するほか犯罪心理学の知見を活用した効果的な未然防止対策の研究を進めてまいります。また児童生徒に対しても自分自身の心と体を守る大切さについて引き続き指導してまいります。
 県教育委員会といたしましては、被害者を出さないという強い信念の下、学校、市町教育委員会や関係機関と一丸となって性犯罪の根絶に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 富士山静岡空港の利用促進についてお答えいたします。
 国際線再開の見通しが立たない現在、国内就航先からの誘客を促進するためには議員御提案のとおりテーマを絞った戦略的なPRを展開することが大変重要であります。まずは現在ブームになっているキャンプをテーマとした魅力の発信を行ってまいります。
 本県のキャンプ地が舞台となっている人気アニメとコラボレーションし、アニメのモデル地を巡るスタンプラリーの実施やモデル地等を紹介する特設ホームページを開設するなどキャンプとアニメ双方のファンの誘客を進めてまいります。
 また、旅行会社やフェリーなどの運輸事業者と連携して、富士山周辺を遊覧するフライトの後駿河湾フェリーで伊豆に渡り新鮮な伊豆の幸を味わうツアーやローカル鉄道を楽しみながら日本酒の酒蔵等を巡るツアーなど本県ならではの魅力ある景観や食などをテーマとした旅行商品を開発しメディアを通じて情報を発信してまいります。さらに来年二月には福岡市内で開催される九州旅行博覧会にブース出展し広く本県の魅力をPRするとともに、現地の旅行会社等に対し旅行商品の造成を働きかけてまいります。
 今後見込まれるゴー・トゥー・トラベルの再開や来年の春休み、ゴールデンウイークを見据えて市町や観光協会等と連携し、就航先へのPRをはじめとする富士山静岡空港の利用促進に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 馬込川河口部における津波対策の推進についてお答えいたします。
 馬込川河口部の津波対策である水門の整備につきましては、現在までに水門本体の準備工となる河川右岸側での締切り工事が完了したところであります。水門本体工事につきましては本年十月に契約を締結し現在基礎ぐいの製作を進めており、あわせて現地ではくいを打ち込むための整地作業を行っております。
 工事の実施における自然環境等への配慮につきましては、トビハゼなどの希少種の生息環境を保全するため、有識者による指導の下、生息域となる水門建設箇所上流部の干潟の面積や底質などを定期的に観測し生息環境に変化がないことを確認してまいります。また工事によるシラスウナギ漁への影響を回避するため漁業関係者と調整し漁期に濁水が発生しないよう対応しております。
 さらに景観への配慮につきましては、水門の設計に当たり有識者から助言を頂き周辺の空や海、砂浜、松林などとの調和が図られるよう水門本体はシンプルでコンパクトなデザインとし、ゲートの色彩は周辺の松林に溶け込む濃い緑色を採用しております。
 県といたしましては、浜松市沿岸域の自然環境や美しい景観の保全を図りながら馬込川河口部における津波対策を早期に進め、安全で安心して暮らせる地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 山本隆久君。
(四番 山本隆久君 登壇)
○四番(山本隆久君) それぞれ丁寧な御答弁をありがとうございました。
 では、再質問を一点させていただきます。
 リニア新幹線についての再質問でございますが、知事のおっしゃった解決方法は大井川の水資源と南アルプスの環境をしっかり守った上でリニア中央新幹線を通すということであると、そして知事はリニア推進論者であるということを踏まえて質問させていただきます。
 これまでJR東海さんとの話は、JR東海が例えば調査ボーリングの結果を提出してきた、それに対して県はこれでは不十分だ。環境アセスメントの評価を出してきた、県はこれに対しては不十分だ。いわゆるJRさんが出してきたものに対して県が評価をする、そして駄目なものは駄目と言っていくというものでまだ四十七項目の課題が残っているわけでございますが、推進論者であり両立をして現計画どおりにリニア新幹線を通すならば県としてはもう少し前向きにですね、せっかく県も専門者会議持ってて専門者の方が集まっているのですから、ここをボーリングしたらもっといい結果が出るんじゃないかとか、やはり前向きに知恵を出し合う絞り合うという姿勢が私は必要だと思っておりますが、それについてどういうお考えかお聞きいたします。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) リニア問題について再質問頂きましてありがとうございました。
 議員は三つの選択肢を挙げられました。水資源の問題並びに生態系の問題、これが技術的にクリアできるならば工事ができると、そのとおりであると思います。これまでの専門部会並びに有識者会議における議論におきましては、極めてこれらをクリアするのが難しい状況になっているということが明らかになってきたのではないでしょうか。しかしながら全ての議論が尽くされているわけではありません。流量の戻し方について、これは全量戻しとは到底言えないものでありますから、トンネルを掘ってからプールにためてそれをポンプアップして戻すという方法はこれは全量戻しとはほど遠いものであります。
 こうした中で、クリアできなければどうするかというそうした認識を当事者は持たざるを得ない状況になっているんではないかと思います。これはですね、かつてJR東海、事業者としてそれを想定されていなかったというふうに思いますので南アルプス問題がいかに技術的に難しいかという認識を深められているというふうに存じます。これは間違いなく前進であります。全く知らないで後から大惨事が起こるということと違って、こういうことについてどう考えるかというそれぞれ四十七項目一つずつ専門家がJR東海に資料を提供していただきながらただしているものであり、今は政府のほうもそれを共通認識としてただされていると。そうした中で第三番目の選択肢がなかなかに取れないということが明確になってきているのは明らかに前進であるというふうに見ております。
 我々は全幹法全国新幹線整備法にのっとってこの議論をしていると。事業者はJR東海というふうに定められ、事業者がお決めになることを国が追認するというようにうたわれております。そうした中でその事業者が意思決定が出しやすい環境がですね、南アルプス問題につきまして、トンネル工事問題につきまして確実に数年前と比べると明らかになってきてその事実は多くの人々に共有されるようになっていると。私はこれは事業の前進であるというふうに見ております。科学的な、また技術的な議論を尽くすということが実は前進になっているという理解をしているものであります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) これで山本隆久君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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