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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/19/2017

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
          人口減少対策                         
2 知事の公約実現のための具体策について              
 (1) 世界水準の次世代産業の推進                  
 (2) 貧困の連鎖を断ち切る就学前教育                
 (3) こども医療費助成                       
3 情報戦略の再構築について                    
 (1) CIOへの民間人の専従起用                  
 (2) 働き方改革の基本的な方向性                  
 (3) ICT教育の推進                       
4 観光戦略について                        
 (1) 海の恵みの享受                                  (2) 無料Wi―Fi環境の整備                   
 (3) 多言語表記                          
  訪日誘客支援空港認定                      
5 津波防災対策について                      
6 沼津駅周辺総合整備事業について                 
7 沼津市西部地域の基盤整備について                
 (1) 県道三島富士線のバイパスの早期整備              
 (2) 原・浮島地区における道の駅の整備               
8 学ぶ機会の確保について                     
 (1) 私立高校の保護者の負担軽減                  
 (2) 特別支援学校の通学手段の確保                 
9 中小企業に対するデザイン支援について              
10 特定外来生物対策について                    
11 成年後見制度の利用促進について                 
12 難病患者に対する支援について                  
13 特殊詐欺被害防止対策について


○議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八十四号から第九十七号までを一括して議題といたします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、七十番 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇 拍手)
○七十番(蓮池章平君) 私は公明党静岡県議団を代表して、知事並びに副知事、関係部局長、教育長、警察本部長に通告に基づき一括質問方式で質問をいたします。
 質問に入る前に、去る七月五日から九州北部地域を襲った豪雨により多くの方が犠牲になられました。御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧・復興を祈るとともに、本県においても同様の豪雨災害が発生する可能性があり、県民の命を守る点から万全の体制と県民に対するわかりやすく迅速な情報提供体制を望みたいと思います。
 さて、川勝平太知事、三期目の当選おめでとうございます。知事におかれましては県民福祉向上のため、三百七十万県民が静岡県に住んでいて本当によかった、このように実感できるように県政のかじ取りをお願いしたいと思います。
 それでは質問に入ります。初めに知事の政治姿勢についてであります。
 本県における最大の課題は人口減少、特に社会的な人口流出に歯どめがかからないことであると捉えています。住民基本台帳の人口移動報告の推移を見てみると、社会増減の数は川勝知事が就任された平成二十一年度はマイナス三千百三十八人、その後平成二十三年度にマイナス二千七十四人と改善が見られたものの、その後は人口流出に歯どめがかからず平成二十五年、二十六年の全国ワースト二位となる七千人前後の減少となっています。
 県はこれまで、人口流出に歯どめをかけるため人口減少問題に関する有識者会議の提言を受けて美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生会議によりオール静岡で対策を進めてきましたが、結果として減少がとまっていない事実から真の原因を改めて捉え直す必要があり、実効性のある施策が必須であります。
 知事は、所信表明で県民による県民のためのマニフェストである総合計画を命を守る、福祉の充実、暮らしを豊かにの三つを柱に本年度中に策定すると述べられました。最大課題である社会的な人口流出を克服し、憧れのふじのくにを構築するための知事の決意を伺います。
 次に、知事の公約実現のための具体策についてのうち、世界水準の次世代産業の推進について伺います。
 知事は選挙期間中、スポーツ王国の復活、世界水準の次世代産業の展開、世界に開かれた観光・通商・外交の実践、全ての子供を大切にする社会づくりなどオール静岡で進めようと訴えられました。
 私は、さきに述べました社会的な人口流出に歯どめをかける大きな要素として産業・雇用の創出が何よりも重要であると考えています。日本全体では景気が回復基調にあると言われておりますが、本県の景気、経済の回復状況は全国の平均レベルに達していないのが現状であります。ここにメスを入れない限り社会的な人口減少に歯どめをかけることはできません。さまざまなデータからも本県産業はリーマンショックから本格的に立ち直る状況にはありません。新産業を創出し、積極的に成長産業やベンチャー企業への後方支援を政策に反映、創業や起業の風土を根づかせていくことが重要であります。
 そこで、知事の掲げる世界水準の次世代産業の推進を具体的にどのように進めていかれようとするのか伺います。
 次に、貧困の連鎖を断ち切る就学前教育について伺います。
 知事は、全ての子供を大切にする社会づくりを行うためにひとり親家庭や生活困窮世帯の子供への学びの機会の提供を掲げられました。OECD諸国における日本の教育費の低さが指摘をされておりますが、特に就学前教育に係る教育費は最低レベルにあります。アメリカで行われた調査によると家庭の社会的経済状況を反映した学力格差は小学校一年生の段階で既に存在しており、経済状況が不利な家庭の児童に対して質の高い就学前教育を提供することは大きな効果につながっているとの報告があります。経済的に恵まれていない家庭の児童は小学校入学時点で既に経済的に恵まれている家庭の児童に学力差をつけられており、その後の低学力、低学歴へとつながり社会人となって再び不利な社会経済状況に立たされるという貧困の連鎖を断ち切るためには、経済的に恵まれていない家庭の児童に対する就学前段階からの早期の積極的な支援が必要であります。教育の充実は将来の貧困を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切る有効な政策であります。
 国における幼児教育無償化の議論の主な論点が財政面に偏っていることは大変残念ではありますが、その実現にはしばらく時間がかかることが想定されます。
 本県として、就学前の教育に焦点を当てて子供を大切にする社会づくりを進めていく柱にしてはと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、こども医療費助成について伺います。
 平成二十一年六月議会の代表質問で私は、乳幼児医療費助成制度の名称をこども医療費助成制度に変更し対象年齢を未就学から中学三年まで拡充するとともに、市町の財政力に応じた負担割合の見直しなどを提案をいたしました。県では平成二十二年十月よりこども医療費助成制度と名称変更し、入院の対象年齢を未就学児から中学三年まで拡充、市町に対して財政力に応じた補助率を導入いたしました。平成二十三年九月議会の代表質問では中学三年までの通院助成を提案、平成二十四年十月より通院の対象も中学三年まで引き上げが実施されました。
 さらに私どもの会派では、平成二十七年六月の議会の代表質問で、高校生の親御さんから義務教育中は負担が減り大変助かったが、高校に進学すると一気に負担感が増しやりくりが大変である。病気やけがをしても受診を控えることがあるとの話を伺い、対象年齢を十八歳まで拡充すべきと提案いたしました。既に入院では沼津市を初め七市町、通院を含めると六市町が対象年齢を十八歳までとしており、保護者の皆さんから大変助かっていると伺っております。子育て支援における地域格差は一刻も早く解消すべきあります。
 国では、一昨年二月の参議院代表質問で公明党の山口代表がこども医療費の窓口無料化を行っている市町村に対してペナルティーを見直すよう主張した結果、未就学児を対象とする助成について減額措置を平成三十年度以降やめると決めました。未就学児といった限定はあるものの、市町の財政的な負担軽減につながると評価をしております。
 さて、知事は先日の記者会見でこども医療費助成制度を高校生まで拡充すると発表されました。大変喜ばしいことでありますが、拡充に向けて今後どのように進めていくのか伺います。
 次に、情報戦略の再構築についてのうち、CIOへの民間人の専従起用について伺います。
 知事は、行財政改革の推進について本年度行財政改革大綱が終了することを受けて、仮称静岡県行政経営革新プログラムを策定していくと述べられました。私はその柱となるのは情報戦略の再構築であると考えています。ITの効果的な利活用は仕事の生産性を飛躍的に向上させ、県民の福祉の向上に直結、職員の働き方の改革へとつながっていきます。
 例えば、仕事は職場で行うのが当たり前、情報のやりとりはメールで行うことがベストという固定概念や仕事の文化を変えていく大きな武器になっていきます。育児や介護など職員のライフスタイルに応じた在宅勤務や出張等庁外で業務を遂行できる働き方、ウエブ会議システムなど、その実現のための外部記憶装置のないシンクライアントシステムの導入など早急な対応が必要です。
 また、将来は一方向のメールのやりとりから双方向で対話するチャットへと変わっていくことも想定がされます。すなわち会議室での会議から場所を問わないウエブ上での協議や庁内SNSでの情報共有、情報の蓄積ができるようになれば仕事の効率は飛躍的に高まっていくと確信をいたします。
 現在、情報戦略を統括するCIOは吉林副知事が兼務し民間のCIOアドバイザーを置いて情報の管理、運用を行っております。私は固定概念や仕事のやり方を抜本的に変えていくためには民間人をCIOとして任用し、権限と立場を持って仕事をしていただくことが必要と考えますが、県の所見を伺います。
 次に、働き方改革の基本的な方向性について伺います。
 政府も、安倍総理みずから働き方改革実現本部の議長として、日本経済の再生に向けて最大のチャレンジは働き方改革であり、働く人の視点に立って労働制度の抜本改革を行い企業文化や風土も含めて変えていく働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段と位置づけています。働き方改革を進めていく上で、決められた時間内に高い生産性を実現させるためのツールとしてICTの利活用は重要なファクターであります。
 一方、労働時間の短縮を行うことは働く皆様にとっては残業手当が減少するという側面もあります。民間企業においては、生産性を高め成果を出している社員や管理職に対する高い評価と削減された残業手当を原資として新たに配分することでモチベーションを高める人事賃金制度改革に着手をしています。
 昨年二月議会で健康経営に関して質問で取り上げさせていただきましたが、県政発展のためには優秀な人材の確保と生き生きと働くことのできる職場環境の整備が必要であります。残業時間の削減だけではなく、生産性の向上や健康経営の実現につながる改革であると同時に人事評価、賃金制度の改革にも取り組む必要があります。
 県は、働き方改革を具体的にどのような方向で進めていかれようとするのか伺います。
 次に、ICT教育の推進について伺います。
 未来を担う子供たちには、グローバル化する現代社会において課題を見出し解決する力、困難を乗り越える力、多様性を尊重し異文化を受け入れて組織力を高める力などが求められています。体験型、課題解決型の学習によりこうした能力を身につけていくことが可能となり、ICTを有効的に取り入れ能動的に学べる環境が必要であると考えます。
 文部科学省では、子供たちが主体的、対話的に学習するアクティブラーニングの視点に立った授業改善を目指し、ICTを活用して質の高い学びを実践し資質、能力を身につけ、生涯にわたって能動的に学び続けることを実現するために学習指導要領の改訂作業を進めています。本県においても学校におけるICT機器の整備に取り組み、特に有効と思われる中山間地域、具体的には県立川根高校において大学と連携した授業も実施されています。
 しかしながら、その取り組みは緒についたばかりであり他県と比較しても決して進んでいるとは言えない状況であります。学習指導要領の改訂への対応はもとより、教育環境が飛躍的に向上する可能性があるICT環境の整備が急務となっております。
 そこで、本県の教育現場におけるICT教育の推進について、取り組みの現状と今後の方向性について教育長に伺います。
 次に、観光戦略について伺います。
 初めに、海の恵みを享受した観光戦略についてであります。
 政府は、二〇二〇年に外国人観光客数を四千万人にする目標を掲げておりますが、私は潜在的ポテンシャルはもっと大きいと考えております。例えば二〇一五年海外へ渡航した中国人は一億二千二百万人、そのうち日本に来たのはわずか五%、今後五年間で海外への渡航者数は七億人に達すると予想され仮にその五%が来日すると三千五百万人になります。
 本県には、世界で最も美しい湾クラブに認定された駿河湾、世界のダイバーが憧れる大瀬崎、サーファーのメッカとなっている静波海岸、ウインドサーフィンの全国大会が開催される牛臥海岸、夏には多くの海水浴客が訪れる下田の白浜海岸など数多くのマリンスポーツや海を楽しめる場所が存在しています。海は夏だけでなく、一年中で一番青く透き通り霊峰富士の眺めも最高に美しいのが冬の駿河湾であります。また沼津では歴史的な視点からロシアとの交流を掘り起こし、沈没したロシア船籍「ディアナ号」の船員のために建造した「ヘダ号」を再建しようとするプロジェクトが民間主導で動き始めています。
 国内のみならず、世界中に本県の海のすばらしさ、美しさを発信してより多くの観光客の誘致に取り組んでいくべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、無料WiFi環境の整備について伺います。
 海外からのお客様を受け入れている県内観光地などで現状の課題を聞くと、一番多い悩みは言葉の壁であります。英語のみならずフランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語などなど身ぶり手ぶりで対応してもなおコミュニケーションの面での困難が大きい状況であります。
 その課題を解決する手段の一つが無料WiFi環境の整備であります。
 訪れる訪日外国人のほとんどはスマートフォンなどの携帯端末を持ち歩いており、翻訳のアプリケーションが充実していることを考えると端末機器がどこでも使える環境整備により言葉の障壁を低くすることが可能となります。端末機器を使える条件整備となるのが無料WiFiの整備でありますが、現状県内全ての観光施設や観光地で利用できる環境にはなっておりません。
 無料WiFi環境が整備をされれば、言葉の壁の解消だけでなく周辺施設の情報提供や災害時における避難誘導の情報提供などさまざまな効果が期待でき大きな観光戦略の武器となることから、早急な整備が必要であります。県の所見を伺います。
 次に、多言語表記について伺います。
 県は、東京オリンピック・パラリンピックなどを見据えて伊豆半島の景観形成行動計画を策定して伊豆半島をモデルとして魅力的な沿道の景観をつくるため、屋外広告物対策に取り組むと承知をしております。
 一方で、県内を訪れる海外の旅行客からは日本語表記しかなくて目的地まで行くには大変苦労した、また観光施設や案内板の表記もせめて英語の表記があればもっと旅行を楽しめるのにといった声が聞こえてきます。各施設において独自に多言語の標識や案内板を設置しているところもありますが、景観形成という観点から標識や案内板における表記に関して言語の種類、文字の大きさ、標識、案内板の色など統一感のある表記が必要と考えます。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催、その後の外国人観光客の受け入れ等に向け観光案内版などについて統一感のある多言語表記を進めていく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、訪日誘客支援空港認定について伺います。
 今月四日、国は地方空港の国際航空ネットワークの充実とインバウンド増加に向けて全国二十七の空港を訪日誘客支援空港と認定し、本県の富士山静岡空港も拡大支援型の空港として認定されたところであります。認定された空港に対して国は国際線着陸料に対して三分の一の補助を最大三年間行うほか、旅客の受け入れ環境の高度化として出入国容量拡大等に資する施設整備に対する補助やCIQ施設の整備に対する補助メニューなども検討をしています。
 認定を受けたことは喜ばしいこととは思いますが、認定された拡大支援型の空港は十九空港あり、地方間競争に勝ち具体的な効果に結びつけていくためにはスピード感を持って取り組む必要があると考えています。
 県として、認定に伴いどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、津波防災対策について伺います。
 知事選で知事は、一貫して危機管理の重要性を訴えられ、所信表明では最優先すべきは命を守る安全な地域づくりであると述べられました。
 東日本大震災の教訓を生かし津波による被害を最小化するため、国はハード・ソフトの施策を柔軟に組み合わせてさまざまな対策を総動員させる多重防御の発想により、地域活性化の観点も含めた総合的な地域づくりの中で津波防災を推進する津波防災地域づくりに関する法律を平成二十三年十二月に成立、施行いたしました。その基本理念は何としても人命を守るであります。
 平成二十五年六月に策定した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の中で、今まで具体的な対策が弱かった津波対策に対して三つの柱、すなわち津波を防ぐ、津波から逃げる、津波に備えるを立てて約三十項目にわたる具体的なアクションを掲げて取り組んでまいりました。
 ことし二月の改訂において、新たに津波災害警戒区域の指定推進が加わり沿岸二十一市町が平成三十四年度末までに一〇〇%指定することを目標にいたしました。現在東伊豆町、河津町が指定を済ませ、伊豆市が指定に向けて前向きに検討を進めています。しかし警戒区域の指定は県と各市町の連携、そこに暮らす方々の理解と合意が何より重要であります。
 知事が決意をされる命を守る安全な地域づくりを実行するには、警戒区域の指定だけではなく住居エリアや公共エリアの高台移転も含めた究極の事前復興や避難計画の作成、その計画にのっとった避難訓練の定期的な実施などが必要であります。津波防災対策はハードの整備とともに、そこに暮らす県民が最大限の自助を日常的に進め地域のきずなを強化していくことが必要と考えます。
 そこで、津波による九万六千人の想定犠牲者を最小化するために今後ソフト対策をどのように進めようとしているのか、知事の決意を伺います。
 次に、沼津駅周辺総合整備事業について伺います。
 沼津駅の鉄道高架を含む沼津駅周辺総合整備事業について、川勝知事とこの議場で八年間さまざまな議論を重ねてまいりました。改めて県の重要事業であり県東部の一大プロジェクトを完成させるには本当に大変な苦労があるなと、こう実感をしております。
 しかし、この八年間の歩みは時間はかかりましたが、知事が直接地権者のところに赴き対話をされたこと、JR貨物などの関係機関と直接交渉されたことやPIに代表されるように事業に賛成、反対の異なる意見の人たちが同じテーブルについて徹底して議論を交わすなど合意形成を丁寧に進めてきたことは貴重な経験として残っていくと考えています。
 知事も選挙期間中、沼津駅の鉄道高架については反対する理由はなく、一貫してその重要性を訴えられました。地元の沼津市の大沼市長も、事業を推進すると推進に大きくかじを切られたことにより県と市の足並みはそろったと歓迎しています。
 一方で、これまでの経緯の中でどのような状況になろうともかたくなに反対する地権者がおられることも事実であります。事業推進の鍵を握る新貨物ターミナルの用地取得については本年度も新たな契約を締結できたと聞いており、日夜奮闘する県や沼津市の職員の地道な努力に感謝をする次第であります。今後も県と市が一体となってさらに強力に用地の交渉を進めていただくよう切望するものでありますが、事業を着実に推進していくためには法的な措置が必要となる時が来るのではないかと考えざるを得ません。
 本事業は大規模な事業であり着手後も長い年月がかかることは承知していますが、完成までの間、跡地利用など工事期間中でもさまざまなまちづくりの効果があらわれると仄聞しております。市民の方により一層事業に対する理解を深めていただくためには、そうした具体的に目に見える事業効果をもっとPRしていく必要があると考えます。
 そこで、本事業推進に対する知事の決意を改めて伺うとともに、今後のスケジュール並びに具体的に目に見える事業効果について伺います。
 次に、沼津市西部地域の基盤整備についてのうち、県道三島富士線のバイパスの早期完成について伺います。
 沼津市の発展は、さきに触れた沼津駅周辺総合整備事業による駅周辺の中心部と原、浮島、愛鷹などの西部地域、香貫、三浦、戸田などの南部地域の発展が欠かせません。
 特に、西部地域については東名高速の愛鷹パーキングエリアと新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアのスマートインターチェンジが開通。国道一号沿いに大型商業施設が開業を予定するなど、慢性的な渋滞が課題となっている地域にさらなる交通量の増大が見込まれています。
 大動脈の国道一号の渋滞対策として、東駿河湾環状道路の沼津岡宮インターチェンジから原までの七・九キロのうち二・六キロ区間が平成二十七年度に新規事業化されたところであります。残りの五・三キロ区間については今後引き続き国に対して要望し続けなければなりません。
 国道一号の北側には、主要地方道三島富士線、通称根方街道があります。狭隘区間も多く、路線バスなどとのすれ違いのときには歩行者や自転車の通行に危険が伴うことも多く、地元自治会からは継続してバイパスの早期整備が要望されているところであります。
 県は、沼津市と連携して現在約二・二キロ区間については平成三十年代前半を目標として整備していますが、残された約三キロ区間については整備方針さえも決まっていない状況であります。沼津市西部地域の道路ネットワークを早期に完成させ、沼津市全体の発展を後押しすることが求められています。
 そこで、私は残り約三キロ区間の整備目標について明示し地域住民の皆様に希望を持っていただくことが必要であると考えますが、県の整備目標に対する決意を伺います。
 次に、原・浮島地区における道の駅の整備について伺います。
 沼津市では、原・浮島地区におけるまちづくりの拠点となる施設として、仮称道の駅・するが原宿の整備に向け有識者、地元代表、行政による検討委員会を設けてあり方を検討しています。地元沼津市商工会においては小規模事業者の減少に歯どめをかけ持続的な発展を図るための一店逸品運動を実施し、そこでできた商品、サービスの販路拡大の拠点として道の駅建設による地域基幹産業の再生を目標にさまざまな活動を展開をしております。現在地元自治会と商工会が中心となり地元の住民に対してアンケート調査を行うなど地元として機運の醸成を図っています。
 国土交通省も、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供や地域の振興に寄与することを目的に道の駅の制度を創設しております。このような中、国道一号における道の駅富士から道の駅箱根峠までの約四十キロ区間の当該地域への道の駅の建設は地域活性化の拠点施設としても大きく寄与できるものと考えています。設置主体が沼津市であることは十分理解をしておりますが、今後建設予定地の選定や国土交通省との調整が必要となっており、地域活性化の核となる道の駅を実現するためにはさまざまな課題について県としても沼津市と連携して取り組んでいくことが必要ではないかと考えています。
 早期整備に向けて県の積極的な支援を望みますが、所見を伺います。
 次に、学ぶ機会の確保についてのうち、私立高校の保護者の負担軽減について伺います。
 大学などの高等教育については、量的な問題を抱えながらGDP比の公の支出はOECD諸国の中でも最低水準であり中所得者層でも教育費の負担が大きな課題となっています。
 国は、本年度から公明党などの推進により給付型奨学金を導入しており、このことが高等教育の無償化への流れとなり高等学校の授業料の無償化につながるものと考えます。
 本県における私立の高等学校の生徒に対する授業料助成制度は、国の就学支援金に上乗せして年収三百五十万円未満の世帯に対して月額一万八千円の授業料の減免を行っております。東京都においては国に先んじて私立高校の授業料の実質無償化を実現。年収約七百六十万円未満の世帯に拡大を図りました。また埼玉県では年収六百九万円、大阪府では五百九十万円、京都府では五百万円までの世帯に対する独自の助成を行っています。
 教育格差の是正を図り私立高校の保護者の負担軽減のためには、県単独の助成をさらに広げていくことが必要であると考えますが、人材の育成、全ての子供を大切にする社会づくりを掲げる知事の所見を伺います。
 次に、特別支援学校の通学手段の確保についてであります。
 先日、沼津特別支援学校の中等部に通う保護者の方から相談を受けました。現在遠距離の通学で片道の通学時間は学校のスクールバスで約一時間半にも及ぶということであります。高等部生徒のスクールバスの利用に関しては学校の検討会議で最終決定されるとのことですが、高等部に進学すると通学に関しては社会生活への適応の観点から公共交通機関を利用しての通学が原則で、スクールバスに乗ることができなくなるのではないかと心配をされておりました。
 沼津特別支援学校に関しては、平成三十三年度を目途に現在の東部特別支援学校の跡地に新たな知的の特別支援学校が建設される予定であります。完成までに時間がかかること、それまでの間の対応について生徒数の増加が見込まれる高等部の生徒に対して通学手段の確保の面から保護者の不安が大きくなっております。このことは沼津特別支援学校に限らず、県内の特別支援学校に通学する全ての保護者の共通の不安であると言っても過言ではありません。特別支援学校に通う生徒に対し各学校の校長の判断でスクールバスに乗れない生徒の通学に対する就学奨励費を活用した支援制度がありますが、十分な説明がされておらず、これまでも何度か保護者の方から同様の御相談をいただいております。通学に関して不安を持たれている保護者が多くいると感じています。
 そこで、特別支援学校における通学手段の確保について丁寧な説明と保護者に対する不安の解消を一刻も早く行うべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
 次に、中小企業に対するデザイン支援について伺います。
 早稲田大学の恩蔵直人教授は、「日本企業にデザイン視点が浸透しビジネスに携わる人々にもっと理解してもらえば製品開発力やマーケティング力はレベルアップするはずで、世界の有力企業がデザインに目を向け始めた二〇〇〇年前後から日本の企業の低迷が始まっており、日本企業による世界に向けての大型製品はほとんど生まれていない。もちろんデザインが全てではないが、デザイン視点は日本企業が競争力を取り戻し世界市場で再び輝きを放つ上での鍵を握る」と指摘をされております。
 本県の中小企業が生み出す製品はすばらしいものが数多くあります。しかし機能面や品質、操作性がよくても、それだけで競争が激化している社会を勝ち抜いていくことはできません。審美性や先進性、心地よさや独自性のすぐれたデザインは製品の差別化に結びつき、企業の競争力の向上につながっていくと考えられます。デザインの優位性が理解されても、中小企業がデザインに対する投資を独自で行うことは極めて厳しい現実があります。
 県内の産業を支える中小企業が、デザイン力を向上させ製品の差別化を通して競争優位を生んでいくためにはそれぞれの企業に対するデザイン面からの支援が必要と考えますが、県の支援について伺います。
 次に、特定外来生物対策について伺います。
 五月二十六日に兵庫県の尼崎市でヒアリが国内で初めて発見されて以来、連日のようにヒアリに関する報道が行われ内陸部へ広がる危険性も指摘されております。ヒアリについては刺された場合アナフィラキシーショックを起こし死に至ることさえある危険な特定外来生物であり、生態系への影響も含め大変懸念をしております。
 外来生物法では、生態系に被害を及ぼし、または及ぼす恐れのある外来生物を特定外来生物として指定しており、現在百三十種以上がリストアップされております。アライグマなどは農業や家屋へ被害を及ぼしており、セアカゴケグモやヒアリのように毒を持つものに刺されて腫れや痛みを生ずる人など人の命や身体への影響を及ぼすものもあります。県内には清水港、御前崎港、富士山静岡空港などの海外とのつながりを持つ主要な物流拠点があり、今後このような経路から侵入した特定外来生物が発見されることも予想されます。これだけ生活様式が国際化していると一〇〇%侵入を避けることは極めて厳しい状況であると言えますが、侵入の水際対策も大変重要であり徹底した対応を求めておきたいと思います。特定外来生物について一般に広く知られていないことも多く、県民が適切な対応をとるためには県民に対する的確な情報提供が必要と思われます。
 そこで、ヒアリをはじめとした人の命や身体への影響を及ぼすような特定外来生物に関し県民に対してどのように対応するのか伺います。
 次に、成年後見制度の利用促進について伺います。
 認知症や障害により自分では物事の判断が十分にできないため、第三者が身上監護や財産管理を行う成年後見制度の利用者が平成二十八年十二月末時点で二十万三千五百五十一人に上ると最高裁判所の調査結果が発表されました。静岡県社会福祉協議会の調査では、この成年後見制度を初めとする権利擁護を必要とする人が県内に少なくとも二万二千四百二十七人いるとの結果が出ています。
 一方で、この制度の平成二十八年十二月末現在の利用者数は六千三十七人でありました。今後高齢化の進展、家族形態が変化しひとり暮らしの高齢者もふえる中、成年後見制度に対するニーズはさらに高まっておりますが制度の周知が図られていないのが現状であります。
 先日、静岡県司法書士会の皆様と意見交換会を開き、制度の利用促進を図る上で成年後見実務に精通した専門職の御意見を踏まえて進めていくことが非常に重要であると実感をいたしました。制度が始まったころに比べ弁護士や司法書士など親族以外が後見人となるケースは年々ふえ、県内では平成二十八年には約七一%を占めております。今後は専門職後見人や法人後見人に加えて市民後見人への期待が高まっており、県は市町と連携して市民後見人の養成に力を入れるべきと考えます。市民後見人の育成やその活動を支援する体制として、県では平成三十一年度までに全ての市町で成年後見実施機関を設置することを目標にしておりますが、現在設置されているのは十市町、準備中は十市町、あとの十五市町は未着手という状況であります。この中には市町単独での設置が困難と思われる市町もあり広域連携に向けた支援も必要であります。
 そこで、平成三十一年度までに成年後見実施機関を全ての市町で設置するという目標達成に向け、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 あわせて、どの地域に住んでいても必要とする人が成年後見制度を利用できるような地域の体制づくりに向け、権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築にどう取り組むのか伺います。
 次に、難病患者に対する支援について伺います。
 国の指定難病は、これまでの五十六疾病から本年四月には三百三十疾病まで拡充され多くの難病に苦しむ患者から喜びの声が聞こえる一方、難病指定されず病気と闘い続けている患者も数多くいらっしゃいます。
 先日、ME――筋痛性脳脊髄炎、CFS――慢性疲労症候群の患者、支援者の皆様からお話を伺う機会がありました。病気そのものの苦しさのほか診断までに時間がかかったことや専門医の不足、経済的な負担、病気に対する無理解など大変な状況を聞かせていただき心が痛みました。この病気のほか原因不明、治療方法の確立されていない難病患者が県内にも数多くいらっしゃいますが、県として患者数の把握も含めてその実態さえ把握されていないのが現状であります。
 私は、これら病気に苦しむ皆様に対して、県として少しでも将来に希望を持ち日々生活できる環境の整備が急務であると考えています。特に身近に治療を受ける医療機関がないことが多く、通院、治療にかかる交通費など経済的に大きな負担となっております。
 そこで、難病指定されていない難病患者の皆様に対する支援策として例えば医療機関に通院する交通費の一部を助成する制度を県として創設してはいかがかと提案をいたします。県の所見を伺います。
 最後に、特殊詐欺被害防止対策について警察本部長に伺います。
 本年に入っても特殊詐欺被害は依然として高水準で発生しています。県警としても最重要課題として取り組みを進めておりますが、それをあざ笑うかのごとく特に四月以降は発生に拍車がかかっている状況にあります。
 本年一月に内閣府が行った特殊詐欺に関する世論調査でも、七十歳以上で五〇%の高齢者が自分は被害に遭わないと回答しその理由としてだまされない自信があるからと答え、みずから被害防止対策を行っていない実態が明らかになりました。しかしながら被害の実態を見ると被害者の八割は高齢者であることから、自分はだまされないと過信する高齢者に被害の実態を知らせみずから防止策をとっていただくことが被害防止対策の鍵となると考えます。内閣府の調査では犯人の検挙のほか犯人が使用する携帯電話を使えなくする対策や電話機器の普及など警察や自治体に求めています。預金小切手など抑止対策において全国の警察を牽引する本県警察の取り組みは高く評価されておりますが、特殊詐欺被害がとまらない現状を踏まえてより一層の取り組みを期待をしております。
 そこで、特殊詐欺の摘発状況及び被害防止対策について警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答えいたします。
 まず、私の三期当選に対しまして御祝辞を賜りましてありがとうございました。
 さて、私の政治姿勢、特に人口減少対策についてであります。
 本県では、後期アクションプランの重点取り組みに人口減少社会への挑戦を掲げ、県民の英知を結集して美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしまして、人口減少の克服に向けてオール静岡で取り組んでいるところであります。評価に対しましてはこの県民会議や地域会議、県議会において取り組みの御評価を賜っております。PDCAサイクルを回しまして施策の見直しや改善を徹底しているところでございます。
 しかし、議員御指摘のとおり人口の転出超過は依然として改善されておりません。特に若者の転出超過が顕著であります。このことに危機感を抱いておりまして、克服すべき大きな課題であり、また同時に挑戦すべき課題であると認識しているところであります。
 転入超過は四十七都道府県のうち七都府県であります。東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県この順位で東京都が突出しておりまして四都県で十万人以上、そのうち七万人以上を東京都が吸収していると。東京都は合計特殊出生率も全国で最低でございまして、したがってそこでは人口の転入がない限り人口がふえないといういわばアリ地獄的な状態になっているというふうに思っているところであります。
 そうした中で、転出超過の主な原因については若者が進学や就職の際に主に東京圏などの県外に転出してそのまま定着していることにあるということが統計上わかっております。県外に転出した若者を対象としたアンケート調査では、Uターンしたくない理由として「やってみたい仕事や勤め先がない」、「給与水準が高い仕事がない」、「交通アクセスが悪い」、「娯楽・レジャーの場や施設がない」などが挙げられております。
 このため、課題がわかっておりますので差し当たって静岡U・Iターン就職サポートセンターやしずおか就職ネット等を通じまして東京圏等に進学した若者に本県企業の情報を強力に発信するとともに、誰もが将来に明るい希望が持つことができるように静岡県の魅力を発揮できる実効性のある施策を現在全力で推進しているところであります。次世代産業の創出、企業誘致などはそれらの一つでございますが、豊かさの基盤となる経済発展、雇用の創出に取り組むとともに県民の命を守り福祉を充実させまして、若者が静岡で働きたい、静岡に住みたいと思える魅力ある地域づくりを進めてまいります。
 四十道府県におきましてみんな転出超過であります。なるほど絶対数は下から数えたほうが早いわけですけれども、いわゆる減少率というところで見ますと大体中位というところでございますので、これは全国的な課題なので我々としてはこの若者の東京圏、特に東京都への転出をとめるために先頭に立って今言ったような施策を講じたいと思っております。
 本県が真の地方創生の先導役を担うという強い気概を持ちまして、国土のシンボル富士山を擁する本県の地に誰もが、特に若者が希望を持ちみずからの夢を実現して物心ともに幸せを実感できるドリームズ カム トウルー イン ジャパンの拠点を創り上げ、世界の若者が憧れるふじのくにを築いてまいりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、私の公約実現のための具体策についてのうち、世界水準の次世代産業の推進についてであります。
 県は本年二月に、IoTを初めとする技術革新の波や労働力不足などの産業界を取り巻く環境の変化に対応し本県経済の持続的発展を図るため、産業成長戦略二〇一七を策定いたしました。この新しい戦略では、産業界からの御要望を踏まえ次世代産業の育成を進めるため成長分野への地域企業の参入促進に重点的に取り組むこととしております。
 このためには、いわゆるイノベーションの概念を経済学に初めて取り入れたシュンペーターの経済発展の理論にのっとりまして企業など多様な主体、さらに研究機関、大学、技術やアイデアをお持ちの方々などに集まっていただきまして意見交換を行う中で新しい価値、新しい素材、新しい素材の供給地、新しい生産組織、新しい生産方法、新しい商品、新しい市場などこれらを考えるオープンイノベーションの考え方に基づき産業集積を進めている現在のクラスターをさらに発展、進化させるとともに、新しい成長産業についてもクラスターを形成していくことが重要だと考えております。
 具体的には、静岡新産業集積クラスターにつきましては支援機関の機能強化を図ります。そして各プロジェクトをさらに推進します。フォトンバレープロジェクト、これは西部でございますが、本年四月に浜松地域イノベーション推進機構にフォトンバレーセンターを新設いたしまして地域企業のプロジェクトへの参入を進めてまいります。
 また、東部のファルマバレープロジェクトでは専門性の高い事業を機動的に行えるよう来月には新法人を設立しましてファルマバレーセンターを独立させます。これにより製品化の加速や地域企業の医療健康分野への参入を促進し、現在医薬品・医療機器合計生産額ほぼ一兆円でございますけれども、全国一位でありますがこれを二兆円の目標といたしましてその達成を目指してまいります。
 さらに、次世代自動車、航空機、CNF――セルロースナノファイバーでありますが、などの新しい成長産業の分野につきましては専門のコーディネーターの活用や大学との連携により技術相談から研究開発、販路開拓までの一貫した支援によるプロジェクトを積極的に進めるとともに、産業技術総合研究所が有する高度な技術シーズを活用し共同研究や製品開発などを行う地域企業に対し支援をしてまいります。
 加えて、農業、食品、健康を総合した産業振興に取り組む、いわゆるAOIプロジェクトにおきまして産学官金、農商工分野の多様な主体の参画を促し研究開発成果の実用化、事業化につなげるビジネスマッチングを進め、農業を基軸とした関連産業のビジネス展開を支援してまいります。
 県としましては、本県に備わる世界クラスの地域資源や人材群などのいわゆる場の力、潜在力を最大限に顕在化させ、高い技術力を有する県内企業が世界に向けて挑戦する新しい取り組みをこれまで以上に積極的に支援することにより世界水準の次世代産業の育成に取り組んでまいります。
 次に、訪日誘客支援空港認定についてであります。
 今般、議員御指摘のとおりこの月の初めに富士山静岡空港が国から高いレベルの訪日誘客、就航促進の取り組みを行う訪日誘客支援空港として認定をされました。そして訪日外国人を受け入れる日本ゲートウエーとしての機能の一翼を担う富士山静岡空港は、この拡大支援型の筆頭に挙げられております。どうして筆頭に挙げられてるのかわかりませんが国交省からの出された資料によりますと静岡、仙台、熊本、茨城、北海道の順番でなっておりますので、地域順ではなく恐らく可能性を評価しての順位であるということで我々その期待に応えたいというふうに思っております。
 富士山静岡空港を含むこの十九の地方空港が、議員御指摘のとおり国際線の着陸料に対する支援などを受けられる拡大支援型空港として認定されておりますことから、全国的な訪日誘客獲得競争が激しさを増すことは間違いありません。いかに路線誘致を優位に進めるかが重要な鍵となります。
 これまでの県の減免制度に加えまして、今回認定で得られる国の支援を活用いたしまして新規就航、増便する国際線の着陸料が実質三年間無料となります。このメリットを生かし本県の訪日誘客の司令塔である静岡ツーリズムビューローとも連携し、世界遺産富士山を初めとする本県の持つ世界クラスの観光資源を生かした誘客対策を展開し路線誘致にスピード感を持って取り組んでまいります。
 また、現在進めております旅客ターミナルビルの増築・改修工事、来年の秋には完成いたしますが、現在国際線を一時間に一便しか受け入れることができませんが、これが完成いたしますと三便受け入れられる機能を確保することができます。また免税売店の拡大、ラウンジやムスリム対応の礼拝堂なども新設されまして、こうした空間が現在の三倍弱になります。外国からの利用客がお楽しみいただき、また安らげる場所も確保できます。
 県といたしましては、富士山静岡空港の国際線航空ネットワークの拡充を推進いたしまして、首都圏空港の一翼を担う日本の玄関口として県民の皆様はもとより海外の皆様に選ばれるように引き続き全力で取り組んでまいります。
 次に、沼津駅周辺総合整備事業についてであります。
 沼津駅周辺総合整備事業は、交通の円滑化や駅南北の市街地の一体化を図るとともに、都市の発展に資する新たな土地を創出するなど県東部地域の拠点としてふさわしいまちづくりに必要な、また不可欠な事業であり沼津市と一体となって推進を図っているところであります。
 これには長い歴史がありますけれども、私が就任する直前は反対派、賛成派が厳しい対立関係がございまして用地の交渉も難航しておりました。最初の一期目におきましては両者に会っていただき徹底的に話し合いをしていただく四年間に相なりました。それを受けまして平成二十六年二期目の最初には反対派の方たちと四回会談を重ねまして、その要望を取り入れその要望を持ってJR貨物の社長、また会長と単独で面会し、そしてその要望を受け入れていただきました。そしてこの受け入れていただいたのが平成二十六年の秋のことでございましたが、平成二十七年二月から新貨物ターミナルの用地の交渉を再開いたしましたところ当時四十六件まだ残っていたわけですが、今既に十二件の用地を獲得することができまして本年五月の契約締結による取得率は八割を超えるまでになっております。残り三十四件ございますけれども、二十五件は権利者の方が継続協議に了承をいただいております。
 こうした動きがさらに進むように、沼津市長が昨年秋に当選されましてことしの初めにこの事業を推進すると表明され、それにとどまらず沼津市長御自身が地権者の方々を一軒一軒御訪問になっておられまして用地提供の御協力をお願いされております。まことに頭の下がる思いでございます。私といたしましては、沼津市長さんと一体的にこの件につきまして地権者の方々に駅周辺の方々並びに原町の方々ともにウイン・ウインの関係になるのだということを丁寧に御説明を申し上げまして、早期の土地の取得を目指し市が進める用地交渉に積極的に御協力してまいりたいと考えております。
 また、工事着手後五年程度で事業全体の完成を待たずして地域の活性化に資する鉄道施設跡地の利用が開始され、また歩行者の暫定的な駅南北の自由往来も可能になると考えております。
 県といたしましては、常に事業効果の前倒しを念頭に置いて早期の事業完成を目指し、これまで以上のスピード感を持って誠心誠意取り組んでまいりたいと覚悟しております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。ありがとうございました。
○議長(杉山盛雄君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 知事の公約実現のための具体策についてのうち、貧困の連鎖を断ち切る就学前教育についてお答えをいたします。
 県では、静岡県子どもの貧困対策計画を制定し教育の支援、生活の支援、保護者の就労支援、経済的支援の四つの重点取り組みを掲げまして、子供の貧困対策を総合的に推進し子供たちの将来が生まれ育った環境に左右されることなく未来に夢と希望を持って成長することを目指しております。
 教育の支援は、成長段階に即したきめ細やかな学習支援や教育相談体制を充実することで学びと社会性を育み自制心や忍耐力などを培い、さまざまな環境に適応する能力を身につけられることによりまして将来にわたり安定的な就労を促進することができますことから、生活基盤をしっかりと築くことができ貧困の連鎖を防ぐための有効な手段であります。特に就学前教育は家庭の中だけでなく保育所や幼稚園等でも行われておりまして、遊びを通しての豊かな感性や好奇心、探求心など学習意欲の基礎を養うことから、生涯にわたる人間形成のためにも重要でございます。
 このため、教育委員会と健康福祉部等が連携をいたしまして静岡県就学前教育推進協議会を設置し保育所や幼稚園等における就学前教育の内容の充実と質の向上を図っております。また平成二十八年四月に県庁内に幼児教育センターを設置いたしまして、就学前教育に携わる全ての職員を対象にした研修を充実させてまいりました。さらに本年度からは幼児教育アドバイザーを要請に応じて施設に派遣するなど各市町や保育所、幼稚園等の就学前教育を支援し、教育力の一層の向上に努めております。
 また、保育所等の利用料の軽減措置やひとり親家庭などへの優先的な入所に配慮するなど子供を持つ家庭への総合的な支援を行い、全ての子供たちが貧困など置かれている状況にかかわらず就学前教育を受けられる環境を整えております。
 県といたしましては、今後も教育委員会と一体となりまして就学前教育の支援に積極的に取り組み、個人として自立し人とのかかわり合いを大切にしながら社会に貢献できる有徳の人の育成を進めることで貧困の連鎖の解消を図り、全ての子供を大切にする社会を実現してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 知事の公約実現のための具体策についてのうち、こども医療費助成についてお答えいたします。
 こども医療費は、子育て家庭の経済的負担の軽減を図り安心して子供を産み育てられる環境を整備するための重要な施策であります。県ではこれまでも市町の理解と協力をいただき制度の拡充を行ってきております。議員からもありましたが平成二十四年十月には当時全国四番目に入院に加え通院ともに対象を中学校三年生まで拡充するなど、本県の助成水準は全国的にも充実しているところでございます。
 こども医療費助成制度を高校生まで拡充することにつきましては、高校在学中の子育てにかかる家庭の経済的負担を軽減するものとして子育て世代から多くの要望があります。一方制度の拡充に当たりましてはこども医療費助成の実施主体である市町に新たな財源負担や事務負担の増加が生じることから、制度の拡充に対する市町の理解と協力が不可欠なものとなります。
 このため、実施に当たりましては市町に事業効果や制度拡充の趣旨などの説明を丁寧に行い、情報を共有しながら導入に向けて県と市町が連携して進め「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、成年後見制度の利用促進についてであります。
 ひとり暮らし世帯が増加する中、認知症や障害により判断能力が十分でない方の権利を擁護する成年後見制度の利用促進を図ることは大変重要でございます。
 県では、成年後見制度の利用の促進に関する法律の施行も踏まえ、市民後見人の育成や活動を支える成年後見実施機関の設置に向け市町や社会福祉協議会の職員を対象とした研修を実施するほか、市町が行う制度の説明会や市民後見人の育成研修を支援し成年後見制度の利用促進に努めてまいりました。今年度は成年後見実施機関の単独設置が困難な市町に対し相談窓口を新たに設け、広域連携に向けて具体的な助言を行うなど全ての市町が成年後見実施機関を設置できるよう支援しております。賀茂地区におきましては、一市五町が連携し共同で市民後見人の育成研修等を始めるなど成年後見実施機関の設置は着実に進んでおります。
 後見人の支援を初め、制度の広報や利用の相談などを行う権利擁護支援の地域連携ネットワークにつきましては、家庭裁判所の協力を得て行政や関係者が参加する広域的な協議会を開催いたしまして成年後見実務に精通した弁護士を初め司法書士や社会福祉士など専門職の御意見を伺いながらネットワークの構築を進めております。
 今後も、成年後見制度の利用促進に向けた取り組みが全ての市町で実施されるよう努め、誰もが住みなれた環境の中で安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。
 次に、難病患者に対する支援についてであります。
 県では、国の指定した難病とならない疾病について国の特定疾患治療研究事業の疾病や県が独自に指定した疾病を医療費の公費負担の対象にするなど患者負担の軽減を図ってまいりました。難病等に指定されていない治療法が未確立な疾病や症状の患者に対する支援につきましては、静岡県医師会や介護施設及び学識者を代表する医師で構成する静岡県特定疾患対策協議会において、患者の方々の御意見を伺いながら個々の疾病の症状や障害に応じた効果的な支援のあり方について検討することとしております。
 患者の皆様からは、罹患している病気の症状や診断基準を県民にも理解していただきたいとの提言を受け、県ホームページで情報提供を行い病気に対する正しい知識と患者の方々に対する必要な配慮についての理解が深まるように役立てております。加えて静岡県難病団体連絡協議会と協力して希少な疾病についての医療機関向けの医療講演会などを開催し、医療機関への診断基準の周知に努め早期の診断の奨励と治療につなげているところでございます。また患者の方の症状等によっては通院医療費助成の利用やヘルパーによる通院の介助等の支援の対象となるため、患者家族への制度の周知にも努めているところでございます。
 今後県といたしましては、国に対して指定難病の追加を提言していくとともに、難病医療提供体制の構築や相談支援体制の充実を図り患者の方々だけでなく関係する方々も対象とした総合的な難病対策を着実に推進いたしまして、難病患者や家族の皆様方が生涯にわたって毎日が安心して暮らせるように取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 情報戦略の再構築についてのうち、CIOへの民間人の専従起用についてお答えいたします。
 行政事務の改善や職員の働き方改革などを進めるためには、情報通信技術の利活用が不可欠であり全庁的に取り組む必要があると認識しております。このため副知事を本部長とする高度情報化推進本部を設置し本県の高度情報化の円滑な推進に取り組んでおります。あわせて行政情報化を全庁的に総合調整する情報統括責任者、いわゆるCIOとして本部長である副知事がこれに当たっております。CIOは県行政の情報化を全部局に指示し総合調整を行う役割を担っておりますので、現時点におきましては情報化を含め県全体の実情や課題を熟知している副知事が最も適任であると考えております。
 一方、情報通信技術の急速な進展、より巧妙で悪質になっているサイバー攻撃などに対応する必要がありますので、平成二十四年度より情報通信に関する専門的な知識や経験を有する民間有識者をCIOアドバイザーとして起用しCIOと一体となって情報化を進めております。また昨年度は特に専門性を有する情報処理システムの調達に係るガイドラインの作成に関して、その分野の学識経験者に技術的な助言をいただいたところであります。
 県といたしましては、産業、医療・福祉、教育などさまざまな分野で利活用が期待される新世代の情報通信技術に対応するため、今後も情報統括責任者――CIOのもとにCIOアドバイザーや各分野に精通した民間有識者の知見を生かし時代のニーズに合った県行政の情報化に取り組んでまいります。
 次に、働き方改革の基本的な方向性についてであります。
 働き方改革は、長時間労働の是正などを通じて労働生産性の向上に寄与するだけでなく職員のライフスタイルに応じて柔軟な働き方を実現し職員一人一人が個性や能力を発揮できる職場環境をつくり、ひいては組織全体の活性化につながるものと考えております。
 これまで本県では、全ての事業や業務について廃止を含めた見直しの徹底などによる業務の効率化に加えて定時退庁日の設定などによる時間外勤務の縮減、ストレスチェック事業などによる心と体の両面での職員のサポートなど行政の生産性向上に向けた取り組みを進めてまいりました。また半期ごとに行われる人事評価におきましては時間とコストを意識した目標を設定し、その成果を勤勉手当や昇給といった給与や任用などの人事管理の基礎として活用することとしております。
 こうした取り組みに加えて、今年度はワークスタイル変革として朝七時三十分から夕方十八時までの間で四通りの勤務時間帯を選択できる時差勤務や育児・介護職員向けにはさらに選択の幅を広げ九通りの勤務時間帯を選択できる早出遅出勤務を四月から試行しております。八月からは通勤時間の短縮や子供を連れた出勤を可能とするために、県庁と浜松総合庁舎の二カ所にネットワーク環境を整備したサテライトオフィスをモデル的に設置し、導入効果や今後必要となる情報環境などについて検証いたします。
 今後も、勤務時間をより柔軟に選択できるフレックスタイム制の導入や情報セキュリティーを確保しながら自宅でも働くことのできる環境の整備を進め、職員が働く時間と場所を柔軟に選択できる多様な働き方の実現など働き方改革の推進に努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 情報戦略の再構築についてのうち、ICT教育の推進についてお答えいたします。
 新しい学習指導要領における主体的・対話的深い学びを実現するためには、ICTの活用は不可欠なものであると考えております。子供たちが時間や場所にとらわれず多面的に調べることが可能になるだけでなく、特に特別支援学校においては障害を補完し個人に適した教育を実現できるツールとしてICTの活用が大いに期待されているところであります。
 このため、県教育委員会では県立高校においてタブレット端末などICTを活用できる環境の整備のほか川根高校を含む五校をモデル校として遠隔通信システムを活用した大学との授業を試験的に実施しており、多様な教育課程の編成などを可能とする遠隔授業の実現に向けた研究を始めたところであります。また特別支援学校では画像、音声、動画などのICT固有の機能を活用し交通ルールを学習するなど実社会に役立つ取り組みを行っております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり日常的にICTを活用できる環境は十分に整っているとは言えず学校間においても取り組みに差が出ているのが現状であり、さらに教員のICT活用に係る指導力を一層向上させることが重要な課題となっております。
 県教育委員会といたしましては、先進的に活用している学校の公開授業の実施や実践事例の発信、リーダー養成研修などを開催することにより県立学校全体にICTの活用を広げていくとともに、その環境整備を計画的に実施し高度情報化社会を生きる子供たちの可能性を広げるICT教育を推進してまいります。
 次に、学ぶ機会の確保についてのうち、特別支援学校の通学手段の確保についてであります。
 障害の有無にかかわらず誰もが教育を受ける権利が保障され、特に特別な支援が必要な子供に対しては個々の状況に応じた教育環境を提供することは大変重要であると認識しております。
 このため、県教育委員会ではこれまでも学校の空白地域に新しい特別支援学校を設置しよりよい教育環境を用意するとともに、遠距離の通学負担の軽減を図ってきているところであります。
 また、主な通学手段であるスクールバスについては児童生徒数の増加に応じて毎年増車してきており、議員御指摘の沼津特別支援学校では平成二十四年度、平成二十八年度にそれぞれ一台増車し現在は五台となっております。また高等部生徒の乗車につきましては社会への自立を目指し原則として自主通学としているものの、障害の程度により自主通学が困難な生徒につきましては学校内の委員会で協議し乗車を可能とするよう配慮しております。
 今後は、児童生徒数の増加に応じて必要な増車を進めるとともに、居住地に配慮したバスコースの工夫によりバス停までの距離の短縮など具体的に検討してまいります。さらに就学奨励費制度を活用した通学費用への支援などさまざまな手段について研究し、児童生徒の通学負担はもとより保護者の負担の軽減も図られるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 観光戦略についてのうち、海の恵みの享受についてお答えいたします。
 本県は、遠州灘、駿河湾、相模湾に沿った約五百キロメートルの海岸線を有し、風光明媚な自然景観だけでなく黒潮の影響を受けた温暖な気候や多様な風土に育まれた食材など海から多くの恵みを得ております。
 県では、首都圏等での観光商談会やツーリズムコーディネーターによる旅行会社へのセールス活動を通じて体験ダイビングなどのマリンスポーツ、秘境ビーチへの渡し船、浜名湖のたきや漁、駿河湾からの富士山の眺望が楽しめるツアーなどの魅力的な観光素材を用いた旅行商品の造成や販路拡大を支援し誘客促進に取り組んでおります。
 また今年度は、ユネスコ世界ジオパークへの認定を目指す伊豆半島ジオパークのトレッキングによるジオサイトめぐりやサイクリング、カヤックなどのアウトドアスポーツを複合的に楽しめるような施策を通じて、多彩な自然環境を活用したさらなる誘客策を展開してまいります。
 さらに、官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾として国から選定された清水港を基点に、訪れる人に静岡ならではの体験や深い感動を堪能できるおもてなしの旅を提供することで世界からの訪日需要の開拓に努めてまいります。
 今後も、市町や観光関係団体と連携し、県観光協会のホームページ「ハローナビしずおか」における四言語での情報提供やSNS等の積極的な活用により海の恵みを生かした本県の多彩な魅力を国内外に向けて発信してまいります。
 加えて、本年一月に設置した県域DMOである静岡ツーリズムビューローを通じて戦略的なプロモーションを展開することで増加する訪日外国人観光客にも本県の海の魅力を満喫していただき、静岡県の存在感をさらに高めるよう取り組んでまいります。
 次に、無料WiFi環境の整備についてであります。
 多くの訪日外国人旅行者にとって、スマートフォンやタブレットはインターネットを通じた旅先の情報収集や翻訳アプリの活用など快適に旅行するための効果的なツールであることから、その利用環境を整えることが重要となっております。
 このため県は、平成二十五年に山梨県、神奈川県と共同でFujisan Free Wi―Fiプロジェクトを立ち上げ通信事業者と連携し観光施設や商業施設への無料WiFiスポット設置を促進した結果、現在までに県内には四千を超えるスポットが設置されております。また先日外国人観光客に人気が高い富士山において民間事業者二社の御協力をいただき、全ての山小屋にWiFiスポットを整備いたしました。
 さらに、外国人旅行者が多く訪れる観光地における回遊ルート上の通信環境の整備を加速するため、国の補助制度に加え県の観光施設整備事業費補助金の活用を市町に働きかけるなど無料WiFi環境の面的整備を進めております。
 無料WiFi環境の整備により、旅行者みずからが本県の美しい風景やそこで得られた感動をSNSに投稿するなど本県の魅力を世界に発信でき誘客を促進する効果もありますことから、県といたしましては、これまでの取り組みに加え未整備の観光施設に対して整備手法等について具体的に明示することにより整備を促進し外国人旅行者の利便性や満足度の向上を図ってまいります。
 次に、多言語表記についてであります。
 旅行目的の多様化に伴い個人旅行が主流となっている中、外国人観光客が不自由なく旅行を楽しむ上で多言語によるわかりやすい観光案内標識の整備は重要であります。このため県は平成二十年三月に策定した多言語表記観光案内標識ガイドラインに沿って、県及び市町が設置する案内標識について標準的な表記方法に基づき整備を進めてまいりました。
 しかしながら、現行のガイドラインは多言語表記とピクトグラムの併記の規定にとどまっていることから市町の間で色彩や表記等の統一性や連続性がなく、来訪者にとってわかりにくい案内標識や眺望を阻害するなど景観への配慮が欠けているものも見受けられております。今後ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催に伴い外国人観光客が増加していくことを踏まえますと、景観と調和した市町間で統一感のある多言語案内標識の整備に取り組んでいく必要があります。
 このため県といたしましては、現在のガイドラインをこの秋を目途に改正し景観に調和した統一的な多言語観光案内標識の整備を市町と連携して取り組んでいくことにより、外国人観光客が誰でも自由に県内各地を訪れて本県のすばらしさを満喫していただくことのできる魅力ある観光地域づくりを進めてまいります。
 次に、学ぶ機会の確保についてのうち、私立高校の保護者の負担軽減についてであります。
 本県の私立高校は、高校生の約三二%が在学し公教育において大きな役割を担っていることから、高校進学希望者が経済状況にかかわらず公立、私立の区別なくみずからの希望や能力に応じて安心して就学できる環境を整えることは重要であります。このため県では保護者の経済的負担の軽減を図ることとし、私立高校につきましては年収がおおむね三百五十万円未満の世帯の生徒に対し国の就学支援金の支給に加えて授業料の減免を行っております。
 具体的には、年収がおおむね二百五十万円未満の世帯の場合には年五十一万三千円を、同じく二百五十方円から三百五十万円未満の場合には年四十五万三千六百円を上限としておりほぼ無償化が図られているところであります。また年収がおおむね二百五十万円未満の世帯に対しては教科書や教材、修学旅行等に係る経費についても支援をしております。
 保護者負担のさらなる軽減に向けましては、私立学校の自主性を尊重しながらの公費負担のあり方や財源の確保等が課題と認識しており、国における教育無償化についての議論の動向等を注視し他の都道府県の状況も参考にしながら効果的な就学支援のあり方について引き続き研究してまいります。
 今後も県といたしましては、子供たちの多様な就学機会の確保をするためさまざまな制度を活用しつつ、保護者の経済的負担の軽減を図り全ての子供たちを大切にする社会づくりを推進してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 津波防災対策についてお答えいたします。
 県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定し、最大クラスのレベルツー津波を対象に犠牲者を八割減らすことを目標に掲げハード対策とソフト対策を組み合わせた多重防御による津波防災対策を進めております。
 防潮堤整備等に一定の時間を要することや整備の水準を超える津波も想定され、ハード対策のみでは津波から完全に地域を守ることは困難なことから、津波から確実に避難できる体制の整備が重要であると考えております。そのためソフト対策を進める市町と連携して津波避難施設の整備と住民等の早期避難の確保による避難の空白域の解消に取り組んでおります。
 現在、避難が必要な地区や避難先、避難経路等を示した津波避難計画が沿岸二十一市町全てにおいて策定されております。またこの計画に基づき津波避難施設の整備が進められ、東日本大震災当時と比べことしの三月末には津波避難ビルが五百八棟から千二百九十八棟、津波避難タワーが七基から百八基、新たに津波避難マウント等が五十七カ所と全体で約三倍となっております。
 県といたしましては、アクションプログラムの目標である平成三十四年度までに市町が必要な津波避難施設の整備を完了できるよう緊急地震・津波対策等交付金などを活用して支援するとともに、建物の耐震化、家具の固定、夜間でも視認性の高い避難誘導標識の設置などの促進や地域が一体となって繰り返し避難訓練を行うことで津波避難計画の実効性の向上を図り津波による犠牲者の最小化に努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 沼津市西部地域の基盤整備についてのうち、県道三島富士線のバイパスの早期整備についてお答えいたします。
 県道三島富士線のバイパスとして整備している都市計画道路金岡浮島線は、沼津市北西部を東西に結ぶ全長八・二キロメートルの幹線道路であり地域の骨格となる道路であることから、県と市が連携して整備を進めております。
 県は、西椎路地区と浮島地区の一・七キロメートル区間を平成三十年代前半の完成を目指し整備を進めており、沼津市においては今年度西沢田地区の〇・五キロメートル区間が完了することから、起点部の国道一号と接続する〇・四キロメートル区間について事業化に向けた調査を実施しております。
 県では、未整備の三キロメートル区間のうち現在整備中の区間に接続する県道西椎路松長線の西側〇・六キロメートル区間と県道原停車場線の西側〇・七キロメートル区間について引き続き着手を予定しており、残りの一・七キロメートル区間については今後周辺道路の整備状況を見ながら事業主体や整備時期を検討してまいります。
 本路線は人家が多く、また地盤も軟弱であり多大な事業費が想定されますことから、整備に当たりましては計画的な用地取得やコスト縮減を図り着実に整備が推進できるよう取り組んでまいります。
 次に、原・浮島地区における道の駅の整備についてであります。
 道の駅は、休憩、情報発信及び地域振興の三つの機能を有する市町等が設置する施設であり、現在全国では千百七十七駅、県内では二十四駅が登録され、地域の創意工夫による個性豊かなにぎわいの場所として多くの方々に利用されております。
 原地域における道の駅につきましては、国道一号の四万台を超える交通量から地域活性化が大いに期待されるものであり、昨年九月に沼津市が立ち上げた道の駅あり方検討委員会に県もオブザーバーとして参画しているところであります。
 これまでに二回開催された委員会では、建設候補地や導入すべき地域振興機能について検討しており、今後第三回委員会の開催に向け市と沼津市商工会、自治会が建設候補地等について調整を行っていくと聞いております。
 県といたしましては、道の駅の実現が道路利用者の利便性向上につながることから、国や関係機関などとの調整に関してこれまでに登録された道の駅に関する情報やノウハウをもとに必要な助言を行い計画の早期具体化が図られるよう支援してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 渡辺経済産業部長。
       (経済産業部長 渡辺吉章君登壇)
○経済産業部長(渡辺吉章君) 中小企業に対するデザイン支援についてお答えいたします。
 デザインは、身近にある日用品、服飾品などの製品から町並みや都市や農村の景観に至るまでその魅力や価値を一段と高める力を持っていることから、近年企業においてはデザイン思考による商品企画や独自の製品づくりが進められております。
 県では昨年六月、静岡県デザイン産業振興プランを静岡文化芸術大学などの協力を得て策定しデザインの活用に関しての相談窓口を充実させるとともに、デザイン性にすぐれたふじのくに魅力ある個店を表彰する制度を創設したところであります。
 さらに今年度は、新たにデザインを活用した商品開発能力を習得する研修会を開催するほか、中小企業の課題に対してデザイナーが直接解決策を提案するマッチング事業を実施いたします。また県内のすぐれたデザイン活用事例を表彰するグッドデザインしずおかの選定対象を物のデザインだけでなく仕組みや取り組みといったことのデザインまで拡大し企業の販路開拓を支援してまいります。
 県といたしましては、今後とも大学等関係機関と連携して県内中小企業に対するデザインの活用を促進し企業の競争力の強化を図ってまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 特定外来生物対策についてお答えいたします。
 特定外来生物は、生態系や人の命、身体、農林水産業への影響を及ぼす外来生物であり飼育や運搬などが厳しく規制されております。県内ではこれまでにアライグマなどの動物二十二種、オオキンケイギクなどの植物十種が確認されており、このうち人体に深刻な影響を及ぼすものとして毒を持つセアカゴケグモが知られております。
 県では、これらの特定外来生物について個体の写真、特徴や分布状況、人体への危険性、農作物の被害状況などをホームページに掲載し情報提供しております。
 兵庫、大阪などで発見されたヒアリにつきましては水際で根絶することが重要でありますことから、清水港、御前崎港、富士山静岡空港において緊急調査などを継続実施しているところであります。またヒアリと疑われるアリを発見した場合は素手で触らない、熱湯か市販の殺虫剤で駆除するなどを記載した県民向けのマニュアルを策定し公表するとともに、住民からの情報を迅速に収集できるよう市町と連絡体制を強化したところであります。
 今後とも、県ホームページの内容の充実や手引書の作成を行うとともに、国や専門機関と連携し県の体制を強化してまいります。また新たな特定外来生物の指定や被害の発生が想定される場合には広報媒体を活用し迅速かつ的確な情報提供を行うなど特定外来生物から県民の安全や生態系、農林水産物を守るため適切に対処してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 特殊詐欺被害防止対策についてお答えいたします。
 まず、摘発状況についてであります。
 県警察では、だまされたふり作戦による受け子被疑者の逮捕とそれを突破口とする突き上げ捜査による特殊詐欺犯行グループの摘発に努めるとともに、不正に入手した携帯電話や銀行口座等の犯行ツールを取り扱う助長犯罪の摘発に取り組んでおります。こうした取り組みにより本年は六月末現在で特殊詐欺犯行グループの指示役や受け子被疑者等四十九件四十人を検挙し、また助長犯罪については五十一件四十人を検挙しております。
 次に、被害防止対策についてであります。
 県警察ではこれまで、県民の皆様に対する特殊詐欺被害に関する情報提供や注意喚起のほか、関係機関と連携したさまざまな被害防止対策を進めております。とりわけ水際対策として県内の金融機関の協力を得て預手プランを推進しておりますが、本年からこれに加え一定期間キャッシュカードでの振り込み実績のない一定年齢以上の顧客を対象にキャッシュカードによる振り込みを制限する取り組みを進めていただいているところであります。さらに特殊詐欺被害者の大半は御家庭にかかってきた犯人からの電話を受けて被害に遭っていることから、被害の入り口である詐欺電話を遮断するために本年六月十二日からしずおか関所作戦を開始しております。
 具体的には、市町等の理解と協力を得ての迷惑・悪質電話防止装置の普及、特殊詐欺に対する高齢者みずからの警戒心、防衛心を醸成するため高齢者宅の直接訪問などによる広報・啓発、自分の親や祖父母は自分が守るという子や孫世代の意識の醸成を三本柱の対策として推進してまいります。このうち迷惑・悪質電話防止装置につきましては、平成二十六年十月からの二年間藤枝警察署管内をモデル地区に実施した迷惑電話チェッカーによる実証実験でもその効果が高いことを確認しております。
 県警察といたしましては、引き続き県民の皆様を特殊詐欺被害から守るため組織を挙げて予防と検挙の両面から対策を推進してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 蓮池章平君。
       (七十番 蓮池章平君登壇)
○七十番(蓮池章平君) それでは、三点再質問をさせていただきたいと思います。
 県は本年度から行政経営という言葉を使い始めました。経営という視点から見るとですね、目標とか納期とかこれがなくて仕事を進めるということは基本的には考えられないというふうに思ってるんですが、そこでまずこども医療費の助成であります。知事が記者会見で高校生までと言われましたが、これは市町と丁寧な協議というのは必要なので県が単独でここまでということはなかなかできないと思いますけども、知事のお気持ちの中でこの四年間の中でですね、どの時点に形に見える形にしようとされているのか、大体折り返しのところぐらいまでには形にしたいというふうに思っておられるのか、希望的な観測になるかもしれませんけれども、知事の気持ちとしてどのぐらいまでに実現をしようと思っているのか、その点について伺いたいと思います。
 それから、鉄道高架の事業についてでありますが、これも相手地権者がいらっしゃることですし、それから地権者の皆さんの気持ちを本当に大切にしなくちゃいけないということは十分わかりますし、その対応で今仕事を進めていただいていると思いますが、一方で先ほど事業着手をして五年程度すれば南北の通行が自由になるような形が見えたり、跡地の利用で実際にここが進んでいるな、またこの工事によって本当にこの沼津がどんどん変わってるなという実感を持っていただくと、そういう意味ではまだ事業着手というところがなかなか闇の中でまだ見えてない状況でありますけれども、知事のお気持ちとしてどのぐらいまでに一つのめどとしてですね、つけようと、これもお気持ちなのでここまでというわけにはなかなか難しいかもしれませんがどんな思いを持たれているのか、その点について伺いたいと思います。
 それから、教育長にはですね、特別支援学校の通学手段についてでありますけれども、通学手段がなくて学校に通えないと、そんなことがあっては絶対にならないと思いますね。それから高等部に進学したらそのまま学校に通えるであろうか、こういう心配を生徒や保護者にさせる、これも私はあってはならないというふうに思ってるんです。
 冒頭に申し上げましたけども、本当に静岡県に住んでよかったなというふうに思っていただけるためにはですね、やっぱり教育長から学校に通ってる子供たち、どんなことがあってもちゃんと通えるようにするよというこういう力強いメッセージをいただきたいなというふうに思っていますけども、改めてこの通学手段の確保について伺いたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 高校生の医療費の無料化についての見通しでございますけれども、まず中学生の医療費の無料化につきましては入院費を平成二十二年に、そして通院費については平成二十四年に認めていただきまして市町との折り合いがついて現在に至っているということでございます。
 したがって、既に高校生についても一部の市町についてはなさっておられるところがございますので、御理解が得られるならば中学生の場合と同様にこの四年間の間にできるのが望ましいというふうに思っております。
 二つ目の沼津の整備事業についてでございますけれども、これは議員御指摘のとおり確かに相手のあることでございますが、私ができなかった戸別訪問と反対者の方全体との議論は何度かいたしましたけれども、今大沼市長さんが一軒一軒相手の気持ちに添って御理解を得られておりますので、それを特に尊重申し上げて円滑に、しかし早急にこの問題についてウイン・ウインの関係になれるんだということになりますれば前倒しでできるようにしたいという気持ちを持ちまして、残念ながらこればかりはいつごろまでということが申し上げることができないのをお許しいただきたいと存じます。以上でございます。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) それでは、ただいま御質問いただいた再質問の件で少しお答えします。
 通学の負担、それから通学の手段等についても積極的に教育委員会としても考えさせていただいております。
 まず、県での費用負担につきましては児童生徒の通学負担軽減はもとより保護者のほうの負担の軽減についても図ることは大事だというようなことで児童生徒の増加に対しては県費のスクールバス増車で対応しておりますけども、もっといい手段はないのかということで今後いろいろな視点からも検討していきたいと思ってます。
 それから、通学手段の確保ということでは、これは一部伊豆市等では沼津地域までの距離も長いもんですからその通学手段確保ということで御支援もいただいているというようにも聞いております。しかしながら我々としても伊豆市に御支援をいただけるということは児童生徒はもちろん保護者の負担軽減にもつながるものと考えておりますけれども、今後も引き続きいろんな視点から効果的な方法についても研究していきたいと、このように考えております。以上です。
○議長(杉山盛雄君) これで蓮池章平君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。(拍手)

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