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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤曲 敬宏 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/30/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 熱海市伊豆山土石流災害について
(1) 行方不明者の捜索と被災地域の安全・安心の確保
(2) 伊豆山地区の二次災害の発生防止と社会インフラの復旧
(3) 避難所から仮設住宅への早期移転
(4) 被災地熱海の行政サービス継続に向けた人的支援
(5) 観光地熱海の復興に向けた取組
2 定年退職者の再任用について
3 県内唯一の有人離島である初島への支援について


○副議長(竹内良訓君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八十三号、第八十四号、第八十六号から第九十号まで、第九十四号及び第九十五号を一括して議題とします。
 ここで、後半グループの議員が退出するため休憩します。
  
○副議長(竹内良訓君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十九番 藤曲敬宏君。
       (十九番 藤曲敬宏君登壇 拍手)
○十九番(藤曲敬宏君) 皆さんおはようございます。
 質問に入る前に一言申し上げます。
 常に来る人を温かく迎え入れるおもてなしのまち熱海が、今悲しみに包まれています。熱海市始まって以来の自然災害による犠牲者を出すことになった伊豆山土石流災害から二十八日を迎える本日、犠牲になった方は二十二人。五名がいまだ発見されていません。人口僅か三万五千人の熱海の市民にとって被災された方々は誰かの友人であり、親戚であり、知人ばかりでした。
 幼い幼稚園に通う子供を残して亡くなったお母さん、たくさんの友達から慕われていた高校生、ボランティア活動に一生懸命だったおばあちゃん、安くておいしいおすしを作ってくれた魚屋さん、昨日まで一緒に暮らしていた人たちばかりでした。残念ながらこの本会議の傍聴に来ていただいた方もいらっしゃいました。
 先日、熱海市が設置した遺体安置所に行ってきました。大変な環境の中、熱海署の警察官が泥にまみれた御遺体を丁寧に洗って御遺族に引き渡しているとのことでした。本当に頭が下がります。どの御遺体もほとんど即死の状態であり、いかに土石流の勢いが激しかったかを物語っているとお聞きしました。今はただ亡くなられた皆様の御冥福を心よりお祈りするとともに、残り五人の行方不明者の一刻も早い発見を願うばかりです。
 熱海市民もこの試練に立ち向かうべく互いに支え合いながら、一日も早く観光地熱海らしい日常を取り戻すため悲しみを乗り越え前を向いてまいります。引き続き皆様の御支援を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
 それでは、熱海市選出の県議会議員として今回の土石流災害に関して住民から強く要望されている生活再建支援及び復旧・復興についての質問を中心に、通告に従い知事、副知事、関係部局長並びに警察本部長に分割質問方式にてお尋ねいたします。
 まず初めに、熱海市伊豆山土石流災害についてのうち、行方不明者の捜索と被災地域の安全・安心確保についてお伺いします。
 発災直後から県警察をはじめ全国から駆けつけた多くの警察の部隊や自衛隊、消防隊の皆さんが懸命の捜索活動をしていただいていることに熱海市民と共に心から感謝を申し上げます。
 捜索は、常に二次災害の発生のおそれのある中、その多くが重機を使わず人の手による捜索活動で行われてきました。また加えて連日の猛暑の中、狭い道幅や大量の土砂や瓦礫に阻まれながらであり、行方不明者を発見することの難しさや御苦労を被災現場に入るたびに実感しました。
 そうした警察をはじめとする様々な部隊の約一か月にも及ぶ大規模かつ献身的な捜索活動のおかげで七月三十日現在二十二人の御遺体が確認されましたが、今なお安否が確認できずに行方不明となっている方が五名いらっしゃいます。既に発災から四週間がたち生存の可能性は厳しいものがありますが、せめて行方不明の方全員が一日でも早く発見されるようできる限りの捜索継続を願っております。
 一方、発災から約一か月経過した現在でも三百三十人以上の方が避難所生活を余儀なくされています。多くの方が大切な思い出の品や貴重品を残したままの状態で避難しており、避難生活の先行きが見通せない中不安も高まっております。県警察では被災地域のパトロールなど地域の安全・安心を確保するための活動も行っていただいているところでありますが、こうした地域の不安を解消するための活動もぜひ継続していただきたいと考えております。
 そこで、行方不明者の捜索状況と被災地域の安全・安心確保に向けた取組について、これまでの状況と今後の方針を伺います。
 次に、伊豆山地区の二次災害の発生防止と社会インフラの復旧についてお伺いします。
 被災した方々は、避難所生活から地元に帰って日常生活をいち早く取り戻すことを切に願っております。そのためにはまず被災地周辺の安全を確保することが第一となります。今回の土石流災害に対して地元住民は土砂のさらなる崩落が発生しないか、周辺で同様の崩落が起こることがないかなどいまだ心配されている方が多くいらっしゃいます。こうした心配を早期に払拭することが重要です。既に二十日からは避難住民の一部帰宅が始まりました。現在県は二次災害発生の可能性について逢初川源頭部の落ち残った盛土の一部の小崩落の可能性、さらに警報レベルの雨量の際には再度崩落の可能性が残っているとの見解を取っていますが、生活再建に向けてまずは逢初川下流域の住民の不安を払拭することが願われています。
 また、逢初川の河口部に当たる伊豆山港は土石流の被害により大量の土砂や瓦礫が流れ込み漁港として利用できなくなってしまいました。今も毎日のように濁った水が海に流れ込み、サザエやアワビなど海産物の生育にも影響が出ないか地元漁業関係者は危惧しております。伊豆山港は熱海地区の観光漁業の拠点としての機能に加え、毎年伊勢海老祭りやさざえ祭りが開催されるなど伊豆山地区の観光振興においても大きな役割を担っており、早期復旧は漁業関係者のみならず地域の方々にとって重要な課題であります。
 そこでまず、懸念される二次災害発生防止に対する取組を伺うとともに、伊豆山港の復旧に関して現在の状況と今後の見通しについても、県の考えを伺います。
 次に、避難所から仮設住宅への早期移転についてお伺いします。
 今回の土石流により流出家屋四十四戸、土砂の影響を受けた家屋七十八戸、合計百二十二戸の家屋の被災が確認されています。熱海市は発災から二日目に、体育館や公民館などの避難所では新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念されることなどから民間宿泊施設二か所を借り入れ、避難所として運営することを決断しました。二次災害への懸念から避難生活が長期にわたることが想定され、高齢の被災者が多く健康面での影響への懸念や災害関連死等を防ぐために必要不可欠な措置であったと考えております。過去の熊本地震や令和元年の台風十九号被害を受けた福島県などのケースと同様に宿泊所の借り上げ費用を災害関連経費として認めていただくよう、県は熱海市と共に国への協議を行っていただくように要望します。
 さらに、今後は家屋への被災があった避難者が一刻も早く通常の生活を取り戻していただくことが重要になります。しかしながら、急峻な斜面地が大部分を占める熱海市の地理的な特徴を考えると、今回の災害で必要とされる戸数の応急仮設住宅を迅速に建設することは現実的に困難であると思われます。
 そこで、市営住宅及び県営住宅等の公営住宅や民間アパートを災害救助法に基づく借上型応急仮設住宅、いわゆるみなし仮設住宅として認めていただきたいと思います。被災者の中には住み慣れた地域において生活を継続したいと考えている方も多くいる反面、災害に対する不安を抱え伊豆山地区以外での生活を希望する方も同様におられます。
 県は、市と連携して仮設住宅の申込み受付前から熱海市役所内において窓口を開設し、こうした様々な住宅相談の受付を始めていただきました。さらに二十六日からは、罹災証明書の発行を含む被災者支援のための仮設住宅特設窓口を開設しました。早期に被災者の希望に添った住宅を提供頂きたいと思います。
 そこで、応急仮設住宅の建設、借上型応急住宅の借り上げや公営住宅の確保についてどのように進めているのか県の考えを伺うとともに、早期移転完了の見込みについてお伺いします。
 また、仮設住宅への入居期間内に全員が住宅確保のめどが立つとは限りません。仮設住宅の入居期間が過ぎた後も被災者が安心して住めるような配慮が必要と考えますが、対応について伺います。
 次に、被災地熱海の行政サービス継続に向けた人的支援についてお伺いします。
 現在熱海市の職員は伊豆山の土石流発災以降、通常業務に加え避難所運営から各所の災害対応、これに伴う事務処理に追われており、全職員自らの責務に対し使命感を持って全力で対応しておりますが、約一か月が過ぎ肉体的、精神的に疲労の色が隠せません。僅か人口三万五千人のまちの行政能力は限られていることから、今後災害対応に追われきめ細やかな被災者対応や様々な行政サービスが停滞してしまうのではないかと危惧しております。
 こうした中で行政職員、技術系職員、保健師など様々な職種において県や県内市町から迅速な人的支援を頂き大変感謝をしております。特に県災害対策本部の中核を担う危機管理部は、発生直後から二人を情報収集及び調整要員として熱海市に派遣してくださいました。その後五人に増員し市の災害対策本部に駐在して業務支援に当たり、救援態勢の強化につなげていると伺っています。既にそれぞれの分野の専門家を送っていただき現場で活躍していただいておりますが、生活再建支援や要配慮者の見守りなど今後新たに必要になってくる分野もあるとも聞き及んでいます。復旧・復興への取組が本格化するにはまだ時間がかかることが見込まれ、こうした支援を要する状況が長期化するのは間違いありません。
 そこで、県は被災地である熱海市の行政サービス継続のため市の業務運営等に関する課題やニーズをどのように把握し、人的支援にどのように取り組んでいくのかをお伺いします。
 次に、観光地熱海の復興に向けた取組についてお伺いします。
 熱海市の観光においては、新型コロナウイルス感染症の再度の拡大により首都圏等でまん延防止等重点措置が継続され災害発生前から首都圏からの集客が見込めず、一年以上にわたって大きな打撃を受けていました。
 こうした状況の中で発生した土石流災害が連日のように全国ニュースで取り上げられたこともあり宿泊のキャンセルが続き、さらに東京都における緊急事態宣言の再発令とこの先の見通しが全く立たない厳しい状況に置かれています。
 しかし、土石流の現場では行方不明者の捜索も続いており、市内のホテルや旅館で多くの被災された方々の受入れを行っているほか、現場で活動されている自衛隊や消防など多くの関係機関の方々の宿泊、入浴サービスや支援物資の提供、災害ボランティアによる協力など一日も早い復旧と生活支援に市内観光関連事業者も惜しみない協力をしているところです。
 こうした市内の状況の下では、観光誘客の再開についての論議に踏み出すにはまだ時期尚早でありますが、感染症の影響により長期間にわたって打撃を受けている観光業やその関連業種においては事業の存続にも関わる深刻な事態に陥っており、どこかの時点で地域経済の復興に取りかからなければなりません。
 また、熱海市の被災を受け東海岸を中心に伊豆半島の広範囲において同様に旅行客の減少などの深刻な影響が出ております。熱海市から伊豆半島まで広域にまたがる地域の観光の復興に向けて今後県が担う役割は大きいと考えております。
 そこで、県は地元に寄り添い、観光地熱海の復興に向けて取り組むことが求められると考えますが、県の所見をお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長(竹内良訓君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 藤曲議員にお答えいたします。
 熱海市伊豆山土石流災害についてのうち、伊豆山地区の二次災害の発生防止と社会インフラの復旧についてであります。
 七月三日に熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流により多くの方がお亡くなりになりました。現在も懸命の捜索活動が続けられております。また四十四に及ぶ家屋の流出、また多くの家屋の損壊によりまして今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされております。地域の方々の生活再建、またなりわいの再建には早期の復旧・復興が不可欠であります。
 このため県では、昨日交通基盤部内に逢初川下流域復旧・復興チームを立ち上げました。土石流による二次災害の発生防止並びに災害からの早期復旧、これに向けた活動に本格的に着手するということにいたしました。
 二次災害の防止に向けましては崩落が発生した上流部の不安定土砂への対応が必要です。このためこれまでに県が設置した観測機器に加え、新たに国が土石流の発生を検知するワイヤーセンサーと土砂の移動を検知するGPS観測装置を設置なさいました。県が構築した監視体制のさらなる強化が図られたところでございます。
 また、再度の土石流の発生に備えまして既設の砂防堰堤に堆積した土砂の撤去並びに新たな砂防堰堤を設置することとなりますが、工事に当たりましては無人化施工といったような高度な技術力を要することであります。国直轄事業により砂防工事を実施することが決定いたしまして、既に工事に着手されているところでございます。
 中下流部におきましては広範囲に多量の土砂や瓦礫が堆積しております。県ではこれらの土砂等の撤去を進めておりますが、逢初川には土砂で埋まって塞がったところがございますのでその流下能力を早急に確保してまいります。また被災した河川や市道につきましては市と連携し、早期の復旧・復興に努めてまいります。
 伊豆山港につきましては陸上の道路や港内に土砂や瓦礫が流れ込んでおりまして、これまでの調査では港内で最大一・五メートルの厚さで土砂が堆積しております。また流れ込んだ瓦礫の中にはプロパンガスのボンベなどの危険物が確認されたところでもございます。そうしたことから事前に海底の調査を行い、作業における安全性を確保しております。現在熱海港に避難している漁業者等が一刻も早く伊豆山港に戻り漁業活動を再開できるよう、九月末を目途に土砂や瓦礫の撤去を進めまして早期の港の機能確保に努めてまいります。
 県といたしましては、被災者の方々が一日も早く日常を取り戻し、また地域の安全・安心が確保されるよう国や熱海市と連携を図ることはもとよりでございますけれども、早期の復旧・復興に私が先頭に立ちまして主体的に全力を挙げて取り組んでいく覚悟でございます。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 熱海市伊豆山土石流災害についてのうち、避難所から仮設住宅への早期移転についてお答えいたします。
 今回の災害では、傾斜地が多いという熱海市の地形の特性から応急仮設住宅の建設適地を探すのが難しく建設にも時間を要することから、仮設住宅の建設ではなく既存の公営住宅等を最大限に活用し避難者に住居を提供することが避難生活の早期解消につながると考えております。
 県は、発災当初から熱海市や近隣地域において公営住宅等の空き部屋の確保に取り組み、さらに戸数を確保するため国や神奈川県とも調整を進めた結果、伊豆山地区の県営七尾団地をはじめ百二戸の空き部屋を確保いたしました。加えて民間賃貸住宅につきましても不動産関係団体の協力を得て約七十戸の空き部屋を確保しております。また県、市合同で熱海市役所に七月十五日にワンストップである住宅相談窓口を設置し、一か所でしっかり被災者の要望を伺っております。
 住宅への入居に当たっては、地域コミュニティーや小中学校の学区及び高齢者、障害者に配慮するなどできる限り被災者の意向に沿った仮設住宅の提供に努めてまいります。
 仮設住宅の申込みには被災者が市に被害の程度を報告し、判定を受け発行される罹災証明書が必要となります。今回流出、全壊が明らかになった住宅につきましては既に罹災証明書の発行が始まっており、県と市が連携して運営する被災者相談窓口では本日から公営住宅、民間賃貸住宅ともに入居受付を開始いたしました。被災者の方には申込みから一週間程度で入居できるように努めてまいります。
 仮設住宅への入居期間は原則二年となりますが、その後も御希望があれば県等の貸主の承諾により家賃を負担していただいて住み続けることも可能です。さらに被災者の御事情を丁寧に伺った上で、御自身で住宅の確保が困難な方に対しましてはいわゆる災害公営住宅の整備を検討しており、これを認めていただけるよう国と協議をしているところであります。
 県といたしましては、被災者に寄り添い被災者の皆様に一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう、熱海市と協力して全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 熱海市伊豆山土石流災害についてのうち、行方不明者の捜索と被災地域の安全・安心確保についてお答えをいたします。
 初めに行方不明者の捜索でありますが、七月三日の発災を受けて自衛隊や消防と連携し捜索、救出救助活動に当たっております。体制は警察関係では昨日現在で本県から延べ約七千六百人、警視庁や大阪府警など五管区一都一道二府二十五県から延べ約四千四百人、合わせて延べ約一万二千人が従事をしております。
 現場は土砂で埋まり、当初重機も投入できず泥土に足が取られ行動が制限される中、二次災害の危険に備えながら手掘りで作業を進めるなど非常に厳しい条件下でありました。警察部隊ではこれまでに損壊家屋から救助を求める母子や高齢者など自力避難が困難な方々を二十二人救出しております。また自衛隊や消防と連携して行った捜索などにより確認されました二十二人の御遺体につきまして検視を行い、死因の特定や身元の確認を行ったところでございます。
 このほか、道路状況の情報収集や迂回誘導、御遺族の支援といった活動や現地に設置しました災害相談所での相談対応、立入制限区域周辺における防犯警戒パトロールなどによりまして被災地域における安全・安心の確保に努めているところでございます。
 今後の方針についてでありますが、現在も依然五人の方の行方が分かっておりません。御家族のお気持ちに応えるため関係機関と連携しながら今後も全力で捜索活動に当たってまいります。
 また、被災地域の皆様の不安を解消するため災害相談所や防犯警戒パトロールなどの活動についても立入制限等の状況を踏まえながら継続的に実施するなど、今後とも被災地域における安全・安心の確保に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(竹内良訓君) 太田危機管理部長。
○危機管理部長(太田博文君) 熱海市伊豆山土石流災害についてのうち、被災地熱海の行政サービス継続に向けた人的支援についてお答えいたします。
 災害が発生すると、被災した市町では通常業務に加え迅速に対応すべき災害業務が大量に発生することから、県では国の助言や他都道府県等の応援も受け県内市町と共に被災市町の人的・技術的支援を積極的に行うこととしております。
 このたびの災害では、七月三日の発災直後から危機管理部、東部地域局の職員を熱海市に派遣し市の災害対策本部に参画して被害情報を収集するとともに、被災者の健康管理や感染症対策を行う保健師や栄養士を派遣いたしました。その後熱海市の実務担当者による連絡調整会議に県も参画し、直接市の災害対応の実施状況や課題、支援ニーズ等を把握し人的支援の調整を行ってまいりました。
 具体的には、被災者の生活再建支援に必要な住家被害認定調査や罹災証明書の交付業務、公共施設の災害査定や土木技術支援などの業務に対し県職員はもとより市長会、町村会を通じて静岡市、浜松市のほか東部地域の市町を中心に毎日約五十人の職員を派遣し県、市町が一丸となって全力で熱海市を支援しているところであります。
 県といたしましては、今後も熱海市の要請や市の連絡調整会議などを通じて支援のニーズの把握に努め被災者の生活再建を支えるとともに、市の行政サービスが安定的に継続できますよう県内市町と連携し積極的に支援を続けてまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 熱海市伊豆山土石流災害についてのうち、観光地熱海の復興に向けた取組についてお答えいたします。
 熱海の観光産業は、新型コロナウイルス感染症の影響に土砂災害が加わり極めて厳しい状況にあり、一刻も早く復興への道筋を築くことが必要であります。こうした中で被災者への支援に当たっておられる観光関係者の皆様に深く敬意を表する次第であります。
 現在、地元の熱海市の皆様から復興に向けた御意見を伺っているところでありますが、行方不明者の捜索活動が続き多数の方が避難されている現状においては、観光振興活動を積極的に行っていく状況にはないとの声が共通して聞こえております。
 このような状況を踏まえ、県といたしましてはまずは災害への対応を第一に進めることとし、その後の復興の状況により地元の御意見を反映した観光産業の回復につながる有効な対策を速やかに展開するようしっかりと準備を進めてまいります。
 熱海市は伊豆半島の玄関口であり、その高い魅力により年間三百万人以上の宿泊者を受け入れてきた全国有数の観光地であります。その復興は伊豆半島全体の活力向上につながる大変重要な取組であります。
 観光客が街にあふれる観光地熱海の日常を一日も早く取り戻せるよう、地元観光関係者等と連携して全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 藤曲敬宏君。
       (十九番 藤曲敬宏君登壇)
○十九番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を二点、再質問を一点させていただきます。
 まず要望です。
 二次災害の発生防止と社会インフラの復旧についてですが、ただいまの答弁、逢初川の上流部において二次災害防止に関しては国の直轄事業ということで、技術的な支援も頂けるということで一安心しました。また下流部においては土砂撤去から復旧・復興まで県によって復興チームを主体で進むということであります。しばらくは捜索活動と並行して行うことになりますので十分な配慮をしていただきたいというふうに思います。
 また、地域住民の生活再建のために検討委員会で立入りを決定する立入制限区域について、ここについては居住者のぜひ声もしっかりと聞いていただいて柔軟な設定をお願いしたいと思います。引き続き県は河川管理者として熱海市と共に地域住民の安心・安全の確保を第一に、優先に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一点要望です。
 観光地熱海の復興に向けた取組についてですが、ただいまあったようにコロナ感染拡大によって県が今まで行ってきましたしずおか元気旅のキャンペーンも新規受付、止まっているという状況です。感染状況であるとか、また行方不明者の捜索状況こういったものをしっかりと鑑みながらですね、それでも早い時期に復興へ向けての第一歩となるようなこの動き、この熱海への観光に対してエール、まずは静岡県がそのエールを送っていただきますようにお願い申し上げます。
 また、伊豆山のホテル、旅館の中では今回の被災によって今も営業できない事業所もあります。今現在の制度では個人に対する支援はあっても事業所に対する施設の復旧費などの補助制度が十分でないというふうに聞いております。今後国と連携して被災した中小企業に対する支援制度をぜひ考えていただきたいと要望いたします。
 いずれにしましても、観光関連及び復興・復旧においてはですね、まずはこの今、全国的にもそうですけれども早期にワクチン接種をするということも大事なことでありますので、ぜひ熱海市民に対する接種が計画どおり行われますようにまたお力を貸していただきたいと思います。
 再質問です。
 避難所から仮設住宅への早期移転についてですけれども、先ほど応急の仮設住宅の募集受付が今日から始まるというふうにお伺いしました。仮設住宅の入居の条件というのは罹災証明に基づく全壊または半壊で居住できない人というのはこれは分かるんですけれども一方で実際には土石流の影響で自宅はぎりぎり大丈夫だった、助かった、でも自宅までの接続道路がなくなってしまったというような住民であるとか、流出家屋のすぐ横で二次災害等により被害を受けるおそれがあるというようなですね、心配する住民の声も生活支援の窓口、特設窓口に既に届いております。このようなケースでも仮設住宅入居の対象になるのかお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長(竹内良訓君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 仮設住宅への早期移転に関する再質問にお答えいたします。
 御質問にございました道路をはじめ水道、ガス、電気等のライフラインの復旧の見込みが立たず長期にわたり自らの住宅に居住できない方につきましては個別に内閣府と協議が必要となりますが、仮設住宅に入居することができます。今後相談窓口において丁寧に事情を伺ってまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 藤曲敬宏君。
       (十九番 藤曲敬宏君登壇)
○十九番(藤曲敬宏君) ぜひ、仮設住宅の入居の条件等は長期避難世帯の認定というような形になると思いますけれども柔軟に対応していただきますようにお願い申し上げます。
 また、川勝知事におかれましては二十七日の記者会見で二年以内をめどに災害公営住宅二棟、七尾団地内に新設するというふうなお話を発表されました。速やかに実現されることを期待しております。ぜひ昨日も議会の中でありました有徳の人イコール有言実行であるという話もありますので、ぜひ二年以内にこの実現できるようにお願いしたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 次に、定年退職者の再任用についてお伺いします。
 再任用制度は、本格的な高齢化社会に対応し公務内で働く意欲と能力のある定年退職者等を任用しようとするものであり、将来的には六十五歳定年引上げを見据えた取組としてその制度自体は大いに賛同するものであります。
 しかし、近年静岡県庁における部長級の再任用においてそれまでの平成三十年度三人、平成三十一年度四人から、令和二年度が八人、令和三年度が九人とここ二年で倍以上に突出して増えているように感じます。部長級の職員は各部局の施策の方向性を示す立場にあり、県の将来を左右する大事なポジションだと認識しております。そのポジションの大半を再任用の職員が占めるということは通常の会社組織であるならば考えにくいことです。また現在の再任用において指針があってしかるべきだと思いますが、実際には指針がないということも問題であると考えます。
 こうした状況は、これから県政を担っていく若手、中堅職員の立場から考えても口に出さないまでも当然納得がいくものではありません。ちまたにはまさに十二年にわたる川勝知事による長期独裁政権の弊害なのかと疑う向きもありますが、まさか県政人事を一人の意志によって動かすことなど許されることではなく正当な理由があるものと信じたいものです。
 そこで考えられることは、現役世代に部長級の責任を負えるだけの人材の育成が追いついていないということになります。しかし仮にそうだったとするならば人材不足による県政運営の危機と見るべきであり、再任用云々の以前に県庁における組織人事の問題として捉えなければなりません。
 そこでお伺いします。
 役職別再任用の現状、給与体系と期末勤勉手当などの諸手当がどのようになっているのか、併せてこの二年間部長級の再任用をこれほどまで多く採用する理由についてお聞かせください。
 次に、県内唯一の有人離島である初島への支援についてお伺いします。
 熱海市の沖合約十キロメートルの海上に浮かぶ初島は県内唯一の有人離島であり、現在約二百人の方が定住しサザエやイセエビを主とする沿岸漁業のほか風光明媚な自然の利点を生かした観光業を主ななりわいとしており、熱海市にとっても人気のスポットになっております。しかし一方で初島は他の離島と同様長らく水の確保にも大変な苦労を重ねてきました。昭和三十八年に国や県の補助を受け島内に初めて簡易水道が布設されましたが、昭和四十年代後半からの観光客の増加により水不足が再び問題となったことから、熱海市では初島に安全な水が安定供給されるよう昭和五十四年から五十五年にわたり総事業費五億七千万余円をかけ本土から初島に渡る海底配水管の工事を施工し、それにより水不足が完全に解消されました。その事業費の内訳ですが国庫補助金二億八千二百万余円、県費補助金九千四百万余円、熱海市は二億二百万円を負担しており、初島の水が安定供給できるのは県の支援もあって実現したものであります。
 現在、この海底配水管が法定耐用年数四十年を経過しておりこのたび布設替えを行うに至りましたが、その総事業費は約十六億円に上ると試算されております。そのうちの三分の一は国庫補助を受けられることになっておりますが、今回は県からの補助はなく残りの三分の二に当たる約十一億円程度を熱海市で自己負担することになり、企業債と辺地債の借入れにより対応することを予定しています。地元では今回の布設替えについて県の策定した離島振興計画があるのに支援が得られないと理解している方も多くいられます。
 そこで、今回の海底配水管の布設替えについて県からの補助がない理由と、これまで県として熱海市にどのような支援を行ってきたのかをお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長(竹内良訓君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 定年退職者の再任用についてお答えいたします。
 本年度当初の再任用につきましては部長級九人、局長級四人、課長級八人、班長級以下二百七十人の計二百九十一人を任用いたしました。また給与制度につきましては再任用職員用の給料月額を設定し期末・勤勉手当の支給額を通常の五割程度の水準としていることから、同じ職位の定年前職員と比べ年間でおおむね六五%から八五%程度の給与水準となっております。
 再任用職員の配置につきましては、新型コロナウイルス感染症対策や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催、リニア中央新幹線関係などの懸案への対処を考慮し特に事務事業の継続性を重視したほか知識、経験技能を有し能力と意欲のある職員を最大限に活用した配置を行いましたことから部長級職員の再任用が例年に比べ多くなっております。
 今後、国家公務員と同様に地方公務員の定年の六十五歳への段階的な引上げが行われることから六十歳を超える職員の職責や働き方が大きく変わってまいります。
 県といたしましては、定年引上げに係る法改正の趣旨や組織活性化の観点をしっかりと踏まえ適材適所の人事配置に努めてまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 県内唯一の有人離島である初島への支援についてお答えいたします。
 県は、上水道事業に比べ経営基盤が弱く地形的条件により施設整備費が高額となりやすい簡易水道事業について、昭和三十二年度に制定した交付要綱により補助金を交付してまいりました。昭和五十四年の海底配水管布設の際にはこの制度を活用して支援したところでございます。
 その後、熱海市では経営基盤強化のため令和二年四月に初島簡易水道を熱海市上水道事業に統合したことから、今回の海底配水管の更新事業には県の補助制度を活用することができなくなりました。なお平成十二年に改正した新たな交付要綱では財政力指数を条件として追加したため仮に簡易水道事業が継続されていたとしても現在の熱海市では補助金の交付対象にはなりません。
 県では、国庫補助事業を最大限活用して市の負担を軽減するため昨年度補助率四分の一の事業として着手した更新事業について、今年度は補助要件の改正を受けより補助率の高い三分の一の事業への切替えを国と調整の上熱海市に提案し、国庫補助の増額を実現するなどできる限りの支援を行ってまいりました。
 また、配水管整備等の上水道事業への起債につきましては交付税措置の対象外となっておりましたが、今年度から旧簡易水道であった区域については元利償還金の八割が交付税措置される辺地対策事業債の対象となりました。これにより更新事業に関する市の負担が約十一億円から七億円程度まで低減できると見込まれることからこの制度の活用を熱海市に提案したところであり、今後実現に向けて市と早急に調整をしてまいります。
 県といたしましては、関係部局と連携しながら今後も水道事業に関連する情報の収集に努め、より有利な制度が活用できるよう市町を支援してまいります。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 藤曲敬宏君。
       (十九番 藤曲敬宏君登壇)
○十九番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 定年退職者の再任用について、再質問を一点させていただきます。
 コロナ禍、オリパラそしてリニア、この対応が部長級の再任用の理由であるという答弁でありました。一見もっともらしく聞こえますけれども静岡県と人口規模、財政規模において類似している広島、茨城、福岡について再任用について調べてみました。三県全てにおいて令和元年度、令和二年度、コロナ禍、オリパラにあっても部長級から課長級までの退職者で退職前と同号級で再任用された方は一人もいませんでした。
 全国的には、コロナ対応と人事とを混同していないということが見て取れます。再任用するに当たって退職前の職の一つ格下で業務経験を活用できる業務に配置しているとのことです。特に福岡県、広島県では調べた過去四年間にわたり部長級で退職された方で再任用は一人もいません。静岡県は非常に特異なケースであるということを杉山部長、認識してください。
 また、六月十一日に交付された令和五年度から施行される地方公務員法の一部を改正する法律によると、今後六十五歳定年制を踏まえ組織の新陳代謝を確保し組織活力を維持するため六十歳役職定年制を導入するといいます。
 ここで質問ですが、再任用の理由でコロナ、オリパラであったということですけれども、そうなると来年以降は大きく見直しされるというふうな形になりますけれどもそのようなことでいいのでしょうか。
 そしてまた、加えて答弁にありました再任用に対しての一定の考え方があるとするならば指針について明文化すべきと考えておりますけれどもいかがでしょうか、再質問します。答弁をお願いします。
○副議長(竹内良訓君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 定年退職者の再任用に係る再質問についてお答えいたします。
 まず、行政課題が解消されれば部長級の再任用職員は減るであろうかという御質問についてでございますが、現在人事異動や組織改編を含めて新たな行政課題に的確かつ迅速に対応を図っていくということが私ども最重要として考えていることでございます。
 そういう中で、現時点で部長級再任用職員の増減について申し上げることはできませんけれども、議員御指摘のとおり職員の新陳代謝を図り引き続き適材適所の人員配置というのに心を砕いてまいります。
 また、指針という点についての御質問もございましたけれども、確かに改正地方公務員法によると六十五歳の定年延長に伴いですね、六十歳を超えた職員について役職定年制の制度というのが導入されてまいります。これにつきまして詳細はまだ明らかになっておりませんが、施行が令和五年度以降と聞いておりますので少なくとも今年度、来年度にかけてその運用が示されてまいります。このあたりをしっかりと踏まえつつ六十歳を超えた高齢期の職員の職責や職務の在り方というものについてしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(竹内良訓君) 藤曲敬宏君。
       (十九番 藤曲敬宏君登壇)
○十九番(藤曲敬宏君) 再任用に対する指針、明文化するべきであるというふうに私は言いました。ぜひこれはまだ、時間はまだあります。しっかりとですね、分かりやすい透明な風通しのいい組織にするためにもこの再任用に対する考え方をしっかりしていただきたいと思います。
 再任用はあくまでも個人の意思に基づくものですから、長期政権の弊害などとやゆされるとこれまで真摯に県政に尽くしてこられた皆様にとっても心外だと思われます。何とぞ後進のかがみとなれるように部長級の皆様方には再任用のモデルとなっていただきますようにお願い申し上げまして質問を終わります。(拍手)
○副議長(竹内良訓君) これで藤曲敬宏君の質問は終わりました。

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