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ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2015

会派名:

富士の会


質疑・質問事項:

1 静岡型県都構想について
2 投票率の向上について
  (1) 主権者教育
  (2) 投票率向上対策
3 トイレ文化について
  (1) 観光地の対応
  (2) 学校施設の対応
4 Uターン就職促進策について
5 三保松原の保全について
6 教育行政について
 (1) 全国学力・学習状況調査の公表
 (2) 英語教育
 (3) 高校生海外渡航サポーター制度
 (4) 小中学校における土曜授業


○議長(吉川雄二君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、七十一番 中澤通訓君。
       (七十一番 中澤通訓君登壇 拍手)
○七十一番(中澤通訓君) 私は富士の会所属議員として通告に従い、分割質問方式で知事及び関係部局長並びに教育長に当面する県政の諸課題について伺います。
 初めに、静岡型県都構想について伺います。
 ことしの春は統一地方選挙があって、県議選を初め多くの選挙が行われました。それと同時期に世間の耳目を集めたのは大阪都構想実現の住民投票でありました。二十四の行政区のある大阪市を五つの区に再編、大阪府と大阪市の仕事が重なる二重行政解消を目指したもので告示から投票までの二十日間はマスメディアを通じても熱気を感ずるほどでありました。大阪市民の有権者二百十万人という空前の規模での住民投票は、投票率六六・八三%で反対七十万五千五百八十五、賛成六十九万四千八百四十四という結果で大阪都構想は否決されましたが、百四十万人の投票でその差は一万七百四十一票。まさに僅差でありました。
 直後の記者の取材に対して川勝知事は、県と静岡市の県都構想を述べられました。政令市になって十年が経過し、自己完結型を目指す静岡市の要望に応じて県からは百四十五法令、千五百六十三事務と財源を移譲してきていますが、合併効果としての人口増が見られず税収の伸びも少なく、県都である政令市としてこのままでいいだろうかとの危惧からか、実が上がらないなら静岡市と県が一体となって努力をしてみたいとのことのようです。
 もともとこの県都構想は十年以上前の石川前知事のときに発案されていた政令県構想を基礎とするもので、当時は道州制に移行する前の段階に国からの大幅な権限移譲を求めた構想でありました。この構想では、県内を政令市と広域連合の五つのブロックに分けて住民に身近な行政サービスを自己完結的に実施できるように進めていこうとしたものであります。知事は記者の取材に対して構想を述べたものであったので、正確に聞いていない田辺静岡市長は一方的に反発との報道がされました。
 一方で、国は県と政令市との間の二重行政解消のための法律改正を行い、来年四月一日施行の指定都市都道府県調整会議制度を創設しています。これは指定都市と都道府県の二重行政の問題を解消し事務処理を調整するための協議の場とするものです。本県ではこれに先駆けて既にG3と称して県、静岡市、浜松市の三者の定期的な会議が持たれており、これまでも権限移譲を初め実を上げてきております。今回のような県からの提案を静岡市は柳に風と聞き流すのではなく真摯に受けとめて議論する姿勢が求められているのではないでしょうか。住民にとってどのような形がよいのか県、市それぞれの言い分を述べてからの判断となると思います。
 そこで知事に伺います。知事は県都である静岡市の課題をどのように考え、またどのようにしていきたいと考えているのか。そのためには法律改正が必要なものもあると思いますが、現行法の中での対応は何から手をつけていくのかお伺いします。
 次に、投票率の向上についてのうち、主権者教育について伺います。
 先ごろ、選挙権年齢を十八歳以上に引き下げる公職選挙法の改正がされ、来年夏の参議院選から適用されることが確実となりました。昭和二十年にそれまでの二十五歳以上男子を二十歳以上の男女に変更以来七十年ぶりの改正で、新たに約二百四十万人の新有権者がふえることとなります。またこれまで禁じられていたこの年齢の選挙運動が解禁となり、重大な選挙違反を犯した場合は刑事処分とするとされています。諸外国ではオーストリア、アルゼンチンの十六歳から、アメリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツ、フランス、ロシア等、多くの国が既に十八歳からと決めており、日本もようやく先進国並みになったと言えるでしょう。
 こうして選挙権を若者に拡大されることになりましたが、近年の各種選挙における投票率が下降気味であり、中でも若者のそれがかなり低い結果については大いに失望しており懸念を持っております。総務省の抽出調査によると、昨年十二月の衆議院選の年代別投票率は二十から二十四歳が二九・七二%、七十から七十四歳は七二・一六%と倍以上の開きがあり、平均は五二・六六%でありました。投票率が高齢者中心に高い傾向だから政治の方向性も高齢者中心になってしまうのではないかと言う人もあり、この投票傾向は好ましいことではないと思われます。いずれにしても、十八歳まで投票権を拡大することは、若者の声を社会に取り込む制度となり、行き詰まりを打開するチャンスになるとの声もあります。選挙運動にしてもあれもだめ、これもだめと禁止条項ばかりの公職選挙法で一般の人の理解は進みませんが、若い人たちには新風を吹き込んでほしいと願っている一人であります。
 現在の高校二年の三割前後が有権者になることになり、本年二月に曳田県議が高校生に対する主権者教育について質問をし、当時の教育長は学習指導要領の改訂を注視して取り組むと述べていますが、改訂を待ってはいられません。これまでも模擬投票に取り組んでいる学校の例もあると聞きますが、今こそ早急な主権者教育の充実を図っていく必要があると思います。政治的中立性を求めている教育基本法との関係はどうするのかも含めて、県教育委員会の見解をお伺いします。
 次に、投票率向上対策について伺います。
 私自身十二回の選挙を体験しましたが、初めてのころの投票率は七五%を優に超えておりました。その後、他の投票率も含めて低落傾向となり、今春の県議会選挙は全県で四七・八八%と五〇%を切り過去最低となりました。静岡県だけでなく全国も同様でまことに残念な思いです。政治への関心が薄れて投票率が下がる、立候補者が減って無投票選がふえた等、理由はいろいろあるにしても五〇%を割る投票率が果たして正常な民主主義と言えるのか疑問があります。期日前投票の簡便さ、投票時間の延長等、これまでも投票率向上に向けて改革はされてきていますが、数字に連動してこないのは他にも理由があると思います。総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会では、投票所同士をオンラインで結んでどこでも投票可能にと、駅構内や商業施設などにも投票所開設を提案しております。神奈川県鎌倉市では投票所をスーパーに設置し、そのスーパーで投票済み証明書を提示した方には食料品を五%引きにしたところふだんより多くの買い物客が来た結果、相乗効果で市内最高の投票率を記録したとのことです。
 このように、投票率の向上にはさまざまな工夫が必要と思われます。今回の選挙権年齢の十八歳以上に引き下げを受け、若年層を中心とした新たな投票率向上対策を考えていく必要があると思いますが所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(吉川雄二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
 静岡型県都構想についてであります。
 この構想をいたしました経緯は議員の御指摘のとおりでございます。静岡・浜松両政令指定都市とは、平成二十二年以来静岡型特別自治市の実現に向けた議論を進めてまいりました。県庁所在地である静岡市におきましては、県と市が一体化して二元的行政を一元化し喫緊の課題に早急に対応することが市民、県民の皆様のためになると考え、静岡型県都構想として問題提起をしたところでございます。人の話を聞くというのを取り柄とされている方が聞く耳を持たない、聞き流すというのは自己否定です。ですから猛省を促したいというふうに存じます。
 そもそも大阪都構想におきまして、これが二十四の行政区を五つの特別区に分けるといった場合、その特別区は三十万人から六十九万人まででございました。南区が六十九万、北区が六十三万、そして東区が五十八万。一番少ない湾岸区でも三十数万人です。したがって七十万を切れば中核市という、そういう認識のもとに二十四の行政区を五つの区に分けられたわけです。
 そうした中で静岡市は、平成の大合併のときの特例として政令指定都市の基準を従来の百万人から七十万人まで下げられ、清水と静岡が合併したときには七十万六千人でした。その後由比と蒲原を入れて七十一万六千人にしたわけですね。それで十年たったわけですけれども、毎年人口が減少し、今七十万を切るという直前で、この静岡市の出された第三次総合計画を見ますと六十万人台になることを前提にし、さらに図表を見れば五十万人台における静岡市のことを書いているんですね。ところが一方で静岡市というのは実は伊豆半島全体より大きいんです、一千四百平方キロメートルですから。予算は三千億円弱です。一方、特別自治市を目指している横浜市は面積は静岡の三分の一以下、かつ予算は一兆五千億ですから。ですからもうこれだけの大きなところを、人口七十万を切る、あるいは三千億弱の借金を抱えて到底きちっとはできないという問題があります。さらにこれは二十ある政令都市の中で人口が最少でかつ高齢化率、人口減少率も下から数えて二番目ということで極めて危機的な状況にあると。特に清水区におきましては人口減少が他の二つの区に比べて大きいということで、清水区に対しても私は大変厳しい懸念と危機感を持っているわけでございます。したがって県と市との連携が不可欠でございます。
 一方、政令指定都市というのは、出生の秘密というか成立のいわれからして初めから、特に県庁所在地の政令指定都市と府県との間には二重行政があります。もともと昭和二十二年に特別自治市としていわば東京都のように一元的にするということで十年間やったわけですが、府県の知事さんがそこを離したくないということで、上に覆いかぶさって政令市が昭和三十一年にできて今日に至っているので、一番最初から二重性というのがあるわけですね。これを解消するために政令指定都市の首長さんはこぞって特別自治市を目指す。つまり府県庁はそこから出ていけということで、大阪都も二重行政を廃止するために市長と府知事を一体的にして都知事にするということだったわけです。そして特別区を設けるということだったわけですが、これにつきましては法令の問題があります。
 今回の大阪都の構想というのは大都市地域特別区設置法というものに基づいて行われたわけですけれども、これは大阪の場合二百万人以上あると。近隣を入れて二百万人になれる可能性のある政令指定都市において当てはまるものです。そうしますとこれは二十ある政令都市の中で半分ぐらいしか当てはまらなくて、うちも全く当てはまらないということですね。法令については今一生懸命考えてもらっているわけですけれども、特に法学部出身の優秀なのがたくさんいまして、そうですね、東北大学法学部出身の吉林君、静岡大学人文学部法経学科出身の経営管理部長等、人材には事欠いておりませんが、今二百万人以上というこの運用基準を例えば政令指定都市が県庁所在地にあるところというふうにしてすれば、あるいはこの二百万人というこの運用基準を外せば、これはそのまま運用が可能です。それほど難しくなくできるのではないかというふうに思っております。しかしやはり何と言いましても法改正を国に働きかけていくことが必要なのですが、やはり県が一方的に国に提案を行うというのではなくて、まずは静岡市との間で十分な協議を行い、県庁所在地である政令指定都市のあり方、その行政運営の手法等について共通の認識に立つことが何より重要だと考えています。その上で二重行政の弊害など本県と同様の課題をお持ちの知事や市町村の皆さんにも御理解をいただきながら、県庁所在地における新たな大都市制度の選択肢として国に対し提案し、実現に向けた働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
 そうした中で、何といいましても県都にふさわしい駿州府中と言われたところでございますので、そうした風格を持ったまちづくりをしてまいりたいというふうに考えております。
 二つ目の御質問でございますが、投票率の向上についてのうち、投票率向上対策についてであります。
 近年の選挙の投票率は各種選挙を通じて低下傾向にあり、四月に行われた県議会議員選挙では四七・八八%と戦後最低を記録しました。有権者のうち半分以上の方々がみずからの権利を行使していないという状況に非常なる危機感を抱いております。特に若年層の投票率が非常に低い状況にあることなどから、選挙権年齢の引き下げが投票率をさらに引き下げることのないよう、若年層への意識啓発の重要性が一層高まるものと考えています。そのため私どもは昨年度から中学三年生を対象とした選挙出前授業を始めたところですが、今回の選挙権年齢の引き下げを機に高校生にも対象を拡大し、主権者教育に取り組む県教育委員会と連携して新たに有権者となる若者の政治参加意識の向上を図ることといたしました。
 意識啓発に加え、投票率の向上には議員から御紹介がありましたような投票しやすい環境整備も重要です。県ではこれまでも市町に対し期日前投票所を商業施設や駅構内に設置している先進的事例などの情報提供や助言を行ってまいりましたが、来年実施予定の参議院議員通常選挙におきまして焼津市では県内で初めて大型商業施設に期日前投票所を設けることとしたと伺っております。若年層を含めた投票率の向上が期待できる事例として注目しております。
 県議御指摘の中に、投票率が五割を切ったというのを私も重要な指摘だと受けとめております。この県議会が成立するには過半数の出席者がなければなりません。ですから定足数というのがあると思います。ですから百人のうち五十人以下の人しか投票しなかったということであれば、いわば選挙権における定足数を満たしていないというふうに考えるのが筋ではないかというふうに思います。
 一方、このたび共同通信のほうが、来年十八歳、また選挙権を持つ十九歳になる現在十七歳、十八歳の少年、青年に対しまして意識調査をしました。選挙に行くつもりがあるというのが過半数を占めております。一方、驚いたことに、政治家を信頼しているかと言ったらば二割以下の子しか信頼していないと。八割の子が信頼していないということなんですね。そういうことになりますと、ああいう方だと選挙をしたってしょうがないということで投票から足が遠のくということにもなりかねないので、ですからその場合でも投票に行きなさいと。いないならばいないと書けばいいと。無効票になるので、無効票のほうが名前で投票された方の数より多ければその人は選ばれたとは言えないというやり方もあると思います。
 ともあれ、この普通選挙といいますか、この男女、身分一切関わりなく選挙権を持つというのは民主主義国家の誇るべき財産でございます。これを見事に行使するためにはまださまざまな工夫がいるのではないかというふうには思っておりまして、ぜひいろんなお知恵をお貸しいただいて、皆様方とともに静岡県における投票率は常に全国でもトップクラスというふうになるようにしたいものでございます。
 今後、選挙出前授業に対する高校生の意識や反応等を把握しながら、県教育委員会や市町と連携し、より効果的な意識啓発の取り組みを進めるなど、年齢層に応じた効果的な啓発と投票しやすい環境整備の両面から投票率の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) ただいま川勝知事からもお話がありましたけれども、投票率の向上について、私の場合は主権者教育ということでお答えいたします。
 選挙権年齢を十八歳以上に引き下げる公職選挙法の改正によりまして、平成二十八年度の施行時、実際には来年の秋に参議院選があると思うんですけれども、現在の高校二年生の一部に選挙権が与えられることとなりました。現役の高校生が投票を行うということから高校教育における主権者教育の重要性は高まるとともに、在校生に対しても早急に選挙に関する知識あるいは体験を付与する必要があると認識しております。
 各県立高校においては現代社会や政治・経済等の科目において選挙に関する基本的な知識を教育しておりますが、本年度内には国が作成する予定の新たな副教材の活用を初め選挙権の行使を前提とした新たな指導方法を実践してまいります。また県及び市区町の選挙管理委員会と連携し模擬投票を実施するなど、実際の投票行動の体験を全ての県立高校で実施できるよう検討を進めてまいります。さらに、政治への参加意識の醸成には地域社会に興味や関心を持つことが第一歩となることから、地域学や社会貢献活動の推進など地域に対する理解を深める教育にも積極的に取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、教務主任研修会などにおいて教育基本法や選挙関係法令の遵守について徹底を図るとともに、選挙管理委員会など関係機関と連携を密にして高校生が選挙の必要性を十分に認識、理解し適切に選挙権を行使できるよう、主権者教育に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 中澤通訓君。
       (七十一番 中澤通訓君登壇)
○七十一番(中澤通訓君) 何点か再質問いたしますけれども、いずれにしても合併すれば人口はふえるんだろうと思われたのがなかなかうまくいかなくて、現実にはこの静岡市の場合は既に十年間で一万六千七百七十人、とりわけ清水区では一万一千八百五人の減少ということになっております。多分推計人口では来年の四月ごろ七十万人を切ってしまうという心配もあるわけでありまして、田辺市長は市長選挙の折に七十万人を死守すると言っていますが、有効策はまだ見えておりません。
 そこで、今回の県都構想、それぞれ県知事と市長との言葉のやりとりが、マスコミを通じてありますけれども、オフィシャルな場で知事は県都構想を述べられたという記憶は私はないんですけれども、やはりこうした大事なことはある程度の場所で述べられないと正確なことは伝わってきませんし、発信側と受信側と温度差があります。そのことを、マスコミを捉えての世間一般に知れ渡る言葉が何となく住民からすると心配事になってしまうというおそれもあります。ですからそういう面では正確な情報発信をやっぱりしていただきたいし、そして今後いい形にしていただきたい。
 これは現実なんですが、それではどうするか。今後知事はどういう機会を捉えて県都構想をしっかりとお伝えするのか。そのことについて今お考えがあればしていただきたいと思いますし、あわせてやはり無用なあつれきは避けていただきたいということも踏まえてお聞かせいただければと思います。
 投票率の向上については主権者教育ですが、やはりともすると主権者教育は政治問題との絡みがあって話題が逃げる可能性があります。しかし話題をぼやかすことによって逆にお互いのやりとりが薄くなって、政治って何だということがわからなくなる。やはりきちっとした身近な問題、多少それが政治の問題になるということは当たり前なんでしょうけれども、それを避けていかないでむしろきちっとした判断能力を高めていく、そのことの主権者教育が私は大事だと思います。そういうことによって知識を得た人たちがやがてこれから四十年、五十年と投票行動をするんですから、それがむしろ良識ある有権者を育てるきっかけともなりますので、ぜひその点はお含みをいただきたいと思いますし指導要領が出る前にお考えいただきたいと思います。
 神奈川県では既に二〇一〇年、十三年の参議院選挙のときに全県の高校生が模擬投票をやっているんです。静岡県はチョイスされたところだけということでありますけれども、ぜひそれはもう早急に今後進めていくという積み重ねが大切でありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、ここにあるのは選挙パスポートといって俗に言うラジオ体操の出席カードの判取り帳のようなものであります。参議院、衆議院が大体三年に一回ずつ、そして地方選挙が四年に一回。今まで二十から六十年間ということになれば、そうするとこの間に大体百回の投票ができるということを言われています。今回は二年それよりふえますからもっとになりますけれども、一つのカードとしてこれが逆に言うと投票済み証明書にもなりますので、これはある市のことでありますが、市町のアイデアでやったことでありますが、ぜひ県が主導してこんなことも投票率向上に結びつけられたらいいかなというふうに私は思いますが、県の御所見もお伺いしたいと思います。
○議長(吉川雄二君) 中澤通訓君、ただいまの木苗教育長に対しては質問ですか、要望ですか。(発言する者あり)
 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 県都構想につきまして、再質問いただきましてありがとうございました。
 私は自分の考えを市民、県民にお話しすると、機会があればそれを申し上げるという、そういうスタンスを通してきました。一方でそのことが市長さんあるいは県議会の議員の先生方などと若干意思の疎通を欠くという御批判を今までいただいておりますので、これは反省をいたしましてできる限り意思の疎通を図るようにしたいというふうに存じます。
 それからまたこの県都構想につきましては、これまで私どもはいわゆる公式のG3というやつですが、政令指定都市の市長さんお二人と私とが、そこに担当の幹部を交えてお話しをし、そこで取り決めたことにつきまして、あるいは課題として残されたことについて担当部局がこれを詰めるということで過去六年間やってきたわけでございます。今度調整会議を設けるようにという、法律で定められましたので、このG3がそうしたものに今度はかわるということになると思います。これは目下のところこの秋に予定されておりますので、間違いなくこのときにはこの二重行政を廃止するために県都構想について議論をするということを提起したいと存じます。
 そもそも一等最初から、静岡市長さん、浜松市長さん、このお二人とも二重行政を廃止するために現行制度にはない特別自治市を、川勝、認めるか認めないかということを突きつけられて始まったものであります。ポイントは特別自治市ではないんです。二重行政があるというのをどのようにして廃止するかと。ここにあるから出ていきなさいという、そういうスタンスであったわけですが、しかし出ていってその後市民、県民のためになりますかということが今厳しく問われている。ならないというのが私の判断です。これほどに広域のところで道路一つとってもなかなかに整備が進まないと。県道が市管理になりました。その県道を市が整備すると。例えばこの間も申しましたこの御幸通りから井川湖までですね。これはかなり長いものでありますが、これがもう全然滞っているということもありますし、東静岡をいいようにしていこうということについても、ここは市有地、ここは県有地だから勝手なこと言うなというような形になってなかなかに滞るということがございます。それからまた日本平のてっぺんの施設整備につきましても、ここは市、ここは県ということでお互いに縄張り争いするというふうなみっともないことをしているわけですね。
 しかし、市民や県民やあるいは一般の方々にとってそんなことは関係ないです。ですから、いかにして県都のたたずまいを上げていくかがポイントだということのためには一元化がいいということは三人とも共通認識として持っておりますので、したがって今我々は、大阪都構想は残念ながらあの特別法ではここには当てはまりませんので、これの人口運用要件を緩和する。あるいは政令指定都市が立地しているその府県においてはこのような県都構想を考えるということになりますと、一気に二十の政令市全てに対して問題提起ができるというふうに思っております。
 ちなみにこの間自民党のナンバーツーがお越しになられまして、インフォーマルな会見だったんですけれども、向こうのほうからこれについて興味があるので聞かせてほしいということでございました。ですからそうしたことを通して、まずキーパーソンにひそひそ、何々、こうこうと、このようなお話をして果たしてこれが直接対話になっているのかと。ですからオープンにして誰が聞いても恥ずかしくない、誰に言ってもAさんに言うこととBさんに言うことが違うということがない。すなわち諸事公にすると。透明性、公明正大にするというスタンスは私はこれからもとり続けたいと。ぜひそのほうは六年間そういうスタンスでやってきておりますので、浜松市長さんにしろ静岡市長さんにしてもぜひその辺のところはまた一方で御理解を賜りたいと存じますが、私のほうもなるべく機会を捉えて意思疎通を図っていくということはお約束をいたします。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ただいまの中澤議員の御質問の件について、少し答えさせていただきます。
 先ほどお話ありましたように、いわゆる副教材ができる前に少し活動せよということなんですが、今、文部科学省と総務省が一緒になって副教材をつくるということで前向きにやってくださっていると思うんですけれども、それを待つのではなくてやはり教育委員会としてもできるだけその機会を見て、特に高校生ですので、実は二、三年前からもう既に大学も今やってくださっているんですが、今度高校三年生になるわけですけれども、そういうような方々にできるだけわかりやすく行動していきたいと、そんなふうに思っています。
 それから選挙パスポートの件なんですが、これも私は名前は聞いていたんですが具体的なものはわからないので少し調べさせていただいて、そして静岡方式といいますか、そういうようなことで考えていきたいなと、そんなふうに思っています。以上です。
○議長(吉川雄二君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 投票率向上対策についてのうち、選挙パスポートについてお答えしたいと思います。
 私も選挙パスポートを拝見させていただきました。実に人生生きている間に百回もの選挙に行けるチャンスがある。逆に言うと政治に参画できるチャンスがあるということを改めて思い知って、選挙の重要さも私自身もわかるかなと思いました。こういうことを続けることによって、選挙離れ、政治離れということが若者を初めとして県民の間にある意味で蔓延しているかと思いますけれども、そういったことを改善するきっかけにもなるのかなと思っています。
 また、こうしたパスポートをつくることによって数を積み重ねて三十回、五十回になることによって、今度もまた投票に行こうという意識もまた盛り上がってくるかと思っていますので、こういった取り組みを参考にして、県におきましても有効な投票対策を考えていきたいと思います。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 中澤通訓君。
       (七十一番 中澤通訓君登壇)
○七十一番(中澤通訓君) 次に、トイレ文化についてのうち、観光地の対応について伺います。
 訪日外国人の数は年々増加して昨年は千三百万人を超えたとのことです。中でも中国人の入国ビザの簡略化もあって、ことしの春節を中心に中国人の買い物ツアーはすさまじさがあったとのことです。中国人特有の爆買いは炊飯器を初めとする家電製品、化粧品、紙おむつ、果ては温水洗浄便器を担いでの空港での出国風景がテレビで紹介されましたが大きな驚きでした。二千万人の訪日外国人を目指すビジット・ジャパン事業もスタートしており、実現もそれほど先のことではないと思います。このたび内閣府の有識者会議「暮らしの質」向上検討会では、日本がつくり出した高機能トイレの世界普及を目指すべきとの提言をまとめました。具体的には快適なトイレ空間づくりを進めることで女性の暮らしの質が高まるとし、公共施設での高機能トイレの整備を指摘、世界へはODAを通じて途上国でのトイレ整備を進めるなどがその内容です。
 そこで、まず県内の観光施設のトイレの状況について伺います。
 新東名のサービスエリア、パーキングエリアにおけるトイレ整備は目をみはるものがあります。あわせてこれまでの東名のそれも一新されております。県有観光施設では自然歩道や南アルプスの山小屋を入れて七十カ所のトイレがありますが、和式のみが二十二カ所となっています。観光を売り出しのキーにしてきた本県でありますが、おもてなしの基本としてトイレの整備にもっと力を入れていく必要があるのではないかと思います。県の考え方をお伺いいたします。
 次に、学校施設の対応について伺います。
 資料によれば、教育委員会関係の特別支援学校を除いた県立高等学校のトイレの洋式化率は多目的トイレを含めて三一・一%であります。県教委の計画では築十六年から四十年未満の平均一九・一%を三年計画で五〇%以上になるようにしたいとのことですが、この計画は確実に達成できる見込みがあるのかをお伺いいたします。築四十年以上は今年度から実施する老朽校舎対策事業における改築、改修時に対応するとのことですが、四十年以上の洋式化率五〇%未満の対象校は四十八校あり、本年度七校の設置予算が実行されていることを考えるとトイレの改修に七年以上かかることになります。あわせて築十六年未満でも洋式化率五〇%未満が五校あります。これらについてもどのように対処していくのかお伺いいたします。
 また、義務教育課程の小中学校は市町の施設整備でありますが、洋式化についての実態把握はしているのかどうかお伺いをいたします。
 次に、Uターン就職促進策について伺います。
 毎年、県内高校生は卒業後就職を初め大学、短大、専門学校等へ進学、全体の半数近くは郷里を離れます。進学後もそれぞれの地での就職が多くUターンが少なく、本県はまさに人材供出県となっております。長く円高不況で企業の転出、採用の手控えもありましたが、ようやく景気も少し上向きになりつつあるようですが、いざ人材確保になると思うようにいかない現状とのことです。県内の六割の企業が不安を感じているようです。県も各大学へのアプローチを初め県内有力企業への職場訪問ツアーの実施、就職活動お役立ち情報カレンダーの配布など積極的な活動を展開中と理解しております。
 昨年私の母校県立清水東高校では、卒業生の地元企業への就職を強く訴えていこうとして協賛いただいた市内有力企業のPRを冊子にまとめ毎年発行している同窓会報に同封、今後も高校卒業後の六年間の期間限定で送る予定であります。本年度になって市内の他の高校同窓会へアプローチし、幾つかの高校もまとまっての冊子づくりに進んできております。就職活動が現実でない早い時期に郷里の企業のことを知っておくことは強いインパクトになるものと思われます。地方ならではの高校同窓会組織の強みを人材確保に生かせるものと自負しているところですが、新しい手法として全県への取り組みを考えてみたらどうかとお伺いをいたします。
 次に、三保松原の保全について伺います。
 過日の新聞報道によると、世界文化遺産に登録された富士山の構成資産三保松原のシンボルである羽衣の松の樹勢について、県と静岡市の会議で生育状況は危機的な状況との認識で一致したとありました。二年前に先代の松が枯れて代がわりしたばかりでありましたが、世界文化遺産効果で急増した観光客が松の根元近くまで押し寄せたのも原因の一つとされております。早期の樹勢回復の対策が図られることとあわせて松の根元が踏み固められないような対策も必要と思われます。
 屋久島の縄文杉の保護には柵ではなくやぐらを組んで根元に人が入らないようにしてありましたが、今後の対応についてお伺いをいたします。
 あわせて、三保松原全体の松くい虫被害対策も地元の了解もあって空中からの薬剤散布も実施されて効果も出ているとのことですが、下草の除去はボランティア頼みが主で限界があります。一度、県市でしっかりと下草の除去をやってその後にボランティア主体にしないと、いつまでたってもすばらしい景観にはならないと思われます。県の考え方を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(吉川雄二君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) トイレ文化についてのうち、観光地の対応についてお答えいたします。
 トイレはおもてなしの基本であり、清潔で明るく使いやすいトイレは旅の安心と快適さを提供し旅の満足度の向上につながることから、観光振興を図る上でトイレの果たす役割は大変大きいと考えております。
 このため県では、観光地に設置した県有トイレのユニバーサルデザイン化、多機能化を段階的に進めており、これまでに利用度が高い箇所を中心に整備してまいりました。その結果、高所にあり、し尿処理法が特殊で洋式トイレ化が困難な山小屋のトイレなどを除き平成二十六年度末現在の進捗率は約七〇%となり、平成二十九年度までに一〇〇%の整備を進めてまいります。なお、市町が所有する観光地におけるトイレについてはこれまでも洋式化を含むユニバーサルデザイン化や県産材の利用等の配慮を市町へ要請してきたところでありますが、今後も観光施設整備事業補助金制度を活用し県全体でおもてなしの心を感じるトイレの整備の促進を図ってまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) トイレ文化についてのうち、学校施設の対応についてお答えいたします。
 学校は生徒が一日の大半を過ごす生活の場でありますが、県立高校では今なお大半で和式便器のトイレが存在しており現在の生活スタイルとの乖離が見受けられます。このため県教育委員会といたしましては、建築後十六年以上四十年未満の校舎を保有する学校を対象として、県立学校等大規模補修費により平成二十七年度から三カ年計画で各校の洋式化率が五〇%以上になるように対象となる学校と整備内容を調整の上、着実に進めてまいります。また建築後四十年以上を経過した四十八校のトイレは県立高校老朽校舎対策事業費において洋式化を計画的に進めるとともに、各校の状況に応じて改善に努めてまいります。さらに建築後十六年未満の五校のトイレは県立学校等大規模補修費の中で洋式化率が低い学校から着手するなど優先順位をつけた整備を検討してまいります。
 市町立小中学校に関する洋式化率については、複数の市町への聞き取りによれば三〇%程度と認識しております。市町立小中学校のトイレ改修は文部科学省の交付金制度の対象となっており、この交付金制度の活用により洋式化が進むよう市町教育委員会に対し一層の周知を図ってまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) Uターン就職促進策についてお答えいたします。
 議員御紹介の清水東高校同窓会の取り組みは、人材の確保を進める本県にとってすばらしい取り組みであり、関係の皆様に敬意を表します。県は、大学生等のUターン就職を促進するため就職支援サイトしずおか就職ネットにより就職面接会や就活セミナーなどの情報を提供してまいりました。今年度は進学後の早い時期から県内への就職を動機づけるため、五月から全学年を対象に県内企業の魅力やイベント情報を掲載したメールマガジンを毎月配信しております。また首都圏の大学一、二年生向けに県内企業を見学するバスツアーを八月に初めて開催することとしております。
 こうした取り組みを市町や企業、関係団体の協力を得て行っておりますが、特に県外に進学された方への情報提供を充実させるためには多数の会員を有する高校の同窓会の活用は有効な手段であると考えられます。このためしずおか就職ネットへの登録や昨年東京に開設いたしました静岡U・Iターン就職サポートセンターの活用について、高校の同窓会とも連携し会報で周知を呼びかけるなど、Uターン就職の促進にオール静岡で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 三保松原の保全についてお答えいたします。
 三保松原のシンボルである羽衣の松の保全管理を適切に行うため静岡市が本年二月から三月にかけ樹勢診断調査を実施したところ、樹勢に衰えが見られ、その原因として観光客の踏み固めによる根の生育阻害等が指摘されました。このため市は、踏み固め対策として既に羽衣の松周囲の立ち入り禁止区域を拡大しており、八月には土壌の通気性や透水性などの改善、十一月にはボードウオークの設置を予定しております。また樹勢回復のための土壌改良につきましては県が現在さまざまな分野の専門家から実施方法や時期に関する科学的知見を収集しており、これを早急に指針として取りまとめ市が着実に実施できるよう技術的支援を行ってまいります。
 三保松原の下草の除去につきましては、全域三十三ヘクタールの松林のうち県と市が管理する合計九ヘクタールにおいてはボランティア団体等の皆様の協力をいただきながらそれぞれが実施しております。さらに民有地を含めた三保松原全域の景観を守るため、市は今月二十日に現地に保全活動サポートセンターを開設し、官民の協働により下草刈りなどの松林の保全活動を推進する仕組みづくりに着手したところであります。
 今後は、保全活動の中核となる団体の育成や県市ボランティア団体等の役割分担の明確化など、市が行う保全活動の活性化に向けた取り組みへの支援を積極的に進めてまいります。
 県といたしましては、昨年十二月に三保松原の松林保全技術会議からいただいた松林保全対策に関する提言を着実に実行し、霊峰富士を望む白砂青松の美しい松原を次世代に引き継いでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 中澤通訓君。
       (七十一番 中澤通訓君登壇)
○七十一番(中澤通訓君) それぞれ答弁いただきましてありがとうございました。
 Uターンのことにつきましては、やはり手元に資料として渡させていただきましたが、非常にコンパクトで地元の企業の紹介があって先輩がいるということで訪ねやすいということもあります。ぜひそういうことで全県のそれぞれにやっていただきたいと思います。今回静岡市周辺の方々に呼びかけたら、既に六校の高校がこれに賛同して独自でそして共通のものをつくってそういうときに渡そうということでスタートいたしております。広く有能な方々にまた戻ってもらう。そんなことの手助けになっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、教育行政についてのうち、全国学力・学習状況調査の公表について伺います。
 一昨年の小中学生の学力調査の公表問題は、知事と教育委員会それぞれの主張もありましたが、法律改正もあって教育委員長と職務を兼ねた教育長となり、総合教育会議ができて知事の主張もできるようになりました。学力調査の公表については県教委から各市町教育委員会に公表の要請をしたとのことですが、各市町教育委員会の公表の予定の状況はどんなぐあいになっているかお伺いをいたします。
 次に、英語教育について伺います。
 政府の教育振興基本計画によれば、二〇一七年度に中学卒業時に英語検定三級、高校卒業時に英語検定準二級から二級相当の英語力を持つ生徒を各五〇%にするのが目標としていますが、昨年度の実績はそれぞれ三五%、三二%でありました。文科省はこれらの向上策の一環として英語の学力調査を中学三年生を対象に二〇一九年度から始めるとしています。読む、書く、聞く、話すの四技能をはかる試験を全生徒を対象とするとしております。既に話す技能の評価は短時間では無理との声もあり、また教える側の英語力に幅がある中での評価統一基準づくりにも問題があるとのことであります。文科省の調査によれば、中高の英語担当教員のうち英語検定準一級以上かそれに相当する資格を取得しているのは高校では五五・四%、中学では二八・八%であります。福井県が最高で八六・三%、四九・四%。静岡県は五六・二%、二八・五%でありました。本県は全国平均並みということであります。
 子供たちの英語力を伸ばすには教師の指導力向上が欠かせないのは当然で、教師が英語を使いこなせてこそ会話やスピーチを取り入れた実のある授業が可能となります。教師のレベルアップ対策はどうするのかお伺いをいたします。
 次に、高校生海外渡航サポーター制度について伺います。
 知事が全ての高校生にパスポートを持つように勧めています。若いときに外国に出かけ言葉や文化等の違いを直接感じることが国際人の一歩だという考え方だと思います。教育長はさきの総合教育会議において、これに呼応するように高校生の海外渡航のサポーター制度を立ち上げたいとの発言をしております。日本の青年が一時期内向き志向が強く海外留学生が激減していましたが、国も力を入れ始めた結果、この数も上昇しているとのことであります。留学生もアメリカ本土の英語圏だけでなく中南米、東南アジアなどにも広がっているとのことで、高校生への支援もこれを後押しするものとなることが期待されております。
 このサポーター制度はどのような内容か、教育長にお伺いをいたします。
 次に、小中学校における土曜授業について伺います。
 十五年以上前にゆとり教育が取り入れられましたが、学力低下の弊害が目立ち方向転換となり大幅な見直しがされ、今では小学生にも英語教育がされております。労働時間短縮、週五日制の実施等社会環境の変化もあって、学習の時間確保の必要性から二学期制への移行等諸々の変化がありました。翻ってみますと大人の都合で始められる改革ではなかったのかと考えさせられました。基本は子供たちの学力向上を考えての改革が必要だということです。鹿児島県教育委員会は教育課程に位置づけた土曜授業の実施について本年度より行う旨の通達を全小中学校に出し、多くの学校は十月から月一回の土曜日の半日授業を実施することになったとのことです。
 本県県立高等学校では指定校授業において二校が土曜授業を実施しており、またPTA等の主催による補習などの土曜学習を実施している学校も多くあるということですが、小中学校に対しては県教委はどのように考えているのかお伺いをいたします。以上答弁を求めます。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ただいま四つほど質問いただきましたものですから、順次説明させていただきます。
 まず最初に、全国学力・学習状況調査の公表という件なんですけれども、これについてお答えします。
 県の教育委員会では、四月に各市町教育委員会の結果公表に関する意向調査を実施しまして、県内三十五の市町のうち三十市町から調査結果を公表するという回答は得られました。残る五市町についても調査結果を学校だより等で保護者に公表すると回答しており、県においては全ての市町教育委員会が何らかの形で調査結果を公表する予定であります。全国学力・学習状況調査の目的は子供たちの学びの状況を把握、分析をするとともに、学校、教育委員会の取り組みの成果と課題を検証し、その改善を図ることであります。したがって本調査の結果公表に当たっては県民への説明責任を果たすとともに、子供たちの学力と学習の状況を保護者、地域と共有することが重要であります。また調査結果の公表が単なる数値の比較に終わることのないよう教育的な配慮も必要です。課題ばかりが注目されますが、よい取り組みや評価されるべき点もあわせて示すことが重要であります。
 こうした考えに基づき、県教育委員会では平成二十七年度全国学力・学習状況調査の結果の公表方針を取りまとめました。今後、七月中旬をめどに早期対応策による分析結果や公表モデルを示すとともに、市町教育委員会に対して主体的かつ速やかな公表について促してまいります。
 次に、英語教育についてであります。
 議員御指摘のとおり、子供たちの英語力を伸ばすには教員の指導力向上が不可欠であり、県教育委員会としては小中高各学校段階において体系的な研修を実施するなど英語の指導の充実に取り組んでいるところであります。具体的には、国から示されたグローバル化に対応した英語教育改善実施計画を踏まえ、小中学校対象の外国語活動授業実践研修、高校の英語担当教員と外国語指導助手、これはアシスタント・ランゲージ・ティーチャーいわゆるALTを対象とした指導力向上研修、総合教育センターにおいて英語によるコミュニケーション力向上研修などを実施し、教員のスキルアップを支援してまいります。また指導主事による学校訪問を通し児童生徒の実態に応じた授業づくりの指導を行っております。
 平成三十二年度からは次期学習指導要領の改訂により小学校において英語の教科化が見込まれておりまして、県教育委員会といたしましては今後各学校段階の指導体制をより一層整備していくことが重要であると考えております。そのため各種研修の質的、量的な充実を図るとともに、英語指導における教員の小中学校間交流や各学校におけるALTの活用などの取り組みを積極的に進めていきたいと考えております。
 今後とも教員の英語指導力の向上のための研修を充実させるとともに、英語教育の指導体制の整備の充実を図ってまいります。
 次に、高校生海外渡航サポーター制度についてであります。
 六月十七日に行われました第二回の総合教育会議では、高校生の国際感覚の醸成や将来の海外留学の促進のためには高校生の段階で海外渡航を経験することが重要であり海外への修学旅行の促進が効果的であるとの認識で一致したところであります。一方で、一部の高校では海外修学旅行の計画が困難な事情もあるとの指摘もありました。そこで私は経済的な事情を解決するとともに、さらに海外渡航の促進を図るための一つの方法として海外渡航サポーター制度の提案をいたしました。具体的な方法については、次代を担う高校生のグローバル教育を社会総がかりで推進するという観点から、文部科学省が実施している官民協働海外留学支援制度〜トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム〜。私これ二年間――昨年、一昨年と自分が委員をやっておりましたけれども、そのように民間企業や経済団体から支援金を募る方法が理想的であると考えております。
 今後は、こうして得られた支援金をどのような形で運用していくか。またどのように民間企業等に趣旨を説明し支援をいただくか。こういうようなことを十分に検討しまして静岡県独自のサポーター制度の実現に向けて取り組んでいきたいと、このように考えております。
 次に、小中学校における土曜授業についてであります。
 平成二十五年十一月、学校教育法施行規則が一部改正され、公立小中学校においては設置者である市町教育委員会の判断により土曜日に授業を実施することが可能になりました。土曜日を活用した教育活動については実施主体や内容等により幾つかの形態があります。具体的には教育委員会やNPOなど学校以外の主体が行う土曜学習、学校が行う活動のうち教育課程外のものとして行われる土曜日の課外授業、そして学校が行いかつ教育課程内に位置づけられる土曜授業に分類されます。本県では学校以外の主体が行う土曜学習については吉田町教育委員会や熱海市教育委員会において教員以外の人材を活用した取り組みが実施されていますが、学校が主体となる土曜日の課外授業と土曜授業の取り組みは行われておりません。議員御指摘の土曜日を活用した教育活動については、学校五日制が導入されて十年が経過し地域と一体となった教育活動が各地で定着していることに鑑み、十分かつ丁寧な検討が必要であると考えております。
 県教育委員会といたしましては、今後土曜日を活用した教育活動の推進に当たっては、設置者でもある市町教育委員会の考え方や地域の実情、実態を十分に把握するとともに必要な支援を行っていきたいと、そのように考えております。以上です。
○議長(吉川雄二君) 中澤通訓君。
       (七十一番 中澤通訓君登壇)
○七十一番(中澤通訓君) 再質問いたしますけれども、現在の英語教員の採用については先ほど文科省が望ましいレベルのものを言っていますけれども、現実には英語の単科の先生を採っているにもかかわらず、英語のテストを重点的に、先ほど言ったレベルの検査をしていませんよね。ですからこれについては問題があると思うんですよ。それはやはり資格を持っている人たちをしっかりと現場に派遣するということが筋だと思うんですが、それについてどのように考えられるのか再度質問いたします。
 土曜の授業のことですけれども、やっぱりしっかりと子供に授業の機会を与えること。これは大切なことだと思うんです。週五日制についてデメリットとメリットは何だったのか、自分たちで検証したことがあるのかどうか。そのこともあわせて、今後の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) いろいろと御質問ありがとうございます。
 ただいまの英語教育についてですけれども、資格を持っている人をできるだけ、先ほどALTという言い方もしたんですけれども、この中身についてはもう少し精査して、静岡県方式といいますか、そういうような形でやっぱり答えをちゃんと出してやっていきたいなと思っています。私自身も自分が一〇〇%把握していない部分もあって答えにくいんですけれども、今議員がおっしゃられるようなことについては十分に疑問点を洗い出してそして本県に合ったような形を、今もそのような形で進んではいると思うんですけれども、もう少しその辺を吟味して、そして本県の生徒さん、学生さんに合うような形を少し検討してみたいと、そのように思っております。
 それから土曜日の授業についてですけれども、確かに土曜日の使い方というのはそれぞれ地域によっても違いますし、授業が本当にいいのかどうかという点も、今までは授業としてはやってこなかったというのも事実です。地域差もあると思いますので、これらについても少しく皆さんと検討して、また現実に私もいろんなところへ行ってみないとはっきりしたこと言えないものですから、できるだけ自分の足で歩いて、そして地域の方とも接触して意見交換しながらやっていきたいと。静岡を一律にしていいのか、一律というか全部同じようにしていいのか、それぞれの個性といいますか地域差、地域の特徴があってもいいのかなという感じもしているものですから、その辺も含めて検討していきたいと思っています。よろしいでしょうか。
○議長(吉川雄二君) 中澤通訓君。
       (七十一番 中澤通訓君登壇)
○七十一番(中澤通訓君) 教員の採用試験については大きな疑問がありますので、その点をどうするかはきちっと考えていただきたいと思います。スキルアップをすると言ったってスキルアップした結果がその人たちがどれだけ進歩したのか。そういう結果も何も提示されておりません。ですから元のところへ返っていく必要があると思います。
 土曜授業についてはやはり一度検証する必要があると思うんですよ。薄い教科書が厚くなった、授業時間は同じ、それは子供さんが窮屈ですよ。どこかに問題がある。やはり総合教育会議できちっとこういう問題は挙げていただいて協議していただく必要があると思いますが、知事、最後どうなんでしょうか。私はそのようにできればしていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○議長(吉川雄二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 英語教育並びに土曜の授業につきまして問題意識は全く中澤先生と一緒ですので、この点、総合教育会議、言うまでもありませんけれども、木苗先生と個別に意見交換も交わしまして、また現場についての把握も共有しながら静岡に合った形で英語の力をつけていくと。そしてまた分厚い教科書を授業時間内にマスターできるようにしなくちゃならんというふうに思っています。
 質問ではありませんけれども、なるほど国際化というのは英語をしゃべることだという、そういう面もありますけれども、私は本当の日本の国際化は日本語の国際化であるというふうに思っておりまして、きょう前半の御質問の中にもありましたけれども、日本語をいかにして多くの外国人の方々に自由に使っていただけるようにするかということこそ、我々は国際化の本来の筋と考えるべきではないかと。別にそれは英語を退けることではありません。そういう考えを持っております。以上であります。

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