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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

四本 康久 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/27/2012

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 平成二十四年度当初予算編成について
2 平成二十四年度組織改正について
3 内陸フロンティアにおける取り組みについて
4 ふじのくに戦略物流の推進について
5 交通ネットワークビジョンの実現について
6 台湾定期便就航を契機とした誘客促進について
7 富士山世界文化遺産登録の推進について
8 新エネルギーの導入促進について
9 ふじのくに先端医療総合特区の活用について
10 雇用創造アクションプランの推進について
   雇用のマッチングの促進
11 NPOの人材育成について
 (1) NPO活動の人材育成を行う中間支援団体の育成
 (2) 県立大学における人材の育成
12 児童福祉法改正への対応について
13 認知症対策について
14 障がい者の虐待防止の取り組みについて
15 海の道、山の道の整備について
16 第四次地震被害想定と富士山火山対策について
17 学校における放射線教育及び学校給食食材の安全確保について
18 新東名高速道路の交通安全対策について



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十三番 四本康久君。
           (三十三番 四本康久君登壇 拍手)
    ○三十三番(四本康久君) 私は民主党・ふじのくに県議団を代表して当面する県政の諸課題について、知事、関係部局長、教育長、警察本部長に伺います。
     初めに、平成二十四年度当初予算についてであります。
     本年度は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現に向けた新しい総合計画の実質的な初年度であり、大きな期待と注目をしておりましたが、その一歩を踏み出そうとしたやさき、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故による原子力災害という国難に見舞われました。
     本県では、被災地の災害復旧や復興への支援はもちろんのこと、県内での震災対応やサプライチェーンの寸断、電力不足、超円高等に苦悩する企業の経営支援や県内産品の放射能風評被害対策などに取り組みましたが、それまでの持ち直しの動きが鈍化し一部の業界には大きな打撃を与えるものとなりました。
     さて、来年度当初予算について、知事は十二月定例会の我が会派の代表質問において、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを早期に実現するため、雇用の創造、新エネルギー導入の促進、少子化対策、新東名高速道路を生かした地域づくりの四点について、重点的に取り組んでいくと答弁をされました。
     また、私たち民主党・ふじのくに県議団といたしましても、昨年十二月に知事に、現場主義に基づきふじのくにづくりを進め、県民満足度の向上に向けた予算編成とするよう提案、要望したところであります。
     そこで知事は、平成二十四年度当初予算編成に当たり、こうした方針や要望をどのように反映し、本県の自立促進に取り組まれたのか所見を伺います。
     次に、平成二十四年度組織改正についてであります。
     昨年は東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故や浜岡原子力発電所の停止などにより、電力を中心にエネルギーに関する県のかかわりが非常にクローズアップされましたが、そうした中、知事は、いち早く太陽光発電を中心とした新エネルギーの導入を促進する方針を打ち出し、昨年三月に策定した新エネルギー倍増プランの前倒し実施を表明されました。
     しかし、施策実現のための体制を見ると、新エネルギーはくらし・環境部、原子力や火力発電所の立地等の所管は企画広報部に分かれており、我が会派の田県議が九月定例会の質問で指摘したところ、このたびの組織改正により来年度から企画広報部にエネルギー政策課を新たに設置し、エネルギー政策の統括を行うこととなりました。
     また、知事のもう一つの大きな課題であります少子化対策についても、政策立案機能は企画広報部が持ち、体制整備や環境整備は健康福祉部、経済産業部が行ってきましたが、今回健康福祉部に一元化をされました。いずれも知事の重要課題を遂行するための組織改正であると理解いたしますが、今回のこの組織改正に対する知事のねらいと期待する効果について、所見を伺います。
     次に、内陸フロンティアにおける取り組みについてであります。
     新東名高速道路の県内の開通時期は予定を大幅に前倒しし、四月十四日となることが公表され、具体的な日程が示されたことで地域の期待感は一気に高まっております。本県を東西に貫く新東名は東京、名古屋、大阪を結ぶ新たな大動脈として、地域経済の活性化が図られるとともに、サービスエリアやパーキングエリアには新たな商業施設のオープンが予定されており、交流人口の増大によるにぎわいの創出や地域特産品の販路拡大などの効果が期待されます。
     また、現東名とのダブルネットワーク化やサービスエリアなどにおけるヘリポートの整備により、非常時の災害対応力の強化や山間地域の救急搬送の時間短縮などの効果も期待されます。
     知事は新東名の開通を契機とした地域の活性化を内陸フロンティアの開拓とし、本年の県政の最重要課題に掲げるとともに、積極的に内外へ情報発信されていますが、時期を逸することなくこのすばらしいインフラを活用した地域づくりを推進すべきであると考えております。
     そこで、今後、内陸フロンティアにおける地域づくりについて、県としてどのように考え、取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、ふじのくに戦略物流の推進についてであります。
     物流は単なる物の輸送や保管ではなく、流通加工や包装、ICTを駆使した情報管理など企業の調達、生産、販売と、多岐にわたる活動を担う先端産業であります。また物流の効率化や強化を行うことで、経営の健全化や商品の付加価値化を高めるなど企業活動における物流の重要性は非常に増大しております。
     こうした中、県では新東名高速道路の開通など本県の陸・海・空の交通基盤の整備の進展により、物流における効率化、定時性が図られ、本県の物流の優位性が高まっていることを踏まえ、この三月に物流施策を総合的に推進するためのふじのくに戦略物流ビジョンを策定すると伺っています。東海道新時代の幕あけにふさわしいこの時期に策定されるこのビジョンの実現が、今後の静岡県の発展に大きな影響を与えるものと言っても過言ではありません。
     このビジョンでは産業活動や県民生活に密接なかかわりを持つ物流の役割の重要性に着目し、本県産業の発展、地域の活性化と県民生活の向上を目指すとしていますが、物流からという新しい視点の静岡県の戦略物流ビジョンは一体どのような特色があるのか、またその実現に向けてどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、交通ネットワークビジョンの実現についてであります。
     東日本大震災では、公共土木施設である国・県道や港湾施設などのインフラが甚大な被害をこうむりましたが、東北地方整備局を中心に官民一体となって、内陸部を南北に走る高規格幹線道路を活用して道路の啓開などの迅速な取り組みを行い、被災直後の人命救助や緊急に実施すべき復旧活動、人や物資の輸送を行うことを可能にしました。本県においても三連動地震とそれによる建物の倒壊や津波などの大規模災害の脅威が高まっており、この東日本大震災における教訓を生かしていくべきです。そのような中、本年四月の新東名高速道路の開通により現東名高速道路に加え、東西方向の新国土軸が完成することになり、大規模な災害時における安全性の確保や渋滞の解消による経済効果、インターチェンジ周辺の土地利用の促進が期待されます。
     将来的には、東西方向に加え、南北を結ぶ高規格幹線道路である中部横断自動車道や三遠南信自動車道及び伊豆縦貫道の整備が進み、二〇二〇年ころまでには県内区間がほぼ完成する予定であると伺っています。
     そこで、この交通インフラを最大限に活用し地域活力の向上に役立てていくために、先般公表したふじのくに交通ネットワークビジョンの具体的な将来像の実現に向け、今後、県としてどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、台湾定期便就航を契機とした誘客促進についてであります。
     本年三月、台北桃園空港と富士山静岡空港を結ぶ三番目の海外定期路線が開設されることになりましたが、開港以来初の新規定期路線の就航に大きな期待が寄せられています。
     東日本大震災による放射能汚染などの風評被害により海外からの訪日客が落ち込む中、台湾は最も早く回復の兆しがあらわれ、十月にはほぼ前年並みに回復したと伺っており、親日的で訪日旅行者のリピーターが多い台湾と静岡県の直行便が実現したことは、今後の空港利用促進の大きな弾みになるとともに、本県の観光振興にとっても大変なチャンスであります。本県には日本一の富士山を初め温泉、自然景観、食材など多くの魅力ある資源がありますことから、この機会をとらえ台湾の皆様に対し、静岡県の魅力を積極的にアピールし誘客を促進させるとともに、顧客満足度の向上に向け県内観光業界を挙げて受け入れ体制の整備を進める必要があります。
     今回、富士山静岡空港と同時に定期便就航が決定した富山空港。富山県には富士山と並ぶ日本三名山の一つ立山があり、夏の立山黒部アルペンルートは台湾の観光客にも人気のコースと聞いております。また富山県の隣、石川県には同じく三名山の一つ白山があります。日本の文化や信仰の礎となる三名山を訪れる旅は他の地域にはない魅力であり、こうした地域の枠を超えた広域での地域連携の取り組みは今後さらに重要になると考えます。
     そこで、台湾定期便就航という好機をとらえ、今後どのように観光誘客に結びつけていくのか、取り組みについて所見を伺います。
     次に、富士山世界文化遺産登録の推進についてであります。
     去る一月二十七日、富士山の世界文化遺産に係る推薦書が国からユネスコ世界遺産センターに提出され、今後はユネスコの諮問機関であるイコモスの審査を経て、来年夏開催の世界遺産委員会において登録の可否について審議されることとなっております。
     昨年、世界文化遺産に登録された平泉につきましては、平成二十年の記載延期の決議後、推薦コンセプトを変更して、構成資産を絞り込み、平成二十二年に推薦書を再提出、昨年六月の世界遺産委員会における登録にこぎつけており、近年の世界遺産の審査は大変厳しくなっていると感じております。
     さて、富士山世界文化遺産登録の次の正念場は現地調査を含めたイコモスの審査への対応でありますが、こうした厳しい環境の中で登録をかち取るためには、何としてもという登録推進に向けた地域の熱意、機運の盛り上がりこそ、欠くことのできない重要な要素であります。折しも山梨県では、昨年の十一月県議会において、二月二十三日を富士山の日とする条例が可決されました。ことしの二月二十三日は静岡県、山梨県が一緒に迎える初めての記念する富士山の日でありました。本県でも、グランシップにおける富士山の日フェスタ二〇一二の開催を初め関連イベントが県下各地で行われ多くの県民が参加されました。
     このように富士山の地元である静岡、山梨両県が足並みをそろえて富士山の日の取り組みを進めることは、富士山の世界文化遺産登録にとって大変意味のあることです。
     そこで、平成二十五年の登録実現に向けて、イコモスへの対応を含め今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、新エネルギーの導入促進についてであります。
     先月、財務省が発表した二〇一一年の貿易統計速報によれば、歴史的な円高に加え、東日本大震災などの影響で輸出が落ち込んだ一方、福島第一原子力発電所の事故に伴い、火力発電所用の燃料の輸入が大きく膨らんだことなどから、一九八〇年以来三十一年ぶりの貿易赤字となったとのことです。
     こうした状況の中で、抜本的な見直しが迫られている我が国のエネルギー政策については、国のエネルギー・環境会議を中心にコストの検証や新たなエネルギーミックスの実現に向けた検討などが進められており、今後、国民的な議論を経て、今夏にはエネルギー・環境戦略が取りまとめられる予定となっています。
     新エネルギーについては、立地制約や系統安定化などの課題があるものの、技術開発に伴う発電コストの低減が見込まれ、エネルギー源の一翼を担い得る潜在力があると期待されており、本県では震災発生後、速やかに新エネルギーの導入促進策を検討し、昨年の六月補正予算において新たに住宅用太陽光発電設備の導入に対する補助制度を創設するなど、新エネルギーの導入に積極的に取り組んでいます。
     原子力発電所の運転停止が長期化する中で、来年度においてもこれらの取り組みをより一層推進することが不可欠であり、また太陽光発電だけでなく、他の新エネルギーについても幅広く導入を促進していくことが重要であります。
     そこで、分散自立型のエネルギー体系への転換によりエネルギーの地産地消を目指していく本県では、来年度において、どのように新エネルギーの導入促進を図っていくのか所見を伺います。
     次に、ふじのくに先端医療総合特区の活用についてであります。
     国は産業の国際競争力の強化や、地域の活性化に関する施策を総合的かつ集中的に支援するため、昨年六月に総合特別区域法を制定しましたが、昨年十二月、本県のふじのくに先端医療総合特区が、東部十二市町を区域とする地域活性化総合特別区域の指定を受けたところであります。
     このふじのくに先端医療総合特区は、これまでにないがんの診断装置や診断薬を静岡がんセンターが持つ基盤技術を活用して研究開発をするとともに、地域企業が製品化に取り組んだり、県外からの企業誘致なども図って医療健康産業クラスターの形成を進めていくものです。本県はこの十年間、ファルマバレープロジェクトを推進し、産学官連携による研究開発や医療現場のニーズに基づく製品開発などさまざまな成果を挙げていますが、総合特区制度の活用で今後成長が見込まれる医療関連産業に県内企業が参入する大きなチャンスが生まれ、地域経済の活性化と雇用の創出につながるものと期待されております。地域企業が医療機器産業に参入するために、医療機器の開発を行う人材の育成や研究開発資金の確保はもちろんのこと、医療機器産業に必要な高度な技術や薬事法などの規制に関する相談機能、さらには開発した製品の販路開拓への支援などが必要であります。
     そこで、今後県では、この総合特区を活用し、地域企業に対する支援を具体的にどのように進めていくのか所見を伺います。
     次に、雇用創造アクションプランの推進についてであります。
     リーマンショック以前の本県は、平成十九年度の有効求人倍率が全国平均を上回る一・二倍、全国順位も十位であったように県民にとって「働いてよし」の雇用環境にありました。
     しかし、リーマンショック以降、製造業を中心に大きな打撃を受けた本県の雇用情勢は昨年の東日本大震災や急激な円高の影響により低迷が続いております。こうした中、県は先月末に静岡県雇用創造アクションプランを公表しました。プランでは雇用誘発人数として四万五千人余を掲げ、基幹産業の活性化のほか新エネルギー、医療・健康など成長分野の産業の育成で六千二百人、介護・福祉サービスの充実で五千六百人など新たな成長分野での雇用も多く計上され、着実な推進が期待されるところであります。
     しかし、こうした新たな分野ではその担い手となる成長著しい中小企業が新卒者の確保に苦戦し、介護・福祉分野では人材の不足が叫ばれるなど求人はあっても雇用が進まない、雇用のミスマッチが起こっているのであります。いくら多くの雇用を誘発しても実際に就職が成立し、働きたい県民の多くが恩恵を受けなければ意味がありません。例えば障害のある方々の雇用を見ても、昨年六月時点の県内企業の障害者雇用率は前年よりも低下し、全国平均も下回っていることから、このプランは障害者雇用を進める機会としても大いに期待をされます。静岡県雇用創造アクションプランでは施策の展開の柱の一つを人材の供給とし、雇用のミスマッチ解消など雇用のマッチングの促進を項目に掲げていますが、プランどおりに雇用を実現していくためには、しっかりと求職者を誘導し、雇用に結びつけて実効性を上げることが大変重要です。
     そこで、アクションプランに基づき地域において仕事をしたいだれもが就業できるようにするため、県は今後どのようにマッチングの促進に取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、NPOの人材育成についてのうち、NPO活動の人材育成を行う中間支援団体の育成についてであります。
     昨年三月の東日本大震災においては、NPOが大活躍し行政の手の届かない分野で地域住民の避難生活を支え、その活動がさまざまなメディアで紹介されました。我が会派の聞き取り調査でも被災地の国際交流協会が日ごろの活動で培った関係を生かし、在留外国人の安否確認、生活支援などなくてはならない役割を果たしたと伺っております。また現在の厳しい経済環境の中で、社会的企業、コミュニティービジネスなど地域社会における新たな雇用の担い手としても期待されております。
     しかし一方で、昨年度県が実施したNPO法人実態調査によれば、活動を継続する上での課題として「特定の人に責任や作業が集中する」を挙げた団体が三八・八%に上り、「活動資金の不足」を挙げた三四・八%を上回っております。また「活動の中心となるリーダーや後継者が育たない」という人材育成に関する課題を挙げた団体も二六・三%に上るなど人材の確保や育成は喫緊の課題となっております。
     NPO活動はその柔軟性という特徴を考慮すれば、育児中の女性や退職後の方たちなど意欲を持ち、さまざまな知識や技術を身につけた皆さんの活躍の場として活用できるのではないでしょうか。こうしたNPO活動を担う人材の育成や組織運営などの支援は中間支援業務を行うNPOの役割であり、県内では、こうした本格的な中間支援を行うNPOが十分育っていないと考えられます。
     県の総合計画においても、NPO活動の環境整備の一環に中間支援機能の充実を掲げておりますが、人材の育成や確保は中間支援機能の重要な役割と考えております。
     そこで、NPOの活動を担う人材の確保や育成に向けて、中間支援機能の充実をどのように図っていくのか所見を伺います。
     次に、県立大学における人材の育成についてであります。
     NPO及び社会的企業、コミュニティービジネスに主体的に携わることができる人材育成を中長期的に考えたとき、この分野を社会構造の中に欠かせない一つの業種として確立させていくことを考えなければなりません。それが少子高齢化、低成長時代に入った日本にとっては必須であると感じています。
     人材育成という点では、川勝知事が提唱しているJICAグローバル大学院構想も、NGOで活躍した人材やその経験を生かすことはできないかという趣旨であったと理解しております。いまだ日本には、このNPOや社会的企業の分野を学問や資格として評価をしている機関や制度はありませんが、公共政策という範疇に入れ込んでいけば、海外でも国内でも、公共政策修士――MPPや行政修士――MPA、公共経営修士――MPMなどが取得できます。
     公共政策の範疇であれば、静岡県立大学で多角的な調査研究と人材育成に努め、NPOやグラウンドワークを学問ないしは資格として確立していく取り組みを始めるべきと考えますが、所見を伺います。
     次に、児童福祉法改正への対応についてであります。
     現在、障害のある児童を対象とした施設、事業は、知的障害児通園施設などの施設系は児童福祉法、児童デイサービスなどの事業系は障害者自立支援法、重症心身障害児通園事業は予算事業に基づき実施されておりましたが、平成二十二年十二月に改正された児童福祉法により平成二十四年四月からは児童福祉法に根拠規定が一本化され、児童発達支援、放課後等デイサービスなどに再編されることになりました。また身近な地域での支援を充実するとの観点から、通所サービスの実施主体を都道府県から市町村へ移管するなど、障害のある児童に関する相談や通所サービスの確保など市町の役割が増加することとなりました。
     従来、障害のある児童を持つ親は、県及び政令指定都市が設置する児童相談所に通園施設の利用などを相談しておりましたが、来年度からは市町に相談することになります。県内の市町は、障害児福祉における対応の蓄積が少ないことや臨床心理士などの専門職員の配置が十分ではないことから、市町任せでは地域差が生じるなどの恐れがあるなど適切な対応が困難ではないかと考えます。さらに、現在でも早期療育の場である障害児通園施設や放課後の受け皿となっている児童デイサービスが一カ所もない市町が存在し、地域差があることから、県を挙げて障害のある児童に対する支援を行い施策を推進していくべきであります。
     そこで、今回の児童福祉法改正を契機として市町に対する支援に積極的に取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
     次に、認知症対策についてであります。
     県内には、既に約八万人の認知症高齢者がいらっしゃると推計されており、認知症対策は将来の高齢社会に向けてだけではなく、今すぐにでも取り組んでいかなければならない喫緊の課題であります。認知症はその特性として家族ですら気づかないうちに進行し、気がついたときには既に病状が悪化していることから、早期発見、早期対応が何よりも重要であり、まず家族を初めとした周囲の理解が大切であります。私の身近でも認知症の疑いのある方が家族が認知症であることを認めたくないために医療機関への受診がおくれてしまうということがありました。これは認知症に対する周囲の偏見に対する恐れがその原因であり、周囲の方、ひいては県民の認知症に対する理解がまだまだ進んでいないと改めて痛感いたしました。
     県では、既に認知症の理解促進の対策に取り組まれていることは承知しています。例えば周囲の方の認知症への理解を進めるため、認知症のことを知り温かく見守る認知症サポーターの養成については平成十七年の開始以来、養成した数が既に十万人を超えているとのことですし、認知症を介護する御家族が同じ立場で互いに相談し合える家族会も県の家族講座などを契機として、県内には既に幾つか誕生し活動されております。
     また、県が普及に取り組んでいる介護マーク。これが現物であり、これが拡大したものであります。最近はいろんなところで目にしますが、いま一度確認をお願いをします。このマークは藤枝の家族会である「ほっと会」の方から、認知症は介護していることが周囲の人にわかりにくく、誤解や偏見を持たれるため、一目でわかるマークが欲しいとの要望で県が作成したものであります。県民への認知症の理解促進と介護家族への支援という点で、大変よい取り組みであり、厚生労働省も本県の取り組みを各都道府県に紹介するなど前向きな取り組みをしたと伺っており、私も一層の普及促進を期待しています。
     しかしながら、将来に向け、認知症に対する取り組みがこれで十分というわけではないと考えます。
     そこで、県では今後認知症対策として、認知症の方本人だけでなく家族や地域の人など周囲の方も含めた対策をどのように進めていくのか所見を伺います。
     次に、障害者の虐待防止の取り組みについてであります。
     昨年六月に、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律、いわゆる障害者虐待防止法が成立し、ことしの十月から施行されることになりました。障害者虐待防止法では家族などの養護者からの虐待、障害福祉施設などの従業員からの虐待、障害者を雇用する事業主など使用者による虐待の三つを障害者虐待と定義し、養護者による虐待は市町村が、施設職員による虐待は都道府県などが、使用者による虐待は国の労働局が対応することとなっております。
     また、市町村には障害者虐待の通報などの受理などを行うための障害者虐待防止センターを、都道府県には障害者権利擁護センターを設置することとなっておりますが、虐待を受けた障害のある方の中にはみずから虐待を受けたことを理解できない方や虐待を受けたことをうまく説明できない方などがいることも考えられます。障害のある方に対する虐待の情報をつかみ防止につなげるためには、本人のほか家族や地域の人など社会全体が法律により虐待の通報義務があることを理解していただくことが大切であります。
     また、市町の中には、新たに家族など養護者による虐待の事実確認のための立入調査などの事務を行うこととなることから戸惑いがあると考えられます。
     そこで、ことし十月の障害者虐待防止法施行に当たり、障害のある方の特性を踏まえつつ、県民への虐待防止の理解の浸透が必要と考えますが、県ではどのように取り組んでいかれるのか所見を伺います。
     次に、海の道、山の道の整備についてであります。
     海の道とは橋梁や海底トンネルがない海上を道路の一部とみなしたものであります。具体例として伊勢湾口道路の構想に基づき、当面の扱いとして伊良湖港と鳥羽港の間が海上航路で結ばれている国道四十二号や高知県が高知市南部の浦戸湾口の海上航路で県営渡船を運航している県道二百七十八号線などがあります。
     さて、伊豆地域では伊豆縦貫自動車道の整備が着々と進んでいますが、高規格幹線道路だけではなく駿河湾を横断する海上航路も伊豆地域の魅力を高め、地域の活性化につながる交通基盤の一つではないかと考えます。
     そこで、清水港と土肥港を結ぶ清水―土肥航路をより魅力的なものにするため、この航路を県道として認定し海の道として位置づけていくことについて、県の考え方を伺います。
     また、富士山へのアクセス道路である県道百五十二号富士公園太郎坊線と県道百五十号足柄停車場富士公園線は中腹から山頂までの区間が登山道となっており、多くの登山者でにぎわう山の道であります。今後、富士山が世界文化遺産に正式登録されれば国の内外からより多くの観光客が訪れると期待され、それだけに県としても観光客の安全確保に一層努めていく必要があります。
     そこで、富士山の世界文化遺産登録を控え構成資産の一つである登山道の整備について、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
     次に、第四次地震被害想定と富士山火山対策について伺います。
     国は今回の大震災の経験から東海・東南海・南海地震について、三連動で発生することを前提として、想定されるマグニチュードや津波高の調査研究を始めました。昨年末には、その震源域や津波波源域を従来の想定よりも拡大して想定するという発表がなされました。国の新たな想定により本県から九州にかけての太平洋側の地域では、東日本大震災と同じ程度、もしくはそれを上回る規模の被害が発生する可能性があるとされ、現行の被害想定や防災対策を見直す必要があるとしており、市町村も防災計画の見直しが迫られており、国や県の新たな被害想定を待ち構えている状況にあります。
     本県では三連動地震の発生を踏まえて被害想定を見直すこととし、既に津波に関する調査研究に着手しているとのことです。今後、平成二十五年六月までに第四次地震被害想定を策定し、三連動地震に備えた防災対策の強化につなげるとのことですが、第四次想定は東海地震が単独で起きた場合を想定した現行の第三次想定と比べ、どのような点が異なるのか、あるいはどういうことを見直すのか所見を伺います。
     また、第四次想定には浜岡原子力発電所の事故や富士山の噴火による被害を加えるとのことであります。折しも昨年三月十五日には私の地元である富士宮市で震度六強の地震を、また去る一月の二十八日には山梨県富士河口湖町などで震度五弱、富士宮市や富士市など富士山周辺の地域で震度四の地震を観測しました。
     その後、報道などで富士山の噴火と三連動地震の関連性が取り上げられるようになりましたが、過去の歴史を見ると富士山の火山活動は東海地震等の発生と何らかの関連があると考えざるを得ません。富士山周辺の住民にとっては不安材料でありますが、世界文化遺産登録に向けて防災関係情報を正確に把握、共有していく必要があると考えます。
     そこで、第四次地震被害想定の中に富士山の噴火被害想定や火山防災対策をどのように加えるのか、あわせて所見を伺います。
     次に、学校における放射線教育及び学校給食食材の安全確保についてであります。
     福島第一原子力発電所の事故に伴い、放射線や放射性物質に対する関心が高まり放射線について正しく理解する必要性が切実に求められています。目に見えない放射性物質に対する恐怖や報道等で静岡の特産品であるお茶やシイタケなどが取り上げられたことで、消費者の間に食に関して大きな不安が広がりました。当初は水や食品に含まれる放射性物質の規制については、国際放射線防護委員会が勧告した放射線防護の基準をもとに原子力安全委員会が指標を設定し、厚生労働省が暫定規制値として定めましたが、報道によると現在の暫定規制値から大幅に厳格化される新しい基準値について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において承認され、一部食品は経過措置を設けられるものの、四月一日から適用され、このような基準値を上回る食品については市場に流通させないように、各都道府県等に求められていくと聞いています。また必要に応じて原子力災害対策特別措置法に基づき一部地域、品目に関して、食品の出荷制限を原子力災害対策本部長である内閣総理大臣が関係の県知事に指示しており、安全な食品の流通が確保されています。
     県では、経済産業部や健康福祉部が県内産の農畜水産物について、放射性物質の測定を実施し、県民に安心していただくための情報提供をしているところですが、放射線の影響を受けやすい子供たちの保護者の間では一般の食材はもちろん、子供たちが毎日口にする学校給食食材の安全性について強い関心が寄せられているところです。
     今後は未来を担う子供たちが健康で安心して生活できるよう小学生、中学生の段階から、放射線について基本的なことを知り、正しく知って、正しく恐れて、正しく対応するすべを身につけるとともに、安全で安心して生活できる環境を整えることが大事であると考えます。今回の事故を教訓としてとらえ、子供たちに放射線についてどのように教えていくのか、また学校給食食材の安全確保の取り組みについて、教育長の所見を伺います。
     最後に、新東名高速道路の交通安全対策についてであります。
     東名高速道路は日本の大動脈であり、首都圏と関西圏を結ぶ重要な物流のかなめであり、また災害発生時には、救援物資や人員を運ぶ緊急輸送路として重要な役割を果たすものです。本県は首都圏と関西圏を結ぶ交通の要所に置かれているため、東名高速道路に加え、新国土軸となる新東名高速道路の開通は本県にとって極めて重要なものとなります。新東名高速道路が開通することにより静岡県を訪れる人の増加や静岡の物流が活発になり、各種産業が活気を帯びるなど多くの期待が寄せられるところであります。一方で県内の高速道路の総延長は新東名高速道路の開通により倍増することになり、また新東名高速道路は起伏やカーブが緩やかで走りやすい、つまりスピードを出しやすい構造となっていることから交通事故の増加が予想されるところです。
     こうした中、先日ふじのくに交通ネットワークビジョンが発表され、新東名高速道路に関しては最高速度の明記はなかったものの安全面を考慮した上、六車線化と高速化を要望するとの提言が示されました。新東名高速道路は最高速度を百二十キロに設定して設計されたと聞いていますが、最高速度を引き上げることによる事故の増加や事故が発生したときの重大性の増大などといった問題から、最高速度の引き上げは慎重に議論されるべきと考えております。
     そこで、新東名高速道路の規制速度はどうなるのか、またその考え方について所見を伺います。
     また、新東名高速道路の開通に当たって、新東名高速道路の交通安全対策にどのように取り組んでいくのか、あわせて県警本部長の所見を伺いまして、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 四本議員にお答えいたします。
     初めに、平成二十四年度当初予算編成についてであります。
     東日本大震災の影響によりまして、依然として厳しい経済情勢が続いておりますが、平成二十四年度当初予算は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを前倒しし、自立を促進するための予算として編成をいたしました。
     編成に当たりまして、民主党・ふじのくに県議団の皆さんからいただきました八つの御要望がございます。「命」を守る危機管理、有徳の人づくり、「憧れ」を呼ぶ“ふじのくに”づくり、一流の「ものづくり」と「ものづかい」の創造、「和」を尊重する暮らしの形成、安心の健康福祉の実現、地域を結ぶ基盤づくり、地域主権を拓く「行政経営」でございますが、これらは静岡県が策定いたしました総合計画に沿ったものでございますので、その総合計画の着実な前倒しと、その中での五つの重点項目の中にそれを取り込むことを通して御要望にこたえたつもりでございます。全体の総合計画に沿った御要望でございましたので、取り組むことが大変容易であったということを申し上げて、御礼にかえたいと存じます。
     そのエッセンスを申し上げますと、重点化した分野の第一の雇用対策におきましては、平成二十五年度までに三万人の新しい雇用を創造するため、新エネルギー、医療・福祉等成長分野の産業育成などによる雇用の誘発や新卒者に対する就職支援や不足する介護人材の確保など雇用のマッチングの促進や人材の教育、育成による労働市場のニーズに応じた人材の供給を目指します。
     重点化分野の第二は少子化対策ですが、子育て家庭等の経済的御負担を軽減するための市町へのこども医療費助成の拡充や地域の子育て支援団体のネットワーク化の支援強化など安心して子供を産み育てられる環境整備を進めてまいります。
     重点化の第三は地震・津波対策でございますが、地震対策アクションプログラムに位置づけられました防災・減災事業の前倒し実施や南海トラフの巨大地震に係る新しい被害想定策定のための調査を行います。また市町の防災体制を強化するために大規模地震対策等総合支援事業費の補助上限額、これまで二千万円でしたけれども、これを撤廃しました。そうした上で予算の拡充を行うなど積極的に支援してまいります。
     第四のエネルギーの地産地消への取り組みでは、住宅への太陽光発電設備の導入制度に事業所も加えるほか、住宅用の太陽熱利用設備も新しい助成対象といたします。また企業や大学等が連携して取り組む新エネルギー活用に係る研究開発へ支援を行うなど新エネルギー等の導入加速化に向けて積極的に取り組んでまいります。
     第五の重点分野でございます内陸フロンティアの魅力ある地域づくりにつきましては、新たに四月十四日に開通する新東名高速道路百六十二キロメートルの周辺をふじのくに新国土軸としてとらえ、地域モデルの策定や新しい産業集積を行うための周辺市町への支援を行うなど東北地方の復興モデルとなる地域づくりを進めるための施策を展開してまいります。
     次に、平成二十四年度の組織改正についてであります。
     組織改正に係る基本的な考え方は五つの重点施策を効率的に前倒ししてするためのものでございます。五つ、すなわち雇用、少子化、エネルギー、津波、そして内陸フロンティアということでございますが、そのうちお尋ねにつきましてはエネルギーと少子化でございました。
     まず、エネルギー政策につきましては、現在くらし・環境部、企画広報部、経済産業部にわたっておりますところをこれを企画広報部に一元化するという形で、企画広報部にエネルギー政策課を設置いたしました。これは従来の一極集中依存型から分散自立型のエネルギー体系への大転換を早期に促すということのためでございます。これによりまして静岡県の持っている豊かな自然資源や地域資源を活用した多様なエネルギーを導入することが促進され、地域間における電気、熱の有効利用の仕組みづくりなど新エネルギーの先進県を目指すというその取り組みをこの一本化によって一層加速することができると期待しております。
     五つの重点分野のうちの少子化につきましても、これは従来企画広報部、健康福祉部、経済産業部に分かれておりました少子化対策を二十四年度からは健康福祉部のこども未来局にまとめるということを通じまして、計画から事業実施までの一元化を進めやすい体制を整備いたしました。
     少子化対策というのは保育、医療、教育、就労環境などさまざまな分野にかかわっておりますので、これを一元的に進めることを通して、出生率の一層の向上や安心して子供を産み育てられる環境の整備をより迅速に戦略的に展開してまいりたいと考えております。
     現在、本県の合計特殊出生率は一・五八までいったと存じますけれども、国全体の平均よりも高うございます。明らかに反転しています、上方に。しかしまだ人口が一定になるまでには達しておりませんで、なるべく早く合計特殊出生率が二・〇七になるまで、すなわち人口が少なくとも減らないというところまでは全力を投じてまいりたいと思っております。
     次に、内陸フロンティアにおける取り組みについてでございますが、これは新東名をどう位置づけるかということでございます。その位置づけを内陸のフロンティアというように言っている理由でございますけれども、東日本の復興なくして日本の再生なしという、そのような考え方は日本じゅうにおいて共有されているというふうに存じます。
     東日本の復興の一番大切なものは命を守ることでございますので、したがって津波で二万人余りの方が亡くなられたり行方不明になったりされています。多くの方が家屋を失われました。その方たちが望まれていることは今後こういうことが自分たちの子々孫々にないようにすることだと。そして政府の復興会議も、また地元の皆様方も高台の内陸に移住するということが、唯一だれにでもわかる、これからの被害から免れる方法であると。しかしながら内陸高台には仮にそこに住まわっても、道路がない、学校がない、病院がない、ショッピングセンターがない。要するにないない尽くしで、そこに移り住むことが容易ではありません。そのために大変な今苦労をされておられます。
     ところが、静岡県の場合は天からの恵みか、前倒しで百六十二キロ、西から東まで一挙にインフラ整備が四月十四日に現出いたします。これは文字どおり東日本の復興をどういうふうにしたらできるかという意味での地域づくりのモデルになるということで、それは新しい日本の再生のモデルだということでフロンティアなのであります。内陸のフロンティア、高台のフロンティアなのでございます。この高台のフロンティアというのは新しい日本、すなわちこれまでの東京中心の時代からの、地域主権の新しい時代、環境と調和した、そうした新しい時代へのフロンティアということで、ポスト東京時代を切り開くものというふうに考えております。
     そしてまた、これを国土軸というようにいたすことを通じまして、国土軸というのは、これはすべての分野にかかわることでございます。新しい道路ができますと物流が変わります。物流が変わると企業立地も変わるでしょう。企業立地が変わりますと住宅立地も変わるでしょう。企業立地、住宅立地等が変わっていきますと、人がそちらに集まりますので、したがいまして、そこで学校やショッピングセンターや病院やその他もろもろ地域全体の景観が変わってまいります。そういう意味におきまして、これはそれがしやすいように特区制度を導入しなくてはならないと考えております。
     実際、東日本の復興のために、政府は三十余りの特区制度を導入いたしました。そしてそれを我々は検討いたしました。そのうち二十九の特区を検討しました結果、二十の特区が応用可能です。したがって、その特区が必要とされるのは東日本のみならず、東日本大震災と似たような被害を受けかねない本県においては、それを前もって前倒しをして実施することが防災になります。あるいは仮に震災が起こった、津波が起こった場合には減災の効果を発揮することになります。そのような意味におきまして、私は内陸のフロンティアの取り組みを進めるに当たりましては実効性とスピード感を重視いたしまして、関係する市町と連携して特区制度の活用も視野に入れつつ、各種の取り組みを総合的に進めるというふうにいたしたいと存じます。
     先ほど五つの重点分野を挙げましたが、この五つ目の内陸のフロンティアというのには相当の力仕事が要りますので、ここにおいても一人、従来の副知事二人体制をふやして三人にして、ここは全力でこの内陸のフロンティアを推進することを通して、危機に際してはこれが命の道になり、そして平時におきましては環境、産業、観光その他もろもろの効用を発揮するようにしてまいりたいと考えているところでございます。
     さらに一言つけ加えますならば、これをもって東海道新時代と言う人々がいらっしゃいます。どういう意味で新時代かといいますと東海道という名前が日本に初めて登場いたしましたのは奈良・平安時代のことです。五畿、すなわち大和、山城、河内、和泉、摂津。ここから東に下る東海道、東山道、北陸道がありました。そして西側には山陰道、山陽道、西海道、南海道があったわけです。東に下る、そうしたものとして東海道が誕生したわけです。ところが江戸時代になりますと、御案内のように、お江戸日本橋をもって東海道の起点とすると家康公がお決めになりました。そして本県には小田原、箱根を越えて三島宿に入りまして、そこから沼津、原、吉原、このように来ましてこちらの府中に入ると、ここから丸子。そして西に参りますと袋井、見付、それから浜松、新居、白須賀ですか、このように数えます。すなわちこの数え方は今度は東が起点になっているんですね。どちらから数えても東から下ってくる、あるいは東に上京すると。従来は西に上洛するということでした。だからこちらは端だったわけですが、新東名というのは、これは本県にだけ真ん中にでき上がっておりまして、西側の愛知県においても東側の神奈川県においてもできていません。これを東に西に延ばすという、そういう道になったわけですね。だから東海道は文字どおりここが新しい真ん中――中心になって両側に発展していくという意味でも新時代なんですね。ですから我々は、これを命の道として、また平時においては新しい日本の再生のモデルになる、東日本再生のモデルになるというものとして前倒しをしてやっていかなくちゃならない。これは中央政府に強力に働きかけて、日本のためにここの地域のモデルづくりをしてまいりたいと考えているところでございます。
     次に、ふじのくに戦略物流の推進についてであります。
     四月十四日に、ふじのくにの新国土軸となる新東名高速道路が開通いたしますと、県内外への輸送能力は飛躍的に高まります。本県は物流県としての発展が確実に見込まれます。現在、東名は一日七万台余りが通っておりますけれども、このうちの半分ないし半分以上は、先ほどおっしゃったように、走りやすうございますし距離も短うございます。カーブも少ない、勾配も小さいということで、恐らく半分以上が行く。物流が変わります。したがって本当に新しい物流のネットワークができるということが見込まれるわけであります。
     こうした流れの中で策定をいたしますふじのくに戦略物流ビジョンは、生産から消費までのモノの流れの視点から、地域、産業、交通、環境の四つの分野について考察しております。それぞれの分野において戦略的に施策を進めることによって、新産業の創出と地域経済の活性化を図ることを目指しております。
     このふじのくに戦略物流ビジョンをつくるに当たりましては、戦略的物流推進本部は昨年の五月からことしにかけて三回開きました。さらに戦略物流研究会は昨年の七月からことしにかけまして七回。計、本部会と研究会で十回を数えております。こうした研究会や本部会の結果を踏まえまして、物流を通じて県民生活の向上や県内産業の発展につながることに重点を置いたビジョンづくりとなっているわけでございます。
     ビジョンを実現するための主な取り組みといたしましては、静岡県の誇る高品質な、そして多くの日本一の農林水産物の鮮度を保つ低温物流、付加価値を高める流通加工の機能を担う物流産業の立地、第二に「食」をテーマににぎわいを創出する直売施設等を併設する物流拠点の形成、第三に企業と物流企業とのマッチングによる物流効率化など物流の視点から地域の魅力づくりや産業力の充実に取り組んでまいります。
     しかし、何よりも危機管理が先行いたします。その危機管理の観点からは災害に強い新東名高速道路、SA、PAにそれぞれヘリコプターの離着陸できるヘリポートが設けられておりまして、まさにこれは命の道になるものです。命の道でございます。そういう命の道として高速道路を活用した緊急物資供給体制の確保なども検討してまいります。
     来月二十二日にはふじのくにロジスティクスシンポジウムを開催いたしまして、ビジョンを御公表申し上げ、その周知を図ることとしております。物流立国ふじのくにの早期実現に向けて、市町と連携をいたしながら、官民一体となった取り組みを総力を挙げて進めてまいります。
     次に、台湾定期便就航を契機とした誘客促進についてでございます。
     ことし一月六日に、チャイナエアラインの董國・中部地区支店長がお見えになり、待ち望んでおりました台北と静岡を結ぶ新規路線の就航を御表明いただきました。五年以上、観光関係者や教育関係者に対して積極的な働きかけを行い、チャーター便の運航実績を積み上げてきた成果でございまして大変うれしく思ったところでございました。
     県といたしましては、来る三月二十五日の就航開始に向けまして早速行動を開始しており、ラッピングバスや旅行雑誌等を活用したPRを実施するなど台湾における本県の認知度アップに取り組んでおります。さらに、現地旅行会社を訪問してのセールスや県内の観光施設の方々が台湾を訪問しての商談会を開催されるなど、新規就航路線を組み込んだ旅行商品の造成を働きかけているところでございます。ちなみにチャイナエアラインの孫社長も、本日みずから乗り込んで台湾の魅力をこちらの方々にPRをしたいというそのようなお互いの熱意が今、三月二十五日に向けて発揮されているといったところでございます。
     そのほか、個人旅行や訪日リピーターの多い台湾の方々に対しましては、人気の高い桜、もみじとともに、静岡県の独自の魅力としてお茶摘みとかジオツアーなど本県ならではの体験プログラムも提供したいと思っています。加えてサイクリングやキャンプといった多様化する目的にも対応できるように地域と連携して受け入れ体制の整備に積極的に取り組んでいるところでございます。
     さらに議員御指摘のように、海外からの観光客を誘致するには広域での連携が高い効果を生みます。平成二十一年度よりドラマティック街道と。要するに白山、さらに北アルプス、中央アルプス、それから南アルプスと、この日本のど真ん中を縦断するというか、横断するといいますか、こういうドラマティック街道と名づけまして、富山県、石川県、長野県、山梨県、静岡県の五県が協力をいたしまして、日本海と太平洋を結ぶさまざまなルートを開発し、海外エージェントに提案してまいりました。
     今回、台湾と富士山静岡空港、富山空港への定期便の就航が実現いたしますので、両空港を利用して、富士山、立山、白山など三名山、そしてまた、すぐれた観光素材を盛り込んだ本州縦断コースを積極的に売り込んでまいりたいと。本物の日本を売り込んでまいりたいと思っています。そして、より多くの台湾の方々に、この魅力的な変化に富んだルートを楽しんでいただければと考えております。
     森町出身で台湾で初めて精糖会社を創設なさった鈴木藤三郎氏や、あるいは袋井市出身で台湾の治水に尽力し地下ダムを建設なさいました鳥居信平さんなど、台湾は古くから本県と大変深い関係を持っている地域でございます。今後も観光関係者はもとより、産業界や教育関係者など幅広い分野の方々と連携し台湾との交流を深めることにより、週三便の就航が近い将来、毎日、デーリーの運航に増便されるように台湾からの誘客促進に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
     次に、富士山世界文化遺産登録の推進についてであります。
     イコモスの審査がこの夏に行われる見込みです。これが正念場でございます。イコモスの行う現地調査に対しましては、お隣の山梨県とはもとより文化庁、関係市町村等と連携いたしまして、現地調査運営マニュアルを作成するとともに、入念に事前リハーサルを重ねるなど万全の準備を進めてまいる所存でございます。どのくらいの期間来られるか、これは不定です。平泉ですと二日、石見銀山の場合は三日、紀伊山地の場合は七日来られています。これは全体の構成資産が広がっているところをごらんになるのに要する日数とも関係しているかと存じますが、そのことについては我々はまだ知らされておりません。
     そこで、全庁を挙げて取り組む県の行動計画を三月末までに策定いたしまして、速やかに取り組んでいくこととしていますけれども、関係市町と連携した構成資産の整備など中長期的な事業につきましても、イコモスの現地調査までの間にできることは前倒しして実施してまいらねばなりません。
     また、登録に向けて国を挙げた気運醸成を図ることが重要です。そのために山梨県側では八百を超える団体、企業、事業所等。本県では、それを一千上回る一千八百の団体、企業、事業所等が参画いたしまして、先週二月二十三日の富士山の日に富士山世界文化遺産両県県民会議が発足いたしました。この会議を核といたしまして、登録推進に賛同する旨を表出する活動や富士山の清掃活動など会員の自主的な取り組みを広く国民運動として展開してまいりたいと存じます。
     日本の象徴である富士山の世界文化遺産登録は、「信仰の対象である」、「芸術の源泉である」、また「名山としての美しい景観がある」という、そうしたものを柱にしております。これはまさに日本のシンボルとして、これを世界遺産にするということは国民の悲願であると同時に富士山に対する感謝の念の表現でもあるということでございますので、平成二十五年の一気登録に向けまして不退転の決意で取り組んでまいります。
     次に、ふじのくに先端医療総合特区の活用についてであります。
     本県の医療機器生産額は平成十七年には千五百四十七億円でございました。五年後に何と三千六十九億円と倍増いたしました。そして医薬品生産額が五千億円を超えておりますので、この両方を合わせますと八千三百十七億円となり、平成二十二年度に全国一の生産額となりました。
     この医薬品・医療機器産業の規模は一兆円産業になると見込んでおります。医療機器生産におきましては恐らく平成二十七年には四千億円を超えるだろうと見込んでおります。これを一兆円産業というふうに言うのは、既に御案内のように医薬とか医療器具についての輸入が二兆円ございます。したがってこれは輸入代替ができるんですね。ですから十分にこれは挑戦するに値するということでございます。そうした可能性を実現するべく、本県といたしましては沼津工業高等専門学校などと連携いたしまして、医療機器開発を担う中核人材の育成を行っております。さらに昨年十月には、県内五十四社が参加いたしまして、国内医療機器メーカー百三十社への部品、部材の供給を目指した展示・商談会を開催するなど地域企業の医療分野への参入や販路開拓に積極的に取り組んでいるところでございます。
     昨年十二月、議員御指摘のふじのくに先端医療総合特区の御指定をいだきましたことから、がん医療の飛躍的な発展と地域企業の活性化、雇用の創出等を目指しまして、次世代の診断技術の開発と医療機器分野への地域企業の参入支援の取り組みをより一層推進することに決めました。
     去る二月十四日には第一弾の総合特区計画を国に御提出申し上げました。画期的な皮膚がん診断装置などの医療機器開発に対する助成や、医療機器、医薬品の研究開発、設備投資等のための銀行借り入れに対する利子補給が三月下旬から開始される見込みでございます。さらに規制緩和や税制優遇などにつきましては、現在関係省庁と協議を進めておりますが、十二市町、商工団体、金融機関、地域企業の皆様からの具体的な御意見や御提案を踏まえまして、その実現を強く要請してまいりたいと考えています。
     また、総合特区指定を契機に、ファルマバレープロジェクトの機能強化に向けまして、地域企業の医療機器開発、そして連携大学――早稲田、慶応、東工大、東農大との共同研究の推進、高度な医療人材の育成などを図るべく、旧長泉高等学校跡地の活用策を検討してまいります。
     こうした取り組みを進めることによりまして、ファルマバレープロジェクト第三次戦略計画、ものづくり、人づくり、地域づくり、国際的発信というこの四つから成る戦略計画が目指しております医療健康産業クラスターの形成を図りまして、静岡県がこの分野において日本をリードする地域になるように努めてまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げますが、一点、土肥港と清水港を県道としてみなしていってはどうかという御提案は、まことに興味深いものでございまして、これは担当部長からは極めて困難であるということで激論をいたしまして、その後その答弁がどのように変わるか楽しみにしております。以上でございます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 交通ネットワークビジョンの実現についてお答えいたします。
     この二月一日に公表したふじのくに交通ネットワークビジョンは昨年度策定しました静岡県総合計画の実現に向け、快適にヒト、モノが行き交い、多様な交流と地域の自立を進める交通ネットワークを構築するため、新たな東海道のあるべき姿をビジョンとしてまとめたものであります。
     本ビジョンでは少子高齢化と人口減少、地球環境問題などこれまでの課題に加え、国の地方整備局が道路の啓開において中心的な役割を担った東日本大震災での教訓も踏まえ、東海・東南海・南海の三連動地震等の大規模災害に備えるため、まず現状の交通ネットワーク機能を検証し、さらにその機能強化に取り組むこととしております。
     あわせて、四月十四日に開通予定の新東名高速道路は、新たな国土軸として大規模災害時においても東名高速道路との相互補完により東西方向への複数ルートの確保を可能とし防災機能を飛躍的に向上させるほか、内陸フロンティアとして、新東名周辺地域に新たな発展をもたらすことが期待されます。今後交通ネットワークビジョンを着実に具体化していくことが重要でありますので、県民、交通事業者、行政機関による推進協議会を立ち上げ、具体的な目標を共有し、各施策の実現時期を見据えながら、それぞれの役割に応じた取り組みを積極的に推進していくことにより、県内の産業、文化、観光等の振興を促し、東海道新時代を築いてまいります。
     次に、海の道、山の道の整備についてであります。
     海の道の整備についてでありますが、海上の航路を県道として路線認定するためには、当該海上区間が幹線道路網構想の一部として位置づけられ、将来自動車交通を可能とする道路であることが必要とされております。議員御指摘の清水港と土肥港を結ぶ清水―土肥航路につきましては、現状ではこうした位置づけがないため、直ちには県道として路線認定することは難しいものと考えられますが、議員からの前向きな御提案ととらえ、今後の検討課題として考えたいと思っております。この清水―土肥航路につきましては、海から伊豆への交通手段にとどまらず、富士山や伊豆半島の景観を満喫できる観光資源として今後一層の活用が期待できるものであります。県では、これを陸・海・空を連携させた交通ネットワークにおける重要な航路と位置づけ、土肥港におきましては地元の伊豆市と連携し、フェリーターミナルの改築や周辺の歩道の新設など一層の利用促進を図るための整備を進めているところであります。
     次に、山の道の整備についてでありますが、富士山登山道は山開きに当たり毎年六月上旬から七月上旬にかけまして、閉山中に荒廃した道路の点検と補修を実施しております。シーズン中におきましても、定期的なパトロールを行い維持修繕を実施しております。
     今後は世界文化遺産登録に伴う登山者の増加を想定し、関係機関とも連携を図りながら、落石防止、浮き石の除去、誘導ロープの設置などの安全対策の一層の充実に努めてまいります。さらに海外からの登山者にも配慮し、案内標識の多言語化やピクトグラム――これは案内のための図や記号でありますが――これの活用などにより、より安全で利用者の目線に立ちました整備に努め、平成二十五年の世界文化遺産登録に向け、万全の準備を進めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 新エネルギーの導入促進についてお答えいたします。
     県では地球温暖化対策の観点から新エネルギーの導入を促進してまいりましたが、東日本大震災以降に電力需給が逼迫したことから、エネルギーの確保そのものを急務として新エネルギーの導入を加速するための取り組みを進めているところであります。
     新年度においては、日照環境に恵まれた本県の地域特性を生かし、住宅用太陽光発電設備の導入を引き続き支援するとともに、新たに家庭における給湯用のエネルギーを節約できる住宅用太陽熱利用設備の導入も支援してまいります。また中小企業等の新エネルギーの導入を促進するため、太陽光発電設備に加え、小型風力発電や中小水力発電設備についても助成してまいります。また県営住宅や富士山静岡空港の石雲院展望デッキへの太陽光発電設備や奥野ダムへの小水力発電設備の設置など県有施設にも積極的に導入するほか、農業用水路への小水力発電の導入支援、新エネルギー関連の新技術、新製品の研究開発支援なども実施してまいります。
     新年度からは企画広報部にエネルギー政策課を新設し、エネルギー政策を総合的に推進することとしており、本県の地域資源を生かした多様な新エネルギーの導入や分散自立型のエネルギー体系への転換によるエネルギーの地産地消を目指してまいります。
     次に、NPOの人材育成についてのうち、NPO活動の人材育成を行う中間支援団体の育成についてであります。
     NPOが新しい公共の担い手として、より重要な役割を果たし、その活動を活発化するためには、みずからのマネジメント能力や資金調達力を高めていくことが重要であり、その支援を行う中間支援機能の必要性が高まっております。県ではNPOのマネジメント能力を高めるため、従来から県内三カ所のNPO活動支援センターにおいて、会計や労務などに関する各種講座を開催してまいりました。今年度はこれに加えて中間支援団体に対して、会計、労務管理、経営分析などの専門家を個別NPOに派遣し指導する業務を委託しており、この業務を通じ中間支援団体の持つ支援能力の向上にもつながっております。
     また、資金調達については、中間支援団体にふじのくにNPO活動基金の寄附募集活動や資金調達の調査研究業務を委託し、それによって資金調達能力を高めることとしており、今後個別NPOに対しても寄附募集の必要性やノウハウを普及してまいります。
     県内各地のNPOが、みずから運営基盤を確立し優秀な人材の確保や育成を行うためには、中間支援団体の拡大が必要であることから、中間支援に関する講座や地域別交流会などを開催し、各地域における中間支援団体の育成に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 雇用創造アクションプランの推進についてお答えいたします。
     雇用のマッチングの促進につきましては、人材を求める地域企業への新卒者等の就業を支援いたしますため、産業界や労働界、教育界、行政機関で組織するミスマッチ解消協議会を開催し、三月には各機関が連携して、来年度卒業生を対象とした県内企業魅力発見説明会を新たに実施いたしますなど、地域企業と新卒者等の相互理解を深めマッチング機会の拡大を図ってまいります。
     また、介護・福祉分野の人材不足を解消いたすため、介護・福祉の仕事について学び現場を見学するセミナーを開催いたしますとともに、働きながらホームヘルパーなどの介護資格を取得できる人材育成事業を引き続き実施いたしますほか、主婦層等地域人材を対象とした体験型介護講座を新たに開催するなど求職者を介護・福祉分野へ積極的に誘導してまいります。
     さらに、障害のある方々の雇用推進につきましては、二十人の求人開拓員が掘り起こした求人情報を就労につなげるためのコーディネーターを新たに三人配置することによりまして、マッチングを促進し障害者雇用率の改善にもつなげてまいります。
     今後とも、産業界、労働界、教育界、市町など、あらゆる関係機関が連携協力をいたしまして、静岡県雇用創造アクションプランの実現に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) NPOの人材育成についてのうち、県立大学における人材育成についてお答えいたします。
     県立大学では平成二十三年四月に従来の大学院の経営情報学研究科を経営情報イノベーション研究科に変更し、公共政策分野についてのうち、特に社会的企業に関する教育研究を充実させるとともに、新たに博士課程を設置いたしました。この研究科では企業経営にとどまらず、NPOを含む非営利組織の経営などの知識や手法を習得し、社会やビジネスの仕組みを主導的に構築できる人材の育成を新たに始めているところであります。特にNPOにつきましては、その社会的な役割、課題等を教育するNPO特論という講座を修士課程に設けるとともに、博士課程においては、より高度で専門的な職業人としてNPOや社会的企業の幹部などの養成を進めております。またあわせて本年度から社会的企業に関する大学院レベルの社会人学習講座を開催するなど、NPO事業者や職員の専門性の向上に資する取り組みも実施しております。
     さらに、平成二十三年五月からは県立大学の教員が、県の基金事業でありますふじのくにNPO活動基金の運営委員となりNPOの活動支援に参画しておりますことから、こうした場を通じて得たNPOの活動実態や課題等を教育に生かし、より充実した人材育成に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 児童福祉法改正への対応についてお答えをいたします。
     今回の児童福祉法の改正につきましては、できる限り身近な地域で障害特性に応じた支援ができますよう御家族等からの相談や通所サービスに係る支給決定が市町の役割として規定をされました。
     一方、県では職員への専門研修などの市町への支援のほか、重症心身障害児施設などの入所サービスの支給決定、高い専門性を必要とする自閉症などの発達障害への対応など広域的及び専門的な役割を引き続き行うこととなります。
     県といたしましては、役割や権限が拡大強化される市町において的確な対応ができますよう昨年来、市町の担当者会議を随時開催し制度の説明に努めてまいりましたほか、現在通所サービスを利用している障害のある児童の支援記録につきまして丁寧に引き継ぎを行っているところでございます。
     特に、今回の法改正の主要な柱の一つに通所サービスの拡大が挙げられ、放課後等デイサービスなど新しいサービスも制度化されますことから、市町間において大きな地域差が生じないよう昨年から通所施設のない市町に出向いて事業への積極的な取り組みを促しています。
     今後とも、障害のある児童や御家族が住みなれた地域で安心して生活できますよう、市町とともに地域の支援体制の充実に努めてまいります。
     次に、認知症対策についてであります。
     認知症対策につきましては、現在策定をしております第六次静岡県長寿者保健福祉計画において、今後三年間の高齢者施策の重要な柱の一つとして位置づけ、積極的に取り組んでまいります。
     まず、認知症の方が可能な限り住みなれた地域で生活を続けていけるよう、小規模多機能型居宅介護や認知症対応型共同生活介護など認知症にふさわしい介護サービスの充実に努めます。
     また、一月の掛川市立総合病院の指定により、県内に二カ所となりました認知症疾患医療センターによる地域の関係者に対する研修などにより認知症に理解のある医師や介護従事者をふやすとともに、地域包括支援センターへの認知症地域支援推進員の設置を進めるなど医療機関や介護・福祉サービス、地域社会との連携の強化を図ってまいります。
     また、介護する家族に対する精神面も含めた負担の軽減を図るため、市町や関係団体と協力して電話相談の実施や家族会の組織化を進めるとともに、十万人を超える認知症サポーターの地域での活用方策についても今後検討を進め、介護マークの全国普及とあわせ地域における認知症の方や御家族への理解と支援の輪を広げてまいります。
     県といたしましては、昨年十一月に立ち上げました静岡県認知症施策推進会議におきまして、認知症専門医やケアマネジャー、地域包括支援センター、家族会など専門家の皆様から幅広く御意見を伺いながら、今後も認知症対策の充実を図ってまいります。
     次に、障害者の虐待防止の取り組みについてであります。
     全国の相談支援事業所などを対象に行った調査では、平成二十年度中に障害児・者に対する虐待や虐待が疑われる事例が九百六十六件あったとの報告がされています。しかし障害がある方の中には、虐待を受けたことをみずから伝えることができない方も多く、調査に反映されない事例も数多くあるものと推測をしています。虐待の防止や早期発見のためには、家族や職場、施設内における周囲の人々、さらには地域の方々にも見守っていただき、虐待が疑われる場合には躊躇なく関係機関へ伝えていただくことが必要であります。そのためには今回の法の趣旨を県民の皆様に十分知っていただくことが何よりも重要であると考えています。
     こうしたことから、県では障害者の虐待防止を来年度重点広報事案として、市町や関係機関と連携して、計画的、戦略的に県民の皆様へお知らせをしていくこととしています。
     一方、虐待防止法は、虐待そのものの防止とともに障害のある方の養護者の支援も目的としております。冒頭申し上げました全国調査では、加害者の九三%を家族や親族が占めており、御家族で支援に当たられている方の負担軽減も必要でありますことから、福祉サービスの充実に加え、在宅での支援をマネジメントする人材の養成にも引き続き取り組んでまいります。
     県では来年度、障害者支援局内に障害者権利擁護センターを設置し、障害者虐待に対する相談体制や市町が行う業務に対する支援体制を強化していくこととしています。養護者からの虐待に対応する市町、使用者からの虐待に対応する労働局、そして施設職員による虐待に対応する県のそれぞれが十分に連携し、障害者虐待を未然に防止できるよう早急な仕組みづくりに全力で努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 第四次地震被害想定と富士山火山対策についてお答えいたします。
     第三次地震被害想定は、東海地震が単独で発生した場合の揺れによる被害と東海と東南海の二つの震源域が連動して発生しました西暦一八五四年の安政東海地震と同程度の津波による被害とを推計したものであります。
     今回策定をいたします第四次地震被害想定につきましては、国が示す東海・東南海・南海の三つの震源域が連動して発生する地震と津波による被害を推計するものでございます。第四次地震被害想定におきましては、三連動の地震が同時に発生した場合、あるいは時間差をおいて発生した場合などの津波の発生や地震の揺れが、東海地震単独発生の場合と比較してどう異なるのかについて確認することなどで三連動地震による被害の想定を明らかにしてまいります。
     富士山火山対策につきましては、過去に三連動地震として発生をいたしました西暦八八七年の仁和地震と、一七〇七年の宝永地震に前後しまして、青木ヶ原樹海の溶岩を噴出させました八六四年の貞観噴火や一七〇七年の宝永噴火が起こっております。このように過去におきまして海溝型巨大地震と富士山の噴火が連動して発生した事例がありますことから、今回第四次地震被害想定の中に富士山噴火の被害想定を盛り込むこととしたものでございます。
     火山の噴火は地震の場合と異なりまして、低周波の火山性微動や山体の膨張、火口付近の隆起などの前兆現象が発生する可能性が高いことから、かなりの高い確率で噴火の予測が可能とされておりますが、気象条件や噴火の時期、期間などにより被害の状況が大きく変わることが予想されます。このため静岡県防災・原子力学術会議に新たに設置をいたします地震・火山対策分科会の専門家からの御意見、御助言や富士山周辺の市町の意見も取り入れながら、地震により被害を受けた地域社会に火山噴火がどのような影響を与えるのかなどを考慮しまして被害想定を策定するとともに、その対策を検討してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 学校における放射線教育及び学校給食食材の安全確保についてお答えします。
     放射線教育につきましては、これまで文部科学省が作成しました児童生徒用の放射線副読本や、県教育委員会のホームページに掲載しております「放射線について知ろう」等の活用を市町教育委員会を通して各学校へ呼びかけてまいりました。来年度は各学校の放射線教育の中心となっております理科担当教員を対象に放射線やエネルギーに関する専門家を招いた研修会を計画しており、すべての子供たちに放射線等の有用性や有害性について、発達段階に応じた指導ができるよう努めてまいります。
     また、学校給食食材の安全確保につきましては、各調理場等に対して業者等との連携を密にしながら出荷制限などの情報に留意し食材を選定するとともに、保護者等からの問い合わせには必要な情報を提供するよう指導しております。また現在、県内を五地区に分け各地区に放射線検査機器を設置する準備を進めており、来年度から小中学校及び特別支援学校等の学校給食で提供されます食材の検査を実施し、その検査結果を県教育委員会のホームページで情報提供する予定であります。
     県教育委員会といたしましては、これらの取り組みを文部科学省、市町教育委員会や関係団体等と連携して推進し、放射線教育の充実及び学校給食の安全・安心の確保に一層努めてまいります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 四本議員の質問にお答えいたします。
     新東名高速道路におきます安全対策でございますが、初めに高速道路の規制速度であります。これにつきましては、法定速度による運用、つまり普通車や大型乗用車、自動二輪車につきましては時速百キロ、大型貨物車は時速八十キロが妥当であると考えております。理由としましては、国土交通省、警察庁や有識者を委員として実施しました規制速度決定の在り方に関する調査研究におきまして、規制速度が時速百キロを上回ると事故率が増加するということから引き上げる状況にはないと結論づけたことなどが挙げられます。
     次に、新東名高速道路の安全対策でありますが、道路の勾配やカーブの半径が緩やかで走行しやすいという反面、速度超過による重大事故の発生のほか、山間部である上、トンネルと橋梁が全体の六割を占めることから、明暗、路面状況、天候等環境の変化が著しく、わずかな運転ミスによる事故の発生が大きな事故につながる可能性が危惧されます。またこれまで東名高速道路を使用しておりました大型貨物車の大半が新東名を利用すると予想されます。これに無理な走行を試みる車両が混在した場合、多数の車が巻き込まれた玉突き事故等の多重事故につながる恐れは十分にあります。
     警察としましては、新東名高速道路の長泉沼津、新静岡、浜松浜北の各インターに高速道路交通警察隊の分駐隊を新設し、高速隊員を六十人増強しまして百七十人体制とします。またパトカーや事故処理車など十九台の増車、警告灯などの活動に必要な資機材の配備、拡充を図ったところであります。
     今後の対策といたしましては、四月半ばの開通から五月の連休にかけて急激に交通量が増すことを念頭に重大事故に直結する速度違反の取り締まりを強化しますとともに、ペースメーカーとしてパトカーの往来頻度を高めるなどにより、走行速度の抑制と事故抑止を図ってまいります。
     また、中日本高速道路株式会社と連携し、各種機会を通じての広報活動、交通渋滞や天候などの交通情報をタイムリーに提供するなどにより、交通安全意識の向上や現東名への交通の分散化を図るなど安全で円滑な交通の確保に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 三十三番 四本康久君。
           (三十三番 四本康久君登壇)
    ○三十三番(四本康久君) 御答弁ありがとうございました。
     それでは、富士山の世界文化遺産登録の推進についてのところを再度お尋ねをいたします。
     先日、二月の二十三日富士山の日に、富士山の日フェスタ二〇一二が開催をされました。この中で、基調講演の中で、松浦前ユネスコ事務総長が、顕著で普遍的な価値の信頼性を高めるため、入り口の登録審査とともに登録後のチェックが厳しくなっていると、こういうような御指摘がありました。先ほど知事からは不退転の決意ということで、大変心強い御答弁をいただいているところでございますけれども、これは登録を視野に入れてということでございますけれども、登録後の対応は、どのようにこれから県として取り組んでいくのかお尋ねをいたします。
     そしてもう一点は、海の道、山の道の整備についてお尋ねします。
     この海の道、山の道ともに、富士山が世界遺産になった折には重要な意味を持つと思い、今回提案をいたしました。それぞれ大変困難が伴いますが、もともと富士山は日本人の夢やあこがれへの挑戦の象徴であると思います。また土肥航路は西伊豆の生活の道ということもあり、また観光の大動脈でもあるということを改めて申し上げまして、知事の所見をお尋ねをいたします。以上です。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山の世界文化遺産登録後の保存管理という再質問でございますけれども、今回一月二十七日に提出した推薦書及びそれに伴う包括的保存管理計画。この中で富士山を後世に継承していくための計画が盛り込まれております。あくまでもイコモスの調査は遺産登録のための調査でございますけれども、推薦書そのものは登録後の保存管理も含めて今回提出しておりまして、県といたしましても、それをきちっと守っていくということで県内の推進会議、あるいは両県合同の会議もそこで設置いたしまして、登録後の保存管理についてもきちっと対応していくという所存でございます。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 海の道について再答弁いたします。
     県道の認定につきましてはですね、いろいろ法的な部分がありますので前向きに検討させていただきますが、登録ということよりも、やはりあの道をどういうふうに盛り上げるか。今民間の企業でフェリーとしてやっていただいておりますけれども、採算も非常に厳しいというふうに聞いてございます。これにつきましては、関係する市とも連携しながら利用促進に対する取り組み、それから各港の整備、先ほど言いましたような土肥港につきましては、当面待合所の整備ですとかバスの乗り入れ、それから周辺歩道の整備等もやってございますし、さらには周辺の環境整備もできないかということを考えてございます。こういったことを通じまして、県道の認定ということも検討しつつ実質的な中身の整備、これについて議員御指摘の御指示を踏まえながら全力で進めてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) これで四本康久君の質問は終わりました。
     以上で、本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     二月二十八日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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