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平成30年2月静岡県議会定例会
中澤 通訓(社会資本・まちづくり特別委員会) 【 委員長報告 】 発言日: 03/02/2018 会派名: |
○議長(杉山盛雄君) 次は、社会資本・まちづくり特別委員会委員長 中澤通訓君。
(六十五番 中澤通訓君登壇)
○六十五番(中澤通訓君) 社会資本・まちづくり特別委員会の調査結果について御報告いたします。
当委員会は、安全で安心な生活のための社会資本整備と今後のまちづくりに関する事項を調査事項とし、設置以降委員会を六回開催し県施策について執行部の説明を受けるとともに、参考人から意見を聴取し、さらに茨城県ほかにおいて調査を行いました。
以上の調査を踏まえ、次の四点を提言するものであります。
一点目は、人口減少社会を見据えたまちづくりであります。
人口減少社会を見据えたまちづくりの手法の一つに、二〇一四年に国土交通省が国土のグランドデザイン二〇五〇の中で公表した都市のコンパクト・プラス・ネットワーク化の取り組みがあります。
そこで、市町の取り組みを支援し広域的な行政を進める立場からグランドデザインの地方版ともいえる本県独自の長期デザインの策定を検討するよう求めます。また行政による強制ではなく、各市町の実情に応じそれぞれのコンセプトのもとに施策が進められるようより一層市町、住民との連携に努めるよう要望いたします。
その上で、これまで居住地が拡散してきた要因の一つに行政が指導力を持たなかったことを指摘する声があることから、今後は立地適正化計画制度に基づき行政が責任を持って事業の一層の推進を図るよう求めます。なお事業の参考のために先進事例等を積極的に研究し、ノウハウを取り入れるよう要望いたします。
また、内陸のフロンティアを拓く取り組みが進められていますが、進捗がおくれているところについては着実な推進を図るとともに立地適正化計画制度を活用したコンパクトなまちづくりにつなげるよう求めます。
二点目は、防災・減災機能の強化であります。
防災・減災のためのハード整備は、時間を要し予算にも限りがあることから費用対効果の研究や即効性のあるソフト対策とあわせた事業の推進を要望いたします。また自動車の技術革新に対応した道路整備のあり方や自動運転車の災害時の誘導など、緊急時の対応についても研究されるよう求めます。そのほか例えば電線の地中化及び無電柱化のように防災・減災のほか景観の保全、観光の活性化にも寄与するような、広く効果が見込まれる事業についても積極的に進めるよう要望いたします。
津波災害対策では、防災型土地利用規制に基づき津波の災害を受けない集約化拠点区域を設けそこに重要施設を配置するまちづくりも中長期的な計画の中では考慮すべきであります。津波災害警戒区域等の指定の推進や各種ハザードマップの避難場所や経路をわかりやすく示す工夫をし、住民に提供するよう要望いたします。その際津波災害警戒区域等の指定事業の先進県の手法など参考にすべき点を取り入れるよう求めます。
本県では、近年大規模な地震や河川の氾濫による大規模な水害の経験はありません。しかしながら危機意識の醸成は必要であることから、より一層さまざまなシミュレーションを行い防災対策に努めるよう要望いたします。その他防災・減災のためのソフト整備の過程で住民同士の意見交換などにより地域のコミュニケーションが深まった事例もあることから、ハード整備を行う場合にもそれを契機として地域の活性化に結びつけられる視点を持つよう求めます。
三点目は、効果的、効率的な社会資本の整備であります。
予算に限りがある以上、更新期を迎える県有施設については総量の圧縮が不可欠になると考えられます。戦略的な維持管理と並行してコンパクト・プラス・ネットワーク化の確実な推進を求めます。また市町の施設の廃止が県の事業に影響を及ぼす可能性もあることから、市町の状況を把握し県内全域を見据えた効率的な整備に努めるよう要望いたします。
まちづくりやこれからの公共事業では、将来の人口を考慮しながら県民に協力してもらうために市町との情報交換をより一層深めて事業を確実に推進するよう求めます。
四点目は、今後のまちづくりのあり方であります。
コンパクト・プラス・ネットワーク化の推進においては、明確なコンセプトを打ち出して取り組んでいる事例なども参考にしながら公共交通のあり方、自動車の利用の仕方、経済の活性化、福祉分野のかかわり、エネルギー利用のあり方など総合的な視点からなお一層部局横断的に取り組むよう要望いたします。経済面や生活面に加え人的にも多様性のあるまちをつくり、それをモデルとして注目を集めることによりさらに新たなまちづくりにつなげていくことが望まれます。まちづくりの主役は市町であり、県は市町から協力を求められた際は積極的にその支援方法を市町と研究し協議すべきであります。その際には市町村合併で生じた財政面などの問題点を踏まえるべきであり、それらの分析にも努めるよう求めます。
地域の実情に合わせたまちづくりを進めるためにも、土地利用の支障となる規制の緩和と市町が事業を進める上で必要な財政的支援について交付金の確保などを含め国に対して積極的に働きかけをするよう要望いたします。
結びに、当委員会は以上の提言をもって付託された調査を終了することを全員一致をもって決定いたしました。これらの提言が今後の施策に反映されることを強く要望し、委員長報告を終わります。(拍手)
○議長(杉山盛雄君) 以上で特別委員会委員長の報告は終わりました。
特別委員会委員長の報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と言う者あり)
○議長(杉山盛雄君) 質疑はないものと認めます。
お諮りします。
特別委員会への付託事項の調査は、委員長の報告どおり終了することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と言う者あり)
○議長(杉山盛雄君) 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
○議長(杉山盛雄君) 次会の議事日程を申し上げます。
三月五日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
本日はこれで散会します。
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