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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小野 達也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/01/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 富士山静岡空港の航空物流の推進について
2 浙江省友好提携三十周年の取り組みと今後の展望について
3 本県水産業の担い手対策について
4 医師確保における女性医師への支援について
5 地域における人と人とのつながりを生かした教育の推進について
6 理数系教育の充実について



    ○議長(植田 徹君) これで渡瀬典幸君の質問は終わりました。
     次に、十八番 小野達也君。
           (十八番 小野達也君登壇 拍手)
    ○十八番(小野達也君) 私は自民改革会議の所属議員として通告に従い、知事及び関係部局長、並びに教育長に、当面する県政諸課題について伺います。
     まず初めに、富士山静岡空港の航空物流の推進についてであります。
     先日、チャイナエアラインから、富士山静岡空港開港後初めての新たな海外路線となる静岡―台北間の路線開設について発表があり、今月二十五日からの運航が予定されており、私自身も就航第一便に搭乗し、インバウンド推進、エアポートセールス等一端を担ってまいりたいと考えております。路線がふえることは、利用者の利便性の向上につながるとともに、路線開設を契機とし、交流の拡大など、さまざまな大きな効果が期待されるところであります。今後もエアラインへの働きかけやチャーター便の実績を積み、定期路線化につなげるなど利活用促進に向けた積極的な取り組みが必要であると考えますが、空港間の競争が激化する中で、富士山静岡空港の競争力の強化が新規路線誘致や既存路線の機材の大型化など空港の発展につながるものと考えています。さらに、便数やダイヤの改善により利便性の向上が図られれば、空港の魅力が増し、ヒト、モノ双方の需要の創出、拡大にもつながります。新規需要について、ヒトでは、先ほども述べましたとおり、静岡―台北間の路線を誘致できたことの意味は非常に大きいと考えます。一方で、モノについても、アジアと直結した国際航空ネットワークを最大限活用し、急速な経済発展が続くアジアの成長と活力を取り込み、県内産業の持続的な発展に生かしていくことが重要であります。
     本県では、陸・海・空の充実した交通ネットワークを背景に、新産業の創出や地域経済の活性化等を目的としたふじのくに戦略物流ビジョンを本年度中に策定することとしております。グローバル経済の一層の推進は、企業の製造部門の海外進出を加速させ、必要なときに必要な量だけを世界各地へ効率的に提供するといったサプライチェーンの強化を招き、同時に世界規模で行われる調達、生産、販売といった一連の企業活動には、戦略的物流の視点が必要不可欠なものとなりました。
     このように、企業における物流の重要性が高まる中、航空物流は、海上輸送に比べ輸送時間が短く企業におけるリードタイムの短縮に寄与するものであり、本県のものづくり産業の競争力強化につながるものとして大きく期待されるものであります。また海上輸送に比べ運賃が高いものであり、それに見合った高付加価値なものを輸送しておりますが、本県には、海外に向けたイチゴやワサビなどの農林水産物や静岡新産業集積クラスターに代表される医療機器等の精密機器の部品など、ものづくり県として付加価値の高い航空物流需要が数多くあるものと考えられます。実際に、長崎県では民間業者が鮮魚を中心として上海で高級な素材を販売し大盛況であり、本県でも大きな可能性があるものと確信しております。
     さきの総合計画の進捗評価時には、平成二十一年の航空貨物取扱量が国内、国際合わせて八十六トンであるのに対し、平成二十二年は二百一トンと倍増し、本年はさらに倍となる五百トンに迫る勢いと予想される上、本県発着の国際航空貨物量は年間六万から十万トンあると推定されることから、今後の成長が大いに期待されます。
     そこで、県では今後航空物流の推進についてどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、浙江省友好提携三十周年の取り組みと今後の展望についてであります。
     昨年十二月の静岡県議会定例会代表質問において、我が自民改革会議落合議員が、浙江省と本県の今後の取り組みについて知事の所見を伺ったところ、浙江省との三十年にわたる交流の実績を踏まえた記念事業を進めるとの答弁がありました。浙江省は、人口五千百八十万人。今やGDPで世界第二位に躍進する中国経済の成長を牽引する長江デルタに位置し、金融業等の一大基地として中国の市場経済を支える上海に隣接しています。二〇一〇年の同省の一人当たりGDPは七千ドルを上回り、北京、上海、天津の直轄市、省レベルでは江蘇省に次いで、成長著しい中国においても有数の経済規模を誇り、これからの本県との交流を促進する上で大きな可能性を秘めた地域と考えられます。
     省都杭州は、古くは南宋時代の都として栄え、市の中心部にある西湖は、中国古代の四大美女の一人西施に例えられるほど美しい湖として知られています。西湖は、昨年世界文化遺産に登録されたことで、さらに多くの観光客を引きつける観光資源としての価値を高めており、本県が世界に誇る文化遺産であり、県民を挙げて世界文化遺産登録を目指す富士山との交流も期待されるところであります。
     また、茶の産地としても本県とのつながりが深く、西湖畔の龍井茶は中国最高級緑茶として内外に知られているほか、古くは茶の祖として有名な本県出身の聖一国師が浙江省径山寺での修行を終え帰国した際に持ち帰った茶の種が、やがて本県での茶の栽培の普及につながったと伝えられております。近年では、中国四大港の一つとして、かつて遣唐使などが中国を訪問する際の玄関口であった寧波の東に位置する舟山郡島新区で国家レベルの大規模経済開発が予定されるなど今後さらなる発展が期待されるところであります。
     県議会におきましても、友好提携に先立ち浙江省との友好親善の調印締結に関する決議を行うとともに、提携に合わせて日中友好議員連盟を結成し、当初から積極的に交流の一端を担ってまいりました。浙江省人民代表大会と静岡県議会との間におきましては、隔年ごとの代表団の相互受け入れにより、両県省に共通する課題についての協議を通じた継続的な交流を続けているところであります。
     このように、交流開始から三十年が経過し大人同士の関係となった今日、行政主体の儀礼的な交流関係から一歩踏み込み民間を主体としたギブ・アンド・テークの関係が構築されるべきと考えますが、友好提携三十周年を機に浙江省とどのような交流を進めていくのか、その取り組みについて知事の所見を伺います。
     次に、本県水産業の担い手対策についてであります。
     本県は、岩礁が発達した伊豆半島、日本一深い駿河湾、広大な砂丘が広がる遠州灘、海水と淡水が混じり合う浜名湖と変化に富んだ自然環境に恵まれているほか、沖合には黒潮が流れ沿岸から沖合へと広がる海域は、黒潮の恵みを受ける魚の宝庫であり生産性の高い豊かな漁場となっております。
     平成二十一年の静岡県の漁業、養殖業の生産量は全国第七位、水産加工品の生産量は全国第三位と国内有数の水産県である本県は、沿岸漁業から沖合、遠洋漁業までさまざまな漁業が営まれるとともに、水揚げされた水産物は、伊豆のキンメダイやアジの干物、駿河湾のサクラエビやシラス、かつおぶし、浜名湖のアサリやウナギなど地域を代表する産物として、水産加工業や流通業、さらには観光業など地域経済を支える重要な役割を果たしております。
     また、近年は地元でとれた新鮮で安全・安心できる水産物を求めるニーズが高まっており、今後もこれらが安定して供給され続けることが期待されております。本県水産業が地域経済を支える重要な役割を果たし引き続き県民の期待にこたえていくためには、水産業の担い手を確保していくことが重要となってまいります。
     本県の漁業就業者の動向について見てみますと、平成二十年の漁業センサスでは、五年前に比べ漁業就業者が八十人増加しているほか、六十歳以上の高齢者の割合も五〇・五%から四〇・六%と若干ではありますが減少しており、担い手不足の問題については改善の兆しも見られております。しかし昭和六十三年には九千八百人いた漁業就業者は、平成二十年には六千五百人となり二十年間で三四%減少しており、長期的には漁業就業者の減少や高齢化の傾向が続いております。水産加工業を見てみますと、かつては三Kと呼ばれ大変きつい職業であると思い込まれ、求人数はあっても今でもなかなか人手の集まりにくい環境にあります。次世代の水産業を支える人材の確保は、今後の水産業の振興を図る上で重要な課題と考えております。
     さらに現在、国を挙げて農林水産業の六次産業化の取り組みが推進され、本県においても、いとう漁協による朝どれの魚を県内スーパーで販売し消費者に大いに喜ばれていることや、直営食堂、移動販売などなど新しい取り組みが始まってきておりますが、このような従来の枠組みにとらわれない新たな取り組みを進めていくためにも、若く意欲のある人材を育成していくことが必要となってまいります。
     県においては、水産業の振興発展を図るため経済産業ビジョン水産編を策定し、魚食文化をはぐくむ水産業の構築を基本方向として具体的施策を推進するとしておりますが、本県水産業の担い手を確保するための取り組みについて御所見を伺います。
     次に、医師確保における女性医師への支援について伺います。
     まず、本県の最近の医療施設に従事する医師数でありますが、ふじのくに地域医療支援センターの設置運営や全国一の規模を誇る医学修学研修資金貸与事業など、県内医療機関等と県が一体となった取り組みが徐々に成果を上げつつあると思いますが、平成二十二年末の全国平均とは依然として大きな開きがあります。
     近年、医師も女性医師が年々増加しており、医師国家試験合格者に占める女性の合格者は平成二十三年は二千四百九十九名でその割合は三二・五%を占め、今では三人に一人が女性でありこうした傾向は今後も続いていくと思われます。
     静岡県でも例外ではなく、医療施設に従事する女性医師数の割合は平成十年は一一・七%であったのに対し、平成二十二年は一六・〇%と十二年間で四・三%増加しており、特に若い世代の三十代については二四・四%と実に四人に一人が女性であります。こうした女性医師の増加に伴い、勤務先である病院におきましても、女性医師のニーズに的確に対応することが強く求められております。女性医師は、医師という仕事の抱える多忙な状況に加え、結婚、出産、子育てをしていくこととなります。また昨今の医療技術の進歩は目覚ましいものがあり、一たん医療現場を離れた場合には、職場復帰に当たって、最新の医療技術に追いつかなければならないとの心理的な負担感もあると伺っております。
     私の地元伊東市では、来年四月に新しい市民病院が開院いたします。診療科目は十七科目にふえることなどから、伊東市民の期待は大きなものがある反面、同様の課題が生じることも考えられます。これらの課題を解決するために、女性医師が安心して医療に従事できる勤務環境を県内の病院に整えていただき、これからも女性医師が病院の第一線で活躍していくことが、本県の地域の医療提携体制を一層充実させていくこととなり、大きな課題であります。
     さらに、女性医師の場合は、結婚相手も医師であることが多く、女性の希望する地域に住む傾向が強いと言われておりますことから、女性医師にとって、就業を初め住みよく子育てしやすい環境をつくることは、より一層の医師確保対策につながると考えます。
     そこで、医師確保における女性医師への支援について、県の所見と取り組みを伺います。
     次に、地域における人と人とのつながりを生かした教育の推進についてであります。
     昨年三月に東日本を襲った震災後の混乱の中、互いに思いやりの心を持って助け合う被災者の姿が世界じゅうから賞讃を浴びたことは、記憶に新しいところであります。悲しみを乗り越え、復興へ立ち上がるとき、多くの日本人のきずなが強まっていることは言うまでもありません。
     震災により校舎が瓦れきで埋まり、通常より二週間おくれで新学期のスタートを切った岩手県大船渡市のある小学校長は、新学期を迎えるに当たり、「地域のきずなさえ忘れなければ希望に向かって歩んでいける」と述べました。この大震災から改めて学んだ教訓は、人と人とのつながりがいかに地域を支え一人一人を支えているかということです。
     本県において今後の発生が危惧されている東海地震は、直下型で東南海・南海地震との連動の恐れもあり、想定される震災被害も甚大であります。防災教育だけをとらえても、東日本大震災後の教訓に静岡県ならではの視点も加えた一層の地域力の向上が求められるのではないでしょうか。そのためには、地域におけるきずなを強め、そこで暮らす人々の安心感をはぐくむ施策の展開が必要です。
     皆さん御存じの映画監督の山田洋次氏いわく、「人間関係が冷たくなった部分を、社会のシステムとして補う必要がある。昔の長屋には、よその子供の面倒や高齢者の世話を自治の力で行ってきた。高度成長の過程で失われてしまったその助け合いのきずなを自治中心にしっかりと築いていく必要がある」と指摘しているように地域の力を教育というシステムの中でも再構築していくような取り組みが求められていると思うのであります。
     国においても、次期教育振興基本計画の策定に当たり、中央教育審議会による人と人とのきずなづくりの考え方を計画案に盛り込むとしています。本県においては、互いにかかわり合い、よりよい社会づくりに参画する「有徳の人」の育成を目指した「有徳の人」づくりアクションプランが本年度よりスタートをしました。
     目指す人間像から、人と人とのかかわり合いを重視していることは理解しているところでありますが、「有徳の人」づくりアクションプランの推進に当たり、地域の中で新たな人と人とのつながりを生み出し、それを生かす本県ならではの取り組みをどのように推進していくのか、教育長の所見を伺います。
     最後に、理数系教育の充実についてであります。
     日本のお家芸である電気、自動車、機械などのものづくり企業は、近年まれに見る超円高や、欧州の財政危機を端緒とする景気低迷、大震災に伴う電力供給不足など複層的に影響し、厳しい経営環境に置かれており、工場の海外移転による国内産業の空洞化、それに伴う働き盛りの人材の余剰などの問題も懸念されております。
     戦後の復興から高度成長に至る過程の日本経済は、原料を輸入し、すぐれた製品を輸出する加工貿易で国富を築き、その後中国など新興国の安い労働市場を求めて急速に国際化を行い、世界市場に対し国際的な製造、供給体制で挑むようになりました。
     しかし、今日の超円高では、相当の付加価値のある製品の開発か、あるいは内需型への大幅なシフトでなければ生き残れないほど企業は追い込まれております。この不景気で労働者の給与が減少している状況では、購買意欲の向上はなかなか望めず内需型は難しいと思われます。
     一方、生き残りのため付加価値製品の開発を選択したとすれば、近年技術力の向上が目覚ましい中国や韓国といった新興国の追い上げが激しいため、それらにまさる技術力をさらに高め、生産は海外で行い稼ぎを本国に持ち帰るような技術立国を目指さざるを得ないと考えます。そのためには、中学・高校からのすぐれた教育、人材育成は論を待たないところであり、特に高校での理数系教育の重要性は今後ますます増していくものと思われます。人材は、一朝一夕では育成できません。今の高校生が優秀な教育を受け技能を修得し、その後社会に出て、実践的な研修・研究をして一人前になるまでには、二十年近い年月が必要となるのです。さらにその後継者を育成するためにはさらなる日時を要し、まさに人の育成は待ったなしの状況なのであります。
     また、先ほどの質問でも触れましたが、我が国を覆う医師不足問題、医師の総枠抑制という問題はありますが、よい医師を多く育成するためには理数系に興味と能力を発揮できる子供たちの育成が急務であります。人口減少社会の中で日本が世界と渡り合っていくためには、教育に根ざした優秀な頭脳を輩出し繁栄のシステムを構築することが大切なことであり、幸いにも本県には優秀なものづくり企業が多数あります。こうした企業を支え、この地域に深く根差していくようにするためには、地域での優秀な人材輩出が必要不可欠であると考えます。
     そこで、高校の理数系教育の充実に向け、現在の状況と今後どのように取り組んでいくのか教育長の所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 小野達也議員にお答えいたします。
     初めに、富士山静岡空港の航空物流の推進についてであります。
     富士山静岡空港における航空貨物取扱量は、開港からこれまで倍々ゲームで増大しておりまして、平成二十一年度は八十六トン、二十二年度は二百一トン、二十三年度――今年度はこの一月までで既に四百十三トンということでございます。開港以来七百トン余り取り扱っているということで、議員の御指摘のように五、六万トンにまでいけるというその可能性は十分にあるだろうと思っております。
     最近、仁川を経由したフランスからのボジョレー・ヌーヴォー、浜松の企業によるベトナムからの光ファイバー製品の継続的輸入、上海への県内地酒輸出、全日空沖縄貨物基地を利用した香港への「紅ほっぺ」の輸出など新しい品目が加わっておりまして、また輸送ルートも開拓されつつあります。開港四年目を迎えるに当たりまして、今後の発展可能性が期待できるようになりました。
     本県は、食材が多く農林水産物の品目数は全国一位です。いわゆる食材の王国でございますし、ものづくりは、議員の御指摘のとおり製造品出荷額が全国第三位ということで航空物流の対象は質、量ともに充実していると言うことができます。今後は、新東名高速道路の県内開通を追い風に一層の航空貨物取扱量の拡大を見込んでおります。
     この春から新たに台北―静岡間に就航するチャイナエアラインは、航空貨物への御関心が高うございまして二月二十七日には、孫社長とともに、日本地区貨物本部長も御来庁になり今後航空貨物の取り扱いを協議していくということになりました。広島はデーリーに飛んでいるんですが、人口は二百八十万。本県は約百万多く週三便ということでございました。広島では貨物も取り扱っているということなので、本県はもっとその可能性があるということを言われておりまして、その御期待にこたえたいと思っております。
     現在策定中のふじのくに戦略物流ビジョンを踏まえて、富士山静岡空港航空貨物利用促進協議会とともに取り組んでおります航空貨物中長期戦略におきましては、富士山静岡空港をものづくり産業の発展に寄与し、アジアの成長を取り込む本県の新しい物流の拠点として位置づけております。
     具体的には、新東名高速道路との交通ネットワークを活用した空港後背圏の拡大を目指します。また全日空沖縄貨物基地を経由した世界各国とのネットワークの活用を探ります。そしてアジアのハブ空港との貨物専用チャーター便の誘致など利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。あわせて空港周辺への物流機能の強化などを民間事業者と一体となって取り組んでいくこととしております。繰り返しますけれども、富士山静岡空港を本県の物流の拠点にすると。平時においてこういう物流の拠点になっているということは、いざというときに救援物資の集散の拠点になるようにということで、そうしたことをあわせてにらみながら空港の利活用を図っていきたいと考えております。
     富士山静岡空港の持つ大きなポテンシャルを具現化することを通して、旅客と貨物を両輪として、国内外の人と物との流れを一層促進してまいります。
     次に、浙江省友好提携三十周年の取り組みと今後の展望についてでございます。
     浙江省とは、昭和五十七年――一九八二年の友好協定締結以来、当初は行政主導の交流でございましたが、近年では多数の本県企業が浙江省に進出しています。両県省の企業、団体で構成する静岡県・浙江省経済交流促進機構というものができまして、これを通じた経済交流や青年代表交流など民間が主体となった交流が拡大してまいりました。
     本年は、友好提携三十周年の節目でございます。これまでの交流の成果を踏まえつつ両県省にとって新しいビジネスチャンスの拡大が見込めるような経済交流のさらなる展開や、静岡県・浙江省友好観光年の位置づけによる観光を初めとした交流人口の一層の拡大を図ってまいる所存でございます。
     四月上旬に、夏宝龍省長を団長に、浙江省政府幹部や省内各市長、企業家、公募による民間の方々など約五百人に上る皆様をお迎えいたします。四日には開催の歓迎記念式典を行い五日、六日の両日におきまして、浙江・静岡名品展覧会を開催いたします。こうした協力をして行う行事を通じまして、浙江省の皆様に本県の魅力を存分に実感していただきたいと考えています。加えてできる限り多くの県民の皆様にも足を運んでいただき、浙江省をより詳しく知っていただく機会としてまいります。また三百人の第九演奏会の開催を初めさまざまな文化交流も予定しております。年間を通じた相互訪問によりまして、友好提携三十周年を新たな出発点に多様な分野での民間団体の交流を一層促進してまいりたいと存じます。
     本県からは、六月には静岡県・浙江省二〇一二緑茶博覧会を当地で開催いたしますとともに、十一月には県議会の皆様、各界の皆様から成る代表団を派遣して、浙江・静岡産業観光展を開催したいと考えています。浙江省の地で省民の皆様との交流を深めるとともに、本県のすぐれた産物や歴史、文化、風土を伝え県産品の販路拡大や観光誘客を図ってまいります。
     このたび、小野議員の質問の中で、いろいろな歴史のことに触れられました。中国との歴史は、遣隋使のころから見ますと、千四百年以上にわたっております。ほとんどが友好です。元寇と日明戦争と、いわゆる秀吉の朝鮮侵略のときの明との戦いと、それから日清戦争、それから日中戦争、いわゆる満州事変からの十五年間の十五年戦争と言われるものですが、合計足しても五十年に満ちません。千四百年以上の中でわずか数十年ということでございまして、本県と浙江省との三十周年にわたる交流におきまして、何らとげの立つようなことがあったことはなかったということでございます。そういう友好的な互恵・互助ということこそが基本だというのが私どもの姿勢であるということでございます。
     この四月上旬における夏宝龍省長のお越しのときには西湖と浜名湖で友好提携が結ばれますけれども、あそこは触れられましたように龍井茶の産地でございます。龍井茶は、西湖の周りで茶館で――「さかん」と読むのでしょうか――日本でいう喫茶店で中国風のお茶をサービスして、多くの人々でにぎわっています。日本には喫茶店がありますが、これは洋風の紅茶なりコーヒーなりを飲む形になっています。中国のものがないというのは、せっかく径山寺で聖一国師が学ばれたわけでありますから、浜名湖に西湖の柳が植わっているわけでありますが、その柳には茶館が似合うとすれば、日本の煎茶サービスと、それからいわゆる洋風の喫茶店と中国風の茶店が――茶館というんでしょうかね――これがあってもいいと思います。
     我々は、近江に対して、いわゆる遠江があって近江八景、遠江八景ということもつくることができますし、西湖は十景と言っていますから、西湖十景に対して浜名湖十景というのを選ぶこともできます。そういうふうな見立ては日本の文化ですから、これをすることを通して本県の魅力を向こうとの違う形で見出していきつつ互いの文化も共通性といいますか、これを楽しむこともできると。もとより議員の御地元のような温泉地は、寡聞にして私は浙江省にあるとは思っておりません。そうした本県独自の魅力も富士山を初めございますので、こうしたことを通して、友好的互恵・互助の関係を、すなわち本来の日中関係の軸となるものをしっかりと地域間レベルでつくり上げていくというのが、私どもの地域外交の基本的な姿勢でございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 本県水産業の担い手対策についてお答えいたします。
     本県水産業が、県民の期待にこたえて魅力ある水産物を安定して供給していくためには、若手を中心とした担い手の確保が重要であります。
     このため、県では県庁内に漁業就業相談窓口を設け求人情報の収集、提供などを行いますとともに、県立漁業高等学園におきまして小型実習船の更新による沖合での漁労、操船実習の拡充や、海技士等の資格取得に重点を置いた教育内容の見直しを行うなど即戦力となる漁業者を育成してまいります。
     一方、水産業の将来を見据えた場合その収益力を高める必要がありますことから、現在スーパーと産地を直接結ぶ新たな販路の構築や、これまで流通に乗らなかった魚を消費者に提供する取り組みなど新ビジネスの立ち上げへの新商品開発、販路開拓を漁業者の皆様とともに進めているところであります。これらの取り組みが、漁業の担い手に対します人材育成にもつながるものと考えております。
     さらに、こうした取り組みに加えまして、来年度水産流通加工事業者、漁業協同組合を対象といたしまして観光業など漁村地域で連携可能な産業分野での実地研修を実施し、他産業分野とのネットワークと豊かな発想力を持った人材を育成することなどによりまして、本県水産業の振興を担う人材の確保に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 医師確保における女性医師への支援についてお答えをいたします。
     女性医師が、出産や育児を契機にやむなく医療現場を離れることがありますが、生涯を通じて活躍していただくことが地域の医療提供体制の確保のために大変重要になっています。
     そのため、県では女性医師の就労環境を整えるため、短時間勤務など柔軟な勤務体制の導入や院内保育施設の整備・運営に取り組む医療機関を支援するとともに、再就業を希望する医師には技術研修を実施するなどの復帰支援も行っているところであります。
     また、女性医師の就労についての理解の促進や環境の改善は、男性医師を初め医療従事者全体の労働条件の改善につながりますことから、県内の医療関係者に対し啓発シンポジウムの開催や先進事例の紹介などを行っているところであります。
     さらに、来年度は、新たに女性医師の勤務に合わせた幼稚園等への送迎や選任の医療スタッフによる勤務相談などに取り組む病院に対しましてモデル的に支援をし、その効果の検証を行い県内の病院に広めてまいりたいと考えております。
     県といたしましては、今後もさまざまな女性医師支援に取り組み、医療分野におきましても「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを推進し、医師の確保につなげてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 地域における人と人とのつながりを生かした教育の推進についてお答えいたします。
     東日本大震災後、人と人とのきずなの重要性が改めて認識され、現在策定中の国の第二期教育振興基本計画におきましても、基本的な考え方としてきずなづくりと活力あるコミュニティーの形成が示されております。また昨年七月に、文部科学省の有識者会議が緊急提言をいたしました学校施設の防災拠点化におきましても、地域コミュニティーのきずなが求められているところであります。
     現在、県教育委員会では、学校と地域との協働が重要であるとの認識のもと学校防災推進協力校における実践研究を進めるとともに、防災教育推進のための連絡会議の開催を促進するなど市町の行政担当者も参加した地域の連携づくりに取り組んでいるところであります。
     また、高校生が地域で実施する一部活動一ボランティアの推進、地域の子供と大人がかかわり合う通学合宿の実施や、学校支援地域本部の設置促進など地域の中でさまざまな立場にある住民同士が、日ごろから互いにかかわり合い顔の見える関係を築き、きずなを深める機会の創出に努めているところであります。
     県教育委員会といたしましては、今後このような地域における取り組みを一つ一つ積み重ねていく中で人と人とのつながりを生かした教育活動を一層推進してまいります。
     次に、理数系教育の充実についてであります。
     議員御指摘のとおり、技術立国として国際競争力の一層の向上を図るためには、高校での理数系教育の重要性は今後ますます増大していくものと考えております。
     そのため、県教育委員会では、高校生を対象に大学の研究室など先端研究施設での研究体験を行うニュートン・プロジェクト推進事業を実施し、科学技術分野への関心、意欲を高めております。
     また、医療系人材の育成につきましては、健康福祉部と連携して高校生が病院に出向いて医療関係者から直接話を聞いたり体験的な活動を行ったりするこころざし育成セミナーを開催し、参加した生徒からは、将来医療分野に進もうという気持ちが一層強くなったなどの感想が多く寄せられております。
     県教育委員会といたしましては、これらの事業を充実させていくとともに、来年度は高度な知識・技能を持つ理学系の博士等の高校への配置や派遣により専門的な指導助言を行うオーバードクター等活用事業を実施し、高校生の科学的に探求する態度や能力を育て、科学分野で将来活躍が期待できる人材の育成を一層図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 十八番 小野君。
           (十八番 小野達也君登壇)
    ○十八番(小野達也君) 御答弁ありがとうございました。一点だけ教育長にお伺いします。
     今、理数系教育の充実について、オーバードクターという言葉が出てまいりました。私の知るところによりますと博士課程の卒業者であろうかと思います。長年専門分野の研究に携わってきた方ではないかと思うんですが、どんな期待を持って――新しい取り組みでありますし――やっていくのかということと、就職難で腰かけになってもいけないかと思いますので、具体的にどんな活用方法があって、それによって高校生たちの理数系の興味を引いていくのか。そんなことをお伺いしたいと思います。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) このオーバードクターの活用事業につきましては、大きく二つの意味があるかなと思います。
     一つは、現在県が進めております雇用アクションプラン。この雇用ということに資するということもあろうかと思いますし、もう一つは、先ほど御答弁申し上げましたように高校生の理数教育、あるいは高校生にとどまらず小中学生にもというふうに考えております。
     そういう中で、現時点では一年の雇用ということでございますけれども、できましたらここで雇用されたオーバードクターの方たちが、来年度以降、本県の教職を目指していただくというようなことに傾いていただければありがたいなというふうに思いますし、また非常勤の方につきましては、時間があいたところで、引き続き職をですね、より適切な職を探していただくというようなこともあろうかなというふうに思いますけれども、いずれにしましても初めての、全国でも珍しいというんでしょうか取り組みでございますので、ぜひこのオーバードクター等活用事業を有効に使いまして、本県の理数教育の充実ということに努めてまいりたいというふうに思っております。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) これで小野達也君の質問は終わりました。
     議事の都合により、休憩します。

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